説明

自動変速機の制御モジュールに使用するための油圧弁

変速機制御モジュール(15)に取り付けられるように設けられると共に、弁本体(12)と、弁孔(16)と、少なくとも1つの圧力供給ポート(26)と、ならびに加圧流体源と弁組立体によって制御されるべき構成要素との間の流体連通を確立する少なくとも1つの圧力制御ポート(28)と、を有する油圧弁組立体(10)。弁部材(18)は、弁孔(16)に支持され、また圧力供給ポート(26)と圧力制御ポート(28)との間に加圧流体を方向付けるために、所定位置の間で選択的に移動可能である。さらに、油圧弁組立体(10)は、弁本体を通る油圧流体の流れに応答して、圧力供給ポート(26)に向かう方向の弁本体(12)に作用する付勢力を発生する付勢機構(80、180、280、380)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、油圧弁に、より具体的には、自動変速機の制御モジュールに使用するための油圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言って、陸上車両は3つの基本構成要素からなる伝動機構を必要とする。これらの構成要素は、動力装置(内燃機関等)、動力変速機、及び車輪を含む。動力変速機構成要素は、通常、単に「変速機」と呼ばれている。エンジンのトルク及び速度は、車両の牽引動力要求に従って変換される。
【0003】
大部分の自動変速機は、変速機内の様々な構成要素を油圧作動することによって制御される。したがって、これらの装置用に安定した油圧を提供することが重要である。このため、変速機を制御及び作動するための加圧油圧流体を供給するために、ポンプが使用される。さらに、油圧流体の2次流れによって、クラッチ及び歯車組立体が潤滑・冷却される。通常、ポンプは、エンジンからの動力取出しによって機械的に駆動される。したがって、ポンプから送給される油圧は、ポンプ速度がエンジン速度の増大に応答して増加するにつれて増加する。油圧作動装置はそれらを作動するために適用される所定の圧力に対して所定の正確な仕方で応答するので、油圧の不正確な制御は、自動変速機の不正確な運転及び制御の原因となる。
【0004】
エンジン速度が変化するにときにポンプによって送給される油圧の変化に取り組むために、自動変速機は、典型的に、複数の油圧弁を使用する油圧制御モジュールを含む。変速機の油圧回路に一般に使用されるタイプのいくつかの弁は、弁本体内に摺動可能に配置される弁部材を含むことが可能である。弁部材は、ポート間の流体流れを方向付けかつ制御する弁本体の様々なポートの上方で前後方向に動く。弁本体は、典型的に、制御モジュールに形成された対応する孔に受容される。
【0005】
油圧弁は、いくつかの方法で制御モジュールに固定して取り付けることが可能である。例えば、弁組立体は、締結具を使用して制御モジュールにボルト止めされるフランジを使用してもよい。代わりに、弁は、弁本体の外周の周りに配置され、かつ制御モジュールに形成された孔の内径とシール係合するOリング又は他のシールを使用してもよい。
【0006】
これらの取付けシステムは、それらの意図する目的のために一般に働いてきたが、これらの取付け方法を使用するとき、ある不都合がもたらされる。例えば、フランジ取付けされた弁は、複数の弁を制御モジュールに取り付けるために必要な締結具の数に関連して高コストの不都合を有する。さらに、制御モジュールを含む変速機構成要素に関連して空間又は「パッケージ」を最小にする必要性が引き続き存在する。しかし、フランジ取付けされかつOリングによってシールされた油圧弁は、それらが比較的長く、したがって、より大きな外形をもたらすという不都合を有する。このことは、油圧弁を制御モジュールに取り付けるためにより多くの空間を必要とし、これによって制御モジュールの「パッケージ」が増大される。
【0007】
部分的にこれらの欠陥のため、制御モジュールに形成された孔内に「滑り嵌め」される弁本体を有する油圧弁が開発された。弁本体と孔との間の公差は、弁組立体が孔に固定保持されるように設計される。この「滑り嵌め」による取付け方法は、より短い弁本体、したがってより薄型の弁組立体を可能にする。このことはまた、制御モジュールのサイズ又は「パッケージ」の低減を可能にする。
【0008】
残念ながら、自動変速機に使用される制御モジュールに滑り嵌め取付けされる弁組立体は、孔内の弁本体の外径の周りに漏れる傾向があるという不都合を有する。変速機制御に使用される油圧弁の数を考慮すると、この種類の漏れは小さくはない。したがって、この欠点を考慮するために、より大きな容量のポンプが使用されてきた。しかし、より大きな容量のポンプは、製造コストが高くなり、動作により多くのエネルギーを必要とする。代わりに、漏れは、制御モジュール内の弁本体と孔との間に、より狭い隙間及びより小さな公差を使用することによって低減することが可能である。しかし、これにより、追加の機械加工が必要とされ、同様に、弁及び制御モジュールの製造コストが増加する。コスト低減及び燃料経済性の改善の引き続く必要性に鑑み、油圧弁を変速機制御モジュールに滑り嵌め取付けする方法が問題であるとみなされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当該技術分野において、低コストで自動変速機用の油圧制御モジュールに迅速かつ容易に滑り嵌め取付けすることが可能であり、薄型を有し、制御モジュール用のより小さなパッケージを可能にする油圧弁の必要性が存在する。さらに、当該技術分野において、より低いエネルギー要件を有するより小さな容量のポンプを使用して、変速機の油圧回路を加圧し得るように改良された漏れ特性を有する滑り嵌め取付けされる油圧弁の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、変速機制御モジュールに取り付けられるように設けられる油圧弁組立体の関連技術の欠陥を克服する。油圧弁は、変速機制御モジュールの孔に受容かつ維持されるように設けられる弁本体を含む。弁本体は、弁本体の長さに沿って軸方向に延在する弁孔を有する。少なくとも1つの圧力供給ポートにより、加圧流体源と弁孔との間の流体連通が行われる。さらに、少なくとも1つの圧力制御ポートにより、弁孔と変速機制御ユニットによって制御される構成要素との間の流体連通が行われる。弁部材は、弁孔に支持され、また圧力供給ポートと圧力制御ポートとの間に加圧流体を方向付けるために、所定位置の間で選択的に移動可能である。さらに、本発明の油圧弁組立体は、弁本体を通る油圧流体の流れに応答する付勢機構を含み、この付勢機構は、圧力供給ポートに向かう方向の弁本体に作用する付勢力を発生させ、圧力供給ポートにおける変速機制御モジュールの孔に対する弁本体のシールを改良する。
【0011】
このようにして、本発明の油圧弁組立体は、追加の締結具、シール等を必要とすることなく、自動変速機用の油圧制御モジュールに迅速かつ容易に滑り嵌め取付けすることが可能である。ここで使用される特定の取付け方法はまた、薄型を提供し、制御モジュール用のより小さなパッケージを可能にする。さらに、滑り嵌め取付けされた本発明の油圧弁組立体は、より低いエネルギー要件を有するより小さな容量ポンプを使用して、変速機の油圧回路を加圧し得るように改良された漏れ特性を有する。
【0012】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付図面と関連して引き続く詳細な説明を読んだ後に本発明がより良く理解されたとき、容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の油圧弁組立体の代表的な一実施形態の斜視立面図である。
【図2】本発明の油圧弁組立体の一実施形態の側面断面図である。
【図3】図2に示した油圧弁の弁本体の立面上面図である。
【図4】図2に示した油圧弁の弁本体の断面端面図である。
【図5】本発明の油圧弁組立体の他の実施形態の側面断面図である。
【図6】図5に示した油圧弁組立体の弁本体の立面上面図である。
【図7】図5に示した油圧弁組立体の弁本体の断面端面図である。
【図8】本発明の油圧弁組立体の他の実施形態の側面断面図である。
【図9】図8に示した油圧弁組立体の弁本体の立面上面図である。
【図10】図8に示した油圧弁組立体の弁本体の断面端面図である。
【図11】本発明の油圧弁組立体の他の実施形態の側面断面図である。
【図12】図11に示した油圧弁組立体の弁本体の立面上面図である。
【図13】図11に示した油圧弁組立体の弁本体の断面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の油圧弁組立体は、一般に、図1、図2〜図3、図5〜図6、図8〜図9、及び図11〜図12に10で示されており、図の全体にわたって同様の構造を示すために、同様の数字が使用される。油圧弁10は、油圧式変速機の制御モジュールの構成要素として特に有用である。しかし、引き続く説明から、当業者は、本発明の油圧弁10が専ら油圧制御モジュールにおける使用に限定されないことを認識するであろう。したがって、引き続く説明におけるこのような制御モジュールの参照は、関連目的のみのためであり、また本発明の特徴をより良く説明するためである。本発明の油圧弁組立体10は、図2〜図4、図5〜図7、図8〜図10、及び図11〜図13に示した4つの実施形態に示されている。これらの実施形態の各々は、最初に図1〜図3を参照して説明する共通の構成要素を有する。共通の構成要素の各々は、図の全体にわたって同一の参照番号で指定されている。実施形態の間の差について、図の全体にわたって100だけ大きくした参照番号を使用して特定の図を参照して説明する。油圧弁10は、一般に12で示した弁本体と、一般に14で示したソレノイド組立体とを含む。上述のように、これらの構成要素の両方について、図1〜図3を参照して以下により詳細に説明する。
【0015】
より具体的には、弁本体12は、15で代表的に示される油圧制御モジュールに形成された対応する孔13に受容されるように設けられる円筒状スリーブのような要素を画定し得る。制御モジュールは、当該分野で一般によく知られているように弁本体12に送出される加圧流体の源(油圧ポンプ等)と連通している。弁本体12は、関連技術で知られている任意の方法で制御モジュールの対応する孔に固定保持してもよい。しかし、この図に示した代表的な実施例では、弁本体は、以下により詳細に説明するように、孔内に滑り嵌めされ、かつ弁本体の外周と対応する孔の内周との間の干渉によって保持されるように設計される。
【0016】
弁本体12は、以下により詳細に説明するように、弁孔16と、所定位置の間に弁本体12に移動可能に支持される一般に18で示した弁部材とを含む。弁部材18は、弁孔16とシール係合して配置され、かつ弁本体12を通して油圧流体の流れを方向付けるために使用される複数のランド20、22と24を含む。縮径部分21は、ランド20と22の間に延在してもよく、一方、縮径部分23はランド22と24の間内に延在してもよい。弁本体12は、加圧油圧流体源と弁孔16との間の流体連通を確立する少なくとも1つの圧力供給ポート26を含む。弁本体12はまた、弁孔16と油圧弁及び弁孔16によって制御されるべき構成要素との間の流体連通を確立する少なくとも1つの圧力制御ポート28を含む。これらの構成要素は、任意の数の様々なクラッチ、同期装置、又は一般に変速機に確認される他の油圧作動される構成要素を含んでもよい。
【0017】
ここに示した代表的な実施例では、弁本体は、弁孔16と、油圧弁によって制御されるべき少なくとも1つの構成要素との間の流体連通を確立する1対の圧力制御ポート28を含む。弁本体12はまた、油圧弁組立体10が「オフ」位置にあるとき、弁本体から加圧流体を排出するための少なくとも1つの排出ポート30を含むことが可能である。弁本体12はまた、一般にランド20と24を通して形成されるフィードバック流路32、34を含む。フィードバック流路32は、弁部材18及び弁孔16と、制御室40の縮径部分21とによって画定された空隙の間の流体連通を確立するためにランド20を通して延在する。制御室40は、ソレノイド14に最も近い弁孔に画定される。フィードバック流路34は、弁孔16に画定された環状ポート36と制御室42との間の流体連通を確立するように、ランド24を通して延在する。制御室42は、制御室40と反対側の弁孔に配置される。環状ポート36は、制御ポート28の1つと流体連通している。
【0018】
弁部材18は、図2に観測されるように弁部材18を下方に移動させるために、ソレノイド組立体14によって機械的に干渉されるプッシュロッド44を含む。以下により詳細に説明するように、ソレノイド組立体14によって誘発される移動と反対方向に弁部材18を付勢するために、バイアス部材46が使用される。ここに示した実施形態では、バイアス部材は、弁部材18のランド24と、弁孔の他の点では開放端50を閉鎖するプラグ48との間に配置されたコイル状の戻りばね46である。引き続く説明から、当業者は、弁本体12、弁部材18、ならびにすべての関連のポート及び他の関係する構造体が、ソレノイド作動される本発明の油圧弁が必要とする機能をなお実行しつつ、いくつかの異なる形態をとることができることを認識するであろう。したがって、本発明の油圧弁は、弁本体12の特定の構造及びここに示した関係するすべての構成要素に決して限定されない。
【0019】
弁本体12は、弁本体12を通して流れる油圧流体との接触からソレノイド組立体14をシールするように、ソレノイド組立体14に動作可能に取り付けられる。このため、プッシュロッド44は、弁本体12とソレノイド組立体14との間に固定挟持されるダイヤフラム52の開口部を通して受容される。ソレノイド組立体14は、ハウジング又は「缶」54と、ボビン58の周りのハウジング54に支持されたソレノイドコイル56とを含む。ソレノイドコイル56は、ボビン58の周りに巻き付けられたワイヤから構成され、このワイヤは、当該分野で一般によく知られているように、コイル56を通して流れる電流にさらされるときに電磁束を発生させる。このため、ソレノイド組立体14は、図1と図3に示したコネクタ組立体60を介して電力源と連通している。
【0020】
磁束管62は、ハウジング54に固定取付けされ、内部空間64を画定する。アーマチュア66は、以下により詳細に説明するように、電磁束の影響下で磁束管62によって画定される空間に移動可能に支持される。アーマチュア66はまた、磁束管62によって画定された空間内のアーマチュア66の往復移動を可能にするベントポート67を含んでもよい。ソレノイド組立体14はまた、ハウジング54に固定支持されかつアーマチュア66の反対側に配置される一般に68で示した極片を含む。図2に最も良く示されているように、極片68は、図2に示したようにアーマチュア66に面する一般に70で示したシャント部を有する。極片68は環状基部72を含む。アーマチュア66は、ソレノイドコイル56を通して流れる電流パルスによって発生する電磁束の影響下で極片18に向かって移動可能である。次に、アーマチュア66は、プッシュロッド44を通して弁部材18に作用して、所定位置の間に弁部材18を移動させる。
【0021】
加圧油圧流体は、ソレノイド組立体14及び戻りバイアス部材46の動作に応答して移動される弁孔の弁部材18の位置によって指定されるように、弁孔16を通して圧力制御ポート28又は排出ポート30から、ランド20、22又は24を過ぎて、圧力供給ポート26を通して流れる。加圧油圧流体はまた、フィードバック流路32、34を通して流れて、弁部材18のいずれかの側面に対する圧力を釣り合わせる。このようにして、油圧弁組立体10は、必要が生じたときに、圧力供給ポート26から弁孔16を通して圧力制御ポート28又は排出ポート30への油圧流体を方向付けるために制御される。
【0022】
したがって、本発明の油圧弁組立体10は、油圧制御モジュールに形成された孔内に滑り嵌めされるように設計される。この方法により、同様により薄型を有する制御モジュール内に移動するより薄型を有するより短い弁組立体の使用が可能になる。この特徴により、油圧弁組立体及びそれと共に使用し得る制御モジュールの両方のパッケージが改良される。しかし、関連技術で知られている滑り嵌めされる油圧弁組立体は、典型的に、供給ポートの周りに漏れ傾向があるという不都合を有する。供給ポートの周りの漏れはまた、制御モジュール内の孔との境界面において弁本体の長さに沿って漏れを引き起こす傾向がある。この欠点に取り組むために、本発明の油圧弁組立体10の実施形態の各々は、一般に、図2〜図4、図5〜図7、図8〜図10及び図11〜図13の80、180、280、380にそれぞれ示した付勢機構を使用する。付勢機構の各々は、圧力供給ポートに向かう方向の弁本体に作用する付勢力を発生させ、圧力供給ポートにおける変速機制御モジュールの孔に対し弁本体をシールする。このようにして、弁本体に沿う圧力供給ポート及び他の位置の周りの漏れが低減される。図に示した実施形態に使用される付勢機構の各々の追加の細部について、次に特別の図を参照して以下に詳細に説明するが、この図は、異なる実施形態の間で100の係数で大きくなる参照番号を使用する実施形態を示している。
【0023】
より具体的に、また次に図2を参照すると、図2に示した油圧弁組立体に関し示した付勢機構は、弁本体を通る油圧流体の流れに応答して、この付勢力を発生させる。このため、図2〜図4に示した付勢機構80は、圧力供給ポート26と反対側の弁本体の外周に形成された流路82を含む。流路82は、通路84を介して圧力供給ポートと流体連通しており、孔及び変速機制御機構のアーチ状部分と関連する油圧付勢リザーバを画定するように設けられる。リザーバ内に流れる油圧流体は、圧力供給ポート26に向かう方向に作用する力を発生させ、変速機制御モジュールの孔に対し圧力供給ポート26をシールする。図3〜図4に最も良く示されているように、流路は、弁孔の長手方向軸線を中心に実質的にアーチ状に延在する。
【0024】
代わりに、また図5〜図7に示した実施形態では、付勢機構180は、弁孔16の長手方向軸線の方向に実質的に延在する流路182を含む。より具体的には、流路182は、通路184を介して圧力供給ポート26と流体連通しており、変速機制御モジュール15の孔13の軸方向に延在する部分と関連する油圧付勢リザーバを画定するように設けられる。流路182によって画定されたリザーバ内に流れる油圧流体は、圧力供給ポート26ならびに制御ポート28及び排出ポート30に向かう方向に作用する力を発生させ、変速機の制御モジュール15の孔13に対しポートをシールする。したがって、図2〜図7に示した両方の実施形態では、流路82と182は、圧力供給ポートに向かう方向に作用する力を発生させ、変速機制御モジュールの孔に対し圧力供給ポートをシールする。
【0025】
代わりに、付勢機構80又は180は、それぞれの流路82、182に配置されかつ流路と変速機モジュール15に画定された孔13との間に配置されたブラダーを含んでもよい。このブラダーの使用が、図5〜図7に示した実施形態と関連して示されている。したがって、付勢機構180はまた、流路182と、変速機モジュール15に画定された孔13との間に配置された流路182に配置されたブラダー186を含んでもよい。ブラダー186は、変速機制御モジュール15の孔13に対し流路182をさらにシールするように使用される。
【0026】
次に図8〜図10を参照すると、本発明の付勢機構280は、止めねじ282が圧力供給ポート26と反対側の弁本体12の外側円周を支持するように、制御モジュール15の外側部分に画定されたねじ山付きの開口284を通して配置される止めねじ282を含むことが可能である。止めねじ282は、圧力供給ポート26に向かう方向に作用する力を発生させ、変速機制御モジュールの孔に対し圧力供給ポート26をシールする。このため、止めねじ282は、ねじ山付きの開口284にねじ込み式にかつ調整可能に受容してもよい。開口284の止めねじ282の調整により、このねじ282によって発生する付勢力が調整される。
【0027】
最後に、また具体的に図11〜図13を参照すると、付勢機構380は、圧力供給ポート26と反対側の弁本体12の外周に配置されるブラケット382を含むことが可能である。ブラケット382は、締結具、例えばボルト384等を介して関連の構造体に取り付けてもよい。ブラケット382は、上述の実施形態に関して行われるのと同じ方法で、圧力供給ポート26に向かう方向に作用する付勢力を発生させ、変速機制御モジュール15の孔13に対し圧力供給ポート26をシールする。
【0028】
このようにして、図2〜図13に示した付勢機構80、180、280、380は、より薄型の弁組立体ならびに油圧制御モジュールに関係する利点をなお維持しつつ、それらがなければ滑り嵌め構造の弁本体12の周りに生じ得る任意の漏れを低減するように作用する。
【0029】
例示目的で、本発明について説明してきた。使用してきた専門用語は、限定ではなく、説明の本来の用語にあるように意図されることを理解すべきであることを理解すべきである。本発明の多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能である。したがって、添付請求項の範囲内で、具体的に説明した方法以外で本発明を実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機制御モジュール(15)に取り付けられるように設けられた油圧弁組立体(10)であって、前記油圧弁が、
前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に受容かつ維持されるように設けられた弁本体(12)であって、前記弁本体(12)の長さに沿って軸方向に延在する弁孔(16)と、加圧流体源と前記弁孔(16)との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力供給ポート(26)及び前記弁孔(16)と前記変速機制御ユニットによって制御される構成要素との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力制御ポート(28)と、前記弁孔(16)に支持されかつ前記圧力供給ポート(26)と前記圧力制御ポート(28)との間に加圧流体を方向付けるために所定位置の間で選択的に移動可能な弁部材(18)と、を有する弁本体(12)と、
前記弁本体(12)を通る油圧流体の流れに応答し、前記圧力供給ポート(26)に向かう方向の前記弁本体(12)に作用する付勢力を発生させ、前記圧力供給ポート(26)における前記変速機制御モジュール(15)の孔(13)に対する前記弁本体(12)のシールを改良する付勢機構(80、180、280、380)と、
を備える油圧弁組立体(10)。
【請求項2】
前記付勢機構(80、180)が、前記圧力供給ポート(26)と反対側の前記弁本体(12)の外周に形成された流路(82、182)を含み、前記流路(82、182)が、前記圧力供給ポート(26)と流体連通し、かつ前記圧力供給ポート(26)に向かう方向に作用する力を発生させ、前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に対する前記圧力供給ポート(26)のシールを改良する油圧付勢リザーバを画定するように設けられる、請求項1に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項3】
前記流路(82)が、前記弁孔(16)の長手方向軸線を中心に実質的にアーチ状に延在する、請求項2に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項4】
前記流路(182)が、前記弁孔(16)の長手方向軸線の方向に実質的に延在する、請求項2に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項5】
前記流路(182)に、かつ前記流路(182)と前記変速機モジュール(15)に画定された前記孔(13)との間に配置されたブラダー(186)をさらに含む、請求項2に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項6】
前記付勢機構(280)が、前記圧力供給ポート(26)と反対側の前記弁本体(12)の外周に配置された止めねじ(282)を含み、前記止めねじ(282)が、前記圧力供給ポート(26)に向かう方向に作用する力を発生させ、前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に対する前記圧力供給ポートのシールを改良する、請求項1に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項7】
前記付勢機構(380)が、前記圧力供給ポート(26)と反対側の前記弁本体(12)の外周に配置されたブラケット(382)を含み、前記ブラケット(382)が、前記圧力供給ポート(26)に向かう方向に作用する力を発生させ、前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に対する前記圧力供給ポートのシールを改良する、請求項1に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項8】
前記油圧弁が、ハウジング(54)と、前記ハウジングに支持されたソレノイドコイル(56)とを有するソレノイド(14)組立体と、前記ハウジング(54)に固定して支持された極片(68)と、アーマチュア(66)が、前記ソレノイドコイル(56)を通して流れる電流によって発生する電磁束の影響下で前記極片(68)に向かって引き付けられて、前記弁孔(16)の所定位置の間に前記弁部材(18)を移動させるように前記ハウジング(54)に移動可能に支持された前記アーマチュア(66)とをさらに含む、請求項1に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項9】
変速機制御モジュール(15)に取り付けられるように設けられた油圧弁組立体(10)であって、前記油圧弁が、
前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に受容かつ維持されるように設けられた弁本体(12)であって、前記弁本体(12)の長さに沿って軸方向に延在する弁孔(16)と、加圧流体源と前記弁孔(16)との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力供給ポート(26)及び前記弁孔(16)と前記変速機制御ユニットによって制御される構成要素との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力制御ポート(26)と、前記弁孔(16)に支持されかつ前記圧力供給ポート(26)と前記圧力制御ポート(28)との間に加圧流体を方向付けるために所定位置の間で選択的に移動可能な弁部材(18)と、を有する弁本体(12)と、
前記弁本体(12)の外周に形成されかつ前記圧力供給ポート(26)と反対側の前記弁孔(16)の長手方向軸線を中心に実質的にアーチ状に延在する流路(80)であって、前記流路が前記圧力供給ポート(26)と流体連通し、また前記圧力供給ポート(26)に向かう方向に作用する力を発生させ、前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に対する前記圧力供給ポートのシールを改良する油圧付勢リザーバを画定するように設けられる流路(80)と、
を備える油圧弁組立体(10)。
【請求項10】
前記流路(82)に、かつ前記流路(82)と前記変速機モジュール(15)に画定された前記孔(13)との間に配置されたブラダー(186)をさらに含む、請求項9に記載の油圧弁組立体(10)。
【請求項11】
変速機制御モジュール(15)に取り付けられるように設けられた油圧弁組立体(10)であって、前記油圧弁が、
前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に受容かつ維持されるように設けられた弁本体(12)であって、前記弁本体(12)の長さに沿って軸方向に延在する弁孔(16)と、加圧流体源と前記弁孔(16)との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力供給ポート(26)及び前記弁孔(16)と前記変速機制御ユニットによって制御される構成要素との間の流体連通を行う少なくとも1つの圧力制御ポート(28)と、前記弁孔(16)に支持されかつ前記圧力供給ポート(26)と前記圧力制御ポート(28)との間に加圧流体を方向付けるために所定位置の間で選択的に移動可能な弁部材(18)と、を有する弁本体(12)と、
前記弁本体(12)の外周に形成されかつ前記圧力供給ポート(26)と反対側の前記弁孔(16)の長手方向軸線の方向に実質的に延在する流路(82)であって、前記流路(82)が前記圧力供給ポート(26)と流体連通し、また前記圧力供給ポート(26)に向かう方向に作用する力を発生させ、前記変速機制御モジュール(15)の前記孔(13)に対する前記圧力供給ポートのシールを改良する油圧付勢リザーバを画定するように設けられる流路(182)と、
を備える油圧弁組立体(10)。
【請求項12】
前記流路(182)に、かつ前記流路(182)と前記変速機モジュール(15)に画定された前記孔(13)との間に配置されたブラダー(186)をさらに含む、請求項11に記載の油圧弁組立体(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−532286(P2012−532286A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517637(P2012−517637)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039425
【国際公開番号】WO2011/008428
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】