緊急停止連絡システム
【課題】携帯電話通信ネットワーク等既存の通信ネットワークを利用して、緊急時に車両運転士へ緊急停止命令を伝達する手段を提供する。
【解決手段】指令所のメール送受信用PC1と車両運転室に設置する携帯電話機10との間で、携帯電話通信ネットワークを通じ通信可能とする。指令所の警報装置5が発動したならば、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての携帯電話機10へ向けて、メール送受信用PC1から緊急停止命令メールを発信する。携帯電話機10は緊急停止命令メールを受信すると警報音の鳴動・警報メッセージの再生・画面の点滅等の警報動作を実行する。この警報動作はメール開封操作が行なわれるまで継続する。車両運転士は、警報動作に基づき、ただちに車両の走行を停止させることができる。携帯電話機10は、指令所のメール送受信用PC1から発信される電子メールのみ受信可能とし、誤作動を防止する。
【解決手段】指令所のメール送受信用PC1と車両運転室に設置する携帯電話機10との間で、携帯電話通信ネットワークを通じ通信可能とする。指令所の警報装置5が発動したならば、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての携帯電話機10へ向けて、メール送受信用PC1から緊急停止命令メールを発信する。携帯電話機10は緊急停止命令メールを受信すると警報音の鳴動・警報メッセージの再生・画面の点滅等の警報動作を実行する。この警報動作はメール開封操作が行なわれるまで継続する。車両運転士は、警報動作に基づき、ただちに車両の走行を停止させることができる。携帯電話機10は、指令所のメール送受信用PC1から発信される電子メールのみ受信可能とし、誤作動を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指令所から、この指令所が管理する線区内を運行する鉄道車両(列車、単独で運行する機関車、検測車や試験車等の特殊車両を含む)の運転士へ、異常が有ったときに緊急停止命令を伝達するためのシステムを、列車無線以外の手段で構築することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、指令所にて、管理線区における鉄道車両の運行状況を把握すると共に、線路環境を監視している。具体的には、鉄道沿線に地震計・風速計・雨量計・落石検知器等の異常検知手段が配置され、これらで異常の有無を検知している。そして、上記異常検知手段が線路環境の異常や規制値の超過を検知して、指令所の警報装置が警報を発動させたときには、これを認識した指令員が、CTC制御により駅構内の信号機に遠隔操作で停止信号を現示させると共に、車両運転士へ、列車無線により、緊急停止命令を伝達する。このような列車無線システムについては、例えば特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−37690号公報
【特許文献2】特開2002−314473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上に述べたように、指令所と車両運転士との間の連絡は、通常、列車無線を用いて行なわれる。しかし、列車無線システムが整備されていない線区も存在し、そのような線区では、通信手段として、乗務員無線が使用される。但し、乗務員無線の交信可能距離は最大半径1km程度であるため、指令員が列車運転士と通信できるのは、鉄道車両が駅構内又は駅の近傍に在るときに限られ、駅間を運行しているときは、緊急停止命令を伝達することが困難な場合があった。
【0005】
そこで、列車無線用の基地局を新設又は増設することも考えられるが、これには多大の費用を要するという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決できる緊急停止連絡システムを提供するものであって、その特徴とするところは、請求項1に記載するように、指令所から当該指令所が管理する線区を運行する鉄道車両の運転士へ緊急停止命令を伝達するためのシステムであり、指令所に設置された緊急停止命令を電子メールの形式で発信するためのメール送受信手段と、当該メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段と、車両運転室に設置され上記移動体通信ネットワークに無線方式で接続可能な移動体通信端末とを備え、指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定され、移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定されると共に、上記メール送受信手段から発信された緊急停止命令メールを受信すると所定の警報動作を実行するように設定されていることである。
【0007】
本発明に係る緊急停止連絡システム(以下、本発明システムと言う)が対象とする鉄道車両とは、代表的には旅客列車・貨物列車等の鉄道輸送用列車であるが、それ以外に、単独で運行される電気機関車・ディーゼル機関車等の機関車や、検測車・試験車等の非輸送用の特殊車などを含む概念であり、指令所が管理する線区内を運行する全ての鉄道車両が対象と成り得る。
【0008】
本発明システムにおいて電子メールとは、LANやインターネット等のコンピュータ間ネットワークを経由して送受信するEメールだけでなく、電話回線を利用したショートメッセージサービス(SMS)など、Eメール以外のメッセージ伝達手段を含む。
【0009】
メール送受信手段とは、メールデータを外部の通信ネットワークへ出力する機能及び外部の通信ネットワークからメールデータを取得する機能を有するものであって、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータ装置が使用できる。
前記メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段とは、通信ネットワークとの中継を行なうサーバ装置やルータ装置等で構成することができる。
【0010】
本発明システムにおける移動体通信端末は、移動体通信ネットワークを通じて無線により通信する機能を有するものであり、特定の発信元との間でのみメールの送受信を許可すると共に、特定のメール(緊急停止命令メール)を受信すると所定の警報動作を発動するように設定されたアプリケーションプログラムを備えている。なお上記警報動作とは、音声・光・運動などにより、運転士に対し聴覚・視覚・触覚等を通じ、停止命令メールが着信したことを認識させることができる動作であればよく、具体的には警報音の鳴動、表示画面の点滅、端末本体の振動等が挙げられる。
【0011】
本発明システムが利用する移動体通信ネットワークは、携帯電話通信ネットワークが代表的であるが、他の移動体通信ネットワークが配備されている場合は、それを利用することを妨げない。要するに、本発明の実施環境に応じた適当な通信ネットワークを選定すればよい。
【0012】
前記の如く構成された本発明システムは、鉄道沿線に配置した異常検知手段が線路環境の異常を検知して、指令所の警報装置を発動させると、これを認識した指令員が、メール送受信手段により緊急停止命令メールを発信させる。メール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに、移動体通信ネットワークを通じて、全ての車両運転室に設置された移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信する。移動体通信端末は、移動体通信ネットワークを経由して送信される緊急停止命令メールを受信すると、所定の警報動作を実行する。車両運転士は、この警報動作に基づき、ただちに車両の走行を停止させることができる。
【0013】
前記緊急停止連絡システムにおいて、前記移動体通信端末は、請求項2に記載の如く、緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定され、前記メール送受信手段が、前記移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定されていることが望ましい。
【0014】
また請求項3に記載の如く、前記メール送受信手段を、画面パネルに触れることで所定のコマンド入力が可能なタッチパネル式コンピュータを利用して構成し、上記画面パネルに、緊急停止命令メールを発信するための複数のメール発信ボタンを停止事由と共に表示させ、当該メール発信ボタンの何れかに接触することで、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信され、前記移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づいて、停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するように設定する態様が可能である。
具体例を示せば、コンピュータ(=メール送受信手段)の画面パネルにおける表示画面上に、異常検知手段が検知する各異常種類(地震・強風・雨・落石等)を表記した複数のボタンを表示させ、各ボタンを、コンピュータにおける予め作成したメールデータ及びメール発信用プログラムとリンクさせればよい。なお、画面パネル上に表示させたボタンに接触する手法としては、指令員が指で直接触れる態様のほか、入力用タッチペンによるペンタッチ方式等が挙げられる。
そして移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づき、停止事由を画面に表示させるか、あるいは、停止事由を音声で通知する。この場合、停止事由の画面表示と音声通知とは、両方同時に行なわれるのがより好ましいが、何れか一方だけを採用してもよい。
【0015】
本発明を実施するにあたっては、請求項4に記載の如く、前記移動体通信ネットワークを携帯電話の通信ネットワークとし、前記移動体通信端末を携帯電話機とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明システムは、指令所のメール送受信手段から車両運転室の移動体通信端末へ、移動体通信ネットワークを通じてメールを送信するから、列車無線の整備されていない線区であっても、上記移動体通信ネットワークによりメールの送受信が可能な範囲内であれば、鉄道車両に対し、確実に緊急停止命令を伝達することができる。
指令所のメール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続するので、緊急停止命令メールを、通信ネットワークへ、確実に且つ迅速に出力することができる。また有線接続であるからセキュリティを高めるのが容易であり、情報漏洩や盗聴を確実に防止でき、外乱や不正アクセスを排除するのも簡単である。
【0017】
指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定したので、指令所の警報装置が警報を発動させたとき、指令員は、メールの送信先車両について判断することなく、直ちにメールの発信操作を実行すればよい。これにより本発明システムでは、警報発動の原因となる異常が検知された地域から離れた区間を運行している鉄道車両に対しても、緊急停止命令が与えられることになるが、緊急性を重視した結果、異常検知後、1秒でも早く車両を停止させることを優先させた。もし仮に、警報発動の原因となる異常発生地域の近くを運行する列車だけにメールを送信しようとすると、指令員は、異常発生地域の確認作業、及び、当該地域の近くに位置する鉄道車両を特定する作業を行なわねばならず、それだけ警報発動からメール送信までに時間を要すると考えられる。本発明では、これらの時間が省略されるから、迅速にメールを送信することが可能である。
【0018】
本発明における移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定したので、他者が当該移動体通信端末へ誤って又は故意に送信したメールを受信するのが阻止され、よって、指令所以外からのメール受信により誤作動を引き起こすおそれがない。
【0019】
請求項2に記載したように、移動体通信端末が緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定することにより、運転士に対し、緊急停止命令が発信されたことを確実に伝達することができる。また前記メール送受信手段が、移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定したことにより、運転士が少なくとも緊急停止命令メールの着信を認識したことを、指令所にて確認することができる。
【0020】
請求項3に記載したように、タッチパネル式コンピュータの画面パネルに表示させた複数のメール発信ボタンのいずれかに触れると、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信されるように構成した場合は、指令所で警報装置が発動したとき、指令員は、画面パネルに表示されたメール送信ボタンのうち、停止事由に該当するボタンを選択して触れるだけでよい。従って、警報発動から短時間で緊急停止命令メールを発信できるので、異常発生時に各鉄道車両へ迅速に緊急停止命令を伝達することが可能である。
そして移動体通信端末において、受信した緊急停止命令メールに基づき、停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するよう設定することにより、緊急停止命令メールが着信した際、車両運転士は、どのような種類の異常が発生したのかを直ちに知ることができる。従って、車両運転中の運転士は、異常状態の内容を具体的に予想できるので、ブレーキ操作をしてから車両が停止するまでの間に、万一、異常状態に遭遇した場合でも、冷静な対処を期待できる。
【0021】
請求項4に記載する如く、移動体通信ネットワークを携帯電話通信ネットワークとし、移動体通信端末を携帯電話機とすることにより、既存の通信ネットワークを利用して、本発明システムを実施することが可能となるので、本発明システムの構築及び維持に要するコストを低く抑えることができる。しかも携帯電話通信ネットワークは、一般に、通信可能領域が広く、回線安定性に優れているので、正確で迅速な緊急停止連絡システムを構築するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明システムに使用するメール送受信用PCのディスプレイ装置における画面パネルを例示するものであって、図(A)は待機画面、図(B)はメール送信後の連絡画面を示すものである。
【図3】本発明システムに使用する移動体通信端末としての携帯電話機における表示画面を例示するものであって、図(A)は待機状態、図(B)は警報表示状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明システムの一実施形態を示すものであって、全体構成の概略図である。同図に基づいて、本発明システムの構成及び機能の概要を説明する。本例では、移動体通信ネットワークとして携帯電話通信ネットワークを利用し、鉄道車両の運転室に備えられる移動体通信端末を携帯電話機とした。なお、どの携帯電話業者を選択するかは、指令所の管理する線区内における基地局の整備状況に基づいて決定すればよい。
【0024】
図1に示すように、通常、指令所には、CTCやPRC等の列車運行管理装置から得た情報に基づき、管理線区における列車の運行状況を表示する、CTC表示盤等の列車運行表示装置が備えられる。また、鉄道沿線には、異常状態の発生を検知するため、地震計・風速計・雨量計・落石検知器等の異常検知手段4が配設され、指令所に、異常検知手段4が出力する異常検知信号に基づき警報を発動させる警報装置5が設けられる。
【0025】
本発明システムにあっては、指令所に、メール送受信手段としてのパーソナルコンピュータ(メール送受信用PC)1と、PC1を携帯電話通信ネットワークNxに接続する手段としてのサーバ装置2及びルータ装置3とが備えられる。これらPC1,サーバ装置2及びルータ装置3はプライベートネットワークpNで接続される。PC1には、ディスプレイ装置の画面パネルに触れることで、所定のコマンド入力を可能に構成したタッチパネル式コンピュータを用いることが望ましい。
サーバ装置2は、PC1から発信されるメールデータを、送信先となる携帯電話機データと共に、外部の通信ネットワークNxへ出力する機能、及び、外部の通信ネットワークNxを通じて携帯電話機10から送られてくるメールデータや外部サーバ装置6,7から送られてくるメッセージデータを受信し、受信結果をPC1に表示させる機能を有している。
ルータ装置3は、指令所内プライベートネットワークpNと、外部の携帯電話通信ネットワークNxとを中継接続するためのものであり、外部通信ネットワークNxに対し物理的にケーブル接続される。ケーブル接続とすることにより、無線接続したときの情報漏洩のおそれを回避することができ、通信安定性も得られる。必要に応じ、指令所内プライベートネットワークpNを外部から監視するため、外部に設置したネットワーク監視装置を上記プライベートネットワークpNに接続するためのリモートアクセス用ルータが設けられる。リモートアクセス用ルータとネットワーク監視装置との接続には、例えばISDNなどを用い、携帯電話通信ネットワークNxとは別回線とすることが望ましい。
【0026】
移動体通信端末である携帯電話機10は、鉄道車両の運転室内であって、運転士が運転中に目視することが容易であり且つ警報音を確実に聴取できる距離に設置される。具体的には、運転台表面の適当な空きスペースへ、面ファスナー等を用いて装着することが考えられる。なお、移動体通信端末に携帯電話機10を用いる場合は、着脱可能な装着方法が望ましいが、専用の端末機器を製作し、これを運転台に固定する態様も妨げない。
【0027】
本例で使用する携帯電話機10は、市販されている製品を利用できるが、所定のアプリケーションプログラム(以下、アプリと略称する)を組み込むことにより、また必要ならば機器本体の動作設定を行なうことにより、次のような機能を発揮することが必要とされる。指令所のメール送受信用PC1から発信された緊急停止命令メールを受信すると、所定の警報動作を実行する。この警報動作は少なくとも、運転士がメールの着信を確認して開封動作を行なうまで継続する。当該携帯電話機10がメール受信可能な発信元は、指令所のメール送受信用PC1のみに限定され、他の携帯電話機やPC等から発信されるメールは受け付けない。これにより、指令所以外からのメールを受信し、誤って警報動作を実行する可能性を排除できる。また車両運転中は、通話機能を働かせないものとし、他の電話機から呼び出しを受けることを防止する。携帯電話機10における上述のような動作プログラムは、例えばBREW(=Binary Runtime Environment for Wireless)を実行環境とするBREWアプリで構築することができる。
【0028】
本例における携帯電話通信ネットワークNxは、携帯電話通信回線N2のほか、下記のような内部ネットワーク・内部回線・装置を利用して構築される。
[中継用ネットワークN1]指令所内プライベートネットワークpNと、携帯電話通信ネットワークNxとを、閉鎖的に接続するための通信ネットワーク。本例では、広域IP通信網内に、仮想的な専用閉域IP通信網を実現する「IP−VPN」を用いた。これにより、セキュリティ信頼性の高い接続が可能となる。
[内部専用回線N3]携帯電話通信回線N2内に構築され、携帯電話機10が、組み込まれたアプリに基づいて出力する返信メッセージ又は確認メッセージを伝送するための専用通信回線。本例では、携帯電話機10における動作プログラムをBREWアプリで構築したので、上記内部専用回線N3に、閉域IP回線である「BREW.net」を用いた。インターネット回線を経由しない専用回線であるため、セキュリティを高く保てる。
[メッセージサーバ6]指令所のPC1から出力されるメールデータを、ショートメッセージ形式に変換して、携帯電話通信回線N2を通じ、携帯電話機10へ送信するためのサーバ装置である。ショートメッセージサービス(SMS)を用いるから、迅速で確実なメール送信を行なえる。
[ネットワーク接続手段7]前記内部専用回線N3(BREW.net)と前記中継用ネットワークN1(IP−VPN)とを接続して、携帯電話機10から指令所内プライベートネットワークpNに至る閉域通信回線を構築するための手段であり、例えば、BREWlinkで提供される。
【0029】
前記の如く構成した本発明システムの動作及び機能は以下の如くである。指令所には、列車運行表示装置及び警報装置5が備えられ、指令員は、列車運行表示装置により鉄道車両の運行状況を常に監視すると共に、警報装置5の表示を注視している。
【0030】
鉄道車両の運転士は、運転室に乗車するにあたり、所定のアプリを組み込んだ携帯電話機10の電源をONにし、アプリを起動させる。アプリ起動により、携帯電話機10は、中継用ネットワークN1、携帯電話通信回線N2及び内部通信回線N3を通じ、指令所内プライベートネットワークpNにアクセス可能となる。なお、携帯電話機10を使用可能にする際か又はアプリを起動させる際、必要に応じ、パスワードの入力等を要求する仕様としてもよい。引き続き、運転士は、乗車する車両の列車番号を携帯電話機10に入力したのち、携帯電話機10を車両運転室の所定位置に取り付ける。上述したアプリの起動時刻、及び入力した列車番号は、指令所内のサーバ装置2へ報告される。
【0031】
鉄道沿線に配置した異常検知手段4が、地震又は落石の発生、あるいは、風速又は雨量の規制値超過を検知すると、指令所にて警報装置5が発動する。指令員は、これを認識したら直ちに、メール送受信用PC1におけるメール発信操作を行なって、管理線区内を運行する全ての鉄道車両に対し、緊急停止命令メールを発信する。
【0032】
図2は、メール送受信用PC1における表示画面の一例を示すものである。同図(A)に示す如く、ディスプレイ装置の画面パネルPに表示された待機画面において、複数のメール送信用ボタン21〜27が、停止事由(地震・落石・強風・雨)の記載と共に描出されている。指令員は、警報装置5の発動原因に従って、対応するボタンの表示部分を指先で又はタッチペンで押さえる。例えば、地震計が地震を感知して、指令所の警報装置5が地震の発生警報を発動させた場合は、画面パネルP上の「地震」と表記されたボタン21部分を押下する。これにより、タッチパネル式コンピュータであるメール送受信用PC1は、管理線区内を運行する全ての車両へ向けて、緊急停止命令メールを選択された停止事由(地震)と共に出力する。
【0033】
同様に、「落石」ボタン22・「強風」ボタン23・「雨」ボタン24を押下したときは、それぞれ選択された停止事由(落石・強風・雨)と共に緊急停止命令メールが発信される。なお、画面パネルPの待機画面に表示されるボタンのうち、「緊急」25は、地震・落石・強風・雨以外の事由により、鉄道車両を緊急停止させる必要が生じた場合に使用される。「試験」ボタン26は、システム全体の動作が正常であるかどうかの確認試験を行なう際に使用するものである。
【0034】
また待機画面には、過去のメール送信記録を確認するための「履歴」ボタン30、管理線区内を運行している車両を一覧表示させるための「運行リスト」ボタン31、当該メール送受信用PC1の動作設定をするための「設定」ボタン32、メール送信プログラムを終了するための「終了」ボタン33が表示されている。
【0035】
メール送受信用PC1は、「地震」ボタン21を押すことにより、画面パネルPの表示が図2(B)の連絡画面に切り替わり、メールの送受信状態、及び、携帯電話機10の操作状況を確認可能となる。同図中、「送信日時」はメール送信ボタンを押して緊急停止命令メールを発信した時刻、「乗車時刻」は携帯電話機10におけるアプリ起動時刻(またはアプリに付属する乗車ボタンを運転士が押下した時刻)、「運行中リスト」は運転士が携帯電話機10に入力した列車番号、「連絡到達」は緊急停止命令メールの送信完了メッセージをサーバ装置2で受信した時刻、「開封」は運転士が携帯電話機10のメール開封操作を行なった時刻、「完了」は携帯電話機10のアプリをリセットして警報動作を解除し、待機状態に復帰させた時刻をそれぞれ表示するものである。
【0036】
メール送受信用PC1から発信された緊急停止命令メールは、まず、指令所内プライベートネットワークpNのサーバ装置2及びルータ装置3から、携帯電話通信ネットワークNx内に構築された中継用ネットワーク(IP−VPN)を経由して、メッセージサーバ装置6へ出力される。メッセージサーバ装置6は、メールデータをショートメッセージの形式に変換して、携帯電話通信回線N2を通じ、管理線区内を運行する全ての鉄道車両に設置されている携帯電話機10へ、緊急停止命令メールを送信する。携帯電話機10へのメール送信完了メッセージは、メッセージサーバ装置6から、指令所のサーバ装置2へ報告される。
なお、鉄道車両がトンネル内や通信圏外に位置するなど、何らかの理由により携帯電話機10へのメール送信が失敗した場合、メール送受信用PC1は、これを連絡画面に表示(連絡到達欄にNG表示)すると共に、自動的にメールの再送信を実行する。
【0037】
携帯電話機10は、緊急停止命令メールの着信をトリガーとして、組み込まれたアプリに基づき、所定の警報動作を実行する。具体的には、表示画面Dを、図3(A)に示す待受状態(カレンダー及び時刻の表示)から、図(B)に示す停止事由(地震)40・メール着信時刻41・着信後経過時間42の表示に切り替えると共に、画面を継続的に点滅させる警報表示状態へ移行させる。点滅は、例えば、視覚的に認識しやすい赤白点滅とすることが考えられる。また、表示画面Dの点滅と共に、所定の警報音を鳴動させる。警報音は、例えば防護無線で用いられる警告音と同様とすることが考えられる。さらに、警報音の鳴動と交互に、停止事由を説明する音声メッセージ(例えば「地震です。列車を停止させて下さい」)が再生されるように設定すると一層望ましい。
【0038】
運転士は、携帯電話機10が、緊急停止命令メールを受信して警報動作を開始したならば、即座に車両停止の手配を採る。次いで、携帯電話機10のメール開封操作を行なう。これにより、携帯電話機10の警報音鳴動と画面点滅とは停止する。但し、表示画面Dの警報表示は保持されるものとする。メールを開封操作した時刻は、指令所内サーバ装置2へ報告され、メール送受信用PC1に表示されるので(図2(B)の開封欄参照)、運転士が緊急停止命令メールを認識したことを指令所で確認することが可能である。
しかるのち運転士は、列車無線や乗務員無線、または、異常時の連絡用に携行している携帯電話機等を用いて指令所と連絡をとり、必要な指令指示を受ける。そして指令員からの指示に基づき、運行再開が可能になれば、携帯電話機10のアプリをリセットして警報を解除し、待機状態に復帰させる。アプリのリセット時刻は指令所内のサーバ装置2へ報告され(図2(B)の完了欄参照)、メール送受信用PC1にて確認できる。従って、運転士が、携帯電話機10が緊急停止命令メールを受信した後、アプリを待機状態に復帰させたかどうかを、指令所にて確認することが可能である。
【0039】
なお、メール送受信用PC1の画面パネルPに表示した「試験」ボタン26を押したときには、携帯電話機10では、画面に「試験」の文字が表示されると共に、画面を警報時とは異なる色(例えば緑など)に点灯させる。但し、警報音は鳴動させないものとする。指令員及び運転士は、携帯電話機10が上記動作を実行したかどうかを確認することにより、システムが正常に動作しているかどうかを確認することができる。なお、このシステム動作確認試験は、列車運行に支障をきたさない時間帯で行なうことが望ましい。
【0040】
このように本発明システムは、既存の携帯電話通信ネットワークを利用して緊急停止命令メールを鉄道車両に送信するものであるから、列車無線の整備されていない線区を運行する鉄道車両に対しても、メールの送受信が可能な通信ネットワークネットの範囲内であれば、確実に緊急停止命令を伝達することが可能である。従って、列車無線・乗務員無線等、既存の通信システムと併用することにより、より安全性の高い列車運行管理を実現できる。
【0041】
しかも本例では、PC1から携帯電話機10へショートメッセージ形式で緊急停止命令メールを発信するシステムを採用しており、公衆利用のインターネット網を使用しないので、セキュリティの高い閉塞されたネットワーク環境を構築することができる。それ故、外部から携帯電話機10へ不正にアクセスされて、列車を緊急に停止させるという事態を招くおそれが全くない。また、インターネット回線を利用する電子メールシステムでは、運転士によるメール開封動作を直ちに確認するのが困難であるのに対し、ショートメッセージ形式のメール送信システムを採用すると、指令所にて殆ど遅滞なく、メールの開封確認をすることができるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0042】
1…メール送受信用PC(メール送受信手段) 2…サーバ装置 3…ルータ装置 4…異常検知手段 5…警報装置 6…メッセージサーバ装置 7…ネットワーク接続手段 10…携帯電話機(移動体通信端末) 21〜26…メール送信ボタン
pN…指令所内プライベートネットワーク Nx…携帯電話通信ネットワーク N1…中継用ネットワーク(IP−VPN) N2…携帯電話通信回線網 N3…内部通信回線(BREW.net)
【技術分野】
【0001】
本発明は、指令所から、この指令所が管理する線区内を運行する鉄道車両(列車、単独で運行する機関車、検測車や試験車等の特殊車両を含む)の運転士へ、異常が有ったときに緊急停止命令を伝達するためのシステムを、列車無線以外の手段で構築することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、指令所にて、管理線区における鉄道車両の運行状況を把握すると共に、線路環境を監視している。具体的には、鉄道沿線に地震計・風速計・雨量計・落石検知器等の異常検知手段が配置され、これらで異常の有無を検知している。そして、上記異常検知手段が線路環境の異常や規制値の超過を検知して、指令所の警報装置が警報を発動させたときには、これを認識した指令員が、CTC制御により駅構内の信号機に遠隔操作で停止信号を現示させると共に、車両運転士へ、列車無線により、緊急停止命令を伝達する。このような列車無線システムについては、例えば特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−37690号公報
【特許文献2】特開2002−314473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上に述べたように、指令所と車両運転士との間の連絡は、通常、列車無線を用いて行なわれる。しかし、列車無線システムが整備されていない線区も存在し、そのような線区では、通信手段として、乗務員無線が使用される。但し、乗務員無線の交信可能距離は最大半径1km程度であるため、指令員が列車運転士と通信できるのは、鉄道車両が駅構内又は駅の近傍に在るときに限られ、駅間を運行しているときは、緊急停止命令を伝達することが困難な場合があった。
【0005】
そこで、列車無線用の基地局を新設又は増設することも考えられるが、これには多大の費用を要するという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決できる緊急停止連絡システムを提供するものであって、その特徴とするところは、請求項1に記載するように、指令所から当該指令所が管理する線区を運行する鉄道車両の運転士へ緊急停止命令を伝達するためのシステムであり、指令所に設置された緊急停止命令を電子メールの形式で発信するためのメール送受信手段と、当該メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段と、車両運転室に設置され上記移動体通信ネットワークに無線方式で接続可能な移動体通信端末とを備え、指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定され、移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定されると共に、上記メール送受信手段から発信された緊急停止命令メールを受信すると所定の警報動作を実行するように設定されていることである。
【0007】
本発明に係る緊急停止連絡システム(以下、本発明システムと言う)が対象とする鉄道車両とは、代表的には旅客列車・貨物列車等の鉄道輸送用列車であるが、それ以外に、単独で運行される電気機関車・ディーゼル機関車等の機関車や、検測車・試験車等の非輸送用の特殊車などを含む概念であり、指令所が管理する線区内を運行する全ての鉄道車両が対象と成り得る。
【0008】
本発明システムにおいて電子メールとは、LANやインターネット等のコンピュータ間ネットワークを経由して送受信するEメールだけでなく、電話回線を利用したショートメッセージサービス(SMS)など、Eメール以外のメッセージ伝達手段を含む。
【0009】
メール送受信手段とは、メールデータを外部の通信ネットワークへ出力する機能及び外部の通信ネットワークからメールデータを取得する機能を有するものであって、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータ装置が使用できる。
前記メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段とは、通信ネットワークとの中継を行なうサーバ装置やルータ装置等で構成することができる。
【0010】
本発明システムにおける移動体通信端末は、移動体通信ネットワークを通じて無線により通信する機能を有するものであり、特定の発信元との間でのみメールの送受信を許可すると共に、特定のメール(緊急停止命令メール)を受信すると所定の警報動作を発動するように設定されたアプリケーションプログラムを備えている。なお上記警報動作とは、音声・光・運動などにより、運転士に対し聴覚・視覚・触覚等を通じ、停止命令メールが着信したことを認識させることができる動作であればよく、具体的には警報音の鳴動、表示画面の点滅、端末本体の振動等が挙げられる。
【0011】
本発明システムが利用する移動体通信ネットワークは、携帯電話通信ネットワークが代表的であるが、他の移動体通信ネットワークが配備されている場合は、それを利用することを妨げない。要するに、本発明の実施環境に応じた適当な通信ネットワークを選定すればよい。
【0012】
前記の如く構成された本発明システムは、鉄道沿線に配置した異常検知手段が線路環境の異常を検知して、指令所の警報装置を発動させると、これを認識した指令員が、メール送受信手段により緊急停止命令メールを発信させる。メール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに、移動体通信ネットワークを通じて、全ての車両運転室に設置された移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信する。移動体通信端末は、移動体通信ネットワークを経由して送信される緊急停止命令メールを受信すると、所定の警報動作を実行する。車両運転士は、この警報動作に基づき、ただちに車両の走行を停止させることができる。
【0013】
前記緊急停止連絡システムにおいて、前記移動体通信端末は、請求項2に記載の如く、緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定され、前記メール送受信手段が、前記移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定されていることが望ましい。
【0014】
また請求項3に記載の如く、前記メール送受信手段を、画面パネルに触れることで所定のコマンド入力が可能なタッチパネル式コンピュータを利用して構成し、上記画面パネルに、緊急停止命令メールを発信するための複数のメール発信ボタンを停止事由と共に表示させ、当該メール発信ボタンの何れかに接触することで、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信され、前記移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づいて、停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するように設定する態様が可能である。
具体例を示せば、コンピュータ(=メール送受信手段)の画面パネルにおける表示画面上に、異常検知手段が検知する各異常種類(地震・強風・雨・落石等)を表記した複数のボタンを表示させ、各ボタンを、コンピュータにおける予め作成したメールデータ及びメール発信用プログラムとリンクさせればよい。なお、画面パネル上に表示させたボタンに接触する手法としては、指令員が指で直接触れる態様のほか、入力用タッチペンによるペンタッチ方式等が挙げられる。
そして移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づき、停止事由を画面に表示させるか、あるいは、停止事由を音声で通知する。この場合、停止事由の画面表示と音声通知とは、両方同時に行なわれるのがより好ましいが、何れか一方だけを採用してもよい。
【0015】
本発明を実施するにあたっては、請求項4に記載の如く、前記移動体通信ネットワークを携帯電話の通信ネットワークとし、前記移動体通信端末を携帯電話機とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明システムは、指令所のメール送受信手段から車両運転室の移動体通信端末へ、移動体通信ネットワークを通じてメールを送信するから、列車無線の整備されていない線区であっても、上記移動体通信ネットワークによりメールの送受信が可能な範囲内であれば、鉄道車両に対し、確実に緊急停止命令を伝達することができる。
指令所のメール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続するので、緊急停止命令メールを、通信ネットワークへ、確実に且つ迅速に出力することができる。また有線接続であるからセキュリティを高めるのが容易であり、情報漏洩や盗聴を確実に防止でき、外乱や不正アクセスを排除するのも簡単である。
【0017】
指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定したので、指令所の警報装置が警報を発動させたとき、指令員は、メールの送信先車両について判断することなく、直ちにメールの発信操作を実行すればよい。これにより本発明システムでは、警報発動の原因となる異常が検知された地域から離れた区間を運行している鉄道車両に対しても、緊急停止命令が与えられることになるが、緊急性を重視した結果、異常検知後、1秒でも早く車両を停止させることを優先させた。もし仮に、警報発動の原因となる異常発生地域の近くを運行する列車だけにメールを送信しようとすると、指令員は、異常発生地域の確認作業、及び、当該地域の近くに位置する鉄道車両を特定する作業を行なわねばならず、それだけ警報発動からメール送信までに時間を要すると考えられる。本発明では、これらの時間が省略されるから、迅速にメールを送信することが可能である。
【0018】
本発明における移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定したので、他者が当該移動体通信端末へ誤って又は故意に送信したメールを受信するのが阻止され、よって、指令所以外からのメール受信により誤作動を引き起こすおそれがない。
【0019】
請求項2に記載したように、移動体通信端末が緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定することにより、運転士に対し、緊急停止命令が発信されたことを確実に伝達することができる。また前記メール送受信手段が、移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定したことにより、運転士が少なくとも緊急停止命令メールの着信を認識したことを、指令所にて確認することができる。
【0020】
請求項3に記載したように、タッチパネル式コンピュータの画面パネルに表示させた複数のメール発信ボタンのいずれかに触れると、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信されるように構成した場合は、指令所で警報装置が発動したとき、指令員は、画面パネルに表示されたメール送信ボタンのうち、停止事由に該当するボタンを選択して触れるだけでよい。従って、警報発動から短時間で緊急停止命令メールを発信できるので、異常発生時に各鉄道車両へ迅速に緊急停止命令を伝達することが可能である。
そして移動体通信端末において、受信した緊急停止命令メールに基づき、停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するよう設定することにより、緊急停止命令メールが着信した際、車両運転士は、どのような種類の異常が発生したのかを直ちに知ることができる。従って、車両運転中の運転士は、異常状態の内容を具体的に予想できるので、ブレーキ操作をしてから車両が停止するまでの間に、万一、異常状態に遭遇した場合でも、冷静な対処を期待できる。
【0021】
請求項4に記載する如く、移動体通信ネットワークを携帯電話通信ネットワークとし、移動体通信端末を携帯電話機とすることにより、既存の通信ネットワークを利用して、本発明システムを実施することが可能となるので、本発明システムの構築及び維持に要するコストを低く抑えることができる。しかも携帯電話通信ネットワークは、一般に、通信可能領域が広く、回線安定性に優れているので、正確で迅速な緊急停止連絡システムを構築するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明システムに使用するメール送受信用PCのディスプレイ装置における画面パネルを例示するものであって、図(A)は待機画面、図(B)はメール送信後の連絡画面を示すものである。
【図3】本発明システムに使用する移動体通信端末としての携帯電話機における表示画面を例示するものであって、図(A)は待機状態、図(B)は警報表示状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明システムの一実施形態を示すものであって、全体構成の概略図である。同図に基づいて、本発明システムの構成及び機能の概要を説明する。本例では、移動体通信ネットワークとして携帯電話通信ネットワークを利用し、鉄道車両の運転室に備えられる移動体通信端末を携帯電話機とした。なお、どの携帯電話業者を選択するかは、指令所の管理する線区内における基地局の整備状況に基づいて決定すればよい。
【0024】
図1に示すように、通常、指令所には、CTCやPRC等の列車運行管理装置から得た情報に基づき、管理線区における列車の運行状況を表示する、CTC表示盤等の列車運行表示装置が備えられる。また、鉄道沿線には、異常状態の発生を検知するため、地震計・風速計・雨量計・落石検知器等の異常検知手段4が配設され、指令所に、異常検知手段4が出力する異常検知信号に基づき警報を発動させる警報装置5が設けられる。
【0025】
本発明システムにあっては、指令所に、メール送受信手段としてのパーソナルコンピュータ(メール送受信用PC)1と、PC1を携帯電話通信ネットワークNxに接続する手段としてのサーバ装置2及びルータ装置3とが備えられる。これらPC1,サーバ装置2及びルータ装置3はプライベートネットワークpNで接続される。PC1には、ディスプレイ装置の画面パネルに触れることで、所定のコマンド入力を可能に構成したタッチパネル式コンピュータを用いることが望ましい。
サーバ装置2は、PC1から発信されるメールデータを、送信先となる携帯電話機データと共に、外部の通信ネットワークNxへ出力する機能、及び、外部の通信ネットワークNxを通じて携帯電話機10から送られてくるメールデータや外部サーバ装置6,7から送られてくるメッセージデータを受信し、受信結果をPC1に表示させる機能を有している。
ルータ装置3は、指令所内プライベートネットワークpNと、外部の携帯電話通信ネットワークNxとを中継接続するためのものであり、外部通信ネットワークNxに対し物理的にケーブル接続される。ケーブル接続とすることにより、無線接続したときの情報漏洩のおそれを回避することができ、通信安定性も得られる。必要に応じ、指令所内プライベートネットワークpNを外部から監視するため、外部に設置したネットワーク監視装置を上記プライベートネットワークpNに接続するためのリモートアクセス用ルータが設けられる。リモートアクセス用ルータとネットワーク監視装置との接続には、例えばISDNなどを用い、携帯電話通信ネットワークNxとは別回線とすることが望ましい。
【0026】
移動体通信端末である携帯電話機10は、鉄道車両の運転室内であって、運転士が運転中に目視することが容易であり且つ警報音を確実に聴取できる距離に設置される。具体的には、運転台表面の適当な空きスペースへ、面ファスナー等を用いて装着することが考えられる。なお、移動体通信端末に携帯電話機10を用いる場合は、着脱可能な装着方法が望ましいが、専用の端末機器を製作し、これを運転台に固定する態様も妨げない。
【0027】
本例で使用する携帯電話機10は、市販されている製品を利用できるが、所定のアプリケーションプログラム(以下、アプリと略称する)を組み込むことにより、また必要ならば機器本体の動作設定を行なうことにより、次のような機能を発揮することが必要とされる。指令所のメール送受信用PC1から発信された緊急停止命令メールを受信すると、所定の警報動作を実行する。この警報動作は少なくとも、運転士がメールの着信を確認して開封動作を行なうまで継続する。当該携帯電話機10がメール受信可能な発信元は、指令所のメール送受信用PC1のみに限定され、他の携帯電話機やPC等から発信されるメールは受け付けない。これにより、指令所以外からのメールを受信し、誤って警報動作を実行する可能性を排除できる。また車両運転中は、通話機能を働かせないものとし、他の電話機から呼び出しを受けることを防止する。携帯電話機10における上述のような動作プログラムは、例えばBREW(=Binary Runtime Environment for Wireless)を実行環境とするBREWアプリで構築することができる。
【0028】
本例における携帯電話通信ネットワークNxは、携帯電話通信回線N2のほか、下記のような内部ネットワーク・内部回線・装置を利用して構築される。
[中継用ネットワークN1]指令所内プライベートネットワークpNと、携帯電話通信ネットワークNxとを、閉鎖的に接続するための通信ネットワーク。本例では、広域IP通信網内に、仮想的な専用閉域IP通信網を実現する「IP−VPN」を用いた。これにより、セキュリティ信頼性の高い接続が可能となる。
[内部専用回線N3]携帯電話通信回線N2内に構築され、携帯電話機10が、組み込まれたアプリに基づいて出力する返信メッセージ又は確認メッセージを伝送するための専用通信回線。本例では、携帯電話機10における動作プログラムをBREWアプリで構築したので、上記内部専用回線N3に、閉域IP回線である「BREW.net」を用いた。インターネット回線を経由しない専用回線であるため、セキュリティを高く保てる。
[メッセージサーバ6]指令所のPC1から出力されるメールデータを、ショートメッセージ形式に変換して、携帯電話通信回線N2を通じ、携帯電話機10へ送信するためのサーバ装置である。ショートメッセージサービス(SMS)を用いるから、迅速で確実なメール送信を行なえる。
[ネットワーク接続手段7]前記内部専用回線N3(BREW.net)と前記中継用ネットワークN1(IP−VPN)とを接続して、携帯電話機10から指令所内プライベートネットワークpNに至る閉域通信回線を構築するための手段であり、例えば、BREWlinkで提供される。
【0029】
前記の如く構成した本発明システムの動作及び機能は以下の如くである。指令所には、列車運行表示装置及び警報装置5が備えられ、指令員は、列車運行表示装置により鉄道車両の運行状況を常に監視すると共に、警報装置5の表示を注視している。
【0030】
鉄道車両の運転士は、運転室に乗車するにあたり、所定のアプリを組み込んだ携帯電話機10の電源をONにし、アプリを起動させる。アプリ起動により、携帯電話機10は、中継用ネットワークN1、携帯電話通信回線N2及び内部通信回線N3を通じ、指令所内プライベートネットワークpNにアクセス可能となる。なお、携帯電話機10を使用可能にする際か又はアプリを起動させる際、必要に応じ、パスワードの入力等を要求する仕様としてもよい。引き続き、運転士は、乗車する車両の列車番号を携帯電話機10に入力したのち、携帯電話機10を車両運転室の所定位置に取り付ける。上述したアプリの起動時刻、及び入力した列車番号は、指令所内のサーバ装置2へ報告される。
【0031】
鉄道沿線に配置した異常検知手段4が、地震又は落石の発生、あるいは、風速又は雨量の規制値超過を検知すると、指令所にて警報装置5が発動する。指令員は、これを認識したら直ちに、メール送受信用PC1におけるメール発信操作を行なって、管理線区内を運行する全ての鉄道車両に対し、緊急停止命令メールを発信する。
【0032】
図2は、メール送受信用PC1における表示画面の一例を示すものである。同図(A)に示す如く、ディスプレイ装置の画面パネルPに表示された待機画面において、複数のメール送信用ボタン21〜27が、停止事由(地震・落石・強風・雨)の記載と共に描出されている。指令員は、警報装置5の発動原因に従って、対応するボタンの表示部分を指先で又はタッチペンで押さえる。例えば、地震計が地震を感知して、指令所の警報装置5が地震の発生警報を発動させた場合は、画面パネルP上の「地震」と表記されたボタン21部分を押下する。これにより、タッチパネル式コンピュータであるメール送受信用PC1は、管理線区内を運行する全ての車両へ向けて、緊急停止命令メールを選択された停止事由(地震)と共に出力する。
【0033】
同様に、「落石」ボタン22・「強風」ボタン23・「雨」ボタン24を押下したときは、それぞれ選択された停止事由(落石・強風・雨)と共に緊急停止命令メールが発信される。なお、画面パネルPの待機画面に表示されるボタンのうち、「緊急」25は、地震・落石・強風・雨以外の事由により、鉄道車両を緊急停止させる必要が生じた場合に使用される。「試験」ボタン26は、システム全体の動作が正常であるかどうかの確認試験を行なう際に使用するものである。
【0034】
また待機画面には、過去のメール送信記録を確認するための「履歴」ボタン30、管理線区内を運行している車両を一覧表示させるための「運行リスト」ボタン31、当該メール送受信用PC1の動作設定をするための「設定」ボタン32、メール送信プログラムを終了するための「終了」ボタン33が表示されている。
【0035】
メール送受信用PC1は、「地震」ボタン21を押すことにより、画面パネルPの表示が図2(B)の連絡画面に切り替わり、メールの送受信状態、及び、携帯電話機10の操作状況を確認可能となる。同図中、「送信日時」はメール送信ボタンを押して緊急停止命令メールを発信した時刻、「乗車時刻」は携帯電話機10におけるアプリ起動時刻(またはアプリに付属する乗車ボタンを運転士が押下した時刻)、「運行中リスト」は運転士が携帯電話機10に入力した列車番号、「連絡到達」は緊急停止命令メールの送信完了メッセージをサーバ装置2で受信した時刻、「開封」は運転士が携帯電話機10のメール開封操作を行なった時刻、「完了」は携帯電話機10のアプリをリセットして警報動作を解除し、待機状態に復帰させた時刻をそれぞれ表示するものである。
【0036】
メール送受信用PC1から発信された緊急停止命令メールは、まず、指令所内プライベートネットワークpNのサーバ装置2及びルータ装置3から、携帯電話通信ネットワークNx内に構築された中継用ネットワーク(IP−VPN)を経由して、メッセージサーバ装置6へ出力される。メッセージサーバ装置6は、メールデータをショートメッセージの形式に変換して、携帯電話通信回線N2を通じ、管理線区内を運行する全ての鉄道車両に設置されている携帯電話機10へ、緊急停止命令メールを送信する。携帯電話機10へのメール送信完了メッセージは、メッセージサーバ装置6から、指令所のサーバ装置2へ報告される。
なお、鉄道車両がトンネル内や通信圏外に位置するなど、何らかの理由により携帯電話機10へのメール送信が失敗した場合、メール送受信用PC1は、これを連絡画面に表示(連絡到達欄にNG表示)すると共に、自動的にメールの再送信を実行する。
【0037】
携帯電話機10は、緊急停止命令メールの着信をトリガーとして、組み込まれたアプリに基づき、所定の警報動作を実行する。具体的には、表示画面Dを、図3(A)に示す待受状態(カレンダー及び時刻の表示)から、図(B)に示す停止事由(地震)40・メール着信時刻41・着信後経過時間42の表示に切り替えると共に、画面を継続的に点滅させる警報表示状態へ移行させる。点滅は、例えば、視覚的に認識しやすい赤白点滅とすることが考えられる。また、表示画面Dの点滅と共に、所定の警報音を鳴動させる。警報音は、例えば防護無線で用いられる警告音と同様とすることが考えられる。さらに、警報音の鳴動と交互に、停止事由を説明する音声メッセージ(例えば「地震です。列車を停止させて下さい」)が再生されるように設定すると一層望ましい。
【0038】
運転士は、携帯電話機10が、緊急停止命令メールを受信して警報動作を開始したならば、即座に車両停止の手配を採る。次いで、携帯電話機10のメール開封操作を行なう。これにより、携帯電話機10の警報音鳴動と画面点滅とは停止する。但し、表示画面Dの警報表示は保持されるものとする。メールを開封操作した時刻は、指令所内サーバ装置2へ報告され、メール送受信用PC1に表示されるので(図2(B)の開封欄参照)、運転士が緊急停止命令メールを認識したことを指令所で確認することが可能である。
しかるのち運転士は、列車無線や乗務員無線、または、異常時の連絡用に携行している携帯電話機等を用いて指令所と連絡をとり、必要な指令指示を受ける。そして指令員からの指示に基づき、運行再開が可能になれば、携帯電話機10のアプリをリセットして警報を解除し、待機状態に復帰させる。アプリのリセット時刻は指令所内のサーバ装置2へ報告され(図2(B)の完了欄参照)、メール送受信用PC1にて確認できる。従って、運転士が、携帯電話機10が緊急停止命令メールを受信した後、アプリを待機状態に復帰させたかどうかを、指令所にて確認することが可能である。
【0039】
なお、メール送受信用PC1の画面パネルPに表示した「試験」ボタン26を押したときには、携帯電話機10では、画面に「試験」の文字が表示されると共に、画面を警報時とは異なる色(例えば緑など)に点灯させる。但し、警報音は鳴動させないものとする。指令員及び運転士は、携帯電話機10が上記動作を実行したかどうかを確認することにより、システムが正常に動作しているかどうかを確認することができる。なお、このシステム動作確認試験は、列車運行に支障をきたさない時間帯で行なうことが望ましい。
【0040】
このように本発明システムは、既存の携帯電話通信ネットワークを利用して緊急停止命令メールを鉄道車両に送信するものであるから、列車無線の整備されていない線区を運行する鉄道車両に対しても、メールの送受信が可能な通信ネットワークネットの範囲内であれば、確実に緊急停止命令を伝達することが可能である。従って、列車無線・乗務員無線等、既存の通信システムと併用することにより、より安全性の高い列車運行管理を実現できる。
【0041】
しかも本例では、PC1から携帯電話機10へショートメッセージ形式で緊急停止命令メールを発信するシステムを採用しており、公衆利用のインターネット網を使用しないので、セキュリティの高い閉塞されたネットワーク環境を構築することができる。それ故、外部から携帯電話機10へ不正にアクセスされて、列車を緊急に停止させるという事態を招くおそれが全くない。また、インターネット回線を利用する電子メールシステムでは、運転士によるメール開封動作を直ちに確認するのが困難であるのに対し、ショートメッセージ形式のメール送信システムを採用すると、指令所にて殆ど遅滞なく、メールの開封確認をすることができるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0042】
1…メール送受信用PC(メール送受信手段) 2…サーバ装置 3…ルータ装置 4…異常検知手段 5…警報装置 6…メッセージサーバ装置 7…ネットワーク接続手段 10…携帯電話機(移動体通信端末) 21〜26…メール送信ボタン
pN…指令所内プライベートネットワーク Nx…携帯電話通信ネットワーク N1…中継用ネットワーク(IP−VPN) N2…携帯電話通信回線網 N3…内部通信回線(BREW.net)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令所から当該指令所が管理する線区を運行する鉄道車両の運転士へ緊急停止命令を伝達するためのシステムであって、
指令所に設置された緊急停止命令を電子メールの形式で発信するためのメール送受信手段と、当該メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段と、車両運転室に設置され上記移動体通信ネットワークに無線方式で接続可能な移動体通信端末とを備え、
指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定され、
移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定されると共に、上記メール送受信手段から発信された緊急停止命令メールを受信すると所定の警報動作を実行するように設定されていることを特徴とする緊急停止連絡システム。
【請求項2】
前記移動体通信端末は、緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定され、前記メール送受信手段が、前記移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定されている請求項1に記載の緊急停止連絡システム。
【請求項3】
前記メール送受信手段は、画面パネルに触れることで所定のコマンド入力が可能なタッチパネル式コンピュータを利用して構成され、上記画面パネルに、緊急停止命令メールを発信するための複数のメール発信ボタンが停止事由と共に表示され、当該メール発信ボタンの何れかに接触することで、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信され、前記移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づいて停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するように設定されている請求項1又は2に記載の緊急停止連絡システム。
【請求項4】
前記移動体通信ネットワークが携帯電話の通信ネットワークであり、前記移動体通信端末が携帯電話機である請求項1乃至3のいずれかに記載の緊急停止連絡システム。
【請求項1】
指令所から当該指令所が管理する線区を運行する鉄道車両の運転士へ緊急停止命令を伝達するためのシステムであって、
指令所に設置された緊急停止命令を電子メールの形式で発信するためのメール送受信手段と、当該メール送受信手段を移動体通信ネットワークに有線方式で接続する手段と、車両運転室に設置され上記移動体通信ネットワークに無線方式で接続可能な移動体通信端末とを備え、
指令所のメール送受信手段は、管理線区内の鉄道車両を特定せずに全ての移動体通信端末へ向けて緊急停止命令メールを発信するように設定され、
移動体通信端末は、指令所のメール送受信手段から発信される電子メールのみ受信可能に設定されると共に、上記メール送受信手段から発信された緊急停止命令メールを受信すると所定の警報動作を実行するように設定されていることを特徴とする緊急停止連絡システム。
【請求項2】
前記移動体通信端末は、緊急停止命令メールを受信すると、当該メールの開封操作が行なわれるまで、警報音の鳴動及び表示画面の点滅を継続するように設定され、前記メール送受信手段が、前記移動体通信端末におけるメールの受信及び開封を確認可能に設定されている請求項1に記載の緊急停止連絡システム。
【請求項3】
前記メール送受信手段は、画面パネルに触れることで所定のコマンド入力が可能なタッチパネル式コンピュータを利用して構成され、上記画面パネルに、緊急停止命令メールを発信するための複数のメール発信ボタンが停止事由と共に表示され、当該メール発信ボタンの何れかに接触することで、緊急停止命令メールが停止事由と共に発信され、前記移動体通信端末は、受信した緊急停止命令メールに基づいて停止事由を画面に表示させ及び/又は停止事由を音声で通知するように設定されている請求項1又は2に記載の緊急停止連絡システム。
【請求項4】
前記移動体通信ネットワークが携帯電話の通信ネットワークであり、前記移動体通信端末が携帯電話機である請求項1乃至3のいずれかに記載の緊急停止連絡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−176612(P2010−176612A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21340(P2009−21340)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 社団法人 日本鉄道電気技術協会 刊行物名並びに巻数及び号数 鉄道と電気技術 平成20年9月号Vol.19No.9 該当ページ 第31〜34頁 発行年月日 平成20年8月31日
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者 社団法人 日本鉄道電気技術協会 刊行物名並びに巻数及び号数 鉄道と電気技術 平成20年9月号Vol.19No.9 該当ページ 第31〜34頁 発行年月日 平成20年8月31日
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
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