説明

自動分析装置

【課題】クロスコンタミネーションの防止についての精度をさらに向上させた自動分析装置を提供する。
【解決手段】サンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれの制御作動中、対応する液流検出部111,112,113,114,115,116及び液面検出部121,122から供給される検出信号に基づいて、分注プローブ42,52への洗浄液吐出液量や洗浄槽における洗浄液の貯留液量を取得する。これら取得した洗浄液吐出液量や貯留液量を予め定めた基準量と比較することによって、分注プローブ42,52への洗浄液の供給や洗浄槽における洗浄液の貯留及び排出に異常があるか否かを監視し、異常が判別された場合には、プリンタ108やCRT106によって報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器にそれぞれ分注されたサンプル及び試薬の反応を分析する自動分析装置に係り、特に、反応容器等の機材を分析反応の度に繰り返し使用する自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動分析装置には、サンプル又は試薬といった液体をその貯留容器から反応容器に分注するための分注プローブを含む分注機構や、反応容器内にそれぞれ分注されたサンプル及び試薬を攪拌する攪拌器を含む攪拌機構に加え、これら反応容器,分注機構の分注プローブ,及び攪拌機構の攪拌器といった分析反応の度に繰り返し使用される機材を、新たな分析反応での使用に備えて洗浄するための洗浄機構が備えられている。
【0003】
この洗浄機構は、従前に分析したサンプル,試薬,反応生成成分が繰り返しの使用で新たに分析するサンプル成分,試薬成分と混合することによって意図しない反応を引き起こし、分析項目の測定値に影響を与えるクロスコンタミネーションを防止するため、新たな分析反応での使用に備えて、反応容器の内面、分注プローブの外面及び内面、並びに攪拌器の外面といった、分析反応の度に繰り返し使用される機材の洗浄必要箇所を洗浄するための機構である。
【0004】
そして、この洗浄機構の構成としては、これら反応容器の内面、分注プローブの外面及び内面、並びに攪拌器の外面といった洗浄必要箇所に、洗浄必要箇所に応じた一定量の洗浄液体を吐出し、従前の分析反応で付着したサンプル,試薬,反応生成成分といった新たな分析反応での支障液体を、この洗浄液体で洗い流す構成になっている。
【0005】
このように、従前においては、一の分析反応で、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器を使用する毎に、これら各部を別の分析反応に使用する前にこれら各部に予め設定された適正な洗浄のために必要な一定量の洗浄液体が供給されるように、自動分析装置の制御装置がそれぞれの洗浄機構を制御作動する構成になっていた。
【0006】
【特許文献1】特開平6−213907号公報
【特許文献2】特開2001−337095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術の自動分析装置では、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器を洗浄している際にそれぞれの洗浄機構が正常に動作し、かつ、適正な液量が実際に吐出されているか否かについて検出及び測定は行われていなかった。
【0008】
そのため、従来技術の自動分析装置では、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器をそれぞれの洗浄機構が洗浄している際、それぞれの洗浄機構が正常に動作し、かつ、適正な液量が実際に吐出されているのを確認するために、直接目視で、又は自動分析装置近傍に設置された例えばビデオカメラ等の映像記録手段の撮影映像を監視することによって実施していた。
【0009】
しかも、自動分析装置による分析結果に異常が発生した場合、それぞれの洗浄機構が正常に動作し、且つ、適正な液量が吐出されていることについての検出及び測定は分析反応毎に行われていないため、その分析結果の異常がこれら洗浄機構いずれかの劣化及び異常が原因で生じたものであるかどうかの判別が困難であった。
【0010】
本発明は、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器といった、分析反応の度に繰り返し使用される機材それぞれの洗浄機構から、分析反応の度にその洗浄対象に対して洗浄液体が実際に適正に吐出されていることを検出することより、それぞれの洗浄機構が正常に動作して、その洗浄対象の洗浄が適正に実施されたか否かの検出が可能な自動分析装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した課題を解決するために、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器といった、分析反応の度に繰り返し使用される機材それぞれの洗浄機構に、その洗浄作動の際に、洗浄液体がその洗浄対象に対して正常に吐出されているか否か、及びその洗浄液体の吐出液量が適正であるか否かを検出する検出手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分析反応の度に繰り返し使用される、反応容器,分注機構の分注プローブ,攪拌機構の攪拌器といった自動分析装置の機材それぞれの洗浄機構が正常に動作し、かつ、適正な液量が吐出されているか否かを判定が可能となるため、これら分析反応の度に洗浄が必要な機材いずれかの洗浄不良に基づく、分析結果の異常の発生を未然に防止できるとともに、分析結果に異常が発生した場合でも、その発生原因がこれら洗浄機構いずれかの劣化及び異常が原因で生じたものであるかどうかの判別を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成について、図面に基づき説明する。なお、その説明にあたって、従来と同様な構成部分については、図示省略し、又はその詳細な説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成図である。
本実施の形態の自動分析装置1は、サンプルディスク機構10,反応ディスク機構20,試薬ディスク機構30,サンプル分注機構40,試薬分注機構50,攪拌機構60,分析反応検出器70、及び洗浄機構80等を備えた構成になっている。そして、本実施の形態の自動分析装置1では、この洗浄機構80は、サンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83,反応容器洗浄機構84といった各部洗浄機構からなる。
【0015】
サンプルディスク機構10は、図示省力したサンプルディスク回転駆動機構により左右所望の回転方向に回転駆動されるサンプルディスク11を有し、このサンプルディスク11上には、サンプル(サンプル液)を貯留したサンプル容器12が複数個配列されている。各サンプル容器12は、サンプルディスク11に対して着脱可能に装填されている。サンプルディスク11の回転動作は、自動分析装置1全体の作動制御を行う制御手段としてのCPU101によって、インターフェース102を介して、図示省力したサンプルディスク回転駆動機構を駆動制御して行われる。そして、サンプルディスク11上のそれぞれサンプル容器12に貯留されたサンプルは、予め登録された順番に従って、サンプル分注機構40によってサンプル容器12から抽出される構成になっている。
【0016】
反応ディスク機構20は、図示省力した反応ディスク回転駆動機構により所定の回転方向に回転駆動される反応ディスク21を有し、この反応ディスク21上には、それぞれサンプル及び試薬が分注される反応容器22が複数個配列されている。各反応容器22は、反応ディスク21に対して着脱可能に装填されている。反応ディスク21の回転動作は、サンプルディスク11の場合と同様に、CPU101によって、インターフェース102を介して、図示省力した反応ディスク回転駆動機構を駆動制御して行われる。
【0017】
試薬ディスク機構30は、図示省力した試薬ディスク回転駆動機構により左右所望の回転方向に回転駆動される試薬ディスク31を有し、この試薬ディスク31上には、試薬(試薬液)を貯留した試薬容器32が複数個配列される。これらの試薬容器32は、試薬ディスク31に対して着脱可能に装填されている。この試薬ディスク31の回転動作は、自動分析装置1全体の作動制御を行う制御手段としてのCPU101によって、インターフェース102を介して、図示省力した試薬ディスク回転駆動機構を駆動制御して行われる。そして、試薬ディスク31上のそれぞれ試薬容器32に貯留された試薬は、予め登録された順番に従って、試薬分注機構50によって試薬容器32から抽出される構成になっている。
【0018】
サンプル分注機構40,試薬分注機構50はいずれも、図示せぬ基台に対して上下動及び回動可能なアーム41,51を有し、その揺動端に設けられている分注プローブ42,52が上下動及び回動可能になっている。
【0019】
サンプル分注機構40は、前述したCPU101の制御下で、そのアーム41の揺動端を複数個のサンプル容器12が配列されているサンプルディスク11の上方の所定位置に回動位置させてサンプル分注プローブ42を下降し、プローブ先端開口をサンプル容器12のサンプルに浸漬させた上で、図示省略した分注用ポンプを駆動制御して分注プローブ42内にサンプルを吸引保持する構成になっている。
【0020】
また、サンプル分注機構40は、同じくCPU101の制御下で、分注プローブ42内にサンプルが保持された状態のアーム41の揺動端を複数個の反応容器22が配列されている反応ディスク21の上方の所定位置に回動位置させてサンプル分注プローブ42を下降し、プローブ先端開口を所定の反応容器22内に臨ませた状態で、図示省略した分注用ポンプを駆動制御して分注プローブ42内に吸引保持されているサンプルをこの反応容器22内に排出する構成になっている。
【0021】
すなわち、サンプル分注機構40は、上述のようにして、サンプルディスク機構10の所定のサンプル容器12に貯留されている一のサンプルを、反応ディスク機構20の所定の反応容器22に移送する構成になっている。
【0022】
また、試薬分注機構50も、サンプル分注機構40の場合と同様にして、試薬分注プローブ52が設けられたアーム51、及び図示省略した分注用ポンプを駆動制御し、試薬ディスク機構30の所定の試薬容器32に貯留されている一の試薬を、反応ディスク機構20の所定の反応容器22に移送する構成になっている。
【0023】
そして、サンプル分注機構40は、反応容器22に対するサンプル分注後は、次の新たなサンプル分注に備えて、アーム41を所定の洗浄位置に回動位置させて、サンプルに浸漬させたサンプル分注プローブ42が、サンプル分注プローブ洗浄機構81によって洗浄される構成になっている。
【0024】
同様に、試薬分注機構50も、反応容器22に対する試薬分注後は、次の新たな試薬分注に備えて、アーム51を所定の洗浄位置に回動位置させて、試薬に浸漬させた試薬分注プローブ52が、試薬分注プローブ洗浄機構82によって洗浄される構成になっている。
【0025】
反応ディスク機構20は、その反応ディスク21の回転変位に応じて、反応ディスク21上に複数個配列された反応容器22それぞれを、そのディスク21の周方向に沿って配置されたサンプル分注機構40,試薬分注機構50,攪拌機構60,分析反応検出器70、及び反応容器洗浄機構84に対して、回動位置させる。
【0026】
そして、前述のサンプル分注機構40によって分注されたサンプルに試薬分注機構50によって分注された試薬が添加された反応容器22は、反応ディスク21の回転によって、反応ディスク21の周方向における攪拌機構60の配置位置に回動位置させられると、攪拌機構60による反応容器22内にそれぞれ分注されたサンプル及び試薬の攪拌が行われる。
【0027】
攪拌機構60は、図示せぬ基台に対して上下動及び回動可能なアーム61を有し、その揺動端に回転駆動される攪拌器62が設けられた構成になっている。
【0028】
攪拌機構60は、CPU101の制御下で、回動位置してきたサンプル及び試薬が分注された反応容器22に対し、その攪拌器62を反応容器22内の液中に挿入して回動させ、試薬が添加されたサンプルを攪拌する構成になっている。
【0029】
攪拌機構60は、一の反応容器22内の液の攪拌後は、次の新たな反応容器22内の液に備えて、攪拌器62を反応容器22内から退出させ、アーム61を所定の洗浄位置に回動位置させて、反応液(すなわち反応生成成分)が付着した攪拌器62が、攪拌機構洗浄機構83によって洗浄される構成になっている。
【0030】
攪拌機構60により攪拌され、反応液が内部に貯留されている反応容器22は、反応ディスク21の回転によってそのディスク周りの分析反応検出器70の配置位置に回動位置させられると、分析反応検出器70による反応容器22内それぞれの反応生成成分の検出が行われる。
【0031】
分析反応検出器70は、反応容器22内の反応液の吸光度を検知する多波長光度計によって構成され、この多波長光度計116には、図示せぬ光源で発生され、反応容器22内の反応液を透過した光束が入射される構成になっている。
【0032】
この分析反応検出器70としての多波長光度計によって検出された反応容器22それぞれの反応液の吸光度信号は、A/Dコンバータ103及びインターフェース102を介してCPU101に供給され、サンプル中の測定対象の分析項目濃度に変換される。そして、CPU101によって変換されたサンプル中の測定対象の分析項目濃度は、プリンタ108から印字出力され、又はCRT等といったディスプレイ装置106の画面上に表示出力される。このサンプル中における分析項目濃度の測定対象に関しては、キーボード107からオペレータが予めどの分析項目を測定するかについて入力し、CPU101に記憶させておくことができ、CPU101はこの依頼された分析項目を測定するように、分析反応検出器70としての多波長光度計を制御する。
【0033】
分析反応検出器70により反応液(すなわち反応生成成分)の分析がなされた反応容器22は、反応ディスク21の回転によって、そのディスク周りの反応容器洗浄機構84の配置位置に回動位置させられると、反応容器洗浄機構84によって反応液が貯留されている反応容器22の洗浄が行われる構成になっている。
【0034】
次に、自動分析装置1の上述したサンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83,反応容器洗浄機構84それぞれの一実施例について説明する。
【0035】
サンプル分注プローブ洗浄機構83及び試薬分注プローブ洗浄機構82は同様な構成からなり、それぞれ分注プローブ42,52の外面の洗浄を行う洗浄槽を備え、洗浄槽は給液用バルブを介して洗浄液供給源と連通されるとともに、排液用バルブを介して排液部に連通される構成になっている。
【0036】
洗浄槽には、排液用バルブを閉弁して給液用バルブを開弁することによって、分注プローブ42,52の外面を浸すのに十分な洗浄液が補給され、滞留される。このようにして洗浄槽に滞留された洗浄液は、分注プローブ42,52を浸して洗浄した後は、排液用バルブを開弁することによって、洗浄槽から排液部に排出される。
【0037】
これにより、分注プローブ42,52を洗浄槽内に配置して給液用バルブ及び排液用バルブの開閉弁制御を行い、洗浄槽での洗浄液の滞留,排出を繰り返し行うことによって、分注プローブ42,52の外面が洗浄される構成になっている。
【0038】
一方、分注の際に吸引されたサンプル,試薬が保持される分注プローブ42,52の内部は、例えば切換弁のような切換機構を介して、その連通先を分注用ポンプと洗浄液供給源との間で選択的に連通変更できる構成になっている。
【0039】
分注プローブ42,52は、この分注プローブ42,52の内部を洗浄液供給源に選択的に連通させた状態で、洗浄液供給源から供給された洗浄液が流通し、プローブ開口から排出されることによって、洗浄される構成になっている。
【0040】
攪拌機構洗浄機構83は、サンプル分注プローブ洗浄機構81及び試薬分注プローブ洗浄機構82における洗浄槽を備えた分注プローブ42,52の外面の洗浄構成と、同様な構成になっている。
【0041】
これら洗浄機構81,82,83に対し、反応容器洗浄機構84は、反応容器22内の反応液を吸引排出する反応液吸引排出機構に連通された反応液排出ノズル、反応液が排出された反応容器22内に洗浄液を供給する洗浄液供給源に連通された洗浄液供給ノズル、反応容器22内に貯留された洗浄液を吸引排出する洗浄液吸引排出機構に連通された洗浄液排出ノズル等といった複数のノズルを備えた構成になっている。
【0042】
反応容器洗浄機構84は、これら複数のノズルを用いて、反応容器22内に反応液を吸引して排出した後、反応容器22内に洗浄液を貯留しては排出する洗浄液の吐出・吸引動作を繰り返し行うことによって、反応容器7内の洗浄を行う構成になっている。
【0043】
図1では、サンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれの洗浄槽に洗浄液を供給する洗浄液供給路85,86,87及びこれらに共通の洗浄液供給源としての洗浄液供給ポンプ88と、サンプル分注機構40のサンプル分注プローブ42に洗浄液を供給する洗浄液供給路89及びその洗浄液供給源としての洗浄液供給ポンプ90と、試薬分注機構50の試薬分注プローブ52に洗浄液を供給する洗浄液供給路91及びその洗浄液供給源としての洗浄液供給ポンプ92と、反応容器洗浄機構84の洗浄液供給ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給路93及びその洗浄液供給源としての洗浄液供給ポンプ94とのみが図示され、サンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれの上記説明したその余の機構構成については、図示省略してある。
【0044】
そして、洗浄液供給ポンプ88,90,92,94をはじめとするサンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれの被制御部は、CPU101によりインターフェース102及びドライバ105を介して制御駆動される構成になっている。
【0045】
その上で、本実施の形態の自動分析装置1は、これらサンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれが正常に動作し、かつ、適正な液量の洗浄液が吐出されているか否かを検出するために、洗浄液供給路85,86,87,89,91,93には、それぞれ流路中の洗浄液の圧力変化(圧力変動)、又は流速変化を検出測定する液流検出部111,112,113,114,115,116が設けられている。また、サンプル分注プローブ洗浄機構81の洗浄槽に貯留された洗浄液によってその外面が洗浄されるサンプル分注機構40のサンプル分注プローブ42又はその洗浄槽、試薬分注プローブ洗浄機構82の洗浄槽に貯留された洗浄液によってその外面が洗浄される試薬分注機構50の試薬分注プローブ52又はその洗浄槽には、それぞれ分注プローブ42,52のサンプルや試薬に浸った外面が洗浄液中にあることを検出するための液面検出部121,122が設けられている。この液面検出部121,122には、例えば、静電容量特性や超音波伝搬特性等といった電気的特性を利用し、洗浄液の介在の有無に応じてその出力信号の大きさが変化する液面検知センサが用いられる。
【0046】
これら液流検出部111,112,113,114,115,116、及び液面検出部121,122それぞれの検出信号は、コントローラ104及びインターフェース102を介してCPU101に供給され、洗浄動作中の洗浄液吐出液量や洗浄槽液量に変換される。
【0047】
その上で、CPU101は、サンプル分注プローブ洗浄機構81,試薬分注プローブ洗浄機構82,攪拌機構洗浄機構83それぞれの制御作動中、対応する液流検出部111,112,113,114,115,116及び液面検出部121,122から供給される検出信号に基づいて、分注プローブ42,52への洗浄液吐出液量(洗浄液供給液量)や洗浄槽における洗浄液の貯留液量を取得する。
【0048】
CPU101は、これら取得した洗浄液吐出液量や貯留液量を予め定めた基準量と比較することによって、分注プローブ42,52への洗浄液の供給や洗浄槽における洗浄液の貯留及び排出に異常があるか否か、すなわち、分注プローブ42,52、攪拌器、反応容器22の洗浄が正常になされているか否かを監視する。
【0049】
そして、CPU101は、この監視の結果、分注プローブ42,52への洗浄液の供給や洗浄槽それぞれの洗浄液の貯留又は排出に異常が生じたことを検出した場合は、自動分析装置1がそれぞれ対応する部分の洗浄が正常に実施できないため、自動分析装置1はクロスコンタミネーションにより正確な自動分析ができないと判断し、異常発生メッセージを生成し、これをプリンタ108から印字出力したり、CRT106画面上に表示出力したりする。この異常発生メッセージには、異常が発生した洗浄機構81〜84の種別や、その異常状況を検出した検出部に応じた異常状況、等が含まれている。
【0050】
これにより、ユーザは、クロスコンタミネーションにより正確な自動分析ができない旨、把握できるとともに、その異常発生原因等についても特定又は推定できる。
【0051】
また、CPU101は、上記洗浄機構81〜84の異常を判別した場合、サンプルディスク機構10,反応ディスク機構20,試薬ディスク機構30,サンプル分注機構40,試薬分注機構50,攪拌機構60等の各部の作動を必要に応じて停止させるようにすることもできる。
【0052】
また、CPU101は、上記洗浄機構81〜84の異常を判別した場合、例えば、その異常が洗浄液の供給流量や供給液量の過・不足であるような場合は、異常を判別した洗浄機構81〜84の洗浄液供給ポンプ88,90,92,94をその供給流量や供給液量の過・不足を解消するように補正作動制御することも可能である。また、異常を判別した洗浄機構81〜84について、その制御作動が終了した後、洗浄が終了した分注プローブ42,52、攪拌器、反応容器22といった対応する同じ洗浄対象について、再び洗浄機構81〜84を作動させて、繰り返し洗浄することもできる。
【0053】
また、異常の判別の仕方も、上記のような洗浄作業毎に異常を検出するとともに、液流検出部111,112,113,114,115,116及び液面検出部121,122の測定値を所定作業回数分蓄積しておき、その蓄積データから洗浄液の供給流量の変化傾向を分析し、その分析結果から異常を生じさせ易い変化傾向にあるのを判別したときには、洗浄作業毎に異常が発生せずとも異常メッセージを生成する等にしてもよい。
【0054】
本実施の形態の自動分析装置1は、以上説明したとおりであるが、本発明の実施の形態は上記説明した構成に限られるものではない。例えば、洗浄槽における洗浄液の貯留及び排出に異常があるか否かを検出するための液面検出部121,122は、サンプル容器12からのサンプル吸引時や試薬容器32からの試薬吸引時に、容器中の液量を検出し、分注プローブ42,52をクロスコンタミネーション防止のため必要以上にサンプルや試薬の液中に浸漬させないようにする分注プローブ42,52に設けられた液面検知機構で兼用させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1 自動分析装置
10 サンプルディスク機構
11 サンプルディスク
12 サンプル容器
20 反応ディスク機構
21 反応ディスク
22 反応容器
30 試薬ディスク機構
31 試薬ディスク
32 試薬容器
40 サンプル分注機構
41 アーム
42 サンプル分注プローブ
50 試薬分注機構
51 アーム
52 試薬分注プローブ
60 攪拌機構
61 アーム
62 攪拌器
70 分析反応検出器
80 洗浄機構
81 サンプル分注プローブ洗浄機構
82 試薬分注プローブ洗浄機構
83 攪拌装置洗浄機構
84 反応容器洗浄機構
85,86,87 洗浄液供給路
88 洗浄液供給ポンプ
89,91,93 洗浄液供給路
90,92,94 洗浄液供給ポンプ
101 CPU
102 インターフェース
103 A/Dコンバータ
104 コントローラ
105 ドライバ
106 ディスプレイ装置
107 キーボード
108 プリンタ
111,112,113,114,115,116 液流検出部
121,122 液面検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル及び試薬を反応させる容器と、該容器内にサンプル及び試薬をそれぞれ分注する分注プローブと、該分注プローブによって前記容器内にそれぞれ分注されたサンプル及び試薬を攪拌する攪拌器と、これら各部をそれぞれ洗浄する洗浄機構とを備えた自動分析装置であって、
洗浄液がそれぞれ対応する前記洗浄機構で洗浄対象に対して所定の条件を満たして供給されているか否かを検知する検出部
を備えていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記洗浄対象に対して洗浄液を供給する洗浄液供給路の圧力変動状態を測定することによって、前記洗浄機構で前記洗浄対象に対して所定の条件を満たして洗浄液が供給されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記洗浄対象に対して洗浄液を供給する洗浄液供給路の流速又は流量の変動状態を測定することよって、前記洗浄機構で前記洗浄対象に対して所定の条件を満たして洗浄液が供給されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記洗浄対象を浸漬させるための洗浄液が貯留される洗浄槽における供給洗浄液の液面高さ又は液量を測定することよって、前記洗浄機構で前記洗浄対象に対して所定の条件を満たして洗浄液が供給されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記検出部によって、洗浄液がそれぞれ対応する前記洗浄機構から洗浄対象に対して所定の条件を満たして供給されていないことが検出された場合は、前記洗浄機構を同じ洗浄対象について繰り返し作動させる
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−58163(P2008−58163A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235816(P2006−235816)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】