説明

色差成分補正装置及び色差成分補正装置を備えるプロジェクタ

【課題】 YCbCr4:2:2形式による画像データによる文字と同一色の背景による下地からなる画像をプロジェクタで表示させる場合に文字に不要な縁を発生させることがない画像処理を可能にする。
【解決手段】 外部から入力される画像データによる画像をスクリーンに投影させるプロジェクタにおける色差成分補正装置70であって、上記画像データをYCbCr4:4:4形式に変換させるデータ形式検出用変換部71と、色差成分を検出する色差検出部72と、各画素の色差成分において2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致するか否かを判定する色差判定部73と、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致すると判定されると上記色差成分を補正させる色差補正部74と、補正された色差成分による画像データを再度RGB形式データに変換させる補正データ形式変換部75とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色差成分補正装置及び色差成分補正装置を備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータ(以下PC)の画面やビデオ画像、更にメモリカード等に格納されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
そして、メモリカード等に格納されている画像データは、比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるYCbCr4:2:2形式を適用する場合が多い。YCbCr4:2:2形式は、輝度成分であるY信号と、輝度成分と青色成分の色差であるCbと、輝度成分と赤色成分の色差であるCrの3つの信号で色を表す形式である。YCbCr4:2:2形式は、人間の目が彩度に対して鈍感であるという特性を利用して、明るさを重点的に再現し、色については輝度成分と青色成分、及び輝度成分と赤色成分との色差を使う形式である。
【0004】
そして、YCbCr4:2:2形式は、Y、Cb、Crの各成分を、水平に4:2:2の画素割合で記録する。すなわち、水平に並んだ画素に1、2、3、4、5・・・の番号を振った場合、Y信号は1、2、3、4、5・・・の各画素について情報を記録するが、CbとCrについては1、3、5・・・の画素のみの2個に1個の情報を記録させ、画素1の色差の情報を画素2に適用するものである。これは、一般にサブサンプルと呼ばれ、色差成分の画素を少なくすることで符号量を減らすこととなる。そして、YCbCr4:2:2形式は、再生時に画素1の色差成分を画素1、2に適用し、画素3の色差成分を画素3、4に適用することで画像データの画像を補間させる。また、YCbCr4:2:2形式と異なるYCbCr4:4:4形式では、Y、Cb、Crの各成分を、独立で夫々に記録することから、サブサンプルされず、色差成分も輝度成分同様に画素毎に記録させる。
【0005】
YCbCr4:2:2形式により記録された画像データをプロジェクタにより再生する場合、例えば黄色の背景下地に黒文字が記載された画像データを再生して画像をスクリーンに投影すると、画像データが補間されることにより、黒文字の隣の黄色下地部分1画素が、黒色の色差成分を利用することとなり色が無彩色である白黒となってしまい、黄色の輝度成分を用いることにより結果、灰色となる。
【0006】
特に、プロジェクタでは、拡大されて投影されることにより、黒文字隣の黄色下地部分などの着色部1画素の輝度が強調されてしまい色違いが明確となる。更に、プロジェクタの機能における画像モードにおいて、白が強調される明るさ優先モードとすると、黄色が相対的に暗くなり、灰色部分が白とみなされて、白く強調されるために、黒文字に白い縁が形成された画像がスクリーンに投影されてしまい、見苦しいという不具合があった。
【0007】
そこで、下記に示す特許文献1には、画像から計算された特徴量に基づいて、文字領域を抽出するとともに、画像をブロック分割し、ブロック毎に画像上の黒文字色および下地色を検出して、黒文字色と下地色との階調補正を行ない、黒文字色と下地色とのコントラストを調整するようにした画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−320701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1における画像処理装置では、画像データにおける文字領域における文字色と下地色を画像全域で検出して階調補正を行う必要があり、処理に時間を要するという課題があった。
【0010】
そこで、本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるYCbCr4:2:2形式による画像データで文字と同一色の背景による下地からなる画像を表示させる場合に文字に不要な縁を発生させることがない画像処理が可能な色差成分補正装置及び色差成分補正装置を備えるプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプロジェクタにおける色差成分補正装置は、外部から入力される画像データによる画像等をスクリーンに投影させるプロジェクタにおける色差成分補正装置であって、前記画像データをRGB形式データからYCbCr4:4:4形式データに変換させるデータ形式検出用変換手段と、前記データ形式検出用変換手段により変換された前記YCbCr4:4:4形式データの色差成分を検出する色差検出手段と、前記色差検出手段により検出された各画素の色差成分において、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致するか否かを判定する色差判定手段と、前記色差判定手段により2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致すると判定されると前記色差成分を補正させる色差補正手段と、前記色差補正手段により補正された色差成分による前記YCbCr4:4:4形式データの画像データを再度RGB形式データに変換させる補正データ形式変換手段と、を備え、前記色差補正手段は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致する場合に、前記色差成分を隣り合う複数の画素により平均化して色差成分を補正させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る色差成分補正装置における前記色差判定手段は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致するか否かの判定により、変換された前記YCbCr4:4:4形式の画像データの元の前記画像データがYCbCr4:2:2形式であったか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る色差成分補正装置における前記色差補正手段は、隣り合う3つの画素により平均化して色差成分を補正させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る色差成分補正装置における前記補正データ形式変換手段は、前記色差補正手段により補正されたYCbCr4:4:4形式の画像データを表示に適した所定のフォーマットであるRGB形式の画像データに変換させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプロジェクタは、色差成分補正装置と、プロジェクタ制御手段とを備え、前記プロジェクタ制御手段は、前記色差成分補正装置を制御して前記画像データの色差成分を補正させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるYCbCr4:2:2形式による画像データで文字と同一色の背景による下地からなる画像を表示させる場合に文字に不要な縁を発生させることがない画像処理が可能な色差成分補正装置及び色差成分補正装置を備えるプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るプロジェクタを示す外観斜視図である。
【図2】本発明に係るプロジェクタの機能回路ブロックを示す図である。
【図3】本発明における色差成分補正前後の画像の違いを示す説明図である。
【図4】本発明に係るプロジェクタによる色差成分補正装置の動作の流れを示す説明図である。
【図5】本発明におけるCbCr補正処理による各画素の色差成分Cb、Crの補正に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明の色差成分補正装置70は、外部からの入力とされるメモリカード32等に格納されている画像データによる画像等をスクリーンに投影させるプロジェクタ10における色差成分補正装置70である。色差成分補正装置70は、上記画像データをRGB8:8:8形式データからYCbCr4:4:4形式データに変換させるデータ形式検出用変換手段とされるデータ形式検出用変換部71を備える。また、色差成分補正装置70は、データ形式検出用変換部71により変換された上記YCbCr4:4:4形式データの色差成分を検出する色差検出手段とされる色差検出部72を備える。更に、色差成分補正装置70は、色差検出部72により検出された各画素の色差成分において、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致するか否かを判定する色差判定手段とされる色差判定部73を備える。
【0019】
また、色差成分補正装置70は、色差判定部73により2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致すると判定されると上記色差成分を補正させる色差補正手段とされる色差補正部74を備える。また、色差成分補正装置70は、色差補正部74により補正された色差成分による上記YCbCr4:4:4形式データの画像データを再度RGB8:8:8形式データに変換させる補正データ形式変換手段とされる補正データ形式変換部75を備える。
【0020】
そして、色差成分補正装置70における色差補正部74は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致する場合に、前記色差成分を隣り合う複数の画素により平均化して色差成分を補正させる。
【0021】
また、色差成分補正装置70における色差判定部73は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致するか否かの判定により、変換された上記YCbCr4:4:4形式の画像データの元の画像データがYCbCr4:2:2形式であったか否かを判定する。
【0022】
更に、色差成分補正装置70における色差補正部74は、隣り合う3つの画素により平均化して色差成分を補正させる。
【0023】
そして、色差成分補正装置70における補正データ形式変換部75は、色差補正部74により補正されたYCbCr4:4:4形式の画像データを表示に適した所定のフォーマットであるRGB8:8:8形式の画像データに変換させる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施例において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10からの投影方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、本体ケースの前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有すると共に、この正面パネル12には複数の排気孔17を設けている。更に、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0025】
また、本体ケースである上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、投影画像を背面パネルのUSB端子に装着されたメモリカードとされるUSBメモリに格納された画像データによる画像とするか、又はPCの画面等を映し出すRGB入力等を含むD−SUB端子による画像とするかを選択できる画面切り替えキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。なお、画面切り替えは、USBメモリ優先設定、PC優先設定等となるように予め設定することもできる。
【0026】
更に、本体ケースの背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のRGB入力等を含むD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。なお、図示しない本体ケースの側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15の下部近傍には、各々複数の吸気孔18が形成されている。
【0027】
そして、背面パネルに設けられたUSB端子に画像データが格納されたUSBメモリを挿し込むことにより、プロジェクタ10は、画像データによる画像等をスクリーンに投影させることができる。なお、メモリカードとされるUSBメモリに格納された画像データは、サブサンプルされたYCbCr4:2:2形式のデータとすることにより、比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となる。また、画像信号入力用のRGB入力等を含むD−SUB端子には、アナログRGB形式の画像データが映像入力される。
【0028】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26、色差成分補正装置70等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して、画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットであるデジタル化されたRGB8:8:8形式の24bitの画像信号に統一するように変換され、必要に応じて色差成分補正装置70により色差成分が補正されて表示エンコーダ24に出力される。
【0029】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開格納させた上でこのビデオRAM25の格納内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0030】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置63から射出された光線束を光源側光学系を介して表示素子51に入射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系とする投影系レンズ群を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群97は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0031】
色差成分補正装置70は、データ形式検出用変換手段とされるデータ形式検出用変換部71、色差検出手段とされる色差検出部72、色差判定手段とされる色差判定部73、色差補正手段とされる色差補正部74及び補正データ形式変換手段とされる補正データ形式変換部75を備える。
【0032】
データ形式検出用変換部71は、画像変換部23においてRGB8:8:8形式のデータに変換された画像データの元の画像データがサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式データであったか否かを判定するためにRGB形式データからYCbCr4:4:4形式の画像データに変換する。
【0033】
色差検出部72は、データ形式検出用変換部71により変換されたYCbCr4:4:4形式の画像データの色差成分を検出する。色差判定部73は、色差検出部72により検出された各画素の色差成分において、水平方向の2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致するか否かを画像全域において判定する。
【0034】
色差補正部74は、色差判定部73により水平方向の2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致して、変換されたYCbCr4:4:4形式画像データの元の画像データがサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データであると判定されると、色差成分を隣り合う複数の画素により平均化して色差成分を補正させる。補正の方法としては、水平方向の色差成分について隣り合う画素を含む3画素の色差成分を移動平均させる等がある。
【0035】
補正データ形式変換部75は、色差補正部74により移動平均された色差成分からなるYCbCr4:4:4形式の画像データを表示に適した所定のフォーマットであるデジタル化されたRGB8:8:8形式の画像信号に変換する。
【0036】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に格納したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0037】
本体ケースの上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0038】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0039】
また、制御部38は、光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、電源スイッチキーが操作されると光源装置63の光源を点灯させる。更に、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置63等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させ、更に、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体のシステムをOFFにする等の制御も行う。
【0040】
更に、制御部38は、色差成分補正装置70を制御することによりメモリカード32に格納された比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データの色差成分を補正させることにより、文字の縁部分に発生する白光り等の不具合を解消させる。
【0041】
ここで、サブサンプルされた画像の拡大図を用いて色差成分の補正の概要について説明する。図3は、黄色の背景下地に黒い丸文字の画像を拡大した図を示しており、図3(a)が、元の画像であり、図3(b)が、サブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データにより再生された画像であり、図3(c)が、サブサンプルされた画像データを本発明による色差補正を行い再生させた画像の一例である。
【0042】
図3(b)に示すように、黒い丸文字の右隣の黄色い背景下地の一部に白い白光画素55が存在する。白光画素55は、元の画像データからサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データに変換されたことにより、色差成分Cb、Crが左隣の黒文字部分の色差成分Cb、Crを使うことから無彩色になってしまい、輝度成分Yについては、元の画素の黄色による輝度成分Yが使われることから発生する。
【0043】
特にプロジェクタ10等のように画像データを拡大して見せる装置の場合には、白光画素55が文字の縁に浮き出たように見えてしまい見苦しくなる。
【0044】
そこで、図3(c)に示すように、元の画像データがサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データであっても、本発明の色差補正を行うことにより、白光画素55が補正された補正画素56となり、元の画像に近づき違和感のない画像とすることができる。
【0045】
次に、本発明の色差補正の動作について図を用いて説明する。図4は、色差補正機能の制御フローを示す説明図である。
【0046】
プロジェクタ10は、映像ソースとしてPC200の画面等を映し出すためのアナログRGB入力を受信するD−SUB端子と、USBメモリに格納されるUSBメモリデータの画像を映し出すためのUSBメモリが装着されるUSB端子とを備える。制御部38は、D−SUB端子にPC200との接続用のD−SUB用ケーブルが装着されたことを入出力インターフェース22を介して検知すると、映像入力処理(ステップS100)を実行する。制御部38は、映像入力処理(ステップS100)として画像変換部23を制御して映像入力したアナログRGB入力の画像データの変換処理を実行させる。
【0047】
画像変換部23は、アナログRGB入力の画像データをデジタル式のRGB8:8:8形式の24bitの画像データに変換させるためのAD変換処理(ステップS105)を実行し、表示に適した所定のフォーマットであるRGB8:8:8形式に変換する。
【0048】
一方、制御部38は、映像ソースとしてUSB端子にYCbCr形式の画像データが格納されたメモリカード32であるUSBメモリが装着されたことを入出力インターフェース22を介して検知すると、USBメモリ装着処理(ステップS200)を実行する。制御部38は、USBメモリ装着処理(ステップS200)としてUSBメモリに格納されている画像データを検出し、更にその画像データがYCbCr形式の画像データであると検出すると、画像変換部23を制御して、YCbCr形式の画像データをRGB形式の画像データに変換させるためのデータ形式変換処理(ステップS205)を実行し、表示に適した所定のフォーマットであるRGB8:8:8形式に変換させる。
【0049】
そして、キー/インジケータ部37の画面切り替えキーにより映像ソースをPC200の画面にするか、USBメモリに格納された画像にするかが選択されることにより映像ソースを決定する映像ソース決定処理(ステップS210)を実行する。但し、映像ソース決定処理(ステップS210)は、例えば、USBメモリ優先設定、コンピュータ優先設定等の映像ソースが予め設定されている場合には、その設定による映像ソースが選択される。
【0050】
映像ソース決定処理(ステップS210)により映像ソースが決定された際に、PC200の画面が選択されれば色差成分補正装置70は、画像データがアナログRGB入力と判断して、色差成分の補正を行わない。そして、色差成分補正装置70は、映像ソースがUSBメモリに格納された画像であるとサブサンプル判定を実行する。
【0051】
色差成分補正装置70は、既にデータ形式変換処理(ステップS205)でRGB8:8:8形式の画像データに変換された表示に適した所定の画像データが、サブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データかどうかを判定するために、データ形式検出用変換部71を制御してRGB8:8:8形式の画像データをYCbCr4:4:4形式の画像データに変換させるYCbCr4:4:4変換処理(ステップS215)を実行する。
【0052】
YCbCr4:4:4形式の画像データは、YCbCr4:2:2形式の画像データと異なり、水平方向の1画素毎に色差成分を有するデータ形式であることから、元の画像データがRGB8:8:8形式やYCbCr4:4:4形式の画像データであれば、1画素毎に異なる色差成分となる画像データに変換される。但し、元の画像データがサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データであれば、YCbCr4:4:4形式の画像データに変換された場合に隣り合う画素の色差成分は同様となる。
【0053】
したがって、YCbCr4:4:4変換処理(ステップS215)が完了すると、色差成分補正装置70における色差検出部72は、YCbCr4:4:4形式の画像データの各画素の色差成分を検出する。そして、色差成分補正装置70における色差判定部73は、映像入力された画像データがサブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データであったかどうかを判定するサブサンプル判定処理(ステップS220)を実行する。
【0054】
そして色差判定部73によるサブサンプル判定処理(ステップS220)において、映像入力された画像データが、サブサンプルされたYCbCr4:2:2形式の画像データであると判定されると、色差成分補正装置70における色差補正部74は、色差成分を補正させるために、CbCr補正処理(ステップS225)を実行する。色差補正部74は、CbCr補正処理(ステップS225)として、水平方向の隣り合う画素の色差成分が同様である点を補正するために、YCbCr4:4:4変換処理(ステップS215)によって、生成されたYCbCr4:4:4形式の画像データの色差成分を隣り合う3画素の信号による移動平均することにより、元の画像に近い色に補正させる。
【0055】
そして、色差補正部74がCbCr補正処理(ステップS225)を完了して色差成分が補正されると、色差成分補正装置70における補正データ形式変換部75は、色差成分が補正されたYCbCr4:4:4形式の画像データを、あらためて表示に適した所定のフォーマットであるRGB8:8:8形式の画像データに変換させる投影データ生成処理(ステップS230)を実行する。
【0056】
そして、色差成分補正装置70は、補正データ形式変換部75によりデータ変換が完了すると、変換された画像データを表示エンコーダ24に出力して、一連の処理によりスクリーンに投影させる画像投影処理(ステップS235)を実行する。
【0057】
次に、先に述べたCbCr補正処理(ステップS225)に関して水平方向の各画素の色差成分を補正する処理について図を用いて詳細に説明する。図5はCbCr補正処理による各画素の色差成分Cb、Crの補正に関する説明図である。
【0058】
図5に示すように、上段の画素1から画素8は、サブサンプルされた画像データの一部であり、画素1と画素2において色差成分Cb=Cb0であり、画素3と画素4において色差成分Cb=Cb2であるように水平方向の隣り合う画素の色差成分は同じ値である。
【0059】
CbCr補正処理は、隣り合う画素の色差成分が同様である点を補正するために、YCbCr4:4:4変換処理によって、生成された画像データの色差成分を水平方向の隣り合う画素の色差成分を用いて移動平均して、図3に示したような白光画素55を元の画像に近い補正画素56とする。
【0060】
図5に示した画素2についていえば、色差成分Cbは、移動平均により(Cb0+Cb0+Cb2)/3の値となり、補正前のCb0の値に対して右隣の画素3の色差成分Cb2により平均化させることができる。
【0061】
以上のように本実施例によれば、比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるYCbCr4:2:2形式による画像データで文字と同一色の背景による下地からなる画像を表示させる場合に文字に不要な縁を発生させることがない画像処理が可能な色差成分補正装置70及び色差成分補正装置70を備えるプロジェクタ10を提供することができる。
【0062】
また、本実施例によれば、メモリカード32等に格納されている画像データを比較的データ量が少なく、補正時の計算も簡潔となるYCbCr4:2:2形式で保存させることにより、メモリ容量の節約や、メモリバスのバンド幅のパフォーマンスを向上させることができる。
【0063】
更に、本実施例によれば、メモリカード32等に格納されているYCbCr4:2:2形式の画像データがRGB形式に変換されても、そのRGB形式に変換された画像データをYCbCr4:4:4形式の画像データに変換することにより、元の画像データがサブサンプルされた画像であるかを判定することができる。
【0064】
そして、本実施例によれば、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致するか否かの判定により、映像入力された画像データがサブサンプルされた画像であるかを判定することができるので、あらゆる映像ソースの画像に対して、文字と同一色の背景による下地からなる画像を表示させる場合に文字に不要な縁を発生させることがない画像処理が可能となる。
【0065】
また、本実施例によれば、元の画像データがサブサンプルされた画像であると判定すると、隣り合う3つの画素の色差成分を用いて移動平均して色差成分を補正させてRGB信号に戻すことにより、画像の不自然さを軽減させることができる。なお、両隣りの画素を付加して計5画素により移動平均する等のように画素数を増やして色差成分を補正しても画像の不自然さを軽減させることができ、その他、移動平均以外に相乗平均するようにしても同様の効果を得られる。
【0066】
また、本実施例によれば、いかなる映像ソースの入力であっても、一旦YCbCr4:4:4形式に変換してサブサンプル判定を行ってきたが、例えば、USB端子による映像ソースの入力に限定してサブサンプル判定を実行しても構わない。
【0067】
なお、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 プロジェクタ
11 上面パネル 12 正面パネル
15 左側パネル 17 排気孔
18 吸気孔 19 レンズカバー
20 各種端子 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 55 白光画素
56 補正画素 63 光源装置
70 色差成分補正装置 71 データ形式検出用変換部
72 色差検出部 73 色差判定部
74 色差補正部 75 補正データ形式変換部
200 PC


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される画像データによる画像等をスクリーンに投影させるプロジェクタにおける色差成分補正装置であって、
前記画像データをRGB形式データからYCbCr4:4:4形式データに変換させるデータ形式検出用変換手段と、
前記データ形式検出用変換手段により変換された前記YCbCr4:4:4形式データの色差成分を検出する色差検出手段と、
前記色差検出手段により検出された各画素の色差成分において、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致するか否かを判定する色差判定手段と、
前記色差判定手段により2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致すると判定されると前記色差成分を補正させる色差補正手段と、
前記色差補正手段により補正された色差成分による前記YCbCr4:4:4形式データの画像データを再度RGB形式データに変換させる補正データ形式変換手段と、
を備え、前記色差補正手段は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が全て一致する場合に、前記色差成分を隣り合う複数の画素により平均化して色差成分を補正させることを特徴とする色差成分補正装置。
【請求項2】
前記色差判定手段は、2画素毎の隣り合う画素の色差成分が一致するか否かの判定により、変換された前記YCbCr4:4:4形式の画像データの元の前記画像データがYCbCr4:2:2形式であったか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の色差成分補正装置。
【請求項3】
前記色差補正手段は、隣り合う3つの画素により平均化して色差成分を補正させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色差成分補正装置。
【請求項4】
前記補正データ形式変換手段は、前記色差補正手段により補正されたYCbCr4:4:4形式の画像データを表示に適した所定のフォーマットであるRGB形式の画像データに変換させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の色差成分補正装置。
【請求項5】
色差成分補正装置と、プロジェクタ制御手段とを備え、
前記色差成分補正装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の色差成分補正装置であり、前記プロジェクタ制御手段は、前記色差成分補正装置を制御して前記画像データの色差成分を補正させることを特徴とするプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−66496(P2011−66496A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213104(P2009−213104)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】