説明

耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造

【課題】 耐震材や胴縁を施工する必要性はなく通気性も確保することができるばかりではなく、耐震用の金物等が柱等に固定されている場合であっても確実に固定することができる耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造を提供する。
【解決手段】 ほぼ長方形状の板状に成形された下地本体部と、この下地本体部の裏面のほぼ全面に該下地本体部と一体成形された多数の裏面側凸部と、を備えてなるとともに、
上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされ、個々の裏面側凸部は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなる。また、この耐震用下地材を用いて耐震壁構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の風圧や地震の荷重に耐える耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造に関し、特に外装材(縦張り又は横張り若しくは外断熱材)又は内装材との間に通気空間を形成する耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物を構造設計する場合には、一定の風圧力や地震力に耐えることができるように、柱,梁,壁等を有効に配置し、建築物全体が風圧や地震その他の振動及び衝撃に対して、構造耐力上の安全性が確保されるように設計すべきことが定められている。また、壁,柱及び梁や桁等の横架材を木造とした建築物の場合には、あらゆる方向の水平力に対する安全性が確保されるように、各階の梁間方向及び桁行方向に、それぞれ壁又は筋かいを配置するよう規定されている。また、近年では、上記筋かいに代えて又は筋かいと併用して、(耐震用)合板を壁の構成要素として、上記安全性を確保する場合もある。
【0003】
上述した(耐震用)合板を壁の構成要素とする場合は、該(耐震用)合板により構造耐力上の安全性を確保しようとするものであることから、新築の場合においては、設計・施工を簡単にすることができるとともに、建築物をリフォームすることにより、風圧や地震その他の振動及び衝撃に対する安全性を確保する際には極めて効果的な方法であり、現在多用されている。しかし、新築の場合もリフォームの場合にも、上記耐震用の合板を下地材として施工する場合には、その後工程において、通気シートや縦胴縁又は横胴縁を固定し、次いで外壁材を固定しなければならず、特に近年では、こうした外壁材と躯体との間にも通気性が要求されている。そこで、従来では、こうした胴縁の施工を回避した上で、通気性を確保したものが外壁材として提案されている(特許文献1参照)。この特許文献に開示された外壁材は、裏面のほぼ全面に縦横方向に所定の間隔で同じ高さの突起体を形成することにより、胴縁を使用することなく外壁材と躯体との間に通気空間を形成することができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−271474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した外壁材では胴縁を施工する必要性はなく通気性も確保することができるものの、柱と梁や桁との間や柱と土台との間に耐震用の金物が固定されている場合等のように、接合する面から突出した部材が固定されている場合には、正確に固定することができず、下地材としては利用することができない。
【0006】
そこで、本発明は、胴縁を施工する必要性はなく通気性も確保することができるばかりではなく、耐震用の金物等が柱等に固定されている場合であっても確実に固定することができる耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、耐震用下地材に係るものであって、ほぼ長方形状の板状に成形された下地本体部と、この下地本体部の裏面のほぼ全面に該下地本体部と一体成形された多数の裏面側凸部と、を備えてなるとともに、上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされ、個々の裏面側凸部は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなることを特徴とするものである。
【0008】
上記第1の発明では、下地本体部と、この下地本体部の裏面のほぼ全面に該下地本体部と一体成形され先端面は平面とされた多数の裏面側凸部と、を備えてなることから、この耐震用下地材を施工する前工程において、予め胴縁を施工する必要性はなく作業性を向上させることができ、工期も短縮化することが可能となる。特に、この第1の発明では、上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が3〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが3〜40mmとなされ、個々の裏面側凸部は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなることから、柱と梁や桁との間や柱と土台との間に耐震用の金物が固定されている場合であっても、傾斜することなく正確に固定することができる。
【0009】
なお、上記裏面側凸部の形状は、円柱状でも直方体状であっても良く、円柱状である場合には、その外径が、また直方体状である場合には、その長さ又は幅がそれぞれ3〜40mmとされ、高さが3〜40mmとされている必要がある。こうした裏面側凸部の外径又は長さ幅及び高さの下限をそれぞれ3mmとしたのは、3mmに満たない場合には、(その素材にもよるが)良好な通気性を確保することができず、また、手指で裏面側凸部を除去することは不能であるとともに、ノミやドライバー等の工具を使用しても容易に裏面側凸部を除去できない可能性が高いからである。他方、上記裏面側凸部の外径や長さ幅と高さとの上限を40mmとしたのは、(その素材にもよるが)個々の裏面側凸部を除去する作業が困難となるからである。したがって、こうした事情を考慮した場合、上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が5〜20mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜20mmとすることが好ましい。また、裏面側凸部の外径や長さ幅と高さとの比率は、1.0:1.5〜5.0の範囲とし、少なくとも外径や長さ幅の寸法よりも高さ寸法が長い(高い)ものとすることが好ましい。さらにまた、個々の裏面側凸部の配列状態は、千鳥格子状であっても格子状であっても良いが、通水性を考慮すると、格子状とすることが望ましい。さらに、個々の裏面側凸部と裏面側凸部との間隔は、裏面側凸部の外径や長さ幅よりも短いものであっても、長いものであっても良いが、除去作業を考慮すると、こうした裏面側凸部の間隔は裏面側凸部の外径や長さ幅よりも長いことが好ましい。また、この第1の発明では、耐震用下地材の素材は特に限定されるものではなく、後述するように、樹脂に限定されるものではない。また、上記裏面側凸部の先端面は平面とされている(先端面が、下地本体部と平行とされている)ことが好ましいが、この第1の発明では必ずしも平面とされている必要はない。
【0010】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記下地本体部及び裏面側凸部は、樹脂により一体成形されてなるとともに、該下地本体部の左右両端及び上下両端には、接続用凸部と、この接続用凸部が挿入される接続用凹部がそれぞれ複数相対的に形成されてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第2の発明では、樹脂を素材とするものであることから、前述した外径や長さ幅及び高さの裏面側凸部も容易に成形することができ、該外径や長さ幅及び高さと使用する素材によっては、作業者の手指で簡単に必要な個所に配置された裏面側凸部を適宜除去することが可能となり、より一層作業性を向上することができる。また、この第2の発明では、下地本体部の左右両端及び上下両端には、接続用凸部と、この接続用凸部が挿入される接続用凹部がそれぞれ複数相対的に形成されてなることから、複数の耐震用下地材を組み合わせて固定することができるばかりか、上下左右に配置された耐震用下地材の位置決めも正確に行うことができ、耐震性も損なうことがない。
【0012】
なお、上記第2の発明を構成する樹脂は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、この第2の発明では、下地本体部の左右両端及び上下両端には、接続用凸部と、この接続用凸部が挿入される接続用凹部がそれぞれ複数相対的に形成されている必要がある。例えば、下地本体部の上端と左端に上記接続用凸部が形成されている場合には、該下地本体部の下端と右端に上記接続用凹部が形成されている必要がある。こうした接続用凸部が形成された耐震用下地材の上側及び下側並びに左側及び右側に、他の耐震用下地材を施工することにより、所定の範囲全体に亘ってこの耐震用下地材を並べて施工することができる。なお、上記接続用凸部や接続用凹部の数は、複数であれば特に限定されるものではない。
【0013】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかであって、前記下地本体部には、互いに平行に配置された複数の縦方向部と、これらの縦方向部と直交する横方向部と、上記縦方向部と横方向部とが交差する位置から傾斜して配置された一方の傾斜方向部と、この一方の傾斜方向部と直交してなる他方の傾斜方向部と、を有し、上記縦方向部と横方向部と一方及び他方の傾斜方向部との間はそれぞれ開口部とされてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第3の発明では、縦方向の荷重は上記複数の縦方向部により支持することができ、横方向の荷重は上記横方向部により支持することができる。また、上記一方及び他方の傾斜方向部は、縦方向及び横方向の荷重を支持することができる。また、この第3の発明では、上記縦方向部と横方向部と一方及び他方の傾斜方向部との間はそれぞれ開口部とされてなることから、該耐震用下地材の内側と外側との通気性を確保することができるばかりではなく、計量化にも寄与することができる。
【0015】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1,第2又は第3の発明の何れかにおいて、前記下地本体部の正面には、該下地本体部の裏面に形成された前記裏面側凸部よりも小さい又は高さが短い正面側凸部が多数形成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
この第4の発明に係る耐震用下地材では、下地本体部の裏面に形成された前記裏面側凸部よりも小さい又は高さが短い正面側凸部が多数形成されてなることから、該耐震用下地材の正面(建築物の外側)に外壁パネルや外装材等の仕上げ材を施工した際、この耐震用下地材と仕上げ材との間の通気性を確保することができるとともに、漏水又は結露水を建築物の下方に流すことができる。

【0017】
なお、この第4の発明を構成する正面側凸部は、上記裏面側凸部よりも小さい(その外径又は長さ幅が短い)又は高さが短いものであり、必ずしも先端面が平面とされている(先端面が、下地本体部と平行とされている)必要はないが、上記仕上げ材の裏面との接触面積を増加させるためには、平面とする方が望ましい。
【0018】
また、第5の発明は、耐震用下地材を用いた耐震壁構造に係るものであって、前記第1ないし第4の発明に係る耐震用下地材が、前記接合用凸部が接合用凹部に挿入された状態で複数枚固定されてなることを特徴とするものである。
【0019】
なお、この耐震壁構造の下地材として使用される上記耐震用下地材は、所定の長さ幅に成形されたものを複数枚固定するとともに、該1枚の耐震用下地材を半分に切断したものを部分的に使用しても良い。なお、これらの耐震用下地材の表面側には、鉄や銅等の金属によりパネル状に成形されたものや、窯業系サイディング,GRC(ガラス繊維強化セメント),ALC(軽量気泡コンクリート)等の外壁材を縦張り横張りに拘わらず使用することができる。
【0020】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記複数枚固定された耐震用下地材の上方には幕板用下地材が固定され、この幕板用下地材の下端及び上端には、上記耐震用下地材に形成された接続用凸部又は接続用凹部と同一の形状となされた接続用凸部及び接続用凹部が形成され、この幕板用下地材の裏面には、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされた多数の裏面側凸部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0021】
この第6の発明に係る耐震用壁構造では、前記複数枚固定された耐震用下地材の上方には、上記幕板用下地材が固定されていることから、幕板用下地材と上記耐震用下地材とが互いに隙間のない状態で施工することができる。また、この幕板用下地材の裏面には、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされた多数の裏面側凸部が形成されてなる、すなわち上記耐震用下地材の裏面に形成された裏面側凸部と同じ裏面側凸部が形成されてなることから、下階と上階との間において、通気性を遮断してしまうことがなく、例えば、下階部分に固定された耐震用下地材の裏面側から上昇した空気は、上記幕板用下地材の裏面に形成された裏面側凸部の間を通過して上方に流すことができるとともに、上階部分から下方に流れる水は、上記幕板用下地材が固定された位置で遮断されることなくそのまま下方に流すことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る耐震用下地材や、第5の発明(請求項5記載の発明)に係る耐震壁構造によれば、耐震用下地材を施工する前工程において、予め胴縁を施工する必要性はなく作業性を向上させることができ、工期も短縮化することが可能となる。特に、この第1の発明に係る耐震用下地材では、上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が3〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが3〜40mmとなされ、個々の裏面側凸部は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなることから、柱と梁や桁との間や柱と土台との間に耐震用の金物が固定されている場合であっても、傾斜することなく正確に固定することができる。
【0023】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係る耐震用下地材によれば、外径や長さ幅及び高さの裏面側凸部も容易に成形することができ、該外径や長さ幅及び高さと使用する素材によっては、作業者の手指で簡単に必要な個所に配置された裏面側凸部を適宜除去することが可能となり、より一層作業性を向上することができる。また、この第2の発明に係る耐震用下地材では、下地本体部の左右両端及び上下両端には、接続用凸部と、この接続用凸部が挿入される接続用凹部がそれぞれ複数相対的に形成されてなることから、複数の耐震用下地材を組み合わせて固定することができるばかりか、上下左右に配置された耐震用下地材の位置決めも正確に行うことができ、耐震性も損なうことがない。
【0024】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係る耐震用下地材によれば、縦方向及び縦方向の荷重を有効に支持することができ、また、この第3の発明では、上記縦方向部と横方向部と一方及び他方の傾斜方向部との間はそれぞれ開口部とされてなることから、該耐震用下地材の内側と外側との通気性を確保することができるばかりではなく、計量化にも寄与することができる。
【0025】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)に係る耐震用下地材では、下地本体部の裏面に形成された前記裏面側凸部よりも小さい又は高さが短い正面側凸部が多数形成されてなることから、該耐震用下地材の正面(建築物の外側)に外壁パネルや外装材等の仕上げ材を施工した際、この耐震用下地材と仕上げ材との間の通気性を確保することができるとともに、漏水又は結露水を建築物の下方に流すことが出来る。
【0026】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)に係る耐震壁構造によれば、幕板用下地材と上記耐震用下地材とが互いに隙間のない状態で施工することができる。また、この幕板用下地材の裏面には、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされた多数の裏面側凸部が形成されてなる、すなわち上記耐震用下地材の裏面に形成された裏面側凸部と同じ裏面側凸部が形成されてなることから、下階と上階との間において、通気性を遮断してしまうことがなく、例えば、下階部分に固定された耐震用下地材の裏面側から上昇した空気は、上記幕板用下地材の裏面に形成された裏面側凸部の間を通過して上方に流すことができるとともに、上階部分から下方に流れる水は、上記幕板用下地材が固定された位置で遮断されることなくそのまま下方に流すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る耐震用下地材を示す正面図である。
【図2】図1に示す耐震用下地材の断面図である。
【図3】図1に示す耐震用下地材の裏面の一部を拡大した拡大正面図である。
【図4】図1に示す耐震用下地材の正面の一部を拡大した拡大背面図である。
【図5】図1に示す耐震用下地材に形成された裏面側凸部を一部除去した後の状態を示す背面図である。
【図6】幕板用下地材を示す正面図である。
【図7】図1に示す耐震用下地材と図6に示す幕板用下地材を施工した状態の一部を示す正面図である。
【図8】図7に示す施工状態の断面図である。
【図9】裏面側凸部の他の例を拡大した拡大背面図である。
【図10】裏面側凸部の更に他の例を拡大した拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る耐震用下地材1及びこの耐震用下地材1を用いた耐震壁構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
先ず、この実施の形態に係る耐震用下地材1について詳細に説明する。この耐震用下地材1は、図示しない射出成型機を用いて熱可塑性樹脂(ポリプロピレン(PP))により一体成形されてなるものであり、図1に示すように、ほぼ長方形状に成形されたものである。そして、この耐震用下地材1の長辺の一方(図1中上端)には、複数(本実施の形態では3つ)の(長辺側)接続用凹部1aが形成され、長辺の他方(図1中下端)には、この耐震用下地材1に接続される他の耐震用下地材1に形成された上記複数の接続用凹部1aに挿入又は嵌合する(長辺側)接続用凸部1bが形成されている。また、上記耐震用下地材1の短辺の一方(図1中左端)には、(短辺側)接続用凹部1cが形成され、短辺の他方(図1中右端)には、上記この耐震用下地材1に接続される他の耐震用下地材1に形成された接続用凹部1cに挿入又は嵌合する(短辺側)接続用凸部1dが形成されている。なお、上記(長辺側)接続用凹部1aと(長辺側)接続用凸部1bの形状は何れも長方形状となされ、それぞれの面積はほぼ同じ面積とされ、上記(短辺側)接続用凹部1cと(短辺側)接続用凸部1dの形状も上記(長辺側)接続用凸部1bと同じ形状となされ、
それぞれの面積もほぼ同じ面積とされている。
【0030】
また、この実施の形態に係る耐震用下地材1では、上記一方の長辺と一方の短辺との間に形成された(第1の)角部と、上記一方の長辺と他方の短辺との間に形成された(第2の)角部とには、それぞれ第1,第2のL字状の切欠き部1e,1fが形成され、上記一方の短辺と他方の長辺との間に形成された(第3の)角部には、第3のL字状の切欠き部1gが形成されている。これに対して、上記他方の短辺と他方の長辺との間に形成された(第4の)角部には、突出部1hが形成されている。この突出部1hは、他の耐震用下地材1に形成された上記(長辺側)接続用凹部1aに挿入・嵌合する部位1iが下端側に形成されてなるとともに、他の耐震用下地材1に形成された第3のL字状切欠き部1gに挿入・嵌合される部位1jとから構成されている。
【0031】
また、この耐震用下地材1には、複数(本実施の形態では5つ)の縦方向部1kと、複数(本実施の形態では3つ)の横方向部1lが形成されている。これら5つの縦方向部1kは、互いに平行に配置されてなるものであり、これらの内で、この耐震用下地材1の短辺を形成する部位には、上記(短辺側)接続用凹部1cや接続用凸部1dが形成されている。なお、上記5つの縦方向部1kの内で中央に位置する縦方向部1kは、この耐震用下地材1の中心となる部位である。また、上記3つの横方向部1lは、互いに平行に配置されてなるものであり、これらの内で、それぞれこの耐震用下地材1の長辺を形成する部位には、上記(長辺側)接続用凸部1aや(長辺側)接続用凹部1bが形成されている。なお、上記5つの縦方向部1kの内で中央に位置する縦方向部1kと、上記3つの横方向部1lの内で中央に位置する横方向部1lとの交点1mは、この耐震用下地材1の中心となる部位である。
【0032】
そして、上記第1のL字状の切欠き部1eが形成された部位から、この耐震用下地材1を構成する(長辺側)接続用凸部1bであって上記交点1mの下方位置に亘っては、第1の傾斜方向部1nが形成され、また、上記交点1mの上方に形成された(長辺側)凹部1aの形成位置から上記突出部1h方向には、第2の傾斜方向部1oが形成されている。なお、上記第1の傾斜方向部1nと第2の傾斜方向部1oとは平行とされている。また、上記交点1mの上方の(長辺側)凹部1aの形成位置から上記第3のL字状切欠き部1gの形成位置には、第3の傾斜方向部1pが形成され、上記第2のL字状の切欠き部1fの形成位置から上記交点1mの下方に形成された(長辺側)凸部1bの形成位置には第4の傾斜方向部1qが形成されている。なお、上記第3の傾斜方向部1pと第4の傾斜方向部1qとは互いに平行となされている。また、上記第1の傾斜方向部1nと第3の傾斜方向部1pとは直角に交差しており、第2の傾斜方向部1oと第4の傾斜方向部1qとは直角に交差している。すなわち、上記第1及び第2の傾斜方向部1n,1oは、上記縦方向部1kと横方向部1lとが交差する位置から傾斜して配置されてなるものであり、本発明を構成する一方の傾斜方向部であり、また、上記第3及び第4の傾斜方向部1p,1qは、上記第1及び第2の傾斜方向部1n,1oと直交してなるものであるとともに、本発明を構成する他方の傾斜方向部である。
【0033】
そしてさらに、この耐震用下地材1では、上記5つの縦方向部1kと3つの横方向部1lと第1及び第2の傾斜方向部1n,1oと第3及び第4の傾斜方向部1p,1qとの間は、全て開口部1rとされている。
【0034】
そして、こうした形状に成形された耐震用下地材1の裏面には、図2に示すように、多数の裏面側凸部3が形成され、正面(表面)には、多数の正面側凸部4が形成されている。換言すれば、この実施の形態に係る耐震用下地材1は、上述した形状に成形された下地本体部2(図2参照)と、この下地本体部2の裏面に多数形成された裏面側凸部3と、上記下地本体の正面に形成された多数の正面側凸部4とを備えている。なお、この実施の形態に係る耐震用下地材1は、長さ方向の寸法(横方向の寸法)が1820mm、幅方向の寸法(縦方向の寸法)が910mmとなされ、また、上記各縦方向部1kと横方向部1lの幅は100mmとされている。
【0035】
上記裏面側凸部3は、図2及び図3においてそれぞれ該裏面側凸部3を拡大して示すように、この実施の形態に係る耐震用下地材1では、それぞれ直方体状に成形され、個々の裏面側凸部3は、格子状に配列されてなるものである。また個々の裏面側凸部3の大きさは、一辺の長さ及び幅が3〜10mmとされ、高さは3〜15mmとされてなるとともに、個々の裏面側凸部3同士の間隔は、3〜10mmとされている。そして、上記個々の裏面側凸部3は、作業者の手指により、又は必要に応じてノミ又はドライバーないしはカッター等の工具を用いて、図5に示すように、上記下地本体部2から切除することができるよう構成されている。また、上記各裏面側凸部2の上面(先端面)は、図2に示すように平面とされている。なお、こうした裏面側凸部3の切除に関しては、後に詳細に説明する。
【0036】
また、上記正面側凸部4は、図2及び図3においてそれぞれ該正側凸部4を拡大して示すように、この実施の形態に係る耐震用下地材1では、それぞれ円筒状に成形され、個々の正面側凸部4は、千鳥格子状に配列されてなるものである。また個々の正面側凸部4の外径は3〜10mmとされ、高さは3〜15mmとされてなるとともに、個々の正面側凸部4同士の間隔は、3〜10mmとされている。また、これらの正面側凸部4の上面(先端面)も、上記裏面側凸部3と同じように、平面とされている。
【0037】
また、この耐震用下地材1の内部には、図2に示すように、内部に補強板6が埋設されている。この補強板6は、鉄,アルミニウム,亜鉛,ステンレススチール等の金属からなるものであって、その厚みは1.0mm(0,5〜1.5mm)とされてなるものである。また、この補強板6の外形形状は、上記耐震用下地材1の外形形状よりも僅かに小さなものとされているとともに、該耐震用下地材1に形成された上記多数の開口部1rの大きさよりも僅かに大きな図示しない開口部を備えているものである。なお、この補強板6は、図示しない射出成型機に配置された金型内に予め保持させ、その上で該金型内に樹脂を充填することにより耐震用下地材1の内部に埋設されてなるものである。
【0038】
したがって、上述した実施の形態に係る耐震用下地材1によれば、後述するように、下地材として施工(固定)する際には、これまでなされていた胴縁を施工する工程を経ることなく、そのまま施工することができ、工程を短縮化し建設工事費用を安価とすることができるばかりではなく、下地本体部2の裏面側には、個々の裏面側凸部3同士の間に形成された空間により通気性を十分確保することができる。特に、上記裏面側凸部3の配列状態は、格子状とされていることから、雨水が上方から侵入した場合であっても、自重により下方に流すことができる。また、この耐震用下地材1では、上記第1ないし第4の傾斜方向部1n・・・1qが形成されているとともに、多数の開口部1rも形成されていることから、縦方向及び横方向の荷重に対しても有効であるとともに、軽量化も図ることができる。特に、この実施の形態に係る耐震用下地材1では、図2に示すように、内部に金属板からなる補強板6が埋設されていることから、後述するように、釘等を用いて該耐震用下地材1を固定(施工)する場合において、釘の保持力を高めることができるとともに、耐震強度をも増すことができる。また、個々の裏面側凸部3は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなることから、柱P・・・Pと梁B(や桁)との間や柱P・・・Pと土台Fとの間に耐震用の金物が固定されている場合であっても、傾斜することなく正確に固定することができる。
【0039】
以下、こうした耐震用下地材1を壁に施工する工程と、その施工状態について説明するが、これらの説明に先立ち、この耐震用下地材1と共に使用される幕板用下地材10について説明する。
【0040】
この幕板用下地材10は、図示しない建築物の下階と上階とを仕切る部位に幕板が施工される場合において、上記耐震用下地材1と共に使用されるものであって、前述した耐震用下地材1と同じように、図示しない射出成形機を用いて樹脂が一体成形されてなるものであり、図6に示すように、横方向に長さを有してなるほぼ長方形状に成形されている。なお、この幕板用下地材10の素材は、上記耐震用下地材1に用いられている素材と同じである。また、この幕板用下地材10の長さは、前記耐震用下地材1の長さと同一の長さとされ、厚みも該耐震用下地材1と同じものとされ、またその幅は、図示しない幕板の幅よりも僅かに広い幅とされている。
【0041】
そして、この幕板用下地材10の長辺の一方(図6中上端)には、前記耐震用下地材1に形成された接続用凸部1bが挿入・嵌合する接続用凹部10aが複数(この実施の形態では3つ)形成され、長辺の他方には、前記耐震用下地材1に形成された接続用凹部1aに挿入・嵌合される接続用凸部10bが複数(この実施の形態では3つ)形成されている。また、この幕板用下地材10の短辺の一方(図6中左端)には、(短辺側)接続用凸部10cが形成され、短辺の他方(図6中右端)には、上記この幕板用下地材10に接続される他の幕板用下地材10に形成された接続用凸部10cの先端面に当接する当接面1010dが形成されている。
【0042】
また、この実施の形態に係る幕板用下地材10では、上記一方の長辺と一方の短辺との間に形成された(第1の)角部と、上記一方の長辺と他方の短辺との間に形成された(第2の)角部と、上記一方の短辺と他方の長辺との間に形成された(第3の)角部には、それぞれ第1,第2,第3のL字状の切欠き部10e,10f,10gが形成されている。これに対して、上記他方の短辺と他方の長辺との間に形成された(第4の)角部には、突出部10hが形成されている。この突出部10hは、前記耐震用下地材1に形成された上記(長辺側)接続用凹部1aに挿入・嵌合する部位10iが下端側に形成されてなるとともに、他の幕板用下地材10に形成された上記第3のL字状切欠き部10gに挿入・嵌合される部位10jとから構成されている。なお、この幕板用下地材10裏面には、前記耐震用下地材1に形成された裏面側凸部3と同じ形状とされた図示しない裏面側凸部が多数形成され、同様に、正面(表面)には、該耐震用下地材1の正面に形成された多数の正面側凸部4と同じ形状の図示しない正面側凸部が形成されている。また、この幕板用下地材10にも、上記耐震用下地材1と同じように、内部に図示しない補強板が埋設されている。この補強板は、厚みが1.0mm程度(0,5〜1.5mm)の鉄,アルミニウム等の金属板からなるものであり、その外形形状は、該幕板用下地材10の外形形状よりも僅かに小さな形状とされている。
【0043】
そこで、以下、前記耐震用下地材1と上記幕板用下地材10を用いて壁に施工する工程と、その施工状態について説明する。
【0044】
図7は、図示しない基礎上に水平に施工された土台Fと、この土台Fの上方に水平に施工された横架材(梁)Bと、この土台Fと横架材Bとの間に施工された第1ないし第7の(7本の(間)柱P・・・Pに複数の耐震用下地材1と幕板用下地材10とが(部分的に)施工された状態を示す正面図である。すなわち、最初に上記土台Fと第1の柱Pから第5の柱Pまでの範囲に1枚の耐震用下地材1を、釘等を用いて、水平方向に長さを有した状態で施工する。なお、この図7では、図示されていないが、上記最も下側に施工される耐震用下地材1は、上記図示した耐震用下地材1の右隣に並べて施工する。この際、上記(短辺側)接続凸部1dが(短辺側)接続凹部1cに挿入・嵌合するように施工し互いに接続する。
【0045】
そして、最も下側(1段目)に複数の耐震用下地材1を施工する作業が終了すると、次いで、それら最下段に施工された耐震用下地材1の上に複数の耐震用下地材1を施工する。このとき、図7に示すように、該耐震用下地材1の長さ方向の半分の長さを右側(又は左側)にずらせて上下が互い違いとなるように施工する。このように互い違いに施工する場合には、該耐震用下地材1を(該耐震用下地材1の長さ方向とは直交する方向に)左右均等に切断し、その半分に切断された右側の耐震用下地材1Xを、図7に示すように、最下段に施工した耐震用下地材1の上に施工し、その隣に耐震用下地材1を並べて施工する。このように半分に切断された耐震用下地材1Xと1枚の耐震用下地材1を施工する場合、最下段(1段目)に施工された耐震用下地材1の上端に形成された(長辺側)接続凹部1aに、その上段に施工される各耐震用下地材1又は半分に切断された耐震用下地材1Xに形成された(短辺側)接続凸部1dが挿入・嵌合するように施工し互いに接続する。
【0046】
なお、上記半分に切断された右側の耐震用下地材1Xに形成された突出部1hは、最下段に施工された耐震用下地材1の中央に形成された(長辺側)接続凹部1aと右側に施工される第3のL字状の切欠き部1gとにより形成された空間内に挿入・嵌合される。また、上記半分に切断された右側の耐震用下地材1Xの右隣に施工された1枚の耐震用下地材1の中央に形成された(長辺側)凸部1bは、最下段に施工された上記1枚の耐震用下地材1に形成された第2のL字状の1fと、この耐震用下地材1の右側に施工された図示しない1枚の耐震用下地材1に形成された第1のL字状の切欠き部1eとによって形成される空間内に挿入・嵌合される。
【0047】
そして、上述した要領で2段目の耐震用下地材1や半分に切断された右側の耐震用下地材1X又は半分に切断された図示しない左側の耐震用下地材の施工が終了すると、次いで、3段目の耐震用下地材1及び半分に切断された右側の耐震用下地材1X又は半分に切断された図示しない左側の耐震用下地材を施工する。こうした各施工が終了すると、上記3段目に施工された耐震用下地材1及び半分に切断された右側の耐震用下地材1X又は半分に切断された図示しない左側の耐震用下地材の上に、上記幕板用下地材10を、図7に示すように施工する。この幕板用下地材10も、1枚の該幕板用下地材10とその半分に切断された右側の幕板用下地材10X(図7参照)又は半分に切断された図示しない左側の耐震用下地材を使用し、上記3段目に施工した耐震用下地材1等とは互い違いとなるように施工する。
【0048】
図7に示す半分に切断された右側の幕板用下地材10Xに形成された(長辺側)凸部10bは、上記3段目に施工された(長辺側)凹部1a(や半分に切断された右側又は左側の耐震用下地材に形成された(長辺側)凹部1a)に挿入・嵌合して互いに接続する。
【0049】
そして、上述した工程で1段目から3段目の耐震用下地材1の施工作業が終了すると、次いで、上記3段目に施工された各耐震用下地材1や図示しない半分に切断された右側の耐震用下地材又は半分に切断された左側の耐震用下地材上に、上述した幕板用下地材10や、この幕板用下地材10を(長さ方向とは直交する方向に)半分に切断した幕板用下地材10Xを施工する。この場合においても、1枚の耐震用下地材1の上部に1枚の幕板用下地材10を施工するのではなく、図7に示すように、上下互い違いとなるように施工する。したがって、図7に示すように、最も左側(又は図示しない最も左側)には、上記半分に切断された右側の幕板用下地材10Xを施工する。
【0050】
そして、上記土台Fと柱P・・・Pとの間(或いは梁Bと柱P・・・Pとの間)に、図示しない補強金具(金物)が施工されてい(たりボルトの頭部が突出していたりす)る場合には、例えば、図5に示すように、その補強金具(金物)等と耐震用下地材1とが重なる部位のみに形成された上記裏面側凸部3を切除する。こうした裏面側凸部3の切除方法は、作業者が手指により折曲して切断し、又はドライバー若しくはノミ等の工具により行う。
【0051】
そして、上記幕板用下地材10や該幕板用下地材10を半分に切断した右側の幕板用下地材10X又は半分に切断した図示しない左側の幕板用下地材の施工が終了すると、上述した要領と同じ要領で、これらの上部に上記耐震用下地材1やこの耐震用下地材1を半分に切断した上記耐震用下地材を施工する。こうした施工が終了すると、図8に示すように、上記土台Fから梁Bに亘って耐力壁の一部が施工される。なお、半分に切断されることにより残った耐震用下地材は、建築物の左右方向又は建築物の壁の隅部にも使用することができ、また、この使用方法は、必ずしも横方向に限らず施工する空間ないし面積に応じて縦方向にも使うことができ、また、上記幕板用下地材に付いても、段数(幕板を入れる位置)に係らず、適宜施工(使用)することができる。こうした使用方法を採用することにより、廃材として無駄に廃棄することを防止することができる。なお、これらの耐震用下地材1や幕板用下地材10の施工作業が終了すると、これらの外側に、窯業系サイディング,GRC,ALC等の図示しない外壁材を施工する。この外壁材の施工により、本発明に係る耐震壁構造が完成する。なお、上記実施の形態では、土台F,梁B,柱P・・・Pに対して直接上記耐震用下地材1や幕板用下地材10を施工したが、これらの間に図示しない通気シートや或いは断熱材若しくは断熱パネル等を適宜介在させても良い。なお、このように、断熱パネル等を介在させる場合には、これらを介在させない場合に用いられる釘や(専用)ビスよりも長尺な釘又はビスを使用する。さらに、上記耐震用下地材1の施工方法は、建築物の外側(外壁材)の内側に施工した例を示して説明したが、本発明に係る耐震用下地材は、建築物の内側に施工されるものであっても良く、上記土台F,梁B,柱P・・・P等の内側(室内側)に施工されるものであっても良い。
【0052】
したがって、上述した耐震用下地材1(半分に切断したものを含む)や幕板用下地材10(半分に切断したものを含む)が施工された耐震壁構造によれば、耐震性能を向上させることができるばかりではなく、該耐震用下地材1等の裏面側及び正面側の双方において十分な通気性を確保することができるとともに、雨水が侵入した場合であっても下方に流すことができ、建築物の老朽化を防止することができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態に係る耐震用下地材1では、本発明を構成する個々の裏面側凸部3の間隔が狭いものを図示して説明したが、これら個々の裏面側凸部3の間隔は、図9に示すように、該裏面側凸部3の長さ幅よりも長い間隔を置いて配置されたものであっても良い。こうした間隔で配置された耐震用下地材1によれば、より通気性を確保することができるばかりではなく、手指や工具を使用して該裏面側凸部3を切除する際の作業性を向上することができる。
【0054】
またさらに、上記裏面側凸部3に関し、上記実施の形態に係る耐震用下地材1では、直方体状のものを図示して説明したが、本発明を構成する裏面側凸部の形状は、図10に示すように、円柱状に成形したものであっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 耐震用下地材
1a (長辺側)接続用凹部
1b (長辺側)接続用凸部
1c (短辺側)接続用凹部
1d (短辺側)接続用凸部
1k 縦方向部
1l 横方向部
1n 第1の傾斜方向部
1o 第2の傾斜方向部
1p 第3の傾斜方向部
1q 第4の傾斜方向部
1r 開口部
2 下地本体部
3 裏面側凸部
4 正面側凸部
10 幕板用下地材
10a 接続用凹部
10b 接続用凸部
F 土台
B 梁
・・・P


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ長方形状の板状に成形された下地本体部と、この下地本体部の裏面のほぼ全面に該下地本体部と一体成形された多数の裏面側凸部と、を備えてなるとともに、
上記裏面側凸部は、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされ、個々の裏面側凸部は手指により又はノミ又はドラーバー等の工具により除去可能とされてなることを特徴とする耐震用下地材。
【請求項2】
前記下地本体部及び裏面側凸部は、樹脂により一体成形されてなるとともに、該下地本体部の左右両端及び上下両端には、接続用凸部と、この接続用凸部が挿入される接続用凹部がそれぞれ複数相対的に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の耐震用下地材。
【請求項3】
前記下地本体部には、互いに平行に配置された複数の縦方向部と、これらの縦方向部と直交する横方向部と、上記縦方向部と横方向部とが交差する位置から傾斜して配置された一方の傾斜方向部と、この一方の傾斜方向部と直交してなる他方の傾斜方向部と、を有し、
上記縦方向部と横方向部と一方及び他方の傾斜方向部との間はそれぞれ開口部とされてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの耐震用下地材。
【請求項4】
前記下地本体部の正面には、該下地本体部の裏面に形成された前記裏面側凸部よりも小さい又は高さが短い正面側凸部が多数形成されてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかの耐震用下地材。
【請求項5】
前記請求項1ないし4記載の発明に係る耐震用下地材が、前記接合用凸部が接合用凹部に挿入された状態で複数枚固定されてなることを特徴とする耐震壁構造。
【請求項6】
前記複数枚固定された耐震用下地材の上方には幕板用下地材が固定され、この幕板用下地材の下端及び上端には、上記耐震用下地材に形成された接続用凸部又は接続用凹部と同一の形状となされた接続用凸部及び接続用凹部が形成され、この幕板用下地材の裏面には、外径又は長さ幅が5〜40mmであって上記下地本体部の裏面からの高さが5〜40mmとなされた多数の裏面側凸部が形成されてなることを特徴とする請求項6記載の耐震壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−231504(P2011−231504A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101789(P2010−101789)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(598123600)有限会社エスディ中部サービス (1)
【Fターム(参考)】