説明

芳香環含有モノマー組成物及びこれに基くポリマー

【課題】芳香環を高い割合で含んだポリマーを与えることができるモノマーを提供すること。
【解決手段】式(1),


〔式中,R1は,アクリロイル基,メタクリロイル基,2,4−ヘキサジエノイル基,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基,メタクリロイルオキシエチルカルバモイル基,及びビニル基の何れかを表し,mは1ないし3の整数である。〕で示されるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含んでなる組成物,及びこれと(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体よりなる群より選ばれるモノマー(B)とを共重合させてなるポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,化学構造中に複数の芳香環を含んだモノマー組成物,その製造方法,当該モノマーに基づくポリマー及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香環を化学構造中に含むポリマーは,種々の顔料を分散,吸着させるという特性に優れる場合が多く,また耐熱性,耐薬品性,耐衝撃性等,多くの物理的特性において,更には透明性,屈折率,複屈折率,光弾性複屈折率等の多くの光学特性においても優れる場合が多い。
【0003】
芳香環を化学構造中に含んだポリマーの製造は,芳香環含有モノマーを重合させることによって行われる。現在市販されている芳香環含有モノマーとしては,スチレン,ビニルナフタレン,ベンジル(メタ)アクリレート,パラクミルフェノール系(メタ)アクリレートなどが知られている(例えば,次の表1)。
【0004】
【表1】

【0005】
また,例えば,インクジェット顔料分散剤として,親水基を有する少なくとも第1モノマーと、疎水基を有する第2モノマーを重合させたポリマーである,スチレン− ビニルスルホン酸コポリマー、スチレン− アクリル酸ブチル− メタクリル酸− ビニルスルホン酸コポリマー、スチレン− トリフルオロアクリル酸−ビニルスルホン酸コポリマー、スチレン−α−( トリフルオロメチル)アクリル酸−ビニルスルホン酸コポリマー、及びスチレン−トリフルオロアクリル酸コポリマーや,シクロヘキシル,ベンジル等の疎水性基を有するアクリレートと(メタ)アクリル酸とを重合させたポリマー等が知られている(例えば,特許文献3及び4参照)。しかしながら,従来の芳香環含有モノマーを重合させて得られるこれらのポリマーは,その単位重量当りの芳香環モル数が十分高くはない。このため,上記の種々の特性を持たせようとすることは困難である。このため,従来より高度に芳香環を集積させたポリマーを与えるモノマーが入手できることが望ましいが,これまでそれに適したモノマーは報告されていない。
【0006】
そのようなモノマーが得られれば,これを重合させることにより,光透過性,高屈折率などの光学的特性に優れた,若しくは顔料の分散性に優れた機能性のポリマー,あるいは,コート材として耐摩擦性等の機械的特性や光沢に優れたポリマーの製造に新たな道を開くことができる。
【0007】
【特許文献1】特開平08−176098号公報
【特許文献2】特開平2−29401号公報
【特許文献3】特開2005−298826号公報
【特許文献4】特開2005−171223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記背景において,本発明は,重合させることにより芳香環を高い割合で含んだポリマーを与えることができるモノマー,及び当該モノマーに基づくポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的のため,本発明者は,トリベンジルフェノール骨格を有する化合物に着目した。すなわち,トリベンジルフェニル骨格を有するモノマーが得られれば,これを用いて,従来に比して芳香環の集積度を大きく高めたポリマーの製造を可能にできる筈である。本発明者は,この方向に沿って検討の結果,トリベンジルフェノール骨格を有する化合物と,重合性の二重結合を有する化合物とを結合させることにより,芳香環を高度に集積させたポリマーの製造用のモノマーが得られることを見出し,更に検討を加えて本発明を完成させた。すなわち,本発明は以下を提供するものである。
1.式(1),
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中,R1は,アクリロイル基〔CH2=CH−CO−〕,メタクリロイル基〔CH2=C(CH3)−CO−〕,2,4−ヘキサジエノイル基〔CH3−CH=CH−CH=CH−CO−〕,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=CH−COO−C25−NH−CO−〕,メタクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=C(CH3)−COO−C25−NH−CO−〕,及びビニル基〔CH2=CH−〕の何れかを表し,mは1ないし3の整数である。〕で示されるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含んでなる,組成物。
2.該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物を合計で60〜100重量%の割合で含んでなるものである,上記1の組成物。
3.該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対し,トリベンジルフェノキシ化合物が20重量%以上の比率で含まれるものである,上記1又は2の組成物。
4.該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対し,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の比率が,それぞれ,0〜60重量%,20〜75重量%,及び20〜75重量%の範囲に入るものである上記1ないし3の何れかの組成物。
5.ジメチルシリコーンを固定相とするカラム及び水素炎イオン化検出器(FID:Flame Ionization Detector)を用いたガスクロマトグラフィーにより測定したとき,ガスクロマトグラム上における該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物に対応するピークの合計面積に対して,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の各々に対応するピークの面積の割合が,それぞれ,0〜40%,30〜65%,及び30〜65%の範囲に入るものである,上記1ないし3の何れかの組成物。
6.モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量が,該組成物の60〜100重量%を占めるものである,上記1ないし5の何れかの組成物。
7.式2,
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中,nは1ないし3の整数である。〕で示される,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールを含んでなる混合物を,フェノール性OH基に対する共有結合形成性の官能基を有し且つ重合性二重結合をも有するものであるモノマー化合物と接触させて,該官能基と式(2)の化合物のフェノール性OH基との間に共有結合を形成させることを含んでなるものである,芳香環含有モノマー組成物の製造方法。
8.該重合性二重結合基が,炭素−炭素二重結合である,上記7の製造方法。
9.該官能基が,酸クロライド基〔−COCl〕,イソシアネート基〔−NCO〕,又はビニル性クロル基である,上記7又は8の方法。
10.該モノマー化合物が,(メタ)アクリル酸クロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び塩化ビニルよりなる群より選ばれるものである,上記7ないし8の何れかの製造方法。
11.該ベンジルフェノール組成物中に含まれるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの合計含量に対し,トリベンジルフェノールが20重量%以上の比率で含まれるものである,上記7ないし10の何れかの製造方法。
12.該混合物中に含まれるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの全量に対し,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールが,それぞれ,0〜60重量%,20〜75重量%,20〜75重量%の範囲に入るものである,上記7ないし11の何れかの製造方法。
13.ジメチルシリコーンを固定相とするカラム及び水素炎イオン化検出器(FID:Flame Ionization Detector)を用いたガスクロマトグラフィーにより測定したとき,該混合物が,ガスクロマトグラム上における該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールに対応するピークの合計面積に対して,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの各々に対応するピークの面積の割合が,それぞれ,0〜40%,30〜65%,及び30〜65%の範囲に入るものである,上記7ないし12の何れかの製造方法。
14.該芳香環含有モノマー組成物におけるモノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量が,60〜100重量%を占めるものである,上記7ないし13の何れかの製造方法。
15.上記7ないし14の何れかの製造方法により製造される,芳香環含有モノマー組成物。
16.上記1ないし6及び15の何れかの組成物中の芳香環含有モノマー(A)と,これと共重合可能なモノマーであって(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体よりなる群より選ばれるものである少なくとも1種のモノマー(B)とを共重合させてなるポリマー。
17.上記16のポリマーであって,R1が,アクリロイル基〔CH2=CH−CO−〕,メタクリロイル基〔CH2=C(CH3)−CO−〕,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=CH−COO−C25−NH−CO−〕,又はメタクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=C(CH3)−COO−C25−NH−CO−〕の何れかを表すものである,ポリマー。
18.モノマー(B)が(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸アルキル,(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルよりなる群より選ばれるものである上記16又は17のポリマーと,グリシジル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させてなる,ポリマー。
19.上記1ないし6及び15の何れかの組成物中の芳香環含有モノマー(A)と,グリシジル(メタ)アクリレートとを共重合させ,更に(メタ)アクリル酸を加えて反応させ,これに更にテトラヒドロフタル酸を反応させてなるポリマー。
20.上記16ないし19の何れかのポリマーと光重合開始剤とを含んでなる組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の芳香環含有モノマー組成物は,トリベンジルフェノキシ基を有する化合物をモノマーとして含んでおり,当該組成物は,これを重合させることにより,芳香環の集積度の高い上記本発明のポリマーを与える。このポリマーは,光透過性,高屈折率等の光学特性,顔料の分散性,光沢,耐摩擦特性等の機械的特性に優れた,インクジェット顔料分散剤,記録用紙インク吸収層材料,液晶材料,オーバーコート材料,塗料,電子材料,光学材料,医療材料,化粧料など,広範な分野において利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
なお,本明細において「(メタ)アクリル〜」は,「アクリル〜」及び「メタクリル〜」を特に両者の区別なく表す。
【0016】
本発明により得られる組成物すなわち式(1)
【0017】
【化3】

【0018】
〔式中,R1は,アクリロイル基〔CH2=CH−CO−〕,メタクリロイル基〔CH2=C(CH3)−CO−〕,2,4−ヘキサジエノイル基〔CH3−CH=CH−CH=CH−CO−〕,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=CH−COO−C25−NH−CO−〕,メタクリロイルオキシエチルカルバモイル基〔CH2=C(CH3)−COO−C25−NH−CO−〕,及びビニル基〔CH2=CH−〕の何れかを表し,mは1ないし3の整数である。〕で示されるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含んでなる組成物における,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対する各ベンジルフェノキシ化合物の割合は,モノベンジルフェノキシ化合物については,好ましくは0〜60重量%,より好ましくは0〜50重量%,特に好ましくは0〜30重量%であり,ジベンジルフェノキシ化合物については,好ましくは,20〜75重量%,より好ましくは30〜65重量%,特に好ましくは40〜60重量%であり,そしてトリベンジルフェノキシ化合物については,は好ましくは20〜75重量%,より好ましくは25〜70重量%,特に好ましくは30〜65重量%である。
【0019】
上記において,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対するモノベンジルフェノキシ化合物の比率が60重量%を超えると,それに応じてジ−及びトリ体の含有比率が下がり,その結果,重合して得られるポリマーの屈折率が十分高くならない場合が生ずる等,芳香環を高度に集積させたポリマーを得るという目的に合致しない場合が生じることとなるため,好ましくない。芳香環を高度に集積させたポリマーを得るという目的から、モノベンジルフェノキシ化合物の比率は0重量%であってもよい。
【0020】
また,上記において,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対するジベンジルフェノキシ化合物の比率が20重量%未満であると,重合して得られるポリマーの屈折率が十分高くならない場合が生ずる等,芳香環を高度に集積させたポリマーを得るという目的に合致しない場合が生じることとなるため,好ましくない。また,ジベンジルフェノキシ化合物の比率が75重量%を超えると,今度はトリベンジルフェノキシ化合物の比率が低下せざるを得なくなるため,これも本発明の目的に合致しない場合が生ずる等,好ましくない。
【0021】
更にまた,上記において,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対するトリベンジルフェノキシ化合物の比率が20重量%未満であると,芳香環を高度に集積させたポリマーを得るという目的に合致しないため好ましくない。また,トリベンジルフェノキシ化合物の比率が75重量%を超えると,モノマー組成物の結晶性が増し、これを溶解する際の溶剤が限定されるなど,好ましくない。
【0022】
本発明の組成物全体におけるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量は,芳香環を集積させたポリマーを得るという目的上,好ましくは60〜100重量%,より好ましくは75〜100重量%である。
【0023】
本発明の芳香環含有モノマー組成物の製造は,式(2),
【0024】
【化4】

【0025】
〔式中,nは1ないし3の整数である。〕で示される,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールを含んでなる混合物と,フェノール性OH基に対する共有結合形成性の官能基を有し且つ重合性二重結合をも有するものであるモノマー化合物とを,例えばエステル形成反応させることにより製造することができる。式(2)の化合物とのエステル形成反応に適したモノマー化合物としては,例えば(メタ)アクリル酸クロライド等の酸クロライド系のモノマー化合物が挙げられ,これを,酸クロライドによるヒドロキシル基のエステル反応の周知方法に準じて,アミン触媒の存在下にベンジルフェノール組成物と混合してそのフェノール性OH基との間でエステル形成反応を起こさせることにより,目的の芳香環含有モノマー組成物が得られる。
【0026】
前記酸クロライドとしては(メタ)アクリル酸クロライド,ソルビン酸クロライド等が挙げられる。これらの中では合成安定性が良好であるとの観点から(メタ)アクリル酸クロライドが特に好ましい。
【0027】
上記エステル形成反応における反応触媒としては,トリエチルアミン,ピリジンなどの有機系塩基化合物などが挙げられ,特に,反応率の観点から,トリエチルアミンが好ましい。
【0028】
また代わりとして,上記のモノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールを含んでなるベンジルフェノール組成物と,イソシナネート基含有の(メタ)アクリル系モノマー化合物とを有機金属系触媒存在下にて反応させることにより,又は,上記のモノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールを含んでなるベンジルフェノール組成物と,塩化ビニルとを金属系触媒例えば錫系触媒存在下にて反応させることによっても,目的の芳香環含有モノマー組成物を得ることができる。
【0029】
更に,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールを含んでなるベンジルフェノール組成物から目的のモノマー組成物を得る方法として,上記の方法以外に,脱水エステル法,エステル交換法,酸無水物法,ジシクロヘキシルカルボジイミド法など,当業者に周知の一般的な手段を用いてもよい。
【0030】
上記の合成に際し,必要に応じて反応混合物に重合防止剤を加えることができ,それにより,合成反応中におけるモノマー化合物及び目的とするモノマー組成物の安定性を高めることができる。重合防止剤としては,(メタ)アクリレートの重合防止に一般に用いられるものであればよい。代表例としては、具体的には、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン系重合禁止剤;塩化第一銅、硫酸銅等の無機銅塩系重合禁止剤;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤;塩化第二鉄、硫酸鉄等の無機鉄塩系重合禁止剤;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系重合禁止剤が挙げられるが、これらに限定されない。また、反応媒質中に空気を吹き込むことは、(メタ)アクリル酸の重合を起こり難くする上で有効である。
【0031】
上記の合成の進行は,IR(赤外分光光度計),GC(ガスクロマトグラフィー)や,GPC(ゲルクロマトグラフィー)などの一般的な分析機器により確認することができる。またこうして得られる芳香環含有モノマー組成物に含有される各芳香環含有モノマー化合物は,NMR,元素分析などにより確認することができる。
【0032】
本発明において原料として用いられるベンジルフェノールは,モノベンジルフェノール,ジベンジルフェノール,及びトリベンジルフェノールを含有するベンジルフェノール混合組成物であり,混合物の状態で市販されている〔例えば,商品名:TBP,川口化学工業(株)製〕ため,これを入手して使用することができる。
【0033】
本発明のモノマー組成物の製造のための反応に使用される溶媒としては,n−ヘキサン,シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒,アセトン,メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒,酢酸エチル,酢酸ブチルなどのエステル系溶媒などが挙げられ,特に,反応率の観点から,シクロヘキサンが好ましい。
【0034】
モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノール混合組成物のフェノール性OH基に結合させるイソシアネート基含有モノマー化合物としては,(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート,メタクリルイソシアネート、ビニルイソシアネート、1,p−ビニルフェニルイソシアネート等が挙げられる。これらの中では,合成安定性が良好であるとの観点から,(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが特に好ましい。
【0035】
本発明の芳香環含有モノマー組成物の製造において,原料として用いるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの混合物における,各モノマー化合物の含有比率は,ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。すなわち当該原料を,例えば,メチルシリコーンを固定相として充填したカラムを用いてガスクロマトグラフィーにかけたとき,これら3種のベンジルフェノールは,モノベンジルフェノール,ジベンジルフェノール及びトリベンジルフェノールの順でカラムを通過し,それらの保持時間の顕著な相違により完全に分離される。従ってこれを例えば水素炎イオン化検出器(FID)により各ピークとして検出し,クロマトグラム上の各ピーク面積を常法に従って相互に比較することにより,各モノマー化合物の含有比率(GC面積%)を求めることができる。
【0036】
また,本発明により得られる芳香族含有モノマーを含んでなる組成物についても,上記と同様に,例えば,メチルシリコーンを固定相として充填したカラムを用い,ガスクロマトグラフィーにかけることで完全に分離されるため,これを例えば水素炎イオン化検出器(FID)で各ピークを検出して,クロマトグラム上の各ピーク面積を常法に従って相互に比較することにより,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量(100%)に対する各ベンジルフェノキシ化合物の含有比率(GC面積%)を,それぞれ測定することができる。こうして求められる各成分の含有比率は,典型的には,モノベンジルフェノキシ化合物が0〜40%,ジベンジルフェノキシ化合物が30〜65%,トリベンジルフェノキシ化合物が30〜65%である。
【0037】
なお,において,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物は合計で,組成物全体の60〜100重量%を占めることが好ましい。
【0038】
本発明のモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含む組成物全体に占めるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物量の合計割合は,組成物の既知量のサンプルをクロマトグラフィーにかけて分離し,各ベンジルフェノキシ化合物を回収して重量を測定し,合計して,これをサンプル重量で除すことにより求められる。また測定した各ベンジルフェノキシ化合物の重量をこれら3種の化合物の合計重量で除すことにより,ベンジルフェノキシ化合物の全体に占める各の化合物の割合(重量%)を求めることができる。簡便法としては,上述のように,メチルシリコーンを固定相として充填したカラム及び水素炎イオン化検出器により,ガスクロマトグラム上で各化合物に対応するピーク面積をGC面積%として求め,そこから各化合物の割合(%)が求められる。
【0039】
モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含んでなる本発明の組成物は,芳香環の占める割合が高いため,それ自体屈折率が高い。これを用いて高屈折率のポリマーを製造するには,当該組成物のみをモノマーとして重合反応させてもよく,また,屈折率の高い他のモノマーと共重合させてもよい。屈折率の高いモノマーとしては,従来,例えば次の表に掲げたものが知られており,これらの何れか又は複数を,本発明の組成物と共重合させて,高屈折率のポリマーを得ることができる。
【0040】
【表2】

【0041】
すなわち本発明はまた,上記の芳香環含有モノマー(A)と,これと共重合可能なモノマーであって(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体よりなる群より選ばれるものである少なくとも1種のモノマー(B)とを共重合させてなるポリマーをも提供する。
【0042】
そのような芳香族含有モノマー(A)としては,例えば,トリベンジルフェニルアクリレート(TBPA,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらの内のトリベンジル体の割合は27.3%,大阪有機化学工業製)やトリベンジルフェニルメタクリレート(TBPMA,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらの内のトリベンジル体の割合は27.3%,大阪有機化学工業製),アクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェニルエステル(AOCBP,大阪有機化学工業製)やメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工製,MOI)を反応させて得られるメタクリロイルエチルカルバミン酸トリベンジルフェニルエステル(大阪有機化学工業製,MOCBP),が挙げられる。
【0043】
上記共重合可能なモノマー(B)としては,(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸n−ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸t−ブチル,(メタ)アクリル酸ネオペンチル,(メタ)アクリル酸シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸ベンジル,(メタ)アクリル酸グリシジル,(メタ)アクリル酸イソボルニル,(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル,(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル,(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸セチル,(メタ)アクリル酸エチルカルビトール,(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート,メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート,メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート,(メタ)アクリル酸フェノキシエチル,フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート,フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート,フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート,(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル,(メタ)アクリル酸メトキシブチル,N−メチル(メタ)アクリルアミド,N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−プロピル(メタ)アクリルアミド,N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド,N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド,N−オクチル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド,(メタ)アクリロイルモルホリン,ジアセトン(メタ)アクリルアミド,スチレン,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,N−ビニルピロリドン,N−ビニルカプロラクタム等の単官能モノマーが挙げられる。
【0044】
本発明はまた,上記ポリマーに,グリシジル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させてなる,ポリマーを提供する。この場合,上記ポリマーが,モノマー(B)として(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸アルキル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルよりなる群より選ばれるものであることが特に好ましいが,これに限定されない。
【0045】
更に本発明は,上記芳香環含有モノマー(A)と,グリシジル(メタ)アクリレートを含む上記モノマー(B)とを共重合させ,これに更にテトラヒドロフタル酸を反応させてなるポリマーをも提供する。グリシジル(メタ)アクリレートを含む上記モノマー(B)としては,グリシジル(メタ)アクリレートそのものであってもよく,また更に他の(メタ)アクリル酸誘導体や(メタ)アクリル酸を部分的に含有するものであってもよい。
【0046】
上記芳香族含有モノマー(A)から製造される上記の各種ポリマーは,光重合開始剤を含んだ組成物として提供することができる。光重合開始剤としては,ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン,2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン,2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン,1,1−ジクロロアセトフェノン,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ホルフォリノプロパン−1−オン,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン,2−エチルアントラキノン,2−tert−ブチルアントラキノン,1−クロロアントラキノン,2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン,2,4−ジエチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2,4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール,ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;キサントン類;1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等の慣用の光重合開始剤の何れかを単独で,又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
光重合開始剤を含んだ上記組成物はまた,光増感剤及び/又は溶剤を含有していてよい。光増感剤としては,N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル,N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル,ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート,トリエチルアミン,トリエタノールアミン等の第三級アミン類のような慣用の光増感剤の1種を単独で,又はそれらのうち2種以上を組み合わせて用いることができる。また,溶剤としては,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン,キシレン,テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ,メチルセロソルブ,カルビトール,メチルカルビトール,ブチルカルビトール,プロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル,トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル,酢酸ブチル,セロソルブアセテート,ブチルセロソルブアセテート,カルビトールアセテート,ブチルカルビトールアセテート,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール,プロパノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,α−テルピネオール等のアルコール類;オクタン,デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル,石油ナフサ,水添石油ナフサ,ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられ,これらの何れかを単独で又はそれらのうち2種以上を組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明がそれら実施例に限定されることは意図しない。
【0049】
以下の実施例においては,IR,GC(NMR)を用いた分析により,ベンジルフェノキシモノマー混合物の製造確認を行った。
【0050】
1.ベンジルフェノキシモノマー混合組成物の製造
〔実施例A1〕
<モノマー混合組成物の製造>
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けたフラスコ内で,ベンジルフェノール混合物(商品名:TBP,川口化学工業(株)製)352g(OH基:1.01mol,水酸基価:161),シクロヘキサン600g及びトリエチルアミン112g(1.238mol)を混合して均一液とし,これにアクリル酸クロライド100g(1.11mol)を1時間かけて一定速度で滴下した。滴下は,発熱を抑制するため反応混合物を冷却しながら行った。滴下終了後,更に2時間攪拌して反応終点を確認した。反応は15〜35℃の温度範囲で行った。
【0051】
反応終点は,ガスクロマトグラフィー測定において,反応混合物中に含まれるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの合計ピーク面積がトリベンジルフェノキシ化合物のピーク面積に対して5%以下となったことを確認することにより行った。
【0052】
反応終了後,反応液に0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液150mlを投入して攪拌した後,精製水400gを投入してpHが6.5〜7.5になるまで水浄した。次いで,後減圧条件下に70℃まで加熱して溶媒を除去して反応物を濃縮することにより,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールのアクリル酸エステルの混合物(収率:91.0%)を得た。
【0053】
上記で得られた混合物を次の条件でガスクロマトグラフィー分析しに付した。
【0054】
<GC(ガスクロマトグラフィー)分析条件>
装置:島津製作所 GC-14A, CR-6A
カラム:2m,OV−101型(非極性固定相;ジメチルシリコーン,(株)島津ジーエルシー),パックドカラム
プログラム:100〜250℃,10.0℃/分 + 250℃,60分間保持
注入口温度:250℃,
検知器:FID
検知器温度:270℃
波形処理条件:垂直分割処理
試料:1μl(アセトン溶液)
【0055】
各ピークのGC面積%を算出する方法としては,「垂直分割法」を用いた。「垂直分割法」は,クロマトグラム上で部分的に重なるピークがあるときは,それらの間の谷底で垂直にピーク同士を切り分けると共に,各ピークの面積を,一定のベースライン(検出強度ゼロ)とその上方の各ピークの曲線部分とが囲む面積として算出する方法である。これをクロマトパックGC−6Aにおける自動処理により行った。
【0056】
<原料ベンジルフェノール及び生成したモノマー化合物のピークの帰属>
反応前後におけるガスクロマトグラム上のピーク変化:
上記反応の原料であるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノール混合物のガスクロマトグラム及び反応終了後の混合物のガスクロマトグラムを図1及び2に示すまた,当該原料のガスクロマトグラム上における各ピークの面積%(GC面積%),及び反応終了後の混合物のガスクロマトグラムにおける各ピークの面積%(GC面積%)を,それぞれ表3及び4に示す。図1及び2中,ピークに付した番号(P1,P2,P3,・・・)は,それぞれ表3及び4中のピーク番号(1,2,3,・・・)に対応する。原料には,フェノールその他少量の不純物が含有されている。また,各ベンジルフェノール,及び各ベンジルフェノキシ化合物についてピークが2つに分離するのは,フェノール又はフェノキシ基に対するベンジル基の結合可能な位置(o,m,p)が複数存在することに起因するものである。なお表中,アセトンは,ガスクロマトグラフィーの実施に際して加えた溶媒である。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
表3に示すように,原料組成物には,モノベンジルフェノールが14.2GC面積%,ジベンジルフェノールが38.0GC面積%,及びトリベンジルフェノールが26.7GC面積%の量で,それぞれ含有されていた(合計78.9GC面積%)。従って,ベンジルフェノールの合計含量に占めるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの割合はそれぞれ,18.0%,48.2%及び33.8%であった。
【0060】
同様に,表4に示すように,反応終了後の組成物には,モノベンジルフェノキシ化合物(アクリル酸モノベンジルフェニルエステル)が17.0GC面積%,ジベンジルフェノキシ化合物(アクリル酸ジベンジルフェニルエステル)が37.0GC面積%,及びトリベンジルフェノキシ化合物(アクリル酸トリベンジルフェニルエステル)が36.7GC面積%の量で,それぞれ含有されていた(合計90.7GC面積%)。従って,ベンジルフェノキシ化合物の合計含量に占めるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の割合は,それぞれ,18.7%,40.8%及び40.5%である。
【0061】
〔実施例A2〕
TBP(水酸基価161)352gとトリエチルアミン112g,シクロヘキサン600gを加え,攪拌した溶液を0℃まで冷却した。10℃以下を保ちながら,メタクリル酸クロライド113g(1.1111mol)を滴下した。滴下終了後,2時間,室温で攪拌した。精製する白色結晶をろ過し,ろ液を精製水で洗浄し,分液ロートで分離し,シクロヘキサン溶液を得た。トルエンを加熱しながら減圧することで溜去し,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物(メタアクリル酸トリベンジルフェニルエステル)を含んでなる混合物435gを得た。
【0062】
〔実施例A3〕
メタクリル酸クロライド113g(1.1111mol)をアクリル酸クロライド100g(1.1111mol)へ変更した以外は,実施例A2と同様に反応及び後処理を行った。モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物(アクリル酸トリベンジルフェニルエステル)を含んでなる混合物490gを得た。
【0063】
〔実施例A4〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けたフラスコ内で,ベンジルフェノール混合組成物(商品名:TBP 川口化学工業株式会社製)500g(1.43mol),メチルエチルケトン300gと錫系触媒(三共有機合成製 商品名:スタンBL)0.25g(0.08mol%[対TBP])とを混合して均一液とした後,55℃まで加熱して,メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:MOI,昭和電工製)225g(1.43mol)を2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後,更に8時間攪拌して反応終点を確認した。反応終点の確認は,イソシアネートのIR吸収ピーク(2300cm-1)の消滅及びメタクリロイルオキシエチルイソシアネートのGPCピークの消滅により確認した。反応混合物を実施例A2と同様にして後処理に付し,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシモノマー化合物(メタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル)を含んでなる混合物を得た。
【0064】
〔実施例A5〕
TBP(水酸基価161)を352g(1.007mol),MOIを156g(1.010mol),スタンBLを0.5g,反応温度を80℃へと変更した以外は,実施例A4と同様に反応及び後処理を行い,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物(メタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル)を含んでなる混合物500gを得た。
【0065】
〔実施例A6〕
TBP(水酸基価161)352g(1.007mol),アクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:AOI,昭和電工製) 142g(1.010mol),スタンBL0.5g,反応温度80℃,へ変更した以外は実施例A4と同様に反応及び後処理を行い,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物(アクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル)を含んでなる混合物490gを得た。
【0066】
2.ベンジルフェノキシ化合物の混合物の屈折率
上記で作成したモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物の混合物について,アツベ屈折率計〔NAR−3T,(株)アタゴ製〕にて屈折率を測定した〔測定波長589.3nm(D線)〕。結果を次の表5に示す。
【0067】
【表5】

【0068】
3.フィルムの作製
実施例A1〜A6で得られた各組成物100重量部とヘキシルフェニルケトン(Irg184)5重量部とを,加熱残分が10%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した。希釈液を10cm×10cmのガラスの上に塗布し,90℃で乾燥後,1000mJ/cm2の紫外線をあてて硬化させた後,160℃,1時間の乾燥を行い,膜厚1μmのフィルムを得た。
【0069】
〔実施例B1〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(MOCBP,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらのうちトリベンジル体の割合は35.0%,大阪有機化学工業製)80g,アクリル酸10g,メタクリル酸10g,メチルエチルケトン100gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2gを加え,80℃で6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は20000であった。
【0070】
〔実施例B2〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(AOCBP,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらの内のトリベンジル体の割合は35.0%,大阪有機化学工業製)80g,アクリル酸10g,メタクリル酸10g,メチルエチルケトン100gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2gを加え,80℃で6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は15000であった。
【0071】
〔実施例B3〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPMA,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらの内のトリベンジル体の割合は27.3%,大阪有機化学工業製)80g,アクリル酸10g,メタクリル酸10g,メチルエチルケトン100gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2gを加え,80℃で6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は22000であった。
【0072】
〔実施例B4〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPA,モノ−,ジ−,トリベンジル体の混合物でありそれらの内のトリベンジル体の割合は27.3%,大阪有機化学工業製)80g,アクリル酸10g,メタクリル酸10g,メチルエチルケトン100gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2gを加え,80℃で6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0073】
〔実施例B5〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(MOCBP,同上),40g,メタクリル酸60g,プロピレングリコールモノメチルエーテル371gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にグリシジルメタクリレート59g及びトリフェニルホスフィン1.2gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液500gを得た。(加熱残分30%,Mw=15000)
【0074】
〔実施例B6〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(AOCBP,同上)40g,メタクリル酸60g,プロピレングリコールモノメチルエーテル371gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。この反応混合物にグリシジルメタクリレート59g,トリフェニルホスフィン1.2gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液500gを得た。(加熱残分30%,Mw=13000)
【0075】
〔実施例B7〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPMA,同上)40g,メタクリル酸60g,プロピレングリコールモノメチルエーテル371gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は11000であった。この反応混合物にグリシジルメタクリレート,59g,トリフェニルホスフィン1.2gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液500gを得た。(加熱残分30%,Mw=18000)
【0076】
〔実施例B8〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコに大阪有機化学工業製アクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPA,同上)40g,メタクリル酸60g,プロピレングリコールモノメチルエーテル371gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にグリシジルメタクリレート59g,トリフェニルホスフィン1.2gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液500gを得た。(加熱残分30%,Mw=15000)
【0077】
〔実施例B9〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(MOCBP,同上)40g,グリシジルメタクリレート60g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート413gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にアクリル酸28.8g,トリフェニルホスフィン0.9gを加え,100℃で12時間反応させ,更にテトラヒドロ無水フタル酸,48gを加え,80℃で6時間反応させ,感光性ポリマー溶液580gを得た。(加熱残分30%,Mw=20000)
【0078】
〔実施例B10〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(AOCBP,同上)40g,グリシジルメタクリレート60g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート413gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。この反応混合物にアクリル酸28.8g,トリフェニルホスフィン0.9gを加え,100℃で12時間反応させ,更にテトラヒドロ無水フタル酸48gを加え,80℃で6時間反応させ,感光性ポリマー溶液580gを得た。(加熱残分30%,Mw=18000)
【0079】
〔実施例B11〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPMA,同上)40g,グリシジルメタクリレート60g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート413gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にアクリル酸28.8g,トリフェニルホスフィン0.9gを加え,100℃で12時間反応させ,更にテトラヒドロ無水フタル酸48gを加え,80℃で6時間反応させ,感光性ポリマー溶液580gを得た。(加熱残分30%,Mw=20000)
【0080】
〔実施例B12〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPA,同上)40g,グリシジルメタクリレート60g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート413gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。この反応混合物にアクリル酸28.8g,トリフェニルホスフィン0.9gを加え,100℃で12時間反応させ,更にテトラヒドロ無水フタル酸48gを加え,80℃で6時間反応させ,感光性ポリマー溶液580gを得た。(加熱残分30%,Mw=19000)
【0081】
〔実施例B13〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(MOCBP,同上)47.2g,アクリル酸5.9,メタクリル酸2.9g,ヒドロキシエチルメタクリレート44g,プロピレングリコールモノメチルエーテル285gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート,22g,スズ触媒0.12gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液400gを得た。(加熱残分30%,Mw=16000)
【0082】
〔実施例B14〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリロイルオキシエチルカルバミン酸トリベンジルフェノキシエステル(AOCBP,同上)47.2g,アクリル酸5.9,メタクリル酸2.9g,ヒドロキシエチルメタクリレート44g,プロピレングリコールモノメチルエーテル285gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。この反応混合物にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート,22g,スズ触媒0.12gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液400gを得た。(加熱残分30%,Mw=15000)
【0083】
〔実施例B15〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPMA,同上)47.2g,アクリル酸5.9,メタクリル酸2.9g,ヒドロキシエチルメタクリレート44g,プロピレングリコールモノメチルエーテル285gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート,22g,スズ触媒0.12gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液400gを得た。(加熱残分30%,Mw=20000)
【0084】
〔実施例B16〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにアクリル酸トリベンジルフェニルエステル(TBPA,同上)47.2g,アクリル酸5.9,メタクリル酸2.9g,ヒドロキシエチルメタクリレート44g,プロピレングリコールモノメチルエーテル285gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。この反応混合物にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート22g,スズ触媒0.12gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液400gを得た。(加熱残分30%,Mw=13000)
【0085】
〔比較例1〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸ベンジルエステル,80g,アクリル酸10g,メタクリル酸10g,メチルエチルケトン100gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2gを加え,80℃で6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は20000であった。
【0086】
〔比較例2〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸ベンジルエステル40g,メタクリル酸60g,プロピレングリコールモノメチルエーテル371gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にグリシジルメタクリレート,59g,トリフェニルホスフィン1.2gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液500gを得た。(加熱残分30%,Mw=16000)
【0087】
〔比較例3〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸ベンジルメエステル,40g,グリシジルメタクリレート60g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート413gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にアクリル酸28.8g,トリフェニルホスフィン0.9gを加え,100℃で12時間反応させ,更にテトラヒドロ無水フタル酸48gを加え,80℃で6時間反応させ,感光性ポリマー溶液580gを得た。(加熱残分30%,Mw=19000)
【0088】
〔比較例4〕
還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコにメタクリル酸ベンジルエステル,47.2g,アクリル酸5.9,メタクリル酸2.9g,ヒドロキシエチルメタクリレート44g,プロピレングリコールモノメチルエーテル285gを入れ,加熱し,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7gを加え,80℃で10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000であった。この反応混合物にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート22g,スズ触媒0.12gを加え,100℃で12時間反応させ感光性ポリマー溶液400gを得た。(加熱残分30%,Mw=20000)
【0089】
〔高屈折率オーバーコートの評価〕
実施例B5〜B20のポリマー固形分に対し,100%の実施例B1〜B4のモノマー,5%のヘキシルフェニルケトン(Irg184)を加え,加熱残分が10%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した。希釈された液を10cm×10cmのガラスの上にスピンコーターにて塗布し,90℃で乾燥後,1000mJ/cm2の紫外線をあて,硬化させた後,160℃,1時間の乾燥を行い,乾燥後の膜厚が1μmになるように調整し,IR,アツベ屈折率計にて測定した。
【0090】
〔高屈折率ハードコートの評価〕
実施例B5〜B20のポリマー固形分に対し,50%のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート系ハイパーブランチポリマー(大阪有機化学製STAR−501),5%のIrg184を加え,加熱残分が10%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した。希釈された液を10cm×10cmのガラスの上にスピンコーターにて塗布し,90℃で乾燥後,1000mJ/cm2の紫外線をあて,硬化させた後,160℃,1時間の乾燥を行い,乾燥後の膜厚が1ミクロンになるように調整し,IR,アツベ屈折率計,鉛筆硬度試験にて測定した。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば,高屈折率で光沢が良好な集積された芳香環を持った重合性モノマー組成物及びこれに基くポリマーを得ることができる。得られたポリマーは,インクジェット顔料分散剤,記録用紙インク吸収層材料,液晶材料,オーバーコート材料,塗料,電子材料,光学材料,医療材料,化粧料などに利用することの可能な,これまでに無い新規な材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】原料のガスクロマトグラム
【図2】反応終了後の混合物のガスクロマトグラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1),
【化1】


〔式中,R1は,アクリロイル基,メタクリロイル基,2,4−ヘキサジエノイル基,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基,メタクリロイルオキシエチルカルバモイル基,及びビニル基の何れかを表し,mは1ないし3の整数である。〕で示されるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノキシ化合物を含んでなる,組成物。
【請求項2】
該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物を合計で60〜100重量%の割合で含んでなるものである,請求項1の組成物。
【請求項3】
該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対し,トリベンジルフェノキシ化合物が20重量%以上の比率で含まれるものである,請求項1又は2の組成物。
【請求項4】
該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量に対し,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の比率が,それぞれ,0〜60重量%,20〜75重量%,及び20〜75重量%の範囲に入るものである請求項1ないし3の何れかの組成物。
【請求項5】
ジメチルシリコーンを固定相とするカラム及び水素炎イオン化検出器を用いたガスクロマトグラフィーにより測定したとき,ガスクロマトグラム上における該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物に対応するピークの合計面積に対して,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の各々に対応するピークの面積の割合が,それぞれ,0〜40%,30〜65%,及び30〜65%の範囲に入るものである,請求項1ないし3の何れかの組成物。
【請求項6】
モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量が,該組成物の60〜100重量%を占めるものである,請求項1ないし5の何れかの組成物。
【請求項7】
式(2),
【化2】


〔式中,nは1ないし3の整数である。〕で示される,モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールを含んでなる混合物を,フェノール性OH基に対する共有結合形成性の官能基を有し且つ重合性二重結合をも有するものであるモノマー化合物と接触させて,該官能基と式(2)の化合物のフェノール性OH基との間に共有結合を形成させることを含んでなるものである,芳香環含有モノマー組成物の製造方法。
【請求項8】
該重合性二重結合基が,炭素−炭素二重結合である,請求項7の製造方法。
【請求項9】
該官能基が,酸クロライド基,イソシアネート基,又はビニル性クロル基である,請求項7又は8の方法。
【請求項10】
該モノマー化合物が,(メタ)アクリル酸クロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び塩化ビニルよりなる群より選ばれるものである,請求項7ないし8の何れかの製造方法。
【請求項11】
該ベンジルフェノール組成物中に含まれるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの合計含量に対し,トリベンジルフェノールが20重量%以上の比率で含まれるものである,請求項7ないし10の何れかの製造方法。
【請求項12】
該混合物中に含まれるモノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの全量に対し,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールが,それぞれ,0〜60重量%,20〜75重量%,20〜75重量%の範囲に入るものである,請求項7ないし11の何れかの製造方法。
【請求項13】
ジメチルシリコーンを固定相とするカラム及び水素炎イオン化検出器(FID:Flame Ionization Detector)を用いたガスクロマトグラフィーにより測定したとき,該混合物が,ガスクロマトグラム上における該モノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノールに対応するピークの合計面積に対して,モノ−,ジ−及びトリベンジルフェノールの各々に対応するピークの面積の割合が,それぞれ,0〜40%,30〜65%,及び30〜65%の範囲に入るものである,請求項7ないし12の何れかの製造方法。
【請求項14】
該芳香環含有モノマー組成物におけるモノ−,ジ−,及びトリベンジルフェノキシ化合物の合計含量が,60〜100重量%を占めるものである,請求項7ないし13の何れかの製造方法。
【請求項15】
請求項7ないし14の何れかの製造方法により製造される,芳香環含有モノマー組成物。
【請求項16】
請求項1ないし6及び15の何れかの組成物中の芳香環含有モノマー(A)と,これと共重合可能なモノマーであって(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体よりなる群より選ばれるものである少なくとも1種のモノマー(B)とを共重合させてなるポリマー。
【請求項17】
請求項16のポリマーであって,R1が,アクリロイル基,メタクリロイル基,アクリロイルオキシエチルカルバモイル基,又はメタクリロイルオキシエチルカルバモイル基の何れかを表すものである,ポリマー。
【請求項18】
モノマー(B)が(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸アルキル,(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルよりなる群より選ばれるものである請求項16又は17のポリマーと,グリシジル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させてなる,ポリマー。
【請求項19】
請求項1ないし6及び15の何れかの組成物中の芳香環含有モノマー(A)と,グリシジル(メタ)アクリレートとを共重合させ,更に(メタ)アクリル酸を加えて反応させ,これに更にテトラヒドロフタル酸を反応させてなるポリマー。
【請求項20】
請求項16ないし19の何れかのポリマーと光重合開始剤とを含んでなる組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−155322(P2009−155322A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307139(P2008−307139)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】