繊維強化複合体、及び繊維強化複合体を含む建築用構造物
本発明は、繊維強化複合体と、この繊維強化複合体を含むドア外板のような建築物用の構成材とを提供する。また、建築用構造物に使用しうる繊維強化複合体を製造するための方法及びシステムをも提供する。一実施形態において、本発明は、長繊維噴射(LFI)技術を用いて製造された長繊維のガラス繊維及びポリウレタンを含む繊維強化複合体を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化複合体、それらの製造、及び建築用構造物等におけるそれらの使用に関するものである。
【0002】
(関連出願の表示)
本出願は、米国連邦法規集第35編119(e)条により、「繊維強化熱硬化性ポリマー複合体並びにそれを製造する方法及びシステム」と題する2004年4月21日出願の米国仮特許出願第60/564,073号、「繊維強化ポリマー複合体並びにそれを製造する方法及びシステム」と題する2004年10月14日出願の米国仮特許出願第60/618,651号、及び「繊維強化ポリマー複合体」と題する2005年1月12日出願の米国仮特許出願第60/643,207号からの優先権を主張している。各仮出願の開示内容は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ドア、窓、壁パネル及びその他の形式の建築用構造物は、永年にわたり木材や天然繊維素材の材料から製造されてきた。今もなお、ドア、窓、壁パネルのような伝統的な木製建築用構造物は、見た目の美しさはよいが、幾つかの欠点に悩まされている。例えば、中実の木製ドアは、温度及び湿度の両極端な状態に反応すると、相当な収縮や膨張に悩むことがある。また、出入口を通り搬送される物体は、ドアやドア枠に衝突しやすい。従って、下層にある構造物の健全性を保つように、天然木材製のドアや窓の仕上げを維持することが重要となるだろう。加えて多くの構造物の耐火についての基準が強化されており、木製ドアを、より耐火性のある材料に交換する必要がある。
【0004】
金属ドア及び金属窓のような金属製の建築用構造物は、相対的なコストと断熱性能の点から見て木製ドアに優る利点を持ち得る。それでも、金属製の建築用構造物は凹んだりさび付いたりする可能性がある。また、金属製の建築用構造物の設計には制限がある。例えば、飾りや鏡板のような三次元形状を金属ドアの外表面に付与するのは困難だろう。その上、金属ドアの表面は温度の変化に対して特に強いわけではないため、金属ドアは、暑い環境及び寒い環境では熱くなったり冷たくなったりする。以上の理由があり、また、金属ドアは木製ドアほど見た目が美しいものではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維強化複合体を提供する。一形態において、繊維強化複合体は繊維及びポリマー樹脂を含んでいる。本発明の繊維強化複合体は、上述した欠点を克服しうると共に、多くの付加的利点をもたらしうる。また、本発明は、繊維強化複合体を製造するための方法及びシステムをも提供する。
【0006】
別の形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を提供する。建築用構造物は、家屋、共同住宅、事務所用ビル、店舗及び/あるいはその他の居住用又は商用構造のような建造物において使用される構成材である。従って、ここで使用される用語「構造物」とは、複数の部品から構成される品目のうちの一部品又は相互結合された部品の組立体である。本発明の建築用構造物には、ドア、ドア外板、壁又はドア用の構造パネル(例えば、ガレージ用ドアパネル)、ドア枠部品、ドア又は窓部品(例えば、窓及びドア枠用の覆い、ドア用プラント・オン(plant-ons))、こけら板(shingle)、シャッター、サイディング、及びかかる構造物の部品が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
更なる態様として、本発明は、繊維強化複合体を製造するための方法を提供する。追加の態様として、本発明は、繊維強化複合体を製造するためのシステムを提供する。他の態様において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を製造するための方法及びシステムを提供している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、繊維強化複合体の熱安定性を改善し、可撓性及び強度を改善し、密度を低下させ、並びに製造中における揮発性有機化合物(VOCs)の放出を減少させることである。
【0009】
本発明のこれら形態の各々に関する更に詳細な記述は、以下の説明、図面、特許請求の範囲に記載されている。本発明は、以下の説明、図面、特許請求の範囲に記載されている詳細な記述への適用に限定されるのではなく、他の実施形態も可能であり、また、種々の仕方で実施もしくは実行可能であることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書のため、特に指示しない限り、明細書で使用されている材料、反応条件及びその他の量を表す数字は、どの場合も用語「およそ」で修飾されているものと理解すべきである。従って、反対の指示がない限り、以下の明細書に記載された数値パラメータは、本発明により得られると思われる所望の特性次第で変わりうる近似値である。特許請求の範囲の均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数を考慮に入れ、かつ通常の丸めの技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0011】
本発明の広義の範囲を定義する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において定義された数値はできるだけ精確に記載されている。しかしながら、どの数値も、試験測定値に認められる標準偏差から必然的に生ずる一定の誤差を本来含んでいる。更に、ここに開示された範囲は全て、そこに含まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、記載された範囲が“1〜10”である場合、それは、最小値1と最大値10との間(及び最小値、最大値を含んでいる、)のあらゆる部分範囲、即ち、最小値1以上で始まり、例えば1から6.1、最大値10以下で終わる、例えば5.5から10の部分範囲も含んでいる、と考えられるべきである。更に、「ここに組み込まれる」と引用されている記載は、引用の全てが組み込まれるものと理解されるべきである。
【0012】
更に、この明細書で使用されているような単数形の用語は、指示対象が1つであると明白にかつ疑いの余地なく限定されていない限り、複数の指示対象を含んでいることに留意されたい。
【0013】
上述したように、本発明の実施形態は、繊維強化ポリマー複合体、並びに繊維強化ポリマー複合体を製造するための方法及びシステムを含む。また、本発明の実施形態には、本発明の繊維強化複合体を含んだ建築用構造物、例えば、ドア、ドア外板、壁又はドア用の構造パネル(例えば、ガレージ用ドアパネル)、ドア枠部品、ドア及び窓部品(例えば、窓部品、窓枠及びドア枠用の覆い、ドア用プラント・オン)、こけら板、シャッター、サイディング、及び繊維強化ポリマー複合体から構成されるその他の建築用構造物が含まれる。
【0014】
本発明の建築用構造物の実施形態の例には、ドアの外側表面を形成するためドアの骨組みを覆うのに使用されるドア外板が含まれる。かかるドア外板は、数ミリメートル(mm)の厚さにすぎないが、数平方フィートかそれ以上の表面面積を有することがある。例えば、シングルガレージ用ドアパネルは、幅約24インチ(61cm)×長さ約112インチ(28.45cm)×厚さ約1/8インチ(3.2mm)となりうる。本発明の薄層構造物の他の例には、建築用部品に使用される覆い、例えば、ドア枠部品(例えば、わき柱、横梁)及び窓部品用の覆い、成形サイディング(例えば、木製に見えるよう設計された外側サイディング)、ドア及び/又は壁用パネル、並びにこけら板等がある。ここで使用されているパネルとは、ある軸に沿った厚さが他の2つの軸に沿った厚さよりも相当薄い構造を有するものである。本発明の建築用構造物は単層の繊維強化複合体から構成されうるが、枠、基材又は心材のような付加的な部品を有する構造の一部として薄層の構造物が使用されてもよい。
【0015】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、繊維及びポリマー樹脂を含む。繊維成分は通常、細断された、また、そうでなければ切断された繊維の房であり、そのため該構造物は複数の繊維片を含むこととなる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、繊維強化複合体の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術により製造される。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、繊維及びポリマー樹脂を含む繊維強化複合体建築用構造物である。
【0017】
繊維強化複合体建築用構造物のポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含み得る。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含み得る。
【0018】
本発明の建築用構造物に用いられる繊維はガラス繊維を含むことができる。繊維は、長さが約5mm〜約100mmでよい。実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、繊維強化複合体の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術により製造される。
【0019】
本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、触媒、発泡剤、又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、非繊維の充填材を含んでもよい。また、さらに、繊維強化複合体建築用構造物は、着色剤を含んでもよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0020】
本発明は、本発明の繊維強化複合体を含む様々な建築用構造物を提供する。一実施形態において、本発明の建築用構造物は、実質的に平坦もしくは平面的な構造物(planar structure)である。例えば、繊維強化複合体建築用構造物はドア外板でよい。あるいは、建築用構造物はドアパネルでよい。
【0021】
別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、実質的に平面的ではない面を備えている。例えば、一実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、覆いを有することができる。もう一つの実施形態において、建築用構造物は、ドア枠、又はドア枠の一部を有することができる。あるいは、建築用構造物は、窓枠又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり又は模擬桟付きガラス窓(SDL=simulated divided light)のバー(例えば、桟)のような窓部品を有してもよい。他の代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、サイディング、シャッター、又はこけら板を有していてもよい。
【0022】
実施形態において、本発明は、繊維及びポリマー樹脂を含む繊維強化複合体ドア外板を提供する。本発明の繊維強化複合体ドア外板は、屋内及び屋外通路ドア、ガレージドア、パティオドア及びその他の種類のドアの部品として使用されうる。
【0023】
本発明の他の繊維強化複合体建築用構造物と同様に、繊維強化複合体ドア外板のポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含んでもよい。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでいてもよい。
【0024】
本発明のドア外板に用いられる繊維はガラス繊維を含んでよい。実施形態において、繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されてはいない。従って、実施形態において、繊維強化複合体ドア外板の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、長繊維噴射(LFI)技術により製造されうる。
【0025】
本発明の繊維強化複合体ドア外板は、触媒、発泡剤、及び/又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、非繊維の充填材を含んでいてよい。また、さらに、繊維強化複合体ドア外板は、着色剤を含んでいてよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0026】
ドア外板は、ドアを製作するために伝統的に使用されているドア外板として形作られ得る。例えば、本発明のドア外板は、窓ガラス板等のような半透明パネル用の開口を備え得る。一実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドア外板は、実質的に平らな輪郭を有している。ここで使用されている実質的に平らな輪郭とは、ドア外板の表面上に、ここで論じられているモールディング又はその他の形式の装飾のような凸部又は凹部を含まないドア外板である。別の実施形態においては、ドア外板はモールディングを有していてよい。ここで使用されるモールディングとは、ドア外板の表面上の凸部又は凹部としてのドア外板表面の造形である。かかるモールディングは、ここで更に論じられるような鏡板の外観及びその他の装飾効果をもたらすようドア外板表面上に設けられる。また、実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドア外板は実質的に滑らかな表面を備えていてよい。また、さらに、本発明の繊維強化複合体ドア外板は少なくとも1つの表面に木目模様を有していてよい。
【0027】
更に別の実施形態において、本発明は、繊維強化複合体として形成された繊維及びポリマー樹脂を含んだドアを提供する。本発明の他の繊維強化複合体建築用構造物と同様に、本発明の繊維強化複合体ドアのポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含んでいてよい。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでよい。
【0028】
本発明のドアに用いられる繊維はガラス繊維を含んでいてよい。繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。一実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドアは、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドアの繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、ドアに使用される繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術を用いて製造されうる。
【0029】
本発明の繊維強化複合体ドアは、触媒、発泡剤、及び/又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体は、非繊維の充填材を含んでいてよい。また、さらに、本発明のドアの繊維強化複合体は、着色剤を含んでいてよい。更に別の実施形態において、ドアの繊維強化複合体は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0030】
本発明の繊維強化複合体ドアは、ドアの製造に使用される種々の構造要素を含む。一実施形態において、建築用構造物はドア外板を含む。また、さらに、繊維強化複合体はドアパネルを含む。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、プラント・オン構造や、ここでより詳細に記載するような飾りその他の設計形態をドアにもたらすため使用される、他のタイプの適合されたモールディングを有しうる。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、ドアの覆いを備えることができる。
【0031】
本発明のドアは、窓ガラス板等のような半透明パネル用の開口を備えていてよい。また、一実施形態において、ドアの繊維強化複合体は、実質的に滑らかな表面を有している。また、さらに、繊維強化複合体は少なくとも1つの表面に木目模様を有していてよい。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、建築用構造物を製造するための方法である。この方法は、建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップを含む。また、この方法は、複数の繊維及びポリマー樹脂を含んだ混合物を型の表面上に供給するステップを含んでいる。この方法はまた、繊維強化ポリマー複合体を製造するのに十分な条件下で樹脂を重合させるステップを含んでいる。実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は長繊維噴射(LFI)技術を用いて製造され得る。
【0033】
実施形態では、本発明の方法で用いられるポリマー樹脂は熱硬化性ポリマーを含む。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含む。
【0034】
本発明の方法で使用される繊維はガラス繊維を含み得る。実施形態において、繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。一実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されていない。従って、実施形態において、本発明の方法で使用される繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられていない。
【0035】
実施形態では、本発明の繊維強化複合体建築用構造物を製造する方法において、他の諸成分が使用されている。一実施形態において、充填材が繊維強化複合体建築用構造物を形成するために加えられてもよい。また、さらに、着色剤が繊維強化複合体を形成するために加えられてもよい。更に別の実施形態において、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つが、構造物の少なくとも一部に付与されてもよい。
【0036】
例えば、ある実施形態において、表面活性剤が、型又は複合体のどちらかに、あるいは双方に付与されてもよい。従って、この方法は、型上に噴射された混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを含みうる。例えば、混合物に付与される表面活性剤は離型剤又は防護塗膜である。また、さらに、この方法は、型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングでよい。
【0037】
型は、所望の建築用構造物を形成するのに必要とされるような形に作られる。一実施形態において、型は、実質的に平面的な複合体を形成するような形に作られる。例えば、型は、ドア外板を形成するような形に作られてもよい。あるいは、型は、ドアパネルを形成するような形に作られてもよい。
【0038】
他の実施形態において、型は、実質的に平面的でない構造物を形成するように形作られてもよい。従って、代替実施形態において、本発明の方法により製造される所望の建築用構造物は、覆い、ドア枠又はドア枠の一部、サイディング、シャッター、あるいはこけら板を有し得る。あるいは、建築用構造物は、窓枠か又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり又は模擬桟付きガラス窓(SDL)のバー(例えば、桟)のような窓部品を含んでもよい。
【0039】
一実施形態として、本発明は、ドア外板を製作するための方法を提供している。ドア外板を製作するこの方法は、第1のダイ及び第2のダイを備え、該ダイの双方がほぼ平らな表面を少なくとも1つ有するような型を用意するステップを含み得る。この方法は、さらに、第1のダイのほぼ平らな表面上に、複数の繊維とポリマー樹脂を含んだ混合物を供給するステップを含み得る。該方法は、その上、第2のダイのほぼ平らな表面を前記繊維及び樹脂に接触させるステップを含み得る。また、該方法は、ドア外板の形状の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で樹脂が重合するのを可能にすることを含み得る。
【0040】
一実施形態において、本発明の方法によりドア外板を製作するのに使用されるポリマー樹脂は熱硬化性ポリマーを含み得る。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでもよい。
【0041】
本発明の方法によりドア外板を製作するのに使用される繊維はガラス繊維を含んでもよい。実施形態において、繊維は長さ約5mm〜約100mmである。一実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されているのではない。従って、実施形態において、本発明の方法で使用される繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、ドア外板を製作する方法は、長繊維噴射(LFI)技術を使用し得る。
【0042】
実施形態では、本発明の繊維強化複合体ドア外板を製造する方法において、他の諸成分が使用されている。一実施形態において、充填材が繊維強化複合体ドア外板を形成するために加えられてもよい。また、さらに、着色剤が繊維強化複合体ドア外板を形成するために加えられてもよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。例えば、ある実施形態において、表面活性剤を型又は複合体のどちらかに、あるいは双方に付与してもよい。このように、この方法は、ダイ上に供給された混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを含みうる。例えば、混合物に付与される表面活性剤は離型剤又は防護塗膜を含んでいてもよい。また、さらに、この方法は、一方のダイの少なくとも一表面に表面活性剤を付与することを含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングを含み得る。
【0043】
ダイは、“面一”のドア外板、即ち、実質的に全表面が平らなドア外板を形成するような形に作られていてもよい。従って、一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が平らな輪郭を有するように、実質的に平らな表面を含む。また、さらに、ダイは、表面上に凸部又は凹部を含むようなドア外板を形成する形をしていてもよい。従って、一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板がモールディングを有するように少なくとも1つの溝又は凸部を含む。例えば一実施形態において、第1のダイは少なくとも1つの凹部を含んだ表面を有する雌型ダイであり、第2のダイは少なくとも1つの凸部を含んだ雄型ダイであり、凹部及び凸部は型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている。
【0044】
ダイは、表面が滑らかなドア外板を形成するような形をしていてもよい。ここで使用される、滑らかな表面、とは、目立つほどの突起や粗さのない表面、即ち、木目の外観を模した凸部及び凹部を含まない表面である。従って一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が少なくとも1つの滑らかな表面を有するように、実質的に滑らかな表面を含む。また、さらに、ダイは、少なくとも1つの表面上に木目模様を有するドア外板を形成するような形をしていてもよい。従って、実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が木目模様を有する表面を少なくとも1つ有するように、木目模様を含んでいる。
【0045】
ドア外板は、所定の厚さを有している。従って、ダイは、型が閉じられたときに所定距離だけ離れている。例えば一実施形態において、この所定距離は、0.05〜1.0インチの範囲にある。
【0046】
更に別の実施態様として、本発明は、導入装置と、建築用構造物を形成する形に作られた型とを備える建築用構造物を製造するシステムである。
【0047】
実施形態において、導入装置は、ポリマー樹脂を製造するのに必要な少なくとも2種のの別個の成分を混合するための混合器を備えていてよい。システムは更に、2つの別個の樹脂成分を混合器内に導入するための導管を含んでいてよい。加えて、システムは、建築用構造物に繊維を加える手段を含む。一実施形態において、システムは、複数の繊維を所定の長さに細断するための細断器を備えることができる。
【0048】
また、システムは、複数の繊維又はポリマー樹脂の少なくとも一方を型の表面上に供給するディスペンサを備えていてよい。一実施形態において、繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む。繊維及びポリマーは型の表面全体に供給されうる。従って、実施形態において、システムは、ディスペンサを型に対して種々の異なる位置に位置決めするためのロボットコントローラを備えうる。実施形態において、繊維及び樹脂は、長繊維噴射(LFI)技術を用いて供給されうる。また、少なくとも型の一部の温度を制御する手段がシステムの一部として含まれていてもよい。
【0049】
実施形態では、本発明のシステムで使用されるポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーでよい。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンでよい。
【0050】
本発明のシステムで使用される繊維はガラス繊維でよい。一実施形態において、繊維は長さ約5mm〜約100mmである。実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されていない。例えば、実施形態において、複合体における繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。
【0051】
実施形態では、本発明のシステムにおいて他の諸成分が使用されうる。一実施形態において、充填材が樹脂及び繊維の混合物に加えられている。また、さらに、着色剤を樹脂及び繊維の混合物に加えることができる。
【0052】
更に別の実施形態では、少なくとも型の一部、又は複合体に、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングが付与されていてよい。例えば、特定の実施形態においては、型に、又は複合体に、あるいは双方に、表面活性剤が付与されている。このようにシステムは、ダイに供給された混合物の少なくとも一部に付与される表面活性剤を含む。例えば、混合物に付与される表面活性剤は、離型剤又は防護塗膜でよい。また、さらに、システムは、型の一方の少なくとも1つの表面に付与される表面活性剤を含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングであってよい。
【0053】
システムは、種々の建築用構造物を製作するために使用されうる。ある実施形態では、建築用構造物は実質的に平面的な構造物である。例えば、繊維強化複合体のドア外板を製作するために、システムを使用しうる。システムをドア外板を製作するために使用する場合、型はドア外板をプレスする形に作られた2つのダイから構成しうる。例えば、型は第1のダイ及び第2のダイを備え、これら2つのダイの各々が少なくとも1つのほぼ平らな表面を含む。実施形態において、第1のダイは、少なくとも1つの凹部がある表面を有する雌型ダイであり、第2のダイは、少なくとも1つの凸部がある雄型ダイであり、型が閉じられたときに、凹部及び凸部が互いに位置合わせされて、少なくとも1つの表面上に凹部か凸部を備えたドア外板を形成するようになっている。あるいは、ダイは、面一のドア外板を製作するため実質的に平らであってもよい。
【0054】
また、さらに、ダイは、少なくとも1つのドア外板の表面上に滑らかな表面か木目模様のどちらかを付与する形状の表面を備えていてよい。例えば、2つのダイのうち少なくとも一方の一部は、滑らかな仕上げに研磨されていてよい。あるいは、2つのダイの少なくとも一方は、表面上に木目のようにエッチングされた模様を備えていてよい。
【0055】
本発明のシステムを用いて製作されたドア外板は所定の厚さを有する。従って、ダイは、型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている。実施形態では、例えば、所定距離は0.05インチ(1.3mm)〜1.0インチ(25.4mm)である。
【0056】
別の実施形態では、別の建築用構造物を形成するのにシステムが使用される。従って、別の実施形態において、本発明のシステムにより提供される建築用構造物は、パネル、覆い、ドア枠かドア枠の一部、サイディング、シャッター、又はこけら板であってもよい。あるいは、建築用構造物は、窓枠又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり、又は模擬桟付きガラス窓のバー(例えば、桟)のような窓部品であってもよい。
【0057】
これまで述べたように、本発明は、繊維強化複合体と、かかる繊維強化複合体からなる建築用構造物とを含んでいる。繊維強化複合体の繊維成分は、単一種の繊維又は複数種の繊維であってよい。繊維は天然繊維でも合成繊維でもよい。適当な繊維には、ガラス繊維、鉱物繊維、木材、亜麻、ジュート又はシサル麻繊維のような天然繊維、及び/又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維又はポリウレタン繊維のような合成繊維があるが、これらに限定されない。ある実施形態では、繊維はガラス繊維である。また、ある実施形態では、ガラス繊維はエレクトロニック(Electronic)ガラス(即ち、E−ガラス)である。
【0058】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体に使用される繊維は、1mm(0.04インチ)を超える長さを有していてよい。代わりの実施形態において、繊維は、約5mm〜100mm(0.2〜3.9インチ)の範囲にある長さを有していてよい。別の実施形態において、繊維の長さは、約10mm〜70mm(0.4〜2.8インチ)、又は30mm〜50mm(1.2〜2.0インチ)の範囲にわたっていてもよい。
【0059】
本発明の繊維強化複合体の樹脂成分は、熱硬化性ポリマー樹脂とすることができる。実施形態において、樹脂は、ポリウレタンとすることができる。代わりに又は加えて、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、架橋ポリエステル、又はその他の熱硬化性ポリマーを使用してもよい。
【0060】
実施形態において、樹脂はポリウレタンでよい。特定の実施形態において、ポリウレタンは、イソシアネート基をポリオール、アミン及び/又は水のようなイソシアネート反応性化合物と反応させることにより得られる。他の実施形態において、ポリウレタンは、ジアミン類及びジオール類の混合物を用いて合成することができる。更なる実施形態において、ジアミン類の混合物を用いて合成しうる。
【0061】
ポリウレタンを合成する反応物は、反応していない状態においては、低粘度の液体である。該液体が所定の割合で混合されると、発熱性の熱硬化反応が起こり、ポリウレタン材料を生成する。従って、限定はされないが、触媒、発泡剤又は他の添加剤のような他の成分の存在下又は不存在下において、ポリイソシアネートをイソシアネート反応性のポリオールやアミンと反応させることにより得られるポリイソシアネート付加重合体からポリウレタンを構成しうる。
【0062】
イソシアネートは、当技術分野で周知のように(シクロ)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートでよい。一実施形態において、本発明の複合体を作る適当なイソシアネートとして、例えば芳香族ジイソシアネートがあり、例として、ジフェニルメタン−ジイソシアナート(“MDI”)、並びに2,4−トルエン−ジイソシアネート及び2,6−トルエン−ジイソシアネートのようなトルエンジイソシアネート(“TDI”)等があるが、これに限定されない。特定の実施形態において、芳香族イソシアネートは、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートでよい。
【0063】
適当なイソシアネート反応性化合物には、β−ジケトン基のようなCH−酸性基、OH、SH、NH、NH2から選択した2以上の反応基を有する化合物がある。例示的なイソシアネート反応性化合物の説明については、例えば、米国特許公報第2002/0160204号及び第2004/0034113号を参照されたい。これらの出願の全開示内容は参照によりここに組み込まれる。
【0064】
ポリウレタンを形成するのに使用しうる化合物の例には、ポリエーテル−ポリアミン、及び/又は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール、ヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネイトのグループからあるいはこれらポリオールのうちの少なくとも2つからなる混合物から選択したポリオールがある。実施形態では、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを使用しる。ある実施形態においては、少なくとも10%の第1ヒドロキシル基を含んだポリエーテルポリオールが使用されうる。
【0065】
特定の実施形態において、ジオールがポリウレタンの合成に用いられる。ジオールには、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又はp−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンがある。特定の実施形態において、例えば、ジエチルトルエン−ジアミン、メチレンビス(p−アミノベンゼン)及び/又は3,3’−ジクロロ−4-4’−ジアミノフェニール−メタンを含んだジアミンがポリウレタンの合成に利用されうる。
【0066】
更に、特定の実施形態において、ポリウレタンは、所望の架橋結合度を有する。特定の実施形態において、例えば、イソシアネートは、異なるポリウレタン鎖のウレタン基と反応してアロファネート架橋結合を形成する。他の実施形態において、イソシアネートは異なるポリウレタン鎖の尿素基と反応してビウレット架橋結合を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、第1ポリウレタン鎖のウレタン基と反応すると共に第2ポリウレタン鎖の尿素基と反応して、アロファネート及びビウレット架橋結合の双方を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、三量体形成してイソシアヌレートを形成し、これがポリウレタンにおける架橋結合源として作用する。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の繊維強化複合体において発泡剤が使用されうる。ここで使用されている発泡剤とは、発泡製品を製造するための周知の化合物である。ある実施形態において、発泡剤は水でもよい。物理的発泡剤のその他の例としては、ポリマー形成の条件下で蒸発しうる、4〜8個の炭素原子を有する不活性(シクロ)脂肪族炭化水素、二酸化炭素、重亜硫酸ナトリウム、又は重合条件下でガス状の泡を形成するその他の化合物がある。発泡剤の使用量は目指す泡の密度により求められる。
【0068】
ポリマー樹脂を形成するのに通例使用される触媒の幾つであっても本発明の繊維強化複合体を製造するのに使用しうる。ポリウレタンに適当な触媒としては、第3アミン及び/又は有機金属化合物がある。ポリウレタン形成のために触媒として使用されうる化合物の例には以下のものが含まれる。トリエチレンジアミン、アミノアルキル−及び/又はアミノフェニル−イミダゾール、例えば4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び/又は1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例として、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ジエチルヘキソエート及びスズ(II)ジラウレートがある;並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例として、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテートがある。
【0069】
また、ここに詳細に記載するように、反応には、セル調整剤;剥離剤、防護塗膜、及び/又は他の種類の被覆剤等の表面活性化合物;顔料又は他の着色剤;難燃剤;及び/又は酸化的、熱的、湿的、又は微生物的劣化もしくは老化に抗する安定剤;のような追加の諸成分もしくは要素を含みうる。
【0070】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、充填材を含んでいてよい。充填材は大きさが揃えられていてもいなくてもよい。充填材は、改善された自由流れ特性(free-flow properties)とポリウレタンマトリックスへの付着性とを有するよう修正されている。例えば、充填材は、ガラスフレークのようなプレートレットもしくは小片状に作られた充填材であるか、及び/又は雲母のような鉱物でよい。
【0071】
実施形態において、本発明の繊維強化複合体は長繊維強化ポリウレタンを含んでいる。長繊維強化ポリウレタンは、短繊維強化ポリウレタン、シートモールディングコンパウンド(SMC)又はバルクモールディングコンパウンド(BMC)等の他の種類の繊維強化ポリマーと比較して、改善された熱安定性及び強度を提供するという利点がある。長繊維が使用される場合、本発明の複合体は、長繊維噴射(LFI)又は、長繊維技術(LFT)のプロセスや方法により製造されうる。長繊維は前述の寸法を有する繊維を含んでいてよい。
【0072】
様々な量の繊維、更に必要ならば充填材を本発明の繊維強化複合体において使用することができる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、重量において0%〜90%よりも多い繊維と、0%〜33%の充填材を含み、残りは樹脂から構成されている。代替実施形態において、繊維強化複合体は、重量において1%〜60%の繊維と、0%〜15%の充填材と、残りは樹脂から構成されていてよい。別の実施形態において、繊維強化複合体は、重量において20%〜50%の繊維と、0%〜10%の充填材とを含み、残りは樹脂から構成されていてよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、重量において30%〜45%の繊維と、0%〜6%の充填材とを含んでいてよい。
【0073】
本発明の実施形態において、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂を使用する利点の一つは、製造中に放出される揮発性有機化合物(VOC)のレベルがポリエステル等の他の樹脂と比較して減少することである。ポリウレタンの成分は溶媒中で希釈されておらずかつスチレンが含まれていないため、VOCの放出は基本的になくなる。ある実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.1ppm未満である。別の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.05ppm未満である。更に別の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.01ppm未満である。
【0074】
本発明の繊維強化複合体は、建築用構造物用にこれまで製造された他のガラス繊維複合体よりも、低い密度を有するように製造されうる。例えば、本発明の繊維強化複合体は、シートモールディングコンパウンド(SMC)のガラス繊維複合体よりも低い密度を有しうる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体の密度は、約12pcf〜110pcf(即ち、約192〜1762kg/m3)の範囲にある。構造物がドア外板、パネル又は覆いのような薄層構造である場合の実施形態では、本発明の繊維強化複合体の密度は、約20pcf〜110pcf(即ち、約320〜1762kg/m3)の範囲にある。別の実施形態において、繊維強化複合体の密度は、約30pcf〜100pcf(約481〜1602kg/m3)又は35pcf〜95pcf(約561〜1522kg/m3)である。
【0075】
本発明の繊維強化複合体は、温度の両極端(82℃を超えるか又は−40℃を下回る温度)にさらされたときの膨張及び/又は収縮を減少させるのに十分低い線熱膨張性を有しているため、複合体の性能及び外観が改善されている。例えばある実施形態では、繊維強化複合体は、出荷、保管又は使用中に達する可能性のある、約82℃を超える温度又は−40℃を下回る温度にさらされた際にも、ほぼ歪みない状態となりうる。
【0076】
ここで使用される線熱膨張とは、温度の変化(dT)に応じた対象長さの変化(dL)である。線膨張は、dL/L=a*dTと表すことができ、ここで線膨張率“a”は、一般的に約10−6/℃程度である。線膨張は、ASTM(米国材料試験協会)の試験手順D696−98又はそれに相当する手順で測定することができる。実施形態において、本発明の繊維強化複合体の線熱膨張率は、約0.1×10−6/℃〜140×10−6/℃である。実施形態において、本発明の薄層繊維強化複合体の線熱膨張率は、約0.1×10−6/℃〜50×10−6/℃である。他の実施形態において、線熱膨張率は、約0.5×10−6/℃〜25×10−6/℃、あるいは約1×10−6/℃〜15×10−6/℃である。
【0077】
本発明の繊維強化複合体の特定の使用法においては、可撓性があることが有利かもしれない。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、加圧の下で約10,000〜900,000psi(約703〜63,276kg/cm2)の範囲にある弾性率を有している。実施形態において、本発明の薄層繊維強化複合体は、SMC技術を用いて製作された繊維強化ポリマー複合体よりも可撓性がある。例えば、ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、加圧の下で約100,000〜600,000psi(約7,032〜42,194kg/cm2)の範囲内にある弾性率を有している。この弾性率は、ASTMの試験方法D-638-02又はそれに相当する方法で測定することができる。
【0078】
本発明の繊維強化複合体の厚さは意図する用途によって決められる。厚さは、実質的に均等でもよいし、複合体の全域で変化していてもよい。このように、厚さは、0.02インチに満たない厚さから約8インチを超える厚さまで(0.5mm〜20cm)及んでいてよい。例えば、約0.05〜約6インチ(13mm〜15cm)、又は約0.06〜約4インチ(1.5mm〜10cm)、又は約0.08〜約1インチ(2.0mm〜2.5cm)の範囲にわたる厚さの複合体が製作されうる。
【0079】
本発明の繊維強化複合体は、特定の実施形態において、薄層構造である。薄層は、可撓性を残しながらも、ある程度の耐衝撃性を持たせるのに十分な厚さを有する。ある実施形態において、繊維強化複合体は、実質的に均等な厚さ、0.5インチ(13mm)未満の厚さを有する。他の実施形態において、繊維強化複合体は、約0.05〜0.25インチ(1.3mm〜6.4mm)、あるいは約0.06〜約0.12インチ(1.5mm〜3.1mm)の範囲内で、実質的に均等な厚さを有している。他の実施形態において、繊維強化複合体は、約0.05〜0.5インチ(1.3mm〜13mm)の変化する厚さを有していてもよい。
【0080】
また、さらに、本発明の繊維強化複合体は、予め定めた衝撃強度を持ち得る。ある実施形態において、衝撃強度は、既定の衝撃を受けたときに、繊維強化複合体が室温(例えば、約22℃)で破損しないような強度としうる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、ASTM試験手順D1037に基づいて行われる高さ2フィート(61cm)からの落球衝撃試験を通りうるような衝撃強度を有している。
【0081】
本発明の繊維強化複合体は、非常に湿った、あるいは乾燥した条件(例えば、24時間の水浸;24時間のオーブン乾燥;93%湿度下に72時間の露出及び/又は1時間の煮沸)それぞれにさらした際、わずかに膨張、収縮を示す。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、水浸に24時間さらした後、その総容積の変化が1%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、212°F(100℃)のオーブン内で乾燥に24時間さらした後、その総容積の変化が1%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、93%の湿度状態に72時間さらした後、その総容積の変化が0.5%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、沸騰水に1時間浸けた後、その総容積の変化が5%未満である。
【0082】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、同複合体に色を付ける内部着色剤又は顔料を含んでもよい。適当な着色剤としては、二酸化チタン、硫酸カルシウム、二酸化マンガン及びカーボンブラックがあるが、これらに限定されない。着色剤は、繊維強化複合体の製造中に同繊維強化複合体内に入れることができる。他の実施形態において、着色剤は、繊維強化複合体の形成の後に同繊維強化複合体に付与してもよい。着色剤は、当業者に知られている塗装及び/又は染色技術によって付加しうる。例えば、参照によりここに組み込まれる米国特許第6,358,614号には、無孔の熱硬化物品を染色する方法が記載されている。
【0083】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、塗装可能な表面を少なくとも1つ有しうる。ここで使用される塗装可能な表面とは、可視の欠陥、凹み、又は色むらの領域が最小であるように、塗装後の光学等級が高い表面のことである。代替実施形態においてASTM試験手順のD−714に基づいて評価した場合、本発明の複合体の表面は、表面の可視欠陥が0からサイズ4未満、又はサイズ6未満、又はサイズ8未満である。
【0084】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、複合体の表面の特性を調整できる化合物(即ち、表面活性剤)を含んでいてよい。例えば、表面活性剤は、複合体の表面に、既定の気孔率、又は第2表面に対する既定の付与量、又は既定の滑らかさをもたせるよう使用される。
【0085】
ある実施形態において、表面活性剤は防護塗膜でもよい。ここで使用される防護塗膜(あるいはコーティング)とは、型表面に、又は型表面上に予め付与された型内コーティング(IMC)に付着させた材料のことである。ここで使用される防護塗膜とは、気泡、繊維テレグラフィング(fiber telegraphing)、又は最終製品の表面上に欠陥を生じさせるような他の属性を防止することにより、欠陥を減少、もしくはなくすことができる、高度に樹脂質の材料のことである。防護塗膜は着色されていても無色でもよい。顔料が使用される場合、防護塗膜をIMCの代わりに用いてもよい。あるいは、複合体の表面に防護塗膜を付着してもよい。あるいは、複合体を製造するのに用いる混合物に、防護塗膜化合物を含んでいてもよい。ある実施形態において、防護塗膜は、構成物の表面特性を高める利点がある。例えば、繊維−ポリウレタン混合物の表面にあるプロセス下で形成される可能性のある小穴、泡、繊維又は繊維片/端がほとんどない表面を生成するため、防護塗膜を利用できる。防護塗膜は、エラストマー、又は非弾性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含みうる。その例として、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びその他の熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、フェノールホルムアルデヒド及びその他の熱硬化性プラスチック等が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、成形又は硬化中に繊維−ポリウレタン混合物に機械的又は化学的に結合する防護塗膜を利用すると有利であるかもしれない。防護塗膜の例には、バイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。
【0086】
また、例えば限定はされないが、離型剤コーティングのような、他の種類のコーティングも型、又は複合体に付与しうる。離型剤コーティングの例としては、アクセル(Axel)172,35-7259(アクモス(Acmos))のようなシリコン・ベース又はワックス・ベースの離型剤、あるいはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(デュポン・ケミカル・カンパニー(Dupont Chemical Company))がある。
【0087】
ある実施形態では、防護塗膜、離型剤、又は他の表面活性剤が、型内コーティング(IMC)として型の表面に、あるいは繊維強化複合体に付与されうる。防護塗膜として通常使用される剤に加えて、IMCは、色を与えたり、表面を更に仕上げたり、又はポリマー複合体が型の表面に固着するのを防止したりしうる、どのような剤を含んでいてもよい。これらの剤には、脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂等があるが、これらに限定されない。かかる表面活性剤を付与する方法については、以下で更に詳しく説明する。
【0088】
本発明の繊維強化複合体は、技術的に周知のどのような方法で製造されてもよい。本発明の繊維強化複合体を製造するのに利用されうる方法及びシステムには、ここに記載された本発明の方法及びシステムがある。
【0089】
前述したように、ある実施態様において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を提供する。本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物は、ドアと、ドア外板、ドアわき柱、ドア敷居、ドア枠、ドアパネル等のドア構成部品と、窓と、窓サッシ、窓枠、模擬桟付きガラス窓部品、窓縁等の窓構成部品と、欄間と、シャッターと、模擬ブリックモールディング(simulated brick molding)等のモールディング及びサイディングと、壁と、屋根と、自立形パネル、モジュール形パネル、及び/又は他の構造物の諸要素部品(例えば、ガレージ用ドアパネル)等のパネルと、天井と、遮音壁と、これらの構造物の諸要素部品(例えば、覆い、表面パネル、プラント・オン)とを含んでいてよいが、これらに限定されない。これら建築用構造物の各々は、本発明の繊維強化複合体のため上記あるいは他の部分で述べた構成及び特性を有しうる。
【0090】
例えば、一実施形態では、繊維強化複合体は、ドア又はドアの部品としうる。近年、消費者にガラス繊維複合体ドアが受け入れられてきている。ガラス繊維複合体ドアは、湿気に対する耐性が強く、従って、木製ドアのように収縮したり膨張したりしない。また、ガラス繊維複合体ドアは、一部の木製ドアのようには化粧板の割れ及び剥れを示さない。その上、ガラス繊維複合体ドアは、木製ドアよりも安価に製造することができると共に、木製ドアと比較して断熱効率が改善されている。ガラス繊維複合体ドアは、両面をガラス繊維複合体のドア外板で囲まれ、ポリマーフォーム心材で満たされた木製枠を使用して製作されうる。ガラス繊維複合体ドア外板は、強化材料としてのガラス繊維及び添加剤と組み合わされた、ポリエステル樹脂のようなシートモールディングコンパウンドもしくはシート状形成材料から製作されうる。
【0091】
ドア外板のような繊維強化ポリマー複合体の従来の製造方法により製造されたガラス繊維複合体を使用することには、依然として幾つかの欠点がある。まず、現在使用されているガラス繊維強化ポリエステル樹脂は相当な量のVOCを放出することがある。また、熱安定性と強度を向上させ、かつ密度を低下させた繊維強化ポリマー複合体を製造しうることは有用であろう。さらに、外観上、木目をより写実的に模した表面をもつガラス繊維複合体の需要がある。
【0092】
従って、本発明は一実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるドア外板を提供する。本発明のドア外板、又は1対のドア外板は、当業者に周知のように、枠及び心材料と組み合わせられてドアを形成する。本発明の繊維強化複合体を用いて製造されたドア及びドア外板には、本発明の繊維強化複合体に関して記載してきた利点と同様の利点がある。
【0093】
本発明のドア外板の実施形態を図1に例示する。図1A及び図1Bに示すように、ドア外板10は、外側の第1表面22及び内側の第2表面24を有するシート20を有する。第1表面22、及び第2表面24の平らな面は互いに大体平行である。通常、第1表面22及び第2表面24の平らな面間の垂直距離D1(図1B)は、代表的には、概ね0.05インチ(1.3mm)と0.130インチ(3.3mm)の間である。一実施形態において、距離D1は、0.08インチ(2.0mm)と0.120インチ(3.0mm)の間であってもよい。ドア外板は、戸錠機構の機械的構成要素がドア外板を貫通できるように、1個又は幾つかの開口26を備えてもよい。図1Bに、ドア外板のポリマー樹脂中に分散された繊維7を示す。
【0094】
一実施形態において、シート20は、パネル51,52及び53等の複数のパネルを囲むような、モールディング31,32及び33等の複数のモールディングを有しうる(図1A)。これらのモールディングは、木製飾りの外観を持つように、ドア平面の表面から上又は下のどちらかに延びる形に作られていてよい。一実施形態では、モールディング31,32及び33は実質的に矩形の形状であって、パネル51,52及び53を囲んでいる。代案として、図2A−2Fに示すように、例えば、弓状もしくは曲線のモールディング及び/又はパネルのような他の適当なモールディング34〜49及びパネル54〜69を使用しうる。特定の実施形態において、1つ以上のパネル領域が少なくとも部分的に半透明なパネル71,72,73(例えば窓)に代えられてよい(図2B,図2C及び図2D)。一実施形態において、窓パネル72は、パネル全体から構成されていてよく、モールディング49(図2C)に囲まれている。更に別に実施形態において、窓パネル73は、モールディングに囲まれていなくてもよいが、ドア外板面には当接している(図2B及び図2D)
【0095】
ドア外板の表面は、天然木を模した木目模様を備えうる(図3A)。木目は、個々の木製パネル、厚板及び/又は飾りから製作されたドアの体裁を模した模様でよい。例えば、ドアの一部に2枚の鉛直方向のサイドパネルを模した上下方向の木目模様81,82と、3枚の水平ピースを模した左右方向の木目模様83,84及び85とを含む本発明の繊維強化複合ドア外板を、図3Aに示す。同様に、モールディング86,87,88及び89に用いられる木目は、かかるモールディングに用いられる木の小片を模した模様から構成することができ、モールディング91,92,93により囲まれたドア外板の一部分に使用される木目模様はフラットパネルを模した模様から構成しうる。
【0096】
別の実施形態において、ドア外板の表面は、木製板張り等を模倣した外観を有しうる。従って、図3Bに示すように、ドア外板は、複数の板(例えば101,102,103,104及び105)を平行に配置した模様に似せて作るよう設計された形状とすることができる。この模様を形成するために、ドア外板表面にある凹み(例えば、110,111,112,113,114,115,116及び117)は、パネルの輪郭をはっきりさせるために使用しうる。また、図3Bに、120,121及び122等の水平板並びに124及び125の垂直板の配置に似せたドア外板表面上の木目模様の使用を示す。図3Cとして示されているのは、図3Bに概略的に示されたドア外板の一部分を板張りの外観を持つよう形成するのために使われる凹みの断面図であり、繊維強化複合体の部分をなすよう散在した繊維107も示されている。
【0097】
ドア外板の高さ12及び幅14(図1A)は、希望されるドアの大きさに応じて変わるであろう。代表的には、米国、欧州及び豪州の市場については、屋外用のドアは、6フィート5インチ〜8フィート(2.01〜2.44m)の高さと2フィート4インチ〜3フィート6インチ(0.7〜1.1m)の幅を有しうる。代表的な屋内用の通路ドアは、6フィート8インチ〜8フィート(1.8〜2.4m)の高さと1フィート10インチ〜3フィート6インチ(0.5〜1.1m)の幅を有しうる。本発明のドア外板は、ドアと同様の寸法を有していてもよく、あるいは飾りを可能とするため又はドア外板がドア枠の框及び/又は横木を少なくとも部分的にむことができるようにドアよりも幾分大きくてもよい。
【0098】
他の実施形態において、本発明が提供する横窓、又は横窓の諸部材は、本発明の繊維強化複合体から構成されている。ここで使用される横窓は、ドアの近く(即ち、その側方)に配置されると共に、窓ユニットを提供する構造から構成されている。一般的に、横窓はドアの設計に類似した設計を有し、それゆえ、ドアの設計を補完する設計を提供しうる。図4A〜4Dに本発明の繊維強化複合体を含む横窓を示す。ドアと同様に、横窓130は、モールディング132,134,136,138,140,142と、パネル152,154,156,158と、半透明パネル160,162,164,166とを含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体は、横窓枠及び心材を上から覆うのに使用される、ドア外板に類似した薄層構造物131,133,135,137を含みうる。例えば、一実施形態において、本発明の繊維強化複合体はフラットパネルもしくは面なし鏡板として形作られていて、その中に板ガラスを挿入しうる。本発明の繊維強化複合体は、木製パネルと比較して高い強度を有し、それゆえ、板ガラスの重量を支持するのに特に適するであろう。代案として、繊維強化複合体は、横窓構造の大部分を構成しうる。例えば、ある実施形態において、繊維強化複合体は、窓を除いた横窓構造全体を構成しうる。
【0099】
横窓の高さ141及び幅143はさまざまで良い。典型的には、米国、欧州及び豪州の市場において、横窓は、6フィート7インチ〜8フィート(2.0〜2.4m)の高さと9インチ〜1フィート6インチ(0.2〜0.5m)の幅を有しうる。
【0100】
ドア外板の高さが77インチ(183cm)〜96インチ(244cm)でドア外板の幅が24インチ(61cm)〜42インチ(107cm)である一実施形態において、モールディング(例えば、図1における31,32及び34)は、約0.125インチ〜約1.5インチ(3.2mm〜38mm)ドア外板の表面から隆起し、 (例えば、図1Bの33A)、及び/又は約0.125インチ〜約0.562インチ(3.2mm〜14.3mm)ドアの表面から下がって延びていてよい(例えば、図1Bの33B)。モールディングは、ドア外板の面内のほとんどどこにでも配置されうる。一実施形態において、モールディングは、ドア外板の一方の縁から約2インチ〜約10インチ(50mm〜254mm)及びドア外板の他方の縁から約2インチ〜約10インチ(50mm〜254mm)のどこにでも配置されうる。
【0101】
本発明は別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるパネル及び/又はパネルの部材を提供している。該パネルとして、ドアパネル、壁パネル、横窓パネル、及び建築用構造物において使用されうるその他の形式のパネルを含む。
【0102】
例えば本発明は、一実施形態において、本発明の繊維強化複合体による横窓やドアへの窓ガラスの挿入を支えるパネルを提供する。一般的に、ドアへの窓ガラスの挿入は、自己の米国特許第6,485,800号に記載されているようなモールディング支えを使用しうる。この米国特許第6,485,800号の開示全体は、参照によりここに組み込まれる。しかしながら、本発明の薄層繊維強化複合体に強度があるため、ドアパネル又は横窓にガラスパネルを挿入するための、かかるモールディング支えは必要でないかもしれない。例えば、図5A及び図5Bに図示された薄層の繊維強化複合体170の実施形態は、支持縁部もしくは舌状部174a,b,c及びdを有する開口172が成形された平らな繊維強化複合体パネル171を含み、その中に板ガラスを配置することができる。また、いくつかの実施形態ではパネルの裏側上に見える繊維177も示されている。ある実施形態において、パネル171は厚さ175は約0.04インチ(1mm)から0.3インチ(7.6mm)の範囲にあってよい。また、実施形態において、ガラスパネルを支持するため、支持縁部(又は舌状部)は深さ(即ち、パネル表面の面の後ろ側)176が約0.05インチ(1.2mm)から約0.5インチ(12.7mm)の範囲にあってよい。
【0103】
別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるガレージドアのドアパネルを提供している。このガレージドアパネルは、平ら(即ち、“面一”)でよく、また模様があってよい。一実施形態において、パネルは、模様を形成するのに用いられるパネル又はドア外板の一部としてこの模様が含まれるように、成形されうる。また、さらに、ガレージドアは、模様を形成するためにプラント・オン(plant-on)構造から構成されていてよい。
【0104】
ここで使用される「プラント・オン」とは、隆起した表面を提供するために平面的な物体の内側又は外側表面に付着されるか又は機械的に「備え付けられた(planted-on)」構造である。一実施形態において、プラント・オン構造は装飾を有する。プラント・オン構造は種々の形状もしくは形態を有していてよい。一実施形態において、プラント・オン構造は、厚さ約1/16〜2インチ(1.5mm〜51mm)で、矩形の形状である。また、プラント・オンは、楕円形又は円形形状の構造でもよい。あるいは他の形状、大きさ及び厚さのプラント・オン構造が使用されてもよい。
【0105】
図6に、本発明の繊維強化複合体を使用して製作しうるガレージドアパネルの例を示す。ここで、図示のガレージドア202は、接合部222,224及び226で分かれた複数の複合体パネル204,206,208及び210を備えている。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、個々のガレージドアパネル(例えば、204,206,208及び210)を製作するのに使用される。図6において、これらパネルの存在範囲を説明するためパネル206について概説する。これらパネルは、1つのパネルを別のドアパネルと連結できるように形成されている。例えば、パネル204及び206の間の継ぎ目222は、突起部又は舌状部をパネルに備え、これがその隣接のパネルの溝に嵌り込む。ガレージドアパネルを製作する方法は、2004年11月24日に自己が出願した米国特許出願願第10/997,244号に記載されており、その開示全体は参照によりここに組み込まれる。
【0106】
一実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるプラント・オン構造を提供している。図6に示す実施形態において、複数のプラント・オンがガレージドアの外側ドア外板の表面上に配置されている。ドアパネル208の外側表面上へ種々のプラント・オンを配置することにより、ドアの全体的外観は4つの水平なパネルのようではなく、2つのシングルパネルの開き戸のようになる。例えば、プラント・オン228は、ドアの垂直方向の長さにわたっており、接合部222,224及び226で殆ど継ぎ目のないようにかみ合い、ドア面上の単一の垂直飾り板のように見える。また、斜めに置かれたプラント・オン232は、単一かつ一体化した設計上の特徴をもち、ドアが実際には、4つの水平パネルから製作された巻上げ戸というよりも、むしろ前後に開きうる2つのパネル張りのドアであるような印象を与える。水平プラント・オン230でさえ、異なるパネルにまでは及ばないが、他のプラント・オンと連係した設計を有し、ドアが実際には2つのパネル張りの開き戸(図6)であるかのような印象を作り出している。また、ガレージドア及び/又はプラント・オンを形成するのに使用される繊維強化複合体は、木目模様を模した模様256を備えていてよい。
【0107】
プラント・オンは、ガレージドアの表面から突き出て隆起した表面やレリーフを備えるような種々の形状と大きさであってよい。種々の代替実施形態において、プラント・オンは、厚さ262(図6)が約1/16〜2インチ(1.59mm〜50.8mm)や、約1/8〜1インチ(3.2mm〜25.4mm)や、約1/4〜3/4インチ(6.4mm〜19.1mm)の範囲である。例示的な一実施形態において、プラント・オンの厚さは約3/8インチ(9.5mm)でよい。プラント・オンの幅266及び長さ264(図6)は、ドアパネルの大きさ並びに必要な装飾の大きさに応じて変わりうる。プラント・オンの長さもまた変わりうるが、通常、パネルの斜め方向の長さよりも長くはないだろう。また、ドアの同じ面にある様々なプラント・オンは異なる大きさであってよい。
【0108】
図6を更に参照すると、ドアパネルは、薄層の繊維強化複合体に切り込まれた開口へ挿入される半透明パネル254(例えば、窓)を備えている。ガレージドアパネルの表面は、窓ガラスと面一であってよく、あるいは、窓ガラスを協調するために飾り板234を備えていてよい。一実施形態において、飾り板は、繊維強化複合体プラント・オンでよい。
【0109】
パネル自体は、標準のガレージドアに適合する大きさに作られている。一実施形態において、車両一台用のガレージドアとして使用するため、パネルは横方向に78〜144インチ(2.0m〜3.7m)である。あるいは、車両二台のガレージドアとして使用するため、パネルは横方向に192〜216インチ(4.9m〜5.5m)の範囲であってよい。また、パネルの垂直軸(即ち、高さ)は必要に応じて変更してよい。一実施形態において、ガレージドアに4つのパネルを使用しうる。あるいは、ガレージドアに3〜6つのパネルを使用しうる。あるいは、ガレージドアは1つのパネルから構成しうる場合もある。ある場合には、一つのドアに大きさの異なる複数のパネルを使用しうる。例えば、トップパネルの一部として複数の窓を有するガレージドアの場合、大きなトップパネルを小さな下方のパネルと共に使用しうる。例示的な一実施形態において、高さが24インチ(61cm)のトップパネルを20インチ(51cm)の3つの下方のパネルと共に使用しうる。あるいは、4つの21インチ(53cm)高さのパネルを使用しうる。例えば、窓が16インチ(41cm)の高さである場合、24インチ(61cm)高さのパネルが好ましい。その一方、13インチ(33.0cm)の窓を21インチ(53cm)高さのパネルに嵌め込んでもよい。
【0110】
このように、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるドア、ドアパネル、横窓、又はそれらの一部(例えば、プラント・オン)を提供しうる。ドア又はドアパネルの各面は繊維強化複合体ドア外板を備えうる。各面について同一の又は異なるドア外板設計が使用されうる。同様に、横窓の各面は薄層の繊維強化複合体から構成しうる。
【0111】
本発明のドア又はドアパネルは、自己の米国特許第6,485,800号、第6,067,699号及び第5,852,910号に加えて、2002年10月11日に自己が出願した米国特許願第10/269,522号、2002年10月31日に自己が出願した米国特許願第10/284,392号及び2003年5月22日に自己が出願した米国特許願第10/443,627号に記載されたように当業者に周知の方法で構成されうる。これら特許及び特許出願各々の全開示内容は、参照によりここに組み込まれる。例えば、技術的に周知のように、ドア、ドアパネル、又は横窓は枠及び心材を有しうる。枠は、少なくとも2つの縦方向框と2つの横方向の横木とから構成しうる。複合体ドアパネルの枠は、ドアを支持するように設計されうる。また、一実施形態において、例えば、パネルがガレージドアに使用される場合、枠は、ドアの隣接パネル同士が連結されるように形成されうる。例えば、ガレージ用ドアパネルの連結を可能とするため、枠の框を(例えば、木材又はその他の材料の部材を用いて)結束し、隣接するパネル同士を連結させる手段を提供することができる。結束には突出要素(即ち、舌状部)が含まれ、あるいは溝が含まれうる。このようにして、1つのドアパネルの端部にある突出要素を、他のパネルの端部にある溝内に挿入し、2つのパネル間に殆ど継ぎ目のない嵌め込み式結合部を提供しうる。一実施形態において、枠は単板積層材(LVL=laminated veneer lumber)を使用して製作される。LVLは、積層して板とされたベニヤから製造される構造用材である。あるいは、枠は、中実又はフィンガージョイントされた木材、押し出し(extruded)木材やプラスチックのような複合体、鋼又はその他の金属、あるいは性能及び外観的に適用可能な他の材料から製作しうる。
【0112】
ドア、ドアパネル、横窓、又はプラント・オン構造の心材は、繊維強化複合体層に囲まれた枠内の空間、場所を少なくとも部分的に満たすよう形成されている。心材は、合成ポリマー発泡体のような断熱材料を含みうる。例えば、心材は、発泡ポリスチレン発泡体又はポリウレタン発泡体、パーチクル・ボード、石膏、あるいはその他のミネラル・ウッド・ステーブ等から構成しうる。代案として、単板積層材(LVL)又はボール紙を少なくとも部分的に心材に詰めてもよい。他の実施形態においては、ドア及び/又はドアパネルは、空気が心材のかなりの割合を占めるようにほぼ中空である。
【0113】
心材の材料の密度は、木材と類似であってもよい。あるいは、心材の材料は、木材よりももっと軽くてもよい。一実施形態において、約1.0〜約1.5ポンド/立方フィート(pcf)の密度を有する発泡ポリスチレンが使用されている。
【0114】
また、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体内に染料を入れることができる。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に、染料を繊維強化複合体に付加してもよい。このようにして染料は、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて付加しうる。
【0115】
本発明は、本発明の繊維強化複合体による他の建築用構造物を提供しうる。例えば、特定の実施形態において、本発明は、ドア枠部品又は窓枠部品、あるいは、本発明の繊維強化複合体によるドア枠及び/又は窓枠の覆いを提供しうる。
【0116】
上述したように、他の建築用構造物と同様に、木製ドア枠及び窓枠は、温度及び/又は湿度の両極端の状態にさらされた際の、収縮及び膨張のために歪むことがある。木製ドアや木製窓枠への依存を減らす試みとして、プラスチック又はビニール被覆の木製枠部材の使用などがある(例えば米国特許第5,987,843号、第6,295,779号、第6,378,266号参照)。あるいは、全てが合成材によるドア枠も開発されている。プラスチック製枠部材は、所望の形状に成形することができ、また、釘、ねじ又はその他の締結具(例えば米国特許第6,393,779号参照)を使用することなく取付ジグを受け入れうる点で、製造上の観点から魅力がある。しかしながら、一般的に、プラスチックにはドア又は窓ユニットを支持するのに十分な強度がない。また、金属製ドア枠、又は金属覆いを有するドア枠が開発されている(例えば米国特許第6,604,334号参照)。それでも、消費者によって、金属覆いは見て美しいものではないかもしれない。また、金属製ドアと同様に、金属製ドア枠及び窓枠は、錆び及び光化学的劣化のような環境由来の風化作用を受けると共に、高温及び低音環境における断熱性に乏しい。
【0117】
上述したように、特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造は、例えば、縦戸枠(vertical door jamb)、まぐさ枠(header jamb)、又は敷居のような種々の形状のものに成形しうるが、これらに限定されない。一実施形態において、これらの枠は平坦でよい。あるいは、該枠は溝が穿たれていてもよい。別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造には窓枠部材がある。他の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造は、ケース及びレンガ積型形状、マルポスト(mull posts)、戸当たり、幅木留め、定規縁のような線状のモールディングを備えていてよい。更に別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体による諸部品の覆いを提供する。ここで使用される覆いとは、構造又は材料の上にかかるカバーもしくは被覆のことである。
【0118】
図7A,7Bは、ドア枠として具体化された、本発明の繊維強化複合体構造の実施形態を例示している。図7Aにおける各ドア枠断面は、本発明の外側繊維強化複合体覆い308と内側の心材310を示す部分横断面として示されている。図7Aに示すように、ドア枠は、ドア開口の上部を画定するまぐさ枠302と、ドアの側辺を枠決めする左側戸枠304及び右側戸枠(図示せず)と、枠体の底部としての敷居306とを有していてよい。更に、敷居306は、ドアから水が流出しやすくするため傾斜させた部分323と、ドアの基台を提供するほぼ平らな部分311とを備えうる。図7Aには示されていないが、図示の視野では、ドアは右側戸枠にかけられ見る者から離れる方向に回転する。図7Aに示されたように、側辺305は、建造物(又は出入口)の外側に面しており、反対側の側辺303は建造物(又は出入口)の内側に面している。このような向きの場合、面316及び318は、ドア開口を構成する枠の側辺を形成し、面312は、建築用構造物に隣接する枠の側辺である。
【0119】
出入口を構成する枠304の側辺は、2つの異なる表面316及び318を備え、ドアが閉じたときにドアの外部にある枠の部分が厚く、枠の内部側にある枠の部分が薄い。表面319はストッパを備えることができ、ドアは、枠に着座し閉じるときにこれに当たる。特定の場合、モールディング又は目詰めを表面319の近傍にある溝320に挿入し、閉じたドアのためのクッション及び断熱表面を提供してもよい。同様に、まぐさ枠302は、建造物に隣接する表面322及び324と、枠体開口の表面を構成し、従って、まぐさ枠の外部表面を構成する表面326及び328とを備えることができる。
【0120】
図7Bは、繊維強化複合体308が構造物の覆いとして使用されている側方戸枠304の横断面を示している。図7Bにおいて、側辺305は、出入口又は建造物の外側に面する表面であり、表面316及び318は、出入口開口にある表面であり、表面303は、出入口の内部に面しており、表面312は、建築用構造物に取り付けられた枠の側辺である。モールディング又は目詰め325は、ドアが閉じたときに密封を維持するようにドアを緩衝するのに使用しうる。図7Bに示すように、側方戸枠304は、内部の心材310を囲む本発明の覆い308を備えている。一実施形態において、覆い308は、繊維307で強化されたポリマーから構成されている。従って、覆い308は、出入口の出口側にさらされる表面もしくは外板を備えている(例えば、表面303,305,316,318及び319)。代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体覆いは、図7Aの敷居について示されているように、ドア枠体又は窓枠体部品の各面及びどの面も覆う。あるいは、心材も含め、枠体部品の全体は本発明の繊維強化複合体から構成しうる。
【0121】
本発明の繊維強化複合体でドア枠体部品又は窓枠体部品の覆いを構成する場合、該覆いは、特定の適用例により必要な厚さを有する。代替実施形態において、覆いの厚さは、約1/64〜約2インチ(0.4mm〜51mm)、又は約1/32〜約3/4インチ(0.8mm〜19mm)、又は約1/16〜約1/4インチ(1.5mm〜6.4mm)の範囲内である。
【0122】
本発明部品のドア枠体の心材は、ドアに使用された心材に類似する。あるいは、心材は、発泡ポリスチレン、発泡型PVC、発泡ウレタン、木材、LVL、又は任用可能な性能を持つ他の材料から構成しうる。
【0123】
また、本発明の繊維強化複合体ドア枠体又は枠体部品は、繊維強化複合体の製造中に色をつけられてもよい。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に、染料を繊維強化枠体又は枠体部品に付加してもよい。このように、色は、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて付加しうる。
【0124】
本発明は、代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるサイディングを提供する。例えば、ビニール、繊維セメント等の従来のサイディング製品に代えて、本発明のサイディングを使用しうる。本発明の繊維強化複合体サイディングは、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状としうる。特定の実施形態において、例えば、繊維強化複合体サイディングは、長さが約8フィート〜約18フィート(5.5m)、幅が約8インチ(20.3cm)(ダブル4“)〜約10インチ(25.4cm)(ダブル5“)の範囲内としうる。特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングの厚さは、例えば、約0.125インチ(3.2mm)〜約0.75インチ(19mm)の範囲内としうる。更に、繊維強化複合体サイディングは約0.125インチ〜約2インチ(3.2mm〜51mm)の範囲のシステム高さとしうる。特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは更に、ビニール及びアルミニウム製サイディングの利用において開発されたもののように、個々のサイディング部品を連結するのに適した構造を備えうる。
【0125】
特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、ダブル4“の伝統的なラップ(traditional lap)、ダブル5“の伝統的なラップ、ダブル4“のダッチラップ(dutch lap)、ダブル5“のダッチラップ、及び/又は垂直サイディング/下端を含め、様々な外形としうる。繊維強化複合体サイディングは、中実及び/又は通気式でよい。例えば、垂直サイディング/下端として使用される繊維強化複合体は通気していてよい。繊維強化ポリマー複合体サイディングの通気は空気の循環を助け、これは、必要に応じて屋根裏場所又はその他の場所での温度及び湿分の制御を助ける。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維強化複合体サイディングは、少なくとも1つの断熱層を有しうる。断熱材は、繊維強化複合体サイディングの一つの面に取り付けられる。例えば、サイディングを取り付けたときに構造壁と繊維強化ポリマー複合体材料との間に断熱材が位置するように、繊維強化複合体サイディングの内側面に取り付けられる。代替実施形態において、断熱材は、ガラス繊維、ロックウール、セルロース、ポリウレタンフォーム、押出ポリウレタンフォーム、発泡ポリスチレンフォーム、(EPS又はビーズボード(beadboard))、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム及び/又はそれらの組合せから構成しうる。
【0127】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、繊維強化ポリマー複合体層と基板層とを有しうる。基板層は、パーティクルボード、配向性ボード、ベニヤ合板のようなセルロースベースの材料、及び/又はそれらの組合せから構成しうる。あるいは、基板は、再生木材料から構成されていてよい。繊維強化ポリマー複合体層は、ある実施形態において、少なくとも1つの接着剤あるいは当業者に周知の任意の手段により基板層に取り付けられる。図8Aは、本発明の一実施形態に基づいて、繊維407を含んだ繊維強化ポリマー複合体層401と、基板層403と、断熱層405とを有する繊維強化ポリマー複合体サイディング400の横断面図を示している。
【0128】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、特定の実施形態において、オーク、パイン、シーダー等のような種々の木材を模した木目仕上げの外観を有していてよい。他の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、滑らかな概観を有する。ある実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、難燃成分を更に含む。
【0129】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、所望の色を有していてよい。繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体サイディング内に色を入れることができる。他の実施形態において、サイディングの形成の後に、繊維強化複合体サイディングに色を付加してもよい。例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて色を付加しうる。
【0130】
他の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるら板を提供しうる。繊維強化複合体こけら板は、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。例えば、特定の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、約12インチ(30.5cm)〜約24インチ(61cm)の範囲にある長さと約5インチ(12.7cm)〜約12インチ(30.5cm)の幅であってよい。特定の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体こけら板は、例えば、約0.040インチ(約1.0mm)〜約0.60インチ(約15.2mm)の範囲内である。実施形態において、こけら板は厚さが約0.04インチ(1.0mm)〜約0.12インチ(3.0mm)の範囲内である。あるいは、約0.24インチ(6.0mm)〜約0.35インチ(9.0mm)にわたる、より厚いこけら板を使用してもよい。更に、本発明の繊維強化複合体こけら板は、所望の焼け付け領域を有している。例えば、繊維強化複合体こけら板は、該こけら板の全面積の約50%〜70%の焼け付け領域を有していてよい。また、繊維強化複合体こけら板は、該繊維強化こけら板の取付けを容易にする釘打ち指定位置も更に備えることができる。
【0131】
特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体こけら板は、木目の外観を有することができる。他の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、スレート状の外観を有することができる。繊維強化複合体こけら板は、希望の色とすることができる。特定の実施形態においては、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体こけら板内に色を入れることができる。あるいは、こけら板の形成の後に繊維強化複合体こけら板に色を付加してもよい。例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて色を付加しうる。
【0132】
特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体こけら板は、難燃成分を更に含んでいる、ことができる。特定の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、屋根材及び/又はサイディング材の利用の際に使用しうる。
【0133】
他の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるシャッターを提供している。繊維強化複合体シャッターは、希望の高さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体シャッターは、約25インチ(約64cm)〜約80インチ(約203cm)の範囲にある高さを有している。特定の実施形態において、繊維強化複合体シャッターは、約8インチ(約20cm)〜約36インチ(約92cm)の範囲にある幅を有しうる。繊維強化複合体シャッターは、ルーバー付きシャッター、突出(raised)パネルシャッター及び/又は目板打ち(board and batten)シャッター等種々の設計であってよい。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、繊維強化複合体によるハリケーンシャッターを提供している。本発明の繊維強化複合体ハリケーンシャッターは、任意の高さ、幅及び/又は厚さであってよい。特定の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体ハリケーンシャッターは、南フロリダ(例えば、フロリダ州ダーデ郡(Dade County))のようなハリケーン及び強い嵐にさらされる地域の法律要件を満たし、及び/又は突破することができる。
【0135】
実施形態において、本発明の繊維強化複合体ハリケーンシャッターは、少なくとも1つの繊維強化ポリマー複合体層と基板層とを備える。基板層は、パーチクルボード、配向性ボード、ベニヤ合板のようなセルロース含有材料、及び/又はそれらの組合せから構成しうる。実施形態において、基板は、再生木材料から構成されていてよい。繊維強化複合体層は、少なくとも1つの接着剤又は当業者に周知の任意の手段により基板層に取り付けうる。
【0136】
さらに、また、本発明は、本発明の繊維強化複合体で構成されたハリケーンシャッター用の補強カバーを提供することができる。繊維強化複合体は、既存のハリケーンシャッターを覆うのに適する寸法を有するよう製作される。繊維強化複合体ハリケーンシャッターカバーは、既存のハリケーンシャッターの強度及び/又は耐久力を増すことができる。特定の実施形態において、ハリケーンシャッター用の繊維強化複合体カバーは、釘、ねじ、ヒンジ等によりハリケーンシャッターに取り付けることができる。さらに、また、該繊維強化複合体カバーは、少なくとも1つの接着剤によりハリケーンシャッターに取り付けてもよい。別の実施形態において、繊維強化複合体カバーは、クサビ嵌合によりハリケーンシャッターに取り付けてもよい。例えば、図8Bは、本発明の一実施形態に基づく繊維強化複合体によるハリケーンシャッター450の断面図を示している。図示の実施形態において、繊維457を含んだ繊維強化複合体カバー451は、クサビ嵌合によりハリケーンシャッター453に固定されるよう適合している。繊維強化複合体カバー451は、ハリケーンシャッター453上を滑動し、結果として安定な嵌合となる。
【0137】
繊維強化複合体シャッター、ハリケーンシャッター、又はシャッターカバーは色を有していてよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体カバー内に色を入れることができる。他の実施形態において、シャッター又はカバーの形成の後に、例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術により繊維強化複合体に色を付加してもよい。シャッター又はカバーに使用される繊維強化複合体は木目模様の外観をしていてよい。他の実施形態において、繊維強化複合体は滑らかな外観をしていてよい。
【0138】
上述したように、本発明はまた、本発明の繊維強化ポリマー複合体による窓枠部品や窓部品、限定するのではないが、窓敷居、窓枠、窓サッシ、ガラス押し縁、及び模擬さん付きガラス窓(SDL=simulated divided light)バー(例えば、窓桟)等を提供している。ここで使用する窓枠とは、窓サッシを受けて保持する枠体であり、窓敷居とは、枠体の底部にある概して平らな部分である。本発明の繊維強化複合体窓部品は、該部品の必要に応じて、希望の高さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体窓部品又は窓枠部品は、木目模様の外観をしていてよい。他の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体窓部品又は窓枠部品は滑らかな外観をしていてよい。別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化ポリマー複合体による窓部品又は窓枠部品用の覆いを提供することができる。例えば、本発明は、窓敷居、窓枠、窓サッシ、ガラス押し縁、又は窓桟のバー用に、本発明の繊維強化複合体による覆いを提供する。
【0139】
例えば、図8Cに示すように、模擬桟付きガラス窓パネル502は、サッシ506に囲まれた板ガラス504を備えている。板ガラス504は、一重板ガラスでも二重板ガラスでもよく、サッシにより囲まれた領域を満たす。ここで使用されているように、サッシは、窓枠開口の溝内で上下(あるいは左右)に滑動しうる窓の中にガラスを保持する支持体を備える。あるいは、板ガラスは、ドアに用いられ、ドアパネルに囲まれる。サッシ(又はドアパネル)は、2つの縦框508a及び508bと、2つの横框510a及び510bとから構成されている。サッシ506の内側に横模擬桟付きガラス窓(SDL)バー(例えば、窓桟)、例えば514a,514b及び514cと、縦SDLバー、例えば516a及び516bでが取り付けられている。ここで使用される、SDLバー又は窓桟は、透明なパネルを複数の部分に分けるのに用いられる非透明の帯片又はバーから構成される。連係するSDLバー(例えば、514a,514b,514c,516a及び516b)同士は格子に似ているように見える。SDLバーは、板ガラス504を別個の複数の四分円又は部分(例えば、514a,514b,514c等、SDLバーの数に対応する)に区分するように見えることが分かる。また、サッシ506及び窓504の結合部の上にかかるよう配置されたガラス押し縁522も存在する。ガラス押し縁522は、サッシ又はドアパネルに使用されるのと同じ材料に見えるように製作される4つのストリップ522a,522b,522c及び522dから構成されている。このガラス押し縁を形成するストリップは、ガラス504の周辺を取り囲み、周りのサッシやドアパネル506と同一平面になるよう適合されうる。ガラス押し縁522は、板ガラスと周りのサッシ又はドアパネルとの間の結合部だけでなく、視野から目視できるどんな接着部も覆うことができ、こうして、ガラスの周りに魅力的な境界を備えることができる。
【0140】
本発明の繊維強化複合体は、窓又は窓枠のどの部品を形成するのにも使用しうる。例えば、図8Cに示したような窓について、サッシ508,510、ガラス押し縁522及び/又はSDLバー514は、本発明の繊維強化複合体から構成しうる。あるいは、窓枠及び/又は敷居は、本発明の繊維強化複合体から構成しうる。図8Dは、繊維557及びポリマー樹脂を含んだ本発明の繊維強化複合体558によるガラス押し縁522の実施形態を図示している。図8Dに示すように、ガラス押し縁は、透明パネルが占める開口を画成するのに用いられる内側縁523と、サッシ框もしくはレールの近くにある外側縁525とを備えることができる。他の建築用構造物と同様に、繊維強化複合体は、窓部品(図8D)又は窓枠の全体を構成していてよく、あるいは心材上に据え付けられる覆いの外側表面を提供してもよい。
【0141】
また、本発明の繊維強化複合体窓部品、窓枠、窓枠部品には、繊維強化複合体の製造中に、色を入れることができる。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に繊維強化枠又は枠部品に色を付加してもよい。このように、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて、色を付与しうる。
【0142】
上述したように、本発明は、本発明の繊維強化複合体による覆いを提供することができる。繊維強化複合体覆いは、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状としうる。特定の実施形態において、例えば、繊維強化複合体覆いは、上述したようなドア枠部品、窓及び窓枠部品、レインスクリーン(rainscreen)システム、通風ファサード、切妻、軒、鼻隠し、バルコニーサイディング、嵌込みパネル、ソフィット及び通路サイディングのための覆いであってよい。特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体覆いは有色でよい。繊維強化複合体から構成される他の構造要素については、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体覆い内に色を入れることができ、あるいは覆いの形成の後に繊維強化複合体覆いに色を付与してもよい。
【0143】
本発明は、本発明の繊維強化複合体による他の建築用構造物を提供している。実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、パネル、あるいは建築用構造物において現在利用されている薄層構成要素又は支持構造のような先行技術の構成要素に取って代わりうる。かかる構造体を製造する方法は、当業者に周知であり、該方法を修正して本発明の複合体材料を使用するのに適用することができる。
【0144】
別の形態において、本発明は、繊維強化複合体を製造する方法(又はプロセス)を提供する。該方法は、本発明の繊維強化複合体建築用構造物を製造するのに使用しうる。該方法はまた、他の種類の複合体又は構造要素を製造するのにも使用しうる。
【0145】
一実施形態において、本発明の方法は、強化繊維及びポリマー樹脂の型の中への導入と、繊維強化複合体を製造するのに十分な諸条件下での、得られる樹脂混合物の硬化とを含む。硬化は、型内で完結してもよいし、あるいは型内で開始し、次いで構造を型から取り出して完了させてもよい。強化繊維及びポリマー樹脂は、型内に入れる前に、及び/又は型に入れるステップ中に、混合してよい。繊維及びポリマー樹脂を型の中に導入するステップは、繊維及び樹脂を射出し、吹付け、注入する技術及び/又は類似の技術による供給でよい。
【0146】
例えば、一実施形態において、本発明は、建築用構造物の形の繊維強化複合体を製造するために、目的の建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップと、繊維及びポリマー樹脂の混合物を型の中に供給するステップと、繊維強化ポリマー複合体を製造するのに十分な条件下で樹脂を重合させるステップとを含む方法である。本発明の、ドア外板の製造に適用される方法を図9に示す。このように、一実施形態において、本発明は、目的の建築用構造物602を形成するために形作られた型を用意する第1ステップを含む。例えば、ドア外板を製作するため、第1の半部分(例えば、下側)及び第2の半部分(例えば、上側)から構成されるダイ一式を使用することができる。型は、適度な速さで重合を生じさせるために必要な温度604まで加熱されうる。ポリウレタンを基材とする複合体については、型は、約120°F〜190°F(49℃〜88℃)の範囲にある温度まで加熱される。例えば、温水又はオイル加熱システムを使用して型を加熱しうる。一実施形態において、型の上部分及び下部分は一緒に加熱されても別々に加熱されてもよい。また、型の上部分及び下部分は同じ温度まで加熱されても異なる温度まで加熱されてもよい。型は、構造のモールディングもしくは溝彫りを製作するような形に作られていてよい。また、型の表面を滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。以下に詳述するように、型半部分の一方又は双方は離型剤、コーティング及び/又は防護塗膜で被覆されていてよい。
【0147】
型を用意した時点で、複合体を製造する所望の大きさに繊維を細断するためチョッパーガン608に強化繊維を供給してよい。また、ポリマーを製造するのに使用される諸成分を一緒に混合する(610)。一実施形態において、型に繊維及び樹脂を導入するのに使用される装置は、ミキシングヘッド及びディスペンサを備えている。例えば、一実施形態において、イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物(例えば、イソシアネート反応性ポリオール)並びに、必要ならば、追加の添加剤(例えば、着色剤、離型剤、触媒、発泡剤)等の液体ポリウレタン成分をミキシングヘッドにおいて一緒に混合してよい(610)。この時点で、細断繊維及び混合樹脂成分は、型の少なくとも一方の表面上に供給される(612)。一実施形態において、繊維及び樹脂は、一緒に混合され、次いで型の上に被覆繊維を吹付けもしくは注入することにより、型に供給される。あるいは、繊維及び樹脂は、双方を型表面上に供給するプロセス中に混合されてもよい。更に別の実施形態において、繊維を型表面上に供給し、その後樹脂を加えてもよい。ミキシングヘッド及び/又はディスペンサは、長ガラス繊維とポリウレタンの双方を開放注入又は吹付け方法で供給しながら、開いた型の上を移動するようプログラムされたロボットに装着されていてよい(612)。特定の実施形態において、繊維及び樹脂の供給には5秒〜2分を要する。
【0148】
繊維及び樹脂が供給されると、型は閉じられる(614)。この時点で、ポリマー樹脂は、型内で重合もしくは“硬化”される(616)。ある実施形態において、複合体は型内で部分的に硬化される。例えば、別の実施形態において、複合体は、型内にある間に(即ち、型から取り出される前に)50%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に60%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に70%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に80%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に90%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に95%を越えて硬化されていてもよい。例えば、部品が完全に硬化される前にそれを型から取り出すと、部品を若干異なる形状に再成形することができる。構造体が所要程度まで硬化した時点で、型を開き、複合体を除去しうる(618)。一実施形態において、複合体をどけて置き硬化ステップを完結してよい(620)。
【0149】
本発明の方法で用いられる強化繊維成分は単繊維タイプでも複繊維タイプでもよい。繊維は天然繊維でも人造繊維でもよい。適当な繊維には、ガラス繊維、鉱物繊維、木材、亜麻、ジュート又はシサル麻繊維のような天然繊維、及び/又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維又はポリウレタン繊維のような合成繊維があるが、これらに限定されない。実施形態においては、繊維としてガラス繊維を用いる。実施形態において、ガラス繊維はエレクトロニック(Electronic)ガラス(即ち、E−ガラス)を含む。
【0150】
実施形態において、長繊維が強化繊維として使用されている。ここで使用される長繊維強化樹脂とは、従来の高圧ミキシングヘッドを使用するのでは効率的に通常処理されえないほど十分に長い強化繊維を含んだ樹脂のことである。長繊維は、当業者に周知のようにLFIによりポリマー樹脂内に導入することができる。
【0151】
実施形態において、繊維は、1mm(0.04インチ)を超える長さであってよい。代わりの実施形態において、繊維は、約5mm〜100mm(0.2〜3.9インチ)の範囲の長さをであってよい。別の実施形態において、繊維の長さは、約10mm〜70mm(0.4〜2.8インチ)、又は30mm〜50mm(1.2〜2インチ)の範囲であってよい。
【0152】
本発明における樹脂成分は、熱硬化性ポリマー樹脂とすることができる。実施形態において、樹脂は、ポリウレタンを含んでよい。また、さらに、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、架橋ポリエステル、又はその他の熱硬化性ポリマーを使用してもよい。上述したように、ポリウレタンは、一般的に、ポリイソシアネートをポリオール、アミン及び/又は水のようなイソシアネート反応性の化合物と反応させることにより得られるポリイソシアネート重付加物である。他の実施形態において、ポリウレタンは、ジアミンやジオール等の混合物を用いて合成することができる。更なる実施形態において、ジアミン類の混合物を用いて合成することができる。
【0153】
本発明の方法で用いられるイソシアネートは、(シクロ)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートでよい。例えば、ジフェニルメタン−ジイソシアネート(“MDI”)、並びに2,4−トルエン−ジイソシアネート及び2,6−トルエン−ジイソシアネートのようなトルエンジイソシアネート(“TDI”)であるような芳香族ジイソシアネートを使用しうる。特定の実施形態において、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートが使用できる。
【0154】
本発明の方法において様々なイソシアネート反応性化合物を使用しうる。例えば、適当なイソシアネート反応性化合物には、β−ジケトン基のようなCH−酸性基、OH、SH、NH、NH2から選択した2以上の反応基を有する化合物がある。上述したように、ポリウレタンを形成するのに使用しうる化合物の例には、ポリエーテル−ポリアミン、及び/又は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール、及びヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネイトのグループからあるいはこれらポリオールのうちの少なくとも2つの混合物から選択したポリオールがある。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明の方法により、ポリウレタンの合成にジオールが用いられる。ジオールには、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又はp−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンがある。特定の実施形態において、例えば、ジエチルトルエン−ジアミン、メチレンビス(p−アミノベンゼン)及び/又は3,3’−ジクロロ−4-4’−ジアミノフェニール−メタン等のジアミンがポリウレタンの合成に利用されうる。
【0156】
更に、特定の実施形態において、ポリウレタンは、所望の架橋度を有している。特定の実施形態において、例えば、イソシアネートは、異なるポリウレタン鎖のウレタン基と反応してアロファネート架橋結合を形成する。他の実施形態において、イソシアネートは異なるポリウレタン鎖からの尿素基と反応してビウレット架橋結合を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、第1ポリウレタン鎖のウレタン基と反応すると共に第2ポリウレタン鎖の尿素基と反応して、アロファネート及びビウレット架橋結合の双方を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、三量体形成をしてイソシアヌレートを形成し、これがポリウレタンにおける架橋結合源として作用する。
【0157】
本発明の方法においてポリウレタンのような熱硬化性樹脂を利用する利点の一つは、かかる複合体の製造中に放出される揮発性有機化合物(VOC)のレベルが、ポリエステル等のような他の樹脂から製造される複合体と比較して減少することである。ポリウレタンにはスチレンが含まれておらず、従って、VOCの放出は基本的に排除される。本発明の方法は、一実施形態において製造中のVOCの放出が0.1ppm未満である。別の実施形態において、本発明の方法は、製造中のVOCの放出が0.05ppm未満である。更に別の実施形態において、本発明の方法は、製造中のVOCの放出が0.01ppm未満である。
【0158】
反応は、発泡剤、触媒、助剤又は添加剤の存在下に又は不存在下に進行しうる。一実施形態において、本発明の方法は、発泡剤を型内に入れることを更に含む。発泡剤、繊維及びポリマー樹脂は型への導入前、導入中及び/又は導入後に混合されうる。使用される発泡剤の量はフォームの目標密度に左右される。
【0159】
一実施形態において、本発明の方法は、触媒を型もしく樹脂混合物に導入することを更に含む。触媒は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分(繊維、樹脂等)と混合されうる。任意の数の触媒を使用してよい。ポリウレタン形成において、適当な例には、三級アミン及び/又は有機金属化合物がある。触媒として使用してよい例は次の通りである。トリエチレンジアミン、アミノアルキル−及び/又はアミノフェニル−イミダゾール、例えば4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び/又は1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ジエチルヘキソエートそしてスズ(II)ジラウレート;並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート等である。
【0160】
実施形態において、この方法は、セル調整剤、剥離剤や防護塗膜又は他の種類のコーティングのような表面活性化合物、顔料及び/又は他の種類の着色剤、及び/又は酸化的、熱的又は微生物的劣化もしくは老化に抗する安定剤のような追加の諸成分もしくは要素を型の中に導入することを更に含む。追加の成分は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分と混合される。
【0161】
ある実施形態において、この方法は、充填材を型に導入することを更に含んでいる。該充填材は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に繊維又は樹脂諸成分(又は添加剤)と混合することができる。充填材は大きさが揃えられていてもいなくてもよい。充填材は、改善された自由流れ特性とポリウレタンマトリックスへの付着とを有するよう修正されている。実施形態において、充填材は、ガラスフレークのようなプレートリットもしくは小片状に作られた充填材であるか、及び/又は雲母のような鉱物でよい。
【0162】
また、この方法は、着色剤を型の中に導入することを更に含んでいる。着色剤は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分と混合される。適当な着色剤には、本発明の繊維強化ポリマー複合体に関連して上に述べたように、二酸化チタン、硫酸カルシウム、二酸化マンガン、カーボンブラック、又は他の適当な顔料があるが、これらに限定はされない。
【0163】
本発明の方法の硬化ステップは、成形技術において当業者に周知の方法で行うことができる。硬化は、型内で開始され、そして型内で完了するか又は型から取り出した後に完了する。通常、樹脂混合物は、該混合物を少なくとも部分的に硬化させると共に、型からの取出し前に自己支持する複合体を形成するのに十分な温度及び圧力に維持される。取出し後、更なる硬化及び/又は成形を行うことができる。
【0164】
このように、複合体を硬化するため、一旦樹脂及び繊維が型表面上に供給されたら、型を閉じてよい。別の実施形態において、硬化中に少なくとも部分的に開いている型を使用してもよい。その後、配合物の少なくとも一部が重合するような条件下で、型内で重合が進行する。ある実施形態において、重合が実質的に完了し部品が冷えるまで、構造体を型内に留めていてもよい。あるいは、部品は、最大発熱量時に又は直後に取り出され、異なる形状(即ち、弓形等)に形成されてもよい。
【0165】
硬化が起こる温度及び圧力は、使用されるポリマー、製作される部品、生産事項等によって変わりうる。代替実施形態において、樹脂混合物は、約15秒〜600秒の時間にわたり、100°F(38℃)〜400°F(204℃)の温度及び20psi(1.41Kg/cm2)〜1500psi(106Kg/cm2)の圧力で硬化される。別の実施形態において、樹脂混合物は、約25秒〜300秒の時間にわたり、120°F(49℃)〜300°F(149℃)の温度及び20psi(1.41Kg/cm2)〜1000psi(70.3Kg/cm2)の圧力で硬化されうる。あるいは、樹脂は、約30秒〜180秒の時間にわたり、130°F(54.4℃)〜200°F(93.3℃)の温度及び30psi(2.1Kg/cm2)〜500psi(35.1Kg/cm2)の圧力で硬化されてもよい。
【0166】
本発明の方法は、特定の最終用途のための繊維強化ポリマー複合体構造を製造するのに有利である。一形態において、本発明は、建築用構造物の一部品として使用するための繊維強化ポリウレタンから構成される繊維強化ポリマー複合体を製造する方法及びシステムを提供する。
【0167】
ある実施形態において、この方法は、目的とする建築用構造物を形成するのに適する外形寸法をもつ表面を持った、複合体に圧力を加えるための第1の半部分と、該第1の半部分とほぼ同一の外形寸法をもつ表面を持った、複合体に圧力を加えるための第2の半部分とを有する型を含む。型の形状は、製作すべき建築用構造物に応じて変わりうる。
【0168】
例えば、型は、ドア外板を製造するように設計しうる。従って、実施形態において、本発明の方法は、それぞれ少なくとも1つのほぼ平らな表面をもつ第1のダイ及び第2のダイを有する型を用意するステップと、該ダイの一方のほぼ平らな表面上に、複数の繊維及びポリマー樹脂を含む混合物を供給するステップと、前記第2のダイの第2のほぼ平らな表面を前記繊維及び樹脂に接触させるステップと、ドア外板の形の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件下で前記樹脂が重合させるステップとを含む。
【0169】
かかる実施形態において、型の第1の半部分は、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、型の第2の半部分は、第1のダイにある凹部に適合する凸部を有する雄型ダイであり、型が閉じられたときに、一方のダイにある凸部が他方のダイにある凹部に大体位置合わせされる。あるいは、これらダイ表面は、どちらのダイにも凸部又は凹部がないように面一であってよい。このようなシステムがドア外板を製造するのに使用される場合、模様のある、もしくは滑らかな表面がドア外板上に形成される。従って、一実施形態において、2つのダイのうち一方のダイの少なくとも一部は研磨され、滑らかな仕上げにされうる。また、さらに、2つのダイのうち一方のダイの少なくとも一部は表面にエッチングされた模様を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態において、この模様は木目を模したものでよい。一実施形態において、第1及び第2のダイ半部分は、ここに記載した寸法を有するドア外板を製造するのに十分な外形寸法を有している。通常、第1及び第2のダイの外形寸法は、長さ約107インチ(272cm)×幅約48インチ(122cm)よりも小さい。本発明の方法では殆どどんな寸法でも可能であるが、複合体の大きさは部品を作るのに使用される機械により制限されるであろう。
【0170】
また、ここに記載したように、繊維強化ポリマー複合体を形成するのに使用される型又はダイ表面は、繊維及び樹脂を型に導入する前に、離型剤吹き付けか、それ以外の方法を用いて離型剤で処理される。あるいは、離型剤は樹脂の一部として含まれていてよい。離型剤として使用しうる代表的な化合物には、ワックス・ベース又はシリコン・ベースの離型剤がある。
【0171】
あるいは、型は、材料を型に導入する前に型内コーティング(IMC)で処理することができる。IMCに使用しうる代表的な作用物質には、脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂等があるが、これらに限定されない。
【0172】
さらに、または、型内への繊維及び樹脂の導入前に、防護塗膜を型の表面に付着させてもよい。防護塗膜は、構成物の表面特性を高める利点がある。例えば、防護塗膜は、特定のプロセスで繊維−ポリウレタン混合物の表面上に生じる可能性がある、小穴、泡、繊維又は繊維片/端がほとんどない表面を形成するのに利用することができる。防護塗膜は、エラストマー、又は非弾性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含む。その例には、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びその他の熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、フェノールホルムアルデヒド及びその他の熱硬化性プラスチック等があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、成形又は硬化中に繊維−ポリウレタン混合物に機械的又は化学的に結合する防護塗膜を利用するのが有利であるかも知れない。防護塗膜の例には、バイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。
【0173】
反応の温度を制御することにより、適当な出発物質からの樹脂(例えば、ポリウレタン)の重合を制御しうる。従って、実施形態において、ダイのうちの少なくとも1つは温度コントローラを備えており、この方法は型の温度を制御することを更に含んでいる。
【0174】
最終の繊維強化ポリマー複合体製品の厚さ及び/又は密度は、重合の際のポリマーの全体的膨張とポリマーが発泡を許容される程度とに部分的に依存している。実施形態において、型の内部表面同士は、型が閉じられたときに所定距離だけ離れている。例えば、この方法がドア外板を製作するのに用いられる場合、型の内部表面は1.0〜0.05インチ(25.4mm〜1.27mm)だけ離間している。代替実施形態において、ダイは、ダイが閉じられたとき約0.8〜0.08インチ(20.3mm〜2.0mm)、又はダイが閉じられたとき約0.5〜0.1インチ(12.7mm〜2.54mm)、又はダイが閉じられたとき約0.15〜0.11インチ(3.81mm〜2.79mm)の範囲にある距離だけ隔てられていてよい。
【0175】
ある実施形態において、本発明は、薄層構造ではない建築用構造物(例えば、まぐさ、わき柱、サッシ及びかまち)を製作する方法を提供している。例えば、本発明の繊維強化ポリマーから構成される全体構造、又はその相当な部分を有するドア枠及び窓敷居を製作するために、ポリマーを製造するのに使用される諸成分(例えば、イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物)が混合され、そして混合物が目的のドア枠部品を構成する内部容積を有する型内に注がれる。あるいは、型は、ドアのプラント・オン(plant-on)構造を製造するよう設計されてもよい。あるいは、型は、窓部品又は窓枠部品を製造するよう設計されてもよい。サイディング、シャッター及び/又はこけら板を製造するよう設計された型が使用されてもよい。通常、本発明の方法は、目的の建築用部品を製造するのに使用される標準の型で用いられる。一実施形態において、型は、溝彫り又はその他の装飾的形状を備えていてよい。かかる付加的な形状が含まれている場合には、表面のポリマー層は付加的な形状を含むだろう。
【0176】
更なる形態において、本発明は、繊維強化複合体を製造するためのシステムを提供している。このシステムは、導入装置及び型を備える。ある実施形態において、型は、建築用構造物を製作する形に作られている。導入装置は、ポリマー樹脂を製造するのに使用される少なくとも2つの成分を混合するための混合器(例えば、ミキシングヘッド)を備えている。該装置は、繊維を所定の長さに細断するための細断器を更に備えることができる。また、導入装置は、繊維及び樹脂を型の表面上に分配するディスペンサを備えていてよい。一実施形態では、このディスペンサは吹付け器から構成されている。あるいは、このディスペンサは、インジェクタから構成されていてよい。あるいは、ディスペンサは繊維及び/又は樹脂を型に注ぐのでもよい。混合器及びディスペンサは、導入装置の単一構成要素内に位置していてよい。導入装置は、樹脂諸成分及び/又は他の添加剤をミキシングヘッドに供給するための導管を更に備えることができる。また、導入装置及びその部品は、ディスペンサを型の種々の部分に位置させるために可動とすることができる。
【0177】
本発明のシステムのある実施形態を図10に示す。ある実施形態において、該システムは、長繊維噴射(LFI)技術により繊維強化ポリマー複合体を作成するのに適している。従って、このシステムは、所要の寸法を有する繊維強化ポリマー複合体を収容する形に作られた、第1の半部分714及び第2の半部分716から構成される開放式の型を備えている。一実施形態において、建築用構造物がドア外板である場合、開放式の型は、第1のダイ及び第2のダイを有するダイ組立体から構成しうる。型は、ポリマー樹脂の重合に必要な温度まで加熱される。例えば、型は、温水又はオイル加熱システムを使用して加熱される。一実施形態において、型の上部分及び下部分は別個に加熱される。また、繊維−樹脂混合物に接触する型の表面は、滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。また、型からの構造体の取り出しを容易にするため、型半部分の一方又は双方をIMC715、防護塗膜717又は特定の他の被覆で覆うことができる(図10)。
【0178】
上述したように、このシステムは、第1の樹脂成分702及び第2の樹脂成分704を混合すると共に混合物を型内に注入するロボット制御のミキシングヘッド708も備えることができる。一実施形態において、第1の樹脂成分702は、イソシアネート成分であり、第2の樹脂成分704はイソシアネート反応性成分である。システムは更に、第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分をミキシングヘッド内に導入するための導管703,705を備えている。更に、システムは、ミキシングヘッドに機能的に接続されたガラス細断器706も備えている。システムは更に、繊維と混合樹脂を型の一部上に分配する機能をもつディスペンサ710(例えば、インジェクタ又は吹付け器)を備えていてよい。実施形態において、ミキシングヘッドは、繊維を樹脂成分と混ぜるような機能をもつ。代案として、細断された繊維は、樹脂混合物により被覆される前に型の表面上に供給されてもよい。あるいは、繊維及び樹脂は、それらの双方を型に供給もしくは分配するステップ中に混合されうる。ディスペンサ702及びミキシングヘッド708は、長ガラス繊維及びポリマー樹脂712から構成される混合物を型に供給しながら開放式の型714上を移動するようプログラムされたロボットに装着することができる。
【0179】
上述したように、繊維強化複合体(例えば、ドア外板)の型からの取り出しを容易にするため、離型剤を複合体又は型に付加することができる。ある実施形態において、離型剤は樹脂混合物の一部として(即ち、内部用離型剤として)含まれていてよい。内部用離型剤としては、離型剤は、ドア外板製造産業で使用されるワックス・ベース又はシリコン・ベース離型剤のような化合物でよい。また、さらに、型内コーティング(IMC)715を型の表面上に吹き付けてもよい。ある実施形態において、IMCは、上述したような離型剤か、又は例えばシリコン等のような、ポリマー複合体がダイ又は型表面に固着するのを防止するために効果的であるとして複合体を圧縮する技術で周知の反結合性剤でもよい。あるいは、IMCは顔料であってよい。更に別の実施形態において、IMCは防護塗膜でもよい。また、さらに、防護塗膜層717をダイの表面、又は型の表面に予め付着されていたIMC715の上に付着させてもよい。
【0180】
一度混合物を型の第1の部分714(例えば、下方部)に適用したら、型の第2の部分716(例えば、上方部)が下げられ(即ち、型は閉じられる)、樹脂成分が重合するときに繊維強化複合体が形成される。樹脂がポリウレタンである場合、ポリマーは幾分か発泡し、膨張して型を満たす。数分後、反応がほぼ完了するので、型を開き構造物を取り出すことができる。結果として得られる繊維強化複合体718(例えば、ドア外板)はどけて置き硬化を完了させる。
【0181】
型は目的の建築用構造物を形成する形に作られている。一実施形態において、型は、ドア外板をプレスするような形に作られた2つのダイから構成されている。型は、ドア外板がパネルを構成するような形に作られている。例えば、実施形態において、第1のダイは、少なくとも1つの凹部719を含んだ面を有する雌型ダイであり、第2のダイは、最終的なドア外板が図1及び図2に示したようなパネルを形成するように、第1のダイ上の凹部にほぼ適合する凸部720を有する雄型ダイである。ドア外板は滑らかであってもよく、あるいは木目を模して設計された模様を有していてもよい。滑らかな表面を有するドア外板を製作するには、ダイのうち少なくとも一方は研磨されて滑らかな仕上げにされる。木目に似た表面を有するドア外板を製作するには、2つのダイの少なくとも一方は表面にエッチングされた模様を含みうる。
【0182】
型は、型内で重合が起きているときに重合の温度を制御する手段を備えていてよい。型がドア外板を形成するダイを有する場合、該ダイの少なくとも一方がダイ温度を制御する手段を含みうる。
【0183】
型は、技術的に標準の市販の型でよい。上述したように、型は、必要に応じて製品に圧力をかけることができなければならない。型の表面は、鋼、アルミニウム、エナメル、テフロン(登録商標)、エポキシ樹脂又は他のポリマー材料でよい。型の表面は、例えば、硬質クロムによりクロムメッキされてもよい。ある実施形態において、型の表面は研磨されていてもよい。ある実施形態において、型は、繊維充填ポリウレタンの流れ及び硬化を最大化できるような温度に設定されるよう温度制御される。例えば通常、ポリウレタンを形成するポリイソシアネートの反応は30℃〜90℃(86°F〜194°F)の型温度で行われる。例えば、実施形態において、型は、温水又はオイル加熱システムを使用して加熱される。
【0184】
型は、製作される建築用構造物に要求されたように設計されている。従って、一実施形態において、型が閉じたときに、これらダイは所定の距離だけ離れている。例えば、ドア外板へのLFI技術の適用は、非常に薄い構造の製造に関連したものである。従って、パネル、覆い、又はドア外板のような薄層構造体の製造の場合については、両ダイは、ダイが閉じられたときに約1.0〜0.05インチ(25.4mm〜1.3mm)の範囲内の距離だけ離間している。別の実施形態において、両ダイは、該ダイが閉じられたとき約0.8〜0.08インチ(20.3mm〜2.0mm)、又はダイが閉じられたとき約0.5〜0.1インチ(12.7mm〜2.5mm)、又はダイが閉じられたとき約0.15〜0.11インチ(3.8mm〜2.8mm)の範囲内の距離だけ隔てられていてよい。本発明の方法及び本発明のシステムの更なる詳細については、特定の実施形態に関し以下に記載する。
【0185】
従って、ここに記載するように、本発明の実施形態は、建築用構造物に使用するためのポリウレタン及びガラス繊維から構成される繊維強化複合体を提供する。繊維強化ポリマー複合体の一部にガラス繊維を使用することは、ドア製造技術において説明されている。例えば、米国特許第5,074,087号及び第5,075,059号は、ドア外板の外部表面に木目模様をつける型を使用し、圧縮成形されたガラス繊維ポリエステル樹脂から作られたドア外板で製作されるドアについて記載している。また、米国特許公報第2003/0226383号は、成形されたときに既定の収縮率を有する成形複合体から作成されるガラス繊維ドア外板について記載している。
【0186】
更に、技術的に既知であるこれら及び他のガラス繊維ドア外板は、SMCや、バルクモールディングコンパウンド技術を用いて製作されるポリエステル−ガラス繊維外板であってもよい。SMCは、熱硬化性又は熱可塑性のガラス繊維強化化合物であって、シート状に作成され、巻かれてコイル状になり、その後自己接着を防止するためにプラスチックフィルムが挟み込まれる。SMCのプレミックスは、25mm〜50mmの長さに細断されたガラスストランドから行われ、その上に樹脂ペーストが付着される。プレミックスは、SMCが巻かれてロールになる前にストランドの含浸を完全に確実にするため圧縮システムに通されることもある。SMCのマットは、細断ガラスのロービング又はマット等を含むポリエチレンフィルム製の2枚の移動シート上に、混合樹脂、充填材、成熟剤、触媒及び離型剤を供給することにより形成されうる。SMCのプレミックスは、通常、マットを所望の形状に成形する前に数日間保管され、成形可能な粘度にまで濃くさせる。SMCは熱可塑性樹脂を必要としているので、シートの予形成に次いで成形し、最終外形にする。
【0187】
その一方で、本発明は、繊維強化ポリマー複合体の製造のために、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂の使用することについて記載している。例えば本発明は、ある実施形態において、ドア外板及びその他の建築用構造物への使用のための薄層のポリウレタンガラス繊維構造体の製造を含む。また、ここに記載されているように、本発明の繊維強化複合体は、ドア枠部品、窓部品、サイディング等のために使用しうる。薄層のポリウレタン繊維強化ポリマー構造体の利点は多々あるが、例えばVOCの放出量低下や、線熱膨脹特性が改善された制御された密度を有する製品を製作できることが含まれる。
【0188】
本発明の方法又はシステムいずれかの実施形態では、長繊維強化繊維からなるポリウレタン複合体を形成するため、長繊維噴射(LFI)技術を利用している。ある実施形態において、長繊維は、エレクトロニックガラス(即ち、E−ガラス)等のようなガラスである。LFIのために、樹脂及び繊維を型に導入するのに使用されるガラスミキシングヘッドにチョッパーガンが取り付けられる。このミキシングヘッド及びチョッパーは、長ガラス繊維と混合ポリウレタン成分の双方を吹込み又は開放注入方法で供給しながら開いた型の上を移動するようプログラムされたロボットに装着されていてよい。繊維強化ポリマー複合体の表面の性質は、ある程度は、同複合体を成形するのに使用される型により決定される。吹込み又は注入の最後に、部品を形成するため型が閉じられる。
【0189】
本発明の更なる詳細及び利点は以下の実施例から明らかとなろう。
【実施例】
【0190】
以下の実施例は、本発明の繊維強化複合体の特定の実施形態、並びに本発明の方法及びシステムの特定の実施形態について記載している。
【0191】
(ガラス繊維強化ポリウレタンパネル及びドア外板)
実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、壁又はドアユニットに使用されるようなドア外板又はパネルである。ある実施形態において、ドア外板又はパネルは、覆いたい構造の枠の周りを少なくとも部分的に巻くことができる舌状部を備えている。例えば、舌状部は、ドア枠の製作に用いるレールもしくは框を包む。これらの舌状部は互いに完全に重なり合う大きさに作られている。代案として、ドア外板又はパネルは直角へりを有する平らな形状であってもよい。
【0192】
図1に示すように6枚のパネルを有するドア外板は、本発明の繊維強化複合体を用いて製作された。従って、図1のドア外板について示されているように、ある実施形態において、本発明のドア外板は、成形パネルから構成しうる。例えば、実施形態において、ドア外板は、技術的に既知のパネル設計を用いて、0〜15個のパネルから構成される。ドア外板のモールディングの詳細は、表面から90°よりも大きく、また、表面の上方及び/又は下方にある。ドア外板は、明り取り(light insert)(例えば、半透明パネル又は窓)がドアに欠かせないものとしてドアに据え付けられるか、又はドアが組み立てられた後に据え付けられるための開口を有している。
【0193】
ある実施形態において、ドア外板は、ガラス繊維10%〜60%、ポリウレタン40%〜90%、着色剤、UV安定剤及び難燃剤のような添加剤0〜8%の組成で構成されている。例えば、ガラス繊維40%及びポリウレタン60%の混合物を有する繊維強化複合体ドア外板は、実施例2で後述する本発明の方法及びシステムを用いて用意された。
【0194】
また、本発明のドア外板の製造の際に離型剤を使用しうる。離型剤は、通常約2%以下の濃度でドア外板に内在してもよく、あるいは離型剤は、同じ濃度でドア外板の外部表面に塗装されてもよい。離型剤として使用してよい化合物の例にはここで記載した離型剤がある。
【0195】
また、さらに、型内コーティング(IMC)の適用によりドア外板にコーティングを施すことができる(即ち、ガラス繊維及びウレタンの使用前にダイ表面に塗装される)。IMCとして使用してよい化合物の例には、着色した脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又は認容可能な性能及び見栄えを有する他のコーティングがある。
【0196】
また、さらに、ここに記載したような防護塗膜をドア外板に付着させてもよい。この防護塗膜は、IMCとドア外板との間に付着させても、又はIMCなしにドア外板に直接に付着させてもよい。防護塗膜は吹付け、カーテンコート又は技術的に周知の他の適用システムを通じて付加しうる。防護塗膜の例にはバイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。例えば、実施例2に記載したように本発明の方法及びシステムを使用して、上述のガラス繊維40%及びポリウレタン60%で製作したドア外板は、0.008インチのベイテック(BAYTEC(登録商標))156(バイエル・ケミカル・カンパニー(Bayer Chemical Company))の防護塗膜層と、0.003インチの脂肪族ポリウレタンのIMC層とをまた含んでいる(Titan)。
【0197】
本発明のドア外板は、薄層化された複合体であってよい。通常、ドア外板は、長さ97インチ(2.46m)、幅49インチ(1.24m)程度の大きさか、又は長さ60インチ(1.52m)、幅9インチ(0.23m)程度の小ささをもつ、平らな板である。また、ドア外板は、通常、厚さ0.130インチ(3.30mm)未満である。特定の実施形態においては、ドア外板は、厚さ0.09インチ(2.29mm)未満である。例えば、本発明の方法及びシステムを用いて製作された繊維強化ドア外板は、36.25インチ×80.5インチ(921mm×204cm)の寸法を有している。更に、最終製品の用途に応じ、本発明の方法及びシステムを用いて他の大きさを製造することもできる。
【0198】
本発明のドア外板は、先行技術の繊維充填SMCドア外板と比較して小さい密度をもつ。ある実施形態において、本発明のドア外板は、約20pcf〜110pcf(即ち、約320.4〜1762kg/m3)の範囲内の密度を有している。他の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体ドア外板は、約30pcf〜100pcf(即ち約480.6〜1602kg/m3)又は35pcf〜95pcf(即ち、約560.7〜1522kg/m3)の範囲内の密度を有している。例えば、本発明の繊維強化複合体を用いて製作された繊維強化ドア外板は78pcf(1250kg/m3)の測定密度を有していた。
【0199】
また、上述したように、本発明のドア外板は、木製ドア外板と比較して改善された熱安定性を有している。例えば、本発明の方法を使用して製作されたドア外板は、約15×10−6mm/mm/℃の熱膨張係数を有する。
【0200】
また、本発明のドア外板は、改善された弾性特性を有している。例えば、ある実施形態において、本発明の方法を使用して製作されたドア外板は、約280Kpsi(即ち約19,691Kg/cm)の弾性率を有している。従って、本発明の繊維強化複合体ドア外板は、問題なく取り扱うのに十分な堅さを有するが、温度変化のため外板の寸法が変化したときにドアが歪むほどは堅くない。また、実施形態において、本発明のLFI外板は、工業試験標準を使用して良好な水分吸収及び損失を有している。
【0201】
また、ある実施形態において、本発明のガラス繊維ドア外板は、非常に湿った又は乾燥した条件(例えば、24時間の水浸;24時間のオーブン乾燥;湿度93%に72時間の露出及び/又は1時間の煮沸)のそれぞれにさらしたときの膨張及び収縮が木材ベースの複合体から製作されたドア外板と比較して好ましいレベルを有している。
【0202】
ドア外板は、環境にさらされる表面積が大きい特質がある。従って、製造中の揮発性有機化合物(VOC)の放出は問題である。本発明のドア外板は、この技術分野で一般的に使用されているポリエステル及び他の樹脂とはちがい、ポリウレタンを使用して製作されているので、ドア外板は基本的にスチレン・フリーである。従って、SMC樹脂を用いて製作された繊維充填ドア外板と比較してVOC放出を相当に低減させることができる。
【0203】
(薄層の繊維充填ポリウレタン複合体の製造)
図10は、薄層ドア外板のような、LFIによる繊維充填ポリウレタン複合体の製造のためにLFIを使用する概略を示している。従って、図10に示すように、所要の寸法を有する繊維強化ポリマー複合体を収容する形に作られた、第1の半部分714及び第2の半部分716から構成される開放式の型又はダイ一式が使用される。この型は、温水又はオイル加熱システムを使用して約120〜190°F(49℃〜88℃)の温度まで加熱される。実施形態において、型の上部分及び下部分は別々に、それぞれ約120〜190°F(49℃〜88℃)の範囲内の温度まで加熱される。型の個々の表面は、滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。任意であるが、型半部分の一方又は双方は、離型剤、コーティング及び/又は防護塗膜で被覆されていてよい。繊維強化ガラス繊維707は、型(即ち、下方のダイ)の表面上への導入のためチョッパーガン706に供給される。ポリマー樹脂を製造するのに用いられる液体成分702及び704は、(A)イソシアネート(例えば、702)、及び(B)イソシアネート反応性化合物(例えば、704)を含み、後者には、例えば、この技術分野において市販されている既知のイソシアネート反応性ポリオールである、ビーエイエスエフ(BASF)のElastoflex(エラストフレックス)E130−002(ニュージャージー州マウント・オリーブ(Mount Olive, NJ))や、バイエルの製品のバイダール(BAYDUR(登録商標))があるが、これらに限定されない。必要ならば、重合が反応性成分(例えば、A又はB)の混合の際に起こるように追加の添加剤(例えば、着色剤、離型剤、触媒、発泡剤)が樹脂成分(例えば、A及びB)の一部として含まれていてよい。一度2種の樹脂成分と全添加剤とが一緒に混合されたら、樹脂混合物は、細断されたガラス繊維707と共に流れとして型に加えられる。ある実施形態においては、これらが流れに導入されているときに、樹脂及びガラス繊維が混合される。通常、ガラス繊維は、長さが約0.5インチ以上に細断される(エレクトロニック・ガラス(Electronic Glass);例えばオーエンス・コーニング(Owens Corning)又はギブソン・ファイバーガラス(Gibson FiberGlass))。次に、ガラス繊維−樹脂の流れを型に加える。実施形態において、型にLFI混合物を加えるプロセスは、このプロセスのために開発されたエルエフアイパー(LFI−PUR(登録商標))ユニット(クラウス・マッフェイ(Krauss Maffei);英国)を用いて行われる。このLFI−PURユニットは、ガラス繊維を細断する、ミキシングヘッド708に取り付けられたガラスチョッパーガン706を備えている。ミキシングヘッドは、長ガラス繊維及びポリウレタン712の双方を開放注入又は吹付け方法で供給もしくは分配させながら開放式の型714上を移動するようプログラムされたロボットに装着されている。適用状態に依存するが、注入時間は約5秒〜約2分かかる。
【0204】
上述したように、型からのドア外板の取り出しを容易にするため、離型剤を外板又は型に付加することができる。実施形態において、離型剤はポリウレタン混合物の一部として(即ち、内部用離型剤として)含まれている。内部用離型剤については、離型剤は、ドア外板製造産業で使用されるワックス・ベース又はシリコン・ベースの離型剤のような化合物である。
【0205】
また、さらに、型内コーティング(IMC)715を型の表面上に吹き付けてもよい。実施形態において、型内コーティングは、複合体を圧縮する技術において、ポリマー複合体がダイ又は型表面に固着するのを防止するために効果的であると知られている、脂肪族ウレタン等のような、反結合性剤であってよい。また、IMCは、ドア外板の表面に着色するための顔料であってよい。
【0206】
また、さらに、防護塗膜717をダイの表面に、又は型の表面に予め付着されていたIMC715の上に付着させてもよい。防護塗膜は、バイエル社のベイテック(BAYTEC(登録商標))SPR−156Dのように、ドア外板の特性及び/又は見た目を向上させる任意の材料でよい。
【0207】
一度混合物をダイの下半部分714に加えたら、上方(例えば、雄型)ダイ716が下げられ(即ち、型は閉じられる)、イソシアネート−ポリオール混合物の架橋によりポリウレタン/ガラス繊維複合体が形成される。LFIにおいて、ポリウレタンはある程度発泡し、膨張して型を満たす。約0.5〜3分後、反応がほとんど完了するので、型を開き、ドア外板718を取り出すことができる。結果として得られる繊維強化複合体718(例えば、ドア外板)はどけて置き、硬化を完了させる。
【0208】
1つのドア外板を形成する全LFIサイクルには約2〜5分を要する。各サイクルの後、注入ヘッドは、不要な重合及び/又は繊維積層を防止するために、有機溶剤、蒸気、又は他の溶媒により清掃される。
【0209】
繊維強化複合体をLFIにより形成した後、硬化させる。硬化の殆どは型の内側で行われるので、成形された複合体は、型から一旦取り出したら、傍らに置いておき反応を完了させる。例えば、一実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は型内で少なくとも80%硬化され、残りの硬化は、複合体を室温で約1時間そのままにしておくことにより行われる。あるいは、部品は、例えば薄層の複合体を用いてドア又は窓部品用の非平面の薄層覆いを製作する場合、ダイ組立体からの取出し後、再成形してもよい。ある実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は更に処理されてもよい。例えば、一実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は外側表面を塗られてもよい。
【0210】
このようにして、本発明は、建築用構造物において使用される繊維強化ポリウレタン複合体の製造に関する方法及び構成を提供する。本発明の実施形態は、様々な利点及び特徴を提供する。例えば、本発明の利点の一つは、高い引張り強度、耐衝撃性、良好な断熱性能、熱による耐膨張及び耐収縮性、低密度/軽重量のような1つ以上の構造的特性をもつ、繊維強化ポリウレタンから製作された繊維強化複合体を提供することである。
【0211】
また本発明は、技術的に周知の方法により製作されたガラス繊維繊維強化ポリマー複合体と比較してVOCの放出が少ない、繊維強化ポリウレタンから製作された繊維強化複合体を提供することが有利である。ポリウレタン/ガラス繊維複合体はスチレンがないので、VOCは、皆無ではないにしろ大幅に減少する。
【0212】
加えて、本発明の繊維強化複合体に使用されるLFIプロセスは基本的に一工程のプロセスである。従って、SMCを基本とした技術において行われているように、ポリウレタン混合物を繊維のマットへ付加する必要はない。また、プロセスの閉鎖性のため、作業環境に放出されるガラス繊維の量が大幅に減少する。
【0213】
本発明は、密度を制御する能力と、得られた繊維強化複合体に順応性があることが有利である。実施形態において、ドア外板は、SMCを基本とした技術を用いて製作されたドア外板と比較して、重量が軽く、密度も低い。本発明のポリウレタン・ベースの複合体が軽量である理由の1つは、空気が発泡剤として作用するためである。また、ドア外板は、複合体に使用されるガラス繊維よりポリウレタンの量を増すことにより、SMC技術を用いて製作されたドア外板と比べて低い密度を有するように形成されていてよい。代わりに、ドア外板は、複合体に使用されるガラス繊維よりポリウレタンの量を減らすことによって、SMC技術を用いて製作されたドア外板と比べて高い密度を有するように形成されていてもよい。同様に、繊維強化複合体の結果として得られた順応性は、最終製品における繊維、ポリウレタン、架橋及び発泡の相対レベルを制御することにより調節されうる。
【0214】
ポリエステルが繊維を包み込むだけなのに対して、ポリウレタンは実際に繊維に結合するので、本発明で種々のガラス繊維等級を使用できることは更に有利である。例えば、ポリエステルと共に用いられる繊維は、ポリエステルを吸収する粗面を一般的に必要とする。本発明においては、このような粗面繊維は必要ない。
【0215】
また、本発明の繊維強化複合体は、優れた機械的特性を有している。例えば、実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、熱による膨張及び収縮に対する高い耐性、並びに熱による剥離及び割れに対する高い耐性を示す。加えて、ポリエステル樹脂で製作された繊維強化複合体と比較すると、凹み又は曲げに対する耐性の向上及び機械加工に対する性能の向上をもたらす。
【0216】
また、本発明の実施形態は、引掻きに対して高い抵抗性を有しながらも、塗装されて見た目に美しい表面をもたらす繊維強化複合体を提供する。加えて、IMCの一部として下塗り剤又は着色剤を含んだり、あるいは型に吹き付けるのに用いる防護塗膜を含んだりすることを可能にする。このようにして、外板は、成形ステップの一部として下塗りされるか又は塗装されることができる。
【0217】
SMCと比較して、LFIに必要とされる設備の資本コストが減少することは更に有利である。従って、必要に応じて、多かれ少なかれこの技術が取り入れられる。
【0218】
更に、LFIの使用は、もっと高い割合で繊維を用いることを可能にする。繊維は樹脂よりも安価であるから、製品の大幅なコスト節約及び性能の向上という結果をうむ。
【0219】
上述した諸要素の各々が、又は2つ以上を組み合わせ、記載してきたものとは異なる適用例にも有用性を見い出しうることが分かるであろう。本発明を、繊維強化複合体を作成するシステム及び方法として図解し説明してきたが、本発明の精神から何ら逸脱することなく種々の改変及び代替を行うことができ、記述の詳細に限定するものではない。このような次第であるから、ここに開示した本発明の更なる改変例及び均等例は、当業者による通常の実験にすぎず、そのような改変例及び均等例は上述した本発明の精神及び範囲内にあるものと確信される。この明細書において参照した全ての特許及び公開特許出願の全ては参照によりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1A】本発明の実施形態によるドア外板を斜視図で示している。
【図1B】本発明の実施形態によるドア外板の外観部分を横断面図で示している。
【図2A】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2B】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2C】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2D】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2E】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2F】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図3A】本発明の実施形態の1つによる別のドア外板を例示している。
【図3B】本発明の実施形態の1つによる別のドア外板を例示している。
【図3C】図3Bで示されたドア外板の外観部分を横断面図で示している。
【図4A】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4B】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4C】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4D】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図5A】本発明の実施形態に基づく、ドア又は横窓内へガラス板を挿入するためのパネルを斜視図で示している。
【図5B】本発明の実施形態に基づく、ドア又は横窓内へガラス板を挿入するためのパネルを断面図で示している。
【図6】本発明の実施形態に基づく、車両一台用の複合体ガレージドアの斜視図を示している。
【図7A】本発明の実施形態に基づくドア枠を例示するもので、ドア枠の一部を分解図で示し、特に横ドア枠、まぐさ枠、及び敷居を示している。
【図7B】本発明の実施形態に基づくドア枠を例示するもので、横ドア枠の横断面図を例示している。
【図8A】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、サイディング部品を例示している。
【図8B】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、シャッターカバーを例示している。
【図8C】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、窓及び諸部品を例示している。
【図8D】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、窓用のガラス押し縁を例示している。
【図9】本発明の実施形態に基づいて長繊維噴射(LFI)により製作される繊維強化複合体の製造についてのフローチャートを例示している。
【図10】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体ドア外板の製造用システムの概略表示である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化複合体、それらの製造、及び建築用構造物等におけるそれらの使用に関するものである。
【0002】
(関連出願の表示)
本出願は、米国連邦法規集第35編119(e)条により、「繊維強化熱硬化性ポリマー複合体並びにそれを製造する方法及びシステム」と題する2004年4月21日出願の米国仮特許出願第60/564,073号、「繊維強化ポリマー複合体並びにそれを製造する方法及びシステム」と題する2004年10月14日出願の米国仮特許出願第60/618,651号、及び「繊維強化ポリマー複合体」と題する2005年1月12日出願の米国仮特許出願第60/643,207号からの優先権を主張している。各仮出願の開示内容は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ドア、窓、壁パネル及びその他の形式の建築用構造物は、永年にわたり木材や天然繊維素材の材料から製造されてきた。今もなお、ドア、窓、壁パネルのような伝統的な木製建築用構造物は、見た目の美しさはよいが、幾つかの欠点に悩まされている。例えば、中実の木製ドアは、温度及び湿度の両極端な状態に反応すると、相当な収縮や膨張に悩むことがある。また、出入口を通り搬送される物体は、ドアやドア枠に衝突しやすい。従って、下層にある構造物の健全性を保つように、天然木材製のドアや窓の仕上げを維持することが重要となるだろう。加えて多くの構造物の耐火についての基準が強化されており、木製ドアを、より耐火性のある材料に交換する必要がある。
【0004】
金属ドア及び金属窓のような金属製の建築用構造物は、相対的なコストと断熱性能の点から見て木製ドアに優る利点を持ち得る。それでも、金属製の建築用構造物は凹んだりさび付いたりする可能性がある。また、金属製の建築用構造物の設計には制限がある。例えば、飾りや鏡板のような三次元形状を金属ドアの外表面に付与するのは困難だろう。その上、金属ドアの表面は温度の変化に対して特に強いわけではないため、金属ドアは、暑い環境及び寒い環境では熱くなったり冷たくなったりする。以上の理由があり、また、金属ドアは木製ドアほど見た目が美しいものではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維強化複合体を提供する。一形態において、繊維強化複合体は繊維及びポリマー樹脂を含んでいる。本発明の繊維強化複合体は、上述した欠点を克服しうると共に、多くの付加的利点をもたらしうる。また、本発明は、繊維強化複合体を製造するための方法及びシステムをも提供する。
【0006】
別の形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を提供する。建築用構造物は、家屋、共同住宅、事務所用ビル、店舗及び/あるいはその他の居住用又は商用構造のような建造物において使用される構成材である。従って、ここで使用される用語「構造物」とは、複数の部品から構成される品目のうちの一部品又は相互結合された部品の組立体である。本発明の建築用構造物には、ドア、ドア外板、壁又はドア用の構造パネル(例えば、ガレージ用ドアパネル)、ドア枠部品、ドア又は窓部品(例えば、窓及びドア枠用の覆い、ドア用プラント・オン(plant-ons))、こけら板(shingle)、シャッター、サイディング、及びかかる構造物の部品が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
更なる態様として、本発明は、繊維強化複合体を製造するための方法を提供する。追加の態様として、本発明は、繊維強化複合体を製造するためのシステムを提供する。他の態様において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を製造するための方法及びシステムを提供している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、繊維強化複合体の熱安定性を改善し、可撓性及び強度を改善し、密度を低下させ、並びに製造中における揮発性有機化合物(VOCs)の放出を減少させることである。
【0009】
本発明のこれら形態の各々に関する更に詳細な記述は、以下の説明、図面、特許請求の範囲に記載されている。本発明は、以下の説明、図面、特許請求の範囲に記載されている詳細な記述への適用に限定されるのではなく、他の実施形態も可能であり、また、種々の仕方で実施もしくは実行可能であることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書のため、特に指示しない限り、明細書で使用されている材料、反応条件及びその他の量を表す数字は、どの場合も用語「およそ」で修飾されているものと理解すべきである。従って、反対の指示がない限り、以下の明細書に記載された数値パラメータは、本発明により得られると思われる所望の特性次第で変わりうる近似値である。特許請求の範囲の均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数を考慮に入れ、かつ通常の丸めの技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0011】
本発明の広義の範囲を定義する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において定義された数値はできるだけ精確に記載されている。しかしながら、どの数値も、試験測定値に認められる標準偏差から必然的に生ずる一定の誤差を本来含んでいる。更に、ここに開示された範囲は全て、そこに含まれるあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、記載された範囲が“1〜10”である場合、それは、最小値1と最大値10との間(及び最小値、最大値を含んでいる、)のあらゆる部分範囲、即ち、最小値1以上で始まり、例えば1から6.1、最大値10以下で終わる、例えば5.5から10の部分範囲も含んでいる、と考えられるべきである。更に、「ここに組み込まれる」と引用されている記載は、引用の全てが組み込まれるものと理解されるべきである。
【0012】
更に、この明細書で使用されているような単数形の用語は、指示対象が1つであると明白にかつ疑いの余地なく限定されていない限り、複数の指示対象を含んでいることに留意されたい。
【0013】
上述したように、本発明の実施形態は、繊維強化ポリマー複合体、並びに繊維強化ポリマー複合体を製造するための方法及びシステムを含む。また、本発明の実施形態には、本発明の繊維強化複合体を含んだ建築用構造物、例えば、ドア、ドア外板、壁又はドア用の構造パネル(例えば、ガレージ用ドアパネル)、ドア枠部品、ドア及び窓部品(例えば、窓部品、窓枠及びドア枠用の覆い、ドア用プラント・オン)、こけら板、シャッター、サイディング、及び繊維強化ポリマー複合体から構成されるその他の建築用構造物が含まれる。
【0014】
本発明の建築用構造物の実施形態の例には、ドアの外側表面を形成するためドアの骨組みを覆うのに使用されるドア外板が含まれる。かかるドア外板は、数ミリメートル(mm)の厚さにすぎないが、数平方フィートかそれ以上の表面面積を有することがある。例えば、シングルガレージ用ドアパネルは、幅約24インチ(61cm)×長さ約112インチ(28.45cm)×厚さ約1/8インチ(3.2mm)となりうる。本発明の薄層構造物の他の例には、建築用部品に使用される覆い、例えば、ドア枠部品(例えば、わき柱、横梁)及び窓部品用の覆い、成形サイディング(例えば、木製に見えるよう設計された外側サイディング)、ドア及び/又は壁用パネル、並びにこけら板等がある。ここで使用されているパネルとは、ある軸に沿った厚さが他の2つの軸に沿った厚さよりも相当薄い構造を有するものである。本発明の建築用構造物は単層の繊維強化複合体から構成されうるが、枠、基材又は心材のような付加的な部品を有する構造の一部として薄層の構造物が使用されてもよい。
【0015】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、繊維及びポリマー樹脂を含む。繊維成分は通常、細断された、また、そうでなければ切断された繊維の房であり、そのため該構造物は複数の繊維片を含むこととなる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、繊維強化複合体の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術により製造される。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、繊維及びポリマー樹脂を含む繊維強化複合体建築用構造物である。
【0017】
繊維強化複合体建築用構造物のポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含み得る。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含み得る。
【0018】
本発明の建築用構造物に用いられる繊維はガラス繊維を含むことができる。繊維は、長さが約5mm〜約100mmでよい。実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、繊維強化複合体の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術により製造される。
【0019】
本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、触媒、発泡剤、又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、非繊維の充填材を含んでもよい。また、さらに、繊維強化複合体建築用構造物は、着色剤を含んでもよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0020】
本発明は、本発明の繊維強化複合体を含む様々な建築用構造物を提供する。一実施形態において、本発明の建築用構造物は、実質的に平坦もしくは平面的な構造物(planar structure)である。例えば、繊維強化複合体建築用構造物はドア外板でよい。あるいは、建築用構造物はドアパネルでよい。
【0021】
別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、実質的に平面的ではない面を備えている。例えば、一実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は、覆いを有することができる。もう一つの実施形態において、建築用構造物は、ドア枠、又はドア枠の一部を有することができる。あるいは、建築用構造物は、窓枠又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり又は模擬桟付きガラス窓(SDL=simulated divided light)のバー(例えば、桟)のような窓部品を有してもよい。他の代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体建築用構造物は、サイディング、シャッター、又はこけら板を有していてもよい。
【0022】
実施形態において、本発明は、繊維及びポリマー樹脂を含む繊維強化複合体ドア外板を提供する。本発明の繊維強化複合体ドア外板は、屋内及び屋外通路ドア、ガレージドア、パティオドア及びその他の種類のドアの部品として使用されうる。
【0023】
本発明の他の繊維強化複合体建築用構造物と同様に、繊維強化複合体ドア外板のポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含んでもよい。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでいてもよい。
【0024】
本発明のドア外板に用いられる繊維はガラス繊維を含んでよい。実施形態において、繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されてはいない。従って、実施形態において、繊維強化複合体ドア外板の繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、長繊維噴射(LFI)技術により製造されうる。
【0025】
本発明の繊維強化複合体ドア外板は、触媒、発泡剤、及び/又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、非繊維の充填材を含んでいてよい。また、さらに、繊維強化複合体ドア外板は、着色剤を含んでいてよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0026】
ドア外板は、ドアを製作するために伝統的に使用されているドア外板として形作られ得る。例えば、本発明のドア外板は、窓ガラス板等のような半透明パネル用の開口を備え得る。一実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドア外板は、実質的に平らな輪郭を有している。ここで使用されている実質的に平らな輪郭とは、ドア外板の表面上に、ここで論じられているモールディング又はその他の形式の装飾のような凸部又は凹部を含まないドア外板である。別の実施形態においては、ドア外板はモールディングを有していてよい。ここで使用されるモールディングとは、ドア外板の表面上の凸部又は凹部としてのドア外板表面の造形である。かかるモールディングは、ここで更に論じられるような鏡板の外観及びその他の装飾効果をもたらすようドア外板表面上に設けられる。また、実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドア外板は実質的に滑らかな表面を備えていてよい。また、さらに、本発明の繊維強化複合体ドア外板は少なくとも1つの表面に木目模様を有していてよい。
【0027】
更に別の実施形態において、本発明は、繊維強化複合体として形成された繊維及びポリマー樹脂を含んだドアを提供する。本発明の他の繊維強化複合体建築用構造物と同様に、本発明の繊維強化複合体ドアのポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーを含んでいてよい。実施形態において、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでよい。
【0028】
本発明のドアに用いられる繊維はガラス繊維を含んでいてよい。繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。一実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドアは、整列した構造に配列された繊維を含むのではない。従って、実施形態において、本発明の繊維強化複合体ドアの繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、ドアに使用される繊維強化複合体は、長繊維噴射(LFI)技術を用いて製造されうる。
【0029】
本発明の繊維強化複合体ドアは、触媒、発泡剤、及び/又は他の添加剤のような成分を含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体は、非繊維の充填材を含んでいてよい。また、さらに、本発明のドアの繊維強化複合体は、着色剤を含んでいてよい。更に別の実施形態において、ドアの繊維強化複合体は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0030】
本発明の繊維強化複合体ドアは、ドアの製造に使用される種々の構造要素を含む。一実施形態において、建築用構造物はドア外板を含む。また、さらに、繊維強化複合体はドアパネルを含む。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、プラント・オン構造や、ここでより詳細に記載するような飾りその他の設計形態をドアにもたらすため使用される、他のタイプの適合されたモールディングを有しうる。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、ドアの覆いを備えることができる。
【0031】
本発明のドアは、窓ガラス板等のような半透明パネル用の開口を備えていてよい。また、一実施形態において、ドアの繊維強化複合体は、実質的に滑らかな表面を有している。また、さらに、繊維強化複合体は少なくとも1つの表面に木目模様を有していてよい。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、建築用構造物を製造するための方法である。この方法は、建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップを含む。また、この方法は、複数の繊維及びポリマー樹脂を含んだ混合物を型の表面上に供給するステップを含んでいる。この方法はまた、繊維強化ポリマー複合体を製造するのに十分な条件下で樹脂を重合させるステップを含んでいる。実施形態において、繊維強化複合体建築用構造物は長繊維噴射(LFI)技術を用いて製造され得る。
【0033】
実施形態では、本発明の方法で用いられるポリマー樹脂は熱硬化性ポリマーを含む。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含む。
【0034】
本発明の方法で使用される繊維はガラス繊維を含み得る。実施形態において、繊維は、長さ約5mm〜約100mmでよい。一実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されていない。従って、実施形態において、本発明の方法で使用される繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられていない。
【0035】
実施形態では、本発明の繊維強化複合体建築用構造物を製造する方法において、他の諸成分が使用されている。一実施形態において、充填材が繊維強化複合体建築用構造物を形成するために加えられてもよい。また、さらに、着色剤が繊維強化複合体を形成するために加えられてもよい。更に別の実施形態において、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つが、構造物の少なくとも一部に付与されてもよい。
【0036】
例えば、ある実施形態において、表面活性剤が、型又は複合体のどちらかに、あるいは双方に付与されてもよい。従って、この方法は、型上に噴射された混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを含みうる。例えば、混合物に付与される表面活性剤は離型剤又は防護塗膜である。また、さらに、この方法は、型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングでよい。
【0037】
型は、所望の建築用構造物を形成するのに必要とされるような形に作られる。一実施形態において、型は、実質的に平面的な複合体を形成するような形に作られる。例えば、型は、ドア外板を形成するような形に作られてもよい。あるいは、型は、ドアパネルを形成するような形に作られてもよい。
【0038】
他の実施形態において、型は、実質的に平面的でない構造物を形成するように形作られてもよい。従って、代替実施形態において、本発明の方法により製造される所望の建築用構造物は、覆い、ドア枠又はドア枠の一部、サイディング、シャッター、あるいはこけら板を有し得る。あるいは、建築用構造物は、窓枠か又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり又は模擬桟付きガラス窓(SDL)のバー(例えば、桟)のような窓部品を含んでもよい。
【0039】
一実施形態として、本発明は、ドア外板を製作するための方法を提供している。ドア外板を製作するこの方法は、第1のダイ及び第2のダイを備え、該ダイの双方がほぼ平らな表面を少なくとも1つ有するような型を用意するステップを含み得る。この方法は、さらに、第1のダイのほぼ平らな表面上に、複数の繊維とポリマー樹脂を含んだ混合物を供給するステップを含み得る。該方法は、その上、第2のダイのほぼ平らな表面を前記繊維及び樹脂に接触させるステップを含み得る。また、該方法は、ドア外板の形状の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で樹脂が重合するのを可能にすることを含み得る。
【0040】
一実施形態において、本発明の方法によりドア外板を製作するのに使用されるポリマー樹脂は熱硬化性ポリマーを含み得る。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンを含んでもよい。
【0041】
本発明の方法によりドア外板を製作するのに使用される繊維はガラス繊維を含んでもよい。実施形態において、繊維は長さ約5mm〜約100mmである。一実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されているのではない。従って、実施形態において、本発明の方法で使用される繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含んでいる。例えば、実施形態において、複合体内の繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。実施形態において、ドア外板を製作する方法は、長繊維噴射(LFI)技術を使用し得る。
【0042】
実施形態では、本発明の繊維強化複合体ドア外板を製造する方法において、他の諸成分が使用されている。一実施形態において、充填材が繊維強化複合体ドア外板を形成するために加えられてもよい。また、さらに、着色剤が繊維強化複合体ドア外板を形成するために加えられてもよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体ドア外板は、構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。例えば、ある実施形態において、表面活性剤を型又は複合体のどちらかに、あるいは双方に付与してもよい。このように、この方法は、ダイ上に供給された混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを含みうる。例えば、混合物に付与される表面活性剤は離型剤又は防護塗膜を含んでいてもよい。また、さらに、この方法は、一方のダイの少なくとも一表面に表面活性剤を付与することを含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングを含み得る。
【0043】
ダイは、“面一”のドア外板、即ち、実質的に全表面が平らなドア外板を形成するような形に作られていてもよい。従って、一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が平らな輪郭を有するように、実質的に平らな表面を含む。また、さらに、ダイは、表面上に凸部又は凹部を含むようなドア外板を形成する形をしていてもよい。従って、一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板がモールディングを有するように少なくとも1つの溝又は凸部を含む。例えば一実施形態において、第1のダイは少なくとも1つの凹部を含んだ表面を有する雌型ダイであり、第2のダイは少なくとも1つの凸部を含んだ雄型ダイであり、凹部及び凸部は型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている。
【0044】
ダイは、表面が滑らかなドア外板を形成するような形をしていてもよい。ここで使用される、滑らかな表面、とは、目立つほどの突起や粗さのない表面、即ち、木目の外観を模した凸部及び凹部を含まない表面である。従って一実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が少なくとも1つの滑らかな表面を有するように、実質的に滑らかな表面を含む。また、さらに、ダイは、少なくとも1つの表面上に木目模様を有するドア外板を形成するような形をしていてもよい。従って、実施形態において、繊維及びポリマー樹脂に接触するダイ表面の少なくとも1つは、繊維強化複合体ドア外板が木目模様を有する表面を少なくとも1つ有するように、木目模様を含んでいる。
【0045】
ドア外板は、所定の厚さを有している。従って、ダイは、型が閉じられたときに所定距離だけ離れている。例えば一実施形態において、この所定距離は、0.05〜1.0インチの範囲にある。
【0046】
更に別の実施態様として、本発明は、導入装置と、建築用構造物を形成する形に作られた型とを備える建築用構造物を製造するシステムである。
【0047】
実施形態において、導入装置は、ポリマー樹脂を製造するのに必要な少なくとも2種のの別個の成分を混合するための混合器を備えていてよい。システムは更に、2つの別個の樹脂成分を混合器内に導入するための導管を含んでいてよい。加えて、システムは、建築用構造物に繊維を加える手段を含む。一実施形態において、システムは、複数の繊維を所定の長さに細断するための細断器を備えることができる。
【0048】
また、システムは、複数の繊維又はポリマー樹脂の少なくとも一方を型の表面上に供給するディスペンサを備えていてよい。一実施形態において、繊維は、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む。繊維及びポリマーは型の表面全体に供給されうる。従って、実施形態において、システムは、ディスペンサを型に対して種々の異なる位置に位置決めするためのロボットコントローラを備えうる。実施形態において、繊維及び樹脂は、長繊維噴射(LFI)技術を用いて供給されうる。また、少なくとも型の一部の温度を制御する手段がシステムの一部として含まれていてもよい。
【0049】
実施形態では、本発明のシステムで使用されるポリマー樹脂は、熱硬化性ポリマーでよい。例えば、熱硬化性ポリマーはポリウレタンでよい。
【0050】
本発明のシステムで使用される繊維はガラス繊維でよい。一実施形態において、繊維は長さ約5mm〜約100mmである。実施形態において、繊維は、整列した構造に配列されていない。例えば、実施形態において、複合体における繊維は、どの次元においても意図的に互いに織り合わせられているのではない。
【0051】
実施形態では、本発明のシステムにおいて他の諸成分が使用されうる。一実施形態において、充填材が樹脂及び繊維の混合物に加えられている。また、さらに、着色剤を樹脂及び繊維の混合物に加えることができる。
【0052】
更に別の実施形態では、少なくとも型の一部、又は複合体に、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングが付与されていてよい。例えば、特定の実施形態においては、型に、又は複合体に、あるいは双方に、表面活性剤が付与されている。このようにシステムは、ダイに供給された混合物の少なくとも一部に付与される表面活性剤を含む。例えば、混合物に付与される表面活性剤は、離型剤又は防護塗膜でよい。また、さらに、システムは、型の一方の少なくとも1つの表面に付与される表面活性剤を含んでいてよい。例えば、型に付与される表面活性剤は、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングであってよい。
【0053】
システムは、種々の建築用構造物を製作するために使用されうる。ある実施形態では、建築用構造物は実質的に平面的な構造物である。例えば、繊維強化複合体のドア外板を製作するために、システムを使用しうる。システムをドア外板を製作するために使用する場合、型はドア外板をプレスする形に作られた2つのダイから構成しうる。例えば、型は第1のダイ及び第2のダイを備え、これら2つのダイの各々が少なくとも1つのほぼ平らな表面を含む。実施形態において、第1のダイは、少なくとも1つの凹部がある表面を有する雌型ダイであり、第2のダイは、少なくとも1つの凸部がある雄型ダイであり、型が閉じられたときに、凹部及び凸部が互いに位置合わせされて、少なくとも1つの表面上に凹部か凸部を備えたドア外板を形成するようになっている。あるいは、ダイは、面一のドア外板を製作するため実質的に平らであってもよい。
【0054】
また、さらに、ダイは、少なくとも1つのドア外板の表面上に滑らかな表面か木目模様のどちらかを付与する形状の表面を備えていてよい。例えば、2つのダイのうち少なくとも一方の一部は、滑らかな仕上げに研磨されていてよい。あるいは、2つのダイの少なくとも一方は、表面上に木目のようにエッチングされた模様を備えていてよい。
【0055】
本発明のシステムを用いて製作されたドア外板は所定の厚さを有する。従って、ダイは、型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている。実施形態では、例えば、所定距離は0.05インチ(1.3mm)〜1.0インチ(25.4mm)である。
【0056】
別の実施形態では、別の建築用構造物を形成するのにシステムが使用される。従って、別の実施形態において、本発明のシステムにより提供される建築用構造物は、パネル、覆い、ドア枠かドア枠の一部、サイディング、シャッター、又はこけら板であってもよい。あるいは、建築用構造物は、窓枠又は窓枠の一部、あるいはサッシ、ガラス戸当たり、又は模擬桟付きガラス窓のバー(例えば、桟)のような窓部品であってもよい。
【0057】
これまで述べたように、本発明は、繊維強化複合体と、かかる繊維強化複合体からなる建築用構造物とを含んでいる。繊維強化複合体の繊維成分は、単一種の繊維又は複数種の繊維であってよい。繊維は天然繊維でも合成繊維でもよい。適当な繊維には、ガラス繊維、鉱物繊維、木材、亜麻、ジュート又はシサル麻繊維のような天然繊維、及び/又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維又はポリウレタン繊維のような合成繊維があるが、これらに限定されない。ある実施形態では、繊維はガラス繊維である。また、ある実施形態では、ガラス繊維はエレクトロニック(Electronic)ガラス(即ち、E−ガラス)である。
【0058】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体に使用される繊維は、1mm(0.04インチ)を超える長さを有していてよい。代わりの実施形態において、繊維は、約5mm〜100mm(0.2〜3.9インチ)の範囲にある長さを有していてよい。別の実施形態において、繊維の長さは、約10mm〜70mm(0.4〜2.8インチ)、又は30mm〜50mm(1.2〜2.0インチ)の範囲にわたっていてもよい。
【0059】
本発明の繊維強化複合体の樹脂成分は、熱硬化性ポリマー樹脂とすることができる。実施形態において、樹脂は、ポリウレタンとすることができる。代わりに又は加えて、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、架橋ポリエステル、又はその他の熱硬化性ポリマーを使用してもよい。
【0060】
実施形態において、樹脂はポリウレタンでよい。特定の実施形態において、ポリウレタンは、イソシアネート基をポリオール、アミン及び/又は水のようなイソシアネート反応性化合物と反応させることにより得られる。他の実施形態において、ポリウレタンは、ジアミン類及びジオール類の混合物を用いて合成することができる。更なる実施形態において、ジアミン類の混合物を用いて合成しうる。
【0061】
ポリウレタンを合成する反応物は、反応していない状態においては、低粘度の液体である。該液体が所定の割合で混合されると、発熱性の熱硬化反応が起こり、ポリウレタン材料を生成する。従って、限定はされないが、触媒、発泡剤又は他の添加剤のような他の成分の存在下又は不存在下において、ポリイソシアネートをイソシアネート反応性のポリオールやアミンと反応させることにより得られるポリイソシアネート付加重合体からポリウレタンを構成しうる。
【0062】
イソシアネートは、当技術分野で周知のように(シクロ)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートでよい。一実施形態において、本発明の複合体を作る適当なイソシアネートとして、例えば芳香族ジイソシアネートがあり、例として、ジフェニルメタン−ジイソシアナート(“MDI”)、並びに2,4−トルエン−ジイソシアネート及び2,6−トルエン−ジイソシアネートのようなトルエンジイソシアネート(“TDI”)等があるが、これに限定されない。特定の実施形態において、芳香族イソシアネートは、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートでよい。
【0063】
適当なイソシアネート反応性化合物には、β−ジケトン基のようなCH−酸性基、OH、SH、NH、NH2から選択した2以上の反応基を有する化合物がある。例示的なイソシアネート反応性化合物の説明については、例えば、米国特許公報第2002/0160204号及び第2004/0034113号を参照されたい。これらの出願の全開示内容は参照によりここに組み込まれる。
【0064】
ポリウレタンを形成するのに使用しうる化合物の例には、ポリエーテル−ポリアミン、及び/又は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール、ヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネイトのグループからあるいはこれらポリオールのうちの少なくとも2つからなる混合物から選択したポリオールがある。実施形態では、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを使用しる。ある実施形態においては、少なくとも10%の第1ヒドロキシル基を含んだポリエーテルポリオールが使用されうる。
【0065】
特定の実施形態において、ジオールがポリウレタンの合成に用いられる。ジオールには、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又はp−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンがある。特定の実施形態において、例えば、ジエチルトルエン−ジアミン、メチレンビス(p−アミノベンゼン)及び/又は3,3’−ジクロロ−4-4’−ジアミノフェニール−メタンを含んだジアミンがポリウレタンの合成に利用されうる。
【0066】
更に、特定の実施形態において、ポリウレタンは、所望の架橋結合度を有する。特定の実施形態において、例えば、イソシアネートは、異なるポリウレタン鎖のウレタン基と反応してアロファネート架橋結合を形成する。他の実施形態において、イソシアネートは異なるポリウレタン鎖の尿素基と反応してビウレット架橋結合を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、第1ポリウレタン鎖のウレタン基と反応すると共に第2ポリウレタン鎖の尿素基と反応して、アロファネート及びビウレット架橋結合の双方を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、三量体形成してイソシアヌレートを形成し、これがポリウレタンにおける架橋結合源として作用する。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の繊維強化複合体において発泡剤が使用されうる。ここで使用されている発泡剤とは、発泡製品を製造するための周知の化合物である。ある実施形態において、発泡剤は水でもよい。物理的発泡剤のその他の例としては、ポリマー形成の条件下で蒸発しうる、4〜8個の炭素原子を有する不活性(シクロ)脂肪族炭化水素、二酸化炭素、重亜硫酸ナトリウム、又は重合条件下でガス状の泡を形成するその他の化合物がある。発泡剤の使用量は目指す泡の密度により求められる。
【0068】
ポリマー樹脂を形成するのに通例使用される触媒の幾つであっても本発明の繊維強化複合体を製造するのに使用しうる。ポリウレタンに適当な触媒としては、第3アミン及び/又は有機金属化合物がある。ポリウレタン形成のために触媒として使用されうる化合物の例には以下のものが含まれる。トリエチレンジアミン、アミノアルキル−及び/又はアミノフェニル−イミダゾール、例えば4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び/又は1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例として、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ジエチルヘキソエート及びスズ(II)ジラウレートがある;並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例として、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテートがある。
【0069】
また、ここに詳細に記載するように、反応には、セル調整剤;剥離剤、防護塗膜、及び/又は他の種類の被覆剤等の表面活性化合物;顔料又は他の着色剤;難燃剤;及び/又は酸化的、熱的、湿的、又は微生物的劣化もしくは老化に抗する安定剤;のような追加の諸成分もしくは要素を含みうる。
【0070】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、充填材を含んでいてよい。充填材は大きさが揃えられていてもいなくてもよい。充填材は、改善された自由流れ特性(free-flow properties)とポリウレタンマトリックスへの付着性とを有するよう修正されている。例えば、充填材は、ガラスフレークのようなプレートレットもしくは小片状に作られた充填材であるか、及び/又は雲母のような鉱物でよい。
【0071】
実施形態において、本発明の繊維強化複合体は長繊維強化ポリウレタンを含んでいる。長繊維強化ポリウレタンは、短繊維強化ポリウレタン、シートモールディングコンパウンド(SMC)又はバルクモールディングコンパウンド(BMC)等の他の種類の繊維強化ポリマーと比較して、改善された熱安定性及び強度を提供するという利点がある。長繊維が使用される場合、本発明の複合体は、長繊維噴射(LFI)又は、長繊維技術(LFT)のプロセスや方法により製造されうる。長繊維は前述の寸法を有する繊維を含んでいてよい。
【0072】
様々な量の繊維、更に必要ならば充填材を本発明の繊維強化複合体において使用することができる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、重量において0%〜90%よりも多い繊維と、0%〜33%の充填材を含み、残りは樹脂から構成されている。代替実施形態において、繊維強化複合体は、重量において1%〜60%の繊維と、0%〜15%の充填材と、残りは樹脂から構成されていてよい。別の実施形態において、繊維強化複合体は、重量において20%〜50%の繊維と、0%〜10%の充填材とを含み、残りは樹脂から構成されていてよい。更に別の実施形態において、繊維強化複合体は、重量において30%〜45%の繊維と、0%〜6%の充填材とを含んでいてよい。
【0073】
本発明の実施形態において、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂を使用する利点の一つは、製造中に放出される揮発性有機化合物(VOC)のレベルがポリエステル等の他の樹脂と比較して減少することである。ポリウレタンの成分は溶媒中で希釈されておらずかつスチレンが含まれていないため、VOCの放出は基本的になくなる。ある実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.1ppm未満である。別の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.05ppm未満である。更に別の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体のVOCの放出は、0.01ppm未満である。
【0074】
本発明の繊維強化複合体は、建築用構造物用にこれまで製造された他のガラス繊維複合体よりも、低い密度を有するように製造されうる。例えば、本発明の繊維強化複合体は、シートモールディングコンパウンド(SMC)のガラス繊維複合体よりも低い密度を有しうる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体の密度は、約12pcf〜110pcf(即ち、約192〜1762kg/m3)の範囲にある。構造物がドア外板、パネル又は覆いのような薄層構造である場合の実施形態では、本発明の繊維強化複合体の密度は、約20pcf〜110pcf(即ち、約320〜1762kg/m3)の範囲にある。別の実施形態において、繊維強化複合体の密度は、約30pcf〜100pcf(約481〜1602kg/m3)又は35pcf〜95pcf(約561〜1522kg/m3)である。
【0075】
本発明の繊維強化複合体は、温度の両極端(82℃を超えるか又は−40℃を下回る温度)にさらされたときの膨張及び/又は収縮を減少させるのに十分低い線熱膨張性を有しているため、複合体の性能及び外観が改善されている。例えばある実施形態では、繊維強化複合体は、出荷、保管又は使用中に達する可能性のある、約82℃を超える温度又は−40℃を下回る温度にさらされた際にも、ほぼ歪みない状態となりうる。
【0076】
ここで使用される線熱膨張とは、温度の変化(dT)に応じた対象長さの変化(dL)である。線膨張は、dL/L=a*dTと表すことができ、ここで線膨張率“a”は、一般的に約10−6/℃程度である。線膨張は、ASTM(米国材料試験協会)の試験手順D696−98又はそれに相当する手順で測定することができる。実施形態において、本発明の繊維強化複合体の線熱膨張率は、約0.1×10−6/℃〜140×10−6/℃である。実施形態において、本発明の薄層繊維強化複合体の線熱膨張率は、約0.1×10−6/℃〜50×10−6/℃である。他の実施形態において、線熱膨張率は、約0.5×10−6/℃〜25×10−6/℃、あるいは約1×10−6/℃〜15×10−6/℃である。
【0077】
本発明の繊維強化複合体の特定の使用法においては、可撓性があることが有利かもしれない。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、加圧の下で約10,000〜900,000psi(約703〜63,276kg/cm2)の範囲にある弾性率を有している。実施形態において、本発明の薄層繊維強化複合体は、SMC技術を用いて製作された繊維強化ポリマー複合体よりも可撓性がある。例えば、ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、加圧の下で約100,000〜600,000psi(約7,032〜42,194kg/cm2)の範囲内にある弾性率を有している。この弾性率は、ASTMの試験方法D-638-02又はそれに相当する方法で測定することができる。
【0078】
本発明の繊維強化複合体の厚さは意図する用途によって決められる。厚さは、実質的に均等でもよいし、複合体の全域で変化していてもよい。このように、厚さは、0.02インチに満たない厚さから約8インチを超える厚さまで(0.5mm〜20cm)及んでいてよい。例えば、約0.05〜約6インチ(13mm〜15cm)、又は約0.06〜約4インチ(1.5mm〜10cm)、又は約0.08〜約1インチ(2.0mm〜2.5cm)の範囲にわたる厚さの複合体が製作されうる。
【0079】
本発明の繊維強化複合体は、特定の実施形態において、薄層構造である。薄層は、可撓性を残しながらも、ある程度の耐衝撃性を持たせるのに十分な厚さを有する。ある実施形態において、繊維強化複合体は、実質的に均等な厚さ、0.5インチ(13mm)未満の厚さを有する。他の実施形態において、繊維強化複合体は、約0.05〜0.25インチ(1.3mm〜6.4mm)、あるいは約0.06〜約0.12インチ(1.5mm〜3.1mm)の範囲内で、実質的に均等な厚さを有している。他の実施形態において、繊維強化複合体は、約0.05〜0.5インチ(1.3mm〜13mm)の変化する厚さを有していてもよい。
【0080】
また、さらに、本発明の繊維強化複合体は、予め定めた衝撃強度を持ち得る。ある実施形態において、衝撃強度は、既定の衝撃を受けたときに、繊維強化複合体が室温(例えば、約22℃)で破損しないような強度としうる。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、ASTM試験手順D1037に基づいて行われる高さ2フィート(61cm)からの落球衝撃試験を通りうるような衝撃強度を有している。
【0081】
本発明の繊維強化複合体は、非常に湿った、あるいは乾燥した条件(例えば、24時間の水浸;24時間のオーブン乾燥;93%湿度下に72時間の露出及び/又は1時間の煮沸)それぞれにさらした際、わずかに膨張、収縮を示す。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、水浸に24時間さらした後、その総容積の変化が1%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、212°F(100℃)のオーブン内で乾燥に24時間さらした後、その総容積の変化が1%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、93%の湿度状態に72時間さらした後、その総容積の変化が0.5%未満である。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、沸騰水に1時間浸けた後、その総容積の変化が5%未満である。
【0082】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、同複合体に色を付ける内部着色剤又は顔料を含んでもよい。適当な着色剤としては、二酸化チタン、硫酸カルシウム、二酸化マンガン及びカーボンブラックがあるが、これらに限定されない。着色剤は、繊維強化複合体の製造中に同繊維強化複合体内に入れることができる。他の実施形態において、着色剤は、繊維強化複合体の形成の後に同繊維強化複合体に付与してもよい。着色剤は、当業者に知られている塗装及び/又は染色技術によって付加しうる。例えば、参照によりここに組み込まれる米国特許第6,358,614号には、無孔の熱硬化物品を染色する方法が記載されている。
【0083】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、塗装可能な表面を少なくとも1つ有しうる。ここで使用される塗装可能な表面とは、可視の欠陥、凹み、又は色むらの領域が最小であるように、塗装後の光学等級が高い表面のことである。代替実施形態においてASTM試験手順のD−714に基づいて評価した場合、本発明の複合体の表面は、表面の可視欠陥が0からサイズ4未満、又はサイズ6未満、又はサイズ8未満である。
【0084】
ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、複合体の表面の特性を調整できる化合物(即ち、表面活性剤)を含んでいてよい。例えば、表面活性剤は、複合体の表面に、既定の気孔率、又は第2表面に対する既定の付与量、又は既定の滑らかさをもたせるよう使用される。
【0085】
ある実施形態において、表面活性剤は防護塗膜でもよい。ここで使用される防護塗膜(あるいはコーティング)とは、型表面に、又は型表面上に予め付与された型内コーティング(IMC)に付着させた材料のことである。ここで使用される防護塗膜とは、気泡、繊維テレグラフィング(fiber telegraphing)、又は最終製品の表面上に欠陥を生じさせるような他の属性を防止することにより、欠陥を減少、もしくはなくすことができる、高度に樹脂質の材料のことである。防護塗膜は着色されていても無色でもよい。顔料が使用される場合、防護塗膜をIMCの代わりに用いてもよい。あるいは、複合体の表面に防護塗膜を付着してもよい。あるいは、複合体を製造するのに用いる混合物に、防護塗膜化合物を含んでいてもよい。ある実施形態において、防護塗膜は、構成物の表面特性を高める利点がある。例えば、繊維−ポリウレタン混合物の表面にあるプロセス下で形成される可能性のある小穴、泡、繊維又は繊維片/端がほとんどない表面を生成するため、防護塗膜を利用できる。防護塗膜は、エラストマー、又は非弾性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含みうる。その例として、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びその他の熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、フェノールホルムアルデヒド及びその他の熱硬化性プラスチック等が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、成形又は硬化中に繊維−ポリウレタン混合物に機械的又は化学的に結合する防護塗膜を利用すると有利であるかもしれない。防護塗膜の例には、バイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。
【0086】
また、例えば限定はされないが、離型剤コーティングのような、他の種類のコーティングも型、又は複合体に付与しうる。離型剤コーティングの例としては、アクセル(Axel)172,35-7259(アクモス(Acmos))のようなシリコン・ベース又はワックス・ベースの離型剤、あるいはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(デュポン・ケミカル・カンパニー(Dupont Chemical Company))がある。
【0087】
ある実施形態では、防護塗膜、離型剤、又は他の表面活性剤が、型内コーティング(IMC)として型の表面に、あるいは繊維強化複合体に付与されうる。防護塗膜として通常使用される剤に加えて、IMCは、色を与えたり、表面を更に仕上げたり、又はポリマー複合体が型の表面に固着するのを防止したりしうる、どのような剤を含んでいてもよい。これらの剤には、脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂等があるが、これらに限定されない。かかる表面活性剤を付与する方法については、以下で更に詳しく説明する。
【0088】
本発明の繊維強化複合体は、技術的に周知のどのような方法で製造されてもよい。本発明の繊維強化複合体を製造するのに利用されうる方法及びシステムには、ここに記載された本発明の方法及びシステムがある。
【0089】
前述したように、ある実施態様において、本発明は、本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物を提供する。本発明の繊維強化複合体から構成される建築用構造物は、ドアと、ドア外板、ドアわき柱、ドア敷居、ドア枠、ドアパネル等のドア構成部品と、窓と、窓サッシ、窓枠、模擬桟付きガラス窓部品、窓縁等の窓構成部品と、欄間と、シャッターと、模擬ブリックモールディング(simulated brick molding)等のモールディング及びサイディングと、壁と、屋根と、自立形パネル、モジュール形パネル、及び/又は他の構造物の諸要素部品(例えば、ガレージ用ドアパネル)等のパネルと、天井と、遮音壁と、これらの構造物の諸要素部品(例えば、覆い、表面パネル、プラント・オン)とを含んでいてよいが、これらに限定されない。これら建築用構造物の各々は、本発明の繊維強化複合体のため上記あるいは他の部分で述べた構成及び特性を有しうる。
【0090】
例えば、一実施形態では、繊維強化複合体は、ドア又はドアの部品としうる。近年、消費者にガラス繊維複合体ドアが受け入れられてきている。ガラス繊維複合体ドアは、湿気に対する耐性が強く、従って、木製ドアのように収縮したり膨張したりしない。また、ガラス繊維複合体ドアは、一部の木製ドアのようには化粧板の割れ及び剥れを示さない。その上、ガラス繊維複合体ドアは、木製ドアよりも安価に製造することができると共に、木製ドアと比較して断熱効率が改善されている。ガラス繊維複合体ドアは、両面をガラス繊維複合体のドア外板で囲まれ、ポリマーフォーム心材で満たされた木製枠を使用して製作されうる。ガラス繊維複合体ドア外板は、強化材料としてのガラス繊維及び添加剤と組み合わされた、ポリエステル樹脂のようなシートモールディングコンパウンドもしくはシート状形成材料から製作されうる。
【0091】
ドア外板のような繊維強化ポリマー複合体の従来の製造方法により製造されたガラス繊維複合体を使用することには、依然として幾つかの欠点がある。まず、現在使用されているガラス繊維強化ポリエステル樹脂は相当な量のVOCを放出することがある。また、熱安定性と強度を向上させ、かつ密度を低下させた繊維強化ポリマー複合体を製造しうることは有用であろう。さらに、外観上、木目をより写実的に模した表面をもつガラス繊維複合体の需要がある。
【0092】
従って、本発明は一実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるドア外板を提供する。本発明のドア外板、又は1対のドア外板は、当業者に周知のように、枠及び心材料と組み合わせられてドアを形成する。本発明の繊維強化複合体を用いて製造されたドア及びドア外板には、本発明の繊維強化複合体に関して記載してきた利点と同様の利点がある。
【0093】
本発明のドア外板の実施形態を図1に例示する。図1A及び図1Bに示すように、ドア外板10は、外側の第1表面22及び内側の第2表面24を有するシート20を有する。第1表面22、及び第2表面24の平らな面は互いに大体平行である。通常、第1表面22及び第2表面24の平らな面間の垂直距離D1(図1B)は、代表的には、概ね0.05インチ(1.3mm)と0.130インチ(3.3mm)の間である。一実施形態において、距離D1は、0.08インチ(2.0mm)と0.120インチ(3.0mm)の間であってもよい。ドア外板は、戸錠機構の機械的構成要素がドア外板を貫通できるように、1個又は幾つかの開口26を備えてもよい。図1Bに、ドア外板のポリマー樹脂中に分散された繊維7を示す。
【0094】
一実施形態において、シート20は、パネル51,52及び53等の複数のパネルを囲むような、モールディング31,32及び33等の複数のモールディングを有しうる(図1A)。これらのモールディングは、木製飾りの外観を持つように、ドア平面の表面から上又は下のどちらかに延びる形に作られていてよい。一実施形態では、モールディング31,32及び33は実質的に矩形の形状であって、パネル51,52及び53を囲んでいる。代案として、図2A−2Fに示すように、例えば、弓状もしくは曲線のモールディング及び/又はパネルのような他の適当なモールディング34〜49及びパネル54〜69を使用しうる。特定の実施形態において、1つ以上のパネル領域が少なくとも部分的に半透明なパネル71,72,73(例えば窓)に代えられてよい(図2B,図2C及び図2D)。一実施形態において、窓パネル72は、パネル全体から構成されていてよく、モールディング49(図2C)に囲まれている。更に別に実施形態において、窓パネル73は、モールディングに囲まれていなくてもよいが、ドア外板面には当接している(図2B及び図2D)
【0095】
ドア外板の表面は、天然木を模した木目模様を備えうる(図3A)。木目は、個々の木製パネル、厚板及び/又は飾りから製作されたドアの体裁を模した模様でよい。例えば、ドアの一部に2枚の鉛直方向のサイドパネルを模した上下方向の木目模様81,82と、3枚の水平ピースを模した左右方向の木目模様83,84及び85とを含む本発明の繊維強化複合ドア外板を、図3Aに示す。同様に、モールディング86,87,88及び89に用いられる木目は、かかるモールディングに用いられる木の小片を模した模様から構成することができ、モールディング91,92,93により囲まれたドア外板の一部分に使用される木目模様はフラットパネルを模した模様から構成しうる。
【0096】
別の実施形態において、ドア外板の表面は、木製板張り等を模倣した外観を有しうる。従って、図3Bに示すように、ドア外板は、複数の板(例えば101,102,103,104及び105)を平行に配置した模様に似せて作るよう設計された形状とすることができる。この模様を形成するために、ドア外板表面にある凹み(例えば、110,111,112,113,114,115,116及び117)は、パネルの輪郭をはっきりさせるために使用しうる。また、図3Bに、120,121及び122等の水平板並びに124及び125の垂直板の配置に似せたドア外板表面上の木目模様の使用を示す。図3Cとして示されているのは、図3Bに概略的に示されたドア外板の一部分を板張りの外観を持つよう形成するのために使われる凹みの断面図であり、繊維強化複合体の部分をなすよう散在した繊維107も示されている。
【0097】
ドア外板の高さ12及び幅14(図1A)は、希望されるドアの大きさに応じて変わるであろう。代表的には、米国、欧州及び豪州の市場については、屋外用のドアは、6フィート5インチ〜8フィート(2.01〜2.44m)の高さと2フィート4インチ〜3フィート6インチ(0.7〜1.1m)の幅を有しうる。代表的な屋内用の通路ドアは、6フィート8インチ〜8フィート(1.8〜2.4m)の高さと1フィート10インチ〜3フィート6インチ(0.5〜1.1m)の幅を有しうる。本発明のドア外板は、ドアと同様の寸法を有していてもよく、あるいは飾りを可能とするため又はドア外板がドア枠の框及び/又は横木を少なくとも部分的にむことができるようにドアよりも幾分大きくてもよい。
【0098】
他の実施形態において、本発明が提供する横窓、又は横窓の諸部材は、本発明の繊維強化複合体から構成されている。ここで使用される横窓は、ドアの近く(即ち、その側方)に配置されると共に、窓ユニットを提供する構造から構成されている。一般的に、横窓はドアの設計に類似した設計を有し、それゆえ、ドアの設計を補完する設計を提供しうる。図4A〜4Dに本発明の繊維強化複合体を含む横窓を示す。ドアと同様に、横窓130は、モールディング132,134,136,138,140,142と、パネル152,154,156,158と、半透明パネル160,162,164,166とを含んでいてよい。一実施形態において、繊維強化複合体は、横窓枠及び心材を上から覆うのに使用される、ドア外板に類似した薄層構造物131,133,135,137を含みうる。例えば、一実施形態において、本発明の繊維強化複合体はフラットパネルもしくは面なし鏡板として形作られていて、その中に板ガラスを挿入しうる。本発明の繊維強化複合体は、木製パネルと比較して高い強度を有し、それゆえ、板ガラスの重量を支持するのに特に適するであろう。代案として、繊維強化複合体は、横窓構造の大部分を構成しうる。例えば、ある実施形態において、繊維強化複合体は、窓を除いた横窓構造全体を構成しうる。
【0099】
横窓の高さ141及び幅143はさまざまで良い。典型的には、米国、欧州及び豪州の市場において、横窓は、6フィート7インチ〜8フィート(2.0〜2.4m)の高さと9インチ〜1フィート6インチ(0.2〜0.5m)の幅を有しうる。
【0100】
ドア外板の高さが77インチ(183cm)〜96インチ(244cm)でドア外板の幅が24インチ(61cm)〜42インチ(107cm)である一実施形態において、モールディング(例えば、図1における31,32及び34)は、約0.125インチ〜約1.5インチ(3.2mm〜38mm)ドア外板の表面から隆起し、 (例えば、図1Bの33A)、及び/又は約0.125インチ〜約0.562インチ(3.2mm〜14.3mm)ドアの表面から下がって延びていてよい(例えば、図1Bの33B)。モールディングは、ドア外板の面内のほとんどどこにでも配置されうる。一実施形態において、モールディングは、ドア外板の一方の縁から約2インチ〜約10インチ(50mm〜254mm)及びドア外板の他方の縁から約2インチ〜約10インチ(50mm〜254mm)のどこにでも配置されうる。
【0101】
本発明は別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるパネル及び/又はパネルの部材を提供している。該パネルとして、ドアパネル、壁パネル、横窓パネル、及び建築用構造物において使用されうるその他の形式のパネルを含む。
【0102】
例えば本発明は、一実施形態において、本発明の繊維強化複合体による横窓やドアへの窓ガラスの挿入を支えるパネルを提供する。一般的に、ドアへの窓ガラスの挿入は、自己の米国特許第6,485,800号に記載されているようなモールディング支えを使用しうる。この米国特許第6,485,800号の開示全体は、参照によりここに組み込まれる。しかしながら、本発明の薄層繊維強化複合体に強度があるため、ドアパネル又は横窓にガラスパネルを挿入するための、かかるモールディング支えは必要でないかもしれない。例えば、図5A及び図5Bに図示された薄層の繊維強化複合体170の実施形態は、支持縁部もしくは舌状部174a,b,c及びdを有する開口172が成形された平らな繊維強化複合体パネル171を含み、その中に板ガラスを配置することができる。また、いくつかの実施形態ではパネルの裏側上に見える繊維177も示されている。ある実施形態において、パネル171は厚さ175は約0.04インチ(1mm)から0.3インチ(7.6mm)の範囲にあってよい。また、実施形態において、ガラスパネルを支持するため、支持縁部(又は舌状部)は深さ(即ち、パネル表面の面の後ろ側)176が約0.05インチ(1.2mm)から約0.5インチ(12.7mm)の範囲にあってよい。
【0103】
別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるガレージドアのドアパネルを提供している。このガレージドアパネルは、平ら(即ち、“面一”)でよく、また模様があってよい。一実施形態において、パネルは、模様を形成するのに用いられるパネル又はドア外板の一部としてこの模様が含まれるように、成形されうる。また、さらに、ガレージドアは、模様を形成するためにプラント・オン(plant-on)構造から構成されていてよい。
【0104】
ここで使用される「プラント・オン」とは、隆起した表面を提供するために平面的な物体の内側又は外側表面に付着されるか又は機械的に「備え付けられた(planted-on)」構造である。一実施形態において、プラント・オン構造は装飾を有する。プラント・オン構造は種々の形状もしくは形態を有していてよい。一実施形態において、プラント・オン構造は、厚さ約1/16〜2インチ(1.5mm〜51mm)で、矩形の形状である。また、プラント・オンは、楕円形又は円形形状の構造でもよい。あるいは他の形状、大きさ及び厚さのプラント・オン構造が使用されてもよい。
【0105】
図6に、本発明の繊維強化複合体を使用して製作しうるガレージドアパネルの例を示す。ここで、図示のガレージドア202は、接合部222,224及び226で分かれた複数の複合体パネル204,206,208及び210を備えている。ある実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、個々のガレージドアパネル(例えば、204,206,208及び210)を製作するのに使用される。図6において、これらパネルの存在範囲を説明するためパネル206について概説する。これらパネルは、1つのパネルを別のドアパネルと連結できるように形成されている。例えば、パネル204及び206の間の継ぎ目222は、突起部又は舌状部をパネルに備え、これがその隣接のパネルの溝に嵌り込む。ガレージドアパネルを製作する方法は、2004年11月24日に自己が出願した米国特許出願願第10/997,244号に記載されており、その開示全体は参照によりここに組み込まれる。
【0106】
一実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるプラント・オン構造を提供している。図6に示す実施形態において、複数のプラント・オンがガレージドアの外側ドア外板の表面上に配置されている。ドアパネル208の外側表面上へ種々のプラント・オンを配置することにより、ドアの全体的外観は4つの水平なパネルのようではなく、2つのシングルパネルの開き戸のようになる。例えば、プラント・オン228は、ドアの垂直方向の長さにわたっており、接合部222,224及び226で殆ど継ぎ目のないようにかみ合い、ドア面上の単一の垂直飾り板のように見える。また、斜めに置かれたプラント・オン232は、単一かつ一体化した設計上の特徴をもち、ドアが実際には、4つの水平パネルから製作された巻上げ戸というよりも、むしろ前後に開きうる2つのパネル張りのドアであるような印象を与える。水平プラント・オン230でさえ、異なるパネルにまでは及ばないが、他のプラント・オンと連係した設計を有し、ドアが実際には2つのパネル張りの開き戸(図6)であるかのような印象を作り出している。また、ガレージドア及び/又はプラント・オンを形成するのに使用される繊維強化複合体は、木目模様を模した模様256を備えていてよい。
【0107】
プラント・オンは、ガレージドアの表面から突き出て隆起した表面やレリーフを備えるような種々の形状と大きさであってよい。種々の代替実施形態において、プラント・オンは、厚さ262(図6)が約1/16〜2インチ(1.59mm〜50.8mm)や、約1/8〜1インチ(3.2mm〜25.4mm)や、約1/4〜3/4インチ(6.4mm〜19.1mm)の範囲である。例示的な一実施形態において、プラント・オンの厚さは約3/8インチ(9.5mm)でよい。プラント・オンの幅266及び長さ264(図6)は、ドアパネルの大きさ並びに必要な装飾の大きさに応じて変わりうる。プラント・オンの長さもまた変わりうるが、通常、パネルの斜め方向の長さよりも長くはないだろう。また、ドアの同じ面にある様々なプラント・オンは異なる大きさであってよい。
【0108】
図6を更に参照すると、ドアパネルは、薄層の繊維強化複合体に切り込まれた開口へ挿入される半透明パネル254(例えば、窓)を備えている。ガレージドアパネルの表面は、窓ガラスと面一であってよく、あるいは、窓ガラスを協調するために飾り板234を備えていてよい。一実施形態において、飾り板は、繊維強化複合体プラント・オンでよい。
【0109】
パネル自体は、標準のガレージドアに適合する大きさに作られている。一実施形態において、車両一台用のガレージドアとして使用するため、パネルは横方向に78〜144インチ(2.0m〜3.7m)である。あるいは、車両二台のガレージドアとして使用するため、パネルは横方向に192〜216インチ(4.9m〜5.5m)の範囲であってよい。また、パネルの垂直軸(即ち、高さ)は必要に応じて変更してよい。一実施形態において、ガレージドアに4つのパネルを使用しうる。あるいは、ガレージドアに3〜6つのパネルを使用しうる。あるいは、ガレージドアは1つのパネルから構成しうる場合もある。ある場合には、一つのドアに大きさの異なる複数のパネルを使用しうる。例えば、トップパネルの一部として複数の窓を有するガレージドアの場合、大きなトップパネルを小さな下方のパネルと共に使用しうる。例示的な一実施形態において、高さが24インチ(61cm)のトップパネルを20インチ(51cm)の3つの下方のパネルと共に使用しうる。あるいは、4つの21インチ(53cm)高さのパネルを使用しうる。例えば、窓が16インチ(41cm)の高さである場合、24インチ(61cm)高さのパネルが好ましい。その一方、13インチ(33.0cm)の窓を21インチ(53cm)高さのパネルに嵌め込んでもよい。
【0110】
このように、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるドア、ドアパネル、横窓、又はそれらの一部(例えば、プラント・オン)を提供しうる。ドア又はドアパネルの各面は繊維強化複合体ドア外板を備えうる。各面について同一の又は異なるドア外板設計が使用されうる。同様に、横窓の各面は薄層の繊維強化複合体から構成しうる。
【0111】
本発明のドア又はドアパネルは、自己の米国特許第6,485,800号、第6,067,699号及び第5,852,910号に加えて、2002年10月11日に自己が出願した米国特許願第10/269,522号、2002年10月31日に自己が出願した米国特許願第10/284,392号及び2003年5月22日に自己が出願した米国特許願第10/443,627号に記載されたように当業者に周知の方法で構成されうる。これら特許及び特許出願各々の全開示内容は、参照によりここに組み込まれる。例えば、技術的に周知のように、ドア、ドアパネル、又は横窓は枠及び心材を有しうる。枠は、少なくとも2つの縦方向框と2つの横方向の横木とから構成しうる。複合体ドアパネルの枠は、ドアを支持するように設計されうる。また、一実施形態において、例えば、パネルがガレージドアに使用される場合、枠は、ドアの隣接パネル同士が連結されるように形成されうる。例えば、ガレージ用ドアパネルの連結を可能とするため、枠の框を(例えば、木材又はその他の材料の部材を用いて)結束し、隣接するパネル同士を連結させる手段を提供することができる。結束には突出要素(即ち、舌状部)が含まれ、あるいは溝が含まれうる。このようにして、1つのドアパネルの端部にある突出要素を、他のパネルの端部にある溝内に挿入し、2つのパネル間に殆ど継ぎ目のない嵌め込み式結合部を提供しうる。一実施形態において、枠は単板積層材(LVL=laminated veneer lumber)を使用して製作される。LVLは、積層して板とされたベニヤから製造される構造用材である。あるいは、枠は、中実又はフィンガージョイントされた木材、押し出し(extruded)木材やプラスチックのような複合体、鋼又はその他の金属、あるいは性能及び外観的に適用可能な他の材料から製作しうる。
【0112】
ドア、ドアパネル、横窓、又はプラント・オン構造の心材は、繊維強化複合体層に囲まれた枠内の空間、場所を少なくとも部分的に満たすよう形成されている。心材は、合成ポリマー発泡体のような断熱材料を含みうる。例えば、心材は、発泡ポリスチレン発泡体又はポリウレタン発泡体、パーチクル・ボード、石膏、あるいはその他のミネラル・ウッド・ステーブ等から構成しうる。代案として、単板積層材(LVL)又はボール紙を少なくとも部分的に心材に詰めてもよい。他の実施形態においては、ドア及び/又はドアパネルは、空気が心材のかなりの割合を占めるようにほぼ中空である。
【0113】
心材の材料の密度は、木材と類似であってもよい。あるいは、心材の材料は、木材よりももっと軽くてもよい。一実施形態において、約1.0〜約1.5ポンド/立方フィート(pcf)の密度を有する発泡ポリスチレンが使用されている。
【0114】
また、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体内に染料を入れることができる。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に、染料を繊維強化複合体に付加してもよい。このようにして染料は、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて付加しうる。
【0115】
本発明は、本発明の繊維強化複合体による他の建築用構造物を提供しうる。例えば、特定の実施形態において、本発明は、ドア枠部品又は窓枠部品、あるいは、本発明の繊維強化複合体によるドア枠及び/又は窓枠の覆いを提供しうる。
【0116】
上述したように、他の建築用構造物と同様に、木製ドア枠及び窓枠は、温度及び/又は湿度の両極端の状態にさらされた際の、収縮及び膨張のために歪むことがある。木製ドアや木製窓枠への依存を減らす試みとして、プラスチック又はビニール被覆の木製枠部材の使用などがある(例えば米国特許第5,987,843号、第6,295,779号、第6,378,266号参照)。あるいは、全てが合成材によるドア枠も開発されている。プラスチック製枠部材は、所望の形状に成形することができ、また、釘、ねじ又はその他の締結具(例えば米国特許第6,393,779号参照)を使用することなく取付ジグを受け入れうる点で、製造上の観点から魅力がある。しかしながら、一般的に、プラスチックにはドア又は窓ユニットを支持するのに十分な強度がない。また、金属製ドア枠、又は金属覆いを有するドア枠が開発されている(例えば米国特許第6,604,334号参照)。それでも、消費者によって、金属覆いは見て美しいものではないかもしれない。また、金属製ドアと同様に、金属製ドア枠及び窓枠は、錆び及び光化学的劣化のような環境由来の風化作用を受けると共に、高温及び低音環境における断熱性に乏しい。
【0117】
上述したように、特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造は、例えば、縦戸枠(vertical door jamb)、まぐさ枠(header jamb)、又は敷居のような種々の形状のものに成形しうるが、これらに限定されない。一実施形態において、これらの枠は平坦でよい。あるいは、該枠は溝が穿たれていてもよい。別の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造には窓枠部材がある。他の実施形態において、本発明の繊維強化複合体構造は、ケース及びレンガ積型形状、マルポスト(mull posts)、戸当たり、幅木留め、定規縁のような線状のモールディングを備えていてよい。更に別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体による諸部品の覆いを提供する。ここで使用される覆いとは、構造又は材料の上にかかるカバーもしくは被覆のことである。
【0118】
図7A,7Bは、ドア枠として具体化された、本発明の繊維強化複合体構造の実施形態を例示している。図7Aにおける各ドア枠断面は、本発明の外側繊維強化複合体覆い308と内側の心材310を示す部分横断面として示されている。図7Aに示すように、ドア枠は、ドア開口の上部を画定するまぐさ枠302と、ドアの側辺を枠決めする左側戸枠304及び右側戸枠(図示せず)と、枠体の底部としての敷居306とを有していてよい。更に、敷居306は、ドアから水が流出しやすくするため傾斜させた部分323と、ドアの基台を提供するほぼ平らな部分311とを備えうる。図7Aには示されていないが、図示の視野では、ドアは右側戸枠にかけられ見る者から離れる方向に回転する。図7Aに示されたように、側辺305は、建造物(又は出入口)の外側に面しており、反対側の側辺303は建造物(又は出入口)の内側に面している。このような向きの場合、面316及び318は、ドア開口を構成する枠の側辺を形成し、面312は、建築用構造物に隣接する枠の側辺である。
【0119】
出入口を構成する枠304の側辺は、2つの異なる表面316及び318を備え、ドアが閉じたときにドアの外部にある枠の部分が厚く、枠の内部側にある枠の部分が薄い。表面319はストッパを備えることができ、ドアは、枠に着座し閉じるときにこれに当たる。特定の場合、モールディング又は目詰めを表面319の近傍にある溝320に挿入し、閉じたドアのためのクッション及び断熱表面を提供してもよい。同様に、まぐさ枠302は、建造物に隣接する表面322及び324と、枠体開口の表面を構成し、従って、まぐさ枠の外部表面を構成する表面326及び328とを備えることができる。
【0120】
図7Bは、繊維強化複合体308が構造物の覆いとして使用されている側方戸枠304の横断面を示している。図7Bにおいて、側辺305は、出入口又は建造物の外側に面する表面であり、表面316及び318は、出入口開口にある表面であり、表面303は、出入口の内部に面しており、表面312は、建築用構造物に取り付けられた枠の側辺である。モールディング又は目詰め325は、ドアが閉じたときに密封を維持するようにドアを緩衝するのに使用しうる。図7Bに示すように、側方戸枠304は、内部の心材310を囲む本発明の覆い308を備えている。一実施形態において、覆い308は、繊維307で強化されたポリマーから構成されている。従って、覆い308は、出入口の出口側にさらされる表面もしくは外板を備えている(例えば、表面303,305,316,318及び319)。代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体覆いは、図7Aの敷居について示されているように、ドア枠体又は窓枠体部品の各面及びどの面も覆う。あるいは、心材も含め、枠体部品の全体は本発明の繊維強化複合体から構成しうる。
【0121】
本発明の繊維強化複合体でドア枠体部品又は窓枠体部品の覆いを構成する場合、該覆いは、特定の適用例により必要な厚さを有する。代替実施形態において、覆いの厚さは、約1/64〜約2インチ(0.4mm〜51mm)、又は約1/32〜約3/4インチ(0.8mm〜19mm)、又は約1/16〜約1/4インチ(1.5mm〜6.4mm)の範囲内である。
【0122】
本発明部品のドア枠体の心材は、ドアに使用された心材に類似する。あるいは、心材は、発泡ポリスチレン、発泡型PVC、発泡ウレタン、木材、LVL、又は任用可能な性能を持つ他の材料から構成しうる。
【0123】
また、本発明の繊維強化複合体ドア枠体又は枠体部品は、繊維強化複合体の製造中に色をつけられてもよい。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に、染料を繊維強化枠体又は枠体部品に付加してもよい。このように、色は、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて付加しうる。
【0124】
本発明は、代替実施形態において、本発明の繊維強化複合体によるサイディングを提供する。例えば、ビニール、繊維セメント等の従来のサイディング製品に代えて、本発明のサイディングを使用しうる。本発明の繊維強化複合体サイディングは、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状としうる。特定の実施形態において、例えば、繊維強化複合体サイディングは、長さが約8フィート〜約18フィート(5.5m)、幅が約8インチ(20.3cm)(ダブル4“)〜約10インチ(25.4cm)(ダブル5“)の範囲内としうる。特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングの厚さは、例えば、約0.125インチ(3.2mm)〜約0.75インチ(19mm)の範囲内としうる。更に、繊維強化複合体サイディングは約0.125インチ〜約2インチ(3.2mm〜51mm)の範囲のシステム高さとしうる。特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは更に、ビニール及びアルミニウム製サイディングの利用において開発されたもののように、個々のサイディング部品を連結するのに適した構造を備えうる。
【0125】
特定の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、ダブル4“の伝統的なラップ(traditional lap)、ダブル5“の伝統的なラップ、ダブル4“のダッチラップ(dutch lap)、ダブル5“のダッチラップ、及び/又は垂直サイディング/下端を含め、様々な外形としうる。繊維強化複合体サイディングは、中実及び/又は通気式でよい。例えば、垂直サイディング/下端として使用される繊維強化複合体は通気していてよい。繊維強化ポリマー複合体サイディングの通気は空気の循環を助け、これは、必要に応じて屋根裏場所又はその他の場所での温度及び湿分の制御を助ける。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明の繊維強化複合体サイディングは、少なくとも1つの断熱層を有しうる。断熱材は、繊維強化複合体サイディングの一つの面に取り付けられる。例えば、サイディングを取り付けたときに構造壁と繊維強化ポリマー複合体材料との間に断熱材が位置するように、繊維強化複合体サイディングの内側面に取り付けられる。代替実施形態において、断熱材は、ガラス繊維、ロックウール、セルロース、ポリウレタンフォーム、押出ポリウレタンフォーム、発泡ポリスチレンフォーム、(EPS又はビーズボード(beadboard))、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム及び/又はそれらの組合せから構成しうる。
【0127】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、繊維強化ポリマー複合体層と基板層とを有しうる。基板層は、パーティクルボード、配向性ボード、ベニヤ合板のようなセルロースベースの材料、及び/又はそれらの組合せから構成しうる。あるいは、基板は、再生木材料から構成されていてよい。繊維強化ポリマー複合体層は、ある実施形態において、少なくとも1つの接着剤あるいは当業者に周知の任意の手段により基板層に取り付けられる。図8Aは、本発明の一実施形態に基づいて、繊維407を含んだ繊維強化ポリマー複合体層401と、基板層403と、断熱層405とを有する繊維強化ポリマー複合体サイディング400の横断面図を示している。
【0128】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、特定の実施形態において、オーク、パイン、シーダー等のような種々の木材を模した木目仕上げの外観を有していてよい。他の実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、滑らかな概観を有する。ある実施形態において、繊維強化複合体サイディングは、難燃成分を更に含む。
【0129】
本発明の繊維強化複合体サイディングは、所望の色を有していてよい。繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体サイディング内に色を入れることができる。他の実施形態において、サイディングの形成の後に、繊維強化複合体サイディングに色を付加してもよい。例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて色を付加しうる。
【0130】
他の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるら板を提供しうる。繊維強化複合体こけら板は、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。例えば、特定の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、約12インチ(30.5cm)〜約24インチ(61cm)の範囲にある長さと約5インチ(12.7cm)〜約12インチ(30.5cm)の幅であってよい。特定の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体こけら板は、例えば、約0.040インチ(約1.0mm)〜約0.60インチ(約15.2mm)の範囲内である。実施形態において、こけら板は厚さが約0.04インチ(1.0mm)〜約0.12インチ(3.0mm)の範囲内である。あるいは、約0.24インチ(6.0mm)〜約0.35インチ(9.0mm)にわたる、より厚いこけら板を使用してもよい。更に、本発明の繊維強化複合体こけら板は、所望の焼け付け領域を有している。例えば、繊維強化複合体こけら板は、該こけら板の全面積の約50%〜70%の焼け付け領域を有していてよい。また、繊維強化複合体こけら板は、該繊維強化こけら板の取付けを容易にする釘打ち指定位置も更に備えることができる。
【0131】
特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体こけら板は、木目の外観を有することができる。他の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、スレート状の外観を有することができる。繊維強化複合体こけら板は、希望の色とすることができる。特定の実施形態においては、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体こけら板内に色を入れることができる。あるいは、こけら板の形成の後に繊維強化複合体こけら板に色を付加してもよい。例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて色を付加しうる。
【0132】
特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体こけら板は、難燃成分を更に含んでいる、ことができる。特定の実施形態において、繊維強化複合体こけら板は、屋根材及び/又はサイディング材の利用の際に使用しうる。
【0133】
他の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化複合体によるシャッターを提供している。繊維強化複合体シャッターは、希望の高さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体シャッターは、約25インチ(約64cm)〜約80インチ(約203cm)の範囲にある高さを有している。特定の実施形態において、繊維強化複合体シャッターは、約8インチ(約20cm)〜約36インチ(約92cm)の範囲にある幅を有しうる。繊維強化複合体シャッターは、ルーバー付きシャッター、突出(raised)パネルシャッター及び/又は目板打ち(board and batten)シャッター等種々の設計であってよい。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、繊維強化複合体によるハリケーンシャッターを提供している。本発明の繊維強化複合体ハリケーンシャッターは、任意の高さ、幅及び/又は厚さであってよい。特定の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体ハリケーンシャッターは、南フロリダ(例えば、フロリダ州ダーデ郡(Dade County))のようなハリケーン及び強い嵐にさらされる地域の法律要件を満たし、及び/又は突破することができる。
【0135】
実施形態において、本発明の繊維強化複合体ハリケーンシャッターは、少なくとも1つの繊維強化ポリマー複合体層と基板層とを備える。基板層は、パーチクルボード、配向性ボード、ベニヤ合板のようなセルロース含有材料、及び/又はそれらの組合せから構成しうる。実施形態において、基板は、再生木材料から構成されていてよい。繊維強化複合体層は、少なくとも1つの接着剤又は当業者に周知の任意の手段により基板層に取り付けうる。
【0136】
さらに、また、本発明は、本発明の繊維強化複合体で構成されたハリケーンシャッター用の補強カバーを提供することができる。繊維強化複合体は、既存のハリケーンシャッターを覆うのに適する寸法を有するよう製作される。繊維強化複合体ハリケーンシャッターカバーは、既存のハリケーンシャッターの強度及び/又は耐久力を増すことができる。特定の実施形態において、ハリケーンシャッター用の繊維強化複合体カバーは、釘、ねじ、ヒンジ等によりハリケーンシャッターに取り付けることができる。さらに、また、該繊維強化複合体カバーは、少なくとも1つの接着剤によりハリケーンシャッターに取り付けてもよい。別の実施形態において、繊維強化複合体カバーは、クサビ嵌合によりハリケーンシャッターに取り付けてもよい。例えば、図8Bは、本発明の一実施形態に基づく繊維強化複合体によるハリケーンシャッター450の断面図を示している。図示の実施形態において、繊維457を含んだ繊維強化複合体カバー451は、クサビ嵌合によりハリケーンシャッター453に固定されるよう適合している。繊維強化複合体カバー451は、ハリケーンシャッター453上を滑動し、結果として安定な嵌合となる。
【0137】
繊維強化複合体シャッター、ハリケーンシャッター、又はシャッターカバーは色を有していてよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体カバー内に色を入れることができる。他の実施形態において、シャッター又はカバーの形成の後に、例えば、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術により繊維強化複合体に色を付加してもよい。シャッター又はカバーに使用される繊維強化複合体は木目模様の外観をしていてよい。他の実施形態において、繊維強化複合体は滑らかな外観をしていてよい。
【0138】
上述したように、本発明はまた、本発明の繊維強化ポリマー複合体による窓枠部品や窓部品、限定するのではないが、窓敷居、窓枠、窓サッシ、ガラス押し縁、及び模擬さん付きガラス窓(SDL=simulated divided light)バー(例えば、窓桟)等を提供している。ここで使用する窓枠とは、窓サッシを受けて保持する枠体であり、窓敷居とは、枠体の底部にある概して平らな部分である。本発明の繊維強化複合体窓部品は、該部品の必要に応じて、希望の高さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状であってよい。特定の実施形態において、繊維強化複合体窓部品又は窓枠部品は、木目模様の外観をしていてよい。他の実施形態において、繊維強化ポリマー複合体窓部品又は窓枠部品は滑らかな外観をしていてよい。別の実施形態において、本発明は、本発明の繊維強化ポリマー複合体による窓部品又は窓枠部品用の覆いを提供することができる。例えば、本発明は、窓敷居、窓枠、窓サッシ、ガラス押し縁、又は窓桟のバー用に、本発明の繊維強化複合体による覆いを提供する。
【0139】
例えば、図8Cに示すように、模擬桟付きガラス窓パネル502は、サッシ506に囲まれた板ガラス504を備えている。板ガラス504は、一重板ガラスでも二重板ガラスでもよく、サッシにより囲まれた領域を満たす。ここで使用されているように、サッシは、窓枠開口の溝内で上下(あるいは左右)に滑動しうる窓の中にガラスを保持する支持体を備える。あるいは、板ガラスは、ドアに用いられ、ドアパネルに囲まれる。サッシ(又はドアパネル)は、2つの縦框508a及び508bと、2つの横框510a及び510bとから構成されている。サッシ506の内側に横模擬桟付きガラス窓(SDL)バー(例えば、窓桟)、例えば514a,514b及び514cと、縦SDLバー、例えば516a及び516bでが取り付けられている。ここで使用される、SDLバー又は窓桟は、透明なパネルを複数の部分に分けるのに用いられる非透明の帯片又はバーから構成される。連係するSDLバー(例えば、514a,514b,514c,516a及び516b)同士は格子に似ているように見える。SDLバーは、板ガラス504を別個の複数の四分円又は部分(例えば、514a,514b,514c等、SDLバーの数に対応する)に区分するように見えることが分かる。また、サッシ506及び窓504の結合部の上にかかるよう配置されたガラス押し縁522も存在する。ガラス押し縁522は、サッシ又はドアパネルに使用されるのと同じ材料に見えるように製作される4つのストリップ522a,522b,522c及び522dから構成されている。このガラス押し縁を形成するストリップは、ガラス504の周辺を取り囲み、周りのサッシやドアパネル506と同一平面になるよう適合されうる。ガラス押し縁522は、板ガラスと周りのサッシ又はドアパネルとの間の結合部だけでなく、視野から目視できるどんな接着部も覆うことができ、こうして、ガラスの周りに魅力的な境界を備えることができる。
【0140】
本発明の繊維強化複合体は、窓又は窓枠のどの部品を形成するのにも使用しうる。例えば、図8Cに示したような窓について、サッシ508,510、ガラス押し縁522及び/又はSDLバー514は、本発明の繊維強化複合体から構成しうる。あるいは、窓枠及び/又は敷居は、本発明の繊維強化複合体から構成しうる。図8Dは、繊維557及びポリマー樹脂を含んだ本発明の繊維強化複合体558によるガラス押し縁522の実施形態を図示している。図8Dに示すように、ガラス押し縁は、透明パネルが占める開口を画成するのに用いられる内側縁523と、サッシ框もしくはレールの近くにある外側縁525とを備えることができる。他の建築用構造物と同様に、繊維強化複合体は、窓部品(図8D)又は窓枠の全体を構成していてよく、あるいは心材上に据え付けられる覆いの外側表面を提供してもよい。
【0141】
また、本発明の繊維強化複合体窓部品、窓枠、窓枠部品には、繊維強化複合体の製造中に、色を入れることができる。他の実施形態において、繊維強化複合体構造の形成の後に繊維強化枠又は枠部品に色を付加してもよい。このように、当業者に周知の塗装及び/又は染色技術を通じて、色を付与しうる。
【0142】
上述したように、本発明は、本発明の繊維強化複合体による覆いを提供することができる。繊維強化複合体覆いは、所望の長さ、幅、厚さ及び/又は任意の形状としうる。特定の実施形態において、例えば、繊維強化複合体覆いは、上述したようなドア枠部品、窓及び窓枠部品、レインスクリーン(rainscreen)システム、通風ファサード、切妻、軒、鼻隠し、バルコニーサイディング、嵌込みパネル、ソフィット及び通路サイディングのための覆いであってよい。特定の実施形態において、本発明の繊維強化複合体覆いは有色でよい。繊維強化複合体から構成される他の構造要素については、繊維強化複合体の製造中に、繊維強化複合体覆い内に色を入れることができ、あるいは覆いの形成の後に繊維強化複合体覆いに色を付与してもよい。
【0143】
本発明は、本発明の繊維強化複合体による他の建築用構造物を提供している。実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、パネル、あるいは建築用構造物において現在利用されている薄層構成要素又は支持構造のような先行技術の構成要素に取って代わりうる。かかる構造体を製造する方法は、当業者に周知であり、該方法を修正して本発明の複合体材料を使用するのに適用することができる。
【0144】
別の形態において、本発明は、繊維強化複合体を製造する方法(又はプロセス)を提供する。該方法は、本発明の繊維強化複合体建築用構造物を製造するのに使用しうる。該方法はまた、他の種類の複合体又は構造要素を製造するのにも使用しうる。
【0145】
一実施形態において、本発明の方法は、強化繊維及びポリマー樹脂の型の中への導入と、繊維強化複合体を製造するのに十分な諸条件下での、得られる樹脂混合物の硬化とを含む。硬化は、型内で完結してもよいし、あるいは型内で開始し、次いで構造を型から取り出して完了させてもよい。強化繊維及びポリマー樹脂は、型内に入れる前に、及び/又は型に入れるステップ中に、混合してよい。繊維及びポリマー樹脂を型の中に導入するステップは、繊維及び樹脂を射出し、吹付け、注入する技術及び/又は類似の技術による供給でよい。
【0146】
例えば、一実施形態において、本発明は、建築用構造物の形の繊維強化複合体を製造するために、目的の建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップと、繊維及びポリマー樹脂の混合物を型の中に供給するステップと、繊維強化ポリマー複合体を製造するのに十分な条件下で樹脂を重合させるステップとを含む方法である。本発明の、ドア外板の製造に適用される方法を図9に示す。このように、一実施形態において、本発明は、目的の建築用構造物602を形成するために形作られた型を用意する第1ステップを含む。例えば、ドア外板を製作するため、第1の半部分(例えば、下側)及び第2の半部分(例えば、上側)から構成されるダイ一式を使用することができる。型は、適度な速さで重合を生じさせるために必要な温度604まで加熱されうる。ポリウレタンを基材とする複合体については、型は、約120°F〜190°F(49℃〜88℃)の範囲にある温度まで加熱される。例えば、温水又はオイル加熱システムを使用して型を加熱しうる。一実施形態において、型の上部分及び下部分は一緒に加熱されても別々に加熱されてもよい。また、型の上部分及び下部分は同じ温度まで加熱されても異なる温度まで加熱されてもよい。型は、構造のモールディングもしくは溝彫りを製作するような形に作られていてよい。また、型の表面を滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。以下に詳述するように、型半部分の一方又は双方は離型剤、コーティング及び/又は防護塗膜で被覆されていてよい。
【0147】
型を用意した時点で、複合体を製造する所望の大きさに繊維を細断するためチョッパーガン608に強化繊維を供給してよい。また、ポリマーを製造するのに使用される諸成分を一緒に混合する(610)。一実施形態において、型に繊維及び樹脂を導入するのに使用される装置は、ミキシングヘッド及びディスペンサを備えている。例えば、一実施形態において、イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物(例えば、イソシアネート反応性ポリオール)並びに、必要ならば、追加の添加剤(例えば、着色剤、離型剤、触媒、発泡剤)等の液体ポリウレタン成分をミキシングヘッドにおいて一緒に混合してよい(610)。この時点で、細断繊維及び混合樹脂成分は、型の少なくとも一方の表面上に供給される(612)。一実施形態において、繊維及び樹脂は、一緒に混合され、次いで型の上に被覆繊維を吹付けもしくは注入することにより、型に供給される。あるいは、繊維及び樹脂は、双方を型表面上に供給するプロセス中に混合されてもよい。更に別の実施形態において、繊維を型表面上に供給し、その後樹脂を加えてもよい。ミキシングヘッド及び/又はディスペンサは、長ガラス繊維とポリウレタンの双方を開放注入又は吹付け方法で供給しながら、開いた型の上を移動するようプログラムされたロボットに装着されていてよい(612)。特定の実施形態において、繊維及び樹脂の供給には5秒〜2分を要する。
【0148】
繊維及び樹脂が供給されると、型は閉じられる(614)。この時点で、ポリマー樹脂は、型内で重合もしくは“硬化”される(616)。ある実施形態において、複合体は型内で部分的に硬化される。例えば、別の実施形態において、複合体は、型内にある間に(即ち、型から取り出される前に)50%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に60%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に70%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に80%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に90%を越えて硬化されていても、又は型内にある間に95%を越えて硬化されていてもよい。例えば、部品が完全に硬化される前にそれを型から取り出すと、部品を若干異なる形状に再成形することができる。構造体が所要程度まで硬化した時点で、型を開き、複合体を除去しうる(618)。一実施形態において、複合体をどけて置き硬化ステップを完結してよい(620)。
【0149】
本発明の方法で用いられる強化繊維成分は単繊維タイプでも複繊維タイプでもよい。繊維は天然繊維でも人造繊維でもよい。適当な繊維には、ガラス繊維、鉱物繊維、木材、亜麻、ジュート又はシサル麻繊維のような天然繊維、及び/又はポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維又はポリウレタン繊維のような合成繊維があるが、これらに限定されない。実施形態においては、繊維としてガラス繊維を用いる。実施形態において、ガラス繊維はエレクトロニック(Electronic)ガラス(即ち、E−ガラス)を含む。
【0150】
実施形態において、長繊維が強化繊維として使用されている。ここで使用される長繊維強化樹脂とは、従来の高圧ミキシングヘッドを使用するのでは効率的に通常処理されえないほど十分に長い強化繊維を含んだ樹脂のことである。長繊維は、当業者に周知のようにLFIによりポリマー樹脂内に導入することができる。
【0151】
実施形態において、繊維は、1mm(0.04インチ)を超える長さであってよい。代わりの実施形態において、繊維は、約5mm〜100mm(0.2〜3.9インチ)の範囲の長さをであってよい。別の実施形態において、繊維の長さは、約10mm〜70mm(0.4〜2.8インチ)、又は30mm〜50mm(1.2〜2インチ)の範囲であってよい。
【0152】
本発明における樹脂成分は、熱硬化性ポリマー樹脂とすることができる。実施形態において、樹脂は、ポリウレタンを含んでよい。また、さらに、フェノールホルムアルデヒド、レソルシノールホルムアルデヒド、架橋ポリエステル、又はその他の熱硬化性ポリマーを使用してもよい。上述したように、ポリウレタンは、一般的に、ポリイソシアネートをポリオール、アミン及び/又は水のようなイソシアネート反応性の化合物と反応させることにより得られるポリイソシアネート重付加物である。他の実施形態において、ポリウレタンは、ジアミンやジオール等の混合物を用いて合成することができる。更なる実施形態において、ジアミン類の混合物を用いて合成することができる。
【0153】
本発明の方法で用いられるイソシアネートは、(シクロ)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネートでよい。例えば、ジフェニルメタン−ジイソシアネート(“MDI”)、並びに2,4−トルエン−ジイソシアネート及び2,6−トルエン−ジイソシアネートのようなトルエンジイソシアネート(“TDI”)であるような芳香族ジイソシアネートを使用しうる。特定の実施形態において、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートが使用できる。
【0154】
本発明の方法において様々なイソシアネート反応性化合物を使用しうる。例えば、適当なイソシアネート反応性化合物には、β−ジケトン基のようなCH−酸性基、OH、SH、NH、NH2から選択した2以上の反応基を有する化合物がある。上述したように、ポリウレタンを形成するのに使用しうる化合物の例には、ポリエーテル−ポリアミン、及び/又は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール、及びヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネイトのグループからあるいはこれらポリオールのうちの少なくとも2つの混合物から選択したポリオールがある。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明の方法により、ポリウレタンの合成にジオールが用いられる。ジオールには、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又はp−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンがある。特定の実施形態において、例えば、ジエチルトルエン−ジアミン、メチレンビス(p−アミノベンゼン)及び/又は3,3’−ジクロロ−4-4’−ジアミノフェニール−メタン等のジアミンがポリウレタンの合成に利用されうる。
【0156】
更に、特定の実施形態において、ポリウレタンは、所望の架橋度を有している。特定の実施形態において、例えば、イソシアネートは、異なるポリウレタン鎖のウレタン基と反応してアロファネート架橋結合を形成する。他の実施形態において、イソシアネートは異なるポリウレタン鎖からの尿素基と反応してビウレット架橋結合を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、第1ポリウレタン鎖のウレタン基と反応すると共に第2ポリウレタン鎖の尿素基と反応して、アロファネート及びビウレット架橋結合の双方を形成する。特定の実施形態において、イソシアネートは、三量体形成をしてイソシアヌレートを形成し、これがポリウレタンにおける架橋結合源として作用する。
【0157】
本発明の方法においてポリウレタンのような熱硬化性樹脂を利用する利点の一つは、かかる複合体の製造中に放出される揮発性有機化合物(VOC)のレベルが、ポリエステル等のような他の樹脂から製造される複合体と比較して減少することである。ポリウレタンにはスチレンが含まれておらず、従って、VOCの放出は基本的に排除される。本発明の方法は、一実施形態において製造中のVOCの放出が0.1ppm未満である。別の実施形態において、本発明の方法は、製造中のVOCの放出が0.05ppm未満である。更に別の実施形態において、本発明の方法は、製造中のVOCの放出が0.01ppm未満である。
【0158】
反応は、発泡剤、触媒、助剤又は添加剤の存在下に又は不存在下に進行しうる。一実施形態において、本発明の方法は、発泡剤を型内に入れることを更に含む。発泡剤、繊維及びポリマー樹脂は型への導入前、導入中及び/又は導入後に混合されうる。使用される発泡剤の量はフォームの目標密度に左右される。
【0159】
一実施形態において、本発明の方法は、触媒を型もしく樹脂混合物に導入することを更に含む。触媒は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分(繊維、樹脂等)と混合されうる。任意の数の触媒を使用してよい。ポリウレタン形成において、適当な例には、三級アミン及び/又は有機金属化合物がある。触媒として使用してよい例は次の通りである。トリエチレンジアミン、アミノアルキル−及び/又はアミノフェニル−イミダゾール、例えば4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール及び/又は1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ジエチルヘキソエートそしてスズ(II)ジラウレート;並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート等である。
【0160】
実施形態において、この方法は、セル調整剤、剥離剤や防護塗膜又は他の種類のコーティングのような表面活性化合物、顔料及び/又は他の種類の着色剤、及び/又は酸化的、熱的又は微生物的劣化もしくは老化に抗する安定剤のような追加の諸成分もしくは要素を型の中に導入することを更に含む。追加の成分は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分と混合される。
【0161】
ある実施形態において、この方法は、充填材を型に導入することを更に含んでいる。該充填材は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に繊維又は樹脂諸成分(又は添加剤)と混合することができる。充填材は大きさが揃えられていてもいなくてもよい。充填材は、改善された自由流れ特性とポリウレタンマトリックスへの付着とを有するよう修正されている。実施形態において、充填材は、ガラスフレークのようなプレートリットもしくは小片状に作られた充填材であるか、及び/又は雲母のような鉱物でよい。
【0162】
また、この方法は、着色剤を型の中に導入することを更に含んでいる。着色剤は、型への導入前、導入中及び/又は導入後に他の成分と混合される。適当な着色剤には、本発明の繊維強化ポリマー複合体に関連して上に述べたように、二酸化チタン、硫酸カルシウム、二酸化マンガン、カーボンブラック、又は他の適当な顔料があるが、これらに限定はされない。
【0163】
本発明の方法の硬化ステップは、成形技術において当業者に周知の方法で行うことができる。硬化は、型内で開始され、そして型内で完了するか又は型から取り出した後に完了する。通常、樹脂混合物は、該混合物を少なくとも部分的に硬化させると共に、型からの取出し前に自己支持する複合体を形成するのに十分な温度及び圧力に維持される。取出し後、更なる硬化及び/又は成形を行うことができる。
【0164】
このように、複合体を硬化するため、一旦樹脂及び繊維が型表面上に供給されたら、型を閉じてよい。別の実施形態において、硬化中に少なくとも部分的に開いている型を使用してもよい。その後、配合物の少なくとも一部が重合するような条件下で、型内で重合が進行する。ある実施形態において、重合が実質的に完了し部品が冷えるまで、構造体を型内に留めていてもよい。あるいは、部品は、最大発熱量時に又は直後に取り出され、異なる形状(即ち、弓形等)に形成されてもよい。
【0165】
硬化が起こる温度及び圧力は、使用されるポリマー、製作される部品、生産事項等によって変わりうる。代替実施形態において、樹脂混合物は、約15秒〜600秒の時間にわたり、100°F(38℃)〜400°F(204℃)の温度及び20psi(1.41Kg/cm2)〜1500psi(106Kg/cm2)の圧力で硬化される。別の実施形態において、樹脂混合物は、約25秒〜300秒の時間にわたり、120°F(49℃)〜300°F(149℃)の温度及び20psi(1.41Kg/cm2)〜1000psi(70.3Kg/cm2)の圧力で硬化されうる。あるいは、樹脂は、約30秒〜180秒の時間にわたり、130°F(54.4℃)〜200°F(93.3℃)の温度及び30psi(2.1Kg/cm2)〜500psi(35.1Kg/cm2)の圧力で硬化されてもよい。
【0166】
本発明の方法は、特定の最終用途のための繊維強化ポリマー複合体構造を製造するのに有利である。一形態において、本発明は、建築用構造物の一部品として使用するための繊維強化ポリウレタンから構成される繊維強化ポリマー複合体を製造する方法及びシステムを提供する。
【0167】
ある実施形態において、この方法は、目的とする建築用構造物を形成するのに適する外形寸法をもつ表面を持った、複合体に圧力を加えるための第1の半部分と、該第1の半部分とほぼ同一の外形寸法をもつ表面を持った、複合体に圧力を加えるための第2の半部分とを有する型を含む。型の形状は、製作すべき建築用構造物に応じて変わりうる。
【0168】
例えば、型は、ドア外板を製造するように設計しうる。従って、実施形態において、本発明の方法は、それぞれ少なくとも1つのほぼ平らな表面をもつ第1のダイ及び第2のダイを有する型を用意するステップと、該ダイの一方のほぼ平らな表面上に、複数の繊維及びポリマー樹脂を含む混合物を供給するステップと、前記第2のダイの第2のほぼ平らな表面を前記繊維及び樹脂に接触させるステップと、ドア外板の形の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件下で前記樹脂が重合させるステップとを含む。
【0169】
かかる実施形態において、型の第1の半部分は、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、型の第2の半部分は、第1のダイにある凹部に適合する凸部を有する雄型ダイであり、型が閉じられたときに、一方のダイにある凸部が他方のダイにある凹部に大体位置合わせされる。あるいは、これらダイ表面は、どちらのダイにも凸部又は凹部がないように面一であってよい。このようなシステムがドア外板を製造するのに使用される場合、模様のある、もしくは滑らかな表面がドア外板上に形成される。従って、一実施形態において、2つのダイのうち一方のダイの少なくとも一部は研磨され、滑らかな仕上げにされうる。また、さらに、2つのダイのうち一方のダイの少なくとも一部は表面にエッチングされた模様を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態において、この模様は木目を模したものでよい。一実施形態において、第1及び第2のダイ半部分は、ここに記載した寸法を有するドア外板を製造するのに十分な外形寸法を有している。通常、第1及び第2のダイの外形寸法は、長さ約107インチ(272cm)×幅約48インチ(122cm)よりも小さい。本発明の方法では殆どどんな寸法でも可能であるが、複合体の大きさは部品を作るのに使用される機械により制限されるであろう。
【0170】
また、ここに記載したように、繊維強化ポリマー複合体を形成するのに使用される型又はダイ表面は、繊維及び樹脂を型に導入する前に、離型剤吹き付けか、それ以外の方法を用いて離型剤で処理される。あるいは、離型剤は樹脂の一部として含まれていてよい。離型剤として使用しうる代表的な化合物には、ワックス・ベース又はシリコン・ベースの離型剤がある。
【0171】
あるいは、型は、材料を型に導入する前に型内コーティング(IMC)で処理することができる。IMCに使用しうる代表的な作用物質には、脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂等があるが、これらに限定されない。
【0172】
さらに、または、型内への繊維及び樹脂の導入前に、防護塗膜を型の表面に付着させてもよい。防護塗膜は、構成物の表面特性を高める利点がある。例えば、防護塗膜は、特定のプロセスで繊維−ポリウレタン混合物の表面上に生じる可能性がある、小穴、泡、繊維又は繊維片/端がほとんどない表面を形成するのに利用することができる。防護塗膜は、エラストマー、又は非弾性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含む。その例には、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びその他の熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、フェノールホルムアルデヒド及びその他の熱硬化性プラスチック等があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、成形又は硬化中に繊維−ポリウレタン混合物に機械的又は化学的に結合する防護塗膜を利用するのが有利であるかも知れない。防護塗膜の例には、バイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。
【0173】
反応の温度を制御することにより、適当な出発物質からの樹脂(例えば、ポリウレタン)の重合を制御しうる。従って、実施形態において、ダイのうちの少なくとも1つは温度コントローラを備えており、この方法は型の温度を制御することを更に含んでいる。
【0174】
最終の繊維強化ポリマー複合体製品の厚さ及び/又は密度は、重合の際のポリマーの全体的膨張とポリマーが発泡を許容される程度とに部分的に依存している。実施形態において、型の内部表面同士は、型が閉じられたときに所定距離だけ離れている。例えば、この方法がドア外板を製作するのに用いられる場合、型の内部表面は1.0〜0.05インチ(25.4mm〜1.27mm)だけ離間している。代替実施形態において、ダイは、ダイが閉じられたとき約0.8〜0.08インチ(20.3mm〜2.0mm)、又はダイが閉じられたとき約0.5〜0.1インチ(12.7mm〜2.54mm)、又はダイが閉じられたとき約0.15〜0.11インチ(3.81mm〜2.79mm)の範囲にある距離だけ隔てられていてよい。
【0175】
ある実施形態において、本発明は、薄層構造ではない建築用構造物(例えば、まぐさ、わき柱、サッシ及びかまち)を製作する方法を提供している。例えば、本発明の繊維強化ポリマーから構成される全体構造、又はその相当な部分を有するドア枠及び窓敷居を製作するために、ポリマーを製造するのに使用される諸成分(例えば、イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物)が混合され、そして混合物が目的のドア枠部品を構成する内部容積を有する型内に注がれる。あるいは、型は、ドアのプラント・オン(plant-on)構造を製造するよう設計されてもよい。あるいは、型は、窓部品又は窓枠部品を製造するよう設計されてもよい。サイディング、シャッター及び/又はこけら板を製造するよう設計された型が使用されてもよい。通常、本発明の方法は、目的の建築用部品を製造するのに使用される標準の型で用いられる。一実施形態において、型は、溝彫り又はその他の装飾的形状を備えていてよい。かかる付加的な形状が含まれている場合には、表面のポリマー層は付加的な形状を含むだろう。
【0176】
更なる形態において、本発明は、繊維強化複合体を製造するためのシステムを提供している。このシステムは、導入装置及び型を備える。ある実施形態において、型は、建築用構造物を製作する形に作られている。導入装置は、ポリマー樹脂を製造するのに使用される少なくとも2つの成分を混合するための混合器(例えば、ミキシングヘッド)を備えている。該装置は、繊維を所定の長さに細断するための細断器を更に備えることができる。また、導入装置は、繊維及び樹脂を型の表面上に分配するディスペンサを備えていてよい。一実施形態では、このディスペンサは吹付け器から構成されている。あるいは、このディスペンサは、インジェクタから構成されていてよい。あるいは、ディスペンサは繊維及び/又は樹脂を型に注ぐのでもよい。混合器及びディスペンサは、導入装置の単一構成要素内に位置していてよい。導入装置は、樹脂諸成分及び/又は他の添加剤をミキシングヘッドに供給するための導管を更に備えることができる。また、導入装置及びその部品は、ディスペンサを型の種々の部分に位置させるために可動とすることができる。
【0177】
本発明のシステムのある実施形態を図10に示す。ある実施形態において、該システムは、長繊維噴射(LFI)技術により繊維強化ポリマー複合体を作成するのに適している。従って、このシステムは、所要の寸法を有する繊維強化ポリマー複合体を収容する形に作られた、第1の半部分714及び第2の半部分716から構成される開放式の型を備えている。一実施形態において、建築用構造物がドア外板である場合、開放式の型は、第1のダイ及び第2のダイを有するダイ組立体から構成しうる。型は、ポリマー樹脂の重合に必要な温度まで加熱される。例えば、型は、温水又はオイル加熱システムを使用して加熱される。一実施形態において、型の上部分及び下部分は別個に加熱される。また、繊維−樹脂混合物に接触する型の表面は、滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。また、型からの構造体の取り出しを容易にするため、型半部分の一方又は双方をIMC715、防護塗膜717又は特定の他の被覆で覆うことができる(図10)。
【0178】
上述したように、このシステムは、第1の樹脂成分702及び第2の樹脂成分704を混合すると共に混合物を型内に注入するロボット制御のミキシングヘッド708も備えることができる。一実施形態において、第1の樹脂成分702は、イソシアネート成分であり、第2の樹脂成分704はイソシアネート反応性成分である。システムは更に、第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分をミキシングヘッド内に導入するための導管703,705を備えている。更に、システムは、ミキシングヘッドに機能的に接続されたガラス細断器706も備えている。システムは更に、繊維と混合樹脂を型の一部上に分配する機能をもつディスペンサ710(例えば、インジェクタ又は吹付け器)を備えていてよい。実施形態において、ミキシングヘッドは、繊維を樹脂成分と混ぜるような機能をもつ。代案として、細断された繊維は、樹脂混合物により被覆される前に型の表面上に供給されてもよい。あるいは、繊維及び樹脂は、それらの双方を型に供給もしくは分配するステップ中に混合されうる。ディスペンサ702及びミキシングヘッド708は、長ガラス繊維及びポリマー樹脂712から構成される混合物を型に供給しながら開放式の型714上を移動するようプログラムされたロボットに装着することができる。
【0179】
上述したように、繊維強化複合体(例えば、ドア外板)の型からの取り出しを容易にするため、離型剤を複合体又は型に付加することができる。ある実施形態において、離型剤は樹脂混合物の一部として(即ち、内部用離型剤として)含まれていてよい。内部用離型剤としては、離型剤は、ドア外板製造産業で使用されるワックス・ベース又はシリコン・ベース離型剤のような化合物でよい。また、さらに、型内コーティング(IMC)715を型の表面上に吹き付けてもよい。ある実施形態において、IMCは、上述したような離型剤か、又は例えばシリコン等のような、ポリマー複合体がダイ又は型表面に固着するのを防止するために効果的であるとして複合体を圧縮する技術で周知の反結合性剤でもよい。あるいは、IMCは顔料であってよい。更に別の実施形態において、IMCは防護塗膜でもよい。また、さらに、防護塗膜層717をダイの表面、又は型の表面に予め付着されていたIMC715の上に付着させてもよい。
【0180】
一度混合物を型の第1の部分714(例えば、下方部)に適用したら、型の第2の部分716(例えば、上方部)が下げられ(即ち、型は閉じられる)、樹脂成分が重合するときに繊維強化複合体が形成される。樹脂がポリウレタンである場合、ポリマーは幾分か発泡し、膨張して型を満たす。数分後、反応がほぼ完了するので、型を開き構造物を取り出すことができる。結果として得られる繊維強化複合体718(例えば、ドア外板)はどけて置き硬化を完了させる。
【0181】
型は目的の建築用構造物を形成する形に作られている。一実施形態において、型は、ドア外板をプレスするような形に作られた2つのダイから構成されている。型は、ドア外板がパネルを構成するような形に作られている。例えば、実施形態において、第1のダイは、少なくとも1つの凹部719を含んだ面を有する雌型ダイであり、第2のダイは、最終的なドア外板が図1及び図2に示したようなパネルを形成するように、第1のダイ上の凹部にほぼ適合する凸部720を有する雄型ダイである。ドア外板は滑らかであってもよく、あるいは木目を模して設計された模様を有していてもよい。滑らかな表面を有するドア外板を製作するには、ダイのうち少なくとも一方は研磨されて滑らかな仕上げにされる。木目に似た表面を有するドア外板を製作するには、2つのダイの少なくとも一方は表面にエッチングされた模様を含みうる。
【0182】
型は、型内で重合が起きているときに重合の温度を制御する手段を備えていてよい。型がドア外板を形成するダイを有する場合、該ダイの少なくとも一方がダイ温度を制御する手段を含みうる。
【0183】
型は、技術的に標準の市販の型でよい。上述したように、型は、必要に応じて製品に圧力をかけることができなければならない。型の表面は、鋼、アルミニウム、エナメル、テフロン(登録商標)、エポキシ樹脂又は他のポリマー材料でよい。型の表面は、例えば、硬質クロムによりクロムメッキされてもよい。ある実施形態において、型の表面は研磨されていてもよい。ある実施形態において、型は、繊維充填ポリウレタンの流れ及び硬化を最大化できるような温度に設定されるよう温度制御される。例えば通常、ポリウレタンを形成するポリイソシアネートの反応は30℃〜90℃(86°F〜194°F)の型温度で行われる。例えば、実施形態において、型は、温水又はオイル加熱システムを使用して加熱される。
【0184】
型は、製作される建築用構造物に要求されたように設計されている。従って、一実施形態において、型が閉じたときに、これらダイは所定の距離だけ離れている。例えば、ドア外板へのLFI技術の適用は、非常に薄い構造の製造に関連したものである。従って、パネル、覆い、又はドア外板のような薄層構造体の製造の場合については、両ダイは、ダイが閉じられたときに約1.0〜0.05インチ(25.4mm〜1.3mm)の範囲内の距離だけ離間している。別の実施形態において、両ダイは、該ダイが閉じられたとき約0.8〜0.08インチ(20.3mm〜2.0mm)、又はダイが閉じられたとき約0.5〜0.1インチ(12.7mm〜2.5mm)、又はダイが閉じられたとき約0.15〜0.11インチ(3.8mm〜2.8mm)の範囲内の距離だけ隔てられていてよい。本発明の方法及び本発明のシステムの更なる詳細については、特定の実施形態に関し以下に記載する。
【0185】
従って、ここに記載するように、本発明の実施形態は、建築用構造物に使用するためのポリウレタン及びガラス繊維から構成される繊維強化複合体を提供する。繊維強化ポリマー複合体の一部にガラス繊維を使用することは、ドア製造技術において説明されている。例えば、米国特許第5,074,087号及び第5,075,059号は、ドア外板の外部表面に木目模様をつける型を使用し、圧縮成形されたガラス繊維ポリエステル樹脂から作られたドア外板で製作されるドアについて記載している。また、米国特許公報第2003/0226383号は、成形されたときに既定の収縮率を有する成形複合体から作成されるガラス繊維ドア外板について記載している。
【0186】
更に、技術的に既知であるこれら及び他のガラス繊維ドア外板は、SMCや、バルクモールディングコンパウンド技術を用いて製作されるポリエステル−ガラス繊維外板であってもよい。SMCは、熱硬化性又は熱可塑性のガラス繊維強化化合物であって、シート状に作成され、巻かれてコイル状になり、その後自己接着を防止するためにプラスチックフィルムが挟み込まれる。SMCのプレミックスは、25mm〜50mmの長さに細断されたガラスストランドから行われ、その上に樹脂ペーストが付着される。プレミックスは、SMCが巻かれてロールになる前にストランドの含浸を完全に確実にするため圧縮システムに通されることもある。SMCのマットは、細断ガラスのロービング又はマット等を含むポリエチレンフィルム製の2枚の移動シート上に、混合樹脂、充填材、成熟剤、触媒及び離型剤を供給することにより形成されうる。SMCのプレミックスは、通常、マットを所望の形状に成形する前に数日間保管され、成形可能な粘度にまで濃くさせる。SMCは熱可塑性樹脂を必要としているので、シートの予形成に次いで成形し、最終外形にする。
【0187】
その一方で、本発明は、繊維強化ポリマー複合体の製造のために、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂の使用することについて記載している。例えば本発明は、ある実施形態において、ドア外板及びその他の建築用構造物への使用のための薄層のポリウレタンガラス繊維構造体の製造を含む。また、ここに記載されているように、本発明の繊維強化複合体は、ドア枠部品、窓部品、サイディング等のために使用しうる。薄層のポリウレタン繊維強化ポリマー構造体の利点は多々あるが、例えばVOCの放出量低下や、線熱膨脹特性が改善された制御された密度を有する製品を製作できることが含まれる。
【0188】
本発明の方法又はシステムいずれかの実施形態では、長繊維強化繊維からなるポリウレタン複合体を形成するため、長繊維噴射(LFI)技術を利用している。ある実施形態において、長繊維は、エレクトロニックガラス(即ち、E−ガラス)等のようなガラスである。LFIのために、樹脂及び繊維を型に導入するのに使用されるガラスミキシングヘッドにチョッパーガンが取り付けられる。このミキシングヘッド及びチョッパーは、長ガラス繊維と混合ポリウレタン成分の双方を吹込み又は開放注入方法で供給しながら開いた型の上を移動するようプログラムされたロボットに装着されていてよい。繊維強化ポリマー複合体の表面の性質は、ある程度は、同複合体を成形するのに使用される型により決定される。吹込み又は注入の最後に、部品を形成するため型が閉じられる。
【0189】
本発明の更なる詳細及び利点は以下の実施例から明らかとなろう。
【実施例】
【0190】
以下の実施例は、本発明の繊維強化複合体の特定の実施形態、並びに本発明の方法及びシステムの特定の実施形態について記載している。
【0191】
(ガラス繊維強化ポリウレタンパネル及びドア外板)
実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、壁又はドアユニットに使用されるようなドア外板又はパネルである。ある実施形態において、ドア外板又はパネルは、覆いたい構造の枠の周りを少なくとも部分的に巻くことができる舌状部を備えている。例えば、舌状部は、ドア枠の製作に用いるレールもしくは框を包む。これらの舌状部は互いに完全に重なり合う大きさに作られている。代案として、ドア外板又はパネルは直角へりを有する平らな形状であってもよい。
【0192】
図1に示すように6枚のパネルを有するドア外板は、本発明の繊維強化複合体を用いて製作された。従って、図1のドア外板について示されているように、ある実施形態において、本発明のドア外板は、成形パネルから構成しうる。例えば、実施形態において、ドア外板は、技術的に既知のパネル設計を用いて、0〜15個のパネルから構成される。ドア外板のモールディングの詳細は、表面から90°よりも大きく、また、表面の上方及び/又は下方にある。ドア外板は、明り取り(light insert)(例えば、半透明パネル又は窓)がドアに欠かせないものとしてドアに据え付けられるか、又はドアが組み立てられた後に据え付けられるための開口を有している。
【0193】
ある実施形態において、ドア外板は、ガラス繊維10%〜60%、ポリウレタン40%〜90%、着色剤、UV安定剤及び難燃剤のような添加剤0〜8%の組成で構成されている。例えば、ガラス繊維40%及びポリウレタン60%の混合物を有する繊維強化複合体ドア外板は、実施例2で後述する本発明の方法及びシステムを用いて用意された。
【0194】
また、本発明のドア外板の製造の際に離型剤を使用しうる。離型剤は、通常約2%以下の濃度でドア外板に内在してもよく、あるいは離型剤は、同じ濃度でドア外板の外部表面に塗装されてもよい。離型剤として使用してよい化合物の例にはここで記載した離型剤がある。
【0195】
また、さらに、型内コーティング(IMC)の適用によりドア外板にコーティングを施すことができる(即ち、ガラス繊維及びウレタンの使用前にダイ表面に塗装される)。IMCとして使用してよい化合物の例には、着色した脂肪族ウレタン、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又は認容可能な性能及び見栄えを有する他のコーティングがある。
【0196】
また、さらに、ここに記載したような防護塗膜をドア外板に付着させてもよい。この防護塗膜は、IMCとドア外板との間に付着させても、又はIMCなしにドア外板に直接に付着させてもよい。防護塗膜は吹付け、カーテンコート又は技術的に周知の他の適用システムを通じて付加しうる。防護塗膜の例にはバイダール(BAYDUR(登録商標))樹脂(バイエル・マテリアルサイエンス,エルエルシー(Bayer MaterialScience, LLC))、プリオグリップ(PLIOGRIP(登録商標))(アシュランド・スペシャルティ・ケミカル(Ashland Specialty Chemical))、デブコン(Devcon)309メタクリレート(アイティーダブリュー・デブコン(ITW Devcon))がある。例えば、実施例2に記載したように本発明の方法及びシステムを使用して、上述のガラス繊維40%及びポリウレタン60%で製作したドア外板は、0.008インチのベイテック(BAYTEC(登録商標))156(バイエル・ケミカル・カンパニー(Bayer Chemical Company))の防護塗膜層と、0.003インチの脂肪族ポリウレタンのIMC層とをまた含んでいる(Titan)。
【0197】
本発明のドア外板は、薄層化された複合体であってよい。通常、ドア外板は、長さ97インチ(2.46m)、幅49インチ(1.24m)程度の大きさか、又は長さ60インチ(1.52m)、幅9インチ(0.23m)程度の小ささをもつ、平らな板である。また、ドア外板は、通常、厚さ0.130インチ(3.30mm)未満である。特定の実施形態においては、ドア外板は、厚さ0.09インチ(2.29mm)未満である。例えば、本発明の方法及びシステムを用いて製作された繊維強化ドア外板は、36.25インチ×80.5インチ(921mm×204cm)の寸法を有している。更に、最終製品の用途に応じ、本発明の方法及びシステムを用いて他の大きさを製造することもできる。
【0198】
本発明のドア外板は、先行技術の繊維充填SMCドア外板と比較して小さい密度をもつ。ある実施形態において、本発明のドア外板は、約20pcf〜110pcf(即ち、約320.4〜1762kg/m3)の範囲内の密度を有している。他の実施形態において、本発明の繊維強化ポリマー複合体ドア外板は、約30pcf〜100pcf(即ち約480.6〜1602kg/m3)又は35pcf〜95pcf(即ち、約560.7〜1522kg/m3)の範囲内の密度を有している。例えば、本発明の繊維強化複合体を用いて製作された繊維強化ドア外板は78pcf(1250kg/m3)の測定密度を有していた。
【0199】
また、上述したように、本発明のドア外板は、木製ドア外板と比較して改善された熱安定性を有している。例えば、本発明の方法を使用して製作されたドア外板は、約15×10−6mm/mm/℃の熱膨張係数を有する。
【0200】
また、本発明のドア外板は、改善された弾性特性を有している。例えば、ある実施形態において、本発明の方法を使用して製作されたドア外板は、約280Kpsi(即ち約19,691Kg/cm)の弾性率を有している。従って、本発明の繊維強化複合体ドア外板は、問題なく取り扱うのに十分な堅さを有するが、温度変化のため外板の寸法が変化したときにドアが歪むほどは堅くない。また、実施形態において、本発明のLFI外板は、工業試験標準を使用して良好な水分吸収及び損失を有している。
【0201】
また、ある実施形態において、本発明のガラス繊維ドア外板は、非常に湿った又は乾燥した条件(例えば、24時間の水浸;24時間のオーブン乾燥;湿度93%に72時間の露出及び/又は1時間の煮沸)のそれぞれにさらしたときの膨張及び収縮が木材ベースの複合体から製作されたドア外板と比較して好ましいレベルを有している。
【0202】
ドア外板は、環境にさらされる表面積が大きい特質がある。従って、製造中の揮発性有機化合物(VOC)の放出は問題である。本発明のドア外板は、この技術分野で一般的に使用されているポリエステル及び他の樹脂とはちがい、ポリウレタンを使用して製作されているので、ドア外板は基本的にスチレン・フリーである。従って、SMC樹脂を用いて製作された繊維充填ドア外板と比較してVOC放出を相当に低減させることができる。
【0203】
(薄層の繊維充填ポリウレタン複合体の製造)
図10は、薄層ドア外板のような、LFIによる繊維充填ポリウレタン複合体の製造のためにLFIを使用する概略を示している。従って、図10に示すように、所要の寸法を有する繊維強化ポリマー複合体を収容する形に作られた、第1の半部分714及び第2の半部分716から構成される開放式の型又はダイ一式が使用される。この型は、温水又はオイル加熱システムを使用して約120〜190°F(49℃〜88℃)の温度まで加熱される。実施形態において、型の上部分及び下部分は別々に、それぞれ約120〜190°F(49℃〜88℃)の範囲内の温度まで加熱される。型の個々の表面は、滑らかな仕上げに研磨してもよく、あるいは木目模様にエッチングしてもよい。任意であるが、型半部分の一方又は双方は、離型剤、コーティング及び/又は防護塗膜で被覆されていてよい。繊維強化ガラス繊維707は、型(即ち、下方のダイ)の表面上への導入のためチョッパーガン706に供給される。ポリマー樹脂を製造するのに用いられる液体成分702及び704は、(A)イソシアネート(例えば、702)、及び(B)イソシアネート反応性化合物(例えば、704)を含み、後者には、例えば、この技術分野において市販されている既知のイソシアネート反応性ポリオールである、ビーエイエスエフ(BASF)のElastoflex(エラストフレックス)E130−002(ニュージャージー州マウント・オリーブ(Mount Olive, NJ))や、バイエルの製品のバイダール(BAYDUR(登録商標))があるが、これらに限定されない。必要ならば、重合が反応性成分(例えば、A又はB)の混合の際に起こるように追加の添加剤(例えば、着色剤、離型剤、触媒、発泡剤)が樹脂成分(例えば、A及びB)の一部として含まれていてよい。一度2種の樹脂成分と全添加剤とが一緒に混合されたら、樹脂混合物は、細断されたガラス繊維707と共に流れとして型に加えられる。ある実施形態においては、これらが流れに導入されているときに、樹脂及びガラス繊維が混合される。通常、ガラス繊維は、長さが約0.5インチ以上に細断される(エレクトロニック・ガラス(Electronic Glass);例えばオーエンス・コーニング(Owens Corning)又はギブソン・ファイバーガラス(Gibson FiberGlass))。次に、ガラス繊維−樹脂の流れを型に加える。実施形態において、型にLFI混合物を加えるプロセスは、このプロセスのために開発されたエルエフアイパー(LFI−PUR(登録商標))ユニット(クラウス・マッフェイ(Krauss Maffei);英国)を用いて行われる。このLFI−PURユニットは、ガラス繊維を細断する、ミキシングヘッド708に取り付けられたガラスチョッパーガン706を備えている。ミキシングヘッドは、長ガラス繊維及びポリウレタン712の双方を開放注入又は吹付け方法で供給もしくは分配させながら開放式の型714上を移動するようプログラムされたロボットに装着されている。適用状態に依存するが、注入時間は約5秒〜約2分かかる。
【0204】
上述したように、型からのドア外板の取り出しを容易にするため、離型剤を外板又は型に付加することができる。実施形態において、離型剤はポリウレタン混合物の一部として(即ち、内部用離型剤として)含まれている。内部用離型剤については、離型剤は、ドア外板製造産業で使用されるワックス・ベース又はシリコン・ベースの離型剤のような化合物である。
【0205】
また、さらに、型内コーティング(IMC)715を型の表面上に吹き付けてもよい。実施形態において、型内コーティングは、複合体を圧縮する技術において、ポリマー複合体がダイ又は型表面に固着するのを防止するために効果的であると知られている、脂肪族ウレタン等のような、反結合性剤であってよい。また、IMCは、ドア外板の表面に着色するための顔料であってよい。
【0206】
また、さらに、防護塗膜717をダイの表面に、又は型の表面に予め付着されていたIMC715の上に付着させてもよい。防護塗膜は、バイエル社のベイテック(BAYTEC(登録商標))SPR−156Dのように、ドア外板の特性及び/又は見た目を向上させる任意の材料でよい。
【0207】
一度混合物をダイの下半部分714に加えたら、上方(例えば、雄型)ダイ716が下げられ(即ち、型は閉じられる)、イソシアネート−ポリオール混合物の架橋によりポリウレタン/ガラス繊維複合体が形成される。LFIにおいて、ポリウレタンはある程度発泡し、膨張して型を満たす。約0.5〜3分後、反応がほとんど完了するので、型を開き、ドア外板718を取り出すことができる。結果として得られる繊維強化複合体718(例えば、ドア外板)はどけて置き、硬化を完了させる。
【0208】
1つのドア外板を形成する全LFIサイクルには約2〜5分を要する。各サイクルの後、注入ヘッドは、不要な重合及び/又は繊維積層を防止するために、有機溶剤、蒸気、又は他の溶媒により清掃される。
【0209】
繊維強化複合体をLFIにより形成した後、硬化させる。硬化の殆どは型の内側で行われるので、成形された複合体は、型から一旦取り出したら、傍らに置いておき反応を完了させる。例えば、一実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は型内で少なくとも80%硬化され、残りの硬化は、複合体を室温で約1時間そのままにしておくことにより行われる。あるいは、部品は、例えば薄層の複合体を用いてドア又は窓部品用の非平面の薄層覆いを製作する場合、ダイ組立体からの取出し後、再成形してもよい。ある実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は更に処理されてもよい。例えば、一実施形態において、繊維強化ポリマー複合体は外側表面を塗られてもよい。
【0210】
このようにして、本発明は、建築用構造物において使用される繊維強化ポリウレタン複合体の製造に関する方法及び構成を提供する。本発明の実施形態は、様々な利点及び特徴を提供する。例えば、本発明の利点の一つは、高い引張り強度、耐衝撃性、良好な断熱性能、熱による耐膨張及び耐収縮性、低密度/軽重量のような1つ以上の構造的特性をもつ、繊維強化ポリウレタンから製作された繊維強化複合体を提供することである。
【0211】
また本発明は、技術的に周知の方法により製作されたガラス繊維繊維強化ポリマー複合体と比較してVOCの放出が少ない、繊維強化ポリウレタンから製作された繊維強化複合体を提供することが有利である。ポリウレタン/ガラス繊維複合体はスチレンがないので、VOCは、皆無ではないにしろ大幅に減少する。
【0212】
加えて、本発明の繊維強化複合体に使用されるLFIプロセスは基本的に一工程のプロセスである。従って、SMCを基本とした技術において行われているように、ポリウレタン混合物を繊維のマットへ付加する必要はない。また、プロセスの閉鎖性のため、作業環境に放出されるガラス繊維の量が大幅に減少する。
【0213】
本発明は、密度を制御する能力と、得られた繊維強化複合体に順応性があることが有利である。実施形態において、ドア外板は、SMCを基本とした技術を用いて製作されたドア外板と比較して、重量が軽く、密度も低い。本発明のポリウレタン・ベースの複合体が軽量である理由の1つは、空気が発泡剤として作用するためである。また、ドア外板は、複合体に使用されるガラス繊維よりポリウレタンの量を増すことにより、SMC技術を用いて製作されたドア外板と比べて低い密度を有するように形成されていてよい。代わりに、ドア外板は、複合体に使用されるガラス繊維よりポリウレタンの量を減らすことによって、SMC技術を用いて製作されたドア外板と比べて高い密度を有するように形成されていてもよい。同様に、繊維強化複合体の結果として得られた順応性は、最終製品における繊維、ポリウレタン、架橋及び発泡の相対レベルを制御することにより調節されうる。
【0214】
ポリエステルが繊維を包み込むだけなのに対して、ポリウレタンは実際に繊維に結合するので、本発明で種々のガラス繊維等級を使用できることは更に有利である。例えば、ポリエステルと共に用いられる繊維は、ポリエステルを吸収する粗面を一般的に必要とする。本発明においては、このような粗面繊維は必要ない。
【0215】
また、本発明の繊維強化複合体は、優れた機械的特性を有している。例えば、実施形態において、本発明の繊維強化複合体は、熱による膨張及び収縮に対する高い耐性、並びに熱による剥離及び割れに対する高い耐性を示す。加えて、ポリエステル樹脂で製作された繊維強化複合体と比較すると、凹み又は曲げに対する耐性の向上及び機械加工に対する性能の向上をもたらす。
【0216】
また、本発明の実施形態は、引掻きに対して高い抵抗性を有しながらも、塗装されて見た目に美しい表面をもたらす繊維強化複合体を提供する。加えて、IMCの一部として下塗り剤又は着色剤を含んだり、あるいは型に吹き付けるのに用いる防護塗膜を含んだりすることを可能にする。このようにして、外板は、成形ステップの一部として下塗りされるか又は塗装されることができる。
【0217】
SMCと比較して、LFIに必要とされる設備の資本コストが減少することは更に有利である。従って、必要に応じて、多かれ少なかれこの技術が取り入れられる。
【0218】
更に、LFIの使用は、もっと高い割合で繊維を用いることを可能にする。繊維は樹脂よりも安価であるから、製品の大幅なコスト節約及び性能の向上という結果をうむ。
【0219】
上述した諸要素の各々が、又は2つ以上を組み合わせ、記載してきたものとは異なる適用例にも有用性を見い出しうることが分かるであろう。本発明を、繊維強化複合体を作成するシステム及び方法として図解し説明してきたが、本発明の精神から何ら逸脱することなく種々の改変及び代替を行うことができ、記述の詳細に限定するものではない。このような次第であるから、ここに開示した本発明の更なる改変例及び均等例は、当業者による通常の実験にすぎず、そのような改変例及び均等例は上述した本発明の精神及び範囲内にあるものと確信される。この明細書において参照した全ての特許及び公開特許出願の全ては参照によりここに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1A】本発明の実施形態によるドア外板を斜視図で示している。
【図1B】本発明の実施形態によるドア外板の外観部分を横断面図で示している。
【図2A】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2B】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2C】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2D】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2E】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図2F】本発明の実施形態の1つによるドア外板を例示している。
【図3A】本発明の実施形態の1つによる別のドア外板を例示している。
【図3B】本発明の実施形態の1つによる別のドア外板を例示している。
【図3C】図3Bで示されたドア外板の外観部分を横断面図で示している。
【図4A】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4B】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4C】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図4D】本発明の実施形態による横窓を例示している。
【図5A】本発明の実施形態に基づく、ドア又は横窓内へガラス板を挿入するためのパネルを斜視図で示している。
【図5B】本発明の実施形態に基づく、ドア又は横窓内へガラス板を挿入するためのパネルを断面図で示している。
【図6】本発明の実施形態に基づく、車両一台用の複合体ガレージドアの斜視図を示している。
【図7A】本発明の実施形態に基づくドア枠を例示するもので、ドア枠の一部を分解図で示し、特に横ドア枠、まぐさ枠、及び敷居を示している。
【図7B】本発明の実施形態に基づくドア枠を例示するもので、横ドア枠の横断面図を例示している。
【図8A】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、サイディング部品を例示している。
【図8B】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、シャッターカバーを例示している。
【図8C】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、窓及び諸部品を例示している。
【図8D】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体建築用構造物を示すもので、窓用のガラス押し縁を例示している。
【図9】本発明の実施形態に基づいて長繊維噴射(LFI)により製作される繊維強化複合体の製造についてのフローチャートを例示している。
【図10】本発明の実施形態に基づく繊維強化複合体ドア外板の製造用システムの概略表示である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維及びポリマー樹脂を含む、繊維強化複合体建築用構造物。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項2に記載の建築用構造物。
【請求項4】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項5】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項6】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項7】
非繊維の充填材を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項8】
着色剤を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項9】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項10】
実質的に平面的な構造物を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項11】
前記構造物がドア外板を含む、請求項10に記載の建築用構造物。
【請求項12】
前記構造物がパネルを含む、請求項10に記載の建築用構造物。
【請求項13】
前記構造物が覆いを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項14】
前記構造物がドア枠、又はドア枠の一部を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項15】
前記構造物が窓枠部品又は窓部品を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項16】
前記構造物がサイディングを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項17】
前記構造物がシャッターを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項18】
前記構造物がこけら板を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項19】
繊維及びポリマー樹脂を含む、繊維強化複合体ドア外板。
【請求項20】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項21】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項20に記載のドア外板。
【請求項22】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項23】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項19に記載のドア外板。
【請求項24】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項25】
非繊維の充填材を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項26】
着色剤を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項27】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項28】
平らな輪郭を更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項29】
モールディングを更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項30】
半透明パネル用の開口を更に備える、請求項19に記載のドア外板。
【請求項31】
実質的に滑らかな表面を更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項32】
少なくとも1つの表面上に木目模様を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項33】
請求項19に記載のドア外板を有する、ドア。
【請求項34】
繊維強化複合体として形成された繊維及びポリマー樹脂を含む、ドア。
【請求項35】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項36】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項37】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項38】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項34に記載のドア。
【請求項39】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項40】
非繊維の充填材を更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項41】
着色剤を更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項42】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項43】
前記繊維強化複合体がドア外板を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項44】
前記繊維強化複合体がドアパネルを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項45】
前記繊維強化複合体がプラント・オン構造を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項46】
前記繊維強化複合体が覆いを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項47】
前記繊維強化複合体が半透明パネル用の開口を備える、請求項34に記載のドア。
【請求項48】
前記繊維強化複合体が少なくとも1つの実質的に滑らかな表面を備える、請求項34に記載のドア。
【請求項49】
前記繊維強化複合体が少なくとも1つの表面上に木目模様を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項50】
建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップと、
複数の繊維とポリマー樹脂とを含む混合物を前記型の表面上に供給するステップと、
繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で前記樹脂を重合させるステップとを含む、建築用構造物を製造するための方法。
【請求項51】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記型上に供給された前記混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記表面活性剤が離型剤又は防護塗膜のうちの少なくとも一方を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記表面活性剤が、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記型が、実質的に平面的な複合体を形成するように形作られている、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記建築用構造物がドア外板を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記建築用構造物がドアパネルを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記建築用構造物が覆いを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
前記建築用構造物が、ドア枠又はドア枠の一部を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記建築用構造物が窓枠部品又は窓部品を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記建築用構造物がサイディングを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項67】
前記建築用構造物がシャッターを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項68】
前記建築用構造物がこけら板を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項69】
第1のダイ及び第2のダイを備えた型であって、該ダイの双方が少なくとも1つのほぼ平らな表面を有する型を用意するステップと、
複数の繊維とポリマー樹脂とから構成される混合物を前記第1のダイのほぼ平らな表面上に供給するステップと、
前記第2のダイのほぼ平らな表面を前記繊維及び前記樹脂に接触させるステップと、
ドア外板の形状の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で前記樹脂を重合させるステップとを含む、ドア外板を製造するための方法。
【請求項70】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記型上に供給された前記混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記表面活性剤が離型剤又は防護塗膜を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記表面活性剤が、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記繊維強化複合体ドア外板が平らな形状を有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つがほぼ平らな表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記繊維強化複合体ドア外板がモールディングを有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つが溝又は凸部の少なくとも一方を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
前記繊維強化複合体ドア外板が少なくとも1つの滑らかな表面を有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つがほぼ滑らかな表面を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つが、前記繊維強化複合体ドア外板が木目模様を有する表面を少なくとも1つ有するように、木目模様を含んでいる、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
前記第1のダイが、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、前記第2のダイが、少なくとも1つの凸部を含む雄型ダイであり、前記凹部及び前記凸部は前記型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている、請求項69に記載の方法。
【請求項84】
前記ダイが、前記型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記所定距離が0.05インチ〜1.0インチである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
導入装置と、建築用構造物を形成する形をした型とを備える、建築用構造物を製造するシステム。
【請求項87】
前記導入装置が、ポリマー樹脂を形成するのに必要な少なくとも2種の別個の樹脂成分を混合するための混合器を備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記2種の別個の樹脂成分を前記混合器に導入するための少なくとも2つの導管を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項89】
複数の繊維を所定長さに細断する細断器を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項90】
前記繊維又は前記ポリマーの少なくとも一方を前記型の表面上に供給するためのディスペンサを更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項91】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項92】
前記ディスペンサを前記型に対して種々の異なる位置に位置決めするためのロボットコントローラを更に備える、請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記型の少なくとも一部の温度を制御するための手段を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項94】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項95】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項97】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記建築用構造物が実質的に平面的な構造を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項99】
前記建築用構造物がドア外板を含む、請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
前記型が、ドア外板をプレスする形に作られた2つのダイから構成されている、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
前記第1のダイが、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、前記第2のダイが、少なくとも1つの凸部を含む雄型ダイであり、前記凹部及び前記凸部は前記型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記2つのダイの少なくとも一方の少なくとも一部が滑らかな仕上げに研磨されている、請求項100に記載のシステム。
【請求項103】
前記2つのダイの少なくとも一方の少なくとも一部が表面にエッチングされた模様を有する、請求項100に記載のシステム。
【請求項104】
前記ダイが、前記型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている、請求項100に記載のシステム。
【請求項105】
前記所定距離が0.05インチ〜1.0インチである、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
前記建築用構造物がパネルを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項107】
前記建築用構造物が覆いを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項108】
前記建築用構造物がドア枠、又はドア枠の一部を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項109】
前記建築用構造物が窓枠又は窓の一部を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項110】
前記建築用構造物がサイディングを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項111】
前記建築用構造物がシャッターを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項112】
前記建築用構造物がこけら板を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項1】
繊維及びポリマー樹脂を含む、繊維強化複合体建築用構造物。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項2に記載の建築用構造物。
【請求項4】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項5】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項6】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項7】
非繊維の充填材を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項8】
着色剤を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項9】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項10】
実質的に平面的な構造物を更に含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項11】
前記構造物がドア外板を含む、請求項10に記載の建築用構造物。
【請求項12】
前記構造物がパネルを含む、請求項10に記載の建築用構造物。
【請求項13】
前記構造物が覆いを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項14】
前記構造物がドア枠、又はドア枠の一部を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項15】
前記構造物が窓枠部品又は窓部品を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項16】
前記構造物がサイディングを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項17】
前記構造物がシャッターを含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項18】
前記構造物がこけら板を含む、請求項1に記載の建築用構造物。
【請求項19】
繊維及びポリマー樹脂を含む、繊維強化複合体ドア外板。
【請求項20】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項21】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項20に記載のドア外板。
【請求項22】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項23】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項19に記載のドア外板。
【請求項24】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項25】
非繊維の充填材を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項26】
着色剤を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項27】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項28】
平らな輪郭を更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項29】
モールディングを更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項30】
半透明パネル用の開口を更に備える、請求項19に記載のドア外板。
【請求項31】
実質的に滑らかな表面を更に有する、請求項19に記載のドア外板。
【請求項32】
少なくとも1つの表面上に木目模様を更に含む、請求項19に記載のドア外板。
【請求項33】
請求項19に記載のドア外板を有する、ドア。
【請求項34】
繊維強化複合体として形成された繊維及びポリマー樹脂を含む、ドア。
【請求項35】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項36】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項37】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項38】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項34に記載のドア。
【請求項39】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項40】
非繊維の充填材を更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項41】
着色剤を更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項42】
前記構造物の少なくとも一部に付与される、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項34に記載のドア。
【請求項43】
前記繊維強化複合体がドア外板を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項44】
前記繊維強化複合体がドアパネルを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項45】
前記繊維強化複合体がプラント・オン構造を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項46】
前記繊維強化複合体が覆いを含む、請求項34に記載のドア。
【請求項47】
前記繊維強化複合体が半透明パネル用の開口を備える、請求項34に記載のドア。
【請求項48】
前記繊維強化複合体が少なくとも1つの実質的に滑らかな表面を備える、請求項34に記載のドア。
【請求項49】
前記繊維強化複合体が少なくとも1つの表面上に木目模様を含む、請求項34に記載のドア。
【請求項50】
建築用構造物の形状をした内部容積を有する型を用意するステップと、
複数の繊維とポリマー樹脂とを含む混合物を前記型の表面上に供給するステップと、
繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で前記樹脂を重合させるステップとを含む、建築用構造物を製造するための方法。
【請求項51】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記型上に供給された前記混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記表面活性剤が離型剤又は防護塗膜のうちの少なくとも一方を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記表面活性剤が、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記型が、実質的に平面的な複合体を形成するように形作られている、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記建築用構造物がドア外板を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記建築用構造物がドアパネルを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記建築用構造物が覆いを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
前記建築用構造物が、ドア枠又はドア枠の一部を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記建築用構造物が窓枠部品又は窓部品を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記建築用構造物がサイディングを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項67】
前記建築用構造物がシャッターを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項68】
前記建築用構造物がこけら板を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項69】
第1のダイ及び第2のダイを備えた型であって、該ダイの双方が少なくとも1つのほぼ平らな表面を有する型を用意するステップと、
複数の繊維とポリマー樹脂とから構成される混合物を前記第1のダイのほぼ平らな表面上に供給するステップと、
前記第2のダイのほぼ平らな表面を前記繊維及び前記樹脂に接触させるステップと、
ドア外板の形状の繊維強化複合体を製造するのに十分な条件の下で前記樹脂を重合させるステップとを含む、ドア外板を製造するための方法。
【請求項70】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記型上に供給された前記混合物の少なくとも一部に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記表面活性剤が離型剤又は防護塗膜を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記型の少なくとも一表面に表面活性剤を付与するステップを更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記表面活性剤が、離型剤、防護塗膜、又は型内コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記繊維強化複合体ドア外板が平らな形状を有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つがほぼ平らな表面である、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記繊維強化複合体ドア外板がモールディングを有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つが溝又は凸部の少なくとも一方を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
前記繊維強化複合体ドア外板が少なくとも1つの滑らかな表面を有するように、前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つがほぼ滑らかな表面を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
前記繊維及びポリマー樹脂に接触する前記ダイ表面の少なくとも1つが、前記繊維強化複合体ドア外板が木目模様を有する表面を少なくとも1つ有するように、木目模様を含んでいる、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
前記第1のダイが、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、前記第2のダイが、少なくとも1つの凸部を含む雄型ダイであり、前記凹部及び前記凸部は前記型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている、請求項69に記載の方法。
【請求項84】
前記ダイが、前記型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記所定距離が0.05インチ〜1.0インチである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
導入装置と、建築用構造物を形成する形をした型とを備える、建築用構造物を製造するシステム。
【請求項87】
前記導入装置が、ポリマー樹脂を形成するのに必要な少なくとも2種の別個の樹脂成分を混合するための混合器を備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記2種の別個の樹脂成分を前記混合器に導入するための少なくとも2つの導管を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項89】
複数の繊維を所定長さに細断する細断器を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項90】
前記繊維又は前記ポリマーの少なくとも一方を前記型の表面上に供給するためのディスペンサを更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項91】
前記繊維が、構造化されず、実質的に無作為な向きに配置された複数の細断繊維を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項92】
前記ディスペンサを前記型に対して種々の異なる位置に位置決めするためのロボットコントローラを更に備える、請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記型の少なくとも一部の温度を制御するための手段を更に備える、請求項86に記載のシステム。
【請求項94】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性ポリマーを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項95】
前記熱硬化性ポリマーがポリウレタンを含む、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記繊維がガラス繊維を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項97】
前記繊維の長さが約5mm〜約100mmである、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記建築用構造物が実質的に平面的な構造を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項99】
前記建築用構造物がドア外板を含む、請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
前記型が、ドア外板をプレスする形に作られた2つのダイから構成されている、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
前記第1のダイが、少なくとも1つの凹部を含む表面を有する雌型ダイであり、前記第2のダイが、少なくとも1つの凸部を含む雄型ダイであり、前記凹部及び前記凸部は前記型が閉じられたときに互いに位置合わせされるようになっている、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記2つのダイの少なくとも一方の少なくとも一部が滑らかな仕上げに研磨されている、請求項100に記載のシステム。
【請求項103】
前記2つのダイの少なくとも一方の少なくとも一部が表面にエッチングされた模様を有する、請求項100に記載のシステム。
【請求項104】
前記ダイが、前記型が閉じられたときに所定距離だけ互いに離れている、請求項100に記載のシステム。
【請求項105】
前記所定距離が0.05インチ〜1.0インチである、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
前記建築用構造物がパネルを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項107】
前記建築用構造物が覆いを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項108】
前記建築用構造物がドア枠、又はドア枠の一部を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項109】
前記建築用構造物が窓枠又は窓の一部を含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項110】
前記建築用構造物がサイディングを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項111】
前記建築用構造物がシャッターを含む、請求項86に記載のシステム。
【請求項112】
前記建築用構造物がこけら板を含む、請求項86に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−534865(P2007−534865A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509740(P2007−509740)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/014339
【国際公開番号】WO2005/106155
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506337149)ジェルドウィン インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/014339
【国際公開番号】WO2005/106155
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506337149)ジェルドウィン インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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