説明

自転車用変速装置

あらゆる走行目的に適した駆動比の範囲を生成する被覆型自転車用動力伝達装置を提供する。単体のチェーンリングと、従来のリアディレーラのテンション機能およびチェーンガイド機能を分離する流線形リアディレーラとを用いる遊星駆動装置の相乗効果的協働によって、動力伝達装置を略全体的に覆うカバーを実現でき、リアディレーラ構成部品を自転車フレームの外周部の影の略内側に留めることができる。前記遊星駆動装置はユニークな複合爪を備え、爪を不安定化させる小さな力の作用によって、全走行負荷状態でも遊星ラチェット部材との係合から爪を容易に解除できる。ユニークなシフト緩衝機構がリアディレーラ装置と協働し、有効なシフトコマンドの全範囲をバッファおよび保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
本願は、2007年9月28日に出願された米国仮特許出願第60/995,632号(その開示全体を参照により本願へ組み込む)の利益を主張する。
【0002】
本発明は人力チェーン駆動車両の変速装置に関する。より詳細には、本発明はフロントプラネタリ・リアディレーラ自転車用変速装置に関する。さらに詳細には、本発明はフロントプラネタリ・リアディレーラ変速装置を含む被覆型自転車用動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の自転車用動力伝達装置の分野において、外装(すなわち露出型)動力伝達装置および内装(すなわち被覆型)動力伝達装置は共に一般的である。通常、外装動力伝達装置は平行四辺形型ディレーラ、チェーンおよびスプロケットを採用している。平行四辺形型ディレーラは、様々な運動範囲で揺動するため、完全に覆うことは困難である。平行四辺形型リアディレーラは、後輪ハブ近傍の自転車フレームの外側にボルト締めされる。この位置から、リアディレーラの平行四辺形はさらに外側へも揺動可能である。
【0004】
外装動力伝達装置が有する利点は、駆動比の数および全範囲が、機構が如何なるホイールハブまたはカバーの内側にも収まるという要件に制限を受けないことである。一般的に、外装動力伝達装置は、フロントディレーラと協働する2つまたは3つチェーンリング(フロントスプロケット)を採用する。フロントシフト装置は多くのギヤ範囲を与え、リアスプロケットと協働するリアディレーラは、駆動比シフト増分がより小さい微調整を提供する。リアディレーラは一般的に、後輪と連係する7つまたは8つのリアスプロケット間でチェーンの移動先を制御する。総駆動比差は一般的に4:1に近い。
【0005】
内装動力伝達装置は通常、内装ギヤハブの形態をとる。内装ギヤハブは、副軸を用いてボトムブラケット近傍に取り付けてもよいが、通常は後輪ハブと一体化している。内装ギヤハブは一般的に遊星歯車機構を用い、通常3段速〜9段速を提供する。内装ギヤハブは、12段速または14段速もの多くの速度段を備えて生産されてきたが、後輪に絡んださらなる重量増で、これらの内装ギヤハブはとても理想的とは言えない。
【0006】
内装歯車機構を備えた後部ハブの重量は、舗装道路走行では受け入れられるが、オフロード走行では望ましくない。これは、内装歯車機構を自転車の重心により近いボトムブラケット近傍の副軸に配置し直そうと試みるきっかけとなった。残念ながら、標準的な外装動力伝達装置と比較すると、遊星歯車機構および副軸軸受けが装置の効率性を低下させる。
【0007】
外装動力伝達装置と内装動力伝達装置との間では、両立し得ない多くの点がある。外装動力伝達装置は良好なギヤ範囲および優れた効率性を有するが、水や泥に曝されることで、効率性を劇的に低下させ、動力伝達装置の磨耗を加速させることがある。また露出型動力伝達装置は、衝撃だけでなくチェーンに引っ掛かった小枝などの小さな物体にも起因する障害を受けやすいので、アイドラプーリを妨げ易く、リアディレーラが壊れる原因となることがある。
【0008】
インデックスシフトならびにチェーンおよびスプロケットの特殊な特徴など、滑らかで迅速なシフトを促進するために外装動力伝達装置に施された改良によって、外装動力伝達装置は、ほとんどの状況において負荷状態でもシフト可能になっている。現代の一般的な外装動力伝達装置が円滑にシフトしない唯一の条件は、フロントディレーラが負荷状態でシフトされるときである。固有の問題は、チェーンの弛み側を操ることで概してリアシフトを非常に容易にするリアディレーラに対して、フロントディレーラがチェーンの負荷側をシフトするよう設定されていることである。
【0009】
内装ギヤハブは当然ながら覆われており、機構は、ほとんど汚れていないオイルバスまたはグリースバスの中にある。
【0010】
内装ギヤハブは、複数のスプロケット間でチェーン経路を変更する必要なく、ギヤ比を変更する。チェーンは、合理的にスリムなチェーンガードで容易に覆うことができる。このため、シフト機構、スプロケットおよびチェーンは、風雨および汚染物質から完全に保護される。これによって、これらの自転車は、あらゆる条件での通勤および屋外での保管に適したものとなる。
【0011】
[最新のフロントシフト技術]
自転車用動力伝達装置は、外装動力伝達装置と内装外装動力伝達装置との両方を含む。外装動力伝達装置は一般的にディレーラを用いて駆動チェーンを1つのスプロケットから別のスプロケットへ移動させて様々な駆動比を達成する。内装動力伝達装置は、後輪ハブの内側に通常位置する遊星歯車機構を用いる。近年では、遊星歯車がフロントスプロケットのスペースにも配置されている。
【0012】
最も一般的な自転車用歯車機構の形態は、後部ハブと連係する外装歯車機構である。使用可能な駆動比をさらに大きくしたいときは、フロントペダルクランクと連係する外装歯車機構を追加できる。これは通常、駆動側ペダルクランクにボルト締めされる2つまたは3つのスプロケットの形態をとる。フロントディレーラはフレームに固定される。駆動チェーンがフロントディレーラケージを通過する。フロントディレーラはケージを様々な位置に配置し、駆動チェーンを所望のチェーンリングまで移動させて、シフトを行う。フロントディレーラはまた、ハンドルバーで作動される制御ケーブルによって制御される。アクチュエータは「シフタ」と呼ばれ、通常レバーまたはツイストグリップ装置の形態をとる。
【0013】
駆動側ペダルクランクにボルト締めされる3つのスプロケット(「チェーンリング」としても周知である)の編成は、「トリプルチェーンリング」と呼ばれる。一般的な「トリプルチェーンリング」によって提供される総駆動比差は、約2:1である。
【0014】
[トリプルチェーンリング装置の課題]
幾つかの問題はトリプルチェーンリング装置に関連している。例えば、トリプルチェーンリング装置は覆うのが難しく、オフロード使用時には砂および泥で劣化する。
【0015】
もう1つの問題は、トリプルチェーンリング装置がフロントディレーラに対して、チェーンのピンと張られた荷重支持部を強制的に動かすよう求めることである。従って、チェーンの弛み部分を操るリアディレーラをシフトする場合と比べて、フロントディレーラのシフトはより多くの労力を必要とし、信頼性にも欠ける。搭乗者は先を読み、全荷重が作用しないときにシフトしなくてはならない。搭乗者が負荷状態でシフトを試みると、チェーンはシフトできず、あるいはチェーンリングから完全に外れるかもしれない。
【0016】
3つのチェーンリングの横方向間隔は、チェーンがチェーンリングを「横切って」載せられるときに、斜めのチェーンラインを生じさせる。これはチェーンに過度の負荷を加え、過度の磨耗および摩擦を引き起こす。
【0017】
革新的な自転車設計者達は往々にして、フロントディレーラを支持するために、ずんぐりした退化したシートチューブを自己の判断でボトムブラケットに配置しなくてはならない。これは、フレーム設計がシートチューブなしでシートを支持する場合であっても当てはまる。
【0018】
さらに別の問題は、チェーンリングと関連して、シートチューブ上でフロントディレーラの垂直方向および角度を調節しなくてはならない。また、フロントディレーラケージの運動範囲を制限する制限ねじも調節しなくてはならない。整備工は通常ペンチを用いて強制的にチェーンケージを、彼らがより良好に動作すると確信する形状に再構成する。
【0019】
トリプルチェーンリング装置は、マウンテンバイクが誕生して間もない頃から進化を続け、広く使われるようになった。トリプルチェーンリング装置は比較的安価で軽量であるが、単純にペダルの踏み込み負荷状態で良好に動作しない。業界専門家は何年もの間、この問題を訴えてきた。不確実なフロントシフトは、この業界の最も恥ずべき点の1つである。これが自転車市場をより幅広い客層へと拡大することの障壁となっていた。
【0020】
このため、過酷なアウトドア走行および保管条件に適するだけでなく、ロードバイクおよびマウンテンバイクを含むがこれに限定されない如何なる用途にも十分な実用的ギヤ範囲を提供する、信頼性のある自転車用動力伝達装置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0021】
本発明の第一の態様においては、遊星駆動装置であって:フレームに回転可能に取り付けられるリングギヤと;当該リングギヤと噛み合い、遊星キャリアに回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、当該遊星キャリアが当該フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;当該遊星歯車と噛み合い、当該フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;当該リングギヤ、当該遊星歯車、当該遊星キャリア、当該太陽歯車および当該フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;当該第1の遊星部材と、当該リングギヤ、当該遊星歯車、当該遊星キャリア、当該太陽歯車および当該フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材との間に移動可能に配設される複合爪とを備え;当該複合爪はベース爪部材およびブロッカ爪部材を有し、当該ブロッカ爪部材は、当該ラチェットと係合して当該第1の遊星部材および当該第2の遊星部材の被駆動相対回転を阻止するように構成され、当該ベース爪部材は、ベース連結部で当該第2の遊星部材に移動可能に取り付けられ、当該ブロッカ爪部材は、連接接合部で当該ベース爪部材に対して移動可能に位置決めされるように構成され、当該ブロッカ爪部材が当該ラチェットと係合し、当該連接接合部での当該ブロッカ爪部材と当該ベース爪部材との相対的構成が安定しているとき、当該複合爪は安定的に制止力を提供して、当該被駆動相対回転を発生させるように作用する荷重に対向することによって、当該被駆動相対回転を阻止するように構成され、当該遊星駆動装置はさらに;遊星シフトアクチュエータを備え;当該遊星シフトアクチュエータは、当該複合爪に力を作用させて、当該ブロッカ爪部材および当該ベース爪部材の当該相対的構成を当該連接接合部において不安定状態にさせることによって、実質的に当該制止力を緩め、当該被駆動相対回転を許容するように構成される。
【0022】
本発明の第一の態様の遊星駆動装置の実施の形態においては、当該遊星シフトアクチュエータは、当該力を当該複合爪に伝達するように構成されている。当該遊星シフトアクチュエータリンクは、当該ベース爪部材に対して動作可能に接続され、枢動可能に取り付けられるケーブルクランプに保持された遊星シフトアクチュエータケーブルである。
【0023】
本発明の第一の態様の遊星駆動装置の他の実施の形態においては、当該遊星シフトアクチュエータリンクは、当該ブロッカ爪部材に対して動作可能に接続され、枢動可能に取り付けられるケーブルクランプに保持された遊星シフトアクチュエータケーブルである。
【0024】
本発明の第二の態様においては、チェーン駆動装置であって:駆動スプロケットに近接して車両フレームに移動可能に取り付けられるチェーンテンショナと;当該チェーンテンショナに回転可能に取り付けられるアイドラスプロケットと;当該チェーンテンショナを付勢して、当該アイドラスプロケットと係合したチェーンに反して移動させることによって当該チェーンを引っ張るチェーンテンショナスプリングであって、当該チェーンは、当該駆動スプロケットと係合し、当該車両フレームに回転可能に取り付けられる複数の軸方向に離間した被駆動スプロケットのうちのいずれかと交互に係合可能である、チェーンテンショナスプリングと;当該被駆動スプロケットに近接する当該チェーンの一部と連係し、当該被駆動スプロケットに対して横方向に移動可能なチェーンガイドとを備え;当該チェーンガイドの横方向の移動によって当該チェーンを当該被駆動スプロケットのうちの1つとの係合から解除させ、隣接する被駆動スプロケットと係合させることによって、当該駆動スプロケットの回転に対する当該係合した被駆動スプロケットの回転のチェーン駆動比を変化させ、当該チェーンガイドを、当該チェーンの引っ張りに関連する力から実質的に隔離するように構成される。
【0025】
本発明の第二の態様のチェーン駆動装置の実施の形態においては、当該チェーンガイドが当該チェーンテンショナに動作可能に接続されることによって、当該チェーンガイドは、当該チェーンテンショナがばねの付勢方向に枢動するときに当該被駆動スプロケットに向かって平行移動するとともに、当該チェーンテンショナがばねの反対方向に枢動するときに当該被駆動スプロケットから離間するように平行移動し、当該チェーンガイドと連係する当該チェーンの一部と、係合した当該被駆動スプロケットとの間のチェーンの長さを最小限にすると同時に、当該チェーンガイドと当該係合した前記被駆動スプロケットとのクリアランスを維持するように構成される。
【0026】
本発明の第二の態様のチェーン駆動装置の他の実施の形態においては、当該チェーンガイドに動作可能に接続されるディレーラアクチュエータリンクと;当該ディレーラアクチュエータリンクに動作可能に接続されるディレーラアクチュエータとをさらに備え;当該ディレーラアクチュエータは:ベースアクチュエータ部材と移動可能に接続される可動アクチュエータ部材と;当該可動アクチュエータ部材と当該ベースアクチュエータ部材との間に圧縮配設されるデテントスプリングとを備え;当該デテントスプリングは、当該ベースアクチュエータ部材および当該可動アクチュエータ部材のうちの一方と一体に設けられた複数の離間した雌係合特徴のいずれかと交互に係合するように構成された雄係合特徴を有し、当該デテントスプリングの反対側端部が、当該ベースアクチュエータ部材および当該可動アクチュエータ部材のうちの他方と一体に設けられたスプリングキャビティの端壁と係合することによって、当該デテントスプリングの雄係合特徴が特定の雌係合特徴と係合しているとき、当該可動アクチュエータ部材および当該ベースアクチュエータ部材の偶発的な相対移動を実質的に阻止するように構成され、当該可動アクチュエータ部材を当該ベースアクチュエータ部材に対して移動させるとき、当該反対側端部を強制的に当該端壁との係合から離間させることによって、当該デテントスプリングの雄係合特徴を自由にして早急に雌係合特徴と係合させるように構成される。
【0027】
本発明の第二の態様のチェーン駆動装置のさらに他の実施の形態においては、当該駆動スプロケットと連係する遊星駆動装置をさらに備え;当該遊星駆動装置は:当該駆動スプロケットと一体に設けられたリングギヤと;当該リングギヤと噛み合い、スパイダ部材に回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、当該スパイダ部材が当該車両フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;当該遊星歯車と噛み合い、当該車両フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;当該リングギヤ、当該遊星歯車、当該遊星キャリア、当該太陽歯車および当該車両フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;当該リングギヤ、当該遊星歯車、当該遊星キャリア、当該太陽歯車および当該車両フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材に移動可能に取り付けられる爪とを有し;当該爪は、当該ラチェットと係合したときに当該第2の遊星部材に対する当該第1の遊星部材の時計回り方向の回転を阻止するとともに、当該ラチェットを係合から解除したときに当該第2の遊星部材に対する当該第1の遊星部材の時計回り方向の回転を許容するように構成され、当該遊星駆動装置はさらに;当該爪を当該ラチェットと係合させ、また解除させるように構成された爪アクチュエータを有し;当該爪が当該ラチェットと係合しているときに、出力遊星部材の出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第1の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束し、当該爪が当該ラチェットとの係合から外れているときに、出力遊星部材の当該出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第2の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束するように構成され、当該出力遊星部材および当該入力遊星部材は、当該リングギヤ、当該遊星歯車、当該遊星キャリア、当該太陽歯車および当該車両フレームからなるグループから選択されるように構成される。
【0028】
本発明の第三の態様においては、人力車両用変速装置の駆動比制御リンクのインライン緩衝機構であって:当該駆動比制御リンクを最大シフトアップ位置と最大シフトダウン位置との間の位置範囲内でシフトアップ方向およびシフトダウン方向に変位させるように構成されたシフトアクチュエータと;当該駆動比制御リンクの変位に応じて移動するように構成された入力緩衝部材と;当該入力緩衝部材の入力変位を出力緩衝部材に伝達するように予荷重を掛けられた緩衝スプリングとを備え;当該駆動比制御リンクの、当該シフトアップ方向および当該シフトダウン方向のうちの少なくとも1つの方向における変位が当該入力緩衝部材に作用力を伝達し、当該入力緩衝部材に、当該出力緩衝部材に対する十分な変位を許容して、当該駆動比制御リンクの当該作用力の伝達方向における全範囲の変位を当該緩衝スプリングに吸収させるように構成される。
【0029】
本発明の第三の態様の緩衝機構の実施の形態においては、当該入力緩衝部材の当該出力緩衝部材に対する当該入力変位は回転である。
【0030】
本発明の第三の態様の緩衝機構の他の実施の形態においては、当該入力緩衝部材の当該出力緩衝部材に対する当該入力変位は直線的である。
【0031】
本発明の第四の態様においては、人力車両用被覆型チェーン駆動装置であって:車両フレームに回転可能に取り付けられる複数の軸方向に離間した被駆動スプロケットと;当該車両フレームに回転可能に取り付けられる駆動スプロケットと;当該駆動スプロケットと係合して、当該被駆動スプロケットのいずれかと交互に係合可能な駆動チェーンと;当該駆動スプロケットに近接し、駆動チェーンの引っ張り力を維持するように構成されたチェーンテンショナと;当該被駆動スプロケットに近接する一部の当該駆動チェーンと連係するチェーンガイドと;当該チェーンガイドを内側方向および外側方向に移動して、当該駆動チェーンを、当該複数の軸方向に離間したスプロケットのうちの1つとの係合から解除させ、また隣接するスプロケットと係合させることによって、当該駆動スプロケットの回転に対する当該係合した被駆動スプロケットの回転のチェーン駆動比を変化させるように構成されたディレーラアクチュエータと;当該変速装置を実質的に覆うカバーアセンブリとを備え;当該チェーンテンショナ、チェーンガイドおよびディレーラアクチュエータを当該車両フレームの略内側に配置するように構成される。
【0032】
本発明の第四の態様の実施の形態においては、前記駆動スプロケットと連係する遊星駆動装置をさらに備え;前記遊星駆動装置は:前記駆動スプロケットと一体に設けられたリングギヤと;前記リングギヤと噛み合い、スパイダ部材に回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、前記スパイダ部材が前記車両フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;前記遊星歯車と噛み合い、前記車両フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材に移動可能に取り付けられる爪とを備え;前記爪は、前記ラチェットと係合したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を阻止するように構成されるとともに、前記ラチェットを係合から解除したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を許容するように構成され、前記遊星駆動装置はさらに;前記爪を前記ラチェットと係合させ、また解除するように構成された爪アクチュエータを備え;前記爪が前記ラチェットと係合しているときに、出力遊星部材の出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第1の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束し、前記爪が前記ラチェットとの係合から外れているときに、出力遊星部材の前記出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第2の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束するように構成され、前記出力遊星部材および前記入力遊星部材は、前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択されるように構成される。遊星駆動装置が提供する、入力遊星部材の入力回転に対する係合した被駆動スプロケットの出力回転の最大総駆動比を、その最小総駆動比の少なくとも約4倍とすることが好ましい。
【0033】
好ましくは、前述の実施の形態においては、当該爪は複合爪であって:ベース部材と;ブロッカ部材とを備え;当該ブロッカ爪部材は、当該ラチェットと係合して当該第1の遊星部材および当該第2の遊星部材の被駆動相対回転を阻止するように構成され、当該ベース爪部材は、ベース連結部で当該第2の遊星部材に移動可能に取り付けられ、当該ブロッカ爪部材は、連接接合部で当該ベース爪部材に対して移動可能に位置決めされるように構成され、当該ブロッカ爪部材が当該ラチェットと係合し、当該連接接合部での当該ブロッカ爪部材と当該ベース爪部材との相対的構成が安定しているときに、当該複合爪は安定的に制止力を提供して、当該被駆動相対回転を発生させるように作用する荷重に対向することによって、当該被駆動相対回転を阻止するように構成され、当該爪アクチュエータは、当該複合爪に力を作用させて、当該ブロッカ爪部材および当該ベース爪部材の当該相対的構成を当該連接接合部で不安定状態にさせることによって、実質的に当該制止力を緩め、当該被駆動相対回転を許容するように構成される。当該連接接合部での当該ブロッカ爪部材および当該ベース爪部材の当該相対的構成を、爪リセット機構によって安定構成側に付勢するように構成するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に係る3段速遊星駆動装置100の側面断面図である。
【0035】
【図2a】図2aは複合爪280の一実施の形態を示す平面図であり、ベース爪部材320は、ブロッカ爪部材350のそれぞれの側方にある2つのサイドリンクである。
【0036】
【図2b】図2bは図2aで示す複合爪280の一実施の形態の側面図であり、ブロッカ爪部材350とサンラチェット歯262のうちの1つとの係合を示す。
【0037】
【図3】図3は、図2aおよび図2bで示す複合爪280にサンラチェット260が制止された状態の遊星駆動装置100の部分正面図である。
【0038】
【図4】図4は、一般的なボトムブラケットに取り付けられた遊星駆動装置100の斜視図であり、図からリングギヤ190、遊星キャリア130および遊星歯車200を取り除いた状態で、シフト力F(s)が最初に爪制御ケーブル390に作用するときに負荷安定制止位置にある複合爪280の好ましい実施の形態を示す。
【0039】
【図5】図5は遊星駆動装置100の斜視図であり、複合爪280がその負荷安定オーバーセンター状態から引き出されており、それによって、ブロッカ接点360での接点力が、サンラチェット260の行く手を阻むことがないように複合爪280の連接(関節)を曲げ続ける。
【0040】
【図6】図6は遊星駆動装置100の斜視図であり、ブロッカ爪部材350がサンラチェット歯262との接触を失ったところで、ケーブルクランプ370とブロッカ爪部材350との間のクランプピボット352が視界に現れている。
【0041】
【図7】図7は遊星駆動装置100の斜視図であり、複合爪280がサンラチェット260から完全に外れ、連接スプリング310によって強制的にその負荷安定オーバーセンター状態へ戻されている。
【0042】
【図8】図8は2段速遊星駆動装置100の斜視図であり、チェーンリング150がリングギヤ190から取り外されている。
【0043】
【図9】図9は、駆動側からパネルを外した状態の被覆型動力伝達装置10の駆動側を示す図である。
【0044】
【図10】図10は、被駆動側から見た本発明の流線形リアディレーラ装置の斜視図である。
【0045】
【図10a】図10aは、チェーンガイド510および駆動チェーン152の一部を示す底面図である。
【0046】
【図11】図11は、リアスプロケットクラスタ104と関係し、一般的な自転車フレームに取り付けられる際のチェーンガイド510の構成要素を被駆動側から示す斜視図である。
【0047】
【図12】図12は、駆動側の下から見上げたときのチェーンガイド510およびリアスプロケットクラスタ104の斜視図である。
【0048】
【図13】図13は、チェーンガイド510、ベルクランクピボット支持部材620およびリアスプロケットクラスタ104の斜視図であり、主ベルクランクピボット支持部材ボルト622により一般的な自転車フレームに装着されるベルクランクピボット支持部材620を示す。
【0049】
【図14a】図14aはチェーンガイド510の側面斜視図であり、その外形および特徴を示すために動力伝達装置10から取り外され拡大されている。
【0050】
【図14b】図14bは、駆動チェーン152が貫通しているチェーンガイド510の正面図である。
【0051】
【図15】図15は、被駆動側の下から見た緩衝機構640の斜視図である。
【0052】
【図16】図16は、入力スプール680を取り外した状態の緩衝機構640の斜視図である。
【0053】
【図17】図17は緩衝機構640の斜視図であり、出力フォーク652と入力スプール680の穴682との関係を示す。
【0054】
【図18a】図18aは、自転車のハンドルバーから取り外したツイストシフタ711の斜視図である。
【0055】
【図18b】図18bは、ツイストシフタ711のデテント機構を示す側面断面図である。
【0056】
【図19】図19は、被覆型動力伝達装置10を被駆動側から見た図である。
【0057】
【図20】図20は、被覆型動力伝達装置10を駆動側から見た図である。
【0058】
【図21】図21は、後部バックプレート60およびスポークディスク70の背面図であり、スポークディスク70がどのように、後部バックプレート60と一体のスポークディスク受け溝72に嵌合するかを示す。
【0059】
【図22】図22(a)〜図22(f)は、本発明の複合爪280を好適に組み込める代替の遊星駆動装置800における多くの可能な負荷経路方法のうちの幾つかを概略的に示す。
【0060】
【図23】図23は被覆型動力伝達装置10の後側を示す平面図であり、上部外側カバープレート40の外縁の影がどのように、チェーンステイ900の外縁に密接して追従するかを隠線で示す。
【0061】
【図24A】図24Aは、本発明の爪の原理を取り入れた爪の代替の実施の形態を示す側面図である。
【0062】
【図24B】図24Bは、本発明の爪の原理を取り入れた爪の代替の実施の形態を示す側面図である。
【0063】
【図24C】図24Cは、本発明の爪の原理を取り入れた爪の代替の実施の形態を示す側面図である。
【0064】
【図24D】図24Dは、本発明の爪の原理を取り入れた爪の代替の実施の形態を示す側面図である。
【0065】
【図24E】図24Eは、本発明の爪の原理を取り入れた爪の代替の実施の形態を示す側面図である。
【0066】
【図24F】図24Fは、本発明の爪の原理を図示により例示したものである。
【0067】
【図24G】図24Gは、本発明の爪の原理を図示により例示したものである。
【0068】
【図25】図25は、本発明に係るデテントスプリング機構の3つの代替の実施の形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
[発明の詳細な説明]
本セクションでは、添付の図、特には図9、図19および図20を参照して、フロントの遊星駆動装置100と、別体のチェーンテンショナ500およびチェーンガイド510を有するコンパクトな複数スプロケットリアディレーラ装置と、保護カバーとを備える被覆型自転車用動力伝達装置10について説明する。
【0070】
本発明では、2段速以上の遊星駆動装置100を用いてより広範囲の駆動比を生成する。遊星駆動装置100は、自転車のペダルクランク110およびボトムブラケットと連係する。遊星駆動装置100は全踏み込み(フルペダリング)負荷状態でシフト可能である。
【0071】
本発明は、チェーンテンション機能を、従来のリアディレーラのチェーン配置機能から分離する。リアディレーラから、そのチェーンテンション機能による負担をなくすことによって、リアディレーラをシフトするときの精度を向上させ、労力を軽減する。これは、従来のリアディレーラの平行四辺形には、アイドラケージと平行四辺形との間にあるテンションピボットスプリングによって負荷が掛かるからである。従って、移動先のスプロケットへチェーンを精確に配置するように動く平行四辺形には、常にアイドラケージテンションスプリングの負荷が掛かる。このねじり負荷が追加されることによって、平行四辺形の4つのピボットで摩擦および摩耗が生じる。
【0072】
図9および図10で示すように、内装遊星駆動装置100に単一のチェーンリング150を用いることで、単一のチェーンリング150と近接する故にリアスプロケット102から離間するチェーンテンショナ500によってチェーンテンション機能が達成される。従来のフロントディレーラを用いてチェーンを2つまたは3つのチェーンリングの中へ導くと、チェーンリングに近接する如何なるチェーンテンショナも、チェーンがシフトされると、それに追従するため横方向に追跡する必要があろう。このような横方向の追跡の必要性が、現代の部品設計者たちを、単純にチェーンテンショナをリアディレーラに配置することでチェーンテンショナが自動的にチェーンを追跡する方向へと導いた。
【0073】
内装歯車機構との併用に拘わらず、単一のチェーンリングを用いることで、チェーンリングの近傍に固定チェーンテンショナを配置することが実現可能となる。当然ながら、テンショナはチェーンの弛み側で動作する。
【0074】
本発明は、これまでのチェーンテンション機能を持たないリアディレーラを用いる。これによって機構を、労力の要らない応答性に優れた精確なチェーンシフトおよび配置により特化させることができる。またシンプルな新規リアディレーラは流線形で、フレームまたはチェーンステイに対して略内側に容易に収まる。
【0075】
フロントディレーラがないことや、リアディレーラの小型化および複雑さの低下によって、動力伝達装置10全体をカバーの内側に収容できる。通常のギヤ範囲とカバー性とのトレードオフは回避される。本発明の装置は、最も要求の多いオフロード用途に対して全ギヤ範囲を提供すると同時に、完全被覆型動力伝達装置の利点も保持する。皮肉にも、泥、砂および水濡れに最も苦しんできたのは、オフロード全ギヤ範囲動力伝達装置であった。
【0076】
[発明の説明]
本発明は、相乗的に相互関連および協働して本発明を完成することが可能な3つのサブシステムからなる。第1に遊星駆動装置100およびそれに関連するシフト機構が挙げられる。第2に再構成された流線形リアディレーラ装置が挙げられる。流線形リアディレーラ装置は別体のチェーンテンショナ500、チェーンガイド510およびそれに関連するシフト機構を有する。第3にカバー装置が挙げられる。カバー装置は、後輪を素早く取り外すことを可能としたまま動力伝達装置10を水や泥から略完全に隔離する。
【0077】
遊星駆動装置を用いて、単一のチェーンリングを1対1の比だけでなく、様々なオーバードライブ比およびアンダードライブ比で回転させられることで、単一のチェーンリング編成を備えた全変速比範囲の変速機を構築する機会を創出する。これによって単純な機構で、固定テンショナ装置によってチェーンの弛んだ被駆動側の引張力を維持することが実現可能となる。
【0078】
[遊星駆動装置]
多くの方式の遊星歯車機構が自転車に用いられてきた。それらの主要な問題は、太陽歯車、遊星キャリアまたはリングギヤと一体のラチェット歯にラチェットを落下させ、その遊星部材の回転を阻止するのは容易である一方、負荷状態にあるラチェット爪を解放するのは困難なことである。
【0079】
図1を参照すると、遊星歯車機構は:太陽歯車250aおよび250bと、遊星キャリア130に回転可能に支持される遊星歯車200aおよび200bと、リングギヤ190とからなる。低速ギヤでは、遊星歯車200と遊星キャリア130との間の一方向クラッチが、段付き遊星歯車が遊星キャリア130に対して反対方向に回転しないようにする。このため、ペダルおよびクランクを正方向に回転させると、歯車機構が全体的に回転する。
【0080】
第1のオーバードライブ状態では、以下で詳述する複合爪280aは、太陽歯車250aと一体のサンラチェット260aと係合して揺動することが許容される。複合爪280aは、太陽歯車250aを正方向に回転させない。このため、遊星歯車200aは必ず太陽歯車の周りを回転する。これによって、チェーンリング150と一体のリングギヤ190に運動速度ゲインを与える。
【0081】
同様に、複合爪280bをサンラチェット260bと係合させることで、強制的に変速機をさらに高出力速度状態にする。
【0082】
課題は、変速機が負荷状態の間に、その工程を逆にたどることである。
【0083】
本発明の新規な態様は、それが連接(関節でつながれた)ラチェット爪、つまり複合爪280を用いるという事実に帰する。複合爪280は、全負荷状態の間に、太陽歯車250と一体のサンラチェット260との係合から容易に解除されるよう、精巧に連接される(関節でつながれている)。
【0084】
図4を参照すると、爪制御ケーブル390の役目を行う標準的な自転車ケーブルは、ベースピボット330と連接ピボット340との間でベース爪部材、つまり部材320に装着される。連接ピボット340は、ボトムブラケット、つまり変速機が搭載されるフレーム部材に対して固定される。複合爪は、2つの連接部品からなる。ブロッカ爪部材350は、連接ピボット340で枢動させられ、連接ピボット340の一方側に、サンラチェット260のラチェット歯262と係合して太陽歯車250を制止する指部を有する。ブロッカ爪部材350はまた、連接ピボット340の他方側にケーブル装着部を有する。連接ピボット340は、連接リターンスプリング310によりばね荷重されるため、ブロッカ爪部材350はベース爪部材320を基準にして「オーバーセンター」状態に付勢される。ベースピボット330は、サンラチェット歯262との係合を複合爪280に促すよう付勢される。一実施の形態では、図2aおよび図2bで示すように、ベース爪部材320は一対のサイドリンクであり、ピボット330および340を、サイドリンクの役目を行うベース爪部材320を貫通するピンとして形成してもよい。
【0085】
図4〜図7を参照すると、低出力速度へシフトダウンするために、ケーブル力によってケーブル装着部で複合爪280を引っ張る。このてこ作用が、複合爪280がオーバーセンター状態を越えるように働き、複合爪280がサンラチェット歯262から外れるように強制され、サンラチェット歯262がサンラチェット260に作用する駆動負荷トルクによりブロッカ爪部材350に向かって回り込むように押しやられる。
【0086】
ケーブルを緩めると、この工程が逆をたどり、複合爪280が再度サンラチェット260を制止することを許容する。連接リターンスプリング310は、シフトアップ中、好ましくはシフトアップの前に、ブロッカ爪部材350およびベース爪部材320をオーバーセンター状態に維持する。
【0087】
負荷状態でシフトダウンする利点は、操縦者が負荷の掛かった爪をてこ作用で動かして係合から解除するまでの全ての(物理的)仕事をする必要がなく、複合爪280をそのオーバーセンター負荷安定状態を越えた状態にする(物理的)仕事だけを行えばよいことである。
【0088】
また、複合ラチェットの本発明の好ましい実施の形態では、図4〜図7で示すように、ブロッカ爪部材350にピボット接続するケーブルクランプ370を採用する。ピボットを追加する利点は、負荷状態でのシフトダウン時にケーブルが、ブロッカ爪部材350から約90度回転して隔離され、その結果、ケーブル疲労が生じにくい。ピボットおよび構成部品の追加によって、爪制御ケーブルをシフタ711にソケット付けし、変速機に従来の方向で締め付けることが可能である。これは、シフタ711をできるだけ小型軽量に維持するのに望ましい。
【0089】
図4〜図7は、2段速遊星駆動装置100の実施の形態に適用されるような、連接爪サンブロッカの好ましい実施の形態を4段階の機械的サイクルで示す。図4は、連接爪320に制止された太陽歯車を示す。上述のように、ブロッカ爪部材350は複合爪280の一部であり、サンラチェット歯262と係合し、ベース爪部材320に対して連接ピボット340で枢動する。連接リターンスプリング310は、ブロッカ爪部材350とベース爪部材320との間で反応し、ブロッカ爪部材350がサンラチェット260に当接する接点360とベースピボット330との間を結ぶ線を基準にして、ピボット340をオーバーセンター(中心線超え)に維持する。
【0090】
図4に示す装置では、サンラチェット260が制止され、オーバードライブ係合されている。爪制御ケーブル390は繰り出された状態である。ベクトル線F(s)は、爪制御ケーブル390で引っ張られたシフト力の方向を示す。図4は、作用するシフト力F(s)によるシフト開始直前の複合爪280の負荷安定オーバーセンター構成を示す。この構成では、図4の反時計回りの矢印で示すように、連接ピボット340からベースピボット330へ延びる中心線が、ブロッカ接点360から連接ピボット340へ延びる中心線の上を通る。
【0091】
図5〜図7で示すように、爪制御ケーブル390を引っ張ると、図5および図6の上記中心線間の角度を示す反時計回りの矢印が示すように、複合爪280がてこ作用で動きオーバーセンター構成を越え、その後、オーバードライブからカチッと外れることで、変速機を略瞬時に、図9で示すスプラグクラッチ140によって遊星キャリア130に接続される遊星歯車200が提供するような、それ以前の負荷経路および対応した駆動比に戻す。
【0092】
主リターンスプリング300は、複合爪280をサンラチェット260側に付勢する。図4で示すように、複合爪280はスプリング300および310によって所定位置に留まるよう付勢される。連接ピボット340は、その運動範囲の限界に直面している。ブロッカ爪部材350は、ベース爪部材320の上部に当たる止め具342によって、主爪320に対してさらに時計回りに回転することを阻止される。
【0093】
ケーブル力の作用方向は、レバーアームに略垂直で寄生摩擦力を最小限にする。このため、中程度のケーブル力でも非常に高いスルートルクによって装置をシフトダウンできる。例えば、ペダルクランク110が水平「9時」位置にあるペダルスピンドル120に200lbの静荷重を掛け、ツイストグリップ720を用いて容易に装置をシフトダウンできる。
【0094】
本発明の好ましい実施の形態では、シフタ711としてシンプルなスプールツイストシフタを用いる。これらのシフタはシンプルで効率的である。しかしながら、シフト力が中程度であるため、如何なる形態のケーブル作動装置でも容認できるであろう。
【0095】
図5は、爪制御ケーブル390が引っ張られている際の装置を示す。ケーブルクランプ370が爪制御ケーブル390の作用を受けると、ケーブルクランプ370によって図6で見えるクランプピボット352にケーブル力が作用し、そのケーブル力によってブロッカ爪部材350が反時計回りに回転させられている。負荷点360、ピボット340およびピボット330に対するオーバーセンター状態が覆されて、ブロッカ爪部材350は、太陽歯車250と連係するラチェット歯260との係合から外れて動作している。遊星駆動装置に踏力よる負荷が掛かると、これらの踏力は強制的に太陽歯車250を時計回りに回転させ、図6で示すように、ブロッカ爪部材350をラチェット歯262から離間させるようさらに変位させる。ブロッカ爪部材350はラチェット歯262から自由になると、図7で示すように、ベース爪部材320に対して、そのシフト前オーバーセンター位置まではじき戻る。この時点で、太陽歯車250は、強制的に遊星歯車200をその周りで回転させるのではなく、ペダルクランク110と共に自由に回転するため、装置は非オーバードライブ状態にある。
【0096】
本分野における従来のプラクティスでは、本発明の複合爪について教示していない。通常、2つ以上の互いに対称な位置に設けられたブロック爪を用いて、遊星歯車、遊星キャリア、リングギヤまたは太陽歯車の回転を阻止する。これは同心度を維持することを目的とする。一般的にそれが非常に優れた発想であるのは、一方向だけに負荷を掛けると、過度のギヤの振れ、摩擦および磨耗が発生し得るところ、複合機構では、複数のクリアランスが一体となって機能することとなるためである。しかしながら、本発明の2段速構成では、1つのクリアランスであること、究極にシンプルであること、そして接触面積が大きいことが組み合わさり単一の爪を実現可能にする。単一の爪であることの利点の1つは、第2の爪を連係させるためのエネルギー消費ピボットおよびリンクが必要ないことである。
【0097】
本発明の好ましい実施の形態は、サーボ機構ではないが、複合爪280のブロッカ爪部材350を解放するのに効率的な機構である。本発明の装置では、手動で生成したケーブル力を用いて、太陽歯車250の回転を阻止するサンラチェット260を制止する複合爪280をオーバーセンター状態からてこ作用で動かす。従って、本発明の更なる利点は、搭乗者が装置をオーバーセンター状態から脱出させる(物理的)仕事をしさえすればよいことである。装置がオーバーセンター状態を越えた後、踏力は、道程途中の複合爪280を次のシフトアップのためのセット位置まではじき戻す傾向にある。従って、手動で生成された力でシフトダウンが開始されるものの、装置はシフトダウンを完了するための部分的なサーボ機構である。
【0098】
スループットトルクが大きくなり、その結果により大きなオーバーセンター力が生じ、シフトダウンに必要なシフト力F(s)が過大になると、回転中のペダルクランク110と複合爪280との間にサーボ作用が生じる可能性がある。ケーブルの引張によって、複合爪280と遊星キャリアの突起部とが相互作用を生じ、カム作用を生じて複合爪280をサンラチェット歯262との係合から解除するであろう。
【0099】
ここで図9を参照すると、カバーを部分的に除去した遊星駆動装置100が示されている。チェーンファンネル170を用いて、急激なシフトアップまたはよくある乱暴な運転に因るチェーン波で駆動チェーン152が単一のチェーンリング150からはじかれないようにする。図3で示すように、チェーンリング150はリングギヤ190と一体化して、チェーンリング軸受け160によって遊星キャリア130に支持される。
【0100】
オーバードライブ状態で太陽歯車250を制止すると、それは単一の複合爪280の作用を受ける。図8で示すように、その結果生じた不均衡な力つまり偏心力は、サンラチェット260下部の支持体の270の幅広基部で均衡がとられる。2段速構成の場合、制止された太陽歯車250とフレームとの間の相対運動が不要である。制止された太陽歯車250は静止しているが、強制的にその周りで運動を起こさせる。このため、幅広支持体270は無摩擦である必要がない。シンプルなブッシュが妥当である。太陽歯車250が回転するとき、それには負荷が掛からない。従って、シンプルなスリップ嵌合で十分である。
【0101】
図8は2段速構成の歯車およびラチェットを示す。上述のように、表面270は、太陽歯車250が複合爪280でピン止めされるときに、広範に支持される表面である。ラチェット歯260は太陽歯車250と一体化している。遊星歯車200は、自由にスタッド220の周りを回転する。図9で示すように、特殊遊星歯車230は、スプラグクラッチ140の作用を受ける活軸240に支持される。図9で示すように、スプラグクラッチ140は強制的に、特殊遊星歯車230、遊星歯車200およびリングギヤ190をキャリア130に対して正方向にのみ回転させる。
【0102】
本セクションで説明した図示の実施の形態では、入力回転が遊星キャリア130に作用してリングギヤ190に出力回転を与える遊星駆動装置100を組み込むが、図示の遊星駆動装置100を負荷状態でシフト可能にする複合爪280も同等に、代替の負荷経路方式を用いる遊星駆動装置に適用可能である。図22a〜図22fで代替の遊星駆動装置800の例を幾つか概略的に示す。図22aで示すように、遊星キャリア804をフレーム(図示せず)に固定することで、太陽歯車806の入力回転がリングギヤ808に反対方向の出力回転を与え、その逆もまた同様である。同様に、図22bでは、太陽歯車806がフレームに固定され、リングギヤ808または遊星歯車802が入力または出力部材でもよい負荷経路を示す一方、図22cでは、リングギヤ808がフレームに固定され、太陽歯車806または遊星キャリア804が入力または出力部材でもよい負荷経路を示す。図22d〜図22fでは、遊星歯車802、リングギヤ808または太陽歯車806のいずれかが遊星キャリア804にそれぞれ固定される構成を示す。上記構成のそれぞれにおいて、遊星駆動装置800が全体的に回転し、出力回転と入力回転との割合はいずれの負荷経路に関しても1:1である。
【0103】
さらに多くの順列および組み合わせも当然ながら可能である。また、複数の太陽歯車、段付き遊星歯車および1つ以上のリングギヤの使用は、遊星駆動装置の使用に対して無限の可能性を与え、そしてそれらの使用を車両、ウインチ、釣り用リールその他の装置に適用してもよい。上記装置のいずれもが、制限なく、好適に本発明の複合爪280をそれらの遊星駆動装置に組み込んでもよい。
【0104】
いずれの場合も、従来のラチェット爪を配して少なくとも一方向のラチェット歯の相対運動を制止し、典型的には反対方向の相対運動を許容することは、歴史的に容易であった。複合爪を、遊星駆動装置の部材(ハウジングつまりフレーム、太陽歯車、遊星歯車、遊星歯車キャリアまたはリングギヤ)のうちのいずれとも連係させてもよい。同様に、ラチェット歯も、先に列挙した遊星駆動装置の構成部材のうちのいずれとも連係または一体化してもよい。
【0105】
本発明の複合爪280における新規かつ有益な態様の1つは、遊星駆動装置100が全負荷状態で操作される間でも、最小限の労力で複合爪280をラチェット歯262から外せることである。これによって、複合爪280を配して変更した負荷経路よりも以前の状態に負荷経路を回復させることが可能である。それに対し従来の爪は、新たにサーボ機構を採用して強制的にそれをラチェット歯との係合から解除しない限り、変速機が負荷を受けている間は、爪を外すことは、不可能でないとしても、難しい。通常サーボ機構は、強制的に爪を係合から解除させるために用いられるが、欠点はサーボ機構が、変速機自体からエネルギーを得て強制的にラチェットを係合から解除させるための新たな機構を必要とすることである。既知の例では、ハンドルバーシフタからコマンドを受けるパイロット機構を用いて、爪とペダルスピンドルと一体のカムとの間の位置までカムフォロワを移動させ、爪を強制的に、太陽歯車の内径に形成されるラチェット歯との係合から解除させる。新たな機構によって、シフト装置に重量および複雑さが加わる。また、上述のように、パイロット機構を用いて追従サーボ機構を制御することで、シフトコマンドとその結果なされたシフトとの間に遅れが生じる。
【0106】
本発明の複合爪280は、サーボ機構に関連する複雑化および遅れを回避する。
【0107】
好ましい実施の形態では、複合爪280は、その連接が安定構成で保持されるコック位置から配される。複合爪280が配されると、それは、先に列挙した遊星駆動装置の部材のうちの1つから別の部材へ制止力を伝達する位置まで移動する。複合爪280は従って、圧縮制止力を伝達するのに十分安定した構成で保持される。複合爪280を解放して制止状態を終えたいとき、爪制御ケーブル390にとっては単に、複合爪280が圧縮負荷下で倒れるようそれを不安定化させる必要があるだけである。爪制御ケーブル390は、複合爪の連接ピボット340を安定平衡状態からまさに不安定平衡状態へと転化するのに十分な仕事エネルギー:(力×変位量)を入力する必要があるだけである。このとき、変速機自体がもたらすエネルギーがブロッカ爪部材350をその移動パターンが完了するように強制することで、ブロッカ爪部材350がラチェット歯262から離れた位置に強制的に移動される。上記機構は、負荷状態でのシフトを許容する機構の中でも、シフトの開始が、上述のカムパイロット機構のようにシフトコマンドの後ではなく、シフトコマンドと同時に起こるという点でユニークである。
【0108】
[複合爪]
図示の好ましい実施の形態では、複合爪280の2つの構造部材、つまりブロッカ爪部材350およびベース爪部材320が制止時では圧縮負荷状態にある。しかしながら、本発明を具現化する多くの代替の複合爪構成が可能である。
【0109】
図24A〜図24Eは、本発明の根底にある原理を同様に採用する代替の構造を示す。図24Fおよび図24Gは以下の説明を行うためのグラフ表示である。
【0110】
図24Fは、凹凸を有するベース部材954に対して4つの位置にある円形部材950を示す。図中、制止力F(B)は垂直下方向に作用してベース部材954に対して円形部材950を押し込む。図中、作動力F(A)は水平方向右側に作用する。安定制止状態では、円形部材950を安定位置Pから不安定位置Qへ押す力は生じない。円形部材950は位置Pに安定的に配置されたままで、遊星駆動装置の2つの部材間の相対回転を制止する位置にある。位置Pの円形部材950は制止力F(B)に対して安定平衡状態にある。
【0111】
制止状態を解除したいときは、作動力F(A)を円形部材950に作用させ、強制的にそれを位置Pをやや越えた通過直後位置Qまで移動させる。位置Qにおいて、円形部材950は制止力F(B)に対してわずかに高い位置エネルギー状態にあり、また制止力F(B)に対して不安定平衡状態にある。作動力F(A)が円形部材950を通過直後位置Qからさらに移動させると、制止力F(B)が自動的に円形部材950を、位置Rを経由して位置Sまで連続移動させる。位置Rは制止境界である。円形部材950が制止境界を下ると、円形部材950がそれ以前に制止していた部材から完全に離れる。
【0112】
小さな実作動力が短い変位量の間、円形部材950に作用することによって移動、つまり自動的に非制止状態となって完了する平衡状態の変更、が始まる。制止力F(B)の支援によって、位置Qを越えて一旦開始した移動を完了する。小さな作動力と、小さな変位量すなわち位置Pから位置Qまでの距離とを掛け合わせると、シフトを達成する少量のエネルギーまたは労力と等しくなる。
【0113】
従来の爪に該当する状況を図24Gで表す。円形部材950が矩形部材956に取って替わる。これは、従来のラチェット爪がラチェット歯から略離れるまで、ラチェット爪と歯との間の接触角度があまり変わらないという事実を示す意味がある。
【0114】
再び位置Pが制止力F(B)に対する安定平衡位置を表す。この場合、シフトを発生させるために、作動力F(A)は、はるかに長い距離の間、矩形部材956に作用して、矩形部材956を、それが最終的に不安定になり制止境界である位置Rを経由して落下し、そして最終的には解除位置である位置Sに留まる位置Qまで動かさなくてはならない。作動力F(A)は、制止力F(B)によって生成されたかなり大きな摩擦力に対向して単独で作用し、位置Rと略一致する不安定位置Qまでラチェットを動かさなくてはならない。制止力F(B)はこの移動が大方完了するまで、この移動に逆らう。作動力F(A)が比較的長い距離に渡って作用する結果、シフトを完了するのに比較的多量のエネルギーが消費される。これは、制止力が早期に優勢となりシフトの完了を支援する本発明とは対照的である。
【0115】
本発明では、安定構成と不安定構成との間の遷移点である位置Qが、できるだけ位置Pに近いことが好ましい。従来の装置では、位置Qが実質的に変位経路上のはるか遠くにある。本発明によれば、制止力F(B)を採用して、制御力F(A)によって一旦開始されたシフトを支援する。従来の装置では、制御力F(A)が実質的に単独で作用し、爪を歯から離れた状態にしなくてはならない。
【0116】
構造が遊星部材に対して制止位置から非制止位置へ倒れたり屈曲したりする不安定平衡状態とほとんど幾何学的には相違しない安定平衡状態を用いる。代替の実施の形態では、位置Pおよび位置Qは幾何学的に一致し、安定から不安定への転化は、制御ケーブルおよびリターンスプリングによって爪に作用する実際の力の変化によって起こる。これについては図24Eを参照して以下で説明する。
【0117】
制止状態を回復させたいときは、ラチェット歯のうちの1つを制止しさえすればよい。複合爪または円形部材と連係する遊星部材のさらなる回転を制止するよう、複合爪または円形部材を進行方向の歯の行く手を阻むように配置しさえすればよい。複合爪または円形部材を制止位置に再配置するためのエネルギー経路は、複合爪が所定制止位置に行くまでは、制止力に逆らう必要がない。制止の開始時に大きな力が作用するが実質的に変位しない。図24Fではこれを、ベース部材954の裏側を「密かに」回って、垂直経路を移動して再び安定制止位置である位置Pに留まる円形部材950によって表わす。これを図24Fの点線で示す。円形部材950は所定位置に密かに戻ると同時に、それが次の進行方向のラチェット歯を係止および制止する安定位置にくるまで、制止力F(B)を回避する。ラチェット歯間の空間が、これを発生させる時間を提供する。
【0118】
ここで、これらの根底原理について図24A〜図24Eで示す様々な可能な構造と関連させて説明する。
【0119】
図24Aは、ブロッカ爪部材1002が圧縮されている代替の複合爪1000を示す。ベース爪部材1004はブロッカ爪部材1002を支持し、フレームに軸支される。ベース爪部材とブロッカ爪部材との間の連接は転がり接触である。図示のように、スプリングクリップ1006は、ブロッカ爪部材1002をベース爪部材1004に対して所定位置で弾性的に保持する。制御ケーブル1008がブロッカ爪部材1002を引き上げると、ブロッカ爪部材1002は反時計回りに回転する。これは、位置Pから通過直後位置Qへ移動する図24Fの円形部材950に例えられる。装置が位置Pから位置Qへ移動すると、ラチェットホイール1010は強制的にわずかに反時計回り方向に回転させられる。これは図24Fの位置Pと位置Qとの間の凸部に例えられる。これは、制止力F(B)に対する装置の位置エネルギーの増加に相当する。ブロッカ爪部材1002が、ラチェットホイール1010に時計回り方向の回転を開始させようとするのに十分なほど先まで反時計回りに回転するとき、装置は図24Fの通過直後位置Qにあり、その後、進行方向のラチェット歯1012が行く手を阻まれないよう複合爪1000を押し出すため、位置Sまで駆動されるであろう。一旦、ブロッカ爪部材1002が行く手を阻むことなく、制止力から離れると、スプリングクリップ1006はブロッカ爪部材1002をベース爪部材1004に対して安定構成へと再配置できる。制御ケーブル1008が緩められると、複合爪1000は進行方向のラチェット歯1012の行く手を阻んで落下し、その移動を制止できる。これは図24Fの点線で示す経路に相当する。
【0120】
図24Bは、本発明に係る別の可能な複合爪1020を示す。各ラチェット歯1022は、スプリングクリップ1026によって歯1022の曲面に対向して保持されたローラ1024を備える。ベース爪部材はフレームに軸支される。装置は、図24Fの位置Pに相当する安定制止位置にあることが示されている。装置が制止力に対して安定平衡状態であるためには、制御ケーブル1029がベース爪部材を上方向に引っ張り始めて装置を不安定平衡状態にする際に、接触角度およびピボットの組み合わせによって、制止力に対する装置のエネルギー状態の増加を小さくすることが必要である。これは図24Fの位置Pから位置Qへ移動する円形部材950に相当する。またそれは、ラチェットホイール1030の反時計回り方向のわずかな回転にも相当する。次にケーブルの上方向への運動が少し増加すれば、装置が倒れてラチェットホイール1030を自由に時計回り方向に回転させるであろう。曲面状の各ラチェット歯1022とそれに対応するローラ1024との間の接触角度は、ローラ1024が上方向に回転させられるのに応じて変化する。これは力の方向を変化させて装置を不安定化させるため、装置が倒れる。
【0121】
複合爪1020がラチェットホイール1030から自由になると、スプリングクリップ1026はローラ1024をラチェット歯1022の面に対して安定構成へと戻す。ここで、制御ケーブル1029を再度緩めると、回転を安定的に制止する準備が整えられる。
【0122】
本発明に係る複合爪は、非制止位置にあるとき、どの連接部で分離してもよいことに留意されたい。遊星部材の相対回転を制止するよう装置を配備したときに限って、安定した連係が起こる必要がある。
【0123】
図24Cは、本発明に係るさらに別の可能な爪1040を示す。爪1040は単一要素であり、その「複合」性は、爪およびラチェット歯の丸みを帯びた接触面同士が相互作用して図24Fで示す動作原理を生み出すという事実にある。図中、爪1040はラチェット1044の歯1042に対して安定制止位置にある。爪1040および歯1042の曲面間の接触角度によって、ケーブル1046が爪1040を上方向に引っ張り装置を図24Fの位置Pから位置Qまで動かすときに、制止力に対する装置の位置エネルギーがわずかしか増加しない、という効果を生み出す。それに応じて、これはラチェット1044のわずかな反時計回り回転を伴うはずである。この初期回転は裸眼では確認できないかもしれないが、測定は可能である。ラチェットホイールの初期の反対方向回転は、図24Fの位置Pと位置Qとの間の凸部に相当する。言い換えれば、安定制止状態での接触角度は、ラチェットホイール1044の中心から曲面間の接点1048を結ぶ半径線RLに対してわずかに時計回りに回転させられる。ケーブル1046が爪1040を上方向に引っ張ると、曲面同士は異なる点で接触し、接触角度が反時計回りにシフトする。接触角度が半径線RLを通過すると、装置が倒れてラチェットホイール1044の時計回り方向の回転を許容する。
【0124】
制御ケーブル1046が再度緩められると、爪1040はラチェット歯1042の行く手を阻むように落下する。遊星部材の回転を安定的に制止するには、初期接触時の接触角度を半径に対してわずかに時計回りにしさえすればよい。
【0125】
この例の爪は単一要素であり、ラチェット歯との複雑な相互作用を有することによって、装置を、ラチェットホイールが強制的に爪をさらに変位させてラチェット歯の経路から完全に離れる不安定状態にするのに、少量の入力エネルギーしか必要としない。言い換えれば、シフト中に曲面同士が相互作用して、位置Pおよび位置Qをできる限り互いに近づける。
【0126】
図24Dは本発明のさらに別の可能な構成を示す。位置Pおよび位置Qを互いに近づけるための曲面同士の相互作用は、爪1050の裏面と遊星駆動装置のフレームに固定された曲面状支持体1052との間で発生する。これらの図示で、斜線は、該当する特徴が固定されていることを示す。安定制止状態の複合爪装置を再度示す。ケーブル1054を上方向に微量だけ引っ張り、装置を不安定状態にして、ラチェット1056を時計回り方向に回転させる。爪1050が持ち上げられると、曲面同士の接触角度は反時計回りに回転する。
【0127】
図24Eは本発明のさらに別の可能な構成を示す。この構成では、爪1060に掛かるばね付勢力が逆向きである。爪1060とラチェット1064の歯1062との間の曲面は、安定構成である位置Pと不安定構成である位置Qとをできる限り互いに近づける役割を果たす。事実、それらは略一致する。ケーブル1066の一定した引っ張り力が爪1060を安定平衡状態に維持する。ラチェット歯1062と爪1060との接触角度は、それ自体で制止力F(b)を安定して支持するには十分ではない。ケーブルの引っ張りを緩めると、爪1060のピボット1068、ラチェット歯1062との接点1070およびケーブルリターンスプリング1072に作用する力の実効果が結合し、爪1060を時計回りに回転させてラチェット歯1062との係合からそれを解除する。この構成では、位置Pおよび位置Qは幾何学的に略一致する。安定位置Pと不安定位置Qとの違いは、位置Pではケーブル力が爪1060を安定化させるよう作用し、位置Qでは爪を不安定化させるようケーブル力が緩められる点である。不安定位置Qから装置が倒れると、制止力F(B)を採用して位置Rを経由する位置Sまでの移動を完了させる。
【0128】
再度制止状態を回復させたいときは、制御ケーブル1066を上方向に引っ張り爪1060を安定位置Pまで揺動させる。位置Pを維持するには一定のケーブル引っ張り力を要する。
【0129】
本発明に係る遊星駆動装置の部材を制止するために採用できる機構の別の一例は、「ボールペン」型機構であろう(図示せず)。通常のボールペンは、筆記ボールの反対側端部にあるボタンを押すことに反応して、交互に展開したり格納されたりする。この例では、筆記のためにボールペンを展開し、筆記中に筆記ボールに掛かる圧縮力に堪えるため、安定平衡状態に維持する。再度ボタンをわずかに押すと、伸縮機構が不安定平衡状態をやや越えた状態となり、その後リターンスプリングが筆記ボールを引っ張り、ペン本体の中まで戻す。このボールペンと類似する機構を構成して本発明に係る遊星部材を制止できる。例えば、ピボット支持体を「ペン」の「ボタン」端部近傍に配置することによって、ペンの筆記ボール端部をラチェット歯の経路中および経路外に揺動させることができる。「ペン」をラチェット歯との係合から解除して揺動させるとき、「ボタン」を押して「筆記ボール」を展開させる。これは配備に備えたコック位置である。「ペン」を配備すると、「ペン」は、圧縮力をラチェット歯からピボットへ伝達するような位置まで枢動する。負荷状態のラチェット歯を解放するには、「ペン」を安定平衡状態から不安定平衡状態をやや越えた状態とするのに必要なだけ「ボタン」を短く押す。その時点で、「ペン」が短くなり、ラチェット歯がその移動を再開してピボットを通過するため、「ペン」が倒れる。その後「ペン」を揺動させてコック位置まで戻し、「ボタン」をより長押して再度「筆記ボール」を展開させ、次の配備に備えた安定平衡状態にそれをロックする。
【0130】
これらの例は、本発明の可能な実施の形態を限定するために提供されるのではなく、発明者が主張する根底の機構が遊星駆動装置の制御に適用された場合に、新規かつ有益であることを示すためである。これらの例では、連接制止機構は、最初に配備されたときに従来の爪の機能を果たし、遊星駆動装置の部材を制止する。連接制止機構は配備されると安定平衡配置に保たれる。遊星駆動装置を制止したくないときは、連接制止機構にエネルギーを加えて、不安定平衡状態をやや越えた状態にすることによって、連接制止機構が倒れるか、または解放される。一旦、制止荷重を緩めると、付勢装置が連接制止機構を、次の配備に備えた安定構成まで連接を回復させた状態でコック位置まで戻す。
【0131】
[リアディレーラ]
チェーンガイド510とチェーンテンショナ500との間の引棒570によって、チェーンガイドと特定の移動先のスプロケット102との間のチェーン隙間574を相対的に一定にできる。
【0132】
[リアディレーラ]
チェーンテンショナ500およびチェーンガイド510を有するリアディレーラを図9〜図14に示す。チェーンテンショナ500はスプリングキャビティ501を中心に枢動する。スプリングキャビティ501はボトムブラケット内側プレート62に固定される。テンショナアイドラケージ504は、ガード板502でガードされるガードされたアイドラスプロケット503を支持する。ガード板502は、チェーンをアイドラスプロケット503上に維持するために配置される。図10の隠線で示すチェーンテンショナスプリング505は、アイドラケージ504を付勢してチェーンリング150から離間して回転させる。図9で示すように、これらの部材は協働してアイドラスプロケット503をチェーンリング150から引き離し、駆動チェーン152の引っ張り力を維持する。
【0133】
図9および図10で示すように、チェーンテンショナ500は、主アイドラスプロケット502を副アイドラスプロケット(図9で示すように副アイドラスプロケットカバー508で覆われている)に対して変位させるよう回転して、チェーン152の弛み側を引っ張る。リアスプロケットクラスタ104のそれぞれのリアスプロケット102の周りに巻き付けるチェーン量が多かったり少なかったりすることに対応して、この弛みは分配され、あるいは巻き取られるように設けられている。
【0134】
テンショナ500を配置することで、それが、引っ張られたチェーンをそれぞれのリアスプロケット102のピックアップ接点側に略分配するのであれば、流線型ディレーラには、様々なフリーホイールまたはカセットスプロケットにチェーンが接近する際のチェーンの横方向変位を制御する役割のみが残り、その役割をチェーンガイド510が実行する。横方向変位の制御は重要であるが、垂直方向変位は、円滑なシフトおよび円滑な走行にとって比較的重要でないチェーンの引っ張り効果および慣性効果の結果であるため、変動が許容される。
【0135】
チェーンガイド510の前後方向位置は、ピボット57によってアイドラケージ504に接続された引棒570に簡便に制御される。チェーンガイド510と移動先のスプロケット102との間に延在する駆動チェーン152の一部について言及すると、アイドラケージ504によって生じる動きを利用して自動的に最小「チェーン隙間」574を維持する。
【0136】
チェーンガイド510の横方向移動は、制御ケーブル600の作用を受けるベルクランク580によって与えられる。ベルクランクリターンスプリング582は、ケーブル600に反して引っ張るようにベルクランク580を付勢する。すなわち、図10のように、ベルクランク580は下側に見た状態で反時計回りに回転するように付勢される。図9、図11および図13で示すように、ベルクランクピボット軸602は、主ベルクランク支持部材ボルト622によって自転車フレームに固定されたベルクランク支持部材620と一体のブッシュを備える。ベルクランク制御アーム530がチェーンガイド510のチェーンガイドスロット540内を摺動する。ケーブルの引っ張りによってベルクランク580を回転させる。今度はこれが制御アーム530を変位させる。チェーンガイド510の横方向位置は、制御アーム530とチェーンガイドスロット540との間のすべり接触によって精密に制御される。チェーンガイド510の前後方向位置は、チェーンガイド510の前端部にボルト締めされ、そしてピボット572を介してアイドラケージ504に枢動可能に取り付けられた、引棒570を介して有利に制御される。引棒570は、アイドラケージ504によって協調的に前後方向に動かされ、チェーンガイド510のチェーン出口端部と移動先のスプロケット102との間の最小チェーン隙間を維持すると同時に、より小型のスプロケット102からシフトダウンする最中にチェーンガイド510がより大型のスプロケットに衝突するのを防ぐ。
【0137】
このチェーン位置決め装置によって駆動チェーン152は垂直方向に浮動できる。これは、シフト中に駆動チェーン152を新たな移動先のスプロケット102まで変位させるのに必要な力以外の力がチェーンガイド510に掛からないようにする、つまり、円滑な走行のために選択したスプロケット102上にあるチェーンの現在の精確な配置を簡単に維持する、さらなるステップである。この装置の目標は、シフトを絶対最小値まで作動する力を低減すると同時に、チェーン配置の精確性を確保することである。垂直方向の浮動がチェーンの十分な巻き付けを妨げかねない状況では、チェーンが移動先のスプロケット102へ接近する際にチェーンをより高く持ち上げるための駆動チェーンフェアリングまたはプーリをチェーンガイド510に備えることができる。ベルクランク制御アーム530の下端部のロックナットと、チェーンガイドスロット部540の下側表面とに対して装着された圧縮スプリングは、チェーンの巻き付けを強くするのに必要な持ち上げを柔軟に提供するであろう。しかしながら、これはベルクランク支持体620とベルクランク580との間のブッシュで負荷を増加させ、それによってシフタ711からシフトを行う労力を増加させるだけかもしれない。従って、本発明の好ましい実施の形態ではこれを回避する。
【0138】
シンプルなスプールツイストシフタ711(図18)をハンドルバーアクチュエータとして用いて、それぞれのスプロケット中心に対応する様々な制御ケーブル位置の中で制御ケーブルを変位させたり維持したりする。入力ディレーラ制御ケーブル604は、入力ディレーラ制御ケーブル604から出力ディレーラ制御ケーブル600への移動を伝達する緩衝機構640と共にリアシフトを制御し、そして、爪制御ケーブル390は遊星駆動装置100のシフトを制御する。
【0139】
図18は、リアシフトケーブル600を制御する7位置インデックスツイストシフタ711を示す。2つの切欠きを有する同様の編成で爪制御ケーブル390を制御する。制御ケーブル端部601をツイストグリップ720にソケット付けすることによってツイストグリップ720に固定する。ツイストグリップ720は、ツイストグリップ720をケーブル600の引っ張り方向に回転させる際にケーブル600を巻くためのスプールまたは溝を備える。柔軟にインデックス位置を維持するために、デテントスプリングマンドレル710をデテントスプリングキャビティ714で囲む。マンドレル710およびスプリングキャビティはシフタハウジングと一体化し、単体としてハンドルバーにクランプで締め付けられる。このクランプはスチールボルト(図示せず)を備えたアルミニウム製であることが好ましい。複数のデテント切欠き740は、ツイストグリップおよびスプールと一体である。デテントスプリング730は、デテントスプリングキャビティ714に嵌合し、かつデテント切欠き740と相互作用するような形状をなし、金属製リーフスプリングであってもよい。デテントスプリング730とデテント切欠き740との接触角度は、制御ケーブル604を緩める方がベルクランクリターンスプリング582に反して引っ張るよりも容易であるという事実を部分的に補うよう付勢される。またデテントスプリング730は、以下のパラグラフで説明するように、スプリングキャビティ714の特徴と特殊な方法で相互作用するような形状をなす。
【0140】
ディレーラと併用される従来のインデックスシフタは、アクチュエータに「オーバーシフト」(すなわち、アクチュエータケーブルをその最終移動先を越えて引っ張ること)を採用し、アクチュエータと(マスタ)とディレーラ(スレーブ)との間のバックラッシュまたは空動きを打ち消す。
【0141】
本発明では、流線形でより妨げとならないディレーラ装置を用い、シフタではリンクのヒステリシスを克服するための「オーバーシフト」を必要としない。また「オーバーシフト」およびその結果生じるアクチュエータまたはツイストグリップのルーズな感覚を無くすのが望ましい。本発明では、デテントスプリング730とマンドレルスプリングキャビティ714との間の特殊な相互作用を利用することでこれを達成する。デテントスプリング730は、デテントスプリング730の先端部が特定のデテント切欠き740まで完全に到達すると、そのスプリングキャビティ714との接触をきつくするように構成される。具体的には、このような非シフト段階では、デテントスプリング730がボス712をその2つのグリップ端の間でつかむ。このため、ツイストグリップ720がシフトとシフトとの間でチェーン152の位置を維持しているときに、ツイストグリップ720には顕著な「ルーズさ」はない。すなわち、ツイストグリップ720は、デテントスプリング730のデテント切欠き740とボス712との連係によって1箇所にしっかりと保持される。これによって、不注意でツイストグリップ720を動かしてしまった結果生じる偶発的なシフトを実質的に防ぐ。シフトを行うためにツイストグリップ720を回転させると、スプリング730は最初に横方向にトラップされ、径方向に圧縮することしかできない。その後、径方向の圧縮は、デテントスプリング730のグリップ端同士を強制的に離すことでスプリングキャビティ714内のデテントスプリング730の急な横方向移動に対する自由を一時的にもたらし、デテントスプリング730の先端が次の切欠き740にカチッと嵌ることができる。デテントスプリング730の先端部が移動先の切欠き740まで完全に到達すると、そのグリップ端同士が再度ボス712をつかみ、しっかりとツイストグリップ720を所定位置に保持する。これによって、シフトとシフトとの間での精確で強固な感覚をツイストシフタ711に与えると同時に、ユーザが好む応答性にすぐれた機敏なシフトを保持する。
【0142】
切欠き740がツイストグリップ720と一体である構成に関する実施の形態を図示する一方、図25の部分図(B)で示すように、切欠き740はマンドレル710と一体化することにも同様に適している。また、図25(A)のようにボス712を省略してもよい。重要なことは、デテントスプリング730がシフト中に圧縮されたときのその「遊び」すなわち「ルーズさ」を増やし、そして切欠き740または相当する特徴に留まっているときの遊びを最小限にして、ケーブル変位量を精確に維持するよう、デテントスプリング730を構成することである。
【0143】
[緩衝機構]
リアシフトは緩衝機構640によって緩衝される。この緩衝装置には幾つかの利点がある。第1に、ケーブル引っ張り力を変えて、それを緩衝スプリング660の予荷重によって制限する。また、アクチュエータプルケーブルからのシフトコマンドを緩衝機構640が記憶することによって、後輪回転に同期してシフトコマンドを実行できる。駆動チェーンは、専用のピックアップによる設定に従ってスプロケットからスプロケットへシフトし、リアスプロケットクラスタ104のそれぞれのスプロケット102に配置された歯を解放する。1つのスプロケット102から別のスプロケットへのチェーンシフトを行うのに、スプロケットクラスタ104は最小限の回転量しか要求されない。自転車のペダルをゆっくりとこぐとき、または停止時に、チェーンはアクチュエータからのコマンドに追随できない。本発明の装置は、動かなくなったり、制御ケーブルの張りにスパイクが発生したりするのではなく、コマンドをバッファ(すなわち保存)し、スプロケットクラスタ104が十分に回転してコマンドが実行可能になったら即実行する。
【0144】
緩衝スプリング660に、ベルクランクリターンスプリング582における最高荷重よりもわずかに高い予荷重を掛ける。通常の高速走行状態では、緩衝機構640は単にケーブル変位を伝達するだけである。入力スプール680は出力スプール670と共に回転する。シフトコマンドをバッファする必要があるとき、入力スプール680はケーブルが引っ張られる方向に出力フォーク652を巻き上げる。出力フォーク652は入力スプール680を貫通する穴682に挿入されることによって、図17で示すように、それが固定されて入力スプール680と共に回転し、そして図16で示すように、出力スプール670のスロット671にトラップされているフォーク652によって回転が制限される。通常、緩衝スプリング660の予荷重がフォーク652をスロット671の一端に保つことによって、入力スプール680および出力スプール670が全体的に回転する。
【0145】
特に、緩衝スプリング660は、シフトを試みる間に制御ケーブル600の引っ張り力が緩衝スプリング660の予荷重以上であるときに限り、スプール670とスプール680との間の相対回転を許容するため、シフトコマンドをバッファする必要がある。そのような場合、フォーク652を溝671の一端から引き離すことで、入力スプール680を出力スプール670よりも先まで回転させる。スプロケットクラスタ104の回転が許せば、その後、フォーク652が再度スロット671の一端に接触して留まるまで、緩衝スプリング660の予荷重毎にコマンドを実行する。緩衝機構640が入力スプール680と出力スプール670との間の相対回転を十分に許容することによって、ケーブルの引っ張り方向における全シフト範囲(最小のスプロケット102から最大のスプロケットまでのシフトに相当する)をバッファでき、スプロケットクラスタ104の回転が許すときに実行できる。これは、例えば、自転車ショップを訪れた顧客が展示バイクのツイストグリップ720をひねることで動かなくなったり、過度に負荷を掛けられたりすることからシフト装置を保護する。また緩衝装置は、過度に速いシフトの最中にディレーラで発生する荒々しい衝撃波からシフタ711を隔離する。また緩衝装置によって、駆動チェーン152は、スプロケット間に提供された専用のシフトゲートを通ってスプロケットクラスタ104全体にわたって円滑に移動するようになる。
【0146】
図15は緩衝スプリング660の編成を示す。緩衝スプリング660の下側タング662bは緩衝スプリングマンドレル650に係合する。緩衝スプリングマンドレル650はフォーク652と一体である。緩衝スプリング660の上側タング662aは出力スプール670に係合する。これによってフォーク652がスロット671の端部に押し付けられたまま維持される。スロット671は出力スプール670と一体である。
【0147】
入力スプール680は、シフタ711から繰り出される制御ケーブル604を固定するケーブルクランプ690を備える。出力スプール670は、制御ケーブル604のうちの、ベルクランク580に繰り出され、最終的にはケーブルクランプ584によってベルクランク580に固定される、第2の長さ部分をトラップするソケット700を備える。
【0148】
図示の実施の形態の緩衝機構640は、予荷重下のねじり緩衝スプリング660の入力スプール680および出力スプール670の相対回転変位を記憶することによってシフトコマンドをバッファするが、本発明の範囲または精神から逸脱しない限り、圧縮または引っ張りで予荷重を掛けられたスプリングの入力緩衝部材および出力緩衝部材の相対直線変位を同様に記憶することによって、または次の伝達に備えて相対変位を記憶するその他の適切な機構によってシフトコマンドをバッファしてもよいことに留意されたい。
【0149】
[カバー]
上述したように、単一のチェーンリング150を用いることで、チェーンテンショナ500をチェーンリング150に近接して取り付けることを許容し、スプロケットクラスタ104に近接する別体のチェーンガイド510のためのスペースを残している。チェーンガイド510がシンプルであるゆえ、従来のリアディレーラの平行四辺形よりもコンパクトであり、それによって動力伝達装置10全体を覆うことが実施可能であるという相乗効果的な結果を生み出す。特に図23で示すように、本発明の流線形リアディレーラ装置の構成部品はチェーンステイ900の外縁の略内側に在るので、被覆型動力伝達装置10の外縁が、隠図で示すチェーンステイ900の外縁を密接に追従することが可能である。
【0150】
図19〜図21を参照すると、本発明のカバーアセンブリの構造が示されている。ボトムブラケット後部プレート62は、後部プレート62をボトムブラケットのシェルの外側に固定するクランプ装置63を備える。後部プレート62は、遊星駆動装置100の内側を覆うのに加え、複合爪280、緩衝機構640およびチェーンテンション装置500に構造的な支持も提供する。一旦、ボトムブラケット後部プレート62をボトムブラケットにクランプ締めしてしまえば、上述のサブシステムを支持する同一の構造的特徴によってチェーンステイにも回転可能にトラップされる。こうして後部プレート62を自転車フレームに対して固定する。
【0151】
後部バックプレート60を後部プレート62にボルト締めまたはスナップ締めする。後部バックプレート60は、出力制御ケーブル600を緩衝機構640からベルクランク580へと配線するケーブル経路トンネル66を備える。
【0152】
次に図20ではカバーアセンブリの前部プレートを示す。前方外側プレート20を、後部プレート62から外側に突出するフランジに締着する。同様に、下側外側カバープレート30および上側外側カバープレート40をそれぞれ後部プレート60から外側に突出するフランジに固定する。最後に、スプロケットカバープレート50を外側カバープレート30および40にクリップ留めし、取り外しを容易にする。
【0153】
本発明については、当業者に理解されるように、特定の好ましい実施の形態に基づき説明しているが、言うまでもなく、本発明は多くの変更、変形および再編成が可能であり、それらの変更、変形および再編成も以下の特許請求の範囲によって含まれることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星駆動装置であって:
a)フレームに回転可能に取り付けられるリングギヤと;
b)前記リングギヤと噛み合い、遊星キャリアに回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、前記遊星キャリアが前記フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;
c)前記遊星歯車と噛み合い、前記フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;
d)前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;
e)前記第1の遊星部材と、前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材との間に移動可能に配設される複合爪とを備え;
前記複合爪はベース爪部材およびブロッカ爪部材を有し、
前記ブロッカ爪部材は、前記ラチェットと係合して前記第1の遊星部材および前記第2の遊星部材の被駆動相対回転を阻止するように構成され、
前記ベース爪部材は、ベース連結部で前記第2の遊星部材に移動可能に取り付けられ、前記ブロッカ爪部材は、連接接合部で前記ベース爪部材に対して移動可能に位置決めされるように構成され、
前記ブロッカ爪部材が前記ラチェットと係合し、前記連接接合部での前記ブロッカ爪部材と前記ベース爪部材との相対的構成が安定しているとき、前記複合爪は安定的に制止力を提供して、前記被駆動相対回転を発生させるように作用する荷重に対向することによって、前記被駆動相対回転を阻止するように構成され、
前記遊星駆動装置はさらに;
f)遊星シフトアクチュエータを備え;
前記遊星シフトアクチュエータは、前記複合爪に力を作用させて、前記ブロッカ爪部材および前記ベース爪部材の前記相対的構成を前記連接接合部において不安定状態にさせることによって、実質的に前記制止力を緩め、前記被駆動相対回転を許容するように構成された、
遊星駆動装置。
【請求項2】
前記遊星シフトアクチュエータは、前記力を前記複合爪に伝達するように構成された遊星シフトアクチュエータリンクを備える、
請求項1に記載の遊星駆動装置。
【請求項3】
前記遊星シフトアクチュエータリンクは、前記ブロッカ爪部材に対して動作可能に接続され、枢動可能に取り付けられるケーブルクランプに保持された遊星シフトアクチュエータケーブルである、
請求項2に記載の遊星駆動装置。
【請求項4】
前記遊星シフトアクチュエータリンクは、前記ベース爪部材に対して動作可能に接続され、枢動可能に取り付けられるケーブルクランプに保持された遊星シフトアクチュエータケーブルである、
請求項2に記載の遊星駆動装置。
【請求項5】
チェーン駆動装置であって:
駆動スプロケットに近接して車両フレームに移動可能に取り付けられるチェーンテンショナと;
前記チェーンテンショナに回転可能に取り付けられるアイドラスプロケットと;
前記チェーンテンショナを付勢して、前記アイドラスプロケットと係合したチェーンに反して移動させることによって前記チェーンを引っ張るチェーンテンショナスプリングであって、前記チェーンは、前記駆動スプロケットと係合し、前記車両フレームに回転可能に取り付けられる複数の軸方向に離間した被駆動スプロケットのうちのいずれかと交互に係合可能である、チェーンテンショナスプリングと;
前記被駆動スプロケットに近接する前記チェーンの一部と連係し、前記被駆動スプロケットに対して横方向に移動可能なチェーンガイドとを備え;
前記チェーンガイドの横方向の移動によって前記チェーンを前記被駆動スプロケットのうちの1つとの係合から解除させ、隣接する被駆動スプロケットと係合させることによって、前記駆動スプロケットの回転に対する前記係合した被駆動スプロケットの回転のチェーン駆動比を変化させ、前記チェーンガイドを、前記チェーンの引っ張りに関連する力から実質的に隔離するように構成された、
チェーン駆動装置。
【請求項6】
前記チェーンガイドが前記チェーンテンショナに動作可能に接続されることによって、前記チェーンガイドは、前記チェーンテンショナがばねの付勢方向に枢動するときに前記被駆動スプロケットに向かって平行移動するとともに、前記チェーンテンショナがばねの反対方向に枢動するときに前記被駆動スプロケットから離間するように平行移動し、前記チェーンガイドと連係する前記チェーンの一部と、係合した前記被駆動スプロケットとの間のチェーンの長さを最小限にすると同時に、前記チェーンガイドと前記係合した前記被駆動スプロケットとのクリアランスを維持するように構成された、
請求項5に記載のチェーン駆動装置。
【請求項7】
前記チェーンガイドに動作可能に接続されるディレーラアクチュエータリンクと;
前記ディレーラアクチュエータリンクに動作可能に接続されるディレーラアクチュエータとをさらに備え;
前記ディレーラアクチュエータは:
ベースアクチュエータ部材と移動可能に接続される可動アクチュエータ部材と;
前記可動アクチュエータ部材と前記ベースアクチュエータ部材との間に圧縮配設されるデテントスプリングとを備え;
前記デテントスプリングは、前記ベースアクチュエータ部材および前記可動アクチュエータ部材のうちの一方と一体に設けられた複数の離間した雌係合特徴のいずれかと交互に係合するように構成された雄係合特徴を有し、
前記デテントスプリングの反対側端部が、前記ベースアクチュエータ部材および前記可動アクチュエータ部材のうちの他方と一体に設けられたスプリングキャビティの端壁と係合することによって、前記デテントスプリングの雄係合特徴が特定の雌係合特徴と係合しているとき、前記可動アクチュエータ部材および前記ベースアクチュエータ部材の偶発的な相対移動を実質的に阻止するように構成され、
前記可動アクチュエータ部材を前記ベースアクチュエータ部材に対して移動させるとき、前記反対側端部を強制的に前記端壁との係合から離間させることによって、前記デテントスプリングの雄係合特徴を自由にして早急に雌係合特徴と係合させるように構成された、
請求項5に記載のチェーン駆動装置。
【請求項8】
前記駆動スプロケットと連係する遊星駆動装置をさらに備え;
前記遊星駆動装置は:
前記駆動スプロケットと一体に設けられたリングギヤと;
前記リングギヤと噛み合い、スパイダ部材に回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、前記スパイダ部材が前記車両フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;
前記遊星歯車と噛み合い、前記車両フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;
前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;
前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材に移動可能に取り付けられる爪とを有し;
前記爪は、前記ラチェットと係合したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を阻止するとともに、前記ラチェットを係合から解除したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を許容するように構成され、
前記遊星駆動装置はさらに;
前記爪を前記ラチェットと係合させ、また解除させるように構成された爪アクチュエータを有し;
前記爪が前記ラチェットと係合しているときに、出力遊星部材の出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第1の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束し、前記爪が前記ラチェットとの係合から外れているときに、出力遊星部材の前記出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第2の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束するように構成され、
前記出力遊星部材および前記入力遊星部材は、前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択されるように構成された、
請求項5に記載のチェーン駆動装置。
【請求項9】
人力車両用変速装置の駆動比制御リンクのインライン緩衝機構であって:
前記駆動比制御リンクを最大シフトアップ位置と最大シフトダウン位置との間の位置範囲内でシフトアップ方向およびシフトダウン方向に変位させるように構成されたシフトアクチュエータと;
前記駆動比制御リンクの変位に応じて移動するように構成された入力緩衝部材と;
前記入力緩衝部材の入力変位を出力緩衝部材に伝達するように予荷重を掛けられた緩衝スプリングとを備え;
前記駆動比制御リンクの、前記シフトアップ方向および前記シフトダウン方向のうちの少なくとも1つの方向における変位が前記入力緩衝部材に作用力を伝達し、前記入力緩衝部材に、前記出力緩衝部材に対する十分な変位を許容して、前記駆動比制御リンクの前記作用力の伝達方向における全範囲の変位を前記緩衝スプリングに吸収させるように構成された、
人力車両用変速装置の駆動比制御リンクのインライン緩衝機構。
【請求項10】
前記入力緩衝部材の前記出力緩衝部材に対する前記入力変位は回転である、
請求項9に記載のインライン緩衝機構。
【請求項11】
前記入力緩衝部材の前記出力緩衝部材に対する前記入力変位は直線的である、
請求項9に記載のインライン緩衝機構。
【請求項12】
人力車両用被覆型チェーン駆動装置であって:
車両フレームに回転可能に取り付けられる複数の軸方向に離間した被駆動スプロケットと;
前記車両フレームに回転可能に取り付けられる駆動スプロケットと;
前記駆動スプロケットと係合して、前記被駆動スプロケットのいずれかと交互に係合可能な駆動チェーンと;
前記駆動スプロケットに近接し、駆動チェーンの引っ張り力を維持するように構成されたチェーンテンショナと;
前記被駆動スプロケットに近接する一部の前記駆動チェーンと連係するチェーンガイドと;
前記チェーンガイドを内側方向および外側方向に移動して、前記駆動チェーンを、前記複数の軸方向に離間したスプロケットのうちの1つとの係合から解除させ、また隣接するスプロケットと係合させることによって、前記駆動スプロケットの回転に対する前記係合した被駆動スプロケットの回転のチェーン駆動比を変化させるように構成されたディレーラアクチュエータと;
前記変速装置を実質的に覆うカバーアセンブリとを備え;
前記チェーンテンショナ、チェーンガイドおよびディレーラアクチュエータを前記車両フレームの略内側に配置するように構成された、
人力車両用被覆型チェーン駆動装置。
【請求項13】
前記駆動スプロケットと連係する遊星駆動装置をさらに備え;
前記遊星駆動装置は:
前記駆動スプロケットと一体に設けられたリングギヤと;
前記リングギヤと噛み合い、スパイダ部材に回転可能に取り付けられる遊星歯車であって、前記スパイダ部材が前記車両フレームに回転可能に取り付けられる、遊星歯車と;
前記遊星歯車と噛み合い、前記車両フレームに回転可能に取り付けられる太陽歯車と;
前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第1の遊星部材と一体に設けられたラチェットと;
前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択される第2の遊星部材に移動可能に取り付けられる爪とを備え;
前記爪は、前記ラチェットと係合したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を阻止するように構成されるとともに、前記ラチェットを係合から解除したときに前記第2の遊星部材に対する前記第1の遊星部材の時計回り方向の回転を許容するように構成され、
前記遊星駆動装置はさらに;
前記爪を前記ラチェットと係合させ、また解除するように構成された爪アクチュエータを備え;
前記爪が前記ラチェットと係合しているときに、出力遊星部材の出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第1の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束し、前記爪が前記ラチェットとの係合から外れているときに、出力遊星部材の前記出力回転を、入力遊星部材の入力回転に第2の遊星駆動比を乗じたものと等しいか又はこれを超えるものとなるように拘束するように構成され、
前記出力遊星部材および前記入力遊星部材は、前記リングギヤ、前記遊星歯車、前記遊星キャリア、前記太陽歯車および前記車両フレームからなるグループから選択されるように構成された、
請求項12に記載の人力車両用被覆型チェーン駆動装置。
【請求項14】
前記爪は複合爪であって:
ベース部材と;
ブロッカ部材とを備え;
前記ブロッカ爪部材は、前記ラチェットと係合して前記第1の遊星部材および前記第2の遊星部材の被駆動相対回転を阻止するように構成され、
前記ベース爪部材は、ベース連結部で前記第2の遊星部材に移動可能に取り付けられ、前記ブロッカ爪部材は、連接接合部で前記ベース爪部材に対して移動可能に位置決めされるように構成され、
前記ブロッカ爪部材が前記ラチェットと係合し、前記連接接合部での前記ブロッカ爪部材と前記ベース爪部材との相対的構成が安定しているときに、前記複合爪は安定的に制止力を提供して、前記被駆動相対回転を発生させるように作用する荷重に対向することによって、前記被駆動相対回転を阻止するように構成され、
前記爪アクチュエータは、前記複合爪に力を作用させて、前記ブロッカ爪部材および前記ベース爪部材の前記相対的構成を前記連接接合部で不安定状態にさせることによって、実質的に前記制止力を緩め、前記被駆動相対回転を許容するように構成された、
請求項13に記載の人力車両用被覆型チェーン駆動装置。
【請求項15】
前記連接接合部での前記ブロッカ爪部材および前記ベース爪部材の前記相対的構成を、爪リセット機構によって安定構成側に付勢するように構成された、
請求項14に記載の人力車両用被覆型チェーン駆動装置。
【請求項16】
前記入力遊星部材の入力回転に対する前記係合した被駆動スプロケットの出力回転の最大総駆動比および最小総駆動比を提供し、
前記最大総駆動比は前記最小総駆動比の少なくとも4倍である、
請求項13に記載の人力車両用被覆型チェーン駆動装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10a】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図24E】
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【図24F】
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【図24G】
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【図25】
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【公表番号】特表2010−540321(P2010−540321A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526872(P2010−526872)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/007769
【国際公開番号】WO2009/042001
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510078414)パターソン バイシクル トランスミッション エルエルシー,ア フロリダ リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】PATTERSON BICYCLE TRANSMISSION LLC, A FLORIDA LIMITED LIABILITY COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 Las Olas Circle #211, Fort Lauderdale, FL 33316 United States of America
【Fターム(参考)】