説明

緊急通報用車載端末

【課題】バックアップバッテリとして小容量のバッテリを使用可能にする。
【解決手段】車両の緊急事態の発生を検出したときに、緊急通報用車載端末9がバックアップバッテリ28の電源で動作しているか否かを判断し、緊急通報用車載端末9がバックアップバッテリ28の電源で動作しているときには、必要最小量の緊急情報をセンタ12へ送信するように構成したので、緊急通報用車載端末9の消費電力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の緊急事態の発生を検出したときにセンタへ緊急情報を送信するように構成された緊急通報用車載端末に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された緊急通報用車載端末は、通常、車両バッテリから電源を取っているが、車両バッテリとの接続線が断線したり、ヒューズが溶断したりしたときでも、緊急通報を実行可能なようにするために、専用のバックアップバッテリを備えている。このような構成の緊急通報用車載端末は、車両衝突等の緊急事態の発生が検出されると、発生時刻、車両位置情報、走行軌跡、速度、方向、緊急通報用車載端末のID、緊急通報用車載端末の電話番号などの緊急情報を、緊急通報センタへ送信する機能を有している。この構成の場合、緊急通報センタのオペレータは、上記緊急通報用車載端末から上記した各情報を受信すると、緊急通報用車載端末の電話番号にコールバックし、車両のドライバと音声通話を行うことによりドライバの安否を確認することが可能なようになっている。尚、特許文献1には、電力消費を低減するように構成した移動体通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−323285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成の場合、緊急通報用車載端末と緊急通報センタとの間で音声通話を実行すると、緊急通報用車載端末は電力をかなり消費してしまう。このため、緊急通報用車載端末に内蔵するバックアップバッテリとしては、かなり大きい容量のバッテリを使用する必要があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、バックアップバッテリとして小容量のバッテリを使用することができる緊急通報用車載端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、緊急通報用車載端末がバックアップバッテリの電源で動作しているときには、必要最小量の緊急情報を前記センタへ送信するように構成したので、緊急通報用車載端末の消費電力を低減することができ、バックアップバッテリとして低容量の小型のものを使用することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、運転者の携帯電話番号を記憶する記憶手段を備え、前記必要最小量の緊急情報の中に前記運転者の携帯電話番号を入れるように構成したので、センタのオペレータが前記運転者の携帯電話番号にコールバックすることが可能になるから、緊急通報用車載端末の消費電力をより一層低減できる。
【0008】
請求項3の発明によれば、前記緊急通報用車載端末および前記センタ内に予め登録された電話番号を備えるように構成したので、センタのオペレータは、前記運転者の携帯電話番号がないような場合には、上記予め登録された電話番号にコールバックすることが可能になるから、緊急通報用車載端末の消費電力をより一層低減できる。
【0009】
請求項4の発明によれば、前記緊急通報用車載端末内に予め登録された電話番号を備え、前記必要最小量の緊急情報の中に前記予め登録された電話番号を入れるように構成したので、前記緊急通報用車載端末内に予め登録された電話番号がセンタに登録されていないような場合にも、センタのオペレータは、上記予め登録された電話番号にコールバックすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す緊急通報システムのブロック図
【図2】運転者の携帯電話番号を読み出す制御のフローチャート
【図3】緊急通報用車載端末がバックアップバッテリの電源で動作しているときの制御のフローチャート
【図4】車両サービスセンタのオペレータの処理を示すフローチャート
【図5】通話異常時の車両サービスセンタのオペレータの処理を示すフローチャート
【図6】車両バッテリの電源で動作時の各機器の動作を説明する図
【図7】バックアップバッテリの電源で動作時の各機器の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を車両に搭載された車両用緊急通報システムに適用した一実施形態について、図1ないし図7を参照して説明する。まず、図1は、本実施形態の車両用緊急通報システムの電気的構成を概略的に示すブロック図である。この図1に示すように、車両用緊急通報システム1は、カーナビゲーション装置2と、メータ装置3と、アラーム装置4と、エンジン制御装置5と、エアバッグECU6と、メーデースイッチ7と、電源スイッチ8と、緊急通報用車載端末9とを備えて構成されている。
【0012】
カーナビゲーション装置2は、周知構成のカーナビゲーション装置で構成されている。メータ装置3は、例えば車両の速度メータやタコメータ等のメータ装置である。アラーム装置4は、車両の盗難を検知する各種のセンサ10から検知信号を受けると共に、車両のホーン11を駆動する機能と、車両サービスセンタ12へ緊急通報するための信号を発生する機能とを有している。エンジン制御装置5は、車両のエンジンを制御するECUで構成されている。
【0013】
エアバッグECU6は、車両の衝突を検知して、エアバッグを作動させる制御機能を有している。メーデースイッチ7は、急病などの際に押すと、車両サービスセンタ12に自動連絡するための信号を発生する機能を有している。電源スイッチ8は、車両の各種の機器やエンジンを作動させるためのスイッチ(ACC信号やイグニッション信号等を発生させるためのスイッチ)である。
【0014】
緊急通報用車載端末9は、車両LAN制御部13と、CPU14と、メモリ管理部15と、音声処理部16と、衝突検出部17と、周辺装置処理部18と、GPS測位部19と、無線処理部20と、タイマ管理部21と、電源制御部22とを備えて構成されている。車両LAN制御部13は、車載LAN23を介して各種の車載機器(カーナビゲーション装置2、メータ装置3、アラーム装置4、エンジン制御装置5等)との間でデータ(信号)を送受信する機能を有している。
【0015】
CPU14は、緊急通報用車載端末9全体を制御する機能を有しており、判断手段および送信手段を構成するものである。メモリ管理部15は、データを一時的に記憶する機能を有しており、記憶手段を構成するものである。音声処理部16は、デジタル化された音声信号を復号化する機能と、反対に符号化する機能とを有している。衝突検出部17は、エアバッグECU6からの信号を受けてエアバッグが作動したことを検出する機能を有している。周辺装置処理部18は、ワイヤハーネス24を介して各種の車載機器(エアバッグECU6、メーデースイッチ7、電源スイッチ8等)との間で信号(データ)を送受信する機能を有している。
【0016】
GPS測位部19は、アンテナ25を介してGPS信号を受信して現在位置を検出する機能を有している。無線処理部20は、アンテナ26およびネットワーク27(例えば携帯電話網)を介して車両サービスセンタ12と無線通信する機能と、車両内に持ち込まれた運転者の携帯電話機と例えばBluetooth接続で無線通信する機能とを有している。タイマ管理部21は、一定間隔でデータを取り込んだり出力したりする場合に、時間を計測する機能を有している。電源制御部22は、車両に搭載された車両バッテリ28またはバックアップバッテリ29からの電源を入力して、緊急通報用車載端末9の各部に供給するための電源を生成する。
【0017】
バックアップバッテリ29は、車両衝突時等において接続線の断線等により車両バッテリ28から電源が緊急通報用車載端末9に供給されなくなったときに、緊急通報用車載端末9に電源を供給する機能を有しており、例えば緊急通報用車載端末9に内蔵されている。
【0018】
ネットワーク27は、携帯電話の無線通信網やインターネット等で構成されている。車両サービスセンタ12には、オペレータが常駐し、事故や急病等の緊急情報を受信すると、オペレータは、緊急通報用車載端末9や運転者の携帯電話機に介して運転者と通話することが可能なようになっている。そして、車両サービスセンタ12のオペレータは、必要に応じて警察や消防等に通報する緊急通報サービスを実行するようになっている。
【0019】
次に、上記構成の動作について、図2ないし図7を参照して説明する。尚、図2および図3のフローチャートは、緊急通報用車載端末9の制御内容を示す。図4および図5のフローチャートは、車両サービスセンタ12(オペレータ)側の制御内容を示す。
【0020】
まず、電源スイッチ(例えばACCスイッチ)8がオンされると、図2のステップS10へ進み、緊急通報用車載端末9は、運転者(ユーザ)の携帯電話機(車両内に持ち込まれた携帯電話機)の電話番号を読み取り可能であるか否かを判断する。この場合、緊急通報用車載端末9は、例えばカーナビゲーション装置2に対して運転者の携帯電話機の電話番号を読み取る旨の要求を出す。すると、カーナビゲーション装置2は、運転者の携帯電話機(車両内に持ち込まれた携帯電話機)と例えばBluetooth接続で無線通信し、該携帯電話機の電話番号を読み取り、読み取った携帯電話番号を緊急通報用車載端末9へ送信する。尚、カーナビゲーション装置2が運転者の携帯電話機の電話番号を読み取ることができなかったときには、その旨を緊急通報用車載端末9へ送信するように構成されている。
【0021】
さて、上記ステップS10において、運転者の携帯電話機の電話番号を読み取り可能であれば、「YES」へ進み、ステップS20へ進み、上記携帯電話機(運転者の携帯電話機)の電話番号を読み取って記憶する。尚、携帯電話機の電話番号を読み取り不可能であれば、ステップS10にて「NO」へ進み、処理を終了する。この場合、電源スイッチ8がオンされている間は、適当な時間間隔で、ステップS10へ戻り、携帯電話機の電話番号を読み取り可能であるか否かの判断を繰り返し実行するように構成しても良い。
【0022】
この後、衝突等の緊急事態が発生すると、図3のステップS110へ進み、緊急通報用車載端末9がバックアップバッテリ29からの電源を使用しているか(バックアップバッテリ29の電源で動作しているか)否かを判断する。ここで、バックアップバッテリ29からの電源を使用していると判断されると、ステップS110にて「YES」へ進み、ステップS120へ進み、緊急通報用車載端末9は必要最小量の緊急情報を車両サービスセンタ12へ送信する。この必要最小量の緊急情報としては、車両の位置情報と、運転者の携帯電話機の電話番号(以下、携帯電話番号と称す)と、緊急通報用車載端末9のID情報とを送信するように構成されている。
【0023】
続いて、ステップS130へ進み、緊急通報用車載端末9は、低消費電力モードで待ち受け動作する状態となる。
また、上記ステップS110において、バックアップバッテリ29からの電源を使用していない、即ち、車両バッテリからの電源を使用していると判断されると、ステップS110にて「NO」へ進み、ステップS140へ進み、緊急通報用車載端末9は通常送信する緊急情報を車両サービスセンタ12へ送信する。この通常送信する緊急情報としては、上記した必要最小量の緊急情報(車両の位置情報と、運転者の携帯電話番号と、緊急通報用車載端末9のID情報と)に加えて、事故の発生時刻、車両の走行軌跡のデータ、車両の速度や方向等のデータを送信するように構成されている。この後は、ステップS130へ進み、低消費電力モードで待ち受け動作する。
【0024】
次に、車両サービスセンタ12(オペレータ)側の動作について図4および図5を参照して説明する。車両サービスセンタ12が緊急通報用車載端末9からの緊急情報を受信すると、図4のステップS210へ進み、受信した緊急情報の中に運転者の携帯電話番号があるか否かを判断する。ここで、運転者の携帯電話番号がある場合には、ステップS210にて「YES」へ進み、ステップS220へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、運転者の携帯電話番号にコールバックして運転者と通話する。この場合、緊急通報用車載端末9の通話機能を使用しないので、バックアップバッテリ29(または車両バッテリ28)の電源を使用することがなく、節電することができる。
【0025】
上記ステップS210において、運転者の携帯電話番号がない場合には、「NO」へ進み、ステップS230へ進み、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号(この電話番号は、車両サービスセンタ12にも予め登録されており、緊急通報用車載端末9のID情報に基づいて検索可能な電話番号である。この電話番号は、例えば車両の所有者の自宅の電話番号や、車両の所有者の携帯電話番号などである。)があるか否かを判断する。ここで、登録された電話番号がある場合には、ステップS230にて「YES」へ進み、ステップS240へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、登録された指定の電話番号にコールバックしてその電話番号の電話に出た人(例えば車両の所有者等)と通話する。この場合、緊急通報用車載端末9の通話機能を使用しないので、バックアップバッテリ29(または車両バッテリ28)の電源を使用することがなく、節電することができる。
【0026】
また、上記ステップS230において、登録された電話番号がない場合には、「NO」へ進み、ステップS250へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、緊急通報用車載端末9(の電話番号)に直接コールバックして運転者と通話する。
【0027】
次に、車両サービスセンタ12のオペレータが、運転者の携帯電話番号にコールバックして運転者と通話している最中に回線切断等の異常が発生した場合の動作について、図5のフローチャートに従って説明する。図5のステップS310において、運転者との通話中に切断等の異常が発生したか否かを判断する。ここで、通話中に切断等の異常が発生していないと判断されると、ステップS310にて「NO」へ進み、ステップS320へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、運転者との音声通話を完了するまで続ける。
【0028】
さて、上記ステップS310において、通話中に切断等の異常が発生したと判断されると、「YES」へ進み、ステップS330へ進み、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号があるか否かを判断する。ここで、登録された電話番号がある場合には、ステップS330にて「YES」へ進み、ステップS340へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、登録された指定の電話番号にコールバックしてその電話番号の電話に出た人(例えば車両の所有者等)と通話する。そして、ステップS350へ進み、通話が可能であるか否かを判断する。ここで、通話が可能であると判断されると、ステップS350にて「YES」へ進み、ステップS320へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、音声通話を完了するまで続ける。
【0029】
また、上記ステップS330において、登録された電話番号がない場合には、「NO」へ進み、ステップS360へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、緊急通報用車載端末9(の電話番号)に直接コールバックして運転者と通話する。尚、上記ステップS350において、通話が可能でない場合も、「NO」へ進み、ステップS360へ進み、車両サービスセンタ12のオペレータは、緊急通報用車載端末9に直接コールバックして運転者と通話する。
【0030】
次に、図6を参照して、緊急事態が発生すると共に、車両バッテリ28の電源で動作している場合における緊急通報用車載端末9、車両サービスセンタ12のオペレータ、車両、カーナビゲーション装置2の各動作(シーケンス)について説明する。まず、車両の電源スイッチ8がオンされると、ACC信号およびイグニッション(IG)信号の各オン信号が緊急通報用車載端末9へ与えられる。すると、緊急通報用車載端末9は、カーナビゲーション装置2へ運転者の携帯電話機の電話番号を読み取る旨の要求を出す。すると、カーナビゲーション装置2は、運転者の携帯電話機(車両内に持ち込まれた携帯電話機)と例えばBluetooth接続で無線通信し、該携帯電話機の電話番号を読み取り、読み取った携帯電話番号を緊急通報用車載端末9へ送信する。緊急通報用車載端末9は、受信した運転者の携帯電話番号を内部のメモリに記憶する。
【0031】
この後、衝突等の緊急事態が発生すると、アラーム装置4やエアバッグECU6から緊急事態の検出信号が緊急通報用車載端末9へ送信される。尚、この場合は、車両バッテリ28からの電源が使用されている。すると、緊急通報用車載端末9は、車両バッテリ28からの電源を使用していると判断されることから、通常送信する緊急情報を車両サービスセンタ12へ送信する。この通常送信する緊急情報としては、車両の位置情報と、運転者の携帯電話番号と、緊急通報用車載端末9のID情報と、事故の発生時刻と、車両の走行軌跡のデータと、車両の速度や方向等のデータとを送信する。
【0032】
すると、車両サービスセンタ12が緊急通報用車載端末9からの上記緊急情報を受信すると、受信した緊急情報の中に運転者の携帯電話番号があれば、上記オペレータは、上記運転者の携帯電話番号にコールバック(発信)して運転者と音声通話する。この場合、受信した緊急情報の中に運転者の携帯電話番号がなければ、上記オペレータは、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号にコールバック(発信)し、その電話番号の電話に出た人(例えば車両の所有者等)と音声通話する。また、緊急通報用車載端末9内に電話番号が予め登録されていない場合には、上記オペレータは、緊急通報用車載端末9に直接コールバック(発信)し、運転者と音声通話するようになっている。
【0033】
次に、図7を参照して、緊急事態が発生すると共に、車両バッテリ28からの接続線が断線等したためにバックアップバッテリ29の電源で動作している場合における緊急通報用車載端末9、車両サービスセンタ12のオペレータ、運転者の携帯電話機、車両、カーナビゲーション装置2の各動作(シーケンス)について説明する。
【0034】
まず、車両の電源スイッチ8がオンされると、ACC信号およびイグニッション(IG)信号の各オン信号が緊急通報用車載端末9へ与えられる。すると、緊急通報用車載端末9は、カーナビゲーション装置2へ運転者の携帯電話機の電話番号を読み取る旨の要求を出す。すると、カーナビゲーション装置2は、運転者の携帯電話機(車両内に持ち込まれた携帯電話機)と例えばBluetooth接続で無線通信し、該携帯電話機の電話番号を読み取り、読み取った携帯電話番号を緊急通報用車載端末9へ送信する。緊急通報用車載端末9は、受信した運転者の携帯電話番号を内部のメモリに記憶する。
【0035】
この後、衝突等の緊急事態が発生すると、アラーム装置4やエアバッグECU6から緊急事態の検出信号が緊急通報用車載端末9へ送信される。尚、この場合は、車両バッテリ28に代えてバックアップバッテリ29からの電源が使用されている。すると、緊急通報用車載端末9は、バックアップバッテリ29からの電源を使用していると判断されることから、必要最小量の緊急情報を車両サービスセンタ12へ送信する。この必要最小量の緊急情報としては、車両の位置情報と、運転者の携帯電話番号と、緊急通報用車載端末9のID情報とを送信する。
【0036】
すると、車両サービスセンタ12が緊急通報用車載端末9からの上記緊急情報を受信すると、受信した緊急情報の中に運転者の携帯電話番号があれば、上記オペレータは、上記運転者の携帯電話番号にコールバック(発信)して運転者と音声通話する。この場合、受信した緊急情報の中に運転者の携帯電話番号がなければ、上記オペレータは、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号にコールバック(発信)し、その電話番号の電話に出た人(例えば車両の所有者等)と音声通話する。また、緊急通報用車載端末9内に電話番号が予め登録されていない場合には、上記オペレータは、緊急通報用車載端末9に直接コールバック(発信)し、運転者と音声通話するようになっている。
【0037】
上記した構成の本実施形態によれば、衝突等の緊急事態が発生したときに、緊急通報用車載端末9から車両サービスセンタ12へ緊急情報を送信し、車両サービスセンタ12のオペレータがコールバックする場合に、運転者の携帯電話機にコールバックして運転者と通話するように構成したので、緊急通報用車載端末9の消費電力を節約することができる。特に、車両バッテリ28からの接続線が断線等したためにバックアップバッテリ29の電源で動作しているときには、バックアップバッテリ29を節電することができる。この結果、緊急通報用車載端末9に搭載するバックアップバッテリ29の容量を小型化することができる。
【0038】
また、上記実施形態によれば、緊急通報用車載端末9から車両サービスセンタ12へ送信された緊急情報の中に、運転者の携帯電話番号がない場合には、車両サービスセンタ12のオペレータは、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号(例えば車両の所有者の自宅の電話番号や、車両の所有者の携帯電話番号など)にコールバックし、その電話番号の電話に出た人(例えば車両の所有者等)と音声通話するように構成したので、この場合も、緊急通報用車載端末9ひいては車両バッテリ28やバックアップバッテリ29の電力消費を低減することができる。
【0039】
更に、上記実施形態によれば、緊急通報用車載端末9から車両サービスセンタ12へ送信された緊急情報の中に、運転者の携帯電話番号および登録された電話番号がない場合には、車両サービスセンタ12のオペレータは、緊急通報用車載端末9に直接コールバックして運転者と通話するように構成したので、車両サービスセンタ12のオペレータは運転者と確実に通話することができる。
【0040】
また、上記実施形態によれば、緊急通報用車載端末9は、緊急事態の発生を検出したときにおいて、バックアップバッテリ29からの電源を使用していると判断されたときに、必要最小量の緊急情報を車両サービスセンタ12へ送信するように構成したので、緊急通報用車載端末9(ひいてはバックアップバッテリ29)の電力消費を低減することができる。
【0041】
尚、上記実施形態においては、運転者の携帯電話番号を読み取る際に、カーナビゲーション装置2のBluetooth接続機能を用いるように構成したが、これに限られるものではなく、他の車載機器のBluetooth接続機能を用いるように構成しても良いし、また、緊急通報用車載端末9にBluetooth接続機能を設け、緊急通報用車載端末9がBluetooth接続を介して直接的に運転者の携帯電話機と通信して、その携帯電話番号を読み取るように構成しても良い。
【0042】
また、上記実施形態においては、車両バッテリ28の電源で緊急通報用車載端末9が動作しているときも、車両サービスセンタ12のオペレータは、運転者の携帯電話番号(または緊急通報用車載端末9に登録された電話番号)にコールバックして運転者等と音声通話するように構成したが、これに代えて、バックアップバッテリ29で緊急通報用車載端末9が動作しているときだけ、車両サービスセンタ12のオペレータは、運転者の携帯電話番号(または緊急通報用車載端末9に登録された電話番号)にコールバックして運転者等と音声通話するように構成しても良い。換言すると、車両バッテリ28の電源で緊急通報用車載端末9が動作しているときは、運転者の携帯電話番号を緊急情報として車両サービスセンタ12へ送信しないようにして、車両サービスセンタ12のオペレータが、緊急通報用車載端末9に直接コールバックして運転者と音声通話するように構成しても良い。
【0043】
また、上記実施形態では、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号を、車両サービスセンタ12にも登録しておくように構成したが、これに代えて、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号を前記必要最小量の緊急情報の中に入れて車両サービスセンタ12へ送信するように構成しても良い。また、緊急通報用車載端末9内に予め登録された電話番号として、例えば車両の所有者の自宅の電話番号や、車両の所有者の携帯電話番号などを列挙したが、緊急通報用車載端末9自体の電話番号を登録しておくようにしても良いし、この電話番号を前記必要最小量の緊急情報の中に入れて車両サービスセンタ12へ送信するようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は車両用緊急通報システム、2はカーナビゲーション装置、3はメータ装置、4はアラーム装置、6はエアバッグECU、7はメーデースイッチ、8は電源スイッチ、9は緊急通報用車載端末、12は車両サービスセンタ、13は車両LAN制御部、14はCPU、16は音声処理部、17は衝突検出部、18は周辺装置処理部、19はGPS測位部、20は無線処理部、22は電源制御部、23は車載LAN、25はアンテナ、26はアンテナ、27はネットワーク、28は車両バッテリ、29はバックアップバッテリを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるものであって、前記車両の緊急事態の発生を検出したときにセンタへ緊急情報を送信するように構成された緊急通報用車載端末において、
前記車両の緊急事態の発生を検出したときに、前記緊急通報用車載端末がバックアップバッテリの電源で動作しているか否かを判断する判断手段と、
前記緊急通報用車載端末がバックアップバッテリの電源で動作しているときには、必要最小量の緊急情報を前記センタへ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする緊急通報用車載端末。
【請求項2】
運転者の携帯電話番号を記憶する記憶手段を備え、
前記必要最小量の緊急情報の中に前記運転者の携帯電話番号を入れるように構成したことを特徴とする請求項1記載の緊急通報用車載端末。
【請求項3】
前記緊急通報用車載端末および前記センタ内に予め登録された電話番号を備えるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の緊急通報用車載端末。
【請求項4】
前記緊急通報用車載端末内に予め登録された電話番号を備え、
前記必要最小量の緊急情報の中に前記予め登録された電話番号を入れるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の緊急通報用車載端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−239202(P2011−239202A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109227(P2010−109227)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】