説明

耐熱容器及び耐熱容器の製造方法並びに最終ブロー型

【課題】容器の把持性を向上させた、耐熱容器、内容物入りの耐熱容器及び耐熱容器の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる耐熱容器10は、合成樹脂製の容器の胴部18に、第1の凹部28a及び第2の凹部28bと、把持部26と、を有する。第1の凹部の底部280aは、第2の凹部の底部280bと対向して形成されている。耐熱容器10に充填された高温内容物が冷却されて容器内部が減圧された際に、第1の凹部の底部280aの容器内側面284aは、第2の凹部の底部280bの容器内側面284bに接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱容器、内容物入りの耐熱容器及び耐熱容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二軸延伸ブロー成形されたポリエチレンテレフタレート製の容器、いわゆるPETボトルは、透明性が高く、丈夫であることなどから、多彩な内容物を充填する容器として採用されている。このようなPETボトルの内、特に1.5L以上の内容量をもつ中型・大型容器においては、その取り扱いを容易にするために、容器の胴部に把手を配置することが求められていた。しかしながら、このような把手付きの容器は、リサイクル性を向上させるため、容器の一部に把持部を一体形成することが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、PETボトルは、加熱殺菌された果汁飲料などの高温内容物を充填するため、耐熱性の向上が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このような耐熱性を有するPETボトルは、容器の胴部に大きな減圧吸収パネルが配置されているため、胴部に把持部を形成させることができなかった。したがって、これまで、良好な把持性と高い耐熱性とを兼ね備えたポリエチレンテレフタレート製の耐熱容器は、提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−323845号公報
【特許文献2】特開平10−286874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、容器の把持性を向上させた、耐熱容器、内容物入りの耐熱容器及び耐熱容器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる耐熱容器は、合成樹脂製の容器の胴部に、容器内側に陥没して形成された対向する第1の凹部及び第2の凹部と、該第1の凹部と第2の凹部との間を連結する把持部と、を有する合成樹脂製の耐熱容器であって、
前記第1の凹部及び前記第2の凹部は、
容器内側へ向かって傾斜して形成された環状の側壁部と、
前記側壁部の容器内側の端部に形成された底部と、
を有し、
前記容器に充填された高温内容物が冷却されて前記容器の内部が減圧された際に、前記第1の凹部の底部の容器内側面は、前記第2の凹部の底部の容器内側面に接触することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様によれば、容器に充填された高温内容物が冷却されることで発生する容器内部の減圧を、2つの凹部の容器内側への変形によって吸収することができる。したがって、容器の他の部分の好ましくない変形を防止し、容器を把持するためにもともと容器内側に陥没して設けられた凹部が変形することで容器全体の外観を損うことが無い。
【0008】
本発明にかかる内容物入りの耐熱容器は、本発明にかかる耐熱容器に内容物が充填され、前記第1の凹部の底部の容器内側面と、前記第2の凹部の底部の容器内側面とが接触していることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様によれば、2つの凹部の底部の容器内側面同士が接触するため、消費者が容器を把持した際に凹部の変形がなく、しっかりと安定した把持感を得ることができる。
【0010】
本発明にかかる耐熱容器の製造方法は、合成樹脂製の容器の胴部に、該胴部の容器内側に陥没して形成された対向する第1の凹部及び第2の凹部と、該第1の凹部と第2の凹部との間を連結する把持部と、を有する耐熱容器の製造方法であって、
プリフォームを該耐熱容器よりも大きな1次ブロー成形品にブロー成形する1次ブロー成形工程と、
前記1次ブロー成形品を熱処理して収縮させる熱処理工程と、
収縮した1次ブロー成形品を最終ブロー型内で再度ブロー成形する最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記最終ブロー成形工程は、
前記最終ブロー型の型閉じ移動中に、前記収縮した1次ブロー成形品の胴部を前記最終ブロー型で押しながら変形させ、
変形した前記収縮した1次ブロー成形品の胴部を、ブロー成形中に、一対の押圧部材を互いに近接する方向に移動して前記第1の凹部と前記第2の凹部を成形することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様によれば、熱処理工程で1次ブロー成形品を収縮させることで容器の応力ひずみを減少させた耐熱容器を成形することができると共に、収縮した1次ブロー成形品は、熱処理工程で与えられた熱量を有しているため、比較的深い凹部を容易に成形することができる。また、2つの凹部が形成される1次ブロー成形品の胴部は、最終容器の胴部の外径よりも大きく形成された後、最終ブロー型で押しながら変形させるため、十分に薄肉化されている。したがって、最終容器の胴部に比較的深い凹部を形成しても、凹部の周囲の容器壁部の肉厚が極端に薄くなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す右側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す背面図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す概略横断面図(図1のA−A’線断面図)である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかるプリフォーム、1次ブロー成形品、中間容器及び耐熱容器の胴部外形を比較する概略横断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器の成形工程を説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器の成形工程を説明する図である。
【図9】本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器の成形工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す右側面図である。図2は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す平面図である。図3は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す正面図である。図4は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す背面図である。図5は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器を示す概略横断面図(図1のA−A’断面図)である。図6は、本発明の一実施の形態にかかるプリフォーム、1次ブロー成形品、中間容器及び耐熱容器の胴部外形を比較する概略横断面図である。図7〜図9は、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器の成形工程を説明する図である。
【0015】
(耐熱容器)
まず、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器について説明する。
【0016】
図1〜図5に示すように、本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器10は、二軸延伸ブロー成形された合成樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート製であって、開口しキャップを受け入れるためのネック部12と、薄肉筒状の胴部18と、該ネック部12と該胴部18とを拡径して接続する肩部16と、自立可能な底部14と、底部14と胴部18とを拡径して接続するヒール部20と、を有する。
【0017】
胴部18の外形は、図2及び図5に示すように、長辺側に容器側壁22a,22bと、短辺側にラベル部24及び把持部26とを有する略長方形である。胴部18には、容器側壁22a,22bに連続し、かつ、耐熱容器10の内側に陥没して形成された対向する第1の凹部28a及び第2の凹部28bと、該第1の凹部28aと第2の凹部28bとの間を連結する把持部26と、を有する。凹部28a、28bとほぼ同じ高さの位置に形成されたラベル部24と把持部26は、短辺側から長辺側へと連続する複数の横溝242、262が形成され、耐熱容器10の減圧によってほとんど変形しない。また、凹部28a、28bの下方であって、ヒール部20の上方の胴部18には、ぐるりと全周に渡って連続する横溝222が2本形成されている。
【0018】
ラベル部24は、図5に示すように、耐熱容器10の正面にある短辺側から長辺側へと屈曲して連続した略C字状の横断面を有し、容器側壁22a,22bより容器内側へ1段窪んで形成され、商品名などを表示するラベルが貼り付けられる。短辺側から長辺側へ延びるラベル部24と、第1の凹部28a及び第2の凹部28bとの間には、縦リブ23a,23bが形成されている。
【0019】
縦リブ23a,23bは、ラベル部24と第1の凹部28a及び第2の凹部28bと略同じ高さに渡って形成されている。縦リブ23a,23bは、図1及び図5に示すように、その上下にある容器側壁22a,22bに接続し、かつ、容器側壁22a,22bの外形とほぼ同じ外形である。
【0020】
把持部26は、耐熱容器10の背面にある短辺側に形成され、肩部16から胴部18の下方に向けて第1の凹部28a及び第2の凹部28bとほぼ同じ高さに渡って形成されている。把持部26は、胴部18の短辺側において把持部26の上下に形成された胴部18の外径とほぼ同じ外径を有し、長辺側において容器側壁22a,22bよりも耐熱容器10の内側に窪んで形成され、消費者が把持する際に握り易い形状を有する。また、把持部26が胴部18の短辺方向に細く形成されることで、第1の凹部28aと第2の凹部28bをブロー成形した際に、把持部26が極端に薄肉化することを防止し、かつ、賦形性を向上させることができる。
【0021】
第1の凹部28aと第2の凹部28bは、高温内容物を充填した際に、いわゆる減圧吸収パネルとして機能する。第1の凹部28aと第2の凹部28bは、容器側壁22a,22bから耐熱容器10の内側へ向かって傾斜して形成された環状の第1の凹部の側壁部282a及び第2の凹部の側壁部282bと、該第1の凹部の側壁部282a及び該第2の凹部の側壁部282bの耐熱容器10の内側の端部に形成された第1の凹部の底部280a及び第2の凹部の底部280bと、を有する。第1の凹部の底部280aは、第2の凹部の底部280bと対向して形成され、耐熱容器10に充填された高温内容物が冷却されて耐熱容器10の内部が減圧された際に、第1の凹部の底部280aの容器内側面284aは、第2の凹部の底部280bの容器内側面284bに接触する。したがって、内容物が充填されていない状態において、第1の凹部の底部280aの容器内側面284aと、第2の凹部の底部280bの容器内側面284bとの隙間は、ごくわずかであり、例えば0.5mm〜2mmに形成されている。容器内側面284aと容器内側面284bとの隙間は、耐熱容器10の内容量、高温内容物の充填量、高温内容物の温度などによって適宜設定される。
【0022】
図1〜図5に示す耐熱容器10には、ネック部12の中心を通って縦方向に延びる中心軸Oと、中心軸Oを通って胴部18の長辺側の最大径となる長軸Lと、中心軸Oを通って長軸Lと直交する短軸Sと、を示す。短軸Sは、胴部18の短辺側の最大径となる。第1の凹部の底部280a及び第2の凹部の底部280bにおける中心軸O側の端部は、胴部18の長辺側の最大径の50%以下の範囲にある。通常、このような把持用の凹部は、賦形性をよくするため、胴部の中心軸Oからなるべく遠ざけた位置に形成されるが、本発明の耐熱容器10の成形方法においては、凹部の賦形性に優れるため、中心軸O付近に第1の凹部28a及び第2の凹部28bを配置して形成することができる。
【0023】
(内容物入りの耐熱容器)
次に、本発明の一実施の形態にかかる内容物入りの耐熱容器について説明する。
【0024】
本発明の一実施の形態にかかる内容物入りの耐熱容器は、前記耐熱容器10に内容物が充填されたもので、高温内容物が冷却され、耐熱容器10の内部が減圧状態にある。したがって、横溝222、242、262で補強されていない第1の凹部28a及び第2の凹部28bがさらに耐熱容器10の内方へ変形している。第1の凹部28a及び第2の凹部28bが内方へ変形することによって、第1の凹部の底部280aの容器内側面284aと、第2の凹部の底部280bの容器内側面284bと、が接触している。また、縦リブ23a,23bが形成されていることで、第1の凹部28a及び第2の凹部28bのみに変形を集中させ、胴部18全体が楕円形に変形することを防止できる。
【0025】
例えば、市場で消費者が内容物入りの耐熱容器を右手で把持する場合、第1の凹部28aには親指を入れ、第2の凹部28bは他の4指を入れて、把持部26を握るが、その際に、第1の凹部28a及び第2の凹部28bが耐熱容器10の内方へ変形しないので、しっかりと安定した把持感を与えることができる。また、第1の凹部28a及び第2の凹部28bが深く形成されるため、消費者は比較的重い内容物入りの耐熱容器であっても確実に指を入れることができるので把持しやすい。
【0026】
(耐熱容器の成形方法)
本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器10の成形方法について、図6〜図9を用いて説明する。
【0027】
本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器10の製造方法は、図6に示すように、プリフォーム40を該耐熱容器10よりも大きな1次ブロー成形品42にブロー成形する1次ブロー成形工程と、1次ブロー成形品42を熱処理して収縮させる熱処理工程と、収縮した1次ブロー成形品(以下、中間容器という)44を最終ブロー型内で再度ブロー成形する最終ブロー成形工程と、を有する。
【0028】
(プリフォーム成形工程)
まず、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂を射出成形してプリフォーム40を得る。プリフォーム40は、耐熱容器10と同じ形状のネック部12と、該ネック部12に接続する円筒状の胴部と、該胴部を閉塞する底部と、を有する。図6に示されるプリフォーム40は、プリフォーム40の胴部の外形を示す。
【0029】
(1次ブロー成形工程)
次に、プリフォーム40を図示せぬ赤外線ヒータなどの加熱装置によって延伸適温(例えば、100〜120℃)に加熱した後、図示せぬ割型の1次ブロー型及び1次底型内に配置する。1次ブロー型は、最終成形品である耐熱容器10よりも大きなキャビティを有している。1次ブロー型内に配置されたプリフォーム40を、周知の方法例えば、図示せぬ延伸ロッドによりプリフォーム40の縦軸方向に延伸し、高圧エアにより周方向にブローして、薄肉の1次ブロー成形品42が二軸延伸ブロー成形される。1次ブロー成形品42は、耐熱容器10のネック部12の中心軸Oを通る短軸S及び長軸Lよりも大きな直径の円筒状の胴部を有する。なお、図6に示される1次ブロー成形品42は、1次ブロー成形品42の胴部の外形を示す。1次ブロー成形品42内の高圧エアを脱気すると共に、1次ブロー型を型開きして、1次ブロー成形品42を取り出す。
【0030】
(熱処理工程)
次に、1次ブロー成形品42を、1次ブロー型及び1次底型と同じキャビティ形状を有した熱処理型及び熱処理底型内に配置し、型締めする。1次ブロー成形品42内に高圧エアを導入し、熱処理型のキャビティ面に1次ブロー成形品42を確実に接触させる。このときの高圧エアは、1次ブロー成形品42の熱収縮に抗して熱処理型に1次ブロー成形品42を接触維持させる程度の圧力で有り、例えば0.5MPa〜2.5MPaである。熱処理型は、1次ブロー成形品42の結晶化が促進する温度(例えば、150〜220℃)に加熱されている。所定時間例えば、2〜10秒程度熱処理をした後、1次ブロー成形品42内の高圧エアを脱気すると共に、熱処理型を型開きすると、1次ブロー成形品42は急激に収縮して中間容器44になる。この収縮は、1次ブロー成形品42の胴部に、二軸延伸ブロー成形された際に配向の不十分な箇所が歪部分として残っており、熱処理型から受けた熱によって歪部分が収縮変形するためである。そして、この収縮変形することによって、歪部分がなくなりもしくは減少するが、高度に配向された部分は維持されるものと推測される。また、1次ブロー成形品42は、熱処理型による加熱によって結晶化が進行する。このため、収縮後の1次ブロー成形品42、つまり中間容器44及び耐熱容器10の胴部の樹脂は、密度が高くなる。中間容器44は、最終成形品である耐熱容器10の少なくとも長軸Lよりも小さな外形を有する。中間容器44の外形が長軸Lよりも大きいと、図7〜9に示す最終ブロー型50a,50bを型締めする際に中間容器44を挟み込んでしまうためである。また、中間容器44を、最終ブロー成形工程へ移動する途中で、中間容器44の側方に配置した複数の赤外線ヒータによって加熱して、二次熱処理工程を実施してもよい。二次熱処理工程は、中間容器44の結晶化を促進する程度の温度であって、中間容器44がさらに収縮しない程度の温度に加熱することが好ましい。
【0031】
(最終ブロー成形工程)
最後に、図7〜図9に示すように、中間容器44を最終ブロー型50a,50b及び図示せぬ最終底型内に配置して、中間容器44内に再度高圧エアを導入し、耐熱容器10を得る。
【0032】
図7に示すように、最終ブロー型50a、50bは、耐熱容器10の長軸Lをパーティング面とした1対の割型であり、最終ブロー型50aは耐熱容器10の右半分を形成するブローキャビティ52aを有し、最終ブロー型50bは耐熱容器10の左半分を形成するブローキャビティ52bを有している。最終ブロー型50a、50bは、図示せぬ型締め駆動装置に取り付けられた型締板60a,60bに固定されている。型締板60a,60bには押圧装置55a,55bが設けられている。押圧装置55a,55bは、型締板60a,60b内に配置されたシリンダ56a,56bと、シリンダ56a,56b内を摺動して耐熱容器の短軸Sと並行に進退するピストン58a,58bと、ピストン58a,58bからブローキャビティ52a,52bに向かって延びるピストンロッド59a,59bと、ピストンロッド59a,59bの先端に固定された押圧部材54a,54bと、を有する。押圧部材54a,54bは、型開き状態において後退し、その先端は、ブローキャビティ52a,52bとほぼ同じ面であってほとんど突出せずに配置されている。
【0033】
図8に示すように、型締板60a,60bを移動させて、最終ブロー型50a、50bを型締めすると、その最終ブロー型50a、50bの型閉じ移動中に、収縮した1次ブロー成形品42すなわち中間容器44の胴部を最終ブロー型50a、50bで押しながら変形させる。このように最終ブロー型50a、50bで中間容器44の胴部を変形させることで、中間容器44は耐熱容器10の長軸L方向に広がるように押しつぶされ、耐熱容器10の形状に近づくことができる。したがって、従来のようにプリフォームから直接横断面長方形の胴部を有する容器をブロー成形した場合に比べて、耐熱容器10の短辺、つまり耐熱容器10のラベル部24及び把持部26の肉厚が厚くなり、肉厚分布が良好となる。
【0034】
さらに、図9に示すように、最終ブロー型50a、50bで押すことで変形した中間容器44の胴部を、ブロー成形中に、一対の押圧部材54a,54bを互いに近接する方向に例えば20mm程度移動して第1の凹部28aと第2の凹部28bを成形する。より詳細には、最終ブロー型50a、50b内の中間容器44内に2次ブローエアよりも低圧の1次ブローエアを導入し、耐熱容器10のおおよその形状に膨らませた状態で、ピストン58a,58bを駆動して、押圧部材54a,54bを互いに近接する方向に移動させる。押圧部材54a,54bが所定位置まで移動した後、高圧の2次ブローエアを導入して、耐熱容器10を成形する。中間容器44は熱処理工程及び二次熱処理工程において加熱されているので、従来のようにプリフォームから直接容器にブロー成形する場合に比べて、最終ブロー成形工程の成形が容易である。
【0035】
こうして得られた本発明の一実施の形態にかかる耐熱容器10は、従来の1回ブロー成形の耐熱容器に比べて1次ブロー成形品42で大きく配向され、さらに熱処理工程によって結晶化が進行することによって耐熱性を大きく向上させることができる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の実施の形態に変更可能である。例えば、上記説明においては、1次ブロー型と熱処理型とを別々の金型を用いたが、1次ブロー型を内蔵ヒータによって加熱しておくことで、1次ブロー型で熱処理工程を行なってもよい。その場合、1次ブロー型とは別に設けられた熱処理型は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0036】
10 耐熱容器
12 ネック部
14 底部
16 肩部
18 胴部
20 ヒール部
22a,22b 容器側壁
23a,23b 縦リブ
24 ラベル部
26 把持部
28a 第1の凹部
28b 第2の凹部
40 プリフォーム
42 1次ブロー成形品
44 中間容器
50a,50b 最終ブロー型
54a,54b 押圧部材
280a 第1の凹部の底部
280b 第2の凹部の底部
284a、284b 容器内側面
O 中心軸
L 長軸
S 短軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の容器の胴部に、容器内側に陥没して形成された対向する第1の凹部及び第2の凹部と、該第1の凹部と第2の凹部との間を連結する把持部と、を有する合成樹脂製の耐熱容器であって、
前記第1の凹部及び前記第2の凹部は、
容器内側へ向かって傾斜して形成された環状の側壁部と、
前記側壁部の容器内側の端部に形成された底部と、
を有し、
前記容器に充填された高温内容物が冷却されて前記容器の内部が減圧された際に、前記第1の凹部の底部の容器内側面は、前記第2の凹部の底部の容器内側面に接触することを特徴とする耐熱容器。
【請求項2】
請求項1に記載の耐熱容器に内容物が充填され、前記第1の凹部の底部の容器内側面と、前記第2の凹部の底部の容器内側面とが接触していることを特徴とする内容物入りの耐熱容器。
【請求項3】
合成樹脂製の容器の胴部に、該胴部の容器内側に陥没して形成された対向する第1の凹部及び第2の凹部と、該第1の凹部と第2の凹部との間を連結する把持部と、を有する耐熱容器の製造方法であって、
プリフォームを該耐熱容器よりも大きな1次ブロー成形品にブロー成形する1次ブロー成形工程と、
前記1次ブロー成形品を熱処理して収縮させる熱処理工程と、
収縮した1次ブロー成形品を最終ブロー型内で再度ブロー成形する最終ブロー成形工程と、
を有し、
前記最終ブロー成形工程は、
前記最終ブロー型の型閉じ移動中に、前記収縮した1次ブロー成形品の胴部を前記最終ブロー型で押しながら変形させ、
変形した前記収縮した1次ブロー成形品の胴部を、ブロー成形中に、一対の押圧部材を互いに近接する方向に移動して前記第1の凹部と前記第2の凹部を成形することを特徴とする耐熱容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−157135(P2011−157135A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107175(P2011−107175)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2005−349135(P2005−349135)の分割
【原出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】