説明

細胞増殖および血管新生を特徴とする疾患を治療する組成物および方法

本明細書中に記載されるのは、1種または複数のベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体を用いて、異常な血管新生が関与する疾患を予防および/または治療する組成物および方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖および/または血管新生を伴う疾患を予防および/または治療する組成物および方法に関する。本発明は、一つには、異常細胞増殖、異常血管新生、またはそれらの組合せが関係する疾患に治療効果を示す一連の化学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管系を作る血管は、動脈、静脈、および毛細血管に大きく分けることができる。動脈は相対的に高圧で心臓から血液を運びだし、静脈は低圧で心臓に血液を戻すのに対して、毛細血管は動脈と静脈の間の血液供給の連結を提供する。胚発生の間、多能性内皮細胞前駆体を利用して、血管形成を通じて血管が最初に形成される。その後、動脈新生を通じて、内皮細胞、平滑筋細胞、および周皮細胞(中膜)がより複雑な構造になったさらに大きい血管が形成される。成人では動脈新生が起こらないと見られているが、成人では血管形成、特に血管新生として既知のプロセスを通じて、血管が形成され得る。正常な状態では、血管新生的な新血管の形成は、創傷修復、虚血からの回復、および雌の生殖周期(黄体を形成する子宮内膜の生成および胎盤を形成する妊娠中)で生じる。毛細血管は、血管新生で形成される比較的簡単な血管で、主に内皮細胞とそれより少ない血管周囲細胞および基底膜で構成されるため、発達した中膜を欠いている。癌は、変質した組織細胞の制御不能な増殖を特徴とする疾患状態である。大きさが数ミリメートルに満たない腫瘍は、すぐ近くの正常な血管を利用して栄養と酸素を得る。しかしながら、この大きさの限界を越えると、癌細胞は血管新生を利用してそれ自体を支える血管をさらに作り出す。普通は、血管新生は、血管新生因子に対抗する血管新生インヒビターを自然に作り出す身体により抑制されている。しかしながら、癌細胞は、血管新生インヒビターより過剰に血管新生促進因子を産生することで、このバランスを血管成長に好ましいように変える。癌により開始された血管新生は、正常な血管成長中に観察される血管新生とは異なる。血管新生因子は、腫瘍細胞を出て正常な内皮に入り、内皮細胞に結合し、それを活性化して、内皮のシグナル伝達現象を誘導し、内皮の細胞増殖をもたらす。内皮管が形成され始め、毛細血管のループを形成しながら腫瘍について行く。その後、毛細血管は成熟過程を経てループ構造を安定させる。
【0003】
腫瘍細胞増殖を標的とした化学療法アプローチは複数あり、これにはアルキル化剤、有糸分裂阻害剤、代謝拮抗剤、および抗生剤が上げられる。これらは迅速に増殖する腫瘍細胞に優先的に作用する。抗エストロゲン剤または抗アンドロゲン剤を用いるホルモン治療は、癌細胞を攻撃する別のアプローチであり、これらは、必要とされるホルモンの増殖作用を阻害することにより作用する。抗癌剤は特定の分類に分けられるものの、薬剤が複数の作用様式で作用することは珍しくない。例えば、抗エストロゲン剤のタモキシフェンは、エストロゲンとは独立した機構で癌細胞および内皮細胞に抗増殖活性を有する(血管新生阻害)ことが示されている。微小管に作用する有糸分裂阻害剤のタキソールは、おそらくBcl−2リン酸化を通じて内皮細胞のアポトーシスを誘導することによる、血管新生阻害性も示している。
【0004】
癌は病原性新生血管構造を伴う疾患の1つにすぎない。異常な血管新生が関係する様々な疾患が実際は存在する。こうした疾患は正常な毛細血管増殖に関係するものと同じ工程を利用するが、高度の安定性および機能を欠く毛細血管を作り出す異常な様式で利用するのである。血管新生を阻害する能力のある薬剤は、様々な病原性新生血管疾患に活性を示すことが期待できる。血管新生は、多数の疾患の病因の重要な要素とみなすことができる。治療的介入を通じて血管新生を遅らせるか排除することができるなら、血管新生阻害剤は新生血管構造を伴う様々な疾患を消滅または減らすことが期待できる。血管新生阻害治療は、腫瘍への血液供給を絶つことにより腫瘍増殖を抑制するのに非常に効果的である。しかしながら、血管新生阻害治療は、直接腫瘍細胞を対象にした他の治療と組み合わせるとより効果的である可能性がある。血管新生阻害性および腫瘍指向性の両方を示す薬剤は、この点で有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、腫瘍治療のため癌細胞に直接、または癌以外の疾患の血管新生イニシエーターとして作用する他の細胞に阻害効果を示すことに加えて、癌に限定されないがこれをはじめとする様々な疾患の治療のため、ヒト内皮細胞に抗増殖性効果を示す薬剤の開発が依然として必要とされている。そして少なくとも場合によっては、代謝、ひいてはクリアランスまたは活性の損失を阻害し、しかも毒性を少し示すまたは全く示さない修飾で類似体を作り出すことにより持続した半減期を有する能力。本発明は、こうした要求などに応えようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、細胞増殖および/または血管新生を伴う疾患を治療する組成物および方法に関する。本発明は、一つには、異常細胞増殖、異常血管新生、またはそれらの組合せが関係する疾患に治療効果を示す一連の化学組成物に関する。本発明の一実施形態は、異常細胞増殖を予防および/または治療するのに用いられる組成物に関する。1つの態様において、本発明は、癌に限定されないがこれをはじめとする様々な疾患の治療のためヒト内皮細胞に向上した抗増殖性効果を示す、一連のベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体に関する。これらの薬剤は、血管新生阻害性と腫瘍細胞抗増殖性の二重活性を有する。
【0007】
本実施形態の別の態様において、本発明は、腫瘍細胞に直接の抗増殖性効果をほとんどまたは全く持たないが、癌に限定されないがこれをはじめとする様々な疾患の治療のためヒト内皮細胞に向上した抗増殖性効果を示す、一連のベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体に関する。すなわち、これらの薬剤は、主に血管新生阻害活性を示す。
【0008】
本発明の別の実施形態は、癌に限定されないがこれをはじめとする様々な疾患の治療のためヒト内皮細胞に向上した抗増殖性効果を示す、一連のベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体に関する。1つの態様において、ヒト内皮細胞に対して向上した抗増殖性効果は、癌の治療のための腫瘍細胞への直接の抗増殖性阻害効果により補完される(complimented)。別の態様において、この内皮細胞に対して向上した抗増殖性効果は、癌以外で、疾患に特異的な病原性に関連した細胞、例えば、皮膚疾患のケラチン生成細胞への抗増殖性阻害効果により補完される(complimented)。さらに別の実施形態において、本発明は、1種または複数の本明細書中に記載される組成物の治療上有効量を、それを必要とする患者に投与する方法に関する。1つの態様において、対象となる患者は、例えば、癌をはじめとする、異常細胞増殖および/または血管新生を伴う疾患の1つまたは複数と診断されているか、あるいはこれになる可能性が高い(predisposed)。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下の本発明の実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、望ましくない細胞増殖および/または血管新生を伴う疾患を予防および/または治療する組成物および方法に関する。本発明は、一つには、異常細胞増殖、異常血管新生、またはそれらの組合せが関係する疾患に治療効果を示す一連の化学組成物に関する。特定の態様において、本発明は、異常増殖、異常血管新生、またはそれらの組合せを特徴とする疾患に効果を示すベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体に関する。
【0011】
「誘導体」という用語は、当業者に理解される。例えば、誘導体は、ベンゾ[c]クロメン−6−オンについて表I(以下)に示されるように、類似の構造の別の化合物から1つまたは複数の工程で生成する化合物として理解することができる。
【0012】
現在開発中の疾患治療薬は、様々な標的化戦略に基づいている。戦略の1つは、トロンボスポンジン、アンジオスタチン、およびエンドスタチンなどの、天然の血管新生インヒビターを使用することである。別の戦略は、VEGF受容体アンタゴニストなどの、血管新生を刺激するのに必要な受容体を遮断する薬剤を使用することである。3つめの戦略は、例えば、マトリクスメタロプロテイナーゼのインヒビターなどの、新生血管が周囲の組織に侵入するのを許容する酵素の阻害である。血管新生を阻害する別の戦略は、ανβ1抗体などのインテグリンアンタゴニストまたは小分子薬の使用を通じて、内皮細胞付着を阻害することにより毛細血管形成に影響を及ぼすというものである。
【0013】
血管新生は、その作用の選択性から癌治療に魅力的な治療標的である。増殖している腫瘍中の血管は、細胞活性化および急速な増殖に貢献する微小環境にあるが、ほとんどの正常組織中の血管は静止状態にある。細胞活性化および急速な増殖を誘導するこの微小環境が、血管新生阻害剤による腫瘍中の血管の選択的標的化を可能にする生理的差異になると思われる。
【0014】
本発明は、望ましくない細胞増殖および/または血管新生および/またはケラチン生成細胞増殖の治療に有用な組成物を1種または複数含む治療用配合物に関する。本発明はまた、例えば、以下の疾患をもたらす内皮細胞または他の細胞の望ましくない過剰な、異常刺激または増殖を特徴とする、癌ならびに他の疾患の治療に有用な組成物を1種または複数含む治療用配合物に関し、疾患として以下が挙げられるがそれらに限定されない:角膜、網膜、または前房新生血管構造の眼疾患、癌(線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、血管腫、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状膠細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、骨肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、聴神経腫瘍(acousticneuroma)、神経線維腫、トラコーマおよび化膿性肉芽腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ならびに重鎖病が挙げられるがこれらに限定されない)、遺伝性出血性毛細血管拡張症、固形または血液腫瘍、後天性免疫不全症候群、閉経後の症候、骨粗鬆症、循環器疾患、アルツハイマー病(発作の発生率を減少させるための、これまでのエストロゲン補充療法の代替法として)、血管奇形、異常創傷治癒、炎症性および免疫性の障害、痛風、および他の眼疾患(網膜/脈絡膜、角膜、腫瘍性および前房新生血管、これには黄斑変性症、糖尿病性網膜症、早産児の網膜症、角膜移植片拒絶反応、多巣性脈絡膜炎、ベスト病、シュタルガルト病、cblC型コバラミン欠乏症、過粘稠度症候群、ソースビー眼底変性症、弾力線維性仮性黄色腫、虹彩ルベオーシス、オスラー・ウェーバー症候群(オスラー・ウェーバー・ランデュ病)、角結膜炎、ビタミンA欠乏症、フリクテン症(phylectenulosis)、コンタクトレンズ過剰装着、感染(細菌性、ウイルス性、寄生虫性、または真菌性が挙げられるがこれらに限定されない)、アトピー性および上肢皮膚炎、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、イールズ病、放射状角膜切開、糖尿病に伴う伴わないに関わらず全ての型の増殖性硝子体網膜症を含む血管結合組織または線維組織の特質のない増殖、慢性網膜剥離、外傷(擦過傷、角膜同種移植拒絶など合併症を伴う過去の手術、アルカリ火傷、酸火傷、または炭化水素火傷、ブルッフ膜の機械的または熱的損傷が挙げられるがこれらに限定されない)、翼状片、腫瘍症(網膜芽細胞腫および黒色腫が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない)、関節炎(リウマチ性および変形性関節炎)、ならびに皮膚疾患(乾癬、アトピー性皮膚炎、光損傷)。血管新生を伴う他の疾患として、シェーグレン症候群、全身性狼瘡、多発性動脈炎、類天疱瘡、鎌状赤血球貧血、パジェット病、静脈または動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、ライム病、ベーチェット病、バルトネラ症(bartonelosis)、動脈硬化症、排卵をブロックまたは着床を予防するための胞胚による無月経の誘導、手術の癒着および慢性炎(潰瘍性大腸炎およびクローン病が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0015】
本発明に従って、式I:
【0016】
【化1】

(式中、
R1=Hまたはアルキル;
R2=H、OH、O−アルキル、アミノ、O−ヘテロシクロ(heterocyc)、O−アリール、O−置換アルキル(ここで置換は例えばハロ、アリールまたはヘテロアリール)、O−Ac、O−PO3、O−SO3、またはOSO2NH2;
R3=H、OH、O−アルキル、O−CH2アリール、O−CH2ヘテロアリール、O−アルキルアリール、O−アシル、またはニトロ;
R4=H、アルキル、CH2アリール、置換アルキル、OH、O−アルキル、O−アリール、OCH2アリール、OCH2ヘテロアリール、O−アシル、OPO3、OSO3、またはOSO2NH2;
R5=H、オキソ、アリール、ヒドロキシル、アルキル、またはO−アルキル;
R6=H;
R7=H、アシル、置換アルキル(ここで置換は例えばヒドロキシルまたはスルファモイル)、アルキル、O−アルキル、またはO−置換アルキル(ここで置換はO−PO3またはOSO3);
R8=H;そして
X=O、N、またはSである)
を含む薬学的組成物が提供される。
【0017】
本発明に従って、式II:
【0018】
【化2】

(式中、
R1=Hまたはアルキル;
R2=H、O−アルキル、OH、アミノ、O−ヘテロシクロ(heterocyc)、O−アリール、O−置換アルキル(ここで置換は例えばハロ、アリール、またはヘテロアリール)、O−Ac、O−PO3、O−SO3、またはOSO2NH2;
R3=H、O−アルキル、O−置換アルキル(ここで置換はアリールまたはヘテロアリール)、OH、O−アシル、またはニトロ;
R4=H、アルキル、CH2アリール、置換アルキル、O)、O−アルキル、O−アリール、OCH2アリール、OCH2へテロアリール、O−アシル、OPO3、OSO3、またはOSO2NH2;
R5=H、アリール、ヘテロアリール、または置換アルキル;そして
R6=H、アルキル、またはアリールである)
を含む薬学的組成物が提供される。
【0019】
本発明に従って、式III:
【0020】
【化3】

(式中、
R1=アルキルまたはH;
R2=アルキルまたはH;
R3=アセチル;そして
R4=Hまたはアルキルである)
を含む薬学的組成物が提供される。
【0021】
本発明に従って、式IV:
【0022】
【化4】

(式中、
R1=HまたはF;
R2=Hまたはニトロ;
R3=H;
R4=H;そして
R5=アルキル、置換アルキル、またはアリールである)
を含む薬学的組成物が提供される。
【0023】
本発明に従って、表Iに示す下記の構造を有するベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体を治療上有効量で1種または複数含む薬学的組成物が提供される:
表I:ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体の構造式
【表I】




【0024】
表Iの個々のベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体は、「SG」と後ろに続く数字の表示で識別される。本明細書中、この表示は「パロミド(Palomid)」と後ろに続く同じ数字の表示で代替して示される、すなわち「SG」という用語と「パロミド」という用語は、本明細書全体を通して相互交換的に用いられる。
【0025】
表Iの化合物は、血管新生阻害活性および/または抗ケラチン生成細胞活性を示す。当業者は、本発明が、血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を有する他のベンゾ[c]−クロメン−6−オン誘導体も含むことを理解するであろう。こうした特徴は、それぞれの誘導体について、以下に記載されるアッセイや文献のどこかに記載されるアッセイを用いて求めることができる。ベンゾ[c]−クロメン−6−オン誘導体が細胞増殖に影響を及ぼすプロセスは、まだ十分に研究されていないが、ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体は細胞周期の進行に関与する様々なタンパク質のレベルと活性に変化を誘導している可能性がある。こうしたタンパク質としてDNA複製および修復の補因子、例えば、増殖性細胞核抗原および細胞分裂周期リン酸化酵素(および調節因子)が挙げられる。ベンゾ[c]クロメン−6−オンはまた、細胞死受容体5およびカスパーゼ8をアップレギュレートするか、HIF−1α(血管新生遺伝子の包括的転写調節因子)を阻害するか、Akt/mTorシグナル伝達経路(細胞成長および増殖の重要な制御因子経路で、その調節解除は、癌に限定されないがこれをはじめとするヒト疾患に伴う)を阻害する可能性がある。
【0026】
細胞増殖の作用および阻害のこれらの機構に関連するアッセイは当技術分野で既知である。例えば、チューブリン重合活性への作用により媒介される有糸分裂阻害活性は、in vitroでベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体のチューブリン重合および微小管組立を阻害する能力を試験することにより評価することができる。その他のそうしたアッセイとして、代謝アッセイまたは標識化(放射化学的に、例えば、3H−チミジンまたは蛍光標識化)もしくは免疫反応性(BrdU)ヌクレオチドのDNA組み込みを通じた、組織培養板での細胞計数あるいは細胞数評価が挙げられる。また、例えばルシフェラーゼレポーターグループを通じた、HIF−α活性、または例えばAktのリン酸化におけるものとして活性化中間体を通じた、Akt/mTor信号伝達を測定することが挙げられる。そのうえさらに、血管新生阻害活性は、ラット大動脈輪のex−vivoモデルでの内皮細胞遊走、内皮細胞細管形成、または血管伸長を通じて評価することができる。
【0027】
本発明はまた、本明細書中に記載される組成物またはそれらのプロドラッグを1種または複数含む移植片または他のデバイスに関し、ここで組成物またはプロドラッグは徐放のため生分解性または非生分解性フォーマットで配合されている。非生分解性フォーマットでは、フォーマット自身が分解することなく、物理的または機械的プロセスを通じて、制御された様式で薬が放出される。生分解性フォーマットは、身体の生来のプロセスにより徐々に加水分解または溶解して、混合された薬またはプロドラッグが徐々に放出されるように設計されている。生分解性および非生分解性フォーマットの両方ならびに制御された放出のためこれらフォーマットに薬を組み込むプロセスは、当業者に既知である。こうした移植片またはデバイスは、送達が望まれる近傍、例えば異常皮膚部位または異常脈管構造の近傍に移植することができる。
【0028】
本発明はまた、再ステント狭窄(restentosis)、すなわち血管形成術またはステント法などの処置がすでに行われた同じ部位での動脈の再狭窄または封鎖を防ぐための被覆した血管ステントにも関する。本発明によれば、ステントまたは他の外科的に移植可能なデバイスが、本明細書中に記載される組成物の1種または複数で被覆される。そうしたデバイスの被覆は当業者に既知である。
【0029】
本発明はまた、複合型プロドラッグ(conjugated prodrug)およびその使用にも関する。より詳細には、本発明は、ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体の複合体、および特質のない細胞増殖および/または特質のない血管新生を伴う健康状態の予防または治療での、そのような複合体の使用に関する。そのような疾患として、癌細胞、内皮細胞、または他の病気に関与する細胞の、過剰な異常刺激または増殖が挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
本発明はまた、生物活性修飾剤、例えば、ペプチド、抗体もしくはそのフラグメント、またはin vivo加水分解性エステル(メチルエステル、リン酸エステル基、または硫酸エステル基など)、およびアミドまたはカルバメートと複合したベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体の複合型プロドラッグを提供する。修飾は、ヒドロキシル基をリン酸基で修飾することを含むことができる。この修飾により誘導体に明らかな変化が生じ、それにより生物活性が失われるため、この誘導体が活性を有することは期待できない。しかしながら、修飾により、溶解特性が良くなる、すなわち水溶性が良くなり、血液を通じた輸送が促進され得るか経口での利用可能性が良くなり、誘導体がその作用部位に到達することを可能にし得る。いったん誘導体が活性を有することを要求される微小環境に入ると、生来のプロセス、すなわち、活性を要求される部位に存在する内因性酵素を通じて修飾が切り離される。あるいは、修飾はその全身濃度を向上する状態に誘導体を維持するだけでもよく、これもまた体循環で切り離されて、それによりその活性を高める。ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体を疾患依存性活性化プロドラッグに組み込むことにより、本明細書中で上記に記載される疾患の1種または複数の治療における効力および選択性の顕著な改善が可能になる。
【0031】
本発明の化合物に加えて、本発明の薬学的組成物は、本明細書中で上記に記載される疾患の1種または複数の治療に役立つ薬理的薬剤も1種または複数含むか、それと同時投与(同時にまたは別々に)されてもよい。このような薬剤として、その腫瘍退縮活性または抗癌活性が当業者に既知である薬理的薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の薬剤として、悪心および嘔吐を抑えるようなものなど、腫瘍退縮剤または抗癌剤の副作用を抑制するものが挙げられる。
【0032】
そのうえさらに、ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグは、徐放を可能にする生分解性または非生分解性フォーマットに組み込むことができる。例えば、配合物は、送達が望まれる場所の近傍、腫瘍部位または異常脈管構造の近くに移植される。あるいは、薬学的配合物は、特異性をもたらす化学部分を有する送達ビヒクル中にパッキングすることができる。例えば、その化学部分として、抗体、または活性薬剤の望ましい部位(または細胞/腫瘍)への送達を方向付けて促進するような他の分子が可能である。
【0033】
本発明はまた、特質のない細胞増殖および/または特質のない血管新生および/または炎症を特徴とする任意の疾患に伴う症状の予防用または治療用医薬を調製するための、ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグの使用に関する。
【0034】
本発明はまた、本発明によるベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグを薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤と一緒に含む薬学的組成物の提供に関する。薬学的組成物も、特質のない細胞増殖および/または特質のない血管新生および/または炎症を特徴とする任意の疾患に伴う症状の予防または治療に用いることができる。
【0035】
本発明はまた、特質のない細胞増殖および/または特質のない血管新生および/または炎症を特徴とする任意の疾患に伴う症状の予防方法または治療方法にも関し、この方法は、このような予防または治療を必要としている患者に、本明細書中で上記で記載されるとおりの本発明によるベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグを有効量投与することを含む。(この症状の予防または治療が、症状の寛解を含むことを理解されたい。)
「有効量」により、特定の疾患または症候群に伴う症候を、一部または完全に、緩和する治療上有効量を意味する。かかる量は、処置される症状、投与経路、および当業者に既知である他の関連する要因を考慮して、適した能力を持つ臨床医により容易に決定することができる。このような人物は、適した用量、様式、および投与頻度を容易に決定することができる。
【0036】
ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩は、任意の従来様式で調製することができる。In vivoで加水分解性のエステル、例えば、メチルエステル、リン酸エステル基または硫酸エステル基、およびアミドまたはカルバメートを、任意の従来様式で調製することができる。
【0037】
ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体またはそのプロドラッグは、既知の技法を用いて生理的に許容可能な配合物として提供することができ、こうした配合物は、標準的な経路で投与することができる。組成物は、これらに限定されないが、局所的、経口、直腸または非経口、例えば、静脈内、皮下、もしくは筋肉内経路を含む手段を通じて投与することができる。また、組成物は、徐放を可能にするフォーマットに組み込むことができ、そのフォーマットが、送達の望まれる場所、例えば皮膚疾患もしくは老化皮膚部位または異常脈管構造の近傍に移植される。組成物の投与量は、処置される症状、用いられる具体的な誘導体、および他の臨床的要因(患者の体重や健康状態および化合物の投与経路など)に依存する。これらはみな当業者に明らかである。例えば、当業者は、標準となる文献、例えばRemington’s Pharmaceuticals Sciences 17th edition’(その教示は全て参照として本明細書に組み込まれる)などを参照して、配合物をどのように作成してどのように投与するか決定することができる。
【0038】
配合物として、経口、直腸、経鼻、吸入、局所的(皮膚、経皮、頬側、および舌下が挙げられるがこれらに限定されない)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼内(硝子体内、結膜下、テノン嚢下(sub−Tenon’s)、経強膜(trans−scleral)が挙げられるがこれらに限定されない)、気管内、および硬膜外が挙げられるがこれらに限定されない)、ならびに吸入投与に適したものが挙げられるがこれらに限定されない。配合物は、便利なように、単位剤形で存在してもよく、従来の製薬技法で調製することができる。そうした技法として、活性成分と薬学的キャリアまたは賦形剤を結合させる工程が挙げられる。配合物は、活性成分を液体キャリアまたは微粉固体キャリアまたはその両方と均一かつ密接に結合させ、そして必要ならば、生成物を成形することにより調製される。
【0039】
経口投与に適した本発明の配合物は、それぞれが所定量の活性成分を含有する分離した単位(カプセル剤、カシェ剤、または錠剤など)として;粉末または顆粒として;水性液または非水性液の溶液または懸濁液として;あるいは水中油乳濁液または油中水乳濁液として、などで存在することができる。
【0040】
錠剤は、適切に1種または複数の修飾(accessory)成分とともに圧縮または成形することにより作成することができる。圧縮錠剤は、適した機械で、自由に流動する形(粉末または顆粒など)の活性成分を、随意に、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤、または分散剤と混合して、圧縮することにより調製できる。成形錠剤は、適した機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより作成することができる。錠剤は、随意にコーティングまたは分割線をつけてもよく、その中の活性成分の徐放または放出制御をもたらすように配合されてもよい。
【0041】
経口での投与に適した配合物として、風味付けした基材、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基材中に活性成分を含むトローチ(pastilles);および適した液体キャリア中に投与されるべき成分を含む洗口液が挙げられる。
【0042】
皮膚への局所的投与に適した配合物は、薬用、薬用化粧品用、または化粧品用の許容可能なキャリア中に投与されるべき成分を含む、軟膏、クリーム、ゲル、およびペーストとして存在することができる。実行可能な送達系は、投与されるべき成分を含む経皮パッチである。
【0043】
直腸投与用配合物は、例えば、カカオバターまたはサリチル酸などを含む適した基材での坐剤として存在することができる。
【0044】
経鼻投与に適した配合物(ここでキャリアは固体である)として、例えば、20〜500ミクロンの範囲の粒子径を有する粗い粉末が挙げられ、これは、例えばかぎタバコを吸うような様式で、鼻の近くに持った粉末容器から鼻の通路を通じて素早い吸入により投与される。適した配合物として、キャリアが投与用液体の場合は、例えば、活性成分の水性または油性溶液を含む鼻スプレーまたは鼻ドロップ液が挙げられる。
【0045】
膣投与に適した配合物は、活性成分の他に、当技術分野で適切であることが既知のキャリアなどの成分を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状、またはスプレー配合物として存在することができる。
【0046】
吸入に適した配合物は、活性成分の他に、当技術分野で適切であることが既知のキャリアなどの成分を含有する、ミスト、粉塵、粉末、またはスプレー配合物として存在することができる。
【0047】
非経口投与に適した配合物として、水性および非水性の滅菌注射溶液(これは抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および対象とする患者(recipient)の血液と配合物を等張にする溶質を含んでもよい);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(これは懸濁剤および増粘剤を含んでもよい)が挙げられる。配合物は、単位用量または複数用量(multi−dose)容器、例えば、密閉したアンプルやバイアルに入って存在してもよく、使用直前に、滅菌液体(例えば、注射用水)を加えるだけでいいフリーズドライ、凍結乾燥状態で貯蔵されてもよい。即時調製注射溶液および懸濁液を、上記のものの滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。
【0048】
許容可能な単位投薬量の配合物は、投与される成分を、一日量もしくは単位、本明細書中で上記に記載するような一日量の部分用量(daily sub−dose)、またはそれらの適切な分割量で含有するものである。上記の成分の他に、本発明の配合物は、問題の配合物の種類に関係する当技術分野で通常の他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に適したものは香味剤を含んでもよい。本発明は、約100%〜約90%の純度の異性体の組成物を含む。別の態様において、本発明は、約90%〜約80%の純度の異性体の組成物に関する。さらに別の態様において、本発明は、約80%〜約70%の純度の異性体の組成物に関する。さらに別の態様において、本発明は、約70%〜約60%の純度の異性体の組成物に関する。なおさらなる別の態様において、本発明は、約60%〜約50%の純度の異性体の組成物に関する。しかしながら、αまたはβで称される立体化学異性体は、当業者により化学的に可能である任意の比率の両者の混合物であってもよい。さらに、本発明に含まれるのは、古典的および非古典的両方の生物学的等価性原子および置換基交換であり、これらは当業者に既知である。このような生物学的等価性交換として、例えば、=Sまたは=NHの=Oでの置換が挙げられる。
【0049】
本発明に従って用いられる既知の化合物および本発明による新規化合物の前駆体は、商業的供給源、例えば、Sigma−Aldrichから購入することができる。本発明による他の化合物は、当業者に既知である方法に従って合成することができる。ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体SG00292およびSG00392の合成経路を、以下のスキーム1にまとめる。この合成経路は、この一連の誘導体を調製するやり方として見込みのあるものの1つを表し、他の合成経路(合成段階または試薬の順序の変更を含む)も当業者には可能である。特定の場合において、所望の生成物に到達する目的で、保護基の性質または反応順序を変更しないといけない可能性がある。一般合成スキームのこうした変更は当業者によく理解されるであろう。
【0050】
(実施例)
本発明によるベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体は、以下の反応スキーム、スキーム1および合成法スキーム2を用いて調製することができる。本発明はまた、スキーム1の出発点から調製されるベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体を含む。これらの類似体の合成は、スキーム3に示す合成法に記載され、スキーム3は表Iに示すとおりのベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体からの実施例を示す。
スキーム1
【0051】
【化5】

【0052】
スキーム2
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(2)の合成
2−ブロモ−5−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(25g、0.108mol)およびKCO3(30g、0.216mol)をアセトニトリル(250mL)に加えて、Arフラッシュした。臭化ベンジル(20g、0.12mol)を加え、混合物をAr下、50℃で20時間加熱した。冷却してから、混合物を水(200ml)に注いでCHCl(300mL)で抽出した。このCHClを水(3×100mL)で洗い、乾燥させ、そして濃縮した。イソプロパノール:水(3:1)で再結晶して、明褐色固体として2を28.8g(83%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl3)dH3.96(3H、s、OCH)、5.16(2H、s、CH2Ph)、7.07−7.48(7H、m、ArH+CHPh)、10.16(1H、s、CHO)。
【0053】
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェノール(3)
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド2(5g、16.0mmol)をCH2Cl2(40mL)に加え、Arフラッシュして氷浴で冷却した。mCPBA(5.2g)のCHCl(50mL)溶液を滴下した。加え終わったら、反応混合物を、Ar下、14時間還流した。冷却してから、混合物を飽和NaHCO(3×50mL)、ブラインで洗い、乾燥させ、そして濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、大きい褐色針状晶として3を4.1g(85%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl3)dH3.88(3H、s、OCH)、5.10(2H、s、CHPh)、6.74(1H、s、ArH)、7.08(1H、s、ArH)、7.34−7.40(5H、m、CHPh)、8.25(1H、s、OH)。
【0054】
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2,5−ジメトキシベンゼン(4)
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシ−フェノール3(2.76g、89.0mmol)とNaH(0.89g、13.0mmol、油中60%分散)をフラスコに入れてArフラッシュした。乾燥THF(50mL)を加えて、懸濁液を氷浴中20分間撹拌した。CHI(1.7mL、27.0mmol、塩基性アルミナで濾過)を加えて、混合物をAr下、18時間室温で撹拌した。冷却してから、氷浴中、反応混合物に水をゆっくりと加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、乾燥させ、濃縮して黄色油状物を得た。この油状物は減圧下で固化した。シリカゲルと(10%酢酸エチル/ヘキサン)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで油状物を精製して、白色固体として4を2.5g(88%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl3)dH3.75(3H、s、OCH)、3.84(3H、s、OCH)、5.15(2H、s、CHPh)、6.57(1H、s、ArH)、7.07(1H、s、ArH)、7.32−7.42(5H、m、CHPh)。
【0055】
4−ベンジルオキシ−2,5−ジメトキシフェニルボロン酸(5b)
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2,5−ジメトキシベンゼン4(7.48g、23.0mmol)を乾燥したフラスコに入れてArフラッシュした。乾燥THF(75mL)を加え、溶液をドライアイス/アセトン浴で−78℃に冷却した。nBuLi(11mL、2.5Mヘキサン溶液)を加え、混合物を−78℃で20分間撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル(10.7mL、0.463mol)を加え、反応物を−78℃で2時間撹拌してから室温まで昇温させた。このとき白色沈殿が形成されだした。さらに20時間撹拌した後、飽和NHCl(25mL)で反応物をクエンチした。有機層を分離した後、水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層をまとめて、乾燥させ、濃縮した。残渣をヘキサンで粉末にして濾過し、明るいオフホワイトのクリーム状固体として5bを4.1g(62%)得た。H−NMR(400MHz、DMSO−d6)dH3.70(3H、s、OCH)、3.79(3H、s、OCH)、5.16(2H、s、CHPh)、6.77(1H、s、ArH)、7.18(1H、s、ArH)、7.33−7.52(5H、m、CHPh)
【0056】
5−アセチル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ安息香酸メチルエステル(6)
Ar下、0℃で、5−アセチルサリチル酸メチル(25.0g、0.129mol)をCHCl(250mL)とピリジン(60mL)に溶解した。次いでトリフルオロメタンスルホン酸無水物(37.9g、0.133mol)を20分かけて加えた。反応混合物を更に30分間撹拌してから、水(500mL)でクエンチした。有機層を分離して、5%のHCl(80mL)で3回洗った。溶媒を除去して得られた固体を減圧下乾燥して、6を40.3g(96%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl)dH2.56(3H、s、COCH)、3.89(3H、s、OCH)、7.32(1H、d、ArH)、8.12(1H、d、ArH)、8.52(1H、s、ArH)。
【0057】
4−アセチル−4’−ベンジルオキシ−2’−メトキシビフェニル−2−カルボン酸メチルエステル(7b)
4−ベンジルオキシ−2,5−ジメトキシフェニルボロン酸5b(4.15g、14.4mmol)、5−アセチル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ安息香酸メチルエステル6(4.69g、14.4mmol)、およびKCO(3.98g、28.8mmol)をフラスコに入れて、Arフラッシュした。無水エタノール(83mL)およびDME(94mL)を加え、続いてPd(PPh(0.87g、0.785mmol)を加えて、反応混合物を4時間還流させた。冷却してから、水(100mL)、酢酸エチル(100mL)、およびブライン(50mL)を加えた。有機層をブライン(2×50mL)で洗い、水性画分をまとめて酢酸エチルで逆抽出した。有機画分をまとめて乾燥させ、濃縮し、そして酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して黄色固体として7bを6.5g(99%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl3)dH2.65(3H、s、COCH)、3.58(3H、s、OCH)、3.68(3H、s、OCH)、3.88(3H、s、OCH)、5.21(21H、s、CHPh)、6.55(1H、s、ArH)、6.86(1H、s、ArH)、7.30−7.48(6H、m、ArH+CHPh)、8.10(1H、d、ArH)、8.37(1H、s、ArH)、
【0058】
4−アセチル−4’−ベンジルオキシ−2’−メトキシビフェニル−2−カルボン酸(8b)
4−アセチル−4’−ベンジルオキシ−2’−メトキシビフェニル−2−カルボン酸メチルエステル7b(4.06g、9.7mmol)およびNaOH(0.773g、19.4mmol)に、メタノール(60mL)および水(60mL)を加えた。反応物をAr下で7時間還流させ、それから室温まで冷却した。氷浴に入れてから1MのHClを加えて黄色沈殿物を得、これを濾過し、水で洗って、THF/ヘキサンから再結晶して、黄色結晶として8bを2.7g(69%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl)dH2.68(3H、s、COCH)、3.62(3H、s、OCH)、5.16(2H、s、CHPh)、6.77(1H、s、ArH)、7.18(1H.s、ArH)、7.33−7.52(5H、m、CHPh)、3.90(3H、s、OCH)、5.22(2H、S、CHPh)、6.58(1H、s、ArH)、6.90(1H、s、ArH)、7.34−7.50(6H、m、ArH+ChPh)、8.17(1H、d、ArH)、8.50(1H、s、ArH)、
【0059】
8−アセチル−3−ベンジルオキシ−2−メトキシベンゾ[c]クロメン−6−オン(9b)
4−アセチル−4’−ベンジルオキシ−2’−メトキシビフェニル−2−カルボン酸8b(1.0g、2.5mmol)を1,2−ジクロロエタン(30mL)に懸濁させた。SOCl(200mL、2.7mmol)を加えて、反応混合物をAr下で2時間還流させた。室温まで冷却してから(いくらか沈殿が形成された)、AlCl3(0.262g、0.002mol)を加えると混合物は赤くなった。反応物を室温で17時間撹拌し、それから水(30mL)でクエンチしてCHCl(100mL)で希釈した。有機層をブライン(2×50mL)で洗ってから乾燥させて濃縮した。残渣を熱CHClに溶解してから冷却した。ヘキサンを加えて、生成物が沈殿する助けとした。2回目の再結晶で、黄色固体として9bを0.3g(32%)得た。H−NMR(400MHz、CDCl)dH2.73(3H、s、COCH)、4.05(3H、s、OCH)、5.28(2H、s、CHPh)、6.94(1H、s、ArH)、7.35−7.50(6H、s、ArH+CHPh)、8.07(1H、d、ArH)、8.42(1H、d、ArH)、8.92(1H、s、ArH)
【0060】
8−アセチル−3−ヒドロキシ−2−メトキシベンゾ[c]クロメン−6−オン(10)
オーバーヘッド撹拌器および加熱マントルを備えた3リットルの三つ口フラスコ中、ギ酸ナトリウム(2.18g、32mmol)とギ酸(4.2mL、106.8mmol)を、9b(10.0g、26.71mmol)を乾燥THFと無水エタノール(1.5L)の1:1混合物に懸濁させたものに加えた。この混合物に、100mgの10%パラジウム炭素を加え、反応物をアルゴン下で7時間還流させた。このとき、出発物質の9bは全て溶解していた。溶液を熱いまま濾過して触媒を除去し、そして溶媒をロータリーエバポレーションで除去した。(溶液が冷えてしまった場合は、生成物が沈殿するが、6リットルの還流メタノールで固体を抽出することにより触媒から分離することができる)。得られる固体(7.8g)を以下に記載のようにシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。
【0061】
典型的な実施では、3.12gの粗10を20gのシリカゲルと混合し、200mLのメタノールに懸濁して、ロータリーエバポレーションで溶媒を除去した。この物質をシリカゲルカラム(6cm×36cm、400gのシリカゲル)の頂部に乗せて、1%アセトン/ジクロロメタン、10%アセトン/ジクロロメタン、および100%アセトンの段階的な勾配で溶出させた。純粋な画分を全てまとめてエバポレートして、所望の中間体10を2.4g(収率80%)得た。1H(300MHz)(DMSO−d6)d2.07(3H、s)、2.66(3H、s)、3.92(3H、s)、6.81(1H、s)、7.78(1H、s)、8.33(1H、d、J=8.7Hz)、8.46(1H、d、J=8.7Hz)、および8.66(1H、d、J=1.8Hz)。
【0062】
スキーム3
SG00393。SG00392(1.0g、2.67mmol)とNaBH4(0.1g、2.67mmol)を、THF(20mL)と無水エタノール(10mL)の2:1混合物に加えて、1.5時間撹拌放置した。反応混合物を氷浴で冷却して、色が黄色から無色に変わるまで0.5NのHClを加えた。水(20mL)を加えて、混合物をCH2Cl2で抽出し、乾燥させ、濃縮して、残渣をCH2Cl2:アセトン(8/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して0.71gのSG00393を得た。
【0063】
SG00394。SG0093(0.1g、0.27mmol)を無水CH2Cl2(6mL)に加え、−78℃に冷却して、不均一な混合物を得た。DIBAL(1Mヘキサン溶液、0.66mL、0.66mmol)を2時間かけて滴下した。さらなる量のDIBAL(0.2mL)を加え、合計で2.5時間後、メタノール(0.8mL)を加えて反応物をクエンチした。反応混合物を室温まで昇温させ、CH2Cl2(100mL)、氷、および少量のアセトンを加えて、混合物を15分間撹拌した。CH2Cl2層を飽和NaHCO3、ブラインで洗い、乾燥させ、そして濃縮した。残渣をアセトン(40mL)に再溶解し、シリカゲル(1g)に予め吸着させた。アセトンをエバポレートしてから、CH2Cl2:アセトン(6/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して、69mgのSG0094を得た。
【0064】
SG00395。粗SG00394(1.18g、3.12mmol)、トリエチルアミン(1.73mL、12.5mmol)、無水酢酸(1.18mL、12.5mmol)、および無水CH2Cl2(50mL)を、N2下室温で撹拌した。DMAP結晶を加えたら、反応混合物を15分間撹拌して、それからCH2Cl2で抽出した。CH2Cl2層を飽和NaHCO3、ブラインで洗い、乾燥させ、濃縮して、CH2Cl2:アセトン(10/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、0.89gのSG00395を得た。
【0065】
SG00396。N2下、SG00395(0.83g、0.197mmol)を無水CH2Cl2(25mL)に加え、メタノール/ドライアイス浴で冷却した。Et3SiH(0.631mL、3.95mmol)を加え、続いてBF3Et2O(0.375mL、2.96mmol)を滴下して加え、0.5時間激しく撹拌した。反応混合物を冷却浴から出して、45分後に飽和NaHCO3(3mL)でクエンチした。反応混合物をCH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3、ブラインで洗い、乾燥させ、濃縮して、酢酸エチル:ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して0.71gのSG00396を得た。
【0066】
SG00397。SG00396(0.135g、0.334mmol)、ギ酸(0.525mL、1.34mmol)、ギ酸ナトリウム(27mg、0.4mmol)、10%Pd/C(0.3mol%)、無水THF(4mL)、および無水エタノール(4mL)を、N2下で1.5時間加熱還流した。反応物を冷却して反応混合物のうち約半分をエバポレートした。酢酸エチル:ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーでシリカゲル残渣を精製して50mgのSG00397を得た。
【0067】
SG00398。SG00397の調製の反応混合物の残り半分にさらに10%Pd/Cを加えて、反応物を0.5時間還流した。Pd/Cをろ別してメタノールで洗い、ろ液にシリカゲルを加えた。濃縮してから、酢酸エチル:ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーでシリカゲル残渣を精製して32mgのSG00398を得た。
【0068】
SG00399。SG00395(0.44g、1.09mmol)とAmberlyst−15樹脂(12−15ビーズ)を、N2下で2時間、メタノール(10mL)中撹拌した。Amberlystを濾過してメタノールで洗い、ろ液を濃縮した。酢酸エチル:ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して0.4gのSG00399を得た。
【0069】
SG00400。SG00397(95mg、0304mmol)をメタノール(2mL)に加えた。この混合物に、K2CO3(0.126g、0.912mmol)と水(0.1mL)を加え、反応物をN2下で3時間撹拌した。1%のHCl(0.1mL)とメタノール(10mL)を加えて反応を止めた。シリカゲルを加え、溶媒をエバポレートして、酢酸エチル:ヘキサン(1/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して72mgのSG00400を得た。
【0070】
SG00477。N2下、撹拌しながらSG00292(0.18g、0.63mmol)を無水CH2Cl2(7mL)に加えた。Et3N(0.35mL、2.53mmol)、無水酢酸(0.24mL、2.53mmol)、およびDMAPの結晶1粒を加えた。15分間撹拌後、CH2Cl2を加え、混合物を飽和NaHCO3、ブラインで洗い、乾燥させ、濃縮して、シリカゲルに予め吸着させた。酢酸エチル:ヘキサン(2/1)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで80mgのSG00477を得た。
【0071】
SG00490。SG00396(122mg、0.3mmol)、K2CO3(125mg、0.9mmol)、および水(0.13mL)をメタノール(3.3mL)に加えて、N2下で1.5時間撹拌し、それから1%のH2SO4でクエンチした。反応物をCH2Cl2で抽出して2等分した。等分した一方を濃縮して、酢酸エチル:ヘキサン(1/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して48mgのSG00490を得た。等分したもう一方はSG00491に変換した。
【0072】
SG00491。Dess−Martin試薬(37.3mg、0.9mmol)を用いて1時間かけて粗SG00490の等分した残りを酸化した。反応物をCH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3、ブラインで洗い、乾燥させ、濃縮して、酢酸エチル:ヘキサン(1/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して40mgのSG00491を得た。
【0073】
SG00492。SG00491を出発物質としてSG00392の方法に従って調製した。収量44mg。
【0074】
SG00493。SG492(116mg、0.41mmol)、K2CO3(112mg、0.82mmol)、およびCH3I(1mL)をアセトン(10mL)に加えて、2日間還流した。シリカゲルを反応混合物に加え、濃縮して、CH2Cl2:アセトン(9/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して100mgのSG00493を得た。
【0075】
SG00494。1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩を用いてSG00493の方法に従って調製した。収量52mg。
【0076】
SG00495。臭化エチルを用いてSG00493の方法に従って調製した。収量20mg。
【0077】
SG00496。氷浴中、SG00393(116mg、0.308mmol)を無水THF(10mL)に加えた。NaH(油中60%分散、22mg、0.92mmol)を加え、混合物を20分間撹拌した。CH3Iを滴下し、反応物を0.5時間撹拌した。氷浴を外して、反応物を一晩撹拌した。さらにCH3Iを加えて反応混合物を5時間還流した。反応物を水でクエンチし、蒸留して過剰なCH3Iを除去した。CH2Cl2と水を加え、分離後、CH2Cl2層を乾燥させ、濃縮して、酢酸エチル:ヘキサン(1/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製してSG00496を得た。
【0078】
SG00510。SG00493を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量48mg。
【0079】
SG00511。2−(ブロモメチル)臭化水素酸塩を用いてSG00493の方法に従って調製した。収量170mg。
【0080】
SG0O512。臭化エチルを用いてSG00493の方法に従って調製した。収量63mg。
【0081】
SG00513。臭化イソプロピルを用いてSG00493の方法に従って調製した。収量220mg。
【0082】
SG00514。7−ヒドロキシクマリンと臭化ベンジルを用いてSG00493の方法に従って調製した。収量1.3g。
【0083】
SG00519。スコポレチンと臭化ベンジルを用いてSG00493の方法に従って調製した。収量17mg。
【0084】
SG00520。SG00494を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量75mg。
【0085】
SG00521。SG00512を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量118mg。
【0086】
SG00526。SG00511(50mg、0.133mmol)とNaBH4(5.0mg、0.133mmol)を、エタノールとTHFの1:1混合物(合計10mL)に加えて48時間撹拌放置し、次いで2時間還流した。反応混合物を冷却してから、1NのHClでpH2まで酸性にし、それから飽和NaHCO3でpH8にして、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層をまとめて、水、ブラインで洗い、乾燥して、濃縮した。ヘキサン:CHCl3(1/1)、続いてCHCl3、続いて3%CH3OH/CHCl3の勾配を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して40mgのSG00526を得た。
【0087】
SG00527。NaH(15.4mg、0.4mmol)をDMF(10mL)に加えた混合物に、SG292(100mg、0.35mmol)を加え、反応混合物を2時間還流した。室温まで冷却してから、DMFに溶解した臭化4−メトキシベンジル(0.57mL、0.42mmol)を加え、反応混合物を9時間70℃に加熱した。水(10mL)を加えて、反応混合物をCHCl3(3×20mL)で抽出し、有機層をまとめて水、ブラインで洗い、乾燥して、濃縮した。残渣をヘキサン:CHCl3(1/2)、続いてCHCl3で精製して85mgのSG00527を得た。
【0088】
SG00528。SG00530を用いてSG00526の方法に従って調製した。収量20mg。
【0089】
SG00529。SG00527を用いてSG00526の方法に従って調製した。収量40mg。
【0090】
SG00530。臭化3−メトキシベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量110mg。
【0091】
SG00531。SG00495を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量36mg。
【0092】
SG00532。SG00513を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量71mg。
【0093】
SG00533。SG00273を用いてSG00393の方法に従って調製した。収量8mg。
【0094】
SG00541。塩化2−メトキシベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量80mg。
【0095】
SG00542。酢酸2−(クロロメチル)フェニルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量80mg。
【0096】
SG00543。N2下、室温で、撹拌しながら、無水CH2Cl2(8mL)中SG00392(0.19g、0.51mmol)にCH3MgI(0.2mL、1.6mM)を滴下した。25分後、さらにCH3MgI(0.2mL、1.6mM)を加えた。1時間後、またさらにCH3MgI(0.2mL、1.6mM)を加えた。CH2Cl2を分離し、弱酸性水で洗い、シリカゲルを加え、CH2Cl2をエバポレートして予め吸着させた粗反応物とした。ジメチルアルコール体を、酢酸エチル:ヘキサン(2/1)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、次の工程に用いた。ジメチルアルコール体(58mg、0.15mmol)をSG00292の方法により脱ベンジル化してSG00543を得た。収量32mg。
【0097】
SG00544。酢酸2−クロロメチルフェニルを用いてSG00526の方法に従って調製した。収量15mg。
【0098】
SG00545。SG00541を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量40mg。
【0099】
SG00546。塩化3,5−ジメトキシベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量80mg。
【0100】
SG00547。SG00546を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量30mg。
【0101】
SG00548。SG00543の調製で生成したジメチルアルコール体(56mg、0.14mmol)を、触媒量のAmberlyst−15とMgSO4を含有する無水CH2Cl2(3mL)に加えて、6時間撹拌し、それから一晩冷蔵庫に入れた。濾過後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで粗脱水生成物を精製して次の工程に用いた。精製した脱水生成物を無水エタノール(3mL)に溶解して、10%Pd−C(30mg)の無水エタノール(1.5mL)懸濁液を加え、H2で膨らませた風船を取り付けた。7時間撹拌後、触媒を濾過し、粗反応物をシリカゲルに予め吸着させてから、酢酸エチル:ヘキサン(1/2)を用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製してSG00548を得た。
【0102】
SG00549。NaH(0.02g、0.55mmol)の無水DMF(5mL)懸濁液にSG00391(0.1g、0.37mmol)を加えた。得られる黄色不透明混合物を1時間還流した。臭化ベンジル(0.05mL、0.41mmol)を加えると、混合物はオレンジ/黄色の透明溶液になった。反応混合物を冷却して水(15mL)を加え、酢酸エチル(3×12mL)で抽出した。有機層をブラインで洗い、乾燥させ、濃縮して、ヘキサン中15%酢酸エチルを用いてフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで精製してSG00549を定量的に得た。
【0103】
SG00550。4−メトキシ臭化ベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量100mg。
【0104】
SG00551。2−メトキシ臭化ベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量62mg。
【0105】
SG00552。3−メトキシ臭化ベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量70mg。
【0106】
SG00553。SG00555を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量20mg。
【0107】
SG00554。SG00556を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量24mg。
【0108】
SG00555。3−クロロメチルピリジン塩酸塩を用いてSG00527の方法に従って調製した。収量53mg。
【0109】
SG00556。4−クロロメチルピリジン塩酸塩を用いてSG00527の方法に従って調製した。収量45mg。
【0110】
SG00557。酢酸4−(クロロメチル)フェニルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量5mg。
【0111】
SG00558。4−(クロロメチル)フェニルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量45mg。
【0112】
SG00559。臭化4−メチルベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量58mg。
【0113】
SG00560。臭化4−ブロモベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量60mg。
【0114】
SG00561。臭化3−ブロモベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量100mg。
【0115】
SG00562。臭化3−クロロベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量80mg。
【0116】
SG00568。2−ブロモエチルベンゼンを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量18mg。
【0117】
SG00569。PhMgBrを用いてSG00543の方法に従って調製した。収量19mg。
【0118】
SG00570。SG00549の調製で生成したジオール副生成物を用いて、SG00548の合成における脱水生成物の調製に従って、調製した。収量21mg。
【0119】
SG00571。臭化4−クロロベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量90mg。
【0120】
SG00572。臭化4−フルオロベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量110mg。
【0121】
SG00573。4−(ブロモメチル)安息香酸メチルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量40mg。
【0122】
SG00574。4−ブロモメチルベンゾフェノンを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量30mg。
【0123】
SG00575。SG00559を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量25mg。
【0124】
SG00576。臭化3−メチルベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量30mg。
【0125】
SG00577。臭化3,4,5−トリメトキシベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量45mg。
【0126】
SG00592。塩化4−メトキシベンジルと3−)4−ブロモフェニル)−7−ヒドロキシクマリンを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量62mg。
【0127】
SG00593。臭化3,5−ジメトキシベンジルを用いてSG00592の方法に従って調製した。収量74mg。
【0128】
SG00594。塩化4−トリフルオロメチルベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量22mg。
【0129】
SG00595。塩化4−フルオロベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量43mg。
【0130】
SG00596。臭化3,5−ジメトキシベンジルを用いてSG00549の方法に従って調製した。収量30mg。
【0131】
SG00597。エチルブロモエチルアセテート(ethyl bromoethyl acetate)を用いてSG00527の方法に従って調製した。収量15mg。
【0132】
SG00598。SG00293(SG00292のケトンをアルコールに還元)を用いてSG00527の方法に従って調製した。収量16mg。
【0133】
SG00599。SG00569を調製する反応から、SG00599も単離した。収量3.3mg。
【0134】
SG00609。SG00577を出発物質としてSG00526の方法に従って調製した。収量32mg。
【0135】
SG00612。撹拌しながら、SG00292(0.1g、0.35mmol)を無水CH2Cl2(10mL)に加えた。ピリジン(0.05mL)と塩化ベンゾイル(0.1mL)を加えて、反応物を1時間撹拌した。反応物を5%のHClに注ぎ、CH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3で洗い、乾燥し、濃縮して、酢酸エチル:ヘキサン(1/1)を用いてフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで精製して25mgのSG00612を得た。
【0136】
SG00613。塩化4−メトキシベンジルを用いてSG00612の方法に従って調製した。収量2.3mg。
【0137】
SG00614。SG00547(50mg、0.114mmol)を無水ジエチルエーテルとCH2Cl2(6mL)の1:1混合物に溶解した。PBr3(124mg、0.46mmol)を加えて、反応物を室温で週末中撹拌した。飽和NaHCO3を加えて、反応物をCH2Cl2で抽出し、ブラインで洗い、乾燥し、濃縮して、ヘキサン、次いでCHCl3、次いでCHCl3中1%メタノールを用いてフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで精製して20mgのSG00614を得た。
【0138】
SG00615。SG00546およびEtMgBrを出発物質としてSG00543の方法に従って調製した。収量55mg。
【0139】
SG00616。SG00546およびCH3MgIを出発物質としてSG00543の方法に従って調製した。収量74mg。
【0140】
SG00617。SG00293(SG00292のケトンをアルコールに還元)および4−ブロモメチルベンゾフェノンを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量13mg。
【0141】
SG00618。4−ベンジルオキシ安息香酸(1g、4.4mmol)を無水CH2Cl2(11mL)に加えた。触媒量のDMF(5滴)をCH2Cl2(2M、5.75mL)中の塩化オキサリルと一緒に加え、反応物を2時間撹拌した。溶媒をエバポレートして、粗塩化4−ベンジルオキシベンゾイルを直接用いた。SG00618を、塩化4−ベンジルベンゾイルを用いてSG00612の方法に従って調製した。収量49mg。
【0142】
SG00619。SG00527の方法に従って、ただしSG00293(SG00292のメチルケトンをアルコールに還元)および臭化4−ホルミルベンジル(臭化4−シアノベンジルのDIBAL還元により調製)を用いて調製した。収量45mg。
【0143】
SG00620。臭化4−ニトロベンジルを用いてSG00527の方法に従って調製した。収量20mg。
実験データ
以下の実施例は、表Iに示す化合物からの代表的な例示である。上記化合物は、抗増殖性、血管新生阻害性、および/または他の以下に記載されるべき重要な活性を有することが見出されている。
【実施例1】
【0144】
抗腫瘍(癌細胞についての抗増殖性)、血管新生阻害活性(内皮細胞についての抗増殖性)は、エストロゲン受容体αおよびβHUVEC増殖に結びつく増殖の阻害としてin vitroで測定した。ヒト臍静脈内皮細胞、HUVECの増殖の阻害は、血管新生阻害活性の1つの測定として示される。HUVECおよび必要な培地補体はCascade Biologies(Portland,OR)から購入し、培養物の増殖および維持は、製造者により記載されるとおりであった。HUVECを96ウェルプレートの完全培地に1,000個/ウェルの密度で播種して増殖アッセイを行った。24時間のプレーティング期間に続いて、細胞を0.5%血清中で24時間飢えさせてから、完全培地中、10ng/mlのb−FGFの存在下あるいはb−FGFまたはVEGFのいずれかが存在する範囲の用量で、SG(「信号遺伝子」ここでは「パロミド」)血管新生インヒビターで処理した。48時間後、熱量測定法を用いて製造者(PromegaCorp.,Madison,WI)により記載されるとおり細胞数を求めた。結果は、血管新生インヒビターが存在しない場合の最大b−FGFまたはVEGF応答に対する割合として表した。非増殖性内皮細胞は、96ウェルプレート中HUVECを静止状態まで増殖させて血管新生インヒビターで48時間処理することによりアッセイした。最初に、5,000個/ウェルを播種して、翌日に集密状態になった。プレートをさらに24時間インキュベートして、血管新生インヒビターでの処理前に増殖停止を確実にした。上記で概要したように細胞数を求めた。
【0145】
癌細胞株。腫瘍細胞増殖の阻害の測定は、抗癌活性の測定の1つである。2種のヒト癌細胞株を用いて、これらの細胞の増殖におけるSG血管新生インヒビターの効果を評価した。細胞株は、MCF−7乳癌細胞および結腸癌細胞株、HCT−116であった。細胞株は全て、American Type Tissue Culture(Manassas,VA)から入手し、それぞれの培地で製造者に記載されるとおりに維持した。基本的には内皮細胞の増殖について記載したとおりに増殖研究を行った。
【0146】
ER結合アッセイ。エストロゲン受容体に結合してこれを通じて信号を伝達する誘導体は、そうした活性が血管新生を誘導するだけでなく癌増殖も向上させ得るので、陽性活性はとはみなされない。エストロゲン受容体(「ER」)とほとんどまたはまったく結合しないのいずれかである誘導体は所望の活性のものの1つである。あるいは、エストロゲン受容体に結合したが信号を伝達しなかった誘導体も、陽性活性とみなすことができる。ERaおよびERbをコードするヒトcDNAをテンプレートに用いてin vitroで受容体タンパク質を発現させた。1つの反応で転写と翻訳を結びつけるウサギ網状赤血球ライセートをPromega(TNTキット)から入手したままで用いてタンパク質を産生した。各反応で用いられるテンプレートの量は経験的に決定され、[35S]メチオニンが受容体に組み込まれたのに続いてゲル電気泳動してフィルムに現像する、平行する反応で発現をモニターした。最終体積100mLのTEG緩衝液(10mMのtris(pH7.5)、1.5mMのEDTA、10%のグリセロール)で結合反応を行った。in vitroで転写翻訳された受容体5mLを、0.5nMの[3H]エストラジオール(E2)の存在下、各結合反応に用いた。化合物を全て、10−11M〜10−6Mでルーチンで検査しエタノールで希釈した。反応物を4℃で一晩インキュベートし、結合したE2を200mLのデキストランコーティングした炭を加えて定量した。4℃で15分間の回転後、試験管を10分間遠心分離して、液体シンチレーション計数によるcpms決定のため、150mLの上清を5mLのシンチレーションカクテルに加えた。5mLの非定型的ウサギ網状赤血球ライセートを用いてバックグラウンドのための対照を各実験に含めた。この値、代表的には最大計数の10−15%が全ての値から差し引かれた。最大結合は、結合したE2をエタノールビヒクルのみと競争させて求めた。この値を100%(最大E2結合)とした。阻害割合の値は、最大E2結合に基づいて計算した。データをプロットして、Prismソフトウェアを用いてKi値を計算した。実験は、少なくとも重複して3回行った。
【0147】
結果を表IIと図1に示す。誘導体活性は、血管新生サイトカイン刺激内皮細胞の増殖の阻害を通じて血管新生阻害活性を示す。誘導体の大部分はエストロゲン受容体αおよびβに結合する能力が欠けているので、これらの受容体を通じて信号を送ることがない、すなわち血管新生作用剤になる可能性が期待される。
【0148】
誘導体の活性は、2つのグループに分けられる。抗腫瘍および血管新生阻害の二重活性を有するものと、主として血管新生阻害活性を有するものである。以下の表IIを参照。
【表II】

na、活性なし;HUVECp、HUVEC増殖;HUVECq、HUVEC静止状態;hERa、ヒトエストロゲン受容体α;hERb、ヒトエストロゲン受容体β
【実施例2】
【0149】
誘導体のアポトーシス活性
アポトーシスアッセイ。アポトーシスアッセイを行って、誘導体がプログラム細胞死を誘導することにより細胞増殖を阻害しているかどうかを求めた。ケラチン生成細胞などの他の増殖細胞に暗示される活性を有する内皮細胞について、代表的なアポトーシス活性を示す。内皮細胞のアポトーシスは、血管新生阻害活性を示す更に別の手段である。細胞死は、細胞に蓄積する細胞質ヒストン付随DNAフラグメントの量を定量することにより、モニタリングした。アポトーシスアッセイキットは、ELISA検出およびモノクローナル抗ヒストン抗体とともにRoche(cat#1544675)から入手した。簡単には、HUVECまたはケラチン生成細胞をトリプシン処理し、希釈して、50,000個/チューブの濃度でマイクロチューブに分取した。化合物での処理は、37℃で6時間で、続いて細胞を溶解して検出キットを用いて製造者に従って分析した。
【0150】
アポトーシスを405nmの吸収で熱量測定で定量した。対照は、陰性ビヒクル(ctl)対照(1%エタノール)、およびエタノール中4mg/mLの陽性カンプトテシン(CAM)対照からなった。図2を参照。ケラチン生成細胞アッセイについて、Paloma Pharmaceuticalsから入手可能な有力な臨床候補であるパロミド529を、100μMで加えた。結果を図3に示す。(パロミド529は「SG00529」である、表Iを参照)。
【実施例3】
【0151】
ケラチン生成細胞の増殖阻害およびアポトーシス誘導としてin vitroで測定した抗ケラチン生成細胞活性
皮膚疾患は、少なくとも部分的には、ケラチン生成細胞の異常な存在と増殖によるものである。こうした疾患で、このケラチン生成細胞の増殖を阻害および/またはケラチン生成細胞のアポトーシスを誘導する能力のいずれかの手段は、異常皮膚病理の寛解の助けとなることが期待される。以下に、例示のデータを示してこの仮定を支持する。
【0152】
ケラチン生成細胞増殖。ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体、パロミド529を、以下のプロトコルで試験した。低継代ヒトケラチン生成細胞(NHEK、新生児プール、p3−5、Cambrex、CC2507)を、黒色96ウェルプレートの完全培地(KBM、Cambrex)に1ウェルあたり1,000個の細胞で播種して、一晩インキュベートした。次いで、細胞培養培地を除去して、新鮮な増殖培地にパロミド529またはビヒクル(1%DMSO)のいずれかを加えたものと交換した。パロミド529を、9種の濃度(100μMで開始した1:2希釈物)で試験した。実験群および対照群はそれぞれ、6回反復して試験した。培養物を3日間維持してから、蛍光に基づくアッセイ(AlamarBlue、インビトロゲン、増殖培地で1:20に希釈、5時間インキュベーションして読み取り、530ex/580em)で代謝活性な細胞を求めることにより細胞増殖を分析した。図4を参照。
【0153】
ケラチン生成細胞アポトーシス。パロミド529を、以下のプロトコルで試験した。低継代ヒトケラチン生成細胞(NHEK、新生児プール、p3−5、Cambrex、CC2507)を、黒色96ウェルプレートの完全培地(KBM、Cambrex)に1ウェルあたり3,000個の細胞で播種して、一晩インキュベートした(細胞生存率アッセイと同じプレート、隣接するウェル)。次いで、細胞培養培地を除去して、新鮮な増殖培地にパロミド529またはビヒクル(1%DMSO)のいずれかを加えたものと交換した。パロミド529を、7種の濃度(100、30、10、1、0.3、0.1、および0.03μM)で試験した。実験群および対照群はそれぞれ、3回反復して試験した。一晩インキュベーションに続いて、培養培地を除去して、Roche Cell Death ELISA付属キットとともに供給される溶解試薬で細胞を溶解した。次いで、溶解した細胞を清潔なエッペンドルフチューブに移して200×gで遠心分離して核と壊死組織片を除去した。
【0154】
次いで、細胞質画分(細胞質ヌクレオソームを含む)を含有する上清を、ストレプトアビジンコーティングしたプレートに移し、抗ヒストン(ビオチン複合化)抗体および抗DNA(POD複合化)抗体とともに2時間インキュベートした。次いで、ウェルを注意深く洗った。次いで、ABTSをウェルに加えて発色させ(約30分間)、ABTS停止溶液を加えて反応を止めた。次いで、アポトーシスを、490nmのバックグラウンド波長を参照して405nmでのODを読むことで測定した。図5を参照。
【実施例4】
【0155】
ヒト初代肝細胞を用いた代謝安定性アッセイ
細胞に基づくアッセイは細胞中の化合物の安定性または半減期を求めるのに役立つ。こうした専門化した肝細胞は、薬に作用し得る必要な第I相および第II相酵素を全て含有する。こうした細胞でまったく、またはほとんど代謝されない化合物は、代謝的に安定と考えられ、肝細胞で代謝されるものよりも長い半減期をin vivoで有することが期待できる。図6に結果を示す。誘導体をヒト初代肝細胞とともに120分間または240分間インキュベートした。化合物の残存%を左に示す。第I相および/または第II相酵素で代謝され得る対照誘導体を誘導体292として示す。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1A】bFGFに刺激された内皮細胞増殖の、パロミド529による阻害を示す棒グラフである。
【図1B】VEGFに刺激された内皮細胞増殖の、パロミド529による阻害を示す棒グラフである。
【図2】本発明の化合物のアポトーシス誘導能のデータを示す棒グラフである。
【図3】ケラチン生成細胞におけるアポトーシス誘導能のデータを示す棒グラフである。
【図4】ケラチン生成細胞増殖の阻害を示すグラフである。
【図5】様々な濃度の化合物でのアポトーシス活性誘導を示す棒グラフである。そして
【図6】本発明の化合物の代謝的安定性を示す棒グラフである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
R1は、Hまたはアルキルであり;
R2は、H、OH、O−アルキル、アミノ、O−ヘテロシクロ(heterocyc)、O−アリール、O−Ac、O−PO3、O−SO3、OSO2NH2、またはO−置換アルキル、ここで前記置換はハロ、アリールまたはヘテロアリールであり;
R3は、H、OH、O−アルキル、O−CH2アリール、O−CH2ヘテロアリール、O−アルキルアリール、O−アシル、またはニトロであり;
R4は、H、アルキル、CH2アリール、置換アルキル、OH、O−アルキル、O−アリール、OCH2アリール、OCH2ヘテロアリール、O−アシル、OPO3、OSO3、またはOSO2NH2であり;
R5は、H、オキソ、アリール、ヒドロキシル、アルキル、またはO−アルキルであり;
R6は、Hであり;
R7は、H、アシル、アルキル、O−アルキル、置換アルキル、ここで前記置換はヒドロキシルまたはスルファモイルであり、またはO−置換アルキル、ここで前記置換はO−PO3またはOSO3であり;
R8は、Hであり;
Xは、O、N、またはSである)
の化合物を含む組成物。
【請求項2】
式II:
【化2】

(式中、
R1は、Hまたはアルキルであり;
R2は、H、O−アルキル、OH、アミノ、O−ヘテロシクロ(heterocyc)、O−アリール、O−Ac、O−PO3、O−SO3、OSO2NH2、またはO−置換アルキル、ここで前記置換はハロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
R3は、H、O−アルキル、OH、O−アシル、ニトロ、またはO−置換アルキル、ここで置換はアリールまたはヘテロアリールであり;
R4は、H、アルキル、CH2アリール、置換アルキル、OH、O−アルキル、O−アリール、OCH2アリール、OCH2へテロアリール、O−アシル、OPO3、OSO3、またはOSO2NH2であり;
R5は、H、アリール、ヘテロアリール、または置換アルキルであり;
R6は、H、アルキル、またはアリールである)
の化合物を含む組成物。
【請求項3】
式III:
【化3】

(式中、
R1は、アルキルまたはHであり;
R2は、アルキルまたはHであり;
R3は、アセチルであり;
R4は、Hまたはアルキルである)
の化合物を含む組成物。
【請求項4】
式IV:
【化4】

(式中、
R1は、HまたはFであり;
R2は、Hまたはニトロであり;
R3は、Hであり;
R4は、Hであり;
R5は、アルキル、置換アルキル、またはアリールである)
の化合物を含む組成物。
【請求項5】
前記組成物は、表Iからなる群から選択される組成物の1種または複数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記表Iは、ベンゾ[c]クロメン−6−オン誘導体SG00272、SG00273、SG00373、SG00477、SG00519、SG00526、SG00527、SG00528、SG00529、SG00530、SG00531、SG00532、SG00533、SG00535、SG00536、SG00537、SG00538、SG00539、SG00540、SG00541、SG00542、SG00543、SG00544、SG00545、SG00546、SG00547、SG00548、SG00549、SG00550、SG00551、SG00552、SG00553、SG00554、SG00555、SG00556、SG00557、SG00558、SG00559、SG00560、SG00561、SG00562、SG00563、SG00564、SG00565、SG00566、SG00567、SG00568、SG00569、SG00570、SG00571、SG00572、SG00573、SG00574、SGG0575、SG00576、SG00577、SG00579、SG00580、SG00581、SG00582、SG00583、SG00584、SG00585、SG00586、SG00587、SG00588、SG00589、SG00590、SG00591、SG00592、SG00593、SG00594、SG00595、SG00596、SG00597、SG00598、SG00599、SG00600、SG00601、SG00602、SG00603、SG00604、SG00605、SG00606、SG00607、SG00608、SG00609、SG00610、SG00611、SG00612、SG00613、SG00614、SG00615、SG00616、SG00617、SG00618、SG00619、SG00620、およびSG00629を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
式I、式II、式III、および式IVからなる群より選択される化合物を含む、望ましくない血管新生を特徴とする疾患を予防または治療するための組成物。
【請求項8】
前記疾患はさらに望ましくない細胞増殖を特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、血管新生阻害活性または抗増殖活性を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、血管新生阻害活性および抗増殖活性を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、アポトーシス活性を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、徐放のため生分解性または非生分解性フォーマットで配合されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、プロドラッグと複合している、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記プロドラッグは、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、加水分解性エステルアミド、およびカルバメートからなる群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記プロドラッグは、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシラウリングリコール酸(hydroxylauric glycolic acid)、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
患者に、式I、式II、式III、および式IVからなる群より選択される組成物の1種または複数を治療量で投与することを含む、望ましくない血管新生を特徴とする疾患を予防または治療するための方法。
【請求項17】
前記組成物はさらに、許容可能な送達ビヒクルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記患者は癌であるか癌になる可能性が高い、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記癌は、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、血管腫、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状膠細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、骨肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、聴神経腫瘍(acousticneuroma)、神経線維腫、トラコーマおよび化膿性肉芽腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ならびに重鎖病からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者は、遺伝性出血性毛細血管拡張症、固形または血液腫瘍、後天性免疫不全症候群、閉経後の症候、骨粗鬆症、循環器疾患、アルツハイマー病、発作、血管奇形、異常創傷治癒、炎症性および免疫性の障害、痛風、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、早産児の網膜症、角膜移植片拒絶反応、多巣性脈絡膜炎、ベスト病、シュタルガルト病、cblC型コバラミン欠乏症、過粘稠度症候群、ソースビー眼底変性症、弾力線維性仮性黄色腫、虹彩ルベオーシス、オスラー・ウェーバー症候群、オスラー・ウェーバー・ランデュ病、角結膜炎、ビタミンA欠乏症、フリクテン症(phylectenulosis)、細菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、真菌感染、アトピー性および上肢皮膚炎、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、イールズ病、放射状角膜切開、血管結合組織または線維組織の特質のない増殖、増殖性硝子体網膜症、慢性網膜剥離、外傷(擦過傷、角膜同種移植拒絶など合併症を伴う過去の手術、アルカリ火傷、酸火傷、または炭化水素火傷、ブルッフ膜の機械的または熱的損傷が挙げられるがこれらに限定されない)、翼状片、関節炎(リウマチ性および変形性関節炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎、光損傷、シェーグレン症候群、全身性狼瘡、多発性動脈炎、類天疱瘡、鎌状赤血球貧血、パジェット病、静脈または動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、ライム病、ベーチェット病、バルトネラ症(bartonelosis)、動脈硬化症、排卵をブロックまたは着床を予防するための胞胚による無月経の誘導、手術の癒着、慢性炎、潰瘍性大腸炎、およびクローン病からなる群より選択される疾患であるか疾患になる可能性が高い、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記患者に、式I、式II、式III、および式IVからなる群より選択される前記組成物の1種または複数と、前記疾患の治療または予防のための治療薬剤を同時投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記治療薬剤は、腫瘍退縮剤、抗癌剤、抗悪心剤、および鎮吐剤からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記投与は、前記1種または複数の組成物の局所的、経口、経鼻、直腸、非経口投与を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記1種または複数の組成物は移植片に伴うものである、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記1種または複数の組成物はデバイスに伴うものである、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記デバイスは血管ステントである、請求項25に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−528381(P2009−528381A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557486(P2008−557486)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/062971
【国際公開番号】WO2007/101247
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508257234)パロマ ファーマシューティカルズ,インク. (2)
【Fターム(参考)】