説明

船外機の制御装置

【課題】船外機を小型化しつつ操船者の操舵指示に基づいて船体の進行方向を調整するようにした船外機の制御装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ(シフト用電動モータ、スロットル用電動モータ)によってシフト機構とエンジンのスロットルバルブがそれぞれ駆動される複数基の船外機と、操船者に操作自在に配置されたステアリングホイールと、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサと、アクチュエータの駆動を制御するエンジン制御ユニットとを備えた船外機の制御装置であって、複数基の船外機を船体に不動に固定すると共に、エンジン制御ユニットは、検出された操舵角に基づき、アクチュエータの駆動を制御して船体の進行方向を調整する(S10からS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船外機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数基の船外機を船体に並列に装着する(多基掛けする)ことが広く行われている。また、近年、船外機の操舵機構とシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブとをアクチュエータによって駆動させる、DBW(Drive By Wire)方式の制御装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術にあっては、操船者の操舵指示に基づいて操舵機構に接続されたアクチュエータの駆動を制御することで船外機の操舵を行い、船体の進行方向を調整している。
【特許文献1】特開2005−319967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術の如く、船外機の操舵機構にアクチュエータを接続するように構成すると、船外機が操舵機構とアクチュエータの分だけ大型化するという不具合があった。
【0004】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、船外機を小型化しつつ操船者の操舵指示に基づいて船体の進行方向を調整するようにした船外機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、アクチュエータによってシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブの少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基の船外機と、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイールと、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備えた船外機の制御装置であって、前記複数基の船外機を船体に不動に固定すると共に、前記制御手段は、前記検出された操舵角に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御して前記船体の進行方向を調整するように構成した。
【0006】
請求項2にあっては、方位角を検出する方位角検出手段と、前記船体の移動速度を検出する移動速度検出手段とを備えると共に、前記検出された方位角と移動速度を前記制御手段に入力するように構成した。
【0007】
請求項3にあっては、前記方位角検出手段は方位角センサからなると共に、前記移動速度検出手段は角加速度センサと加速度センサとからなるように構成した。
【0008】
請求項4にあっては、前記操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバーと、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段とを備えると共に、前記操舵角検出手段と前記レバー位置検出手段とを第1の電気信号線を介して接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記制御手段とを第2の電気信号線を介して接続するように構成した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る船外機の制御装置にあっては、アクチュエータによってシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブの少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基の船外機、逆にいえば、操舵機構とそれを駆動するアクチュエータとを有しない複数基の船外機を、船体に不動に固定すると共に、検出されたステアリングホイールの操舵角に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御して船体の進行方向を調整するように構成したので、船外機を操舵機構とそれを駆動するアクチュエータの分だけ小型化でき、コスト的にも有利にすることができる。さらに、検出された操舵角、即ち、操船者の操舵指示に基づいてシフト機構とスロットルバルブを駆動させ、エンジンの出力を調整する(例えば、左右の船外機の出力を相違させる)ことも可能となり、それによって船体の進行方向を前記操舵指示に即した方向に調整することができる。
【0010】
請求項2に係る船外機の制御装置にあっては、方位角と船体の移動速度とを検出し、検出された方位角と移動速度を制御手段に入力するように構成したので、上記した効果に加え、船体の進行方向を前記操舵指示に即した方向により一層正確に調整することができる。
【0011】
請求項3に係る船外機の制御装置にあっては、方位角検出手段は方位角センサからなると共に、移動速度検出手段は角加速度センサと加速度センサとからなるように構成したので、比較的簡易な構成でありながら、請求項2で述べたと同様の効果を得ることができる。
【0012】
請求項4に係る船外機の制御装置にあっては、操船者に操作自在に配置されたシフト・スロットルレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段とを備えると共に、操舵角検出手段とレバー位置検出手段とを第1の電気信号線を介して接続する一方、レバー位置検出手段と制御手段とを第2の電気信号線を介して接続するように構成、即ち、操舵角検出手段とレバー位置検出手段、レバー位置検出手段と制御手段を別々の電気信号線で接続するように構成したので、上記した効果に加え、各電気信号線の信号が簡素になり、よって信号処理を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に即してこの発明に係る船外機の制御装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、この発明の実施例に係る船外機の制御装置を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、船体(艇体)10の後部には、複数基、具体的には2基の船外機12a,bが並列に装着される。即ち、船体10には、船外機が多基掛け(2基掛け)される。以下、左舷側(進行方向に対して左側)の船外機12aを「左側船外機」といい、右舷側(同右側)の船外機12bを「右側船外機」という。また、この明細書において「左」「右」とは、同様に進行方向に対しての左右の意味で用いる。
【0016】
図2は、図1に示す船外機を、部分的に断面で表す拡大側面図である。尚、左側船外機12aと右側船外機12bは略同一構成であるので、図面および以下の説明では、船外機を特に区別する場合を除いて添え字(a,b)の付加を省略する。
【0017】
図2に示すように、船外機12はスターンブラケット14を備える。スターンブラケット14は、船体10の後尾に固定されると共に、チルティングシャフト16を介してスイベルケース18が接続される。また、船外機12はマウントフレーム20を備える。マウントフレーム20はシャフト部22を備え、シャフト部22はスイベルケース18の内部に収容され、固定される。マウントフレーム20は、その上端と下端(シャフト部22の下端)が船外機12の本体を構成するフレーム(図示せず)に固定される。従って、船外機12は、船体10に対して動かないように(不動に)、換言すれば、左右に回動(回転)しないようにして固定される。
【0018】
船外機12の上部には、内燃機関(以下「エンジン」という)30が搭載される。エンジン30は、具体的には火花点火式の水冷ガソリンエンジンであり、排気量2200ccを備える。エンジン30は水面上に位置し、エンジンカバー32によって覆われる。
【0019】
エンジン30の吸気管34には、スロットルボディ36が接続される。スロットルボディ36は、その内部にスロットルバルブ38を備えると共に、スロットルバルブ38を開閉するスロットル用電動モータ(アクチュエータ)40が一体的に取り付けられる。スロットル用電動モータ40の出力軸は、スロットルボディ36に隣接して配置された減速ギヤ機構(図示せず)を介し、スロットルバルブ38に接続される。即ち、スロットル用電動モータ40を動作させることでスロットルバルブ38が開閉され、エンジン30の吸気が調量されてエンジン回転数が調節される。
【0020】
また、船外機12は、鉛直軸と平行に配置され、回転自在に支持されたドライブシャフト42を備える。ドライブシャフト42の上端には、エンジン30のクランクシャフト(図示せず)が接続される一方、下端にはシフト機構44を介して水平軸回りに回転自在に支持されたプロペラシャフト46が接続される。プロペラシャフト46は、図2から分かるように、その軸線46aが船体10の進行方向に対して略平行となるように配置される。また、プロペラシャフト46の一端には、プロペラ50が取り付けられる。
【0021】
シフト機構44は、ドライブシャフト42に接続されて回転させられる前進ベベルギヤ52および後進ベベルギヤ54と、プロペラシャフト46と一体に回転すると共に、シフトロッド56とシフトスライダ60を変位させることで前進ベベルギヤ52と後進ベベルギヤ54のいずれかに係合自在とされるクラッチ62とからなる。
【0022】
エンジンカバー32の内部には、前記したシフト機構44を駆動するシフト用電動モータ(アクチュエータ)66が配置される。シフト用電動モータ66の出力軸は、減速ギヤ機構70を介してシフト機構44のシフトロッド56の上端に接続自在とされる。即ち、シフト用電動モータ66を駆動することにより、シフトロッド56とシフトスライダ60を変位させ、クラッチ62を前進ベベルギヤ52と後進ベベルギヤ54のいずれかに係合させることができる。
【0023】
ドライブシャフト42の回転は、シフト機構44を介してプロペラシャフト46に伝達され、よってプロペラ50が船体10を前進させる方向あるいは後進させる方向のいずれかに回転させられる。また、シフト用電動モータ66を駆動してシフトスライダ60を適宜な位置に変位させることにより、クラッチ62と各ベベルギヤ52,54の係合を解除することができる。即ち、シフト用電動モータ66を駆動してシフト機構のクラッチ62を動作させることにより、シフトポジションをフォワード、リバースおよびニュートラルの間で切り替えることができる。
【0024】
このように、船外機12は、各電動モータ40,66によってシフト機構44と搭載されたエンジン30のスロットルバルブ38が駆動される。また、船外機12は、従来の船外機に備えられるような操舵機構やそれに接続される操舵用の電動モータ(アクチュエータ)などを有しないと共に、船体10に不動に固定される。尚、船外機12はエンジン30に取り付けられたバッテリなどの電源部(図示せず)を備え、各電動モータ40,66や後述するレバー位置センサユニットなどに動作電源が供給される。
【0025】
図1の説明に戻ると、2基の船外機12は、それぞれスロットル開度センサ72とシフト位置センサ74とを備える。スロットル開度センサ72は、スロットルバルブ38の付近に配置され、スロットル開度を示す出力を生じる。
【0026】
シフト位置センサ74は、シフトロッド56の付近に配置され、シフトポジションを示す出力、具体的には、シフトロッド56の回転角を示す出力を生じる。各船外機12は、さらにクランク角センサ76を備える。クランク角センサ76は、エンジン30のクランクシャフトの付近に配置され、エンジン30の回転数を示す出力を生じる。
【0027】
上記した各センサの出力は、図1に示す如く、2基の船外機12にそれぞれ搭載されたエンジン制御ユニット(制御手段。ECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット))80に入力される。エンジン制御ユニット80は、CPUやROM、RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなり、各船外機12のエンジンカバー32の内部に配置(搭載)される。
【0028】
船体10は、例えばGPS(Global Positioning System)信号を受信し、船体10の現在位置や方位角(現在の進行方向など)を検出する方位角センサ(方位角検出手段)82と、船体10の移動速度を検出するセンサ、具体的には、角速度を検出する角加速度センサ(移動速度検出手段)84と加速度を検出する加速度センサ(移動速度検出手段)86とを備える。角加速度センサ84と加速度センサ86は、例えばジャイロセンサや静電容量型、圧電型、あるいはガス移動式のセンサなどからなる。
【0029】
さらに、船体10は操船者に操作自在に配置された複数個、具体的には2個の操船部90を備える。以下、符号の末尾に「1」を付した操船部901を「第1操船部」といい、「2」を付した操船部902を「第2操船部」という。
【0030】
第1操船部901と第2操船部902は、操船者の操作に応じ、上記した各電動モータ40,66の駆動指示を示す出力をそれぞれ生じる。具体的に説明すると、第1操船部901は、操船者に回転操作自在に配置された1個のステアリングホイール921と、複数個、具体的には2個のリモートコントロールボックス(以下、単に「リモコンボックス」という)941a,bと、現在のステアリングホイールの操舵角や船速などが表示されるインディケータ(表示器)961とを備える。
【0031】
第2操船部902も同様に、1個のステアリングホイール922と、複数個、具体的には2個のリモコンボックス942a,bと、インディケータ962とを備える。尚、上記した4個のリモコンボックスの内、リモコンボックス941a,942aは左側船外機12aの駆動指示を、リモコンボックス941b,942bは右側船外機12bの駆動指示を示す出力を生じる。
【0032】
ステアリングホイール921,922は、操船者の操舵指示、別言すれば、操船者が所望する船体の進行方向を入力する。ステアリングホイール921,922の回転軸の付近には操舵角センサ(ステアリングセンサ。操舵角検出手段)981,982が配置される。操舵角センサ981,982は、ステアリングホイール921,922についての操船者による操作量、即ち、操舵角を検出する。
【0033】
操舵角センサ981,982にはそれぞれ、操舵角センサで検出された操舵角を示す出力が入力される操舵角センサユニット(ステアリングセンサユニット。操舵角検出手段)1001,1002が接続される。
【0034】
図3は、上記した操舵角センサユニット1001の構成を示すブロック図である。尚、以下において、操舵角センサユニット1001について説明するが、操舵角センサユニット1002も操舵角センサユニット1001と略同一の構成であるため、以下の説明は操舵角センサユニット1002にも妥当する。
【0035】
図3に示すように、操舵角センサユニット1001はメイン処理部1021などを備える。メイン処理部1021は、操舵角センサ981(図3で図示せず)などが接続され、検出された操舵角などが入力されるアナログパルス入力ブロック1041およびアナログ入力ブロック1061と、アナログパルス入力ブロック1041およびアナログ入力ブロック1061に接続され、前記操舵角に基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1101と、中央演算ブロック1101に接続されて演算処理された操舵角を示す値を出力するアナログパルス出力ブロック1121およびアナログ出力ブロック1141と、アナログパルス出力ブロック1121およびアナログ出力ブロック1141に接続され、前記出力された値を後述するレバー位置センサユニットなどに出力する通信処理ブロック1161とからなる。尚、操舵角センサユニット1001のメイン処理部1021には、船外機12の電源部が接続され、動作電源が供給される。
【0036】
図1に戻って操船部901,902の説明を続けると、リモコンボックス941a,b,942a,bにはそれぞれ、操船者に揺動操作自在に配置されたシフト・スロットルレバー1201a,b,1202a,bが設けられる。各シフト・スロットルレバー1201a,b,1202a,bは、操船者からのシフトチェンジ指示(シフト用電動モータ66a,bの駆動指示)とエンジン回転数の調節指示(スロットル用電動モータ40a,bの駆動指示)とを入力する。
【0037】
シフト・スロットルレバー1201a,b,1202a,bの付近には、それぞれレバー位置センサ(レバー位置検出手段)1221a,b,1222a,bが配置される。レバー位置センサ1221a,b,1222a,bは、対応するシフト・スロットルレバー1201a,b,1202a,bについての操船者による操作量(操作位置)、別言すれば、レバー位置を検出する。
【0038】
レバー位置センサ1221a,b,1222a,bにはそれぞれ、レバー位置センサで検出されたレバー位置を示す出力が入力されるレバー位置センサユニット(シフト・スロットルセンサユニット。レバー位置検出手段)1241a,b,1242a,bが接続される。
【0039】
図4は、レバー位置センサユニット1241aの構成を示すブロック図である。尚、以下において、レバー位置センサユニット1241aについて説明するが、他のレバー位置センサユニット1241b,1242a,bも略同一の構成であるため、以下の説明はレバー位置センサユニット1241b,1242a,bにも妥当する。
【0040】
図4に示す如く、レバー位置センサユニット1241aはメイン処理部1261aと、アイソレーション部1281aと、DC/DCコンバータ1301aとを備える。メイン処理部1261aは、レバー位置センサ1221a(図4で図示せず)などが接続され、検出されたレバー位置などが入力されるアナログ入力ブロック1321aと、アナログ入力ブロック1321aに接続され、前記レバー位置に基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1341aと、中央演算ブロック1341aに接続されて演算処理されたレバー位置を示す値を出力するアナログ出力ブロック1361aと、アナログ出力ブロック1361aに接続され、前記出力された値をエンジン制御ユニット80aなどに出力する通信処理ブロック1401aとからなる。
【0041】
アイソレーション部1281aは、前述した操舵角センサユニット1001、正確には操舵角センサユニット1001の通信処理ブロック1161(図4で共に図示せず)などが接続され、操舵角を示す値が入力される通信処理ブロック1441aと、前述した方位角センサ82、角加速度センサ84および加速度センサ86などが接続されて各検出値が入力されるセンサ通信処理ブロック1461aと、通信処理ブロック1441aおよびセンサ通信処理ブロック1461aに接続され、前記操舵角や検出値などに基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1481aと、中央演算ブロック1481aに接続され、操舵角を示す値などを前記したインディケータ961などに電気信号線150を介して出力するアナログパルス出力ブロック1521a、アナログ出力ブロック1541aおよびインディケータ通信処理ブロック1561aとからなる。また、メイン処理部1261aとアイソレーション部1281aは、それぞれ内部通信ブロック1581aを備え、それらが接続されることで信号の送受信が行われる。
【0042】
次いで、船体10に配置された操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bと、2基の船外機12a,bにそれぞれ配置されたエンジン制御ユニット80a,bとの接続について説明する。
【0043】
図5は、各ユニット間の接続を説明する説明図である。尚、図5においては、理解の便宜のため、各ユニットとそれらを接続する電気信号線のみ示す。
【0044】
図5の説明に入る前に、従来技術に係る船外機の制御装置における各ユニット間の接続について図12を参照して説明する。従来の船外機の制御装置にあっては、船外機の操舵機構に接続された操舵用の電動モータを駆動させることで船外機を左右に回動させ、船体の進行方向の調整を行っているため、船外機は、上記したユニットに加え、操舵用電動モータの駆動を制御するステアリング制御ユニット160ap,bpを備える。
【0045】
そして、複数基(2基)の船外機12ap,bpを船体に装着する場合、船体の操舵角センサユニット1001,1002およびレバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bと、複数基の船外機にそれぞれ配置されるエンジン制御ユニット80a,bおよびステアリング制御ユニット160ap,160bpを、1本の電気信号線(デジタル通信ライン)162pを介して直列に接続していた。尚、電気信号線162pの両端部には、通信回路のインピーダンスを固定して通信を安定化させるための抵抗素子からなる通信安定化デバイス164が接続される。
【0046】
しかしながら、各ユニットを1本の電気信号線162pで直列に接続すると、船外機12のアクチュエータ(例えば、スロットル用電動モータ40a,b、シフト用電動モータ66a,bなど)の駆動を船外機ごとに制御する場合、各船外機を識別するためのIDを設定する作業(例えば、船外機ごとにソフトウエアを書き換える作業)などが必要となり、煩瑣になるという不都合があった。
【0047】
従って、この実施例においては、船体10に配置された操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bと、船外機12a,bにそれぞれ配置されたエンジン制御ユニット80a,bとを電気信号線(デジタル通信ライン)を介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに独立して(並列に)接続するように構成した。
【0048】
図5を参照して具体的に説明すると、第1操船部901の操舵角センサユニット1001(正確には、操舵角センサユニット1001の通信処理ブロック1161(図5で図示せず))とレバー位置センサユニット1241a,b(正確には、レバー位置センサユニット1241a,bのアイソレーション部1281a,bの通信処理ブロック1441a,b(図示せず))とは、1本の電気信号線(第1の電気信号線)1621を介して接続される。同様に、第2操船部902の操舵角センサユニット1002と各レバー位置センサユニット1242a,bとは、1本の電気信号線(第1の電気信号線)1622を介して接続される。
【0049】
第1操船部901のレバー位置センサユニット1241a(正確には、レバー位置センサユニット1241aのメイン処理部1261aの通信処理ブロック1401a(図5で図示せず))と、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242a(正確には、レバー位置センサユニット1242aのメイン処理部1262aの通信処理ブロック1402a(図示せず))と、左側船外機12aのエンジン制御ユニット80aとは、1本の電気信号線(第2の電気信号線)162aを介して接続される。
【0050】
同様に、第1操船部901のレバー位置センサユニット1241bと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242bと、右側船外機12bのエンジン制御ユニット80bとは、1本の電気信号線(第2の電気信号線)162bを介して接続される。尚、電気信号線1621,1622,162a,bの両端部には、それぞれ通信安定化デバイス164が接続される。
【0051】
このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、船体のレバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bと、2基の船外機12a,bのそれぞれに配置されるエンジン制御ユニット80a,bとを電気信号線162a,bを介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに並列に接続するように構成したので、簡易な構成でありながら(具体的には、IDの設定作業などを行うことなく)、各船外機に配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御することができる。
【0052】
次いで、船外機の制御装置の動作電源、より詳しくは、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bに供給される動作電源について説明する。
【0053】
図6は、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bの動作電源の供給を説明する説明図である。尚、図6において、理解の便宜のため、船外機と、レバー位置センサユニットと、それらを接続するネットワーク電源線のみ示す。
【0054】
図6に示す如く、左側船外機12aの電源部166aと、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aと、DC/DCコンバータ1301a,1302aとは、ネットワーク電源線168aを介して接続される。同様に、右側船外機12bの電源部166bと、レバー位置センサユニット1241b,1242bのメイン処理部1261b,1262bと、DC/DCコンバータ1301b,1302bとは、ネットワーク電源線168bを介して接続される。
【0055】
さらに、第1操船部901において、レバー位置センサユニット1241a,bのアイソレーション部1281a,bとDC/DCコンバータ1301a,bは、ネットワーク電源線1681を介して接続される。また、第2操船部902において、レバー位置センサユニット1242a,bのアイソレーション部1282a,bとDC/DCコンバータ1302a,bは、ネットワーク電源線1682を介して接続される。
【0056】
即ち、左側船外機12aの電源部166aは、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aに直接接続される一方、アイソレーション部1281aにはDC/DCコンバータ1301aを介して、アイソレーション部1282bにはDC/DCコンバータ1302aを介して接続される。尚、他の電源部とレバー位置センサユニットの接続も同様な構成とされる。
【0057】
従って、左側船外機12aの電源部166aからの動作電源は、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aにネットワーク電源線168aを介して直接供給される。また、アイソレーション部1281aにはDC/DCコンバータ1301a、ネットワーク電源線1681を介して動作電源が供給されると共に、アイソレーション部1282aにはDC/DCコンバータ1302a、ネットワーク電源線1682を介して動作電源が供給される。右側船外機12bの電源部166aからの動作電源については、左側船外機12aのそれと同様であるため、説明を省略する。
【0058】
上記の如く構成された船外機の制御装置の駆動(動作)ついて、図1などを参照して説明する。以下、第1操船部901と左側船外機12aを例にとる。
【0059】
レバー位置センサユニット1241aは、レバー位置センサ1221aの出力(具体的には、シフト・スロットルレバー1201aの操作方向)に基づいて目標シフトポジションを決定すると共に、前記目標シフトポジションを表す出力を電気信号線162aを介してエンジン制御ユニット80aに送出する。エンジン制御ユニット80aは、シフト位置センサ74aの出力が目標シフトポジションを表す値となるようにシフト用電動モータ66aの動作を制御する。
【0060】
レバー位置センサユニット1241aは、シフト位置センサ74aの出力から目標シフトポジションが確立されたこと(シフトチェンジが完了したこと)が検知されたとき、レバー位置センサ1221aの出力(具体的には、シフト・スロットルレバー1201aの操作量(レバー位置))に基づいて目標スロットル開度を決定すると共に、その目標スロットル開度を示す出力を電気信号線162aを介してエンジン制御ユニット80aに送出する。エンジン制御ユニット80aは、スロットル開度センサ72aの出力が目標スロットル開度に一致するようにスロットル用電動モータ40aの動作を制御する。
【0061】
このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、操船部と船外機の機械的な接続が断たれた、DBW方式の制御装置である。尚、レバー位置センサユニット1241bと右側船外機12bの動作については、レバー位置センサユニット1241aと左側船外機12aのそれと略同一であるため、説明を省略する。また、第2操船部902の動作も第1操船部901のそれと略同一であるため、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242a,bの動作についての説明も省略する。
【0062】
次いで、本願の特徴部のひとつである船体の進行方向の調整について説明する。図7は、船外機の制御装置の動作の内、船体の進行方向の調整を示すフローチャートである。図示のプログラムは、エンジン制御ユニット80a,bにおいて所定の周期(例えば100[msec])ごとに実行される。
【0063】
先ず、S10において、操船者によるステアリングホイール921,922の操舵角を検出し、操船者の操舵指示、換言すれば、所望する船体の進行方向(目標進行方向)を算出する。具体的には、操舵角センサ981,982の出力が操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bを介して入力され、その値に基づいて船体10の目標進行方向を算出する。
【0064】
次いで、S12に進み、算出された目標進行方向と現在の船体の進行方向との差分φを算出する。具体的には、方位角センサ82の出力(現在の船体の進行方向)がレバー位置センサユニット1241a,b,1242a,bを介して入力され、その値と目標進行方向との差分φを算出する。尚、図8はS12で算出される差分φを説明する説明図である。図8において、目標進行方向を進行方向とした船体を想像線で示した。
【0065】
S14に進んで船体10の移動速度を検出、具体的には、角速度センサ84と加速度センサ86の出力から船体10の角速度と加速度を検出する。次いで、S16に進み、前述した差分φと角速度と加速度に基づいて船外機12a,bのエンジン30a,bのそれぞれの出力などを算出する。
【0066】
S18に進み、算出されたエンジン出力となるように、換言すれば、現在の船体の進行方向が目標進行方向に一致するように、シフト用電動モータ66a,bおよびスロットル用電動モータ40a,bの動作を制御して船体10の進行方向を調整する。
【0067】
ここで、上記したS16およびS18の処理について、図9から図11を参照して詳しく説明すると、操船者によってステアリングホイール921,922が操作されず、操船者が直進を所望しているときは、図9に示す如く、左右の船外機12a,bが同等の出力となるようにスロットル用電動モータ40a,40bの動作を制御する。尚、図9から図11において、船外機から伸びる矢印は船外機の出力(エンジン出力)を示し、その長短は出力の大小を表す。
【0068】
ステアリングホイール921,922が右回り(時計回り)に操作され、操船者が船体の進行方向を右方向へ変更することを所望したときは、前記した目標進行方向と現在の船体の進行方向に差分φが生じる。そこでエンジン制御ユニット80a,bは、差分φと角速度と加速度に基づいて所望する進行方向側(ここでは右側)に配置される船外機(右側船外機12b)のスロットル用電動モータ40bの駆動を制御、より詳しくは、図10に示す如く、右側船外機12bのスロットル用電動モータ40bをスロットルバルブ38bが閉方向となるように動作させてエンジン回転数(エンジン出力)を減少させ、それによって船体の進行方向が右方向となるように調整する。
【0069】
一方、図示は省略するが、ステアリングホイール921,922が左回り(反時計回り)操作され、操船者が船体の進行方向を左方向へ変更することを所望したときは、エンジン制御ユニット80a,bは、差分φと角速度と加速度に基づいて左側船外機12aのスロットル用電動モータ40aの駆動を制御、より詳しくは、左側船外機12aのスロットル用電動モータ40aをスロットルバルブ38aが閉方向となるように動作させてエンジン回転数(エンジン出力)を減少させ、それによって船体の進行方向が左方向となるように調整する。
【0070】
また、船体10が停止した状態でステアリングホイール921,922が右回りに操作された場合、即ち、操船者がその場での右旋回を所望する場合があるが、このときにも前記した目標進行方向と現在の船体の進行方向に差分φが生じる。そこでエンジン制御ユニット80a,bは、図11に示すように、差分φと角速度と加速度に基づいて左側船外機12aにあっては前進方向に、右側船外機12bにあっては後進方向に推力が生じるように、シフト用電動モータ66a,bおよびスロットル用電動モータ40a,bの動作を制御する。これにより、船体10はその場で右旋回することとなる。
【0071】
一方、図示は省略するが、船体10が停止した状態でステアリングホイール921,922が左回りに操作された場合、エンジン制御ユニット80a,bは、差分φと角速度と加速度に基づいて左側船外機12aにあっては後進方向に、右側船外機12bにあっては前進方向に推力が生じるように、シフト用電動モータ66a,bおよびスロットル用電動モータ40a,bの動作を制御する。これにより、船体10はその場で左旋回することとなる。
【0072】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、アクチュエータ(シフト用電動モータ66a,b、スロットル用電動モータ40a,b)によってシフト機構44と搭載内燃機関(エンジン30)のスロットルバルブ38の少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基(2基)の船外機12a,bと、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイール921,922と、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段(操舵角センサ981,982、操舵角センサユニット1001,1002)と、前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段(エンジン制御ユニット80a,b)とを備えた船外機の制御装置であって、前記複数基の船外機を船体10に不動に固定すると共に、前記制御手段は、前記検出された操舵角に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御して前記船体10の進行方向を調整するように構成した。
【0073】
即ち、アクチュエータによってシフト機構44とスロットルバルブ38がそれぞれ駆動される船外機12a,b、逆にいえば、操舵機構とそれを駆動するアクチュエータとを有しない2基の船外機12a,bを船体10に不動に固定すると共に、検出された操舵角に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御して船体10の進行方向を調整するように構成したので、船外機を操舵機構とそれを駆動するアクチュエータの分だけ小型化でき、コスト的にも有利にすることができる。さらに、検出された操舵角、即ち、操船者の操舵指示に基づいてシフト機構44とスロットルバルブ38を駆動させ、エンジンの出力を調整する(例えば、左右の船外機12a,bの出力を相違させる)ことで、船体10の進行方向を前記操舵指示に即した方向に調整することができる。
【0074】
また、方位角を検出する方位角検出手段(方位角センサ82)と、前記船体10の移動速度を検出する移動速度検出手段(角加速度センサ84、加速度センサ86)とを備えると共に、前記検出された方位角と移動速度を前記制御手段に入力するように構成したので、上記した効果に加え、船体の進行方向を前記操舵指示に即した方向により一層正確に調整することができる。
【0075】
また、前記方位角検出手段は方位角センサ82からなると共に、前記移動速度検出手段は角加速度センサ84と加速度センサ86とからなるように構成したので、比較的簡易な構成でありながら、上記と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、前記操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバーシフト・スロットルレバー1201a,b,1202a,bと、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段(レバー位置センサ1221a,b,1222a,b、レバー位置センサユニット1241a,b,1242a,b)とを備えると共に、前記操舵角検出手段と前記レバー位置検出手段とを第1の電気信号線(電気信号線1621,1622)を介して接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記制御手段とを第2の電気信号線(電気信号線162a,162b)を介して接続するように構成、即ち、操舵角検出手段とレバー位置検出手段、レバー位置検出手段と制御手段を別々の電気信号線で接続するように構成したので、上記した効果に加え、各電気信号線の信号が簡素になり、よって信号処理を容易化することができる。
【0077】
尚、上記において、船体10に装着(固定)される船外機を2基としたが、3基以上であってもよい。
【0078】
また、ステアリングホイールを2個備えるように構成したが、1個あるいは3個以上であってもよく、要は操船者の操舵指示が入力可能な構成であればよい。その意味から、特許請求の範囲では「少なくとも1個のステアリングホイール」と記載した。また、シフト・スロットルレバーも船外機と同数備えるように構成したが、1個あるいは3個以上であってもよい。
【0079】
また、エンジン30の排気量などを具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施例に係る船外機の制御装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す船外機を、部分的に断面で表す拡大側面図である。
【図3】図1に示す操舵角センサユニットの構成を表すブロック図である。
【図4】図1に示すレバー位置センサユニットの構成を表すブロック図である。
【図5】図1に示す各ユニット間の接続を説明する説明図である。
【図6】図1に示すレバー位置センサユニットの動作電源の供給を説明する説明図である。
【図7】船外機の制御装置の動作の内、船体の進行方向の調整を示すフローチャートである。
【図8】図7フローチャートで算出される差分φを説明する説明図である。
【図9】図7フローチャートの処理を説明する説明図である。
【図10】図7フローチャートの処理を説明する、図9と同様な説明図である。
【図11】図7フローチャートの処理を説明する、図9と同様な説明図である。
【図12】従来技術に係る船外機の制御装置を説明する、図5と同様な説明図である。
【符号の説明】
【0081】
10:船体、12a,b:船外機、30:エンジン(内燃機関)、38:スロットルバルブ、40a,b:スロットル用電動モータ(アクチュエータ)、44:シフト機構、66a,b:シフト用電動モータ(アクチュエータ)、80a,b:エンジン制御ユニット(制御手段)、82:方位角センサ(方位角検出手段)、84:角加速度センサ(移動速度検出手段)、86:加速度センサ86(移動速度検出手段)、921,922:ステアリングホイール、981,982:操舵角センサ(操舵角検出手段)、1001,1002:操舵角センサユニット(操舵角検出手段)、1201a,b,1202a,b:シフト・スロットルレバー、1221a,b,1222a,b:レバー位置センサ(レバー位置検出手段)、1241a,b,1242a,b:レバー位置センサユニット(レバー位置検出手段)、1621,1622:電気信号線(第1の電気信号線)、162a,162b:電気信号線(第2の電気信号線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによってシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブの少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基の船外機と、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイールと、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備えた船外機の制御装置であって、前記複数基の船外機を船体に不動に固定すると共に、前記制御手段は、前記検出された操舵角に基づき、前記アクチュエータの駆動を制御して前記船体の進行方向を調整することを特徴とする船外機の制御装置。
【請求項2】
方位角を検出する方位角検出手段と、前記船体の移動速度を検出する移動速度検出手段とを備えると共に、前記検出された方位角と移動速度を前記制御手段に入力することを特徴とする請求項1記載の船外機の制御装置。
【請求項3】
前記方位角検出手段は方位角センサからなると共に、前記移動速度検出手段は角加速度センサと加速度センサとからなることを特徴とする請求項2記載の船外機の制御装置。
【請求項4】
前記操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバーと、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出するレバー位置検出手段とを備えると共に、前記操舵角検出手段と前記レバー位置検出手段とを第1の電気信号線を介して接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記制御手段とを第2の電気信号線を介して接続することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の船外機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−126815(P2008−126815A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313464(P2006−313464)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】