説明

肺の炎症および線維症の予防および/または治療のための尿酸レベルを低下させることができる化合物の使用

本発明は、IL‐1β駆動性の肺病態の予防および/または治療のための、特に、慢性線維症、COPD、および間質性線維症などの肺炎症、ならびに自己免疫由来の肺病態を含むその他のIL‐1β駆動性の肺病態を治療するための、哺乳類の尿酸レベルを低下させることができる化合物の使用に関する。尿酸レベルを低下させる能力を有する好ましい化合物は、アロプリノールなどのキサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え酵素ウリカーゼ、およびプロベネシドなどの尿酸排泄促進することができる尿酸排泄性化合物からなる群より選択される。本発明はさらに、患者がIL‐1β駆動性の肺病態を示しているか、若しくはIL‐1β駆動性の肺病態を発症するリスクを有するかをインビトロで同定する方法、またはIL‐1β駆動性の肺病態を治療するための化合物のスクリーニング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、IL‐1β駆動性の肺病態の予防および/または治療のための、特に、慢性線維症、COPD、および間質性線維症などの肺炎症、ならびに自己免疫由来の肺病態を含むその他のIL‐1β駆動性の肺病態を治療するための、哺乳類の尿酸レベルを低下させることができる化合物の使用に関する。尿酸レベルを低下させることができる好ましい化合物は、アロプリノールなどのキサンチンオキシダーゼ阻害剤、組換え酵素ウリカーゼ、およびプロベネシドなどの尿酸排泄を促進することができる尿酸排泄性化合物からなる群より選択される。本発明はさらに、患者がIL‐1β駆動性の肺病態を示しているか、若しくはIL‐1β駆動性の肺病態を発達させるリスクを有するかをインビトロで同定する方法、または治療を必要とする患者においてIL‐1β駆動性の肺病態を治療するための化合物のスクリーニングのための方法に関する。
【0002】
微生物成分および細胞の損傷は、危険シグナルを提示し、自然免疫を誘発して、炎症および修復をもたらす(4)。死につつある細胞は、免疫系に警告を発して自然免疫および獲得免疫を刺激する危険シグナルを放出する(5、6)。死につつある細胞から放出される危険シグナルは、TLRなどの膜受容体(7、8、9、39)、またはNLRなどのサイトゾル受容体(10〜14、36)を介して細胞レベルで認識される。傷害細胞からの核酸は急速に分解され、プリンが尿酸に変換される。プリンの異化反応生成物である尿酸は、死につつある細胞中で識別され、樹状細胞の成熟化および抗原提示機能を誘発する(16)。大量の尿酸が、腫瘍化学療法の後に傷害組織からインビボで産生され、高尿酸血症を引き起こす(17)。尿酸は、局所濃度が高いと析出し、臨床的痛風で見られる炎症を引き起こす結晶を形成する(57)。尿酸結晶は、カスパーゼ‐1を含有するNALP3インフラマソームを活性化し、活性インターロイキン(IL)‐1βの産生がもたらされる(10)。
【0003】
痛風を含む高尿酸血症候群は、尿酸産生の阻害、分解または尿排泄の促進によって効果的に治療することができる(プリン代謝を示す図9のスキームを参照)。
【0004】
間質性肺線維症は、死を伴う呼吸不全を引き起こすことが多い急性肺傷害の再発性エピソードを伴う慢性疾患である。重要なことには、効果的な治療法が存在しない(1)。間質性肺線維症をもたらす再発性肺炎症の原因はほとんど分かっていない。しかし、汚染物質による慢性的な気道刺激、放射線照射、またはブレオマイシンによる腫瘍化学療法が、類似の線維性肺病態を引き起こす場合がある。ブレオマイシンは、実験的環境において酸化障害および細胞死を引き起こし、これが肺炎症および間質性肺線維症に類似する線維症を誘発する(2、38)。この実験モデルでは、炎症、修復、および線維症がIL‐1β産生およびIL‐1R1/MyD88シグナル伝達に依存すること、ならびにブレオマイシン誘発性の炎症にはインフラマソーム複合体の活性化が必要であることが実証された(3)。これらの公開された知見を図1に概略し、図7に図式的に示す。
【0005】
従って、肺炎症および肺線維症の予防および/または治療のための方法を提供するために、IL‐1βがどのようにして産生されるかを理解することが依然として望まれている。
【0006】
これが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0007】
本発明者らは、本明細書でブレオマイシン誘発性の炎症がNALP3インフラマソームの活性化に依存することを報告する。本発明者らは、本明細書で組織傷害の際に尿酸が肺の中で局所的に産生され、炎症性サイトカインIL‐1βの産生を介して炎症および線維症を引き起こすことを実証した。鼻腔内の経路で与えられた尿酸結晶は、用量依存的なNALP3‐IL‐1R1依存性の炎症を引き起こした(図8に概略する)。
【0008】
尿酸の代謝は十分に明らかにされており、関連する点のみを紹介する:キサンチンオキシダーゼが、ヒポキサンチンを酸化してキサンチンおよび尿酸とし、これがウリカーゼによってアラントインへと分解され、腎臓によって排出される。腎臓内では、有機アニオントランスポーター、URAT1を遮断して尿細管再吸収を阻害することにより、尿酸の排出が促進される。
【0009】
尿酸レベルを低下させる引用した各メカニズムに対して阻害剤が当業者に公知であり、そのいくつかは臨床使用されている:
例えば、
・ アロプリノールは、キサンチンオキシダーゼ阻害剤であり、尿酸の形成を低減する。
・ 組換えウリカーゼは、尿酸を分解し、それによって高尿酸血症を低減する。
・ プロベネシドは、尿細管有機アニオントランスポーターを阻害し、それによって腎臓の排出を増加させる。
【0010】
従って、尿酸レベルを低下させる治療ツールは、傷害誘発性の細胞死並びに肺炎症および肺線維症を低減するために用いることができる。
【0011】
確かに、驚くべきことに、そして重要なことに、本発明者らは、キサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノールの投与による尿酸レベルの低下が、IL‐1β産生および肺炎症を阻害したことを実証した。加えて、組換え酵素ウリカーゼによる尿酸レベルの低下は、肺炎症に対して同等の阻害効果を有していた。
【0012】
これは、尿酸が肺炎症および肺線維症に決定的に関与していることを示す初めての報告であり、本発明者らは、尿酸の低下がIL‐1βの産生を阻害し、それによって肺の炎症および線維症が阻止されるという強い証拠を提示する。
【0013】
細胞/組織の傷害および壊死が尿酸の産生をもたらすという事実に基づき、本発明者らは、傷害部位で形成される尿酸結晶が、インフラマソームを活性化してIL‐1βを放出させ、炎症性肺病態を引き起こす重要な危険シグナルを表すのではないかという仮説を立てた(図8に図式的に示す)。
【0014】
本発明者らは、尿酸がブレオマイシン肺傷害で放出されることを特に実証し、プロIL‐1βを開裂して成熟IL‐1βとし、続いて肺の炎症および線維症を引き起こすカスパーゼ‐1の活性化をもたらすNALP3インフラマソームの活性化に、尿酸が決定的に関与している強い証拠を提示する(図8)。
【0015】
本発明は、IL‐1β駆動性の肺病態の予防および/または治療を意図する組成物の調製のための、哺乳類において尿酸レベルを低下させることができる化合物の使用に関する。
【0016】
本発明はまた、予防および/または治療を必要とする哺乳類、特にヒトにおけるIL‐1β駆動性の肺病態の予防および/または治療のための方法であって、そのような哺乳類に対して血清中の尿酸を低下させる有効量の治療化合物を投与することによる方法を含んでなる。
【発明の具体的説明】
【0017】
好ましい態様では、前記IL‐1β駆動性肺病態は、肺炎症、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性線維症などの肺線維症、ならびに自己免疫由来の肺病態からなる群より選択される。
【0018】
好ましい慢性閉塞性肺疾患は、喘息、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、およびアレルギーを含むいずれかの炎症性肺疾患からなる群より選択される。
【0019】
より好ましい態様では、前記IL‐1β駆動性の肺病態は、線維症および呼吸不全を引き起こす肺炎症からなる群より選択される。
【0020】
別の好ましい態様では、尿酸レベルを低下させることができる化合物は:
‐ 尿酸の産生を阻害することによって尿酸濃度を低下させることができるキサンチンオキシダーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩;
‐ 尿酸のより容易に排泄されるアラントインへの変換を触媒するウリカーゼ若しくは尿酸オキシダーゼ、またはそれらの機能断片;および、
‐ 尿酸の排泄を促進する能力を有し、腎臓の尿酸の排出を増加させる尿酸排泄性化合物、若しくは、尿細管有機アニオントランスポーターの阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、
からなる群より選択される。
【0021】
以下からなる群より選択されるキサンチンオキシダーゼ阻害化合物がより好ましい:
‐ アロプリノール、
‐ 構造的にアロプリノールと関連する、ピラゾール[3,4‐d]ピリミジン。その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、Gupta et al., Eur J Med Chem. 2008; 43(4):771-80)、
‐ アザプロパゾン(3‐ジメチルアミノ‐7‐メチル‐1,2‐(n‐プロピルマロニル)‐1,2‐ジヒドロ‐1,2,4‐ベンゾトリアジン二水和物(その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、Thiele et al.、1981年12月15日、米国特許第4,305,942号を参照)、
‐ 置換チアゾロピリミジン(その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、Yoshida et al.、2007年8月7日、米国特許第7,253,154号を参照)、
‐ 1位、2位、若しくは4位にて置換アルキル基で置換されていてよく、かつ、3位および5位に芳香族環を有する1,2,4‐トリアゾール化合物、その水和物、または塩(その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、Nakamura et al.、2006年7月11日、米国特許第7,074,816号を参照)、ならびに、
‐ 2‐[3‐シアノ‐4‐(2‐メチルプロポキシ)フェニル]‐4‐メチルチアゾール‐5‐カルボン酸(高尿酸血症および痛風の患者に対するアロプリノールの考え得る代替薬であり、キサンチンオキシダーゼの非プリン選択性阻害剤である、フェブキソスタット(Becker, et al., N. Engl. J. Med., Volume 353:2450-2461, 2005, Number 23)。
【0022】
同様に、アスペルギルスフラバス(Aspergillus flavus)から抽出された尿酸オキシダーゼ(Uricozyme(商標)として知られる)などの精製されたウリカーゼ若しくは尿酸オキシダーゼ、好ましくはラスブリカーゼ(サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)で発現させたアスペルギルスフラバス由来の組換え尿酸オキシダーゼ)などの組換えウリカーゼ若しくは尿酸オキシダーゼ、またはそれらの機能断片がより好ましい。
【0023】
ウリカーゼよりも抗原性が低く、血清中尿酸濃度を迅速に低下させることができる、ペグ化ウリカーゼ(Bomalaski et al., Curr. Rheumatol. Rep 2004; 6:240-247)がより好ましい。ペグ化ウリカーゼまたは尿酸オキシダーゼとは、ポリ(エチレングリコール)若しくはポリ(エチレンオキシド)(共にPEGと称する)と共有結合した天然または組換えウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)を示すことを意図しており、特に、平均で2〜10のPEG鎖が各ウリカーゼサブユニットとコンジュゲート(conjugate)しており、好ましくは、PEGは約5kDa〜100kDaの平均分子量を有する。得られたPEG‐ウリカーゼコンジュゲートは、実質的に非免疫原性であり、および未修飾酵素の尿酸分解活性の少なくとも75%を保持することが示された(その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、2003年6月6日公開の米国特許第6,576,235号を参照)。
【0024】
以下からなる群より選択される尿酸排泄性化合物もまた、尿酸レベルを低下させることができるより好ましい化合物である:
‐ プロベネシド(アニオントランスポーター阻害剤である、4‐[(ジプロピルアミノ)スルホニル]安息香酸)、
‐ ベンズブロマロン(3,5‐ジブロモ‐4‐ヒドロキシフェニル‐2‐エチル‐3‐ベンゾフラニルケトン)、
‐ スルフィンピラゾン(1,2‐ジフェニル‐4‐(2‐フェニルスルフィニルエチル)ピラゾリジン‐3,5‐ジオン)、および、
‐ トロンボキサンシンターゼ阻害剤および/またはトロンボキサン受容体拮抗剤(その開示事項すべてが参照することで本明細書に組み入れられる、Piraino et al.、1991年6月4日、米国特許第5,021,448号を参照)。
【0025】
好ましい態様では、前記組成物は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射により、または経口で投与される。
【0026】
活性成分の1日の用量は、治療のために選択される投与経路に依存する。用量はまた、検査される患者の生物サンプル中に見られる尿酸の量にも依存するであろう。年齢、体重、ならびに治療前および/または治療中に測定された血清中、血漿中、または尿中濃度に関連して得られたデータの関数として最適用量を決定する方法が当業者に公知である。
【0027】
例えば、肺炎症、肺線維症、および自己免疫由来の肺病態などの前記IL‐1β駆動性の肺病態の予防または治療のためには、キサンチンオキシダーゼ阻害成分である活性アロプリノールまたはフェブキソスタットを、約1500mg/dまで、好ましくは約1000mg/gまで、約40〜約750mg/dの1日量で、より好ましくは80〜500mg/d、および120〜400mg/dの範囲の1日量で、そのような病態に罹患している対象へ数日間にわたって投与してよい。
【0028】
例えば、肺炎症、肺線維症、および自己免疫由来の肺病態などの前記IL‐1β駆動性の肺病態の予防または治療のためには、経口経路での活性プロベニシド成分は、約1週間は1日2回で100〜250mg、その後数週間は1日2回で200〜500mgであってよい。
【0029】
例えば、肺炎症、肺線維症、および自己免疫由来の肺病態などの前記IL‐1β駆動性の肺病態の予防または治療のためには、活性ウリカーゼ成分を、約2mg/kg/dまで、好ましくは約0.75、0.50、および0.35mg/kg/dまで、好ましくは約0.10〜0.30mg/kg/d、より好ましくは約0.15〜0.25mg/kg/dの範囲の1日量で、好ましくは静脈内注射によって、そのような病態に罹患している対象へ数日間にわたって投与してよい。例えば、ウリカーゼ成分は、4‐および8‐mgの用量で2週間ごとに、または8‐若しくは12‐mgの用量で4週間ごとに、12週間にわたって静脈内注射として投与してよい。血清/血漿中のウリカーゼ濃度、血清/血漿中の尿酸若しくは尿酸塩、および所望される場合は血清/血漿中の抗体抗ウリカーゼを、治療をより良く調節するために治療中に測定してよい(seng Yue et al., The Journal of Clinical Pharmacology 2008; 48:708)。当業者には、年齢、体重、ならびに前記血清/血漿中濃度に関連して得られたデータの関数として最適用量を決定する方法が公知である。
【0030】
別の側面では、本発明は、患者がIL‐1β駆動性の肺病態を示しているか、またはIL‐1β駆動性の肺病態を発症するリスクを有するかをインビトロで同定する方法であって、以下の工程:
a) 検査される患者から、生体液サンプル、特に血清、血漿、または尿サンプルを採取する工程;
b) 尿酸または尿酸塩のレベルを測定する工程;および
c) 検査される患者について得られた尿酸レベルを、正常患者および/またはIL‐1β駆動性の肺病態を示す患者について得られた血液サンプル中の尿酸若しくは尿酸塩のレベルと比較することによって、前記患者がそのような病態を示しているか、またはそのような病態を発症するリスクを有するかを同定する工程
を含んでなる方法である。
【0031】
好ましくは、検査される患者は、肺炎症などの肺病態の症状を示す。
【0032】
好ましくは、生物サンプルは、血清、血漿、または尿サンプルである。
【0033】
検査される患者から採取可能である場合は、気管支肺胞洗浄液サンプルを用いてもよい。
【0034】
好ましくは、血清または血漿サンプル中の70mg/L、より好ましくは80、90、および100mg/Lの尿酸を超える尿酸コントロールの測定は、そのような肺病態を発症する、またはそのような病態を示すリスクの上昇を意味する。
【0035】
血清または血漿サンプルなどの生体液サンプル中の尿酸を測定するための方法は、当業者に公知である。それらは、例えば、酵素ウリカーゼを用いる酵素による方法、尿酸がアルカリ性リンタングステン酸塩を還元する能力に基づく方法、またはその他の化学的比色法であってよい。これらは、現時点で尿酸または尿酸塩アッセイのために今日使用されている広範囲にわたる種々の方法である。例えば、血清中尿酸レベルを蛍光法または比色法を用いて測定することができる、バイオビジョン(バイオビジョンリサーチプロダクツ(Bio Vision Research Products)、980 リンダビスタアベニュー(Linda Vista Avenue),マウンテンビュー,カリフォルニア州 94043 米国)の尿酸アッセイキット(カタログ番号K608‐100)、またはモレキュラープローブズ(Molecular Probes)(29851 ウイロークリークロード(Willow Creek Road),ユージーン,オレゴン州 97402,米国)のAmplex(商標)赤色尿酸/ウリカーゼアッセイキット(A22181)を挙げることができる。
【0036】
別の側面では、本発明は、IL‐1β経路に関連する肺病態(「IL‐1β駆動性の肺病態」)の治療のための化合物をスクリーニングする方法であって、試験される前記化合物が、キサンチンオキシダーゼ阻害活性、ウリカーゼ活性、若しくは尿酸オキシダーゼ活性を有するか、または尿酸排泄性化合物であるか、若しくは腎臓の尿酸の排出の増加をもたらす尿細管有機アニオントランスポーターの阻害剤であるかを同定する工程を含んでなる、方法である。
【0037】
好ましくは、治療される前記IL‐1β経路に関連する肺病態は、肺炎症、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および間質性線維症などの肺線維症、ならびに自己免疫由来の肺病態からなる群より選択される。
【0038】
より好ましくは、治療される前記IL‐1β経路に関連する前記肺病態は、線維症および呼吸不全を引き起こす肺炎症である。
【0039】
本発明のその他の特徴および利点は、実施例、およびその説明が以下に示される図面により、その記載の続きに示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1A〜図1Fは、ブレオマイシン誘発性の肺炎症および線維症がIL‐1βに依存することを示す図である。
【図2】図2A〜図2Fは、肺におけるブレオマイシン誘発性のIL‐1β産生がインフラマソーム活性化に依存することを示す図である。
【図3】図3A〜図3Eは、ブレオマイシン投与によって尿酸が肺で産生されること、およびアロプリノールによる尿酸合成の阻害が肺炎症を阻止することを示す図である。
【図4】図4A〜図4Cは、ウリカーゼによる尿酸の分解が、ブレオマイシン誘発性の肺炎症を阻害することを示す図である。
【図5】図5A〜図5Dは、外来性尿酸結晶が、炎症およびIL‐1β産生を引き起こすことを示す図である。
【図6】図6A〜図6Hは、外来性尿酸結晶誘発性の炎症が、NALP3インフラマソーム活性化に依存することを示す図である。
【図7】図7は、ブレオマイシン誘発性のIL‐1β産生、炎症、および線維症に関する本発明者らの発表済みデータの図式的な概略である。
【図8】図8は、新規データ:ブレオマイシン肺傷害による肺での尿酸産生が、IL‐1βの産生と共にNALP3インフラマソームを活性化し、肺炎症および線維症をもたらすことを示す図である。
【図9】図9は、尿酸の合成と代謝:アロプリノールおよび関連するキサンチンオキシダーゼ阻害剤ならびにウリカーゼによる尿酸の低下を示す図である。
【図10】図10A〜図10Fは、ブレオマイシン誘発性の肺炎症およびリモデリングがNALP3およびASCタンパク質に依存することを示す図である。野生型、NALP3、IL‐1R1、またはASC欠損マウスにブレオマイシン(BLM、10mg/kg)の鼻腔内滴下(i.n.)滴下の24時間後における、(A)BALF中の好中球カウント、(B)肺ホモジネート中のMPO活性、(C)KC、(D)IL‐6、(E)IL‐1β、および(F)肺ホモジネート中のTIMP‐1の濃度。本実験では、4回のみの戻し交配を行ったASC−/−を、その同腹仔ASC+/+と比較した。これらのデータは、C57BL/6へ10世代にわたり戻し交配を行ったASC−/−で再現された。データは、4つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=5;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;ns、有意性なし)。
【図11】図11A〜図11Eは、ブレオマイシン誘発性の炎症が、カスパーゼ‐1に依存することを示す図である。BLM(10mg/kg)のi.n.滴下の24時間後における、野生型マウス、またはカスパーゼ‐1(Casp‐1)欠損マウスのBALF中の好中球カウント(A)。BLM投与の直前、4および8時間後に、媒体、またはCasp‐1の阻害剤Z‐yvad‐fmk(10mg/kg)をi.p.注射した野生型マウスのBLM(10mg/kg)のi.n.滴下の24時間後における、BALF中の好中球カウント(B)、肺ホモジネート中のIL‐1β(C)、KC(D)、およびTIMP‐1(E)の濃度。データは、3つの独立した実験を代表するものであり、平均値として表される。
【図12】図12A〜図12Dは、遅発型炎症およびリモデリングがNALP3インフラマソームに依存することを示す図である。遅発型炎症および組織リモデリングを、野生型および欠損マウスにてブレオマイシン投与(5mg/kg、i.n.)の14日後に評価した。(A)BALF中のリンパ球として測定した遅発型炎症。(B)BALF中のプロ‐MMP‐9(100Kd)、プロ‐MMP‐2(71Kd)、および活性MMP‐2(65Kd)ゼラチナーゼの活性を、酵素電気泳動で分析した。(C)線維症プロセスの指標としての肺中のTIMP‐1を、ELISAで測定した。(D)肺中の全コラーゲンをSircolアッセイによって分析した。データは、3つの独立した実験からの平均値±SDを表す(グループあたりのマウスn=6;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;ns、有意性なし)。
【図13】図13A〜図13Gは、ブレオマイシン誘発性の炎症が尿酸合成の阻害によって低減することを示す図である。(A)生理食塩水またはブレオマイシン(BLMの鼻腔内滴下(10mg/kg)の6時間後におけるマウスのBALF中の尿酸レベル。(B)生理食塩水またはBLM処理の24時間後におけるマウスの肺中の尿酸レベル。マウスは、BLM滴下の前ならびに6および9時間後に、媒体またはアロプリノール(25mg/kg)の皮下(s.c.)注射を受けた。媒体またはアロプリノールのs.c.注射、および生理食塩水またはBLM滴下の後における、BALF中の(C)全細胞カウント、ならびに(D)好中球カウント。媒体またはアロプリノールのs.c.注射、およびBLM滴下の24時間後における、肺中のKC(E)、IL‐1β産生(F)、または24時間後における肺ホモジネート中のTIMP‐1(G)産生。データは、3つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=6;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001)。
【図14】図14A〜図14Cは、ブレオマイシン誘発性の炎症が尿酸の中和によって低減することを示す図である。BLM滴下(10mg/kg)の24時間後における、肺中の尿酸レベル(A)、BALF中の好中球カウント(B)、および肺中のIL‐1産生(C)。マウスは、BLMによる滴下の直前ならびに6および9時間後に、媒体またはウリカーゼ(0.2mg/kg)によるi.p.注射を受けた。データは、4つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=6;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001)。
【図15】図15A〜図15Fは、ブレオマイシン誘発性の修復および線維症が、尿酸によって媒介されることを示す図である。BLM滴下(5mg/kg、i.n.)の0、6および9時間後に、アロプリノール(15mg/kg、s.c.)、ウリカーゼ(0.2mg/kg、i.p.)、または生理食塩水を第0日に、ならびに8または14日間にわたって1日おきに注射して、リモデリングおよび線維症を評価した。(A)第8日におけるBALF中のリンパ球および好中球として測定した遅発型炎症。(B)酵素電気泳動により分析したプロ‐MMP‐9(100Kd)、プロ‐および活性MMP‐2(65Kd)ゼラチナーゼの活性は、第14日に、媒体処理マウスのBALF中では上方制御されたが、アロプリノールまたはウリカーゼ処理マウスのBALF中では、より少なかった。(C)線維症プロセスの指標としての肺中のTIMP‐1は、BLM投与の8日後に生理食塩水処理マウスで上方制御されたが、アロプリノール処理マウスでは上方制御されなかった。(D)BLM投与の14日後のウリカーゼまたはアロプリノール処理の後に、肺中のアルファ(I)コラーゲンI mRNAを、リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により分析した。データは、3つの独立した実験からの平均値±SDを表す(グループあたりのマウスn=6;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;ns、有意性なし)。(E)肺の顕微鏡切片は、生理食塩水対照マウスと比較して、BLMで処理した野生型マウスでは、第14日にて、コラーゲン沈着を伴う広範囲の線維症領域を示した。BLMで誘発された線維症は、アロプリノールにより有意に低減した。クロモトロープアニリンブルー(CAB)染色、20×および200×の拡大倍率。(F)ブレオマイシンにより誘発された傷害部を、2人の病理学者により記述した通りに半定量的に評価した(材料と方法、を参照)。肺の破壊、肺胞隔壁の肥厚、および線維症が、ウリカーゼまたはアロプリノールで処理したマウスで低減した。結果は、平均肺線維症スコア±SDとして表される。データは、3つの独立した実験からの平均値±SDを表す(グループあたりのマウスn=6)。
【図16】図16A〜図16Eは、外来性尿酸結晶が急性肺炎症およびリモデリングを引き起こすことを示す図である。(A)肺胞マクロファージ(AM)による尿酸(UA)結晶の、UA結晶滴下(15mg/kg i.n.)の6時間後における取り込み。(B)BALF中のUA結晶誘発性の細胞動員の用量反応。(C)UAまたはアロプリノール結晶の滴下(15mg/kg i.n.)の6時間後におけるBALF中の好中球カウント。(D)UA結晶滴下(15mg/kg i.n.)によるBALF中の細胞動員の動態。(E)用量を増加させたときのUA結晶のi.n.投与後の肺ホモジネート中のTIMP‐1。データは、3つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=4;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001)。
【図17】図17A〜図17Jは、外来性尿酸(UA)結晶による肺炎症が、NALP3インフラマソームおよびIL‐1R1/MyD88経路に依存することを示す図である。外来性UA結晶の滴下(15mg/kg)の6時間後に、アナキンラ(10mg/kg)でi.p.により前処理した、(A)NALP3、(C)ASC、(E)IL‐1R1またはMyD88の欠損マウスからのBALF中、および(F)野生型マウスからの、BALF中の好中球カウント。野生型マウスと比較した、(B)NALP3、(D)ASC、(F)IL‐1R1またはMyD88の欠損マウスに対する、外来性UA結晶投与の6時間後における肺ホモジネート中のIL‐1β用量。野生型、またはIL‐1R1若しくはMyD88遺伝子欠損マウスへの外来性UA結晶投与の6時間後における、肺ホモジネート中の(G)IL‐6、(H)KC、(I)TIMP‐1およびIL‐1β用量。データは、3つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=4;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001)。
【図18】図18A〜図18Dは、外来性尿酸(UA)結晶による肺炎症が、IL‐18Rには依存しないが、最適な炎症にはTLR2またはTLR4が必要であることを示す図である。TLR2、TLR4、またはTLR2/TLR4欠損マウスにおける(A)BALF中の好中球カウント、および(B)肺ホモジネート中のIL‐1β。IL‐18R欠損マウスにおける(C)BALF中の好中球カウント、および(D)肺ホモジネート中のIL‐1β。マウスは、外来性UA結晶の滴下(15mg/kg)の6時間後に屠殺した。データは、3つの独立した実験を代表するものであり、平均値±SDとして表される(グループあたりのマウスn=4;、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001;ns、有意性なし)。
【図19】図19Aおよび図19Bは、ブレオマイシン誘発性の肺傷害の後(A)または外来性尿酸結晶への肺の曝露後(B)における、具体的なカスケードおよびシグナル伝達経路を示す概略図である。(A)本発明者らはまず、肺細胞、恐らくは上皮細胞のブレオマイシン誘発性の傷害が、肺のIL‐1β産生、炎症、およびリモデリングを引き起こし、これらが、NALP3受容体、ASCアダプター、およびCasp‐1エフェクター分子に依存することを示す。第二に、発明者らは、肺へのブレオマイシン投与が、傷害によって死につつある肺細胞から発生すると考えられる危険/ストレスシグナルを表す肺での尿酸の放出を誘発することを示す。NALP3タンパク質の活性化は、PYR‐PYRおよびCARD‐CARDホモタイプ相互作用を介して相互作用を起こすことが公知であるASCおよびCasp‐1の動員を引き起こす。局所濃度の上昇は、恐らく尿酸の結晶化を誘発する。インビボで尿酸合成を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノールによる処理、または尿酸を可溶性アラントインへと迅速に分解するウリカーゼによる処理を行うことで、ブレオマイシン投与による肺中の尿酸濃度の上昇が阻止され、IL‐1β産生、炎症、リモデリング、および線維症の減少がもたらされる。(B)肺が外来性尿酸結晶へ曝露されると、TIMP‐1の蓄積を伴う線維症への発展に特徴的な炎症およびリモデリングが誘発される。尿酸結晶が誘発するIL‐1β産生、炎症、およびリモデリングは、NALP3インフラマソームに依存する。IL‐1β産生および細胞流入には、TLR2またはTLR4の存在が必要である。TLR2および/またはTLR4は、結晶誘発性のプロ‐IL‐1βの産生、または肺胞マクロファージおよび/または常在細胞(resident cells)による尿酸結晶の取り込みに関与している可能性がある。
【実施例】
【0041】
実施例1:材料と方法
マウス
マウスは、販売元から購入するか、または研究所由来のものを入手し、過去の報告(3)および(40)の通りに飼育する。動物実験はすべて、フランス政府による倫理および動物実験に関する法規制(French Government's ethical and animal experiment regulations)に従った。本研究では、以下のMyD88(19)、IL‐1R1(20)、IL‐18R(21)、Casp‐1(22)、TLR4(23)、TLR2(24)、NALP3(10)、またはASC(25)の欠損マウスを用いた。4回のみの戻し交配を行ったASC−/−をそのASC+/+同腹仔と比較した図1を除き、MyD88−/−、Casp‐1−/−、TLR2−/−、ASC−/− TLR4−/−、二重欠損TLR2−/−TLR4−/−、およびIL‐18Rを、野生型C57BL/6遺伝的背景へ10回にわたり戻し交配を行った。IL‐1R1−/−マウスは、7回の戻し交配を行い、NALP3−/−マウスは、C57BL/6遺伝的背景に直接作出した。対照C57BL/6を含むすべてのマウスは、トランスゲノス研究所(Transgenose Institute)(CNRS、オルレアン)の本発明者らの動物施設で飼育した。実験のために、成体動物(6〜10週齢)を、滅菌した換気付隔離ケージで飼育した。動物実験はすべて、フランス政府による倫理および動物実験に関する法規制に従った。
【0042】
ブレオマイシン−、尿酸またはアロプリノール結晶−誘発性の炎症
ベロンラボラトリーズ(Bellon Laboratories)(モンルージュ、フランス)製の硫酸ブレオマイシン(200〜300μgまたは10〜15mg/kg)の生理食塩水、尿酸若しくはアロプリノール結晶(100〜1000μgまたは5〜50mg/kg)の生理食塩水、または生理食塩水単独を40μLの容量で、軽いケタミン‐キシラジン麻酔下で、経鼻滴下により気道を通して投与する。気管支肺胞腔中および肺中の細胞数、ケモカイン、サイトカイン、およびTIMP‐1を、報告された通りに評価した(3)。ブレオマイシンの投与時並びに6および9時間にて、0.1mlの滅菌NaCl中の500μgまたは25mg/kgのアロプリノール(シグマ‐アルドリッチ)を皮下注射し、40μL中の4μgまたは0.2mg/kgのウリカーゼ(Fasturtec、サノフィシンセラボ(Sanofi Synthelabo))を経鼻滴下によって投与した。いくつかの実験では、0.1mlの滅菌NaCl中の200μgまたは10mg/kgのIL‐1Ra(アナキンラ、アムジェン)を、MSU結晶の投与時並びに2および4時間に皮下注射した。
【0043】
‐尿酸またはアロプリノール結晶の調製
尿酸またはアロプリノール結晶は、予め70℃に加熱し、pHを7.1と7.2の間に維持するように添加された0.01MのNaOHへ1.68mgの粉末を溶解することで得た。この溶液をろ過し、結晶が形成するまでゆっくり連続的に攪拌した状態で室温にてインキュベートした。結晶を100%エタノールで2回洗浄し、乾燥し、オートクレーブにかけ、滅菌状態を維持した。乾燥結晶の重量を滅菌条件下にて測定し、結晶を超音波処理によってPBS中に懸濁させ、位相差顕微鏡で観察した。
【0044】
‐肺炎症モデルの実験設計
ベロンラボラトリーズ製の硫酸ブレオマイシン(10mg/kg)、尿酸若しくはアロプリノール結晶(5〜50mg/kg)の生理食塩水、または媒体単独を、軽いケタミン‐キシラジン麻酔下で、鼻腔内滴下によって投与し、6時間後(尿酸結晶の場合)または24時間後(ブレオマイシンの場合)に、細胞動員および特に好中球流入、KC、IL‐6、およびIL‐1βを含むケモカインならびにサイトカインレベルを含む炎症のマーカーについて、そして14日後に、ゼラチナーゼMMP9およびMMP2、ならびにこれらの阻害剤であるTIMP‐1などの組織リモデリングのマーカーについて、BALおよび肺組織のアッセイを行った。いくつかの実験では、類似の効力を有する25mg/kgのアロプリノール(シグマ‐アルドリッチ)を皮下注射し、0.2mg/kgのウリカーゼ(Fasturtec、サノフィシンセラボ)を腹腔内投与または鼻腔内投与した。10mg/kgのIL‐1Ra(アナキンラ、アムジェン)を皮下注射した。アロプリノールまたはウリカーゼの最適用量を試験し、用量を上げるよりも、繰り返し投与するほうがより効果的であった(データ省略)。
【0045】
気管支肺胞洗浄液(BALF)
気管の切除後、プラスチック製カニューレを挿入し、37℃に加温した0.3mlのPBS溶液を用いて気腔を洗浄した。次に、胸郭部を緩やかにマッサージして細胞回収を最大とした。液を注意深く吸引して回収した。この手順を10回行い、全洗浄液の回収率は95%超であった。回収したサンプルを2つの画分に分け:第一の画分(最初の2回の洗浄に相当する1ml)はメディエーターの測定に用い、第二の画分は細胞測定に用いた(4ml)。第一の画分を遠心分離し(600g、10分間)、上清を分別してメディエーター測定まで−80℃で保存した。次に、細胞ペレットを0.4mlのPBS中に再懸濁し、第二の画分と共にプールし、細胞測定まで4℃で維持した。
【0046】
肺の均質化
BALの実施後、肺全体を摘出し、1mlのPBSと共にマイクロチューブ内(ライジングマトリックスD、Qバイオジーン(Q Bio Gene),イルクリッシュ(Illkrich),フランス )に投入し、Fastprep(商標)システム(FP120、Qバイオジーン,イルクリッシュ,フランス )を用いて全肺組織抽出物を調製し、続いてこの抽出物を遠心分離し、上清を、メディエーター測定、MPO、またはSircolコラーゲンアッセイ(フランスバイオケムディビジョン(France Biochem Division),フランス)によるコラーゲンアッセイまで−80℃で保存した。
【0047】
肺中のミエロペルオキシダーゼ活性(MPO)
肺組織MPO活性を報告された通りに評価した(3)。簡潔に述べると、右心室を生理食塩水で灌流して血管内容物を洗い流し、使用するまで肺を−20℃で凍結した。肺をポリトロンで均質化し、遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを、0.5%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HTAB)および5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有するPBS1mL中に再懸濁した。遠心分離に続いて、上清50μlを、200μL PBS‐HTAB‐EDTA、2mL ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、100μL o‐ジアニシジン二塩酸塩(1.25mg/mL)、および100μL H0.05%と共に試験管へ投入した。攪拌機中37℃での15分間のインキュベーションの後、100μL NaN 1%で反応を停止させた。MPO活性を、媒体に対する460nmでの吸光度として測定した。
【0048】
細胞カウントおよび測定
粒子カウンター(Z2コールター、ベックマンコールター(Beckman Coulter))を用いてBAL液中の全細胞カウントを測定した。メイグリュンワルド染色液(MG‐1L、シグマケミカル,セントルイス,米国)で4分間、95%ギムザ染色液(GS‐500、シグマケミカル,セントルイス,米国)で8分間の染色後、細胞別カウントをサイトスピンプレパラート(サイトスピン3、サーモシャンドン(Thermo Shandon))上で行った。細胞別カウントは、標準的な形態学的基準を用いて100個の細胞で行った。
【0049】
メディエーター測定
BAL液中または肺ホモジネート中のIL‐1β、KC、IL‐6、およびTIMP‐1のレベルを、ELISAアッセイキットを用い、製造元の説明書に従って測定した(マウスDuoSet、R&Dシステム,ミネアポリス,米国)。天然および組換えマウスIL‐1βに特異的であるIL‐1β ELISAアッセイキット(マウスIL‐1β/IL‐1F2)は、組換えマウスIL‐1α、IL‐1ra、IL‐1RI/Fcキメラ、またはIL‐1RII/Fcキメラとの交差反応性も干渉も示さなかった(マウスIL‐1特異的ポリクローナルヤギIgGおよびモノクローナルラットIgG1、クローン番号30311)。
【0050】
尿酸測定
気管支肺胞洗浄液中および肺ホモジネート中の尿酸濃度を、Amplex(商標)Red尿酸/ウリカーゼアッセイキット(モレキュラープローブ、ユージーン)を用いて測定した。簡潔に述べると、ウリカーゼは、尿酸の、アラントニン、過酸化水素(H)、および二酸化炭素への変換を触媒する。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の存在下、HはAmplex Red試薬と化学量論的に反応して赤色蛍光酸化生成物であるレゾルフィンを生成し、これが分光光度測定される。
【0051】
MMPの酵素電気泳動分析
MMP‐2およびMMP‐9のレベルをゼラチン酵素電気泳動法で測定した。簡潔に述べると、BAL液の非還元上清サンプル(15μl)および標準液(161‐0305、バイオラッド,ハーキュリーズ,米国)を、0.1%(重量/体積)ゼラチン基材を組み込んだ7%ポリアクリルアミドゲル(重量/体積)上に充填した。ゼラチン分解バンド中のMMPを、レファレンスとして組換えマウスプロ‐MMP‐9(100Kd)および組換えマウスプロ‐MMP‐2(72Kd)を用いて評価した。タンパク質を、20〜30mAにて3時間電気泳動にかけた。次にゲルを2.5%トリトン(体積/体積)で2回洗浄し、蒸留水で素早く3回リンスし、蒸留水中への20分間の浸漬を3回行った。各々の異なる方法での洗浄は、ゆっくり攪拌しながら行なった。ゲルを、50mMのトリスバッファー(5mM CaClおよび2μM ZnCLを含有)中にて37℃で一晩インキュベートした。最後に、クーマシーブルーでゲルを染色し、続いてゲル中の溶解のバンド(酵素活性)がネガティブ染色の領域として出現するまで、徐々に脱色した。ゲル中の溶解領域をデンシトメトリーアナライザー(バイオプロフィル(Bioprofil)、ビルベールロルネ(Vilbert Lournet),マルヌラバレ(Marne la vallee),フランス)を用いて分析し、イメージを撮影し、バンド密度を測定した。ブレオマイシンによる処理後、本発明者らは、プロ‐MMP‐9(100Kd)、プロ‐MMP2(72Kd)、および活性MMP‐2(65Kd)の活性の上昇を観測した。これらのMMPのみを定量した。
【0052】
全肺コラーゲン測定
次に、肺ホモジネートの一部分(50μl)を、肺コラーゲンレベルについて分析し、製造元の説明書に従ってSircolコラーゲン色素結合アッセイを用い(バイオカラー(Biocolor Ltd),北アイルランド)、ウシ皮膚から調製した標準曲線と比較した。
【0053】
アルファ‐IコラーゲンmRNA測定
アルファ‐Iコラーゲンの定量は過去に報告されている(26)。簡潔に述べると、凍結肺サンプルを微粉末に粉砕し、2mlのトリゾール試薬中(インビトロジェンライフテクノロジー(In vitrogen Life technology),ペイズリー,英国)でホモジナイズした。激しく振とうした後、クロロホルムを添加し、サンプルを12,000gにて20分間遠心分離した。全RNAをイソプロパノールで沈殿させ、RNAseフリー水に溶解した。SuperScriptTMII (インビトロジェンライフテクノロジー,ペイズリー,英国)を用いてRNAをcDNAへ逆転写した。リアルタイム定量PCRを、SYBRグリーンPCRマスターミックス(アプライドバイオシステムズ)および装置ABIプリズム7000装置(パーキンエルマー、フォスターシティ,カリフォルニア州,米国)を用い、蛍光色素SYBRグリーン法によって実施した。標的mRNAレベルの定常状態の相対的定量を、活性レファレンスであるGAPDHにより算出した。
【0054】
組織学
BALおよび肺の灌流後、標準的な顕微鏡分析のために、大葉を4%の緩衝ホルムアルデヒド中で固定した。過去の報告(3)の通りに、3μmの切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)、またはクロマトロープアニリンブルー(CAB)で染色した。形態学的変化の激しさ(好中球および単核細胞による浸潤、肺胞隔壁の破壊および肥厚、ならびに線維症)を、数値による線維症スケール(アシュクロフトスコア(Ashcroft score))を用いて半定量的に評価した(27)。2人の別々の観察者による平均スコアを線維症スコア(0〜8)と見なした(IC、BR)。
【0055】
統計分析
実験グループ間の違いの統計的評価は、プリズムソフトウェアを用いたマンホイットニー検定によって行った。<0.05のP値を統計的に有意と見なした。
【0056】
実施例2:ブレオマイシン誘発性の肺炎症および線維症はIL‐1βに依存する
気道にブレオマイシンを投与すると、IL‐1β産生と共に炎症を伴う急性肺傷害、これに続く慢性炎症および線維症が引き起こされる(図1A〜1F)。炎症および線維症は、IL‐1R1欠損マウスでは抑止され、重要なことには、IL‐1受容体アンタゴニスト(IL‐Ra)アナキンラが肺炎症を軽減したことから、IL‐1R1依存性である。病態生理学のこの部分は新規であり、発表されている(3)。
【0057】
従って、本発明者らのデータは、ブレオマイシン誘発性の肺炎症がIL‐1βによって媒介されることを示している。しかし、IL‐1βがどのようにして産生されるかに関する情報は存在しない。
【0058】
肺におけるブレオマイシン誘発性のIL‐1β産生はインフラマソーム活性化に依存する
従って、本発明者らは、IL‐1βの放出を引き起こす上流のメカニズム、特にインフラマソーム、NALP3受容体から構成されるサイトゾル複合体、ASCアダプター、およびプロIL‐1βをIL‐1βへと開裂するシステインプロテアーゼの役割について研究した(28)。本明細書にて、本発明者らは、BALおよび肺における好中球の動員、ならびに炎症メディエーターKCおよびIL‐6(図2A〜2D)、およびIL‐1βおよび線維症性メディエーターTIMP‐1(図2E、2F)の産生が、NALP3およびASC欠損マウスで有意に減少したことを見出す。従って、このデータは、ブレオマイシン組織傷害が起こるとNALP3インフラマソームが活性化され、これがIL‐1βの成熟およびこれに続く炎症をもたらすことを示している。
【0059】
実施例3:ブレオマイシンの投与で尿酸が肺で産生され、尿酸の阻害が肺炎症を阻止する
a)どのメディエーターがNALP3インフラマソーム活性化を引き起こすか、および尿酸に焦点を当てる
本発明者らは、生理食塩水と比較してブレオマイシン後に、気管支肺胞洗浄液(BALF)(図3A)および肺中(図3B)の尿酸産生が高められたことを示した。
【0060】
b)尿酸レベルの阻害が炎症を低減するかどうか
第一に、本発明者らは、尿酸合成を阻害するキサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノールの全身投与が、ブレオマイシンによる肺中の尿酸の増加を阻止したことを示した(図3B)。
【0061】
第二に、本発明者らは、アロプリノールがブレオマイシン誘発性の炎症を大きく阻害し、結果としてBALF中の全細胞(図3C)および好中球動員(図3D)が減少したことを示した。
【0062】
さらに、修復プロセスに関与し、線維症への発展に特徴的な炎症性および線維症性サイトカインIL‐1βの産生、好中球ケモカインKC、および組織メタロプロテアーゼインヒビター1(TIMP‐1)の産生が、アロプリノールにより肺で減少し(図3E〜3F)、アロプリノールによりBALFで減少した(データ省略)。
【0063】
さらに、尿酸を可溶性のアラントインへ迅速に分解するウリカーゼによる処理もまた、ブレオマイシン誘発性の肺中の尿酸の増加(図4A)、肺IL‐1β産生、および好中球流入(図4B、4C)を低減した。
【0064】
これらのデータは、ブレオマイシン誘発性の肺炎症および修復が、尿酸によって媒介されることを示している。最も重要なことは、アロプリノールまたはウリカーゼの投与が、尿酸レベルおよび炎症を抑えるということである。従って、尿酸は、傷害の際に死につつある肺細胞から放出されると考えられる主たる危険シグナルであり、この尿酸は、肺傷害による炎症を制御するための新しい標的である。
【0065】
実施例4:外来性尿酸結晶が炎症およびIL‐1β産生を引き起こす
ブレオマイシン傷害によって肺から放出される尿酸は、NALP3インフラマソームの活性化を誘発しうる。従って、本発明者らは、結晶として投与された外来性尿酸が肺炎症を引き起こし得るかを課題とした。鼻腔内投与された尿酸結晶は、気道内にて肺胞マクロファージによって包み込まれることが分かり(図5A)、およびBALFにおいて用量依存的な細胞動員を誘発したが(図示せず)、これは一時的で、マクロファージおよび好中球は6時間で最大に達し、24時間で減少しており;ならびに、炎症は第14日に消散した(図5B)。化学的および構造的に類似しているアロプリノール結晶は、BALへの好中球の僅かな動員を引き起こしただけであった(図5C)。さらに、尿酸結晶は、線維症への発展に特徴な肺TIMP‐1発現を誘発した(図5D)。ヒトとは対照的に、マウスではその機能的ウリカーゼによって迅速な尿酸の分解が起こる可能性があり(37)、肺線維症の発症には、尿酸を繰り返し投与する必要があり得る。これらのデータは、尿酸結晶がブレオマイシンに類似の肺での炎症および修復を誘発することを初めて示すものである。
【0066】
実施例5:外来性尿酸結晶誘発性の炎症はNALP3インフラマソームに依存する
a)NALP3インフラマソームは尿酸結晶に誘発される肺炎症に関与している
外来性尿酸結晶誘発性の急性肺好中球動員およびIL‐1β産生は、NALP3受容体およびインフラマソームのASCアダプターが欠損したマウスで有意に減少した(図6A、6B)。さらに、尿酸結晶に対する炎症反応は、BALへの好中球の流入の減少によって示されるように、MyD88およびIL‐1R1欠損マウスにおいて、並びにIL‐1Raの投与後に、劇的に減少した(図6C、6D)。炎症メディエーターであるIL‐1β、IL‐6、KC、およびTIMP‐1が(図6E〜6H)、MyD88およびIL‐1R1欠損マウスにて減少した。MyD88欠損マウスの肺でIL‐1βが有意に減少したことは(図6E)、TLRまたはIL‐18Rなどの共通のMyD88アダプターを用いるその他の受容体が関与していることを示唆している。過去の研究では、尿酸結晶がTLR2およびTLR4受容体を活性化することが示唆されているが(31)、また、これらの受容体が尿酸結晶誘発性の痛風性炎症に関与していないことを示す研究もある(11)。
【0067】
b)尿酸結晶のTLR認識の役割
本発明者らは、TLR2‐4の二重欠損が炎症を軽減したことを見出しており、このことは、最適な炎症にはTLR2およびTLR4の活性の組み合わせが必要であり得ることを示している(31)。従って、尿酸結晶誘発性の炎症は、TLR2‐4に依存しているがIL‐18Rには依存していないと考えられ、NALP3インフラマソームを活性化し、およびIL‐1R1/MyD88を介してシグナルを発する。
【0068】
施例6:ブレオマイシンはインフラマソームNALP3を活性化し、肺においてIL‐1β産生および炎症を引き起こす
ブレオマイシンの単一用量を鼻腔内投与すると、24時間以内に気道の急速な炎症が誘発され、続いて14日以内に組織リモデリングおよび肺線維症が誘発される。本発明者らは、ブレオマイシン誘発性の肺傷害がIL‐1R1およびIL‐1βに依存する炎症を引き起こすことを示したことから(3)、IL‐1βの放出に繋がる上流のメカニズム、特に受容体、アダプター、およびプロIL‐1βをIL‐1βへ開裂するシステインプロテアーゼから構成されるサイトゾル多タンパク質複合体であるインフラマソームの役割について研究した(28)。本明細書にて、本発明者らは、ブレオマイシン投与の24時間後、BALFおよび肺での好中球動員(図10Aおよび10B)、炎症性ケモカインKCを引き寄せる好中球および炎症メディエーターIL‐6の産生(図10Cおよび10D)、並びに線維症性メディエーターIL‐1β(プロIL‐1βプラス成熟IL‐1β)および組織メタロプロテアーゼインヒビター1(TIMP‐1)の産生(図10Eおよび10F)が、NALP3およびASC欠損マウスで有意に減少したことを示す。この時点でのブレオマイシン誘発性の炎症は、カスパーゼ‐1欠損マウス(図11A)またはカスパーゼ‐1の阻害剤z‐YVAD‐fmkで処理した野生型マウスでも低減し、BALFでの好中球動員(図11B)、肺でのIL‐1β(図11C)、KC(図11D)、およびTIMP‐1(図11E)の産生の減少を伴っていた。ブレオマイシン後の、野生型マウスの肺とCasp‐1欠損マウスまたはカスパーゼ‐1の阻害剤z‐YVAD‐fmkで処理した野生型マウスの肺とで測定されたIL‐1βの違いは、カスパーゼ‐1プロテアーゼによるIL‐1βの成熟を示していると考えられる。従って、このデータは、NALP3インフラマソームがブレオマイシン肺傷害によって活性化され、IL‐1βの産生の促進、およびこれに続く炎症をもたらすことを示している。
【0069】
実施例7:NALP3インフラマソームはブレオマイシン媒介遅発型炎症および組織リモデリングにとって極めて重要である
NALP3インフラマソームがブレオマイシンによって誘発される肺での遅発型炎症および組織リモデリングへ関与していることを評価するために、本発明者らは、ブレオマイシンの1回のi.n.投与の14日後に、マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP‐9またはゼラチナーゼA)およびマトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP‐2またはゼラチナーゼB)をBALFの酵素電気泳動によって測定することで、細胞動員およびゼラチナーゼ活性を分析した。ブレオマイシンは、野生型マウスのBALFへのリンパ球動員を促進したが、これは、NALP3およびCasp‐1欠損マウスでは大きく減少した(図12A)。MMP‐9は、主として好中球によって産生されることが示され、その活性は好中球動員と関連していたが、一方MMP2は、線維芽細胞によって産生され、線維症と関連していた(29)。ブレオマイシン投与の14日後、プロ‐MMP‐9(100Kd)およびプロ‐MMP‐2(71Kd)の活性を活性化後に測定し、活性MMP‐2(65Kd)の活性は、野生型マウスのBALFでは上方制御されていたが、NALP3およびCasp‐1欠損マウスでは有意に低下していた(図12B)。TIMPおよびMMPのバランスが線維症プロセスでは重要な因子であることから、本発明者らは、線維症への発展に特徴的なTIMP‐1の後期の産生を分析し(26)、TIMP‐1は、野生型マウスの肺ホモジネート中にて第14日に上方制御されたが、NALP3およびCasp‐1欠損マウスでは減少したことを示した(図12C)。ブレオマイシンによる全肺コラーゲン含有量の増加は、NALP3およびCasp‐1欠損マウスでは軽減された(図12D)。従って、遅発型炎症および修復のプロセスは、NALP3インフラマソームに依存する。
【0070】
実施例8:ブレオマイシン誘発性の炎症は尿酸によって媒介される
本発明者らは、次に、ブレオマイシン肺傷害による、IL‐1βの成熟および肺炎症を引き起こすNALP3インフラマソームの活性化のきっかけとなる危険シグナルを課題とした。特にNALP3は、痛風関節炎モデルにおいて尿酸によって活性化される主たる炎症性危険受容体(danger receptor)である(10)。尿酸が、傷害細胞から放出される主要な内在性危険シグナルとして同定されたことから、本発明者らは、尿酸が、肺傷害後の免疫の誘発において重要であり得るという仮説を立てた(16)。本発明者らは、まず尿酸がマウスにおけるブレオマイシン誘発性の肺傷害によって放出されるかどうかを評価した。尿酸産生は、ブレオマイシン鼻腔内投与(i.n.)の24時間後にBALF(図13A)および肺(図13B)において増加した。本発明者らは次に、マウスの気道における肺尿酸レベルの調節がBLM誘発性の炎症およびリモデリングに影響を及ぼし得るかを分析した。本発明者らは、尿酸合成を減退させるキサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノールのs.c.投与が、ブレオマイシン投与による肺中の尿酸の増加を阻止したことを示した(図13B)。アロプリノールは、ブレオマイシン誘発性の急性炎症を大きく阻害し、結果としてBALFにおける全細胞(図13C)および好中球の動員(図13D)を減少させ、肺でのKCの産生を減少させた(図13E)。修復プロセスに関与し線維症への発展に特徴的な線維症性サイトカインIL‐1β(図13F)およびTIMP‐1が、アロプリノール処理によって肺(図13G)およびBALF(データ省略)で減少した。さらに、本発明者らは、癌の化学療法と関連して腫瘍溶解症候群における高尿酸血症の治療に用いられるウリカーゼをマウスに投与した(17)。尿酸を可溶性のアラントインへ迅速に分解するウリカーゼの腹腔内または鼻腔内投与もまた、ブレオマイシン誘発性の肺尿酸の増加(図14A)、好中球流入(図14B)、および肺IL‐1β産生(14C)を低減した。従って、ブレオマイシン誘発性の肺炎症およびリモデリングを主として媒介するのは尿酸であり、これが、傷害によって死につつある肺細胞から放出されると考えられる主たる危険シグナルであり、肺傷害による炎症を制御するための新しい標的である。
【0071】
実施例9:ブレオマイシン誘発性の修復および線維症は尿酸によって媒介される
本発明者らは研究を広げ、尿酸合成の阻害がブレオマイシン誘発性の修復および線維症を低減するかどうかの試験を行った。アロプリノール(s.c.)の投与は、第8日におけるBALFでのブレオマイシン誘発性のリンパ球および好中球の後期の動員を低減した(図15A)。MMP‐9(ゼラチナーゼA)およびMMP‐2(ゼラチナーゼB)を酵素電気泳動で測定することにより、ゼラチナーゼ活性を評価した。ブレオマイシン投与の14日後にBALFで上方制御されたプロ‐MMP‐9および活性MMP‐2の活性は、アロプリノールまたはウリカーゼ処理によって有意に低下した(図15B)。本発明者らは次に、TIMP‐1の後期の産生を分析し、TIMP‐1が、ブレオマイシン処理マウスの肺ホモジネート(図15C)およびBALF(データ省略)で第8日に上方制御されていたが、アロプリノール投与で阻害されたことを示した。肺のアルファIコラーゲンmRNA含有量は、BLM投与の14日後に増加したが、ウリカーゼまたはアロプリノール処理によって阻害された(図15D)。さらに、肺切片は、尿酸合成を阻害した場合、またはウリカーゼ投与後、BLM誘発性の肺胞壁の破壊、コラーゲン沈着、および肺線維症が第14日に有意に低減したことを示した(図15E)。ブレオマイシンによって誘発された線維症を半定量的に評価した。肺胞隔壁の肥厚化および炎症を伴う線維症は、B6マウスと比較して、ウリカーゼまたはアロプリノールで処理したマウスにおいて有意に低減した(図15F)。従って、炎症だけでなく修復プロセスおよび線維症も、初期のイベントと後期の病態の発症との橋渡しをする危険シグナル尿酸に依存している。
【0072】
実施例10:外来性尿酸が急性肺炎症およびリモデリングを引き起こす
ブレオマイシン傷害によって肺から放出される尿酸は(図15A)、NALP3インフラマソームの活性化を誘発する可能性がある。この点を確認するために、本発明者らは次に、気道への外来性尿酸の投与が類似の肺炎症を引き起こすかどうかを課題とした。鼻腔内投与された尿酸結晶は、肺胞マクロファージによって包み込まれたことが分かった(図16A)。これらは、マクロファージ、および好中球、および少量のリンパ球と共に、BALF中で用量依存的な細胞動員を誘発したが(図16B)、一方化学的および構造的に類似のアロプリノール結晶は、BALFへの好中球動員を僅かに引き起こしただけであった(図16C)。炎症は一時的であり、6時間で最大に達し、第1日で低減し、第14日に消散した(図16D)。さらに、尿酸結晶は、初発線維症のマーカーである肺TIMP‐1を用量依存的に誘発し(図16E)、これは、外来性IL‐1βを追跡して報告されたように、第14日に基底レベルに戻ったが(データ省略)、一方ブレオマイシンの投与は、長期間にわたるTIMP‐1の産生を誘発した(3)。ヒトとは対照的に、マウスではその機能的ウリカーゼによって迅速な尿酸の分解が起こり(30)、肺線維症の発症には、尿酸結晶を繰り返し投与する必要があり得る。従って、尿酸結晶の局所投与は、ブレオマイシンと同様に、肺の炎症および修復を誘発する。
【0073】
実施例11:尿酸誘発性の急性肺炎症はインフラマソームおよびMyD88/IL‐1R1に依存する
本発明者らは次に、NALP3インフラマソームが、尿酸結晶によって誘発される肺炎症に関与しているかどうかの研究を行った。外来性尿酸結晶の投与の6時間後に誘発された急性肺好中球動員(図17Aおよび17C)ならびにIL‐1β産生(図17Bおよび17D)が、野生型マウスと比較して、インフラマソームNALP3受容体またはASCアダプターが欠損したマウスにおいて有意に低減した。さらに、尿酸結晶に対する炎症反応は、BALF中の好中球流入の減少によって示されるように、MyD88およびIL‐1R1欠損マウス(図17E)またはIL‐1Raの投与によるIL‐1の中和後(図17F)において、劇的に低減された。尿酸結晶によって誘発された炎症メディエーターIL‐6(図17G)およびKC(図17H)、ならびに線維症メディエーターTIMP‐1(図17I)は、MyD88およびIL‐1R1欠損マウスの肺で減少した。IL‐1βは、MyD88欠損マウスの肺で有意に減少したが、IL‐1R1欠損マウスの肺ではそうではなく(図17J)、このことは、TLRまたはIL‐18Rなどの共通のMyD88アダプターを用いるその他の受容体が関与している可能性を示唆している。過去の研究では、尿酸結晶がTLR2およびTLR4受容体を活性化することが提案されたが(31)、一方、他の研究では、これらの受容体は尿酸結晶誘発性の炎症には関与しないことを示した(11)。本発明者らは本明細書にて、TLR2またはTLR4が欠損したマウスが、IL‐18R欠損マウスと同様に(図18Cおよび18D)、尿酸結晶に反応して炎症を起こしたことを示す(図18Aおよび18B)。しかし、TLR2およびTLR4の両方が欠損したマウスは軽減された炎症反応を示し(図18Aおよび18B)、このことは、尿酸結晶に反応した最適な炎症には、TLR2およびTLR4を組み合わせた作用が必要であり得ることを示している。従って、尿酸結晶誘発性の炎症は、TLR2/TLR4に依存するが、IL‐18Rには依存しておらず、NALP3インフラマソームを活性化し、およびIL‐1R1/MyD88を介してシグナルを発する。
【0074】
本明細書にて、ブレオマイシンによって誘発される肺傷害を用いて、本発明者らは、尿酸が局所的に放出され、NALP3インフラマソームを活性化してIL‐1βの産生をもたらすことの証拠を提示する。本発明者らは、IL‐1βの産生およびこれに続く炎症をもたらすブレオマイシン誘発性の肺傷害が、インフラマソームNALP3およびASCに依存することを示す。ブレオマイシン後、野生型マウスに対してNALP3欠損マウスの肺でIL‐1βの部分的な減少が測定されたことは、NALP3インフラマソームによるIL‐1βの成熟化の直接の障害、またはいくつかの間接的な影響を表している可能性がある。確かに、NALP3インフラマソームに対して独立であることが公知であるプロ‐IL‐1βの産生、インフラマソームの活性化に依存するIL‐1βの成熟化、および成熟IL‐1βの分泌は、別々のプロセスであり、これによって、そのような強力な炎症性サイトカインの産生を厳密に制御することが可能となる。本発明者らは、ブレオマイシン誘発性の炎症におけるカスパーゼ‐1の持つ意味を検証し、この病態におけるNALP3インフラマソームの役割を確認した。本発明者らは、肺傷害の結果、恐らくはNALP3炎症を活性化してIL‐1β依存性炎症を引き起こすと考えられる内在性危険シグナルとして作用する尿酸が局所的に蓄積されることを実証するものである。本明細書にて、本発明者らは、アロプリノールによるキサンチンオキシダーゼの阻害、またはウリカーゼによる尿酸の分解によって尿酸レベルを制御することにより、ブレオマイシン誘発性の肺傷害による炎症が抑止され、リモデリングおよび線維症が低減されることを示す。ウリカーゼによる処理により、尿酸の局所レベルを低下させることが炎症およびリモデリングを軽減することが確認される。炎症もそうであるが、修復プロセスおよび線維症もまた、危険シグナルである尿酸に依存しており、これは初期のイベントとさらなる病理学的発症とを繋ぐものである。本発明者らのデータは、NALP3インフラマソームが尿酸によって活性化されることの証拠を提供している。ウリカーゼおよびアロプリノールがブレオマイシン誘発性の炎症および線維症を阻害するという事実は、ブレオマイシン誘発性の肺病態において尿酸が極めて重要な役割を担っていることの強い証拠を示している。
【0075】
外来性尿酸結晶は、NALP3インフラマソームを活性化し、これが腹膜腔内におけるIL‐1β依存性炎症を引き起こすことが示されている(10、11)。本明細書にて、本発明者らは、気道から投与された外来性尿酸結晶が、NALP3インフラマソームの活性化、IL‐1βの産生、IL‐1R1/MyD88依存性肺炎症、および線維症への発展に特徴的なTIMP‐1発現を引き起こすことを実証する(26)。IL‐18R、TLR2、およびTLR4は、外来性尿酸結晶に対する炎症には重要ではない。しかしながら、本発明者らは、死につつある細胞の気道からの投与によって肺炎症が引き起こされたことで示される様に、TLR2およびTLR4の組み合わせの作用が、尿酸結晶に反応する最適な炎症に必要であることに気づいた(34)。このTLR2またはTLR4に対する必要性はまた、同一のグループによって報告されるように(16)、恐らくは尿酸を放出すると考えられる死につつある細胞の腹膜投与に対する反応でも示された(15)。TLR2およびTLR4は、尿酸結晶の刺激によるプロ‐IL‐1βの産生に関与している可能性があり、尿酸結晶が媒介するNALP3インフラマソームの活性化の後に成熟し得る(10)。本発明者らのデータは、合成または代謝のレベルで尿酸産生を制御することが、慢性肺炎症、修復、および線維症の制限に特に有用であり得るという可能性を示している。実際、アロプリノールは、痛風の治療に現在用いられており、ウリカーゼは、急性痛風関節炎(35)または高尿酸血症候群(17)の代替療法である。自分たちのデータをまとめる試みとして、本発明者らは、図10に示すモデルを提案する。肺細胞、恐らくは上皮細胞のブレオマイシン誘発性の傷害は、NALP3インフラマソームの活性化を誘発し、肺のIL‐1β産生、炎症、およびリモデリングを引き起こす。ブレオマイシン誘発性の細胞傷害は、傷害によって死につつある肺細胞から発生すると考えられる主要な危険/ストレスシグナルである尿酸の放出をもたらす。局所的な増加は、恐らくは尿酸の結晶化を誘発する。尿酸合成を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害剤アロプリノール、または尿酸を可溶性アラントインへと迅速に分解するウリカーゼは、ブレオマイシンによる肺中の尿酸放出を阻止し、IL‐1β産生、炎症、リモデリング、および線維症を低減するが、このことは、尿酸結晶がNALP3インフラマソームを活性化し、プロ‐IL‐1βの生物学的に活性なIL‐1βへのプロセッシングおよび成熟化を引き起こすことを示唆している。外来性尿酸結晶の投与は、TIMP‐1の蓄積を伴う線維症への発展に特徴的な肺炎症およびリモデリングが誘発される。尿酸結晶によるIL‐1β産生、炎症、およびリモデリングは、NALP3インフラマソームに依存する。TLR2およびTLR4の二重欠損は、尿酸結晶によるIL‐1β産生および細胞流入を減じ、これらは、結晶誘発性のプロ‐IL‐1βの産生、または肺胞マクロファージおよび/または常在細胞による尿酸結晶の取り込みに関与している可能性がある。
【0076】
従って、本発明者らの発見は、組織傷害、炎症、および肺線維症を繋げる分子メカニズムへの識見を提供するものである。
【0077】
本発明者らの発見は、由来が未知である間質性肺線維症においてNALP3インフラマソームが極めて重要な役割を有することを支持するものである。本発明者らは、尿酸形成が、組織の損傷と関連する特発性肺線維症によるNALP3活性化において中心的な役割を果たし得る別のメカニズムを提案する。従って、尿酸の局所的蓄積は、IL‐1βの産生と共にNALP3インフラソームを活性化し、肺炎症、修復、および線維症を引き起こす内在性危険シグナルとして作用し得る。
【0078】
これらの結果は、細胞死が局所的な尿酸産生を介してNALP3インフラマソームの活性化を引き起こし、これがIL‐1β依存性の炎症に繋がることの明確な証拠を示している。さらに、アロプリノールによるキサンチンオキシダーゼの阻害またはウリカーゼによる尿酸の分解による尿酸レベルの制御が、ブレオマイシン誘発性の肺傷害による炎症およびリモデリングを抑止した。従って、尿酸は、肺傷害、NALP3活性化、およびIL‐1β依存性炎症の間の極めて重要なリンクであることを示している。外来性尿酸結晶は、NALP3インフラマソームの活性化因子であり、IL‐1β依存性炎症を引き起こすことが公知である(11、40)。本発明者らは、本明細書にて、気道中の外来性尿酸結晶が、NALP3インフラマソームの活性化、成熟IL‐1βの産生、およびIL‐1R1/MyD88依存性肺炎症、ならびに線維症への発展の特徴であるTIMP‐1発現を誘発することを示す。
【0079】
これらのデータは、アロプリノールにより合成のレベルにて、または代謝のレベルにて尿酸産生を制御することが、慢性肺炎症、修復、および線維症の制限に特に有用であることを示している。アロプリノールおよびウリカーゼは、現在、痛風関節炎の臨床治療に用いられている。キサンチンオキシダーゼ阻害剤であるアロプリノールおよびウリカーゼの作用モードを図9に概略的に示す。従って、尿酸レベルを治療的介入によって低下させることは、慢性肺炎症および線維症において有益であり得る。
【0080】
最近の研究から、組織傷害が無菌性炎症を引き起こし得ることが示唆されており(15、37、32)、いくつかのメディエーターが同定されている(33、16)。本明細書にて、ブレオマイシンによって誘発される肺傷害を用いて、本発明者らは、尿酸が局所的に産生され、IL‐1βの成熟化と共にNALP3インフラマソームを活性化することに関する強い証拠を初めて示した。これまでの研究では、死につつある細胞の気管内(34)または腹腔内投与が炎症を引き起こし、これはインフラマソーム/カスパーゼ1の活性化には依存しないことを示していた(15)。
【0081】
結論として、成熟IL‐1βの産生と共にNALP3インフラマソームを活性化し、肺の炎症、修復、および線維症を引き起こす内在性危険シグナルとして作用する尿酸が、肺傷害によって局所的に蓄積される。アロプリノールまたはウリカーゼなどのキサンチンオキシダーゼ阻害化合物によって尿酸レベルを低下させることで、間質性肺線維症を引き起こす炎症が阻害される。このことは、炎症病態において尿酸が中心的役割を有することの強い証拠であり、間質性肺線維症の新規な治療手段を開くものである。
参考文献




【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図3E】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】

【図6G】

【図6H】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL‐1β駆動性の肺病態の予防および/または治療を意図する組成物の調製のための、哺乳類において尿酸レベルを低下させることができる化合物の使用。
【請求項2】
前記IL‐1β駆動性の肺病態が、肺炎症、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および間質性線維症などの肺線維症、ならびに自己免疫由来の肺病態からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記IL‐1β駆動性の肺病態が、線維症および呼吸不全を引き起こす肺炎症である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、ウリカーゼ若しくは尿酸オキシダーゼ、若しくはそれらの機能断片、または、尿酸排泄性化合物若しくは腎臓による尿酸排出を増加させる尿細管有機アニオントランスポーターの阻害剤からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記キサンチンオキシダーゼ阻害化合物が、アロプリノール、アザプロパゾン(3‐ジメチルアミノ‐7‐メチル‐1,2‐(n‐プロピルマロニル)‐1,2‐ジヒドロ‐1,2,4‐ベンゾトリアジン二水和物、置換チアゾロピリミジン、1位、2位、若しくは4位にて置換アルキル基で置換されていてよく、かつ、3位および5位に芳香族環を有する1,2,4‐トリアゾール化合物、フェブキソスタット、またはそれらの水和物若しくは塩からなる群より選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記ウリカーゼまたは尿酸オキシダーゼが、ラスブリカーゼなどの組換えウリカーゼ若しくは尿酸オキシダーゼ、またはそれらの機能断片である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記ウリカーゼまたは尿酸オキシダーゼがペグ化されている、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記の尿酸排泄性化合物若しくは腎臓による尿酸の排出を増加させる尿細管有機アニオントランスポーターの阻害剤が、プロベネシド、ベンズブロマロン、スルフィンピラゾン、トロンボキサンシンターゼ阻害剤および/またはトロンボキサン受容体拮抗剤からなる群より選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物が、静脈内注射、筋肉内注射、または経口によって投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
患者がIL‐1β駆動性の肺病態を示しているか、またはIL‐1β駆動性の肺病態を発症するリスクを有するかをインビトロで同定する方法であって、以下の工程:
a) 検査される患者から、血清または血漿サンプルを採取する工程;
b) 尿酸のレベルを測定する工程;および
c) 検査される患者について得られた尿酸レベルを、正常患者および/またはIL‐1β駆動性の肺病態を示す患者について得られた血液サンプル中の尿酸レベルと比較することによって、前記患者がそのような病態を示しているか、またはそのような病態を発症するリスクを有するかを同定する工程
を含んでなる、方法。
【請求項11】
IL‐1β経路に関連する肺病態(「IL‐1β駆動性の肺病態」)の治療のための化合物をスクリーニングする方法であって、試験される前記化合物が、キサンチンオキシダーゼ阻害活性、ウリカーゼ活性、若しくは尿酸オキシダーゼ活性を有するかどうか、または尿酸排泄性化合物であるか、若しくは尿酸の腎臓による排出の増加をもたらす尿細管有機アニオントランスポーターの阻害剤であるかを同定する工程を含んでなる、方法。

【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15F】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【図17I】
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【図17J】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図15E】
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【図16A】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−502962(P2012−502962A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527342(P2011−527342)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062159
【国際公開番号】WO2010/031859
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】