説明

組立検査装置及びこれを用いた組立処理装置

【課題】組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組立後の組付部品の組付け状態を容易且つ正確に検査する。
【解決手段】組付受部品1に組み付けられる組付部品2の一部に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、組付受部品1に組み付けられた組付部品2に対向配置されて前記認識表示体12を撮像する撮像具5と、この撮像具5にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、組付受部品1に組み付けられた後の組付部品2の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部6と、この配置情報認識部6にて認識された配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部7と、を備える。これを用いた組立処理装置も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立検査装置及びこれを用いた組立処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における組立検査装置としては、例えば特許文献1,2に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、プリント基板に装着されたチップ部品の位置ずれをカメラで認識する点が開示されている。
特許文献2には、基板に部品を搭載後、高さセンサで部品の高さとその近傍の基板の高さを測定して部品搭載不良を判別する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−145295号公報(実施例,図1参照)
【特許文献2】特開2000−013097号公報(発明の実施の形態,図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組立後の組付部品の組付け状態を容易且つ正確に検査することが可能な組立検査装置及び組立処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、組付受部品に組み付けられる組付部品の一部に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、前記組付受部品に組み付けられた組付部品に対向配置されて前記認識表示体を撮像する撮像具と、この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられた後の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、この配置情報認識部にて認識された配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部と、を備えたことを特徴とする組立検査装置である。
請求項2に係る発明は、組付受部品の一部又は当該組付受部品が予め決められた部位に配置される組立基台の一部と前記組付受部品に組み付けられる組付部品の一部とに夫々設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、前記組付受部品に組み付けられた組付部品に対向配置され、前記組付受部品又は前記組立基台のいずれかと前記組付部品との夫々の認識表示体を撮像する撮像具と、この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品並びに当該組付受部品に組み付けられた後の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、この配置情報認識部にて認識された両者の配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部と、を備えたことを特徴とする組立検査装置である。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2いずれかに係る組立検査装置において、認識表示体は単位パターン印の濃度パターン変化を点像で表示するものであることを特徴とする組立検査装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る組立検査装置において、認識表示体は認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印を有することを特徴とする組立検査装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る組立検査装置において、認識表示体は認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されていることを特徴とする組立検査装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る組立検査装置において、認識表示体は、四以上の単位パターン印と、認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印とを有することを特徴とする組立検査装置である。
【0007】
請求項7に係る発明は、請求項1に係る組立検査装置と、組付受部品に組み付けられる前の組付部品に対向配置されて当該組付部品の認識表示体を撮像する組付前撮像具と、この組付前撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられる前の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部と、この組付前配置情報認識部にて認識された組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を制御する制御部と、この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を実施する処理機構と、を備えたことを特徴とする組立処理装置である。
請求項8に係る発明は、請求項2に係る組立検査装置と、組付受部品に組み付けられる前の組付部品に対向配置されて当該組付部品の認識表示体並びに組付部品が組付けられる前の組付受部品又は前記組立基台に対向配置されて当該組付受部品又は前記組立基台の認識表示体を撮像する組付前撮像具と、この組付前撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられる前の組付部品並びに前記組付受部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部と、この組付前配置情報認識部にて認識された組付部品並びに組付受部品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を制御する制御部と、この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を実施する処理機構と、を備えたことを特徴とする組立処理装置である。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に係る組立処理装置において、組立検査装置の撮像具は、前記組付前撮像具を兼用するものであることを特徴とする組立処理装置である。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る組立処理装置において、組立検査装置の撮像具は前記処理機構と共に移動自在に設けられることを特徴とする組立処理装置である。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る組立処理装置において、前記処理機構は、撮像具の撮像面とこの撮像具の視野範囲に入る前記認識対象物品に設けられる認識表示体面が正対しない非正対計測位置に少なくとも前記撮像具を配置可能とすることを特徴とする組立処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組立後の組付部品の組付け状態を容易且つ正確に検査することができる。
請求項2に係る発明によれば、組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組立後の組付受部品に対する組付部品の組付け状態をより正確に検査することができる。
請求項3に係る発明によれば、認識対象に対し認識表示体を簡単に構築することができる。
請求項4に係る発明によれば、認識表示体として単位パターン印を共通の平面に形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、認識対象物品に対し認識表示体を容易に変更することができる。
請求項6に係る発明によれば、認識対象物品が異なる種別を有する場合でも、種別を考慮した認識表示体を付すことができる。
請求項7に係る発明によれば、組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を正確に実現できると共に、組立後の組付部品の組付け状態を容易且つ正確に検査することができる。
請求項8に係る発明によれば、組付受部品に組付部品を組付けるに当たり、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作をより正確に実現できると共に、組立後の組付部品の組付け状態をより正確に検査することができる。
請求項9に係る発明によれば、少ない撮像具にて組付部品の組立処理、組立検査を実現することができる。
請求項10に係る発明によれば、撮像具による撮像方向を最適に移動することができる。
請求項11に係る発明によれば、本態様を用いない場合に比べて、撮像具による撮像情報として高精度のものを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された組立検査装置及び組立処理装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は実施の形態で用いられる認識表示体の一例を示す説明図である。
【図2】図1の組立検査装置を含む組立処理装置の組立処理の概要を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る組立処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1で用いられるパターンマーカの付された組付部品の一例を示す説明図、(b)はパターンマーカの全体構成を示す説明図、(c)(d)は単位パターン印の構成例を示す説明図である。
【図5】(a)は実施の形態1で用いられるパターンマーカの単位パターン印の特性を模式的に示す説明図、(b)は比較の形態で用いられるマーカの構成例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられるパターンマーカによる組立部品の位置、姿勢の特定原理を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられるパターンマーカの製造例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1で用いられるパターンマーカの構成寸法例を示す説明図である。
【図9】(a)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの中心原点に対して正対計測位置に設置した態様を示す説明図、(b)は撮像具としてのカメラの撮像面を(a)の正対計測位置に対し平行移動させた態様を示す説明図、(c)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの表示面とが非平行な位置関係にある非正対計測位置に設置した態様を示す説明図である。
【図10】(a)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの中心原点に対して正対計測位置に設置した態様を模式的に示す説明図、(b)は(a)の場合における計測精度を示す説明図である。
【図11】実施の形態1に係る組立処理装置による組立処理過程を示すフローチャートである。
【図12】図11の組立処理過程を模式的に示す説明図である。
【図13】(a)〜(d)は組立検査過程で検査可能な位置・姿勢に関する配置情報を示し、(a)はZ軸方向の浮き、(b)はY軸回りの傾き、(c)はX軸方向及びY軸方向の位置ずれ、(d)はZ軸回りの回転ずれである。
【図14】(a)は比較の形態に係る組立処理装置の一例を模式的に示す説明図、(b)はその正常な組付け状態を示す(a)中B方向から見た説明図である。
【図15】(a)〜(d)は比較の形態における組立処理装置の一例を示し、(a)はZ軸方向の浮き、(b)はX軸、Y軸回りの傾き、(c)はX軸方向及びY軸方向の位置ずれ、(d)はZ軸回りの回転ずれを検査する態様を夫々示す。である。
【図16】実施の形態2に係る組立処理装置の要部を示す説明図である。
【図17】実施の形態2に係る組立処理装置による組立処理過程を示すフローチャートである。
【図18】図17の組立処理過程を模式的に示す説明図である。
【図19】(a)は実施の形態3に係る組立処理装置の要部を示す説明図、(b)は実施の形態3に係る組立処理装置の変形形態の要部を示す説明図である。
【図20】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカカードの構成例を示す説明図である。
【図21】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカカードの固定例を示す説明図であり、(I)は断面説明図、(II)はその平面説明図である。
【図22】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカカードの別の例を示す説明図であり、(I)は断面説明図、(II)はその平面説明図である。
【図23】実施の形態4に係る組立処理装置(コネクタ装置)の要部を示し、(a)は組付前のコネクタ装置を示す説明図、(b)は組付後のコネクタ装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用される組立検査装置及びこれを用いた組立処理装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、組立検査装置の一つの代表的態様は、図1(a)(b)に示すように、組付受部品1に組み付けられる組付部品2の一部に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、前記組付受部品1に組み付けられた組付部品2に対向配置されて前記認識表示体12を撮像する撮像具5と、この撮像具5にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品1に組み付けられた後の組付部品2の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部6と、この配置情報認識部6にて認識された配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部7と、を備えたものである。
そして、この組立検査装置を用いた組立処理装置は、前述した組立検査装置と、組付受部品1に組み付けられる前の組付部品2に対向配置されて当該組付部品2の認識表示体12を撮像する組付前撮像具5’と、この組付前撮像具5’にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品1に組み付けられる前の組付部品2の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部8と、この組付前配置情報認識部8にて認識された組付部品2の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品2の採取処理動作及び組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作を制御する制御部9と、この制御部9にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品2の採取処理動作及び組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作を実施する処理機構10と、を備えたものである。
【0011】
このような技術的手段において、認識表示体12としては、四以上の単位パターン印13を有するものであればよい。ここで、単位パターン印13としては、濃度パターンPcが順次変化するものであればよく、中心位置Cが周囲よりも高濃度である態様に限られず、中心位置Cが周囲よりも低濃度である態様も含む。単位パターン印13の濃度パターンPc変化についてはグラデーションで表示する手法が挙げられるが、これに限られず点像(ドット)で表示するようにしても差し支えない。尚、単位パターン印13は印刷技術を用いて直接描いてもよいが、型成形時の表面刻印模様等、例えばコーナーキューブ(立方体内面の隅の性質を利用した光などを元の方向へ反射する器具)のように、再帰反射を利用して表記するようにしてもよい。
また、撮像具5は複数用いてもよいが、装置構成を簡略化するという観点からすれば一つがよい。
更に、配置情報認識部6としては、組付受部品1の認識表示体12を撮像具5にて撮像し、この情報に基づいて所定のアルゴリズムに従って位置及び姿勢に関する配置情報を認識するようにすればよい。
更にまた、組立検査部7としては、予め許容範囲を決めておき、この許容範囲を逸脱するか否かで組立の良否を検査するようにすればよい。
また、本態様に係る組立処理装置は、図2に示すように、組付部品2の配置情報を認識し、組付部品2の採取処理動作を実施すると共に、組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作を実施する。この場合、組付受部品1は予め決められた部位に配置されているようにすればよい。
そして、図2に示すように、組付受部品1に組付部品2が組付けられた後に、組立検査装置が組立の検査を実施する。
【0012】
また、組立検査装置の別の代表的態様は、図1(a)(b)に示すように、組付受部品1の一部又は当該組付受部品1が予め決められた部位に配置される組立基台(図示せず)の一部と前記組付受部品1に組み付けられる組付部品2の一部とに夫々設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、前記組付受部品1に組み付けられた組付部品2に対向配置され、前記組付受部品1又は前記組立基台のいずれかと前記組付部品2との夫々の認識表示体12を撮像する撮像具5と、この撮像具5にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品1並びに当該組付受部品1に組み付けられた後の組付部品2の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部6と、この配置情報認識部6にて認識された両者の配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部7と、を備えたものである。
このような組立検査装置を用いた組立処理装置は、図1(a)(b)に示すように、前述した組付受部品1に組付けられる組付部品2の組付け状態を検査する組立検査装置と、組付受部品1に組み付けられる前の組付部品2に対向配置されて当該組付部品2の認識表示体12並びに組付受部品1が組付けられる前の組付受部品1又は組立基台(図示せず)に対向配置されて当該組付受部品1又は前記組立基台の認識表示体12を撮像する組付前撮像具5’と、この組付前撮像具5’にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品1に組み付けられる前の組付部品2並びに前記組付受部品1の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部8と、この組付前配置情報認識部8にて認識された組付部品2並びに組付受部品1の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品2の採取処理動作及び組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作を制御する制御部9と、この制御部9にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品2の採取処理動作及び組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作を実施する処理機構10と、を備えたものである。
本態様に係る組立検査装置にあっては、組付部品2及び組付受部品1(又は組立基台)の位置及び姿勢に関する配置情報を夫々認識することが可能であるため、両者の相対位置関係を考慮しながら、組付受部品1に対する組付部品2の組付け状態が検査される。
更に、本態様に係る組立処理装置にあっては、組付部品2及び組付受部品1(又は組立基台)の配置情報を認識し、組付部品2の採取処理動作を実施すると共に、組付受部品1に対する組付部品2の組付処理動作が実施される。
【0013】
次に、認識表示体12の好ましい態様について説明する。
先ず、認識表示体12の好ましい態様としては、単位パターン印13の濃度パターンPc変化を点像で表示するものが挙げられる。本態様では、点像表示であるため、インクジェット方式や電子写真方式の画像形成装置にて認識表示体12の単位パターン印13を形成することが可能である。
また、認識表示体12としては認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印13を有する態様が挙げられる。例えば四つの単位パターン印13の1つを他の三つと異なる平面に形成するなどしなくても、認識対象物品の位置及び姿勢を特定することが可能である。
更に、認識表示体12を簡単に変更するという観点からすれば、認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されているように構成すればよい。
更にまた、認識対象物品が異なる種別を有する場合には、認識表示体12として、図1(b)に示すように、四以上の単位パターン印13と、認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印14とを有するようにすればよい。
【0014】
更に、本実施の形態において、撮像具5の好ましい態様としては、組立検査装置の撮像具5は組付前撮像具5’と兼用する態様が挙げられる。
更にまた、撮像具5の好ましい支持態様としては、組立検査装置の撮像具5は前記処理機構10と共に移動自在に設けられる態様が挙げられる。
また、撮像具5により高精度に撮像する方式としては、処理機構10は、撮像具5の撮像面とこの撮像具5の視野範囲に入る認識対象物品に設けられた認識表示体12面とが正対しない非正対計測位置に少なくとも前記撮像具5を配置可能とするようにすればよい。この場合、非正対計測位置に撮像具を固定的に設ける構成でもよいが、撮像具5の撮像面とこの撮像具5の視野範囲に入る前記認識対象物品1に設けられた認識表示体12面とが正対する正対計測位置と非正対計測位置とを含む計測を可能にするように撮像具5を移動可能に支持する構成を採用するようにしてもよいし、あるいは、非正対計測位置を複数段階計測可能にするように撮像具5を移動可能に支持する構成を採用してもよい。
【0015】
◎実施の形態1
図3は実施の形態1に係る組立処理装置の全体構成を示す説明図である。
<組立処理装置の全体構成>
同図において、組立処理装置は、図示外の組付受部品に対し組付部品20を自動組付けし、その組付け状態を検査するものである。
本実施の形態では、組立処理装置は、組付部品20に位置及び姿勢からなる配置情報を認識するために設けられた認識表示体としてのパターンマーカ30と、この組付部品20のパターンマーカ30を撮像するカメラ40と、組付部品20を把持し且つ組付受部品に対して前記組付部品20を組付ける支持機構としてのロボット50と、前記カメラ40の撮像タイミングを制御し、前記カメラ40からの撮像情報を入力して前記組付部品20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識すると共に、この認識した配置情報に基づいて後述する図11に示すフローチャートに従ってロボット50の動きを制御する制御装置60とを備えている。
本例では、ロボット50は多軸関節にて可動するロボットアーム51の先端に把持動作可能なロボットハンド52を有し、モーションキャプチャ等の入力軌跡情報に従ってロボットハンド52による処理動作を教示すると共に、前記カメラ40からの撮像情報に基づいて前記ロボットハンド52による処理動作に補正を施すようにしたものである。
そして、本例では、前記カメラ40はロボットハンド52の一部に固着され、ロボットハンド52によって予め決められた計測位置に設置されるようになっている。
また、組付部品20は用途に応じて任意に選定されるが、本実施の形態では、例えば略直方体状の部品本体21の底部に一対の位置決め脚部23を有し、組付受部品70(図12参照)の位置決め凹部73に挿入される形で組付けられるようになっている。
【0016】
<パターンマーカ>
本実施の形態において、パターンマーカ30は、図4(a)(b)に示すように、組付部品20の部品本体21の頂部面22を認識基準面とし、この頂部面22の四隅に設けられる単位パターン印31と、部品本体21の頂部面22の隣接する二辺に沿って設けられる種別表示印36とを有している。尚、図4(a)中、符号70は組付受部品を指す。
ここで、単位パターン印31の一つの代表的態様は、例えば図4(c)及び図5(a)に示すように、中心位置Cが最も高濃度で周辺に向かって順次薄く変化する濃度パターンPcのグラデーション32として表示されている。
また、単位パターン印31の別の代表的態様は、図4(d)及び図5(a)に示すように、中心位置Cが最も密にドット33が分布して高濃度領域34を形成し且つ周囲に向かってドット33の分布が次第に粗くなって低濃度領域35を形成するドットパターンとして表示されている。この場合、ドット33の直径サイズ及びドット同士の間隔、配置位置を変えることで濃度分布を持たせることが可能である。
特に、ドットパターン方式は、インクジェットや電子写真方式の画像形成装置を利用した印刷により容易に形成される点で好ましい。
一方、種別表示印36は、例えば組付受部品70が複数の種類ある場合(例えば色による種別や、サイズによる種別など)に、該当する種別の組付受部品70との整合を図る上でのID(Identification)表示となるものである。尚、本例では、種別表示印36は二箇所に設けられているが、一箇所に設けるようにしてもよいし、あるいは、三箇所以上に分割して設けるようにしても差し支えない。
【0017】
−LED表示板との対比−
図5(b)に示すLED表示板180は、パターンマーカ30と異なり、基板181上に四つのLED182(182a〜182d)を設け、四つのLED182のうち三つのLED182(182a〜182c)を基板181の同一面に設置し、この三つのLED182を頂点とする三角形参照面183に対してhだけ離間した垂線v上に他の一つのLED182(182d)を設置し、前記三角形参照面183とこれの垂線v上のLED182(182d)との位置関係から前記三角形参照面183の位置及び姿勢を求めるようにしたものである。尚、符号184はID用LEDである。
このLED表示板180でも、確かに組付部品20の位置及び姿勢は認識されるが、LED182を使用するための電源が必要であることから、このような電源が不要である点において本例のパターンマーカ30の方が好ましい。
また、LED表示板180では、四つのLED182を立体的に配置することで位置及び姿勢の認識精度を高める手法を採用しているが、パターンマーカ30では単位パターン印31の夫々は中心位置Cの周囲に順次変化する濃度分布を具備していることから、濃度分布の近似式から濃度分布の中心位置C(濃度の一番高い点)を高精度に算出することが可能である。このため、単位パターン印31に対する認識精度が高いことに伴って、四つの単位パターン印31を同一面に配置したとしても、四つの単位パターン印31の中心位置Cに相当する頂点の位置を認識することで、図6に示すように、仮に、組付部品20がA位置からB位置へ回転角αの回転を伴って変化した場合でも、組付部品20の認識基準面である頂部面22の位置及び姿勢が正確に認識される。
尚、本例では、単位パターン印31は同一平面上に四つ設けられているが、これに限られるものではなく、例えば任意の六点に単位パターン印31を設ける等してもよい。つまり、三次元の位置及び姿勢を認識することが可能であれば、適宜選定して差し支えなく、単位パターン印31の数を四以上設けるようにすればよく、また、単位パターン印31の設置箇所については同一平面に限らず、異なる平面にわたって設けるようにしてもよい。
【0018】
−パターンマーカの製造例−
本実施の形態において、パターンマーカ30は、例えば図7に示すように、組付部品20の頂部面22の四隅並びに二辺に沿った箇所に夫々取付凹部37を形成し、この取付凹部37に前記単位パターン印31及び種別表示印36が印刷されたラベル38を貼付するようにしたものである。このとき、例えば取付凹部37の深さはラベル38の厚さに相当するように選定され、単位パターン印31及び種別表示印36が認識基準面になる頂部面22と面一になるように設定されている。尚、パターンマーカ30は認識基準面となる頂部面22と面一に設定されているが、必ずしも面一でなくても差し支えない。また、本例では、取付凹部37を介してラベル38を貼付するようにしているが、取付凹部37を介さずに直接認識基準面となる頂部面22に貼付するようにしても差し支えない。
また、本例では、パターンマーカ30の単位パターン印31は、組付部品20の頂部面22の縁部からある程度離間して設けることが好ましい。
例えば図8に示すように、単位パターン印31の半径をR、単位パターン印31の最外郭と頂部面22の縁部との間隔をSとすると、S>2Rを満たすことが好ましい。これは、単位パターン印31の中心位置Cを高精度に検出するためのアルゴリズムに基づくもので、単位パターン印31の円パターンにかぶせる検出用の矩形ウィンドウが前記組付部品20の頂部面22の縁部(黒い縁取り部分で表示)と重ならないようにS>2Rという関係を満たすようにしたものである。尚、パターンマーカ30について異なる検出アルゴリズムを用いるようにすれば単位パターン印31のレイアウトについては任意に設定できることは勿論である。
【0019】
<カメラの計測位置>
本例では、カメラ40は組付部品20のパターンマーカ30を撮像可能にすべき当該パターンマーカ30に対向配置されている。
このとき、カメラ40の計測位置について検討すると、図9(a)〜(c)の態様が挙げられる。
先ず、図9(a)に示す態様は、カメラ40の撮像面中心位置(視野範囲の中心位置)が組付部品20のパターンマーカ30のうち四つの単位パターン印31の中心位置Cを含み、認識基準面である頂部面22に正対した正対計測位置である場合である。
この態様では、カメラ40とパターンマーカ30との間の距離方向の計測精度が低下する懸念がある。
今、図10(a)(b)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30に正対している場合、パターンマーカ30の単位パターン印31間の幅寸法をカメラ40で撮像される画像サイズLとし、仮に、組付部品20の認識基準面である頂部面22上のパターンマーカ30がθだけ微小に変化したときの画像サイズ変化をL’とすれば、L’=L×cosθという関係を満たす。
このことからすれば、画像サイズ変化L’は当初の画像サイズLよりも小さくなることから、計測精度が低下することが理解される。
【0020】
次に、図9(b)に示す態様は、図9(a)の位置からカメラ40の視野範囲中心位置がパターンマーカ30の四つの単位パターン印31の中心位置Cから外れるように、パターンマーカ30の面に沿ってカメラ40を平行移動させ、図9(a)の正対計測位置からオフセットした場合である。
この場合には、図9(a)の場合に比べて、カメラ40の計測精度は向上する。但し、パターンマーカ30がカメラ40の視野範囲の中心位置Cから外れた位置となるため、カメラ40のレンズ歪の影響により計測精度が低下する懸念がある。このとき、レンズ歪補正を行ったとしても、計測精度は低下する傾向にあるため、更に改善策を講ずることが好ましい。
これに対し、図9(c)に示す態様は、カメラ40の撮像面とパターンマーカ30の面(認識基準面である組付部品20の頂部面22に相当)とが正対せず、カメラ40の視野範囲中心がパターンマーカ30の四つの単位パターン印31の中心位置に対応して配置されている場合である。これは、図9(c)に示すように、パターンマーカ30の認識基準面に対してカメラ40の撮像面を傾斜配置したものであり、カメラ40の計測精度は向上する。つまり、図10(a)(b)に示す場合を想定すれば、図9(c)に示す態様は画像サイズ変化L’に傾いたものと仮定することができ、これがθだけ回転して画像サイズ変化L’がLに至ったものと考えられる。この場合、画像サイズの変化は、L=L’/cosθであることから、θの変化が大きいほど、cosθの値の変化が大きくなり、それに従い画像サイズの変化も大きいものとして与えられる。
よって、図9(c)に示す態様ではカメラ40の計測精度が向上することが理解される。
また、傾斜角度θの選定については適宜選定して差し支えないが、15°〜75°の範囲が好ましく、計測精度を高めるという点では、特には45°付近に選定することがよい。
但し、例えば図3に示すように、カメラ40がロボットハンド52に取り付けられている態様では、傾斜角度θが大きい程、計測後にロボットハンド52を組付部品20位置まで移動させる距離が大きくなり、生産タクトに影響することから、生産タクトを考慮すれば、計測精度が確保できる範囲で可能な限り傾斜角度θは小さい方が好ましい。
【0021】
<組立処理>
次に、本実施の形態に係る組立処理装置による組立処理について説明する。
−組付部品の組付処理−
先ず、制御装置60は、図11に示すフローチャートを実行し、カメラ40及びロボット50に対して制御信号を送出する。
同図において、制御装置60は、先ずカメラ40にて組付前の組付部品20のパターンマーカ30を計測し(図12の部品認識過程参照)、この後、組付前の組付部品20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52の移動動作を決定し、ロボットハンド52にて組付部品20を把持する(図12の部品把持過程参照)と共に、ロボットハンド52にて組付受部品70に組付部品20を組付ける(図12の部品組付過程参照)。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52による組付部品20の組付処理動作を終了したものと判断し、ロボットハンド52を予め決められた退避位置に退避させる。
【0022】
−組付部品の組立検査−
次いで、制御装置60は、カメラ40にて組付後の組付部品20のパターンマーカ30を計測し、組付後の組付部品20の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する(図12の組付確認過程参照)。
そして、計測値が予め定めた許容レベルか否かをチェックし、許容レベル内であれば組立検査は良好(OK)と判断し、一方、許容レベルを超える場合には組立検査は不良(NG)と判断する。
より具体的には、図13(a)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30の各単位パターン印31の撮像情報からZ軸方向の位置データを取得することで、Z軸方向の浮き(ΔZ)を算出することができる。
また、図13(b)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30の各単位パターン印31の撮像情報からY軸回りの位置データを取得することで、Y軸回りの傾き(θy)を算出することができる。
更に、図13(c)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30の各単位パターン印31の撮像情報からX軸方向、Y軸方向の位置データを取得することで、X軸方向、Y軸方向の位置ずれ(ΔX、ΔY)を算出することができる。
更にまた、図13(d)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30の各単位パターン印31の撮像情報からZ軸回りの位置データを取得することで、Z軸回りの回転ずれ(θz)を算出することができる。
【0023】
<比較の形態による組付部品の組立検査>
図14(a)は組付部品20’にパターンマーカを付さない比較の形態を示し、図14(b)に示すように、組付受部品70’に組付部品20’が正常に組付けられれば、組付部品20’が例えばZ軸方向に浮いたり、Y軸回りに傾くことはない。
しかしながら、組付受部品70’に対して組付部品20’が正常に組付けられない場合には、例えば図15(a)に示すように、Z軸方向の変位センサ(例えば非接触式のレーザ変位センサ又は接触式の変位センサ)201にてZ軸方向の位置データを取得することで、Z軸方向の浮き(ΔZ)を算出する必要がある。
また、図15(b)に示すように、X軸方向及びY軸方向に離間した2台のZ軸方向の変位センサ(例えば非接触式のレーザ変位センサ又は接触式の変位センサ)202,203からの計測値の差分に基づいてX軸回りの傾きθx、Y軸回りの傾きθyを算出する必要がある。
更に、図15(c)に示すように、X軸方向、Y軸方向の変位センサ(例えば非接触式のレーザ変位センサ又は接触式の変位センサ)204,205にてX軸方向、Y軸方向の位置データを取得することで、X軸方向の位置ずれ(ΔX)、Y軸方向の位置ずれ(ΔY)を算出する必要がある。
更にまた、図15(d)に示すように、例えばX軸方向に離間したY軸方向の変位センサ(例えば非接触式のレーザ変位センサ又は接触式の変位センサ)206,207からの計測値の差分に基づいてZ軸回りの回転ずれθzを算出する必要がある。
このように、夫々の変位を算出するには、一部共用することは可能かも知れないが、多くの変位センサ201〜207を要することから、設備構成が複雑化する懸念がある。
【0024】
◎実施の形態2
図16は実施の形態2に係る組立処理装置の要部を示す説明図である。
本実施の形態において、組立処理装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、組付受部品70の頂部面22にも、組付部品20のパターンマーカ30と略同様な構成のパターンマーカ80が設けられている。本例では、パターンマーカ80は、頂部面22の四隅に設けられる単位パターン印81と、頂部面22の二辺に沿って設けられる種別表示印86とを有している。
そして、本例では、カメラ40が組付部品20のパターンマーカ30を撮像すると共に、組付受部品70のパターンマーカ80をも撮像するようになっており、実施の形態1と同様な制御装置60は図17に示すフローチャートに従ってカメラ40及びロボット50(実施の形態1参照)を制御するものである。
【0025】
次に、図17に基づいて本実施の形態の組立処理装置の作動について説明する。
先ず、制御装置60は、図17に示すフローチャートを実行し、カメラ40及びロボット50に対して制御信号を送出する。
同図において、制御装置60は、先ずカメラ40にて組付前の組付部品20のパターンマーカ30を計測し(図18の部品認識過程参照)、この後、組付前の組付部品20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52の移動動作を決定し、ロボットハンド52にて組付部品20を把持する(図18の部品把持過程参照)。
次いで、制御装置60は、カメラ40にて組付受部品70のパターンマーカ80を計測し、組付受部品70の位置及び姿勢からなる配置情報を認識すると共に、ロボットハンド52の移動動作を補正し、ロボットハンド52にて組付受部品70に組付部品20を組付ける(図18の部品組付過程参照)。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52による組付部品20の組付処理動作を終了したものと判断し、ロボットハンド52を予め決められた退避位置に退避させる。
次いで、制御装置60は、カメラ40にて組付後の組付部品20、組付受部品70のパターンマーカ30、80を計測し、組付後の組付部品20、組付受部品70の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する(図18の組付確認過程参照)。
そして、両者の相対位置関係から、計測値が予め定めた許容レベルか否かをチェックし、許容レベル内であれば組立検査は良好(OK)と判断し、一方、許容レベルを超える場合には組立検査は不良(NG)と判断する。
特に、本実施の形態では、組付受部品70についても、位置及び姿勢の配置情報を認識するので、組付受部品70への組付部品20の組付精度が良好に保たれるばかりが、組付後の組立検査過程でも、組付部品20及び組付受部品70の相対位置関係が認識されることから、組付受部品70に対する組付部品20の組付状態が実施の形態1よりも正確に検査される。
尚、本実施の形態では、組立検査過程で組付受部品70の位置及び姿勢に関する配置情報をも認識するようにしているが、組付受部品70へ組付部品20を組付ける際に、組付受部品70の位置及び姿勢に関する配置情報を認識するようにしているため、組立検査過程では、組付受部品70の配置情報の認識処理を省略してもよい。
【0026】
◎実施の形態3
図19(a)は実施の形態3に係る組立処理装置の要部を示す。
同図において、組立処理装置は、実施の形態2と略同様であるが、実施の形態2と異なり、組立治具(組立基台に相当)100の予め決められた部位に組付受部品70を位置決めし、前記組立治具100の一部にパターンマーカ80と同様なパターンマーカ110を設けるようにしたものである。
本実施の形態において、パターンマーカ110はカード120表面に印刷されており、組立治具100の頂部面101の一部に形成された取付凹部102(図21参照)にカード120を固定するようにしたものである。
ここで、パターンマーカ110としては、図20(a)に示すように、カード120の表面の四隅に設けられる例えばグラデーション112からなる単位パターン印111と、カード120表面の二辺に沿って設けられる種別表示印116とを有する態様や、あるいは、図20(b)に示すように、カード120の表面の四隅に設けられる例えばドット113パターンからなる単位パターン印111と、カード120表面の二辺に沿って設けられる種別表示印126とを有する態様が挙げられる。
【0027】
<パターンマーカの固定方法>
パターンマーカ110の固定方法としては以下のものが挙げられる。
図21(a)に示す態様は、組立治具100の頂部面101に形成された取付凹部102の周壁に弾性変形可能な押さえ突片130を設け、パターンマーカ110が印刷されたカード120を前記押さえ突片130を弾性変形させながら取付凹部102内に収容し、取付凹部102内のカード120の周囲を押さえ突片130で押さえ込むようにしたものである。尚、本例では、前記押さえ突片130を弾性変形させながら、前記カード120を取り外すことは可能である。
また、図21(b)に示す態様は、組立治具100の頂部面101に形成された取付凹部102の底部及びパターンマーカ110が印刷されたカード120の四隅に取付孔131,132を開設し、図示外の止め具にて前記取付凹部102内にカード120を固定するようにしたものである。
更に、図22(a)に示す態様は、紙や樹脂製のラベル140にパターンマーカ110を印刷し、取付凹部102の底部にラベル140を貼り付けるようにしたものである。
更にまた、図22(b)に示す態様は、組立治具100の頂部面101の取付凹部102の底部にパターンマーカ110を直接印刷するようにしたものである。
【0028】
このように、本実施の形態では、組立治具100にパターンマーカ110を設けるようにしたので、カメラ40にて組立治具100のパターンマーカ110を計測することにより、組立治具100の位置及び姿勢に関する配置情報を認識し、これに基づいて、組付受部品70の位置及び姿勢に関する配置情報を認識することが可能である。このため、組付受部品70に組付部品20を組付けるに当たり、組付受部品70に対する組付部品20の組付処理が正確に行われる。
また、組付受部品70に対する組付部品20の組付けが完了した後、組付部品20のパターンマーカ30及び組立治具100のパターンマーカ110を計測することで、組付部品20及び組立治具100の位置及び姿勢からなる配置情報に基づいて、組付部品20及び組付受部品70の相対位置関係を認識し、もって、組付受部品70に対する組付部品20の組付け状態をチェックすることが可能である。
尚、本実施の形態では、図19(a)に示すように、組立治具100の頂部面101の一部の取付凹部102にパターンマーカ110を設けるようにしているが、これに限られるものではなく、図19(b)に示すように、組立治具100の頂部面101の四隅及び二辺に沿ってパターンマーカ110を設けるようにしてもよいことは勿論である。
【0029】
◎実施の形態4
図23(a)(b)はコネクタ装置の挿入状態を検査するための組立処理装置の要部を示す。
図23(a)はコネクタ装置150の要素である雄コネクタ151と雌コネクタ152とが未挿入な状態を示す説明図、同図(b)は両者が挿入された状態を示す説明図である。
本例では、雄コネクタ151及び雌コネクタ152の同じ側に位置する一側面には夫々パターンマーカ160,170が設けられている。これらのパターンマーカ160,170はいずれも一側面の四隅に設けられる単位パターン印161,171と、一側面の二辺に沿って設けられる種別表示印166,176とを有する。
これらのパターンマーカ160,170は、図23(b)に示すように、雌コネクタ152に雄コネクタ151が挿入組付けされた後にカメラ40にて計測される。
そして、図示外の制御装置は、計測された撮像情報に基づいて、雄コネクタ151及び雌コネクタ152のパターンマーカ160,170の位置及び姿勢からなる配置情報を認識し、両者の相対位置関係を演算することで両者の組付け状態をチェックする。
尚、雄コネクタ151、雌コネクタ152の夫々のパターンマーカ160,170に異なる種別表示印(ID)を割り付けることで夫々の雄コネクタ151、雌コネクタ152の配置情報を正確に認識することが可能である。
また、本実施の形態では、雄コネクタ151、雌コネクタ152に夫々パターンマーカ160,170を設けるようにしているが、例えばプリント基板155上の予め決められた部位に雌コネクタ152が設けられる態様では、雌コネクタ152に変えてプリント基板155にパターンマーカ170を設け、これと雌コネクタ152に挿入組付けされた雄コネクタ151のパターンマーカ160とで両者の相対位置関係を認識するようにしても差し支えない。
【符号の説明】
【0030】
1…組付受部品,2…組付部品,5…撮像具,5’…組付前撮像具,6…配置情報認識部,7…組立検査部,8…組付前配置情報認識部,9…制御部,10…処理機構,12…認識表示体,13…単位パターン印,14…種別表示印,C…中心位置,Pc…濃度パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付受部品に組み付けられる組付部品の一部に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、
前記組付受部品に組み付けられた組付部品に対向配置されて前記認識表示体を撮像する撮像具と、
この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられた後の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、
この配置情報認識部にて認識された配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部と、
を備えたことを特徴とする組立検査装置。
【請求項2】
組付受部品の一部又は当該組付受部品が予め決められた部位に配置される組立基台の一部と前記組付受部品に組み付けられる組付部品の一部とに夫々設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、
前記組付受部品に組み付けられた組付部品に対向配置され、前記組付受部品又は前記組立基台のいずれかと前記組付部品との夫々の認識表示体を撮像する撮像具と、
この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品並びに当該組付受部品に組み付けられた後の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、
この配置情報認識部にて認識された両者の配置情報に基づいて良好な組付状態の組立であるか否かを検査する組立検査部と、
を備えたことを特徴とする組立検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2いずれかに記載の組立検査装置において、
認識表示体は単位パターン印の濃度パターン変化を点像で表示するものであることを特徴とする組立検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の組立検査装置において、
認識表示体は認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印を有することを特徴とする組立検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の組立検査装置において、
認識表示体は認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されていることを特徴とする組立検査装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の組立検査装置において、
認識表示体は、四以上の単位パターン印と、認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印とを有することを特徴とする組立検査装置。
【請求項7】
請求項1記載の組立検査装置と、
組付受部品に組み付けられる前の組付部品に対向配置されて当該組付部品の認識表示体を撮像する組付前撮像具と、
この組付前撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられる前の組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部と、
この組付前配置情報認識部にて認識された組付部品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を制御する制御部と、
この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を実施する処理機構と、
を備えたことを特徴とする組立処理装置。
【請求項8】
請求項2記載の組立検査装置と、
組付受部品に組み付けられる前の組付部品に対向配置されて当該組付部品の認識表示体並びに組付部品が組付けられる前の組付受部品又は前記組立基台に対向配置されて当該組付受部品又は前記組立基台の認識表示体を撮像する組付前撮像具と、
この組付前撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記組付受部品に組み付けられる前の組付部品並びに前記組付受部品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する組付前配置情報認識部と、
この組付前配置情報認識部にて認識された組付部品並びに組付受部品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を制御する制御部と、
この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記組付部品の採取処理動作及び組付受部品に対する組付部品の組付処理動作を実施する処理機構と、
を備えたことを特徴とする組立処理装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の組立処理装置において、
組立検査装置の撮像具は、前記組付前撮像具を兼用するものであることを特徴とする組立処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の組立処理装置において、
組立検査装置の撮像具は前記処理機構と共に移動自在に設けられることを特徴とする組立処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の組立処理装置において、
前記処理機構は、撮像具の撮像面とこの撮像具の視野範囲に入る前記認識対象物品に設けられる認識表示体面とが正対しない非正対計測位置に少なくとも前記撮像具を配置可能とすることを特徴とする組立処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−206878(P2011−206878A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76211(P2010−76211)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】