説明

紙葉類処理システム

【課題】複数のモジュールで構成された紙葉類処理システムにおいてモジュール間の仕切板に内部扉を設け障害発生時の初期化処理時間を短縮し、処理効率を向上する。
【解決手段】包装装置が複数のモジュールで構成されるとき、当該モジュールには外装扉が配置される。また、各モジュール間は仕切板161cで仕切られるが、この仕切板161cに、各モジュール間をまたいで移送される紙葉束の移送用穴165a及びその近傍に保守用穴165bを設ける。この保守用穴165bには、開閉可能な内部扉162及びこの内部扉の開を検知する内部扉検知装置164が配置される。障害発生時、当該障害発生モジュールの、例えば外装扉を開き、さらに内部扉162を開くと、制御部は、この内部扉から保守可能な範囲の他のモジュールの動力を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理システムが、分割可能な複数の装置(以下、モジュールと称する。)で構成されるとき、モジュール内で発生したジャム処理に伴う初期化を効率よく行う紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理システムには、前処理装置としての紙葉類処理装置と、後処理装置として、上記紙葉類処理装置で区分処理されて結束された紙葉束を包装する包装装置を有して構成されるものがある。
【0003】
紙葉類処理装置は、供給された紙葉類を搬送し、紙葉類判別装置で当該紙葉類を正券(真券で流通可能な紙葉類)、損券(真券で再流通不可能な紙葉類)及び排除券(正券又は損券以外の紙葉類)に判別し、その判別結果に基づいて区分して集積し、所定枚数(例えば、100枚)に達するごとに熱接着性の紙帯で結束(施封)する装置である。
【0004】
この種の紙葉類処理装置は、上述した所謂区分処理を高速に処理するために、集積・施封する装置を複数備えた大型の紙葉類集積装置が用いられるようになってきた。また、この種の大型装置は、製造性又は保守性の面から分割可能な複数のモジュールで構成されることが多くなってきた。
【0005】
これに対応すべく、後処理装置としての包装装置も大型になってきており、同様に複数装置(以下、モジュールと称する。)に分割して用いられる場合が多い。例えば、各モジュールは、搬送上流からモジュールMA、MB、MC、・・と配置される。
【0006】
搬送上流に配置されたモジュールMAは、紙葉類処理装置から排出された100枚束を受入れ、例えば紙葉類の区分に応じて(カテゴリごとに)10個立位状態で集積する集積装置である。
【0007】
モジュールMBは、モジュールMAからカテゴリごとに集積された10個の100枚束を、10個ごとに結束材でさらに結束して1000枚束を形成する結束装置である。
【0008】
モジュールMCは、モジュールMBで形成された1000枚束をシュリンクパックする包装装置である。
【0009】
以上説明したように紙葉類処理装置では、所定間隔で取出された紙葉類が区分されて集積装置によって集積され、100枚に達するごとに施封装置で施封(結束)された100枚束は、各モジュールの下部に配置されたコンベアに放出され、上述した後処理装置としての包装装置に渡される。
【0010】
ここで、包装装置内で搬送される100枚束の券詰りが発生した場合は、操作員(又は保守員)による詰り券(ここでは100枚束)除去作業が行われる。
【0011】
このとき、詰り券除去作業のために、装置の一部又は全部の外装扉が操作員によって開かれる。
【0012】
包装装置は、外装扉が開かれている間の作業者の安全を確保するため外装扉の開閉を検出できる機構を有しており、装置稼動中に外装扉が開かれた場合には、直ちに装置内の機器の稼動を停止させる。外装扉が開かれている間は包装装置内の機器への動力を遮断し、外装扉が閉じられた後は操作員によって任意のタイミングで初期化が行われていた。なお、外装扉と処理装置の安全性に関してドアが開けられたときに電源遮断をすることはよく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−192941号公報(第6−7頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した包装装置では、機能ごとに分割されたモジュールを組み合わせた構造を持ち、それらの装置ごとに1つ若しくは2つの外装扉が配置される場合がある。この何れかの扉が開状態となっている間、その扉から人の手によって触れることのできる全ての機器への動力を遮断し安全を確保する必要がある。
【0015】
ひとたび、外装扉が開かれたモジュールは、再び扉が閉じられた後、操作員の手による初期化動作を必要とする。この初期化動作は、動力遮断されたモジュールに対してのみ行われ、このとき対象となるモジュールの内部が券詰りか否かに係らず、全ての紙葉束がモジュール内部より取り除かれた状態でなければならない。
【0016】
すなわち、詰り券除去作業を行う場合において、操作員は、券詰り発生箇所に該当するモジュールの外装扉のみを開き、詰り券を含む全ての券をモジュール内部より取り除き、装置の初期化作業を行えばよい。
【0017】
しかしながら、通常発生する券詰りの一部にモジュール間をまたぐ搬送部分での券詰りが発生した場合には、この場合においては安全上のため対象となる2つのモジュールの外装扉をどちらも開状態にし、詰り券除去作業を行わなければならない。結果として、詰り券のみでなく両モジュール内の全ての券を取り除く必要があるため、操作員の作業手順、装置による初期化の処理時間が増大してしまうという課題がある。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、一方のモジュールと他方のモジュールを隔てている仕切板に内部扉を配置し、一方のモジュールの前扉が開けられ、かつ、一方のモジュール側から上記内部扉が開けられたときに、操作可能な範囲内の装置の動力が停止する。操作員が、残留紙葉束を取出し、内部扉及び前扉を閉めると、一方のモジュール側及び内部扉を開けて操作可能な範囲の装置の初期化を行うことにより、2つのモジュールの全ての初期化処理を行う場合に比べ、初期化処理時間が短縮でき、結果的に、処理効率が向上する紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理システムは、複数のモジュールで構成された紙葉類処理システムであって、搬送方向上流側の第1モジュールの外装扉と、この第1モジュールに連続する搬送方向下流側の第2モジュールの外装扉と、前記第1モジュールの外装扉及び前記第2モジュールの外装扉の開を検知する外装扉検知装置と、前記第1モジュールと前記第2モジュール間を仕切る仕切板と、この仕切板に設けた貫通する保守用穴と、この保守用穴を開閉する開閉可能な内部扉と、この内部扉の開を検知する内部扉検知装置と、当該モジュール内の動力供給を遮断する遮断手段と、この遮断手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1モジュール又は第2モジュール内に障害が発生した際、当該障害が発生したモジュールの外装扉及び内部扉の開状態が前記外装扉検知装置及び前記内部扉検知装置によて検知されたとき、設定条件に基づいて当該保守用穴から保守可能な設定範囲の他のモジュールの動力供給を前記遮断手段によって遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
複数のモジュールで構成された紙葉類処理システムにおいて、装置内で障害が発生し、残留紙葉束などの除去が必要な場合、当該障害に関連するモジュール前扉を開くことにより、隣接する前扉を開かなくても残留紙葉束の除去処理を行うことができるため、初期化時間を短縮することが可能になる。また、この初期化時間の短縮によって、装置の処理効率を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例による紙葉類処理システム
【図2】図1に示す包装装置の外観図
【図3】図2に示す取込・集積部を備えたスタッカ部の正面外観図
【図4】紙葉類処理システムでの紙葉束の処理の流れを説明する図
【図5】図3に示す上段搬送部に設けられた内部扉の扉開閉検知を説明する図
【図6】外装扉検知装置の構成を説明する図
【図7】障害(ジャム)発生時の処理を説明するフローチャート
【図8】図3に示すスタッカ部の左側側面の外観図での1000枚束の排出方向を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施例の包装装置は、4個のモジュールが連結して構成される。本実施例では、この中の、搬送方向上流のモジュールでるモジュールMAを構成する下段集積部と上段搬送部との間の仕切板に保守用穴を設け、この保守用穴から開閉可能な内部扉を配置し、この内部扉の開が検知され、内部扉が開いたときに、内部扉から操作可能な範囲の装置の稼動が停止する。以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の実施例による紙葉類処理システムである。図2は、図1に示す包装装置の外観図である。図3は、図2に示す取込・集積部を備えたスタッカ部100の正面外観図である。図4は、紙葉類処理システムでの紙葉束の処理の流れを説明する図である。以下、これらの図を参照にして説明する。
【0024】
本実施例に係る紙葉類処理システムは前処理装置としての紙葉類処理装置1及び後処理装置としての包装装置2を有して構成される。
【0025】
紙葉類処理装置1は、一括して供給された紙葉束SAを処理する装置で、供給部12に供給された紙葉束SBは、その最上面の紙葉類Pから順番に取り出されて搬送路13に供給される。搬送路13に供給された紙葉類Pは、1枚ごとに紙葉類判別装置23によって紙葉類Pの真偽(本物の券か偽物の券か)、正損(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)が判別される。
【0026】
この判別結果に基づき、正券は集積・施封装置35に搬送され、損券は集積・施封装置36に搬送される。集積・施封装置35、36は、搬送路の終端に配置され、搬送路13の終端から放出された紙葉類Pを羽根車集積装置で集積する。集積された紙葉類Pの枚数が100枚に達するごとに羽根車集積装置の下部に配置された施封装置(結束装置ともいう)で熱接着性の紙帯(結束材)Kで結束され100枚束Hが形成される。
【0027】
この結束はカテゴリとしての正券、損券ごとに行われ、正券と損券を区別するために通常は上記紙帯の色を変えて行われる。紙帯を見ただけで正券か損券かを区別することができるようにするためである。なお、上記カテゴリは正券・損券のみならず紙葉類の種類に区分する場合にも用いられるが、本実施例は上記正券・損券に区分する場合について説明する。
【0028】
このようにして形成された100枚束Hは、当該集積・施封装置35、36の下部に配置されたコンベア10によって図示矢印A方向に搬送され、コンベア10の終端に配置されたリフト装置50に引き渡される。
【0029】
リフト装置50は、コンベア10から受けた100枚束Hを受け取り、リフタ51に載置して持上げる。所定の位置に到達した100枚束Hは、プッシャ(図示しない)に押し出されてスタッカ100の下段受入部115に渡される(図4(1)参照)。
【0030】
図3は、図2に示す受入・集積部を備えたスタッカ部100の正面外観図である。スタッカ部100は、包装装置2のモジュールMAに該当し、下段受入部115、下段集積部110(第1モジュール)、上段受入部170、上段集積部171及び上段搬送部160(第2モジュール)からなる複数のモジュールを有して構成される。
【0031】
下段受入部115は、通常動作時に紙葉類処理装置1から排出される100枚束Hを立位状態で受入れる部分である。
【0032】
下段集積部110(第1モジュール)は、下段受入部115で受入れた100枚束Hをカテゴリごとに立位状態で集積し、所定個数(例えば10個)に到達するとさらに結束して1000枚束にするために搬送する部分である。
【0033】
上段受入部170は、スタッカ部100に障害が発生し、上記下段受入部115で100枚束Hを受入れ、その後の所定の処理ができない場合、紙葉類処理装置1から送り出される100枚束Hを上段受入部170で受入、受入れた100枚束を上段集積部171に収納する。この上段集積部171があることによりスタッカ部100に障害が発生した場合であっても処理を中断することなく行うことができる。この機能は、本願発明の主旨とするところでないため、詳細の説明を省略する。
【0034】
上段搬送部160(第2モジュール)は、搬送上流に位置する下段集積部110(第1モジュール)に連続する搬送下流に位置し、下段集積部110で受入れた100枚束Hが10個に達した紙葉束SBをさらに結束するために結束装置200に移送する部分である。
【0035】
図4は、紙葉類処理システムでの紙葉束SBの処理の流れを説明する図である。上述したように、下段受入部115に受け渡された100枚束Hは、図示矢印B方向に送り出されてカテゴリ選択部120で正券又は損券に区分される。正券はさらに図示矢印Ea方向に押し出されて集積部130aに立位状態で集積され、損券は図示矢印D方向に送り出された後方向変換して図示矢印Eb方向に押し出されて集積部130bに立位状態に集積される。
【0036】
各集積部130a、130bに集積された100枚束Hはそれぞれ計数され、それぞれ10個に達すると方向変換部140a又は140bで図示矢印Ga2又はGb2の方向に押し出されてリフト部150のリフタ151に受け渡される。
【0037】
リフト部150は、リフタ151に載置された紙葉束SB(10個の100枚束H)を図示矢印I方向に持上げ上段搬送部160に引き渡す。この結果、下段集積部115に取り込まれた100枚束Hは、10個集積されるごとに上段搬送部160に持上げられて引き渡される。
【0038】
上述したリフタ151を用いて下段集積部にある紙葉束SB(10個の100枚束H)を上段搬送部に持上げるのは、この持上げられた紙葉束SBをさらに結束するためには、載置された紙葉束SBの外周に沿って結束材を回す必要があり、紙葉束SBの上下左右に大きな空間が必要になる。この空間を作るために、紙葉束SBを所定の位置に持上げるのである。
【0039】
図5は、図3に示す上段搬送部160に設けられた内部扉162の開閉検知装置164を説明する図である。
【0040】
下段集積部110及び上段搬送部160の間は仕切板161cで仕切られているが、搬送上流に位置する下段集積部110と連続する搬送下流に位置する上段搬送部160間はリフタ151によって連結され、このリフタ151により下段集積部110から上段搬送部160に紙葉束SBが移送される。そのため、上記リフタ151を通す貫通した穴165aが設けられている。さらに、その近傍に保守用穴165bが設けられている。この保守用穴165bには上段搬送部160側から開閉可能な内部扉162が配置される。この内部扉162には、この内部扉162と一体になって移動可能なバー163が取り付けられている。
【0041】
この内部扉162が保守用穴165bを閉じているときには、バー163が内部扉検知装置164の挿入口165に挿入され内部扉検知装置164によって検知される。この状態で、内部扉162が図示矢印J方向に開けられると、バー163が内部扉検知装置164によって検知されなくなり、内部扉162が開放中若しくは開放状態にあることを示す。
【0042】
この内部扉検知装置164は、挿入口165に投光器及び受光器が組み込まれており、この間にバー163が挿入されると投光器、受光器間が遮られ、バー163が検知される。この種のバー検知方法には、上述した投光器、受光器による透過検知方式に限らず、バーからの反射を検知する反射型検知センサでもよく、また、バーに永久磁石を取り付けた磁気センサ型でも可能である。
【0043】
図6は、扉検知装置の構成を説明する図である。図示した例は、外装カバーとしての下段集積部正面扉112aの外装扉検知装置113の構成を示している。上述した内部扉162の内部扉検知装置164の場合と基本的な検知方法及び動作は同様である。外装カバーは外装形状及び開閉方法により各種の扉検知装置があるが、いずれの場合も、開閉される扉(ここでは、下段集積部正面扉112a)側に検出されるバー(ここでは、バー112c)が組み込まれており、扉(下段集積部正面扉112a)が閉められたときにバー112cを検知する扉検知装置(ここでは、外装扉検知装置113)が本体側に組み込まれて構成される。
【0044】
例えば、図3に示すスタッカ部100の下段集積部側面カバー111a図は、図示矢印L方向に開くことができ、下段集積部112aは、図示矢印M方向に開くことができる。これら外装カバーの扉検知装置は上述した通りである。
【0045】
以上のように構成されたスタッカ部100において、例えば、下段集積部110のカテゴリB側の100枚束Hの集積部130bの搬送に障害(ジャム)が発生した場合、当該障害はスタッカ部100から紙葉類処理装置1に通知される。
【0046】
紙葉類処理装置1はスタッカ部100からの障害情報を受信して、100枚束Hの供給先を下段受入部115から上段受入部170に変更して紙葉類処理装置1内で処理途中の100枚束Hの供給を継続する。
【0047】
また、スタッカ部100の制御部190は、スタッカ部100のカテゴリA側の処理を継続し、障害の発生したカテゴリB側の搬送を中止する。紙葉類処理装置1は、障害を当該装置1に表示する。また、包装装置2はこの異常を結束部200の操作表示部210に表示する。
【0048】
操作員は、当該障害がカテゴリB側の搬送であることを確認して上段搬送部160の上段搬送部扉161aを開けた場合を説明する。この搬送部バー161aは、取手161bを図示矢印K方向に引き出すことにより開ける事ができる。この上段搬送部扉161aにも扉検知装置が取り付けてあり、扉の開閉が検知される。
【0049】
この上段搬送部扉161aを開けると、この上段搬送部扉161a内に配置された駆動源が遮断され、残留紙葉束を取り除くことが可能になる。この場合には、上段搬送部160内に残留した紙葉束SBを取り除くことができる。しかしながら、従来は、上段搬送部160と下段集積部110は底部の仕切板161cで仕切られており、上段搬送部160内から下段集積部110内にアクセスすることはできないため、下段集積部110内のカテゴリBに関連する100枚束を取り出すことは出来なかった。本実施例では、上段搬送部160内に設けられた内部扉162を開けることができる。図5はこの内部扉162が図示矢印J方向に開けられている状態である。
【0050】
内部扉162が開けられると、内部扉検知装置164によって内部扉162が開状態であることが検知される。この検知により、制御部190は、操作員が上段搬送部160内から操作可能な範囲の動力を停止する。本実施例では、正常動作時に、カテゴリBの集積トレー131bに100枚束Hを押し込んで集積する動力、集積トレー131bを駆動する動力、集積トレー131から紙葉束SBを図示矢印Gb2側にあるリフタ151に押し出す動力、紙葉束SBをリフタ151内で奥側に押し込む動力、リフタ150を駆動する動力など、複数の動力源が使用されている。
【0051】
上記障害が発生した場合には、通常その時点でが、停止していない場合であっても、安全性を確保する上から、内部扉162が開けられた場合には、障害の内容の如何に係らず内部扉162から操作可能の範囲の動力を停止する。なお動力源は下記(1)または(2)の条件で主制御部190が電磁開閉器(図示しない)を遮断することにより行う。
【0052】
(1)リフタ150への電力供給遮断:
リフタ150への動力供給を電磁開閉器を経由して行い、下段集積部正面扉112a(第1モジュール外装扉)又は上段搬送部扉161a(第2モジュール外装扉)が開状態にあるとことを検知したときその動力を遮断する。
【0053】
(2)内部扉162を開けた場合の操作員が触れる部分の電力遮断:
上段搬送部扉161aを開け、さらに内部扉162を開けて操作員が触れることのできる下段集積部110の機器への動力供給を電磁開閉器を経由して行い、下段集積部正面扉112aが開状態であるとき、又は上段搬送部扉161aが開状態でかつ内部扉162も開状態であることを検知したときその動力を遮断する。
【0054】
操作員は、上記駆動部の動力が停止したことを確認して紙葉束SBを取り除く。本例では、カテゴリB側に障害が発生しているので集積トレー131bに載置されている紙葉束を取り除くことになる。
【0055】
この残留紙葉束を取り除く作業は、上述したように、上段搬送部160の内部扉162を開け当該内部扉162から手を入れ下段集積部110に残留した紙葉束を取り除くことができる。この方法によれば、下段集積部110に残留した紙葉束を取り除くのに下段集積部正面扉112aを開ける必要がないため、動力停止した部分が限定されており、その後の復帰時間を短縮することができる。
【0056】
また、リフタ151又はこのリフタ151を上昇する駆動部に障害が発生した場合には、制御部190は、集積トレー131aまたは131bから紙葉束SBをリフタ151に供給することができないので、この場合には、集積トレー131a及び131bの駆動も停止する。この場合には、集積トレー131a、131bに載置された紙葉束のみならずリフタ151に載置された紙葉束も取り除く必要がある。さらに、上段搬送部160内部の紙葉束も取り除く必要が発生する場合もある。
【0057】
上述した残留した紙葉束を取り除いた後に、リセット釦を押下することにより、停止した動力源が復帰する。
【0058】
なお、上述したカテゴリB側に障害が発生した際、上段搬送部扉161aを開いた後に内部扉162ではなく、障害が下段集積部110で発生しているために、下部集積部正面カバー112aを開いた場合には、スタッカ部100を構成する下段集積部110及び上段搬送部160の動力源が全て停止することになり、残留紙葉束を全て取り除いた後に、当該装置100を構成する全ての機器の初期化作業が行われるため、上述した内部扉162を開けて復帰処理を行った場合に比べて時間がかかるのは言うまでもない。
【0059】
以上説明したように、障害の内容によって停止する動力源の範囲及び取り除く紙葉束の範囲が異なるが、スタッカ部100に障害が発生したときに、スタッカ部100の全ての動力源を停止し、内部に残留した全ての紙葉束を取り除かなくても、スタッカ部100を復帰することが可能になる。以下、障害が発生した場合の処理を説明する。
【0060】
図7は、障害(ジャム)発生時の処理を説明するフローチャートである。本実施例では、下段集積部110には複数の外装扉が設けられており、同様に上段搬送部160にも複数の外装扉が設けられている。その障害の程度によっては、開けるべき扉が異なる場合があるため、ここでの説明では、下段集積部を第1モジュールと称し、上段搬送部を第2モジュールと称して説明する。
【0061】
第1モジュール又は第2モジュールで障害が発生すると(S1のYまたはS2のY)、その時点で後述する当該障害と関連する駆動部の動力は停止する。
【0062】
障害発生後、第1モジュールの扉開が検知されたとき(S3のY)、又は第2モジュールの扉開が検知され、かつ、内部扉が閉状態のとき(S4のY、S5のN)、関連する搬送手段の動力を遮断する(S6)。
【0063】
一方、第1モジュールの扉は開けられていないが、第2モジュールの扉が開けられ、かつ、内部扉が開けられた場合は(S5のY)、第2モジュールの内部扉から操作可能な範囲の動力を遮断する(S7)。
【0064】
ステップS6又はS7の処理の結果、該当する箇所の動力が遮断されたことにより、安全性が確保されため、操作員は、障害が発生して残留している紙葉束SBを除去することができる(S8)。
【0065】
ステップS8の後、操作表示部210から初期化処理を行う。初期化処理を行うことにより、上記障害が発生したことにより遮断した動力を回復し、通常使用が可能な状態にすることができる。
【0066】
従ってこの初期化処理は、障害の範囲によって初期化処理の内容が異なる場合があるが、初期化処理が本発明の主旨ではないため、その説明を省略する。
【0067】
なお、ステップS3又はS4において、第1モジュールの扉閉及び第2モジュールの扉閉が検知されているときは、障害が発生したのにこれらの扉が開けられていない状態を示し、ステップS4からステップS3に処理を移行することによりループを形成しているが、必ずしもこの処理にしなければならないわけではなく、障害が発生していないにも関わらず当該ジャム処理に移行してきた場合などは、初期化処理を優先する処理にしてもよい。
【0068】
図8は、図3に示すスタッカ部の左側側面の外観図で1000枚束SCの排出方向を示す。リフト部150で持上げられた紙葉束SBは上段搬送部160で整位と圧縮が行われて結束前の準備が完了する。この状態の紙葉束SBは、スタッカ部左側面カバー101から図示矢印O1方向に搬送されて次の工程である結束部200に送られる。
【0069】
結束部200では、スタッカ部100から送り出されてきた紙葉束SBを所定の位置で結束材C1、C2により結束し紙葉束SCを形成して図示矢印O2方向に放出する。図はこの1000枚束SCが形成され放出された状態を示す。
【0070】
以上説明した本発明によれば、異常が発生した場合、操作表示部に表示された異常個所又は紙葉類の残留情報に応じて、モジュールの前扉開閉を最小限にすることができ、残留紙葉類の取出し処理後の初期化時間を短縮でき、もって、紙葉類処理装置の処理効率が向上することになる。
【符号の説明】
【0071】
P 紙葉類
H 100枚束
SA、SB:紙葉束
SC 1000枚束
1 紙葉類処理装置
2 包装装置
100 スタッカ部
110 下段集積部
115 下段受入部
130a、130b 集積部
150 リフト部
151 リフタ
160 上段搬送部
162 内部扉
163 バー
164 扉検知装置
165 挿入口
170 上段受入部
171 上段集積部
190 制御部
200 結束部
300 シュリンクパック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールで構成された紙葉類処理システムであって、
搬送方向上流側の第1モジュールの外装扉と、
この第1モジュールに連続する搬送方向下流側の第2モジュールの外装扉と、
前記第1モジュールの外装扉及び前記第2モジュールの外装扉の開を検知する外装扉検知装置と、
前記第1モジュールと前記第2モジュール間を仕切る仕切板と、
この仕切板に設けた貫通する保守用穴と、
この保守用穴を開閉する開閉可能な内部扉と、
この内部扉の開を検知する内部扉検知装置と、
当該モジュール内の動力供給を遮断する遮断手段と、
この遮断手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1モジュール又は第2モジュール内に障害が発生した際、当該障害が発生したモジュールの外装扉及び内部扉の開状態が前記外装扉検知装置及び前記内部扉検知装置によって検知されたとき、設定条件に基づいて当該保守用穴から保守可能な設定範囲の他のモジュールの動力供給を前記遮断手段によって遮断することを特徴とする紙葉類処理システム。
【請求項2】
前記第1モジュールと前記第2モジュール間を仕切る仕切板を通して紙葉束を移送する移送手段と、
この移送手段への動力供給を遮断する遮断手段と、
この遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段はまた、
前記第1モジュールの外装扉又は前記第2モジュールの外装扉が開状態であることが前記外装扉検知装置によって検知されたとき、前記遮断手段によって前記移送手段への動力供給を遮断することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理システム。
【請求項3】
前記設定条件は、
搬送方向上流側の第1モジュールの外装扉が開状態であるとき、又は搬送方向上流側の第2モジュールの外装扉が開状態でかつ内部扉も開状態であることが前記外装扉検知装置又は前記内部扉検知装置によって検知されたとき、前記遮断手段によって前記内部扉から操作可能な範囲の動力を遮断することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190063(P2011−190063A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58401(P2010−58401)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】