説明

自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンション

【課題】自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンションを改良して、コンパクトで省スペースな構造形式を実現する。
【解決手段】三角アーム6が、走行方向に関して垂直のホイール中心横平面の後方で、かつ水平のホイール中心平面の下方で、ホイール支持体9の支承部10に枢支されていて、かつダンパーストラット7ならびにダンパーストラットから間隔を有して設けられた空気ばねまたはコイルばね8を支持して収容しており、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面の前方で、タイロッドとして形成された個別アーム3が、上位のアーム平面上に配置されており、垂直のホイール中心横平面の両側に、個別アーム4,5がそれぞれ配置されており、これらの個別アームは、ホイール支持体から車体に向かって異なる角度でそれぞれ設置されていて、上位のアーム平面を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンションであって、ホイール支持体が設けられており、ホイール支持体は、ホイール支持体側および車体側で保持された4つのアームを介してガイドされており、下位のアーム平面上に個別アームとして三角アームが配置されており、上位のアーム平面上に個別に設けられたアームとして3つの個別アームが配置されており、アームに関する極形成によって、ホイールは、力の作用下で、弾性動力学式にトーインもしくはトーアウトに調節できるようになっているホイールサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10005407号明細書からホイールサスペンションが公知であり、このホイールサスペンションも同様に下位の三角アームと上位のタイロッドと2つの個別アームとを備えている。このようなホイールサスペンションは、個別アームの側方に位置する三角アームに基づいて、車両の制限された構成スペースにおいて比較的大きな所要スペースを有している。また三角アームの位置によって、個別アームの比較的強い支承が必要であり、またタイロッドとの交差が必要である。このような構成によって、ホイール支持体に傾倒力が生じる場合に、弾性支承部に変形の生じる恐れがあり、これによって制動力、横力および駆動力の作用下で、ホイール調節に影響が及ぼされる恐れがある。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10005407号明細書から、特に車両のリヤホイールのためのホイールサスペンションが公知であり、このホイールサスペンションもまた、上位の平面上に3つの個別アームを備えていて、かつ下位の平面上に三角アームを備えており、三角アームにダンパーストラット(Daempferbein)もしくはスプリングストラット(Federbein)が支持されている。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10005407号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の課題は、自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンションを改良して、車両のホイールサスペンションユニットのコンパクトで省スペースな構造形式を実現することである。さらに望ましくは、ホイール支持体側および車体側の枢支点を有するアームの最適な位置決めが達成され、ホイールに作用する力、たとえば制動力、横力および駆動力が生じる場合に走行特性にマイナス影響が及ぼされないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明によれば、三角アームは、走行方向に関して垂直のホイール中心横平面の後方で、かつ水平のホイール中心平面の下方で、ホイール支持体の支承部に枢支されていて、かつダンパーストラットならびにダンパーストラットから間隔を有して設けられた空気ばねまたはコイルばねを支持して収容しており、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面の前方で、タイロッドとして形成された個別アームが、上位のアーム平面上に配置されており、垂直のホイール中心横平面の両側に、個別アームがそれぞれ配置されており、これらの個別アームは、ホイール支持体から車体に向かって異なる角度でそれぞれ設置されていて、上位のアーム平面を形成している。
【0005】
本発明の1形態では、タイロッドは、ホイール支持体に枢支点を有しており、枢支点は、水平のホイール中心平面の上方に位置しており、ホイール支持体における両個別アームの枢支点は、ホイール支持体におけるタイロッドの枢支点の上方に位置している。
【0006】
本発明の1形態では、両個別アームの車体側の支承点は、車体側で、車両縦方向で延びる旋回軸線を形成しており、旋回軸線は、適宜、走行方向にみて垂直のホイール中心縦平面と、個別アームの枢支点を通るホイール支持体側の旋回軸線とに対して鋭角を成して方向付けされている。
【0007】
本発明の1形態では、タイロッドと、走行方向に関して垂直のホイール中心横平面の前方に位置する個別アームとは、異なる高さで互いにほぼ平行に配置されていて、かつほぼ同じ長さを有していて、かつほぼ平行な鉛直平面上に位置する、車体側の枢支点ならびにホイール支持体側の枢支点を有している。
【0008】
本発明の1形態では、上位のアーム平面の、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面の後方に位置する個別アームは、垂直のホイール中心横平面に対して約45°の角度を成して配置されていて、かつ個別アームの下方で延び、かつ高さに関して間隔を有して位置するスタビライザアームに重畳するように延びている。
【0009】
本発明の1形態では、両個別アームは、弾性動力学的な旋回軸線に関する第1の上位の極を形成しており、第1の上位の極は、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面の前方でホイールのトレッド幅の外側に位置している。
【0010】
本発明の1形態では、三角アームとタイロッドとは、弾性動力学的な旋回軸線に関する第2の下位の極を形成しており、旋回軸線は、極で、ホイール中心横平面に関して、ホイール設置平面上でトレッド幅の外側に位置する。
【0011】
本発明の1形態では、タイロッドの、車体側の支承部および三角アームの、走行方向にみて前方の車体側の支承部は、個別アームの車体側の支承部および三角アームの別の支承部よりも軟性の性質を有している。
【0012】
本発明の1形態では、ホイールサスペンションのアームは、互いに、極によって形成された軸線が生じるように、設置され、かつ支承特性を有しており、ホイールは、制動力、荷重変動力の作用下で、ならびに横力が生じる場合に、弾性動力学的にトーイン方向に調節できるようになっており、ホイールは、ホイール荷重および駆動力の作用下で、弾性動力学的にトーアウト方向に調節できるようになっている。
【0013】
本発明の1形態では、横力が生じる場合にトーイン方向でホイールを弾性動力学的に調節するための、ホイール接地平面上に位置する極は、理論上の旋回軸線によって形成されており、旋回軸線は、三角アームのホイール支持体側の支承部と、前方の個別アームおよび後方の個別アームによって形成された上位の極とを通って延びている。
【0014】
本発明の1形態では、制動力が生じる場合にホイールを調節するための、ホイー接地平面上に位置する別の極が形成されており、荷重変動力が生じる場合にホイールを調節するための、旋回軸線上に位置する極が形成されており、これらの極は、垂直のホイール中心横平面の前方でトレッド幅の外側に位置している。
【0015】
本発明の1形態では、前方に位置する個別アームは、凹みを備えており、凹みは、丸み部から成っており、丸み部は、車体側の支承点から、ホイール支持体側で枢支点に支承された真っ直ぐに延びるアーム部分まで延びている。
【0016】
本発明の1形態では、空気ばねまたは鋼コイルばねを収容するための三角アームは、ばねの下位端部のための収容部を有している。
【0017】
本発明の1形態では、スタビライザの懸垂部材が、ねじによって三角アームに保持されており、ねじは、同時にダンパーストラットのための支承ねじとして形成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有利な構成により、省スペースな配置構造であってもホイールに及ぼされる力の作用下において、所望とするホイールガイドを有するホイールサスペンションが提供される。
【0019】
最適なホイールガイドのために、トーインおよび/またはトーアウト方向のホイール調節に多大な作用を及ぼす所望の極形成ひいては相応な理論上の弾性動力学的な軸線を形成する、下位のアーム平面および上位のアーム平面にホイールガイドアームを配置したことが有用である。
【0020】
最適なホイールガイドを達成するために、タイロッドは、ホイール支持体に枢支点を有しており、枢支点は、水平のホイール中央横平面の上方に位置しており、この場合ホイール支持体における両個別アームの枢支点は、ホイール支持体におけるタイロッドの枢支点の上方に位置している。両個別アームの車体側の支承点は、車両縦方向で延びる車体側の旋回軸線を形成しており、旋回軸線は、走行方向にみて垂直のホイール中央縦平面と、ホイール支持体側の個別アームの支承部を通る旋回軸線とに対して鋭角を成して方向付けされている。特にタイロッドと、走行方向に関して垂直のホイール中央横平面の前方に位置する個別アームとは、異なる高さでほぼ平行に位置するように配置されていて、かつほぼ同じ長さを有しており、車体側ならびにホイール支持体側の枢支点は、概ね平行の鉛直平面上に位置する。
【0021】
両個別アームは、弾性動力学的な旋回軸線のための第1の上位の極を有しており、第1の上位の極は、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面の前方でホイールのトレッド幅の外側に位置している。三角アームおよびタイロッドは、ホイール接地平面上でトレッド幅の外側に位置する、弾性動力学的な旋回軸線のための第2の下位の極を形成している。力の作用下で所望の形式でホイール調節を変化させるために、タイロッドの車体側の支承部および三角アームの、走行方向にみて前方の車体側の支承部は、個別アームの車体側の支承部および三角アームの別の支承部よりも軟性の性質を有している。
【0022】
ホイールサスペンションのアームは、このような構成で相対的に設置されていて、かつ適当な支承特性を有しているので、形成された極によって、理論上のもしくは弾性動力学的な旋回軸線が形成され、つまり、ホイールが制動力および荷重変動力の作用下で弾性動力学的にトーイン方向に調節可能であり、かつホイールがホイール荷重および駆動力の作用下で弾性動力学的にトーアウト方向で調節可能であるように形成されている。制動力が生じる場合にホイールを調節するための、ホイール接地平面上に位置する極と、荷重変動力が生じる場合にホイールを調節するための極とは、トレッド幅の外側に位置していて、かつ走行方向に関して垂直のホイール中心平面の前方に位置している。
【0023】
さらに横力が生じる場合にトーイン方向でホイールを弾性動力学的に調節するための、ホイール接地平面上に位置する極は、理論上の旋回軸線によって形成されており、この旋回軸線は、三角アームのホイール支持体側の支承部と、前後に位置する個別アームによって形成される上位の極とを通って延びている。
【0024】
上下のアーム平面上にそれぞれ位置するアームの配置構造によって、ホイール旋回軸線を形成することができ、ひいてはトーイン方向およびトーアウト方向でホイールを所望の形式で調節する適当な極を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明の実施の形態を図示し、詳しく説明する。
【0026】
自動車のリヤホイール2のためのホイールサスペンション1は、上位のアーム平面L1に、個々に分けられた個別アーム3,4,5を備えており、そのうちの個別アーム3はタイロッドを成している。下位のアーム平面L2は、三角アーム6によって形成されており、三角アーム6は、ダンパーストラット7と、ダンパーストラット7とは別個の空気ばねまたはコイルばね8とを支持する。
【0027】
下位のアーム平面L2上で、三角アーム6は、ホイール支持体9に枢支されていて、それも、走行方向Fに関して垂直のホイール中心横平面x−xの後方で、かつ水平のホイール中心平面z−zの下方でホイール支持体側の支承部10に枢支されている。三角アーム6は、個別アーム3,4,5の直ぐ下に配置されており、車体側の支承部11,12は、外側に位置するタイロッド3と外側に位置する個別アーム5との内側に位置するか、もしくはタイロッド3と個別アーム5とによって空間的に制限されている。
【0028】
走行方向Fでみて、垂直のホイール中心横平面x−xの前方に、タイロッド3および第1の個別アーム4が配置されており、ホイール支持体9に設けられた支承部の枢支点15,16に支持されていて、かつ車体側で支承部13,17に枢支されている。上位のアーム平面L1の別の個別アーム5は、走行方向Fに関して垂直のホイール中心横平面x−xの後方に配置されていて、ホイール支持体9に設けられた支承部18に保持されていて、かつ車体側において支承点14で保持されている。
【0029】
タイロッド3は枢支点13,15で、高さに関して個別アーム4,5の幾分か下方に配置されており、高さ方向でみて(図2)、後方の個別アーム5は、タイロッド3と中位の個別アーム4との間に設けられており、かつ枢支点18,14ならびに枢支点16,17もこれに応じて配置されている。両個別アーム5,4の車体側の支承点14,17は、縦方向で延びる車体側の旋回軸線S(図1)を形成しており、旋回軸線Sは、垂直のホイール中心縦平面y−yに対して鋭角を成して方向付けされている。
【0030】
ホイールサスペンション1のアーム3,4,5,6は、このように設置されていて、かつ互いに調和されたアーム特性を有しているので、極(Pol)Pを形成することができ、極Pによって、ホイール調節に関する理論的で弾性力学的(elastokinematisch)な軸線が得られる。これによってホイール2は、制動力Bおよび荷重変動力Lの作用下で、ならびに横力Sが生じる場合に弾性動力学的にトーイン方向に調節することができ、ホイールは、ホイール荷重および駆動力の作用下で動力学的にトーアウト方向に調節可能である。
【0031】
両個別アーム4,5(図5)は、上位の極Poを形成し、三角アーム6はタイロッド3と下位の極Puを形成する。極Poと極Puとの間に、ホイール接地平面上に極Pbを有する、弾性動力学的な旋回軸線S1が形成されるので、制動力Bおよび荷重変動力Lの作用下で、トーイン方向に向かうホイールの調節が行われ、それも制動力Bでは極Pbを中心に、荷重変動力Lでは極Plを中心に行われる。この極は、水平のホイール中心平面z−zを通る弾性動力学的な旋回軸線の通過点である。この極は、トレッド幅の外側に位置していて、走行方向Fにみて垂直のホイール中心横平面x−xの前方に位置する。
【0032】
横力Sが生じる場合にトーイン方向でホイール2を弾性動力学的に調節するための、ホイール接地平面上に位置する極Psは、理論上の旋回軸線lsによって形成される。旋回軸線lsは、個別アーム4,5によって形成された上位の極Poを通って延びている。別の極Puは、三角アーム6のホイール支持体側の支承部10によって形成される。垂直のホイール中心横平面x−xとホイール接地平面上の極Psとの間に生じるレバーアームhに基づいて、横力Sが生じる場合のホイールの弾性動力学的な調節は、トーイン方向で行われる。
【0033】
後位のアーム5は、スタビライザ22のスタビライザアーム20の上方に配置されていて、スタビライザアーム20と同等に延伸しており、これによって所要スペースが僅かになる。スタビライザ22の懸垂部材21は、ねじ23によって三角アーム6と結合されている。ねじ23は、同時にダンパーストラット7を三角アーム6に固定する。
【0034】
個別アーム4は、湾曲した凹み24を備えており、凹み24は、丸み部から形成されていて、アーム4の部分長さにわたって延びている。丸み部は、車体の、連続して延びるサイドメンバに自由空間を提供する。
【0035】
空気ばねまたは鋼コイルばね8は、開口25の内側で三角アーム6に支持されていて、保持されている。
【0036】
タイロッド3ならびに個別アーム5は、同じ長さを有していて、したがっていわゆる同一品として形成することができる。個別アーム4に設けられた凹み24が不要な場合、3つの全ての個別アーム3,4,5は、同一品として形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】上位のアーム平面上に配置された個別アームと下位のアーム平面上に配置された三角アームとを備えたホイールサスペンションを上からみて示す図である。
【図2】ホイールサスペンションを走行方向で後ろ側からみて示す図である。
【図3】ホイールサスペンションを走行方向とは逆向きに前からみて示す図である。
【図4】ホイールサスペンションを斜め後ろからみて示す斜視図である。
【図5】制動力および荷重変動力に関する弾性動力学的な旋回軸線と共にホイールサスペンションを示す概略図である。
【図6】横力に関する弾性動力学的な旋回軸線と共にホイールサスペンションを示す概略図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ホイールサスペンション、 2 リヤホイール、 3,4,5 個別アーム、 6 三角アーム、 7 ダンパーストラット、 8 空気ばねまたはコイルばね、 9 ホイール支持体、 10,11,12,13 支承部、 14,15,16 枢支点、 17,18 支承部、 20 スタビライザアーム、 21 懸垂部材、 22 スタビライザ、 23 ねじ、 24 凹み、 25 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンションであって、
ホイール支持体が設けられており、該ホイール支持体は、ホイール支持体側および車体側で保持された4つのアームを介してガイドされており、下位のアーム平面上に個別アームとして三角アームが配置されており、上位のアーム平面上に個別に設けられたアームとして3つの個別アームが配置されており、アームに関する極形成によって、ホイールは、力の作用下で、弾性動力学式にトーインもしくはトーアウトに調節できるようになっているホイールサスペンションにおいて、
前記三角アーム(6)は、走行方向(F)に関して垂直のホイール中心横平面(x−x)の後方で、かつ水平のホイール中心平面(z−z)の下方で、前記ホイール支持体(9)の支承部(10)に枢支されていて、かつダンパーストラット(7)ならびに該ダンパーストラット(7)から間隔を有して設けられた空気ばねまたはコイルばね(8)を支持して収容しており、
走行方向(F)にみて垂直のホイール中心横平面(x−x)の前方で、タイロッドとして形成された個別アーム(3)が、上位のアーム平面(L1)上に配置されており、
垂直のホイール中心横平面(x−x)の両側に、個別アーム(4,5)がそれぞれ配置されており、これらの個別アーム(4,5)は、前記ホイール支持体(9)から車体に向かって異なる角度でそれぞれ設置されていて、前記上位のアーム平面を形成していることを特徴とする、自動車のリヤホイールのためのホイールサスペンション。
【請求項2】
前記タイロッド(3)は、前記ホイール支持体(9)に枢支点(15)を有しており、該枢支点(15)は、水平のホイール中心平面(z−z)の上方に位置しており、前記ホイール支持体(9)における前記両個別アーム(4,5)の枢支点(16,18)は、前記ホイール支持体(9)における前記タイロッド(3)の枢支点(15)の上方に位置している、請求項1記載のホイールサスペンション。
【請求項3】
前記両個別アーム(4,5)の車体側の支承点(17,14)は、車体側で、車両縦方向で延びる旋回軸線(S)を形成しており、該旋回軸線(S)は、適宜、走行方向(F)でみて垂直のホイール中心縦平面(y−y)と、前記個別アーム(4,5)の枢支点(16,18)を通るホイール支持体側の旋回軸線(S2)とに対して鋭角を成して方向付けされている、請求項1または2記載のホイールサスペンション。
【請求項4】
前記タイロッド(3)と、走行方向(F)に関して垂直のホイール中心横平面(x−x)の前方に位置する前記個別アーム(4)とは、異なる高さで互いにほぼ平行に配置されていて、かつほぼ同じ長さを有していて、かつほぼ互いに平行な鉛直平面上に位置する車体側の枢支点(17,13)ならびにホイール支持体側の枢支点(16,15)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項5】
上位のアーム平面(L1)の、走行方向(F)にみて垂直のホイール中心横平面(x−x)の後方に位置する前記個別アーム(5)は、垂直のホイール中心横平面(x−x)に対して約45°の角度を成して配置されていて、かつ前記個別アーム(5)の下方で延び、かつ高さ方向に関して間隔を有して位置するスタビライザアーム(20)に重畳するように延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項6】
前記両個別アーム(4,5)は、弾性動力学的な旋回軸線(S1)に関する第1の上位の極(Po)を形成しており、該第1の上位の極(Po)は、走行方向にみて垂直のホイール中心横平面(x−x)の前方で前記ホイール(2)のトレッド幅の外側に位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項7】
前記三角アーム(6)と前記タイロッド(3)とは、弾性動力学的な旋回軸線(S1)に関する第2の下位の極(Pu)を形成しており、該旋回軸線(S1)は、極(Pb)で、ホイール中心横平面(x−x)に関連して、ホイール設置平面上でトレッド幅の外側に位置する、請求項1から6までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項8】
前記タイロッド(3)の、車体側の支承部(枢支点13)、および前記三角アーム(6)の、走行方向(F)にみて前方の車体側の支承部(11)は、前記個別アーム(4,5)の車体側の支承部(17,14)および前記三角アーム(6)の別の支承部(12)よりも軟性の性質を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項9】
前記ホイールサスペンション(1)のアーム(3,4,5,6)は、互いに、極(P)によって形成された軸線(S1,S2)が生じるように、設置されかつ支承特性を有しており、前記ホイール(2)は、制動力(B)、荷重変動力(L)の作用下で、ならびに横力(S)が生じる場合に、弾性動力学的にトーイン方向に調節できるようになっており、前記ホイール(2)は、ホイール荷重および駆動力の作用下で、弾性動力学的にトーアウト方向に調節できるようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項10】
横力(S)が生じる場合にトーイン方向で前記ホイール(2)を弾性動力学的に調節するための、ホイール接地平面上に位置する極(Ps)は、理論上の旋回軸線(ls)によって形成されており、該旋回軸線(ls)は、前記三角アーム(6)のホイール支持体側の支承部(10)と、前方の前記個別アーム(4)および後方の前記個別アーム(5)によって形成された上位の極(Po)とを通って延びている、請求項1から9までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項11】
制動力(B)が生じる場合にホイールを調節するための、ホイール接地平面上に位置する別の極(Pb)が形成されており、荷重変動力(L)が生じる場合にホイール(2)を調節するための、旋回軸線(S1)上に位置する極(Pl)が形成されており、これらの極(PlおよびPb)は、垂直のホイール中心横平面(x−x)の前方でトレッド幅の外側に位置している、請求項1から10までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項12】
前方に位置する前記個別アーム(4)は、凹み(24)を備えており、該凹み(24)は、丸み部から成っており、該丸み部は、車体側の支承点(17)から、ホイール支持体側で枢支点(16)に支承された真っ直ぐに延びるアーム部分まで延びている、請求項1から11までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項13】
空気ばねまたは鋼コイルばね(8)を収容するための前記三角アーム(6)は、前記ばね(8)の下位端部のための収容部を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項14】
スタビライザ(22)の懸垂部材(21)が、ねじ(23)によって前記三角アーム(6)に保持されており、該ねじ(23)は、同時に前記ダンパーストラット(7)のための支承ねじとして形成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−149296(P2009−149296A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324250(P2008−324250)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】