説明

経路案内装置

【課題】利用者にとって身近な場所の周辺にある施設に関して情報を提供することができる経路案内装置を提供する。
【解決手段】経路案内装置を搭載した搭載車両が所定の距離を走行するたびに、その搭載車両の現在位置(たとえば、現在位置V1〜V3)の周辺の地図範囲(たとえば、地図範囲R3)の内側にある施設(たとえば、施設CCCCおよびDDDD)を検索し、発見された施設に関する情報を経路案内装置の記憶部に記憶する。そして、利用者から情報提供の要請があったとき、記憶部に記憶された施設に関する情報に基づいて一覧表を作成し、利用者に情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が設定した目的地に対して経路を探索し、探索の結果得られた経路の周辺の施設を検索する経路案内装置が存在する(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−321224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経路案内装置の利用者は、目的地が利用者にとって身近な場所であった場合に経路探索を行わないことがある。従来の経路案内装置では、経路探索を行わなかった場合、自車両が通る道路周辺の施設を検索することができない。そのため、従来の経路案内装置では、利用者にとって身近な場所の周辺にある施設に関して利用者に情報を提供することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による経路案内装置は、施設に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、車両の位置を特定する車両位置特定手段と、地図情報に基づいて、車両の位置から所定距離以内にある施設を検索する施設検索手段と、車両の走行中に施設検索手段により検索された施設に関する情報を記憶する施設記憶手段と、施設記憶手段が記憶した情報に基づいて、施設検索手段により検索された施設に関する情報を表示する施設表示手段と、施設表示手段により情報が表示された施設の中から目的地または経由地として設定する施設を選択する施設選択手段と、施設選択手段により選択された施設を目的地または経由地とした推奨経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段により探索された推奨経路にしたがって車両を誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする。
本発明の他の一態様による経路案内装置は、施設に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、車両の位置を特定する車両位置特定手段と、車両の移動中に車両位置特定手段により特定された車両の位置に基づく車両の走行軌跡を記憶する車両位置記憶手段と、地図情報に基づいて車両位置記憶手段により記憶された走行軌跡から所定距離以内にある施設を検索する施設検索手段と、施設検索手段により検索された施設に関する情報を表示する施設表示手段と、施設表示手段により情報が表示された施設の中から目的地または経由地として設定する施設を選択する施設選択手段と、施設選択手段により選択された施設を目的地または経由地とした推奨経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段により探索された推奨経路にしたがって車両を誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利用者が目的地を設定せず、経路探索を行わなかった場合であっても、利用者が移動した走行軌跡周辺にある施設に関して情報を提供することができる。これにより、本発明の経路案内装置は利用者にとって身近な場所の周辺にある施設に関して情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による経路案内装置の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態において、車両が走行中に施設に関する情報を記憶することを説明するための具体例を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施形態において、車両が走行中に施設に関する情報を記憶することを説明するための具体例を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施形態において、車両が走行中に施設に関する情報を記憶することを説明するための具体例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における施設に関する情報の表示例を示す図である。
【図6】本発明の第一の実施形態において、車両が走行中に施設に関する情報を記憶する処理に関するフローチャートである。
【図7】本発明の第一の実施形態において、利用者に施設に関する情報を提供し、利用者が選択した施設へ車両を誘導する処理に関するフローチャートである。
【図8】本発明の第二の実施形態において、車両が走行中に車両の走行軌跡を記憶する処理に関するフローチャートである。
【図9】本発明の第二の実施形態において、利用者に施設に関する情報を提供し、利用者が選択した施設へ車両を誘導する処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第一の実施の形態−
本発明の一実施の形態による経路案内装置の構成について、図1を用いて説明する。図1の経路案内装置1は、制御部10、記憶部11、表示モニタ12、スピーカ13、GPS受信部14、ジャイロセンサ15、および入力装置16を備え、車両に搭載される。以降、経路案内装置1を搭載した車両のことを搭載車両と記載する。
【0009】
図1の制御部10は、経路案内装置1を動作させるための各種処理を実行するための部分であり、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部10により実行される処理には、たとえば経路探索処理や、施設検索処理、経路誘導処理などがある。これらの処理については、多くの手法が公知となっている。
【0010】
制御部10が実行する経路探索処理とは、利用者が設定した探索条件に基づいて、搭載車両の現在位置から目的地までの経路の中で到着までにかかる時間が最も短い経路を推奨経路として探索するものである。目的地は、経路案内装置1の利用者が入力装置16を介して入力すればよい。搭載車両の現在位置は、制御部10がGPS受信部14を利用して算出することにより特定できる。経路の探索は、記憶部11に記憶されている地図データに基づいて実行される。なお、推奨経路を探索するとき、目的地だけでなく経由地を選択することとしてもよい。
【0011】
制御部10が実行する施設検索処理とは、施設のジャンルやキーワードに基づいて、記憶部11に記憶されている施設データの中から、搭載車両の現在位置または推奨経路の周辺にある施設を検索するものである。施設の検索に利用する施設のジャンルやキーワードは、経路案内装置1の利用者が入力装置16を介して入力することができる。施設のジャンルとは、施設をその用途などで分類したもので、たとえば「交通機関」、「公共施設」、「医療」などでよい。
【0012】
制御部10が実行する経路誘導処理とは、経路探索処理により探索された推奨経路に沿って運転手が搭載車両を運転できるように、表示モニタ12やスピーカ13などを利用して運転手に案内を行い、搭載車両を誘導するものである。制御部10は、表示モニタ12に搭載車両の位置を示す印を付した地図を表示し、スピーカ13から音声案内を出力する。
【0013】
図1の記憶部11は、ハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体であり、地図データや画像データ、音声データを含む各種データが記憶されている。記憶部11に記憶されているデータは、必要に応じて制御部10により記憶部11から読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。また、制御部10は、記憶部11に新たなデータを記憶することや既に記憶されているデータを更新することができる。
【0014】
記憶部11に記憶される地図データには、地図上の場所を表すノードに関する情報と、ノードが表す場所と場所の間を繋ぐ道路を表すリンクに関する情報とが含まれる。ノードに関する情報には、位置情報や地点名称に関する情報などが含まれる。リンクに関する情報には、リンクが表す道路を通過するのにかかる時間を割り出すための情報や、道路種別、車両の通行が許可されている方向などの情報が含まれる。これらの情報に基づいて経路探索処理や経路誘導処理が実行される。
【0015】
記憶部11に記憶されている地図データには、施設データが含まれる。施設データには、施設名や施設の位置、施設のジャンルなどの情報が含まれる。制御部10は、施設データを利用して前述した施設検索処理を実行することができる。また、前述した経路誘導処理において、表示モニタ12に表示している地図上に施設を表す印を表示することができる。
【0016】
図1の表示モニタ12は、様々な画像や映像などを表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。制御部10の制御に基づいて表示モニタ12に地図や搭載車両の位置を表示することにより、ナビゲーション装置1は搭載車両を誘導することができる。
【0017】
図1のスピーカ13は、制御部10の制御により、搭載車両の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、制御部10により探索された経路に従って搭載車両を目的地まで案内するための案内用の音声や、警告音などを出力する。
【0018】
図1のGPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、搭載車両の現在位置と現在時刻を特定するための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、制御部10は、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて搭載車両の現在位置および現在時刻を算出し、特定することができる。制御部10は、GPS信号に基づいて算出された搭載車両の現在位置の時間変化を算出し、その搭載車両の現在位置の時間変化に基づいて、搭載車両が走行している方向と走行した距離を特定することができる。
【0019】
図1のジャイロセンサ15は、搭載車両の向きの変化に応じた角速度を検出するためのセンサである。このジャイロセンサ15により検出された角速度に基づいて、搭載車両の向きが求められ、搭載車両が走行している方向を特定できる。
【0020】
図1の入力装置16は、経路案内装置1を動作させるためにユーザから入力される各種操作を検出するための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置16を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地名等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、表示モニタ12に表示された地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。入力装置16は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置16を表示モニタ12と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0021】
経路案内装置1は、ブラケットにより搭載車両に固定されると共に、ハーネスを介して搭載車両と種々の信号の送受信を行うことができる。これにより、経路案内装置1は、たとえば、イグニッションキーがオンになったことや、搭載車両の走行速度などの情報を取得することができる。
【0022】
搭載車両がトンネル内を走行しているときや、高架下にあるサービスエリア内にあるときなど、GPS受信部14がGPS信号を受信できない場合がある。制御部10は、ジャイロセンサ15により検出される角速度、搭載車両から送信される搭載車両の走行速度、および記憶部11に記憶される地図データに基づいて、搭載車両の現在位置および走行している方向に関する情報を特定することができ、GPS受信部14により定期的に受信されるGPS信号に基づいて、それらの情報の補正を行っている。
【0023】
次に第一の実施の形態における、搭載車両が走行した走行軌跡周辺にある施設の情報を提供する方法について説明する。第一の実施の形態では、搭載車両が所定の距離を走行するたびに前述した施設検索処理を実行し、その結果得られた施設に関する情報を記憶部11などに記憶する。そして、その記憶した施設に関する情報に基づいて検索された施設を表示し、利用者に施設に関する情報を提供する。
【0024】
図2から図4を用いて、経路案内装置1が走行軌跡周辺にある施設の情報を記憶していく様子を説明する。
【0025】
図2は、搭載車両が現在位置V1を走行しているときに、制御部10が搭載車両の現在位置周辺にある施設を検索している様子を示している。図2では、搭載車両を誘導するための地図を表示モニタ12に表示しており、搭載車両の現在位置V1に対応する場所に搭載車両を表す印を表示している。図2では、搭載車両を三角の印で表しており、その向きにより搭載車両の走行方向を示している。制御部10は、搭載車両の現在位置V1を中心とした地図範囲R1の内側にある施設を前述した施設検索処理により検索しており、施設AAAAが検索により発見されている。制御部10は、施設AAAAのように施設検索処理により発見された施設に関する情報を施設データから抽出し、記憶部11に記憶する。なお、地図範囲R1を表す点線および発見された施設AAAAは、説明のために示したものであって、表示モニタ12に表示しなくてもよい。
【0026】
制御部10が現在位置V1において施設検索処理を実行するとき、検索する施設のジャンルは事前に利用者により設定してもよいし、すべてのジャンルについて施設を検索し、記憶部11に記憶してもよい。
【0027】
図3は、図2の状態から搭載車両が所定の距離を走行し、現在位置V2にいる状態を示している。このとき、制御部10は、図2の場合と同様に搭載車両の現在位置V2を中心とした地図範囲R2について施設検索処理を実行し、施設BBBBを発見する。そして、制御部10は、施設AAAAと同様に、発見された施設BBBBに関する情報を記憶部11に記憶する。なお、地図範囲R2を表す点線および発見された施設BBBBは、説明のために示したものであって、表示モニタ12に表示しなくてもよい。
【0028】
図4は、図3の状態から更に搭載車両が所定の距離を走行し、現在位置V3にいる状態を示している。このとき、制御部10は、搭載車両の現在位置V3を中心とした地図範囲R3について施設検索処理を実行し、施設CCCCおよびDDDDを発見する。そして、制御部10は、施設AAAAおよびBBBBと同様に、発見された施設CCCCおよびDDDDに関する情報を記憶部11に記憶する。なお、地図範囲R3を表す点線および発見された施設CCCCおよびDDDDは、説明のために示したものであって、表示モニタ12に表示しなくてもよい。
【0029】
図2から図4に示したように、搭載車両が所定の距離を走行するたびに搭載車両の現在位置を中心とした地図範囲について施設検索処理を実行し、検索によって発見された施設に関する情報を記憶部11に記憶し、施設の情報を蓄積する。なお、施設に関する情報を記憶するとき、施設を発見したときの搭載車両の現在位置や、現在位置から最も近い位置にあるノードの情報などを付加して記憶してもよい。これにより、ノードの情報に基づいて搭載車両の現在位置を地点名称に変換することができる。
【0030】
図5は、記憶部11に記憶した施設に関する情報を表示した表示モニタ12の表示例である。制御部10は、利用者が入力装置16を介して記憶部11に記憶した施設に関する情報の表示を要請したとき、記憶部11から施設に関する情報を読み出し、図5に示す一覧表50を作成する。一覧表50には、施設データに含まれる施設のジャンルを表示する列51や施設名を表示する列52、搭載車両の現在位置からの距離を表示する列53などが含まれる。また、施設データとともに記憶した現在位置から最も近い位置にあるノードの情報などに基づいて、施設の近隣にある地点名称を表示する列54を表示してもよい。図5の列54は、搭載車両の現在位置V1〜V3から最も近いノードの地点名称として「○○町△丁目付近」などを表示している。表示する地点名称は、ノードに関する情報に基づけばよく、交差点名などでもよい。また、制御部10は、搭載車両が走行している車線に対応したリンクの情報に基づき、ノードに関する情報を選択し、表示する地点名称を決定してもよい。
【0031】
また、図5のように、一覧表50のほかに表示モニタ12上にカーソル60や目的地設定ボタン61、絞込み検索ボタン62などを表示してもよい。経路案内装置1の利用者は、入力装置16を介してカーソル60を選択したい施設の上に動かし、入力装置16を介してカーソル60がある施設を選択してもよい。そして、利用者は入力装置16を介して目的地設定ボタン61を選択することにより、先ほど選択された施設を目的地として設定することにしてもよい。また、絞込み検索ボタン62を選択し、施設のジャンルなどにより一覧表50に表示する施設を絞り込んでもよい。
【0032】
図2〜図4で説明したような施設の情報を記憶する処理について、フローチャートを図6に示す。図6は、経路案内装置1の電源がオンされたときに開始する処理であり、その処理は制御部10で実行される。
【0033】
図6のステップS101では、制御部10は、搭載車両の現在位置を、GPS受信部14などを利用して算出することにより特定する。搭載車両の現在位置の特定が完了したらステップS102に進む。
【0034】
図6のステップS102では、制御部10は、ステップS101で特定した現在位置から所定の距離以内、たとえば100m以内にある施設を施設検索処理により検索する。この搭載車両の現在位置から所定の距離の範囲が図2〜図4における地図範囲R1〜R3に相当する。検索が完了したらステップS103に進む。
【0035】
図6のステップS103では、制御部10は、ステップS102で検索した施設について、その施設に関する情報を記憶部11に記憶する。施設に関する情報を記憶したらステップS104に進む。なお、施設を発見したときの搭載車両の現在位置や、現在位置から最も近い位置にあるノードの情報などを記憶させる場合は、ステップS103において施設に関する情報とともに記憶させる。搭載車両の現在位置に最も近い位置にあるノードは、搭載車両が存在している道路を表すリンクの両端にあるノードの中から選択し、記憶すればよい。
【0036】
図6のステップS104では、制御部10は、GPS受信部14やジャイロセンサ15などを利用して、前回ステップS102で施設検索を行った場所から搭載車両が走行した距離を表す走行距離変数を初期化する。走行距離変数の初期値は、たとえば0とすればよい。初期化が完了したらステップS105に進む。
【0037】
図6のステップS105では、ステップS101と同様に、制御部10は、GPS受信部14などを利用して搭載車両の現在位置を特定する。搭載車両の現在位置の特定が完了したらステップS106に進む。
【0038】
図6のステップS106では、ステップS105で特定した現在位置に基づいて、搭載車両がステップS102で施設検索を行った場所から走行した距離を示す走行距離変数の値を更新する。たとえば、走行距離変数の初期値が0の場合は、搭載車両の走行距離に応じて増加させればよい。
【0039】
図6のステップS107では、制御部10は、走行距離変数の値が所定の閾値を超えたか否かを判定する。たとえば、走行距離変数の値が所定の閾値を超えた場合は、搭載車両の現在位置に基づいて施設検索を実行するためにステップS102に戻る。走行距離変数の値が所定の閾値を超えていない場合は、ステップS105に戻る。
【0040】
図6の処理により、経路案内装置1の電源がオンになってから搭載車両が所定の距離を走行するたび(走行距離変数が閾値を超えるたび)に搭載車両の現在地周辺の施設を検索し、発見された施設を記憶部11に記憶することができる。
【0041】
次に図5を用いて説明したように記憶部11に記憶した施設に関する情報を表示し、その中から選択された目的地または経由地への経路を探索し、搭載車両を誘導する処理について、フローチャートを図7に示す。図7は、記憶部11に記憶した施設の情報を表示することを利用者から要請されたときや搭載車両が停車しているときなどに開始する処理であり、その処理は制御部10で処理される。
【0042】
図7のステップS151では、制御部10が表示モニタ12に図5のような画面を表示し、記憶部11に記憶された施設に関する情報を表示する。施設に関する情報を表示したらステップS152に進む。
【0043】
図7のステップS152では、制御部10は、ステップS151で表示した施設に関する情報の中から目的地または経由地として設定する施設が選択されたか否かを判定する。施設が選択されるまでステップS152に留まり、施設が選択された場合はステップS153に進む。
【0044】
図7のステップS153では、制御部10は、ステップS152で選択された施設を目的地または経由地として設定し、経路探索処理を実行する。経路探索処理により推奨経路が探索されたらステップS154に進む。
【0045】
図7のステップS154では、制御部10は、ステップS153で探索された推奨経路に基づいて経路誘導処理を実行する。搭載車両の誘導が完了したら図7の処理を終了する。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0047】
(1−1)第一の実施の形態による経路案内装置1は、地図データを記憶する記憶部11を備える。経路案内装置1の制御部10は、GPS受信部14などを利用して搭載車両の現在位置を特定し(図6のステップS101,S105)、特定された搭載車両の現在位置を中心とした所定の距離の地図範囲について制御部10が施設を検索し(図6のステップS102)、施設検索により発見された施設に関する情報を制御部10が記憶部11に記憶する(図6のステップS103)。その後、利用者からの要請に応じて制御部10が記憶部11に記憶した施設に関する情報を表示し(図5の一覧表50、図7のステップS151)、入力装置16を介した施設の選択を受付け(図7のステップS152)、選択された施設を目的地または経由地に設定して推奨経路を探索し(図7のステップS153)、探索された推奨経路に従って搭載車両を誘導する(図7のステップS154)。これにより、経路案内装置1の利用者が経路探索をしなかった場合でも走行軌跡周辺の施設に関する情報を提供することができる。そして、経路案内装置1は、利用者が経路探索をしないで行くような身近な地域にある施設に関しても情報を提供することができる。これにより利用者の行動範囲周辺にありながら気付かなかったような施設を知ることができる。
【0048】
(1−2)第一の実施の形態による経路案内装置1では、搭載車両が所定の距離を走行するたびに制御部10が搭載車両の現在位置の周辺にある施設に関する情報を検索する(図6のステップS104〜S107)。これにより、経路案内装置1における施設検索処理の負荷を分散することができる。また、図5のような一覧表を表示するときに改めて施設を検索する必要がなくなり、利用者の要請に対する応答速度を速くすることができる。
【0049】
(1−3)第一の実施の形態による経路案内装置1では、搭載車両の現在位置の周辺にある施設に関する情報を記憶するとき、当該施設が検索されたときの現在位置に最も近いノードの情報を更に記憶してもよく、その情報を施設に関する情報とともに表示してもよい(図5の列54)。このようにすれば、利用者にとって身近な場所の周辺にある施設であることを明確に知らしめることができる。
【0050】
以上の第一の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
【0051】
(1−A)図5において、一覧表50を表示したときの搭載車両の現在位置から各施設までの距離を列53に表示したが、施設に関する情報を記憶したときの搭載車両の現在位置から各施設までの距離を表示してもよい。これにより、身近な場所からの距離に関する情報を利用者に提供することができる。また、各施設までの距離を算出する処理に関する負荷を搭載車両の走行中に分散させることができる。
【0052】
(1−B)搭載車両が所定の距離を走行するたびに施設に関する情報を記憶するものとしたが、前回記憶部11に記憶してから所定の時間が経過するたびに記憶するものとしてもよい。その場合の時間は、たとえば制御部10がGPS信号に基づいて算出した現在時刻を用いればよい。
【0053】
(1−C)図6のステップS103において記憶部11に記憶した施設の情報は搭載車両のエンジンが停止された後にも記憶しておき、次回の運転に持ち越してもよい。記憶部11に記憶した施設の情報を持ち越す場合、過去に記憶した施設に関する情報を含めた表を一覧表50として表示することができる。なお、記憶部11の容量保護のため、施設に関する情報を記憶する際に情報を記憶した日時を同時に記憶し、記憶した日時に関する情報に基づいて古くなった情報を削除できることが望ましい。また、施設に関する情報が過去の情報と同一のものであったとき、利用者にとって身近な地域の施設であると判断して一覧表において優先的に表示することにしてもよい。
【0054】
−第二の実施の形態−
次に、本発明の第二の実施形態による経路案内装置について説明する。第二の実施形態による経路案内装置の構成は、第一の実施形態で説明した図1のものでよい。第二の実施形態による経路案内装置1は、前述の第一の実施形態による経路案内装置1と比較して、走行中に記憶部11に記憶する情報と、走行軌跡周辺の施設を検索するタイミングとが異なる。
【0055】
第二の実施形態では、搭載車両が所定の距離を走行するたびに搭載車両の現在位置を記憶部11に記憶することで、搭載車両の走行軌跡を記憶する。そして、経路案内装置1の利用者から施設に関する情報を表示するよう要請があったとき、記憶部11に記憶した走行軌跡の周囲について施設検索処理を実行し、発見された施設の一覧表を表示する。たとえば、図2〜図4のような状況においては、施設AAAAなどではなく、現在位置V1〜V3を記憶部11に記憶する。そして、制御部10は、利用者から要請があったときに施設検索処理を実行し、記憶した搭載車両の現在位置V1〜V3の周辺の地図範囲R1〜R3にある施設に関する情報を検索する。制御部10は検索の結果、施設AAAAなどを発見し、図5の一覧表50を表示モニタ12に表示する。
【0056】
第ニの実施の形態において、車両の現在位置を記憶部11に記憶する処理について図8を用いて説明する。図8は、経路案内装置1の電源がオンされたときに開始する処理であり、その処理は制御部10で実行される。
【0057】
図8のステップS201では、制御部10は、GPS受信部14などを利用して搭載車両の現在位置を算出することにより特定する。搭載車両の現在位置の特定が完了したらステップS202に進む。
【0058】
図8のステップS202では、制御部10はステップS201で特定した搭載車両の現在位置を記憶する。このステップS202が繰り返し行われることにより、搭載車両の走行軌跡が記憶部11に記憶される。現在位置の記憶が完了したらステップS203に進む。
【0059】
図8のステップS203では、制御部10は、GPS受信部14やジャイロセンサ15などを利用して、前回ステップS202で記憶した現在位置から搭載車両が走行した距離を表す走行距離変数を初期化する。走行距離変数の初期値はたとえば0とすればよい。走行距離変数の初期化が完了したらステップS204に進む。
【0060】
図8のステップS204では、ステップS201と同様に、制御部10は、GPS受信部14などを利用して搭載車両の現在位置を特定する。搭載車両の現在位置の特定が完了したらステップS205に進む。
【0061】
図8のステップS205では、制御部10は、ステップS204で特定した搭載車両の現在位置に基づいて、搭載車両がステップS202で記憶した現在位置から走行した距離を示すように走行距離変数の値を更新する。たとえば、走行距離変数の初期値を0とした場合は、その値を走行距離に応じて増加させればよい。
【0062】
図8のステップS206では、制御部10は、走行距離変数の値が所定の閾値を超えたか否かを判定する。走行距離変数の値が所定の閾値を超えた場合は、搭載車両の現在位置に基づいて施設検索を実行するためにステップS202に戻る。走行距離変数の値が所定の閾値を超えていない場合は、ステップS204に戻る。
【0063】
次に第二の実施形態において、記憶部11に記憶した搭載車両の現在位置(走行軌跡)に基づいて施設に関する情報を検索し、検索された施設に関する情報を表示し、その中から選択された目的地または経由地への経路を探索し、搭載車両を誘導する処理について、フローチャートを図9に示す。図9は、記憶部11に記憶した施設の情報を表示することを利用者から要請されたときなどに開始する処理であり、その処理は制御部10で処理される。
【0064】
図9のステップS251では、記憶部11に記憶された搭載車両の現在位置それぞれについて施設検索処理を行い、走行軌跡の周辺にある施設に関する情報を検索する。走行軌跡の周辺にある施設に関する情報を検索したらステップS252に進む。
【0065】
図9のステップS252では、制御部10は、表示モニタ12に図5のような画面を表示し、記憶部11に記憶された搭載車両の走行軌跡周辺にある施設に関する情報を表示する。施設に関する情報を表示したらステップS253に進む。
【0066】
図9のステップS253では、制御部10は、ステップS252で表示した施設に関する情報の中から目的地または経由地として施設が選択されたか否かを判定する。制御部10は、施設が選択されるまでステップS253に留まり、施設が選択された場合はステップS254に進む。
【0067】
図9のステップS254では、制御部10は、ステップS253で選択された施設を目的地または経由地として経路探索処理を実行する。経路探索処理により推奨経路が探索されたらステップS255に進む。
【0068】
図9のステップS255では、制御部10は、ステップS254で探索された推奨経路に基づいて経路誘導処理を実行する。搭載車両の誘導が完了したら図9の処理を終了する。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0070】
(2−1)第二の実施の形態による経路案内装置1は、地図情報を記憶する記憶部11を備える。経路案内装置1の制御部10は、GPS受信部14を利用して搭載車両の現在位置を算出することにより特定し(図8のステップS201,S204)、搭載車両が所定の距離を走行するたびに制御部10が算出した搭載車両の現在位置を走行軌跡として記憶部11に記憶する(図8のステップS202〜S206)。その後、利用者からの要請に応じて、記憶部11に記憶した搭載車両の現在位置に基づいて施設に関する情報を検索し(図9のステップS251)、検索した施設に関する情報を表示モニタ12に表示し(図5の一覧表50、図9のステップS252)、入力装置16を介して施設の選択を受けつけ(図9のステップS253)、選択された施設を目的地または経由地として推奨経路を探索し(図9のステップS254)、探索された推奨経路に従って搭載車両を誘導する(図9のステップS255)。これにより、経路案内装置1の利用者が経路探索をしなかった場合でも走行軌跡周辺の施設に関する情報を提供することができる。そして、利用者が経路探索をしないで行くような身近な地域にある施設であって、利用者が知らない施設に関する情報を提供できる。また、第一の実施形態と違い、施設の情報を表示するときに施設の検索を行うことにより、最新の地図データに基づいた情報を利用者に提供できる。
【0071】
以上の第二の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
【0072】
(2−A)図5において、一覧表50の列53に搭載車両の現在位置から施設までの距離を表示したが、施設検索処理時に施設が発見された搭載車両の現在位置からの距離を表示してもよい。これにより、身近な場所からの距離に関する情報を利用者に提供することができる。
【0073】
(2−B)搭載車両が所定の距離を走行するたびに搭載車両の現在位置を記憶するものとしたが、前回に記憶部11に搭載車両の現在位置を記憶してから所定の時間が経過するたびに記憶するものとしてもよい。その場合の時間は、制御部10がGPS信号に基づいて算出した現在時刻を用いればよい。
【0074】
(2−C)図8のステップS202において記憶部11に記憶した搭載車両の現在位置は、搭載車両のエンジンが停止された後にも記憶しておき、次回の運転に持ち越してもよい。記憶部11に記憶した搭載車両の現在位置を持ち越す場合、過去に記憶した搭載車両の現在位置についても施設検索を行い、一覧表50を表示することができる。なお、記憶部11の容量保護および施設検索処理における処理負荷軽減のため、搭載車両の現在位置を記憶する際に記憶した日時を同時に記憶し、記憶した日時に関する情報に基づいて古くなった搭載車両の現在位置を削除できることが望ましい。
【0075】
また、施設検索処理において同一の施設が複数回検索された場合、利用者にとって身近な地域の施設であると判断して一覧表において優先的に表示することにしてもよい。このよう場合に、図5の列54のように施設の近隣にある地点名称を表示するときは、施設に最も近い搭載車両の現在位置に基づいた情報を表示することにしてもよい。
【0076】
(2−D)図9のステップS251において、制御部10は記憶部11に記憶されている搭載車両の現在位置それぞれから所定の距離の範囲の施設を検索した。しかし、搭載車両の現在位置に基づいて、搭載車両の軌跡の周辺を示す地図範囲を設定し、その地図範囲に基づいて施設を検索することにしてもよい。これにより、施設に関する情報を表示する際に実行する施設検索処理の回数を低減することができ、制御部10の負荷を低減できる。
【0077】
以上説明した各実施の形態や各種の変形例は、車両以外のものに適用してもよい。たとえば、歩行者を誘導する経路案内装置に適用してもよい。
【0078】
以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1:経路案内装置
10:制御部
11:記憶部
12:表示モニタ
13:スピーカ
14:GPS受信部
15:ジャイロセンサ
16:入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
車両の位置を特定する車両位置特定手段と、
前記地図情報に基づいて、前記車両の位置から所定距離以内にある施設を検索する施設検索手段と、
前記車両の走行中に前記施設検索手段により検索された前記施設に関する情報を記憶する施設記憶手段と、
前記施設記憶手段が記憶した情報に基づいて、前記施設検索手段により検索された施設に関する情報を表示する施設表示手段と、
前記施設表示手段により情報が表示された施設の中から目的地または経由地として設定する施設を選択する施設選択手段と、
前記施設選択手段により選択された施設を前記目的地または前記経由地とした推奨経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段により探索された前記推奨経路にしたがって前記車両を誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路案内装置において、
前記施設検索手段は、前記車両が所定の距離を移動するたびに、または所定時間が経過するたびに前記車両の位置から所定距離以内にある施設を検索することを特徴とする経路案内装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の経路案内装置おいて、
前記施設記憶手段は、前記施設検索手段により検索された施設に関する情報を、当該施設が検索されたときの前記車両の位置に関する情報とともに記憶し、
前記施設表示手段は、前記施設に関する情報を、当該施設が検索されたときの前記車両の位置に関する情報とともに表示することを特徴とする経路案内装置。
【請求項4】
施設に関する情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
車両の位置を特定する車両位置特定手段と、
前記車両の移動中に前記車両位置特定手段により特定された前記車両の位置に基づく前記車両の走行軌跡を記憶する車両位置記憶手段と、
前記地図情報に基づいて、前記車両位置記憶手段により記憶された前記走行軌跡から所定距離以内にある施設を検索する施設検索手段と、
前記施設検索手段により検索された施設に関する情報を表示する施設表示手段と、
前記施設表示手段により情報が表示された施設の中から目的地または経由地として設定する施設を選択する施設選択手段と、
前記施設選択手段により選択された施設を前記目的地または前記経由地とした推奨経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段により探索された前記推奨経路にしたがって前記車両を誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする経路案内装置。
【請求項5】
請求項4に記載の経路案内装置において、
前記施設表示手段は、前記施設検索手段により検索された施設に関する情報を、前記車両の走行軌跡のうちで当該施設に最も近い車両の位置に関する情報とともに表示することを特徴とする経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−180079(P2011−180079A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46713(P2010−46713)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】