脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置
【課題】 脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳トレーニング、楽曲の演奏や作曲、ゲーム等を行なうことができる脳トレーニング装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなることを特徴とする脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【解決手段】 使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなることを特徴とする脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳トレーニング、楽曲の演奏や作曲、ゲーム等を行なう脳トレーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の頭部から脳波を検出する方法や技術は、すでに確立されており、一般的に知られている。また、脳波の計測および利用も一般的に行われている。例えば、本出願人は、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳波でコンピュータやゲーム機を操作する装置を開発している(例えば、特許文献1参照。)。また、個体の精神的心理変化を感知し、その変化に対応してゲームを進行させるとともに心理の安定を誘導するフィードバック信号を提供するバイオフィードバックゲーム器が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、本出願人は、リラックス度やエキサイト度について、その変動値を数値で表示することにより、使用者が、その効果を視覚で確認することができる精神状態変動装置を開発している(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特登録03779150号公報
【特許文献2】特開平11−169558号公報
【特許文献3】特開2009−1836346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す、脳波でコンピュータやゲーム機を操作する装置は、意識的に脳波をコントロールするとともに、その脳波を信号変換してコンピュータやゲーム機と接続し、相互通信を可能としたものである。また、コンピュータやゲーム機と相互通信する手段として汎用的な通信インターフェイスを使用している。これにより使用者は、手指等でコンピュータやゲーム機のキー操作をすることなく、脳波のみで操作することが可能となった。しかしながら、自己の脳を、エキサイト状態、リラックス状態あるいは平常心にするための脳トレーニング装置として利用することはできなかった。
【0005】
また、特許文献2に示すバイオフィードバックゲーム器は、携帯型バイオゲーム器であって、脈拍、皮膚温度及びGSRのうちから選択される1または2以上の組合せである因子の変化を検出し、この信号の変化によって心理的安定の有無を決定し、これをゲーム方式で表示するものである。なお、個体の頭脳活動の程度によってそれぞれ異なる周波数が検出される点に着眼し、バイノーラルビートのステレオサウンドを与えることにより、脳を覚醒、弛緩、瞑想状態などに誘導することが記述されている。しかしながら、この携帯型バイオゲーム器はゲーム機能しか有していないため、脳波のバイオフィードバックによる脳のトレーニングを行なうことはできなかった。
【0006】
一方、特許文献3に示す精神状態変動装置は、使用者がリラックス度やエキサイト度による効果を、その変動値(リラックス値またはエキサイト値)として数値で確認することができるものであり、体験前の数値、体験後の数値および、体験前の数値に対する変動値(軽減値または増加値)、および連続的な変化がモニタに表示されるので数値として視覚で確認することができるものである。使用者は画像および音楽を選択して視聴することにより、リラックス状態またはエキサイト状態に到達することができる。しかしながら、脳トレーニングを行なうための機能は不充分となっていた。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するために開発されたものであり、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳トレーニング、楽曲の演奏や作曲、ゲーム等を行なうことができる脳トレーニング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1は、使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなる脳波のバイオフィードバック(本発明では、バイオフィードバックとは、人には見えない身体の生体信号(脳波、筋電信号、眼電信号など)の情報を、電気的に検出して増幅や変換などの信号処理を行い、その結果を視覚、聴覚等の人が自覚できる方法で帰還(フィードバック)することにより、身体の状態を自身で意識的に調整する技術と定義する。)により制御される脳トレーニング装置である。
【0009】
本発明は、各家庭や個人に広く普及しているコンピュータ(パソコン等)を利用した脳トレーニング装置であり、装置の構成としては、頭部に装着するヘッダー形の生体信号検出手段、生体信号を無線受信するUSB端子を備えた受信器、CDまたはDVD等のメディアで提供されるアプリケーションソフト、および前記各機器を制御するプログラムである。本発明による脳トレーニング装置を使用するためには、前記構成以外に、音響または音声発生装置、映像や画像を見るための表示装置、アプリケーションソフトを稼動させるためのコンピュータ等が必要となる。
【0010】
本発明では、使用者の額部から検出した生体信号(本発明では、前頭部(額)における電位で、脳波も生体信号の一種であると定義する。)を、FFT処理して脳波パワースペクトルを得て、この脳波パワースペクトルから所定周波数帯域のパワーを抽出し、この抽出された脳力信号(本発明では脳波、筋電、眼電の複合された生体信号を脳力信号と定義する。脳力信号は集中(エキサイト)すると大きくなり、くつろぎ(リラックス)では小さくなる。)を表示手段に連続線、ドット、音符などの画像として表示している。これにより、使用者は、自己の脳をリラックス状態やエキサイト状態とするために視覚を通じて脳トレ(本発明では、脳力信号を大きくしたり、小さくしたりすることを繰り返すことを脳トレと定義する。)することが可能となる。また、予め表示手段にシーケンスメニューを表示しておけば、このシーケンスメニューに一致するように脳力信号を変化させる脳トレを行なえば、より効果的、効率的な脳トレーニングを実施することができる。
【0011】
本発明の請求項2は、前記受信手段と、前記変換手段と、前記アプリケーションソフトと、前記制御手段がポータブルケースに組み込まれており、前記ポータブルケースの表面には、脳トレの進行状態を視聴覚できる表示手段が設けられている脳トレーニング装置である。これにより、外出時の携帯も容易であるため、場所や時間を選ばずに使用することが可能である。
【0012】
本発明の請求項3は、前記脳トレーニング装置には記憶手段が設けられており、該記憶手段には、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えており,その後,同一の使用者から識別情報の入力があった場合には,前記制御手段により前記履歴データベースを検索して同一の利用者の過去の履歴を一覧表示すると共に、提示する手段を具備している脳トレーニング装置である。これにより、使用者は、過去の脳トレ情報を参照して、その成果を確認することができる。
【0013】
本発明の請求項4は、前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されており、額部に当接して生体信号を検出する電極が、ハード電極とフィルム電極より構成されている脳トレーニング装置である。前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に装着しやすいように、略U字形に形成されており、開放端は頭部の大きさに合わせてその間隙を調整できるようにするため、可撓性のあるプラスチックで形成されている。また、前記開放端には、伸縮性を有するベルトを取り付けることで、頭部への装着性を向上させている。また、使用上の自由度を向上させるために、額部から検出した生体信号のパソコン等への送信は、無線送信器が用いられている。
【0014】
本発明の請求項5は、前記アプリケーションソフトが、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有している脳トレーニング装置である。本発明は、自己の脳をエキサイト状態またはリラックス状態になるように脳トレーニングを行なうという単純な装置ではなく、気分転換を図るために、音楽を演奏または作曲、ゲーム(例えば、ピンポン)等をすることで、長期的に楽しく使用することが可能となる。
【0015】
本発明の請求項6は、前記脳トレは、表示手段の画面に初期設定でシーケンスメニューとして連続線が表示されており、使用者は脳力信号(脳波パワースペクトル)の軌跡を、前記シーケンスメニューの連続線と一致するように、脳力信号を強弱させて脳トレを行なう脳トレーニング装置である。これによれば、目標とする連続線がない状態で脳力信号を変化させる脳トレに比べて、より効果的、効率的な脳トレが可能となる。なお、高度な脳トレを行なうときは、前記連続線を非表示とすることが可能であり、自己の脳力信号を自由に変化させる脳トレを行なうことができる。さらに、高度な脳トレ方法としては、例えば、リラックス状態からエキサイト状態に入るための、自己に最適な連続線パターンを試行錯誤しながら確立することができる。
【0016】
本発明の請求項7は、前記音レッスンは、表示手段の画面に初期設定として楽譜が表示されており、使用者は脳力信号が、前記楽譜と一致するように脳力信号を強弱させると、脳力信号のレベル(高さ)に応じたポイントが表示されるとともに音がでる脳トレーニング装置である。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとして音レッスンを備えている。音レッスンは、表示手段の画面に楽譜が表示されており、使用者は楽譜に一致するように脳力信号を変化させる。これにより、脳力信号の強弱に対応した音程で音楽を演奏することができる。
【0017】
本発明の請求項8は、前記演奏または作曲は、表示画面に五線譜が表示されており、使用者は脳力信号を強弱させることにより、前記脳力信号の高さに対応した楽譜が表示されて演奏される脳トレーニング装置である。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとして演奏または作曲を備えている。
【0018】
本発明の請求項9は、前記ゲームは、表示画面に脳力信号の強弱により縦軸方向に上下移動するラケットと、横軸方向に往復移動する球が対向して表示されており、使用者が脳力信号を強弱させてラケットを上下移動させて、前記球に当接させるとポイントが得られる脳トレーニング装置である。脳力信号を強くすると、ラケットはエキサイト方向(画面上方)に移動し、脳力信号を弱くするとラケットはリラックス方向(画面下方)に移動し、球にラケットが接触すればポイントが得られるようにしている。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとしてゲームを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用者は、自己の脳をリラックス状態やエキサイト状態とするために視覚を通じて楽しみながら脳トレすることが可能となる。また、予め表示手段にシーケンスメニューを表示しておけば、このシーケンスメニューに一致するように脳力信号を変化させる脳トレを行なうことで、より効果的、効率的な脳トレーニングを実施することができる。また、受信手段と変換手段とアプリケーションソフトと制御手段をポータブルケースに組み込むことにより、外出時の携帯も容易となるため、場所や時間を選ばずに使用することが可能となる。
【0020】
本発明によれば、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えているので、使用者は、過去の脳トレ情報を参照して、その成果を確認することができる。また、生体信号検出手段が使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されているので、取扱が容易である。
【0021】
本発明によれば、アプリケーションソフトが、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有しており、脳トレは、初期設定として表示画面にシーケンスメニューである連続線が表示されている。これにより、目標とする連続線がない状態で脳力信号を変化させる脳トレに比べて、より効果的、効率的な脳トレが可能となる。また、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームは、気分転換することができるメニューとして有効であり、脳トレの実施による疲労感や意欲低下等を解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す脳波トレーニング装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す生体信号検出手段の展開斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すフィルム電極の詳細図であり、(a)は平面図、(b)はX−X線断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示すポータブルケースの全体図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図、(c)はA矢視図である。
【図5】本発明による脳トレーニング装置の初期画面の一例を示したものである。
【図6】本発明の、脳トレ画面の一例を示したものである。
【図7】本発明の活性化トレーニング画面の一例を示したものである。
【図8】本発明のくつろぎトレーニング画面の一例を示したものである。
【図9】本発明の音レッスン画面の一例を示したものである。
【図10】本発明の作曲能力画面の一例を示したものである。
【図11】本発明の作曲能力画面の一例を示したものである。
【図12】本発明のゲーム画面の一例を示したものである。
【図13】脳波のバイオフィードバックの原理を示した説明図である。
【図14】意識の変化による脳波の変化および画像の変化を示した説明図である。
【図15】脳を安らぎ(リラックス)または刺激(エキサイト)状態にする方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。図13は、脳波のバイオフィードバックの原理を示した説明図である。101は人、102は脳波を電気的に検出する検出器、103は検出した脳波を信号変換する変換器、104はコンピュータ、105は表示器(デイスプレー)、106は表示された画像である。人101の頭部から検出器102で検出して増幅した脳波は、周波数電気信号として変換器103に入力後デジタル信号に変換され、更にコンピュータと通信する信号に変換されてコンピュータ104に入力される。コンピュータ104は前記入力信号を画像信号に演算変換して、コンピュータ104と接続した表示器105に画像106として表示する。ここで人101が画像106を目で見ることによって、画像106は視覚を通じて人101の脳に伝達され、かくしてバイオフィードバックの閉ループが形成される。
【0024】
人101が意識を変化させた場合、意識の変化は脳波の変化となり、前記脳波は検出器102を経て画像106として表示されるため、人101は意識の変化による画像の変化をリアルタイムで自己の目で確認することができる。このことは逆に画像の変化を脳波によって意識的にコントロールできることを意味する。すなわち、人101が意識の変化方法(脳波の変化方法)を会得することによって自己の意思で画像106を変化させることができる。
【0025】
図14は、意識の変化による脳波の変化および画像の変化を示した説明図である。図14において、201は意識の変化の内容、202は検出した脳波の周波数波形、203は脳波の周波数波形を解析した脳波スペクトル、204は検出した脳波を画像信号に変換して画像化したものである。意識201は、何も考えずに気持ちをリラックスさせた状態を弱、気持ちを興奮させた状態を強として表している。意識が弱の時と強の時の脳波の変化を検出脳波202で表しているが、それぞれの違いは解かるものの判別は困難である。そこで、検出脳波202を周波数解析すると脳波スペクトル203に示すスペクトル図表が得られ、意識201が弱および強の時の違いを明確に判別できる。さらに、脳波スペクトル203の縦軸であるレベル(信号強度)をデータとして、これを画像信号に変換して表示器(デイスプレー)に表示したものが変換画像204であり、これを見れば意識が弱または強の差異は非常に良く理解できる。すなわち、人は自己の意識を変化させることによって脳波を変化させることができ、前記脳波の変化によって脳波スペクトルが変化し、画像を変化させることができる。
【0026】
図15は、脳を安らぎ(リラックス)または刺激(エキサイト)状態にする方法の説明図である。図15は、人が意識を変化させた時の脳電位の変化を示している。脳電位の変化を連続して表示したものを脳電位図と言うが、該脳電位図を一般的に脳波と呼ぶ。脳電位は、頭部の額部に複数の電極を貼り、脳波計で電位を計測した。脳電位は周波数波形の電気信号であるが、使用した脳波計は脳電位を実効値で表したもので、図15の縦軸数字は実効値であり単位はμVである。意識の変化は、ごく普通の状態で物を見たり、聞いたり、考えたりしている時の意識を中とし、非常に強く何かを念じたり、激しく様々なことを考えている時を強とし、逆に何も考えずに静かに瞑想している時を弱として3段階で変化させた。以上のようにして求めたデータから描いたのが図15の曲線である。
【0027】
意識を弱にして暫くこの状態を保てば、非常にリラックスした気持ちになり眠気をもよおしてくる。この状態の脳波を計測すると図14で説明した検出脳波202に等しい。また、意識が弱の状態では脳電位も低く、そして脳波も大変安定している。つまり、意識を弱にすれば、精神的なリラックス状態が得られ、心の安らぎが得られる。図15ではこれを安らぎ域と表している。すなわち、精神的なストレスを解消して精神的な安らぎを得るためのリラクゼーショントレーニングに有用である。意識を強にすると脳は活性化してエキサイト状態になり、図15ではこれを活性域と表している。脳を安らぎ域または活性域の状態にすること、すなわち、意識の変化を繰り返し行うことにより、脳に静的な刺激を与えることから、脳損傷や脳疾患患者の脳機能の回復訓練にも有用である。なお、リハビリテーション工学の研究によれば、脳障害患者の脳に適度な静的刺激を与えれば、失われた脳機能が回復することが知られている。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態を示す脳トレーニング装置の全体構成図である。なお、実線で囲んだ機器類は本発明の脳トレーニング装置を構成するものであり、破線で囲んだ機器(モニタ7およびコンピュータ8など)は、前記脳トレーニング装置を使用する際に必要な機器類である。
【0029】
生体信号検出手段1は、使用者の額部に3個の電極を当接して生体信号(主として脳波)を検出するものである。3個の電極から検出された生体信号は、生体信号検出手段1に組み込まれた送信器2から無線送信される。前記無線送信された生体信号は、コンピュータ8に着脱自在に装着された受信器3により無線受信される。アプリケーションソフト4は、脳トレーニング、音レッスンまたはゲーム等を実行するものであり、コンピュータ8等で実行可能なCD,DVDなど外部記憶装置として提供される。
【0030】
前記アプリケーションソフト4は、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳力信号を得る変換手段と、前記脳力信号により作動する制御手段を備えている。
【0031】
図2は本発明の一実施形態を示す生体信号検出手段の展開斜視図、図3はフィルム電極の詳細図であり、(a)は平面図、(b)はX−X線断面図である。図2において、外カバー11に、送信器2、ハード電極12、ボタン電池13が取付けられている。略U字形の外カバー11は可撓性を有する合成樹脂で形成されており、開放側の両端部の間隙は、使用者の頭部の大きさに沿って開度が変わるようになっている。また、前記両端部には、頭部への装着を確実にするために、必要に応じて伸縮性のある締付バンド(図示しない)を着脱自在に取付けることができる取付孔が設けられている。
【0032】
外カバー11の中央部の内側には、電極部と送信器2および電池部が設けられている。電極部は使用者の額部に当接させて使用者の生体信号を検出するものであり、電極カバー14、電極ホルダー15および電極ケース16より構成されている。電極カバー14の外表面は、使用者の額部に沿うように曲面状に形成されており、その表面に3個の電極が取付けられている。電極カバー14には3個のハード電極12が挿着され、該ハード電極12の表面には、3個のハード電極12を保護するフィルム電極17が貼着されている。このフィルム電極17の表面は、使用者の額部からの生体信号の検出精度を向上させるためと、額部からの脱落を防止するために、ゼリー面となっており、該電極面の反対側の面は、取替えができるように、着脱自在となる再剥離可能な接着剤または粘着剤が貼付されている。
【0033】
送信器2は、電極で検出した生体信号を、コンピュータ側に無線送信するものであり、電極ケース16の中に組み込まれている。電池部は、電極部および送信部を駆動する電力を供給するためのもので、ボタン電池13が着脱自在に装着されている。なお、必要に応じて、音または音楽を聞くヘッドフォン6を、生体信号検出手段1とは別に使用者の頭部に装着してもよく、ヘッドフォン6を生体信号検出手段と一体化することや、相互に連結可能としてもよい。
【0034】
生体信号を無線受信する受信器3にはUSB(Universal Serial Bus)端子が設けられているので、使用するパソコン等のUSBに挿着すれば簡単に使用することができる。
【0035】
脳トレ、音レッスン、ゲーム等を記録したアプリケーションソフト4は、1枚または複数の、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)を用いているが、半導体デバイス等データを保持しておける媒体であれば特に種類は問わない。これらは、コンピュータ8または外付再生装置に挿入、あるいはコンピュータ8に保存(一時保存または永久保存)して使用することができる。
【0036】
図4は本発明の他の実施形態を示すポータブルケースの全体図である。ポータブルケース5は略楕円形の箱型で、受信手段と、変換手段と、アプリケーションソフトと、制御手段が組み込まれており、前記ポータブルケース5の表面には、脳波トレーニングの進行を表示するための表示手段が設けられている。図4(a)において、51は脳力信号の強度レベルを示す表示バーであり、左側がリラックス領域で右側がエキサイト領域である。52はスタートボタン、53はスピーカー、54は画面表示部で、図4(a)ではSCOREが表示されている。ポータブルケース5の側面には画面切替えボタン55が設けられており、押す度に画像灯551、音灯552、画像と音灯553、SCORE灯554,パソコン接続灯555の表示灯(LED)が点灯するように構成されている。
【0037】
図4(b)は底面図を示したもので、56は4箇所に設けられた突起であり机上等への載置時にポータブルケース5の安定性保持のために設けられている。57は難易度設定とトレーニング時間設定のスイッチである。図4(c)は(a)のA矢視図であり、パソコン接続口581、ポータブルケースのON・OFFスイッチ582、バッテリーチャージャー接続口583、チャージランプ584、受信器バッテリ残量表示灯585が設けられている。
【0038】
ポータブルケース5、受信器3および生体信号検出手段1を携帯すれば、外出先等においても、場所や時間に制限されることなく容易に脳トレーニングを実施することが可能である。また、ポータブルケース5はコンピュータ8(パソコンなど)と接続することが可能であるから、別途、接続ケーブル(ポータブルケースとパソコンの接続用)とアプリケーションソフト(例えば、脳感ソフトなど)を準備すれば、パソコンで脳トレーニングを行なうことができる。
【0039】
図5は、本発明のアプリケーションソフトの初期画面の一例を示したものである。脳トレーニングのメニューとして、脳トレ(総合トレーニング、活性化トレーニング、くつろぎトレーニング)、脳休(音レッスン、作曲能力、ゲーム能力)、脳感(自分脳発見)が用意されている。なお、画面表示していないが、使用者は、ユーザIDを入力することができ、新規ユーザに対してはユーザ名またはユーザIDを入力することができる。これにより、2回目以降のユーザは、ユーザ名またはユーザIDが表示されるので、該当するものを選択すると、過去の使用情報が表示され、脳トレーニングの成果等を参照することができる。
【0040】
図6は、脳トレ画面の一例を示したものである。図6において、右側画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定(例えば、2分、5分、10分の3段階)に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。右画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、平常心から始まり、順にエキサイト、平常心、リラックス、平常心、エキサイト、平常心の軌跡が連続して表示されている。使用者は、前記連続線に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、その結果としての軌跡22が連続して表示される。連続線21には、現在の進行位置を示すポイントPが表示されて、連続線21上を移動する。軌跡22の先端部にはマークMが表示されて進行に合わせて移動する。
【0041】
左画面には難易度設定が可能となっている。難易度はプラス(+)、マイナス(−)ボタンを押すことにより、1(低)から5(高)の5段階の設定ができる。初心者は、通常難易度1からスタートするが、脳トレの熟練度が上がりSCOREが高くなれば、難易度を上げて脳トレの効果をSCOREで確認することができる。なお、SCOREは、シーケンスメニューの連続線21上のポイントPと、脳力信号の軌跡22の先端部のマークMの距離を測定して、その乖離を1〜100に指数化したものであり、ポイントPとマークMが一致した場合を100とし、最も乖離した場合を1としている。
【0042】
トレーニング時間の設定は、2分、5分、10分から選択することができる。また、脳トレの補助機能として音声ガイドを設けているが、音声ガイドをONまたはOFFに選択することができる。また、脳トレに共通の機能としてトレーニング結果の印刷出力や、脳トレの開始、再開、一時停止および消去(一時停止中の脳トレ結果をリセット)を選択することができる。
【0043】
図7は活性化トレーニング画面の一例を示したものである。図7において、画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、リラックス領域からエキサイト領域に至る線(画面では右肩上がり)が連続表示されており、進行位置を示すポイントP(例えば、ドットの点滅)が時間経過とともに連続線21上を移動するようになっている。なお、シーケンスメニューの連続線21は前記に限定されるものではなく、様々な連続線とすることができる。使用者は、前記連続線21に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、マークMが表示されて時間経過とともに移動し、その軌跡22が連続して表示される。なお、SCOREの表示については前記脳トレと同様である。
【0044】
図8はくつろぎトレーニング画面の一例を示したものである。図8において、画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、エキサイト領域からリラックス領域に至る線(画面では右肩下がり)が連続表示されており、進行位置を示すポイントP(例えば、ドットの点滅)が時間経過とともに連続線21上を移動するようになっている。なお、シーケンスメニューの連続線は前記に限定されるものではなく、様々な連続線とすることができる。使用者は、前記連続線に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、マークMが表示されて時間経過とともに移動するとともに、その軌跡22が連続して表示される。なお、SCOREの表示については前記脳トレと同様である。
【0045】
図9は音レッスン画面の一例を示したものである。図9において、下部画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、エキサイト度が高いほど音程が上がるようになっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。下部画面内には楽譜(例えば、はカエルの歌)が表示されており、使用者は、音符に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、設定したテンポに合せて、前記音符と対応した位置に結果がドット表示31されるとともに、その高さにあった演奏音がでる。この演奏音は、モデル音(楽譜音)とするか、レッスン音(ドット表示31された音)とするかの選択が可能となっている。レッスン音とした場合は、通常、モデル音の音程とは外れた音程で演奏されるが、これをモデル音に近づけるように脳トレーニングをすれば、楽しみながら脳トレーニングを行なうことができる。上部画面には、テンポ設定機能があり、スライダーツマミを左右にドラッグするとテンポが40〜240/分の範囲内で設定可能となっている。
【0046】
図10、図11は、作曲能力画面の一例を示したものである。図10において、下部画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、エキサイト度が高いほど音程が上がるようになっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。下部画面内には五線譜が表示されており、使用者は、意識的に脳力信号を変動させていくと、設定したテンポに合わせて、五線譜上に音符が表示されていく。図10に示す音符は、脳波パワースペクトルを変動させることにより表示された音符を示している。また、演奏音の出力についてはON,OFFが選択できるようになっている。図11は図10で作曲した楽譜の編集画面を示したものである。画面に示された音符の上にマウスカーソルを移動させ右クリックをすると、選択メニューが表示されるので、編集を希望する音符を選択する。次に、音符の上にマウスカーソルを移動させ上下にドラッグさせて、希望の音程(高さ)でマウスを放すと音符の高低を変更することができる。
【0047】
図12は、ゲーム画面の一例を示したものである。図12において、右側画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部が最も強く下部が最も弱くなっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、ゲーム時間の設定(1分〜30分)に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。前記画面には、左側にラケット41と右側に球42が対向するように表示されている。ラケット41は脳力信号の強弱により上下移動する。また、画面表示されていないが、画面の右側端面は壁等43が想定されており、球42はラケット41と壁等43の間を設定された速度で往復移動している。速度は1(遅い)〜5(速い)の5段階が選択できる。使用者は、脳力信号を強弱させてラケット41を上下移動させることにより、該ラケット41を球42に当接させるとポイント(点数)が得られ、ラケット41に球42が当接しないときは、ポイントが得らない。所定時間内でポイント数を競うゲームである。なお、球42はラケット41に当接しないときおよび直角に当接したときは横軸方向と平行に移動するが、球42とラケット41が直角以外の角度で当接した場合は、その反射角方向に反発して移動する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る脳トレーニング装置は、自己の精神状態をエキサイト状態、平常心またはリラックス状態にするための脳トレ、脳休および脳感機能を有しているので、自己の精神状態を自由にコントロールすることが可能となる、したがって、語学習得、受験勉強等に必要な集中力などの脳力を養うための脳波トレーニング装置として、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 生体信号検出手段
2 送信器
3 受信器
4 アプリケーションソフト
5 ポータブルケース
6 ヘッドフォン
7 モニタ
8 コンピュータ
11 外カバー
12 ハード電極
13 ボタン電池
14 電極カバー
15 電極ホルダー
16 電極ケース
17 フィルム電極
21 連続線
22 軌跡
31 ドット表示
41 ラケット
42 球
43 壁等
51 表示カバー
52 スタートボタン
53 スピーカー
54 画面表示部
55 画面切替ボタン
56 突起
57 スイッチ
101 人
102 検出器
103 変換器
104 コンピュータ
105 表示器(デイスプレー)
106 表示された画像
201 意識の変化の内容
202 周波数波形
203 脳波スペクトル
204 画像信号に変換して画像化したもの
M マーク
P ポイント
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳トレーニング、楽曲の演奏や作曲、ゲーム等を行なう脳トレーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の頭部から脳波を検出する方法や技術は、すでに確立されており、一般的に知られている。また、脳波の計測および利用も一般的に行われている。例えば、本出願人は、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳波でコンピュータやゲーム機を操作する装置を開発している(例えば、特許文献1参照。)。また、個体の精神的心理変化を感知し、その変化に対応してゲームを進行させるとともに心理の安定を誘導するフィードバック信号を提供するバイオフィードバックゲーム器が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、本出願人は、リラックス度やエキサイト度について、その変動値を数値で表示することにより、使用者が、その効果を視覚で確認することができる精神状態変動装置を開発している(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特登録03779150号公報
【特許文献2】特開平11−169558号公報
【特許文献3】特開2009−1836346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す、脳波でコンピュータやゲーム機を操作する装置は、意識的に脳波をコントロールするとともに、その脳波を信号変換してコンピュータやゲーム機と接続し、相互通信を可能としたものである。また、コンピュータやゲーム機と相互通信する手段として汎用的な通信インターフェイスを使用している。これにより使用者は、手指等でコンピュータやゲーム機のキー操作をすることなく、脳波のみで操作することが可能となった。しかしながら、自己の脳を、エキサイト状態、リラックス状態あるいは平常心にするための脳トレーニング装置として利用することはできなかった。
【0005】
また、特許文献2に示すバイオフィードバックゲーム器は、携帯型バイオゲーム器であって、脈拍、皮膚温度及びGSRのうちから選択される1または2以上の組合せである因子の変化を検出し、この信号の変化によって心理的安定の有無を決定し、これをゲーム方式で表示するものである。なお、個体の頭脳活動の程度によってそれぞれ異なる周波数が検出される点に着眼し、バイノーラルビートのステレオサウンドを与えることにより、脳を覚醒、弛緩、瞑想状態などに誘導することが記述されている。しかしながら、この携帯型バイオゲーム器はゲーム機能しか有していないため、脳波のバイオフィードバックによる脳のトレーニングを行なうことはできなかった。
【0006】
一方、特許文献3に示す精神状態変動装置は、使用者がリラックス度やエキサイト度による効果を、その変動値(リラックス値またはエキサイト値)として数値で確認することができるものであり、体験前の数値、体験後の数値および、体験前の数値に対する変動値(軽減値または増加値)、および連続的な変化がモニタに表示されるので数値として視覚で確認することができるものである。使用者は画像および音楽を選択して視聴することにより、リラックス状態またはエキサイト状態に到達することができる。しかしながら、脳トレーニングを行なうための機能は不充分となっていた。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するために開発されたものであり、脳波をフィードバックして自己コントロールすることにより、脳トレーニング、楽曲の演奏や作曲、ゲーム等を行なうことができる脳トレーニング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1は、使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなる脳波のバイオフィードバック(本発明では、バイオフィードバックとは、人には見えない身体の生体信号(脳波、筋電信号、眼電信号など)の情報を、電気的に検出して増幅や変換などの信号処理を行い、その結果を視覚、聴覚等の人が自覚できる方法で帰還(フィードバック)することにより、身体の状態を自身で意識的に調整する技術と定義する。)により制御される脳トレーニング装置である。
【0009】
本発明は、各家庭や個人に広く普及しているコンピュータ(パソコン等)を利用した脳トレーニング装置であり、装置の構成としては、頭部に装着するヘッダー形の生体信号検出手段、生体信号を無線受信するUSB端子を備えた受信器、CDまたはDVD等のメディアで提供されるアプリケーションソフト、および前記各機器を制御するプログラムである。本発明による脳トレーニング装置を使用するためには、前記構成以外に、音響または音声発生装置、映像や画像を見るための表示装置、アプリケーションソフトを稼動させるためのコンピュータ等が必要となる。
【0010】
本発明では、使用者の額部から検出した生体信号(本発明では、前頭部(額)における電位で、脳波も生体信号の一種であると定義する。)を、FFT処理して脳波パワースペクトルを得て、この脳波パワースペクトルから所定周波数帯域のパワーを抽出し、この抽出された脳力信号(本発明では脳波、筋電、眼電の複合された生体信号を脳力信号と定義する。脳力信号は集中(エキサイト)すると大きくなり、くつろぎ(リラックス)では小さくなる。)を表示手段に連続線、ドット、音符などの画像として表示している。これにより、使用者は、自己の脳をリラックス状態やエキサイト状態とするために視覚を通じて脳トレ(本発明では、脳力信号を大きくしたり、小さくしたりすることを繰り返すことを脳トレと定義する。)することが可能となる。また、予め表示手段にシーケンスメニューを表示しておけば、このシーケンスメニューに一致するように脳力信号を変化させる脳トレを行なえば、より効果的、効率的な脳トレーニングを実施することができる。
【0011】
本発明の請求項2は、前記受信手段と、前記変換手段と、前記アプリケーションソフトと、前記制御手段がポータブルケースに組み込まれており、前記ポータブルケースの表面には、脳トレの進行状態を視聴覚できる表示手段が設けられている脳トレーニング装置である。これにより、外出時の携帯も容易であるため、場所や時間を選ばずに使用することが可能である。
【0012】
本発明の請求項3は、前記脳トレーニング装置には記憶手段が設けられており、該記憶手段には、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えており,その後,同一の使用者から識別情報の入力があった場合には,前記制御手段により前記履歴データベースを検索して同一の利用者の過去の履歴を一覧表示すると共に、提示する手段を具備している脳トレーニング装置である。これにより、使用者は、過去の脳トレ情報を参照して、その成果を確認することができる。
【0013】
本発明の請求項4は、前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されており、額部に当接して生体信号を検出する電極が、ハード電極とフィルム電極より構成されている脳トレーニング装置である。前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に装着しやすいように、略U字形に形成されており、開放端は頭部の大きさに合わせてその間隙を調整できるようにするため、可撓性のあるプラスチックで形成されている。また、前記開放端には、伸縮性を有するベルトを取り付けることで、頭部への装着性を向上させている。また、使用上の自由度を向上させるために、額部から検出した生体信号のパソコン等への送信は、無線送信器が用いられている。
【0014】
本発明の請求項5は、前記アプリケーションソフトが、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有している脳トレーニング装置である。本発明は、自己の脳をエキサイト状態またはリラックス状態になるように脳トレーニングを行なうという単純な装置ではなく、気分転換を図るために、音楽を演奏または作曲、ゲーム(例えば、ピンポン)等をすることで、長期的に楽しく使用することが可能となる。
【0015】
本発明の請求項6は、前記脳トレは、表示手段の画面に初期設定でシーケンスメニューとして連続線が表示されており、使用者は脳力信号(脳波パワースペクトル)の軌跡を、前記シーケンスメニューの連続線と一致するように、脳力信号を強弱させて脳トレを行なう脳トレーニング装置である。これによれば、目標とする連続線がない状態で脳力信号を変化させる脳トレに比べて、より効果的、効率的な脳トレが可能となる。なお、高度な脳トレを行なうときは、前記連続線を非表示とすることが可能であり、自己の脳力信号を自由に変化させる脳トレを行なうことができる。さらに、高度な脳トレ方法としては、例えば、リラックス状態からエキサイト状態に入るための、自己に最適な連続線パターンを試行錯誤しながら確立することができる。
【0016】
本発明の請求項7は、前記音レッスンは、表示手段の画面に初期設定として楽譜が表示されており、使用者は脳力信号が、前記楽譜と一致するように脳力信号を強弱させると、脳力信号のレベル(高さ)に応じたポイントが表示されるとともに音がでる脳トレーニング装置である。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとして音レッスンを備えている。音レッスンは、表示手段の画面に楽譜が表示されており、使用者は楽譜に一致するように脳力信号を変化させる。これにより、脳力信号の強弱に対応した音程で音楽を演奏することができる。
【0017】
本発明の請求項8は、前記演奏または作曲は、表示画面に五線譜が表示されており、使用者は脳力信号を強弱させることにより、前記脳力信号の高さに対応した楽譜が表示されて演奏される脳トレーニング装置である。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとして演奏または作曲を備えている。
【0018】
本発明の請求項9は、前記ゲームは、表示画面に脳力信号の強弱により縦軸方向に上下移動するラケットと、横軸方向に往復移動する球が対向して表示されており、使用者が脳力信号を強弱させてラケットを上下移動させて、前記球に当接させるとポイントが得られる脳トレーニング装置である。脳力信号を強くすると、ラケットはエキサイト方向(画面上方)に移動し、脳力信号を弱くするとラケットはリラックス方向(画面下方)に移動し、球にラケットが接触すればポイントが得られるようにしている。脳トレのみを実施していると、疲労感や意欲低下等がおきるので、気分転換ができるメニューとしてゲームを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用者は、自己の脳をリラックス状態やエキサイト状態とするために視覚を通じて楽しみながら脳トレすることが可能となる。また、予め表示手段にシーケンスメニューを表示しておけば、このシーケンスメニューに一致するように脳力信号を変化させる脳トレを行なうことで、より効果的、効率的な脳トレーニングを実施することができる。また、受信手段と変換手段とアプリケーションソフトと制御手段をポータブルケースに組み込むことにより、外出時の携帯も容易となるため、場所や時間を選ばずに使用することが可能となる。
【0020】
本発明によれば、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えているので、使用者は、過去の脳トレ情報を参照して、その成果を確認することができる。また、生体信号検出手段が使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されているので、取扱が容易である。
【0021】
本発明によれば、アプリケーションソフトが、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有しており、脳トレは、初期設定として表示画面にシーケンスメニューである連続線が表示されている。これにより、目標とする連続線がない状態で脳力信号を変化させる脳トレに比べて、より効果的、効率的な脳トレが可能となる。また、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームは、気分転換することができるメニューとして有効であり、脳トレの実施による疲労感や意欲低下等を解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す脳波トレーニング装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す生体信号検出手段の展開斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すフィルム電極の詳細図であり、(a)は平面図、(b)はX−X線断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示すポータブルケースの全体図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図、(c)はA矢視図である。
【図5】本発明による脳トレーニング装置の初期画面の一例を示したものである。
【図6】本発明の、脳トレ画面の一例を示したものである。
【図7】本発明の活性化トレーニング画面の一例を示したものである。
【図8】本発明のくつろぎトレーニング画面の一例を示したものである。
【図9】本発明の音レッスン画面の一例を示したものである。
【図10】本発明の作曲能力画面の一例を示したものである。
【図11】本発明の作曲能力画面の一例を示したものである。
【図12】本発明のゲーム画面の一例を示したものである。
【図13】脳波のバイオフィードバックの原理を示した説明図である。
【図14】意識の変化による脳波の変化および画像の変化を示した説明図である。
【図15】脳を安らぎ(リラックス)または刺激(エキサイト)状態にする方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。図13は、脳波のバイオフィードバックの原理を示した説明図である。101は人、102は脳波を電気的に検出する検出器、103は検出した脳波を信号変換する変換器、104はコンピュータ、105は表示器(デイスプレー)、106は表示された画像である。人101の頭部から検出器102で検出して増幅した脳波は、周波数電気信号として変換器103に入力後デジタル信号に変換され、更にコンピュータと通信する信号に変換されてコンピュータ104に入力される。コンピュータ104は前記入力信号を画像信号に演算変換して、コンピュータ104と接続した表示器105に画像106として表示する。ここで人101が画像106を目で見ることによって、画像106は視覚を通じて人101の脳に伝達され、かくしてバイオフィードバックの閉ループが形成される。
【0024】
人101が意識を変化させた場合、意識の変化は脳波の変化となり、前記脳波は検出器102を経て画像106として表示されるため、人101は意識の変化による画像の変化をリアルタイムで自己の目で確認することができる。このことは逆に画像の変化を脳波によって意識的にコントロールできることを意味する。すなわち、人101が意識の変化方法(脳波の変化方法)を会得することによって自己の意思で画像106を変化させることができる。
【0025】
図14は、意識の変化による脳波の変化および画像の変化を示した説明図である。図14において、201は意識の変化の内容、202は検出した脳波の周波数波形、203は脳波の周波数波形を解析した脳波スペクトル、204は検出した脳波を画像信号に変換して画像化したものである。意識201は、何も考えずに気持ちをリラックスさせた状態を弱、気持ちを興奮させた状態を強として表している。意識が弱の時と強の時の脳波の変化を検出脳波202で表しているが、それぞれの違いは解かるものの判別は困難である。そこで、検出脳波202を周波数解析すると脳波スペクトル203に示すスペクトル図表が得られ、意識201が弱および強の時の違いを明確に判別できる。さらに、脳波スペクトル203の縦軸であるレベル(信号強度)をデータとして、これを画像信号に変換して表示器(デイスプレー)に表示したものが変換画像204であり、これを見れば意識が弱または強の差異は非常に良く理解できる。すなわち、人は自己の意識を変化させることによって脳波を変化させることができ、前記脳波の変化によって脳波スペクトルが変化し、画像を変化させることができる。
【0026】
図15は、脳を安らぎ(リラックス)または刺激(エキサイト)状態にする方法の説明図である。図15は、人が意識を変化させた時の脳電位の変化を示している。脳電位の変化を連続して表示したものを脳電位図と言うが、該脳電位図を一般的に脳波と呼ぶ。脳電位は、頭部の額部に複数の電極を貼り、脳波計で電位を計測した。脳電位は周波数波形の電気信号であるが、使用した脳波計は脳電位を実効値で表したもので、図15の縦軸数字は実効値であり単位はμVである。意識の変化は、ごく普通の状態で物を見たり、聞いたり、考えたりしている時の意識を中とし、非常に強く何かを念じたり、激しく様々なことを考えている時を強とし、逆に何も考えずに静かに瞑想している時を弱として3段階で変化させた。以上のようにして求めたデータから描いたのが図15の曲線である。
【0027】
意識を弱にして暫くこの状態を保てば、非常にリラックスした気持ちになり眠気をもよおしてくる。この状態の脳波を計測すると図14で説明した検出脳波202に等しい。また、意識が弱の状態では脳電位も低く、そして脳波も大変安定している。つまり、意識を弱にすれば、精神的なリラックス状態が得られ、心の安らぎが得られる。図15ではこれを安らぎ域と表している。すなわち、精神的なストレスを解消して精神的な安らぎを得るためのリラクゼーショントレーニングに有用である。意識を強にすると脳は活性化してエキサイト状態になり、図15ではこれを活性域と表している。脳を安らぎ域または活性域の状態にすること、すなわち、意識の変化を繰り返し行うことにより、脳に静的な刺激を与えることから、脳損傷や脳疾患患者の脳機能の回復訓練にも有用である。なお、リハビリテーション工学の研究によれば、脳障害患者の脳に適度な静的刺激を与えれば、失われた脳機能が回復することが知られている。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態を示す脳トレーニング装置の全体構成図である。なお、実線で囲んだ機器類は本発明の脳トレーニング装置を構成するものであり、破線で囲んだ機器(モニタ7およびコンピュータ8など)は、前記脳トレーニング装置を使用する際に必要な機器類である。
【0029】
生体信号検出手段1は、使用者の額部に3個の電極を当接して生体信号(主として脳波)を検出するものである。3個の電極から検出された生体信号は、生体信号検出手段1に組み込まれた送信器2から無線送信される。前記無線送信された生体信号は、コンピュータ8に着脱自在に装着された受信器3により無線受信される。アプリケーションソフト4は、脳トレーニング、音レッスンまたはゲーム等を実行するものであり、コンピュータ8等で実行可能なCD,DVDなど外部記憶装置として提供される。
【0030】
前記アプリケーションソフト4は、前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳力信号を得る変換手段と、前記脳力信号により作動する制御手段を備えている。
【0031】
図2は本発明の一実施形態を示す生体信号検出手段の展開斜視図、図3はフィルム電極の詳細図であり、(a)は平面図、(b)はX−X線断面図である。図2において、外カバー11に、送信器2、ハード電極12、ボタン電池13が取付けられている。略U字形の外カバー11は可撓性を有する合成樹脂で形成されており、開放側の両端部の間隙は、使用者の頭部の大きさに沿って開度が変わるようになっている。また、前記両端部には、頭部への装着を確実にするために、必要に応じて伸縮性のある締付バンド(図示しない)を着脱自在に取付けることができる取付孔が設けられている。
【0032】
外カバー11の中央部の内側には、電極部と送信器2および電池部が設けられている。電極部は使用者の額部に当接させて使用者の生体信号を検出するものであり、電極カバー14、電極ホルダー15および電極ケース16より構成されている。電極カバー14の外表面は、使用者の額部に沿うように曲面状に形成されており、その表面に3個の電極が取付けられている。電極カバー14には3個のハード電極12が挿着され、該ハード電極12の表面には、3個のハード電極12を保護するフィルム電極17が貼着されている。このフィルム電極17の表面は、使用者の額部からの生体信号の検出精度を向上させるためと、額部からの脱落を防止するために、ゼリー面となっており、該電極面の反対側の面は、取替えができるように、着脱自在となる再剥離可能な接着剤または粘着剤が貼付されている。
【0033】
送信器2は、電極で検出した生体信号を、コンピュータ側に無線送信するものであり、電極ケース16の中に組み込まれている。電池部は、電極部および送信部を駆動する電力を供給するためのもので、ボタン電池13が着脱自在に装着されている。なお、必要に応じて、音または音楽を聞くヘッドフォン6を、生体信号検出手段1とは別に使用者の頭部に装着してもよく、ヘッドフォン6を生体信号検出手段と一体化することや、相互に連結可能としてもよい。
【0034】
生体信号を無線受信する受信器3にはUSB(Universal Serial Bus)端子が設けられているので、使用するパソコン等のUSBに挿着すれば簡単に使用することができる。
【0035】
脳トレ、音レッスン、ゲーム等を記録したアプリケーションソフト4は、1枚または複数の、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)を用いているが、半導体デバイス等データを保持しておける媒体であれば特に種類は問わない。これらは、コンピュータ8または外付再生装置に挿入、あるいはコンピュータ8に保存(一時保存または永久保存)して使用することができる。
【0036】
図4は本発明の他の実施形態を示すポータブルケースの全体図である。ポータブルケース5は略楕円形の箱型で、受信手段と、変換手段と、アプリケーションソフトと、制御手段が組み込まれており、前記ポータブルケース5の表面には、脳波トレーニングの進行を表示するための表示手段が設けられている。図4(a)において、51は脳力信号の強度レベルを示す表示バーであり、左側がリラックス領域で右側がエキサイト領域である。52はスタートボタン、53はスピーカー、54は画面表示部で、図4(a)ではSCOREが表示されている。ポータブルケース5の側面には画面切替えボタン55が設けられており、押す度に画像灯551、音灯552、画像と音灯553、SCORE灯554,パソコン接続灯555の表示灯(LED)が点灯するように構成されている。
【0037】
図4(b)は底面図を示したもので、56は4箇所に設けられた突起であり机上等への載置時にポータブルケース5の安定性保持のために設けられている。57は難易度設定とトレーニング時間設定のスイッチである。図4(c)は(a)のA矢視図であり、パソコン接続口581、ポータブルケースのON・OFFスイッチ582、バッテリーチャージャー接続口583、チャージランプ584、受信器バッテリ残量表示灯585が設けられている。
【0038】
ポータブルケース5、受信器3および生体信号検出手段1を携帯すれば、外出先等においても、場所や時間に制限されることなく容易に脳トレーニングを実施することが可能である。また、ポータブルケース5はコンピュータ8(パソコンなど)と接続することが可能であるから、別途、接続ケーブル(ポータブルケースとパソコンの接続用)とアプリケーションソフト(例えば、脳感ソフトなど)を準備すれば、パソコンで脳トレーニングを行なうことができる。
【0039】
図5は、本発明のアプリケーションソフトの初期画面の一例を示したものである。脳トレーニングのメニューとして、脳トレ(総合トレーニング、活性化トレーニング、くつろぎトレーニング)、脳休(音レッスン、作曲能力、ゲーム能力)、脳感(自分脳発見)が用意されている。なお、画面表示していないが、使用者は、ユーザIDを入力することができ、新規ユーザに対してはユーザ名またはユーザIDを入力することができる。これにより、2回目以降のユーザは、ユーザ名またはユーザIDが表示されるので、該当するものを選択すると、過去の使用情報が表示され、脳トレーニングの成果等を参照することができる。
【0040】
図6は、脳トレ画面の一例を示したものである。図6において、右側画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定(例えば、2分、5分、10分の3段階)に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。右画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、平常心から始まり、順にエキサイト、平常心、リラックス、平常心、エキサイト、平常心の軌跡が連続して表示されている。使用者は、前記連続線に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、その結果としての軌跡22が連続して表示される。連続線21には、現在の進行位置を示すポイントPが表示されて、連続線21上を移動する。軌跡22の先端部にはマークMが表示されて進行に合わせて移動する。
【0041】
左画面には難易度設定が可能となっている。難易度はプラス(+)、マイナス(−)ボタンを押すことにより、1(低)から5(高)の5段階の設定ができる。初心者は、通常難易度1からスタートするが、脳トレの熟練度が上がりSCOREが高くなれば、難易度を上げて脳トレの効果をSCOREで確認することができる。なお、SCOREは、シーケンスメニューの連続線21上のポイントPと、脳力信号の軌跡22の先端部のマークMの距離を測定して、その乖離を1〜100に指数化したものであり、ポイントPとマークMが一致した場合を100とし、最も乖離した場合を1としている。
【0042】
トレーニング時間の設定は、2分、5分、10分から選択することができる。また、脳トレの補助機能として音声ガイドを設けているが、音声ガイドをONまたはOFFに選択することができる。また、脳トレに共通の機能としてトレーニング結果の印刷出力や、脳トレの開始、再開、一時停止および消去(一時停止中の脳トレ結果をリセット)を選択することができる。
【0043】
図7は活性化トレーニング画面の一例を示したものである。図7において、画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、リラックス領域からエキサイト領域に至る線(画面では右肩上がり)が連続表示されており、進行位置を示すポイントP(例えば、ドットの点滅)が時間経過とともに連続線21上を移動するようになっている。なお、シーケンスメニューの連続線21は前記に限定されるものではなく、様々な連続線とすることができる。使用者は、前記連続線21に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、マークMが表示されて時間経過とともに移動し、その軌跡22が連続して表示される。なお、SCOREの表示については前記脳トレと同様である。
【0044】
図8はくつろぎトレーニング画面の一例を示したものである。図8において、画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部から順に、エキサイト領域、平常心、リラックス領域が表示されている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。画面内の連続線21はシーケンスメニューであり、エキサイト領域からリラックス領域に至る線(画面では右肩下がり)が連続表示されており、進行位置を示すポイントP(例えば、ドットの点滅)が時間経過とともに連続線21上を移動するようになっている。なお、シーケンスメニューの連続線は前記に限定されるものではなく、様々な連続線とすることができる。使用者は、前記連続線に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、マークMが表示されて時間経過とともに移動するとともに、その軌跡22が連続して表示される。なお、SCOREの表示については前記脳トレと同様である。
【0045】
図9は音レッスン画面の一例を示したものである。図9において、下部画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、エキサイト度が高いほど音程が上がるようになっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間の設定に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。下部画面内には楽譜(例えば、はカエルの歌)が表示されており、使用者は、音符に一致するように意識的に脳力信号を変動させると、設定したテンポに合せて、前記音符と対応した位置に結果がドット表示31されるとともに、その高さにあった演奏音がでる。この演奏音は、モデル音(楽譜音)とするか、レッスン音(ドット表示31された音)とするかの選択が可能となっている。レッスン音とした場合は、通常、モデル音の音程とは外れた音程で演奏されるが、これをモデル音に近づけるように脳トレーニングをすれば、楽しみながら脳トレーニングを行なうことができる。上部画面には、テンポ設定機能があり、スライダーツマミを左右にドラッグするとテンポが40〜240/分の範囲内で設定可能となっている。
【0046】
図10、図11は、作曲能力画面の一例を示したものである。図10において、下部画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、エキサイト度が高いほど音程が上がるようになっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、トレーニング時間に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。下部画面内には五線譜が表示されており、使用者は、意識的に脳力信号を変動させていくと、設定したテンポに合わせて、五線譜上に音符が表示されていく。図10に示す音符は、脳波パワースペクトルを変動させることにより表示された音符を示している。また、演奏音の出力についてはON,OFFが選択できるようになっている。図11は図10で作曲した楽譜の編集画面を示したものである。画面に示された音符の上にマウスカーソルを移動させ右クリックをすると、選択メニューが表示されるので、編集を希望する音符を選択する。次に、音符の上にマウスカーソルを移動させ上下にドラッグさせて、希望の音程(高さ)でマウスを放すと音符の高低を変更することができる。
【0047】
図12は、ゲーム画面の一例を示したものである。図12において、右側画面の縦軸は脳力信号の強度を示したもので、上部が最も強く下部が最も弱くなっている。一方、横軸は経過時間を示したもので、ゲーム時間の設定(1分〜30分)に合せて、ツールバーが左から右側に移動するようになっている。前記画面には、左側にラケット41と右側に球42が対向するように表示されている。ラケット41は脳力信号の強弱により上下移動する。また、画面表示されていないが、画面の右側端面は壁等43が想定されており、球42はラケット41と壁等43の間を設定された速度で往復移動している。速度は1(遅い)〜5(速い)の5段階が選択できる。使用者は、脳力信号を強弱させてラケット41を上下移動させることにより、該ラケット41を球42に当接させるとポイント(点数)が得られ、ラケット41に球42が当接しないときは、ポイントが得らない。所定時間内でポイント数を競うゲームである。なお、球42はラケット41に当接しないときおよび直角に当接したときは横軸方向と平行に移動するが、球42とラケット41が直角以外の角度で当接した場合は、その反射角方向に反発して移動する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る脳トレーニング装置は、自己の精神状態をエキサイト状態、平常心またはリラックス状態にするための脳トレ、脳休および脳感機能を有しているので、自己の精神状態を自由にコントロールすることが可能となる、したがって、語学習得、受験勉強等に必要な集中力などの脳力を養うための脳波トレーニング装置として、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 生体信号検出手段
2 送信器
3 受信器
4 アプリケーションソフト
5 ポータブルケース
6 ヘッドフォン
7 モニタ
8 コンピュータ
11 外カバー
12 ハード電極
13 ボタン電池
14 電極カバー
15 電極ホルダー
16 電極ケース
17 フィルム電極
21 連続線
22 軌跡
31 ドット表示
41 ラケット
42 球
43 壁等
51 表示カバー
52 スタートボタン
53 スピーカー
54 画面表示部
55 画面切替ボタン
56 突起
57 スイッチ
101 人
102 検出器
103 変換器
104 コンピュータ
105 表示器(デイスプレー)
106 表示された画像
201 意識の変化の内容
202 周波数波形
203 脳波スペクトル
204 画像信号に変換して画像化したもの
M マーク
P ポイント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、
前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、
前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、
前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなることを特徴とする、脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項2】
前記受信手段と、前記変換手段と、前記アプリケーションソフトと、前記制御手段がポータブルケースに組み込まれており、前記ポータブルケースの表面には、脳波トレーニングの進行を表示するための表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項3】
前記脳波トレーニング装置には記憶手段が設けられており、該記憶手段には、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えており,その後,同一の使用者から識別情報の入力があった場合には,前記制御手段により前記履歴データベースを検索して同一の利用者の過去の履歴を一覧表示すると共に、提示する手段を具備していることを特徴とする請求項1または2に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項4】
前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されており、額部に当接して生体信号を検出する電極が、ハード電極とフィルム電極より構成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項5】
前記アプリケーションソフトは、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有していることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項6】
前記脳トレは、表示画面に、シーケンスメニューとして連続線が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルの軌跡が、前記シーケンスメニューの連続線と一致するように、脳波パワースペクトルを強弱させて、脳波トレーニングを行なうことを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項7】
前記音レッスンは、表示画面に、楽譜が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルが、前記楽譜と一致するように脳波パワースペクトルを強弱させると、前記脳波パワースペクトルの高さに対応した音が出て演奏されることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項8】
前記演奏または作曲は、表示画面に、五線譜が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルを強弱させることにより、前記脳波パワースペクトルの高さに対応した楽譜が表示されて演奏されることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項9】
前記ゲームは、表示画面に、脳波パワースペクトルの強弱により縦軸方向に上下移動するラケットと、横軸方向に往復移動する球が対向して表示されており、使用者が脳波パワースペクトルを強弱させてラケットを上下移動させて、前記球に当接させるとポイントが得られることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項1】
使用者の額部に電極を当接して生体信号を検出する生体信号検出手段と、
前記生体信号検出手段で検出した生体信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された生体信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された生体信号をFFT処理して脳波パワースペクトルを得る変換手段と、
前記パワースペクトルにより操作されるアプリケーションソフトと、
前記アプリケーションソフトを制御する制御手段を備えてなることを特徴とする、脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項2】
前記受信手段と、前記変換手段と、前記アプリケーションソフトと、前記制御手段がポータブルケースに組み込まれており、前記ポータブルケースの表面には、脳波トレーニングの進行を表示するための表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項3】
前記脳波トレーニング装置には記憶手段が設けられており、該記憶手段には、使用者の識別情報および使用結果を履歴情報として個人別に記憶した履歴データベースを備えており,その後,同一の使用者から識別情報の入力があった場合には,前記制御手段により前記履歴データベースを検索して同一の利用者の過去の履歴を一覧表示すると共に、提示する手段を具備していることを特徴とする請求項1または2に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項4】
前記生体信号検出手段は、使用者の頭部に着脱自在に装着できるように形成されており、額部に当接して生体信号を検出する電極が、ハード電極とフィルム電極より構成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項5】
前記アプリケーションソフトは、脳トレ、音レッスン、演奏または作曲、あるいはゲームの少なくとも1つ以上を有していることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項6】
前記脳トレは、表示画面に、シーケンスメニューとして連続線が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルの軌跡が、前記シーケンスメニューの連続線と一致するように、脳波パワースペクトルを強弱させて、脳波トレーニングを行なうことを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項7】
前記音レッスンは、表示画面に、楽譜が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルが、前記楽譜と一致するように脳波パワースペクトルを強弱させると、前記脳波パワースペクトルの高さに対応した音が出て演奏されることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項8】
前記演奏または作曲は、表示画面に、五線譜が表示されており、使用者は脳波パワースペクトルを強弱させることにより、前記脳波パワースペクトルの高さに対応した楽譜が表示されて演奏されることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【請求項9】
前記ゲームは、表示画面に、脳波パワースペクトルの強弱により縦軸方向に上下移動するラケットと、横軸方向に往復移動する球が対向して表示されており、使用者が脳波パワースペクトルを強弱させてラケットを上下移動させて、前記球に当接させるとポイントが得られることを特徴とする請求項5に記載の脳波のバイオフィードバックにより制御される脳トレーニング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−137917(P2011−137917A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296951(P2009−296951)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(595114447)株式会社テクノスジャパン (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(595114447)株式会社テクノスジャパン (9)
【Fターム(参考)】
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