説明

肝臓障害の治療のための化合物、及び医薬組成物。

肝臓癌を含む肝臓障害、並びに糖尿病、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、及び肥満症などの代謝病の治療のための化合物、組成物、並びに方法が、本明細書に提供される。具体的には、単独で、又はその他の抗癌剤と組み合わせて投与することができるヌクレオシド誘導体の化合物、及び組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 関連出願の相互参照)
本特許出願は、1)2006年12月28日に出願された米国仮出願第60/877,944号;2)2007年6月18日に出願された米国仮出願第60/936,290号;及び3)2007年11月6日に出願された米国仮出願第60/985,891号に対する優先権の利益を主張する。上述した出願の開示は、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(2. 分野)
本発明は、癌を含む肝臓の障害の治療、及び予防に使用するための化合物、方法、並びに医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(3. 背景)
薬物で誘導される毒性、及び薬理学的副作用は、薬物療法の薬理学的利益と関連していない組織における薬物、又は薬物代謝産物による相互作用と関連することが多い。その他の場合では、標的組織においいて用量を制限する毒性、又は不適当な薬物濃度のために、所望の薬理効果が十分に達成されない。従って、特定の組織、又は器官に薬物を送達するための需要がある。高い器官特異性は、標的器官に対する局所投与、及び薬物-タンパク質抱合体を含む種々のメカニズムによって達成することができる。標的器官に対する局所投与は、侵襲的技法である。薬物-タンパク抱合体は、乏しい経口生物学的利用能、担体調製、及び薬物充填における制限、患部組織における受容体のダウンレギュレーションによる肝臓取り込みの減弱の可能性、並びに抗体誘導の高い発生率を示す。第3のアプローチは、標的器官において高度に濃縮される酵素によって活性化されるプロドラッグの使用を伴う。
【0003】
癌、及び代謝異常などの疾患を治療するために肝臓に薬物を送達するための、特定の需要がある。これらの状態のための多くの療法は、狭い治療適応を有し、多くの治療適応は、肝臓への治療薬の選択的送達によって利益を得ることができた。
【発明の概要】
【0004】
(4. 要旨)
種々の治療薬の及びホスホノアミダート化合物形態、並びにこれらの調製方法、及び肝臓癌、炎症、線維症、及び代謝異常を含む種々の障害の治療における使用が提供される。一つの実施態様において、化合物は、S-ピバロイル-2-チオエチルホロアミダート、S-ピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダート、S-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダートである。本明細書に使用される、「治療薬のホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物」には、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート基を含むように誘導体化された治療薬を含む。治療薬は、例えば、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート部分の付着のための、ヒドロキシルなどの反応基を含むか、又は含むように誘導体化された抗癌剤である。このような治療薬には、非環状ヌクレオシドを含むヌクレオシド、及びヌクレオシド類似体を含むが、限定されない。一部の実施態様において、2'分枝及び4'分枝ヌクレオシドなどのヌクレオチド並びにヌクレオチド類似体のホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物が提供される。このような化合物は、癌を含む肝臓障害の治療のために有効量で投与することができる。
【0005】
特定の実施態様において、任意の理論に限定されないが、親薬物は、肝臓におけるホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物の選択的代謝によって得ることができ、従って、本明細書に提供した親薬物を宿主の肝臓に蓄積することができる。従って、本明細書に開示したホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物を肝臓に向ける方法が提供される。
【0006】
特定の実施態様において、肝臓障害の治療のための医薬品のホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物は、本明細書に記述したように製作し、治療的に使用することができる。種々のホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物を肝臓障害の治療に使用することができる。特に、肝臓癌の治療のための治療薬は、本明細書に記述したようなホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物を形成するように誘導体化して、肝臓癌の治療のために使用することができる。治療することができる肝臓癌には、良性腫瘍、悪性腫瘍、血管腫、肝臓腺腫、限局的小結節過形成、肝臓細胞癌、繊維層状(fibrolamellar)癌腫、胆管癌、胆管癌、並びに肝臓のその他の原発性及び転移性の癌を含む。
【0007】
種々の治療薬のホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物が提供される。本化合物は、当該技術分野において利用可能な方法、及び本明細書に開示したものを使用して形成することができる。このような化合物は、一部の実施態様において、肝臓への薬物の送達を増強するために使用することができる。一つの実施態様において、化合物には、S-アシル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-アシル-2-チオエチルホスホノアミダート誘導体、例えばS-ピバロイル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダート誘導体を含む。
【0008】
一部の実施態様において、本明細書に提供したホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物、並びにその塩、及び化合物を含む組成物は、癌を含む肝臓の障害の治療のために有用である。その他の実施態様において、本明細書に提供したホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物、並びにその塩、及び化合物を含む組成物は、糖尿病、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、及び肥満症などの代謝病の治療のために有用である。その他の実施態様において、本明細書に提供した化合物、並びにその塩、及び化合物を含む組成物は、肝臓線維症、及び炎症の治療のために有用である。
【0009】
一つの実施態様において、本明細書に提供した化合物は、式Iの化合物:
【化1】

、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態であり、式中
Xaは、
【化2】

であり;
Zは、O、又はSであり;
それぞれのWは、独立してO、又はSであり;
Ry、及びRuは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールを表し、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成し;
nは、0〜3であり;n2は、1〜4であり;かつ、
R1は、抗癌剤などの治療薬の、ヒドロキシ基などの基からの水素の除去によって導き出せる部分である。
【0010】
別の実施態様において、Xaは、
【化3】

であり;
Zは、O、S、NH、又はNRWであり、式中RWは、例えば、全て任意に置換された、アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
それぞれのWは、O、S、NH、又はNRWであり、式中RWは、例えば、全て任意に置換された、アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
Ry、及びRuは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールを表し、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成し;
nは、0〜3であり;n2は、1〜4であり;かつ、
R1は、抗癌剤などの治療薬の、ヒドロキシ基などの基からの水素の除去によって導き出せる部分である。
【0011】
当業者であれば、式Iの化合物は、例えば縮合、又は脱水を介して、例えば前記薬物のヒドロキシ基にて反応することによってデザインし、又は調製することができることを認識するであろう。便宜上、本明細書の記述において、R1基などの例示的な置換基は、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物において、例えば式において、薬物として同定される場合、当業者であれば、化合物には誘導体、例えば抗癌剤のラジカルを含むことを認識するであろう。これらの誘導体は、例えば脱水反応において、薬物のヒドロキシ基からの水素ラジカルの除去によって、例えば調製することができる。
【0012】
式Iの特定の実施態様において、R1は、環状、若しくは非環状の糖を含むヌクレオシド、又はその類似体である。
【0013】
特定の実施態様において、R1は、クラルビシン(clarubicin)、デシタビン、ダウノルビシン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、フルダラビン、7-ヒドロキシクロルプロマジン、ネプラノシン(neplanocin) A、ポドフィロトキシン、テザシタビン(tezacitabine)、トロキサシタビン(troxacitabine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、NK-611、カンプトセシン、イリノテカン、9-アミノカンプトセシン、GG-211、トポテカン、パクリタキセル、アザトキシン(Azatoxin)、コホルマイシン、ピラルビシン、ネララビン(nelarabine)、及びロソキサントロンから選択される抗癌剤である。
【0014】
一つの実施態様において、R1は、ペントスタチン、コンブレタスタチンA-4、ミコフェノール酸、又はミトキサントロンなどの免疫抑制薬である。
【0015】
式Iに従った特定の実施態様において、Ryは、置換されたアルキル、例えばヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルであり;かつRa、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。
【0016】
別の実施態様において、Ryは、-ORc、-C(Rc)3、又はNHRc-であり、式中それぞれのRcは、独立してアルキル、置換されたアルキル、アリール、又は置換されたアリール、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はアリールであり;かつRa、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、若しくは置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。
【0017】
さらなる実施態様において、Ra、及びRbは、独立してベンジル、又は置換されたアルキルである。さらなる実施態様において、Ryは、アルキル、及びヒドロキシアルキルからなる群から選択される。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0018】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、R1が3'-アジド-2',3'-ジデオキシチミジンではないように選択される。
【0019】
別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、式IIa、又はIIbの化合物:
【化4】

、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態であり、式中、
Ryは、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成し;かつ、
R1は、抗癌剤などの薬物である。
【0020】
式IIa、又はIIbに従った特定の実施態様において、Ryは、置換されたアルキル、例えばヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルであり;かつRa、及びRbは、それぞれ独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。別の実施態様において、Ryは、-ORc、-C(Rc)3、又はNHRc-であり、式中それぞれのRcは、独立してアルキル、置換されたアルキル、アリール、又は置換されたアリール、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はアリールであり;かつRa、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。さらなる実施態様において、Ra、及びRbは、それぞれ独立してベンジル、又は置換されたアルキルである。さらなる実施態様において、Ryは、アルキル、及びヒドロキシアルキルからなる群から選択される。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0021】
一部の実施態様において、以下が本明細書に提供される:
(a)例えば式I、IIa、又はIIbの本明細書に記述したとおりの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、及び組成物;
(b)肝臓障害の治療、及び/又は予防に使用するための、例えば式I、IIa、又はIIbの本明細書に記述したとおりの化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、及び組成物;
(C)以下に詳細に記述したような、例えば式I、IIa、又はIIbの本明細書に記述したとおりの化合物の調製方法;
(d)医薬として許容し得る担体、又は希釈剤と共に、例えば式I、IIa、又はIIbの本明細書に記述したとおりの化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む医薬品製剤;並びに、
(e)任意に医薬として許容し得る担体、又は希釈剤中に、1つ以上のその他の有効な抗癌剤と共に、例えば式I、IIa、又はIIbの本明細書に記述したとおりの化合物、又はその医薬として許容し得る塩を含む医薬品製剤。
【0022】
特定の実施態様において、任意に甲状腺ホルモン受容体エフェクターとして作用する、以下のホスホロアミダート及びホスホノアミダートな式、及び化合物が提供される:
【化5】

式中、それぞれのRは、存在する場合、独立してアルキル、ハロゲン、又はヒドロキシルであり;
Xは、存在する場合、CH2、O、又はSであり;
Ryは、存在する場合、任意に置換されたアルキルであり、式中置換されたアルキルは、任意にヒドロキシアルキル、又はアミノアルキル、例えば-C(CH3)2CH2OHであり;かつ、
Ra、及びRbは、存在する場合、独立して、それぞれ任意に置換された、水素;非置換のアルキル;又はアリール、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくはヘテロアリールで置換されたアルキルであり;式中、一つの実施態様において、Ra、及びRbは、独立して、H、又は例えばヒドロキシ、若しくはアミノで任意に置換されたベンジルである。
【0023】
式IIIa又はb、IVa又はb、Va又はb、VIa又はb、VIIa又はb、VIIIa又はbに従った特定の実施態様において、Raは、水素であり、Rbは、-CH2-C6H5であり、かつRyは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0024】
特定の実施態様において、本明細書に提供した甲状腺ホルモン受容体エフェクター化合物は:
【化6】

から選択される式を有し、
式中、
Rx、及びRzは、それぞれ独立して水素、又はアルキルであり;
RWは、アルキルであり;
Ryは、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成する。
【0025】
特定の実施態様において、本明細書に提供した甲状腺ホルモン受容体エフェクターは:
【化7】

から選択される。
【0026】
特定の実施態様において、Raは、水素であり、Rbは、-CH2-C6H5であり、かつRyは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0027】
特定の実施態様において、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa若しくはbから選択される化合物、又は式は、任意に酵素フルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)を阻害することによって、糖新生を阻害するために有用なホスホナート化合物に由来する。
【0028】
特定の実施態様において、IXa若しくはb、Xa若しくはb、XIa若しくはb、XIIa若しくはb、XIIIa若しくはb、及びXIVa若しくはbから選択される化合物、又は式は、任意に酵素フルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)を阻害することによって、糖新生を阻害するために有用な化合物に由来する。
【0029】
特定の実施態様において、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa若しくはbから選択される化合物、又は式は、肝臓の甲状腺受容体に結合するホスホン酸含有化合物であり、任意にT3のアゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニスト、又は部分アンタゴニストである。糖新生の阻害は、糖尿病対象において血糖の低下を生じさせることができる。このような化合物は、経口生物学的利用能、及び肝臓薬物濃度を含む薬物動態の増強を示すことができる。
【0030】
特定の実施態様において、その必要のある対象の治療方法であって、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa若しくはb、IXa若しくはb、Xa若しくはb、XIa若しくはb、XIIa若しくはb、XIIIa若しくはb、及びXIVa若しくはbから選択されるホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物、若しくは式、又はその医薬として許容し得る塩、エナンチオマー、エステル、若しくはプロドラッグを、以下の1つ以上に対して有効な量で対象に投与することを含む方法が提供される:
血漿脂質レベルの減少、コレステロールレベルの低下、トリグリセリドレベルの減少、又はLDLに対するHDLの比の増大;
血糖値の低下;
高脂血症、又は高コレステロール血症の治療;
肥満症治療、脂肪含量の減少、脂肪肝、体重の減少、又は体重増加の治療;
アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、心不全、ネフローゼ症候群、又は慢性腎不全の治療;
血糖値の低下、糖尿病、耐糖能異常、メタボリックシンドロームx、インスリン耐性、又は高インスリン血症の治療;
糖新生と関連する遺伝子のレベルの増加;
肝グリコーゲンレベルの減少、又は血糖コントロールの維持、若しくは改善;
任意に心機能、例えば心拍数、収縮期の収縮力、拡張期弛緩の期間、血管緊張、又は心臓重量に影響を及ぼさない用量での高インスリン血症の寛解、及び/又は糖尿病対象におけるグルコースレベルの減少;
甲状腺疾患、甲状腺癌、鬱病、緑内障、心臓不整脈、心不全、又は骨粗鬆症の治療;
ミトコンドリア生合成の増加、又はPGC-I、AMPで活性化されるプロテインキナーゼ、若しくは核呼吸因子の発現の増加;
肝臓糖新生の阻害;又は、
脂質(例えば、コレステロール)、グルコース、リポタンパク質、及びトリグリセリドに対して効果を生じる肝臓における特定の遺伝子する発現の調整、又はT3応答性の遺伝子の調整。
【0031】
特定の実施態様において、化合物は、甲状腺機能、T3、及びT4などの循環ヨウ素化されたサチロニンの甲状腺産生、及び/又はT3対T4の比に影響を及ぼさない。
【0032】
また、例えば、投与、例えば経口投与のために適した用量単位で化合物を含む医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
(5. 図面の簡単な記載)
【0034】
【図1】サル肝臓S9におけるNADPHと共に、及びなしでインキュベーション後のB184(NM108 ヒドロキシSATEホスホロアミダート)の枯渇を示す。
【図2】サル肝臓S9におけるNADPHと共に、及びなしでインキュベーション後のB102(NM107 ヒドロキシSATEホスホロアミダート)の枯渇を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(6.例示的実施態様の記述)
癌などの肝臓障害、又は糖尿病、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、及び肥満症などの代謝病を治療するために有用な化合物、組成物、及び方法が、本明細書に提供される。このような方法のために有用な剤形を更に提供してある。
【0036】
(6.1 定義)
本明細書に提供される化合物について言及するときに、以下の用語は、特に明記しない限り以下の意味を有する。
【0037】
本明細書に使用される「アルキル」という用語は、特に明記しない限り、典型的にはC1〜C10の飽和した直鎖、分枝、又は環状の、一級、二級、又は三級の炭化水素を含み、特に、メチル、CF3、CCl3、CFCl2、CF2Cl、エチル、CH2CF3、CF2CF3、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、secブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチルを含む。本用語には、置換、非置換のアルキル基の両方を含み、特にハロゲン化されたアルキル基、及びより詳細には更にフッ素化されたアルキル基を含む。アルキル基を置換することができる部分の非限定的な例には、当業者に公知のように、例えば、参照として本明細書に組み込まれるGreeneらの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、John Wiley and Sons 第二版、1991において教示されるように、必要に応じて保護されていないか、又は保護されているかのいずれかで、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、又はホスホナートからなる群から選択される。
【0038】
本明細書に使用される「低級アルキル」という用語は、特に明記しない限り、置換、及び非置換の部分を含む、C1〜C4の飽和した直線、分枝、又は適切な場合、環状(例えば、シクロプロピル)のアルキル基を含む。
【0039】
「アルキレン」は、直鎖、又は分枝していることができる、特に約11炭素原子まで、及びより詳細には1〜6炭素原子を有する二価の脂肪族飽和炭化水素基を含む。本用語は、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン異性体(例えば、-CH2CH2CH2-、及び-CH(CH3)CH2-)その他などの基によって例証される。
【0040】
「アルケニル」は、特定の実施態様において、直鎖、又は分枝であること、及び少なくとも1つ、又は1〜2個のオレフィン不飽和の部位を有することができる、約11炭素原子まで、2〜8炭素原子まで、又は2〜6炭素原子を有する、一価のオレフィン的に不飽和の炭化水素基を含む。例示的なアルケニル基には、エテニル(-CH=CH2)、n-プロペニル(-CH2CH=CH2)、イソプロペニル(-C(CH3)=CH2)、ビニル、及び置換ビニル、その他を含む。
【0041】
「アルケニレン」は、特定の実施態様において、直鎖、又は分枝であること、及び少なくとも1つ、又は1〜2個のオレフィン不飽和の部位を有することができる、約11炭素原子まで、又は2〜6炭素原子を有する、二価のオレフィン的に不飽和の炭化水素基を含む。本用語は、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン異性体(例えば、-CH=CHCH2-、及び-C(CH3)=CH-、及び-CH=C(CH3)-)その他などの基によって例証される。
【0042】
「アルキニル」は、特定の実施態様において、直鎖、又は分枝であること、及び少なくとも1つ、又は1〜2個のアルキニル不飽和の部位を有することができる、約11炭素原子まで、又は2〜6炭素原子を有するアセチレン的に不飽和の炭化水素基を含む。アルキニル基の非限定的な例には、アセチレン、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)、その他を含む。
【0043】
本明細書に使用される「アリール」という用語は、特に明記しない限り、フェニル、ビフェニル、又はナフチル、及び好ましくはフェニルを含む。本用語は、置換、及び非置換の部分を含む。アリール基は、当業者に公知のように、例えば、参照として本明細書に組み込まれるGreeneらの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、John Wiley and Sons 第二版、1991において教示されるように、必要に応じて保護されていないか、又は保護されているかのいずれかで、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、アルキル、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、又はホスホナートからなる群から選択される1つ以上の部分を含むが、限定されない、任意の記述された部分で置換することができる。
【0044】
「アルコキシ」には、Rがアルキルである-OR基を含む。特定のアルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシ、その他を含む。
【0045】
「アルコキシカルボニル」には、アルコキシが本明細書で定義したとおりであるラジカル-C(O)-アルコキシを含む。
【0046】
「アミノ」には、ラジカル-NH2を含む。
【0047】
「カルボキシル」には、ラジカル-C(O)OHを含む。
【0048】
「アルキルアミノ」、又は「アリールアミノ」という用語には、それぞれ1つ、若しくは2つのアルキル又はアリール置換基を有するアミノ基を含む。本出願において他に具体的に明示されていなければ、アルキルが適切な部分であるときは、低級アルキルが好ましい。同様に、アルキル、又は低級アルキルが適切な部分であるときは、非置換のアルキル又は低級アルキルが好ましい。
【0049】
「ハロゲン」、又は「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨードを含む。
【0050】
「モノアルキルアミノ」は、R'が水素、及びアルキルから選択される基アルキル-NR'-を含む。
【0051】
「チオアルコキシ」は、Rがアルキルである基-SRを含む。
【0052】
本明細書に使用される「保護された」という用語は、他に定義されない限り、さらなる反応を防止するために、又はその他の目的のために、酸素、窒素、又はリン原子に付加される基をいう。多種多様な酸素及び窒素保護基が、有機合成の当業者に公知である。
【0053】
「医薬として許容し得る塩」には、その生物学的性質を保持し、かつ医薬としての使用のために有毒でないか、又はさもなければ望ましくないものではない、本明細書に提供した化合物の任意の塩を含む。このような塩は、当該技術分野において周知の種々の有機、及び無機の対イオンに由来してもよい。このような塩には、以下を含む:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、ケイ皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボキシル酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫黄酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸、及び同様の酸などの有機酸、又は無機酸と形成された酸付加塩;(2)親化合物に存在する酸性プロトンが(a)金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、及び水酸化バリウムなどのアルカリ金属、若しくはアルカリ土類金属水酸化物、アンモニアによって置換されたか、或いは(b)アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、その他などの、脂肪族、脂環式、又は芳香族有機アミンなどの有機塩基と配位したときのいずれかに形成される塩。
【0054】
塩は、例のみとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、その他を更に含み、化合物が塩基性の官能性を含むときは、ヒドロハライド例えば塩酸塩、及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩、その他などの無毒の有機酸、又は無機酸の塩をさらに含む。
【0055】
「アルカリール」、又は「アルキルアリール」という用語には、アルキル置換基をもつアリール基を含む。アラルキル、又はアリールアルキルという用語には、アリール置換基をもつアルキル基を含む。
【0056】
「プリン」、又は「ピリミジン」塩基という用語には、アデニン、N6-アルキルプリン、N6-アシルプリン(式中、アシルは、C(O)(アルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルである)、N6-ベンジルプリン、N6-ハロプリン、N6-ビニルプリン、N6-アセチレンプリン、N6-アシルプリン、N6-ヒドロキシアルキルプリン、N6-アルキルアミノプリン、N6-チオアルキルプリン、N2-アルキルプリン、N2-アルキル-6-チオプリン、チミン、シトシン、5-フルオロシトシン、5-メチルシトシン、6-アザシトシンを含む6-アザピリミジン、2-、及び/又は4-メルカプトピリミジン、ウラシル、5-フルオロウラシルを含む5-ハロウラシル、C5-アルキルピリミジン、C5-ベンジルピリミジン、C5-ハロピリミジン、C5-ビニルピリミジン、C5-アセチレンピリミジン、C5-アシルピリミジン、C5-ヒドロキシアルキルプリン、C5-アミドピリミジン、C5-シアノピリミジン、C5-ヨードピリミジン、C6-ヨード-ピリミジン、C5-Br-ビニルピリミジン、C6-Br-ビニルピリミジン、C5-ニトロピリミジン、C5-アミノ-ピリミジン、N2-アルキルプリン、N2-アルキル-6-チオプリン、5-アザシチジニル、5-アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びピラゾロピリミジニルを含むが、限定されない。プリン塩基には、グアニン、アデニン、ヒポキサンチン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、2,6-ジアミノプリン、及び6-クロロプリンを含むが、限定されない。塩基上の機能的な酸素及び窒素基は、必要に応じて保護することができ、又は望ましい。適切な保護基は、当業者に周知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル、及びt-ブチルジフェニルシリル、トリチル、アセチル、及びプロピオニルなどのアルキル基、及びアシル基、メタンスルホニル、及びp-トルエンスルホニルを含む。
【0057】
「アシル」、又は「O結合されたエステル」という用語は、式C(O)R'の基を含み、式中R'は、直鎖、分枝、又は環状のアルキル(低級アルキルを含む)、アミノ酸のカルボン酸残基、フェニルを含むアリール、アルカリール、ベンジルを含むアリールアルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル;又は置換されたアルキル(低級アルキルを含む)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、C1〜C4アルキル、若しくはC1〜C4アルコキシで任意に置換されたフェニルを含むアリール、メタンスルホニルを含むアルキルスルホニル、若しくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホナートエステル、モノ、ジ、若しくはトリリン酸エステル、トリチル、若しくはモノメトキシ-トリチル、置換されたベンジル、アルカリール、ベンジルを含むアリールアルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキルである。エステルのアリール基は、至適には、フェニル基を含む。特に、アシル基には、以下を含む:アセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ネオ-ヘプタノイル、フェニルアセチル、2-アセトキシ-2-フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、α-メトキシ-α-トリフルオロメチル-フェニルアセチル、ブロモアセチル、2-ニトロ-ベンゼンアセチル、4-クロロ-ベンゼンアセチル、2-クロロ-2,2-ジフェニルアセチル、2-クロロ-2-フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、パーフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、メトキシアセチル、2-チオフェンアセチル、クロロスルホニルアセチル、3-メトキシフェニルアセチル、フェノキシアセチル、tert-ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ-アセチル、ジクロロアセチル、7H-ドデカフルオロ-ヘプタノイル、パーフルオロ-ヘプタノイル、7H-ドデカ-フルオロヘプタノイル、7-クロロドデカフルオロヘプタノイル、7-クロロ-ドデカフルオロヘプタノイル、7H-ドデカフルオロヘプタノイル、7H-ドデカ-フルオロヘプタノイル、ノナ-フルオロ-3,6-ジオキサ-ヘプタノイル、ノナフルオロ-3,6-ジオキサヘプタノイル、パーフルオロヘプタノイル、メトキシベンゾイル、メチル3-アミノ-5-フェニルチオフェン-2-カルボキシル、3,6-ジクロロ-2-メトキシ-ベンゾイル、4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-エトキシ)-ベンゾイル、2-ブロモ-プロピオニル、オメガ-アミノカプリル、デカノイル、n-ペンタデカノイル、ステアリル、3-シクロペンチル-プロピオニル、1-ベンゼン-カルボキシル、O-アセチルマンデリル、ピバロイルアセチル、1-アダマンタン-カルボキシル、シクロヘキサン-カルボキシル、2,6-ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン-カルボキシル、シクロブタン-カルボキシル、パーフルオロシクロヘキシルカルボキシル、4-メチルベンゾイル、クロロメチルイソキサゾリルカルボニル、パーフルオロシクロヘキシルカルボキシル、クロトニル、1-メチル-1H-インダゾール-3-カルボニル、2-プロペニル、イソバレリル、1-ピロリジンカルボニル、4-フェニルベンゾイル。
【0058】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する、及び合成のα、β、γ、又はδアミノ酸を含み、タンパク質において見いだされるアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンを含むが、限定されない。好ましい実施態様において、アミノ酸は、L-配置のものである。或いは、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニル、トリプトファニル、メチオニニリル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニル、ヒスチジニル、β-アラニル、β-バリニル、β-ロイシニル、β-イソロイシニル、β-プロリニル、β-フェニルアラニル、β-トリプトファニル、β-メチオニニル、β-グリシニル、β-セリニル、β-スレオニニル、β-システイニル、β-チロシニル、β-アスパラギニル、β-グルタミニル、β-アスパルトイル、β-グルタロイル、β-リジニル、β-アルギニル、又はβ-ヒスチジニルの誘導体であることができる。
【0059】
本明細書に使用される、ヌクレオシド組成物に関する「実質的に含まない」、又は「実質的に存在しない」という用語には、そのヌクレオシドの示されたエナンチオマーの少なくとも85、又は90重量%、好ましくは95%、98%、99%、又は100重量%を含むヌクレオシド組成物を含む。好ましい実施態様において、本発明の方法、及び化合物において、化合物は、実質的にエナンチオマーを含まない。
【0060】
同様に、ヌクレオシド組成物に関して「単離された」という用語には、ヌクレオシドの少なくとも85、90%、95%、98%、99%〜100重量%を含み、残りは、その他の化学種、又はエナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を含む。
【0061】
「溶媒和物」は、本明細書に提供した化合物、又はその塩を含み、非共有結合性の分子間力によって結合した溶媒の化学量論量、又は非化学量論量を更に含む。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0062】
本明細書に使用される「対象」、及び「患者」という用語は、本明細書において同義的に使用される。「対象」、及び「対象群」という用語は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)、及び霊長類(例えば、カニクイザルなどのサル、チンパンジー、及びヒト)、例えばヒトを含む哺乳類などの動物をいう。一つの実施態様において、対象は、癌について現在の治療に抵抗性、又は非応性である。別の実施態様において、対象は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、その他)、又はペット(例えば、イヌ、又はネコ)である。一つの実施態様において、対象は、ヒトである。
【0063】
本明細書に使用される「治療薬」、及び「治療薬類」という用語は、障害、若しくはその1つ以上の症候の治療、又は予防に使用することができる任意の薬剤をいう。特定の実施態様において、「治療薬」という用語には、本明細書に提供した化合物を含む。一つの実施態様において、治療薬は、障害、若しくはその1つ以上の症候の治療、又は予防のために有用であることが知られているか、又はそのために使用されていたか、若しくは現在使用されている薬剤である。
【0064】
「治療上有効量」には、疾患を治療するために対象に投与されたときに、十分にこのような疾患のための治療の効果を及ぼす化合物、又は組成物の量を含む。「治療上有効量」は、とりわけ、化合物、疾患、及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて変更することができる。
【0065】
任意の疾患、又は障害の「治療すること」、又は「治療」とは、一つの実施態様において、対象に存在する疾患、又は障害を寛解させることをいう。別の実施態様において、「治療すること」、又は「治療」は、少なくとも1つの物理的パラメーターを寛解させることを含み、これは、対象によって識別することができなくてもよい。更に別の実施態様において、「治療すること」、又は「治療」は、疾患、又は障害を、物理的に(例えば、識別可能な症候の安定化)、若しくは生理的に(例えば、物理的パラメーターの安定化)のいずれか、又は両方で調整することを含む。更に別の実施態様において、「治療すること」、又は「治療」には、疾患、又は障害の発病を遅延させることを含む。
【0066】
本明細書に使用される、使用される「予防薬」、及び「予防薬類」という用語は、障害、又はその1つ以上の症候の予防に使用することができる任意の薬剤(類)をいう。特定の実施態様において、「予防薬」という用語には、本明細書に提供した化合物を含む。特定のその他の実施態様において、「予防薬」という用語は、本明細書に提供した化合物をいわない。例えば、予防薬は、障害の発病、発症、進行、及び/若しくは重症度を予防し、又は妨げるために有用であることが知られているか、又はそのために使用されていたか、若しくは現在使用されている薬剤である。
【0067】
本明細書に使用される「予防的有効量」という句には、障害と関連する1つ以上の症候の発症、再発、若しくは発病の予防、又は低減を生じるために(又は別の療法(例えば、別の予防薬)の予防効果を増強し、又は改善するために)十分である療法(例えば、予防薬)の量を含む。
【0068】
(6.2 例示的実施態様)
(6.2.1化合物)
種々の治療薬のホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物は、当該技術分野において利用可能な方法、及び本明細書に開示したものを使用して形成することができる。このよう化合物は、一部の実施態様において、肝臓への薬物の送達を増強するために使用することができる。一つの実施態様において、化合物は、S-アシル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-アシル-2-チオエチルホスホノアミダート誘導体、例えばS-ピバロイル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダートである。化合物形態に誘導体化することができる治療薬には、非環式ヌクレオシドを含むヌクレオシド及びヌクレオシド類似体を含むが、限定されない、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート部分の付着のための反応基を含むか、又は含むように誘導体化された抗癌剤を含む。
【0069】
種々のヌクレオシドのホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物形態は、本明細書に開示され、及び当該技術分野において利用可能なヌクレオシドから形成することができる。特に、抗癌ヌクレオシドは、肝臓への送達を増強することができるホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物を形成するように誘導体化することができる。
【0070】
一つの実施態様において、本明細書に提供したホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物は、式IIa、又はIIbの化合物:
【化8】

、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態であり、式中;
Ryは、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成し;かつ
R1は、抗癌剤などの薬物である。
【0071】
特定の実施態様において、式IIa、又はIIbの化合物は、Ryがtert-ブチル、又はヒドロキシ-tert-ブチルであるときに、R1が3'-アジド-2',3'-ジデオキシチミジンではないことを条件として選択される。
【0072】
特定の実施態様において、R1、Ra、Rb、及びRyは、例えば定義において、本明細書に定義したとおり、1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0073】
特定の実施態様において、化合物は、式IIa、又はIIbであり、式中Ryは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり;
Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;かつ
R1は、抗癌剤である。
【0074】
一つの実施態様において、R1、又はR1-CH2-は、本明細書に記述したか、又は当該技術分野において公知の任意のヌクレオシド、又はその類似体を含む、環状、若しくは非環状の糖、又はその類似体を含むヌクレオシドである。
【0075】
式IIa、又はIIbの特定の実施態様において、Ryは、置換されたアルキル、例えばヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルであり;かつ、Ra、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。別の実施態様において、Ryは、-ORc、-C(Rc)3、又は-NHRcであり、式中それぞれのRcは、独立してアルキル、置換されたアルキル、アリール、又は置換されたアリール、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はアリールであり;かつRa、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。さらなる実施態様において、Ra、及びRbは、独立してベンジル、又は置換されたアルキルである。さらなる実施態様において、Ryは、アルキル、及びヒドロキシアルキルからなる群から選択される。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。このパラグラフに従った特定の実施態様において、R2、及びR3は、それぞれ水素であり、Raは、水素であり、Rbは、-CH2-C6H5、及びRyは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0076】
一つの実施態様において、Ryは、アルキル、又はヒドロキシアルキルである。一つの実施態様において、Ryは、メチル、tert-ブチル、ヒドロキシ-tert-ブチル、又はヒドロキシエチルである。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0077】
一つの実施態様において、Ra、及びRbは、それぞれ独立して、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、又はアリールアルキルであり、式中アルキル基は、1つ以上の置換基で更に置換されることができる。一つの実施態様において、Ra、又はRbの少なくとも1つは、水素以外である。一つの実施態様において、Ra、及びRbは、それぞれ独立して水素、メチル、又はベンジルである。
【0078】
特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHであり、かつRa、及びRbは、それぞれ独立して水素、メチル、又はベンジルである。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHであり、かつRaは、水素であり、かつRbはベンジルである。
【0079】
別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、式:
【化9】

の化合物であり、式中、R1、及びRyは、式IIa、又はIIbにおいて定義したとおりである。一つの実施態様において、Ryは、アルキル、又はヒドロキシアルキルである。一つの実施態様において、Ryは、メチル、tert-ブチル、ヒドロキシ-tert-ブチル、又はヒドロキシエチルである。一つの実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0080】
式XVa、又はXVbに従った特定の実施態様において、Ryは、置換されたアルキル、例えばヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルである。別の実施態様において、Ryは、-ORc、-C(Rc)3、又は-NHRcであり、式中それぞれのRcは、独立してアルキル、置換されたアルキル、アリール、又は置換されたアリール、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はアリールである。さらなる実施態様において、Ryは、アルキル、及びヒドロキシアルキルからなる群から選択される。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0081】
別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、式:
【化10】

の化合物であり、式中:R1は、ヌクレオシド、又はヌクレオシド誘導体などの抗癌剤であり;かつ、
Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;かつ、
式中一つの実施態様において、Ra、及びRbの一方は、Hであり、かつ他方は、それぞれ任意に置換された、アリールで任意に置換されたアルキル、ベンジル、又はヘテロアリールである。
【0082】
式XVIa、又はXVIbに従った特定の実施態様において、Ra、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。別の実施態様において、Ra、及びRbは、独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、ベンジル、又は置換されたベンジル、例えばヒドロキシ置換、若しくはアミノ置換されたアルキル、又はベンジルである。さらなる実施態様において、Ra、及びRbは、独立してベンジル、又は置換されたアルキルである。
【0083】
別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、式:
【化11】

の化合物であり、
式中、R1は、抗癌剤などの薬物である。
【0084】
例えば遊離ヒドロキシル基を介して、又はヒドロキシル化されたリンカーを付加した後に、本明細書に記述したとおりに誘導体化することができる例示的抗癌剤(R1のもの)は、以下の通りである:
【表1】






【0085】
本明細書に記述したとおり、誘導体化することができる例示的な免疫抑制薬は、以下の通りである:
【表2】

【0086】
特定の実施態様において、R1は、アクラルビシン、デシタビン、ダウノルビシン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、フルダラビン、7-ヒドロキシクロルプロマジン、ネプラノシン(neplanocin) A、ポドフィロトキシン、テザシタビン(tezacitabine)、トロキサシタビン(troxacitabine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、NK-611、カンプトセシン、イリノテカン、9-アミノカンプトセシン、GG-211、トポテカン、パクリタキセル、アザトキシン(azatoxin)、コホルマイシン、ピラルビシン、及びロソキサントロンなどの抗癌剤である。特定の実施態様において、抗癌剤は、カンプトセシン、又はアゾ毒素(azotoxin)である。
【0087】
別の実施態様において、R1は、プリンヌクレオシド類似体である(例えば、Robakらの文献、Curr.Med. Chem. 2006、13、3165-3189を参照されたい)。R1は、例えばフルダラビン(9-β-D-アラビノフラノシル-2-フルオロアデニン)、クラドリビン(2-クロロ-2'-デオキシアデノシン、CldA)、ペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン、DCF)、クロファラビン(clofarabine)(CAFdA)、ネラバリン(nelabarine)、イムシリン(immucillin)H(BCX-1777、フォロデシン(forodesine))、又は8-クロロアデノシン(8-Cl-Ado)などの細胞障害薬である。
【0088】
また、抗癌剤は、(2'S)-2'-デオキシ-2'-C-メチルシチジン(SMDC)、1-(2-デオキシ-2-メチレン-β-D-エリスロ-ペントフラノシル)シトシン(DMDC)、1-(2-C-シアノ-2-デオキシ-1-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)シトシン(CNDAC)、又はl-(3-C-エチニル-β-D-リボ-ペントフラノシル)シトシン(ECyd)であることができる。例えば、Matsudaらの文献、Cancer Sci、2004、95:105-111を参照されたい。
【0089】
一つの実施態様において、R1は、コンブレタスタチンA-4、ミコフェノール酸、ペントスタチン、又はミトキサントロンなどの免疫抑制薬である。
【0090】
抗癌剤には、例えば遊離OH、又は遊離カルボキシ基にてホスホロアミダート又はホスホノアミダートを含むように誘導体化することができる。
【0091】
別の実施態様において、R1は、(-)-2'-デオキシ-3'-オキサシチジン(BCH-4556、トロキサシタビン(Troxacitabine)):
【化12】

である。
【0092】
別の実施態様において、R1は、テザシタビン(tezacitabine)(2'-フルオロメチレン-2'-デオキシシチジン)である。別の実施態様において、R1は、5'-アザシチジン、5'-アザデオキシシチジン(デシタビン(decytabine))、又はファザラビンなどの5'-アザ-ピリミジンである。
【0093】
特定の実施態様において、R1は、例えば2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-フルオロシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-クロロシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-ブロモシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-ヨードシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-メチルシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-エチルシチジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-エチルウリジン、2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-エチニルウリジン、又は2'-デオキシ-2'-メチリデン-5-フルオロシチジン-5'-リン酸などの米国特許第5,401,726号に開示された2'-デオキシ-2'-メチリデンピリミジンヌクレオシド化合物である。一つの実施態様において、R1は、5-フルオロウラシルである。
【0094】
また、R1は、4-アミノ-5-オキソ-8-(4-C-ヒドロキシメチル-β-D-リボフラノシル)ピリド-[2,3d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R)-C-メチル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R)-C-アリル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R,S)-C-エチニル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R,S)-C-ビニル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(β-L-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(4-C-メチル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(4-C-エチル-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R,S)-C-エチル-β-D-リボフラノシル)ピリド-[2,3d]ピリミジン;4-アミノ-5-オキソ-8-(5(R)-C-プロピルβ-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジン;又は4-アミノ-5-オキソ-8-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジンなどの米国特許第7,081,449号に記載されているようなピリド[2,3-D]ピリミジン、又はピリミド[4,5-D]ピリミジンヌクレオシドであることができる。特定の実施態様において、R1は、4-アミノ-5-オキソ-8-(β-D-リボフラノシル)ピリド[2,3-d]ピリミジンである。
【0095】
その他の抗癌剤には、ジクロロアセタール、ネキサバル(Nexavar)(ソラフェニブ)、シメチジン、アドリアマイシン、サイトキサン(Cytoxan)(シクロホスファミド)、メトトレキセート、ビンクリスチン、及び6‐メルカプトプリンを含む。
【0096】
別の実施態様において、抗癌剤は、2',3-ジデオキシイノシン(ddl)、又は2,3-ジデヒドロ-3-デオキシチミジン(d4T)から選択される。例えば、WO/2006/125166を参照されたい。
【0097】
一つの実施態様において、R1は、例えば遊離OH、又は遊離カルボキシ基にてホスホロアミダート、若しくはホスホノアミダートを含むように誘導体化することができる、副腎皮質ステロイドなどの抗炎症剤、又は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。
【0098】
使用に適する例示的な副腎皮質ステロイド薬物は、本明細書において下記に提供してある:
【化13】

【0099】
使用に適する例示的なNSAID薬物は、本明細書において下記に提供してある:
【化14】



【0100】
下記の式IIaの化合物:
【化15−1】

の特定の実施態様において、部分:
【化15−2】

は、非環状ヌクレオシドホスホナートである薬物、すなわち:
【化16】

に由来する。
【0101】
従って、式IIaの化合物は、一つの実施態様において、(S)-9-[3-ヒドロキシ-2-(ホスホノメトキシ)-プロピル]シトシン(HPMPC、シドホビル)、(S)-9-{3-ヒドロキシ-2-(ホスホノメトキシ)-プロピル]アデニン((S)-HPMPA)、ホスホノメトキシエチルグアニン(PMEG)、ホスホノメトキシエチル-アデニン(PMEA、アデフォビル)、ホスホノメトキシ-プロピルアデニン(PMPA、テノフォビル)、アシクロビル、ガンシクロビル、又はペンシクロビルなどの潜在的抗癌作用を有する非環状ヌクレオシドホスホナートのホスホノアミダートである。例えば、WO/2006/125166、及びDe Clercqらの文献、Antiviral Research、Volume75、Issue 1、2007年7月、1-13ページを参照されたい。
【0102】
(甲状腺ホルモン受容体エフェクターの送達のための実施態様)
特定の実施態様において、任意に甲状腺ホルモン受容体エフェクターとして作用する、以下のホスホロアミダート及びホスホノアミダート式、及び化合物が提供される:
【化17】

式中、それぞれのRは、存在する場合、独立してアルキル、ハロゲン、又はヒドロキシルであり;
Xは、存在する場合、CH2、O、又はSであり;
Ryは、全ての任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり;
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成する。
【0103】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIa、又はVIIIbから選択される式を有し、式中、
それぞれのRは、存在する場合、独立してアルキル、ハロゲン、又はヒドロキシルであり;
Xは、存在する場合、CH2、O、又はSであり;
Ryは、存在する場合、任意に置換されたアルキルであり、式中置換されたアルキルは、任意にヒドロキシアルキル、又はアミノアルキル、例えば-C(CH3)2CH2OHであり;かつ、
Ra、及びRbは、存在する場合、独立して、水素;非置換のアルキル;又はそれぞれ任意に置換された、アリール、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくはヘテロアリールで置換されたアルキルであり;式中、一つの実施態様において、Ra、及びRbは、独立して、H、又は例えばヒドロキシ、若しくはアミノで任意に置換されたベンジルであり;かつ、
式中、もう1つの実施態様において、存在する場合、Raは、水素であり、Rbは、-CH2-C6H5であり、かつRyは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0104】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は:
【化18】

から選択される式を有し、式中、
Rx、及びRzは、それぞれ独立して水素、又はアルキルであり;
RWは、アルキルであり;
X1は、O、又はSであり;
Ryは、任意に置換されたアルキルであり、式中置換基は、存在するときに、ヒドロキシ、及びアミノから選択され;
Ra、及びRbは、それぞれ独立して水素、又は任意に置換されたアルキルであり;式中、置換基は、存在するときに、それぞれヒドロキシ、又はアミノで任意に置換された、アリール、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される1つ以上、一つの実施態様において1つ、2つ、又は3つの基から選択される。
【0105】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は:
【化19】

から選択される。
【0106】
特定の実施態様において、Rx、及びRzは、それぞれ水素である。特定の実施態様において、RWは、アルキルである。特定の実施態様において、RWは、イソプロピルである。特定の実施態様において、Ryは、任意に置換されたアルキルであり、式中置換基は、存在するときに、ヒドロキシ、及びアミノから選択される。特定の実施態様において、Ryは、-C(CH3)2CH2OHである。特定の実施態様において、Ra、及びRbは、それぞれ独立して、水素、又は任意に置換されたアルキルであり;式中、置換基は、存在するときに、それぞれヒドロキシ、又はアミノで任意に置換された、アリール、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される1つ以上、一つの実施態様において1つ、2つ、又は3つの基から選択される。特定の実施態様において、Raは、水素であり、かつRbは、ベンジルである。
【0107】
特定の実施態様において、Raは、水素であり、Rbは-CH2-C6H5であり、かつRyは、-C(CH3)2CH2OHである。
【0108】
一つの実施態様において、甲状腺受容体エフェクター化合物は、式:
【化20】

を有する。
【0109】
特定の実施態様において、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa若しくはbから選択される化合物、又は式は、任意に酵素フルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)を阻害することによって、糖新生を阻害するために有用なホスホナート化合物に由来する。
【0110】
特定の実施態様において、IXa若しくはb、Xa若しくはb、XIa若しくはb、XIIa若しくはb、XIIIa若しくはb、XIVa若しくはb、及びXVIIIa若しくはbから選択される化合物、又は式は、任意に酵素フルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)を阻害することによって、糖新生を阻害するために有用な化合物に由来する。
【0111】
特定の実施態様において、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa、若しくはbから選択される化合物、又は式は、肝臓において甲状腺受容体に結合するホスホン酸含有化合物であり、任意にT3のアゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニスト、又は部分アンタゴニストである。糖新生の阻害は、糖尿病性対象において血糖の低下を生じさせることができる。このよう化合物は、経口生物学的利用能、及び肝臓薬物濃度を含む薬物動態の増強を示すことができる。
【0112】
特定の実施態様において、その必要のある対象の治療方法であって、IIIa若しくはb、IVa若しくはb、Va若しくはb、VIa若しくはb、VIIa若しくはb、VIIIa若しくはb、IXa若しくはb、Xa若しくはb、XIa若しくはb、XIIa若しくはb、XIIIa若しくはb、及びXIVa若しくはbから選択されるホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物、若しくは式、又はその医薬として許容し得る塩、エナンチオマー、エステル、若しくはプロドラッグを、以下の1つ以上に対して有効な量で対象に投与することを含む方法が提供される:
血漿脂質レベルの減少、コレステロールレベルの低下、トリグリセリドレベルの減少、又はLDLに対するHDLの比の増大;
血糖値の低下;
高脂血症、又は高コレステロール血症の治療;
肥満症治療、脂肪含量の減少、脂肪肝、体重の減少、又は体重増加の治療;
アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、心不全、ネフローゼ症候群、又は慢性腎不全の治療;
血糖値の低下、糖尿病、耐糖能異常、メタボリックシンドロームx、インスリン耐性、又は高インスリン血症の治療;
糖新生と関連する遺伝子のレベルの増加;
肝グリコーゲンレベルの減少、又は血糖コントロールの維持、若しくは改善;
任意に心機能、例えば心拍数、収縮期の収縮力、拡張期弛緩の期間、血管緊張、又は心臓重量に影響を及ぼさない用量での高インスリン血症の寛解、及び/又は糖尿病対象におけるグルコースレベルの減少;
甲状腺疾患、甲状腺癌、鬱病、緑内障、心臓不整脈、心不全、又は骨粗鬆症の治療;
ミトコンドリア生合成の増加、又はPGC-1、AMPで活性化されるプロテインキナーゼ、若しくは核呼吸因子の発現の増加;
肝臓糖新生の阻害;又は、
脂質(例えば、コレステロール)、グルコース、リポタンパク質、及びトリグリセリドに対して効果を生じる肝臓における特定の遺伝子する発現の調整、又はT3応答性の遺伝子の調整。
【0113】
特定の実施態様において、化合物は、甲状腺機能、T3、及びT4などの循環するヨウ素化されたサチロニンの甲状腺産生、及び/又はT3対T4の比に影響を及ぼさない。
【0114】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物を投与することにより、肝臓線維症、又は炎症の治療のための方法が本明細書に提供される。
【0115】
また、例えば、投与、例えば経口投与のために適した用量単位で化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0116】
(光学活性化合物)
本明細書に提供した化合物は、いくつかのキラル中心を有し、かつ光学的に活性な形態、及びラセミ形態で存在しても、及び単離されていてもよいことが認識される。いくつかの化合物は、多型を示すであろう。本明細書に記述した有用な特性を有する、本明細書に提供した化合物の任意のラセミ形態、光学活性形態、ジアステレオ異性形態、多形形態、若しくは立体異性形態、又はこれらの混合物も本発明の範囲内であることが理解される。光学活性形態を調製するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、再結晶技術によるラセミ形態の分割により、光学活性な出発材料からの合成により、キラル合成により、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフ分離による)。
【0117】
光学活性物質を得るための方法の例は、当該技術分野において公知であり、少なくとも以下を含む。
i)(結晶の物理的分離)-個々のエナンチオマーの巨視的結晶を手作業で分離することによる技術。別々のエナンチオマーの結晶が存在する場合に、この技術を使用することができ、すなわち材料は、コングロマリットであり、かつ結晶は、視覚的に異なる;
ii)(同時結晶化)-個々のエナンチオマーをラセミ体の溶液から別々に結晶化することによる技術で、後者が固体状態においてコングロマリットである場合にのみ可能;
iii)(酵素分割)-エナンチオマーに対する酵素の反応の速度が異なることによる、ラセミ体の部分的、又は完全な分離による技術;
iv)(酵素による不斉合成)-合成の少なくとも1つの工程で酵素反応を使用して、エナンチオマー的に純粋な、又は濃縮された所望のエナンチオマーの合成前駆体を得ることによる合成技術;
v)(化学的不斉合成)-キラル触媒、又はキラル助剤を使用して達成され得る、生成物の不斉性(すなわち、キラリティー)を生する条件下で、所望のエナンチオマーをアキラル前駆体から合成することによる合成技術;
vi)(ジアステレオマー分離)-ラセミ体をエナンチオマー的に純粋な試薬(キラル助剤)と反応させて個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換することによる技術。次いで、生じるジアステレオマーを、これらの現在のより異なった構造相違によりクロマトグラフィー、又は結晶化によって分離し、後でキラル助剤を除去して所望のエナンチオマーを得る;
vii)(第1、及び第2の順序での不整変換)-ラセミ体からのジアステレオマーを平衡化して所望のエナンチオマーからジアステレオマーの溶液において優位にさせることによるか、又は所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先的な結晶化により平衡を乱し、その結果、最終的に原理的に、全ての材料が所望のエナンチオマーからの結晶性ジアステレオマーに変換させる技術。次いで、所望のエナンチオマーをジアステレオマーから遊離させる;
viii)(動力学的分割)-この技術は、動力学的条件下でキラル、非ラセミの試薬、又は触媒とエナンチオマーの反応速度が等しくないことによって、ラセミ体の部分的、又は完全な分割の(又は部分的に分割された化合物のさらなる分割)達成をいう;
ix)(非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成)-所望のエナンチオマーを非キラル出発材料から得ることにより、及び合成の経過にわたって立体化学的統合性が損なわれないか、又は最小限損なわれるだけである合成技術;
x)(キラル液体クロマトグラフィー)-ラセミ体のエナンチオマーを、固定相とのこれらの異なる相互作用によって液体移動相において分離することによる技術。固定相は、キラル物質からなることができ、又は移動相は、異なる相互作用を引き起こすようにさらなるキラル物質を含むことができる;
xi)(キラルガスクロマトグラフィー)-ラセミ体を揮発させ、エナンチオマーを、固定された非ラセミのキラルな吸着相を含むカラムとの、ガス移動相におけるこれらの異なる相互作用によって分離することによる技術;
xii)(キラル溶媒での抽出)-エナンチオマーを、特定のキラル溶媒へのエナンチオマーの優先的な溶解によって分離することによる技術;
xiii)(キラル膜を越える輸送)-ラセミ体を薄膜バリアと接触させておくことによる技術。バリアは、典型的には、2つのミシブル流体を分離して、一方には、ラセミ体を含み、濃度、又は圧力の差などの推進力により、膜バリアを越える優先的輸送を生じさせる。分離は、ラセミ体の一方のエナンチオマーのみが通過することができる膜の非ラセミのキラルな性質の結果として生じる。
【0118】
(化合物の調製)
本明細書に提供した化合物は、当業者に明らかな任意の方法によって調製し、単離し、又は得ることができる。例示的な調製法は、下記の実施例に詳述してある。
【0119】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、下記の反応スキームに図示したように、アルコール、及びH-ホスホナートモノエステルをカップリングすることによって調製することができ:
【化21】

式中、R7、R8、R9、R10は、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ、アルキル、又はアルコキシである。Ry、R7、R8、R9、R10上の、又は塩基上の任意の反応性の官能基を、カップリング反応の間に保護してもよい。当業者に公知の種々のカップリング剤を使用することができる。反応に使用するための例示的なカップリング剤には、HOBt(N-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、HBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート)、DCC(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホフェート)、PyBOP(1-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、及び当業者に公知のその他を含むが、限定されない。
【0120】
Bによって表されるヒドロキシtBuSATE N-ベンジルホスホラミダートヌクレオシド誘導体の合成のための一般的スキームを下記のスキームB1〜B3に提供してあり、式中のヌクレオチドの修飾は、実施例の方法によって行ってもよいが、該方法論は、その他の活性薬剤のためにも同様に使用してもよい。
【化22】

【0121】
式中、反応性アミンの場合、R=H、Tr、MMTr、又はDMTr;R1、R2、R4、R6=H、アルキル、又はハロ、及びR3/R5は、両方ともH、又はイソプロピリデンである。
【0122】
スキームB1:H-ホスホナートモノエステル試薬の合成
【化23】

【0123】
スキームB2:保護されたヌクレオシドの合成(R= DMTr、及び/又はR3/R5 =イソプロピリデン)
【化24】

【0124】
スキームB3:試薬5と(非)保護されたヌクレオシドのカップリング、酸化的アミノ化、及び脱保護工程
【化25】

【0125】
加えて、特定のヌクレオシド、並びにその類似体、及びそのプロドラッグは、当業者に公知の方法に従って調製することができる。例示的なヌクレオシド、及び類似体は国際公開番号WO06/125166記述されており、その内容は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0126】
式IIIa又はb、IVa又はb、Va又はb、VIa又はb、VIIa又はb、及びVIIIa又はbの化合物は、本明細書に記述した方法、及び当業者に公知の方法によって調製することができ、例えば、Erionらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci.、2007、104、15490-15495を参照されたい。
【0127】
式IXa又はb、Xa又はb、XIa又はb、XIIa又はb、XIIIa又はb、XIVa又はb、及びXVIIIa又はbの化合物は、本明細書に記述した方法、及び当業者に公知の方法によって調製することができ、例えば、Dangらの文献、2型糖尿病の治療のための強力かつ特異的なフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、及び一連の経口的生物利用可能なホスホルアミダーゼ感受性のプロドラッグの発見(Discovery of Potent and Specific Fructose- 1,6- Bisphosphatase Inhibitors and a Series of orally-Bioavailable Phosphoramidase-Sensitive Prodrugs for the Treatment of Type 2 Diabetes)、J. Am., Chem. Soc、2007、Vol. 129、No.50、pp. 15491-502を参照されたい。
【0128】
(アッセイ方法)
化合物を当業者に公知の任意のアッセイ法に従って、対象の肝細胞における蓄積についてアッセイすることができる。特定の実施態様において、化合物を対象に投与することができ、対象の肝細胞を化合物、又はその誘導体についてアッセイすることができる。
【0129】
一つの実施態様において、ホスホロアミダート又はホスホノアミダートヌクレオシド化合物は、インビボ、又はインビトロで、肝細胞などの細胞に投与され、細胞内に送達されるヌクレオシドレベルが測定され、細胞における化合物の送達を示す。
【0130】
抗癌活性を含むその他の活性についてのアッセイは、当該技術分野におい記載されている通りに行うことができる。適切なインビトロアッセイを、予備的に、癌細胞の成長を阻害する際の化合物の有効性を評価するために使用することができる。当業者に公知のインビボアッセイによって癌を治療する際のその有効性について、化合物を更に調べることができる。例えば、それは、癌を有する動物(例えば、マウスモデル)に投与することができ、次いでその治療効果を評価することができる。結果に基づいて、適切な用量範囲、及び投与経路も決定することができる。例示的なアッセイを下記のパラグラフに記述してある。
【0131】
(抗癌活性)
本明細書に提供した化合物は、当該技術分野において公知か、又は本明細書に記述された種々のアッセイを使用してインビトロ、及びインビボで腫瘍細胞増殖、細胞形質転換、並びに腫瘍形成を阻害することを示すことができる。このようなアッセイには、癌株化細胞の細胞、又は患者からの細胞を使用することができる。当該技術分野において周知の多くのアッセイを使用してこのような生存、及び/又は成長を評価することができ;例えば、細胞増殖は、(3H)-チミジン取り込みを測定することによって、体細胞を直接計数することによって、プロトオンコジーン(例えば、fos、myc)、若しくは細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、E、その他)などの公知の遺伝子の転写、翻訳、又は活性の変化を検出することによって、アッセイすることができる。このようなタンパク質、及びmRNAのレベル、並びに活性は、当該技術分野において周知任意の方法によって決定することができる。例えば、タンパク質は、市販の抗体(例えば、多くの細胞周期マーカー抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Inc., Santa Cruz、Califから入手可能である)を使用して、ウエスタンブロッティング、又は免疫沈降などの公知の免疫診断法によって定量化することができる。mRNAは、当該技術分野において周知ば、及びルーチンである方法によって、例えばノーザン分析、RNase保護、及び逆転写と組み合わせたポリメラーゼ連鎖反応法によって定量化することができる。細胞生存度は、トリパンブルー染色、又は当該技術分野において公知のその他の細胞死、若しくは生存度マーカー使用することにより評価することができる。分化は、例えば、形態の変化、その他に基づいて視覚的に評価することができる。
【0132】
細胞増殖解析は、以下を含むが、限定されない、当該技術分野において公知の種々の技術を使用して行うことができる:
【0133】
一例として、ブロモデオキシウリジン(BRDU)取り込みを、増殖細胞を同定するためのアッセイとして使用してもよい。BRDUアッセイは、新しく合成されたDNAへのBRDUの組み込みによって、DNA合成を受けている細胞集団を同定する。次いで、新しく合成されたDNAは、抗BRDU抗体を使用して検出することができる(Hoshinoらの文献、1986、Int. J. Cancer 38、369;Campanaらの文献、1988、J. Immunol. Meth. 107, 79を参照されたい)。
【0134】
また、細胞増殖は、(3H)-チミジン取り込みを使用して調べることができる(例えば、Chen、J., 1996、Oncogene 13:1395-403;Jeoung, J.の文献、1995、J. Biol. Chem. 270:18367-73を参照されたい)。このアッセイでは、S期DNA合成の定量的特性付けができる。このアッセイでは、DNAを合成する細胞が、新しく合成されたDNAに(3H)-チミジンを組み込む。次いで、組み込みを、シンチレーションカウンター(例えばBeckman LS 3800 Liquid Scintillation Counter)での放射性同位元素の計数によるなどの当該技術分野において標準的な技術を使用して測定することができる。
【0135】
また、増殖細胞核抗原(PCNA)の検出を使用して細胞増殖を測定することができる。PCNAは、増殖細胞において、特に細胞周期G1、及びS期の初めに発現が上昇し、従って、増殖性細胞のためのマーカーとして役立ち得る36キロダルトンのタンパク質である。陽性細胞は、抗PCNA抗体を使用する免疫染色によって同定される(Liらの文献、1996、Curr. Biol. 6:189-199;Vassilevらの文献、1995、J. Cell ScL 108:1205-15を参照されたい)。
【0136】
細胞増殖は、ある時間にわたる細胞集団の試料(例えば1日の体細胞数)を計数することによって測定することができる。細胞は、血球計算板、及び光学顕微鏡法(例えばHyLite血球計算板、Hausser Scientific)を使用して計数してもよい。細胞数は、関心対象の集団についての成長曲線を得るために、時間に対してプロットしてもよい。好ましい実施態様において、この方法によって計数される細胞は、最初に色素トリパンブルーと混合して、その結果、生細胞が色素を排除して、集団の生存可能なメンバーとして計数される。
【0137】
細胞のDNA含量、及び/又は分裂指標は、例えば細胞のDNA倍数値に基づいて測定することができる。例えば、細胞周期のGI期の細胞は、一般に2N DNA倍数値を含む。DNAが複製されたが、有糸分裂を介して進行しない細胞(例えばS期の細胞)は、2Nよりも高く、かつ4N DNA含量までの倍数値を示す。倍数値、及び細胞周期動態は、ヨウ化プロピジウムアッセイ(例えばTurner、T.らの文献、1998、Prostate 34:175-81を参照されたい)を使用して、更に測定することができる。或いは、DNA倍数性は、コンピューター化されたイクロデンシトメーター染色システムでのDNAフォイルゲン染色(これは、化学量論様式でDNAに結合する)の定量化によって決定することができる(例えば、Bacus、S.の文献、1989、Am. J. Pathol.clambda.35JS3-92を参照されたい)。別の実施態様において、DNA含量は、染色体拡散(chromosomal spread)の調製によって解析することができる(Zabalou S.の文献、1994、Hereditas. 120:127-40;Pardueの文献、1994、Meth. Cell Biol. 44:333-351)。
【0138】
細胞周期タンパク質(例えば、CycA、CycB、CycE、CycD、cdc2、Cdk4/6、Rb、p21、p27、その他)の発現は、細胞、又は細胞の集団の増殖状態に関する情報を提供する。例えば、抗増殖シグナリング経路の同定は、p21の誘導によって示すことができる。細胞における発現が生じるp21のレベルの増加は、細胞周期のG1への移行の遅延を生じる(Harperらの文献、1993、Cell 75:805-816;Liらの文献、1996、Curr. Biol. 6:189-199)。p21誘導は、商業的に利用可能な特異的抗p21抗体(例えば、Santa Cruz Biotechnology、Inc., Santa Cruz、Calif.)を使用して、免疫染色によって同定することができる。同様に、細胞周期タンパク質は、市販の抗体を使用して、ウエスタンブロット解析によって調べてもよい。別の実施態様において、細胞集団を細胞周期タンパク質の検出の前に同調させる。また、細胞周期タンパク質は、関心対象のタンパク質に対する抗体を使用してFACS(蛍光標示式細胞分取器)解析によって検出することができる。
【0139】
また、細胞周期の長さ、又は細胞周期の速度の変化の検出を、本明細書に提供した化合物による細胞増殖の阻害を測定するために使用することができる。一つの実施態様において、細胞周期の長さは、細胞の集団の倍加時間によって決定される(例えば、本発明のファルマコフォアを使用して同定された1つ以上の化合物を接触した、又は接触していない細胞を使用する)。別の実施態様において、FACS解析を使用して、細胞周期進行の期を解析し、又はG1、S、及びG2/M画分を精製する(例えば、Delia, D.らの文献、1997、Oncogene 14:2137-47を参照されたい)。
【0140】
また、本発明の方法に有用な化合物は、インビトロにおける細胞形質転換(又は悪性表現型への進行)を阻害することを証明することができる。本実施態様において、形質転換細胞表現型をもつ細胞を本発明の1つ以上の本発明の化合物と接触させて、形質転換表現型(インビボにおける腫瘍形成能力と関連したインビトロでの特徴のセット)と関連した特徴の変化、例えば、しかし限定されないが、軟寒天におけるコロニー形成、より丸い細胞形態、よりゆるい基層接着、接触阻害の喪失、足場依存性の喪失、プラスミノーゲン活性化因子などのプロテアーゼの放出、糖輸送の増加、血清要求の減少、又は胎児抗原の発現、その他について調べる。(Luriaらの文献、1978、一般ウイルス学、第3版、 John Wiley & Sons、New York, pp. 436-446を参照されたい)。
【0141】
また、侵襲性の喪失、又は接着の減少を使用して、本発明の方法に有用な化合物の抗癌効果を証明してもよい。例えば、転移癌の形成の重要な態様は、前癌性、又は癌性細胞が疾患の原発部位から剥離して、二次サイトにて新規の増殖コロニーを確立する能力である。細胞が末梢部位に侵入する能力は、癌状態に関する可能性を反映する。侵襲性の喪失は、例えばEカドヘリンを媒介した細胞-細胞接着の誘導を含む当該技術分野において公知の種々の技術によって測定してもよい。このようなEカドヘリンを媒介した接着は、表現型復帰、及び侵襲性の喪失を生じ得る(Hordijkらの文献、1997、Science 278:1464-66)。
【0142】
侵襲性の喪失は、細胞遊走の阻害によって更に調べてもよい。種々の二次元、及び三次元細胞マトリックスが市販されている(Calbiochem-Novabiochem Corp. San Diego, Calif.)。マトリックスを横切る、又はマトリックスへの細胞遊走は、顕微鏡観察、微速度写真、若しくはビデオグラフィー(videography)によって、又は細胞遊走を測定することができる当該技術分野における任意の方法によって調べてもよい。関連した実施態様において、侵襲性の喪失は、肝細胞増殖因子(HGF)に対する反応によって調べられる。HGF誘導細胞散乱は、Madin-Darayイヌ腎臓(MDCK)細胞などの細胞の侵襲と相関する。このアッセイでは、HGFに応答して細胞散乱活性を失った細胞集団を同定する(Hordijkらv1997、Science 278:1464-66)。
【0143】
或いは、侵襲性の喪失は、走化性チャンバー(Neuroprobe/Precision Biochemicals Inc., Vancouver, BC)を介して細胞遊走によって測定してもよい。このようなアッセイでは、化学誘引薬をチャンバーの一方の側(例えば、底部チャンバー)にインキュベートして、細胞を反対側(例えば、上部チャンバー)と分けるフィルタ上におく。細胞が、上部チャンバーから底部チャンバーへ通過するためには、細胞は、フィルターの小さな孔を通って能動的に移動しなければならない。次いで、移動した細胞の数のチェッカーボード解析を侵襲性と相関させてもよい(例えば、Ohnishi, T.b1993、Biochem. Biophys. Res. Commun. 193:518-25を参照されたい)。
【0144】
また、本明細書に提供した化合物がインビボで腫瘍形成を阻害することを証明することもできる。腫瘍形成、及び転移性伝播を含む多数の高増殖性障害の動物モデルが当該技術分野において公知である(Harrisonの内科医学、第13版の表317-1、第317章、「異常増殖の原理」)、Isselbacherら編、マグローヒル、New York, 1814ページ、及びLovejoyらの文献、1997、J. Pathol. 181:130-135を参照されたい)。
【0145】
例えば、本明細書に提供した化合物を試験動物、好ましくは一種の腫瘍を発症するようにさせた試験動物に投与して、その後に試験動物を、本発明のファルマコフォアを使用して同定された化合物が投与されていない対照と比較して、腫瘍形成の発病率の減少について調べることができる。或いは、本発明の方法に有用な化合物を、腫瘍を有する試験動物(例えば、悪性、新生物、又は形質転換細胞の導入によって、又は発癌物質の投与によって腫瘍が誘導された動物)に投与して、その後に化合物が投与されていない対照と比較して、試験動物における腫瘍を腫瘍退縮について調べることができる。
【0146】
(甲状腺受容体結合活性)
甲状腺受容体結合活性は、それに対して感受性の高い疾患治療のメカニズムとして役立ち得るし、当該技術分野において利用可能なアッセイを使用して試験することができる。甲状腺ホルモン(TH)は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)に反応して甲状腺において合成され、これは、種々の刺激薬に反応して脳下垂体によって分泌される。甲状腺ホルモンは、主に3,3',5,5'-テトラヨードチロニン(T4)として循環に排出されるヨウ素化されたO-アリールチロシン類似体である。T4は、チロキシン5'-デヨードナーゼによって局部組織において、最も強力なTHである3,3',5'-トリヨードチロニン(T3)へと迅速に非ヨウ素化される。大部分の循環T4、及びT3は、肝臓を介して除去される。
【0147】
THは、動物、及びヒトにおける深在性の生理作用を有する。甲状腺機能亢進症は、体温の増加、一般的な神経質、食欲増加にもかかわらず体重減少、筋肉衰弱、及び疲労、骨吸収の増加、及び石灰化の増強、並びに心拍数の増加、一回拍出量の増加、心係数の増加、心肥大、末梢血管抵抗の減少、及び脈圧の増加を含む種々の心血管変化と関連する。甲状腺機能低下症は、一般に反対の効果と関連する。
【0148】
THの生物活性は、主に甲状腺ホルモン受容体(TR)を介して媒介される。TRは、核内受容体スーパーファミリーに属し、その共通のパートナーであるレチノイドX受容体と共に、リガンド誘導性の転写因子として作用するヘテロ二量体を形成する。
【0149】
THの最も広く認識された効果は、代謝率、酸素消費、及び熱産生の増大である。T3処理により、単離した灌流された肝臓、及び単離された肝細胞において酸素消費が増大する。(Ohらの文献、J. Nutr. 125(1):1 12-24 (1995);Ohらの文献、Proc. Soc. exp. Biol. Med. 207(3):260-7(1994))。
【0150】
また、THは、コレステロールの胆汁酸への代謝を刺激する。甲状腺機能亢進症は、血漿コレステロールレベルの減少を引き起こし、これは、肝臓LDL受容体発現の増加に起因する可能性が高い。甲状腺機能低下症は、十分に確立された高コレステロール血症、及び血清LDLの上昇の原因である。L-T3は、血漿コレステロールレベルを低下することが知られている。加えて、THは、アテローム性動脈硬化症に関連したその他のリポタンパク質のレベルに影響を及ぼすことも知られている。THは、apo AI、及びHDLにおけるapo AIの分泌を刺激すると共に、apo B100を減少させる。従って、T3、及びT3擬態がコレステロールを与えた動物におけるアテローム性動脈硬化症の進行を阻害することを予想するであろう。
【0151】
THは、ACC、FAS、及びspot-14などの酵素に対する効果を介して、新規脂肪酸合成、及び酸化を同時に増加させる。THは、部分的には、THで誘導される脂肪分解を介して脂肪組織からのFFAの産生の増加によって、循環する遊離脂肪酸(FFA)レベルを増大する。加えて、THは、FFA酸化に関与するミトコンドリア酵素、例えばカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT-I)、及びエネルギー貯蔵、及び消費に関与する酵素のレベルを増加させる。
【0152】
肝臓は、THの主要な標的器官である。甲状腺機能低下症マウス、及びT3で処理したマウスの肝臓からの肝臓遺伝子発現のマイクロアレイ解析では、55の遺伝子についてmRNAレベルの変化を示した(14個は、ポジティブに調節され、41個は、ネガティブに調節される)(Fengらの文献、MoI Endocrinol. 14(7):947-55 (2000)。その他にも、肝臓遺伝子のおよそ8%がT3によって調節されると見積もられた。これらの遺伝子の多くは、脂肪酸、及びコレステロールの合成、並びに代謝に重要である。T3は、肝臓において、グリコーゲン分解、及び糖新生の増加、並びにインスリン作用の減少を介した炭水化物に対する効果を含むその他の効果を有することも知られている。
【0153】
THは、50年以上にわたる間、抗肥満症薬物として使用されてきた。1940年代には、THは、単独で使用されたが、1950年代には、それは利尿剤と併用して、また1960年代には、アンフェタミンと併用して使用された。甲状腺機能低下症患者をT3で治療すると、大部分の患者に対して体重の減少を引き起こす。T3、及びT3擬態は、低密度リポタンパク質(LDL)-コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)-コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)粒子の主要なアポタンパク質成分であるapoAI、並びにリポタンパク質(a)、又はLp(a)を含むアテローム性動脈硬化症の独立危険因子、又は潜在性危険因子であることが知られている特定のリポタンパク質のレベルを調整することによって、アテローム性動脈硬化症を阻害すると考えられる。
【0154】
甲状腺機能亢進症は、2型糖尿病のにおける血糖コントロールを悪化させる。TH療法は、肝臓糖新生を刺激することが報告されている。糖新生に特異的、かつグルコースを産生する経路、及びその生理学的な役割を制御するために重要な酵素は、TH療法による影響を受けることが知られている。ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)は、THによってアップレギュレートされるが(Parkらの文献、J. Biol. Chem. 274:211(1999))、その他には、グルコース6-ホスファターゼがアップレギュレートされることを見いだした(Fengらの文献、MoI. Endocrinol. 14:947 (2000))。TH療法は、グリコーゲンレベルの減少とも関連する。TH療法は、刺激される非インスリン刺激、及びインスリン刺激グルコース利用を改善して、ob/obマウスの筋肉におけるインスリン耐性を減少した(Ohらの文献、J. Nutr. 125:125 (1995))。
【0155】
従って、甲状腺擬態(thyromimetics)は、コレステロールレベルを調整するために、肥満症を治療するために、及びその他の代謝異常に、特に望ましくない効果を減少しつつ、潜在的に使用することができる。
【0156】
研究では、ヒト甲状腺ホルモン受容体TRα1、及びTRβ1に対するT3、及び種々の甲状腺擬態の親和性、並びに関連された障害においてこれらが生じる有効性を決定するために使用することができる。TRα1、又はTRβl受容体に対する化合物の結合は、シンチレーション近接アッセイ(SPA)によって行うことができる。SPAアッセイ(受容体-リガンド平衡の定量化のために使用される一般的方法)は、シンチラント、及びヒスチジンタグを付けたα、又はβ受容体に結合する捕獲分子の銅で被覆された特別なビーズを利用する。標識されたT3を受容体、及びSPAビーズと混合させると、タンパク質、及び放射標識されたリガンドの複合体がビーズの表面上に捕獲された場合にだけ、放射性カウントが観察される。置換曲線を標識されたT3で、関心対象の非標識の甲状腺擬態の濃度を増大して作製する。亜急性研究をZDFラット(Charles River Laboratory)に使用して、T3 擬態に関する治療係数の改善を証明することができる。
【0157】
亜急性研究は、コレステロールを与えたラットにおいても行うことができる。コレステロールを与えたラットは、高コレステロール含量の食餌を動物に与えることによって作製された高コレステロール血症の動物モデルである。これらの研究の目的は、血清コレステロール(有効性パラメーター)に対する、並びに心臓の重量、及び心臓のmGPDH活性(潜在毒性パラメーター)に対する化合物の効果を評価することである。化合物は、例えばIPを、例えば1日に1回、7日間投与することができる。
【0158】
ミクロソーム/初代肝細胞安定性研究を当該技術分野において利用可能な方法を使用して行うことができる。ラット肝ミクロソームにおけるプロドラッグ活性化は、ミクロソームの際の甲状腺擬態のプロドラッグの活性化の動態を決定するために行うことができる。ミクロソームには、プロドラッグを活性化し得るP450酵素を含んでいるであろう。決定されるKm、Vmax、及び固有クリアランス値は、それぞれ、ミクロゾームの酵素に対するプロドラッグ親和性、プロドラッグが活性化される速度、及びプロドラッグが活性化される触媒の効率の測定値である。また、プロドラッグは、ヒト肝臓S9によるこれらのそれぞれの親化合物に対する変換について試験することができる。S9画分は、サイトゾル、及びミクロソームタンパク質を含む画分である。また、単離されたラット肝細胞におけるプロドラッグの取り込み、及び活性化は、当該技術分野において公知の方法を使用して行うことができる。また、経口投与に後の経口生物学的利用能、及び肝臓分布は、当該技術分野において利用可能な方法を使用して測定することができる。
【0159】
酸素消費研究を行うことができる。熱産生は、エネルギー使用量の測定値である。熱産生を増加させる化合物は、熱量消費を増大し、これにより体重減少、及び代謝状態(例えば、インスリン感受性)に対するその関連する利益を生じさせる可能性が高い。熱産生は、種々の組織、単離された細胞、組織全体の細胞内分画において、又は指標として酸素消費における変化を使用して、動物全体において評価される。酸素は、カロリーが種々の代謝プロセスによって消費されるときに使用される。
【0160】
ミトコンドリアの熱産生は、肝臓を含む種々の組織から単離されたミトコンドリアを使用してClark型酸素電極でのポーラログラフィーで測定される。ミトコンドリアを分画遠心分離によって単離する。状態3呼吸、又はシトクロムcオキシダーゼ活性を単離されたミトコンドリアにおいて測定する。(Iossa, Sの文献、FEBS Letters、544:133-7 (2003))。酸素消費速度は、肝細胞培地に置かれた携帯型Clark型酸素電極を使用して、単離された肝細胞において測定する。肝細胞は、Groen(Groen, A. K.らの文献、Eur J. Biochem 122:87-93 (1982))によって改変された二段階コラゲナーゼ灌流を使用して肝臓から単離する(Berry, M. N.、 Friend, D. S.の文献、J. Cell Biol. 43:506-520(1969))。非実質細胞を、パーコール勾配を使用して除去して、細胞をクモフラスコ中の組織培養液に再懸濁する。一旦系を封止したら、細胞の酸素消費を一定時間測定する。
【0161】
また、酸素消費は、単離された灌流された肝臓においても測定することができる(Fernandez, V.の文献、Toxicol Lett. 69:205-10(1993))。肝臓をインサイチューで灌流して、一定流量に維持した流入緩衝液と流出緩衝液との間の酸素飽和度の相違を測定することによって酸素消費を算出する。動物全体の酸素消費は、間接的熱量計(Oximax、Columbus Instruments、Columbus、Ohio)を使用して測定することができる。動物をこれらのケージから除去して、チャンバーに置く。静止酸素消費は、活動モニターによって測定される活動していない期間の間に動物において測定する。酸素消費は、チャンバーを通る流れ、及び流入口と排出口における酸素分圧の相違に基づいて算出される。また、二酸化炭素流出もCO2電極を使用して平行して測定される。
【0162】
化合物の組織分布、及び薬物動態は、正常ラットに対するIP、又は経口投与後に評価することができる。
【0163】
研究は、当該技術分野において利用可能な方法を使用して、血清コレステロール、及びTSHレベル、肝臓及び心臓の遺伝子発現及び酵素活性、心臓重量、並びに臨床化学パラメーターに対するT3擬態の効果を評価するために行うことができる。一つの実施態様において、ラットは、治療の開始の前に少なくとも2週間、1.5% コレステロール、及び0.5% コール酸を含む食餌で維持することによって高コレステロール血症にさせる。血漿コレステロール値を処理前、及び処理後に評価して、化合物の効果は、プレ用量コレステロールレベルからの百分率変化として表される。総コレステロールは、市販の酵素のキット(Sigma Diagnostics, St. Louis, Mo.)を使用して解析する。
【0164】
グルコースに対するインビボでのT3擬態化合物(及びそのプロドラッグ)の効果は、ZDFラットにおいて測定することができる。心臓におけるT3、及びT3擬態を媒介したミオシン重鎖遺伝子転写を測定することができる。以下にて開示したようなRT-PCRアッセイ法:Sara Danzi、Kaie Ojamaa、及びIrain Klein J Physiol Heart Circ Physiol 284:H2255-H2262、2003を、特異的ヘテロ核RNA(hnRNA)の量に基づいてインビボでα-、及びβ-ミオシン重鎖(MHC)遺伝子のトリヨードチロニン(T3)で誘導される転写について、時間経過、及びメカニズムを研究するために使用する。α-MHC mRNAの量に対する転写活性の変化の時間的関係、並びにT3、及びT3擬態に応答する複数遺伝子の転写の調整制御が証明される。肝臓特異的ではないT3、及びT3擬態の時間経過の解析では、媒介されたα-MHC hnRNAの誘導、及びβ-MHC hnRNAの抑制を示すが、治療的に有用である用量の化合物で有意な影響は観察されない。
【0165】
心臓血管疾患機能(心拍数、変力の状態、及び大動脈圧)に対するT3の効果は、当該技術分野において公知のアッセイ法を使用して、スプラーグドーリー(SD)ラットモデルにおいて研究することができる。
【0166】
従って、当該技術分野において公知の種々のアッセイを使用して、甲状腺ホルモンアゴニスト、及びその付随する治療活性をアッセイすること、並びに適切な投薬量を確立することができる。
【0167】
(使用方法)
種々の治療薬のホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物を当該技術分野において利用可能な方法、及び本明細書に開示したものを使用して形成することができる。このよう化合物は、一部の実施態様において、肝臓への薬物の送達を増強するために使用することができる。一つの実施態様において、化合物には、S-アシル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-アシル-2-チオエチルホスホノアミダート、例えばS-ピバロイル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダート誘導体を含む。ホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物形態に誘導体化することができる治療薬には、ホスホロアミダート、若しくはホスホノアミダートな部分の付着のために反応基を含むか、又は含むように誘導体化された抗癌剤、又は抗糖尿病薬などの治療薬を含む。
【0168】
(癌治療方法)
一つの実施態様において、肝臓癌の治療のための治療薬は、本明細書に記述したようなホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物を形成するように誘導体化することができ、肝臓癌の治療のために使用される。治療することができる肝臓癌には、良性腫瘍、悪性腫瘍、血管腫、肝臓腺腫、限局的小結節過形成、肝臓細胞癌、繊維層状の癌腫、胆管癌、胆管癌、並びにその他の肝臓の原発性、及び転移性の癌を含む。
【0169】
例示的な治療薬には、薬物のヒドロキシ基からの水素ラジカルの除去によって、本明細書に記述した化合物として誘導体化することができる1つ以上のヒドロキシ基を有する抗癌剤を含む。例示的な抗癌剤には、アクラルビシン、デシタビン、ダウノルビシン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、フルダラビン、7-ヒドロキシクロルプロマジン、ネプラノシン(neplanocin) A、ポドフィロトキシン、テザシタビン(tezacitabine)、トロキサシタビン(troxacitabine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、NK-611、カンプトセシン、イリノテカン、9-アミノカンプトセシン、GG-211、トポテカン、パクリタキセル、アザトキシン(azatoxin)、コホルマイシン、ピラルビシン、ネララビン(nelarabine)、及びロソキサントロンを含むが、限定されない。当該技術分野において公知であり、及び本明細書に記述した抗癌剤は、本明細書に記述したように、ホスホラミダート又はホスホノアミダート化合物を形成するように誘導体化することができる。また、コンブレタスタチンA-4、ミコフェノール酸(mycophenolic)、ペントスタチン、又はミトキサントロンなどの免疫抑制薬も、本明細書に記述したように、ホスホラミダート又はホスホノアミダート化合物を形成するように誘導体化することができる。
【0170】
このような化合物は、任意にプロドラッグ形態である別の抗癌剤と組み合わせて、任意に使用することができる。
【0171】
(代謝病を治療する方法)
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、任意に酵素フルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)を阻害することにより、糖新生を阻害するための方法に有用である。
【0172】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、糖新生を阻害するための方法に有用である。
【0173】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、代謝病の治療のための方法に有用である。特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、以下のための方法に有用である:
血漿脂質レベルの減少、コレステロールレベルの低下、トリグリセリドレベルの減少、又はLDLに対するHDLの比の増大;
血糖値の低下;
高脂血症、又は高コレステロール血症の治療;
肥満症治療、脂肪含量の減少、脂肪肝、体重の減少、又は体重増加の治療;
アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、心不全、ネフローゼ症候群、又は慢性腎不全の治療;
血糖値の低下、糖尿病、耐糖能異常、メタボリックシンドロームx、インスリン耐性、又は高インスリン血症の治療;
糖新生と関連する遺伝子のレベルの増加;
肝グリコーゲンレベルの減少、又は血糖コントロールの維持、若しくは改善;
任意に心機能、例えば心拍数、収縮期の収縮力、拡張期弛緩の期間、血管緊張、又は心臓重量に影響を及ぼさない用量での高インスリン血症の寛解、及び/又は糖尿病対象におけるグルコースレベルの減少;
甲状腺疾患、甲状腺癌、鬱病、緑内障、心臓不整脈、心不全、又は骨粗鬆症の治療;
ミトコンドリア生合成の増加、又はPGC-1、AMPで活性化されるプロテインキナーゼ、若しくは核呼吸因子の発現の増加;
肝臓糖新生の阻害;又は、
脂質(例えば、コレステロール)、グルコース、リポタンパク質、及びトリグリセリドに対して効果を生じる肝臓における特定の遺伝子する発現の調整、又はT3応答性の遺伝子の調整。
【0174】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、血糖値を低下させる、糖尿病、耐糖能異常、メタボリックシンドロームx、インスリン耐性、又は高インスリン血症を治療するための方法に有用である。
【0175】
(本方法に有用な第2の薬剤)
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び組成物は、その必要のある対象において、肝臓癌などの障害の治療ために有効な第2の薬剤のさらなる投与を含む、肝臓障害の治療の方法に有用である。第2の薬剤は、FDAによって現在承認されているものを含む、障害の治療のために有効であることが当該技術分野において公知の任意の薬剤であることができる。
【0176】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、1種の第2の薬剤と組み合わせて投与される。さらなる実施態様において、第2の薬剤は、2種の第2の薬剤と組み合わせて投与される。なおさらなる実施態様において、第2の薬剤は、2種以上の第2の薬剤と組み合わせて投与される。
【0177】
本明細書に使用される「組み合わせて」という用語は、複数の療法(例えば、1種以上の予防薬、及び/又は治療薬)の使用を含む。「組み合わせて」という用語の使用は、障害をもつ対象に投与される療法(例えば、予防薬、及び/又は治療薬)の順序を限定しない。第1の療法(例えば、本明細書に提供した化合物などの予防薬、又は治療薬)は、障害をもつ対象に対する第2の療法(例えば、予防薬、又は治療薬)の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、又は12週前に)、同時に、又は後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、後に1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、又は12週後に)投与することができる。
【0178】
本明細書に使用される「相乗的」という用語は、障害を予防し、管理し、又は治療するために使用されてきたか、又は現在使用されており、療法の相加作用よりも有効な本明細書に提供した化合物と別の療法(例えば、予防薬、又は治療薬)の組み合わせを含む。療法の組み合わせ(例えば、予防薬、又は治療薬の組み合わせ)の相乗効果により、障害をもつ対象に対する療法の1回以上の低減した投薬量の使用、及び/又は前記療法のよりも少ない投与頻度が可能になる。より低い療法(例えば、予防薬、又は治療薬)の投薬量を利用すること、及び/又はより少ない頻度で前記療法を投与することができることにより、障害の予防、又は治療における前記療法の有効性を低減させることなく、対象に対する前記療法の投与に関連した毒性が低減する。加えて、相乗効果により、障害の予防、又は治療における薬剤の有効性の改善を生じさせることができる。最後に、療法の組み合わせ(例えば、予防薬、又は治療薬の組み合わせ)の相乗効果により、いずれ単独での療法の使用に関連した有害な、又は望まれない副作用を回避し、又は低減させてもよい。
【0179】
特定の実施態様において、本明細書に提供した活性化合物は、別の治療薬、例えば抗癌剤と組み合わせて、又は交互に投与することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供した活性化合物は、糖尿病、肥満症、アテローム性動脈硬化症、心疾患、メタボリックシンドロームx、ネフローゼ症候群、甲状腺疾患、及びこれらに関連した症候などの代謝異常を治療するのに有用な第2の薬剤と組み合わせて、又は交互に投与することができる。併用療法では、2種以上の薬剤の有効な投薬量が共に投与されるが、交互、又は逐次工程療法では、それぞれの薬剤の有効な投薬量が連続的に、又は逐次投与される。与えられる投薬量は、薬物の吸収、不活性化、及び排せつ率、並びに当業者に公知のその他の要因に依存するであろう。また、投薬量の値は、軽減される状態の重症度によっても変化するであろう点に留意する必要がある。任意の特定の対象について、具体的な投与計画、及び投与スケジュールは、個々の必要、及び組成物の投与を投与し、又は監督する人の専門的判断に従って徐々に調整されるべきであることが、更に理解される。
【0180】
第2の薬剤は、本明細書に開示した薬剤の1つであることができる。特定の実施態様において、想定されるさらなる薬学的に活性な物質には、癌、及び免疫変調成分物質の治療のための化学療法として一般に使用される薬物を含む。例えば、化学療法薬には、抗代謝剤(例えば、Pentostatin(登録商標))、DNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、Gemzar(登録商標))、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、ECyd(登録商標))、白金誘導体(例えば、Paraplatin(登録商標))、抗エストロゲン(例えば、Nolvadex(登録商標))、タキサン(例えば、Taxotere(登録商標))、GnRH類似体(例えば、Lupron(登録商標))、DNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、Gemzar(登録商標))、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、Hycamptin(登録商標))、ビホスホナート(例えば、Aredia(登録商標))、ソマトスタチン(例えば、Sandostatin(登録商標))、ヌクレオシド類似体(例えば、Ribavirin(登録商標))、及びIMPDH-阻害剤(例えば、Tiazofurin(登録商標))を含む。想定される免疫調節物質には、サイトカイン(例えば、インターフェロンα、及びγ、IL2、IL4、IL6、IL8、IL10、及びIL12)、サイトカイニン(例えば、キネチン)、及びケモカイン(例えば、MIP-I)を含む。
【0181】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物と組み合わせて使用するための第2の薬剤には、糖尿病、肥満症、アテローム性動脈硬化症、心疾患、メタボリックシンドロームx、ネフローゼ症候群、甲状腺疾患、及びこれらに関連した症候を含む代謝病を治療することなどの、本明細書に提供した化合物が有用である疾患、若しくは状態の治療、予防、抑制、又は寛解に有用なその他の薬剤を含む。このような第2の薬剤には、以下を含むが、限定されない:スルホニル尿素、例えばグリベンクラミド(DAONIL(登録商標))、グリメピリド(AMARYL(登録商標))、グリピジド(GLUCOTROL、又はMINODIAB)、グリブリド(MICRONASE(登録商標))、トルブタミド(ORINASE(登録商標))、アセトヘキサミド(DYMELOR(登録商標))、トラザミド(TOLINSE(登録商標))、及びクロルプロパミド(DIABINESE(登録商標));インスリン、及びインスリン擬態;メトホルミン(GLUCOPHAGE(登録商標))などのビグアナイド;アカルボース(PRECOSE(登録商標))、及びミグリトール(GLYSET(登録商標))を含むα-グルコシダーゼ阻害剤;メグリチニド(meglitinide)、例えばナテグリニド(STARLIX(登録商標))、及びレパグリニド(PRANDIN(登録商標));チオゾリジンジオン、例えばシグリタゾン、エングリタゾン(englitazone)、ロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標))、ピオグリタゾン(ACTOS(登録商標))、及びトログリタゾン(REZULIN(登録商標));エクセナチド(BYETTA(商標))などのインクレチン擬態;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、及びその他のスタチン)、胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチラミン、及びコレスチポール)、ビタミンB3(ニコチン酸、又はナイアシンとしても知られる)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、フィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート、及びベンザフィブラート)、プロブコール、及びコレステロール吸収の阻害剤(例えば、メリナミドなどのβ-シトステロール、及びアシルCoA-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤)、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、及びスクアレンシンテターゼ阻害剤などのコレステロール低下薬;血小板溶解薬(例えば、ストレプトキナーゼ、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ(anistreplase)、及びレテプラーゼ)、ヘパリン、ヒルジン、及びワルファリン誘導体、β遮断薬(例えば、アテノロール)、β-アドレナリン作動性アゴニスト(例えば、イソプロテレノール)、並びにACE阻害剤、及び血管拡張薬(例えば、ニトロプルシドナトリウム、塩酸ニカルジピン、ニトログリセリン、及びエナロプリラト(enaloprilat))などの抗血栓薬剤。
【0182】
(医薬組成物、及び投与方法)
種々の治療薬のホスホロアミダート及びホスホノアミダート化合物は、当該技術分野において利用可能な方法、及び本明細書に開示したものを使用して、医薬組成物に製剤化することができる。このよう化合物は、一部の実施態様において、肝臓への薬物の送達を増強するために使用することができる。一つの実施態様において、化合物には、S-アシル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-アシル-2-チオエチルホスホノアミダート、例えばS-ピバロイル-2-チオエチルホスホロアミダート、又はS-ヒドロキシピバロイル-2-チオエチルホスホノアミダート誘導体を含む。特定の実施態様において、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物形態に誘導体化することができる治療薬には、非環式ヌクレオシドを含むヌクレオシド及びヌクレオシド類似体を含むが、限定されないホスホロアミダート又はホスホノアミダート部分の付着のための反応基を含むか、又は含むように誘導体化された任意の抗癌剤を含む。特定の実施態様において、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物形態に誘導体化することができる治療薬には、ホスホロアミダート又はホスホノアミダート部分の付着のための反応基を含むか、又は含むように誘導体化された任意の甲状腺ホルモン受容体エフェクターを含む。本明細書に開示したホスホロアミダート又はホスホノアミダート化合物のいずれも、適切な医薬組成物に提供することができ、適切な投与経路によって投与することができる。
【0183】
本明細書に提供した方法は、一般式I、IIa、IIb、IIIa、IVa、IXa、又IXbの化合物を含む本明細書に記したような少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を、適切な場合、塩形態で、単独、又は希釈剤、若しくはアジュバントなどの一つ以上の適合性かつ医薬として許容し得る担体との、若しくは抗癌剤、又は抗糖尿病薬などのその他のとの組み合わせの形態で使用して投与することを包含する。
【0184】
特定の実施態様において、第2の薬剤は、本明細書に提供した化合物と共に製剤化し、又はパックすることができる。もちろん、第2の薬剤は、当業者の判断に従って、このような共製剤化により、薬剤の活性、又は投与の方法のいずれかが妨害すべきではないときは、本明細書に提供した化合物と共に製剤化されるだけであろう。特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤は、別々に製剤化される。これらは、当業者の便宜のために、共に包装し、又は別々に包装することができる。
【0185】
医療実務において、本明細書に提供した活性薬剤は、任意の従来の経路によって、特に経口的に、非経口的に、直腸に、又は吸入法によって(例えば、エアロゾルの形態で)投与してもよい。特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、経口投与される。
【0186】
経口投与のための固体の組成物として、錠剤、丸剤、硬カプセル、粉末、又は顆粒のものを使用してもよい。これらの組成物において、活性生成物は、スクロース、乳糖、又はデンプンなどの1種以上の不活性希釈剤、又はアジュバントと混合される。
【0187】
これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、又は徐放を目的としたコーティングを含むことができる。
【0188】
経口投与のための液体組成物として、水、又は流動パラフィンなどの不活性希釈剤を含む、医薬として許容し得る溶液、懸濁液、乳剤、シロップ、及びエリキシルがを使用してもよい。また、これらの組成物には、希釈剤、例えば湿潤製品、甘味製品、又は香味製品以外の物質を含むことができる。
【0189】
非経口投与のための組成物は、乳剤、又は無菌液であることができる。溶媒、又は媒体として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、又は注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを使用してもよい。また、これらの組成物には、アジュバント、特に湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤を含むことができる。滅菌は、いくつかの方法で、例えば細菌フィルターを使用して、放射線照射によって、又は加熱によって実施することができる。また、これらは、滅菌水、又は任意のその他の注射用の無菌の媒体に、使用時に溶解することができる無菌の固体の組成物の形態で調製することができる。
【0190】
直腸投与のための組成物は、活性成分に加えて、カカオ脂、半合成のグリセリド、又はポリエチレングリコールなどの賦形剤を含む坐薬、又は直腸投与カプセルである。
【0191】
また、組成物は、エアロゾルであることができる。液体エアロゾルの形態での使用について、組成物は、非発熱性滅菌水に、生理食塩水に、又は任意のその他の医薬として許容し得る媒体に、使用時に溶解される安定な無菌液、又は固体の組成物であることができる。直接吸入されることを目的とした乾燥エアロゾルの形態での使用のためには、活性成分を微細に分割して、水溶性の固体の希釈剤、又は媒体、例えばデキストラン、マンニトール、又は乳糖と合わせる。
【0192】
一つの実施態様において、本明細書に提供した組成物は、医薬組成物、又は単一の単位剤形である。本明細書に提供した医薬組成物、及び単一の単位剤形には、1つ以上の予防薬、又は治療薬(例えば、本明細書に提供した化合物、又はその他の予防薬、若しくは治療薬)の予防的、又は治療的に有効な量と、典型的には1つ以上の医薬として許容し得る担体、又は賦形剤とを含む。特定の実施態様において、及びこの状況において、「医薬として許容し得る」という用語は、連邦政府、若しくは州政府の規制機関による承認、又は米国薬局方、若しくは動物に、及びより詳細にはヒトに使用するためのその他の一般に認識された薬局方に収載されたことを含む。「担体」という用語には、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全、及び不完全))、賦形剤、又は治療が投与される媒体を含む。このような医薬品担体は、水、及びピーナッツ油、大豆油、鉱油、ごま油等の石油、動物、植物、又は合成起源のものを含む油等の滅菌液であることができる。医薬組成物を静脈内に投与するときは、水を担体として使用することができる。また、生理食塩水溶液、並びにデキストロース水溶液、及びグリセロール水溶液を、特に注射用溶液のための、液体担体として使用することができる。適切な薬剤担体の例は、E.W Martinによる「レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Science」に記述されている。
【0193】
典型的な医薬組成物、及び剤形には、1つ以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学の当業者に周知であり、かつ適切な賦形剤の非限定的な例には、デンプン、グルコース、乳糖、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、その他を含む。特定の賦形剤が医薬組成物、又は剤形に組み込むために適しているかどうかは、剤形が対象に投与されるであろう方法、及び剤形中の具体的な活性成分を含むが、限定されない当該技術分野において周知の種々の因子に依存する。また、組成物、又は単一単位剤形には、必要に応じて、微量の湿潤剤、若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むことができる。
【0194】
本明細書に提供した乳糖を含まない組成物には、当該技術分野において周知であり、及び例えば米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に収載された賦形剤を含むことができる。一般に、乳糖を含まない組成物には、薬学的に適合性かつ医薬として許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤、及び潤滑剤を含む。例示的な乳糖を含まない剤形には、活性成分、微結晶性セルロース、プレゼラチン化されたデンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0195】
水は、いくつかの化合物の分解を促進し得るので、活性成分を含む医薬組成物、及び剤形の無水物が本明細書に更に包含される。例えば、水の添加(例えば、5%)は、薬学的技術において、ある期間にわたる貯蔵寿命、又は製剤の安定性などの特徴を決定するために長期保存をシミュレートする手段として、広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensenの文献、薬物安定性:原理、及び実務(Drug Stability:Principles & Practice)、第2版、 Marcel Dekker、NY、NY、1995、pp. 379 80を参照されたい。実質的に、水、及び熱は、いくつかの化合物の分解を促進する。従って、湿気、及び/又は湿度は、一般に製剤の調製、取扱い、パッケージング、貯蔵、出荷、及び使用の間に発生するので、製剤に対する水の効果はたいへん重大であり得る。
【0196】
本明細書に提供した医薬組成物、及び剤形の無水物は、成分を含む無水物及び低水分を使用して、又は低湿度若しくは低水分条件で調製することができる。乳糖と少なくとも1つの、一級、又は二級アミンを含む活性成分とを含む医薬組成物、及び剤形は、調製、パッケージング、及び/又は貯蔵の間に湿気、及び/又は湿度との実質的な接触が予想される場合、無水物であり得る。
【0197】
医薬組成物の無水物は、その無水物の性質が維持されるように調製され、かつ貯蔵されるべきである。従って、組成物の無水物は、これらを適切なフォーミュラリーキットに含めることができるように、水に対する暴露を妨げることが知られている材料を使用してパックすることができる。適切なパッケージングの例には、密封した箔、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、及びストリップパックを含むが、限定されない。
【0198】
活性成分が分解するであろう割合を減少させる、1つ以上の化合物を含む医薬組成物、及び剤形が更に提供される。このような化合物は、本明細書において、「安定剤」と称され、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝液、又は塩緩衝液を含むが、限定されない。
【0199】
医薬組成物、及び単一単位剤形は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤、その他という形態をとることができる。経口製剤には、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム、その他の薬学的等級などの標準的担体を含むことができる。このような組成物、及び剤形は、対象に対する適当な投与のための形態を提供するための担体の適した量と共に、特定の実施態様において、精製した形態で、予防薬、若しくは治療薬の予防的、又は治療的に有効量を含むであろう。製剤は、投与様式を適合させるべきである。特定の実施態様において、医薬組成物、又は単一単位剤形は、無菌、かつ対象、例えば哺乳動物対象、例えばヒト対象などの動物対象に対する投与のために適した形態である。
【0200】
医薬組成物は、その意図される投与経路に適合性であるように製剤化される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、筋肉内、皮下、経口、頬側、舌下、吸入法、鼻腔内、経皮、局所的、経粘膜、腫瘍内、滑液包内、及び直腸の投与を含むが、限定されない。具体的実施態様において、組成物は、ヒトに対する静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、又は局所的投与のために適応される医薬組成物として、ルーチン手順に従って製剤化される。ある実施態様において、医薬組成物は、ヒトに対する皮下投与のためにルーチン手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌の等張性の水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、組成物には、また、溶解剤、及び注射部位における疼痛を緩和するリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでいてもよい。
【0201】
剤形の例には、以下を含むが、限定されない:錠剤;カプレット;軟らかい弾性のゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散剤;坐薬;軟膏;パップ剤(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏剤;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻内噴霧、又は吸入器);ゲル;懸濁液(例えば、水性、又は非水性液体懸濁液、水中油エマルジョン、又は油中水液状エマルジョン)、溶液、及びエリキシルを含む対象に対する経口、又は粘膜投与のために適した液体剤形;対象に対する非経口投与のために適した液体剤形;並びに対象に非経口投与のために適した液体剤形を提供するために再構成することができる無菌固体(例えば、結晶性固体、又は非晶質固体)。
【0202】
本明細書に提供した組成物、形状、及び剤形のタイプは、典型的にはこれらの使用に応じて変化するであろう。例えば、ウイルス感染の初期治療に使用される剤形には、それを同じ感染の維持療法に使用される剤形よりも、それが含むより多量の1つ以上の活性成分を含んでいてもよい。同様に、非経口的剤形は、同じ疾患、又は障害を治療するために使用される経口剤形よりも、それが含むより少量の1つ以上の活性成分の量を含んでいてもよい。本明細書に包含される具体的剤型が互いに変化するであろうこれらの、及びその他の方法は、当業者に直ちに明らかであろう。例えば、「レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Science)」、第20版、Mack Publishing、Easton PA(2000)を参照されたい。
【0203】
一般に、組成物の成分は、活性薬剤の量を示すアンプル、又は小袋などの、密封した容器に、例えば乾燥凍結乾燥粉末、又は水を含まない濃縮物として、別々か、又は単位剤形で共に混合されるかのいずれかで供給される。組成物を輸液により投与する場合、無菌の薬品級の水、又は食塩水を含有する輸液ボトルにより分配される。組成物が注射によって投与される場合、成分を投与前に混合できるように、注射用滅菌水、又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0204】
典型的な剤形には、1日あたり約0.1mg〜約1000mgの範囲内であり、朝に一回の1日1回用量として、又は食物と共に摂取される1日の全体にわたって分割量として与えられる、本明細書に提供した化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは水和物を含む。特定の剤形には、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、2.0、2.5、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、100、200、250、500、又は1000mgの活性化合物を有することができる。
【0205】
(経口剤形)
経口投与のために適した医薬組成物は、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット、カプセル、及び液体(例えば、風味をつけたシロップなどの、しかし、限定されない、別々の剤形として存在することができる。このような剤形には、活性成分の予め定められた量を含み、当業者に周知の調剤方法によって調製してもよい。一般に、「レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Science)」、第20版、Mack Publishing、Easton PA(2000)を参照されたい。
【0206】
特定の実施態様において、経口投与形態は、固体であり、上記の節に詳細に記載したように、無水物成分と共に、無水条件で調製される。しかし、本明細書に提供した組成物の範囲は、無水物、固体経口剤形を越えて及ぶ。従って、さらなる形態を本明細書に記述してある。
【0207】
典型的な経口投与形態は、従来の薬学的配合技術に従った少なくとも1つの賦形剤との均質な混合物中に活性成分を合わせることによって調製される。賦形剤は、投与のために望まれる製剤の形態に応じて、多種多様な形態をとることができる。例えば、経口液体、又はエアロゾル剤形に使用するために適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、及び着色剤を含むが、限定されない。固体経口剤形(例えば、粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)に使用するために適した賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含むが、限定されない。
【0208】
これらの投与の容易さのため、錠剤、及びカプセルが最も有利な経口投薬単位形であり、この場合、固体賦形剤が使用される。必要に応じて、錠剤は、標準的な水性、又は非水性の技術によって被覆することができる。このような剤型は、任意の調剤方法によって調製することができる。一般に、医薬組成物、及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体、又は両方と共に一様かつ均質に混合すること、次いで必要に応じて生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。
【0209】
例えば、錠剤は、圧縮、又は成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、任意に賦形剤と混合した、粉末、又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を、適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせて、粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作製することができる。
【0210】
経口剤形に使用することができる賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び潤滑剤を含むが、限定されない。医薬組成物に使用するために適した結合剤、及び剤形には、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又はその他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他のアルギナート、トラガント末、グアーゴム、セルロース、及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸繊維素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化されたデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、並びにこれらの混合物を含むが、限定されない。
【0211】
本明細書に開示した医薬組成物、及び剤形に使用するために適した充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒、又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物を含むが、限定されない。医薬組成物における結合剤、又は充填剤は、典型的には医薬組成物、又は剤形の約50〜約99重量部で存在する。
【0212】
微結晶性セルロースの適切な形態は、AVICELPH 101、AVICELPH 103、AVICEL RC 581、AVICELPH 105として販売される材料(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、及びこれらの混合物を含むが、限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC 581として販売される微結晶性セルロースとカルボキシルメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水、若しくは低水分の賦形剤、又は添加物には、AVICEL PH 103(商標)、及びStarch 1500 LMを含む。
【0213】
崩壊剤は、水性環境に曝露されたときに崩壊する錠剤を提供するために、組成物に使用される。あまりに多くの崩壊剤を含む錠剤は、保管時に崩壊するかもしれないが、一方で、ほとんど何も含まないものは、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しないかもしれない。従って、多すぎず、また少なすぎて活性成分の放出を有害に変化させることがない崩壊剤の十分な量を、固体経口剤形を形成するために使用するべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変化し、当業者には容易に識別可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量部の崩壊剤、具体的には約1〜約5重量部の崩壊剤を含む。
【0214】
医薬組成物、及び剤形に使用することができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、ナトリウムデンプングリコラート、ジャガイモ、又はタピオカデンプン、アルファ化デンプン、その他のデンプン、粘土、その他のアルギン、その他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物を含むが、限定されない。
【0215】
医薬組成物、及び剤形に使用することができる潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽い鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素付加された植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物を含むが、限定されない。さらなる潤滑剤には、例えば、シロイドシリカゲル(syloid silica gel)(AEROSIL 200,W.R. Grace Co. of Baltimore, MDによって調製)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co. of Piano, TXによって販売)、CAB O SIL(Cabot Co. of Boston, MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物を含む。仮に使用される場合、潤滑剤は、典型的にはこれらが組み込まれる医薬組成物、又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0216】
(遅放性剤形)
本明細書に提供した化合物などの活性成分は、徐放性手段によって、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例には、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号:3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;かつ4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;5,639,480;5,733,566;5,739,108;5,891,474;5,922,356;5,972,891;5,980,945;5,993,855;6,045,830;6,087,324;6,113,943;6,197,350;6,248,363;6,264,970;6,267,981;6,376,461;6,419,961;6,589,548;6,613,358;6,699,500に記述したものを含むが、限定されない。このような剤形を使用して、様々な比率で所望の放出プロフィールを提供する、例えばハイドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリクス、ゲル、浸透膜、浸透圧系、多層膜コーティング、微小粒子、リポソーム、微粒子、又はこれらの組み合わせを使用する1つ以上の活性成分の緩徐放出、又は徐放を提供することができる。本明細書に記述したものを含む当業者に公知の適切な徐放製剤には、本明細書に提供した活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。従って、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、及び徐放のために適応されるカプレットなどの経口投与のために適した単一の単位剤形が、本明細書に包含される。
【0217】
全ての徐放性医薬品は、これらの制御されていない対応物によって達成されるものを上回って薬物療法を改善するという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における至適にデザインされた徐放性製剤の使用は、最小時間量で状態を治癒し、制御するために使用される最小の薬剤物質によって特徴づけられる。徐放性製剤の利点は、薬物の活性の延長、投薬量頻度の減少、及び対象コンプライアンスの増加を含む。加えて、徐放性製剤は、作用の開始時間、又は薬物の血液レベルなどのその他の特徴に影響するように使用することができ、従って、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0218】
大部分の徐放性製剤は、最初に、所望の治療効果を迅速に生じる薬物(活性成分)の量を放出し、長期間にわたってこのレベルの治療的、又は予防的効果を維持するための薬物のその他の量を段階的に、かつ連続して放出するようにデザインされている。体内でこの一定レベルの薬物を維持するためには、薬物が代謝されて、体から排出される薬物の量を補うであろう速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の徐放は、pH、温度、酵素、水、若しくはその他の生理学的条件、又は化合物を含むが、限定されない種々の条件によって刺激することができる。
【0219】
特定の実施態様において、薬物は、静脈内注入、移植可能浸透ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又はその他の投与様式を使用して投与してもよい。一つの実施態様において、ポンプを使用してもよい(Seftonの文献、CRC Crit. Ref. Biomed Eng. 14: 201 (1987); Buchwaldらの文献、Surgery 88:507 (1980); Saudekらの文献、N. Engl. J. Med. 321: 574 (1989)を参照されたい)。別の実施態様において、重合物質を使用することができる。更に別の実施態様において、徐放系は、当業者によって決定される適切な部位に、対象内に置くことができ、すなわち、これにより、全身用量の一部が必要なだけである(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。その他の徐放系は、Langerによる総説において論議されている(Science 249:1527-1533 (1990))。活性成分は、体液に不溶性である、固体内部マトリックス、例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化、又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカルボナート共重合体、アクリル、及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、外側の高分子膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/ビニルアセテート共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン、エチレン、及びプロピレンによって囲まれた架橋されたポリビニルアルコール、及び架橋された部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、イオノマポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体において分散させることができる。次いで、活性成分は、放出速度を制御する工程において、外側の高分子膜を通って拡散する。このような非経口的組成物における活性成分の割合は、その具体的性質、並びに対象の要求に非常に依存的である。
【0220】
(非経口的剤形)
一つの実施態様において、非経口的剤形が提供される。非経口的剤型は、皮下、静脈内(ボーラス投与を含む)、筋肉内、及び動脈内を含むが、限定されない種々の経路によって対象に投与することができる。これらの投与は、典型的には混入物に対する対象の天然の防御を迂回するので、非経口的剤形は、典型的には無菌であるか、又は対象への投与前に滅菌することができる。非経口的剤形の例には、注射の準備済みの溶液、注射、注射用の医薬として許容し得る媒体に溶解し、又は懸濁する準備済みの乾燥製品、注射の準備済みの懸濁液、及び乳剤を含むが、限定されない。
【0221】
非経口的剤形を提供するために使用することができる適切な媒体は、当業者に周知である。例には、以下を含むが、限定されない:注射用蒸留水USP;塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロース及び塩化ナトリウム注射、及び乳酸化されたリンゲル注射などの、しかし限定されない水性媒体;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの、しかし限定されない水混和性媒体;並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、イソプロピルミリステート、及び安息香酸ベンジルなどの、しかし限定されない非水性媒体。
【0222】
また、本明細書に開示した活性成分の1つ以上の溶解度を増加させる化合物を非経口剤形に組み込むことができる。
【0223】
(経皮、局所的、及び粘膜剤形)
また、経皮、局所的、及び粘膜剤形が提供される。経皮、局所的、及び粘膜剤形は、当業者に公知の眼科用液剤、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、乳剤、懸濁液、又はその他の形態を含むが、限定されない。例えば、「レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Science)」、第16版、第18版、及び第20版、Mack Publishing、Easton PA(1980、1990 & 2000);及び医薬品剤形の紹介(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)、第4版、Lea、及びFebiger、Philadelphia(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するために適した剤形は、含嗽薬として、又は経口ゲルとして製剤化することができる。さらなる経皮剤形には、「貯蔵所型」、又は「マトリックス型」パッチを含み、これを皮膚に適用して、特定の期間着用し、活性成分の所望の量の透過を可能にすることができる。
【0224】
本明細書に包含される経皮、局所的、及び粘膜剤形を提供するために使用することができる適切な賦形剤(例えば、担体、及び希釈剤)、及びその他の材料は、医薬品業界の当業者に周知であり、所与の医薬組成物、又は剤形が適用されるであろう特定の組織に依存する。この事実を念頭において、典型的な賦形剤には、非中毒性かつ医薬として許容し得る、ローション、チンキ、クリーム、乳剤、ゲル、又は軟膏を形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鉱油、及びこれらの混合物を含むが、限定されない。また、モイスチャライザー、又は湿潤剤を、必要に応じて医薬組成物、及び剤形に添加することができる。このようなさらなる成分の例は、当該技術分野において周知である。例えば、「レミントンの医薬品科学(Remington's Pharmaceutical Science)」、第16版、第18版、及び第20版、Mack Publishing、Easton PA(1980、1990 & 2000)を参照されたい。
【0225】
治療される具体的な組織に応じて、さらなる成分を、提供した活性成分での治療前に、組み合わせて、又はその後に使用してもよい。例えば、透過エンハンサーを使用して、組織への活性成分の送達を助けることができる。適切な透過増強剤には、以下を含むが、限定されない:アセトン;エタノール、オレイル、及びテトラヒドロフリルなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドン等級(Kollidon grade)(ポビドン、ポリビドン);尿素;並びに、Tween 80(ポリソルベート80)、及びSpan 60(ソルビタンモノステアレート)などの種々の水溶性、又は水不溶性糖エステル。
【0226】
また、医薬組成物、若しくは剤形の、又は医薬組成物、若しくは剤形が適用された組織のpHは、1つ以上の活性成分の送達を改善するように調整してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は張性は、送達を改善するように調整することができる。また、ステアラートなどの化合物を医薬組成物、又は剤形に添加して、送達を改善するために1つ以上の活性成分の親水性、又は親油性を都合よく変化させることができる。この点に関して、ステアラートは、製剤のための脂質媒体として、乳化剤、又は界面活性物質として、及び送達増強剤、又は透過増強剤として役立てることができる。活性成分の異なる塩、水和物、又は溶媒和物を使用して、生じる組成物の特性を更に調整することができる。
【0227】
(投薬量、及び単位剤形)
ヒト治療において、医師は、彼が予防的処置、又は治療的処置に従って、及び年齢、重量、疾患、例えば癌の段階、及び治療される対象に特異的なその他の要因に従って、最適であると考える薬量を決定するであろう。特定の実施態様において、用量は、成人について1日あたり約1〜約1000mg、又は成人について1日あたり約5〜約250mg、若しくは1日あたり約10〜50mgである。特定の実施態様において、用量は、成人について1日あたり約5〜約400mg、又は1日あたり25〜200mgである。特定の実施態様において、1日あたり約50〜約500mgの用量率も想定される。
【0228】
さらなる態様において、その必要のある対象に、本明細書に提供した化合物、又はその医薬として許容し得る塩の有効量を投与することによる、対象における肝臓癌を治療し、又は予防する方法が提供される。その他の態様において、本明細書に提供した化合物、又はその医薬として許容し得る塩の有効量を投与することによる、対象における代謝疾患を治療し、又は予防する方法が提供される。障害、若しくはその1つ以上の症候の予防、又は治療に有効であろう化合物、又は組成物の量は、疾患、又は状態の性質、及び重症度、並びに活性成分が投与される経路によって変化するであろう。また、頻度、及び投薬量も、投与される具体的な療法(例えば、治療薬、又は予防薬)、障害、疾患、又は状態の重症度、投与の経路、並びに対象の年齢、体、重量、反応、及び過去の病歴に応じて、それぞれの対象について特異的な要因に従って変化するであろう。有効な用量は、インビトロ、又は動物モデル試験系に由来する用量-応答曲線から推定してもよい。
【0229】
特定の実施態様において、組成物の例示的な用量には、対象、又は試料重量のキログラムあたりの活性化合物のミリグラム、又はマイクログラム量(例えば、1キログラムあたり約10マイクログラム〜1キログラムあたり約50ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約25ミリグラム、又は1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約10ミリグラム)を含む。本明細書に提供した組成物については、特定の実施態様において、対象に投与される投薬量は、活性化合物の重量に基づいて、対象の体重の0.140mg/kg〜3mg/kgである。特定の実施態様において、対象に投与される投薬量は、対象の体重の0.20mg/kg〜2.00mg/kgの間に、又は0.30mg/kg〜1.50mg/kgの間である。
【0230】
特定の実施態様において、本明細書に記述した状態に対する本明細書に提供した組成物の推奨される1日量範囲は、1日あたり約0.1mg〜約1000mgの範囲内にあり、単一の1日1回用量として、又は1日の全体にわたって分割量として与えられる。一つの実施態様において、1日量は、等しく分割された用量で1日2回投与される。特定の実施態様において、1日量範囲は、1日あたり約10mg〜約200mgの間、その他の実施態様において、1日あたり約10m〜約150mgの間、さらなる実施態様において、1日あたり約25〜約100mgの間にであるべきである。場合によっては、当業者には明らかであろうとおり、本明細書に開示した範囲外の活性成分の投薬量を使用する必要があるかもしれない。更にまた、医療従事者、又は治療する医師は、対象の反応と組み合わせて、療法を中断し、調整し、又は終える方法、及び時を知っているだろうことに留意されたい。
【0231】
当業者には容易にわかるであろうとおり、異なる治療上有効量が、異なる疾患、及び状態に適用されるであろう。同様に、このような障害を予防し、管理し、治療し、又は寛解させるために十分であるが、本明細書に提供した組成物に付随する有害作用を引き起こすには不十分か、又は減少させるのに十分な量も、上記した投薬量、及び用量頻度スケジュールに包含される。更に、対象に本明細書に提供した組成物の複数薬剤が投与されるときに、投薬量の全てが同じである必要はない。例えば、対象に投与される投薬量は、組成物の予防効果、又は治療効果を改善するように増加してもよく、又は特定の対象が経験する1つ以上の副作用を減少させるように減少してもよい。
【0232】
特定の実施態様において、対象における障害、若しくはその1つ以上の症候を予防し、治療し、管理し、又は寛解させるために投与される、活性化合物の重量に基づいた、本明細書に提供した組成物の投薬量は、対象の体重の0.1mg/kg、1mg/kg 2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、又は15mg/kg以上である。別の実施態様において、対象における障害、若しくはその1つ以上の症候を予防し、治療し、管理し、又は、寛解させるために投与される、本明細書に提供した組成物の投薬量、又は組成物は、0.1mg〜200mg、0.1mg〜100mg、0.1mg〜50mg、0.1mg〜25mg、0.1mg〜20mg、0.1mg〜15mg、0.1mg〜10mg、0.1mg〜7.5mg、0.1mg〜5mg、0.1〜2.5mg、0.25mg〜20mg、0.25〜15mg、0.25〜12mg、0.25〜10mg、0.25mg〜7.5mg、0.25mg〜5mg、0.5mg〜2.5mg、1mg〜20mg、1mg〜15mg、1mg〜12mg、1mg〜10mg、1mg〜7.5mg、1mg〜5mg、又は1mg〜2.5mgの単位投与量である。
【0233】
特定の実施態様において、治療、又は予防は、本明細書に提供した化合物、又は組成物の1つ以上の負荷量で開始して、1つ以上の維持用量が続くことができる。このような実施態様において、負荷量は、例えば、1日〜5週まで間、1日あたり約60〜約400mg、又は1日あたり約100〜約200mgであることができる。負荷量には、1つ以上の維持用量が続くことができる。特定の実施態様において、それぞれの維持用量は、独立して、1日あたり約10mg〜約200mg、1日あたり約25mg〜約150mg間の、又は1日あたり約25〜約80mg間である。維持用量は、毎日投与することができ、単一用量として、又は分割量として投与することができる。
【0234】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、又は組成物の用量は、対象の血液、又は血清中の活性成分の定常状態濃度を達成するように投与することができる。定常状態濃度は、当業者が利用できる技術に従った測定によって決定することができ、又は対象の身長、重量、及び年齢などの身体的特徴に基づくことができる。特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、又は組成物の十分な量は、約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mLの対象の血液、又は血清中の定常状態濃度を達成するように投与される。一部の実施態様において、負荷量は、1〜5日の間、約1200〜約8000ng/mL、又は約2000〜約4000ng/mLの定常状態血液、又は血清中濃度を達成するように投与することができる。特定の実施態様において、維持量は、約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mL対象の血液、又は血清中の定常状態濃度を達成するように投与することができる。
【0235】
特定の実施態様において、同じ組成物の投与を繰り返してもよく、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2月、75日、3月、又は6月まで離してもよい。その他の実施態様において、同じ予防薬、又は治療薬の投与を繰り返してもよく、投与は、少なくとも少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2月、75日、3月、又は6月まで離してもよい。
【0236】
特定の態様において、投与のために適した形態の、化合物、又は医薬として許容し得る塩を含む単位投薬量が本明細書に提供される。このような形態は、上で詳述してある。特定の実施態様において、単位投薬量は、1〜1000mg、5〜250mg、又は10〜50mgの活性成分を含む。詳細な実施態様において、単位投薬量は、約1、5、10、25、50、100、125、250、500、又は1000 mgの活性成分を含む。このような単位投薬量は、当業者に周知の技術に従って調製することができる。
【0237】
第2の薬剤の投薬量が、本明細書に提供した併用療法に使用される。特定の実施態様において、本明細書に記述した疾患、例えば癌を予防し、又は治療するために使用されたか、又は現在使用されているものよりも低い投薬量が、本明細書に提供した併用療法に使用される。第2の薬剤の推奨される投薬量は、当業者の知識から得ることができる。臨床用途のために承認されているこれらの第2の薬剤については、例えば、推奨される投薬量は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hardmanら編、1996、Gilman& Goodmanの治療学の基礎の薬理学的基礎(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics)、9版、Mc-Graw-Hill, New York;医師用卓上参考書(hysician's Desk Reference (PDR))、第57版、2003、Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJにおいて記述されている。
【0238】
種々の実施態様において、療法(例えば、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤)は、5分未満の間隔で、30分未満の間隔で、1時間未満の間隔で、1時間間隔、約1時間間隔で、約1時間〜約2時間間隔で、約2時間〜約3時間間隔で、約3時間〜約4時間間隔で、約4時間〜約5時間間隔で、約5時間〜約6時間間隔で、約6時間〜約7時間間隔で、約7時間〜約8時間間隔で、約8時間〜約9時間間隔で、約9時間〜約10時間間隔で、約10時間〜約11時間間隔で、約11時間〜約12時間間隔で、約12時間〜18時間間隔で、18時間〜24時間間隔で、24時間〜36時間間隔で、36時間〜48時間間隔で、48時間〜52時間間隔で、52時間〜60時間間隔で、60時間〜72時間間隔で、72時間〜84時間間隔で、84時間〜96時間間隔で、又は96時間〜120時間間隔で投与される。種々の実施態様において、療法は、24時間間隔以内、又は48時間間隔以内で投与される。特定の実施態様において、2つ以上の療法が、同じ患者の来診内に投与される。その他の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤は、同時に投与される。
【0239】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤は、本明細書に提供した化合物がその他の薬剤と共に作用して、これらが別に投与される場合よりも増加した利益を提供するようにすることができるように、順番に、及びある時間間隔で患者、例えばヒトなどの哺乳類に投与される。例えば、第2の活性薬剤は、同時に、又は時間内の異なる位置にて任意の順序で連続して投与することができるが;しかし、同時に投与されない場合、これらは、所望の治療効果、又は予防効果を提供するように適時に十分近くに投与されるべきである。一つの実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の活性な薬剤は、重複するときにそれらの効果を及ぼす。それぞれの第2の活性薬剤は、任意の適切な形態で、及び任意の適切な経路によって、別々に投与することができる。その他の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、第2の活性薬剤の投与前に、同時に、又は後に投与される。
【0240】
その他の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤は、約2〜4日間隔で、約4〜6日間隔で、約1週間隔で、約1〜2週間隔で、又は2週超の間隔で投与される。
【0241】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤は、患者に周期的に投与される。サイクリング療法には、しばらくの間の第1の薬剤(例えば、第1の予防薬、又は治療薬)の投与、続くしばらくの間の第2の薬剤、及び/又は第3の薬剤(例えば、第2、及び/若しくは第3の予防薬、又は治療薬)の投与を含み、この連続的投与を繰り返す。サイクリング療法は、療法の1つ以上に対する耐性の発症を減少させることができ、療法の或る副作用を回避すること、若しくは減少させることができ、及び/又は治療の有効性を改善することができる。
【0242】
特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物、及び第2の活性薬剤は、約3週未満、約2週ごとに1回、約10日ごとに1回、又は約1週ごとに1回のサイクルで投与される。1サイクルには、サイクルごとに約90分、サイクルごとに約1時間、サイクルごとに約45分にわたる輸液による本明細書に提供した化合物、及び第2の薬剤の投与を含むことができる。それぞれのサイクルには、少なくとも1週の休養、少なくとも2週の休養、少なくとも3週の休養を含むことができる。投与されるサイクル数は、約1〜約12サイクル、より典型的には約2〜約10サイクル、より典型的には約2から〜約8サイクルである。
【0243】
その他の実施態様において、治療の経過は、患者に同時に投与され、すなわち、第2の薬剤の個々用量は、本明細書に提供した化合物が第2の活性な薬剤と共に働くことができるような時間的間隔内に更に別々に投与される。例えば、1つの成分を、2週間ごとに1回、又は3週ごとに1回投与することができるその他の成分と組み合わせて、1週ごとに1回投与することができる。言い換えると、投薬処方計画は、治療が同時、又は同じ日の間に投与されない場合であっても、同時に実施される。
【0244】
第2の薬剤は、本明細書に提供した化合物と相加的、又は相乗的に作用することができる。一つの実施態様において、本明細書に提供した化合物は、同じ医薬組成物において、1種以上の第2の薬剤と同時に投与される。別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、別々の医薬組成物において、1種以上の第2の薬剤と同時に投与される。更に別の実施態様において、本明細書に提供した化合物は、第2の薬剤の投与の前、又は後に投与される。また、同じ、又は異なる投与の経路、例えば経口、及び非経口的による本明細書に提供した化合物と第2の薬剤との投与が想定される。特定の実施態様において、本明細書に提供した化合物が、毒性を含むが、限定されない有害な副作用を潜在的に生じる第2の薬剤と同時に投与されるときに、第2の活性薬剤は、有害な副作用が誘発される閾値以下に低下する用量にて都合よく投与することができる。
【0245】
(キット)
また、癌、又は糖尿病、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、及び肥満症などの代謝疾患などの肝臓病の治療の方法に使用するためのキットが提供される。キットには、本明細書に提供した化合物又は組成物、第2の薬剤又は組成物、及び障害を治療するための使用法に関する情報を医療提供者に提供する説明書を含むことができる。説明書は、印刷形態で、又はフロッピーディスク、CD、若しくはDVDなどの電子媒体の形態で、又はこのような説明書が得られるようなウェブサイトアドレスの形態で提供してもよい。本明細書に提供した化合物若しくは組成物、又は第2の薬剤若しくは組成物の単位投与量には、対象に投与されたときに、化合物、又は組成物の治療的、又は予防的に有効な血漿レベルを少なくとも1日間対象において維持することができる投薬量を含むことができる。一部の実施態様において、化合物、又は組成物は、無菌の水性医薬組成物、又は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥された)組成物として含めることができる。
【0246】
一部の実施態様において、適切なパッケージングが提供される。本明細書に使用される「パッケージング」には、系において慣習的に使用され、かつ対象に投与するために適した、本明細書に提供した化合物、及び/又は第2の薬剤を固定された区切り内に保持することができる、固体マトリックス、又は材料を含む。このような材料には、ガラス、及びプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート)、瓶、バイアル、紙、プラスチック、及びプラスチック-箔積層エンベロープ、その他を含む。eビーム滅菌技術が使用される場合、パッケージングは、内容物の滅菌を可能にするために十分に低い密度を有するべきである。
【0247】
以下の実施例は、本明細書に提供した代表的化合物の合成を例証する。これらの実施例は、請求した主題の範囲を限定することは意図されないし、これらは限定するものとは解釈されない。請求した主題の範囲は、特に本明細書に記述したもの以外の別の方法で実践してもよいことが明らかであろう。本明細書における教示を考慮して、主題の多数の修正変更が可能であり、従って、請求した主題の範囲内にある。
【実施例】
【0248】
実施例1
L-2',3'-ジデオキシアデノシンL-ddAのヒドロキシ-tBuSATE N-ベンジルホスホロアミダート誘導体A550の調製
【化26】

合成スキーム:
【化27】

カルボン酸2の合成:
【化28】

2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパン酸メチルエステル(965μL、7.57mmol)を室温にてピリジン無水物(7.6ml)中の4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(2.82g、8.33mmol)の撹拌溶液に滴下した。反応混合物は、急速に赤い溶液に、次いでオレンジの懸濁液(およそ30分)に変わり、これを一晩撹拌したままにしておいた。混合物を飽和NaHCO3水溶液(30mL)上に慎重に注いで、生成物をEt2O(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、揮発性物質を減圧下で除去した。生じる油をトルエンと共に蒸発させて、残渣を5→10→20→30% Et2Oの石油エーテル(40-60)溶液で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、φ= 4cm、H =20cm)によって迅速に精製した。画分(Rf= 0.25、30% Et2Oの石油エーテル溶液(40-60))の蒸発により、黄色の油(3.11g、95%)としてエーテル1を得た。この化合物(3.00g、6.91mmol)をTHF(35mL)に溶解して、次いでNaOHの水溶液(10%、35mL H2O中の3.5g)を室温で添加した。溶液は、すぐに暗いオレンジに変化し、これを2日間撹拌した。次いで、HCl(1M)の滴状添加によって、培地を慎重に中和した。生成物をEt2O(4×50mL)で抽出して、合わせた有機抽出物を鹹水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、揮発性物質を減圧下で除去した。粗製黄色油を、石油エーテル(40-60)中の50%のEt2Oで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、φ= 2cm、H =10cm)によって迅速に精製した。画分の蒸発により、白い泡(2.23g、77%)としてカルボン酸2を得た。Rf= 0.50(石油エーテル(40-60)中の50%のEt2O);
【化29】

チオエステル3の合成:
【化30】

1,1'-カルボニルジイミダゾール(830mg、5.12mmol)をPhMe/DMF無水物(2/1、v/v、2.7ml)中のカルボン酸2の撹拌溶液に室温で添加し、反応混合物は、すぐに濁りを生じた。30分後、培地をPhMe/DMF無水物(93/7、v/v、17mL)を添加することによって希釈して、次いで-10℃まで冷却した。2-メルカプトエタノール(359μL、5.12mmol)を滴状に添加して、溶液をこの温度にて1時間撹拌した。反応混合物をH2O(60mL)で希釈して、生成物をEt2O(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水(15mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、揮発性物質を減圧下で除去した(20℃を上回らない浴温)。残渣を60→70% Et2Oの石油エーテル(40-60)溶液で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、φ= 4cm、H =15cm、1% Et3N)によって精製した。画分の蒸発により、白いシロップ(1.74g、92%)として、チオエステル3を得て、4℃にて貯蔵することにより、凝固した。Rf= 0.35(石油エーテル(40-60)中の70% Et2O);
【化31】

H-ホスホナートモノエステル4の合成:
【化32】

β-L-ddA(1.00g、4.25mmol)をピリジン無水物(3×10mL)と共に同時蒸発させて、次いで、ピリジン/DMF無水物(1/1、v/v、21mL)に溶解させた。次いで、この溶液に亜リン酸ジフェニル(5.76mL、29.8mmol)を室温で滴下した。反応混合物を20分間撹拌して、これにEt3N/H2O(1/1、v/v、8.5mL)の混合物を滴状に添加して、攪拌を更に20分間続けた。反応混合物をおよそ15〜20mLまで減圧下で濃縮して、この残渣をCH2Cl2(150mL)、次いでCH2Cl2中の5%(200mL)→10%(200mL)→15%(300mL)MeOHでゆっくりと溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、φ= 4cm、H =15cm、1% Et3N)によって直接精製した。画分の蒸発により、白い泡(1.36g、80%)として、H-ホスホナートモノエステル4を得て、4℃にて数週間保持することができた。
【化33】

ホスホロアミダートジエステル5の合成。
【化34】

H-ホスホナートモノエステル4(1.03g、2.57mmol)、及びアルコール3(1.66g、3.45mmol)をピリジン無水物(3×5ml)と共に同時蒸発させて、次いでピリジン無水物(5ml)に溶解した。次いで、PyBOP(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1.60g、3.08mmol)を一部分に添加して、反応混合物を室温で15分間撹拌した。溶液を飽和NaHCO3水溶液(30mL)に注いで、生成物をCH2Cl2(4×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水(10mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、減圧下で濃縮し、わずかに黄色の油(1.84g、2.41mmolと推定)として対応するH-ホスホナートジエステルを残した。これをピリジン無水物と共に同時蒸発させて(3×5mL;注:さらなる可溶化を補助するために乾燥までは蒸発しない)、残渣をCCl4無水物(24mL)に溶解した。ベンジルアミン(791μL、7.23mmol)を滴状に添加して、反応混合物がすぐに濁った(わずかな熱発が観察された)。乳状の溶液を室温で1時間撹拌して、飽和NaHCO3水溶液(30mL)上に注いで、生成物をCH2Cl2(4×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水(15mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、減圧下で濃縮し、黄色の油(2.00g、2.31mmolと推定)としてホスホロアミダートジエステル5を得た。これを、任意のさらなる精製を伴わずに次の工程に使用した。Rf = 0.29(CH2Cl2中の4% MeOH);
【化35】

L-ddAのヒドロキシ-tBuSATE N-ベンジルホスホロアミダート誘導体の合成:
【化36】

粗製ホスホロアミダートジエステル5(2.00g、2.31mmolと推定)をジオキサン/AcOH/H2O(25/17/25、v/v/v、462mL)に溶解して、溶液を室温で3日間撹拌した。減圧下での揮発性物質の蒸発により、残渣を残し、CH2Cl2(100mL)、次いでCH2Cl2中の2%(100mL)→4%(100mL)→6%(100mL)→8%(150mL)MeOHで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、φ= 3cm、H =15cm)によって精製した。画分の蒸発により、白い泡としてNM 204を残し、これをMeCN(5mL)に溶解した。H2O(5mL)の添加により、溶液が濁りを生じ、凍結乾燥前に超音波処理を必要とした。生じる白色粉末を1日間真空下で室温にて乾燥させた(乾燥剤としてP2O5を使用)。表題化合物は、高度に吸湿性の白色粉末として得られた(31P-NMRによる判断としてジアステレオ異性体の1:1の混合物;499mg、3工程にわたって35%)。
【化37】

【0249】
実施例2
2'-C-メチルシチジンのヒドロキシ-tBuSATE N-ベンジルホスホロアミダート誘導体の調製:
【化38】

H-ホスホナートモノエステル5の合成:
【化39】

カルボン酸3の合成:
塩化メチレン無水物(590ml)、及びトリエチルアミン(23ml)の混合物中の2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパン酸メチルエステル(1、15ml、117.6mmol)の撹拌溶液に、トリフェニルメチレンクロリド(1.2eq、39.3g)、及び4-ジメチルアミノピリジンを添加した(0.1eq、1.44g)。反応混合物を一晩還流したままにしておいた。混合物を飽和NaHCO3水溶液上に慎重に注いで、生成物を塩化メチレンで抽出して、水で洗浄した。合わせた有機抽出物を減圧下で蒸発させ、粗製化合物2を得て、これをに更に精製することなく次の工程のために使用する。生じる油をジオキサン(350ml)、及びNaOH水溶液(30%、350ml)の混合物に溶解した。不均一混合物を16時間還流した。反応混合物を室温に冷却させて、二相に分離して、有機相を、HCl(1M)を滴状に添加することによって慎重に中和した。生成物を塩化メチレンで抽出して、有機相を減圧下で蒸発させた。粗製オレンジ油を塩化メチレンから再結晶化し、白い結晶(92%)としてカルボン酸3を得た。Rf= 0.50(石油エーテル中の70% ジエチルエーテル);
【化40】

H-ホスホナートモノエステル5の合成:
1,1'-カルボニルジイミダゾール(1.3eq、1.17g)を室温で、トルエン、及びジメチルホルムアミド(2/1、v/v、4.5ml)の無水物混合物中のカルボン酸3(2g、5.56mmol)の撹拌溶液に添加して、反応混合物がすぐに濁りを生じた。30分後、反応混合物をトルエン、及びジメチルホルムアミド(93/7、v/v、28ml)の混合物で希釈して、-10℃に冷却し、2-メルカプトエタノール(1.3eq、500μL)を添加した。溶液をこの温度にて3時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した(25℃を上回らない浴温)。残渣を塩化メチレンに溶解して、水で洗浄した。有機相を合わせて、硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させ、濾過して、乾燥まで蒸発させて、黄色の油として化合物4を得た。この化合物をピリジン無水物と共に同時蒸発させて、更に精製することなく次の工程のために使用する。Rf= 0.71(石油エーテル中の70% Et2O);
【化41】

【0250】
リン酸(10eq、4.1g)を、ピリジン無水物で2回同時蒸発させて、その溶媒(25ml)に溶解して、粗製物4に添加した。反応混合物を室温で撹拌して、白色沈殿が数分後に見えた。反応混合物を0℃まで冷却して、塩化ピバロイル(5.5eq、3.4ml)を添加した。反応混合物を室温に温めて、3時間撹拌した。反応をトリエチルアンモニウムビカルボナート(TEAB 1M、10ml)の溶液の添加によって止めて、酢酸エチル(EtOAc)で希釈した。0.5M EtOAc、及びTEABで抽出後、有機相を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、乾燥まで蒸発させた(30℃を上回らない浴温)。残渣を、塩化メチレン中の10% メタノール+ 1% トリエチルアミンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。画分の蒸発により、白いシロップ(90%)として、H-ホスホナートモノエステル5を得た。Rf= 0.25(石油エーテル中の70% Et2O);
【化42】

【0251】
2'-C-メチルシチジンのヒドロキシ-tBuSATE N-ベンジルホスホロアミダート誘導体の合成:
以下の2つのストラテジーを使用した:
ストラテジーA
保護されたヌクレオシド7の合成
【化43】

2'C-メチルシチジン(NM107)(10g、39.0mmol)、オルトギ酸トリエチル(8.3eq、54ml)、及びp-トルエンスルホン酸一水和物(1eq、7.4g)のアセトン無水物(650ml)中の混合物を、窒素雰囲気下で一晩還流した。反応混合物をアンモニア水溶液(26%)で中和して、沈殿物を濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、エタノールと共に同時蒸発させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでの粗製混合物の精製(溶出剤:塩化メチレン中のメタノールの段階勾配[0-10%])により、淡黄色の固体(86%)として、化合物6を生じた。Rf= 0.30(塩化メチレン中の20% MeOH)、
【化44】

【0252】
化合物6(4.4g、14.8mmol)をピリジン無水物(74ml)に溶解して、クロロトリメチルシラン(3eq、5.4ml)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で室温にて2時間撹拌し、次いで4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(1.5eq、7.5g)、及び4-ジメチルアミノピリジン(0.5eq、900mg)を連続して添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌して、次いで飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。粗生成物を塩化メチレンで抽出し、飽和NaHCO3水溶液、及び水で洗浄した。合わせた有機層を減圧下で濃縮して、次いでジオキサン(160ml)、及びアンモニア水(28%、29ml)の混合物に溶解した。溶液を70℃にて3時間加熱して、乾燥まで蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中のメタノール[1-5%]の段階勾配)、黄色の固体(81%)として、保護されたヌクレオシド7を得た。Rf= 0.16(CH2Cl2中の30% EtOAc)、
【化45】

【0253】
プロヌクレオチド10の合成
【化46】

化合物7(2.0g、3.34mmol)、及び5(2.2eq、4.3g)を、ピリジン無水物と共に同時蒸発させて、この溶媒(50ml)に溶解した。塩化ピバロイル(2.5eq、1ml)を滴状に添加して、溶液を2時間30分間室温で撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈して、塩化アンモニウム水溶液(0.5M NH4Cl)で中和した。0.5M塩化メチレン/水溶液NH4Clで抽出後、有機相を合わせて、減圧下で蒸発させて(30℃を上回らない浴温)、トルエンと共に同時蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン+ 2‰酢酸中のメタノールの段階勾配[0-5%])、所望の生成物8を得て、これをトルエンと共に同時蒸発させて、ベージュの泡(94%)を得た。Rf = 0.63(CH2Cl2中の5% MeOH);
【化47】

【0254】
四塩化炭素無水物(30ml)中の化合物8(3.4g、3.15mmol)の溶液に、ベンジルアミン(10eq、3.4ml)を滴状に添加した。反応混合物を1時間30分間室温で撹拌した。白色沈殿が現われた。溶液を塩化メチレンで希釈して、塩化水素の水溶液(HCl 1M)で中和した。CH2Cl2/HCl 1M、及びCH2Cl2/水溶液NaHCO3で連続して抽出後、有機相を合わせて、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、乾燥まで蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中のメタノールの段階勾配[0-5%])、黄色の泡(87%)として9を得た。Rf = 0.35(塩化メチレン中の5% MeOH);
【化48】

【0255】
最後に、化合物9(2.39g、2.04mmol)を塩化メチレン(10ml)、及びトリフルオロ酢酸の水溶液(90%、10ml)の混合物に溶解した。反応混合物を35〜40℃にて2時間撹拌し、次いでエタノール(140ml)で希釈した。揮発性物質を減圧下で蒸発させて、エタノールと共に同時蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出剤:塩化メチレン中のメタノール[0-30%]の段階勾配)、続いて逆相クロマトグラフィーで精製し(溶出剤:水中のアセトニトリル[0-50%]の段階勾配)、所望の生成物10(B102)を得て(31P-NMRによる判断としてジアステレオ異性体の1:1の混合物)、これをジオキサン/水の混合物から凍結乾燥させた。Rf= 0.34(塩化メチレン中の15% MeOH);
【化49】

【0256】
ストラテジーB:
・保護されたヌクレオシド11の合成
【化50】

NM107(10g、38.87mmol)をピリジン無水物(194ml)に溶解して、クロロトリメチルシラン(4.5eq、21.6ml)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で室温にて2時間30分間撹拌し、次いで4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(1.5eq、19.8g)、及び4-ジメチルアミノピリジン(0.5eq、2.37g)を連続して添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌して、次いで飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。粗生成物を塩化メチレンで抽出し、飽和NaHCO3水溶液、及び水で洗浄した。合わせた有機層を減圧下で濃縮して、次いでテトラヒドロフラン(110ml)に溶解した。その溶液に、THF(1eq、38.87ml)中のフッ化テトラブチルアンモニウム1Mを添加して、反応混合物を室温で30分間撹拌した。EtOAc、及び水で抽出後、有機相を収集して、乾燥まで蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中のメタノール[0-10%]の段階勾配)、黄色の固体(93%)として保護されたヌクレオシド11を得た。Rf= 0.32(CH2Cl2中の10% MeOH)、
【化51】

【0257】
10の前駆体である保護されたホスホロアミダートプロヌクレオチド13の合成
【化52】

化合物11(7g、12.5mmol)、及び5(1.5eq、11.0g)を、ピリジン無水物と共に同時蒸発させて、この溶媒(187ml)に溶解した。塩化ピバロイル(2.0eq、3.08ml)を-15℃にて滴状に添加し、溶液をこの温度にて1時間30分間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈して、塩化アンモニウムの水溶液(0.5M NH4Cl)で中和した。0.5M塩化メチレン/水溶液NH4Clで抽出後、有機相を合わせて、減圧下で蒸発させて(30℃を上回らない浴温)、トルエンと共に同時蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン+ 0.2%酢酸中のメタノールの段階勾配[0-5%])、所望の生成物12を得て、これをトルエンと共に同時蒸発させ、白い泡(3.5g、27%)を得た。Rf= 0.44(CH2Cl2中の5% MeOH);
【化53】

【0258】
四塩化炭素無水物(4.9ml)中の化合物12(500mg、0.49mmol)の溶液に、ベンジルアミン(5eq、0.266ml)を滴状に添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。粗製混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中のメタノールの段階勾配[0-5%])、泡(75%)として化合物13を得た。Rf = 0.25(塩化メチレン中の3% MeOH);
【化54】

【0259】
化合物13は、それぞれ、実施例3(手順A)及び実施例4において、NM108-及びNM105-OH-SATEホスホロアミダート合成の最終工程について記述した実験条件に続き、ホスホロアミダートプロドラッグ10(B102)に変換することができる。
【0260】
実施例3
2'-C-メチルグアノシンのヒドロキシ-t-BuSATE-N-ベンジルホスホラミダート誘導体の調製
【化55】

合成ストラテジー
【化56】

2'-C-メチルグアノシン(NM 108)(3g、10.10mmol)、及び化合物5(6.48g、11.10mmol)をピリジン無水物と共に同時蒸発させて、この溶媒(152mL)に溶解した。塩化ピバロイル(2.48mL、20.18mmol)を-15℃にて滴状に添加して、溶液を同じ温度にて2時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈して、塩化アンモニウム(0.5M NH4Cl)の水溶液で中和した。0.5M塩化メチレン/NH4Cl水溶液で抽出後、有機相を合わせて、Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で蒸発させ(30℃を上回らない浴温)、トルエンと共に2回同時蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中の[0-10%]のメタノール+0.2%酢酸の段階勾配)、所望の生成物6(2.5g、32%)を得た。Rf = 0.34(塩化メチレン中の15% MeOH)
【化57】

【0261】
四塩化炭素無水物(33ml)中の化合物6(2.5g、3.27mmol)の溶液に、ベンジルアミン(5eq、1.79ml)を滴状に添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌して、減圧下で蒸発させた(30℃を上回らない浴温)。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中の[0-10%]のメタノールの段階勾配)、白い泡(2.9g、定量的収率)として化合物7を得た。Rf = 0.27(塩化メチレン中の10% MeOH);
【化58】

【0262】
化合物7(2.84g、3.27mmol)をトリフルオロ酢酸(1.1ml)、及び塩化メチレン(11.4ml)の混合物に溶解した。反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。溶液をエタノールで希釈して、減圧下で蒸発させ(3O℃を上回らない浴温)、トルエンで2回同時蒸発させた。粗製混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出剤:塩化メチレン中の[0-30%]のメタノールの段階勾配)、次いで逆相カラムクロマトグラフィーで(溶出剤:水中のアセトニトリルの[0-100%]の段階勾配)、所望の生成物8(B184)(31P-NMRによればジアステレオ異性体の1:1混合物、800mg、39%)を得て、これをジオキサ/水の混合物から凍結乾燥させた。Rf= 0.57(塩化メチレン中の20% MeOH);
【化59】

【0263】
実施例4
抗ウイルス薬ヌクレオシドなどの、遊離OH基を有する、抗癌剤R-OHは、以下のスキームに従ってホスホラミダート化合物を形成するように誘導体化される。その他のヒドロキシル基などの分子上の反応基は、当該技術分野において公知の方法を使用して保護する。
【化60】

実施例5
5'-アザシチジンのホスホロアミダートは、以下の通りに調製される:
【化61】

【0264】
実施例6-10は、肝細胞への活性薬剤の肝臓特異的な送達を促進するための抗ウイルス化合物に対するホスホロアミダート基の効果を例示手段として例証する。
実施例6
検量線の作成
2'-3-ジデオキシアデノシン-5'-トリホスフェート(ddATP)(2'-3-ジデオキシアデノシン(ddA)のトリホスフェートヌクレオチド)の濃度の測定は、例えば、肝細胞のメタノール性抽出物の液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC/MS/MS)によって行われる。
ddATPの濃度は、標準曲線に対して比較することによって測定する。
【0265】
TP-ddAの作業保存液は、以下の通りにSigma Chemical Coから購入したddATP(>91%純度のテトラナトリウム塩)の脱イオン水中の100pmol/μl保存液から調製する:
ddATP作業保存液、及びddATPのための標準曲線の調製
【表3】

【0266】
内部標準(ISTD)作業保存液は、Sigma Chemical社から購入した2-デオキシアデノシン5-トリホスフェートの0.50mg/mLの保存液から調製した。
【表4】

【0267】
一部の実施態様において、較正標準は、肝臓の
【表5】

を使用して以下の通りに調製する。
【0268】
一部の実施態様において、以下のHPLC条件を、HPLC MS、例えばHPLCタンデムMS解析装置法)のために使用する:
【0269】
HPLCは、以下の通りに移動相A:70% 10mM NH4OAc 30% ACN pH 6.0;及びB:70% 1mM NH4OAc 30% ACN pH 10.5:で、Phenomenex Luna Amino3μm 100A、30X2mmカラムで行う:
【表6】

【0270】
実施例7
肝細胞におけるインビトロリン酸化
初代肝細胞(ラット、カニクイザル、又はヒト)を、コラーゲンコートした12-ウェルプレートに0.8×106で播種して、4〜6時間接着させて、その時間後に、接種培地を無血清培地と置き換えて、細胞を一晩新たな培地に順応させた。その翌日に、細胞を、DMSO(最終DMSO濃度は、0.1%であった)中の保存液から新鮮な培養液中に調製した10、及び50μMの試験物(A550)(NM204)に対して、1、4、8、及び24時間曝露した。それぞれの時点にて、一定分量(500μl)を収集して、500μlのアセトニトリルを即座に添加して、解析まで-2O℃に貯蔵した。残りの曝露培地を除去して、細胞単層(ディッシュに張り付いている)を氷冷PBSで2回洗浄した。任意の残りのPBSを吸引することによって慎重に除去して、細胞を1mL 70% 氷冷メタノール中で掻爬するによって収集した。細胞試料を-20℃に一晩を置き、細胞細片を、その翌日に遠心分離することによって除去した。上清をLC/MSによる解析の前に除去して、濾過した。標準曲線は、同様に処理した未処置の細胞を使用することにより調製したが、70% メタノール中に収集するより前に、メタノール中に調製した10μlのLddATP標準液を洗浄した単層に添加したことを除く。次いで、これらの対照試料を試験試料について記述したとおり、処理して、解析した。
【0271】
結果は、下記に示してある:
【表7】

【0272】
データから示されるように、有意なレベルのL-ddATPが肝細胞において検出された。サル肝細胞において、レベルは、8時間にて最大レベルに達して、続いて迅速に減退するように見える。対照的に、ラット、及びヒト肝細胞の両方のレベルは、8時間後に横ばいになるように見える。
【0273】
実施例8
ラットにおけるインビボ研究
ラット肝臓におけるA550(NM-204)(実施例1の化合物(L-ddAのヒドロキシ-tBuSATE N-ベンジルホスホロアミダート誘導体)の分布を、20(経口)、又は10(I.V.)mg/kg体重の用量にてA550(NM-204)の単一経静脈(静注)、又は経口投与後に評価した。用量溶液は、用量投与前に、同日に調製した。
【0274】
特定の時点(IV動物について1、及び3時間、又は経口動物について1、3、及び8時間)にて、それぞれの動物を、CO2気体によって、続いて腹部静脈を介した失血によって安楽死させた。肝臓を塗擦直後に収集して、液体窒素中で瞬間凍結して、ドライアイス上に置いて、その後に解析するまで-70℃に貯蔵した。
【0275】
対照肝臓エキスからの較正標準の調製:
対照ラット肝臓試料を、組織を中心から切り離す用具(Harris Unicore, 8.0mm, VWR)を用いて、凍結した肝臓全体(Bioreclamation, Inc. Hicksville, NY)から採取した。それぞれの〜0.1g試料を0.940mLの80% MeOH/20% DIH2Oを含む個々の2mLのポリバイアルに置いて、ホモジネートを、機械組織ディプラスター(Tissue Master, Omni-Internationa1, Inc, Marietta GA)を使用して調製した。バイアルに10μlの作業保存液の一定分量、及び50μlのISTDの一定分量を受けた後、30秒間ボルテックスした。混合物を-20℃にて一晩貯蔵させて、その翌日、台上遠心機での10分の遠心分離のために取り出した。それぞれの上清を個々の遠心分離濾過ユニット(0.45μm)へ移して、生じる濾液をLC/MS/MS解析のためにHPLCバイアルへ移した。較正標準におけるddATPの 終濃度は、1000、500、250、125、50、及び0pmol/mlであった。それぞれの較正標準を、解析のためにイオン交換カラム上に50μL容積で直接注射した。対照肝臓抽出物からの較正標準の標準曲線解析を行った。
【0276】
ddATPの解析は、オンライン陽イオン化ESI-MS/MS検出により、複数反応モニタリング(MRM)検出モードで、イオン交換クロマトグラフィー法によって行った。5つの校正物質のうちの4つについて得られたピーク面積により、50〜1000pmol/mlの濃度範囲にわたって優れた直線性(R2 = 0.9996)を示す標準曲線を構築することができる。これは、使用した試料調製により、肝臓1グラムにつき5〜100pmolの範囲に想到する。実施例5に記述したHPLC MS MS条件を利用した。LC/MS/MS法によって示される定量化の下限は、例えば非常により少ない塩を含む肝細胞細胞の抽出物について0.2pmol/mLである。
【0277】
A550(NM204)(肝細胞に入った化合物を示す)、及びLddATP(肝臓において活性なトリホスフェートへのddAのホスホロアミダート部分の切断、及びトリリン酸化を示す)の細胞内レベルを示す結果を下記に示してある:
【表8】

【0278】
従って、これらの結果は、肝臓における薬物の濃度を増強するために化合物を使用することができることを示す。また、これらの結果は、肝細胞において形成される活性なトリホスフェートの濃度の増強を示す。
【0279】
実施例9
肝細胞細胞内分画における総代謝の決定(親の枯渇)
NADPH インキュベーション。ミクロソーム、又はS9インキュベーションを0.5mLの最終容積で行った。インキュベーション緩衝液(10OmMリン酸カリウム、pH 7.4、5mM MgCl2、及び0.1mM EDTA)に懸濁したプールした肝臓ミクロソーム、又はS9タンパク質(1.0mg/mL)を、DMSO中の保存液(最終DMSO濃度は、0.1%であった)から10〜50μM OHSATEホスホロアミダート化合物と共に37℃にて5分間プレインキュベートした;反応は、NADPH(3mM終濃度)の添加によって開始した。NADPHなしのインキュベーションを対照として役立てた。特定の時間(0-120分)にて、0.1mLの試料を採取して、1容積の停止液(アセトニトリル)の添加によって反応を終結させた。試料を30秒間ボルテックスして、次いで1500gにて10分間遠心した。上清をHPLCガラスバイアルへ移して、HPLCによって更にプロセシングすることなく解析した。図1、及び2は、それぞれ、サル肝臓S9におけるNADPHと共にインキュベーション後の、NM108 SATE、及びNM107 SATEの枯渇を示す。
【表9】

【0280】
従って、任意の理論に限定されないが、代謝は、NADPH依存的であるので、ホスホロアミダート化合物が肝臓においてチトクロム P450によって優先して活性化される可能性がある。
【0281】
実施例10
細胞におけるトリホスフェートレベルの決定
初代肝細胞培養の調製
動物、及びヒト肝臓から新たに単離した細胞を氷上の懸濁液中に得た。受け取り後、細胞を500rpm(ラット)、又は700rpm(サル、及びヒト)での遠心分離によってペレットにして、プレーティング(platting)培地1mL当たり800,000細胞にて(HPM)再懸濁した。次いで、マルチウェルコラーゲンコートのプレート(12-ウェル)に、1mLの細胞懸濁(800,000細胞/mL)を添加することによって、播種した。プレートを穏やかに振盪して均一に細胞を分布させ、37℃のインキュベーターにおよそ4〜6時間置いて細胞を接着させた。一旦細胞が接着したら、プレーティング培地を除去して、肝細胞培養液(HCM)と置き換えた。細胞を37℃にてインキュベーターに一晩置いたままにして、培養、及び培地に順応させた。
【0282】
試験物質とのインキュベーション
肝細胞インキュベーションは、1.0mlのHCM/ウェル(800,000細胞/mL)の最終容積で行った。細胞の一晩インキュベーションからのHCMを除去して、DMSO(最終DMSO濃度は、0.1%であった)中の保存液からの10μM試験物質を含む、37℃に予熱した新鮮なHCMと置き換えた。特定の時間に(24時間まで)、インキュベーション培地を廃棄して、細胞単層を氷冷PBSで慎重に2回洗浄した。最後の洗浄液後、全てのPBSを慎重に除去して、1mLの抽出緩衝液(氷冷70% メタノール)を添加した。それぞれのウェルは、メタノールの添加直後にパラフィルムで封着した。一旦全てのプレートを処理したら、さらなるパラフィルムを全てのプレート上に置いて、抽出過程の間の蒸発を防止するための二重シールを形成した。次いで、カバーの蓋をプレート上に置いて、テープで封着した。次いで、細胞内含量を抽出することができるように、プレートを-2O℃にて最小で24時間保存した。
【0283】
Huh7、又はHepG2培養の調製
HepG2s、又はHuh7細胞は、コラーゲンコートした12-ウェルプレートに0.4×106細胞/ウェルにてまいた。細胞を一晩接着させた。細胞の一晩インキュベーションからの培養液を除去して、DMSO(最終DMSO濃度は、0.1%であった)中の保存液からの10μM試験物質を含む、37℃に予熱した新鮮な培養液と置き換えた。24〜72時間後に、インキュベーション培地を廃棄して、細胞単層を氷冷PBSで慎重に2回洗浄した。最後の洗浄後、全てのPBSを慎重に除去して、1mLの抽出緩衝液(氷冷70% メタノール)を添加した。それぞれのウェルは、メタノールの添加直後にパラフィルムで封着した。一旦全てのプレートを処理したら、さらなるパラフィルムを全てのプレート上に置いて、抽出過程の間の蒸発を防止するための二重シールを形成した。次いで、カバーの蓋をプレート上に置いて、テープで封着した。次いで、細胞内含量を抽出することができるように、プレートを-2O℃にて最小で24時間保存した。
【0284】
解析のための試料調製
細胞抽出物は、2mlのミクロ遠心チューブに0.9mlの抽出物を移し、続いて14,000rpmにて5分間遠心分離することによって調製した。およそ100μLの上清をHPLCバイアルへ移して、後述するようにLCMS/MSによってトリホスフェートレベルを決定した。
【0285】
HPLC条件:NM107-トリホスフェート
【表10】

【0286】
HPLC条件:NM108-トリホスフェート
【表11】

【0287】
【化62】

【0288】
細胞抽出物におけるNMl07トリホスフェートレベル、及びB102は、以下の通りに観測された:
【表12】

【0289】
B102についての細胞内トリホスフェートのデータレベル(Ex.2)から分かるように、NMl07に関するものと比較してかなり高かった。
【0290】
本明細書において引用した全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、又は特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、本明細書に参照により組み込まれる。請求した主題は、種々の実施態様に関して記述したが、当業者であれば、その精神から逸脱することなく、その種々の修正、置換、省略、及び変更を行ってもよいことを認識するであろう。従って、主題の範囲は、単に以下の特許請求の範囲、及びその均等物を含む範囲のみによって限定したことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態
(式中;
Ryは、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり;
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、水素、又は任意に置換されたアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか;又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成し;かつ
R1は、抗癌剤のヒドロキシ基からの水素の除去によって導き出せる部分である。)。
【請求項2】
式:
【化2】

を有する、請求項1の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態。
【請求項3】
式:
【化3】

を有する、請求項1の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態。
【請求項4】
式:
【化4】

を有する、請求項1の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態。
【請求項5】
Ryが、任意に置換されたアルキルであり、かつRa、及びRbが、それぞれ独立して水素、又は任意に置換されたベンジルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Ryがヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Ryが-C(Rc)3、又はNHRc-であり、式中それぞれのRcは、独立して任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールであり;かつRa、及びRbが、独立して水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Ra、及びRbが、それぞれ独立して水素、又は置換されたアルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Ryがアルキル、及びヒドロキシアルキルからなる群から選択される、請求項5記載の化合物。
【請求項10】
Ryが-C(CH3)2CH2OHである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
Raが、水素であり、Rbが、ベンジルであり、かつRyが、-C(CH32CH2OHである、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
R1が、アクラルビシン、デシタビン、ダウノルビシン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、フルダラビン、ネプラノシンA、テザシタビン、トロキサシタビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、テニポシド、NK-611、カンプトテシン、イリノテカン、9-アミノカンプトテシン、トポテカン、パクリタキセル、アザトキシン、コホルマイシン、ピラルビシン、又はロソキサントロンである、請求項1-11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化5】

の化合物
(式中、
それぞれのRは、存在する場合、独立してアルキル、ハロゲン、又はヒドロキシルであり;
Xは、存在する場合、CH2、O、又はSであり;
Ryは、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成する。)。
【請求項14】
それぞれのRが、存在する場合、独立してアルキル、ハロゲン、又はヒドロキシルであり;
Xが、存在する場合、CH2、O、又はSであり;
Ryが、任意に置換されたアルキルであり、式中該置換基は、存在するときにヒドロキシ、又はアミノであり;かつ、
Ra、及びRbは、それぞれ独立して水素、又はアルキルであり、式中アルキル基は、それぞれ任意に置換された、アリール、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、又はヘテロアリールで任意に置換される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
Ra、及びRbが、それぞれ独立してH、又はベンジルであり、式中ベンジル基は、任意にヒドロキシ、又はアミノで置換される、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
Ryが置換されたアルキルであり、かつRa、及びRbが、それぞれ独立して水素、又は任意に置換されたベンジルである、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
Ryがヒドロキシアルキル、又はアミノアルキルである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Ryが-C(Rc)3、又はNHRc-であり、式中それぞれのRcは、独立して任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールであり;かつRa、及びRbが、独立して水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたアリールアルキルである、請求項13記載の化合物。
【請求項19】
Ryが-C(CH32CH2OHである、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
Ra、及びRbが、それぞれ独立して水素、又は置換されたアルキルである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
Raが、水素であり、Rbが、ベンジルであり、かつRyが、-C(CH3)2CH2OHである、請求項13記載の化合物。
【請求項22】
構造:
【化6】

を有する請求項13の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性形態、互変異性形態、若しくは多形形態。
【請求項23】
式:
【化7】

から選択される化合物
(式中、Rx、及びRzは、それぞれ独立して水素、又は任意に置換されたアルキルであり;
RWは、任意に置換されたアルキルであり;
X1は、O、又はSであり;
Ryは、全て任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり、
Ra、及びRbは、以下の通りに選択され:
i)Ra、及びRbは、それぞれ独立して、全て任意に置換された、水素、アルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであるか、又は、
ii)Ra、及びRbは、これらが置換される窒素原子と共に3〜7員の複素環若しくはヘテロアリール環を形成する。)。
【請求項24】
Ryが、任意に置換されたアルキルであり、式中該置換基は、存在するときに、ヒドロキシ、及びアミノから選択される、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
Ryが、-C(CH3)2CH2OHである、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
Raが、水素であり、かつRbが、ベンジルである、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
【化8】

から選択される式を有する、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
式:
【化9】

を有する、請求項27記載の化合物。
【請求項29】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、癌を治療する方法。
【請求項30】
請求項13〜22のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、血漿脂質レベルを低下させ、又は血糖値を低下させる方法。
【請求項31】
請求項14〜28のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、血糖値を低下させる方法。
【請求項32】
請求項1〜28の1項記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項33】
経口投与のために適した、請求項32記載の組成物
【請求項34】
前記組成物が丸剤、又は錠剤の形態である、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
癌を治療するための医薬を製剤化するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項36】
血漿脂質レベルを低下させ、又は血糖値を低下させるための医薬を製剤化するための、請求項13〜22のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項37】
血糖値を低下させるための医薬を製剤化するための、請求項14〜28のいずれか1項記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514769(P2010−514769A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544101(P2009−544101)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/026409
【国際公開番号】WO2008/082602
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508186554)イデニク プハルマセウティカルス,インコーポレイテッド (11)
【出願人】(505074285)セントレ ナショナル デ ラ レチャーチェ シャーティフィック (15)
【出願人】(509181703)ル’ウニベルシテ モントペルリエル 2 (2)
【Fターム(参考)】