説明

蒸気送達装置、その製造方法およびその使用方法

【課題】III−V族化合物の膜の堆積のために使用される固体有機金属化合物前駆体を連続して均一に供給するガス送達システムを提供する
【解決手段】方法は、固体前駆体化合物を収容する送達装置102にキャリアガスの第1の流れ202を移送することを含む。キャリアガスの第1の流れ202は20℃以上の温度である。この方法は、送達装置102の下流の位置にキャリアガスの第2の流れ204を移送することをさらに含む。第1の流れ202および第2の流れ204は一緒にされて第3の流れ206を形成し、この第3の流れ206における固体前駆体化合物の蒸気の露点は周囲温度より低い。第1の流れ202のフロー方向、第2の流れ204のフロー方向および第3の流れ206のフロー方向は一方向性であり、かつ互いに対向していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は蒸気送達装置、その製造方法およびその使用方法に関する。特に、本開示は気相中で固体前駆体化合物を反応器に送達するための高出力高容量送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第III−V族化合物を含む半導体は、レーザー、発光ダイオード(LED)、光検出器などの多くの電子および光電子素子の製造に使用されている。これらの材料は数分の1マイクロメートルから数マイクロメートルの範囲の厚み、かつ様々な組成の様々な単結晶相を製造するのに使用される。有機金属化合物を使用する化学蒸着(CVD)方法は概して金属薄膜もしくは半導体薄膜、例えば、第III−V族化合物の膜の堆積のために使用される。このような有機金属化合物は液体もしくは固体であり得る。
【0003】
CVD方法においては、反応ガス流れは概して反応器に送達されて、電子および光電子素子に所望の膜を堆積させる。この反応ガス流れは前駆体化合物蒸気で飽和されたキャリアガス、例えば、水素からなる。前駆体化合物が液体である場合には、反応ガス流れは送達装置(すなわち、バブラー)内の液体前駆体化合物にキャリアガスを通す(すなわち、バブリングする)ことにより得られる。
【0004】
しかし、固体前駆体は円筒形容器もしくはコンテナ内に配置され、それを蒸発させるためにその融点未満の一定の温度にかけられる。前記前駆体蒸気を同伴し、それを堆積システムに移送するためにキャリアガスが使用される。物質によっては、キャリアガスを粒状固体前駆体に通すことによる粒状固体前駆体の昇華が、その粒状床における空洞の形成を導きうる。その空洞の程度はキャリアガスの流量に応じて変化する。概して、非常に遅い流量では空洞形成は観察されない。遅いキャリアガス流量では、昇華は粒状固体の表面上でおこり、そして昇華層の厚さは実質的にゼロであり、すなわち、それはほとんど二次元的である。その結果、昇華速度は、キャリアガスに曝露される表面全体にわたって均一である。
【0005】
他方では、より高いキャリアガス流量は昇華層の境界を粒状固体前駆体の床により深く押し込み、そして昇華層の厚さはもはやゼロではない。粒状材料は実質的に決して均一ではなく、その結果、昇華速度は昇華層の表面にわたって変動する。より高い蒸発速度はより速い材料浸蝕および空洞形成をもたらす。これら空洞はキャリアガスフローの一般的な方向に伝播する。最終的に、空洞は粒状固体前駆体の床全体を貫通するチャネルを形成する。だから、キャリアガスは粒状固体前駆体の床をバイパスし、そして制御された昇華を停止させる。
【0006】
このチャネルの形成は、従来のバブラー型固体前駆体送達容器に使用される場合に、結果的に低くかつ不安定な送達速度を生じさせる。このようなバブラーシステムは結果的に、特に、固体有機金属前駆体化合物が使用される場合に、前駆体蒸気の不安定で不均一な流量をもたらしうる。不均一な有機金属気相濃度は膜の組成、特に有機金属気相エピタキシー(MOVPE)反応器において成長する半導体膜の組成に悪影響を及ぼす。
【0007】
固体前駆体化合物を反応器に送達することの課題に取り組むことを試みる送達装置が開発されてきた。ホースキー(Horsky)らへの米国特許出願公開第20080047607号は、固体前駆体の気化器、機械式スロットリングバルブ、圧力計測器および真空チャンバーへの蒸気導管を含む、一定のフローの昇華前駆体蒸気を真空チャンバーに送達するための蒸気送達システムに関する。この蒸気送達システムは、気化器温度を設定点に維持することができる気化器ヒーターの調節装置に気化器温度値設定点を提供できるスロットルバルブベースの検出および制御システムを含む。この検出および制御システムは、スロットルバルブに望まれるコンダクタンス上限を表す少なくとも1つの所定のバルブ変位値を記憶する。
【0008】
この検出および制御システムは、スロットルバルブの位置をモニターし、そしてそのバルブがその変位値付近にあるかまたは変位値に到達することを検出した際に、この検出および制御システムが温度値設定点を調節装置ヒーターまで上げて、このスロットルバルブの上流で増大した蒸気発生および蒸気圧を生じさせ、それにより、このスロットルバルブの閉じたループ制御が実質的により低いコンダクタンス位置までそのバルブを戻すのを可能にする。この蒸気送達システムは、操作に適する温度上昇の所定の増分の参照テーブルを含み、そしてこの検出および制御システムは、そのバルブがその変位値付近にあるかまたは変位値に到達することを検出した際に、効果的に、気化器温度設定点が参照テーブルにおける次の工程に増加させられる。しかし、このシステムは固体蒸気のフローを0.1標準立方センチメートル/分(sccm)〜1sccmに限定し、これは非常に低い。
【0009】
チェン(Chen)らへの米国特許出願公開第2008/0044573号はプロセスチャンバーにおけるアンプルからの前駆体の制御された送達および監視のための方法を詳述する。この方法は第1のキャリアガスを第1の流量で化学前駆体を収容する容器を通して流し、第1の前駆体ガスを形成することを提供する。この方法は第2のキャリアガスを第2の流量で第1の前駆体ガスと一緒にして、第2の前駆体ガスを形成し、この第2の前駆体ガス中の化学前駆体の濃度を測定し、および化学前駆体の質量流量を計算することをさらに伴う。
【0010】
しかし、この方法はいくつかの欠点に悩まされる。この欠点の1つは第1のキャリアガスのおよび第2のキャリアガスの対向する方向のフローを使用することを伴い、このことは化学前駆体と第2のキャリアガスとの間の不均一な混合を導く。チェンによって規定されるように対向するフローが使用される場合には、第2のキャリアガスの圧力が第1のキャリアガスの圧力を超える場合には、固体前駆体の不均一な昇華が起こる場合があり、このことはひいては反応器への化学前駆体の不均一供給を引き起こしうる。
【0011】
この方法は、第2の前駆体ガスを単一の処理チャンバーのみに供給することを伴うという別の欠点に悩まされる。それは前駆体を複数の反応器に供給するために使用できないが、なぜなら、それは送達装置に連通している複数の反応器のそれぞれへの化学前駆体の均一な供給を可能にするための複数の反応器からの競合する要求のバランスを調和させないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第20080047607号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20080044573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
よって、送達装置において固体前駆体が使い尽くされ、かつ固体前駆体の蒸気濃度が均一でかつ充分に高い濃度のままである、固体前駆体の蒸気を送達するための改良された送達装置および方法についての必要性が依然としてある。1標準リットル/分を超えるキャリアガスフローを用いつつ、送達装置からの固体前駆体の枯渇までプロセス全体にわたって、均一かつ高フラックスの前駆体蒸気を送達することができる送達装置を有することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において開示されるのは、送達装置、第1の比例バルブ、第2の比例バルブ、混合装置、化学センサー、および第1の圧力/流量コントローラーを含む送達システムであって;前記送達装置は入口ポートおよび出口ポートを有しており、前記送達装置は固体前駆体を収容しており;前記第1の比例バルブは前記送達装置の前記入口ポートと連通しており、前記第1の比例バルブは適用される電圧に基づいて前記送達装置へのキャリアガスの第1の流れのフローを制御するように作動するものであり;前記第2の比例バルブは前記送達装置の前記出口ポートと連通しており、前記第2の比例バルブは適用される電圧に基づいて前記送達装置へのキャリアガスの第2の流れのフローを制御するように作動するものであり;前記混合装置は前記送達装置の下流にあり、かつ前記第1の流れと前記第2の流れとを混合するように作動するものであり;前記化学センサーは混合チャンバーの下流に配置されており、かつ前記混合チャンバーから出てくる流体流れの化学的内容を分析するように作動するものであり、前記化学センサーは前記第1の比例バルブと連絡しており;前記第1の圧力/流量コントローラーは前記化学センサーおよび前記第1の比例バルブと作動的に連絡しており;前記送達システムはキャリアガスの単位体積あたり実質的に一定のモル数の前駆体蒸気を複数の反応器に送達するように作動するものであり、前記複数の反応器は前記送達システムと連通している。
【0015】
本明細書においては、キャリアガスの第1の流れを送達装置を経由して混合チャンバーに移送し、前記送達装置は前駆体化合物を収容しており、前記キャリアガスの第1の流れが20℃以上の温度であり;キャリアガスの第2の流れを前記混合チャンバーに移送し、前記混合チャンバーは前記送達装置の下流の場所に位置しており;並びに前記第1の流れおよび前記第2の流れを前記混合チャンバー内で一緒にして第3の流れを形成し、前記第1の流れおよび前記第2の流れが互いに接触する前に互いに対向して流れている;ことを含む方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は典型的な送達システムの概略図表現であり、送達装置は1以上の質量流量コントローラーと流体連通しており、1以上の質量流量コントローラーはそれぞれ反応容器と流体連通しており、および送達装置からの蒸気は反応器内の選択された表面上に堆積される。
【図2】図2は典型的な送達システムの概略図表現であり、単一の圧力/流量コントローラーが送達装置を通る流量を制御する。
【図3】図3は典型的な送達システムの別の概略図表現であり、単一の圧力/流量コントローラーが送達装置を通る質量流量を制御する。
【図4】図4は典型的な送達システムの別の概略図表現であり、単一の圧力/流量コントローラーが送達装置を通る質量流量を制御し、かつ第1の比例バルブが送達装置の下流に配置されている。
【図5】図5は典型的な混合チャンバーの概略図表現である。
【図6】図6は別の典型的な混合チャンバーの概略図表現である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ここで、様々な実施形態が示される添付の図面を参照しつつ、以下で、より充分に説明される。同様の参照番号は全体を通じて同様の要素を言及する。
【0018】
ある要素が別の要素の「上」にあると称される場合には、それはその他の要素の直接上にあることができるか、または介在する要素がそれらの間に存在してもよいと理解される。これとは対照的に、ある要素が別の要素の「直接上」にあると称される場合には、介在する要素は存在しない。本明細書において使用される場合、用語「および/または」は関連して列挙されている事項の1以上のいずれかおよび全ての組み合わせを包含する。
【0019】
様々な要素、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために、本明細書においては、第1の、第2の、第3のなどの用語が使用されうるが、これらの要素、成分、領域、層および/またはセクションはこれらの用語によって制限されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層またはセクションを、別の要素、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。よって、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層またはセクションは、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層またはセクションと称されうる。
【0020】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載するだけの目的のためのものであり、制限的であることを意図していない。本明細書において使用される場合、用語「含む」は示された特徴、領域、整数、工程、操作、要素および/または成分の存在を特定するが、1以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分および/またはこれらの群の存在もしくは追加を排除しない。
【0021】
さらに、相対的な用語、例えば、「下部」または「底部」、および「上部」または「頂部」は、図面に示されるような、別の要素に対するある要素の関連性を説明するために本明細書においては使用されうる。相対的な用語は、図面に描かれる方向に加えて、装置の様々な方向も包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図面の1つにおける装置がひっくり返される場合には、他の要素の「下部」側にあると記載される要素は、結果的に当該他の要素の「上部」側に方向付けられるであろう。よって、典型的な用語「下部」は、その図の具体的な向きに応じて「下部」および「上部」の方向の双方を包含することができる。同様に、図面の1つにおける装置がひっくり返される場合には、他の要素の「下方」または「下」と記載される要素は、結果的に当該他の要素の「上」に方向付けられるであろう。よって、典型的な用語「下方」または「下」は、上および下の方向の双方を包含することができる。
【0022】
他に特定されない限りは、本明細書において使用される全ての用語(科学技術用語を含む)は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるものなどの用語は、関連する技術および本開示の文脈におけるその意味と同じ意味を有するとして解釈されるべきであり、かつ本明細書において明確に定義されない限りは理想化されたもしくは過度に形式的な意味に解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0023】
典型的な実施形態は、理想化された実施形態の略図である断面図を参照して本明細書において記載される。そのようなものとして、例えば、製造技術および/または許容範囲の結果として図の形状からのバリエーションは期待されるべきものである。よって、本明細書に記載される実施形態は、ここで図示される領域の具体的な形状に限定されるとして解釈されるべきではなく、例えば製造の結果生じる形状の差異を包含するものである。例えば、平坦であると図示されまたは記載される領域は、典型的には、起伏のあるおよび/または非直線的な構造を有していてもよい。さらに、図示される鋭角は丸められていてもよい。よって、図面に図示される領域は本質的に概略であって、その形状は領域の正確な形状を図示することを意図しているのではなく、かつ本願の特許請求の範囲を限定することを意図しているのでもない。
【0024】
遷移的な用語「含む」は遷移的な用語「からなる」および「から本質的になる」を包含する。
【0025】
様々な数値範囲が本明細書において開示される。これらの範囲は端点、並びにこれらの端点間の数値を包含する。これらの範囲における数は交換可能である。
【0026】
本明細書において開示されるのは濃度センサーおよび圧力センサーを介して反応器(質量流量コントローラーおよび反応容器を含む)と流体連通している送達装置を含む送達システムである。濃度センサーおよび圧力センサーは、送達システムを通るキャリアガスのフローを制御する第1および第2の圧力/流量コントローラーとそれぞれ電気的に連絡している。送達システムはキャリアガス流れを使用し、この流れは以下の2つのキャリアガス流れに分けられる:すなわち、送達装置に流れそして固体前駆体化合物と接触する第1の流れ;および送達装置を迂回する第2の流れ。
【0027】
キャリアガスを2つの流れに分けることは第1の流れにおいて、第2の流れよりも低い流量を可能にする。第1の流れ全体のフロー経路は高温に加熱もされる。高温と組み合わせて使用される場合に、第1の流れにおける低い流量は、チャンネルおよび空洞を形成することなしに、より高い体積の前駆体蒸気の同伴を可能にする。流れの方向に対して垂直の面を横切って、単位時間あたりに送られた前駆体蒸気の量はフラックスと称される。本発明においては、前駆体蒸気フラックスは、固体前駆体を迂回する流れがない比較のシステムにおける全キャリアガス流れよりも、第1の流れにおいて高い。これは第1の流れの高温のせいである。第1の流れの高温は、迂回を有しない送達システム(すなわち、キャリアガスの全体積が固体前駆体を収容する容器を通過する)と比較したときに、より高濃度の前駆体蒸気の同伴を可能にし、一方で、同時に固体前駆体化合物の床においてチャンネルまたは空洞を形成しない。
【0028】
この送達システムは均一かつ一定濃度の前駆体蒸気を複数の反応器に送達するように機能する。別の実施形態においては、単位時間あたりの反応器に送達される前駆体蒸気のモル数も一定に保たれる。
【0029】
高濃度(フラックス)の同伴蒸気を含む第1の流れと、キャリアガスのみを含む第2の流れとは、送達装置の下流で互いに接触して、第3の流れを形成する。第2の流れは第1の流れよりも高い流量を有するので、第1の流れと第2の流れとの組み合わせによる第3の流れの形成は、結果的に迂回を使用しない比較の装置よりも高いフラックスの前駆体蒸気の反応器への送達をもたらす。上述のように、反応器への高いフラックスの前駆体蒸気の送達は、固体前駆体におけるチャンネルおよび空洞の形成をなくしつつ達成される。さらに、第3の流れの露点は、送達システムと反応器とを接続する配管およびハードウェアの温度より低く、凝縮(接続配管内側の固体前駆体の堆積)が排除される。
【0030】
第3の流れにおいて蒸気濃度を低減させることにより、蒸気の露点は低下し、接続ラインにおける蒸気凝縮は起こらず、そしてキャリアガスに対して一定の比率の蒸気が反応器に供給されうる。送達システムは蒸気の露点の調節を可能にし、これは通常、キャリアガスを送達装置へ輸送するラインの温度を参照して調節される。
【0031】
送達システムは、このプロセス中ずっと送達装置から固体前駆体が枯渇するまで均一かつ高フラックスの前駆体蒸気を送達する点で有利である。それは、1標準リットル/分(slm)以上、具体的には2標準リットル/分以上、より具体的には3標準リットル/分以上のキャリアガスが反応器に流れることを可能にする。それは、60℃の温度で、900torrの圧力で、1,500マイクロモル/分以上、具体的には1,750マイクロモル/分以上、より具体的には2,000マイクロモル/分の割合で前駆体蒸気のフラックスを送達することが可能である。
【0032】
この送達システムは送達されるべき前駆体蒸気を複数の反応器に同時に提供することができるので、この送達システムは有利でもある。この送達システムは複数の反応器からの競合する要求を調和させ、そして個々の反応器からの体積要求に関係なく、均一な濃度の前駆体蒸気を有する流れを各反応器に供給することができる。この送達システムは実質的に一定の濃度の前駆体蒸気をそれぞれの反応器に送達することができる。ある実施形態においては、単位体積あたりの前駆体蒸気の濃度は、選択された値から2分〜60分の期間にわたって3%以下の量で、具体的には選択された値から2分〜60分の期間にわたって2%以下の量で、より具体的には選択された値から2分〜60分の期間にわたって1%以下の量で変動する。
【0033】
この送達システムは、任意の混合チャンバーの存在がなければ、対向するフローを利用しない点で特有のものである。言い換えれば、この送達システムは互いに対向する方向から接触するフローを使用しない。このシステムは任意の混合チャンバーが使用される場合に限って対向するフローを使用することができる。
【0034】
上述のように、この送達システムは混合チャンバーを使用する。ある実施形態においては、この送達システムが対向するフローを使用しない場合に、混合チャンバーが使用されうる。混合チャンバーにおけるキャリアガスと前駆体蒸気との間の相互作用がより良好な混合を助け、よって反応器への前駆体蒸気の均一な送達を確実にする。別の実施形態においては、この送達システムが対向するフローを使用する場合に限って混合チャンバーが使用される。
【0035】
ここで、図1を参照すると、送達システム100は送達装置102を含み、送達装置102は化学センサー104を介して質量流量コントローラー208および反応器200、並びに圧力センサー106とそれぞれ連通している。化学センサー104および圧力センサー106は、それぞれ、第1の圧力/流量コントローラー108および第2の圧力/流量コントローラー110と作動的に連絡(operative communication)している。それぞれ、第1の圧力/流量コントローラー108は第1の比例バルブ112と作動的に連絡しており、一方、第2の圧力/流量コントローラー110は第2の比例バルブ114と作動的に連絡している。典型的な実施形態においては、それぞれ、第1の圧力/流量コントローラー108は第1の比例バルブ112と電気連絡(electrical communication)しており、一方、第2の圧力/流量コントローラー110は第2の比例バルブ114と電気連絡している。
【0036】
比例バルブ112および114はそれらが送達装置102の上流に配置される場合に、送達システム100を通るキャリアガスのフローを制御するように作動する。比例バルブ112は送達装置の下流に配置されることができ、そしてキャリアガスおよび前駆体蒸気のフローを制御するように作動することができる。シャットオフバルブ116、118、120および122は送達装置の様々な構成要素を隔離するために使用される。ある実施形態においては、シャットオフバルブ116および118は通常作動で開放である。
【0037】
比例バルブ112および114への電圧が増加される場合には、バルブの開きは大きくされ、それによりこのバルブを通るキャリアガスのフローが増大する。一方、比例バルブへの電圧が下げられる場合には、バルブの開きが小さくされ、それによりこのバルブを通るキャリアガスのフローが低下する。
【0038】
ある実施形態においては、化学センサー104と、第1の圧力/流量コントローラー108と、第1の比例バルブ112および送達装置102は、キャリアガスの第1の流れ202を包含する第1の閉じたループを形成する。キャリアガスの第1の流れ202は送達装置102の入口ポート(示されていない)に向かわせられる。この第1の流れは、送達装置102内で固体前駆体化合物に接触しそして前駆体蒸気を同伴するので、「ソースフロー」流れとも称される。第1の流れの機能の1つは前駆体蒸気を同伴することなので、それは概して高温に維持される。しかし、この高温は、送達装置102内に収容されている前駆体化合物の融点未満である。
【0039】
第1の流れは、概して、20℃〜80℃、具体的には30℃〜75℃、具体的には40℃〜70℃の温度に維持される。第1の流れ202は、第1の流れが接触する固体前駆体化合物の表面を均一に消耗させつつ、前駆体化合物の蒸気を同伴する。これは、固体前駆体化合物の塊におけるチャンネルおよび空洞の形成を妨げる。
【0040】
別の実施形態においては、圧力センサー106と、第2の圧力/流量コントローラー110と、第2の比例バルブ114と、送達装置102は、キャリアガスの第2の流れ204を包含する第2の閉じたループを形成する。キャリアガスの第2の流れ204は送達装置102の出口ポートに向かわせられる。この第2の流れは送達装置における固体前駆体化合物を迂回するので、それは「バイパスフロー」流れとも称される。
【0041】
送達装置102を出た後の第1の流れ202は第2の流れ204と一緒になって、第3の流れ206を形成し、これは質量流量コントローラー208を経由して反応器200に入る。第1の流れ202は、出口バルブ122の下流で第2の流れ204と一緒になる。第3の流れ206は所望の量の前駆体蒸気をキャリアガス中に含む。キャリアガスを2つの流れに分けることは、送達装置に入る前に第1の流れが加熱されることを可能にする。上述のように、第1の流れ202および第2の流れ204は互いに対向していない。ある実施形態においては、第1の流れ202および第2の流れ204は同じ方向に流れる。別の実施形態においては、第1の流れ202および第2の流れ204は互いに1〜90度の角度で出会って第3の流れ206を形成し、これが反応器200に入る。
【0042】
ある実施形態においては、第1の流れ202および第2の流れ204からのフローを一緒にするために、任意の混合チャンバー107が使用されうる。混合チャンバー107においては、第1の流れ202および第2の流れ204からのフローは対向する方向で導入されうる。別の実施形態においては、第1の流れ202および第2の流れ204からのフローを、これらそれぞれの流れが対向する方向に流れていない場合に、一緒にするために、混合チャンバー107が使用されうる。これら実施形態の双方は後に詳細に説明される。
【0043】
第1の流れ202を第2の流れ204と一緒にして第3の流れ206を形成することにより、キャリアガス中の前駆体蒸気の濃度は低減され、結果的に前駆体蒸気の露点をより低くする。その結果、キャリアガスに同伴される蒸気は低下した温度に遭遇した場合でも前駆体蒸気凝縮が起こらない。これは反応器に供給されるキャリアガスに対して一定の比率の前駆体蒸気を許容する。別の実施形態においては、第3の流れ中の前駆体蒸気の露点を周囲温度未満に下げることによって、前駆体蒸気凝縮が起こらず、キャリアガスに対して一定の比率の前駆体蒸気が反応器に供給されうる。
【0044】
第1および第2の閉じたループは互いに協力し合って相互作用して、1つまたは複数の反応器200への送達圧力および前駆体蒸気濃度を制御する。各反応器への前駆体の流量は、それぞれの反応器に関連した質量流量コントローラー208によって制御される。第1のおよび第2の閉じたループも互いに協力し合って相互作用して、前駆体蒸気の露点を周囲温度未満に維持する。これは前駆体蒸気の凝縮を妨げ、かつ他の比較の商業的に入手可能なシステムよりも高い質量流量で、より多量の前駆体蒸気の反応器への移送を可能にする。それぞれのループは閉じたループであることが図1において示されてきたが、これらループのいくつかは、所望の場合には、開いたループであっても良いことも意図される。
【0045】
再び図1に関して、送達装置102は入口バルブ120を有し、これは送達装置102へのキャリアガスのフローを開始または停止させるために使用されうる。送達装置102は出口バルブ122も有し、これは送達装置102から反応器200への、前駆体蒸気を同伴したキャリアガスのフローを開始および停止させることができる。図1に認められうるように、送達装置102からの前駆体蒸気が反応器200において選択された面上に堆積されるように、送達装置102は反応器200と流体連通している。質量流量コントローラー208は反応器200へ混合物の所望のフローが入ることを許可する。
【0046】
質量流量コントローラー208および反応器200は単一の質量流量コントローラーおよび反応器、または複数の質量流量コントローラーおよび反応器(示されていない)を含むことができる。典型的な実施形態においては、質量流量コントローラー208および反応器200は複数の質量流量コントローラーおよび反応器を含む。
【0047】
送達装置102は入口ポート(示されていない)および出口ポート(示されていない)を含み、この入口ポートを通ってキャリアガスが入り、そして前駆体蒸気を同伴したキャリアガスがこの出口ポートを通って反応器200に送り出される。送達装置102の入口ポートは入口バルブ120と流体連通しており、一方で、送達装置102の出口ポートは出口バルブ122と流体連通している。送達装置102は概して充填材料(示されていない)および固体前駆体化合物(示されていない)を収容する。充填材料は概して固体前駆体化合物と入口ポートとの間に配置される。
【0048】
ある実施形態においては、送達装置102は加熱ジャケット103で取り囲まれ、この加熱ジャケットは送達装置102を高温に維持するように機能する。この加熱ジャケット103は流体(例えば、スチームジャケット)によってまたは電気エネルギーによって加熱されうる。加熱ジャケット103はシステム100においてガス流れ(すなわち、キャリアガスおよび前駆体蒸気)の温度を全ての時点で20℃を超える温度に維持するように機能する。加熱ジャケット103は送達装置102内の前駆体化合物を20℃〜80℃の温度に維持する。ある実施形態においては、キャリアガスを送達装置に移送するのに使用されるパイプもしくは管は全て20℃〜80℃の温度に維持される。
【0049】
送達装置102並びに入口ポートおよび出口ポートは、キャリアガスまたは固体前駆体化合物によって劣化されず、並びに同様にキャリアガスまたは固体前駆体化合物の組成を変化させない材料から製造されうる。この材料が操作の温度および圧力に耐えることも望ましい。この筐体(enclosure)は適切な材料、例えば、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンおよび/または金属などから製造されうる。ある実施形態においては、この筐体は金属から構成される。典型的な金属には、ニッケル合金およびステンレス鋼が挙げられる。適切なステンレス鋼には、SS304、SS304L、SS316、SS316L、SS321、SS347およびSS430が挙げられる。典型的なニッケル合金には、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)およびハステロイ(HASTELLOY)が挙げられる。
【0050】
様々な充填材料(示されていない)が送達装置102に使用されうるが、ただし充填材料は固体前駆体化合物およびシリンダーに対して、使用条件下で不活性である。概して、充填材料が流動性であることが望ましい。例えば、固体前駆体化合物がシリンダーから消耗すると、シリンダー内の固体前駆体化合物のレベルが低下するであろうし、充填材料は、前駆体化合物層の表面における何らかのくぼみを満たすように流れる必要がある。適切な充填材料には、セラミックス、ガラス、クレイ、有機ポリマーおよび上述の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。適切なセラミック充填材料の例にはアルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ホウケイ酸塩、アルミナケイ酸塩、および上述の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0051】
充填材料には様々な形状、例えば、ビーズ、ロッド、チューブ、馬蹄形、リング、サドル、ディスク、ソーサー、または他の適切な形状、例えば、針状、十字形、およびらせん形(コイルおよびスパイラル)が挙げられうる。所望の場合には様々な形状の組み合わせが使用されうる。充填材料は概して様々なソースから市販されている。充填材料はそのまま使用されうるが、それは使用前に清浄化されうる。
【0052】
送達装置102は概して、固体前駆体がそこを通って導入される開口(示されていない)を含む。固体前駆体材料は任意の適切な手段によって送達装置に添加されうる。固体前駆体化合物は粉体形態で送達装置102に添加されることができ、またはフリット化されうる(これは以下に論じられる)。固体前駆体化合物:充填材料の体積比は広範囲にわたって変化することができ、例えば、10:1〜1:10である。ある実施形態においては、この体積比は1:4〜4:1である。
【0053】
固体前駆体化合物は前駆体蒸気のソースである。蒸気送達システムに使用するのに適切な固体前駆体化合物は送達装置内で使用されうる。適切な前駆体化合物には、インジウム化合物、亜鉛化合物、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物および上記化合物の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0054】
典型的な固体前駆体化合物には、トリアルキルインジウム化合物、例えば、トリメチルインジウム(TMI)およびトリターシャリーブチルインジウム;トリアルキルインジウム−アミン付加物;ジアルキルハロインジウム化合物、例えば、ジメチルクロロインジウム;アルキルジハロインジウム化合物、例えば、メチルジクロロインジウム;シクロペンタジエニルインジウム;トリアルキルインジウム;トリアルキルアルシン付加物、例えば、トリメチルインジウム−トリメチルアルシン付加物;トリアルキルインジウム−トリアルキル−ホスフィン付加物、例えば、トリメチルインジウム−トリメチルホスフィン付加物;アルキル亜鉛ハライド、例えば、エチル亜鉛ヨージド;シクロペンタジエニル亜鉛;エチルシクロペンタジエニル亜鉛;アラン−アミン付加物;アルキルジハロアルミニウム化合物、例えば、メチルジクロロアルミニウム;アルキルジハロガリウム化合物、例えば、メチルジクロロガリウム;ジアルキルハロガリウム化合物、例えば、ジメチルクロロガリウム、およびジメチルブロモガリウム;ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg);四臭化炭素;金属ベータ−ジケトナート、例えば、ハフニウム、ジルコニウム、タンタルおよびチタンのベータ−ジケトナート;金属ジアルキルアミド化合物、例えば、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム;ケイ素化合物およびゲルマニウム化合物、例えば、ビス(ビス(トリメチルシリル)アミノ)ゲルマニウムが挙げられる。上記固体前駆体化合物においては、用語「アルキル」は(C−C)アルキルをいう。固体前駆体化合物の混合物が本送達装置において使用されうる。
【0055】
固体前駆体化合物はフリット化されうる。本明細書において使用される場合、「フリット化」とは固体前駆体化合物の融合をいう。送達装置内の固体前駆体化合物のフリットは気相中でより一貫した安定な濃度の前駆体化合物を可能にし、および他の従来技術もしくは他の市販の装置と比較してシリンダーからの固体前駆体化合物のより良好な消耗をもたらすことが見いだされている。「固体前駆体化合物のフリット」とは、実質的に平坦な上面を有し、かつキャリアガスがケーキを通過できるのに充分な多孔度を有する固体前駆体化合物の融合ケーキをいう。一般に、固体前駆体化合物のフリットが最初に形成される場合には、フリットはシリンダーの内側寸法に一致し、すなわち、そのフリットは入口チャンバーの内側寸法に実質的に等しい幅を有する。フリットの高さは使用される固体前駆体化合物の量に応じて変化するであろう。
【0056】
キャリアガスは固体前駆体化合物と反応しない限りは、適切なキャリアガスが送達装置102と共に使用されうる。キャリアガスの具体的な選択は様々な要因、例えば、使用される前駆体化合物および使用される具体的な化学蒸着システムに応じて変化する。適切なキャリアガスには不活性ガスが挙げられる。典型的なガスは水素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどである。
【0057】
化学センサー104は濃度センサーであり、かつキャリアガス中の前駆体蒸気の濃度を測定する。化学センサー104は、ガス濃度を連続的に監視し、かつ濃度変化および/またはドリフトの主な原因となる送達装置102を通る第1の流れ202を制御することによって反応器への前駆体蒸気の物質移動速度を制御する。
【0058】
ある実施形態においては、化学センサー104は、キャリアガスに対する前駆体蒸気の比率を検出するために使用されるインラインアコースティックバイナリー(in−line acoustic binary)ガス濃度センサーである。化学センサーはガス混合物(すなわち、前駆体化合物の蒸気とキャリアガスとの混合物)を通って伝達するアコースティック信号を生じさせ、デジタル信号処理技術を使用して、そのアコースティック信号の伝達の時間を正確に測定する。次いで、伝達時間が使用されて、その物理的特性に基づいてキャリアガス中の前駆体蒸気の濃度を計算する。この濃度測定は、キャリアガスに対する前駆体蒸気の濃度における何らかの変動を補償しつつ、前駆体蒸気の物質移動速度の制御を可能にするデータを提供する。この物質移動速度の制御は第1の比例バルブ112によってもたらされる。
【0059】
例えば、化学センサー104からの出力がゼロボルトである場合には、それはキャリアガス中の前駆体蒸気の濃度が0重量%(重量パーセント)であることを示す。化学センサー104からの出力が5ボルトである場合には、キャリアガス中の前駆体蒸気の濃度は1重量%である。典型的な実施形態においては、化学センサー104は、ロレックスインダストリーズから市販のピエゾコン(PIEZOCON(登録商標))である。
【0060】
典型的な実施形態においては、固体前駆体化合物がトリメチルインジウムである場合には、トリメチルインジウム蒸気について17℃の露点を有する送達システム100を提供するように、送達装置102を通るフローを制御するように化学センサー104が使用される。反応器200に供給する、送達装置102と質量流量コントローラー208との間の輸送配管(すなわち、キャリアガスおよび前駆体蒸気を輸送するライン)は概して20℃の室温に維持される。トリメチルインジウム蒸気が輸送配管内で凝縮するのを避けるために、トリメチルインジウムについて17℃の露点が選択される。この3℃の違いが、反応器への前駆体蒸気の連続的な定常フローを可能にする。
【0061】
圧力センサー106は送達装置102に適用される圧力を測定する。圧力センサー106は圧力ゲージ、マノメータなどでありうる。第2のコントローラー110と組み合わせて、圧力センサー106および第2の比例バルブ114は前駆体蒸気およびキャリアガスの圧力を制御するメカニズムを提供する。
【0062】
任意の混合チャンバー107は図5および6に詳述される。図5は対向するフローを含む場合の混合チャンバー107を示し、一方、図6は対向するフローを含まない混合チャンバー107を示す。
【0063】
図5は、第1の流れ202および第2の流れ204について対向するフローを有する混合チャンバー107を描く。この混合チャンバー107はニッケル合金またはステンレス鋼から製造されるチャンバー300を含む。このチャンバー300は任意の形状を有しうるが、好ましくは直径および高さが等しいかまたはほぼ等しい円筒形である。ある実施形態においては、1インチ以上、具体的には2インチ以上、およびより具体的には3インチ以上の混合チャンバーの直径を有することが望ましい。別の実施形態においては、この円筒の高さは2インチ以上、具体的には3インチ以上、およびより具体的には4インチ以上である。
【0064】
第1の流れ202は導管302を介してチャンバー300に入り、一方、第2の流れ204は導管304を介してチャンバー300に入る。第3の流れ206は導管306を介してチャンバー300から出る。混合チャンバー107の位置は、それが送達システムに使用される場合には、それが第1の閉じたループおよび第2の閉じたループの一部分であるのを可能にする。
【0065】
それぞれの導管は好ましくは、0.25インチ以上、具体的には0.35インチ以上、より具体的には0.5インチ以上の直径を有する円形断面を有する。図5に認められうるように、導管302および304は互いに対向する。第1の流れ202および第2の流れ204が、導管306から第3の流れ206としてチャンバーを出る前に互いに緊密に混合されうるように導管の出口は互いに対向し、かつ互いに0.5インチ未満離れているように設計される。導管306はチャンバー300を、反応器200への入口(示されていない)と連通した導管に接続するための装置308を伴って提供される。
【0066】
導管302はフランジ310を装着しており、このフランジ310は、導管304と連通するチャンバー300の面と平行である。フランジ310は、フランジ310とチャンバー300の面との間の空間312において第1の流れ202および第2の流れを互いに緊密に混合させる。
【0067】
図6は、互いに対向していない第1の流れ202および第2の流れ204についてのフローを有する混合チャンバー107を示す。この描写においては、第1の流れ202は導管302を介してチャンバー300に入り、一方第2の流れ204は導管304を介してチャンバー300に入る。チャンバー300内の2つの流れの合流は2つの流れ202および204の間の混合をもたらし、次いで、これは第3の流れ206として導管306を介してチャンバー300から出る。図5および6に示された実施形態においては、導管302,304および306はノズル、多孔質フィルタまたは第1の流れ202と第2の流れ204との混合を増大させるために使用される他の装置を含むことができる。この混合チャンバーは充填材料、例えば、ビーズ、ロッド、チューブ、馬蹄形、リング、サドル、ディスク、ソーサー、または他の適切な形状、例えば、針状、十字形、およびらせん形(コイルおよびスパイラル)を含んでいても良い。所望の場合には、上記様々な充填材料の組み合わせが使用されても良い。混合チャンバー107は、第1の流れ202が第2の流れ204と接触する点で、以下の図2〜4に示される実施形態のいずれにおいて使用されても良い。
【0068】
再び図1を参照すると、第1のコントローラー108および第2のコントローラー110は、送達システム100を通るキャリアガスの全圧力またはフローの最適化された制御を提供するように設計された内蔵型比例−積分−微分(PID)制御モジュールである。第1の比例バルブ112への入力は圧力センサー106から得られる。第2の比例バルブ114への入力は化学センサー104から得られる。それぞれの圧力/流量制御システムは3つの基本的な部品、特に、圧力センサー、比例−積分−微分コントローラーおよびコントロールエレメントを含む。
【0069】
第1の比例バルブ112の操作において、化学センサー104はプロセス圧力またはキャリアガス流量を測定する。比例−積分−微分コントローラーは測定された前駆体の濃度を所望の設定点と比較し、そして必要に応じて比例バルブ112を調節して、第3の流れ206における所望の前駆体蒸気濃度を達成する。
【0070】
第2の比例バルブ114の操作において、圧力センサー106はプログラムされた圧力を維持するために迂回フローを制御する。反応器200の前駆体蒸気要求は質量流量コントローラー208によってなされる。これに応じて、圧力センサー106は、流量コントローラー110および第2の比例バルブ114と協力して、第2の流れ204におけるキャリアガスのフローを調節して、第3の流れ206における所望の圧力を提供する。
【0071】
ある実施形態においては複数の圧力/流量コントローラーはマスター圧力/流量コントローラーに対して従属されていて良く、このマスター圧力/流量コントローラーは、化学センサー104および関連するコントローラー108が所望のガス比率/混合物を維持しつつ、キャリアガスの全フローを調節して所望の圧力を達成する。例えば、図1からの第1の比例バルブ112および第2の比例バルブ114は、キャリアガスの全フローを第1の流れ202および第2の流れ204に分けるために、メイン圧力コントローラー(示されていない)に従属されていてよい。この実施形態においてこの濃度の動的制御はないであろう。
【0072】
シャットオフバルブ116および118、並びに入口および出口バルブ120、122はゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブなどでありうる。
【0073】
ある実施形態においては、図1の送達システム100を利用する一方法においては、反応器200は送達装置102から蒸気を引き込む。キャリアガスは、化学センサー104および圧力センサー106によって提供される情報に応じて、第1の比例バルブ112または第2の比例バルブ114のいずれかまたは双方によって送達されうる。
【0074】
ある実施形態においては、キャリアガスが第1の流れ202および第2の流れ204を含む流体ライン(例えば、パイプまたは管)を移動する際に、キャリアガスは概して固体前駆体化合物の融点以下の温度に加熱される。第1の流れ202におけるキャリアガスは送達装置102を通って移動し、そして前駆体化合物の蒸気を同伴する。同伴される蒸気を伴うキャリアガスは、次いで、第2の流れ204のキャリアガスと出会う。第1の流れ202および第2の流れ204におけるキャリアガスの質量流量を調節することにより、前駆体蒸気の濃度が所望の量に維持されうる。
【0075】
「所望の量」は化学センサー104および圧力センサー106並びにそれぞれの圧力/流量コントローラー108および110の設定によって決定される。第3の流れ206における前駆体蒸気の濃度は化学センサー104によって測定される。キャリアガス(その中に同伴される前駆体蒸気を伴う)の圧力および/または流量は圧力センサー106によって測定される。
【0076】
キャリアガスに対する前駆体蒸気の濃度が所望の量または所望の範囲から逸脱する場合には、化学センサー104はコントローラー108および比例バルブ112に連絡して、送達装置102へのキャリアガスのフローを調節する。比例バルブ112を調節することにより、流れ206におけるキャリアガス中の前駆体蒸気の量は実質的に一定であるように調節されうる。第3の流れ206において同伴する前駆体蒸気を伴うキャリアガスの流量は質量流量コントローラー208の要求に応じて変化し、そして第2のコントローラー110および第2の比例バルブ114によって制御される。
【0077】
例えば、第3の流れ206においてキャリアガスに対する前駆体蒸気の濃度が低下する場合には、化学センサー104からコントローラー108および第1の比例バルブ112への電気連絡は、バルブ116および入口バルブ120を含む第1の流れ202を経由するキャリアガスのフローを増大させる。これは第1の流れ202におけるキャリアガス中の前駆体蒸気の量を増大させる。第2の流れ204におけるキャリアガスの質量流量は第1の流れ202におけるフロー増大量によって低減される。第1の流れ202における前駆体蒸気の量の増大は、第2の流れ204における低減された質量流量と組み合わせられる場合に、第1の流れ202の流量における調節をもたらす低減の前の前駆体蒸気の量と比較して実質的に一定の前駆体蒸気の濃度を有する第3の流れ206を生じさせる。
【0078】
別の実施形態においては、第3の流れ206において前駆体蒸気の濃度が増大する場合には、化学センサー104からのコントローラー108および比例バルブ112への電気連絡が第1の流れ202を経由するキャリアガスのフローを低下させる。これは第2の流れ204におけるキャリアガスフローの量の増大を導く。第2の流れ204におけるキャリアガスの量の増大は、第1の流れ202における低減された質量流量と組み合わせられる場合に、第2の流れ204の流量における調節をもたらす低減の前の前駆体蒸気の量と比較して実質的に一定の前駆体蒸気の濃度を有する第3の流れ206を生じさせる。
【0079】
よって、化学センサー104および圧力センサー106からの読み取り値は、前駆体蒸気濃度および反応器200への前駆体蒸気の流量を調節しまたは維持するために使用される。
【0080】
上述のように、本明細書に記載される送達システム100は、それが第1の流れ202(すなわち、ソースフロー)および第2の流れ204(すなわち、迂回フロー)を使用して、キャリアガス中の前駆体蒸気の露点を周囲温度未満まで、またはより具体的には第3のフロー206を運ぶ接続配管およびハードウェアの温度未満まで下げる点で有利である。
【0081】
図2は送達システム100の別の実施形態を描き、ここではキャリアガスが第1の流れ202(これは固体前駆体化合物を通って流れる)および第2の流れ204(これは固体前駆体化合物を迂回する)に分けられ、そして第3の流れ206を形成するように再び一緒にされ、第3の流れにおいては露点は周囲温度未満である。第1の流れ202のフロー方向、第2の流れ204のフロー方向および第3の流れ206のフロー方向は一方向性であり、かつ互いに対向していない。上述のように、混合チャンバーが使用される場合を除いて、送達システムにおいて対向するフローは存在しない。これは、この送達システムにおいて対向するフローを使用することはキャリアガスと前駆体蒸気との間で所望の混合を生じさせないからであり、このことは、結果的に、送達において、前駆体蒸気を複数の反応器に不均一に分配することをもたらす。
【0082】
図2においては、送達システム100は、第2の比例バルブ114およびニードルバルブ119の位置を除いて、図1の送達システムとほぼ類似している。この図において、圧力センサー106に接続されたコントローラー110によって運転される単一の比例バルブ114は送達システム100全体における圧力を制御するために使用される。図2の送達システム100は、圧力およびキャリアガス中の前駆体蒸気濃度を調節するために少なくとも2つの閉じたループを含む。
【0083】
図2に示されうるように、第1の比例バルブ112は第2の比例バルブ114の下流に位置し、かつ場合によっては第2の比例バルブ114に従属されていても良い。ニードルバルブ119がシャットオフバルブ118の下流に位置する。ニードルバルブ119は第1の比例バルブ112および送達装置102を通るキャリアガスのフローを調節するために使用されうる圧力の調節可能な低下を容易にする。
【0084】
図3は送達装置102に連通した複数の圧力調節装置を含む送達システム100の別の実施形態を示す。圧力調節装置は、質量流量コントローラー208について使用される圧力レベルまで、入ってくるキャリアガスの圧力の低下を促進するように機能する。
【0085】
この実施形態においては、送達システム100は第1の圧力調節装置96、および第1の圧力調節装置96の下流に位置する第2の圧力調節装置98を含む。第1の圧力調節装置96は、入ってくるキャリアガスの圧力を第1の圧力Pから第2の圧力Pへ低下させることを容易にし、一方、第2の圧力調節装置98は、第2の圧力Pから第3の圧力Pへの圧力のさらなる低下を容易にする。第1の圧力Pは第2の圧力P以上であり、第2の圧力Pは第3の圧力P以上である。
【0086】
ある実施形態においては、第2の圧力Pは第1の圧力Pの50%〜70%であり、具体的には第1の圧力Pの55%〜65%である。典型的な実施形態においては、第2の圧力Pは第1の圧力Pの58%〜62%である。第3の圧力Pは第1の圧力Pの40%〜48%であり、具体的には第1の圧力Pの43%〜47%である。
【0087】
第1の圧力Pは1,900〜2,100torr(250〜280kPa)、具体的には1,950〜2,050torr(260〜275kPa)である。第2の圧力Pは950torr〜1,400torr(125〜190kPa)、具体的には1,000torr〜1,300torr(130〜175kPa)である。第3の圧力Pは500〜950torr(65〜125kPa)、具体的には850torr〜925torr(110〜120kPa)である。よって、送達装置102は、入口圧力が500〜2,000torr(65〜260kPa)、具体的には700〜1800torr(90〜240kPa)、より具体的には900torr(120kPa)である反応器200とつながって作動しうる。所望の場合には、反応器200は50〜760torr(6〜101kPa)の範囲で作動することにより、よって、送達装置100から質量流量コントローラー208を経由して前駆体蒸気を取り出す。
【0088】
第1の比例バルブ112、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122および化学センサー104が第1の圧力調節装置96の下流に配置される。第1の比例バルブ112は第1の圧力調節装置96の下流であってかつ第2の圧力調節装置98の上流に配置される。
【0089】
第1の圧力調節装置96は第1の比例バルブ112、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122および化学センサー104と流体連通する。第1の圧力調節装置96、第1の比例バルブ112、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122および化学センサー104を含む流体流れは第1の流れ202と称される。第1の流れ202はキャリアガスを送達装置102の入口ポートに向かわせる。
【0090】
化学センサー104は第1の比例バルブ112と連絡している。ある実施形態においては、化学センサー104は第1の比例バルブ112と電気連絡している。比例バルブ112、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122および化学センサー104は閉じたループにある。
【0091】
第2の圧力調節装置98はシャットオフバルブ118および配管のコイル211の上流に配置されている。配管のコイル212は、加熱された筐体103の内側の温度までキャリアガスを加熱する。第2の調節装置98,第2のバルブ118および配管のコイル212を含む流体流れは第2の流体204と称される。
【0092】
第1の流れ202は第2の流れ204と接触して第3の流れ206を形成する。ある実施形態においては、第1の流れ202は、送達装置102の出口バルブ122の下流で第2の流れ204と接触する。化学センサー104は出口バルブ122の下流に配置される。化学センサー104からの出力信号は第1のコントローラー108を経由して第1の比例バルブ112に向けられる。
【0093】
ある実施形態においては、加熱ジャケット103(図3において示される)はバルブ116および118、ヒーター212、実質的に全ての第1の流れ202、実質的に全ての第2の流れ204および実質的に全ての第3の流れ206を包含する。この配置は、システム100においてガス流れ(すなわち、キャリアガスおよび前駆体蒸気)の温度を全ての時点で20℃より高い温度に維持し、第1の流れ202、第2の流れ204および第3の流れ206における蒸気前駆体の凝縮を妨げるのを可能にする。これは反応器200へのまたは複数の反応器への前駆体蒸気の均一な送達を可能にする。この配置は、前駆体蒸気が多くの場合配管の内側壁上で凝縮して、反応器への前駆体の不均一な送達および分布を導くという他の比較の商業的に入手可能な反応器において遭遇する欠点を克服する。
【0094】
図3の送達システム100を操作する一方法においては、反応器200は前駆体蒸気およびキャリアガスの混合物を送達装置102から取りだす。化学センサー104は第3の流れ206における前駆体蒸気濃度および/または流量(もしくは圧力)を測定する。第3の流れ206における前駆体蒸気濃度および/または流量が所望の限度の外側にある場合には、センサー104は第1のコントローラー108を経由して第1の比例バルブ112と連絡する。第1のコントローラー108は第1の比例バルブ112への電圧を増加または低減させる。比例バルブ112を閉じるかまたは開くことにより、キャリアガス中の前駆体蒸気の濃度またはキャリアガスの流量(もしくは圧力)は所望の値に調節されうる。
【0095】
図4は図3の送達システム100の別の実施形態を示す。この実施形態においては、第1の比例バルブ112は図3において示されるような上流の代わりに送達装置102の下流に配置される。このシステムは、入ってくるキャリアガスの圧力を、反応器200に供給するための質量流量コントローラー208によって使用される圧力レベルまで低下させることを促進させるように機能する圧力調節装置96および98も含む。
【0096】
図4を参照すると、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122,第1の比例バルブ112および化学センサー104が第1の圧力調節装置96の下流に配置されることが認められうる。よって、第1の比例バルブ112は第1の圧力調節装置96の下流に配置されるが、第1の流れ202が第2の流れ204と接触する点の上流に配置される。第1の流れ202は、よって、シャットオフバルブ116、入口バルブ120、送達装置102、出口バルブ122および第1の比例バルブ112を含む。第1の流れ202はキャリアガスを送達装置102の入口ポートに向かわせる。
【0097】
第2の流れ204は第2のバルブ118および配管のコイル212を含む。
【0098】
第1の流れ202は第2の流れ204と接触して第3の流れ206を形成する。ある実施形態においては、第1の比例バルブ112の下流で、第1の流れ202は第2の流れ204と接触する。化学センサー104は第1の比例バルブ112の下流に配置される。化学センサー104からの出力信号は第1の圧力/流量コントローラー108を経由して第1の比例バルブ112に向かわせられる。化学センサー104は第1の比例バルブ112と電気連絡している。
【0099】
送達装置102の下流での第1の比例バルブの配置は送達システム100を通る特定のフローの下で発現しうる濃度振動を抑制するためにいくつかの例において有利である。送達装置100における圧力はこの実施形態においてより高いので、同じ濃度を得るために、送達装置100を通るフローは通常、より高い。
【0100】
送達システム100を製造する一方法においては、比例バルブ112および/または114は送達装置102の上流に配置される。シャットオフバルブ116および/または118は、それぞれ比例バルブ112および/または114の下流であって、かつ送達装置102の上流に配置される。送達装置102は加熱された筐体103内に配置される。入口バルブ120および出口バルブ122は送達装置102の入口および出口にそれぞれ配置される。化学センサー104および圧力センサー106は送達装置102の下流に配置され、かつそれぞれ、比例バルブ112および/または114と閉じたループを形成する。送達システム100は質量流量コントローラー208を経由して反応器200と流体連通している。質量流量コントローラー208は反応器200の上流に配置される。
【0101】
この送達システム100は、それが他の比較の装置よりも大きな流量で一定の流れの前駆体蒸気を送達することができる点で有利である。この方法は対向するフローを伴わない。送達システム100全体を通るフローは単一の方向のフローを伴う。これは、キャリアガスと前駆体蒸気との間のより良好な混合を生じさせ、かつ固体前駆体における穴の形成を妨げる。対向するフローを有するシステムは、フローの1つの圧力が他のフローのよりも増大したときに起こる問題に悩まされる。これは、反応器への前駆体蒸気の不均一な供給を生じさせる。それはまた、固体前駆体の不均一な昇華を生じさせて、固体前駆体における穴を導き、これはひいては、反応器への前駆体蒸気の不均一な供給をもたらす。
【0102】
このシステム100は、反応器200への均一濃度の前駆体の送達も許容する。この特徴はこのシステム100を、単位時間あたり一定のモル数を供給する他の比較の送達システムと区別する。単位時間あたり一定のモル数の送達は、特にシステムがキャリアガスの対向するフローを有する場合には、常に単位体積あたり一定のモル数に換算されるわけではない。これは多くの場合、反応器に送達されるキャリアガスの単位体積あたりの前駆体の変動をもたらし、これは不均一な生成物の製造をもたらす。
【0103】
この開示されたシステム100は、長時間にわたる反応器への前駆体の均一な質量流量も許容する。
【0104】
ある実施形態においては、この送達システム100は、1標準リットル/分(slm)以上、具体的には2標準リットル/分(slm)以上、より具体的には3標準リットル/分(slm)以上の反応器200へのキャリアガス流量を維持しつつ、60℃以上の温度で、900torr(120kPa)以上の圧力で1,500マイクロモル/分以上、具体的には1,750マイクロモル/分以上、より具体的には2,000マイクロモル/分以上の割合で前駆体蒸気を送達することができる。
【符号の説明】
【0105】
96 第1の圧力調節装置
98 第2の圧力調節装置
100 送達システム
102 送達装置
103 加熱ジャケット
104 化学センサー
106 圧力センサー
107 混合チャンバー
108 第1の圧力/流量コントローラー
110 第2の圧力/流量コントローラー
112 第1の比例バルブ
114 第2の比例バルブ
116、118、120、122 シャットオフバルブ
200 反応器
202 キャリアガスの第1の流れ
204 キャリアガスの第2の流れ
206 第3の流れ
208 質量流量コントローラー
212 配管のコイル
300 チャンバー
302、304、306 導管
310 フランジ
312 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達装置、第1の比例バルブ、第2の比例バルブ、混合装置、化学センサー、および第1の圧力/流量コントローラーを含む送達システムであって;
前記送達装置は入口ポートおよび出口ポートを有しており;前記送達装置は固体前駆体を収容しており;
前記第1の比例バルブは前記送達装置の前記入口ポートと連通しており;前記第1の比例バルブは適用される電圧に基づいて前記送達装置へのキャリアガスの第1の流れのフローを制御するように作動するものであり;
前記第2の比例バルブは前記送達装置の前記出口ポートと連通しており;前記第2の比例バルブは適用される電圧に基づいて前記送達装置へのキャリアガスの第2の流れのフローを制御するように作動するものであり;
前記混合装置は前記送達装置の下流にあり、かつ前記第1の流れと前記第2の流れとを混合するように作動するものであり;
前記化学センサーは混合チャンバーの下流に配置されており、かつ前記混合チャンバーから出てくる流体流れの化学的内容を分析するように作動するものであり;前記化学センサーは前記第1の比例バルブと連絡しており;
第1の圧力/流量コントローラーは前記化学センサーおよび前記第1の比例バルブと作動的に連絡しており;
前記送達システムはキャリアガスの単位体積あたり実質的に一定のモル数の前駆体蒸気を複数の反応器に送達するように作動するものであり、前記複数の反応器は前記送達システムと連通している;
送達システム。
【請求項2】
前記混合チャンバーが、前記第1の流れを収容する第1の導管および前記第2の流れを収容する第2の導管と流体連通している、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記第1の流れおよび前記第2の流れが互いに接触する前に対向した方向に流れている、請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記第1の流れおよび前記第2の流れが対向する方向に流れていない、請求項2に記載の送達システム。
【請求項5】
第1の導管のフランジと前記混合チャンバーの面との間に形成されるチャンネルにおいて前記第1の流れおよび前記第2の流れが混合される、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
圧力センサーおよび第2の圧力/流量コントローラーをさらに含み、前記圧力センサーが前記送達装置と流体連通しており、前記第2の圧力/流量コントローラーが前記第2の比例バルブと電気連絡している、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
第1の圧力/流量コントローラー、前記第1の比例バルブ、前記送達装置、前記混合チャンバーおよび前記化学センサーが第1の閉じたループにある請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
前記第2の圧力/流量コントローラー、前記第2の比例バルブ、前記混合チャンバーおよび前記圧力センサーが第2の閉じたループにある請求項6に記載の送達システム。
【請求項9】
キャリアガスの第1の流れを送達装置を経由して混合チャンバーに移送し、前記送達装置は前駆体化合物を収容しており、前記キャリアガスの第1の流れが20℃以上の温度であり;
キャリアガスの第2の流れを前記混合チャンバーに移送し、前記混合チャンバーは前記送達装置の下流の場所に位置しており;並びに
前記第1の流れおよび前記第2の流れを前記混合チャンバー内で一緒にして第3の流れを形成し、前記第1の流れおよび前記第2の流れが互いに接触する前に互いに対向して流れている;
ことを含む方法。
【請求項10】
前記第3の流れに配置されている化学センサーからの信号を第1の圧力/流量調節装置、および/または第2の圧力/流量調節装置に伝達することをさらに含み、前記第1の圧力/流量調節装置が前記第1の流れにおけるキャリアガスの流量を制御するように作動するものであり、並びに前記第2の圧力/流量調節装置が前記第2の流れにおけるキャリアガスの流量を制御するように作動するものである、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−244168(P2012−244168A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105228(P2012−105228)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】