説明

繊維−補強複合体およびその製造方法

本発明は、繊維−補強複合体、特に、繊維補強歯科複合体のような歯科および医療適用/器具で有用なアプリケーション−指向性複合体、およびその製造方法に関する。特に、本発明は、半−相互貫入ポリマーネットワークマトリックスを持つランダムガラス繊維−補強修復複合体樹脂、および虫歯詰物、コア複合体、仮および半−永久的クラウンおよびブリッジ複合体、セメントおよび接着剤のような歯科適用におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化させた場合にユニークなアプリケーション−指向特性を有する繊維−補強複合体(FC)生成物を生じる、高度に粘性なガラス繊維束、粒状充填剤および硬化性樹脂の組合せを用いるFCの製造方法に関する。さらに、本発明は、前記製造方法によって得ることができる、歯科および医療適用/器具で有用な繊維−補強複合体(FC)およびアプリケーション−指向複合体に関する。本発明は、さらに、FCのアプリケーション−指向特性に関する。また、本発明は、半−相互貫入ポリマーネットワークマトリックスを備えた繊維−補強修復複合体、および虫歯充填、コア複合体、仮および半永久的クラウンおよびブリッジ複合体、セメントおよび接着剤のような歯科適用/器具におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科修復充填複合体樹脂は60年代にすでに歯科業界に導入されており、多くの材料の改良後に、依然として、修復複合体は機械的特性の欠如および重合修飾に関する問題に悩んでいる。臨床的研究は、直接的充填複合体は以下の3つの理由:咬合装着二次的カリエスおよび修復充填複合体の破砕のため圧倒的に失敗したことを示している。これらの問題のため、修復複合体が直接的後方修復におけるようなかなり高いストレスを担う適用で用いるべきか否かは依然として争いのあるところである。現在の複合体の比較的高い脆性および低い破砕靱性は大きなストレスを担う修復におけるそれらの使用を一般的にあまり好ましくないものとする。
【0003】
米国特許第6403676号明細書は、ガラス繊維の軟化点未満の温度での加熱によって緻密化され、かつ脆性化されたS−ガラス繊維粒子を粉砕することによって得られた、粉砕され、緻密化され、かつ脆性化されたS−ガラス繊維粒子での歯科複合体の補強を教示する。ガラス繊維粒子は約80μm未満の平均粒子サイズを有する。該複合体はポリマーマトリックス前駆体および、所望により、慣用的な充填剤も含み、それは、広く用いられるアマルガムの感覚および作業性を有する直接的充填材料として有用である。
【0004】
チョップト繊維−補強を含む複合体が米国特許第6270348号明細書に開示されており、これは、複合体に加えられた約1〜3mmの繊維長さを有する個々の繊維を含有する。所望により放射線不透過性材料を含む適切にシラン−処理された石英繊維、セラミックおよびポリエチレン繊維が歯科複合体に加えられた。10〜22重量%の石英繊維を含有する複合体は、200MPaを超える屈曲強度を呈した。
【0005】
虫歯に挿入して、高強度歯科修復物を形成するための連続繊維、樹脂−繊維ペーストおよび繊維−補強プレフォームが米国特許第6334775号明細書に記載されている。それに従うと、連続繊維が虫歯の底に置かれて、虫歯の最大幅の少なくとも60%に達し、虫歯の残りには慣用的な歯科複合体が充填される。繊維の5〜100%が短い繊維から区別される連続繊維である。
【0006】
プレプレグとしても知られた連続繊維よりなるポリマープレ−含浸洗剤量が米国特許第6197410号明細書に示されている。該プレプレグは修復歯科学で特に有用である。また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系半−相互貫入ポリマーネットワーク(半−IPN)マトリックスが開示されており、これは義歯床材料中のポリマーマトリックスとして適当である。
【0007】
ガラス繊維は、30年に渡って歯科ポリマーにおける補強のために提案されてきた。それらは、炭素またはアラミド繊維のそれと匹敵する良好な補強効果および審美性を有する。繊維の補強効果は、用いる樹脂、樹脂マトリックス中の繊維の量、繊維の長さ、繊維の形態、繊維の向きおよび補強因子(Krenchel因子)、ポリマーマトリックスへの繊維の固着、および繊維の樹脂での含浸を含めた多くの変数に依存する。
【0008】
短いランダム繊維は1または2の方向の代わりに多数の方向において等方的補強効果を提供し、かくして、非常に限定された強化効果である。
【0009】
典型的には、補強繊維を含む(即席組成物としても知られた)商業的歯科修復材料は80〜200μmの繊維長を有する。これらの公知の短繊維複合体の主な欠点の1つは短繊維の非常に限定された強化効果である。いくつかの利点を複合体に供するが、切断繊維複合体の効率は、劣った屈曲強度および引張強度を有する典型的な粒子充填剤負荷歯科複合体の性能に似ている。繊維の妥協された長さは、図1に示された比較例でやはり分かるように、性能に対して制限を不可避的に設定する。
【0010】
技術水準に従う繊維−補強複合体の通常の問題は、それらが非−球形の比較的大きな粒子、および表面から粘着する繊維を含む粗い表面を有することである。大きな粒子は、本明細書中においては、粒子の1つの寸法が10μmを超えることを意味する。この結果、容易な重合された詰物の貧弱な研磨性、および仕上げに関する問題をもたらし、それにより、詰物の表面は粗いままであり、従って、細菌の集落化および着色の傾向がある。歯科詰め物の仕上げに関する問題を解決するために、米国特許第6197410号明細書および米国特許第6334775号明細書は、適切な仕上げ特性を持ついずれかの慣用的歯科充填材料によって補強複合体の被覆のためのさらなる操作を提案している。
【0011】
また、繊維補強歯科複合体の公知の製造方法に関するある種の困難性も出現している。1mm以上の長さを含有する複合体が、手によって小規模な温和な調製を用いて実験室条件で製造された場合、所望の生成物が得られる。しかしながら、歯科複合体のスケールアップされた製造は単繊維にとって余りにも乱暴である。長繊維は非常に短い繊維に対する加工において容易に破壊され、または切断され、これは望まれる補強効果を供することができない。さらに、繊維は加工の間に凝集する傾向があり、その結果、粒子の貧弱に湿潤したクラスターがもたらされる。
【0012】
加工の間における繊維の脆性化もまた、米国特許第6403676号明細書において代替製造方法として記載されている。
【0013】
現在、ガラス繊維と組み合わせた、半−IPN−ポリマーマトリックスを含む歯科修復複合体は開示されていない。前記に基づき、改良された繊維補強複合体、およびその製造方法に対する要求が存在することが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、繊維−補強複合体、特にランダム繊維−補強複合体の製造方法である。
【0015】
本発明のさらなる目的は、繊維−補強複合体、特にアプリケーション−指向複合体の製造方法である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、改良された繊維−補強複合体、特にランダム繊維−補強複合体を提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、改良された繊維−補強複合体、特にアプリケーション−指向複合体を提供することにある。
【0018】
本発明のなおさらなる目的は、修復詰め物、コア複合体、仮および半永久的、および永久的クラウンおよびブリッジ複合体、セメント、接着剤およびCAD/CAMブロックのような歯科適応/器具における該繊維−補強複合体の使用である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、整形外科骨セメント、骨支持体デバイスにおける、および人工骨材料としての頭部および首外科的処置におけるような、生物医学適応における該繊維−補強複合体の使用である。
【0020】
本発明のなおさらなる目的は、臀部、膝および肩用の固定プレート、スクリュー、爪および関節のような移植可能な生体−安定性整形外科デバイスのコア構造を形成するにおける繊維−補強複合体の使用である。
【0021】
本発明のなおさらなる目的は、半−IPN−ポリマーマトリックスを含む、ガラス繊維充填、特にE−ガラス繊維充填歯科複合体である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、繊維−補強複合体、特にアプリケーション−指向複合体の製造方法を提供する。また、本発明は、繊維−補強複合体、特にアプリケーション−指向複合体、および歯科および医療適応/器具におけるそれらの使用も提供する。アプリケーション−指向は、繊維−補強複合体、特に繊維状ガラス補強複合体が、虫歯に、または本発明のもう1つの具体例に従って、たとえば整形外科デバイスの製造のために金型またはプレフォームに適用される場合におこる。
【0023】
アプリケーション−指向複合体は、本明細書中においては、複合体のランダムな三次元的に廃向した繊維は、好ましくは、望まれる位置において層として複合体が適用される間に二次元的に廃向し、または一次元的に廃向する。
【0024】
補強因子が、本明細書中においては、Vishu,S: Handbook of plastic testing technology, 2ed. New York: John Wiley; 1998.pp.546において定義されたKrenchelの補強因子を意味し、それに従うと、3Dランダム配向は0.2の係数を有し、他方、2Dランダム配向は0.38の係数を有する。この挙動およびKrenchelの因子は、たとえば、水および重合収縮によって引起された複合体の熱的膨張および吸湿膨潤において、補強硬化を超えて適応することができる。
【0025】
ランダム繊維−補強複合体または繊維複合体は、本明細書中においては、複合体構造における繊維の補強因子が、張力に対して45度の平行に廃向した繊維におけるように0.25を超え、張力の軸に沿うように1.0未満であることを意味する。補強因子の好ましい範囲は0.25〜0.5である。
【0026】
硬化とは、本明細書中においては、重合および/または架橋をいう。
【0027】
プレプレグは、本明細書中においては、重合しないか、または部分的にしか重合していないが、依然として変形可能な半−製造生成物を意味する。
【0028】
マトリックスは、本明細書中においては、組成物の連続相を意味し、非−硬化マトリックスとは、マトリックスが変形可能であるが、硬化した状態まで硬化できることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】慣用的粒子充填剤複合体(Z250)、および種々の繊維長および製造技術での繊維補強複合体の機械的特性、特に屈曲強度の比較を示すグラフである。
【図2a】FC(実施例1a))複合体および市販の慣用的修復複合体Z250の屈曲強度を示すグラフである。
【図2b】FC(実施例1a))複合体および慣用的修復複合体Z250の屈曲モジュラスを示すグラフである。
【図2c】FC複合体および慣用的修復複合体Z250の屈曲モジュラスを示すグラフである。
【図3】FC、市販の対照Z250、および市販の複合体とFCとの組合せの圧縮負荷単離能力を示すグラフである。
【図4】FC、市販の対照Z250、および市販の複合体とFCとの組合せの圧縮負荷担持能力を示すグラフである。
【図5(A)】伝播クラック(A)を伴うFC複合体の磨かれた表面のSEM写真である。
【図5(B)】伝播クラック(A)を伴うFC複合体の磨かれた表面のSEM写真である。
【図5(C)】伝播クラック(A)を伴うFC複合体の磨かれた表面のSEM写真である。
【図5(D)】伝播クラック(A)を伴うFC複合体の磨かれた表面のSEM写真である。
【図6】20重量%または40重量%の生体活性ガラス粒子いずれかを加えた後のFCの屈曲強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
驚くべきことに、技術水準による繊維−補強複合体に、およびそれらの製造プロセスに関連する問題は、本発明による複合体および方法によって回避でき、または少なくとも実質的に減少させることが判明し、そこでは、歯科および医療適応/器具に適した望まれる繊維−補強複合体が得られる。さて、本発明を以下においてより詳細に記載する。
【0031】
本発明による繊維−補強複合体は、硬化性または部分的硬化性モノマー系、充填剤系および慣用的な重合開始剤および/または促進剤を含む。該充填剤系は高度に粘性な繊維束、該繊維の長さは0.5〜100mm、好ましくは3〜20mmであり、および、所望により、0.1〜100μmの粒子サイズを有する慣用的な粒状充填剤および0.1μm未満の粒子サイズを有するナノスケール粒状充填剤から選択される少なくとも1つの粒状充填剤を含有する少なくとも1つのプレプレグを含む。該プレプレグは、0.5〜100mm、好ましくは3〜20mmの長さを有するピースの形態であって、プレプレグピースは0.5〜100、好ましくは3〜20mmの繊維長を有する繊維を含む。
【0032】
該複合体は5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜30重量%の、少なくとも1つの硬化性モノマーを含むモノマー系および30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは70〜85重量%の充填剤系を含む。充填剤系は、所望により、0〜90重量%、好ましくは0〜80重量%の、慣用的粒状充填剤およびナノスケール粒状充填剤から選択される少なくとも1つの粒状充填剤を含むことができる。しかしながら、粒状充填剤の重量含有量のパーセンテージは、用いる粒状充填剤の密度に従って大きな変動を有してもよい。たとえば、BaAlSiO2、BaSO4およびZrO2のような放射線不透過性充填剤は、SiO2のような慣用的充填剤よりもかなり高い密度を有する。
【0033】
充填剤系
充填剤系はポリマーマトリックスおよび繊維束、当該プレプレグ中の繊維の長さは0.5〜100mm、好ましくは3〜20mmであり、および所望により、0〜90重量%の、0.1〜100μmの粒子サイズを有する慣用的粒状充填剤、および0.1μm未満の粒子サイズを有するナノスケール粒状充填剤から選択される少なくとも1つの粒状充填剤よりなる少なくとも1つのプレプレグを含む。複合体中のプレプレグは、0.5〜100mm、好ましくは3〜20mmの長さを有するピースの形態であり、プレプレグは複合体の製造の前に切り刻まれ、または切断されたピースとなる。プレプレグおよびその製造方法は、ここに引用して援用する米国特許第6197410号明細書に開示されている。
【0034】
プレプレグは50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、特に好ましくは65〜75重量%の繊維を、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは35〜45重量%のポリマーマトリックス中に含む繊維束を含む。繊維束は少なくとも2つの、好ましくは3〜10000繊維を含み、特に好ましくは、繊維の量は束当たり1000〜2000繊維である。
【0035】
繊維が0.05〜100μm、好ましくは1〜25μm、特に好ましくは5〜15μmの直径を有する。
【0036】
プレプレグ中の適当な繊維は無機または有機いずれかの繊維である。適当な繊維の例は生体活性ガラス、ガラス繊維、石英繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属および他のセラミック繊維、炭素/グラファイト繊維、およびUHMWPE繊維、アラミド繊維、自己−補強ポリマー繊維、ポリフェノールに基づく繊維、分解性かつ生分解性繊維のようなポリマー繊維、およびゾル−ゲル由来シリカ繊維およびその混合物の言及された繊維であり得る。好ましくは、E−ガラス繊維(電気グレード)のようなシラン化ガラス繊維が用いられる。ガラス繊維はメトキシプロピルトリメトキシシランのようなシラン化のための慣用的な化合物を用いて当該分野で公知のいずれかの方法によって表面処理してもよい。適当には、繊維は、適当なガラス繊維と分解性生体活性繊維との組合せのような、組合せとして用いることができる。
【0037】
プレプレグのポリマーマトリックスは、たとえば、熱可塑性プラスチックの高分子量の有機分子よりなる、第一のマトリックス成分、第二のマトリックス成分および第三のマトリックス成分よりなる。第三のマトリックス成分は、好ましくは、繊維の間に分布する。第一のマトリックス成分および第三のマトリックス成分はゲルを形成する。プレプレグは、好ましくは、所望の時点において重合を開始するのに必要な成分を含有する。全ての必要な成分は、硬化プロセスが自動−重合に基づく場合を除いてプレプレグに含めることができる。この場合、開始剤およびアクチベーター系は別々の複合体に挿入すべきであり、これは丁度使用前に一緒に混合される。
【0038】
プレプレグは生体活性または不活性充填材料、着色顔料または治療材料のような添加剤を含有してもよい。繊維を被覆する膜は、丁度、プレプレグの表面層でのモノマーの重合によって作製することができるが、プレフォームをポリマーの別の溶液に浸漬することによって膜を作るのが好ましい。
【0039】
プレプレグの調製のための適当なプロセスは以下の工程:a)テトラヒドロフラン(THF)、アセトンなどのような迅速に蒸発する有機溶媒中の、190,000〜900,000の分子量を持つPMMA(ポリメチルメタクリレート)分子、またはイプシロン−カプロラクトン/PLA、イプシロン−カプロラクトン、D−ポリラクチド−およびL−ポリラクチド−、PLA−またはPGA−分子、または5,000〜400,000の範囲の分子量を有する他の熱可塑性生体適合性ポリマー分子のような高分子量有機分子を含有する液体で繊維を含浸させ;該液体が、所望により、Si、Ca、P、Ba、Mg、K、Ti、Fのような元素、該元素の酸化物または他の化合物を含有する種々の不活性または生体活性充填剤、着色顔料、不活性セラミックス、ヒドロキシアパタイト(HA)または他のCa−ホスフェート、Al23、ZrO2、キセロゲル、生体活性ガラスまたは機能的に生体活性な、もしくは治療的に活性な分子、抗原、抗生物質、消毒剤、放射線不透過性材料、マレイン酸、ポリアクリル酸などのような有機酸のような添加剤を含有してもよく;
b)溶媒を蒸発させ、その結果、高度に多孔性のポリマー塊が繊維間に生じ、
c)工程b)で得られたプレフォームを、BISGMA−TEGDMA系のようなモノマー系において、または多官能性架橋剤(デンドリマー、多官能性マクロマーなどのような超分岐分子)において湿潤化し、該系は、所望により、モノマーまたはデンドリマーの続く重合に必要な化学化合物を含有し、ここに、該モノマーまたはデンドリマーは、繊維の間の高度に多孔性の熱可塑性塊を溶解させ、
d)工程c)で得られたプレフォームを、溶媒および高分子量有機分子の混合物を通して引き抜き成形して、プレプレグの繊維の被覆のためによく結合したIPNポリマー膜を生じさせ、
e)所望により、膜を、ポリマーの小さな粒子、Si、Ca、P、Ba、Mg、K、Ti、Fのような元素、該元素の酸化物または他の化合物を含有する不活性なまたは生体活性充填剤、着色顔料、不活性なセラミックスヒドロキシアパタイト(HA)または他のCa−ホスフェート、AltO3、ZrO2、キセロゲル、生体活性ガラス、または機能的に生体活性の、または治療的に活性な分子、抗原、抗体、消毒剤、放射線不透過性材料で被覆し、および
f)所望により、該プレプレグを、金属ホイル底および、所望により、ポリマーシート被覆の2つの層を含有するパッケージにパッキングし;プレプレグに最も近いのは明瞭な半透明シートであり、最も外側のシートは光−重合プレプレグの場合において可視光線による光−重合の開始を回避することができる半透明シートである;を含む。
【0040】
適当には、一方向性繊維の形態であるプレプレグは、一緒に充分に強く繊維に結合するポリマー−モノマーゲル、およびプレプレグの繊維を被覆し、保護する薄いポリマーの高分子量熱可塑性膜を含有する。わずかに粘性の熱可塑性膜はプレプレグが重合前にストランド間接着を有するのを可能とする。
【0041】
プレプレグの第一のマトリックス成分で用いるモノマーは、いずれかの種類のモノマー、またはモノマーの組合せであり得る。適当なモノマーは非−分解性ビスフェノールA−グリシジルジメタクリレート(BISGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ヒドロキシエチルジメタクリレート(HEMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテル(BISEMA)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートHDDMA、EGDMA、モノメタクリレート、ジメタクリレートまたはオリゴマーアクリレートよりなる群から選択される。所望により、モノマー系は開環、たとえば、エポシキ−ベースの化学に基づくことができる。分解性および生分解性樹脂系も用いることができる。
【0042】
好ましいモノマーの中には、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシ)フェニル]プロパン(BISGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、メチルメタクリレート(MMA)、1,3−または1,4−ブタンジオールのジメタクリレート(BDDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)およびヒドロキシエチルジメタクリレート(HEMA)を挙げることができる。
【0043】
プレプレグの第二のマトリックス成分で用いるポリマーは、好ましくは、PMMAのような、その溶解形態の熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーが好ましい。なぜならば、それらはプレプレグの周りに適用された樹脂に溶解できるからである。適当なポリマーはアクリレートまたはメタクリレートのホモ−またはコ−ポリマー、好ましくはポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルおよびエチルメタアクリレートのコ−ポリマー、ポリ(2−カルボキシエチル)メタクリレートである。また、ポリフェノール、ポリカプロラクタム、D−ポリラクチド、L−ポリラクチド、PLA−およびPGA−分子、ポリオルトエステル、生体活性および生体適合性ポリマーは熱可塑性ポリマーとして用いられるのが適当である。
【0044】
プレプレグの第三のマトリックス成分で用いるポリマーは溶解された形態のいずれの熱可塑性ポリマーでもあり得る。適当なポリマーはアクリレートおよびメタクリレートのホモ−またはコ−ポリマー、好ましくは歯科および整形外科の外科的処置で最もしばしば用いられるポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、メチルおよびエチルメタクリレートのコ−ポリマー、ポリ(2−エトキシエチル)メタクリレート、超分岐ポリマー、またはエポキシド、ポリウレタン、不飽和ポリエステルおよびポリエーテルのような、アクリレートまたはメタクリレートの官能性化多官能性および超分岐架橋剤よりなる群から選択されるデンドリマーのような高分子量ポリマーである。適当なポリマーはイプシロン−カプロラクトン(PLA)、イプシロン−カプロラクトン、D−ポリラクチド、およびL−ポリラクチド、PLA−、PGA−分子、ポリオルトエステル、ポリフェノーレン、ポリカプロラクタム、および他の生体活性または生体適合性ポリマーである。
【0045】
プレプレグの製造プロセスの間に、プレ含浸ポリマー(第三のマトリックス成分)(たとえば、PMMA)のポリマー鎖は、第一のマトリックス成分のモノマー(たとえば、BISGMA−TEGDMA)またはデンドリマーによって溶解され、それらはモノマー相(BISGMA−TEGDMA)中に高分子量の分子(PMMA)を含有する高度に粘性なゲルを形成する。該ゲルおよび薄い高分子量膜(第二のマトリックス成分)は一緒に繊維に結合し、取り扱いの間に繊維のほころびを排除する。モノマー相または高分子量分子相のいずれかまたは双方は、重合反応を開始するのに必要な化学化合物を含有することができる。第三のマトリックス成分の高分子量成分は繊維の間に分布する。
【0046】
粒状充填剤は0.1〜100μmの粒子サイズを有する慣用的な粒状充填剤、および0.1μm以下の粒子サイズを有するナノスケール粒状充填剤から選択される。
【0047】
慣用的粒状充填剤は着色顔料、不活性なセラミックス、キセロゲル、Si、Ba、AL、Ca、P、Ba、Zr、Al、Mg、K、Na、TiおよびFの硫酸塩および酸化物のような無機塩、好ましくはヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、アモルファスシリカ、色素、ケイ酸アルミナ、ケイ酸バリウムガラス、フルオロシリカガラス、ジルコニア、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チタニア、リン酸カルシウム、生体活性または生体−可溶性ガラス、およびその組合せから選択される。
【0048】
ナノスケール粒状充填剤はシリカのような無機充填剤、有機ポリマー充填剤、および有機−無機シルセスキオキサン系充填剤から選択される。
【0049】
高度に粘性なプレプレグのポリマーマトリックスの粘度は少なくとも200Pa・s、好ましくは少なくとも500Pa・s、特に好ましくは1000Pa・sである。
【0050】
モノマー系
本発明による複合体のモノマー系は少なくとも1つの硬化性モノマー、好ましくはヒドロキシエチルメタクリレート、多官能性ジメタクリレート、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレート、多官能性エポキシド、好ましくはビスフェノールA−グリシジルジメタクリレート(BISGMA)、ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテル(BISEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TeEGDMA)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、ポリエチレングリコールのジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、1,3−および1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)、2−ヒドロキシエタノールメタクリレート(HEMA)および光硬化性生分解性樹脂から選択される光または化学硬化性モノマーを含む。
【0051】
複合体は、0.1〜3重量%の重合開始剤および/または増感剤、促進剤および安定化剤のような、重合を開始するのに必要なさらなる成分を含有する。重合開始剤はベンゾインメチルエーテル、ベンジルケタール、ショウノウキノンまたはアシルフィノキシドのような光開始剤、またはベンゾイルペルオキサイド/芳香族または脂肪属第三級アミン、第三級ブチルペルオキシベンゾエート/アスコルビン酸/金属化合物のようなレドックス開始剤、または他の適当な重合開始剤/促進剤/増感剤、またはその混合物であってよい。
【0052】
本発明による複合体は、典型的には、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、超分岐ポリマーまたはデンドリマーよりなる第一のマトリックス成分、およびPMMAのような少なくとも1つの高分子量化合物よりなる第二のマトリックス成分、および一緒に半−相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成する任意の第三のマトリックス成分を含む多相ポリマーマトリックスを含む。
【0053】
本発明による複合体は、当該分野で公知の適当な機器を用いて、5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜30重量%の、少なくとも1つの硬化性モノマーを含むモノマー系、30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは70〜85重量%の、ピースに切り刻まれ、または切断されたプレプレグを含む充填剤系、および0〜90重量%、好ましくは0〜80重量%の、慣用的粒状充填剤およびナノスケール粒状充填剤から選択される少なくとも1つの粒状充填剤、および重合開始剤および/または促進剤を配合することによって製造される。配合する前に、繊維束を含有するプレプレグを、技術水準により入手可能ないずれかのカッターまたはチョッパーで切り刻み、または切断し、適応される相の望まれる使用および厚みに依存して、0.5〜100mm、好ましくは3〜20mmの長さを持つピースとする。
【0054】
半−相互貫入ポリマーネットワークスマトリックスを持つ繊維−補強修復複合体樹脂が得られる。プレプレグのポリマーマトリックスは半−IPNポリマーマトリックスでもあるが、それはモノマー系から形成された、本発明による複合体のポリマーマトリックスよりも本質的に粘性であって、より高い粘度を有する。
【0055】
本発明による繊維−補強複合体は安定な生成物であり、それは所望の形態に適応し、硬化させることができる。繊維補強複合体、特にランダム繊維−補強複合体は、複合体が、たとえば、整形外科デバイスを製造する場合、虫歯、または金型またはプレフォームに適用する場合、繊維−補強複合体、特にランダム繊維−補強複合体はアプリケーション指向性である。
【0056】
複合体の長いランダムな三次元的に配向下繊維または繊維の束は、典型的には、圧縮またはレベリング機器、スパチュラまたは他の歯科の手動による機器のような適当な機器;ブラシ、アプリケーター、シリンジ、適用チップ、モールド;または離型紙またはフィルムのような他の圧縮または導入助剤による複合体の適用の間に二次元的にまたは一次元的にさえ配向される。もし組成物が層毎に平面に適用されるならば、得られた配向は典型的には二次元である。
【0057】
全適用配向は三次元的であってもよいが、もしコーティングされ、レベル化され、または被覆された表面または平面の輪郭が形成され、かつ適応が先にリストした適用機器と同様な輪郭形成機器で行われるならば、慣用的な3Dバルクランダム配向複合体と比較すると、依然として適用は配向される。
【0058】
もし複合体が先端を有するシリンジから適用され、分散されまたは展延され、かつ先端が適用の間に配向繊維の長手方向軸に沿って移動するならば、一次元適用配向が達成される。複合体の、「ほとんど」一次元ワイヤーまたはフィラメントの長手方向軸に沿っての適用は、一次元フィラメントが単一および平行繊維、または繊維の束を含む場合に達成され、もしこの一次元フィラメントが他の次元でわずかに展延されるならば、二次元の糸、バンドまたはリボンが達成される。
【0059】
複合体の重合および硬化は光で、化学的に、熱により、超音波照射、ガンマ−照射、電子線照射または他の電磁波照射で、またはそれらのいずれかの組合せによって行うことができる。
【0060】
本発明による複合体はいくつかの利点を有する。プレプレグの製造における繊維束のプレ−含浸は、繊維のわずかな粉砕および破壊、および繊維の最適な湿潤化でのランダム繊維補強複合体の製造を可能とする。得られた適用され硬化されたランダム繊維複合体において、繊維は均一に分布されて、望まれる繊維構造を生じる。
【0061】
このランダム繊維−補強複合体は、修復および義歯材料のような歯科適用/器具において、修復詰物、コア複合体、接着剤、ライナー材料、シーリング材料、セメント合着材料および合着材料、虫歯充填材料、歯根管柱−セメント合着材料、仮、半−永久的および永久的クラウンおよびブリッジ複合体、接着剤およびCAD/CAMブロックとして特に有用である。さらに、ランダム繊維補強複合体は他の生物医学的適用において、たとえば、整形外科骨セメントまたは骨支持体デバイスにおいて、および人工骨材料として、およびインプラントとして顎顔面、頭部および首外科的処置において用いることができる。
【0062】
本発明によりランダム繊維−補強複合体および硬化したアプリケーション指向複合体はいくつかの利点を有する。プレプレグのランダム配向繊維束は、最終の硬化製品に対して強化効果を生じる。かくして、たとえば、得られた硬化歯科材料は破砕する傾向が低く、それらは虫歯により正確に従う。繊維は歯および修復の間のわずかな漏出の結果とする重合収縮を減少させる。
【0063】
先行技術から、ミクロ−繊維を含む修復複合体は広範な疲労に悩んでおり、それらは、充分に臨界的繊維長未満である繊維長に基づいて部分的に説明することができる。臨界的繊維長は、本明細書中においては、繊維に対する最適応力移動マトリックスが起こる最小繊維長を意味する。ポリマーの効果的な補強として作用する繊維を有するためには、繊維に対するポリマーマトリックスからの応力移動は必須である。もし繊維が臨界的繊維長と同等またはそれよりも大きな長さを有するならば、これは達成される。本発明においては、複合体における繊維長は、典型的には、3および20mmの間で変化する。
【0064】
より長い繊維長は、繊維が複合体を一緒に保持するので取り扱い特性も改良し、虫歯に沿った増大したタッピング圧を供する。
【0065】
さらに、より長い繊維長は表面に沿った繊維の整列を改良する。表面に沿った繊維の整列は、複合体の0.5mm下の層厚みを有する薄い層を、虫歯において、またはいずれかの他の適用の箇所において適用することによって改良することもできる。繊維が30°を超えない角度にて、好ましくはほぼ水平に配向する場合、有意により強い構造がKrenchelの原理に従って達成される。
【0066】
先行技術から、三次元配向がランダムである短い繊維は0.18の強化因子を供し、他方、二次元配向の繊維は0.38の因子を与え、さらに、一方向一次元配向の繊維は1の因子を与える。本発明による複合体における繊維の配向は、適応し、硬化させた場合に、熱膨張率、水吸収によって引き起された膨潤、および修復材料の繊維にそった重合収縮も低下させる。
【0067】
実施例で示される機械的テストの結果は、慣用的修復複合体と比較して、ランダムE−ガラス繊維充填剤で補強された歯科複合体樹脂の負荷担持能力および屈曲強度の実質的改善を明らかにした。また、高度に粘性な繊維束を含むプレプレグから製造された複合体は、図1、実施例a)およびb)で分かるように、低粘度樹脂を予め含浸させた繊維束から製造された複合体と比較した場合に、明らかに改良された機械的特性を生じた。
【0068】
屈曲テストは、歯科修復材料の機械的特性を特徴付けるのに広く用いられてきた。本発明による複合体は3−点曲げテストにおいて211MPaの屈曲強度を有し、他方、低粘度樹脂を予め含浸させた繊維束から作製された複合体は、図1で分かるように、140Mpaに過ぎない屈曲強度を有した。
【0069】
加えて、本発明による複合体の二倍より高い負荷−担持能力が、慣用的な粒状充填剤修復複合体のそれと比較して得られた。繊維充填剤の補強硬化は、主として、繊維へのポリマーマトリックスからの応力移動に基づくが、クラックストッパーとしての個々の繊維の挙動もまた図5で分かるように効果を有する。
【0070】
FTIRは、テスト材料の底部における重合の伝播をモニターするのに用いた。本発明による複合体はわずかにより高い変換の度合いを示し、これは慣用的な複合体Z250との比較においてより低い充填剤含有量によるものであろう。しかしながら、差のいくらかもまた、純粋な熱設定のポリマーマトリックスおよび半−IPNマトリックスの間の差によっても説明できるであろう。
【0071】
繊維はプレプレグの粘性保護ポリマーマトリックスによって囲まれているので、繊維は凝集しない故に、該製造方法は、さらなる利点を提供する。繊維は混合の間に破壊に対してより抵抗性であり、それらは、強化効果の弱化に導くであろうあまりにも小さいピースには切断されない。
【0072】
繊維は予め含浸され、かつマトリックスによって保護されているので、繊維の望まれる湿潤もまた、複合体のマトリックス樹脂で確保される。
【0073】
さらに、繊維の最適な配向および異方性の結果、Krenchelの補強因子が0.2から0.38へ有意に増加し、収容可能な/緻密化可能な製品においては1近くさえ増加し、ここに、タッピングまたはタッキングは繊維を望まれる配向とする。
【0074】
本発明による複合体、特に、繊維−補強半−IPN複合体は、慣用的な粒状充填剤修復複合体と比較して、機械的特性の明らかな改良を呈し、その結果高応力−担持適応領域においてガラス繊維−補強複合体の良好な性能をもたらす。
【0075】
さらに、複合体は直接的充填複合体修復において低下した重合収縮を有し、その結果、歯の詰物およびキャビティの壁の間の漏出は少なくなる。
【0076】
本発明を、いくつかの好ましい具体例を開示する実施例で以下に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
材料
実施例で用いた樹脂材料を以下の表1にリストする。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例1
ランダム繊維−補強複合体の製造
a)本発明によるランダム繊維補強複合体(FC)は、22.5重量%の粘性樹脂(ビスGMA−PMMA)包埋E−ガラス繊維(10mmの長さを有するピースに細断された繊維プレプレグ(粘性束))を22.5重量%のジメタクリレート−PMMA樹脂マトリックスに混合することによって調製し、次いで、55重量%のSiO2のシラン化充填剤粒子(サイズが3±2μm)を徐々に加えた。重合開始剤ショウノウキノンおよびアクチベーターDMAEMAを混合物に加えた。拘束ミキサーを用いて混合を5分間行った(SpeedMixer、DAC)。慣用的技術を用い、SiO2充填剤粒子をMPSでシラン−処理した。光で開始した重合において、ジメタクリレート−PMMAの樹脂マトリックスは複合体FCのための半−IPMポリマーマトリックスを形成した。
【0080】
b)(本発明の範囲に属さない)比較として、同一重量%パーセンテージの純粋なE−ガラス繊維を前記したジメタクリレート−PMMA樹脂マトリックスに加え、55重量%のSiO2のシラン化充填剤粒子(サイズが3±2μm)を徐々に加え、同様にして混合した。半−IPNを含まない比較繊維複合体が得られた。この実施例は、慣用的製造方法と比較して、有意により強い繊維補強複合体が、本発明によるプロセスで得られることを明瞭に示す。
【0081】
実施例2
屈曲強度、屈曲モジュラス、屈曲タフネスおよび負荷担持能力
実施例1a)および1b)で製造されたランダム繊維補強複合体(FC)を機械的特性についてISO4049標準に従ってテストした。3−点屈曲テスト検体(2×2×25mm3)および圧縮負荷担持テスト検体(9.5×5.5×3mm3)を、実験繊維複合体FC、および比較試料としての慣用的粒状充填剤歯科混合複合体(Z250、3M−ESPE)から作製した。棒形状の検体を、マイラーによって被覆された開放シリコンモールド中で透明なマイラーシートおよび立方体検体の間の半分裂けたステンレス鋼モールド中で作製した。立方体検体を、材料を増やしつつシリコンモールドに入れることによって製造した。臨床的条件をシミュレートするために、サブ構造としてのFC(2.0mm)の底部層を置くことによって、1つのさらなるテスト群を作成し、次いで、FCの光開始重合の後に引き続いて、慣用的な複合体(1.0mm)を適用した。複合体の重合は、金属モールドの両側からの、および徐々にシリコンモールドの頂部からの手動光−硬化単位(Optilux−501、Kerr)を40秒間用い、複合体の重合を行った。光の波長は380および520nmの間であり、最大強度は470nmにおけるものであり、光強度は800mW/cm2であった。各群からの検体(n=6)を乾燥して貯蔵するか、または水貯蔵した(30日間37℃)。乾燥−貯蔵した(室温)検体をその調製から24時間後にテストした。3−点屈曲テストを、ISO4049に従って行った(テストスパン:20mm,クロス−ヘッドスピード:1.0mm/分、圧子:2mm直径)。全ての検体を材料テストマシーン(型式LRX、Lloyd Instrument Ltd)に負荷し、負荷−たわみ直線をPC−コンピューターソフトウェア(Nexygen 4.0、Lloyd Instrument Ltd)で記録した。静的圧縮破砕テストを行って、ユニバーサルテストマシーンを用いて各群の負荷−担持能力を決定した。破砕するまでスチールボール(φ3.0mm)を用いて検体を負荷した。
【0082】
屈曲強度(σ’f)および屈曲モジュラス(Ef)は以下の式から計算した。
【0083】
σ’f=3FmI/(2bh2
f=SI3/(4bh3
式中、Fmは負荷−たわみ曲線の最高点における適用負荷(N)であり、Iはスパンの長さ(20.0mm)であり、bはテスト検体の幅であって、hはテスト検体の厚みである。Sは剛性(N/m)S=F/dであって、dは追跡の直線部分における地点の負荷Fに対応するたわみである。タフネスは応力/歪み曲線下面積の積分として計算され、MPaの単位で報告する。
【0084】
実施例1a)、1b)で製造されたランダムFC複合体の、および市販の複合体の機械的特性を以下の表2および図1に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
負荷−担持能力と共に平均屈曲強度、屈曲モジュラスおよびタフネス、および標準偏差(SD)と共にテスト群の変換の程度を図2a〜2cにまとめる。ANOVAは、FC複合体が、乾燥状態において比較Z250複合体(111MPa、1031N(p<0.001))と比較して、(210MPa)の統計学的に有意により高い屈曲強度、および(1881N)の圧縮負荷−担持能力を有したことを明らかとした。水貯蔵は、平均20%だけ双方の材料において、および双方のテストで(p<0.001)、屈曲強度および負荷−担持能力を減少させた。
【0087】
図1において、慣用的粒子充填剤複合体(Z250)、および種々の繊維長および製造技術での繊維補強複合体の機械的特性、特に屈曲強度の比較が示される。FC 1a)は高粘性繊維束で製造されたもの、他方、FC 1b)は低粘性繊維束で製造されたものである。Alertとは、ミクロスケールサイズ(80〜200μm)の繊維を有する市販の繊維−補強歯科複合体(Pentron Inc., USA)をいう。
【0088】
図2aにおいて、FC(実施例1a))複合体および市販の慣用的修復複合体Z250の屈曲強度が示される。群:乾燥貯蔵、水貯蔵および水貯蔵脱水。垂直線は標準偏差を表す(乾燥=重合およびコンディショニング後、水=37℃における30日間の水飽和後、脱水=60℃における脱水)。
【0089】
図2b)において、FC(実施例1a))複合体および慣用的修復複合体Z250の屈曲モジュラスを示す。垂直線は標準偏差を表す。群:乾燥貯蔵、水貯蔵および水貯蔵脱水。
【0090】
図2cにおいて、FC複合体および慣用的修復複合体Z250の屈曲モジュラスを示す。垂直線は標準偏差を表す。群:乾燥貯蔵、水貯蔵および水貯蔵脱水。
【0091】
図3において、FC、市販の対照Z250、および市販の複合体とFCとの組合せの圧縮負荷単離能力を示す。Z250+FCとは、FCの底部層(2.0mm)と組合せ、かつZ250の1.0mm層で被覆した検体をいう。垂直線は標準偏差を表す。群:乾燥貯蔵および水貯蔵。
【0092】
図4において、FC、市販の対照Z250、および市販の複合体とFCとの組合せの圧縮負荷担持能力を示す。Z250+FCとは、FCの底部層(2.0mm)と組合せ、かつZ250の1.0mm層で被覆した検体をいう。垂直線は標準偏差を表す。群:乾燥貯蔵および水貯蔵。
【0093】
実施例3
モノマー変換の程度
光−開始重合の間、および後の複合体FCおよび比較Z250のモノマー変換の程度(DC%)は、減衰した全反射(ATR)サンプリングアクセサリーを備えたフーリエ変換赤外分光測定(FT−IR)によってモニターした。FTIRは、歯科複合体におけるモノマー変換の程度の分析のための有用な技術であることが判明した。用いた設定は、直接的修復の製造の間における条件をシミュレートするように設計した。テスト材料の上部表面を光源に暴露し、下部表面をATR結晶と接触させた。従って、実験設計は、ここでは、どのようにして重合がテスト材料の底部まで伝播するかについての情報を提供する。材料を、ATRセンサー(ZnSe−結晶)にて、6.5mm直径を持つ1.8mm−厚みのリングモールドに入れた。検体の上部表面をマイラーシートおよび1mm厚みのガラススライドで被覆し、ATRに対してわずかにプレスして、検体の良好な接触を確実とした。光源をガラス表面と接触させるように置いた。気体を手で握った光−硬化ユニット(Freelight、2,3M ESPE)で40秒間光−重合した。重合プロセスの間におけるスペクトルを5分まで6秒毎に記録した。DC%を1638cm-1における脂肪族C=Cピークから計算し、以下の式に従って1608cm-1における芳香族C=Cピークに対して正規化した。
【0094】
【数1】

式中:
脂肪族=硬化した検体の1638cm-1における吸収ピーク
芳香族=硬化した検体の1608cm-1における吸収ピーク
脂肪族=未硬化検体の1638cm-1における吸収ピーク
芳香族=未硬化検体の1608cm-1における吸収ピーク
【0095】
計算のための脂肪族および参照ピークの最大高さの比較を用いる標準的ベースライン技術によって、各スペクトルについての残存二重結合の分率を決定した。
【0096】
実施例1a)において製造されたFC複合体の光−重合の5分間後のモノマーの程度は58%(1.8)であって、Z250複合体では55%(1.2)であった。図4においては、複合体FC,および光硬化単位で40秒間光−重合した複合体Z250のモノマー変換の程度(DC%)を示す。
【0097】
実施例4
走査型電子顕微鏡測定
走査型電子顕微鏡測定(SEM、Jeol Ltd)を用いて、ポリマーマトリックスの構造、繊維の配向、およびFC複合体の破砕表面を評価した。検体の断面を、紛砕マシーンLaBoPol−21(Struers A/S)によって炭化ケイ素粉ペーパーを用いて湿式粉砕した。屈曲特性、負荷−担持能力、モノマー変換の程度、および水収着の平均値を、P<0.05有意性レベルにて偏差解析(ANOVA)で統計学的に解析して、群の間の差を決定した。
【0098】
表面のSEM−顕微鏡写真により、繊維および粒状充填剤の組合せの微細構造が明らかとなった。繊維はクラックストッパーとして作用し、破砕抵抗性および破砕停止の増加を供した。図5A〜5Dにおいて、伝播クラック(A)を伴うFC複合体の磨かれた表面のSEM写真が示される。破砕したガラス繊維を示す異なる倍率での破砕表面を(B)、(C)および(D)に示す。
【0099】
実施例5
重合収縮
実施例1a)で製造されたランダムFC、および市販の複合体を重合に際しての修飾についてテストした。2つの異なる方法を適用して、ランダムFCについての適用配向の効果を観察した。容量収縮をLAUDA C6 CP容量膨張計で測定した。容量膨張計は、アルキメデスの原理に従って容量の低下を決定する。
【0100】
膨張計ガラスキャピラリーには非−重合試料を充填した。正確に秤量した試料のサイズは0.3〜0.5グラムであった。試料を脱気し、キャピラリーの残りに水銀を満たした。容量データの収集を開始し、キャピラリーのガラス壁を通じて試料を手動−硬化ユニット(Optilux−501、Kerr)で60秒間硬化させて、重合反応を開始させた。容量変化の記録は重合から48時間後に終えた。該期間の丁度終わりに先立って、液体窒素に浸漬し、試料を再度雰囲気温度まで温めることによって試料中の可能なボイドを除去し、記録を停止した。実施例1a)で製造したランダムFC複合体、およびいくつかの市販の複合体についての容量重合収縮値を以下の表3にリストする。適用配向後の修飾を、歪みゲージ技術を用いて測定し、ここに、複合体は薄い1.0mmの層として歪みゲージに適用する。表3は、FCが明らかにより高い容量修飾を有し、他方、適用配向技術後のFC複合体の修飾が、市販の粒子複合体Z250に対して同一のレベルの結果となることを明らかとする。
【0101】
【表3】

【0102】
収縮歪値から、適用配向技術後のランダムFCが、慣用的な粒子充填複合体と同一の収縮を有することが観察される。
【0103】
実施例6
生体活性繊維複合体の調製
20重量%または40重量%の生体活性ガラス粒子(BAG)(Vivoxid、Turku)のいずれかをFCに加えた後、FCの屈曲強度を測定した。BAG粒子を加えることによって、高い機械的特性が得られた。生体活性FCは、(たとえば、過敏な歯を治療するための)歯科適用、および顎顔面復元または支持体プレートにおける骨セメントまたは骨支持体デバイスのような医学的適用で用いることができる。図6において、20重量%または40重量%の生体活性ガラス粒子いずれかを加えた後のFCの屈曲強度が示される。
【0104】
適用が骨セメントである場合、自動−重合開始剤/アクチベーター系は、丁度操作に先立って一緒に混合される別々の複合体に開始剤およびアクチベーターを加えることによって適切に用いる。
【0105】
実施例7
デュアル硬化繊維複合体
FCのデュアル硬化セメントは、光開始剤(ショウノウキノン)/アクチベーター(DMAEMA)系および自動−重合系の双方を一緒に用いて調製する。デュアル硬化系は、FCを用いて歯科補綴または歯根管柱をセメント合着させる場合に特に必要とされる。また、一時的クラウンおよびブリッジ複合体は、典型的には、デュアル硬化システムとして用いられる。
【0106】
実施例8
シリンジを用いるFCの適用
FCをシリンジを用いて適用する場合、FCは高度に配向し、1に近いKrenchelの因子に到達する。この形態において、FCは、たとえば、歯を一緒に固定し、またはFCを歯根管に挿入し、イン・サイチュにて重合された歯根管柱を形成する場合に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの硬化性モノマーを含むモノマー系、0.5〜100mmの繊維長を有する繊維およびポリマーマトリックスおよび、所望により、少なくとも1つの粒状充填剤を含む少なくとも1つのプレプレグを含む充填剤系、前記プレプレグは0.5〜100mmの長さを有するピースの形態であり、および重合開始剤および/または重合促進剤を含むことを特徴とする繊維−補強複合体。
【請求項2】
前記プレプレグが3〜20mmの繊維長を有する繊維を含むことを特徴とする請求項1記載の繊維−補強複合体。
【請求項3】
5〜70重量%のモノマー系、30〜95重量%の充填剤系を含み、前記充填剤系が0〜90重量%の前記粒状充填剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の繊維−補強複合体。
【請求項4】
10〜60重量%の前記モノマー系、40〜90重量%の前記充填剤系を含み、前記充填剤系が0〜80重量%の前記粒状充填剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項5】
15〜30重量%の前記モノマー系および70〜85重量%の前記充填剤系を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項6】
前記繊維が0.05〜100μm、好ましくは1〜25μmの直径を有する繊維から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項7】
前記繊維が生体活性ガラスの繊維、ガラス繊維、石英繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素/グラファイト繊維、ポリマー繊維、自己−補強ポリマー繊維、ポリフェノールに基づく繊維、分解性かつ生分解性繊維、ゾル−ゲル由来シリカ繊維およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項8】
前記粒状繊維が0.1〜100μmの粒子サイズを有する慣用的粒状充填剤、および0.1μm未満の粒子サイズを有するナノスケールの粒状充填剤から選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項9】
前記モノマー系の前記硬化性モノマーが多官能性ジメタクリレート、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレート、多官能性エポキシド、ポリエチレングリコールのジメタクリレートおよび光硬化性生分解性樹脂から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項10】
前記モノマー系の前記硬化性モノマーがビスフェノールA−グリシジルジメタクリレート、ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオメンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびアクリレート、ウレタンジメタクリレート、1,3−および1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、メチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエタノールメタクリレートから選択されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項11】
前記慣用的粒状充填剤が色顔料、不活性セラミックス、キセロゲル、無機塩、生体活性または生体−可溶性ガラスおよびその組合せから選択され、かつ前記ナノスケール粒状充填剤が、無機充填剤、有機ポリマー充填剤および有機−無機シルセスキオキサン系充填剤から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項12】
前記慣用的粒状充填剤がSi、Ba、AL、Ca、P、Ba、Zr、Al、Mg、K、Na、TiおよびFの硫酸塩および酸化物、好ましくはヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、アモルファスシリカ、石英、ケイ酸アルミナ、ケイ酸バリウムガラス、フルオロシリケートガラス、ジルコニア、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チタニアおよびリン酸カルシウムから選択されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体。
【請求項13】
少なくとも1つの硬化性モノマーを含む5〜70重量%のモノマー系、0.5〜100mmの繊維長を持つ繊維を含むプレプレグを含む30〜95重量%の充填剤系、および所望により慣用的粒状充填剤およびナノスケール粒状充填剤から選択される0〜90重量%の少なくとも1つの粒状充填剤、前記プレプレグは0.5〜100mm長さを有するピースに刻まれており、および重合開始剤および/または促進剤を配合することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維−補強複合体の製造方法。
【請求項14】
前記プレプレグが3〜20mmの繊維長を有する繊維を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
10〜60重量%の前記モノマー系、40〜90重量%の前記プレプレグを含む前記充填剤系、および0〜80重量%の少なくとも1つの粒状充填剤、および前記重合開始剤および/または促進剤が配合されることを特徴とする請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
15〜30重量%の前記モノマー系、70〜85重量%の前記充填剤系、および前記重合開始剤および/または促進剤が配合されることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記繊維が0.05〜100μm、好ましくは1〜25μmの直径を有する繊維から選択されることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記繊維が生体活性ガラスの繊維、ガラス繊維、石英繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素/グラファイト繊維、ポリマー繊維、自己−補強ポリマー繊維、ポリフェノールに基づく繊維、分解性および生体分解性繊維、ゾル−ゲル由来シリカ繊維、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記粒状充填剤が、0.1〜100μmの粒子サイズを有する慣用的粒状充填剤、および0.1μm未満の粒子サイズを有するナノスケール粒状充填剤から選択されることを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記モノマー系の前記硬化性モノマーが多機能性ジメタクリレート、多機能性アクリレート、多機能性メタクリレート、多機能性エポキシド、ポリエチレングリコールのジメタクリレート、および光硬化性生分解性樹脂から選択されることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記モノマー系の前記硬化性モノマーがビスフェノールA−グリシジルジメタクリレート、ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびアクリレート、ウレタンジメタクリレート、1,3−および1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、メチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエタノールメタクリレートから選択されることを特徴とする請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記慣用的充填剤が色顔料、不活性セラミック、キセロゲル、無機塩、生体活性または生体−可溶性ガラスおよびその組合せから選択され、かつ前記ナノスケール粒状充填剤が無機充填剤、有機ポリマー充填剤および有機−無機シルセスキオキサン系充填剤から選択されることを特徴とする請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記慣用的粒状充填剤がSi、Ba、AL、Ca、P、Ba、Zr、Al、Mg、K、Na、TiおよびFの硫酸塩および酸化剤、好ましくはヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、アモルファスシリカ、石英、ケイ酸アルミナ、ケイ酸バリウムガラス、フルオロシリケートガラス、ジルコニア、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チタニアおよびリン酸カルシウムから選択されることを特徴とする請求項13〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の、または請求項13〜23のいずれか1項に従って製造された前記複合体を光で、化学的に、熱により、超音波照射、ガンマ−照射、他の電磁波照射で、またはそれらのいずれかの組合せによって硬化させることを特徴とするアプリケーション指向複合体の製造方法。
【請求項25】
歯科および医療適用および器具における、請求項1〜12のいずれか1項に記載の、または請求項13〜23のいずれか1項に従って製造された繊維−補強複合体の使用。
【請求項26】
前記歯科適用が修復義歯材料、コア複合体、接着剤、ライナー、セメント合着および合着材料、虫歯充填材料、歯根管柱−セメント合着材料仮および半永久的クラウンおよびブリッジ複合体材料およびCAD/CAMブロックであって、前記医療適用が整形外科骨セメント、顎顔面、頭部および首外科的処置またはインプラントにおける骨支持体デバイスであることを特徴とする請求項25記載の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−541568(P2009−541568A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517306(P2009−517306)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050404
【国際公開番号】WO2008/000917
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(500425987)
【Fターム(参考)】