説明

統合電気接点を有する基板把持装置

【解決手段】基板保持搬送組立体を開示する。基板保持搬送組立体は、ベースプレートと、離間配向性を有してベースプレートに接続された一対のクランプとを含み、一対のクランプの離間配向性は、少なくとも二つの独立点による基板の支持を可能にする。基板保持搬送組立体は、更に、実質的に一対のクランプ間の位置においてベースプレートに接続された電極組立体を含む。電極組立体は、基板が存在し且つ一対のクランプにより保持される時、基板に電気接点を与えるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の取り扱いに関し、特に、電気接点を付与した状態での処理ヘッドを介した基板の同時移動に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板処理には、エッチング、堆積、洗浄、及び研磨等を含め、様々な動作が含まれる場合がある。堆積処理を実行する一方法は、電気メッキを使用することである。電気メッキ処理は、電気メッキ処理流体に露出する際に基板との電気接触を形成する必要がある。様々な方法を使用して電気メッキを行うことが可能だが、しかしながら、電気接触はメッキ処理に干渉する可能性があるため、基板全体で一貫したメッキを達成することが困難になる恐れがある。例えば、電気メッキの一方法では、電気メッキ流体槽に基板を浸漬する。電気接触は、槽に浸漬させた複数の電気接点を使用して基板との間に形成可能である。しかしながら、電気接触が基板との間に形成される場所では、メッキ材料の堆積に不規則性が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したことに鑑みて、メッキ材料の堆積における不規則性を最小化しつつ電気メッキ環境において信頼性の高い接触を提供可能な改良された基板の取り扱いに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、基板保持搬送組立体を開示する。基板保持搬送組立体は、ベースプレートと、離間配向性を有してベースプレートに接続された一対のクランプとを含む。離間配向性は、少なくとも二つの独立点により基板を支持可能に画成でき、少なくとも二つの独立点は一対のクランプにより画定される。基板保持搬送組立体は、更に、実質的に一対のクランプ間の位置においてベースプレートに接続された電極組立体を含む。電極組立体は、基板が存在し且つ一対のクランプにより保持される時、基板に電気接点を与えるように形成される。
【0005】
他の実施形態において、基板をクランプして電気接点を付与する方法を開示する。方法は、閉位置へ独立して作動させることが可能な、受領位置にある統合電極組立体を有するクランプ組立体を提供するステップを含む。クランプ組立体は、更に、受領位置にある少なくとも二つの基板クランプを有し、基板クランプは、クランプ位置へ独立して作動させることが可能である。他の動作において、方法では、クランプ組立体において基板を受領し、クランプ位置へ基板クランプを作動させる。クランプ位置では、基板クランプを基板と接触した状態にする。他の動作において、電極組立体は、閉位置へ作動させる、電極組立体の閉位置では、複数の電極を基板に接触した状態にする。基板と接触している複数の電極は、電気接点を付与する。
【0006】
他の実施形態において、基板ハンドリング組立体を開示する。基板ハンドリング組立体は、ベースプレートと、ベースプレートに結合された第一の基板クランプとを含む。第一の基板クランプは、提供時に基板を保持して受け入れるように構成されたクランプ面を有する。第一の基板クランプは、更に、開位置及び閉位置を有し、閉位置は基板を固定するように画定される。基板ハンドリング組立体は、更に、ベースプレートに結合され、同じく提供時に基板を保持して受け入れるように構成されたクランプ面を有する第二の基板クランプを含む。第二の基板クランプは、ベースプレートに沿って第一の基板クランプからクランプ距離だけ間隔を空けて基板に対する支持部を画成する。第二の基板クランプは、開位置及び閉位置を有し、閉位置は基板を固定するように画定される。基板ハンドリング組立体は、更に、実質的に第一及び第二の基板クランプ間の位置においてベースプレートに接続された電極組立体を含む。電極組立体は、開位置及び閉位置を有する複数の電極を有する。閉位置は、複数の電極をベースプレートへ向けて移動させて、基板の存在時に基板に接触させるように画定される。
【0007】
本発明の他の態様及び利点は、本発明の原理を一例として示す次の添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、その他の利点と共に、次の添付図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することにより最も良く理解し得よう。
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による、処理モジュール102の高レベル概略図である。
【0010】
【図2】本発明の一実施形態による、処理ステーション及び基板に関連する把持装置組立体の全体概略図である。
【0011】
【図3】本発明の一実施形態による、把持装置組立体の拡大図を示す概略図である。
【0012】
【図4】本発明の一実施形態による、把持装置組立体の分解図である。
【0013】
【図5】本発明の実施形態による、基板クランプ402及び404の概略図である。
【図6】本発明の実施形態による、基板クランプ402及び404の概略図である。
【0014】
【図7】本発明の一実施形態による、接触レバーの図である。
【0015】
【図8】本発明の一実施形態による、電極マニホルド組立体の図である。
【0016】
【図8A】本発明の一実施形態による、電極マニホルドの図である。
【0017】
【図8B】本発明の一実施形態による、電極アーム804の図である。
【0018】
【図8C】本発明の一実施形態による、電極ディフューザの概略例図である。
【0019】
【図9】本発明の一実施形態による、把持装置組立体に設置された基板クランプ組立体の側面を示す概略図である。
【0020】
【図10】本発明の一実施形態による、把持装置組立体に設置された電極組立体の側部を示す概略図である。
【0021】
【図11A】本発明の実施形態による、様々なクランプ距離及び基板の偏位の比較を示す概略図である。
【図11B】本発明の実施形態による、様々なクランプ距離及び基板の偏位の比較を示す概略図である。
【0022】
【図12A】本発明の一実施形態による、把持装置組立体を移動させる搬送システムの概略図である。
【図12B】本発明の一実施形態による、把持装置組立体を移動させる搬送システムの概略図である。
【0023】
【図13】本発明の一実施形態による、処理組立体を介して基板を搬送する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
基板を保持及び搬送するための発明を開示する。基板を保持及び搬送することは、一定の半導体基板処理の速度及び歩留まりに影響を与え得る。近接ヘッドを使用して施される様々な処理への干渉を最小限にして基板を保持及び搬送する能力は、潜在的な汚染源を減少させ、これにより、歩留まりを増加させることが可能である。更に、単一の近接ヘッド内でのメッキ及び洗浄等、多数の処理を統合することにより、処理速度を向上できる。しかしながら、基板搬送装置が常に基板に接触していると、洗浄処理を統合することが困難な場合がある。
【0025】
基板用の保持搬送システムの一実施形態は、二つの把持装置を使用して基板を保持し、近接ヘッド内へ移動させる。最初に、この実施形態において、第一の把持装置は、基板縁部に沿った除外領域において基板を持ち上げる。第一の把持装置は、基板を近接ヘッド内へ搬送し、基板のみを処理化学反応に露出する。基板が近接ヘッドから現れる際に、第二の把持装置は、所定位置において、処理直後の基板を受領する。一実施形態において、第一の把持装置と第二の把持装置との間での基板の引き渡しは、第二の把持装置が基板を挟み付けた後で行われる。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかしながら、こうした具体的な詳細の一部又は全部が無くとも、本発明を実現し得ることは、当業者には明らかとなろう。また、周知の処理ステップは、本発明を不必要に曖昧にしないため、詳細な説明を省略している。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による、処理モジュール102の高レベル概略図である。この実施形態において、処理モジュール102は、クリーンルーム108に配置され、コンピュータ106に接続される。コンピュータ106は、処理モジュール102において実行される処理の直接的制御及び監視を行うことができる。加えて、コンピュータ106をコンピュータネットワークにつなげることで、処理モジュール102の遠隔制御及び監視を行うことができる。クリーンルーム108は、処理モジュール102での処理流体の供給及び除去が可能な設備109を提供できる。流体制御部112は、設備109により供給された処理流体を貯蔵可能である。処理化学物質又は脱イオン水貯蔵部114は、流量制御器116及びバルブ118を使用して制御できる。
【0027】
処理モジュール102は、エアフィルタ、ヒータ、加湿器、及び除湿器等を含むことが可能な環境制御部110を含み得る。処理モジュール102には、様々な処理ステーションも存在する。処理モジュール102は、処理ステーションA、B、及びCを含んでいるが、これは例示のためであり、これより少ない又は追加の処理ステーションを備えた処理モジュールにすることも可能である。処理ステーションBは、把持装置組立体121及び把持装置組立体121aと、メッキ処理組立体120と、基板ハンドラ123とを含む。一実施形態において、把持装置組立体121は、基板150をクランプして基板ハンドラ123からメッキ処理組立体120へ移動させるように位置決めされる。別の処理及びメッキ以外の追加処理を実行可能であることに留意されたい。また、処理ステーションが実行する処理は、単一又は複数の近接処理ヘッドにより実行可能である。
【0028】
基板150がメッキ処理組立体120から現れる際に、把持装置組立体121aは、基板150を受領するように位置決めされる。基板150が適切な量だけメッキ処理組立体150から現れた時に、把持装置組立体121は、基板150をクランプし、メッキ処理組立体を通して基板150を引くことができる。一実施形態において、把持装置組立体121は、基板150を押し続ける。メッキ処理組立体120を通して基板150を渡すために、把持装置121は基板150を解放し、把持装置121aは、引き続き基板150を引く。他の実施形態において、処理ステーションBは、メッキ処理組立体120に加えて、それ以外の様々な処理組立体及び近接ヘッドを含むことができる。同様に、処理ステーションA及びCは、様々な処理組立体を収容及び支援できる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、処理ステーション204及び基板150に関連する把持装置組立体121の全体概略図である。図示及び上述したように、把持装置組立体121は、基板150を解放している。この実施形態において、基板150は、処理ステーション204から現れて来ており、明確にするため、基板を引いているはずの第二の把持装置は図示していない。処理ステーション204が電気メッキ工程を実行した場合のシナリオにおいて、把持装置組立体121及び第二の把持装置は、基板クランプを使用して基板を固定し、把持装置組立体に組み込まれた電極組立体により電荷を印加するように構成される。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による、把持装置組立体121の拡大図を示す概略図である。説明の目的から、把持装置組立体121は、以下の三種類の部分組立体、即ち、クランプ組立体300、電極組立体302、及びクランプ組立体304に分割できる。把持装置組立体121の他の実施形態は、単一のクランプ組立体又は追加のクランプ組立体を含むことができる。同様に、追加の電極組立体を、把持装置組立体121の別の実施形態に含めることができる。図3に示した実施形態において、クランプ組立体300及び304は、基板が存在していないが閉位置の状態で図示している。更に、電極組立体302は、開位置の状態で図示している。他の実施形態において、クランプ組立体は、基板が存在しない時に開位置となってよく、電極組立体は閉位置となってよい。
【0031】
一実施形態において、把持装置組立体121は、クランプ組立体300及び304が閉位置にあり、電極組立体302が開位置にある状態で、静止した基板に接近する。把持装置組立体121が基板に接近する際に、クランプ組立体300及び304を開位置へ作動させることができる。把持装置組立体121が基板の周囲に正しく位置決めされた時、クランプ組立体300及び304は、基板の適切な領域上で閉じることができる。一実施形態において、基板の適切な領域は、基板縁部の除外領域を含む。閉鎖するために作動された時、基板クランプ組立体300及び304は、基板を把持装置組立体121に対して固定する。一実施形態において、クランプ組立体300は、クランプ組立体304から独立して移動可能である。これにより、最初にクランプ組立体300、その後、クランプ組立体304に基板を掴ませること、或いはその逆が可能となる。他の実施形態において、独立したクランプ組立体300及び304の作動は、同時に発生する。
【0032】
クランプ組立体300及び304が基板を固定した後、電極組立体302を閉位置へ作動させ、電極を基板に接触した状態にすることができる。一実施形態において、電極は、基板縁部の除外領域において基板と接触する。電極組立体302を基板に選択的に適用可能であることに留意されたい。把持装置組立体121は電極の適用を必要としない処理モジュールを介して基板を搬送する可能性があるため、これは有益となり得る。他の実施形態において、把持装置組立体121は、必要に応じた電極組立体302又はクランプ組立体300又は304の迅速な追加、除去、又は交換を可能にするモジュラコンポーネントとして製造できる。他の実施形態では、電極組立体を外して追加のクランプ組立体に交換することを可能にし得る。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態による把持装置組立体121の分解図である。一実施形態において、クランプ組立体300及び304は、アクチュエータ407と、基板クランプ404又は基板クランプ402と、圧縮モジュール408と、停止ブロック412とを含む。一実施形態において、基板クランプ404及び402は、結合点において基部410に結合される。結合点において、基板クランプ402及び404は、開位置及び閉位置への旋回が可能となる。更に、基部410には、結合点を中心に基板クランプ402及び404を開位置へ旋回させることが可能なアクチュエータ407が結合される。
【0034】
基板クランプ402及び404は、圧縮モジュール408と連係する特徴部414を含む。図4に示した実施形態において、特徴部414は、圧縮モジュール408に対応するカウンターボア領域である。圧縮モジュール408はバネとして図示されているが、これは圧縮モジュールを例示するものであり、他の実施形態では、基板クランプ402及び404に一定の反復可能な力を及ぼすことが可能なアクチュエータにすることができる。
【0035】
停止ブロック412は、最上部416に結合され、アクチュエータ407により開位置へ移動される時に、基板クランプ402及び404に移動の上限を提供できる。他の実施形態において、アクチュエータ407が最大移動距離を制限するように構成可能である場合、停止ブロック412は必要ない。
【0036】
電極組立体302は、接触レバー406と、電極マニホルド組立体400と、アクチュエータ407と、張力モジュール414(図示せず)とを含む。一実施形態において、電極マニホルド組立体400は、接触レバー406に結合され、接触レバー406は、基部410に結合される。接触レバー406は、接触レバー406が開位置及び閉位置へ旋回することを可能にする結合点において基部に結合される。電極マニホルド組立体400については、以下、図8乃至8Cの説明において更に詳細に例示する。一実施形態において、張力モジュール414は、基部410と電極マニホルド組立体400との間に位置決めされる。張力モジュール414は、電極マニホルド組立体400を開位置へ旋回させる一定の力を提供できる。アクチュエータ407は、最上部416に結合させることが可能であり、作動時には、電極マニホルド組立体400を閉位置へ降下させることができる。一実施形態において、アクチュエータ407は、空気圧により動作させることが可能であり、アクチュエータ407の他の実施形態は、他の様々な手法を使用して動作させることが可能である。
【0037】
図5及び図6は、本発明の実施形態による、基板クランプ402及び404の概略図である。基板クランプ402及び404は、クランプ面500を含む底部側を有する。基板が存在し、基板クランプ402及び404が閉位置にある状態において、クランプ面500は、基板に接触している。図5及び6に図示した基板クランプ402及び404は、直径約300mmの円形基板に対応するように構成される。クランプ面500は基板の除外領域に接触することを目的とするため、クランプ面500は、二種類の半径R1及びR2により部分的に画成される。一実施形態において、R1は、約145mmであり、R2は、約150mmである。R1及びR2の記載値は、直径約300mmの基板用の例であることに留意されたい。当業者には、別の直径の基板に対応する基板クランプを作成するためにR1及びR2の値を修正可能であることは認識されよう。更に、円形基板の使用と、その結果生じる基板クランプの半径とは、限定を目的とするものではない。基板クランプ402及び404の他の実施形態は、非円形基板に対応するように構成できる。
【0038】
一実施形態において、基板クランプ402及び404は、全長Lを約66mm、幅Wを約20mm、高さHを約20mmにすることができる。旋回穴506は、基板クランプ402及び404の幅を貫通し、基板クランプと基部との間に結合位置を提供できる。
【0039】
図7は、本発明の一実施形態による、接触レバー406の図である。スルーホール702は、接触レバー406を貫通しており、基部及び電極マニホルド組立体に対して張力モジュールを固定可能にする。取り付け穴700a及び700bは、電極マニホルド組立体と接触レバー406との間に結合位置を提供するように画成される。旋回穴704は、接触レバー406の幅を横断し、接触レバー406と基部との間に結合点を提供できる。
【0040】
図8は、本発明の一実施形態による、電極マニホルド組立体300の図である。一実施形態において、電極マニホルド組立体300は、接触マニホルド800と、電極アーム804と、電極ディフューザ802とを含む。電極マニホルド組立体300の個別の構成要素を以下説明する。
【0041】
図8Aは、本発明の一実施形態による、電極マニホルド800の図である。取り付け穴814は、電極マニホルドと接触レバーとの間に結合位置を提供するように位置決めされる。加えて、出口穴810は、電極管を収容するように位置及びサイズを定める。出口穴810は、ガスマニホルド816と交差しており、ガスマニホルドは、ポート812及びポート818の二つの開口部を有する。ガスマニホルド816により、ポート812又はポート818の何れかを介して導入された加圧ガスは、出口穴810へ分配可能となる。
【0042】
図8Bは、本発明の一実施形態による、電極アーム804の図である。一実施形態において、電極アーム804は、導電性材料により形成された中空の円筒である。電極アーム804は、全長約23mm、外径約2mm、及び内径約1mmである。電極アーム804は、更に、マニホルド端部820と電極端部822とを有する。マニホルド端部820は、電極マニホルド800の出口穴810に結合するように構成され、電極端部822は、電極ディフューザ802に結合するように構成される。電極アーム804の中空部に加圧ガスを通過させることが可能となるように、マニホルド端部820と電極マニホルド800との間の結合は、実質的に気密にし得る。同様に、電極端部822と電極ディフューザ802との間の結合も、実質的に気密にし得る。上述した実施形態は、例示であり、限定と見做すべきではなく、電極アーム804は様々な断面プロフィールを有する様々な材料により構築可能である。例えば、電極アーム804の他の実施形態は、三角形、正方形、五角形、六角形等の断面を備えた管から構築できる。
【0043】
図8Cは、本発明の一実施形態による、電極ディフューザ802の概略例図である。電極ディフューザ802は、導電性材料により作成可能であり、最大直径Dを約3mmとした実質的な円筒形にすることができる。一実施形態において、電極ディフューザ802は、約3mmの全長Lを有する。電極ディフューザ802の第一の端部は、電極管の電極端部と結合するように構成された結合空洞830を有する。結合空洞830の反対側の端部である第二の端部には、第二の端部から結合空洞へと貫通する複数の穴834が存在する。穴834は、基板へ向けて電極管を通過した圧縮ガスを拡散する役割を果たし得る。
【0044】
電極先端部835は、電極ディフューザと軸方向に整合して、電極ディフューザ802の第二の端部から延びる。電極先端部835は、約0.8mmの直径dを備えた実質的に円筒形の接触面832を有し得る。更に、接触面832は、電極ディフューザ802の第二の端部から約1mmオフセットさせることができる。電極組立体400を閉位置にした時には、電荷を電極組立体400に印加可能となる。電荷は、導電性電極アーム804を通り、電極先端部802を介して基板へ移動できる。電荷の印加と同時に、圧縮ガスを電極アーム804の中空部を介して送給し、ディフューザ802を通して基板へ供給できる。圧縮ガスの供給は、電極先端部と基板との間の電荷の流れにより生じた熱を分散可能である。
【0045】
図9は、本発明の一実施形態による、把持装置組立体に設置された基板クランプ組立体の側面を示す概略図である。この実施形態において、圧縮モジュール408は、基板クランプ404に一定の力を加え、基板クランプ404の初期状態を閉位置とするバネである。基板クランプ404を開くために、アクチュエータ407は、基板クランプ404を押し、結合点506を中心に基板クランプ404を旋回させてクランプ面500を持ち上げる。
【0046】
図10は、本発明の一実施形態による、把持装置組立体に設置された電極組立体の側部を示す概略図である。この実施形態において、張力モジュール414は、電極マニホルド400に一定の力を加え、電極組立体の初期状態を開位置とすることが可能なバネである。電極組立体を閉位置にするために、アクチュエータ407は、電極組立体を押し下げ、これにより、電極先端部を降下させて基板に接触させる。電極先端部が基板に接触すると、電極アーム804が曲がり、基板との信頼性の高い電気接触を促進するバネ効果を提供できることに留意されたい。
【0047】
図11A及び図11Bは、本発明の実施形態による、様々なクランプ距離及び基板の偏位の比較を示す概略図である。一実施形態では、単一の把持装置組立体が、最初に、クランプ距離だけ離れた二つの基板クランプに基板150を保持する。クランプ距離は、基板150の縁部からの距離Xとして定めることができる。或いは、クランプ距離は、クランプ領域500間の距離Yとして定めることができる。
【0048】
クランプ距離に関係なく、基板クランプにより所定位置に保持されると、基板150は、片持ち部材として機能する。図11A及び図11Bに示したように、基板150の質量は、ほぼ基板クランプが基板150に接触している場所を支点としたモーメントアームを形成可能である。このモーメントアームは、基板150が距離dだけ偏位した状態を発生させ得る。図11A及び11Bに示した偏位dは、図示のため誇張されていることに留意されたい。基板150に応力及び歪みが持ち込まれることで、偏位dとの釣り合いがとれる。したがって、クランプ距離と、結果的に生じる基板150の偏位とは、応力及び歪みに対する基板150の感度により、ある程度制約される可能性がある。クランプ距離に対する別の制約の可能性は、処理組立体の幅である。幅広の処理組立体では、基板の大部分が処理組立体の内部に収容され得るため、より小さなクランプ距離が必要になる場合がある。反対に、幅の狭い処理組立体では、大きなクランプ距離が可能となり得る。
【0049】
図12A及び図12Bは、本発明の一実施形態による、把持装置組立体を移動させる搬送システムの概略図である。端部から見ると、把持装置組立体121は、アーム1202の末端にあることが分かる。アーム1202は、ガイド1204a及びガイド1204bに結合させることができる。ガイド1204a及びガイド1204bは、レール1206に直交する方向でのアームの運動を制限するように構成できる。一実施形態において、レール1206は、図12Bに示したように、アーム1202が方向Xへ移動することを可能にする線形アクチュエータの一部である。
【0050】
把持装置組立体の質量と、基板が把持装置内に存在する時の追加分とに基づいて、アーム1202にはモーメントが生じる。したがって、アーム1202の材料及び形状は、偏位に抵抗する能力に基づいて選択可能である。潜在的に腐食性の処理流体がアーム1202に近接して使用される場合があるため、アーム1202の材料の化学的抵抗性も、付加的な考慮事項となる。一実施形態において、アーム1202は、米国材料試験協会(ASTM)ステンレス鋼タイプ316を使用して作成される。別の実施形態では、プラスチック、非鉄金属、被覆鉄金属、及び他の種類のステンレス鋼等、異なる材料を使用し得る。
【0051】
図13は、本発明の一実施形態による、処理組立体を介して基板を搬送する手順を示すフローチャートである。手順は、動作1302により開始され、第一の把持装置組立体の基板クランプ及び電極組立体を開位置にする。次に、動作1304では、基板を保持する位置へ第一の把持装置組立体を移動させる。次に、動作1306では、基板上で基板クランプを閉じ、その後、動作1308では、基板上で電極組立体を閉じる。手順は動作1310へ続き、基板を基板処理組立体の内部へ移動させる。この後、動作1312において、第二の把持装置組立体の基板クランプ及び電極組立体を開位置にする。
【0052】
次に、動作1814において、処理後に処理組立体から現れた際に基板を受領する場所に第二の把持装置組立体を位置決めする。処理済み基板が十分に現れると、動作1316において、第二の把持装置組立体の基板クランプを処理済み基板上で閉じる。この後、動作1318では、第二の把持装置組立体の電極組立体を処理済み基板上で閉じる。手順は動作1320へ続き、第一及び第二の把持装置は、引き続き処理組立体を通して基板を移動させる。特定の地点において、動作1322により、第一の把持装置組立体の電極組立体を開き、その後、動作1324において、第一の把持装置組立体の基板クランプを開く。
【0053】
以上、理解を明確にする目的から、ある程度の詳細さをもって上記発明を説明してきたが、添付特許請求の範囲内で一定の変更及び変形を実施し得ることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、例示的であって、限定的ではないと見做すべきであり、本発明は、本明細書に記載の詳細に限定されるべきではなく、添付特許請求の範囲内及びその等価物の範囲内で変形し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持搬送組立体であって、
ベースプレートと、
一対のクランプにより画定される少なくとも二つの独立点により基板を支持可能に画成された離間配向性を有して前記ベースプレートに接続された一対のクランプと、
実質的に前記一対のクランプ間の位置において前記ベースプレートに接続されており、前記基板が存在し且つ前記一対のクランプにより保持される時、前記基板に電気接点を与えるように形成された電極組立体と、
を備える基板保持搬送組立体。
【請求項2】
請求項1記載の基板保持搬送組立体であって、更に、
前記ベースプレートに接続されており、前記一対のクランプを開位置へ操作するように構成された一対のクランプアクチュエータを備える、基板保持搬送組立体。
【請求項3】
請求項2記載の基板保持搬送組立体であって、更に、
上部プレートに接続されており、前記電極アクチュエータを閉位置へ操作するように構成された電極アクチュエータを備える、基板保持搬送組立体。
【請求項4】
請求項3記載の基板保持搬送組立体であって、
前記クランプアクチュエータ及び前記電極アクチュエータは、独立して制御される、基板保持搬送組立体。
【請求項5】
請求項1記載の基板保持搬送組立体であって、
前記電極組立体は、基板の存在時に前記基板へガスを分配するように形成される、基板保持搬送組立体。
【請求項6】
請求項1記載の基板保持搬送組立体であって、
圧縮モジュールが、基板の存在時に前記基板を保持するための一定の圧力を前記一対のクランプに及ぼす、基板保持搬送組立体。
【請求項7】
請求項6記載の基板保持搬送組立体であって、
前記圧縮モジュールは、バネである、基板保持搬送組立体。
【請求項8】
基板をクランプして電気接点を付与する方法であって、
閉位置へ独立して作動させることが可能な、受領位置にある統合電極組立体、及び、クランプ位置へ独立して作動させることが可能な、受領位置にある少なくとも二つの基板クランプを有するクランプ組立体を提供するステップと、
前記クランプ組立体において前記基板を受領するステップと、
前記基板クランプを前記基板と接触した状態にする前記クランプ位置へ前記基板クランプを作動させるステップと、
前記電極組立体の複数の電極を前記基板に接触した状態にする閉位置へ前記電極組立体を作動させるステップと、を備え、
前記基板と接触している前記複数の電極は、前記電気接点を付与する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、
前記電極組立体は、更に、基板の存在時に前記基板の上面へガスを分配するように構成されたディフューザを含む、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法であって、
前記基板クランプの上方に位置決めされた圧縮モジュールが、前記基板クランプの上面に一定の力を及ぼす、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記圧縮モジュールは、バネである、方法。
【請求項12】
請求項8記載の方法であって、
前記基板クランプの前記作動は、空気圧により実行される、方法。
【請求項13】
請求項8記載の方法であって、
前記電極組立体の前記作動は、空気圧により実行される、方法。
【請求項14】
基板ハンドリング組立体であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートに結合され、提供時に基板を保持して受け入れるように構成されたクランプ面を有し、開位置と、前記基板を固定するように画定された閉位置とを有する第一の基板クランプと、
前記ベースプレートに結合され、提供時に基板を保持して受け入れるように構成されたクランプ面を有し、前記ベースプレートに沿って前記第一の基板クランプからクランプ距離だけ間隔を空けて前記基板に対する支持部を画成し、開位置と、前記基板を固定するように画定された閉位置とを有する第二の基板クランプと、
実質的に前記第一及び第二の基板クランプ間の位置において前記ベースプレートに接続され、複数の電極を有し、開位置と、前記複数の電極を前記ベースプレートへ向けて移動させて存在時に前記基板に接触させるように画定された閉位置とを有する電極組立体と、
を備える基板ハンドリング組立体。
【請求項15】
請求項14記載の基板ハンドリング組立体であって、
前記第一の基板クランプ、前記第二の基板クランプ、及び前記電極組立体のそれぞれは、独立したアクチュエータを有する、基板ハンドリング組立体。
【請求項16】
請求項14記載の基板ハンドリング組立体であって、
前記電極組立体は、更に、基板の存在時に前記基板の上面へガスを分配するように構成されたディフューザを含む、基板ハンドリング組立体。
【請求項17】
請求項14記載の基板ハンドリング組立体であって、更に、
前記第一の基板クランプの上面上方に位置決めされた圧縮モジュールを備え、
前記第一の基板クランプが前記閉位置にある時、前記圧縮モジュールは、前記第一の基板クランプの前記正面に一定の力を及ぼす、基板ハンドリング組立体。
【請求項18】
請求項17記載の基板ハンドリング組立体であって、
前記圧縮モジュールは、バネである、基板ハンドリング組立体。
【請求項19】
請求項14記載の基板ハンドリング組立体であって、
前記第一及び第二の基板クランプは、非金属材料により作成される、基板ハンドリング組立体。
【請求項20】
請求項14記載の基板ハンドリング組立体であって、
前記アクチュエータは、空気圧式である、基板ハンドリング組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−528474(P2010−528474A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509357(P2010−509357)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/006418
【国際公開番号】WO2008/153682
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】