説明

繊維強化樹脂と軽量化コアとの複合材ならびにそれを製造する方法および装置

【課題】 繊維強化樹脂とそれに隣接する軽量化コアとを備える複合材を製造する際、複合材の重量が増加することなく、軽量化コアの表面の孔内に樹脂が流入するのを防ぐことができるとともに、高い成型精度の複合材を高レートで生産する。
【解決手段】 軽量化コアと、この軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材を製造するため、先ず、成形型内に、軽量化コアが繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と、この中子に隣接して繊維基材を配置するステップ100と、成形型内に樹脂材を注入して、繊維基材に樹脂材を含浸するステップ110と、樹脂材を硬化するステップ120と、成形型から中子と繊維基材を含む硬化樹脂を取り出すステップ130と、この繊維基材を含む硬化樹脂と軽量化コアとを一体化するステップ150を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂とそれに隣接する軽量化コアとを備える複合材、およびそれを製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機などに使用される構造部材には、強度ともに軽量であることが求められる。例えば、航空機の舵面やフェアリングなどの二次構造部材には、ハニカムサンドイッチパネルが用いられている。ハニカムサンドイッチパネルとは、パネルの表層を繊維強化樹脂とし、パネルの軽量化を図るためにパネルのコア層をハニカム材としたものである。
【0003】
特開2000−167950号公報には、ハニカムサンドイッチパネルを製造する方法として、ハンドレイアップによりプリプレグとハニカムコア間に接着剤を適用してプリプレグとハニカムコアを積層し、積層したプリプレグとハニカムコアを真空バッグで覆い、真空バッグの内部空間を真空引きし、ホットプレスあるいはオートクレーブを用いて加圧加熱する従来の方法が開示されている。
【0004】
また、特開2000−167950号公報には、上記の従来法を改良したハニカムサンドイッチパネルの製造法として、ハニカムコアの両面に熱硬化型の接着機能を有するシール材を介してドライファブリックをそれぞれ積層し、シール材およびドライファブリックをシール材の硬化温度で加熱してシール材を一次硬化させるとともにドライファブリックを乾燥させ、熱硬化性樹脂を乾燥したドライファブリックに含浸させ、これら全体を所定条件で加圧加熱してドライファブリックに含浸した樹脂を硬化させることが開示されている。なお、このような成形型内に予め配置した繊維基材に、樹脂を注入して含浸させ、繊維強化樹脂を成形する方法を、樹脂トランスファモールディング(RTM)成形法という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−167950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
構造部材を軽量化するための軽量化コアとして、上述のハニカム材の他に、発泡樹脂体などが用いられているが、このような軽量化コアの表面及び内部には、軽量化を図るための多数の孔が形成されている。RTM成形法では、軽量化コアの表面に隣接して繊維強化樹脂を備える複合材を成形する場合、この表面の孔に注入した樹脂が流入するのを防ぐ必要がある。軽量化コアの孔内に樹脂が流入すると、成形すべき複合材の重量が増加したり、繊維基材が蛇行し、外観面および場合によっては強度も低下したりするという問題があるからである。
【0007】
そこで、特開2000−167950号公報に記載のRTM成形法では、軽量化コアの両面に熱硬化型の接着機能を有するシール材を設け、このシール材を樹脂含浸温度まで加熱して一次硬化した後、樹脂を注入して繊維基材に含浸することで、軽量化コアの孔内への樹脂の流入を、一次硬化したシール材で防止している。しかしながら、この公報の方法では、軽量化コアの表面を、複合材に本来不要なシール材で封をしており、よって、複合材の重量がシール材の分、増加するという問題がある。また、軽量化コアとシール材との密着性が不十分であった場合、軽量化コアの一部の孔に樹脂が流入してしまうが、このような欠陥は、複合材が出来上がった後の検査でしか検出することができず、廃棄処分にする他はないという問題がある。
【0008】
一方、プリプレグを用いた複合材の製造方法では、RTM成形法のような軽量化コアの表面の孔内に樹脂が流入するという問題は生じにくいが、軽量化コアと接着と同時に硬化するプリプレグの表面に、微小な窪みが発生し、外観面および場合によっては強度も低下したりするという問題がある。また、この代替案としてプリプレグを硬化した後、軽量化コアに接着することも考えられるが、硬化した繊維強化樹脂を軽量化コアに上手くフィットさせるのには高い技術を要するという問題がある。また、繊維強化樹脂と軽量化コアの接着力が小さくなる場合があるという問題がある。
【0009】
さらに、プリプレグを用いた複合材の製造方法では、プリプレグの硬化に長い時間を要するため、高レート生産に対応することが難しいという問題がある。また、オートクレーブの稼働コスト(電気や窒素ガスなどの使用コスト)が高く他、オートクレーブ自体の価格も高く、装置の設置に場所をとるため、工場に多数のオートクレーブを導入することが難しいという問題もある。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、繊維強化樹脂とそれに隣接する軽量化コアとを備える複合材を製造する際、複合材の重量が増加することなく、軽量化コアの表面の孔内に樹脂が流入するのを防ぐことができるとともに、高い成型精度の複合材を高レートで生産することができる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような製造方法に用いる製造装置を提供することや、このような製造方法で製造される複合材を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材を製造する方法であって、成形型内に、前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と、この中子に隣接して繊維基材を配置するステップと、前記成形型内に樹脂材を注入して、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸するステップと、前記樹脂材を硬化するステップと、前記成形型で成型した前記繊維基材を含む硬化樹脂を、前記中子と分離するステップと、前記軽量化コアを、前記繊維基材を含む硬化樹脂と一体化し、前記複合材を形成するステップとを含むものである。
【0012】
前記樹脂材としては、連鎖硬化型の樹脂組成物を用いることが好ましい。また、前記硬化ステップにおいて、前記連鎖硬化型の樹脂組成物の連鎖硬化反応を起こすことで、前記樹脂材をハンドリング可能な状態にまで硬化することが好ましい。
【0013】
前記硬化ステップにおいて、前記樹脂材を熱、紫外線またはこれらの両方により硬化することが好ましい。また、前記成形型として、非断熱性の成形型を用いることが好ましい。
【0014】
なお、本発明の複合材は、前記軽量化コアと前記繊維強化樹脂とが、直接的に隣接してもよいし、接着剤を介して隣接してもよい。接着剤を介して隣接する場合、前記複合材の形成ステップにおいて、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂との間に、接着剤を配置することができる。
【0015】
前記複合材の形成ステップは、前記軽量化コアを、前記中子を配置した位置であって前記軽量化コアと実質的に同一の形状を有する部分の位置で、前記繊維基材を含む硬化樹脂と一体化してもよい。
【0016】
前記複合材の形成ステップとして、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂とを、前記成形型内に配置して、これらを一体化してもよい。または、前記複合材の形成ステップとして、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂とをバッグに封入し、このバッグを加熱して、これらを一体化してもよい。
【0017】
前記複合材の形成ステップにおいて、前記繊維基材を含む硬化樹脂のガラス転移温度以上に加熱することで、前記一体化を行うことが好ましい。
【0018】
本発明は、別の態様として、軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材を製造する装置であって、キャビティ内に、繊維基材を配置した後、樹脂材を注入し、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸し、硬化することで、前記繊維強化樹脂を形成する成形型と、前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子とを備えるものである。
【0019】
前記中子は、前記成形型内において、前記複合材における前記軽量化コアの位置に、前記軽量化コアと実質的に同一の形状を有する部分が配置されるようにしてもよい。
【0020】
本発明は、また別の態様として、軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材であって、前記繊維強化樹脂が、成形型内に、前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と、この中子に隣接して繊維基材を配置し、前記成形型内に樹脂材を注入して、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸し、前記樹脂材を硬化した後、前記中子と前記繊維基材を含む硬化樹脂とを備える成形体から前記中子を分離した前記繊維基材を含む硬化樹脂であり、この繊維基材を含む硬化樹脂に、前記軽量化コアを一体化させたものである。前記樹脂材は、連鎖硬化型の樹脂組成物が好ましい。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、複合材を成型するための成形型内に、軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子を配置して、樹脂材を注入し、繊維基材に樹脂材を含浸、硬化して繊維強化樹脂を成型した後、中子と繊維強化樹脂を分離し、次に、軽量化コアを、繊維強化樹脂と一体化して複合材を形成することで、複合材の重量が増加することなく、軽量化コアの表面の孔内に樹脂が流入するのを防ぐことができるとともに、高い成型精度の複合材を高レートで生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る繊維強化樹脂と軽量化コアとの複合材を製造する方法の一実施の形態を説明するフローチャートである。
【図2】図1に示す製造方法で使用し、本発明に係る繊維強化樹脂と軽量化コアとの複合材を製造する装置の一実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図3】図2に示す製造装置の上型と第1の中子との固定方法の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【図4】図2に示す製造装置の上型と第1の中子との固定方法の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【図5】図2に示す製造装置の上型と第1の中子との固定方法の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【図6】図1に示す製造方法のステップ130において、図2に示す製造装置の使用状態を模式的に示す断面図である。
【図7】図1に示す製造方法のステップ140において、図2に示す製造装置の使用状態を模式的に示す断面図である。
【図8】図1に示す製造方法のステップ160において、図2に示す製造装置の使用状態を模式的に示す断面図である。
【図9】図1に示す製造方法で使用し、本発明に係る繊維強化樹脂と軽量化コアとの複合材を製造する装置の他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図10】図9に示す製造装置で得た繊維強化樹脂を用いて、図1に示す製造方法のステップ160を模式的に説明する断面図である。
【図11】図1に示す製造方法で使用し、本発明に係る繊維強化樹脂と軽量化コアとの複合材を製造する装置の更に別の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図12】図9又は図11に示す製造装置で得た繊維強化樹脂を用いて、図1に示す製造方法のステップ160を模式的に説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施の形態では、先ず、成形型に中子と繊維基材を配置するステップ100を行う。図2に示すように、成形型10は、上型11と下型12と枠型13と第1の中子18aとを備える。これらの型によって、その内部に、成形すべき複合材の形状を有するキャビティ14が形成される。また、成形型10は、このキャビティ14内に樹脂材を注入する樹脂注入配管15と、キャビティ14内を真空状態にするための真空配管16とを備える。上型11、下型12、枠型13のそれぞれの間には、合わせ面を封止するための封止材17を配置する。
【0024】
第1の中子18aは、上型11と隣接し、成形すべき複合材の成形面を有している。第1の中子18aは、上型11に固定されていることが好ましく、または、上型11と一体化していることが好ましい。第1の中子18aを上型11に固定する方法としては、例えば、図3に示すように、第1の中子18aと上型11の接合面間をボルトまたはピン19で直接、結合してもよい。または、図4に示すように、枠型13の内側面の上端に窪み32を設け、この窪み32に係合する突出部11aを上型11の内側面に設け、第1の中子18aの外縁と上型の突出部11aをボルトまたはピン19で結合してもよい。さらに、第1の中子18aは、枠型13に固定してもよい。例えば、図5に示すように、枠型13の内側面上端に設けた窪み32に係合する突出部33を第1の中子18aの外縁に設けることで、第1の中子18aは枠型13に対して固定される。
【0025】
また、成形型10は、成形すべき複合材の軽量化コアが繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同じ形状を有する第2の中子18bを備える。この第2の中子18bは、キャビティ14内において、成形すべき複合材の軽量化コアに対応する位置に配置される。第2の中子18bは、特に図示しないが、枠型13の構造や、治具などによって所定の位置に固定される。
【0026】
上型11、下型12、枠型13及び第1及び第2の中子18は、一般的に型材として利用される材料を使用でき、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス鋼やインバー等の合金鋼等の金属製でもよいし、繊維強化樹脂やガラス製でもよい。また、これらは、このような非断熱性材料ではく、断熱性材料で構成することもできる。断熱性材料としては、特に限定されないが、熱伝導率が好ましくは0.3W/(m・K)以下、更に好ましくは0.2W/(m・K)、最も好ましくは0.1W/(m・K)以下の材料が好ましい。また、材料としては、容積比熱が小さいものが好ましく、例えばアルミニウム以下の材料が好ましい。また、材料としては、熱容量が小さいものが好ましく、例えばアルミニウム以下の材料が好ましい。例えば、表面が耐熱性の高分子フィルムで、内部が発泡体のものを用いることができる。
【0027】
そして、キャビティ14内に、成形すべき複合材の繊維強化樹脂の位置に、繊維基材21を配置する。繊維基材21としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの繊維強化樹脂用の繊維を広く使用することができる。繊維基材21には、必要により、治具や、ナット等の部品を付けてもよい。繊維基材21を所定の位置に固定するための構造を、繊維基材21に接する中子及び成形型に設けてもよい。例えば、図2では第1の中子18a、第2の中子18b、下型12、又は型枠13に設けてもよい。
【0028】
必要に応じて、第1及び第2の中子18と繊維基材21との間には、ピールプライ31などの離型材を配置してもよい。または、第1及び第2の中子18の表面を離型処理してもよい。または、第1及び第2の中子18を離型材料で構成してもよい。成形型10内に、第2の中子18bとともに繊維基材21を配置したら、第1の中子18aが固定された上型11、下型12および枠型13を閉じる。なお、型を閉じた後、必要に応じて、上型11及び下型12の外側に位置する熱板プレス(図示省略)等により成形型10を挟み込み、外側から圧力をかける。
【0029】
次に、図1に示すように、キャビティ内に樹脂材を注入するステップ110を行う。なお、この樹脂注入ステップの前に、必要に応じて、成形型内を減圧するステップ102を行う。このステップでは、図2に示すように、真空配管16を通じて、真空ポンプ(図示省略)等によりキャビティ14内を減圧する。特に、キャビティ14内を真空状態にまで減圧することが好ましい。また、必要に応じて、成形型10を加温しても良い。加温する場合は、含浸温度や乾燥温度等の所定の温度まで加温する。
【0030】
また、図1に示すように、必要に応じて、成形型内の繊維基材を乾燥するステップ104を行う。乾燥は、例えば、上型11及び下型12の外側に位置する熱板プレス(図示省略)により成形型10を加熱することで行うことができる。必要に応じて、成形型10を樹脂材の含浸温度まで加熱してもよい。なお、図1では、減圧ステップ102の後に乾燥ステップ104を行う場合を示したが、乾燥ステップ104の後に減圧ステップ102を行ってもよい。
【0031】
樹脂注入ステップ110では、図2に示すように、樹脂注入配管15を介して樹脂タンク(図示省略)等から樹脂材をキャビティ14内に注入する。樹脂材は、必要に応じて、注入前に、予備加熱しておいてもよい。樹脂材は、第1の中子18aや下型12と繊維基材21との間の樹脂流路や、第2の中子18bと繊維基材21との間の樹脂流路を通じて成形型10内を流れて、キャビティ14内を満たす。なお、必要により、上型11や、下型12、第1及び第2の中子18の各部に、樹脂材が流れる樹脂流路を設けてもよい。
【0032】
キャビティ14内に注入された樹脂材は、繊維基材21に含浸する。この際、必要に応じて、樹脂タンクを加圧する。樹脂タンクを加圧することで、樹脂材の含浸を促進することができる。また、樹脂材でキャビティ14内を満たした後、必要に応じて、真空配管16を閉じ、樹脂注入配管15からの圧力により、キャビティ14内の圧力を加圧してもよい(図1のステップ112)。加圧力としては3気圧以上が好ましく、5気圧以上が更に好ましく、10気圧以上が最も好ましい。また、キャビティ14内の圧力の上限は、特に限定されないが、100気圧以下が好ましい。樹脂材が繊維基材21に含浸した後、必要に応じて、熱板プレス(図示省略)等を用いて更に成形型10を締め込んでもよい。
【0033】
そして、樹脂注入ステップの後、注入した樹脂材を硬化するステップ120を行う。硬化は、用いる樹脂材に合せて、熱、紫外線(UV)、またはこれらの両方を付与することで行う。熱の付与は、例えば、上述した熱板プレス(図示省略)等や成形型10に組み込んだヒータ(図示省略)等により行うことができる。また、UVの照射は、UVランプ(図示省略)により行うことができる。
【0034】
樹脂材としては、特に限定されないが、連鎖硬化型の樹脂組成物を用いることが好ましい。「連鎖硬化型の樹脂組成物」とは、熱やUV等のエネルギー線の照射により硬化を開始し、硬化の際、硬化反応熱が発生して、この硬化反応熱により硬化反応が連鎖的に進行して硬化反応熱が連続的に発生し、組成物中のエネルギー線遮蔽性物質の有無に関わらず、エネルギー線の照射無しで硬化反応の自己発生熱により硬化反応が連鎖的に進行する特性を有する樹脂である(特開平11−193322号公報、特許第3950241号公報、特許第3944217号公報)。
【0035】
このような連鎖硬化型の樹脂組成物として、例えば、光重合性オリゴマーや光重合性モノマーなどの光重合性樹脂成分に、光重合開始剤と、光と熱の双方で重合を開始させる光・熱重合開始剤を成分とする2元系以上からなる重合開始剤成分を配合した樹脂組成物を用いることができる。光重合性樹脂成分としては、カチオン系樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましく、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン樹脂がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、鉄−アレン化合物およびスルホン酸エステルが好ましい。光・熱重合開始剤としては、アリール系スルホニウム塩が好ましい。光重合性樹脂成分100重量部に対し、重合開始剤成分0.5〜6.0重量部を含むことが好ましい。光・熱重合開始剤/光重合開始剤の重量比は1〜4であることが好ましい。
【0036】
また、連鎖硬化型の樹脂組成物として、例えば、光重合性樹脂成分に、光重合開始剤成分と、光重合性樹脂成分を常温硬化または加熱硬化させるのに用いる硬化剤成分とを配合した樹脂組成物も用いることができる(特開2001−89639号公報、特許第4108094号公報、特許第4241721号公報)。この樹脂組成物では、光重合性樹脂成分として、分子構造に環状エーテル構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。光重合開始剤成分としては、鉄−アレン系化合物やスルホニウム塩が好ましい。硬化剤成分としては酸無水物が好ましい。光重合性樹脂成分1molに対し、硬化剤成分を0.1〜1.4molの比率で配合することが好ましい。また、樹脂組成物中の光重合開始剤成分以外の他成分の総重量100重量部に対し、光重合開始剤成分を0.1〜6.0重量部の比率で配合することが好ましい。
【0037】
さらに、連鎖硬化型の樹脂組成物として、例えば、分子内に2個のシクロヘキセンオキシドを有する脂環式エポキシ化合物と、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを含有し、脂環式エポキシ化合物の含有量が、上記2成分の合計を100質量%とした際の25〜90質量%である樹脂組成物や、分子内に2個のシクロヘキセンオキシドを有する脂環式エポキシ化合物と、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂とを含有し、脂環式エポキシ化合物の含有量が、上記3成分の合計を100質量%とした際の25〜90質量%である樹脂組成物を用いることができる(特開2011−079989号公報)。
【0038】
このような連鎖硬化型の樹脂組成物を用いることで、熱やUV等のエネルギーを与えることにより、連鎖硬化反応を起こし、成形型10内の樹脂材を硬化することができる。中子18が樹脂材全体に均等に硬化のためのエネルギーを与えるのが困難な形状であっても、連鎖硬化反応は、自己発生熱により硬化反応が連鎖的に進行するため、短時間で樹脂材全体の硬化を完了することができる。硬化時間は、成形対象の大きさや板厚、樹脂の種類等によって変わるものの、例えば、縦横の長さが1mで厚さが2mm程度の一般的なCFRPの場合であれば、連鎖硬化開始から硬化完了まで1〜10分程度である。硬化は、樹脂材をハンドリング可能な状態にまで硬化すればよい。例えば、繊維基材を含む硬化した樹脂材が常温でその形状を維持する状態であれば、ハンドリング可能である。連鎖硬化反応が完了すると、連鎖硬化型の樹脂組成物は、このようなハンドリング可能な状態にまで硬化する。
【0039】
硬化ステップ120に熱を用いる場合の温度は、その樹脂材の組成や用いる触媒によって異なるが、例えば、80℃〜250℃が好ましく、中でも110℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。また、成形型10(中子18を含む)に非断熱性材料を用いることで、硬化における樹脂材の温度制御を容易に行うことができる。
【0040】
樹脂材としては、連鎖硬化型の樹脂組成物の他、硬化型樹脂や熱可塑性樹脂を用いることもできる。硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等を用いることができる。硬化ステップ120における硬化型樹脂の加熱する場合は、その組成によって異なるが、100〜350℃の範囲とすることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、PPS、PEEK、PEKK、PEK、PI、PEI、PA等を用いることができる。
【0041】
硬化ステップ120における硬化は、半硬化も含むものである。本明細書において、「半硬化」とは、樹脂材が固体化しているが、架橋反応が全ては完了していない状態の硬化であって、ハンドリング可能な状態にまで硬化している状態である。もちろん、この硬化ステップ120で、樹脂材を完全硬化してもよい。
【0042】
硬化ステップ120の後、図1に示すように、成形型から中子と繊維強化樹脂を取り出すステップ130を行う。図6に示すように、上型11及び第1の中子18aを外して成形型10を開き、成形型10により成形された繊維基材を含む硬化樹脂、すなわち、繊維強化樹脂22と第2の中子18bを取り出す。そして、この繊維強化樹脂22と第2の中子18bとを分離する。繊維強化樹脂22と第2の中子18bの間にピールプライ31を配置した場合、ピールプライ31も分離する。
【0043】
なお、この取り出しステップ130の前に、必要に応じて、成形型10を冷却するステップ122を行う。冷却は、例えば、水冷等の冷却設備(図示省略)を用いることができる。成形型10を冷却することで、成形型10の取り扱いや、その中から第2の中子18b及び繊維強化樹脂22の取り出しが、安全かつ容易に行える。
【0044】
繊維強化樹脂を分離したら、成形型にハニカム材と繊維強化樹脂を配置するステップ140を行う。図7に示すように、成形型10内の第2の中子を配置した位置に、ハニカム材23を配置し、繊維基材を配置した位置に、繊維強化樹脂22を配置する。よって、取り出しステップ130では、場合によっては、下型12から繊維強化樹脂22を取り出さずに、その上にハニカム材23を配置することもできる。なお、ハニカム材23に限定されず、成形すべき複合体の重量を軽量化できる軽量化コアであれば、例えば、ロハセル(登録商標)などの発泡樹脂体を用いることもできる。なお、必要に応じて、ハニカム材23と繊維強化樹脂22との間に、フィルム状の接着剤24を配置してもよい。接着剤24としては、エポキシ樹脂系接着剤などを用いることもできる。また、接着剤24として、樹脂材に用いたものと同じ樹脂組成物を用いることができ、例えば、上述した連鎖硬化型の樹脂組成物を用いてもよい。
【0045】
成形型10内に、ハニカム材23と繊維強化樹脂22を配置したら、第1の中子18aを備えた上型11、下型12および枠型13を閉じる。型を閉じた後、必要に応じて、上型11及び下型12の外側に位置する熱板プレス(図示省略)等により成形型10を挟み込み、外側から圧力をかける。
【0046】
なお、図1に示すように、ハニカム材と繊維強化樹脂を配置したら、必要に応じて、成形型内を真空引きするステップ142を行う。真空引きは、減圧ステップ102で説明したように、真空配管16を用いて成形型10内を真空状態にまで減圧することで行うことができる。
【0047】
次に、ハニカム材と繊維強化樹脂とを一体化するステップ150を行う。図7に示すように、繊維強化樹脂22は、硬化ステップ120で既に硬化してあるので、ハニカム材23と直接的に接触して一体化しても、ハニカム材23の表面の孔内に樹脂が流入するのを防ぐことができる。
【0048】
一体化は、例えば、成形型10の上型11及び下型12の外側に位置する熱板プレス(図示省略)や成形型10に組み込んだヒータ(図示省略)によって、成形型10を加熱することで行うことができる。繊維強化樹脂22が半硬化状態の場合、繊維強化樹脂22が完全に硬化するまで加熱することで、ハニカム材23と繊維強化樹脂22を接着して、一体化することができる。例えば、接着剤24を用いる場合は、熱硬化型の接着剤であれば、接着剤の硬化温度以上に加熱することで、ハニカム材23と繊維強化樹脂22を接着して一体化することができる。また、この加熱は、半硬化状態の繊維強化樹脂22のポストキュアと接着剤の硬化を同時に行うこともでき、これにより接着品質の向上と製造時間の短縮を図ることができる。なお、接着剤24が熱硬化型でなければ、特に加熱することなく、ハニカム材23と繊維強化樹脂22を接着して一体化することができる。
【0049】
また、一体化ステップ150で成形型10を加熱することで、複合材20の一体化精度を更に高めることができる。特に半硬化状態の繊維強化樹脂22の場合には、複合材20の一体化精度を高めることができる。一体化ステップ150での加熱温度は、繊維強化樹脂22のガラス転移温度以上とすることが好ましい。ガラス転移温度以上にすることで、繊維強化樹脂22の樹脂成分が軟化することから、繊維強化樹脂22の表面がハニカム材23の形状に合わせて変形し、複合材の成型精度を向上することができる。この観点から、半硬化状態の繊維強化樹脂22としては、ガラス転移温度が好ましくは80〜200℃、より好ましくは80〜150℃の樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0050】
そして、図1に示すように、成形型から複合材を取り出すステップ160を行う。図8に示すように、上型11及び第1の中子18aを開き、ハニカム材23のコア層と、それを両側から挟む2層の繊維強化樹脂22とを備える3層構造の複合材20を、成形型10から取り出す。このように複合材20は、繊維強化樹脂22とハニカム材23の他、必要に応じて接着剤24を備えるだけであるので、複合材の重量は増加しない。また、繊維強化樹脂22は、ステップ100〜130において複合材を成型する成形型10を用いて成型されているので、寸法が安定しており、ハニカム材23にフィットさせやすく、高い成型精度の複合材20を得ることができる。さらに、このようなRTM成形法を採用することで、プリプレグを用いる成形法に比べて、高レートで生産することができる。
【0051】
なお、図1〜図8に示す本実施の形態では、ハニカム材23に対して、それを両側から2枚の繊維強化樹脂22で挟んだ3層構造の複合材20を製造する場合を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、本発明によれば、ハニカム材の片方の面に1枚の繊維強化樹脂が隣接する2層構造の複合材を製造することもできる。また、ハニカム材の全周を、繊維強化樹脂で覆った複数層構造の複合材を製造することもできる。
【0052】
また、本実施の形態では、その全体形状がハニカム材23と実質的に同一の形状を有する第2の中子18bを用いて複合材20を製造する場合を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ハニカム材と実質的に同一の形状を有する部分を含む中子を用いて複合材を製造することができる。この場合、中子を配置した位置のうち、ハニカム材と同一の形状を有する部分の位置には、ハニカム材を配置するとともに、残りの中子の部分には、中空の部材や中実の部材を配置する。これにより、ハニカム材と、中空または中実の部材と、これらに隣接した繊維強化樹脂とを備えた複合材を得ることができる。
【0053】
また、例えば、ハニカム材が繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を含む中子を用いて複合材を製造することもできる。この場合、図9及び図10に示すように、成形型10bにより形成される複合材は、厚みのあるハニカム材23aを備えるものであるが、この複合材の繊維強化樹脂22a、22bを成型する成形型10aでは、第2の中子18dの表面を、ハニカム材が繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を維持したまま、第2の中子18dの厚さを、ハニカム材23aよりも薄くする。なお、図9に示すように、第2の中子18dの厚さをより薄くするために、成形型10aにおいて成型される2枚の繊維強化樹脂間の角度を、複合材における2層の繊維強化樹脂間の角度と変えることもできる。
【0054】
このようにハニカム材23aよりも第2の中子18dの大きさを小さくすることで、成形型10aにおいて繊維強化樹脂を成型する際に必要なエネルギーを低減することができるとともに、硬化ステップ120等における成形型10a内の温度コントロールが容易になり、更に第2の中子18bの取り回しが容易になる。なお、このように、ハニカム材23aと第2の中子18dの大きさを変えた場合、繊維強化樹脂を成型する一連のステップ100〜130で用いる成形型10aと、一体化ステップ150で用いる成形型10bとは、枠型13a、13bの高さ及び第1の中子18c、18gの形状の点で、異なる物となる。なお、この場合、上型11及び下型12の幅も異なるものとなるが、成形型10a、10bにおいて、枠型13a、13bに隣接して第4の中子を配置するとともに、この第4の中子の大きさを調節することで、上型11及び下型12の幅を同一にすることもできる。
【0055】
なお、図1〜図8の実施の形態では、上型11のみに複合材の成形面を有する中子、すなわち第1の中子18aを配置したが、もちろん、図9及び図10に示すように、下型12にも複合材の成形面を有する中子、すなわち、第3の中子18eを配置してもよい。また、成形型10aで成型する2枚の繊維強化樹脂間の角度を複合材とは変えた場合、図9に示すように、成形型10aにおいて一方の繊維強化樹脂の長さが短くなることから、短い方の繊維強化樹脂を所定の形状に成型するために、枠型13に隣接して第4の中子18fを配置してもよい。
【0056】
さらに、図1〜図8及び図9〜図10の各実施の形態では、2層の繊維強化樹脂に挟まれたハニカム材のコア層を備える複合材を製造する際、この2層の繊維強化樹脂を成型する成形型10、10aにおいて、これらの間に位置する第2の中子18b、18dのみが、ハニカム材が繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9の改変として図11に示すように、成形型10cでは、一方の繊維強化樹脂の成型形状を天地逆にして、上型11に隣接する第1の中子18hが、ハニカム材23aが繊維強化樹脂22aと隣接する部分と実質的に同一の形状を有するようにしてもよい。この場合、成型される2枚の繊維強化樹脂に挟まれる第2の中子18iは、ハニカム材23aが他方の繊維強化樹脂22bと隣接する部分と実質的に同一の形状を有するとともに、複合材の成型面も有する。
【0057】
さらに、上述した実施の形態では、ステップ140〜160において、成形型を用いてハニカム材と繊維強化樹脂を一体化して複合材を製造したが、本発明はこれに限定されず、図10の改変として図12に示すように、ハニカム材23aと繊維強化樹脂22a、22bとを所定の位置に配置して、シート状やフィルム状などの材料からなるバッグ40に封入し、オーブン又はオートクレーブ等(図示省略)によってこのバッグを加熱しても、ハニカム材23aと繊維強化樹脂22a、22bとを一体化した複合材を製造することができる。バッグ40に封入する繊維強化樹脂22a、22bは、ハニカム材23aがこれら繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子を用いて成形型によって成型されていることから、ハニカム材23aとの一体化を行う際に成形型を用いなくても、所定の形状を有する複合材を得ることができる。なお、バッグ40は、図12に示すように、下型41とシール材42を介して密閉してもよい。また、必要により、成形型で用いた複合材の成形面を有する中子、ここでは第3の中子18eを下型41に配置してもよいし、中子18eと下型41が一体化したものでもよい。このようなバッグで一体化を行う場合でも、成形型で一体化を行う場合と同様に、ハニカム材と中空または中実の部材とを備えた複合材を得ることもできる。さらに、中子全体がハニカム材全体と形状が同一である場合に限られず、ハニカム材が繊維強化樹脂と隣接する部分と同一の形状を有する部分を中子が有しておればよい。
【0058】
また、成形型10の中子18の構成として、例えば、中子にヒータ等(図示省略)を設けることで、加熱機能を付与することができる。これにより、乾燥ステップ104での成形型の加熱や硬化ステップ120での樹脂材の加熱を促進することができる。また、例えば、中子に水冷やペルチェ素子等を設けることで、冷却機能を付与することができる。これにより、冷却ステップ122での成形型の冷却を促進することができる。
【0059】
成形型10の中子18は、配置ステップ110から硬化ステップ120の間において、加熱等により膨張して又は収縮して、軽量化コアと実質的に同じ形状を有するものでもよい。例えば、中子をアルミニウム等の高線膨張率な金属やゴム、シリコンバッグ等を用いて形成することで、このような膨張機能や収縮機能を付与することができる。また、中子の一部が溶解して、軽量化コアと実質的に同じ形状を有するものでもよい。このような溶解が起こる部分の材料としては、例えば、水溶性樹脂やフィルムでパッキングされたワックス等を用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 成形型
11 上型
12 下型
13 枠型
14 キャビティ
15 樹脂注入配管
16 真空配管
17 封止材
18 中子
20 複合材
21 繊維基材
22 繊維強化樹脂
23 ハニカム材
24 接着剤
31 ピールプライ
32 窪み
33 突出部
40 バッグ
41 成形型
42 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材を製造する方法であって、
成形型内に、前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と、この中子に隣接して繊維基材を配置するステップと、
前記成形型内に樹脂材を注入して、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸するステップと、
前記樹脂材を硬化するステップと、
前記成形型で成型した前記繊維基材を含む硬化樹脂を、前記中子と分離するステップと、
前記軽量化コアを、前記繊維基材を含む硬化樹脂と一体化し、前記複合材を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記樹脂材として、連鎖硬化型の樹脂組成物を用いる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化ステップにおいて、前記連鎖硬化型の樹脂組成物の連鎖硬化反応を起こすことで、前記樹脂材をハンドリング可能な状態にまで硬化する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記硬化ステップにおいて、前記樹脂材を熱、紫外線またはこれらの両方により硬化する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記成形型が非断熱性の成形型である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複合材の形成ステップにおいて、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂との間に接着剤を配置することを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複合材の形成ステップが、前記軽量化コアを、前記中子を配置した位置であって前記軽量化コアと実質的に同一の形状を有する部分の位置で、前記繊維基材を含む硬化樹脂と一体化することを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複合材の形成ステップが、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂とを、前記成形型内に配置して、これらを一体化することを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複合材の形成ステップが、前記軽量化コアと前記繊維基材を含む硬化樹脂とをバッグに封入し、このバッグを加熱して、これらを一体化することを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複合材の形成ステップにおいて、前記繊維基材を含む硬化樹脂のガラス転移温度以上に加熱することで、前記一体化を行う請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材を製造する装置であって、
キャビティ内に、繊維基材を配置した後、樹脂材を注入し、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸し、硬化することで、前記繊維強化樹脂を形成する成形型と、
前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と
を備える装置。
【請求項12】
前記中子が、前記成形型内において、前記複合材における前記軽量化コアの位置に、前記軽量化コアと実質的に同一の形状を有する部分が配置される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
軽量化コアと、前記軽量化コアの表面の少なくとも一部に隣接する繊維強化樹脂とを備える複合材であって、
前記繊維強化樹脂が、成形型内に、前記軽量化コアが前記繊維強化樹脂と隣接する部分と実質的に同一の形状を有する部分を具備する中子と、この中子に隣接して繊維基材を配置し、前記成形型内に樹脂材を注入して、前記繊維基材にこの樹脂材を含浸し、前記樹脂材を硬化した後、前記中子と分離した前記繊維基材を含む硬化樹脂であり、
この繊維基材を含む硬化樹脂に、前記軽量化コアを一体化させた複合材。
【請求項14】
前記樹脂材が連鎖硬化型の樹脂組成物である請求項13に記載の複合材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−22834(P2013−22834A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159882(P2011−159882)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】