自動変速機の変速制御装置
【課題】マニュアルモード(人為操作可能なモード)付きで、変速段指示(表示)機能を有する自動変速機の変速制御装置において、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させることにある。
【解決手段】変速制御装置(1)は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を表示装置(4)に指示する。
【解決手段】変速制御装置(1)は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を表示装置(4)に指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動変速機の変速制御装置に係り、特にマニュアルモード(人為操作可能なモード)付きで、変速段指示(表示)機能を有する自動変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機が搭載された車両においては、燃費の向上等を考慮して定められた変速マップを有し、この変速マップに従って、車速及びアクセル開度又はスロットル開度に応じた最適なギヤ段の切り換えを、自動的に行っている。
例えば、自動変速機が無段変速機(CVT)の場合では、変速比マップを備え、車速と入力回転数とに応じて変速比を制御している。
一方、手動変速機を搭載した車両においては、ギヤ段の操作を運転者が任意に行うため、燃費の向上に関して最適になるようなギヤ段を自動的に選択することは困難である。そこで、車両には、燃費の向上等を考慮して定められたギヤ段への変速を運転者に指示するギヤ段指示装置を搭載したものがある。
このようなギヤ段指示装置は、手動変速機に限らず、ギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマティクトランスミッション(AT)又はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機のマニュアルシフト機能を搭載した車両においても、運転者が任意にギヤ段(変速比)を人為的に選択可能であるため、運転者に対して燃費の良いギヤ段(変速比)を選択するように推奨するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−31669号公報
【特許文献2】特許第3655466号公報
【特許文献3】特開2008−309184号公報
【0004】
特許文献1に係る車輌用変速機の変速時期指令装置は、燃費最適運転を行うため、スロットル開度とエンジン回転数との関係から予め変速位置を設定しておき、現在のスロットル開度とエンジン回転数とがどの領域にあるかを判断し、アップシフト又はダウンシフト指令を行うものであり、具体的には、スロットル開度が第1の開度閾値以下のとき又はエンジン回転数が第1の回転数閾値以上のときに、アップシフト指令を行い、スロットル開度が第2の開度閾値以上のとき又はエンジン回転数が第2の回転数閾値以下のときには、ダウンシフト指令を行うものである。
特許文献2に係る自動変速装置の変速段位置表示装置は、現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求め、予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示するものである。
特許文献3に係る車両のシフト案内装置は、最適ギヤ位置と実際のギヤ位置とが異なる場合に、最適ギヤ位置に向けたシフト操作を促す案内を、運転者に対して振動刺激を与えて行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、特許文献1においては、自動変速機がオートマティクトランスミッション(AT)又は無段変速機(CVT)の場合に、自動変速機の保護により、運転者が選択しようとしたギヤ段を選択できない場合がある。例えば、オートマティクトランスミッション又は無段変変速機の保護のために、低油温時に最高速段の使用を禁止する場合が、その一例である。また、燃費最良ということで算出されたギヤ段を指示するだけでは、運転者がこれに応じてアップシフトしたとき、低油温時に最高速段が禁止されてシステムが受け付けないといった不整合が発生するおそれがある。
また、上記の特許文献2では、予め設定した運転条件である変速マップの適正運転領域のみに基づいて制御するものであって、通常の変速制御マップにおける変速判断を行うものであり、自動変速機の状態情報を考慮していない。また、変更可能と変更指示とでは表示を変える(変更可能な場合は点灯、変更指示の場合は点滅とする)ことを開示しているものの、単一な変速マップ上の選択に過ぎない(トランスミッションコントローラ(TCM)からの保護制御中情報を考慮していない)ので、自動変速機の保護制御が働き、選択できないギヤ段が存在する場合のように、点灯も点滅もいずれもすべきでない状態下であっても、いずれかの表示を行ってしまうことになり、変速指示に従って人為操作しても実際の動作が行われないという不整合を生じた。
更に、上記の特許文献3では、変速の指示に従うように注意を喚起する機能を付加して設けた場合には、その不整合がより顕著な体感となって強調される結果となる。
このように生ずる不整合は、車両の走行に影響を与えるものではないが、運転者からみて、車両からの指示と指示に従った後の動作とが矛盾して不可解な動きとなるため、感覚的な信頼を損なうものである。
【0006】
そこで、この発明の目的は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させることができる自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機と、この自動変速機の現在選択されているギヤ段を検出するギヤ段検出装置と、前記自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置と、前記自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能な表示装置とに連絡して、前記自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有する自動変速機の変速制御装置において、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の自動変速機の変速制御装置は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は変速指示制御のフローチャートである。(実施例1)
【図2】図2は図1において全てのギヤ段について変速可否を送信する場合の形態を説明する図である。(実施例1ないし実施例3)
【図3】図3は図1において変速可能なギヤ段を送信する場合の形態を説明する図である。(実施例1ないし実施例3)
【図4】図4は変速制御装置を構成するエンジンコントローラの入出力構成図である。(実施例1)
【図5】図5はDレンジ時の変速マップである。(実施例1ないし実施例3)
【図6】図6はMレンジ時の変速マップである。(実施例1ないし実施例3)
【図7】図7は燃費を優先的に考慮した変速マップの例である。(実施例1ないし実施例3)
【図8】図8は変速指示制御のフローチャートである。(実施例2)
【図9】図9は変速制御装置を構成するエンジンコントローラ及びトランスミッションコントローラの入出力構成図である。(実施例2)
【図10】図10は変速指示制御のフローチャートである。(実施例3)
【図11】図11は変速制御装置を構成するエンジンコントローラ及びギヤ段指示装置の入出力構成図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させる目的を、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を表示装置に指示して実現するものである。
【実施例1】
【0011】
図1〜図7は、この発明の実施例1を示すものである。
この発明において、詳細な図示はしないが、車両に搭載したエンジンに連結される自動変速機は、マニュアルシフト機能を備え、ギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマティクトランスミッション(AT)又はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機(CVT)からなり、複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機である旨を、前提とする。また、この自動変速機には、セレクトレバーを備えて自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置が設けられている。そして、エンジンと自動変速機とは、変速制御装置に連絡し、この変速制御装置によって制御される。
図4に示すように、変速制御装置1は、エンジンコントローラ(図面上では「ECM」と記す)2とトランスミッションコントローラ(図面上では「TCM」と記す)3と表示装置であるギヤ段指示装置4との相互間の通信によって、一連の変速制御及び変速にかかる表示制御を実現するよう構成され、後述する指示ギヤ段算出部5を備えている。
この指示ギヤ段算出部5は、算出された燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と、算出された選択可能なギヤ段群の信号とを入力して、最終的な目標変速段を算出する。また、この指示ギヤ段算出部5は、この算出した最終的な目標変速段の信号を自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能なギヤ段指示装置4に出力し、このギヤ段指示装置4に上記の算出した最終的な目標変速段を表示させる。
また、指示ギヤ段算出部5は、変速制御装置1を構成するエンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とのいずれかに設けられてあれば良く、この実施例1では、エンジンコントローラ2の一機能部として搭載して設けられている。
エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4との相互間の通信は、CAN通信の通信線の相互接続によって実現している。
【0012】
図4に示すように、エンジンコントローラ2には、各種検出手段群6として、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段7と、車両の速度を検出する車速検出手段8と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段9と、トランスミッションコントローラ3から自動変速機の現在選択されているギヤ段、自動変速機の作動油の油温、プライマリプーリ回転速度等の各種データを含むCAN通信の信号を入力するCAN信号入力手段10と、各種故障情報を検出する故障情報検出手段11とが連絡する。
トランスミッションコントローラ3は、ギヤ段制限を考慮した選択可能なギヤ段情報の信号を、エンジンコントローラ2に出力する。
エンジンコントローラ2は、エンジン回転数と車速とスロットル開度とCAN通信と各種故障情報及びトランスミッションコントローラ3からのギヤ段情報の各信号を入力して、内部機能手段として設けた指示ギヤ段算出部5によって最終的な目標変速段を算出し、指示ギヤ段を決定して、その指示ギヤ段の表示要求信号をギヤ段指示装置4に出力する。
【0013】
トランスミッションコントローラ3においては、基本的に、アクセル開度、出力軸回転数、シフトポジション及びストップランプスイッチ等の各入力情報から、エンジン及び自動変速機の状態、車両走行状態及び運転者の操作状況を判定し、予め設定されている変速マップを基に、自動変速機の各ソレノイドを制御している。
ここでは、自動変速機はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機(CVT)としてあり、例えば、Dレンジの場合には、図5の車速とプライマリプーリの入力回転速度との変速マップに示すように、プーリ比の最Low(最小値)から最High(最大値)までの変速領域Rで変速が行われる。
また、Mレンジの場合には、図6の車速とプライマリプーリの入力回転速度との変速マップに示すように、最Low(最小値)の1速から最High(最大値)の6速までの変速線が予め設定され、この設定された各変速線上を段階的に変速し、1〜6速の固定プーリ比を選択し、マニュアル車のような変速を可能とする。つまり、Dレンジ時に、所定のシフトスイッチを操作すると、Mレンジとなり、通常の変速制御からマニュアルモード制御に、一時的に切り替えることができる。
そして、選択可能なギヤ段は、これらの変速マップに基づき、それぞれのギヤ段について変速可能か否か判定することができる。
また、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の選択されるべきギヤ段として、自動変速機を無段変速機(CVT)とする制御の場合では、車速と入力回転数に基づく変速マップを用いてギヤ段を設定し、あるいは、エンジン回転数とスロットル開度に基づく変速マップを用いてギヤ段を設定し、任意に選択できる複数のギヤ段を備えていれば良い。
一方、自動変速機をギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマチックトランスミッション(AT)とする制御の場合では、車速とスロットル開度(アクセル開度)に基づく変速マップを用いてギヤセットに対応するギヤ段を設定し、選択可能に設けるものとする。なお、マニュアルモード時等に選択されたギヤポジションを、ギヤ段指示装置5に表示してもよい。
【0014】
この実施例1において、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有し、また、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
この実施例1の場合、エンジンコントローラ2は、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有する。また、トランスミッションコントローラ3は、自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有する。
前記選択可能なギヤ段群は、自動変速機の状態を表す少なくとも自動変速機の作動油の温度および前記変速マップに応じて設定される。
また、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群は、少なくともエンジン回転数とスロットル開度の関係(図7の変速マップ参照)に基づいて設定するか、あるいは、車速と入力回転数に基づく燃費用の変速マップ(図示せず)に基づいて設定する。
【0015】
エンジンコントローラ2は、内部機能手段として設けた指示ギヤ段算出部5によって、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較して、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を、ギヤ段指示装置4に指示する。
また、エンジンコントローラ2は、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示をギヤ段指示装置4に指示する一方、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示しない。
この場合、このエンジンコントローラ2は、ギヤ段指示機能を有する。
【0016】
また、この実施例1では、トランスミッションコントローラ3は、自動変速機の保護によるギヤ段制限を考慮したギヤ段を算出し、選択可能なギヤ段情報の信号をエンジンコントローラ2に送信する。つまり、算出される選択可能なギヤ段には、油温や駆動トルクによる制限が考慮されている。
そして、このエンジンコントローラ2は、トランスミッションコントローラ3から送信された制限が考慮され選択可能なギヤ段の情報と車両の現在の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出し、そして、目標ギヤ段を算出することになる。
さらに、エンジンコントローラ2では、トランスミッションコントローラ3で算出された目標ギヤ段への変速指示をギヤ段指示装置4に行う。
【0017】
ギヤ段指示装置4は、指示要求に基づいて表示を行う。なお、このギヤ段指示装置4における変速指示の表示は、算出された目標ギヤ段を表示する形態や、現在ギヤ段と目標ギヤ段を比較し、アップシフトが発生した時には、上矢印等、ダウンシフトが発生した時には、下矢印等の運転者がアップシフト又はダウンシフトを視覚的に判別できるようなマークを用いた表示によりに報知する形態でも良い。
【0018】
次に、マニュアルモード時におけるエンジンコントローラ2のギヤ段指示について、図1のフローチャートに基づいて説明する。
図1に示すように、エンジンコントローラ2のプログラムがスタートすると(ステップA01)、通信を介して得られた現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップA02)、トランスミッションコントローラ3から通信を介して送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)を読み込む(ステップA03)。このトランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)は、例えば、図2に示すように、全てのギヤ段について変速の可否情報を送信する形態や、図3に示すように、変速可能なギヤ段を送信する形態でもよい。
そして、現在の運転状況を考慮し、燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)の算出を行う(ステップA04)。
また、トランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)と現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップA05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップA06)。
このステップA06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップA07)。
一方、このステップA06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップA08)。
このステップA08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップA09)、一方、このステップA08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップA10)。
前記ステップA09の処理後、又は、前記ステップA10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示をギヤ段指示装置4に行い(ステップA11)、プログラムをエンドとする(ステップA12)。
【0019】
なお、この図1のフローチャートにおいては、上記のステップA05では、変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれるギヤ段群の中に燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)のギヤ段が含まれない場合に、再度、目標ギヤ段(GP_target)を算出し直す必要が生じる。このため、ステップA05で、変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれるギヤ段群の中に燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)のギヤ段が含まれないと判断した場合には、燃費の向上に最適なギヤ段の算出のために、上記のステップA04での燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)の算出を上記のステップA05で行っても良く、そして、上記のステップA04と上記のステップA05とをループさせて繰り返すようにすることもできる。
あるいは、上記のステップA04における算出で、次点の燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)を含めて算出しておき、燃費の向上に最適なギヤ段群の算出のために、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)をランキング付のギヤ段群としておいても良い。
【0020】
即ち、この実施例1では、マニュアルモード(人為操作可能なモード)付きで、変速段指示(表示)機能を有する自動変速機を搭載した車両において、運転者が任意にギヤ段を選択可能である場面において、運転者に対して燃費が最良となるギヤ段を選択するようにギヤ段を指示する手法に、自動変速機からの変速可能なギヤ段情報と燃費の向上に最適なギヤ段とを考慮して目標ギヤ段を算出し、これにより、自動変速機の保護制御によりギヤ段が制限されている場合でも、ギヤ段指示装置4の指示に従い運転者が選択したギヤ段がキャンセルされるといった不整合の発生しないギヤ段の表示を行うことができる。
【実施例2】
【0021】
図8、図9は、この発明の実施例2を示すものである。上述した実施例1の構成に対応するものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施例2において、図9に示すように、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、最終的な目標変速段を算出する指示ギヤ段算出部5を、エンジンコントローラ2ではなく、トランスミッションコントローラ3に設けている点が主に異なる。
即ち、エンジンコントローラ2は、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とを、トランスミッションコントローラ3に送信する。
そして、このトランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
この場合、トランスミッションコントローラ3は、ギヤ段指示機能を有する。
【0022】
次に、トランスミッションコントローラ3のギヤ段指示について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8に示すように、トランスミッションコントローラ3のプログラムがスタートすると(ステップB01)、現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップB02)、エンジンコントローラ2から通信を介して送信される燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)を読み込む(ステップB03)。この燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)は、図示しないが、例えば、全てのギヤ段について最良燃費の適否情報を送信する形態や、最良燃費となるギヤ段のみを送信する形態でも良い。
そして、現在の運転状況を考慮し、変速可能なギヤ段情報(GP_info)の算出を行う(ステップB04)。
そして、変速可能なギヤ段情報(GP_info)とエンジンコントローラ2から送信される現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップB05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップB06)。
このステップB06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップB07)。
一方、このステップB06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップB08)。
このステップB08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップB09)、一方、このステップB08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップB10)。
前記ステップB09の処理後、又は、前記ステップB10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示をギヤ段指示装置4に行い(ステップB11)、プログラムをエンドとする(ステップB12)。
【実施例3】
【0023】
図10、図11は、この発明の実施例3を示すものである。上述した実施例1の構成に対応するもの、又は、上述した実施例2の構成に対応するものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施例3において、図11に示すように、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、最終的な目標変速段を算出する指示ギヤ段算出部5を、エンジンコントローラ2及びトランスミッションコントローラ3ではなく、ギヤ段指示装置4に設けている点が主に異なる。
即ち、エンジンコントローラ2は、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。
そして、トランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。
このギヤ段指示装置4は、内部機能として設けた指示ギヤ段算出部5により前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行う。
【0024】
次に、ギヤ段指示装置4のギヤ段指示について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
図10に示すように、ギヤ段指示装置4のプログラムがスタートすると(ステップC01)、通信を介して得られた現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップC02)、エンジンコントローラ2から通信を介して送信される燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)を読み込む(ステップC03)。この現在の運転状況を考慮した燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)は、図示しないが、例えば、全てのギヤ段について最良燃費の適否情報を送信する形態や、最良燃費となるギヤ段のみを送信する形態でもよい。
そして、トランスミッションコントローラ3から通信を介して送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)を読み込む(ステップC04)。このトランスミッションコントローラ3から通信を介して得られる変速可能なギヤ段情報(GP_info)は、例えば、図2に示すように、全てのギヤ段について変速の可否情報の形態や、図3に示すように、変速可能なギヤ段の形態でもよい。
また、トランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)と現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップC05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップC06)。
このステップC06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップC07)。
一方、このステップC06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップC08)。
このステップB08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップC09)、一方、このステップA08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップC10)。
前記ステップC09の処理後、又は、前記ステップC10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示を表示する(ステップC11)、プログラムをエンドとする(ステップC12)。
【0025】
以上、この発明の実施例について説明してきたが、上述の実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
請求項1に係る発明においては、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示として、真に選択可能なギヤ段を表示することができる。
また、ギヤ段指示装置4に従って人為的に選択操作した際に、選択がキャンセルさせる動作結果となる不整合がなく、信頼性を確保できる。
請求項2に係る発明においては、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示をギヤ段指示装置4に指示する一方、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示しない。
これにより、ギヤ段指示装置4での表示の具体化を図り、また、運転者が感覚的にギヤ段を理解でき、それに対応可能となる。更に、表示態様から指示内容を判断する必要がなく、運転者の負担を少なくできる。
請求項3に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコトローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。トランスミッションコントローラ3は、選択可能なギヤ段群の信号をエンジンコントローラ2に送信する。このエンジンコントローラ2は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
請求項4に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。エンジンコントローラ2は、燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とをトランスミッションコントローラ3に送信する。このトランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
請求項5に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。エンジンコントローラ2は、算出した燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。トランスミッションコントローラ3は、算出した選択可能なギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。このギヤ段指示装置4は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行う。
これにより、請求項3又は請求項4の効果と同様に、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
【0026】
なお、この発明においては、上述のそれぞれの実施例のみに限定されるものではなく、様々な応用改変が可能である。
例えば、上述の実施例3では、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とが、燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群と選択可能なギヤ段群とを、個別に、ギヤ段指示装置4宛にデータ送信しているが、トランスミッションコントローラ3が選択可能なギヤ段群の信号をエンジンコントローラ2に送信し、このエンジンコントローラ2が燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群と選択可能なギヤ段群とをまとめて、ギヤ段指示装置4宛にデータ送信するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の自動変速機の変速制御装置は、各種車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 変速制御装置
2 エンジンコントローラ(ECM)
3 トランスミッションコントローラ(TCM)
4 ギヤ段指示装置(表示装置)
5 指示ギヤ段算出部
6 各種検出手段群
7 エンジン回転数検出手段
8 車速検出手段
9 スロットル開度検出手段
10 CAN信号検出手段
11 故障情報検出手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動変速機の変速制御装置に係り、特にマニュアルモード(人為操作可能なモード)付きで、変速段指示(表示)機能を有する自動変速機の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機が搭載された車両においては、燃費の向上等を考慮して定められた変速マップを有し、この変速マップに従って、車速及びアクセル開度又はスロットル開度に応じた最適なギヤ段の切り換えを、自動的に行っている。
例えば、自動変速機が無段変速機(CVT)の場合では、変速比マップを備え、車速と入力回転数とに応じて変速比を制御している。
一方、手動変速機を搭載した車両においては、ギヤ段の操作を運転者が任意に行うため、燃費の向上に関して最適になるようなギヤ段を自動的に選択することは困難である。そこで、車両には、燃費の向上等を考慮して定められたギヤ段への変速を運転者に指示するギヤ段指示装置を搭載したものがある。
このようなギヤ段指示装置は、手動変速機に限らず、ギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマティクトランスミッション(AT)又はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機のマニュアルシフト機能を搭載した車両においても、運転者が任意にギヤ段(変速比)を人為的に選択可能であるため、運転者に対して燃費の良いギヤ段(変速比)を選択するように推奨するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−31669号公報
【特許文献2】特許第3655466号公報
【特許文献3】特開2008−309184号公報
【0004】
特許文献1に係る車輌用変速機の変速時期指令装置は、燃費最適運転を行うため、スロットル開度とエンジン回転数との関係から予め変速位置を設定しておき、現在のスロットル開度とエンジン回転数とがどの領域にあるかを判断し、アップシフト又はダウンシフト指令を行うものであり、具体的には、スロットル開度が第1の開度閾値以下のとき又はエンジン回転数が第1の回転数閾値以上のときに、アップシフト指令を行い、スロットル開度が第2の開度閾値以上のとき又はエンジン回転数が第2の回転数閾値以下のときには、ダウンシフト指令を行うものである。
特許文献2に係る自動変速装置の変速段位置表示装置は、現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求め、予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示するものである。
特許文献3に係る車両のシフト案内装置は、最適ギヤ位置と実際のギヤ位置とが異なる場合に、最適ギヤ位置に向けたシフト操作を促す案内を、運転者に対して振動刺激を与えて行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、特許文献1においては、自動変速機がオートマティクトランスミッション(AT)又は無段変速機(CVT)の場合に、自動変速機の保護により、運転者が選択しようとしたギヤ段を選択できない場合がある。例えば、オートマティクトランスミッション又は無段変変速機の保護のために、低油温時に最高速段の使用を禁止する場合が、その一例である。また、燃費最良ということで算出されたギヤ段を指示するだけでは、運転者がこれに応じてアップシフトしたとき、低油温時に最高速段が禁止されてシステムが受け付けないといった不整合が発生するおそれがある。
また、上記の特許文献2では、予め設定した運転条件である変速マップの適正運転領域のみに基づいて制御するものであって、通常の変速制御マップにおける変速判断を行うものであり、自動変速機の状態情報を考慮していない。また、変更可能と変更指示とでは表示を変える(変更可能な場合は点灯、変更指示の場合は点滅とする)ことを開示しているものの、単一な変速マップ上の選択に過ぎない(トランスミッションコントローラ(TCM)からの保護制御中情報を考慮していない)ので、自動変速機の保護制御が働き、選択できないギヤ段が存在する場合のように、点灯も点滅もいずれもすべきでない状態下であっても、いずれかの表示を行ってしまうことになり、変速指示に従って人為操作しても実際の動作が行われないという不整合を生じた。
更に、上記の特許文献3では、変速の指示に従うように注意を喚起する機能を付加して設けた場合には、その不整合がより顕著な体感となって強調される結果となる。
このように生ずる不整合は、車両の走行に影響を与えるものではないが、運転者からみて、車両からの指示と指示に従った後の動作とが矛盾して不可解な動きとなるため、感覚的な信頼を損なうものである。
【0006】
そこで、この発明の目的は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させることができる自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機と、この自動変速機の現在選択されているギヤ段を検出するギヤ段検出装置と、前記自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置と、前記自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能な表示装置とに連絡して、前記自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有する自動変速機の変速制御装置において、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の自動変速機の変速制御装置は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は変速指示制御のフローチャートである。(実施例1)
【図2】図2は図1において全てのギヤ段について変速可否を送信する場合の形態を説明する図である。(実施例1ないし実施例3)
【図3】図3は図1において変速可能なギヤ段を送信する場合の形態を説明する図である。(実施例1ないし実施例3)
【図4】図4は変速制御装置を構成するエンジンコントローラの入出力構成図である。(実施例1)
【図5】図5はDレンジ時の変速マップである。(実施例1ないし実施例3)
【図6】図6はMレンジ時の変速マップである。(実施例1ないし実施例3)
【図7】図7は燃費を優先的に考慮した変速マップの例である。(実施例1ないし実施例3)
【図8】図8は変速指示制御のフローチャートである。(実施例2)
【図9】図9は変速制御装置を構成するエンジンコントローラ及びトランスミッションコントローラの入出力構成図である。(実施例2)
【図10】図10は変速指示制御のフローチャートである。(実施例3)
【図11】図11は変速制御装置を構成するエンジンコントローラ及びギヤ段指示装置の入出力構成図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、正確な変速段指示動作を表示し、変速段指示動作と実際の変速動作とを一致させる目的を、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を表示装置に指示して実現するものである。
【実施例1】
【0011】
図1〜図7は、この発明の実施例1を示すものである。
この発明において、詳細な図示はしないが、車両に搭載したエンジンに連結される自動変速機は、マニュアルシフト機能を備え、ギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマティクトランスミッション(AT)又はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機(CVT)からなり、複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機である旨を、前提とする。また、この自動変速機には、セレクトレバーを備えて自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置が設けられている。そして、エンジンと自動変速機とは、変速制御装置に連絡し、この変速制御装置によって制御される。
図4に示すように、変速制御装置1は、エンジンコントローラ(図面上では「ECM」と記す)2とトランスミッションコントローラ(図面上では「TCM」と記す)3と表示装置であるギヤ段指示装置4との相互間の通信によって、一連の変速制御及び変速にかかる表示制御を実現するよう構成され、後述する指示ギヤ段算出部5を備えている。
この指示ギヤ段算出部5は、算出された燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と、算出された選択可能なギヤ段群の信号とを入力して、最終的な目標変速段を算出する。また、この指示ギヤ段算出部5は、この算出した最終的な目標変速段の信号を自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能なギヤ段指示装置4に出力し、このギヤ段指示装置4に上記の算出した最終的な目標変速段を表示させる。
また、指示ギヤ段算出部5は、変速制御装置1を構成するエンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とのいずれかに設けられてあれば良く、この実施例1では、エンジンコントローラ2の一機能部として搭載して設けられている。
エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4との相互間の通信は、CAN通信の通信線の相互接続によって実現している。
【0012】
図4に示すように、エンジンコントローラ2には、各種検出手段群6として、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段7と、車両の速度を検出する車速検出手段8と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段9と、トランスミッションコントローラ3から自動変速機の現在選択されているギヤ段、自動変速機の作動油の油温、プライマリプーリ回転速度等の各種データを含むCAN通信の信号を入力するCAN信号入力手段10と、各種故障情報を検出する故障情報検出手段11とが連絡する。
トランスミッションコントローラ3は、ギヤ段制限を考慮した選択可能なギヤ段情報の信号を、エンジンコントローラ2に出力する。
エンジンコントローラ2は、エンジン回転数と車速とスロットル開度とCAN通信と各種故障情報及びトランスミッションコントローラ3からのギヤ段情報の各信号を入力して、内部機能手段として設けた指示ギヤ段算出部5によって最終的な目標変速段を算出し、指示ギヤ段を決定して、その指示ギヤ段の表示要求信号をギヤ段指示装置4に出力する。
【0013】
トランスミッションコントローラ3においては、基本的に、アクセル開度、出力軸回転数、シフトポジション及びストップランプスイッチ等の各入力情報から、エンジン及び自動変速機の状態、車両走行状態及び運転者の操作状況を判定し、予め設定されている変速マップを基に、自動変速機の各ソレノイドを制御している。
ここでは、自動変速機はギヤ比を固定することによって有段制御を実現する無段変速機(CVT)としてあり、例えば、Dレンジの場合には、図5の車速とプライマリプーリの入力回転速度との変速マップに示すように、プーリ比の最Low(最小値)から最High(最大値)までの変速領域Rで変速が行われる。
また、Mレンジの場合には、図6の車速とプライマリプーリの入力回転速度との変速マップに示すように、最Low(最小値)の1速から最High(最大値)の6速までの変速線が予め設定され、この設定された各変速線上を段階的に変速し、1〜6速の固定プーリ比を選択し、マニュアル車のような変速を可能とする。つまり、Dレンジ時に、所定のシフトスイッチを操作すると、Mレンジとなり、通常の変速制御からマニュアルモード制御に、一時的に切り替えることができる。
そして、選択可能なギヤ段は、これらの変速マップに基づき、それぞれのギヤ段について変速可能か否か判定することができる。
また、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の選択されるべきギヤ段として、自動変速機を無段変速機(CVT)とする制御の場合では、車速と入力回転数に基づく変速マップを用いてギヤ段を設定し、あるいは、エンジン回転数とスロットル開度に基づく変速マップを用いてギヤ段を設定し、任意に選択できる複数のギヤ段を備えていれば良い。
一方、自動変速機をギヤセットの切り換えで有段変速を実現するオートマチックトランスミッション(AT)とする制御の場合では、車速とスロットル開度(アクセル開度)に基づく変速マップを用いてギヤセットに対応するギヤ段を設定し、選択可能に設けるものとする。なお、マニュアルモード時等に選択されたギヤポジションを、ギヤ段指示装置5に表示してもよい。
【0014】
この実施例1において、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有し、また、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
この実施例1の場合、エンジンコントローラ2は、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有する。また、トランスミッションコントローラ3は、自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有する。
前記選択可能なギヤ段群は、自動変速機の状態を表す少なくとも自動変速機の作動油の温度および前記変速マップに応じて設定される。
また、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群は、少なくともエンジン回転数とスロットル開度の関係(図7の変速マップ参照)に基づいて設定するか、あるいは、車速と入力回転数に基づく燃費用の変速マップ(図示せず)に基づいて設定する。
【0015】
エンジンコントローラ2は、内部機能手段として設けた指示ギヤ段算出部5によって、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較して、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を、ギヤ段指示装置4に指示する。
また、エンジンコントローラ2は、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示をギヤ段指示装置4に指示する一方、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示しない。
この場合、このエンジンコントローラ2は、ギヤ段指示機能を有する。
【0016】
また、この実施例1では、トランスミッションコントローラ3は、自動変速機の保護によるギヤ段制限を考慮したギヤ段を算出し、選択可能なギヤ段情報の信号をエンジンコントローラ2に送信する。つまり、算出される選択可能なギヤ段には、油温や駆動トルクによる制限が考慮されている。
そして、このエンジンコントローラ2は、トランスミッションコントローラ3から送信された制限が考慮され選択可能なギヤ段の情報と車両の現在の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出し、そして、目標ギヤ段を算出することになる。
さらに、エンジンコントローラ2では、トランスミッションコントローラ3で算出された目標ギヤ段への変速指示をギヤ段指示装置4に行う。
【0017】
ギヤ段指示装置4は、指示要求に基づいて表示を行う。なお、このギヤ段指示装置4における変速指示の表示は、算出された目標ギヤ段を表示する形態や、現在ギヤ段と目標ギヤ段を比較し、アップシフトが発生した時には、上矢印等、ダウンシフトが発生した時には、下矢印等の運転者がアップシフト又はダウンシフトを視覚的に判別できるようなマークを用いた表示によりに報知する形態でも良い。
【0018】
次に、マニュアルモード時におけるエンジンコントローラ2のギヤ段指示について、図1のフローチャートに基づいて説明する。
図1に示すように、エンジンコントローラ2のプログラムがスタートすると(ステップA01)、通信を介して得られた現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップA02)、トランスミッションコントローラ3から通信を介して送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)を読み込む(ステップA03)。このトランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)は、例えば、図2に示すように、全てのギヤ段について変速の可否情報を送信する形態や、図3に示すように、変速可能なギヤ段を送信する形態でもよい。
そして、現在の運転状況を考慮し、燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)の算出を行う(ステップA04)。
また、トランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)と現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップA05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップA06)。
このステップA06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップA07)。
一方、このステップA06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップA08)。
このステップA08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップA09)、一方、このステップA08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップA10)。
前記ステップA09の処理後、又は、前記ステップA10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示をギヤ段指示装置4に行い(ステップA11)、プログラムをエンドとする(ステップA12)。
【0019】
なお、この図1のフローチャートにおいては、上記のステップA05では、変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれるギヤ段群の中に燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)のギヤ段が含まれない場合に、再度、目標ギヤ段(GP_target)を算出し直す必要が生じる。このため、ステップA05で、変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれるギヤ段群の中に燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)のギヤ段が含まれないと判断した場合には、燃費の向上に最適なギヤ段の算出のために、上記のステップA04での燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)の算出を上記のステップA05で行っても良く、そして、上記のステップA04と上記のステップA05とをループさせて繰り返すようにすることもできる。
あるいは、上記のステップA04における算出で、次点の燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)を含めて算出しておき、燃費の向上に最適なギヤ段群の算出のために、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)をランキング付のギヤ段群としておいても良い。
【0020】
即ち、この実施例1では、マニュアルモード(人為操作可能なモード)付きで、変速段指示(表示)機能を有する自動変速機を搭載した車両において、運転者が任意にギヤ段を選択可能である場面において、運転者に対して燃費が最良となるギヤ段を選択するようにギヤ段を指示する手法に、自動変速機からの変速可能なギヤ段情報と燃費の向上に最適なギヤ段とを考慮して目標ギヤ段を算出し、これにより、自動変速機の保護制御によりギヤ段が制限されている場合でも、ギヤ段指示装置4の指示に従い運転者が選択したギヤ段がキャンセルされるといった不整合の発生しないギヤ段の表示を行うことができる。
【実施例2】
【0021】
図8、図9は、この発明の実施例2を示すものである。上述した実施例1の構成に対応するものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施例2において、図9に示すように、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、最終的な目標変速段を算出する指示ギヤ段算出部5を、エンジンコントローラ2ではなく、トランスミッションコントローラ3に設けている点が主に異なる。
即ち、エンジンコントローラ2は、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とを、トランスミッションコントローラ3に送信する。
そして、このトランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
この場合、トランスミッションコントローラ3は、ギヤ段指示機能を有する。
【0022】
次に、トランスミッションコントローラ3のギヤ段指示について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8に示すように、トランスミッションコントローラ3のプログラムがスタートすると(ステップB01)、現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップB02)、エンジンコントローラ2から通信を介して送信される燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)を読み込む(ステップB03)。この燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)は、図示しないが、例えば、全てのギヤ段について最良燃費の適否情報を送信する形態や、最良燃費となるギヤ段のみを送信する形態でも良い。
そして、現在の運転状況を考慮し、変速可能なギヤ段情報(GP_info)の算出を行う(ステップB04)。
そして、変速可能なギヤ段情報(GP_info)とエンジンコントローラ2から送信される現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップB05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップB06)。
このステップB06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップB07)。
一方、このステップB06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップB08)。
このステップB08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップB09)、一方、このステップB08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップB10)。
前記ステップB09の処理後、又は、前記ステップB10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示をギヤ段指示装置4に行い(ステップB11)、プログラムをエンドとする(ステップB12)。
【実施例3】
【0023】
図10、図11は、この発明の実施例3を示すものである。上述した実施例1の構成に対応するもの、又は、上述した実施例2の構成に対応するものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施例3において、図11に示すように、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とギヤ段指示装置4とによって構成される変速制御装置1は、最終的な目標変速段を算出する指示ギヤ段算出部5を、エンジンコントローラ2及びトランスミッションコントローラ3ではなく、ギヤ段指示装置4に設けている点が主に異なる。
即ち、エンジンコントローラ2は、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。
そして、トランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。
このギヤ段指示装置4は、内部機能として設けた指示ギヤ段算出部5により前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行う。
【0024】
次に、ギヤ段指示装置4のギヤ段指示について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
図10に示すように、ギヤ段指示装置4のプログラムがスタートすると(ステップC01)、通信を介して得られた現在のギヤ段(GP_now)の読み込みが行われ(ステップC02)、エンジンコントローラ2から通信を介して送信される燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)を読み込む(ステップC03)。この現在の運転状況を考慮した燃費が最良となる最適ギヤ段(GP_bestfuel)は、図示しないが、例えば、全てのギヤ段について最良燃費の適否情報を送信する形態や、最良燃費となるギヤ段のみを送信する形態でもよい。
そして、トランスミッションコントローラ3から通信を介して送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)を読み込む(ステップC04)。このトランスミッションコントローラ3から通信を介して得られる変速可能なギヤ段情報(GP_info)は、例えば、図2に示すように、全てのギヤ段について変速の可否情報の形態や、図3に示すように、変速可能なギヤ段の形態でもよい。
また、トランスミッションコントローラ3から送信される変速可能なギヤ段情報(GP_info)と現在の運転状況を考慮した燃費最適ギヤ段(GF_bestfuel)から目標ギヤ段(GP_target)を算出する(ステップC05)。
ここでの処理は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれていれば、目標ギヤ段(GP_target)は、燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)となる。この燃費最適ギヤ段(GP_bestfuel)が変速可能なギヤ段情報(GP_info)に含まれない場合は、変速可能なギヤ段情報(GP_info)内で最適なギヤ段となるような目標ギヤ段(GP_target)を算出する。
そして、目標ギヤ段(GP_target)と現在のギヤ段(GP_now)とが一致しているか否かを判断する(ステップC06)。
このステップC06がYESの場合には、シフト指示をしない(ステップC07)。
一方、このステップC06がNOの場合には、目標ギヤ段(GP_target)が現在ギヤ段(GF_now)よりも大きいか否かを判断する(ステップC08)。
このステップB08がYESの場合には、アップシフトのギヤ段の指示を行い(ステップC09)、一方、このステップA08がNOの場合には、ダウンシフトのギヤ段の指示を行う(ステップC10)。
前記ステップC09の処理後、又は、前記ステップC10の処理後は、目標ギヤ段(GP_target)ヘの変速指示を表示する(ステップC11)、プログラムをエンドとする(ステップC12)。
【0025】
以上、この発明の実施例について説明してきたが、上述の実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
請求項1に係る発明においては、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示として、真に選択可能なギヤ段を表示することができる。
また、ギヤ段指示装置4に従って人為的に選択操作した際に、選択がキャンセルさせる動作結果となる不整合がなく、信頼性を確保できる。
請求項2に係る発明においては、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示をギヤ段指示装置4に指示する一方、最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示しない。
これにより、ギヤ段指示装置4での表示の具体化を図り、また、運転者が感覚的にギヤ段を理解でき、それに対応可能となる。更に、表示態様から指示内容を判断する必要がなく、運転者の負担を少なくできる。
請求項3に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコトローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。トランスミッションコントローラ3は、選択可能なギヤ段群の信号をエンジンコントローラ2に送信する。このエンジンコントローラ2は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
請求項4に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。エンジンコントローラ2は、燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とをトランスミッションコントローラ3に送信する。このトランスミッションコントローラ3は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示をギヤ段指示装置4に指示する。
これにより、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
請求項5に係る発明においては、自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラ3と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラ2とを備え、トランスミッションコントローラ3とエンジンコントローラ2とギヤ段指示装置4とを通信線を介して接続する。エンジンコントローラ2は、算出した燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。トランスミッションコントローラ3は、算出した選択可能なギヤ段群の信号をギヤ段指示装置4に送信する。このギヤ段指示装置4は、選択可能なギヤ段群と燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行う。
これにより、請求項3又は請求項4の効果と同様に、自動変速機の詳細な状態や、トランスミッションコントローラ3内で選択可能なギヤ段を、エンジンコントローラ2が独自判断する必要がなく、変速可能なギヤ段の情報を通信することで把握でき、表示との不整合をなくすことができる。
更に、選択可能なギヤ段群の設定によって、保護用等の細かい例外条件に対応させることができる。
【0026】
なお、この発明においては、上述のそれぞれの実施例のみに限定されるものではなく、様々な応用改変が可能である。
例えば、上述の実施例3では、エンジンコントローラ2とトランスミッションコントローラ3とが、燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群と選択可能なギヤ段群とを、個別に、ギヤ段指示装置4宛にデータ送信しているが、トランスミッションコントローラ3が選択可能なギヤ段群の信号をエンジンコントローラ2に送信し、このエンジンコントローラ2が燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群と選択可能なギヤ段群とをまとめて、ギヤ段指示装置4宛にデータ送信するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の自動変速機の変速制御装置は、各種車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 変速制御装置
2 エンジンコントローラ(ECM)
3 トランスミッションコントローラ(TCM)
4 ギヤ段指示装置(表示装置)
5 指示ギヤ段算出部
6 各種検出手段群
7 エンジン回転数検出手段
8 車速検出手段
9 スロットル開度検出手段
10 CAN信号検出手段
11 故障情報検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機と、この自動変速機の現在選択されているギヤ段を検出するギヤ段検出装置と、前記自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置と、前記自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能な表示装置とに連絡して、前記自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有する自動変速機の変速制御装置において、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項2】
前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示を前記表示装置に指示する一方、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示しないことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項3】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記トランスミッションコントローラは、前記選択可能なギヤ段群の信号を前記エンジンコントローラに送信し、前記エンジンコントローラは、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項4】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記エンジンコントローラは、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とを前記トランスミッションコントローラに送信し、前記トランスミッションコントローラは、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項5】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記エンジンコントローラは、算出した前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号を前記表示装置に送信し、前記トランスミッションコントローラは、算出した前記選択可能なギヤ段群の信号を前記表示装置に送信し、前記表示装置は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項1】
複数の固定されたギヤ比によって有段に変速可能な自動変速機と、この自動変速機の現在選択されているギヤ段を検出するギヤ段検出装置と、前記自動変速機の任意のギヤ段を人為操作に基づいて選択可能とするギヤ段選択装置と、前記自動変速機のギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことが可能な表示装置とに連絡して、前記自動変速機の状態に応じて選択可能なギヤ段群を設定する機能と、車両の運転状況を考慮して燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能とを有する自動変速機の変速制御装置において、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
【請求項2】
前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較した結果、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致しない場合は、アップシフト又はダウンシフトのシフト方向の表示を前記表示装置に指示する一方、前記最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とが一致する場合には、ギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示しないことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項3】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記トランスミッションコントローラは、前記選択可能なギヤ段群の信号を前記エンジンコントローラに送信し、前記エンジンコントローラは、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項4】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記エンジンコントローラは、前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号と前記選択可能なギヤ段群の信号とを前記トランスミッションコントローラに送信し、前記トランスミッションコントローラは、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を前記表示装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【請求項5】
前記自動変速機の状態に応じて前記選択可能なギヤ段群を設定する機能を有するトランスミッションコントローラと、車両の運転状況を考慮して前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群を算出する機能を有するエンジンコントローラとを備え、前記トランスミッションコントローラと前記エンジンコントローラと前記表示装置とを通信線を介して接続し、前記エンジンコントローラは、算出した前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群の信号を前記表示装置に送信し、前記トランスミッションコントローラは、算出した前記選択可能なギヤ段群の信号を前記表示装置に送信し、前記表示装置は、前記選択可能なギヤ段群と前記燃費の向上に最適なギヤ段若しくはギヤ段群とに基づいて最終的な目標ギヤ段を算出するとともに、この最終的な目標ギヤ段と現在ギヤ段とを比較してギヤ段の切り換えのための人為操作を促す表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−41982(P2012−41982A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183755(P2010−183755)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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