説明

経路計画装置、経路計画システムおよび経路計画方法

【課題】経路計画装置は、自動車がエネルギー源供給施設にたどり着くことができないリスクを緩和する経路をユーザーに提供する。
【解決手段】経路計画装置は、ユーザーの設定した安全係数(安心の度合い)に応じて、目的地までの最小コストの経路(省電力ルート)を算出し(S002)、その最小コストの経路とエネルギー源供給施設(充電スタンド)との間に、仮想経由地点を決定して(S004)、安心な経路(安心ルート)を提供する(S005,S006)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車または内燃機関を有する自動車の車載端末に係り、車両の航続距離を考慮して、出発地から目的地までの最適な経路探索を行う経路探索計画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気自動車の航続距離は、内燃機関を有する自動車と比較して、短い。また、電気自動車の充電には、専用の充電スタンドが必要である。このため、目的地まで走行するためには、充電スタンドを頻繁に経由する必要がある。内燃機関を有する自動車として、たとえばガソリン車であっても、航続距離に比してガソリンスタンドが疎らに位置する場合は、それらのガソリンスタンドの多くを経由する必要がある。
【0003】
電気自動車の経路探索装置として、特許文献1の記載が知られている。この経路探索装置は、現在地から目的地までの経路の探索距離が、車載バッテリーから算出した航続可能距離を超えた場合、近くの充電スタンドの情報を取得し、充電スタンドを経由する経路の探索を行っている。
【0004】
また、電気自動車のバッテリー残容量が少なくなったときに、自動的に、自車位置周辺の充電スタンドに案内する車載端末装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−170293号公報
【特許文献2】特開2003−262525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電気自動車の航続距離は短いため、予想できない事態で、予定より電力を消費してしまうと、経由地点である次の充電スタンドにたどり着けず、電気自動車が走行不能になる可能性がある。ここでの予想できない事態とは、たとえば、突発的な事故渋滞に巻き込まれた事態である。ガソリン車であっても、航続距離に比してガソリンスタンドが疎らに位置する場合は、同様である。
【0007】
また、電気自動車のバッテリー残容量が少なくなったときに、充電スタンドの情報を収集する方法では、周辺に到達可能な充電スタンドがない場合に、電気自動車が走行不能になる可能性がある。同様に、ガソリン車のガソリン残量が少なくなったときに、ガソリンスタンドの情報を収集する方法では、周辺に到達可能なガソリンスタンドがない場合に、ガソリン車が走行不能になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 請求項1に記載の経路計画装置は、移動体に搭載される経路計画装置であって、目的地を入力する目的地入力手段と、地図情報を用いて目的地までの経路を算出する経路算出手段と、移動体に搭載したセンサを用いて移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、ユーザーの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、目的地までのコストが最小となる最小コスト経路を生成する経路計算手段と、地図情報から、最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索する検索手段と、施設の位置と最小コスト経路との間に、安全係数に応じた経由地点を設定する経由地点計算手段と、経由地点を経由する経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項6に記載の経路計画システムは、経路計画送信装置と、移動体に搭載される経路計画受信装置とを備え、経路計画送信装置は、地図情報を用いて目的地までの経路を算出する経路算出手段と、地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、目的地までのコストが最小となる最小コスト経路を生成する経路計算手段と、地図情報から、最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索する検索手段と、施設の位置と最小コスト経路との間に、所定の係数に応じて、経由地点を設定する経由地点計算手段と、経路計画受信装置より所定の係数を受信し、経路計画受信装置に対して、経由地点計算手段により設定された経由地点を表す設定情報を送信する第1の通信手段とを備え、経路計画受信装置は、目的地を入力する目的地入力手段と、移動体に搭載したセンサを用いて移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、ユーザーの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、経路計画送信装置より設定情報を受信し、経路計画送信装置に対して、安全係数を所定の係数として送信する第2の通信手段と、設定情報に基づき経由地点を経由する経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
(3) 請求項7に記載の経路計画装置は、移動体に搭載される経路計画装置であって、目的地を入力する目的地入力手段と、地図情報を用いて目的地までの経路を算出する経路算出手段と、移動体に搭載したセンサを用いて移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、ユーザーの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、地図情報に含まれる道路リンクが属するメッシュにおいて、エネルギー源を供給することができる施設についての施設情報密度を算出する施設情報密度算出手段と、施設情報密度と安全係数とに基づき、メッシュのメッシュコストを算出するメッシュコスト算出手段と、メッシュコストに基づき、メッシュに属する道路リンクのリンクコストを調整するコスト調整手段と、コスト調整手段により調整されたリンクコストを用いて、経路を探索する経路探索手段と、経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
(4) 請求項10に記載の経路計画方法は、移動体に搭載される経路計画装置に用いられる経路計画方法であって、地図情報を用いて、入力された目的地までの経路を算出し、移動体に搭載したセンサを用いて移動体の現在位置を決定し、地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、目的地までのコストが最小となる最小コスト経路を生成し、地図情報から、最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索し、施設の位置と最小コスト経路との間に、設定された安全係数に応じて、経由地点を設定し、経由地点を経由する経路を表示することを特徴とする。
(5) 請求項11に記載の経路計画方法は、移動体に搭載される経路計画装置に用いられる経路計画方法であって、地図情報を用いて、入力された目的地までの経路を算出し、移動体に搭載したセンサを用いて移動体の現在位置を決定し、地図情報に含まれる道路リンクが属するメッシュにおいて、エネルギー源を供給することができる施設についての施設情報密度を算出し、施設情報密度と設定された安全係数とに基づきメッシュのメッシュコストを算出し、メッシュコストに基づき、メッシュに属する道路リンクの各々のリンクコストを調整し、調整されたリンクコストを用いて経路を探索し、経路を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ユーザーは、自車両が探索経路を走行するに際して、バッテリーおよびガソリンその他の燃料を含むエネルギー源枯渇のリスクから解放される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態の車載端末装置の全体構成を示す図である。
【図2】安心度(安全係数)設定装置のユーザーインターフェースの一例を示す図である。
【図3】交通情報記憶装置に記憶される交通情報のデータ構成を示す図である。
【図4】地図情報に格納されている地図データの構成を示す図である。
【図5】経路探索装置の処理フローを示す図である。
【図6】地図データ取得装置の処理の様子を示す図である。
【図7】経路記憶装置に格納される省電力ルートのデータ構成およびその省電力ルートの一例を示す図である。
【図8】充電スタンド検索装置の処理フローを示す図である。
【図9】充電スタンドの情報を表すデータの構成を示す図である。
【図10】仮想経由地点算出装置の処理フローを示す図である。
【図11】充電スタンドから省電力ルートへ下ろした垂線の足を表す座標を算出する例を示す図である。
【図12】省電力ルートの巡回ルートの例を示す図である。
【図13】充電スタンドと垂線の足までの内分点を示す図である。
【図14】ステップS004−6の処理フローを示す図である。
【図15】経路記憶装置に格納される安心ルートのデータ構成およびその安心ルートの一例を示す図である。
【図16】安心ルートの表示例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の車載端末装置とセンタ装置のシステム構成を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態の車載端末装置の全体構成を示す図である。
【図19】経路探索装置の処理フローを示す図である。
【図20】メッシュコスト一時記憶装置に格納されるメッシュコストのデータ構成を示す図である。
【図21】安心ルートとメッシュの充電スタンド密度情報を表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、電気自動車の車載端末装置を例に図面を参照して説明するが、後述するように、内燃機関を有する自動車の車載端末装置においても同様に本発明を実施できる。
【0012】
―第1の実施の形態―
図1は本発明を用いた第1の実施の形態における車載端末装置の全体構成を示す図である。本車載端末装置001は、交通情報取得装置101、目的地入力装置102、安心度(安全係数)設定装置103、バッテリー104と接続されたバッテリー情報取得装置105、センサ類106と接続された自車位置算出装置107、交通情報記憶装置108、経路探索装置109、地図情報110、表示装置111を含んで構成される。
【0013】
また、車載端末装置001とバッテリー104及びセンサ類106は、CANなどの車内ネットワークを介して接続されている。
【0014】
交通情報取得装置101は、交通情報サービスセンター(例えばVICS(登録商標))から全国の主要な道路のリンク毎の旅行時間を受信し、交通情報記憶装置108に格納する。情報の更新周期は、予め定められた時間間隔とする。リンク毎の旅行時間は、例えば、リンク毎に車両検知装置(不図示)を設けて、リンク間の走行に要した時間を測定すること、或いはプローブカーをリンク間で時間測定しながら走行させることで得られる。
【0015】
目的地入力装置102は、ユーザーが、車載端末のユーザーインターフェースを通して、目的地を入力する手段である。目的地の情報は、経路探索装置109へ提供される。ユーザーは、目的地の住所、カテゴリ、電話番号等をキーに、目的地のPOIを検索し、設定する。POIとは、Point Of Interestの略で、店舗情報、充電スタンドを含むエネルギー源供給施設情報などの地点に関する情報である。
【0016】
経路探索装置109は、経路コスト算出装置112、地図データ取得装置113、充電スタンド検索装置114、充電スタンド一時記憶装置115、仮想経由地点算出装置116、経路記憶装置117を含んで構成される。
【0017】
安心度設定装置103は、ユーザーが車載端末のユーザーインターフェースを通して、経路の安心度(安全係数)を設定する装置である。安心度は、経路探索装置109へ入力される。この安心度は、電気自動車で目的地まで向かう際に、どのくらい近い距離の充電スタンドを通りたいかを表した指標であり、0〜100までの数値で設定することができる。安心度が100に近いほど、経路探索装置109は、充電スタンドの近くを通るようなルートを設定する。
【0018】
安心度設定装置103のユーザーインターフェースの一例を図2に示す。図2(a)は、省エネ優先と安心優先のスライドバー上で、ユーザーが自ら優先したい条件を設定する画面の一例である。安心優先にバーを近づけるほど、安心度は高い値に設定される。図2(b)は、ユーザーが安心度を直接数字で入力する画面の一例である。図2(c)は、ユーザーがアンケートに答えて安心度を設定する画面の一例である。「充電スタンドの近くを走行したいですか」の質問に対して、「非常にそう思う」、「そう思う」、「あまりそう思わない」、「全くそう思わない」の4つが選択として提示される。そして、ユーザーの選択した答えが安心度に反映される。例えば、図2(c)では、「そう思う」が選択されているため、安心度は60と設定される。
【0019】
バッテリー104は、電気自動車に搭載されている2次電池であり、鉛蓄電池、リチウムイオン電池などがある。
【0020】
バッテリー情報取得装置105は、バッテリー104の状態を監視し、バッテリーの残容量を監視している。バッテリーの残容量の情報を経路探索装置109へ提供する。
【0021】
センサ類106は、GPS、車速パルス、角速度センサなどをいう。このセンサを用いることで、車両の位置、車速、角速度を計測することができる。これらの情報は自車位置算出装置107へ提供される。
【0022】
自車位置算出装置107は、センサ類106の情報から、自車の位置を算出する。この算出には、公知の技術であるカルマンフィルタやデッドレコニングが用いられる。算出した自車位置の情報は、経路探索装置109へ提供する。
【0023】
交通情報記憶装置108は、交通情報取得装置101で取得された交通情報を道路リンク毎、時間毎に記憶している。交通情報記憶装置108に記憶される交通情報のデータ構成を図3に示す。交通情報記憶装置108に記憶される交通情報のデータは、取得した道路リンクID、時刻、交通情報から構成される。交通情報とは、対象の道路リンクの渋滞の度合い、通過するまでの旅行時間、平均速度などをいう。
【0024】
経路探索装置109は、バッテリー情報取得装置105からのバッテリー情報、自車位置算出装置107からの自車位置の情報、地図情報110からの道路情報及びPOI情報を入力とし、充電スタンドの近くを経由する「安心ルート」を計算し、表示装置111へ出力する。
【0025】
地図情報110は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶手段で、道路情報、POIの情報を、記憶している。経路探索装置109から、要求する地図領域が入力され、該当する道路情報、POI情報を経路探索装置109へ提供する。
【0026】
表示装置111は、液晶ディスプレイ等で構成され、経路探索装置109からの経路探索結果を、地図上に重ねて表示する。
【0027】
以下、地図情報110に格納されている地図データと経路探索装置109の構成を説明する。
【0028】
地図情報110に格納されている地図データの構成図を図4に示す。図4(a)は、地図情報110に格納されている道路データの構成を示している。道路データはノードからノードまでのリンク単位で構成される。各道路データは、道路を特定するリンクID、その道路リンクの存在するメッシュID、道路リンクの始端のノードIDとその緯度・経度情報、道路リンクの終端のノードIDとその緯度・経度情報で構成される。なお、ノード間のリンク上に補間点が規定される場合、ノードと補間点との間および補間点同士の間にサブリンクを規定してもよい。
【0029】
ここで、メッシュとは、地図を緯度・経度に基づいて網の目状に区画する際の各区画である。2次メッシュとは緯度差5分、経度差7分30秒で一辺の長さが約10kmのメッシュデータで表される区画である。また3次メッシュは2次メッシュを緯度方向および経度方向に10等分してできる区域であり、緯度差30秒、経度差45秒で、一辺の長さが約1kmである。メッシュIDにより、メッシュを特定することができる。
【0030】
図4(b)は、地図情報110に格納されているPOI情報の構成を示している。POI情報は、POIのPOI ID、名称、カテゴリ、POIの存在するメッシュIDと緯度・経度情報、隣接する道路リンクIDで構成されている。POIの名称とは、POIが表示装置111にて表示される際のPOIを表す固有の名前である。カテゴリとは、施設の種類を表し、例えば充電スタンドを「1」、コンビニエンスストアは「2」、ガソリンスタンドは「3」のように表す。隣接する道路リンクIDとは、POIと道路リンクを結びつけるもので、経路探索時に使用される。経路探索においては、目的地に設定したPOIから、隣接する道路リンクIDを抽出し、抽出した道路リンクまで経路探索を行う。これによりPOIを目的地とした経路探索が可能になる。
【0031】
図4(c)はメッシュ管理テーブルを示している。このメッシュ管理テーブルは、メッシュIDおよびそのメッシュの頂点の座標、すなわち、左下、左上、右下、右上のそれぞれの座標(緯度・経度)が記憶されている(図4(d)参照)。
【0032】
経路探索装置109の処理フローを図5に従って説明する。この処理フローに従い、図1に示す経路探索装置109の内部処理を説明する。
【0033】
はじめに、自車位置算出装置107から自車位置情報を取得し、周辺の道路情報を地図情報110から取得する(ステップS001)。ステップS001は、地図データ取得装置113にて実行される。自車位置情報は、自車の位置を表す情報であり、緯度・経度で構成される。地図情報110に、要求する地図領域はメッシュIDのリストで管理されている。要求するメッシュ群は、目的地の存在するメッシュと、自車位置の存在するメッシュを対角線にした長方形を作り、その長方形に含まれる全メッシュとする。地図データ取得装置113の処理の様子を図6に示す。自車位置を含むメッシュID00と、目的地を含むメッシュID21とを、対角とする2×3の長方形を作る。そして、長方形に含まれるメッシュID00、01、10、11、20、21を要求するメッシュIDとする。以上の処理により、経路探索に必要な地図データを取得することができる。
【0034】
次に、取得した地図情報とバッテリー情報取得装置105からのバッテリーの残容量の情報を用いて、目的地入力装置102にて設定した目的地まで、最も消費電力が少ない「省電力ルート」を算出する(ステップS002)。ステップS002は、経路コスト算出装置112にて実行される。
【0035】
省電力ルートの算出およびその消費電力の算出方法は公知の技術を用いる。ここでは、ある道路リンクの電力消費量は、その道路リンクを通過する速度及び道路勾配に依存するとする。このとき速度は、交通情報記憶装置108から取得し、道路の勾配情報は地図情報110から取得する。道路リンクの電力消費量Wを、道路リンクを走行する平均速度v、勾配θを用いて式(1)で求める。
W=k_v・v+k_θ・θ ・・・(1)
【0036】
ここでk_v、k_θは、それぞれ速度を消費電力に、勾配を消費電力に変換する係数である。式(1)を地図データ取得装置113にて取得したすべての道路リンクについて実行し、各道路リンクの消費電力を算出する。そしてその消費電力をコストとし、公知の技術であるダイクストラ法(Dijkstra's algorithm)を用いて経路探索し、1つの省電力ルートを求める。
【0037】
算出した省電力ルートのデータは、経路記憶装置117に格納される。図7(a)に省電力ルートのデータ構成を、図7(b)にその省電力ルートの一例を示す。省電力ルートのデータは、経路の種類、構成される道路リンク数とその道路リンクID、その道路リンクが存在するメッシュID、始点ノードID、終点ノードID、消費電力、その道路リンクの通過時におけるバッテリーの充電の容量(state of charge : SOC)で構成される。
【0038】
次に、省電力ルート周辺の充電スタンドのPOI情報を地図データから取得する(ステップS003)。ステップS003は、充電スタンド検索装置114にて実行される。そして、取得した充電スタンド情報は、充電スタンド一時記憶装置115へ保存される。
【0039】
充電スタンド検索装置114の詳細な処理フローを図8に従って説明する。
【0040】
はじめに、経路記憶装置117を参照し、省電力ルートに含まれる全てのノードについて処理したかどうかを判定する(ステップS003−1)。処理していない場合(ステップS003−1でNo)、省電力ルートのノードから一定距離の半径の円に含まれる充電スタンドの情報を全て取得する(ステップS003−2)。次に、全ての充電スタンドを処理したかどうかを判定する(ステップS003−3)。全ての充電スタンドについて処理していない場合は(ステップS003−3でYes)、対象のノードについての円内に含まれる全ての充電スタンドから、対象のノードまで経路探索して、走行距離を算出する(ステップS003−4)。経路探索には、公知の技術であるダイクストラ法を用いる。全ての充電スタンドについて処理した場合は(ステップS003−3でNo)、処理をした充電スタンドの中で、最小の走行距離の充電スタンドを選択する(ステップS003−5)。これは、ノード周辺の領域にある複数個の充電スタンドから1つの充電スタンドを抽出する処理である。ここでノード1つあたり、最大1つの充電スタンドが対応付けられる。最小走行距離の充電スタンドを選択した後、ステップS003−1へ進む。
【0041】
全ての充電スタンドについて処理した場合(ステップS003−1でYes)、抽出した複数の充電スタンド中で、同一のPOIIDを持つものは、1つの充電スタンドとして扱い、走行距離は最小のものを採用する(ステップS003−6)。このとき、対応したノードのノードIDの情報は複数個保存する。最後に、算出した充電スタンドの情報を充電スタンド一時記憶装置115へ格納する(ステップS003−7)。充電スタンドの情報を表すデータの構成を図9に示す。充電スタンドの情報を表すデータは、取得したPOIID、メッシュID、緯度・経度座標、対象のノードID(複数ある場合は複数のノードID)、走行距離、充電スタンドからノードまでの経路に含まれる道路リンク数、及びその経路に含まれる複数の道路リンクで構成される。
【0042】
次に、充電スタンド一時記憶装置115に記憶されている複数の充電スタンドから、仮想経由地点を算出する(ステップS004)。この処理は、安心度設定装置103で設定された安心度を用いて、仮想経由地点算出装置116で実行される。仮想経由地点算出装置116の処理フローを図10に従って説明する。
【0043】
はじめに、充電スタンド一時記憶装置115にて記憶されている全ての充電スタンドから省電力ルートへ垂線を下ろす(ステップS004−1)。ステップS004−1では、始めに、充電スタンド一時記憶装置115から、対象となった省電力ルート上のノードIDの情報を取得する。次に、経路記憶装置117から、このノードIDに該当する省電力ルート上の道路リンクIDの情報を取得する。次に、充電スタンドの位置から、取得した道路リンクまで垂線を下ろす。道路リンクの代わりにサブリンクを用いてもよい。道路リンクの始点の座標をXs(sx、sy)、終点の座標をXe(ex、ey)とし、充電スタンドの座標をXc、道路リンクの方位をα、道路リンクと充電スタンドの位置の角度をβ、垂線の足を表す座標をXlとすると図11のようになり、垂線の足の座標は式(2)〜(4)で求めることができる。
Xl=Xs+k(Xe−Xs) ・・・(2)
【数1】

・・・(3)
【数2】

・・・(4)
【0044】
ここでの「×」はベクトルの外積を、Lは充電スタンドから垂線の足までの距離を、kはリンク長に対する道路リンクの始点から垂線の足までの長さの比を表している。また方位α、βは、反時計周りを正とする。
【0045】
また、垂線が存在しない場合は、道路リンクの始点と終点とで距離の近い方を垂線の足として採用する。1つの充電スタンドに対応する道路リンクが複数個存在する場合は、充電スタンドから垂線の足までの距離が最小のものを採用する。以上の処理によって、ステップS004−1で充電スタンドに対応した省電力ルート上の垂線の足を1つ決めることができる。
【0046】
次に、充電スタンドと省電力ルートの位置関係から、巡回する充電スタンドを選択する(ステップS004−2)。ステップS004−2では、図12のような、省電力ルートの巡回ルートが、省電力ルートを横切らないように、充電スタンドを選択する。ここでは、図11の方位βの符号で判断する。βの符号が正となる充電スタンド群Aと負となる充電スタンド群Bに分類し、一方を採用する。ここでは、充電スタンドの数が多い充電スタンド群を採用する。
【0047】
次に、巡回ルートに含まれる全ての充電スタンドの仮想経由地点を決定する処理をしたかどうかを判定する(ステップS004−3)。すべての充電スタンドについて処理した場合(ステップS004−3でYes)、処理を終了する。
【0048】
すべての充電スタンドについて処理していない場合(ステップS004−3でNo)、充電スタンドから省電力ルートに下ろした垂線上に、内分点を決める(ステップS004−4)。この内分点は、安心度設定装置103で設定された安心度を用いて、設定される。
【0049】
ステップS004−4における内分点のの決定方法を図11および図13に従い説明する。ステップS004−4では、安心度Sの大小によって、内分点を算出する。充電スタンドから垂線の足までのベクトル(図11で、Xl−Xc)と安心度Sから、内分点の座標Xtを式(5)および(6)のように求める。
Xt=Xc+p(Xl−Xc) ・・・(5)
p=1−(S/100) ・・・(6)
【0050】
係数pは、安心度Sから求められる値であり、安心度0の場合は、p=1となり、内分点は垂線の足と一致し、安心度100の場合は、p=0となり内分点は充電スタンドの位置に等しくなる。図13に示すように、安心度が高いほど、充電スタンドの位置に近づく内分点を取る。
【0051】
また、内分点の決定にSOCを用いる方法もある。この方法を用いる場合は、安心度設定装置103で設定した安心度と、経路記憶装置117に格納されている道路リンクIDに対応するSOCの値を入力値とする。この道路リンクとは、充電スタンドからの垂線の足が含まれる道路リンクをいう。SOCの値が小さいほど、または安心度が大きいほど充電スタンド側に内分点を算出する。SOCを最大の充電容量に対する充電容量とし、最大を1とした百分率で表すとすると、内分点の座標Xtを式(5)および(7)のように求める。
Xt=Xc+p(Xl−Xc) ・・・(5)
p={1−(S/100)}・SOC ・・・(7)
【0052】
次に、直前の仮想経由地点から対象の充電スタンドまで経路探索し、消費電力を算出する(ステップS004−5)。直前の仮想経由地点が存在しない場合は、電気自動車の出発地点から対象の充電スタンドまでの消費電力を算出する。
【0053】
次に、内分点周辺のノードIDを検索し、仮想経由地点となるノードIDを決定する(ステップS004−6)。ステップS004−6の詳細の処理フローを図14に従って説明する。
【0054】
はじめに、充電スタンドから省電力ルートに下ろした垂線上の内分点から一定距離内のすべてのノードIDを、地図情報110から抽出する(ステップS004−6−1)。例えば、図12における巡回ルートと省電力ルートとによって囲まれる領域に属し、かつ内分点を中心とした、半径が一定距離の円内に含まれるすべてのノードIDを抽出する。次に、抽出した全てのノードについて本処理フローに従った処理を終了したかどうかを判定する(ステップS004−6−2)。すべてのノードについて本処理フローに従った処理を終了したのではない場合(ステップS004−6−2でNo)、直前の仮想経由地点から本処理フローに従った処理を終了していない1つのノードまで経路探索し、消費電力を算出する(ステップS004−6−3)。直前の仮想経由地点がない場合は、電気自動車の現在位置(出発地)から該ノードまでの消費電力とする。
【0055】
次に、該ノードまでの消費電力が、ステップS004−5で求めた対応する充電スタンドまでの消費電力よりも少ないかどうかを判定する(ステップS004−6−4)。この判定処理は、該ノードまでの消費電力が充電スタンドまでの消費電力よりも多くの消費電力を必要とする場合、該ノードを含む経路を除くためである。たとえば、該ノードへ向かうには充電スタンドに向かうよりも迂遠な回り道を経由しなければ不可能であるような場合である。該ノードまでの消費電力が、充電スタンドまでの消費電力よりも大きい場合(ステップS004−6−4でNo)、該ノードを仮想経由地点の候補点とせずに、ステップS004−6−2へ進む。該ノードまでの消費電力が、充電スタンドまでの消費電力よりも小さい場合(ステップS004−6−4でYes)、該ノードから目的地までの経路を探索して、目的地までの走行距離を算出する(ステップS004−6−5)。
【0056】
次に、目的地までの走行距離が一定距離以内かどうかを判定する(ステップS004−6−6)。この判定処理は、該ノードを仮想経由地点として選んだ場合、目的地に行くのに、長い距離の経路を走行しなければならない状況を防ぐためである。仮想経由地点が袋小路である場合や、橋の無い目的地対岸の道路である場合等が考えられる。仮想経由地点から目的地までの走行距離が一定距離以上の場合(ステップS004−6−6でNo)、該ノードを仮想経由地点の候補点とせずに、ステップS004−6−2へ進む。目的地までの走行距離が一定距離以下の場合(ステップS004−6−6でYes)、該ノードを仮想経由地点の候補点とする(ステップS004−6−7)。
【0057】
すべてのノードについて処理を終了した場合(ステップS004−6−2でYes)、仮想経由地点の候補点があるかどうかを判定する(ステップ004−6−8)。仮想経由地点の候補点がない場合(ステップ004−6−8でNo)、安心度設定装置103の安心度が閾値以上かを判定する(ステップS004−6−9)。この閾値とは例えば安心度の中間値の50である。安心度が閾値以上の場合(ステップS004−6−9でYes)、仮想経由地点を充電スタンドの位置Xcとする(ステップS004−6−10)。安心度が閾値以下の場合(ステップS004−6−9でNo)、充電スタンドから省電力ルートに下ろした垂線の足Xlを仮想経由地点とする(ステップS004−6−11)。仮想経由地点の候補点がある場合(ステップ004−6−8でYes)、仮想経由地点の候補点を仮想経由地点とし、候補点が複数個ある場合は、直前の仮想経由地点から最小の消費電力でたどり着くことができるノードを仮想経由地点とする(ステップS004−6−12)。
【0058】
次に、複数の仮想経由地点を経由して目的地まで走行する「安心ルート」を算出する(ステップS005)。ステップS005は、経路コスト算出装置112にて実行される。安心ルートは、出発地から仮想経由地点を経由地として、目的地まで経路探索することで求められる。求められた安心ルートのデータは、経路記憶装置117へ格納される。図15(a)に安心ルートのデータ構成を、図15(b)にその安心ルートの一例を示す。安心ルートのデータは、経路の種類、安心度、構成される道路リンク数とその道路リンクID、その道路リンクが存在するメッシュID、始点ノードID、終点ノードID、消費電力、その道路リンクの通過時におけるバッテリーの充電の容量(SOC)で構成される。
【0059】
最後に、経路記憶装置117を参照し、「安心ルート」の情報を表示装置111のディスプレイ上に表示し、ユーザーに提示する(ステップS006)。表示の一例を図16に示す。図16では、ステップS002で算出した省電力ルートや、目的地まで最短時間で到着することができる「最速ルート」とともに、「安心ルート」を提示している。ここでは、各ルート毎に、到着予測時刻、走行距離、消費電力、経由する充電スタンド数のほかに、周辺充電スタンド数の情報を提示する。この周辺充電スタンド数とは、対象のルートの周辺に存在する充電スタンドの数を表す指標である。「安心ルート」以外のルートでの充電スタンド数の算出は、充電スタンド検索装置114にて行う。以上のような処理で、複数ルートの中から1つをユーザーに選択させる。
【0060】
―第2の実施の形態―
本発明の第2の実施の形態は、経路計画システムである。図17は、図17(a)に示す車載端末装置001と図17(b)に示すセンタ装置002とで構成される経路計画システムを示している。センタ装置002は、交通情報取得装置501、交通情報記憶装置508、経路探索装置509、地図情報510、通信装置601を含んで構成される。車載端末装置001は、目的地入力装置102、安心度(安全係数)設定装置103、バッテリー104と接続されたバッテリー情報取得装置105、センサ類106と接続された自車位置算出装置107、表示装置111、通信装置201を含んで構成される。
【0061】
車載端末装置001とセンタ装置002とは、通信装置201と通信装置601との間の通信によって接続されている。通信装置201は、携帯電話機、無線LANモジュール、PDA(Personal Digital Assistance)あるいは車載端末装置001と一体化されたモデムでも構わない。地図情報510がセンタ装置002で管理されることで、常に新しい情報で経路探索をすることができる。
【0062】
車載端末装置001は、通信装置201を介して、目的地入力装置102にて入力された目的地情報、安心度設定装置103にて設定された安心度情報、バッテリー情報取得装置105にて取得されたバッテリー情報、自車位置算出装置107により算出された自車位置情報を、センタ装置002へ送信する。
【0063】
センタ装置002は、通信装置601を介して、これらの情報を受け取り、経路探索装置509へ入力させる。
【0064】
センタ装置002の経路探索装置509で出力された経路探索結果は、通信装置601を介して、車載端末装置001へ送信される。車載端末装置001は、通信装置201を介して、経路探索結果の情報を受信する。さらに経路探索結果を表示装置111のディスプレイ上に表示し、ユーザーに提示する。このとき、経路探索結果は、自車位置から目的地までの経路の道路リンクIDの列で表される。
【0065】
―第3の実施の形態―
第3の実施の形態では、メッシュ内に含まれる充電スタンドの数を考慮して仮想経由地点を決定する方法について説明する。図18は、第3の実施の形態における車載端末装置001の全体構成を表している。第3の実施の形態における車載端末装置001は、第1の実施の形態と同様に、交通情報取得装置101、目的地入力装置102、安心度(安全係数)設定装置103、バッテリー情報取得装置105、自車位置算出装置107、交通情報記憶装置108、経路探索装置109、地図情報110、表示装置111を含んで構成される。経路探索装置109は、経路コスト算出装置211、充電スタンド密度算出装置212、充電スタンド密度一時記憶装置213、メッシュコスト算出装置214、メッシュコスト一時記憶装置215に加え、第1の実施の形態と同様に、地図データ取得装置113、経路記憶装置117を含んで構成される。
【0066】
経路探索装置109の処理フローを図19に従って説明する。はじめに、地図データ取得装置113にて、必要な地図データを取得する(ステップS101)。この手法は、第1の実施の形態における地図データ取得装置113と同様の処理である。次に、充電スタンド密度算出装置212にて、取得した地図データから各メッシュ毎の充電スタンド密度を算出する(ステップS102)。算出した充電スタンド密度のデータは、充電スタンド密度一時記憶装置213に格納される。メッシュの充電スタンド密度の算出においては、はじめに、ステップS001にて取得した地図データを構成するメッシュとそのメッシュに含まれる充電スタンドを表すPOIの個数を計算する。メッシュの充電スタンド密度は、メッシュに含まれる充電スタンドの数を、メッシュ群に含まれる全てのメッシュで求めたメッシュあたりの充電スタンド数のうちの最大値で割った値とする。メッシュ群に含まれるメッシュは、例えば、図6に表されるように、目的地の存在するメッシュと、自車位置の存在するメッシュを対角線にした長方形を作った場合において、その長方形に含まれる全メッシュである。図6のメッシュ群では、メッシュID00、01、10、11、20、21の各メッシュに含まれる充電スタンドの数を、0、1、2、4、5、10とすると、それらの各メッシュにおける充電スタンド密度は、最大の充電スタンド数が10であるため、それぞれ0、0.1、0.2、0.4、0.5、1.0となる。
【0067】
次に、メッシュコスト算出装置214にて、安心度設定装置103で設定された安心度(安全係数)Sを用いて、各メッシュのコストを算出する(ステップS103)。ここでの安心度とは、充電スタンドのある地域をどのくらい頻繁に通りたいかを表す指標である。ここで安心度Sは0から100までの範囲でユーザーが設定する。ここでメッシュID「i」のメッシュコストKiを、充電スタンド密度をρiとして式(8)のように規定する。
【数3】

・・・(8)
【0068】
εはρiが0のときのゼロ除算を防ぐための微小な係数である。メッシュコストKは、メッシュの充電スタンド密度が低いほど、または安心度が大きいほど、大きな値をとる。算出したメッシュコストのデータは、メッシュコスト一時記憶装置215に格納される。メッシュコストのデータ構成を図20に示す。メッシュコスト一時記憶装置205は、メッシュID「i」と対応するメッシュコストKをメッシュコストのデータとして格納する。例えば、安心度Sを50、εを0.1とすると、メッシュID00、01、10、11、20、21のメッシュコストは、それぞれ、5.0、2.5、1.7、1.0、0.8、0.5となる。
【0069】
次に、経路コスト算出装置211にて、メッシュコスト一時記憶装置215の情報を用いて、目的地までの経路探索を行う(ステップS104)。このとき道路リンクID「j」の消費電力のコストをCとする。また、道路リンクID「j」の存在するメッシュID「i」を地図情報110から取得する。取得したメッシュID「i」に対応するメッシュコストKを、メッシュコスト一時記憶装置215から取得する。このときメッシュコストを考慮した道路リンクID「j」のコストC’は式(9)で算出する。
’=K×C ・・・(9)
【0070】
式(9)の処理により、充電スタンド密度の低いメッシュの道路リンクのコストを相対的に高くし、対象道路リンクを経路探索にて通りにくくする。逆に、充電スタンド密度の高いメッシュの道路リンクのコストを相対的に低くし、対象道路リンクを経路探索にて通りやすくする。以上の処理により、安心度の大きさおよび充電スタンド密度の大きさに応じた安心ルートを算出する。この安心ルートのデータを経路記憶装置117へ格納する。この安心ルートのデータの構成は第1の実施の形態におけるものと同様である。
【0071】
最後に、ステップS104にて算出した安心ルートとメッシュの充電スタンド密度情報を、表示装置111にて地図画面表示に重畳してユーザーに提示する(ステップS105)。表示の一例を図21に示す。図21では、充電スタンド密度一時記憶装置213に格納されている充電スタンド密度情報を、3段階に分けて、地図上のメッシュを色で識別して表示し、さらに安心ルートを重ねて表示している。
【0072】
―変形例―
(1) 上述の実施の形態の説明においては、1次式である式(4)により内分点を求めたが、他の式を用いても良い。たとえば、以下の式(10)のように1次式以外であっても良い。
p={1−√(S/100)}・SOC ・・・(10)
【0073】
(2) 上述の図21の説明においては、安心ルートとメッシュの充電スタンド密度情報を、地図画面表示に重畳して表示することとしたが、簡易な地図画面表示または模式的な地図画面表示に重畳して表示することとしても良い。また、上述の図21においては、地図上のメッシュを色で識別して表示することとしたが、その表示に用いられるメッシュの色は、昼画面と夜画面とで反転するなど異ならせる表示としても良い。
【0074】
(3) 上述の実施の形態の説明においては、充電スタンドの近くを経由する安心ルートを計算することとしたが、バッテリー交換所の近くを経由する安心ルートを計算することとしても良い。
【0075】
(4) 上述の図6の説明においては、要求するメッシュ群は、目的地の存在するメッシュと、自車位置の存在するメッシュを対角線にした長方形つくり、その長方形に含まれる全メッシュとした。しかし、その長方形に含まれる全メッシュを含み、かつその長方形よりも大きな所定範囲の領域に含まれる全メッシュとしても良い。
【0076】
(5) 上述の実施の形態の説明においては、本発明を、電気自動車に搭載し、バッテリー残量に基づき最適な経路探索を行う車載端末装置001に適用した実施の形態を説明した。しかし、車載端末装置001は、エネルギー源の残量に基づき最適な経路探索を行うものであれば、バッテリー以外の他のエネルギー源を有する車両に搭載されるものであっても良い。たとえば、エネルギー源をガソリン燃料とした場合には、上述の実施の形態の説明において、エネルギー源供給施設としての充電スタンドはガソリンスタンドに、バッテリー情報取得装置は燃料計に、消費電力はガソリン消費量に各々読み替えることとする。エネルギー源が軽油燃料の場合、あるいはバイオ燃料、アルコール燃料、水素燃料、天然ガス燃料等の代替燃料の場合においても同様である。
【0077】
(6) 上述の実施の形態の説明においては、本発明を車載端末装置001に適用した実施の形態を説明したが、車載端末装置001は、たとえば、PND(Personal Navigation Device)のような着脱可能な装置であって、電気自動車に搭載可能なものであっても良い。
【符号の説明】
【0078】
001 車載端末装置
002 センタ装置
101、501 交通情報取得装置
102 目的地入力装置
103 安心度設定装置
104 バッテリー
105 バッテリー情報取得装置
106 センサ類
107 自車位置算出装置
108、508 交通情報記憶装置
109、509 経路探索装置
110、510 地図情報
111 表示装置
112 経路コスト算出装置
113 地図データ取得装置
114 充電スタンド検索装置
115 充電スタンド一時記憶装置
116 仮想経由地点算出装置
117 経路記憶装置
201、601 通信装置
211 経路コスト算出装置
212 充電スタンド密度算出装置
213 充電スタンド密度一時記憶装置
214 メッシュコスト算出装置
215 メッシュコスト一時記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される経路計画装置であって、
目的地を入力する目的地入力手段と、
地図情報を用いて前記目的地までの経路を算出する経路算出手段と、
前記移動体に搭載したセンサを用いて前記移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、
ユーザーの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、
前記地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、前記目的地までの前記コストが最小となる最小コスト経路を生成する経路計算手段と、
前記地図情報から、前記最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索する検索手段と、
前記施設の位置と前記最小コスト経路との間に、前記安全係数に応じた経由地点を設定する経由地点計算手段と、
前記経由地点を経由する前記経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする経路計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路計画装置において、
前記経由地点計算手段は、
前記施設の位置から前記最小コスト経路への垂線上に位置する前記安全係数に応じた内分点を前記経由地点として設定することを特徴とする経路計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載の経路計画装置において、
前記経由地点計算手段は、
前記施設の位置から前記最小コスト経路への垂線上に位置する前記安全係数および前記移動体のエネルギー源推定残量に応じた内分点を前記経由地点として設定し、
前記エネルギー源推定残量は、前記移動体が、前記垂線の足が属する道路リンクを移動する際の前記エネルギー源の残量の推定値であることを特徴とする経路計画装置。
【請求項4】
請求項1に記載の経路計画装置において、
前記経由地点計算手段は、
前記施設の位置から前記最小コスト経路への垂線上に位置する前記安全係数に応じた内分点周辺の所定範囲内のノードを取得し、前記現在位置から前記ノードのうちのいずれか1つの特定ノードを経由して前記目的地へ至るまでの前記コストが最小のコストとなるような前記特定ノードを前記経由地点の1つとして設定することを特徴とする経路計画装置。
【請求項5】
請求項1に記載の経路計画装置において、
前記表示手段は、
前記経路を前記地図情報に基づく地図表示に重ねて表示する際に、前記経路に含まれるすべてのノードの周辺の前記施設についての前記施設情報の検索に基づき算出される前記施設の施設数を同時に表示することを特徴とする経路計画装置。
【請求項6】
経路計画送信装置と、
移動体に搭載される経路計画受信装置とを備え、
前記経路計画送信装置は、
地図情報を用いて目的地までの経路を算出する経路算出手段と、
前記地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、前記目的地までの前記コストが最小となる最小コスト経路を生成する経路計算手段と、
前記地図情報から、前記最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索する検索手段と、
前記施設の位置と前記最小コスト経路との間に、所定の係数に応じて、経由地点を設定する経由地点計算手段と、
前記経路計画受信装置より前記所定の係数を受信し、前記経路計画受信装置に対して、前記経由地点計算手段により設定された前記経由地点を表す設定情報を送信する第1の通信手段とを備え、
前記経路計画受信装置は、
前記目的地を入力する目的地入力手段と、
前記移動体に搭載したセンサを用いて前記移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、
ユーザーの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、
前記経路計画送信装置より前記設定情報を受信し、前記経路計画送信装置に対して、前記安全係数を前記所定の係数として送信する第2の通信手段と、
前記設定情報に基づき前記経由地点を経由する前記経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする経路計画システム。
【請求項7】
移動体に搭載される経路計画装置であって、
目的地を入力する目的地入力手段と、
地図情報を用いて目的地までの経路を算出する経路算出手段と、
前記移動体に搭載したセンサを用いて前記移動体の現在位置を決定する位置計算手段と、
ユーザの入力により安全係数を設定する安全係数設定手段と、
前記地図情報に含まれる道路リンクが属するメッシュにおいて、エネルギー源を供給することができる施設についての施設情報密度を算出する施設情報密度算出手段と、
前記施設情報密度と前記安全係数とに基づき、前記メッシュのメッシュコストを算出するメッシュコスト算出手段と、
前記メッシュコストに基づき、前記メッシュに属する前記道路リンクのリンクコストを調整するコスト調整手段と、
前記コスト調整手段により調整された前記リンクコストを用いて、前記経路を探索する経路探索手段と、
前記経路を表示する表示手段とを備えることを特徴とする経路計画装置。
【請求項8】
請求項7に記載の経路計画装置において、
前記メッシュコストは、前記安全係数に比例し、前記施設情報密度に反比例して算出されることを特徴とする経路計画装置。
【請求項9】
請求項7に記載の経路計画装置において、
前記表示手段は、
前記施設情報密度に応じた表示態様で前記メッシュが表示された地図上に、前記経路を重ねて表示することを特徴とする経路計画装置。
【請求項10】
移動体に搭載される経路計画装置に用いられる経路計画方法であって、
地図情報を用いて、入力された目的地までの経路を算出し、
前記移動体に搭載したセンサを用いて前記移動体の現在位置を決定し、
前記地図情報に含まれる道路リンクのコストを算出し、前記目的地までの前記コストが最小となる最小コスト経路を生成し、
前記地図情報から、前記最小コスト経路の所定範囲内でエネルギー源を供給することができる施設についての施設情報を検索し、
前記施設の位置と前記最小コスト経路との間に、設定された安全係数に応じて、経由地点を設定し、
前記経由地点を経由する前記経路を表示することを特徴とする経路計画方法。
【請求項11】
移動体に搭載される経路計画装置に用いられる経路計画方法であって、
地図情報を用いて、入力された目的地までの経路を算出し、
前記移動体に搭載したセンサを用いて前記移動体の現在位置を決定し、
前記地図情報に含まれる道路リンクが属するメッシュにおいて、エネルギー源を供給することができる施設についての施設情報密度を算出し、
前記施設情報密度と設定された安全係数とに基づき前記メッシュのメッシュコストを算出し、
前記メッシュコストに基づき、前記メッシュに属する前記道路リンクの各々のリンクコストを調整し、
調整された前記リンクコストを用いて前記経路を探索し、
前記経路を表示することを特徴とする経路計画方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−122926(P2011−122926A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280574(P2009−280574)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】