説明

自動車の制御のためのタッチセンス表面作動装置

【課題】受動制御セーフティの改善を可能にする開閉要素を開または閉にするための電動機構のタッチセンス表面作動装置を提供する。
【解決手段】パワーウインドウなどの開閉要素の開および閉に用いられる電動機構のためのタッチセンサ表面作動装置(1)であって、少なくとも1つの開閉要素の開または閉を制御するためのタッチセンス表面(3)を有し、かつタッチセンス表面に加えられる荷重を検出するための手段(9)と、加えられた荷重が所定の許容範囲外の場合に、開または閉にする制御を無効にする手段(11)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーウインドウ、パワーサンルーフ、電動式開閉補助トランク、電動式テールゲート、または電動式スライドドアなどの少なくとも1つの開閉要素を開または閉にするための電動機構のタッチセンス表面作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような構成要素の制御には、スイッチの形態、または4方向に作動可能なレバーの形態(「ジョイスティック」とも呼ばれる)の操作装置が有用である。
【0003】
近年、このような制御のためにタッチセンス表面を用いて、ドライバーの指の単純な圧力を検出し、検出した圧力のX、Y位置またはタッチセンス表面に対するこの圧力の変化によって、自動車の構成要素の特定の動作または命令を開始することが提案されている。例えば、フランス国特許第2,798,329号、同第2,800,885号、および米国特許第6,157,372号を参照されたい。このようなタッチセンス表面は、あらゆるタイプとすることができ、様々な技術を用いることができる。
【0004】
このようなタッチセンス表面の利用により、明らかにユーザーフレンドリーな方向に向かい、制御装置が大幅に小型化されるが、偶発的な制御エラーのリスクが増大してしまう。
【0005】
したがって、パワーウインドウ、パワーサンルーフ、電動式開閉補助トランク、または電動式テールゲートなどの電動式開閉要素では、特に開閉要素を閉じる際に、安全面に注意を払わなければならない。
【0006】
この問題は、「挟まれ防止」としてより広く知られており、開閉要素が閉じる際に、特に閉じる経路にあるユーザーの手足が危険であり、手足が挟まれるリスクがある。
【0007】
従来、物体が開閉要素の閉じる経路に存在することを検出するための多くの解決策が提案されてきた。
【0008】
通常は、このような解決策では、例えば、開閉要素が閉じるのを妨げる物体による閉じる際の抵抗を検出し、駆動モータが、物体または身体をさらに傷つけないように停止する。したがって、この解決策は、複雑で高コストの機械装置および電子装置による問題の直接的な対処である。
【0009】
本出願者は、開閉要素の制御の予防的管理により、特に、パッシブセーフティ(受動的安全性)のための上記したタッチセンス表面を大幅に改善できることを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、受動制御セーフティの向上を可能にする開閉要素を開または閉にするための電動機構のタッチセンス表面の新しい解決策を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の目的は、開閉要素を開および/または閉にするための電動機構のタッチセンス表面作動装置を提供することにある。このタッチセンス表面作動装置は、少なくとも1つの開閉要素の開または閉を制御するためのタッチセンス表面を備えており、このタッチセンス表面に加えられる荷重を検出するための手段と、加えられた荷重が所定の許容範囲外の場合に、開または閉にする制御を無効にするための手段を有する。
【0012】
他の利点および特徴は、添付の図面を参照して本発明の以下の説明を読めば、明らかになると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、自動車のパワーウインドウ、パワーサンルーフ、または他の電動式トランク/テールゲート/スライドドアなどの開閉要素を開および/または閉にするための電動機構(不図示)のタッチセンス表面作動装置1を模式的に示している。
【0014】
この装置は、少なくとも1つの開閉要素を開および/または閉にするためのタッチセンス制御表面3を含む。このタッチセンス制御表面3には、具体的にはユーザーの指を押下、すなわち、センサのタッチセンス表面を押圧して、ユーザーがアクセスすることができる。アクセスの初めの目的は、XまたはY座標(基準座標系で表している、方向Zは、2つの方向XおよびYに対して垂直)におけるタッチの位置を求めることである。
【0015】
タッチセンス表面は、無限に列挙することができるが、例えば、抵抗のマトリックスを備えるタッチセンスセンサ、マトリックスを用いた容量性センサ、または1または複数の個々の接点が「タッチセンス」層に対する圧力によって作動し、この状態の変化を制御に用いるべく弾性材料の層の下側に配置された個々の接点のマトリックス/シリーズとすることができる。
【0016】
タッチセンス表面3に、ピクトグラムが、矢印の形態で表されている。矢印5は、ウインドウを閉じることができるゾーンを示し、矢印7は、ウインドウを開けるためのゾーンを示している。
【0017】
本発明の第1の実施形態を示す図2のブロック図を参照すると、装置1は、タッチセンス制御表面に加えられる荷重を検出するための荷重検出装置9、および加えられた荷重が所定の許容範囲外の場合に、開または閉にする制御を無効にするための無効ユニット11を有する。
【0018】
タッチセンスセンサは、XまたはY座標を求めるためのユーザーのタッチだけでなく、タッチセンス表面に加えられる荷重に比例したパラメータも検出するように選択するのが好ましい。この場合、タッチセンスセンサは、加えられた荷重に比例する出力信号13を生成する。この出力信号は、比較ユニット21の入力に送られ、この信号が、メモリ23にストアされた加えられる荷重値と比較される。比較ユニット21からの出力信号は、タッチセンス表面に加えられた荷重が許容範囲内であるか否かを示す、例えば2進情報などの情報のアイテムに一致している。
【0019】
図2に示すように、タッチセンスセンサは、ユーザーがタッチした位置を求めるためにセンサの表面のXまたはY座標を求めることができる信号に一致する2つの出力信号15および17を生成する。処理ユニット19で、受け取ったXおよびY座標に基づいて、開閉要素を開くまたは閉じる適切な命令が生成される。
【0020】
処理ユニット19の出力および比較ユニット21の出力は、それぞれ、無効ユニット11の対応する入力に送られる。
【0021】
無効ユニット11が、加えられた荷重が許容範囲外を示す信号を比較ユニット21から受け取ると、制御信号を無効とし、開閉要素が作動しない。
【0022】
他方、加えられた荷重が許容範囲内の場合は、制御信号が、無効ユニット11を通過して、開閉要素が要求に従って作動する。
【0023】
したがって、例えば、作動装置が組み込まれたドアに、子供が足で立っている状態などのあらゆる誤った制御信号が伝達されないため、パッシブセーフティが相当に向上し、不所望の制御が防止される。
【0024】
許容範囲の下限は、0gとすることができるが、タッチセンス表面のブラシがけなどによる誤制御を防止するべく、約30gの荷重に相当する下限にするのが好ましい。
【0025】
許容範囲の上限は、約3kgの荷重に相当する上限にするのが好ましい。したがって、大きな偶発的な圧力によって、開閉要素が誤作動しない。
【0026】
当然、タッチセンス表面を押圧する荷重を反映するパラメータは、圧力、撓み(沈下とも呼ぶ)、または任意の他の等価のパラメータとすることができる。
【0027】
図3に示す第2の実施形態によると、タッチセンス表面は、加えられる荷重によってタッチセンス表面が所定の動きをするように取り付けられている。したがって、タッチセンス表面3は、そのZ方向の移動(図3の矢印を参照)、所定の回動、または所定の変形/撓みが可能となるように、ある程度動くように取り付けられている。これらの所定の動きは、それぞれ、タッチセンス表面の垂線に対して平行な移動、タッチセンス表面の回動、またはタッチセンス表面の撓みとすることができる。
【0028】
加えられた荷重を検出するための装置は、タッチセンス表面3の下側に配置された、好ましくはゴムから形成されたコイルバネまたは弾性ストッパーであることが好ましいバネである弾性部材30と、許容範囲の上限を超える荷重が加えられた場合に、タッチセンス表面によって弾性部材30が変形し、これにより作動して、開閉要素を開または閉にする制御を無効にするスイッチ32を備えている。
【0029】
スイッチが作動すると、制御信号は無効になり、タッチセンスの表面に荷重が加えられても、開閉要素は動かない。
【0030】
好適な実施形態では、スイッチが弾性部材30を形成しており、このスイッチの弾性抵抗によって、スイッチが作動する。したがって、スイッチが作動するのに必要な荷重は、弾性部材をスイッチ自体によって形成して設計できることを理解できると思う。
【0031】
この場合、スイッチは、許容範囲の上限を超える荷重が加えられた場合にのみ、作動するように設計されている。この実施形態では、スイッチを、弾性接触器ブレードスイッチとするのが有利である。
【0032】
当然、スイッチが、閉または開にする制御を無効にするためには、このスイッチの状態が、オフからオンまたはその逆に変化すれば十分である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるタッチセンス表面の第1の実施形態のタッチセンス表面作動装置の線図である。
【図2】図1の装置のブロック図である。
【図3】本発明のよる作動装置タッチセンス表面部分の別の実施形態の線図である。
【符号の説明】
【0034】
1 タッチセンス表面作動装置
3 タッチセンス表面
5 閉じる矢印
7 開ける矢印
9 荷重検出装置
11 無効ユニット
13、15、17 出力信号
19 処理ユニット
21 比較ユニット
23 メモリ
30 弾性部材
32 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉要素を開または閉にするための電動機構のタッチセンス表面作動装置であって、
少なくとも1つの開閉要素の開または閉を制御するためのタッチセンス表面3を備え、
このタッチセンス表面3に加えられる荷重を検出するための手段9、30と、
加えられた荷重が所定の許容範囲外の場合に、開または閉にする制御を無効にする手段11、32を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
許容範囲の下限が、約30gの荷重に相当していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
許容範囲の上限が、約3kgの荷重に相当していることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
加えられる荷重を検出するための手段は、タッチセンス表面に加えられる荷重のパラメータ、特に圧力または重量を測定できるように、このタッチセンス表面によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
タッチセンス表面は、加えられる荷重によってこのタッチセンス表面が所定の動きをするように取り付けられており、前記タッチセンス表面の下側に配置された、加えられる荷重を検出するための手段は、開閉要素の開または閉にする制御を無効にするためのスイッチ、および弾性手段を備えており、許容範囲の上限を超える荷重が加えられると、前記タッチセンス表面によって前記弾性手段が変形し、これにより、前記スイッチが作動して、前記開閉要素の開または閉にする制御を無効にするようになっていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
所定の動きは、タッチセンス表面の垂線に対して平行な移動であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
所定の動きは、タッチセンス表面の回動であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
所定の動きは、タッチセンス表面の撓みであることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
弾性手段は、バネ、好ましくはコイルバネを含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
弾性手段は、好ましくはゴムから形成された弾性ストッパーを含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
スイッチを作動させるのに必要な荷重は、弾性手段をスイッチ自体によって形成されるように定められていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
スイッチは、弾性接触器ブレードスイッチであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−533651(P2008−533651A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547442(P2007−547442)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056564
【国際公開番号】WO2006/067041
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505140568)
【Fターム(参考)】