説明

能動的かつ受動的引込み可能シール用のスプリング設計

【課題】弓形セグメント内に支持された引込み可能タービンロータシール用のスプリング組立体を提供する。
【解決手段】本スプリング組立体は、タービンステータの表面と係合するようなった下表面及び直立ハブが設けられた平坦な上表面を有する第1の半径方向内側拘束プレートと、平坦な下表面及び弓形セグメントの表面と係合するようになった上表面を有しかつ直立ハブを受ける開口部が形成された第2の半径方向外側拘束プレートと、直立ハブ上に嵌められかつ第2の半径方向外側拘束プレートに半径方向外向き付勢力を作用させまた弓形セグメントに半径方向外向き引込み力を作用させるようになった少なくとも1つのスプリングとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン、ガスタービン、航空機エンジン、圧縮機及びそれに類したもののような回転機械用の引込み可能シールに関する。
【背景技術】
【0002】
発電及び機械駆動用途のために使用される蒸気及びガスタービン、推進のために使用される航空機エンジン並びに加圧のために使用される圧縮機は一般的に、複数のタービン及び圧縮機段から成る非常に大型の機械である。そのような機械では、タービン及び/又は圧縮機段を通って流れる加圧流体は、一連の固定及び回転構成要素を通って流れる。典型的な蒸気タービンでは、固定構成要素は、機械ケーシング及びパッキンヘッドを含むことができ、また回転構成要素は、複数のブレード付きホイールを支持したロータとすることができる。
【0003】
固定構成要素上に取付けられた環状シールは、固定及び回転構成要素間の経路に沿った流体の漏洩を制御するために使用される。実際に、タービンの効率は、そのような漏洩を防止するこれらのシールの能力により直接決まる。これらのシールは、その配向を半径方向又は軸方向とすることができ、またラビリンスパッキンシール、リーフシール、アブレイダブルシール、コンプライアントプレートシール等々のような幾つかの種類の1つとすることができる。多くの場合、半径方向シールは、組立上の理由で及び/又は半径方向における変位のためにセグメント化される(つまり、共にロータを囲む複数の弓形セグメントに分割される)。そのような半径方向セグメント化ラビリンスシールは、蒸気タービンでは極めて信頼性があることが証明されているが、それらの性能は、固定及び回転構成要素が干渉し、ラビリンス歯を「マッシュルーム」輪郭へと摩耗しかつシール間隙を開く過渡事象の結果として、時の経過につれて低下する。同様に、ブラシシール及びコンプライアントプレートシールのような近接触シールは、過渡事象の間におそらくロータと接触して、摩耗及び発熱を招く可能性がある。発熱は次に、機械の運転及び性能に有害であるロータの動的不安定性を引き起こすおそれがある。
【0004】
過渡事象の間のける摩擦又は接触の悪影響を減少させる1つの方法は、そのような摩擦が最も発生し易いゼロ又は低流量過渡状態下においてスプリングを使用してシールセグメントを大きな運転間隙に開いた状態に保持するようにする可変間隙「正圧」(VCPP)構成を採用することであった。一般的に機械がより高い流体圧力により一層高い負荷で作動している定常状態の間には、シールセグメントの周りの周囲圧力は、スプリング力に打ち勝って、リングを緊密な運転間隙に閉じるように作用する。公知の可変間隙正圧(VCPP)ラビリンスシールの実例は、米国特許第6,695,316号、第6,022,027号、第5,810,365号、第5,603,510号、第5,002,288号及び第4,443,311号に見出すことができる。
【0005】
しかしながら、可変間隙正圧構成は、機械負荷にのみ応答するセグメント化シールを使用している。機械が設計負荷及び圧力に達すると、パッキンリングセグメントは、閉じ、また機械負荷、従って機械内部の流体圧力が適度に低下するまで、閉じた状態を維持する。しかしながら、熱過渡は、設計負荷に達した後であっても持続する場合がある。従って、理想的にはシールセグメントは、熱過渡が正常なレベルに戻るまで開いた状態を維持することが望ましい。さらに、VCPPシールは、シールセグメントが周囲流体圧力によって強制的に閉じられる定常状態運転の間におけるロータ振動のケースにおいて、摩擦を受け易い。そのような状況においては、現行のVCPP構成は、それらが受動的システムであるので、摩擦の回避には有効でない。
【0006】
この概念に対する更なる強化は、「能動的引込み可能シール」技術によって達成され、この技術は、ターボ機械の始動及び運転停止時だけではない運転状態の間にパッキンリングセグメントを能動的に引込むことを可能にする。これは、問題になっているシールセグメントにわたる圧力低下を打消す流れバイパスを設けることによって達成される。このようにしてシールセグメントにわたる圧力低下を排除又は減少させることによって、シールセグメントに作用する流体圧力の力(それは、半径方向シール構成に対して半径方向内向きである)が効果的に低減され、シールセグメントは、予荷重スプリングによって引込まれる(半径方向シール構成において半径方向外向きに)。例示的な先行技術は、米国特許第6,786,487号、第6,655,696号、第6,572,115号及び第6,502,823号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,786,487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パッキンリングにわたる圧力低下がない時にパッキンリングセグメントを開いた状態つまり引込み状態に保つ受動的かつ能動的引込み可能シールのための信頼性があるスプリング設計に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの例示的だが非限定的な実施例では、弓形セグメント内に支持された引込み可能タービンロータシール用のスプリング組立体を提供し、本スプリング組立体は、タービンステータの表面と係合するようなった下表面及び直立ハブが設けられた平坦な上表面を有する第1の半径方向内側拘束プレートと、平坦な下表面及び弓形セグメントの表面と係合するようになった上表面を有しかつ直立ハブを受ける開口部が形成された第2の半径方向外側拘束プレートと、直立ハブ上に嵌められかつ第2の半径方向外側拘束プレートに半径方向外向き付勢力を作用させまた弓形セグメントに半径方向外向き引込み力を作用させるようになった少なくとも1つのスプリングとを含む。
【0010】
別の例示的だが非限定的な実施例では、弓形セグメント内に支持された引込み可能タービンロータシール用のスプリング組立体を提供し、本スプリング組立体は、タービンステータの表面と係合するようになった半径方向内表面及びその中に形成された凹部を備えた半径方向外表面を有する半径方向内側スプリング支持プレートと、凹部内に着座した少なくとも1つのスプリングと、1つ又はそれ以上のスプリング上に支持されかつ弓形セグメントの表面と係合するようになった半径方向外表面を有するボタンプレートとを含み、少なくとも1つのスプリングは、ボタンプレートに半径方向外向き力を作用させかつ弓形セグメントに半径方向外向き力を作用させるようになっている。
【0011】
別の例示的な例では、引込み可能シールを組込んだタービンロータ及びステータ組立体を提供し、本タービンロータ及びステータ組立体は、環状スロットが形成され、該環状スロットは該スロットへの入口を構成する比較的狭いネック部を形成した対向するフックによってその一部が形成されているステータと、その各々がスロット内に装着された取付けフランジ及び該スロットの外面に設置されかつ複数のシール要素を支持したシーリング面を有しまたロータに向かって及び該ロータから離れるように半径方向に移動するようになった複数の弓形シールセグメントとを含み、各弓形シールセグメントは、該各弓形シールセグメントとステータとの間に係合した複数のリーフ又はストリップスプリングによって半径方向外向き方向に付勢される。
【0012】
次に、以下に特定した図面に関連して、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タービンロータラビリンスシール構成の部分断面図。
【図2】シールを開いた状態つまり引込み状態で示した公知の引込み可能ラビリンスシールの概略図。
【図3】シールを閉じた状態つまり伸張状態で示した公知の引込み可能ラビリンスシールの概略図。
【図4】受動的かつ能動的引込み可能シールで使用するための、本発明の第1の例示的だが非限定的な実施形態によるスプリング組立体の断面図。
【図5】図4のスプリング組立体内で使用するディスクスプリングの斜視図。
【図6】図5のディスクスプリングの断面図。
【図7】図4に示すスプリング組立体の一部切欠き斜視図。
【図8】タービンパッキンリングのスロット内に挿入した状態で示す、図2のスプリング組立体の断面図。
【図9】図4〜図8に示すスプリング組立体を受けるようになったスロットを示しているシールセグメントの斜視図。
【図10】同様にパッキンリングのスロット内に挿入された、本発明の第2の例示的だが非限定的な実施形態によるディシクスプリング組立体の断面図。
【図11】金属ストリップスプリングを利用したパッキンリングシールの第3の例示的だが非限定的な実施形態の断面図。
【図12】図11に示す装置内で使用可能な実施可能ストリップスプリング構成の断面図。
【図13】図11に示す装置内で使用可能な実施可能ストリップスプリング構成の断面図。
【図14】図11に示す装置内で使用可能な実施可能ストリップスプリング構成の断面図。
【図15】湾曲リーフスプリングを利用した、本発明の第4の例示的だが非限定的な実施形態の部分斜視図。
【図16】図15に示すスプリングのための別の固定構成を示している端面図。
【図17】図15に示すスプリングのための別の固定構成を示している端面図。
【図18】図15に示すスプリングのための別の固定構成を示している端面図。
【図19】第5の例示的だが非限定的な実施形態によるスプリング構成の部分斜視図。
【図20】第6の例示的だが非限定的な実施形態によるスプリング構成の部分斜視図。
【図21】第7の例示的だが非限定的な実施形態によるスプリング構成の部分斜視図。
【図22】図21に示す構成の断面図。
【図23】図22に示す構成の端面図。
【図24】図22と同様であるが複数の並んだスプリングを備えた構成の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に図1を参照すると、ロータ12及びケーシング又はパッキンヘッド14との関連で、典型的なターボ機械のセグメント化ラビリンスシール組立体10を部分的に示している。ロータ12に沿って軸方向に間隔を置いた位置においてパッキンヘッド14内に取付けられた状態で複数のラビリンスパッキンシールリング16,18、20、22、24及び26を示している。各シールリングは、ロータの円周部の周りに延びる複数の弓形セグメント(少なくとも2つであるが一般的には4つ又はそれ以上)で構成される。シールリングがラビリンスシールである場合には、各シールセグメントは一般的に、ロータ12の円周部分に対向して配置された複数の歯28を含み、それら円周部分は、その半径を交互に段付きで拡大及び縮小させることができる。しかしながら、本発明は、いかなる特定のラビリンス歯構成にも限定されるものではない。実際には、本明細書に記載したスプリング構成は、それに限定されないが、ラビリンスパッキン(直線歯、傾斜歯及びバーニアパッキンを含む)、ブラシシール、コンプライアントプレートシール、シングルシール、ハニカムシール及びアブレイダブルシールを含む多様なシールに適用可能である。スプリング/シール構成はまた、それに限定されないが、端部パッキン(図1に示す)、段間シーリング、先端シーリング等々を含むあらゆるシーリング位置に適用可能であり、また環状の非セグメント化軸方向可動シールを包含する。
【0015】
図2は、図1に示すものとほぼ同様であるが本発明の独特の態様を説明するのに有用である一層概略的な形態で示すシールリング18の拡大断面図である。上に述べたように、シールリング18は、その各々がそれから半径方向内向きに突出した歯又はその他のシール要素28を備えたシーリング面30を有する複数の弓形セグメント19によって形成される。リングの一方側の高圧領域34は、「シールジョイント」によって該リングの他方側の低圧領域36から分離される。一般的に、図1〜図3に示すシールセグメントは、シールセグメント19とロータ12との間において、高圧領域から低圧領域への流体の軸方向流れに対して比較的多数のバリヤ(例えば、歯28)を存在させることによって機能する。
【0016】
一般的に、シールセグメントは、シーリング面30と反対側の端部にフランジ42を備えた状態で、ネックイン中央部分40を有する。パッキンヘッド空洞44が、対向するフック46を含むような形状にされ、これらのフック46は、ネックイン部分40内に受けられ、従ってシールセグメントをロータに向かって及び該ロータから離れるように半径方向内向き及び外向きに移動するように取付ける。シールリングセグメントを半径方向引込み位置つまり開いた位置に僅かに付勢するために、1つ又はそれ以上のスプリング48が使用される。これらのスプリングは、始動又は運転停止のようなゼロ流量又は低流量状態の間にリングセグメント19を開いた位置つまり引込み位置に保持する。タービンが運転負荷に到達すると、上流高圧プロセス流体(例えば、蒸気又は燃焼ガス生成物)が、ギャップ50又はその他の特徴形状部(例えば、従来方式で配置した供給孔)を介して空洞44に流入して、圧力の力がスプリング力に打ち勝って、シールセグメント19をロータ12に向かって半径方向内向きに図3に示すような閉じた運転間隙に移動させるようにする。これが、タービン技術においてよく理解されている従来型のVCPP構成である。
【0017】
図4〜図7に移ると、本発明の例示的な実施形態では、パッキンリングセグメントを開いた状態つまり引込み状態に僅かに付勢するようになった独特のスプリング組立体が組込まれる。より具体的には、スプリング組立体52は、タービンステータの表面と係合するようになった下表面56を有する第1の半径方向内側拘束プレート54を含む。それらの係合表面は、弓形又は直線形(弓形シールリング及びケーシング内で)とすることができる。第1の拘束プレート54には、1つ又はそれ以上のディスクスプリング62を順位嵌合状態で受けるようになった直立ハブ又はボス60を備えた平坦な上表面58が形成される。この図示した実施形態では、3つのディスクスプリング62を背中合せの状態で示している。
【0018】
第2の半径方向外側拘束プレート64には、平坦な下表面66及び弓形パッキンセグメントの表面と係合するようになった弓形上表面68が形成される。この第2の拘束プレートには、第1の拘束プレートの直立ハブ60を受けるようになった中央開口部70が形成される。中央開口部70は、下側から座ぐり加工されて、図4で最もよく分かるように、ディスクスプリングの少なくとも1つを座ぐり穴72内に受けるようになる。
【0019】
第1の(つまり、下方)拘束プレート54の平坦な上表面58にはまた、第2の(つまり、上方)拘束プレート64内に形成された孔76内に受けられるようになったピン74が形成される。この孔内へのピン挿入構成により、第1及び第2の拘束プレート間の相対的回転が防止されることが解るであろう。
【0020】
スプリング62の数及び構成は、用途特有であり、例えばそれらは、効果的に作用して所望の剛度及び変位を達成するように、直列に又は並列に積重ねることができる。この図示した実施形態では、3つのディスクスプリング62が、直列に作用するように積重ねられる。言うまでもなく、例えばコイルスプリングなどのその他のスプリングタイプも採用することができることが分かるであろう。
【0021】
ディスクスプリング62自体は、例えば図5及び図6に見られるように、ほぼドーム形状を有する従来型の構造のものである。
【0022】
図7は、ハブ60の中心線に沿って分割した組立体52を示している。従って、スプリング組立体は、平面図で見た場合にはほぼ方形形状を有することができるが、スプリング組立体の寸法及び形状は、必要に応じて変化させることができることが分かるであろう。
【0023】
上記したスプリング組立体52は、図8及び図9で最もよく分かるように、パッキンセグメント80の側面に切削したスロット78内に取付けることができる。スロットは、弓形セグメントに対して横方向に延び、第1の拘束プレートの下表面がステータフック82の湾曲表面と係合しかつ第2の拘束プレートの上表面がパッキンセグメントの上方部分と係合した状態にして、スプリングにより弓形セグメントが常に引込み状態へと外向きに付勢されるようにする。
【0024】
図10は、別の例示的な実施形態を示しているが、パッキンセグメント84からシール歯が省略されていることに留意されたい。この実施形態では、スプリング支持体86(上記した第1の拘束プレートにほぼ相当する)には、上述したのと同様な1つ又はそれ以上のディスクスプリング90を受ける中央凹部88が設けられる。この実施形態では、半径方向外側スプリングは円板又はボタン92を当接支持し、円板又はボタン92は次に、パッキンリング84の半径方向外端部94と係合する。1つ又はそれ以上のディスクスプリングは、1つ又はそれ以上のコイルスプリングで置き換えることができるが、いずれのケースでもボタン又は円板92は、スプリング支持体86に対して垂直方向に自由に移動することが分かるであろう。従って、スプリング支持体、スプリング要素(ディスクスプリング又はコイルスプリング)及びボタンの組合せは、スプリングモジュール(つまりスプリング組立体)96を構成する。これらスプリングモジュールの1つ又はそれ以上は、図10に示すように、パッキンリング空洞98内に組立てることができる。組立体全体内で、支持プレート86は、ステータフック100上に対して僅かに載置される。引込み状態では、パッキンリングは、図10に示すように、スプリング支持体の上面から持ち上がっており、かつスプリング支持体の底面102と接触状態になる。閉じた状態又は状況では、パッキンリングは、スプリング支持体の上面上に対して載置されて、スプリングケースの底面の下方にギャップを形成する。ボタン92の高さは、スプリング90によって得られる予荷重を調整するように変化させることができ、そうしなければスプリング90は、パッキンリングセグメント84が開閉する圧力低下に影響を与える可能性がある。
【0025】
図11は、さらに別の例示的な実施形態を示しており、この実施形態では、ステータフック106とパッキンリングセグメント108との間に設置したスプリング104は、パッキンセグメント108又はステータフックにスポット溶接又はその他の方法で取付けて円周方向の動きを防止することができるストリップ又はリーフスプリングの性質を帯びたものである。スプリングとステータハウジングとの間には、十分な間隙を設けて、パッキンセグメントの軸方向の動き及びその圧縮により生じるスプリングの軸方向の動きを可能にすることができる。スプリングにおける様々な断面形状が実施可能であり、また最良の性能を得るように最適化することができる。従って、図12、図13及び図14を参照すると、スプリング104は、図11及び図12に示すようにほぼS字形構成を有することができ、一方の端部110がセグメントフランジの下側にスポット溶接され、またセグメントの移動の方向に応じて、反対側の端部112が2つの対向する方向のいずれかの方向に自由に移動するようにされる。
【0026】
図13は、スプリング114がほぼ半円形の断面形状を有するようになった変形形態を示している。図14では、スプリング116は、図12に幾分同様な形状を有するが、ステータフックと係合するようになった平坦部分が排除されて、パッキンセグメントフランジの下側に取付けるための端部118が残されている。
【0027】
次に図15に移ると、さらに別の実施形態は、パッキンリングセグメント124の半径方向外側フランジ部分の側壁122に取付けられた複数の湾曲リーフスプリング120を利用している。スプリング120は、該スプリングの両端部においてピン126(又はあらゆるその他の好適な均等手段)を用いることによりセグメントに取付けて、該スプリングの湾曲中央部分がステータフック128上に当接して、セグメントを半径方向外側引込み位置に付勢するようにすることができる。
【0028】
図16は、図15に示すスプリングの1つを分離し、かつシールセグメントの側面122に該スプリングを取付けるようになった固定ピン構成を一層明確に示している。図17は、セグメントが半径方向内向きに移動いた時に、どのようにスプリングが変形して、該スプリングの中間部分130を半径方向外側方向に湾曲させるかを示している。
【0029】
図18には、その変形形態を示しており、この変形形態では、スプリング120の1つの端部が、細長いスロット132内で移動可能であるピン126に固定されて、セグメントが半径方向内向きに移動した時に、スプリングの単純な平坦化を生じる。
【0030】
図19は、本主題発明のさらに別の実施形態を示しており、この実施形態では、図19に示すようにピン134を使用してスプリング136の両端部を固定しているが、この場合に、中間ピン対138を使用して、スプリングに波形になった湾曲形状を与えている。
【0031】
図20は、図19に示すのとほぼ同様な実施形態を示している。この場合では、スプリング140は、図19の実施形態におけるようなピンの使用によって強制的に波形形状にする必要がない波形又は波状スプリングの性質を帯びたものである。波形部142、144等々は、それぞれステータフック146及びセグメントフランジ148と交互に係合する。
【0032】
図21〜図23は、別の実施形態を示しており、この実施形態では、1対の金属ストリップスプリング150、152が各々、1つの端部において、例えばスポット溶接によって又は1つ又はそれ以上のファスナ156を用いて、パッキンセグメント154の頂部に連結される。ストリップの反対側端部は、パッキンケーシング160内のT字形取付け部158内に固定される。おそらく図22及び図23から最もよく解るように、T字形取付け部158は、ステータハウジング内の対応するスロット162内で摺動移動可能であって、パッキンリングは、スプリングによって効果的に懸架される。T字形状に加えて、取付け部158におけるダブテール形状のようなその他の形状も使用することができる。図24に示すように、複数対の並んだスプリング150を使用して、所望の剛度及び変位を達成することができる。
【0033】
金属ストリップ又はリーフスプリングを利用する場合には、スプリングは、一様な又は異なる断面のいずれかとすることができる。ストリップ又はリーフスプリングの断面を変化させることによって、特定の引込み可能シール設計において望ましいものとなる非線形強制変位特性を実現することができる。
【0034】
上述したように、本明細書に記載したシール構成は、それに限定されないが、ラビリンスパッキン(直線歯、傾斜歯及びバーニアパッキンを含む)、ブラシシール、コンプライアントプレートシール、シングルシール、ハニカムシール及びブレイダブルシールを含む様々な公知のシール構成に適用可能である。これらのシール構成はまた、それに限定されないが、端部パッキン、段間シーリング、頂部シーリング等々を含むあらゆるシーリング位置において適用可能であり、また環状の非セグメント化軸方向可動シールを包含する。
【0035】
現時点で最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明が開示した実施形態に限定されるべきものではなく、逆に、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な変更及び均等な構成を保護しようとするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0036】
10 ラビリンスシール組立体
12 ロータ
14 パッキンヘッド
16、18、20、22、24、26 ラビリンスパッキンシールリング
19 弓形シールセグメント
28 歯
30 シーリング面
34 高圧領域
36 低圧領域
40 ネックイン部分
42 フランジ
44 パッキンヘッド空洞
46 フック
48 スプリング
50 ギャップ
52 スプリング組立体
54 第1の(半径方向内側)拘束プレート
56 第1の拘束プレートの下表面
58 第1の拘束プレートの上表面
60 ハブ又はボス
62 ディスクスプリング
64 第2の(半径方向外側)拘束プレート
66 第2の拘束プレートの下表面
68 第2の拘束プレートの上表面
70 中央開口部
72 座ぐり穴
74 ピン
76 孔
78 スロット
80 パッキンセグメント
82 ステータフック
84 パッキンセグメント
86 スプリング支持体
88 中央凹部
90 ディスクスプリング
92 円板又はボタン
94 パッキンリングの外端部
96 スプリング組立体(スプリングモジュール)
98 パッキンリング空洞
100 ステータフック
102 スプリング支持体の底面
104 スプリング
106 ステータフック
108 パッキンセグメント
110 スプリングの端部
112 スプリングの端部
114 スプリング
116 スプリング
118 スプリングの端部
120 スプリング
122 外側フランジ部分の側壁
124 パッキンリングセグメント
126 ピン
128 ステータフック
130 スプリングの中間部分
132 細長いスロット
134 ピン
136 スプリング
138 中間ピン対
140 スプリング
142、144 波形部
146 ステータフック
148 セグメントフランジ
150、152 金属ストリップスプリング
154 パッキンセグメント
156 ファスナ
158 T字形取付け部
160 パッキンケーシング
162 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弓形セグメント内に支持された引込み可能タービンロータシール用のスプリング組立体(52)であって、
タービンステータの表面と係合するようなった下表面(56)及び直立ハブ(60)が設けられた平坦な上表面(58)を有する第1の半径方向内側拘束プレート(54)と、
平坦な下表面(66)及び前記弓形セグメントの表面と係合するようになった上表面(68)を有しかつ前記直立ハブ(60)を受ける開口部(70)が形成された第2の半径方向外側拘束プレート(64)と、
前記直立ハブ(60)上に嵌められかつ前記第2の半径方向外側拘束プレート(64)に半径方向外向き付勢力を作用させまた前記弓形セグメントに半径方向外向き引込み力を作用させるようになった少なくとも1つのスプリング(62)と、を含む、
スプリング組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスプリング(62)が、ディスクスプリングを含む、請求項1記載のスプリング組立体。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスプリング(62)が、直列に又は並列に配置された複数のディスクスプリングを含む、請求項1記載のスプリング組立体。
【請求項4】
前記第1及び第2の拘束プレート(54)、(64)の一方には直立突出部(74)が設けられまた前記第1及び第2の拘束プレートの他方には前記直立突出部(74)と整列しかつ該直立突出部(74)を受けるように設置された開口部(76)が設けられて、それによって該第1及び第2の拘束プレート(54)、(64)間の相対的回転を防止する、
請求項1乃至3のいずれか1項記載のスプリング組立体。
【請求項5】
弓形セグメント内に支持された引込み可能タービンロータシール用のスプリング組立体であって、
タービンステータの表面と係合するようになった半径方向内表面及びその中に形成された凹部(88)を備えた半径方向外表面を有する半径方向内側スプリング支持プレート(86)と、
前記凹部内に着座した少なくとも1つのスプリング(90)と、
前記1つ又はそれ以上のスプリング(90)上に支持されかつ前記弓形セグメント(94)の表面と係合するようになった半径方向外表面を有するボタンプレート(92)と、を含み、
前記少なくとも1つのスプリング(90)が、前記ボタンプレート(92)に半径方向外向き力を作用させかつ前記弓形セグメント(94)に半径方向外向き力を作用させるようになっている、
スプリング組立体。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスプリング(90)が、ディスクスプリングを含む、請求項5記載のスプリング組立体。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスプリング(90)が、直列に又は並列に配置された複数のディスクスプリングを含む、請求項5記載のスプリング組立体。
【請求項8】
前記ボタンプレート(92)が、前記凹部(88)内に嵌合するような寸法にされる、請求項5乃至7のいずれか1項記載のスプリング組立体。
【請求項9】
前記ボタンプレート(92)が、所定のスプリング予荷重を達成するように選択された厚さを有する、請求項5乃至8のいずれか1項記載のスプリング組立体。
【請求項10】
引込み可能シールを組込んだタービンロータ及びステータ組立体であって、
環状スロット(44)が形成され、該環状スロット(44)は該スロットへの入口を構成する比較的狭いネック部を形成した対向するフック(46)によってその一部が形成されているステータと、
その各々が前記スロット(44)内に装着された取付けフランジ(42)及び前記スロットの外面に設置されかつ複数のシール要素(28)を支持したシーリング面(30)を有しまた前記ロータに向かって及び該ロータから離れるように半径方向に移動するようになった複数の弓形シールセグメント(108)と、を含み、
各弓形シールセグメントが、該各弓形シールセグメントと前記ステータとの間に係合した複数のリーフ又はストリップスプリング(104)によって半径方向外向き方向に付勢される、
タービンロータ及びステータ組立体。
【請求項11】
前記複数のリーフ又はストリップスプリングが、前記取付けフランジの両側面(122)上に複数のリーフスプリング(120)を含み、
前記リーフスプリングが各々、前記側面(122)のそれぞれの側面に固定された両端部と前記対向するフックの隣接するフックと係合した中間部分(130)とを有する、
請求項10記載のタービンロータ及びステータ組立体。
【請求項12】
前記両端部の1つには、前記側面のそれぞれの側面に形成されたスロット(132)内で摺動可能であるピン(126)が設けられる、請求項10又は11記載のタービンロータ及びステータ組立体。
【請求項13】
前記中間部分が、前記側面のそれぞれの側面から延びる円周方向に間隔を置いて配置されたピン(138)間でウーブン状になっている又は曲がりくねっている、請求項11記載のタービンロータ及びステータ組立体。
【請求項14】
前記複数のリーフ又はストリップスプリングが、前記対向するフックの各々と前記取付けフランジとの間に係合した少なくとも1つの波状スプリング(140)を含む、請求項10乃至13のいずれか1項記載のタービンロータ及びステータ組立体。
【請求項15】
前記複数のリーフ又はストリップスプリングが、少なくとも一対の円周方向に整列した金属リーフ又はストリップスプリング(150)を含み、
各前記金属リーフ又はストリップスプリングが、前記取付けフランジ(154)の半径方向外表面と前記ステータに対するそれぞれの取付け部(158)との間に係合する、
請求項10記載のタービンロータ及びステータ組立体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2010−223224(P2010−223224A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60064(P2010−60064)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】