説明

線状炭素材料の製造方法及び機能デバイスの製造方法

【課題】 低温でのPECVDを可能にして、ガラス基板等を使用して低価格で実施可能な線状炭素材料、及び機能デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】 触媒を用い、炭素を含む化合物からなる原料ガス(例えばCH4)をプラズマ化して、SWCNTなどの線状炭素材料を成長させる線状炭素材料の製造方法において、還元ガス(例えばH2)のプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を処理する第1の工程(手順4)と、前記原料ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる第2の工程(手順5)とを有する。原料ガスのプラズマ中でPECVD反応を行う際、原料ガスのプラズマの発生に先立ち、触媒表面を還元ガスのプラズマにより処理して、触媒活性を高い状態に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状炭素材料の製造方法、及び、この線状炭素材料が機能部位として設けられている機能デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、ナノテクノロジーが注目を集めており(例えば、後記の非特許文献1を参照)、例えば、カーボンナノチューブ(CNT(Carbon nanotube))及びカーボンナノチューブ回路に関する報告がある(例えば、後記の非特許文献2を参照)。特に単層カーボンナノチューブ(SWCNT(Single-walled carbon nanotube))は高い移動度を示すことから、高速スイッチング用電界効果トランジスタ(FET)のチャネル材料としての応用が期待されている。
【0003】
例えば、図13の断面図に示す電界効果トランジスタ(FET)によれば、シリコン基板(p型Si)15の一方の面にゲート電極(G)10が形成され、他方の面にSiO2層16がゲート絶縁膜として形成され、このSiO2層16上に所定パターンに設けられた一対の触媒14に接するようにそれらの間に成長させたカーボンナノチューブ(CNT)13によりチャネル部が形成され、更に触媒14上にドレイン電極(D)11、ソース電極(S)12が設けられている。
【0004】
近年、Fe、Ni、Co、またはそれらを含む合金の微粒子を、大きさのそろったサブナノスケールの細孔を持つゼオライト上に担持させることにより、高純度の径のそろった単層カーボンナノチューブの熱CVD合成が可能になった(例えば、後記の非特許文献3を参照)。また、Fe、Ni、CoをMo等と合金化した触媒を用いても、単層カーボンナノチューブの熱CVD合成が可能になった(例えば、後記の非特許文献4を参照)。
【0005】
一般的に単層カーボンナノチューブを用いてFETを作製する場合、そのプロセスは大きく次の(1)、(2)に分けられる。(1)高純度な単層カーボンナノチューブを合成した後、この単層カーボンナノチューブ分散液を調製し、これを基板上の所定の位置に塗布する方法である(例えば、後記の非特許文献5を参照)。(2)基板上の所定の位置に触媒を配置し、この触媒上に単層カーボンナノチューブを直接成長させ、配向させる方法である(例えば、後記の非特許文献6を参照)。現在、(2)の方法は、優れたFET特性を得ることができ、微細プロセスにも対応できる等の利点から、多くの研究が行われている。
【0006】
単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブを合成する場合、通常は基板上に触媒を配置した後、500℃〜600℃のH雰囲気中で処理することにより触媒を活性化させ、炭素を含む気相と550℃〜900℃の範囲で熱反応させることにより、単層カーボンナノチューブ、または二層カーボンナノチューブ(DWCNT(Double-walled carbon nanotube))、またはその構造を一部として含む一次元材料を成長させる熱CVD(化学的気相成長)法が多く用いられている(例えば、後記の非特許文献7を参照)。
【0007】
また、低温合成法として、500℃〜600℃のH2雰囲気中で触媒を活性化処理した後、プラズマ中で炭素を含む気相を550℃〜600℃の範囲でプラズマ反応させることにより、単層カーボンナノチューブ、または二層カーボンナノチューブ、またはその構造を一部として含む一次元材料を成長させるプラズマCVD法がある(例えば、後記の非特許文献8を参照)。
【0008】
H. Dai 等は、基板上に蒸着したFe薄膜を触媒前駆体として、メタンガスをプラズマにより活性化するプラズマ強化化学的気相成長(PECVD、Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いることにより、600℃程度の低温で単層カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブを成長させ得ることを報告している(後記の非特許文献9を参照)。
【0009】
なお、後記の非特許文献1には、ナノ構造を形態により分類することが記載されており、カーボンナノチューブの如き一次元材料について説明されている。
【0010】
【非特許文献1】豊田、藤田、黒部、石川、「東芝レビュー」、第57巻、第1号(2002)2
【非特許文献2】P.G.Collins, M.S.Arnold, P.Avouris, Science, Vol.292 (2001) 706
【非特許文献3】K.Mukhopadhyay, A.Koshio, T.Sugai, N.Tanaka,H.Shinohara, Z.Konya, J.B.Nagy, Chem.Phys.Lett., 303(1999)117
【非特許文献4】Y.Murakami, Y.Miyauchi, S.Chiashi and S.Murayama, Chem.Phys.Lett., 377(2003)49
【非特許文献5】Masashi Shiraishi, Taishi Takenobu, Toshinori Iwai, Yoshihiro Iwasa, Hiromichi Kataura and Masafumi Ata, Chem. Phys. Lett. 394 (2004) pp. 110-113.
【非特許文献6】Yu-Chih Tseng ; Peiqi Xuan ; Javey, A.; Malloy, R.; Qiang Wang ; Bokor, J. ; Hongjie Dai, “Monolithic integration of carbon nanotube devices with silicon MOS technology”, Nano Lett. ; Jan. 2004; vol.4, no.1, p.123-127
【非特許文献6】S.Maruyama, R.Kojima, Y.Miyauchi, S.Chiashi and M. Kohno, Chem. Phys. Lett., (2002), vol. 360, no. 3-4, pp. 229-234.
【非特許文献7】Kato T, Jeong G, Hirata T, Hatakeyama R, Tohji K, Motomiya K, Chemical Physics Letters, Vol. 381, No. 3-4, pp. 422-426.
【非特許文献8】H.Dai et al., Nano lett., 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を用いてFETを作製する場合、上述の(2)の方法を用いると、SWCNTの合成温度を下げることによって、電極、基板材料の選択の幅は広がる。現在主流である熱CVDによるSWCNTの合成法を見てみると、合成温度は550℃〜1000℃である。
【0012】
しかし、合成温度を下げて行くに連れてSWCNTの純度、結晶性、成長速度は著しく減少する。従来の熱CVD法では、600℃以下の低温では、高純度のSWCNT(ラマン測定(レーザー波長532nm)によるG/Dバンド比5以上)を成長させることは困難である。このため、FET等のデバイス作製用SWCNTの合成温度として、700℃以上、通常は850℃以上が利用されている。しかし、この温度領域では、低コスト化を図るためのガラス基板は、歪み点温度が低いため、使用には適していない。
【0013】
コーニング社(Corning Incorporated、ニューヨーク州コーニング)によって製造されたガラスは、現在知られているフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)用ガラスとして最高の変形温度又は歪み点温度である666℃を示す。しかし、市販のFPD用ガラスの歪み点温度は500℃から590℃であるので、こうしたガラス基板上に熱CVDによりSWCNTを成長させてデバイスを作製することは困難である。FETの如き機能デバイスの製造にはシリコン基板が多用され、700℃〜1000℃ではシリコン基板の変形は生じないが、ガラス基板は変形を生じてしまう。従って、低コスト化のためにガラス基板を用いて安定にかつ歩留良く機能デバイスを製造するには、プロセス温度の低温化が要望されている。
【0014】
しかし、上述した非特許文献8や9のように、H2雰囲気中で触媒を還元処理することにより、炭素の供給源となる原料ガスのプラズマ中でのPECVD反応における触媒の触媒活性を保持せんとしても、より高い触媒活性を保持することについては十分な検討はなされていない。通常市販されているガラスを基板として用い、650℃以下、好ましくは600℃以下の温度でPECVDによりCNTを成長、合成させる製造方法の開発が望まれている。
【0015】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低温でのPECVDを可能にして、ガラス基板等を使用して低価格で実施可能な線状炭素材料の製造方法、及び機能デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち、本発明は、触媒を用い、炭素を含む化合物からなる原料ガスをプラズマ化して、線状炭素材料を成長させる線状炭素材料の製造方法において、還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を処理する第1の工程と、前記原料ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる第2の工程とを有することを特徴とする、線状炭素材料の製造方法に係るものである。
【0017】
また、本発明は、所定の部位に触媒が配置され、この触媒に接して線状炭素材料が機能部位として設けられている機能デバイスの製造方法において、還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を処理する第1の工程と、前記原料ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる第2の工程とを有することを特徴とする、機能デバイスの製造方法に係るものである。
【0018】
本発明において、上記の線状炭素材料は、例えば、単層カーボンナノチューブ、又は二層以上の多層カーボンナノチューブ、またはその構造を一部として含む一次元炭素材料である。ここで、線状炭素材料、一次元炭素材料とは、炭素材料の成長の方向、成長する炭素材料の軸方向に沿う直線又は曲線をなす炭素材料を意味するものとし、この直線又は曲線は分岐を含んでいてもよい。線状炭素材料は、典型的には単層カーボンナノチューブであるが、二層以上の多層カーボンナノチューブを一部に含むこともある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記還元ガスのプラズマによって前記触媒を処理する第1の工程により、前記触媒を還元して活性化させ、高い触媒活性を保持することができるので、前記原料ガスのプラズマを発生させて線状炭素材料を成長させる第2の工程では、第1の工程によって保持した高い触媒活性により反応を効果的に進行させることができ、前記線状炭素材料を効率良く成長、合成することが可能となる。
【0020】
これまで、上述した非特許文献8や9のように、H2雰囲気中で触媒を還元処理することにより、炭素の供給源となる原料ガスのプラズマ中でのPECVD反応における触媒の触媒活性を保持していたが、より高い触媒活性を保持することについては十分な検討はなされていなかったのに対し、本発明者は、より高い触媒活性を保持するための方法を鋭意検討した結果、SWCNTにより代表される線状炭素材料をより低温でPECVDにより成長、合成するには、触媒の高い触媒活性を保持することが重要であり、高い触媒活性の保持のためには、原料ガスのプラズマの発生に先立って還元ガスのプラズマによって触媒表面を活性化処理することが必須であることを見出したのである。
【0021】
換言すれば、本発明では、線状炭素材料の成長、合成に使用する触媒を水素等の還元ガスのプラズマで処理することにより活性化処理して、触媒活性を十分に保持した後、原料ガスをプラズマ化して、300℃〜650℃、好ましくは400℃〜600℃の温度でPECVDにより線状炭素材料を成長、合成すること、あるいは、400℃〜900℃、好ましくは500℃〜800℃の温度でPECVDにより大量の線状炭素材料を成長、合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の線状炭素材料の製造方法、及び、機能デバイスの製造方法では、好ましくは、前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を300℃以上で行え、その下限温度を著しく低下させることができる。上限温度については、少なくとも前記第2の工程を650℃以下で行う。より好ましくは、少なくとも前記第2の工程を400℃以上、600℃以下で行う。これにより、変形温度又は歪み点温度の低いガラス基板などの基板を用いても、安定した歩留の良い製造方法を提供できる。
【0023】
このように、少なくとも前記第2の工程を300℃以上、650℃以下、特に400〜600℃で行う場合には、現在入手可能なガラスを使用できるが、666℃という最高の変形温度又は歪み点温度を示すコーニング社製のガラスを使用することは耐熱性の点では望ましい。また、前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃以上、600℃以下で行う場合には、通常、入手可能なガラスであって、変形温度又は歪み点温度が500℃から590℃の市販のFPD用ガラスを使用することができる。
【0024】
或いは、好ましくは、前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃以上で行うこともでき、更に、少なくとも前記第2の工程を900℃以下で行う。これによって、大量のカーボンナノチューブを合成できる。より好ましくは、少なくとも前記第2の工程を500℃以上、800℃以下で行う構成とする。
【0025】
また、前記触媒を基体上に配置した金属触媒とする場合、具体的には、前記金属触媒は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)のいずれか、あるいは、Fe、Co、Niのいずれかを含む合金であることが好ましい。Fe、Co、Niの少なくとも1種の金属と、Mo、Crの少なくとも1種の金属とを含む溶液を基板に塗布、又は、溶液に基板を浸漬した後、加熱処理を行うことにより、これら金属を基板に担持させることができる。これらの金属触媒は蒸着により形成してもよいが、塗布又は浸漬に続く加熱処理により基板に担持すれば、大掛かりな真空装置を用いる必要もなく、製造プロセスの簡略化を図ることができる。
【0026】
また、前記還元ガスとしては水素ガスや一酸化炭素が好ましく、これにより、製造プロセスを低コストで実行できる。前記原料ガスはメタンが好ましいが、後述の他の炭化水素系のガスでもよい。
【0027】
また、前記第1の工程では前記還元ガスを用いるが、前記第2の工程では前記原料ガスと共に前記還元ガスを導入し、これらの混合ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させるのがよい。これにより、前記線状炭素材料を成長させるPECVD反応の進行中においても、還元ガスのプラズマも発生させるので、還元ガスのプラズマ中で触媒を活性化させて高い触媒活性を保持できるので、650℃以下でもPECVD反応は効果的に進行し、線状炭素材料を効率よく成長、合成することができる。
【0028】
また、前記線状炭素材料は代表的にはCNT(特に、SWCNT)であり、ガラス基板を使用する製造プロセスを採用することにより、CNTを機能部位、例えばチャネル部とするFET(さらにこれを集積化した半導体回路)、電子放出源とするFED(電界放出型デイスプレイ)、分子の検知部とする超高感度分子センサ(化学センサ)、電極構成部分とする燃料電池等の機能デバイスを安定して低コストで製造できる。
【0029】
例えば、前記触媒を対向した複数箇所に所定パターンに配置し、これらの触媒間を接続するように前記線状炭素材料を成長させた後に、前記触媒上に電極をそれぞれ形成した構造を作製することができるが、前記線状炭素材料をチャネル部とし、前記電極をソース電極又はドレイン電極とする電界効果トランジスタ(FET)を製造することができる。
【0030】
本発明における上記の還元処理及びPECVD時のプラズマ発生条件は、例えば次の通りとするのが好ましい。
水素処理時:
プラズマパワー 50〜200W、好ましくは70〜150W、
ガス流量 H2 50〜70sccm
ガス圧力 5〜40Pa、好ましくは10〜20Pa
温度 450〜650℃、好ましくは500〜600℃
CNT合成時:
プラズマパワー 25〜200W、好ましくは60〜120W、
ガス流量 H2 50〜70sccm、
CH4 50〜200sccm、好ましくは60〜160sccm、
ガス圧力 10〜100Pa、好ましくは20〜50Pa
温度 350〜650℃、好ましくは450〜600℃
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
【0032】
まず、以下で説明する実施の形態において使用可能な、(1)PECVDに用いる基板(基体)、(2)PECVDに用いる触媒、(3)還元ガス、(4)炭素の供給源となる原料ガス、について説明する。
【0033】
(1)PECVDに用いる基板:低歪点ガラス基板、耐熱性ガラス基板、シリコン基板、表面にSiO2膜が形成されたシリコン基板、金属基板、あるいは蒸着等の導電性付与処理がなされた導電性膜付き絶縁体基板等を使用できる。
【0034】
(2)PECVDに用いる触媒:
金属触媒として、Fe、Co、Ni、あるいは、Fe、Co、Niのいずれかを含む合金を使用できる。また、(Fe1-p-qCopNiq1-x-yMoxCry(但し、0<x+y≦0.33、0≦x≦0.33、0≦y≦0.33、0≦p+q≦1、0≦p≦1、0≦q≦1)で表される合金も使用できる。その他、粉末状のY型ゼオライト、アルミナ、MgO等の担体に、必要あればV又はMoとともに、Co、Feを担持させた触媒も使用できる。
【0035】
Fe、Niなどの金属微粒子を用いる場合、例えば、酢酸Feをエタノールと混合し、これを超音波で12時間処理して0.01wt%の酢酸Fe溶液を調製し、この触媒溶液に基板を浸漬して酢酸Feを基板表面に分散させた形で担持させる。
【0036】
なお、上記した各触媒のうち、担体を用いない触媒は、原料ガスのプラズマ中で反応を行う際、650℃以下(特に550℃以下)の低温でも高い触媒活性を得ることができる。この場合、触媒は基体(基板)上に担持させることで足り、ゼオライト等の触媒担持用の微粒子に担持させる必要がないので、これら微粒子自身が不純物として混入する等の問題が生じない。また、触媒溶液への基体の浸漬又は触媒溶液の基体への塗布、及び、その後の加熱処理により、基体に金属触媒を担持させることができるので、金属触媒を蒸着により形成することもなく、大掛かりな真空装置等を必要とせず、CNTの成長、合成のプロセスを大幅に簡略化できる。
【0037】
(3)還元ガス:通常、H2を使用できる。その他の還元ガスも使用可能である。
【0038】
(4)炭素の供給源となる原料ガス:
炭素を含む化合物からなる原料ガスを使用するが、炭素を含む化合物として、脂肪族等の非芳香系の炭化水素、芳香族系の炭化水素、複素環化合物、又は、これらの混合物等を使用できる。
【0039】
非芳香族炭化水素として、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、又は、これらの混合物等を使用できる。また、この炭化水素に酸素を含む化合物、例えば、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、エステル類、これらの混合物等も使用できる。
【0040】
ここで、アルコール類としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を使用できる。ケトン類としてアセトン等を使用することができ、アルデヒド類としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等を使用でき、エーテル類としてトリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等を使用でき、エステル類として酢酸エチル等を使用できる。また、芳香族炭化水素として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等、又は、これらの混合物等を使用できる。
【0041】
次に、以下で説明する実施の形態における線状炭素材料(CNT)の製造手順について説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態における線状炭素材料の製造手順を概略的に説明する図である。以下、手順1から手順6について説明する。
【0043】
手順1:
金属を含む溶液(触媒溶液)を調製する。
【0044】
手順2:
手順1で合成された触媒溶液に基板を浸漬し、触媒を基板に分散させて担持させる。
【0045】
手順3:
手順2で作製された基板を石英管状炉内にセットし、基板温度を所望の時間で所望の温度(例えば、400℃)に上昇させる。空気中、所望の基板温度(例えば、400℃)、所望の時間での酸化処理により触媒表面の有機物を除去する。次いで、基板の加熱源への電力を停止して所望の時間放置して基板を冷却し、この放置時間の間に石英管状炉内を排気して炉内の圧力(真空度)を大気圧から所望の圧力にする。なお、基板を冷却することなく所望の基板温度(例えば、200℃又は400℃)から所望の温度(例えば、500℃〜550℃)へ所望の時間をかけて上昇させてもよい。
【0046】
手順4:
石英管状炉内に還元ガスを導入し、炉内の圧力を所望の値に調整した後、所望の基板温度(例えば、500℃〜550℃)で触媒表面の還元処理を所望の時間行うことにより、手順3で触媒表面に生じた金属の酸化物は還元され、触媒表面の酸化膜は除去され、触媒は金属の活性化状態となる。即ち、還元ガスの高周波プラズマを所望の出力で発生させ、還元ガスのプラズマにより触媒表面の活性化処理を所望の時間行い、触媒活性を保持させる。
【0047】
手順5:
手順4に引続き、石英管状炉内で同じ基板温度に基板を保持したまま、還元ガスを導入しながら更に原料ガスを導入する。即ち、還元ガスと原料ガスの混合ガスを石英管状炉内に導入し、炉内の圧力を所望の値に調整した後、混合ガスの高周波プラズマを所望の出力で所望の時間発生させ、PECVDにより、基板表面に担持された触媒からSWCNT等のCNTを成長させる。なお、手順5では、還元ガスの石英管状炉内への導入を停止して、原料ガスを炉内に導入して炉内の圧力を所望の値に調整した後、原料ガスの高周波プラズマを所望の出力で所望の時間発生させ、PECVDによりSWCNTを成長させてもよい。
【0048】
手順6:
手順5の終了後、基板の加熱源への電力を停止し、所望の時間放置して基板を冷却した後、ゲートバルブを介して石英管状炉に近接して配置された試料取り出し室に基板を移動させた後に取り出し、観察評価を行う。なお、手順5の終了後、基板の加熱源への電力を停止させずに、試料取り出し室に基板を移動させ、取り出してもよい。
【0049】
第1の実施の形態(550℃におけるCNTの合成)
図1は、本発明の第1の実施の形態において、手順1、2を行った後の手順3〜手順6における温度及び真空度の時間変化を説明する図である。図1において、横軸は時間(min)、左縦軸は温度(℃)、右縦軸は真空度(圧力)(Pa)を示す(以下、同様)。以下に各手順毎に説明する。
【0050】
手順1:
酢酸Feをエタノールと混合し、これを超音波で12時間処理して均一溶液とし、0.01wt%の酢酸Fe溶液を調製する。
【0051】
手順2:
手順1で調製された触媒溶液に酸化膜付きのシリコン基板を浸漬し、酢酸Feを基板表面に分散させた形で担持させる。
【0052】
手順3:
手順2での処理済みの基板を石英管状炉内にセットし、基板温度を室温(RT)から400℃まで約25分間で昇温して、基板を400℃に10分間保持することにより、触媒表面の有機物を除去する。次いで、基板の加熱源への電力を停止し、放置して基板を200℃まで冷却し、冷却時間を含め約1時間かけて石英管状炉内をスクラバーポンプにより排気して炉内の圧力(真空度)を大気圧から5Paにする。炉内の圧力が5Paになった時点から、基板温度を550℃へ約1時間かけて上昇させる。なお、基板を冷却することなく基板を400℃に保持したままの状態で、石英管状炉内の排気をスクラバーポンプにより行い、5Paまで排気してもよい。
【0053】
手順4:
基板温度を550℃の状態に保持し、還元ガスとしてH2(60sccm)を石英管状炉内に導入し、炉内の圧力を8Paに調整した後、触媒表面の還元処理を約5分間行い、手順3で生じたFeの酸化物を還元して触媒を金属Feの活性化状態とする。即ち、H2の高周波プラズマを100Wの出力で発生させ、H2のプラズマにより触媒表面の活性化処理を約5分間行い、触媒活性を保持させる。
【0054】
手順5:
手順4に引続き、基板温度を550℃に保持し、石英管状炉内に還元ガス(H2(60sccm))と共に原料ガスとしてのCH4(160sccm)を導入して炉内の圧力を30Paに調整し、混合ガス(H2+CH4)の高周波プラズマを100Wの出力で約30分間発生させ、PECVDにより、基板表面に担持された触媒からSWCNTを成長させる。なお、手順5では、還元ガス(H2)の石英管状炉内への導入を停止し、原料ガスとしてのCH4を石英管状炉内に導入して炉内の圧力を30Paに調整し、CH4の高周波プラズマを100Wの出力で約30分間発生させ、PECVDによりSWCNTを成長させてもよい。
【0055】
手順6:
手順5の終了後、基板を炉外へ取り出して観察評価を行う。
【0056】
なお、図1において、手順4、手順5の区間に示す斜線入りの矢印はプラズマを発生させている時間帯、白抜きの矢印は還元ガス(H2流)又は原料ガス(CH4流)を石英管状炉内に導入している時間帯を示している(以下、同様)。
【0057】
図3は、本実施の形態における線状炭素材料の成長に使用可能な装置の主要部を概略的に説明する図である。図3(A)は、触媒の位置が離れている状態でCNTが基板面にほぼ垂直方向及びほぼ面方向に成長する場合を示し、また図3(B)は、触媒が密に担持されている状態でCNTが基板面にほぼ垂直方向に成長する場合を示している。
【0058】
ヒータ27に囲まれる石英管28により構成される石英管状炉の内部に、ガラス基板、シリコン基板等の基板25が配置され、石英管28の周囲にはプラズマを発生させるための誘導コイル29が配置されている。触媒24は基板25の表面に分散して担持されている。ヒータ27への電力の供給により石英管28の内部が昇温して基板25が加熱され、石英管28の内部にガス(還元ガス、原料ガス)が導入される際に誘導コイル29へ電力が供給されると、導入されるガスのプラズマが発生し、このプラズマが石英管内の基板25上に供給される。石英管28内への還元ガス、原料ガスの導入、誘導コイル29への電力の供給、ヒータ27への電力の供給は上記した手順により実行される。
【0059】
図3(A)に示すように、隣接して分散する触媒の間の距離が粗である場合には、CNT(カーボンナノチューブ)23は、触媒24が担持されている領域のそれぞれで基板面にほぼ垂直方向に成長するとともに、触媒24間を接続するように基板面に沿って横方向に成長する。また、図3(B)に示すように、隣接して分散する触媒の間の距離が密である場合には、CNT(カーボンナノチューブ)23は主として、触媒24が担持されている領域のそれぞれで基板面にほぼ垂直方向に成長する。
【0060】
第2の実施の形態(500℃におけるCNTの合成)
図4は、本発明の第2の実施の形態による手順3〜手順6における温度及び真空度の時間変化を説明する図である。
【0061】
本実施の形態は、手順4及び手順5において、基板温度が500℃の状態に保持されている点を除いて、上述した第1の実施の形態と同じであるので、ここでは同じ説明は記載しない。
【0062】
第3の実施の形態
図5は、上述した第1又は第2の実施の形態に基づいて作製される電界効果トランジスタ(FET)の概略構成を説明するものであり、(A)断面図、(B)電極の位置関係及びCNTの成長を示す平面図である。
【0063】
このFETは次のようにして作製する。まず、ガラス製の基板35の表面に、ゲート電極(G)30を形成した後、ゲート絶縁膜としてのSiO2層36を形成する。SiO2層36の表面に、触媒34が担持された領域を形成する。
【0064】
次いで、上述した第1の実施の形態又は第2の実施の形態で説明した手順に従ってCNT(カーボンナノチューブ)33を成長させると、図3(A)に示すCNT23と同じように、触媒34が担持されている領域のそれぞれで基板面にほぼ垂直方向にCNT33が成長するとともに、触媒34が担持されている領域の間を接続するように基板面に沿ってCNT33が成長する。この領域間を接続するCNT33は、機能部位としてのチャネル部を形成する。
【0065】
次いで、CNT33の一部と触媒34上を覆うようにドレイン電極(D)31及びソース電極(S)32を形成する。触媒34が担持された領域間d1は2μm分離させ、ドレイン電極31とソース電極32との間d2は1μm分離させる。なお、ゲート電極30、ドレイン電極31、ソース電極32、触媒34が担持される領域はそれぞれ、リフトオフ法を用いて形成することができる。
【0066】
比較例1
以下、上述した第1及び第2の実施の形態と比較するための比較例1を説明する。この比較例では、上述した手順4において、還元処理をH2中での熱処理で行い、これ以外は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0067】
図6は、この比較例での手順3〜手順6における温度及び真空度の時間変化を説明する図であるが、手順4を除いて上述した第1の実施の形態と同じであるので、ここでは同じ説明は記載しない。以下に手順4及び手順5について説明する。
【0068】
手順4:
基板温度を550℃の状態に保持し、還元ガスとしてH2(60sccm)を石英管状炉内に導入し、炉内の圧力を60Paに調整し、触媒表面の還元処理を30分間行う。即ち、触媒の還元処理をH2中での熱処理によって行う(H2プラズマによる触媒表面の活性化処理ではない)。
【0069】
手順5:
手順4に引続き、基板温度が550℃の状態に保持し、石英管状炉内に還元ガス(H2(60sccm))に加えて原料ガスとしてCH4(160sccm)を導入して炉内の圧力を30Paに調整し、混合ガス(H2+CH4)の高周波プラズマを100Wの出力で約30分間発生させ、PECVDにより、基板表面に分散した触媒からCNTを成長させる。なお、手順5では、還元ガス(H2)の石英管状炉内への導入を停止して、原料ガスとしてCH4を石英管状炉内に導入して炉内の圧力を30Paに調整し、CH4の高周波プラズマを100Wの出力で約30分間発生させてPECVDによりCNTを成長させてよい。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を具体的な実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0071】
例1(比較例1に相当)
図7は、上述した比較例1に基づいて550℃でCNTを合成した結果を示す基板表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真図(倍率30,000)である。
【0072】
図7に示すように、基板の表面には、触媒と思われるサブミクロンサイズの粒子が白く点在する状態が観察されるが、チューブ構造の線状炭素材料(SWCNT)の存在は観察されなかった。
【0073】
例2(第1の実施の形態に相当)
図8は、上述した第1の実施の形態に基づいて550℃でCNTを合成した結果を示す基板表面のSEM写真図((A)は倍率5,000、(B)は(A)の一部の拡大であって倍率30,000))である。
【0074】
図9は、上述した第1の実施の形態に基づいてCNTを合成した結果を示すTEM(透過型電子顕微鏡)写真図((A)と(B)は視野、倍率が異なる)である。
【0075】
図8に示すように、基板の表面には大量の線状炭素材料(CNT)が観察される。また、図9(A)、図9(B)から、線状炭素材料はチューブ構造であり、SWCNTの成長が認められる。図9(B)から、直径約2nmのSWCNTが認められる。
【0076】
例3(第2の実施の形態に相当)
図10は、上述した第2の実施の形態に基づいて500℃でCNTを合成した結果を示す基板表面のSEM写真図(倍率10,000)である。
【0077】
図11は、上述した第2の実施の形態に基づいてCNTを合成した結果を示す基板断面のSEM写真図((A)は倍率10,000、(B)は(A)の一部の拡大であって倍率30,000))である。
【0078】
図12は、上述した第2の実施の形態に基づいてCNTを合成した結果を示すTEM写真図である。
【0079】
図10及び図11に示すように、基板の表面には大量の線状炭素材料(CNT)が観察される。図11(A)に示すように、CNTは基板に対して垂直方向に成長しているが、これは、図3(B)に示したように基板の表面に触媒粒子が密に担持されているためである。また、図12から、線状炭素材料はチューブ構造であり、直径約6nmのSWCNTが認められる。
【0080】
上記したように、例1(比較例1による結果)では、CNTの成長は認められなかったが、例2(第1の実施の形態による結果)及び例3(第2の実施の形態による結果)では、SWCNTの成長が認められた。この相違の原因として、比較例1における手順4では、触媒表面の活性化処理をH2中での熱処理で行っているだけであるために、CNTの成長は認められないが、第1及び第2の実施の形態における手順4では、還元ガスH2のプラズマによって触媒表面の活性化処理を行っているので、触媒活性を十分に保持できるために、550℃、更には500℃と低温であってもSWCNTの成長が可能となるからである。
【0081】
以上のことから、550℃以下の温度でのPECVDによりSWCNTを成長、合成させるには、原料ガスのプラズマ中でPECVD反応を行う際、触媒の触媒活性を高い状態に保持するためには、原料ガスのプラズマの発生に先立って、還元ガスのプラズマによって触媒表面を活性化処理して触媒活性を保持することが必須である。
【0082】
即ち、SWCNT又はこれを一部として含むCNTの成長、合成に使用する触媒の触媒活性を高めるための活性化処理を水素プラズマ中で行うことにより、低温PECVDにおける触媒活性を向上させることが可能になり、SWCNTを一部として構造中に含むCNTの成長、合成を低温のPECVDにより実現できる。その結果、550℃以下のプロセス温度でSWCNTの成長、合成が可能となるので、SWCNTの成長、合成を含む機能デバイスを製造するプロセスが、550℃以下の低温デバイスプロセスで実現できる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0084】
例えば、上述の実施の形態の各手順で説明した、触媒及び基板の種類、温度、圧力、処理時間、ガスの種類、ガスの流量、プラズマの出力等はあくまでも例示に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる、触媒及び基板の種類、温度、圧力、処理時間、ガスの種類、ガスの流量、プラズマの出力等を使用できる。例えば、成長、合成しようとするSWCNTの直径、長さを所望の値又は範囲に制御するために、これらの条件を適宜最適化すればよい。プラズマ発生装置も、誘導コイル型に限らず、平行平板型であってもよい。
【0085】
本発明によれば、低温でのPECVD(更には水素還元処理)にガラス基板を使用して、ガラス基板にCNTを機能部位として設けることができるので、チャネル部にCNTを用いるFETや、これを集積化した半導体回路、電子放出源にCNTを用いるFED(電界放出型デイスプレイ)、分子の検知にCNTを用いる超高感度分子センサ(化学センサ)、電極構成部分にCNTを用いる燃料電池等の機能デバイスを、低電力、低価格で製造することが可能となる。なお、機能デバイスとして上記の例示に限定されるものではなく、上記以外の機能デバイスの製造に本発明は適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る線状炭素材料の製造方法及び機能デバイスの製造方法は、低温プロセスを可能とするので、低歪点ガラス等の低コスト化が可能な基板を用いた各種デバイスを実現でき、実用上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施の形態での手順3〜手順6における、温度及び真空度の時間変化を説明する図である。
【図2】同、線状炭素材料の製造の概略手順を説明する図である。
【図3】同、線状炭素材料の製造のための装置の主要部概略を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態での手順3〜手順6における、温度及び真空度の時間変化を説明する図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による電界効果トランジスタ(FET)の概略構成を説明する、(A)断面図、(B)平面図である。
【図6】比較例1での手順3〜手順6における、温度及び真空度の時間変化を説明する図である。
【図7】例1(比較例1に相当)による550℃におけるCNTの合成結果を示す基板表面のSEM写真図である。
【図8】例2(本発明の第1の実施の形態に相当)による550℃におけるCNTの合成結果を示す基板表面のSEM写真図である。
【図9】同、TEM写真図である。
【図10】例3(本発明の第2の実施の形態に相当)による500℃におけるCNTの合成結果を示す基板表面のSEM写真図である。
【図11】同、基板断面のSEM写真図(A)、基板表面のSEM写真図(B)である。
【図12】同、TEM写真図である。
【図13】従来例による電界効果トランジスタの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
23、33…CNT(カーボンナノチューブ)、24、34…触媒、
25、35…基板、27…ヒータ、28…石英管、29…誘導コイル、
30…ゲート電極、31…ドレイン電極、32…ソース電極、36…SiO2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を用い、炭素を含む化合物からなる原料ガスをプラズマ化して、線状炭素材料を成長させる線状炭素材料の製造方法において、
還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を処理する第1の工 程と、
前記原料ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる第2の工程と
を有することを特徴とする、線状炭素材料の製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を300℃以上で行う、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を650℃以下で行う、請求項2に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃〜600℃で行う、請求項3に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項5】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃以上で行う、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項6】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を900℃以下で行う、請求項5に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項7】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を500℃〜800℃で行う、請求項6に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項8】
前記触媒として、鉄、コバルト、ニッケルのいずれか、あるいは、鉄、コバルト、ニッケルのいずれかを含む合金を用いる、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項9】
前記還元ガスとして水素ガスを用い、前記原料ガスとして炭化水素系のガスを用いる、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項10】
前記第2の工程で、前記原料ガスと前記還元ガスとの各プラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項11】
前記線状炭素材料としてカーボンナノチューブを成長させる、請求項1に記載の線状炭素材料の製造方法。
【請求項12】
所定の部位に触媒が配置され、この触媒に接して線状炭素材料が機能部位として設けられている機能デバイスの製造方法において、
還元ガスのプラズマを発生させ、このプラズマによって前記触媒を処理する第1の工 程と、
前記原料ガスのプラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる第2の工程と
を有することを特徴とする、機能デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を300℃以上で行う、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を650℃以下で行う、請求項13に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃〜600℃で行う、請求項14に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を400℃以上で行う、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項17】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を900℃以下で行う、請求項16に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記第1の工程と前記第2の工程のうち少なくとも前記第2の工程を500℃〜800℃で行う、請求項17に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項19】
前記触媒として、鉄、コバルト、ニッケルのいずれか、あるいは、鉄、コバルト、ニッケルのいずれかを含む合金を用いる、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項20】
前記還元ガスとして水素ガスを用い、前記原料ガスとして炭化水素系のガスを用いる、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項21】
前記第2の工程で、前記原料ガスと前記還元ガスとの各プラズマを発生させ、前記線状炭素材料を成長させる、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項22】
前記線状炭素材料としてカーボンナノチューブを成長させる、請求項12に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項23】
前記触媒を基体上に配置した状態で前記線状炭素材料を成長させる、請求項22に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項24】
前記触媒を対向した複数箇所に所定パターンに配置し、これらの触媒間を接続するように前記線状炭素材料を成長させた後に、前記触媒上に電極をそれぞれ形成する、請求項23に記載の機能デバイスの製造方法。
【請求項25】
前記線状炭素材料をチャネル部とし、前記電極をソース電極又はドレイン電極とする電界効果トランジスタを製造する、請求項24に記載の機能デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図13】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−63034(P2007−63034A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248263(P2005−248263)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】