説明

絶縁膜用コーティング組成物、これより製造される絶縁膜、及びこれを含む電気または電子素子

本発明は、a)有機シロキサン重合体;b)Rbイオン、Csイオン、及びこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオン;及びc)有機溶媒を含み、前記第1金属イオンの含有量は、組成物全重量に対して1乃至200ppmである絶縁膜用コーティング組成物、これより製造される絶縁膜、及びこれを含む電気または電子素子に関するものである。本発明の絶縁膜用コーティング組成物を利用して膜を製造すれば、低い誘電率と共に、優れた機械的強度と電気的特性を有する絶縁膜を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜用コーティング組成物、これより製造される絶縁膜、及びこれを含む電気または電子素子に係り、特に、低い誘電率と共に、優れた機械的強度および電気的特性を有する絶縁膜用コーティング組成物、これより製造される絶縁膜、及びこれを含む電気または電子素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体素子の高集積化による金属配線ピッチの減少傾向に伴い、電波遅延、相互干渉ノイズ、電力損失のような問題点が発生することがある。
【0003】
これを解決するために、RC遅延を小さくする方法をまず考慮することができるが、金属配線材料の抵抗を低くし、各金属配線の間のコンダクタンス(conductance)を低くする方法が使用されている。このために、電気伝導度の良い銅(Cu)を金属配線の材料に利用したり、金属配線間に絶縁性の良い材料を使うのが一般的な方法として知られている。
【0004】
現在用いられている絶縁物質は、大部分、誘電率が4.0であるSiO系を使っており、最近では誘電率3.0である物質が商用化され、長期的には2.2または2.0以下に下げるのが目標となっている。
【0005】
誘電率を2.5以下に下げるための従来の方法は、低誘電マトリックス樹脂に気孔形成物質を導入して硬化させた後、これを除去して多孔性絶縁膜を形成する方法と、シラン化合物を塩基性触媒の存在下で加水分解及び重合した後、これを利用して多孔性膜を製造する方法などが知られている。しかし、このような方法で製造された低誘電絶縁膜は、2.5以下の低誘電率を有するが、気孔の導入によって機械的強度が著しく落ち、電気的特性などが低下して、半導体工程に使用するためにはこれら物性の改善努力が必要である。
【0006】
半導体用絶縁膜の製造に使用される絶縁膜用コーティング組成物は、誘電特性、機械的特性の以外に、組成物内に存在する粒子や金属不純物の量を一定の水準以下に制御することが要求される。絶縁膜組成物内に粒子や金属イオンが存在すると、工程中の色々な不良が発生するために工程の収率が落ちる恐れがある。
【0007】
また、Na、K、Ca、Fe、Cu、Ni、MgまたはZnなどのような一般金属またはこれらのイオンが絶縁膜組成物内に含まれる場合、これより製造される絶縁膜の電気的特性の低下を招く恐れがある。特に、NaとK金属イオンは拡散速度が速く、ゲートの素子性能に致命的な悪影響を誘発する恐れがあるため、これらの含有量を一定量の以下に制限することが要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、特定の金属イオンを含有して、絶縁膜形成時、低い誘電率と共に優れた機械的強度と電気的特性を有する絶縁膜用コーティング組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記絶縁膜形成物から製造され、低誘電性及び優れた機械的強度と電気的特性を有する絶縁膜を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記絶縁膜を含む電気または電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記目的を達成するために、a)有機シロキサン重合体;b)Rbイオン、Csイオン、及びこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオン;及びc)有機溶媒を含み、前記第1金属イオンの含有量は、組成物全重量に対して1乃至200ppmである絶縁膜用コーティング組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、前記絶縁膜用コーティング組成物から製造され、Rbイオン、Csイオン、及びこれらの混合物からなる群から選択された金属イオンを含む絶縁膜を提供する。
本発明はまた、前記絶縁膜を含む電気または電子素子を提供する。
【0013】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明者は、Na、K、Ca、Fe、Cu、Ni、Mg、及びZnなどのような一般金属、及びこれらのイオン含有量が少ないと共に、低誘電性及び優れた機械的特性と電気的特性を有する絶縁膜に関して研究した。このような研究の結果で、絶縁膜用コーティング組成物内にRbイオン、Csイオン、またはこれらの混合物を一定量含有する場合、これら特定の金属イオンが絶縁膜の硬化反応を促進させ、最終的に形成される絶縁膜の架橋密度を高めて、絶縁膜の機械的強度と低誘電性、電気的特性などを改善することができることを発見し、これに基づいて本発明を完成するに至った。
【0014】
以下、本発明で、Rbイオン、Csイオン、またはこれらの混合物を第1金属イオンといい、前記Rbイオン、またはCsイオンを除いたNa、K、Ca、Fe、Cu、Ni、Mg、またはZnなどのような一般金属イオンを第2金属イオンという。
【0015】
一般的に、半導体素子の製造工程中で、銅配線工程、バリア膜工程、及び絶縁膜製造工程を通じて、前記第2金属イオンが一定量含有されうる。また、絶縁膜用コーティング組成物の製造工程中にも、有機シロキサン重合体原料、溶媒、または反応器などの色々な要因によって、前記第2金属イオンが一定量含有されうる。
【0016】
しかし、前記第2金属イオンを含む絶縁膜用コーティング組成物で絶縁膜を製造すると、絶縁膜の電気的特性などが低下する恐れがある。特に、NaイオンとKイオンは分子量が少なく、その拡散速度が非常に速いため、ゲート素子の特性にも致命的な影響を与える恐れがあり、通常の半導体製造工程ではその量が厳しく制限されている。
【0017】
しかし、前記第2金属イオンを含有しない絶縁膜用コーティング組成物を利用して絶縁膜を製造すると、絶縁膜の誘電特性、機械的強度、及び電気的特性がむしろ悪くなる。
【0018】
本発明の絶縁膜用コーティング組成物は、a)有機シロキサン重合体、b)Rbイオン、Csイオン、及びこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオン、及びc)有機溶媒を含む。
【0019】
前記有機シロキサン重合体は、シラン化合物、またはシランオリゴマーから重合されたものであればよいが、a)下記の化学式1及び化学式2によって示される化合物からなる群より選択される1種以上のモノマー、b)前記モノマーから製造されるダイマー、及びc)前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマーからなる群より選択される1種以上のシラン化合物から重合される有機シロキサン重合体であるものが、誘電特性及び機械的強度の側面から一層好ましい。
【0020】
SiR1pR24-p (化学式1)
前記化学式1で、
は、水素、アリール、ビニル、アリル、フッ素で置換された直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキル、またはフッ素で置換されていない直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキルであり、
は、直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素であり、
pは1乃至2の整数である。
【0021】
R3qR43-qSi-M-SiR5rR63-r (化学式2)
前記化学式2で、
及びRは、各々独立に、水素、フッ素、アリール、ビニル、アリル、フッ素で置換された直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキル、またはフッ素で置換されていない直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキルであり、
及びRは、各々独立に、直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素であり、
Mは、炭素数1乃至6のアルキレンまたはフェニレンであり、
q及びrは各々0乃至2の整数である。
【0022】
前記有機シロキサン重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算分子量で500以上であるのが好ましく、500乃至1,000,000であるのがさらに好ましい。前記有機シロキサン重合体の重量平均分子量が500未満であると、絶縁膜コーティング性が低下する恐れがある。
【0023】
前記有機シロキサン重合体は、i)前記化学式1及び化学式2に示される化合物からなる群より選択される1種以上のモノマー、ii)前記モノマーから製造されるダイマー、及びiii)前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマーからなる群より選択される1種以上のシラン化合物から選択される1種以上のシラン化合物、触媒、及び水を混合し、前記シラン化合物を加水分解及び縮合反応する工程により製造できる。
【0024】
前記加水分解及び縮合反応は、必要に応じて有機溶媒をさらに添加して行うことができ、重合される有機シロキサン重合体の分子量調節を容易にするためには、有機溶媒の存在下で加水分解及び縮合反応するのがさらに好ましい。
【0025】
前記有機シロキサン重合体の製造に用いられる有機溶媒は、前記シラン化合物の加水分解及び縮合反応に大きな差し支えを与えないものであればいずれのものでも使用できるが、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、及びアミド系溶媒からなる群より選択される1種以上であるものが好ましい。
【0026】
前記有機溶媒の具体的な例を見てみれば、a)n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンからなる群より選択される1種以上の脂肪族炭化水素系溶媒、b)ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、及びメチルエチルベンゼンからなる群より選択される1種以上の芳香族炭化水素系溶媒、c)メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、4−メチル2−ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、及びグリセロールからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶媒、d)メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びアセチルアセトンからなる群より選択される1種以上のケトン系溶媒、e)テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジグライム、ダイオキシン、ジメチルダイオキシン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のエーテル系溶媒、f)ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールジアセテートからなる群より選択される1種以上のエステル系溶媒、並びにg)N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミドからなる群より選択される1種以上のアミド系溶媒などがあり、これらの中で選択される1種以上の有機溶媒であるのが好ましい。
【0027】
前記加水分解及び縮合反応に用いられる触媒としては、酸触媒または塩基触媒が用いられ、一般的に有機分子または有機高分子を処理する場合には、酸触媒を使用するのが好ましい。
【0028】
前記酸触媒の種類は特に制限されないが、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、フッ酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、オレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、p−アミノ安息香酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
【0029】
また、前記塩基触媒の種類も特に制限されず、アルカリ金属化合物、アンモニア水、有機アミン、及び第4級アンモニウム化合物からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
【0030】
前記触媒の添加量は特に限定されず、触媒の種類及びシラン化合物の種類によって適切な量を選択して用いることができるので、これに対する詳細な説明は省略する。
【0031】
前記触媒と共に、有機シロキサン重合体の製造のために含まれる水は、シラン化合物の加水分解のために添加される。前記有機シロキサン重合体の製造工程で含まれる水の量は、重合に使用されるシラン化合物の加水分解性官能基1モル当り1乃至30モルであるのが好ましく、2乃至20モルであるのがさらに好ましい。水の含有量が、重合に使用されるシラン化合物の加水分解性官能基1モル当り1モル未満であると、充分な加水分解及び縮合反応が起こらず、絶縁膜形成時にも誘電特性と機械的物性が良くない。また、水の含有量が、シラン化合物の加水分解性官能基1モル当り30モルを超えると、加水分解縮合反応時、相が分離して不均一な反応が起こる恐れがあり、コーティング性が低下する傾向がある。
【0032】
前記有機シロキサン重合体の製造工程中で水を添加する方法は、断続的に添加する方法と連続的に添加する方法とがある。この時、前記触媒は、有機溶媒中に予め混合されてあっても良く、水に溶解または分散した水溶液状態で添加しても良い。
【0033】
前記有機シロキサン重合体の加水分解及び縮合反応は、0乃至100℃で実施するのが好ましい。
【0034】
本発明の絶縁膜用コーティング組成物に含まれる前記第1金属イオンは、有機シロキサン重合体、及び有機溶媒と共にRbイオン、Csイオン、またはこれらの混合物を含む金属塩を混合する方法で、添加することができる。
【0035】
前記絶縁膜用コーティング組成物内に存在する第1金属イオンの含有量は、全体絶縁膜用コーティング組成物重量に対して1乃至200ppmであるのが好ましく、5乃至100ppmであるのがさらに好ましい。前記第1金属イオンの含有量が1ppm未満であると、マトリックス樹脂である有機シロキサン重合体の硬化反応を促進する効果が微々たるものとなって、絶縁膜の機械的強度及び電気的特性が低下し、低誘電絶縁膜は得られなくなる。また、その含有量が200ppmを超えると、それ以上の物性向上を示さず、保存安定性が悪くなり、これより製造される絶縁膜の誘電特性及び電気的特性が低下する恐れがある。
【0036】
また、本発明の絶縁膜用コーティング組成物に含まれる第2金属イオンの総含有量は少ないほど好ましいが、全体組成物に対して0.5ppm以下であるのが好ましい。また、Naイオン及びKイオンの総含有量は0.1ppm以下であるのが好ましく、0.02ppm以下であるのがさらに好ましい。第2金属イオンの総合が0.5ppmを超えたり、Naイオン及びKイオンの総含有量が0.1ppmを超えると、絶縁膜の電気的特性に影響を与え、ゲート素子の特性にも致命的な影響を与えられる。
【0037】
前記第2金属イオンは、絶縁膜用コーティング組成物の製造段階の中、前記第1金属イオンを添加する前段階で、一般的な金属イオンの除去方法によって除去できる。より具体的に、前記第2金属イオンの除去方法は、水で洗い落とす方法、イオン交換樹脂フィルターを使用する方法、またはゼータ電位フィルターを使用する方法などがある。ただし、前記第2金属イオンの除去方法が前記方法にのみ限定されるわけではない。
【0038】
本発明の絶縁膜用コーティング組成物に含まれる前記有機溶媒の種類は特に制限されず、前記有機シロキサン重合体の製造に使用された有機溶媒か、前記有機シロキサン重合体の製造後に新しく添加された有機溶媒か、前記有機シロキサン重合体の製造に使用された有機溶媒と新しく添加された有機溶媒の混合溶媒が使用可能である。
【0039】
前記有機溶媒の好ましい例は、有機シロキサン重合体の製造に使用された有機溶媒の例と同一であるので、以下では詳細な説明を省略する。ただし、前記記載された有機溶媒の中でも、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のエーテル系溶媒、並びにジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールジアセテートからなる群より選択される1種以上のエステル系溶媒を主溶媒に使用するのが、絶縁膜用コーティング組成物のコーティング性の面からさらに好ましい。
【0040】
ただし、有機シロキサン重合体の製造に使用された有機溶媒を含む場合には、絶縁膜用コーティング組成物のコーティング性を阻害する特定の有機溶媒、有機シロキサン重合体の製造工程中で生じた反応副産物、及び水を一定量除去するのが好ましい。
【0041】
本発明の絶縁膜用コーティング組成物は、これより製造される絶縁膜の密度を低くするために、d)気孔形成物質をさらに含むことができる。前記気孔形成物質は、450℃以下で熱分解可能である有機分子または有機高分子であるのが好ましく、有機分子または有機高分子の種類は特に限られない。
【0042】
ただし、具体的には、150乃至450℃で熱分解が可能な脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル系化合物、エステル系化合物、酸無水物系化合物、カーボネート系化合物、アクリル系化合物、チオエーテル系化合物、イソシアネート系化合物、イソシアヌレート系化合物、スルホン系化合物、及びスルホキシド系化合物からなる群より選択される1種以上の有機分子またはこれより重合された高分子であるのが好ましく、150乃至450℃で熱分解が可能であるアルキレンオキシド重合体、及びアクリレート重合体からなる群より選択される1種以上であるのがさらに好ましい。
【0043】
また、気孔形成物質は、有機分子またはこれより重合された高分子の末端、または分子内部に有機シロキサン重合体と反応できるアルコキシシラン官能基を含有することもできる。
前記気孔形成物質は、300乃至100,000の重量平均分子量を有するのが好ましく、300乃至20,000の重量平均分子量を有するのがさらに好ましい。気孔形成物質の分子量が300未満であると効果的な気孔形成ができず、100,000を超えると、マトリックス樹脂との相溶性が低下し、非常にサイズの小さな微細気孔は形成され難い。
【0044】
また、前記気孔形成物質は、線状、ブロック型、放射型(radial)、または架橋型の分子構造を有する高分子または共重合体の中で1種以上選択されるのが好ましく、ブロック型、放射型、または架橋型の分子構造を有する高分子または共重合体の中で1種以上選択されるのがさらに好ましい。
【0045】
前記絶縁膜用コーティング組成物のコーティング性は、組成物内に含まれる固形分の濃度により調節され、前記絶縁膜用コーティング組成物の固形分の濃度は2乃至60重量%であるのが好ましく、5乃至40重量%であるのがさらに好ましい。固形分の濃度が2重量%未満であると充分な厚さの膜が形成できず、60重量%を超えると、コーティング性能及び保存安定性が低下する。
【0046】
前記絶縁膜用コーティング組成物は、また、機械的強度及び誘電特性の改善のために水をさらに含むすることができる。この時に含まれる水の含有量は、全体組成物含有量に対して1乃至10重量%であるのが好ましく、2乃至7重量%であるのがさらに好ましい。水の含有量が1重量%未満であると機械的強度及び誘電特性の改善効果が微々たるものとなり、10重量%を超えると、絶縁膜形成の時にコーティング性が低下するため、均一な絶縁膜は得難くなる。
【0047】
本発明の絶縁膜は前記絶縁膜用コーティング組成物から製造され、前記絶縁膜用コーティング組成物を基材の上にコーティングし、前記コーティングされた絶縁膜を乾燥及び焼成して硬化させる方法で製造されることができる。
【0048】
前記基材は特に限定されないが、シリコンウエハー、SiOウエハー、SiNウエハー、化合物半導体、ガラス基板、または高分子基板であるのが好ましい。
【0049】
前記絶縁膜用コーティング組成物を基材の上にコーティングする方法は、通常の液状コーティング方法を用いることができ、好ましくは、スピンコート法、浸漬法、ロールコート法、またはスプレー法などを使用することができ、この中でも、半導体装置の多層回路の層間絶縁膜の製造のためには、スピンコート法を利用するのが好ましい。
【0050】
前記コーティング方法でコーティングされるコーティング膜の厚さは、組成物の粘度を調節することができ、スピンコート法を利用する場合には、スピンコーターの回転速度を調節してコーティング膜の厚さを調節することもできる。
【0051】
前記絶縁膜用コーティング組成物のコーティング後には、乾燥工程と焼成工程を経て、3次元構造の有機シロキサン重合体絶縁膜を形成することができる。
【0052】
乾燥工程は、通常、絶縁膜用コーティング組成物に含まれている有機溶媒が蒸発しうる温度範囲内で実施するのが好ましく、30乃至300℃で実施するのがさらに好ましい。前記乾燥工程は、プリ−ベイク(pre-bake)工程とソフト−ベイク(soft-bake)工程とに分けられ、プリ−ベイク工程は、絶縁膜に含まれている有機溶媒を徐々に蒸発させる段階に相当し、ソフト−ベイク工程は、有機シロキサン重合体の官能基の中の一定量を架橋させる段階に相当する。
【0053】
また、前記乾燥工程の後に実施される焼成工程は、残留している有機シロキサン重合体の官能基を最終的に反応させる段階であって、前記焼成工程の温度は、本発明の有機シロキサン重合体絶縁膜の熱的安定性と、これを利用して製造された半導体素子の特性とによって決定されることができ、300℃以上の温度で実施するのが好ましく、350乃至500℃の温度で実施するのがさらに好ましい。
【0054】
前記乾燥工程と焼成工程は、一定の速度で温度を上げながら連続的に行うこともでき、また、特定の温度で断続的に実施することもできる。ただし、断続的に実施する場合には、乾燥及び焼成工程を各々1分乃至5時間の間遂行するのが好ましい。
【0055】
前記乾燥工程と焼成工程のための加熱方法は特に限定されず、熱板、オーブン、または加熱炉などを使用することができる。この時、加熱雰囲気は、窒素、アルゴン、またはヘリウムなどのような不活性気体雰囲気であったり、酸素雰囲気、酸素を含む気体(例えば、空気など)雰囲気、真空状態、またはアンモニア、及び水素を含有する気体雰囲気であることができる。
【0056】
前記加熱方法は、乾燥工程と焼成工程に対して同一の加熱方法を適用したり、または各々異なる方法を適用することもできる。
【0057】
前記絶縁膜用コーティング組成物から製造される絶縁膜は、有機シロキサン重合体の硬化反応を促進するために添加されたRbイオン、Csイオン、またはこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオン、またはこれらの塩を含むことができる。
【0058】
前記絶縁膜内に存在する第1金属イオンまたはこれらの塩は、有機シロキサン重合体の硬化反応を促進させて最終絶縁膜の未反応官能基を減少させ、最終絶縁膜の機械的強度を向上させ、誘電特性と電気的特性を改善させる役割を果たす。前記絶縁膜内に含まれる第1金属イオン、またはこれらの塩の含有量は、絶縁膜用コーティング組成物内に含まれる第1金属イオンの量によって決定される。絶縁膜の重量に対して、好ましくは5乃至1500ppm、さらに好ましくは15乃至800ppmである。前記第1金属イオンの含有量が5ppm未満であると、絶縁膜の機械的強度及び電気的特性が悪化する恐れがある。また、その含有量が1500ppmを超えると、絶縁膜の誘電特性及び電気的特性が悪化する恐れがある。
【0059】
前記絶縁膜は良好な誘電特性と、優れた機械的特性及び電気的特性を持っているので、半導体素子用層間絶縁膜、電子装置用層間絶縁膜、電子装置の保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子の保護膜や絶縁防止膜(anti-inslating film)、またはガスバリア膜などに用いられる。
前記絶縁膜の厚さは、用途によって変えられるので特に限定はしないが、半導体素子用層間絶縁膜として使用される場合には、0.05乃至2μmの厚さが好ましい。
【実施例】
【0060】
以下の諸例は、本発明を一層詳しく描写するが、本発明の範囲が下記の例によって限定されると解釈されるわけではない。
実施例1
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
有機溶媒のテトラヒドロフラン429gに、メチルトリメトキシシラン(MTMS)100.0gとテトラメトキシシラン(TMS)83.8gを加えた後、0.01N濃度の硝酸水溶液81.0gをゆっくり添加した。30分間室温(25℃)で反応させた後、80℃まで温度を徐々に上げて加熱、還流しながら夜通し(24時間)反応させた。
前記反応の完了後、反応溶液をエーテルで希釈し、pHが中性になるまで水で洗浄した。硫酸マグネシウムを添加して、反応液から残留水を完全に除去し、残留溶媒を真空オーブンで完全に除去して、有機シロキサン重合体を得た。得られた有機シロキサン重合体の重量平均分子量は3,500であった。
前記有機シロキサン重合体をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に20重量%溶液になるように溶解させた後、この溶液を金属イオン除去用フィルターに通して、残存する総金属イオンの含量を溶液重量に対して0.05ppm以下にした。金属イオンの含量は誘導結合型プラズマ質量分析器(ICP−MS)で測定し、その結果を下記表1に記載した。
【0061】
【表1】

【0062】
前記精製された有機シロキサン重合体溶液に、RbCl塩を、溶液重量に対して30ppm添加して、絶縁膜用コーティング組成物を得た。
【0063】
(絶縁膜の製造)
得られた絶縁膜用コーティング組成物を、シリコンウエハーの上にスピンコーティングしてコーティング膜を形成し、熱板上で1分間80℃プリベイクした後、1分間150℃ソフトベイクして乾燥した。
前記乾燥させたシリコンウエハーを炉内で430℃まで加熱させ、1時間硬化させて絶縁膜を製造した。
【0064】
実施例2
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
実施例1と同一な方法で得られた有機シロキサン重合体を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に20重量%の濃度で溶解させて、有機シロキサン重合体溶液を製造した。
また、重量平均分子量が5,000であり、ポリエチレンオキサイドの含有量が30%であるポリエチレンオキサイド(PEO)−ポリプロピレンオキシド(PPO)−ポリエチレンオキサイド(PEO)共重合体を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に20重量%の濃度で溶解させて、PEO−PPO−PEO溶液を製造した。
前記製造された有機シロキサン重合体溶液20gに、水1.1gと、前記製造されたPEO−PPO−PEO溶液7.6gを添加して混合した後、前記混合溶液を金属イオン除去用フィルターに通過させて、残存する総金属イオンの量が0.05ppm以下になるように精製した。
前記精製された溶液に、RbCl塩を溶液重量に対して30ppmで添加して、絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
【0065】
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0066】
実施例3
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩を溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0067】
実施例4
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、CsCl塩を溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0068】
実施例5
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩及びCsCl塩を溶液重量に対して各々50ppmずつ添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0069】
比較例1
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した後、RbCl塩を添加しないことを除いては、実施例1と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0070】
比較例2
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した後、RbCl塩を添加しないことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0071】
比較例3
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩を溶液重量に対して0.2ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0072】
比較例4
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩の代わりにZnClを溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0073】
比較例5
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩の代わりにSnClを溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0074】
比較例6
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩の代わりにPtClを溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0075】
比較例7
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩の代わりにFeClを溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0076】
比較例8
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩の代わりにNiClを溶液重量に対して100ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0077】
比較例9
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液に、RbCl塩を溶液重量に対して500ppmで添加したことを除いては、実施例2と同一な方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。この場合、形成された絶縁膜の表面でRbCl塩が析出され、均一なコーティング膜は得られなかった。
【0078】
比較例10
(絶縁膜用コーティング組成物の製造)
金属イオン除去用フィルターを利用して精製した混合溶液対比で100ppmのテトラメチルアンモニウム硝酸塩を前記溶液に添加したことを除いては、実施例2と同じ方法で絶縁膜用コーティング組成物を製造した。この組成物を常温で1週間保管したが、溶液の粘度が急激に増加した。
(絶縁膜の製造)
実施例1と同一な方法で絶縁膜を製造した。
【0079】
[絶縁膜の物性測定]
実施例1乃至5及び比較例1乃至10で製造された絶縁膜に対し、誘電率、機械的強度、及び漏れ電流を測定した。測定は下記の通り行った。
【0080】
誘電率
実施例1乃至5及び比較例1乃至10で製造された各絶縁膜を備えたMIS(metal/insulator/semiconductor)素子を、燐ドープSiウエハーの上に製作し、HP社のLCRメータを用いて1MHzで測定した。
【0081】
機械的強度
ナノインデンターを用いて係数及び硬度を測定した。
【0082】
絶縁破壊電圧及び漏れ電流
実施例1乃至5及び比較例1乃至10で製造された各絶縁膜を備えたMIS素子を、燐ドープSiウエハーの上に製作し、keithley 6517 エレクトロメーターを用いて絶縁破壊電圧及び漏れ電流を測定した。
前記測定結果を下記の表2に整理した。
【0083】
【表2】

【0084】
前記表2のように、RbイオンまたはCSイオン(第1金属イオン)を一定量含有する絶縁膜用コーティング組成物より製造された絶縁膜(実施例1乃至5)は、これら金属イオンを含まない他の絶縁膜に比べて低誘電性を有し、機械的強度が高く、また、電気的特性も向上することが分かる。
【0085】
反面、RbイオンでもCSイオンでない他の金属イオン(第2金属イオン)を含む比較例4乃至8の絶縁膜の場合には、低誘電性と機械的特性が改善されないことが分かり、硬化促進剤として知られたアミン(アンモニウム塩)を含む絶縁膜用コーティング組成物は、保存安定性が低下し、これより製造された比較例10の絶縁膜は、機械的強度、電気的特性、及び誘電特性が優れていないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有機シロキサン重合体;
b)Rbイオン、Csイオン、及びこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオン;及び
c)有機溶媒
を含む組成物であって、前記第1金属イオンの含有量が、前記組成物重量に対して1乃至200ppmである、絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項2】
前記有機シロキサン重合体は、
a)下記の化学式1及び化学式2:
SiR1pR24-p (化学式1)
[前記化学式1で、
は、水素、アリール、ビニル、アリル、フッ素で置換された直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキル、またはフッ素で置換されていない直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキルであり、
は、直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素であり、
pは1乃至2の整数である]
R3qR43-qSi-M-SiR5rR63-r (化学式2)
[前記化学式2で、
及びRは、各々独立に、水素、フッ素、アリール、ビニル、アリル、フッ素で置換された直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキル、またはフッ素で置換されていない直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルキルであり、
及びRは、各々独立に、直鎖または分枝鎖状の炭素数1乃至4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素であり、
Mは、炭素数1乃至6のアルキレンまたはフェニレンであり、
q及びrは各々0乃至2の整数である]
に示される化合物からなる群より選択される1種以上のモノマー、
b)前記モノマーから製造されるダイマー、及び
c)前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマー
からなる群より選択される1種以上のシラン化合物から重合されるものである、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項3】
RbイオンとCsイオン以外の金属イオンである第2金属イオンの総含有量が0.5ppm以下である、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項4】
Naイオン及びKイオンの総含有量が0.1ppm以下である、請求項3に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒は、
a)n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンからなる群より選択される1種以上の脂肪族炭化水素系溶媒;
b)ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、及びメチルエチルベンゼンからなる群より選択される1種以上の芳香族炭化水素系溶媒;
c)メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、4−メチル2−ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、及びグリセロールからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶媒;
d)メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びアセチルアセトンからなる群より選択される1種以上のケトン系溶媒;
e)テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジグライム、ダイオキシン、ジメチルダイオキシン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のエーテル系溶媒;
f)ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールジアセテートからなる群より選択される1種以上のエステル系溶媒;及び
g)N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミドからなる群より選択される1種以上のアミド系溶媒;
からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項6】
d)気孔形成物質
をさらに含む、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項7】
前記気孔形成物質が、150乃至450℃の温度範囲で熱分解が可能である、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル系化合物、エステル系化合物、無水物系化合物、カーボネート系化合物、アクリル系化合物、チオエーテル系化合物、イソシアネート系化合物、イソシアヌレート系化合物、スルホン系化合物、及びスルホキシド系化合物からなる群より選択される1種以上の有機分子またはこれより重合された高分子である、請求項6に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項8】
前記気孔形成物質が、300乃至100,000の重量平均分子量を有する線状高分子、ブロック型共重合体、放射型高分子、または架橋型高分子である、請求項7に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項9】
2乃至60重量%の固形分を有する、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項10】
e)水
をさらに含む、請求項1に記載の絶縁膜用コーティング組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一つに記載の絶縁膜用コーティング組成物から製造され、Rbイオン、Csイオン、またはこれらの混合物からなる群から選択された第1金属イオンを絶縁膜重量に対して5乃至1500ppm含む絶縁膜。
【請求項12】
請求項11に記載の絶縁膜を含む電気または電子素子。

【公表番号】特表2007−520624(P2007−520624A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508289(P2007−508289)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003540
【国際公開番号】WO2006/098544
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】