説明

緊急事態における移動体通信デバイスおよび移動体通信システムの動作方法

移動体通信システム(400)は複数のサービングセルにおいて通信サービスを提供する。緊急事態が発生すると、移動体通信システムは緊急事態によっていずれのサービングセルが影響を受けているかを判定し(402)、影響を受けているセルにおいて緊急事態通知メッセージのブロードキャストを開始する。影響を受けているセルの移動体通信デバイスには、ユーザの状態を他者に報告するための情報メッセージの通信のみが許可されるか、あるいは、ユーザが緊急加入者である場合、その緊急加入者は通常の通信サービスを受ける。緊急事態中、他の全ての通信サービスリクエストは無視される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体無線通信に関する。より詳細には、本発明は、緊急事態において加入者が加入者自身の状態を他者に認識させる性能を最大化したままシステム負荷を低減するように、移動体通信デバイスを動作させることに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信デバイスは広範に用いられており、都市部においては特に一般的となりつつある。本来は、これらのデバイスにより移動体無線電話サービスがサポートされ、ユーザが地上線電話機なしで互いに通信することや、電話の通話に参加したまま移動することが可能となった。しかしながら最近では、これらのデバイスは広範な種類の通信サービスおよびパーソナルサービスをサポートするように発展してきた。現在販売されているほとんどの移動体通信デバイスは、データおよびデータメッセージの送受信用のネットワーク・インタフェースを備えている。データ通信に参加する性能により、移動体通信デバイスはパーソナル通信アシスタントへと変化し、Java(登録商標)などの携帯アプリケーション環境用アプリケーションを含め、広範な種類のアプリケーションを移動体通信デバイス上で用いることが可能となった。
【0003】
移動体通信の進歩により社会がより移動性(mobile)となることが可能となったため、多くの人々は仕事の同僚とだけではなく友人や家族との連絡を取るためにも、移動体通信デバイスを用いている。通信システムのオペレータはシステム使用を最大化し、かつ、要求増加期間への対処に充分なリソースを提供するように、通信システムを構築する傾向にある。しかしながら、人口過密地域において緊急事態が発生することがある。緊急事態中、影響を受けている地域の通信システムリソースは瞬時にキャパシティに達し、多くの加入者は自身の状態を他者に認識させるための通信サービスを獲得することが不可能なまま残される。さらに、緊急事態に対処しようと作業する人々も、トラフィック渋滞のため通信システムを使用することは不可能である。したがって、加入者に通信リソースを渋滞させることなく自身の状態を報告させることを可能とするとともに、他者が通信サービスを獲得することを可能とする、通信デバイスおよび通信システムの動作方法が必要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明では、緊急事態中に移動体通信サービング地域を過負荷とする問題を、ユーザに緊急事態を警告し、通常の移動体通信動作を禁止することによって解決する。そればかりか、影響を受けている地域のユーザには、短い状態メッセージの送信のみが許可される。通常動作を禁止し、短いメッセージの送信のみを許可することにより、より多くの加入者が、安全であることや、緊急事態を発生させている出来事により深刻な影響は受けていないことを他者に通知することが少なくとも可能となる。また本発明では、影響を受けている地域において通常の加入者が緊急モードにより通常動作を禁止されているときに、緊急作業者など一定の加入者は通常動作を得ることを可能とする。
【0005】
ここで図1を参照する。図1には、本発明による移動体通信システム100のシステム図を示す。この移動体通信システムは、移動体通信デバイス102などの移動体通信デバイスにより、移動体通信を行う。この移動体通信デバイスは、エアインタフェース106を介して基地局104と通信する。この基地局は、この基地局に隣接するサービング地域、すなわち、セルを確立させ、そのサービング領域において移動体通信デバイスに通信サービスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による移動体通信システムのシステム図。
【図2】本発明による緊急事態の移動体通信デバイスの動作方法のフローチャート。
【図3】本発明による緊急事態中の移動体通信システムの一部の動作方法のフローチャート。
【図4】緊急事態を経験している領域を含む移動体通信サービス地域を示す図。
【図5】本発明による緊急事態中の移動体通信システムにおける呼処理に関する信号フローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態における移動体通信デバイスの動作方法であって、
移動体通信デバイスにて通信システムから緊急メッセージを受信する緊急メッセージ受信工程と、
緊急メッセージ受信工程に応答して移動体通信デバイスを通常モード動作から緊急モード動作へ遷移させるモード遷移工程と、
緊急モード動作中、移動体通信デバイスから肯定的状態メッセージが送信されることのみを許可するメッセージ送信許可工程とからなる方法。
【請求項2】
緊急メッセージ受信工程に応答して移動体通信デバイスのユーザに警告するユーザ警告工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザ警告工程は視覚的な警告を提供する視覚的警告工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
視覚的警告工程は移動体通信デバイスの状態応答ボタンを照明する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
視覚的警告工程は移動体通信デバイスのディスプレイ上にアイコンを表示する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ユーザ警告工程は聴覚的な警告を提供する聴覚的警告工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ユーザ警告工程は触覚的な警告を提供する触覚的警告工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
触覚的警告工程は移動体通信デバイスの機械的バイブレータを作動させる工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
緊急メッセージ受信工程は通信システムによりブロードキャストチャネルにて送信される緊急メッセージを受信する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
メッセージ送信許可工程は状態応答ボタンの作動に応答して肯定的状態メッセージを送信する工程を含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−515133(P2007−515133A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545448(P2006−545448)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/042326
【国際公開番号】WO2005/062582
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】