説明

自動車窓のサッシュ

【課題】引違い窓をもつ自動車窓のサッシュにおける、部品点数減少と窓ガラスの組付、交換工数減少及び作業コストの低廉化を可能とするものの提供。
【解決手段】本発明自動車窓のサッシュ1は、上下各2本のレール溝に嵌合し摺動する引違い窓ガラス15をもつ自動車窓のサッシュにおける、下の溝25、26は窓ガラス15を溝25、26内に降したとき、窓ガラスの上辺が上のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝25、26の途中に区分壁28、29、30より対向するリブ28a、29a及び29b、30aを、窓ガラス15の厚さよりやや大なる幅の隙間Sを残して突出し、窓ガラスを両側のリブ28a、29a又は29b、30aに掛けて支持部材31を介して支持したので、従来の如きスペーサーは不要で、部品点数が減少してサッシュ全体のコストを下げ、且つ窓ガラスの組付、交換に要する工数を減少し、その作業コストを低廉化できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、殊に大型トラック、バス、建設機械等に使用されている引き違い窓、即ち平行に移動する2枚の窓ガラスをもつ自動車窓のサッシュの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記車両の引き違い窓用のサッシュは、例えば図6に1で示すように、下側フレーム2と、下側フレーム2の前端(左端)にその下端が接続した前側フレーム3並びに該フレーム3と一体に接続した、下側フレーム2と平行な上側フレーム4と、上側フレーム4の後端(右端)と前記下側フレーム2の後端(左端)とを接続する後側フレーム5とからなる。尚、6は引き手である。
【0003】
前記サッシュ1の下側フレーム2、前側フレーム3並びにこれと一体の上側フレーム4及び後側フレーム5は、いずれも引抜き・押出し材等で製作されるが、その断面形状は2本の平行なレール溝からなるものである。
【0004】
その一例を図7、図8により説明すると、まず前記前側フレーム3、上側フレーム4及び後側フレーム5は図7に示すように、ベース部7より一方向に立ち上がる区分壁8、9、10によりグラスラン11(このグラスラン11はサッシュ1の内側全周に亘って敷設される)を密に収納する2本の平行なレール溝12、13を形成するとともに、ベース部7より他方向に且つ区分壁8側に車体への取付部14を形成している。尚、前記区分壁10は他の区分壁8、9よりやや長くし、雨水、塵埃などの車室への侵入を阻止しており、また図7において15は窓ガラス、16はクッション材を示す。
【0005】
また、前記下側フレーム2は図8に示すように、基本的には前記図7と同様な形状をなしており、排水孔17aをあけたベース部17より一方向に立ち上がる区分壁18、19、20により、スペーサー21及びスペーサー21上に載置するグラスラン11を収納する2本の平行な深いレール溝22、23を形成するとともに、ベース部17より他方向に且つ区分壁18側に車体への取付部24を形成している。
【0006】
尚、深いレール溝22、23の深さは、窓ガラス9をレール溝22、23内の底部に降ろしたとき窓ガラス15の上辺が上側フレーム4のレール溝から外れる如き深さとし、また、前記と同様に区分壁20は他の区分壁18、19よりやや長くし、雨水、塵埃などの車室への侵入を阻止しており、また図8においても15は窓ガラス、16はクッション材を示す。
【0007】
従来は上記のようなサッシュが使用されており、窓ガラス15の破損等で新しい窓ガラス(15)をサッシュ1に装着し直すときは、破損した窓ガラスを除いた後、まずグラスラン11をレール溝22から外して置き、次にスペーサー21をレール溝22から取り出した上、新しい窓ガラス(15)の下端を一旦レール溝22に挿入してその底まで降ろした後、これを引き上げて新しい窓ガラス(15)の上端を上側フレーム4のレール溝に嵌合し、この状態でレール溝22内にスペーサー21を入れ、その上にグラスラン11を嵌めた新しい窓ガラス(15)を載置するのである。
【0008】
以上のように従来のサッシュでは、スペーサー21を必要とするので部品点数が多く高価であるばかりでなく、サッシュ1への窓ガラス15の新規装着及び破損時の交換時に多くの時間を要しコストを上昇せしめる欠点があった。
【特許文献1】特開平11−182144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明が解決しようとする課題は、引き違い窓を備えた自動車窓のサッシュにおける、部品点数の減少と窓ガラスの組付及び交換工数の減少及びこれに伴う作業コストの低廉化を可能とする自動車窓のサッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上下の各2本のレール溝に嵌合して摺動する引違い窓ガラスを備えた自動車窓のサッシュにおいて、前記溝のうち下の溝は、前記窓ガラスを溝内に降ろしたとき窓ガラスの上辺が上のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝の途中にはその両側壁より対向するリブを、前記窓ガラスの厚さよりやや大なる幅の隙間を残して突出せしめ、前記窓ガラスのサッシュへの装着時に窓ガラスを前記両側のリブに掛けて支持部材を介して支持せしめたことを特徴とする自動車窓のサッシュである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動車窓のサッシュでは、上下の各2本のレール溝に嵌合して摺動する引違い窓ガラスを備えた自動車窓のサッシュにおいて、前記溝のうち下の溝は、前記窓ガラスを溝内に降ろしたとき窓ガラスの上辺が上のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝の途中にはその両側壁より対向するリブを、前記窓ガラスの厚さよりやや大なる幅の隙間を残して突出せしめ、前記窓ガラスのサッシュへの装着時に窓ガラスを前記両側のリブに掛けて支持部材を介して支持せしめるよう構成したので、従来の如きスペーサーを必要とせず、その分部品点数が減少してサッシュ全体のコストを下げるばかりでなく、窓ガラスの組付及び交換に要する工数を減少し、その作業コストの低廉化を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好ましい実施の形態を図1乃至図6により説明すると、本発明自動車窓のサッシュ1は、上下の各2本のレール溝に嵌合して摺動する引違い窓ガラス15を備えた自動車窓のサッシュにおいて、前記溝のうち下の溝25、26は、前記窓ガラス15を溝25、26内に降ろしたとき窓ガラス15の上辺が上のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝25、26の途中にはその両側壁28、29、30より対向するリブ28a、29a及び29b、30aを、前記窓ガラス15の厚さよりやや大なる幅の隙間Sを残して突出せしめ、前記窓ガラス15のサッシュ1への装着時に窓ガラス15を前記両側のリブ28a、29a又は29b、30aに掛けて支持部材31を介して支持せしめるよう構成したものである。尚、32は取付部である。
【実施例1】
【0013】
図1〜図6に示す自動車窓のサッシュ1では、殊に下側フレーム2の断面形状を従来と異ならしめ、図2に明示するように、レール溝25、26は前記窓ガラス15をレール溝25、26内の底まで降ろしたとき、窓ガラス15の上辺が上側フレーム4のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝25、26の途中には、その両側のベース部27より伸びる区分壁28、29、30から一体的に、対向するリブ28a、29aと、29b、30aを、前記窓ガラス15の厚さよりやや大なる幅の隙間Sを残して突出せしめている。尚、前記区分壁28、29、30のうち最奥の30は、他の区分壁28、29よりやや長くし、雨水、塵埃などの車室への侵入を阻止している。
【0014】
前記支持部材31は、図1の例ではグラスラン11及びグラスラン11を補強する支持条材33から構成されているが、グラスラン11に必要な硬度があればグラスラン11のみでもよく、又グラスラン11と支持条材33を扱い易いように一体化してもよい。
【0015】
前記支持部材31には、例えば支持条材33下面に前記隙間Sに嵌合する突出部33aを形成すればその設置が安定して行える。
【0016】
上記構成の本発明自動車窓のサッシュ1において、窓ガラス15の破損等で新しい窓ガラス(15)をサッシュ1に装着し直すときは、破損した窓ガラスを除いた後、まずグラスラン11及び支持条材33を必要長さだけレール溝25から脇へ外して置き、次に新しい窓ガラス(15)の下端を一旦レール溝25に挿入して前記隙間Sを通過してその底まで降ろした後(図3)、これを引き上げて新しい窓ガラス(15)の上端を上側フレーム4のレール溝に嵌合して押し付け(図4)、この状態でレール溝25内のリブ28a、29aと窓ガラス15の下端との間にグラスラン11及び支持条材33を戻せばよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は自動車窓に限らず、一般家屋の窓への適用も十分考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は本発明に係る自動車窓のサッシュの下側フレームの横断面を示す図で、図5のA−A断面矢視図に相当する。
【図2】は図1における窓ガラス、グラスラン、支持条材、パッド等を除いた下側フレームの横断面を示す図である。
【図3】は下側フレームのレール溝への窓ガラスの装着手順の一つを示す図である。
【図4】は下側フレームのレール溝への窓ガラスの装着手順の次の一つを示す図である。
【図5】は本発明が適用される自動車窓のサッシュの正面図である。
【図6】は本発明に係る下側フレームのレール溝の該溝に添う断面図である。
【図7】は図5のB−B断面矢視相当図である。
【図8】は従来の自動車窓のサッシュの下側フレームの横断面を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 サッシュ
2 下側フレーム
3 前側フレーム
4 上側フレーム
5 後側フレーム
6 引き手
7、17、27 ベース部
8、9、10、18、19、20、28、29、30 区分壁
11 グラスラン
12、13、22、23、25、26 レール溝
14、24、32 取付部
15 窓ガラス
16 クッション材
21 スペーサー
31 支持部材
33 支持条材
33a 突出部
S 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の各2本のレール溝に嵌合して摺動する引違い窓ガラスを備えた自動車窓のサッシュにおいて、前記溝のうち下の溝は、前記窓ガラスを溝内に降ろしたとき窓ガラスの上辺が上のレール溝から外れる如き深さをもち、その深いレール溝の途中にはその両側壁より対向するリブを、前記窓ガラスの厚さよりやや大なる幅の隙間を残して突出せしめ、前記窓ガラスのサッシュへの装着時に窓ガラスを前記両側のリブに掛けて支持部材を介して支持せしめたことを特徴とする自動車窓のサッシュ。
【請求項2】
前記支持部材がグラスランのみからなることを特徴とする請求項1記載の自動車窓のサッシュ。
【請求項3】
前記支持部材がグラスラン及び支持条材からなることを特徴とする請求項1記載の自動車窓のサッシュ。
【請求項4】
前記支持部材のグラスラン及び支持条材が一体に構成されたことを特徴とする請求項3記載の自動車窓のサッシュ。
【請求項5】
前記支持部材が前記隙間に嵌合する突出部をもつことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の自動車窓のサッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−91174(P2007−91174A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286960(P2005−286960)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】