説明

舶用排ガス処理装置

【課題】船舶のディーゼルエンジンの排気煙道を通じて煙突から排出されている排ガス中から、人体に有害なSO3とススなどの固体粒子を捕集することができる舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電電極と集塵電極からなる電気集塵手段と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段とを配置する。前記電気集塵手段の前段には海水噴霧手段を設け、排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記海水噴霧手段による噴霧量を制御して温度調整をなす温度制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舶用ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる、スス等の固体粒子や硫黄酸化物および窒素酸化物を除去することができる舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
舶用ディーゼルエンジンから排出される燃焼排ガス中には、ススや硫黄酸化物(SO2、SO3)が多く含まれる。近い将来、硫黄含有量が少ない重質油が舶用ディーゼル燃料として利用されることが見込まれ、この燃料をエンジンで燃焼させることにより排ガスに含まれる硫黄酸化物を従来に比べてかなり減少させることが可能である。
【0003】
しかしながら、ススやSO3は微量でも人の肺や血管に蓄積すると健康被害を引き起こすことが医学的に知られている。特に、SO3は煙突から出たあとに冷却されてガスからミストに変化し大気中を浮遊しながら地球規模で拡散していき、長い時間に亘って大気中を滞留するので問題である。
【0004】
この種の問題を解決するため、従来から舶用ディーゼルエンジンからの排ガスを浄化する技術が提案されており、下記特許文献1,2が知られている。特許文献1に記載の技術は、パルスコロナ放電による脱硝と海水散布によるスクラバー(SCR)装置を用いた脱硫とを行うことが示され、特許文献2に記載の技術は、排ガス経路に微粒子除去手段と脱硝装置を配列したものが示されている。
【0005】
しかし、これら特許文献1、2の排ガス処理方法では、ススなどの固体粒子の捕集はできるが、SO3を捕集することはできなかった。さらに、SCRなどの触媒ではSO3は捕集できない上に、C重油焚き内燃機関では高濃度の硫黄成分による被毒で触媒が破壊するなどの問題があり十分な集塵効果が期待できなかった。また、海水洗浄による方法では排水中にススなどの固体粒子が含まれており、海洋汚染を防止するためには大掛かりな排水浄化処理装置が必要であった。
【特許文献1】特開平08−10564号公報
【特許文献2】特開2001−227332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、船舶のディーゼルエンジンの排気煙道を通じて煙突から排出されている排ガス中から、人体に有害なSO3とススなどの固体粒子を捕集することができ、これにより人類と地球環境の保護に貢献することができる舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置は、舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って排ガス中に海水を噴霧する海水噴霧手段と、この海水が噴霧された排ガスを導入して硫酸ミストやススを含む補修対象物質を帯電除去する電気集塵手段とを順次配置するとともに、前記排気煙道出口の直前部に固体粒子を捕獲するフィルタ手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置は、舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電極と集塵極からなる電気集塵手段と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段とを配置し、前記電気集塵手段の前段には海水噴霧手段を設け、排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記海水噴霧手段による噴霧量を制御して温度調整をなす温度制御手段を設ける構成とすればよい。
【0009】
更に、本願発明は、舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電極と集塵極からなる電気集塵手段と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段とを配置し、前記電気集塵手段の前段には排ガスを冷却する熱交換器を配置するとともに、前記電気集塵手段の後段側に排ガスを再加熱する熱交換器を配置し、両熱交換器間に熱交換媒体を循環させる熱交換手段を設け、排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記熱交換手段を調整する温度制御手段を設けてなる構成としてもよい。
上記構成に加えて、前記フィルタ手段の後段には脱硝触媒を配置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により、本願発明では、排ガス中での海水噴霧蒸発により排ガスを冷却して硫酸の液体粒子即ちSO3ミストを形成し、または、海水噴霧に代えて熱交換器を用いて排ガスの冷却を図り、これによって、硫酸の液体粒子即ちSO3ミストを形成し、SO3ミストとスス等の固体粒子の一部を後段の湿式電気集塵装置により捕集することができる。さらに、残った微量の固体粒子はさらに後段のフィルタによって捕集して煙突出口から排出されないようにすることができる。
【0011】
本発明によれば、人体に有害なSO3を捕集することができる上、従来のように排水処理設備を必要としないで固体粒子を捕集することができる。本発明によれば、船舶の排ガスからSO3、スス、NO、NO2を捕集することができ、これらが大気中に放出されるのを防止するので地球環境保護と人類健康保持に貢献できる。さらに本発明によれば水処理設備が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下添付図面に従って、本発明に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置の好ましい実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置の構成図である。この装置は、基本的に、舶用ディーゼルエンジン10の排気煙道12に沿って排ガス14中に海水を噴霧する海水噴霧手段16と、この海水が噴霧された排ガス14を導入して硫酸ミストやススを含む補修対象物質を帯電除去する電気集塵手段18とを順次配置するとともに、前記排気煙道出口の直前部に固体粒子を捕獲するフィルタ手段20を設けた構成となっている。
【0013】
まず、海水噴霧手段16は、排気煙道12内に配置された海水噴霧ノズル22を有している。この海水噴霧ノズル22には、船外から汲み上げられた海水を供給することができるようになっている。このため、海水汲み上げポンプ24と、このポンプ24によって取り込まれた海水26を一旦貯留する海水貯留タンク28とを有している。更に、海水貯留タンク28から昇圧ポンプ30を経由して海水26を前記海水噴霧ノズル22から排気煙道12の中に噴霧させるようにしている。このとき、前記昇圧ポンプ30と海水噴霧ノズル22の間には、海水流量調整弁32が設けられ、後述する制御手段によって、排ガス14中への海水噴霧量を調整できるようにしている。海水噴霧ノズル22による噴霧方向は排ガス14の流れと同方向とされているが、拡散型の噴霧ノズルとされ、排気煙道12の断面方向全体に噴霧が拡散するように設定されている。
【0014】
上記海水噴霧手段16の下流側には、海水が噴霧された排ガス14を導入して硫酸ミストやススを含む補修対象物質を帯電除去する電気集塵手段18が配置されている。当該電気集塵手段18は、放電電極34と集塵電極36が排気煙道12に配置されたもので、導入される排ガス14中の補修対象物質の粒子を帯電させて除去するもので、前記二つの電極34、36で一般に知られている湿式電気集塵装置を構成している。この実施形態では、集塵電極36は排気煙道12を構成している排ガス配管13自体を利用している。これによって、部品点数の削減とともに、排気通路断面積を確保することができる。
【0015】
ここで、この実施形態に係る排ガス処理装置では、排気煙道12中の排ガス温度を検出して、前記電気集塵手段18の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記海水噴霧手段16による噴霧量を制御して温度調整をなす温度制御手段38を設けている。まず、前記電気集塵手段18の入口における排ガス温度を検出するために温度センサの熱電対40が配置されている。前記温度制御手段38は、図2に示すように、熱電対40による検出値を入力する温度検出器42を有し、検出値から温度に換算するようにしている。この温度検出器42により求められた温度信号を入力する演算器44が設けられており、ここでは、SO3の露点温度を基準温度として、検出した排ガス温度と比較し、排ガス14の温度を酸露点温度となるような海水噴霧量を算出するようにしている。
【0016】
舶用ディーゼルエンジン10から出た直後の排ガス14は海水26よりも高温のために海水26は蒸発し、蒸発潜熱によって排ガス14は冷却される。排ガス温度がSO3の露点温度以下になるまで海水を噴霧すれば、舶用ディーゼルエンジン10から出たSO3ガスは冷却されて、気体から液体の硫酸ミスト粒子に変換され、静電気力によって下流側の集塵電極36に引き寄せられて除去することができる、
【0017】
そこで、温度制御手段38では、演算器44で基準信号と検出信号との差分を求め、差分が「0」となるような弁開度信号を算出し、これを流量調整弁制御器46に出力するようにしている。流量調整弁制御器46は弁開度信号を海水流量調整弁32に送出し、海水の噴霧量を調整するようにしている。
【0018】
前記電気集塵手段18における集塵電極36を兼ねた排ガス配管13の底面部には硫酸回収パイプ48が接続され、硫酸回収タンク50に通じている。前記排ガス配管13内では、海水の噴霧によって、排ガス温度がSO3の露点温度以下になり、舶用ディーゼルエンジン10から出たSO3ガスは冷却されて、気体から液体の硫酸ミスト粒子に変換され、静電気力によって下流側の集塵電極36に引き寄せられる。同時にスス等の固体粒子も集塵電極36に引き寄せられ、前記の硫酸ミストと固体粒子が混ざった混合液体となり、重力の作用によって集塵電極36である排ガス配管13の内表面を伝って底面に溜まり、排ガス14の内部圧力によって押されて硫酸回収パイプ48を伝って硫酸回収タンク50に排出されて貯留される。
【0019】
電気集塵手段18を構成している排ガス配管13の後端部には、その内向きフランジとなっているフェンス52が形成されている。このフェンス52は環状形状を有し、排気煙道12の内表面に設置されており、前記混合液体が排ガス14に同伴して下流に飛散するのを防止する。
【0020】
電気集塵手段18の下流にはフィルタ手段20が設けられている。このフィルタ手段20は、上流で捕集し切れなかったススなどの固体粒子を捕集できる複数の濾過器54を排気煙道12の断面を埋めるように配置している。この濾過器54はセラミックフィルタやバグフィルタが使用できる。濾過器54は複数個配置され、各濾過器は仕切り板56で隔離されている。濾過器54の各々に対応して、上流には入口弁58が、下流には出口弁60が配置されるが、通常は入口弁58と出口弁60は開放されていて排ガス14が濾過器54を通過して、固体粒子62が濾過器54内部に残る構造となっている。濾過器54内部に溜まった固体粒子62は定期的に回収するようにしている。
【0021】
この回収のために、各濾過器54の出側と出口弁60との間の空間に圧縮空気を導入して逆洗できるようにしており、空気圧縮機64から導出される圧縮空気管66を前記空間に導いている。一方、濾過器54の入り側と入口弁58の間の空間に開口する払い落とし管68とこれに通じる回収箱70を設け、払い出された固体粒子62を回収箱70に溜めることができるようにしている。各濾過器54に向けて開口する圧縮空気管66と、払い落とし管68には各々圧縮空気弁72、回収弁74が設けられ、任意の濾過器54を選択的に逆洗して固体粒子の回収を行えるようにしている。回収操作は濾過器54全てについて同時には行われず、少なくとも1個以上の濾過器54の入口弁58と出口弁60は開放させておくことができる。なお、濾過器54にセラミックフィルタを用いた場合には、流体抵抗によりエネルギー損失が発生し、舶用ディーゼルエンジン10の運転性能に支障をきたすことがある。その回避策として濾過器54の下流側に誘引送風機76を設置する。
【0022】
このように構成された舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置は、海水汲み上げポンプ24によって船外から取り込まれた海水26が海水噴霧ノズル22から排気煙道12の排ガス14中に噴霧される。舶用ディーゼルエンジン10から出た直後の排ガス14は海水26よりも高温のために海水は蒸発し、蒸発潜熱によって排ガスは冷却される。排ガス温度が電気集塵手段18の入口でSO3の露点温度以下になるように海水流量調整弁32で海水噴霧量が制御されているので、舶用ディーゼルエンジン10から出たSO3ガスは冷却されて、電気集塵手段18の入口で気体から液体の硫酸ミスト粒子に変換され、静電気力によって下流側の集塵電極36に引き寄せられることになる。同時にスス等の固体粒子も集塵電極36に引き寄せられ、前記の硫酸ミストと固体粒子が混ざった混合液体となり、重力の作用によって集塵電極36を構成している排ガス配管13の内表面を伝って底面に溜まり、排ガス14の内部圧力によって押されて硫酸回収パイプ48を伝って硫酸回収タンク50に排出される。
フェンス52は前記混合液体が排ガスに同伴して下流に飛散するのを防止する。
【0023】
このように本実施形態では、排ガス14の温度を検出し、温度制御手段38の流量調整弁制御器46からの出力信号に応じて海水流量調整弁32の開度が決定されて噴霧する海水量を調整できる。排ガス温度を入力とし、目標値を酸露点温度とし、入力値と目標値を比較しながら排ガス温度が酸露点温度以上であれば海水流量調整弁32の開度を上げ、また酸露点温度以下であれば開度を下げるようなフィードバック制御を演算器44で実行すれば排ガス温度が調整できてSO3ミストが形成されて、集塵電極36で捕集することができる。その際に、ススなどの固体粒子も同時に集塵電極36に捕集され、硫酸液と一緒に硫酸回収タンク50に回収される。さらに演算器44の目標温度の値は酸露点温度より高くても、また低くても構わない。
【0024】
電気集塵手段18の下流にはフィルタ手段20の濾過器54が配置され、上流で捕集し切れなかったススなどの固体粒子が捕集される。濾過器54の前後の弁58,60を開放することにより、排ガス中に残留している固体粒子62が濾過器54内部に捕獲される。濾過器54は複数個配置され、各濾過器は仕切り板56で隔離されているので、上流の入口弁58と下流の出口弁60を開放している濾過器54で捕集作用が行われるが、入口弁58と出口弁60が共に閉止されている濾過器54では逆洗作用によって捕獲された個体粒子の回収が行われる。すなわち、上流と下流は遮断されて排ガスが通過できなくした濾過器54に対して、圧縮空気弁72を開放して、別置きの空気圧縮機64から圧縮空気管66を経て圧縮空気を供給し、濾過器54の下流側の圧力を上昇させて溜まった個体粒子を濾過器54の上流側に排出させる。他方、回収弁74を開放すると払い落とし管68を経て回収箱70に固体粒子62が回収される。
【0025】
なお、この回収操作は濾過器54全てについて同時には行われず、少なくとも1個以上の濾過器54の入口弁58と出口弁60は開放させておく必要がある。濾過器54の下流側に誘引送風機76を設置しているので、濾過器54にセラミックフィルタを用いた場合に流体抵抗に起因するエネルギー損失を回避して、ディーゼルエンジン10の運転性能に支障を与えることを防止できる。
【0026】
次に、図3に第2の実施形態を示す。これは、海水噴霧の代わりに熱交換器を用いて、さらに脱硝を目的とした触媒が使用できるようにした舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置の構成を示している。
【0027】
すなわち、この第2実施形態に係る排ガス処理装置は、舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電電極と集塵電極からなる電気集塵手段18と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段20とを配置している構成は上述した第1の実施形態と同様であるが、前記電気集塵手段18の前段には排ガスを冷却する排ガス冷却用熱交換器80を配置するとともに、前記電気集塵手段18並びにこれに縦列しているフィルタ手段20の後段側に排ガスを再加熱する排ガス再加熱用熱交換器82を配置し、両熱交換器間に熱交換媒体を循環させる熱交換手段84を設けている点が第1の実施形態と異なる。また、排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記熱交換手段84を調整する温度制御手段86を設け、前記フィルタ手段20、排ガス再加熱用熱交換器82の後段には脱硝触媒手段88を配置している。
【0028】
この実施形態における電気集塵手段18は、第1実施形態と同様、前記放電電極、集塵電極、硫酸回収パイプ、硫酸回収タンクで構成される。電気集塵手段18の下流にはフィルタ手段20が配置される。フィルタ手段20は、濾過器、入口弁、出口弁、仕切り板、払い落とし管、回収弁、回収箱、圧縮空気弁、圧縮空気管、空気圧縮機で構成される。これらは第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0029】
フィルタ手段20の下流には触媒脱硝手段88が配置される。触媒脱硝手段88はバナジウム等の触媒作用をもつ物質と、アンモニア又は尿素を注入する装置で構成され、排ガス中の窒素酸化物であるNOやNO2を含む排ガスにアンモニアまたは尿素を混合し、触媒層を通過させ、NOやNO2を窒素と水に分解する。電気集塵手段18の上流に設置された排ガス冷却用熱交換器80で排ガスを冷却する。排ガス14を冷却してSO3と固体粒子62を電気集塵手段18で捕集する原理は、前記図1と同様である。排ガス冷却用熱交換器80で排ガスから吸収した熱エネルギーは、伝熱管90によって脱硝触媒手段88の上流に設置された排ガス再加熱用熱交換器82に送られ、排ガス再加熱用熱交換器82によって排ガス14が再び加熱され、下流側の脱硝触媒手段88で触媒によるNOとNO2の酸化反応が促進される。伝熱管90の中は空気や水などの熱交換媒体92が流れており、ポンプ94によって伝熱管90の中を循環しながら、排ガス冷却用熱交換器80では伝熱管壁を通じて排ガス14の熱を吸収したり、排ガス再加熱用熱交換器82では排ガス14に熱を供給したりして、熱交換を行う。
【0030】
また、この排ガス処理装置でも、電気集塵手段18の入口部分における排ガス温度を検出する熱電対(図1参照)を設け、この検出信号を入力して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記熱交換手段84のポンプ94を制御調整する温度制御手段86を設けているので、電気集塵手段18による硫酸ミストの回収が行われ、舶用ディーゼルエンジン10からの排ガスの浄化を効果的に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置のブロック図である。
【図2】同装置の温度制御手段部分のブロック図である。
【図3】第2実施形態に係る舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
10………舶用ディーゼルエンジン、12………排気煙道、13………排ガス配管、14………排ガス、16………海水噴霧手段、18………電気集塵手段、20………フィルタ手段、22………海水噴霧ノズル、24………海水汲み上げポンプ、26………海水、28………海水貯留タンク、30………昇圧ポンプ、32………海水流量調整弁、34………放電電極、36………集塵電極、38………温度制御手段、40………熱電対、42………温度検出器、44………演算器、46………流量調整弁制御器、48………硫酸回収パイプ、50………硫酸回収タンク、52………フェンス、54………濾過器、56………仕切板、58………入口弁、60………出口弁、62………固体粒子、64………空気圧縮機、66………圧縮空気管、68………払い落とし管、70………回収箱、72………圧縮空気弁、74………回収弁、76………誘引送風機、80………排ガス冷却用熱交換器、82………排ガス再加熱用熱交換器、84………熱交換手段、86………温度制御手段、88………脱硝触媒手段、90………伝熱管、92………熱交換媒体、94………ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って排ガス中に海水を噴霧する海水噴霧手段と、この海水が噴霧された排ガスを導入して硫酸ミストやススを含む補修対象物質を帯電除去する電気集塵手段とを順次配置するとともに、前記排気煙道出口の直前部に固体粒子を捕獲するフィルタ手段を設けたことを特徴とする舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置。
【請求項2】
舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電電極と集塵電極からなる電気集塵手段と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段とを配置し、
前記電気集塵手段の前段には海水噴霧手段を設け、
排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記海水噴霧手段による噴霧量を制御して温度調整をなす温度制御手段を設けてなることを特徴とする舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置。
【請求項3】
舶用ディーゼルエンジンの排気煙道に沿って放電電極と集塵電極からなる電気集塵手段と、排ガス中の固体粒子を捕獲するフィルタ手段とを配置し、
前記電気集塵手段の前段には排ガスを冷却する熱交換器を配置するとともに、前記電気集塵手段の後段側に排ガスを再加熱する熱交換器を配置し、両熱交換器間に熱交換媒体を循環させる熱交換手段を設け、
排ガス温度を検出して前記電気集塵手段の入口における排ガス温度が酸露点温度となるように前記熱交換手段を調整する温度制御手段を設けてなることを特徴とする舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段の後段には脱硝触媒を配置してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−52440(P2009−52440A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218469(P2007−218469)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】