説明

繰り出しロ−ラを駆動するモ−タの回転数制御による、施肥・播種機、薬剤散布機における、繰り出し量確認調整装置。

【課題】実テスト走行をして実繰り出し量により、目標設定値を増減する修正の必要がなく、定置状態における正確な実繰り出し量を測定するだけで、想定以外の肥料・種子・薬剤に対しても目標設定値に正確に短時間で合わせられる装置を提供する。
【解決手段】想定される作業速度に対応した作業速度パルスを、繰り出し量確認調整装置11からコントロ−ラ6に入力して、繰り出しロ−ラ駆動モ−タ2の回転数制御をし、テスト走行をしないで停止した状態のままで肥料・種子・薬剤を繰り出す。繰り出された肥料・種子・薬剤は地面上で受けて回収し、重量を測定する。この測定重量より10a当たりの繰り出し量を算出して、コントロ−ラ6の目標繰り出し量と比較し、目標値を増減させて修正調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出しロ−ラを駆動するモ−タの回転数制御による、甜菜・馬鈴薯等の施肥、及び甜菜・豆類・コ−ン類の播種、及び薬剤散布機において、作業前に実繰り出し量を実測する事が出来る、繰り出し量確認調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ−で牽引される施肥・播種機、薬剤散布機において、作業速度をセンサ−により検出して、繰り出しロ−ラを駆動する繰り出しモ−タの回転数を制御する装置としては下記の技術が知られている。
【実用新案公報1】
出願公開 昭55−147121
【特許公報1】
出願公開 昭57−194711
【実用新案公報2】
出願公開 平1−118615
【実用新案公報3】
出願公告 平4−8733
上記技術においては作業速度により繰り出しモ−タの回転数を制御はしているが、必ずしも制御目標の繰り出し量と、走行による実繰り出し量は合致しない。
【0003】
出願はなされていないが、本発明の出願人が販売している施肥・播種・薬剤散布機においては、作業速度、肥料・種子・薬剤の比重、肥料・種子・薬剤の繰り出し特性等により繰り出しロ−ラを駆動しているモ−タの回転数制御を行っている。
【0004】
よりよい繰り出し精度を得る制御の要因としては「スリップ率を加味した作業速度の検出」、「肥料・種子・薬剤の比重の測定」、「肥料・種子・薬剤の繰り出し特性を左右する形状・粒径・硬度」等がある。頻繁に使用される代表的な肥料・種子・薬剤については、上記の点を考慮した制御プログラムを作成しておくことにより、精度の良い繰り出しを行う事が出来る。しかし一般的でない肥料・種子・薬剤において硬度・粒径が標準的な物と異なる場合は、作業速度の検出、比重の測定を精度良く行っても実繰り出し量は、目標設定値と合わない事がある。この場合現状では、一度テスト走行を行い、その作業速度における実繰り出し量を測定し、コントロ−ラ等の目標繰り出し量を調整して希望の繰り出し量に合わせるしかない。これでは、実作業にかかるまでに時間を要してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業速度をセンサ−により検出して、肥料・種子・薬剤を繰り出すロ−ラを駆動する繰り出しモ−タの回転数を制御する、トラクタ−で牽引される施肥・播種機、薬剤散布機において、コントロ−ラ等で指示・表示した目標繰り出し量と実繰り出し量とが常に合致するとは限らない。その要因としては、スリップ率の変化による作業速度の検出の不安定、肥料・種子・薬剤の比重測定の不正確、肥料・種子・薬剤の形状・粒径・硬度等による繰り出し特性の変化等がある。作業速度・比重に関しては、実用上問題無い程度の精度には対応出来る。上記要因の中で一番変動し、定常化しづらい項目が肥料・種子・薬剤の形状・粒径・硬度等による繰り出し特性である。
【0006】
限定されている場合、又使用頻度の高い肥料・種子・薬剤については、上記の繰り出し特性を考慮した制御プログラムを作成しておき、作業時にその肥料・種子・薬剤に合ったプログラムを選択すれば良い。しかし一般的な肥料・種子・薬剤でない場合、新発売の場合、又肥料に関しては配合をしてその都度新しい配合肥料となった場合は、その肥料・種子・薬剤の繰り出し特性によって、目標の繰り出し量と実繰り出し量には、相違を生じる事になる。
【0007】
この場合の対応としては、一度テスト走行を行い、実繰り出し量を測定して、設定量との差を確認し、コントロ−ラ等の繰り出し設定値を修正するしかない。これには時間が掛かり、又テスト走行をした畑の畦では、目標設定値とは違った繰り出し量となる。
【0008】
そこで本発明では、代表的な繰り出しプログラムにおいて、繰り出し量確認調整装置よりコントロ−ラ等に作業速度のパルスを入力する事により、テスト走行せずに定置のままで使用肥料・種子・薬剤の実繰り出し量を測定して、設定値との相違を修正調整する装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
繰り出しロ−ラを駆動する繰り出しモ−タの回転数制御コントロ−ラに、繰り出し量確認調整装置から、作業速度に対応した作業速度パルスを入力して、停止状態で作業走行している状態と同じ繰り出しをさせ、実繰り出し量を測定し目標設定値との相違を確認し、目標設定値を修正調整する。
【発明の効果】
【0010】
従来技術ではテスト走行を行い、実繰り出し量を測定すると言っても、実際に圃場に蒔いた量は畦からは回収が出来ないので、肥料・種子・薬剤のタンク残量から使用した量を推測するしかない。タンク内の肥料・種子・薬剤の上面を平らにならしておき、テスト走行後の上面の下降量測定して、使用体積を計算し重量に換算する事となる。これでは精度の良い測定は難しい。本発明によれば、定置で行えるので、繰り出しロ−ラから繰り出した肥料・種子・薬剤は、地面上にて確実に回収出来るので精度の良い測定を行える。
【0011】
今までに使用した事がない肥料・種子・薬剤に対しても、テスト走行する事なく対応出来る。今までテスト走行に費やした時間が短縮出来る。畦の初めから目標設定値に合った肥料・種子・薬剤の繰り出しが出来る。
【発明を実施するための最良の形態・実施例】
【0012】
以下図に例示する一実施例を説明する。これは一般的な4畦用施肥・播種機、薬剤散布機を示す。
本発明案は、勿論本実施例に限定されるものではない。
【0013】
図1に示す実施例において、Aはトラクタ−、Bはトラクタ−の3点リンク、Cはトラクタ−搭載のバッテリ−、Dは施肥・播種機、薬剤散布機を示す。施肥・播種機、薬剤散布機Dは、トラクタ−Aの3点リンクBによって牽引される。
【0014】
肥料・種子・薬剤の繰り出しロ−ラ1は、繰り出しロ−ラ駆動モ−タ2によって駆動される。駆動モ−タ2は、タイヤ3の回転による作業速度パルスを車速エンコ−ダ4により検出し、同時に駆動モ−タ回転パルスをモ−タエンコ−ダ5により検出し、コントロ−ラ6にそれぞれのパルスが入力されて回転数制御される。この場合タイヤ3に車速エンコ−ダ4を直接接続しても良い。又、車速エンコ−ダ4で作業速度パルスを検出するのではなく、中間軸7に検出突起等を設けて磁気センサ−等で作業速度パルスを検出しても良い。
【0015】
本発明としては、想定される作業速度に対応した作業速度パルスを繰り出し量確認調整装置11よりコントロ−ラ6に入力して、繰り出しロ−ラ駆動モ−タ2を回転数制御し、テスト走行を行わず停止した状態で肥料・種子・薬剤を繰り出すものである。繰り出された肥料・種子・薬剤は地面上にて回収し重量を測定する。この測定重量より10a当たりの繰り出し量を算出して、コントロ−ラ6の目標繰り出し量と比較し、目標値を増減させて修正調整するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における繰り出し量確認調整装置実施例の側面図である。
【図2】本発明における繰り出し量確認調整装置実施例の施肥・播種機、薬剤散布機の駆動系統図及びコントロ−ラと繰り出し量確認調整装置の制御系統図である。
【図3】本発明における繰り出し量確認調整装置実施例の制御フロ−チャ−トとその制御ブロック図である。
【符号の説明】
A トラクタ−
B トラシタ−3点リンク
C トラシタ−搭載のバッテリ−
D 施肥・播種機、薬剤散布機
1 繰り出しロ−ラ
2 繰り出しロ−ラ駆動モ−タ
3 タイヤ
4 車速エンコ−ダ
5 モ−タエンコ−ダ
6 コントロ−ラ
7 中間軸
11 繰り出し量確認調整装置
12 アジテ−タ
13 駆動中間軸
21 スプロケットチェ−ン
22 歯車
31 オプナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業速度をセンサ−により検出して、肥料・種子・薬剤を繰り出すロ−ラを駆動する繰り出しモ−タの回転数を制御する施肥・播種機、薬剤散布機において、想定以外の肥料・種子・薬剤に対して、テスト走行を行わずに作業速度に対応した作業速度パルス信号をコントロ−ラ入力し、該施肥・播種機、薬剤散布機を定置で停止したままで繰り出しロ−ラを駆動させ、実繰り出し量を測定して、コントロ−ラの設定繰り出し量との相違を確認し調整する事が出来る、繰り出し量確認調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−174818(P2006−174818A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382750(P2004−382750)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000130455)株式会社サークル鉄工 (14)
【Fターム(参考)】