説明

紫外線吸収剤及びそれを配合した紫外線吸収性皮膚外用剤組成物

【課題】紫外線波長領域において優れた紫外線吸収能を有する一方で、可視光を吸収せず、しかも安定性及び安全性の高い紫外線吸収剤及び光安定化剤を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるピラジン化合物及び/またはその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規のピラジン化合物に関し、特に紫外線吸収剤としてのピラジン化合物及びそれを配合した紫外線吸収性皮膚外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光に含まれる紫外線のうち、290nm以下の波長の紫外線はオゾン層によって吸収され地表に到達しないが、290〜400nmの紫外線は地表に到達し様々な影響を及ぼす。皮膚科学的には、290〜320nmの中波長紫外線は紅班や水泡の形成、メラニン形成亢進、色素沈着等を引き起こすことが知られている。また、320〜400nmの長波長紫外線は照射直後に皮膚を黒化させる即時黒化作用を有し、また、そのエネルギーが真皮にまで達するため、血管壁や結合組織中の弾性繊維にも影響を及ぼすとされる。これらの中〜長波長紫外線の作用は、皮膚の老化を促進し、しみ、そばかす、しわ等の形成の一因であると考えられている。
【0003】
このような紫外線から皮膚を保護するために、従来からベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、桂皮酸誘導体、ウロカニン酸誘導体等の紫外線吸収剤が利用されてきた。
また、紫外線吸収剤は、医薬品や化粧料以外の分野、例えば塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、フィルム、繊維等の各種材料において紫外線吸収能を付与し、製品自体、あるいは該塗膜やフィルムで被覆された製品を紫外線から保護し、紫外線による劣化、変質等を防止して品質を維持するために用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線吸収剤を皮膚外用剤組成物に配合する場合には、皮膚刺激性がないことはもちろん、日光曝露によって紫外線吸収剤が分解されないことが重要である。また、紫外線吸収剤が可視光領域において吸収を有すると黄色に着色し、製品の色調に影響を与えてしまうことがあるため、紫外線吸収剤としては可視光領域を吸収しない化合物が好ましいとされる。しかしながら、従来の紫外線吸収剤は、必ずしもこれらを満足できるものではなかった。
また、従来の紫外線吸収剤には、皮膚外用剤組成物において多用される無機粉末系紫外線遮蔽剤と併用すると着色や析出を生じ得るという問題もあった。
【0005】
さらに、医薬品や化粧品以外の分野の従来の紫外線吸収剤では、塗膜の焼き付け時や樹脂の成型時等に過熱によって昇華して揮散したり、加熱しなくとも経時的に徐々に揮散して効果が低下するなど、安定性にも問題が残されていた。
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は紫外線波長領域において優れた紫外線吸収能を有する一方で、可視光を吸収せず、しかも安定性、安全性の高い新規化合物及び該化合物からなる紫外線吸収剤を提供することにある。また、前記化合物を配合した紫外線吸収性組成物及び皮膚外用剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定のピラジン化合物が前記性質を備え、紫外線吸収剤として非常に優れたものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記式(I)で表されるピラジン化合物及び/またはその塩を提供するものである。
(化1)

【0007】
また、本発明にかかる紫外線吸収剤は、前記ピラジン化合物及び/またはその塩からなることを特徴とする。
また、本発明にかかる紫外線吸収性組成物は、前記ピラジン化合物及び/またはその塩を含有することを特徴とする。
さらに、本発明にかかる皮膚外用剤組成物は、前記ピラジン化合物及び/またはその塩を含有することを特徴とする。
前記皮膚外用剤組成物は、さらに無機粉体を含有することが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる特定のピラジン化合物及びその塩を適用することにより、紫外線波長領域において優れた紫外線吸収能を有する一方で、可視光を吸収せず、しかも安定性及び安全性の高い紫外線吸収性組成物を得ることができる。また、該ピラジン化合物及びその塩を皮膚外用剤組成物へ配合すれば、安定した紫外線吸収機能を備えた紫外線吸収性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記式(I)で表される新規のピラジン化合物を提供するものである。該ピラジン化合物及び/またはその塩は紫外線波長領域において優れた紫外線吸収能を有し、しかも高い安定性及び安全性を備えている。また、本発明のピラジン化合物/またはその塩は、熱安定性にも優れ、その効力を長時間維持することができる。したがって、本発明のピラジン化合物/またはその塩は、紫外線吸収剤として好適に使用することができる。
(化2)

【0010】
以下に上記ピラジン化合物の代表的な製造方法を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(化3)

(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
【0011】
上記式に示すように、2位及び3位にハロゲン原子を有するピラジンとモルホリンを反応させることにより、容易に本発明のピラジン化合物を合成することができる。
例えば、容易に入手可能な市販の2,3−ジクロロピラジン(和光純薬工業株式会社、ALDRICH社等)を2位及び3位にハロゲン原子を有するピラジンとして用い、ここに同じく市販のモルホリン(東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、ALDRICH社等)を加熱条件下で反応させることにより、本発明のピラジン化合物である2,3−ジモルホリノピラジンを得ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記ピラジン化合物は公知の方法により無機塩または有機塩としてもよい。本発明に適用可能な塩に限定はないが、無機塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩を挙げることができる。同様に有機塩としては、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アミノ酸塩等を挙げることができる。
【0013】
前記ピラジン化合物及び/またはその塩は、種々の製品へ配合してその優れた紫外線吸収作用を対象へ付与し、紫外線吸収性組成物とすることができる。特に、本発明のピラジン化合物及び/またはその塩は、自身の安定性に優れるだけでなく、光分解性を有する他の化合物の光安定性を高め、光分解を防ぐことも可能とする。これにより、製品自体に高い安定性を与えることができると考えられる。
本発明にかかるピラジン化合物及び/またはその塩を配合し得る製品としては、例えば、化粧品、医薬品、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、フィルム、繊維等が挙げられる。特に、本発明にかかるピラジン化合物及び/またはその塩は人体に対して極めて高い安全性を有することから、皮膚外用剤組成物へ好適に配合することが可能である。
本発明のピラジン化合物及び/またはその塩はその効果を発揮し得る範囲で配合することが可能であるが、通常、各製品中に0.001〜20質量%配合することが好ましく、0.01〜10質量%の配合がさらに好ましい。
【0014】
次に、本発明にかかるピラジン化合物及び/またはその塩を配合した皮膚外用剤組成物について説明する。
上記した本発明のピラジン化合物及び/またはその塩を皮膚外用剤組成物へ適宜配合することにより、優れた紫外線吸収作用を発揮する皮膚外用剤組成物を得ることができる。また、前記化合物は高い光安定性を有し、日光曝露下においても分解されないため、本発明の皮膚外用剤組成物の紫外線防止効果は長時間に亘って安定に発揮される。
さらに、本発明にかかる皮膚外用剤組成物は安全性が高く、その使用において皮膚トラブルを生じない。以上のことから、本発明にかかる皮膚外用剤組成物は、特にサンスクリーン用化粧料として好適に使用することができる。
【0015】
通常、サンスクリーン用の皮膚外用剤組成物においては、紫外線遮蔽効果を高めるために、有機化合物系紫外線吸収剤とともに無機系粉体系紫外線遮蔽剤を併用することが望ましいとされる。また、一般のメーキャップ化粧料においても、無機粉体が配合されることは多い。しかしながら、従来の有機系紫外線吸収剤は、無機粉体と併用することにより変色を起こすことがあった。一方、本発明のピラジン化合物及び/またはその塩はこのような変色を起こすことなく、好適に無機粉体を併用することが可能であり、さらにこの併用によって皮膚外用剤組成物の紫外線遮蔽効果をさらに高めることができる。
【0016】
本発明にかかる皮膚外用剤組成物に適用し得る無機粉体は、通常化粧品や医薬品に配合されるものであれば特に限定されない。このような無機粉体としては、例えば、タルク、カオリン、窒化ホウ素、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、合成マイカ、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)等の無機粉末の他、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、カーボン、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の無機顔料が挙げられる。
【0017】
本発明にかかる皮膚外用剤組成物には、上記成分の他に、通常化粧品や医薬品に配合可能な成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、被膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、粉末、色材、水等を必要に応じて適宜配合することができる。
また、本発明にかかる皮膚外用剤組成物には、本発明のピラジン化合物及び/またはその塩以外の紫外線吸収剤を配合してもよい。本発明のピラジン化合物及び/またはその塩の有する安定性は皮膚外用剤組成物に配合された他の成分、特に光分解しやすい紫外線吸収剤をも安定化すると考えられる。したがって、皮膚外用剤組成物そのものの安定性を向上させるという点で、本発明のピラジン化合物及び/またはその塩を他の紫外線吸収剤と併用することが好ましい。
【0018】
本発明にかかる皮膚外用剤組成物におけるピラジン化合物及び/またはその塩の配合量は、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%の配合がさらに好適である。配合量が0.001質量%以下であると十分な紫外線吸収効果が発揮されないことがある。また、本発明の皮膚外用剤組成物は20質量%を超えても組成物中によく溶解するが、これより配合量を増加しても一定以上の紫外線吸収効果は得られない。
【0019】
本発明にかかる皮膚外用剤組成物は、本発明の効果を発揮し得るものであれば特に制限されず、その使用目的に応じて化粧料、医薬品、医薬部外品等に適用することができる。 本発明にかかる皮膚外用剤組成物の形態としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、セルフタニング剤等のスキンケア化粧料の他、下地用化粧料、ファンデーション、口紅、フェイスカラー、アイライナー等のメーキャップ化粧料、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアリキッド等の頭髪用、頭皮用化粧料等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
<製造例1 2,3−ジモルホリノピラジンの合成>
2,3−ジクロロピラジン(2g、13.4mmol)をモルホリン(10mL)中で2日間還流した。放冷後濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、本発明のピラジン化合物である2,3−ジモルホリノピラジンを1.97g得た(収率59%)。
なお、前記化合物は以下の分析結果より同定した。
H−NMR(溶媒:DMSO−d、標準物質:TMS[ppm])
δ:7.79(s、2H)、3.73(t、J=4.8Hz、8H)、3.31(t、J=4.8Hz、8H)
13C−NMR(溶媒:DMSO−d、標準物質:TMS[ppm])
δ:147.4、133.4、65.8、46.5
【0021】
<試験例1 吸光度の測定>
(1)上記製造例1の2,3−ジモルホリノピラジンの紫外線吸収スペクトル(溶媒:水、濃度10ppm、光路長1cm)を分光光度計(日本分光株式会社製V−560)にて測定した。結果を下記表1に示す。
(表1)
紫外線吸収剤 最大吸収波長 吸光度
2,3−ジモルホリノピラジン 336 0.30
【0022】
(2)上記製造例1の2,3−ジモルホリノピラジンの405nmの可視光の吸光度(溶媒:水、光路長1cm)を分光光度計(日本分光株式会社製V−560)にて測定した。結果を下記表2に示す。
(表2)
紫外線吸収剤 濃度(質量%) 吸光度
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1 0
【0023】
表1及び表2より明らかなように、本発明の紫外線吸収剤である2,3−ジモルホリノピラジンは、紫外線波長領域においては優れた吸収能を示し、400nmより長波長側の可視領域においては吸収を示さなかった。そのため、該化合物の結晶は白色であり、その水溶液は無色透明であった。
以上の結果より、本発明にかかる紫外線吸収剤は、可視光を透過するため製品に配合しても着色することなく、紫外線に対してのみ優れた吸収能を発揮することが認められた。よって、本発明の紫外線吸収剤は、着色によって配合製品及び配合量が制限されることはないと思料される。
【0024】
<試験例2 紫外線防止効果>
本発明の紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤組成物の紫外線防止効果を検討するため、該皮膚外用剤組成物として下記の処方によりローション、クリームを調製した。このローション及びクリームについて、特定のピラジン化合物からなる本発明の紫外線吸収剤を配合した場合と、無配合の場合における紫外線防止効果を次の試験方法により評価し、また、目視により外観を観察した。結果を下記表3及び表4に示す。
【0025】
(i)試験方法
夏期の海辺で実使用テストを行った。パネルの背中の左右半分ずつに試料を等量ずつ塗布した。直茶日光曝露後の日焼けの程度を以下の判定基準にしたがって評価した。なお、パネルは1群10名で行った。
【0026】
(判定基準)
著効:全くあるいはほとんど日焼け症状が認められなかった。
有効:軽度の日焼け症状が認められた。
無効:強度の日焼け症状が認められた。
【0027】
(判定)
◎:著効又は有効の被験者が80%以上。
○:著効又は有効の被験者が50%以上80%未満。
△:著効又は有効の被験者が30%以上50%未満。
×:著効又は有効の被験者が30%未満。
【0028】
(ii)試料の調製
(a)ローション
(アルコール相)
95%エタノール 25.0質量%
POE(25)硬化ヒマシ油 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
紫外線吸収剤(2,3−ジモルホリノピラジン) 1.0
(水相)
グリセリン 5.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
イオン交換水 残余
(製法)
水相、アルコール相をそれぞれ調製後混合し、ローションを得た。
【0029】
(b)クリーム
ステアリルアルコール 7.0質量%
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
POE(25)セチルエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
紫外線吸収剤(2,3−ジモルホリノピラジン) 1.0
香料 適量
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと紫外線吸収剤(2,3−ジモルホリノピラジン)を加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却してクリームを得た。
【0030】
(表3)
(a)ローション
紫外線吸収剤 配合量 紫外線防止効果 外観
2,3−ジモルホリノピラジン 1.0 ◎ 無色透明
無配合 − × 無色透明
【0031】
(表4)
(b)クリーム
紫外線吸収剤 配合量 紫外線防止効果 外観
2,3−ジモルホリノピラジン 1.0 ◎ 白色
無配合 − × 白色
【0032】
表3及び表4に示すように、紫外線吸収剤として2,3−ジモルホリノピラジンを配合したローション及びクリームは、実使用において優れた紫外線防止効果を示した。また、その配合による組成物の着色は認められず、紫外線吸収剤無配合のものと同様の外観を呈しており、配合系のpHにも影響は見られなかった。
【0033】
以上の結果により、本発明にかかる皮膚外用剤組成物は、紫外線吸収剤によって着色することなく、高い紫外線防止効果を発揮することが認められた。
【0034】
<試験例3 皮膚刺激性試験>
上記試験例2のローション及びクリームを用い、本発明の皮膚外用剤組成物の皮膚刺激性試験を行った。試験方法は次のパッチテストによる。
(試験方法)
健常な男性及び女性志願者の前腕屈折部にフィンチャンバーを用いて24時間閉塞パッチテストを1群20名で行い、次の判定基準で判定した。結果を下記表5に示す。
【0035】
(判定基準)
皮膚反応の程度 スコア
反応なし(陰性) 0
軽い紅班(疑陰性) 1
紅班(弱陽性) 2
紅班+浮腫(中等度陽性) 3
紅班+浮腫+丘疹(強陽性) 4
大水泡(最強度陽性) 5
【0036】
(判定)
上記判定基準に沿って平均スコアを求め、次の基準で判定した。
◎:平均スコアが0。
○:平均スコアが0より大きく1未満。
△:平均スコアが1以上2未満。
×:平均スコアが2以上。
【0037】
(表5)
紫外線吸収剤 剤形 パッチテスト判定
2,3−ジモルホリノピラジン ローション ◎
クリーム ◎
無配合 ローション ◎
クリーム ◎
【0038】
表5に示すとおり、本発明の紫外線吸収剤を配合したローション及びクリームは、紫外線吸収剤が無配合のものと同様、皮膚刺激性は認められなかった。この結果より、本発明にかかる皮膚外用剤組成物は、いずれの剤形においても皮膚刺激性を示さない、安全性の高いものであることが確認された。
【0039】
<試験例4 光安定性試験>
上記製造例1の2,3−ジモルホリノピラジンの水溶液を日光に2週間曝露(日射被曝量80MJ/m)後、残存率及び外観の変化を調べると共に紫外線吸収スペクトル(溶媒:水、濃度10ppm、光路長1cm)を分光光度計にて測定し、紫外線吸収スペクトルの290nm〜400nmの範囲を積分処理して面積値を求め、日光曝露前と比較した。結果を表6に示す。
【0040】
(判定)
残存率及び紫外線吸収スペクトルの面積値の変化は次の基準で判定した。
◎:日光曝露前の95%以上。
○:日光曝露前の90%以上95%未満。
△:日光曝露前の70%以上90%未満。
×:日光曝露前の70%未満。
【0041】
(表6)
紫外線吸収剤 残存率 外観 紫外線吸収スペクトルの
面積値の変化
2,3−ジモルホリノピラジン ◎ 無色透明 ◎
【0042】
表6に示すように、2,3−ジモルホリノピラジンは長時間の直射日光曝露によっても分解されず、非常に高い残存率を示した。また、紫外線吸収スペクトルの形状や面積にも変化はなく、外観においても着色や析出などは見られなかった。
以上の結果より、本発明にかかる紫外線吸収剤は優れた光安定性を有し、劣化することなく長期間にわたって紫外線吸収能を保持し得ることが認められた。
【0043】
<試験例5 無機粉体との併用時の安定性試験>
本発明にかかる皮膚外用剤組成物を無機粉体系紫外線遮蔽剤と併用した際の安定性を検討するため、下記処方のサンスクリーンクリームを製造し、これらを50℃で2ヶ月間保存した後、目視により変色を観察した。結果を表7に示す。
【0044】
(処方)サンスクリーンクリーム
(1)エチルセルロース 1.0質量%
(2)エタノール 5.0
(3)コハク酸2−エチルヘキシル 24.0
(4)二酸化チタン 1.0
(5)多孔性無水ケイ酸粉末 1.0
(6)球状ナイロン粉末 1.0
(7)タルク 1.0
(8)セリサイト 1.0
(9)窒化ホウ素 1.0
(10)シリコーン処理マイカ 1.0
(11)紫外線吸収剤(2,3−ジモルホリノピラジン) 1.0
(12)カルボキシメチルセルロース 1.0
(13)イオン交換水 残余
(14)防腐剤 適量
(15)香料 適量
(製法)
(1)に(2)を加え十分に膨潤させた後、(3)〜(11)を加え加熱混合し、十分に分散及び溶解した。この分散液を70℃に保ち、(12)〜(15)を混合した溶液を徐々に加えながらホモミキサーで均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却し、サンスクリーンクリームを得た。
【0045】
(表7)
紫外線吸収剤 変色
2,3−ジモルホリノピラジン なし
【0046】
表7から明らかなように、2,3−ジモルホリノピラジンを配合した皮膚外用剤組成物においては、無機粉体の併用によって変色は生じなかった。
したがって、本発明にかかる紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤組成物は、優れた光安定性を有し、無機粉体との併用が可能であることが認められた。
【0047】
以上の試験結果より、本発明において特定のピラジン化合物は皮膚刺激性がなく、光安定性が高く、無機粉体と併用しても変色を生じないため、紫外線吸収剤として非常に有用であることが認められた。さらに、本発明の紫外線吸収剤を皮膚外用剤組成物に配合することにより、前記作用を備え、サンスクリーン効果に優れた紫外線吸収性皮膚外用剤組成物が得られることが明らかになった。
【0048】
以下、本発明の皮膚外用剤組成物の処方例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は全て質量%で示す。
<処方例1 化粧水>
(アルコール相)
エタノール 10.0
オレイルアルコール 0.1
2,3−ジモルホリノピラジン 3.0
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5
POE(15)ラウリルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
水酸化ナトリウム 0.4
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.3
イオン交換水 残 余
(製法)
水相、アルコール相をそれぞれ調製後、混合した。
【0049】
<処方例2 化粧水>
(アルコール相)
エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 0.5
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
0.5
POE(20)オレイルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
ジプロピレングリコール 6.0
ソルビット 4.0
PEG1500 5.0
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 1.0
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
トリエタノールアミン 1.8
メチルセルロース 0.2
クインスシード 0.1
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水の一部にメチルセルロース及びクインスシードを混合、攪拌し、粘稠液を調製した。イオン交換水の残部と他の水相成分を混合溶解し、これに前記の粘稠液を加えて、均一な水相を得た。アルコール相を調製後、水相に添加し、混合した。
【0050】
<処方例3 化粧水>
(アルコール相)
エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 0.5
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
0.5
2,3−ジモルホリノピラジン 0.5
POE(20)オレイルエーテル 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
(水相)
ジプロピレングリコール 6.0
ソルビット 4.0
PEG1500 5.0
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
トリエタノールアミン 1.8
メチルセルロース 0.2
クインスシード 0.1
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水の一部にメチルセルロース及びクインスシードを混合、攪拌し、粘稠液を調製した。イオン交換水の残部と他の水相成分を混合溶解し、これに前記の粘稠液を加えて、均一な水相を得た。アルコール相を調製後、水相に添加し、混合した。
【0051】
<処方例4 クリーム>
ステアリン酸 5.0
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 10.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 5.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
プロピレングリコール 10.0
2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
トリエタノールアミン 1.8
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.2
水酸化カリウム 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適 量
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水に水相成分を加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
【0052】
<処方例5 クリーム>
ステアリン酸 6.0
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
プロピレングリコール 10.0
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
水酸化ナトリウム 0.4
グリセリントリオクタノエート 10.0
スクワレン 5.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール、及び2-フェニルヘ゛ンス゛イミタ゛ソ゛ール-5-スルホン酸、水酸化ナトリウムを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
【0053】
<処方例6 クリーム>
ステアリン酸 6.0
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
プロピレングリコール 10.0
2,3−ジモルホリノピラジン塩酸塩 3.0
グリセリントリオクタノエート 10.0
スクワレン 5.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加えて溶解し、加熱して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を徐々に加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
【0054】
<処方例7 乳液>
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 2.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 2.0
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2.0
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
PEG1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
水酸化ナトリウム 0.4
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.05
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解した(A相)。イオン交換水の残部に水相成分を加え、加熱溶解して70℃に保った(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保った(油相)。水相に油相を加えて予備乳化を行い、A相を加えてホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却した。
【0055】
<処方例8 ジェル>
95%エタノール 10.0
ジプロピレングリコール 15.0
POE(50)オレイルエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
水酸化ナトリウム 0.55
2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 1.0
メチルパラベン 0.1
香料 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解した(A相)。95%エタノールにPOE(50)オレイルエーテル、2,3-ジモルホリノピラジンを溶解し、A相に添加した。水酸化ナトリウム以外の成分を添加後、水酸化ナトリウムを添加して中和増粘させた。
【0056】
<処方例9 美容液>
(A相)
95%エタノール 10.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 1.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 0.5
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
0.5
POE(20)オクチルドデカノール 1.0
メチルパラベン 0.15
パントテニルエチルエーテル 0.1
2,3−ジモルホリノピラジン 5.0
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
水酸化ナトリウム 0.4
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 2.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化した。次いでB相を加えて混合した。
【0057】
<処方例10 セルフタニングエマルション>
(パーツI)
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
ステアリン酸PEG−5グリセリン 1.0
ステアリン酸PEG−60グリセリン 2.0
シクロメチコン 5.0
セバシン酸ジイソプロピル 5.0
ベヘニルアルコール 2.0
ステアリルアルコール 1.0
水添パーム油 2.0
香料 適 量
(パーツII)
2,3−ジモルホリノピラジン 3.0
ジヒドロキシアセトン 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.01
エタノール 5.0
1,3ブチレングリコール 5.0
EDTA−3Na 0.1
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.1
パラベン 適 量
イオン交換水 残 余
(製法)
60℃で均一溶解したパーツIIに70℃で均一溶解したパーツIを添加して乳化処理を行う。その後、冷却してセルフタニングエマルションを得る。
【0058】
<処方例11 パック>
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0
POE(60)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール
(ケン化度90,重合度2000) 13.0
エタノール 7.0
イオン交換水 残 余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化した。次いでこれをC相に加えて混合した。
【0059】
上記処方例1〜10は何れも優れた紫外線防止効果を有していた。また、処方例1〜11は皮膚トラブルは全く認められなかった。
【0060】
<処方例12 乳液>
(油相)
ステアリルアルコール 1.5
スクワレン 2.0
ワセリン 2.5
脱臭液状ラノリン 1.5
月見草油 2.0
ミリスチン酸イソプロピル 5.0
グリセリンモノオレート 2.0
2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
POE(60)硬化ヒマシ油 2.0
酢酸トコフェロール 0.05
エチルパラベン 0.2
ブチルパラベン 0.1
香料 適 量
(水相)
2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
4,5−ジモルホリノ−3−ヒドロキシピリダジン 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
グリセリン 5.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.2
イオン交換水 残 余
(製法)
油相、水相をそれぞれ70℃にて溶解し、水相に油相を混合し、乳化機で乳化後、熱交換機で30℃まで冷却した。
【0061】
上記処方例12の乳液も優れた紫外線防止効果を有し、皮膚トラブルは全く認められなかった。
【0062】
<処方例13 固形パウダリ−ファンデ−ション>
(1)タルク 15.0
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)多孔性無水ケイ酸粉末 15.0
(5)窒化ホウ素 5.0
(6)二酸化チタン 5.0
(7)酸化鉄 3.0
(8)ステアリン酸亜鉛 5.0
(9)2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
(10)流動パラフィン 残 余
(11)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
1.0
(12)トリイソオクタン酸グリセリン 15.0
(13)セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
(14)防腐剤 適 量
(15)香料 適 量
(製法)
(1)〜(8)の各成分を混合粉砕したところへ、(9)〜(15)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、容器に成型して固形ファンデ−ションを得た。
【0063】
<処方例14 固形パウダリ−ファンデ−ション>
(1)タルク 15.0
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)多孔性無水ケイ酸粉末 15.0
(5)窒化ホウ素 5.0
(6)二酸化チタン 5.0
(7)酸化鉄 3.0
(8)ステアリン酸亜鉛 5.0
(9)2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
(10)流動パラフィン 残 余
(11)トリイソオクタン酸グリセリン 15.0
(12)セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
(13)防腐剤 適 量
(14)香料 適 量
(製法)
(1)〜(8)の各成分を混合粉砕したところへ、(9)〜(15)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、容器に成型して固形ファンデ−ションを得た。
【0064】
<処方例15 油中水型乳化ファンデ−ション>
(1)球状ナイロン 10.0
(2)多孔性無水ケイ酸粉末 8.0
(3)雲母チタン 2.0
(4)シリコーン処理セリサイト 2.0
(5)シリコーン処理マイカ 12.0
(6)シリコーン処理二酸化チタン 5.0
(7)シリコーン処理酸化鉄 2.0
(8)イオン交換水 残 余
(9)2,3−ジモルホリノピラジン 0.1
(10)デカメチルシクロペンタンシロキサン 18.0
(11)ジメチルポリシロキサン 5.0
(12)スクワラン 1.0
(13)ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 2.0
(14)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(15)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 1.0
(16)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
(17)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(18)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
0.5
(19)防腐剤 適 量
(20)香料 適 量
(製法)
(10)〜(20)の各成分を均一に混合溶解したものに、混合粉砕した(1)〜(7)を加えて分散させた。この分散液に、(9)を(8)に溶解したものを加えて乳化し、容器に充填して油中水型乳化ファンデ−ションを得た。
【0065】
<処方例16 白粉>
(1)タルク 残 余
(2)セリサイト 10.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)窒化ホウ素 5.0
(5)酸化鉄 3.0
(6)炭酸マグネシウム 5.0
(7)スクワラン 3.0
(8)トリイソオクタン酸グリセリン 2.0
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
(10)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
0.5
(11)2,3−ジモルホリノピラジン 0.5
(12)防腐剤 適 量
(13)香料 適 量
(製法)
(1)〜(6)の各成分を混合粉砕したところへ、(7)〜(13)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、白粉を得た。
【0066】
<処方例17 アイシャドー>
(1)タルク 残 余
(2)マイカ 15.0
(3)球状ナイロン粉末 10.0
(4)窒化ホウ素 5.0
(5)酸化鉄 3.0
(6)酸化チタン被覆マイカ 5.0
(7)スクワラン 3.0
(8)トリイソオクタン酸グリセリン 2.0
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
(10)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
1.0
(11)2,3−ジモルホリノピラジン 0.3
(12)防腐剤 適 量
(13)香料 適 量
(製法)
(1)〜(6)の各成分を混合粉砕したところへ、(7)〜(13)の各成分を混合したものを加えて攪拌混合し、アイシャド−を得た。
【0067】
<処方例18 口紅>
(1)カルナバロウ 0.5
(2)キャンデリラロウ 5.0
(3)セレシン 10.0
(4)スクワラン 残 余
(5)トリイソステアリン酸グリセリン 10.0
(6)ジイソステアリン酸グリセリン 20.0
(7)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(8)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(9)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
(10)2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
(11)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 4.0
(12)合成ケイ酸ナトリウム−マグネシウム 0.5
(13)疎水性シリカ 0.5
(14)イオン交換水 2.0
(15)色剤 適 量
(16)防腐剤 適 量
(17)香料 適 量
(製法)
60℃に加熱した(11)に(12)、(13)を分散させ、これに(10)(14)を加えて十分攪拌した。別に加熱溶解しておいた(1)〜(9)にこれを加えて十分攪拌し、さらに(15)〜(17)を加えて分散攪拌し、その後成型して口紅を得た。
【0068】
<処方例19 口紅>
(1)カルナバロウ 0.5
(2)キャンデリラロウ 5.0
(3)セレシン 10.0
(4)スクワラン 残 余
(5)トリイソステアリン酸グリセリン 10.0
(6)ジイソステアリン酸グリセリン 20.0
(7)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 0.5
(8)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(9)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
(10)2,3−ジモルホリノピラジン 2.0
(11)2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
(12)水酸化ナトリウム 0.4
(13)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 4.0
(14)合成ケイ酸ナトリウム−マグネシウム 0.5
(15)疎水性シリカ 0.5
(16)イオン交換水 2.0
(17)色剤 適 量
(18)防腐剤 適 量
(19)香料 適 量
(製法)
60℃に加熱した(13)に(14)、(15)を分散させ、これに(10)(11)、(12)、(16)を加えて十分攪拌した。別に加熱溶解しておいた(1)〜(9)にこれを加えて十分攪拌し、さらに(17)〜(19)を加えて分散攪拌し、その後成型して口紅を得た。
【0069】
処方例13〜19のメーキャップ化粧料は何れも優れた紫外線防止効果を有し、また、皮膚トラブルや、経時的な変色等は認められなかった。
【0070】
<処方例20 ヘアフォーム>
(原液処方)
(1)アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 8.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 適 量
(3)流動パラフィン 5.0
(4)グリセリン 3.0
(5)香料 適 量
(6)防腐剤 適 量
(7)エタノール 15.0
(8)2,3−ジモルホリノピラジン 3.0
(9)イオン交換水 残 余
(充填処方)
(1)原液 90.0
(2)液化石油ガス 10.0
(製法)
流動パラフィンをグリセリンとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の溶解物に添加し、ホモミキサーで均一に乳化した。これを他の成分の溶液に添加した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填した。
【0071】
<処方例21 ヘアリキッド>
(1)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 20.0
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(3)エタノール 50.0
(4)香料 適 量
(5)防腐剤 適 量
(6)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 2.0
(7)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
(8)染料 適 量
(9)2,3−ジモルホリノピラジン 10.0
(10)イオン交換水 残 余
(製法)
エタノールにポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、香料、防腐剤、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエス
テル、2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,3−ジモルホリノピラジンを溶解した。イオン交換水に染料を溶解した。エタノール相に水相を添加し、ろ紙でろ過した。
【0072】
<処方例22 ヘアスプレー>
(原液処方)
(1)アクリル樹脂アルカノールアミン液(50%) 7.0
(2)セチルアルコール 0.1
(3)シリコーン油 0.3
(4)エタノール 残 余
(5)香料 適 量
(6)2,3−ジモルホリノピラジン 1.0
(7)イオン交換水 3.0
(充填処方)
(1)原液 50.0
(2)液化石油ガス 50.0
(製法)
エタノールに他の成分を加え溶解し、ろ過した。充填は缶に原液を充填し、バルブ装着後、ガスを充填した。
【0073】
<処方例23 ヘアトニック>
(1)2,3−ジモルホリノピラジン 3.0
(2)硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物 2.0
(3)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル 3.0
(4)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.0
(5)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 3.0
(6)テレフタリリデンジカンフルスルホン酸 1.0
(7)2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
5.0
(8)2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸 3.0
(9)トリエタノールアミン 1.8
(10)エタノール 60.0
(11)香料 適 量
(12)イオン交換水 残 余
(製法)
エタノールに硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル)付加物、2,3−ジモルホリノピラジン、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びテレフタリリデンジカンフルスルホン酸、2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートを溶解した。イオン交換水に2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、トリエタノールアミンを溶解した。エタノール相及び水相を混合し、香料を加えた。
【0074】
処方例20〜23の毛髪用及び頭皮用化粧料は何れも優れた紫外線防止効果を有し、また、頭皮トラブルや、経時的な変色等は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるピラジン化合物及び/またはその塩。
(化1)

【請求項2】
請求項1に記載のピラジン化合物及び/またはその塩からなることを特徴とする紫外線吸収剤。
【請求項3】
請求項1に記載のピラジン化合物及び/またはその塩を含有することを特徴とする紫外線吸収性組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のピラジン化合物及び/またはその塩を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の皮膚外用剤組成物において、さらに無機粉体を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。

【公開番号】特開2008−273871(P2008−273871A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118997(P2007−118997)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】