説明

荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット

【課題】取付位置の精度誤差を許容でき、軸受ユニットの組立後でも比較的簡単に取り付け可能な荷重検出機構を有する荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットを提供する。
【解決手段】軸受ユニット10は、外輪部材12に固定されるエンドキャップ30に設けられる発光素子41及び受光素子42と、ハブ11と一緒に回転するようにハブ11に固定される反射部材43に設けられ、発光素子41の発光を受光素子42に向けて反射可能な反射面46と、を備え、受光素子42の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出機構40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の懸架装置に取り付けられて車輪を回転自在に支持するとともに負荷荷重を検出可能な荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車では各車輪の回転速度差に基づいて車輪のスリップ率を検出し、その信号を用いてブレーキ力や駆動力を制御する技術が用いられている。しかしながら、スリップ率での制御は、あくまでスリップ発生後の後追い対策であることから、より良い制御を行うことを目的として、路面反力の検出により車両姿勢制御を行う予防対策の研究が進められている。このため、例えば、車輪支持用軸受ユニットの外輪に磁歪センサを設置して内輪側の路面反力による変形をこの磁歪センサで捉え、荷重検出を試みる技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【特許文献1】特開2005−43336号公報
【特許文献2】特開2005−99003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、軸受ユニットの変形は、それほど大きなものではないため、磁歪センサは、軸受ユニットにおいて、加工が精度良く行われ、しかも変形が大きく出る部位に精度良く取り付ける必要がある。磁歪センサを精度良く取り付けるためには、軸受ユニットの組立前に外輪に単体で取り付けることが理想であるが、予め磁歪センサを取り付けておくと、磁歪センサが軸受ユニットのその後の組立作業の著しい障害となり、組立作業が困難になってしまう。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、取付位置の精度誤差を許容でき、軸受ユニットの組立後でも比較的簡単に取り付け可能な荷重検出機構を有する荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面に対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道面と前記回転側軌道面との間に設けられる複数の転動体と、
前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられる発光素子及び受光素子と、前記回転輪と一緒に回転するように前記回転輪又は前記回転輪に固定される部材に設けられ、前記発光素子の発光を前記受光素子に向けて反射可能な反射面と、を有し、前記受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出機構と、
を備えることを特徴とする荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
(2) 前記荷重検出機構は、前記発光素子で発光した光の形状と前記受光素子で受光した光の形状との差を検出して、前記負荷荷重を検出することを特徴とする(1)に記載の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
(3) 周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面に対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道面と前記回転側軌道面との間に設けられる複数の転動体と、
前記回転輪と一緒に回転するように前記回転輪又は前記回転輪に固定される部材に設けられ、回転方向に所定の間隔で形成される複数の透光部を有するシャドウマスクと、該シャドウマスクの内側で前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられる発光素子と、前記シャドウマスクの外側で前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられ、前記発光素子の発光を前記透光部を介して受光する受光素子と、を有し、該受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出機構と、
を備えることを特徴とする荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
(4) 前記荷重検出機構は、前記透光部の形状と前記受光素子で受光した光の形状との差を検出して、前記負荷荷重を検出することを特徴とする(3)に記載の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
【発明の効果】
【0006】
本発明の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットによれば、荷重検出機構は、静止輪又は静止輪に固定される部材に設けられる発光素子及び受光素子と、回転輪と一緒に回転するように回転輪又は回転輪に固定される部材に設けられ、発光素子の発光を受光素子に向けて反射可能な反射面と、を有し、受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する光学式のものとしたので、無負荷もしくは車両静止状態での車輪荷重負荷状態を基準位置にすることで、取付位置に多少の精度誤差があっても負荷荷重を検出でき、軸受ユニットの組立後に比較的簡単に取り付けることができる。
【0007】
また、本発明の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットによれば、荷重検出機構は、回転輪と一緒に回転するように回転輪又は回転輪に固定される部材に設けられ、回転方向に所定の間隔で形成される複数の透光部を有するシャドウマスクと、シャドウマスクの内側で静止輪又は静止輪に固定される部材に設けられる発光素子と、シャドウマスクの外側で静止輪又は静止輪に固定される部材に設けられ、発光素子の発光を透光部を介して受光する受光素子と、を有し、受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する光学式のものとしたので、この場合も、上記同様の基準位置を設けることで、取付位置に多少の精度誤差があっても負荷荷重を検出でき、軸受ユニットの組立後に比較的簡単に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットの各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット10は、従動輪用とされており、図1に示すように、回転輪であるハブ11及び静止輪である外輪部材12と、複数の転動体である玉13とを備えている。ハブ11は、中空状のハブ輪15を備えており、ハブ輪15は、その外周面の軸方向一端寄り部分であるアウトボード側端部(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部:図1の左端部)に径方向外方に延びる車輪取り付けフランジ16を有している。車輪取り付けフランジ16には、そのアウトボード側側面に車輪を構成する図示しないホイール及びブレーキロータ等を取り付けるためのスタッド17が周方向に略等間隔で複数植設されている。
【0010】
ハブ輪15のインボード側の軸方向端部(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部:図1の右端部)には小径段部19が形成されており、該小径段部19にはハブ11を構成する内輪20が外嵌されている。そして、小径段部19の内輪20の内端面から突出した部分を直径方向外方に加締め広げる事で、内輪20をハブ輪15に結合固定している。なお、内輪20は、ハブ輪15の小径段部19の突出部分にナットを締結させることで、ハブ輪15に固定されてもよい。また、ハブ輪15の軸方向の中間部外周面には回転側軌道面である第1内輪軌道面21が形成され、内輪20の外周面には回転側軌道面である第2内輪軌道面22が形成されている。
【0011】
外輪部材12の内周面には、ハブ輪15の第1内輪軌道面21に対応する静止側軌道面である第1外輪軌道面23及び内輪20の第2内輪軌道面22に対応する静止側軌道面である第2外輪軌道面24が形成されている。また、車輪取り付けフランジ16から離間する側の外輪部材12の端部には、径方向外方に延びる懸架装置取り付けフランジ25が設けられており、このフランジ25を介して図示しない懸架装置に固定されている。
【0012】
そして、複列の第1及び第2内輪軌道面21,22と複列の第1及び第2外輪軌道面23,24との間にそれぞれ複数の玉13が図示しない保持器を介して周方向に転動可能に配設されている。尚、図示の例では、転動体として玉13を使用しているが、重量の嵩む車輪支持用軸受ユニットの場合には、転動体としてテーパころを使用する場合もある。
【0013】
また、外輪部材12の両端部内周面とこの内周面と対向するハブ輪15及び内輪20との外周面との間には、複数の玉13が配置される環状空間を密封するシール装置27,28が配置されており、内部に充填されたグリースの漏洩と外部からの水や異物の浸入を防止する。
【0014】
一方、外輪部材12のインボード側端部は、シール部材28より軸方向内側に延設されており、インボード側端部の内周面には、金属製のエンドキャップ30が内嵌固定されている。エンドキャップ30は、インボード側端部の内周面に内嵌される円筒状部31と、円筒状部31の一端側で外輪部材12のインボード側開口を塞ぐカバー部32と、を有する。
【0015】
そして、エンドキャップ30、及びシール部材28によって塞がれた外輪部材12のインボード側端部内には、負荷荷重を検出するための光学式の荷重検出機構40が設けられている。荷重検出機構40は、エンドキャップ30の円筒状部31の内周面に、図2にも示すように、互いに円周方向の位置を合わせ、かつ軸方向の位置をずらして固定された発光素子41及び受光素子42を有している。
【0016】
また、荷重検出機構40は、エンドキャップ30の内側においてハブ輪15に同軸に固定される反射部材43を有している。反射部材43は、ハブ輪15の加締部35を形成するための円筒部36の内周面に嵌合固定される軸部44と、軸部44に取り付けられ、ハブ輪15からインボード側に突出するミラー部45とを有している。
【0017】
ミラー部45の外周面は、車体インボード側に向かって徐々に細くなる円錐台形状に形成され、鏡面からなる反射面46を構成しており、この反射面46は、発光素子41の発光を受光素子42に向けて反射する。これにより、発光素子41の発光が反射面46で反射して受光素子42に到達可能となっている。なお、反射面46にはフォトエッチングや印刷で線状のマスク47が円周方向に等間隔で形成してもよい。
【0018】
さらに、荷重検出機構40は、受光素子42の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出演算部48を有している。ここで、受光素子42は、CCD等の撮像素子であって、発光素子41の反射面46からの反射光をパターン認識可能なものであり、その信号を荷重検出演算部48に出力する。荷重検出演算部48は、受光素子42で受光した光の基準位置に対する受光位置に基づいて負荷荷重を検出する。つまり、軸受ユニット10の負荷荷重により、外輪部材12とハブ輪15とが相対的に移動したり相対的に傾いたりすると、受光素子42における反射光の到達位置が移動することになる。従って、受光素子42により反射光の到達位置を検出すれば、軸受ユニット10の負荷荷重を判定することができる。
【0019】
例えば、車両旋回走行時に、軸受ユニット10に図1のY1方向で示す旋回外側荷重が負荷される場合、ハブ輪15は、図1のY1’方向に傾くので、受光素子42による受光位置は、車両停車時の基準位置に対して図2(b)に示すA方向に動くことになる。この受光位置の動きを検出することで、旋回外側荷重が検出される。このとき、ハブ輪15のY1方向への併進力により反射面46は車体内側方向に移動する動きも発生するため、反射面46を上述した円錐形状にしておくことで、受光位置のA方向への移動量が大きくなり好ましい。
【0020】
同様に、車両旋回走行時に、軸受ユニット10に図1のY2方向で示す旋回内側荷重が負荷される場合、ハブ輪15は、図1のY2’方向へと傾くので、受光素子42による受光位置は、車両停車時の基準位置に対して図2(b)に示すB方向に動くことになる。この受光位置の動きを検出することで、旋回内側荷重が検出される。
【0021】
また、軸受ユニット10に車体前後方向(X方向)の荷重が負荷される場合、前後方向の相対傾きや変位が発生し、受光位置は図2(b)に示すC方向またはD方向に変化する。従って、この受光位置の動きを検出することで、車体前後方向荷重が検出される。
【0022】
また、発光素子41としては、レーザ発光素子等の直進性が良く、光の断面形状をコントロールしやすいものが好適である。例えば、図2に示すように、円形形状の光を照射すれば、反射面46で反射後、受光素子42の受ける光は楕円形状となる。この楕円の長径は、反射面46の傾きの状態で変化するので、発光素子41の発光の形状と、受光素子42の受光の形状との差を検出して、軸受ユニット10の負荷荷重を判定することもできる。このようにすれば、軸受ユニット10への取り付け後の受光形状を基準とした受光形状の変化も加えて荷重を検出することができ、負荷荷重をより精度良く検出できる。
【0023】
従って、第1実施形態の軸受ユニット10によれば、負荷荷重を検出するための荷重検出機構40が、外輪部材12に固定されるエンドキャップ30に設けられる発光素子41及び受光素子42と、ハブ11と一緒に回転するようにハブ11に固定される反射部材43に設けられ、発光素子41の発光を受光素子42に向けて反射可能な反射面46と、を有し、受光素子42の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する光学式のものとしたので、取付位置に多少の精度誤差があっても負荷荷重を検出でき、軸受ユニット10の組立後に比較的簡単に取り付けることができる。このように荷重検出機構40を比較的簡単に取り付けることができるため、路面反力の検出により車両姿勢制御を行う予防対策が実現可能となり、自動車の操縦安定性向上、安全性向上を図ることができる。
【0024】
また、荷重検出機構40は、受光位置の変化に加えて、発光素子41で発光した光の形状と受光素子42で受光した光の形状との差を検出して、負荷荷重を検出するようにしたので、軸受ユニット10への取り付け後の受光位置と形状を基準とした受光形状の変化で荷重を検出することができ、負荷荷重をより精度良く検出できる。
【0025】
さらに、反射面46にマスク47を円周方向に等間隔で形成しておけば、ハブ輪15の回転時に受光素子42の受ける光がハブ11の回転に応じて間欠的となり、よって、非常に細かいピッチで正確な回転速度信号を得ることができる。
【0026】
なお、発光素子41及び受光素子42は、上記のように互いの円周方向の位置を合わせて配置する代わりに、図3に示すように、円周方向に角度をつけて配置しても良い。
【0027】
また、エンドキャップ30の円筒状部31に発光素子41及び受光素子42を設ける代わりに、外輪部材12に発光素子41及び受光素子42を設けても良く、発光素子41及び受光素子42のいずれか一方をエンドキャップ30に、いずれか他方を外輪部材12に設けても良い。
【0028】
また、荷重検出機構40は、車体内側のシール部材28とエンドキャップ30のカバー部32との間に配置される代わりに、車体外側のシール部材27と車体内側のシール部材28とで仕切られた列間空間37に設けることも可能である。
【0029】
さらに、一つの軸受ユニット10に対して荷重検出機構40を複数、例えば車体前後方向(X方向)と上下方向(Z方向)とにそれぞれ設けて荷重検出精度をより高めることもできる。
【0030】
また、反射面は、本実施形態のように円錐台形状とする代わりに、円筒形状であってもよく、さらには、多角形の反射面を有するポリゴンミラーを用いて受光位置の軌跡から荷重を検出しても良いが、角数が多い高精度のポリゴンミラーは高価であるため、円錐台形状または円筒形状とするのが好ましい。
【0031】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニットについて図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、荷重検出機構の構成において第1実施形態と異なるものであり、第1実施形態と同等部分については同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0032】
第2実施形態の荷重検出機構50は、エンドキャップ30の内側においてハブ輪15に同軸に固定されるシャドウマスク51を有している。このシャドウマスク51は、ハブ輪15の加締部35を形成するための円筒部36に嵌合固定される軸部52と、軸部52の一端から径方向に広がる円板部53と、円板部53の外周縁部から軸部52と反対側に延出する円筒部54とを有している。シャドウマスク51の円筒部54には、径方向に貫通する穴からなる複数の透光部55が軸方向の位置を合わせて円周方向に等間隔で形成されており、透光部55以外の部分からは径方向に透光しないようにマスキングされている。
【0033】
また、荷重検出機構50は、エンドキャップ30のカバー部32の中心位置に、シャドウマスク51の円筒部54内の中心位置に進出するように点光源である発光素子57が固定されている。さらに、荷重検出機構50は、シャドウマスク51の径方向外側で、エンドキャップ30の円筒状部31の内周面に固定される受光素子58を有している。
【0034】
また、荷重検出機構50は、受光素子58の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出演算部59を有している。ここで、受光素子58は、CCD等の撮像素子であって、受光形状をパターン認識可能なものであり、その信号を荷重検出演算部59に出力する。荷重検出演算部59は、受光素子58で受光した光の、基準位置に対する受光位置を検出して負荷荷重を検出する。つまり、発光素子57で発せられた光が透光部55を透過し、受光素子58に到達することになるが、この受光素子58における透光の到達位置は、軸受ユニット10の負荷荷重により、外輪部材12とハブ輪15とが相対的に移動したり相対的に傾いたりすると、移動することになる。したがって、受光素子58により光の到達位置を検出すれば、第1実施形態と同様に、軸受ユニット10の負荷荷重を判定することができる。
【0035】
従って、第2実施形態の軸受ユニット10によれば、負荷荷重を検出するための荷重検出機構50が、ハブ11と一緒に回転するようにハブ11に設けられ、回転方向に所定の間隔で形成される複数の透光部55を有するシャドウマスク51と、シャドウマスク51の内側で外輪部材12に固定されるエンドキャップ30に設けられる発光素子57と、シャドウマスク51の外側でエンドキャップ30に設けられ、発光素子57の発光を透光部55を介して受光する受光素子58と、を有し、受光素子58の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する光学式のものとしたので、この場合も、取付位置に多少の精度誤差があっても負荷荷重を検出でき、軸受ユニットの組立後に比較的簡単に取り付けることができる。このように荷重検出機構50を比較的簡単に取り付けることができるため、路面反力の検出により車両姿勢制御を行う予防対策が実現可能となり、自動車の操縦安定性向上、安全性向上を図ることができる。
【0036】
また、軸受ユニット10の負荷荷重により、シャドウマスク51が傾き、透光部55の形状と受光素子58で受光した光の形状との差も変化するため、軸受ユニット10への取り付け後の受光形状を基準とした受光素子58での受光形状の変化によって、軸受ユニット10の負荷荷重を判定することもできる。
さらには、受光位置の軌跡から軸受ユニット10の負荷荷重を判定することもできる。
【0037】
また、上記のように、シャドウマスク51に透光部55が円周方向に等間隔で形成されているため、ハブ輪15の回転時に受光素子58の受ける光がハブ輪15の回転に応じて間欠的となり、よって、非常に細かいピッチで正確な回転速度信号を得ることができる。ここで、透光部55の形状を位置によって異ならせることで、ハブ輪15の回転方向の絶対位置を検出することも可能である。
【0038】
さらに、本実施形態においても、一つの軸受ユニット10に対して荷重検出機構50を複数、例えば車体前後方向(X方向)と上下方向(Z方向)とにそれぞれ設けて荷重検出精度をより高めることもできる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
上記実施形態では、荷重検出機構40は加締部35を形成するための円筒部36に取り付けられているが、ハブ輪15のいずれの位置であってもよく、内輪20に設けられても良い。また、内輪20をナットで固定する場合には、荷重検出機構40は、ハブ輪15、内輪20、ナットのいずれかに設けられても良い。
また、上記実施形態では、従動輪用の軸受ユニットについて説明したが、駆動輪用の軸受ユニットにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の軸受ユニットを示す断面図である。
【図2】(a)は、荷重検出機構による荷重検出を説明するための要部拡大図であり、(b)は、受光素子の受光状態を示す図である。
【図3】荷重検出機構の変形例を示す図1のIII矢視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の軸受ユニットを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット
11 ハブ(回転輪)
12 外輪部材(静止輪)
13 玉(転動体)
15 ハブ輪
20 内輪
21 第1内輪軌道面(回転側軌道面)
22 第2内輪軌道面(回転側軌道面)
23 第1外輪軌道面(静止側軌道面)
24 第2外輪軌道面(静止側軌道面)
40,50 荷重検出機構
41,57 発光素子
42,58 受光素子
46 反射面
51 シャドウマスク
55 透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面に対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道面と前記回転側軌道面との間に設けられる複数の転動体と、
前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられる発光素子及び受光素子と、前記回転輪と一緒に回転するように前記回転輪又は前記回転輪に固定される部材に設けられ、前記発光素子の発光を前記受光素子に向けて反射可能な反射面と、を有し、前記受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出機構と、
を備えることを特徴とする荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
【請求項2】
前記荷重検出機構は、前記発光素子で発光した光の形状と前記受光素子で受光した光の形状との差を検出して、前記負荷荷重を検出することを特徴とする請求項1に記載の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
【請求項3】
周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面に対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道面と前記回転側軌道面との間に設けられる複数の転動体と、
前記回転輪と一緒に回転するように前記回転輪又は前記回転輪に固定される部材に設けられ、回転方向に所定の間隔で形成される複数の透光部を有するシャドウマスクと、該シャドウマスクの内側で前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられる発光素子と、前記シャドウマスクの外側で前記静止輪又は前記静止輪に固定される部材に設けられ、前記発光素子の発光を前記透光部を介して受光する受光素子と、を有し、該受光素子の受光結果に基づいて負荷荷重を検出する荷重検出機構と、
を備えることを特徴とする荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。
【請求項4】
前記荷重検出機構は、前記透光部の形状と前記受光素子で受光した光の形状との差を検出して、前記負荷荷重を検出することを特徴とする請求項3に記載の荷重検出機構付車輪支持用軸受ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−241626(P2008−241626A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85694(P2007−85694)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】