説明

自動ドア周囲における物体の存在検知用の熱感知性アレイデバイス

【課題】ドア、特に自動ドアでの使用及びドアの周囲での検知のために特に有用であり、従来の欠点を低減させ又は未然に防ぐ、例えば人体等の目標物体の存在及び/又は運動を検知するためのセンサデバイス及びドアセンサを提供することにある。
【解決手段】熱感知性アレイデバイス80は、配列構成された複数の少なくとも2つの熱感知性センサ(10−i)を備え、各熱感知性センサ(10−i)が前記監視領域(56)内に設けられた対応する複数の少なくとも2つの監視コーン(50−i)の1つと関連付けられ、且つ、各熱感知性のセンサが前記複数の監視コーン(50−i)に関連付けられた対応する一つから放出された熱赤外線放射の一部を吸収するように更に構成され、これにより、前記各熱感知性センサ(10−i)が、目標温度の結果として前記熱感知性センサ(12−i)内で発生された信号(V−i)を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に熱感知性アレイデバイスに関し、例えばサーモパイルの配列構成を備え、監視コーン(錐体)の配列構成からなる監視領域内における物体の存在及び運動の検知を提供する熱感知性アレイデバイスに関する。ドアセンサとしてのこのようなデバイスの例示的な適用例は、自動ドア向けの用途として好ましくはドア敷居内又はその近傍における物体の存在及び/又は物体の運動の検知を提供するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
このような適用例では、人体等の目標物体が例えばドアの自動的な開放を起動させるためにドアセンサの監視領域に入ったときに目標物体の存在が検地され、或いはドアが目標物体上で閉鎖することを防止するために目標物体がドア敷居内で検知される。
【0003】
熱分布図は与えられた温度を有する物体から放出される熱放射の測定を基にしている。この放射に関連する波長は7μmから14μmの間である。
【0004】
サーモパイルセンサは、一般に非接触温度(又は熱)の測定に使用され得る。これらは、その周囲環境の温度とは異なる温度を有する物体の存在を検知するために使用され、又は適切に操作され得る。これらはまた、周囲環境がほぼ一様な温度、例えば大気温度であるとき、周囲環境に対しては非感知性となるように操作され得る。
【0005】
例えば、ボロメータの配列等の他の技術においてもまた可能である。これらすべてのセンサは受動的であると言われ、その理由は、これらがそれ自体ではいかなる放射をすることなく、目標の熱放射を遠隔で測定するためである。
【0006】
サーモパイルは、例えば熱電対がその上に構築されるシリコン基板によって形成され、又はシリコン基板上に形成された低温熱源と高温熱源との間に一般に構成されている小型の熱電対を使用するセンサである。体温よりも低い大気温度における環境下での人間又は動物の体の場合のように、目標が周囲環境の大気温度よりも高温であるという仮定の下で、低温熱源が大気温度に関連付けられ、高温熱源が目標に関連付けられる。熱電対が2つの熱源の間に配置され、この温度差が熱源によって獲得される温度差に比例する電圧を発生させる。
【0007】
サーモパイルは、耳温度計(特許文献1)、電子レンジの内部(特許文献2及び3)、ヘアドライヤ(特許文献4)、暖房システムバーナー(特許文献5)、及び運動検知(特許文献6)等のいくつかの用途で領域の温度を遠隔で評価するために使用されている。後者の場合、1つのレンズによってカバーされた領域を離れて別の領域に入る毎にセンサアレイにいくつかの変化を発生させるために複数のレンズ技術を使用することによって運動検知が得られる。
【0008】
物体の存在又は運動の検知に使用される能動型センサデバイスは、このデバイスが、領域(例えば地面上又はその上方)の方向、又は監視される空間内の立体角(ここでは監視領域と呼ばれる)に放射(通常光又はマイクロウェーブ等の電磁放射)を放出するエミッタと、監視領域から例えばその反射率によって再出現される放射の一部分を検知するための放射検知器と、を備えるという原理に一般に依拠している。放射検知器の方向の反射率が変化すると、再出現される放射の量は変動する。これは、例えば物体が監視領域に入ることの結果として生じ得る。
【0009】
能動型センサは一般に、また自動ドアの用途において、以下の欠点を有する。放射をすることは、放射を維持するために必要なそれに応じた補助電力の消費を生じさせる。放出される放射が、人間の健康に対して有害となるおそれがある。また、放出される放射が可視である場合には、存在監視が行われていることが望ましくないときに目立つ場合がある。更に、監視領域から再放射される放射の検知量は、検知される例えば人間の体等の目標物体ではない物体によって変化されることがあり、これによって「誤警報」をもたらすことがある。
【0010】
存在検知のための受動型センサデバイスは、これらの検知を行うために放射をせず、検知される目標物体から放出される放射を検知する。焦電センサは自動ドアの周囲での用途において公知であるが、これは運動検知のために使用されている。焦電センサは温度変化の測定をするだけであり、定常状態における温度の測定には適してない。
【特許文献1】米国特許第4,722,612号明細書
【特許文献2】米国特許第5,589,094号明細書
【特許文献3】米国特許第6,013,907号明細書
【特許文献4】国際公開第99/01726号パンフレット
【特許文献5】米国特許第4,717,333号明細書
【特許文献6】米国特許第6,203,194号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術のセンサにおけるこれらの欠点を考慮すると、ドア、特に自動ドアでの使用及びドアの周囲での検知に特に有用であり、上述した欠点を低減させ或いは未然に防ぎ、例えば人体等の目標物体の存在及び/又は目標物体の運動を検知するためのセンサデバイス及びドアセンサを提供することが、本発明の目的である。本発明の目的は、特に、極めて低い電力消費量を有し、小さなサイズで、能動的に放射することを必要とせず、定常状態における温度測定及び監視領域の監視のために好ましくは必要とされる長期間安定性を達成する、センサデバイス及びドアセンサを提供することにある。
【0012】
通常、ドアセンサはドアの最上部の中央又は横側に位置する。このような適用例では、ドアセンサはドアの運動領域を網羅、監視又は監督するように向けられている。この用途を考慮すると、本発明の更なる目的は、自動ドアの運動による誤警報又は摂動を回避することであって、ドアが不必要に開くこと或いは不必要に長く開いたままであることに至る監視領域内に入る雨、雪、葉等による摂動の場合に監視領域内の地面又は床の反射率の変化に対しては非感知とすることにより誤警報又は摂動を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、監視領域内での物体の存在を検知する熱感知性アレイデバイスであって、配列構成された複数の少なくとも2つの熱感知性センサを備え、各熱感知性センサが前記監視領域内に設けられた対応する複数の少なくとも2つの監視錐体(コーン)の1つと関連付けられ、且つ、各熱感知性のセンサが前記複数の監視コーンに関連付けられた対応する一つから放出された熱赤外線放射の一部を吸収するように更に構成されることによって、上述した目的が達成される。
【0014】
各熱感知性センサは、目標の温度によって熱感知性のセンサ内で発生させられた信号を測定するために前記センサと電気的に結合された電子回路を更に備える。また、アレイデバイスは、好ましくは熱感知性センサとしてサーモパイルセンサ又はボロメータセンサを備える。
【0015】
好ましくは、各熱感知性センサ内の電子回路は、監視コーン内を支配する温度に単調に関連した信号を出力するように構成されている。
【0016】
信号は、配列構成内の各センサによって発生させられる、少なくとも2つの熱感知性センサの第1及び第2の接点の間の電圧であってもよい。
【0017】
アレイデバイスは、複数の熱感知性センサによって作成された複数の電圧を測定するように構成された事前増幅回路と、前記各熱感知性センサに対応し、対応する監視コーン内を支配する温度を示す複数の変動する電気信号を供給するように構成されたマルチプレクサ回路とを更に備える。
【0018】
アレイデバイスは、複数の熱感知性センサを内部に収容するように構成されたパッケージと、複数の光学要素と、を更に備え、各光学要素が対応する監視スポットから対応する前記熱感知性センサの第1の熱源要素上に放出された赤外線放射の一部を撮像するように構成されている。前記光学要素は、熱赤外線放射を送信するように構成されたレンズであってもよい。
【0019】
前記配列構成は直線状配列であってもよく、或いは2次元配列であってもよい。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのセンサ要素が、可変に選択可能な基準温度に置かれるように構成されている。この構成の目的は、センサの検知能力を監視することである。この特徴は、安全な使用のために有用である。例えば、各熱感知性センサは、該センサのそれぞれの感知性を監視するために使用可能な加熱要素が装着され得る。好ましい実施形態では、このような加熱機能は、付加された電流を通じてセンサ自身によって実行されるであろう。
【0021】
熱感知性アレイデバイスは、補助監視領域内での目標物体の存在及び/又は運動を検知するように構成された補助センサを更に備える。前記補助センサは熱感知性センサとは異なるタイプのセンサであってもよい。前記補助センサが、マイクロ波レーダーセンサ、マイクロ波ドプラーセンサ、能動型赤外線センサ、又は焦電センサのうちの1つであってもよい。
【0022】
複数の熱感知性センサが共通の基板上に構築されてもよい。また、前記基板がシリコン基板で、前記熱感知性センサが、シリコン集積技術、好ましくはCMOS集積技術を使用して構築されてもよい。
【0023】
自動ドア及びドア開閉装置と共に使用することを考慮し、本発明の他の態様によれば、ドア敷居の中及び/又は近傍に延びる監視領域内における目標物体の存在及び/又は運動を検知するように構成されたドアセンサデバイスであって、前記ドアがドア開口部を開放及び閉鎖するように構成された少なくとも1つのドア要素を備える。該ドアセンサデバイスは、少なくとも1つの前記ドア要素に対応する上述された少なくとも1つの熱感知性アレイデバイスを備え、前記少なくとも1つの熱熱感知性アレイデバイスにおける複数の監視コーンが、対応する前記ドア要素に対してほぼ平行に延びる直線状配列構成に配置されている。
【0024】
前記監視コーンは、対応する運動ドア要素の両側に延びている。
【0025】
前記熱感知性センサの前記監視コーンとの交差面が、地面上又は地面の上方の任意の高さに配置されている監視スポットを生じさせる。このようにして、監視コーンの内部にあるいかなる目標も、いかなる高さにおいて検知され得る。
【0026】
ドアがドア開口部に対してほぼ平行な平面内をスライドするように構成された1つ又は2つ以上の運動ドア要素を含むスライドドア構成を備える場合に、少なくとも1つの熱感知性アレイセンサの監視スポットの直線状配列構成は横切って延び、且つ前記運動ドア要素又はドア敷居に沿って延びている。このようなドア構成では、別態様として、前記直線状配列構成が2つの熱感知性アレイデバイスを備え、前記2つの熱感知性アレイデバイスに対応する監視スポットが、互いに前記ドア敷居の両側に配置されている。
【0027】
ドアが1つ又は2つ以上の揺動ドア要素を含む揺動ドア構成を備える場合に、少なくとも1つの熱感知性アレイデバイスが各揺動ドア要素に対して設けられ、更に、各熱感知性アレイデバイスに対応する監視スポットの直線状配列構成が、前記揺動ドア要素に対してほぼ平行であり続けるように対応する前記揺動ドア要素と共に運動する。このようなドア構成では、別態様として、各揺動ドア要素に関連付けられている2つの熱感知性アレイデバイスを備え、監視スポットに対応する2つの前記直線状配列構成が、互いに前記揺動ドア要素の反対側に配置されている。
【0028】
ドアが複数の回転ドア要素を含む回転ドア構成である場合に、少なくとも1つの熱感知性アレイデバイスが各回転ドア要素に対して設けられ、更に、監視スポットの直線状配列構成が、前記回転ドア要素に対してほぼ平行であり続けるように対応する回転ドア要素の一つと共に運動する。このようなドア構成では、前記監視スポットの前記直線状配列構成が、前記回転ドア要素における回転方向の前方側に配置されている。また、このようなドア構成では、各回転ドア要素に対して2つの熱感知性アレイデバイスを備え、前記監視スポットに対応する2つの前記直線状配列構成が、互いに前記回転ドア要素の対応する一つの反対側に配置されている。
【0029】
前記ドアセンサデバイスは、少なくとも1つの補助監視領域内における物体の存在及び/又は運動を検知するように構成された少なくとも1つの補助センサを更に備え、前記補助センサが熱感知性センサと異なるタイプのセンサである。好ましくは、前記補助センサは、マイクロ波レーダーセンサ、能動型赤外線センサ、マイクロ波ドプラーセンサ、又は焦電センサの1つである。
【0030】
サーモパイルセンサ又はボロメータ等のこれら熱感知性センサにおいて、古典的な焦電センサに勝る1つの基本的な利点は、定常状態の温度を検知する能力である。なぜなら、焦電センサは温度変化測定を提供するだけである。従い、目標物の存在検知がこの使用態様の基本であるため、ドア開閉装置及び/又は自動ドアを伴う使用に特に有利である。
【0031】
ドアセンサデバイスは、ドア要素、及び/又は、ドアリーブ並びガイドレールに対しては本質的に非感知であり、そして、ドアフレーム内に極めて容易に設置することが可能である。また、システムは小さく且つ軽量であり、従い、安全のためのこのタイプのセンサだけでなく、運動検知のための異なるタイプのセンサもパッケージ内に容易に組み込むことが可能である。二重のセンサ技術は、2つの技術の組合せによって与えられる重要な特性を有する。
【0032】
本発明の更なる利点及び考えられる適用例は、図面に一例として示されている例示的な実施形態を参照にした以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0033】
本明細書、特許請求の範囲、要約及び図面においては、本明細書の最後にまとめられている符号及び用語が使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1及び図2を参照すると、図2に示すような本発明の熱感知性アレイデバイスであるサーモパイルアレイデバイス80は、図1に概略的に示されているサーモパイルセンサ10の配列構成を基本的に備える。各サーモパイルセンサ10は、サーモパイルアレイデバイス80の全監視領域の一部分を構成している監視スポット52を監視又は監督するように構成されている。
【0035】
図2に示すサーモパイルセンサの配列(アレイ)における図1に示す一つのサーモパイルセンサの要素Xに関し、添字「−i」が、配列内における要素を示す符号X−iを与えるためにこの要素Xの符号に付けられている。ここで、iはセンサの配列における特定のサーモパイルセンサ10−iを標示するために使用される数字であり、iは1からnのいかなる数字(整数)を仮定してもよい。ここで、nはセンサの配列内に備えられているサーモパイルの個数を表している。
【0036】
図1に示すように、本発明の実施形態では、サーモパイルセンサ10は、小型サイズの熱電対12の第1の接点15と熱的に結合された第1の熱源要素14と、熱電対12の第2の接点19と熱的に結合された第2の熱源要素16と、を備える。熱電対12は、基板40の表面上に設けられた絶縁層20上に配置されている。熱電対12の第1の接点15は、第1のサーモパイルコネクタ24を用いて第1のサーモパイル信号ポート28と電気的に接続されており、熱電対12の第2の接点19は、第2のサーモパイルコネクタ26を用いて第2のサーモパイル信号ポート30と電気的に接続されている。サーモパイルセンサ10の第1の熱源要素14の温度、すなわち、熱電対14の第1及び第2の接点15、19の間で発生させられる電圧Vにそれぞれ関連する監視領域52内を支配している温度に関連する電気信号は、第1及び第2のサーモパイル信号ポート28、30の間でそれぞれ供給され、或いは測定され得る。図2に示すように、複数のほぼ同一なサーモパイルセンサ10−iが基板40上に設けられ、ここで、基板40は共通基板となっている。基板40は、好ましくはシリコン基板とすることができる。
【0037】
シリコンCMOS集積回路の進歩は、必要な増幅を可能に且つ多重送信回路のセンサの内部への一体化を可能にし、これにより、本発明によるデバイスは、例えば自動ドア及びドア開閉装置に関連するような低コスト用途での使用において極めて魅力的となる。センサアレイの要素(サーモパイルセンサ)のサイズは比較的大きくてもよく、1℃以下の良好な感知性を容易に提供する。
【0038】
パッケージ(又はケーシング)42が、その中にサーモパイルセンサの10−iの配列を収容するようにサーモパイルセンサの配列を担持する基板40の周囲に設けられている。
【0039】
サーモパイルセンサ10は、別の要素としてのサーミスタ(図示せず)或いは好ましくはサーモパイル配列基板42の内部に設けられるサーミスタ(図示せず)のいずれかと、低ノイズ低オフセット増幅器を有してなる電子回路(図示せず)と、を更に備える。サーミスタは補償の目的に温度を感知するために使用され、低ノイズ低オフセット増幅器は、信号を増幅させ、好ましくはこれもパッケージ42の内部に収容されているアレイデバイス内に設けられているマイクロコントローラ(図示せず)に送信するために使用される。個々のセンサからの信号のすべて、或いは処理又は導出された信号が、例えば各導電体によってパッケージ42の外部に送信又は供給されてもよい。アレイの出力は、センサのすべてのピクセル信号のマルチプレックス、又は出力のいかなる組合せであってもよい。次に、情報がデバイスの外部に送信される。アレイから来る信号の処理には、以下で説明されるドア用途専用の特殊な処理技術を通用することもできる。
【0040】
サーモパイルアレイデバイス80は、サーモパイル信号ポートで供給される信号(電圧Vt−i)、例えば1対のサーモパイル信号ポートによって供給される電圧を測定するために必要とされる事前増幅回路(図示せず)及びマルチプレクス回路(図示せず)を含む電子回路を更に備えてもよい。このような電子回路の一部又はすべての電子回路は、パッケージ42内に収容することもできる。
【0041】
図2に示す実施形態では、パッケージ42は複数の開口46−iを備える。複数の光学要素44−iが、パッケージ42の各開口46−i内に設けられて配置されている。各光学要素44−iが、サーモパイルセンサ10−iの第1の熱源要素14−i上に監視スポット52−iを撮像する。このことは、光学要素が、放射の一部、特に光学要素44−iを介して監視スポット52−iから放出された放射の目標物体ビーム50−iを形成する赤外線放射を送信し、第1の熱源要素14−i上に当たる集束された放射の撮像ビーム48−iになるように再方向付け又は集束させることを意味している。このようにして、監視スポット52−iとそれに対応する関連するサーモパイルセンサ10−i、特にそれぞれの第1の熱源要素14−iとの間の連係が得られる。上述の目標物体ビーム50−iは、監視錐体(コーン)を形成する。各コーン50−iの内部で熱の検知を行うことができ、目標物体をいずれの高さにおいても検知することができる。上記に述べたスポット52−iは、各コーン50−iの監視領域、例えば地面との交差によって形成される。
【0042】
第1の熱源要素14−iに当たる赤外線放射(撮像ビーム48−i)が、その中に少なくとも部分的に吸収され、従い、サーモパイルセンサ10−iの第2の熱源要素18−iを支配している第2の温度よりも高い第1の温度を得るために、第1の光源要素14−iを加熱する。吸収層16−iに当たる赤外線放射のより大きな部分を吸収してその吸収性を増加させるために、吸収層16−iが第1の熱源要素14−iの表面上に設けられている。
【0043】
光学要素44−iは、赤外線放射の通過バンドを提供するように、高い伝達性を有する材料で形成され得る。光学要素44−iは、赤外線に対して透過性である例えば適切な被覆を有するゲルマニウム又はシリコン製のレンズであってもよく、またサーモパイルセンサ10−iを保護する働きをしてもよい。
【0044】
アレイデバイスは、監視スポットをセンサ要素と関連付けるためのレンズ又は複数のレンズを必ずしも必要としない。監視スポットからそれに対応するサーモパイル要素(第1の熱源要素)への放射をガイドするための導波管及び小開口による撮像等の他の光学的手段が使用されてもよい。
【0045】
第2の熱源電極18−iは、第2の熱源要素18−iの温度が、監視領域から放出される赤外線放射によって、ほとんど又は理論上影響されないように、放射シールド(図示せず)を用いて、監視領域から放出される放射によって照射されることを防止させてもよい。第2の温度が予想可能に大気温度に関連付けられ、好ましくは、以下で説明するように可変に選択又は制御されることが可能である。
【0046】
熱電対12−iの一方の端部(第1の端部)を備える第1の熱源要素14−iと、熱電対12−iの他方の端部(第2の端部)を備える第2の光源要素18−iと、の間の熱的な結合の結果として、サーモパイル12−iは、第1及び第2の温度の間の温度差の増加と共に増加する電圧Vを発生させる。サーモパイル12−iが形成される材料は、電圧Vが第1の熱源要素14−iでの第1の温度と第2の熱源要素18−iでの第2の温度との間の温度差にほぼ比例するように選択されてもよい。
【0047】
加熱要素22−iが、好ましくは熱源要素の1つの下に熱感知性センサを備えて、一般に第2の熱源要素18−iの近傍に設けられている。好ましくは、加熱要素(22−i)は熱源要素18−iに対して監視スポット(52−i)と反対側に設けられる。より好ましくは、加熱要素は熱を発生させるために電流が投入されるセンサ自体から成る。
【0048】
加熱要素22は、第1の加熱導体32を用いて第1の加熱電流ポート36と電気的に接続され、且つ、第2の加熱導体34を用いて第2の加熱電流ポート38とも電気的に接続されている。第1及び第2の加熱電流ポート36、38は、電子マルチプレクサ回路と電気的に結合されてもよい。加熱要素22は、定義可能な電流がそれ介して流れ、熱に変換され、更に可変に選択可能な温度を得るために熱源要素18−iにおける加熱を生じさせるように電力供給され得るオーム抵抗を提供する。その結果として、熱源要素18−iの温度変化を測定することが可能である。この目的のための専用のマルチレクサ回路又は特定の回路を用いて、加熱要素22の電力供給及び熱源要素18の加熱を繰り返し且つサーモパイルセンサ10−iのいずれかに対して選択的に行うことが可能となり、これにより、熱電対12−i及びサーモパイルセンサ10−iのそれぞれの検知特性をチェックすることができ、並びにデバイスによる長期定常状態測定が提供可能なように検知特性の長期安定性をチェックするような便利な可能性を提供できる。
【0049】
各熱電対12−iによって発生させられる信号(電圧)が、第1及び第2の熱源要素間の温度差に依存するため、大気温度又は監視領域内の絶対温度によって影響されるようなアレイデバイスの絶対温度は、全くではないがほとんど信号に影響を与えない。監視スポットに入る目標物によって生じる監視スポットを支配する温度の変化のみが、そこから放出される赤外線放射の変化及び第1の光源要素に当たる部分の対応する変化をもたらし、これは更に第1の温度の対応する変化をもたらし、次に熱電対によって供給される信号の変化を生じさせる。或いは別の形態として、例えばこの熱源要素の近くに設けられた加熱要素の電力供給を制御することによって可変に選択可能である光源要素のいずれかの温度の変化が、熱電対から得られる信号の変化を生じさせることになる。
【0050】
サーモパイルセンサ10−iの配列構成は、例えば公知のCMOS集積技術を使用して共通の基板40上に構築されてもよい。このことは、パッケージ42内及び必要に応じて基板40内でさえも、各サーモパイルセンサの電子回路、事前増幅回路、加熱要素に電力供給するための給電回路、及びマルチプレクサ回路を含む必要な電子回路の集積を可能にする。また、センサを極めて小さくし、低コストで生産可能にし、これにより、ドア、例えば自動ドア及びドア開閉装置に関連する低コストの用途で使用するために魅力的にすることに貢献している。更に、熱感知性センサアレイデバイスをもたらすために単一のパッケージ内に2つ以上の熱感知性センサを提供することを可能にする。
【0051】
配列構成(アレイ)内に少なくとも2つのセンサを設けることは、アレイのセンサの選択されたペアの間で差分測定技術を行うことを可能にする。更に多くのセンサ、例えばn個のセンサを設けることは、センサの配列構成をもたらす。配列構成(アレイ)は1次元(線形)配列から成ってもよい。配列構成(アレイ)はまた、例えばn×mのセンサ又はピクセルの行列を備える矩形又は正方形等の2次元配列から成ってもよい。ここで、n及びmは整数であり、2次元の配列構成(アレイ)内でのセンサの個数を表す。なお、センサ(サーモパイル要素)の配列構成(アレイ)が、単一の監視スポットを単一のサーモパイルセンサと関連付けるために上記で説明した手段のいずれかによって監視される監視領域内の監視スポットの対応する配列構成に関連付けられることは、当業者であれば明らかである。
【0052】
移動中の目標物体が監視スポットの配列構成を備える監視領域に入るとき、各監視領域を支配する温度の変化のシークエンスが、アレイデバイスの対応するサーモパイルセンサによって検知され得る。差分測定及び検知技術が、例えば、目標物体が存在していない補完的な監視スポットを支配する温度に対する、所定時間(所定時刻)に目標物体が存在する監視スポットの部分集合内の温度の差を測定するように、センサ要素の選択可能なペア間で使用され得る。このことは、大気温度に関わらず、且つ大気温度と平衡状態にあり(大気温度にあり)、監視領域内にある他の静止物体に関わらずに目標物体の存在の検知を可能にする。移動中の目標物体が存在している監視スポットの部分集合内での温度の時間変化の検知は、監視スポットの配列内で移動中の目標物体の運動(方向及び速度)を決定することを可能にする。
【0053】
アレイデバイスが全体的に受動的で、監視領域を感知するためにいかなるエネルギーも放射しないことに留意することも重要である。このことは、人々にとってより安全であって、アレイデバイスを動作させるために必要な電力供給電流の量を大幅に減少させることが可能である。センサ又はアレイデバイスはまた、照明を必要とせず、完全な暗闇中でも作動可能で、照明の変化に対しては全体的に非感知性である。
【0054】
上記で説明したドアセンサデバイスにおけるサーモパイルアレイデバイスの実施形態の適用例を、図3及び図4を参照して以下説明する。
【0055】
ドアセンサデバイスはドアの最上部における中央又は横側に位置し、配列された監視領域がドアを通る又はドア近傍の運動又は通行における所望の領域を網羅するように該ドアセンサデバイスは向けられている。
【0056】
図3Aは、スライドドア構成でのドアセンサデバイスの適用例を示している。スライドドアは、第1の構造壁部分60と第2の構造壁部分62との間の壁内に形成された開口部を開放及び閉鎖するように構成された、第1のスライドドア要素64−1と第2のスライドドア要素64−2とを備えてなる。図3Aに示すように、ドアセンサシステムは、ドアの両側で互いにほぼ平行である熱感知性センサの直線状配列構成に配置された1×nの熱感知性センサ要素の2つの配列構成を備えてもよい。一のサーモパイルセンサアレイの監視スポット52−1iは、センサの検知コーンと地面との交差面であるが、この検知コーンの内部に入る目標物体はいかなる高さでも検知され得る。これらの監視スポット52−1iは、構造壁部分60、62の側にドアに対してほぼ平行に配置され、他方のサーモパイルセンサアレイの監視スポット52−2iは、構造壁部分60、62の反対側に、好ましくは監視スポット52−1iと対向する位置に合わせ、ドアに対して平行に配置されている。これらの配置によって、開口部を通って移動する地面とは異なる温度である人間、ペット等の動物、又はその他の物体等の目標物体の存在又は運動を検知することを可能にする。図3Aに示したものと異なる実施形態では、対応する監視スポットが、ドア敷居に沿って又はその近傍に配置されるように、例えばサーモパイルセンサの単一の直線状配列構成を備えるドアセンサデバイスとすることが考えられる。
【0057】
能動型センサとは逆に、ドア要素が地面を含む周囲環境と同じ温度で平衡状態又は均一であると仮定すると、サーモパイルアレイを基にしたドアセンサデバイスは、異なるサーモパイルセンサの信号を適切に処理することによって、ドア要素64−1、64−2を容易に識別でき、或いはそれらを「見る」ことさえもしない。そして、センサがドア要素及びドア敷居の内側を「のぞく」ように、ドアが運動している例えば閉鎖しているときでさえも監視スポットの監視を維持するように調節することも可能である。これは極めて大きな利点であって、それは、ドアセンサデバイスが目標物体の存在又は運動を正確に検知するためにドア要素の位置についてのいかなる情報も必要としないためで、ドアセンサデバイスはドア要素を容易に識別する(或いは単に「無視する」)ようになる。
【0058】
従い、更に異なる実施形態では、センサデバイスがドア要素を「のぞく」ように調節され、これによってそれぞれの単一の監視スポットがドア要素64−1及び64−2を横切ってその両側に延びてもよい。
【0059】
これとは対照的に、ドア、自動ドア及びドア開閉装置に関連した用途で一般に使用されているような能動型赤外線センサでは、例えばLED等の能動型赤外線センサによって放出される赤外線ビームに対する目標物体の反射率の検知に基づいて信号を誘導し、監視領域における反射率の変化に対して感知性が高いので、雨、雪、風、葉等のいかなる摂動に対し反応する。これらの問題は、サーモパイルアレイに基づいたドアセンサデバイスによって克服される。本発明によるドアセンサデバイスは、周囲環境と同じ温度における摂動を無視する。摂動が同じ温度にない場合、このような摂動が同時に複数の(又はすべての)サーモパイル要素(ピクセル)に影響を与え、同様に、適切な処理及び差分測定によって認識されることを可能にし、次に、摂動を存在及び/又は運動が検知される目標物体と容易に区別することを可能にすることが理解されるであろう。
【0060】
図3Bは、揺動ドア構成でのドアセンサデバイスの別の適用例を示している。揺動ドア66は、第1の構造壁部分60の縁部(ドアフレーム)に公知の方式で枢動自在に固定され、第2の構造壁部分62と第1の構造壁部分60との間に形成された開口部を開放及び閉鎖するように構成されている。第1のガイドレール70及び第2のガイドレール72が、目標物体、特に人を、開口部及びドア敷居上に案内するために、それぞれ第1の構造壁部分60及び第2の構造壁部分62の面に垂直に延びるように設けられている。図3Aに示したスライドドア構成の場合と同様に、ドアセンサシステムは、互いに対応する監視スポット52−1i、52−2iの第1及び第2の部分集合が地面及び/又は任意の高さ特に所定の高さの上方に設けられ、図3Bに示すような揺動ドア要素66の両側に平行且つ好ましくは対向する位置に合わせて延びる直線状配列構成に配置されるように、ドアの両側に互いにほぼ平行である1×nの熱感知性要素からなる2つの配列構成を備えてもよい。別の態様として、ドアセンサデバイスは、これらの対応する監視スポットが揺動ドア要素66に沿ってその近傍に延びる直線状配列構成を形成するように構成されたサーモパイル要素の単一の直線状配列構成を備えてもよい。
【0061】
図3Cは、回転ドア構成でのドアセンサデバイスの更に別の適用例を示している。回転ドアは、1対の第1のドアリーブ74と第2のドアリーブ76との間に配置され、中央鉛直方向軸に沿って互いに接続され、鉛直方向軸の周りに、例えば図3Cの矢印によって示された反時計方向に枢動することが可能である第1、第2、第3及び第4の回転ドア要素68−1、68−2、68−3及び68−4を備える。各回転ドア要素68−1〜68−4に対するサーモパイル要素の配列構成を備えるドアセンサデバイスが、対応する複数の監視スポット58−1i、58−2i、58−3i、58−4iが、対応する回転ドア要素68−1、68−2、68−3、68−4に対してほぼ平行に延びるように設けられて配置されている。監視スポットの配列構成が、地面又は任意の高さ特に所定の高さの上方に設けられ、好ましくは図3Cに示すような存在検知を提供するために、各回転ドア要素の回転方向前側に配置されている。
【0062】
図4は、ドアセンサデバイスの更に異なる実施形態を示している。
【0063】
図4Aでは、ドアセンサデバイスは、サーモパイルセンサの配列構成に加えて、ドア敷居から離れて配置された少なくとも補助監視スポット54−1及び/又は第2の補助監視スポット54−2で運動検知を提供するように好ましくは構成された、異なるタイプの少なくとも1つの補助的な他のセンサ又は更に2つのセンサを備える。図4Aに示すように、補助監視スポットはほぼ楕円形の形状を有してもよい。前記補助的な更なるセンサ又は複数のセンサは、レーダー及びマイクロ波ドプラーレーダーセンサ等のマイクロ波検知を基にしたセンサ、或いは焦電センサ又は能動型赤外線運動センサであってもよい。更なるセンサ又は複数のセンサは、サーモパイルセンサの配列構成と異なるケーシング(パッケージ)内又は同じケーシング(パッケージ)内に設けられてもよい。図4Aに示すように、サーモパイルセンサは、スライドドア要素の両側のドア敷居と平行に、互いに対向する位置に、対応する複数の監視スポットと共に2次元の2×n配列構成に配置されている。別の態様としては、サーモパイルアレイの監視スポットは、ドアの両側に延びる監視スポットを備える単一の直線状配列構成を形成してもよい。
【0064】
図4Bでは、更に別の実施形態として、ドアセンサデバイスがスライドドア構成と共に形成され、対応する監視スポット52−jiに関連付けられているm×nのサーモパイル要素の矩形配列を備える。ここで、jは1からmの値を得る整数で、iは1からnの値を得る整数である。監視スポット52−jiは、n個の監視スポットの相互に平行な列(又は直線状配列)で構成されている。図4Bに示すように、ドアセンサデバイスは中央に配置された隣接する2つのアレイ52−ji及び52−kiがドア要素に対して平行に且つ互いに対向する位置に配置されるように調節される。ここでk=j+1である。監視スポットの中央に配置された隣接する2つの配列及びそれに対応するサーモパイルセンサの配列が、ドア敷居の近傍又は敷居内における物体の存在検知のために使用される。ドア敷居の両側に、監視スポットの複数の外側配列(図4Bに示す実施形態では各3個)が、物体の存在及び/又は運動の検知を提供するためにドア及び/又は構造壁の両側にドア敷居から離れた位置に設けられている。
【0065】
適切な信号処理を加えることによって、図4A及び図4Bに示す実施形態のドアセンサデバイスは、構造壁要素とほぼ平行な方向に移動しているときでさえも(平行通行)、ドア敷居からある距離のところを移動する物体の運動又は通行を検知することが可能である。これらは、例えばより選択的な検知又は人数の集計にも使用されることが可能である。
【0066】
ドアの用途において、熱感知性センサアレイは、ドアが、監視スポットを含む周囲環境と同じ大気温度にあるとき、熱感知性センサが運動中のドア要素をそれとして検知しないため、ドア敷居上及びその近傍並びにドアフレーム内でさえも、スライドドア又は回転ドアが閉鎖するときでさえも物体の存在及び/又は運動を検知することが可能である。移動中のドア要素に対して非感知性であることのほかに、熱感知性センサはまた、例えばスライド又は揺動ドア構成に設けられているガイドレール、回転ドア構成に設けられているドアリーブに対しても非感知性である。
【0067】
サーモパイルアレイセンサは、長期間の安定性並びに定常状態での測定能力を提供する。これは、センサ特性をチェックするたびに例えばサーモパイルセンサの熱源要素のいずれかの近傍に設けられた対応する加熱要素に選択的に電力供給することによって、各サーモパイル要素に対して個別に検証することが可能である。加熱要素はまた、電流が加えられるセンサ自体であってもよい。
【0068】
上記で説明した実施形態は種々組み合わせることが可能で、ある実施形態に対して開示されたいかなる特徴も別の実施形態に適用することが可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明によるアレイデバイスの実施形態におけるサーモパイルセンサの配列構成を備える熱感知性アレイデバイスの例示的な実施形態を示す略断面切断図である。
【図2】監視スポットを備える監視領域を監視するための本発明によるアレイデバイスを形成する図1に示すサーモパイルセンサの配列構成の実施形態を示す略断面切断図である。
【図3A】本発明の実施形態のドアセンサデバイスの監視領域を形成している複数の監視スポット上への上面図を更に備えるスライドドア構成の水平面での略断面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態のドアセンサデバイスの監視領域を形成している複数の監視スポット上への上面図を更に備える揺動ドア構成の水平面での略断面図である。
【図3C】本発明の更に他の実施形態のドアセンサデバイスの監視領域を形成している複数の監視スポット上への上面図を更に備える回転ドア構成の水平面での略断面図である。
【図4A】本発明の好ましい実施形態の異なるタイプの更なるセンサを備えるドアセンサの監視領域を形成している複数の監視スポット上への上面図を更に備えるスライドドア構成の水平面での略断面図である。
【図4B】本発明の更に別の好ましい実施形態のサーモパイルセンサの2次元アレイを備えるドアセンサの監視領域を形成している複数の監視スポット上への上面図を更に備えるスライドドア構成の水平面での略断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10、10−i サーモパイルセンサ
12、12−i 熱電対
14、14−i 第1の熱源要素
15、15−i 第1の接点
16、16−i 吸収性のカバー
18、18−i 第2の熱源要素
19、19−i 第2の接点
20、20−i 絶縁層
22、22−i 加熱要素
24、24−i 第1のサーモパイルコネクタ
26、26−i 第2のサーモパイルコネクタ
28、28−i 第1のサーモパイル信号ポート
30、30−i 第2のサーモパイル信号ポート
32、32−i 第1の加熱導体
34、34−i 第2の加熱導体
36、36−i 第1の加熱電流ポート
38、38−i 第2の加熱電流ポート
40 基板
42 パッケージ
44、44−i 光学要素
46、46−i 開口
48、48−i 集束された撮像ビーム
50、50−i 物体ビーム(監視コーン)
52、52−i 監視スポット(i=1…n)
54、54−i 監視スポット(j=1…m、i=1…n)
54−1 第1の補助監視領域部分
54−2 第2の補助監視領域部分
56 監視領域
60 第1の構造壁部分
62 第2の構造壁部分
64−1 第1のスライドドア要素
64−2 第2のスライドドア要素
66 揺動ドア要素
68−1、68−2 それぞれ第1、第2の回転ドア要素
68−3、68−4 それぞれ第3、第4の回転ドア要素
70 第1のガイドレール
72 第2のガイドレール
74 第1のドアリーブ
76 第2のドアリーブ
80 サーモパイルアレイデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域(56)内での物体の存在を検知する熱感知性アレイデバイス(80)であって、
配列構成された複数の少なくとも2つの熱感知性センサ(10−i)を備え、各熱感知性センサ(10−i)が前記監視領域(56)内に設けられた対応する複数の少なくとも2つの監視コーン(50−i)の1つと関連付けられ、
且つ、各熱感知性のセンサが前記複数の監視コーン(50−i)に関連付けられた対応する一つから放出された熱赤外線放射の一部を吸収するように更に構成され、これにより、前記各熱感知性センサ(10−i)が、目標温度の結果として前記熱感知性センサ(12−i)内で発生された信号(V−i)を測定するために前記センサと電気的に結合された電子回路を更に備えることを特徴とする熱感知性アレイデバイス。
【請求項2】
サーモパイルセンサ又はボロメータセンサを備えることを特徴とする請求項1に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項3】
前記信号(Vt−i)が、前記少なくとも2つの熱感知性のセンサ(10−i)の一方における第1及び第2の接点(15−i、19−i)の間で発生された電圧であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項4】
前記複数の熱感知性センサ(10−i)によって作成された前記複数の電圧(Vt−i)を測定するように構成された事前増幅回路と、前記各熱感知性センサ(10−i)に対応し、対応する前記監視コーン(50−i)内を支配する温度を示す複数の変動する電気信号を供給するように構成されたマルチプレクサ回路と、を更に備えてなる事を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項5】
前記複数の熱感知性センサ(10−i)を内部に収容するように構成されたパッケージ(42)と、複数の光学要素(44−i)と、を更に備え、各光学要素(44−i)が対応する前記監視スポット(52−i)から対応する前記熱感知性センサ(10−i)の第1の熱源要素(14−i)上に放出された赤外線放射の一部を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項6】
前記光学要素(44−i)が熱赤外線放射を送信するように構成されたレンズであることを特徴とする請求項5に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項7】
前記配列構成が直線状配列であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項8】
前記配列構成が2次元配列であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサ要素(18−i)が、可変に選択可能な基準温度に置かれるように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項10】
複数の前記熱感知性センサ(10−i)に対応する複数の加熱要素(22−i)を更に備え、各加熱要素(22−i)が、前記センサ検知性能の監視に使用される可変に選択可能な基準温度を得るために、感知性要素(18−i)の近くに設けられ、該感知性要素(18−i)を加熱するように構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項11】
電流が前記センサを介して発生する場合、前記加熱の機能が前記センサ自身によって実行され得ることを特徴とする請求項10に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項12】
補助監視領域(54−1、54−2)内における目標物体の存在及び/又は運動を検知するように構成された補助センサを更に備え、前記補助センサが前記熱感知性センサ(10−i)とは異なるタイプであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項13】
前記補助センサが、マイクロ波レーダーセンサ、マイクロ波ドプラーセンサ、能動型赤外線センサ、又は焦電センサのうちの1つであることを特徴とする請求項12に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項14】
前記複数の熱感知性センサ(10−i)が共通の基板(40)上に構築されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項15】
前記基板がシリコン基板で、前記熱感知性センサが、シリコン集積技術、好ましくはCMOS集積技術を使用して構築されていることを特徴とする請求項14に記載の熱感知性アレイデバイス。
【請求項16】
ドア敷居の中及び/又は近傍に延びる監視領域内における目標物体の存在及び/又は運動を検知するように構成されたドアセンサデバイスであって、前記ドアがドア開口部を開放及び閉鎖するように構成された少なくとも1つのドア要素(64、66、68)を備えてなるドアセンサデバイスにおいて、
少なくとも1つの前記ドア要素(64、66、68)に対応する請求項1〜15のいずれか一項に記載された少なくとも1つの熱感知性アレイデバイス(80)を備え、
前記少なくとも1つの熱熱感知性アレイデバイス(80)における複数の前記監視コーン(50−i)が、対応する前記ドア要素(64、66、68)に対してほぼ平行に延びる直線状配列構成に配置されていることを特徴とするドアセンサデバイス。
【請求項17】
前記監視コーンが、対応する運動ドア要素(64、66、68)の両側に延びていることを特徴とする請求項16に記載のドアセンサデバイス。
【請求項18】
前記監視コーン(50−i)の交差面が、地面上又は地面の上方の任意の高さに配置される監視スポットを生じさせることを特徴とする請求項16又は17に記載のドアセンサデバイス。
【請求項19】
前記ドアが前記ドア開口部に対してほぼ平行な平面内をスライドするように構成された1つ又は2つ以上の運動ドア要素(64−1、64−2)を含むスライドドア構成を備える場合に、前記少なくとも1つの熱感知性アレイセンサの監視スポットの前記直線状配列構成は横切って延び、且つ前記運動ドア要素又は前記ドア敷居に沿って延びていることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載のドアセンサデバイス。
【請求項20】
前記直線状配列構成が2つの熱感知性アレイデバイス(80)を備え、前記2つの熱感知性アレイデバイスに対応する監視スポット(54−1i)、(54−2i)が、互いに前記ドア敷居の両側に配置されていることを特徴とする請求項19に記載のドアセンサデバイス。
【請求項21】
前記ドアが1つ又は2つ以上の揺動ドア要素(66)を含む揺動ドア構成を備える場合に、少なくとも1つの熱感知性アレイデバイス(80)が各揺動ドア要素(66)に対して設けられ、更に、各熱感知性アレイデバイスに対応する監視スポットの前記直線状配列構成が、前記揺動ドア要素に対してほぼ平行であり続けるように対応する前記揺動ドア要素(66)と共に運動することを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載のドアセンサデバイス。
【請求項22】
各揺動ドア要素(66)に関連付けられている2つの熱感知性アレイデバイス(80)を備え、監視スポット(52−1i、52−2i)に対応する2つの前記直線状配列構成が、互いに前記揺動ドア要素(66)の反対側に配置されていることを特徴とする請求項21に記載のドアセンサデバイス。
【請求項23】
前記ドアが複数の回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)を含む回転ドア構成である場合に、少なくとも1つの熱感知性アレイデバイス(80)が各回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)に対して設けられ、更に、前記監視スポット(52−i)の前記直線状配列構成が、前記回転ドア要素に対してほぼ平行であり続けるように対応する回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)の一つと共に運動することを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載のドアセンサデバイス。
【請求項24】
前記監視スポットの前記直線状配列構成が、前記回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)における回転方向の前方側に配置されていることを特徴とする請求項23に記載のドアセンサデバイス。
【請求項25】
各回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)に対して2つの熱感知性アレイデバイス(80)を備え、前記監視スポット(52−1i、52−2i、52−3i、52−4i)に対応する2つの前記直線状配列構成が、互いに前記回転ドア要素(68−1、68−2、68−3、68−4)の対応する一つの反対側に配置されていることを特徴とする請求項23又は24に記載のドアセンサデバイス。
【請求項26】
少なくとも1つの補助監視領域(54−1、54−2)内における物体の存在及び/又は運動を検知するように構成された少なくとも1つの補助センサを更に備え、前記補助センサが熱感知性センサ(10−i)と異なるタイプのセンサであることを特徴とする請求項16〜25のいずれか一項に記載のドアセンサデバイス。
【請求項27】
前記補助センサが、マイクロ波レーダーセンサ、マイクロ波ドプラーセンサ、能動型赤外線センサ、又は焦電センサのうちの1つであることを特徴とする請求項26に記載の熱感知性アレイデバイス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate


【公開番号】特開2006−38853(P2006−38853A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211779(P2005−211779)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(504398960)ベー・エー・アー・ソシエテ・アノニム (3)
【Fターム(参考)】