説明

自動車のための操作モジュール

本発明は自動車のための操作モジュールに関する。有利にはインストルメントパネル内に取付け可能なハウジング(12)が設けられており、該ハウジング内に可動に収容され、手動で操作可能な操作部材(14)が設けられており、該操作部材(14)が、静止位置からハウジング(12)内へ、かつ逆向きに静止位置へと可動なボタンとして形成されており、該ボタンに、ハンドル(26)が操作面として形成されており、少なくとも1つの運転スイッチ(28)が設けられており、該運転スイッチ(28)により、操作部材(14)の操作によって、自動車の運転機能が切換え可能であり、操作部材(14)が、電子式の識別子発生器(20)を挿入するためピット(18)を有しており、該識別子発生器(20)に識別データが記憶されており、識別データの問合わせにより、運転スイッチの切換えのための権限が確認可能であり、該スイッチが、権限の肯定時に、機能スタンバイ状態に切換え可能であり、操作部材(14)がハンドル(26)を有しており、該ハンドル(26)により、操作部材(14)が、識別子発生器(20)をピット内に挿入することなく操作可能であるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のための操作モジュールに関する。
【0002】
上位概念を成す操作モジュールは例えば独国特許第3436761号明細書から公知である。操作モジュールのハウジングは、インストルメントパネル内に配置された収容スリーブとして形成されている。収容スリーブには運転スイッチが配置されている。収容スリーブ内には、ローラとして形成された操作部材が回転可能に配置されている。操作部材は運転スイッチの操作のための機械的なストッパを有している。ローラはさらに識別子発生器(Identifikationsgeber)を導入するためのピットもしくは孔を有している。識別子発生器は送信器を有している。ピットの端部には送信器の信号のための受信器が設けられている。識別子発生器はローラの所定の位置でのみローラ内に導入されることができる。識別子発生器の挿入後、識別子発生器が車両の運転を許可するデータを有しているかどうかが検査される。そのようなデータを有していれば、ローラの回転時、操作される運転スイッチはそれに割り当てられた機能、例えば点火の開始、噴射ポンプの運転開始等をトリガすることができる。
【0003】
公知の操作モジュールの特徴は、ローラが直接、ピット内に挿入された識別子発生器の助けを借りて回転され、それにより運転スイッチが切り換えられる点にある。さらに、この操作モジュールは、識別子発生器がピット内に存在しているときにのみ機能を果たすことができる。
【0004】
さらに、独国特許出願公開第102004013198号明細書から公知の、自動車のための操作モジュールは、有利にはインストルメントパネル内に取付け可能なハウジングと、ハウジング内に可動に収容され、手動で操作可能な操作部材と、操作部材の操作により自動車の運転機能を切換え可能な少なくとも1つの運転スイッチとを有している。操作部材は、電子式の識別子発生器を挿入するためピットを有しており、識別子発生器には識別データが記憶されており、識別データの問合わせにより、運転スイッチの切換えのための権限は確認可能である。このスイッチは、権限の肯定時に、機能スタンバイ状態に切換え可能である。その際、操作部材はハンドルを有しており、ハンドルにより、操作部材は、識別子発生器をピット内に挿入することなく操作可能である。
【0005】
さらに、独国特許第19939733号明細書、欧州特許出願公開第1279576号明細書、欧州特許出願公開第1026054号明細書ならびに米国特許第2001/0011942号明細書も参照されたい。
【0006】
本発明の課題は、背景技術に対して改善され、特により大きな使用フレキシビリティを達成可能な操作モジュールを提供することである。
【0007】
この課題は特許請求項1の特徴部に記載した特徴により解決される。個別的にまたは互いに組み合わされて使用され得る有利な構成および変形は、従属請求項の対象である。
【0008】
本発明による操作モジュールは、識別子発生器が操作部材のピット内に挿入されているときにのみ操作権限が検査されるか、もしくは識別子発生器が読み取られるようになっているシステムのために使用されることができる。この操作モジュールはただし、識別子発生器が例えば車両操縦者により衣服または鞄内に携行され、相応の長さの到達距離のデータ通信により読み取られるようになっているシステム、例えば「PASE(Passiv Saftey Entry)システム」でも使用されることができる。この操作部材は、ピット内に挿入される識別子発生器によらずに操作されることができる。
【0009】
本発明による操作モジュールはそれにより有利には種々異なるシステムのために使用可能であり、それにより部材多様性の減少が可能である。
【0010】
本発明について以下に概略図を参照しながら例示的に、さらに詳細に説明する。
図1:操作モジュールの横断面図である。
図2:図1に示した操作モジュールの、操作部材の操作時の抜粋図である。
図3:図1に示した操作モジュールを、図1で見て右から見た図である。
図4〜図6:それぞれ異なる運転状態にある改変された実施形態の操作モジュールを示す、図2と類似の図である。
【0011】
図1〜図3によればインストルメントパネル10内にハウジング12が装入されている。ハウジング12は図1で見て右向きに開いており、左向きに底壁13で終わっている。図示の例では、図3から見て取れるように、全体として丸み付けられた角を有する三角形の形状に相当する横断面を備えたハウジング12内に、相応の横断面を備えて形成された操作部材14が挿入されている。操作部材14は、図1に示した静止位置から図2に示した位置に、ハウジング12内に押し込まれることができる。図2に示した位置で、操作部材14はやはり係止により保持され、かつこの位置から、操作部材14はさらなる押込みにより、図1に示した位置へと戻されることができる。有利には、操作部材14の底壁15とハウジング12の底壁13との間に、ばね16が配置されている。択一的には、図2に示した操作部材14の位置の係止が省略され、操作部材14が、図1に示した位置からハウジング内に押込み可能であるにすぎないようになっていてもよい。その際、操作部材14は引き続き自動的に静止位置へ復帰する。
【0012】
操作部材14内には識別子発生器20を収容するためのピット18が形成されている。
【0013】
識別子発生器20は例えば単純な軸部を有するキーの形で形成されており、電子ユニット22を有している。電子ユニット22はデータメモリ、送/受信器、エネルギ供給部等を有しており、例えば全体としてトランスポンダとして形成されている。その際、電子ユニット22のエネルギ供給ユニットへのエネルギの供給は非接触式に外部から実施されることができる。
【0014】
電子ユニット22との通信のために、送/受信ユニット24が設けられている。送/受信ユニット24は有利にはハウジング12に取り付けられている。
【0015】
図1から見て取れるように、ピットの隣に、操作部材14の右側の面が、凹部もしくは輪郭を備えて形成されている。この面は操作部材14を直接手動で操作するためのハンドル26を形成する。
【0016】
ハウジング12の底壁13と操作部材14の底壁15との間にはスイッチ28が配置されている。スイッチ28によって、識別子発生器20によりまたは直接ハンドル26の押圧により実施され得る、ハウジング12内への操作部材14の押込みにより、車両の運転機能、例えばエンジンの始動および/またはエンジンの停止が切り換えられることができる。特に冗長性の理由から複数のスイッチが設けられていてもよいことは自明である。
【0017】
説明した個々のエレメントの機能は自体公知であるので、それらの協働については簡単にのみ説明する。
【0018】
識別子発生器20がピット18内に挿入されるか、または操作ユニット14が確認されると、電子ユニット22内に記憶されたデータが送/受信ユニット24により読み取られ、電子式の検査ユニット(図示せず)内で、データが車両の運転のための権限データを含むかどうかが検査される。権限テータを含む場合、例えばスイッチ28を含む電流回路が有効に切り換えられるか、またはスイッチ28自体に電圧が印加される。そこで操作部材14が識別子発生器20の助けを借りて、または直接ハンドル26でハウジング12内に押し込まれると、スイッチ28が操作される。それにより、例えば車両のエンジンが始動される。操作部材14はこうしてエンジンもしくは自動車を運転するためのスタート/ストップスイッチを形成する。操作部材がエンジンの動作中に再度押圧されると、エンジンは停止される。
【0019】
送/受信ユニット24の到達距離の相応の設計時、このユニットはこの事例では直接ハウジングまたは操作部材14に取り付けられている必要はなく、識別子発生器20のデータは、識別子発生器20がピット18内に存在するのではなく、例えば車両の操縦者の上着ポケット内にあるときに読み取られてもよい。この事例では、スイッチ28は、識別子発生器20が操作部材14内に挿入される必要なしに、権限の肯定時にアクティブに切り換えられる。エンジンの始動はそうすると、識別子発生器20の検査の肯定後、全体としてボタン(Taster)として形成された操作部材14の押圧により可能である。
【0020】
それにより、前記操作モジュールは同じ構造の部材でもって、識別子発生器の挿入を必要とするシステムのためにも、「PASEシステム」でも使用されることができる。識別子発生器20が自体公知の形式で車両へのエントリのために使用されてもよいことは自明である。
【0021】
前記装置は多様な形式で改変されることができる。例えば異なる深さの挿入位置が操作部材のために設けられていることができる。異なる深さの挿入位置は、車両の運転機能を切り換えるそれぞれ異なるスイッチに対応配置されている。操作部材14は必ずしもボタンとして形成されていなくてもよい。操作部材14の横断面は円形であってもよい。その結果、回動により種々異なるスイッチが操作される。この事例では、操作部材は有利には、ハウジングから突出したハンドルを有している。電子ユニット22と送/受信ユニット24との間のデータ通信は種々異なる周波数領域で、例えば赤外線により実施されることができる。
【0022】
図4〜図6を参照しながら、操作モジュールの、改変された実施形態について説明する。この実施形態は、図1〜図3に示した先行の実施形態とは、操作部材14が2部分から形成されており、くぼみとして形成されたハンドル26が、操作部材14内でリニアに可動に案内された切換え部材30に属している点で区別される。スイッチ28(図1)は、切換え部材30の単独の押圧によっても、操作部材14の全体の押圧によっても操作されることができる。
【0023】
図5には、ハンドルが押圧されたもしくは切換え部材30が操作された、操作モジュールの状態が示されている。
【0024】
図6には、切換え部材が全体的に操作されている、例えば図6には示されていない識別子発生器をスリット18内に、切換え部材30を操作する操作部材を連行するようになるまで押し込むことにより操作されている、操作モジュールの状態が示されている。
【0025】
本発明は等しく、識別子発生器が操作部材のピット内に挿入されねばならないシステムのためにも、しばしばピット挿入なしに済まされる「PASEシステム」のためにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】操作モジュールの横断面図である。
【図2】図1に示した操作モジュールの、操作部材の操作時の抜粋図である。
【図3】図1に示した操作モジュールを、図1で見て右から見た図である。
【図4】第1の運転状態にある改変された実施形態の操作モジュールを示す、図2と類似の図である。
【図5】第2の運転状態にある改変された実施形態の操作モジュールを示す、図2と類似の図である。
【図6】第3の運転状態にある改変された実施形態の操作モジュールを示す、図2と類似の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための操作モジュールにおいて、
−有利にはインストルメントパネル内に取付け可能なハウジング(12)が設けられており、
−該ハウジング内に可動に収容され、手動で操作可能な操作部材(14)が設けられており、該操作部材(14)が、静止位置からハウジング(12)内へ、かつ逆向きに静止位置へと可動なボタンとして形成されており、該ボタンに、ハンドル(26)が操作面として形成されており、
−少なくとも1つの運転スイッチ(28)が設けられており、該運転スイッチ(28)により、操作部材(14)の操作によって、自動車の運転機能が切換え可能であり、
−操作部材(14)が、電子式の識別子発生器(20)を挿入するためピット(18)を有しており、該識別子発生器(20)に識別データが記憶されており、識別データの問合わせにより、運転スイッチの切換えのための権限が確認可能であり、該スイッチが、権限の肯定時に、機能スタンバイ状態に切換え可能であり、
−操作部材(14)がハンドル(26)を有しており、該ハンドル(26)により、操作部材(14)が、識別子発生器(20)をピット内に挿入することなく操作可能である、
ことを特徴とする、自動車のための操作モジュール。
【請求項2】
運転スイッチ(28)の、機能スタインバイ状態への切換えが、識別子発生器(20)がピット(18)外に存在している際の、識別データの問合わせにより実施される、請求項1記載の操作モジュール。
【請求項3】
操作モジュールが、識別子発生器(20)がピット(18)内に挿入されている際の、識別データの問合わせのための、電子式の通信ユニット(24)を有している、請求項1または2記載の操作モジュール。
【請求項4】
操作部材(14)が、ハンドル(26)を備えて形成された切換え部材(30)を有しており、該切換え部材(30)が、操作部材に対して相対的に、スイッチを切換えるために可動である、請求項1から3までのいずれか1項記載の操作モジュール。
【請求項5】
操作部材(14)に対して相対的な切換え部材(30)の運動によりかつ操作部材全体の運動により、同じスイッチが切換え可能である、請求項4記載の操作モジュール。
【請求項6】
操作部材(14)に対して相対的な切換え部材(30)の運動によりかつ操作部材全体の運動により、異なるスイッチが切換え可能である、請求項4記載の操作モジュール。
【請求項7】
運転スイッチ(28)がエンジンのスタート/ストップスイッチである、請求項1から6までのいずれか1項記載の操作モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537078(P2007−537078A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506790(P2007−506790)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051602
【国際公開番号】WO2005/100107
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】