説明

蒸着装置及び蒸着方法

【課題】大面積の成膜対象物に対して膜厚及び膜質が均一の膜を形成することができる蒸着技術を提供する。
【解決手段】本発明の蒸着装置30は、ホスト材料用蒸発源8h及びドーパント材料用蒸発源8dにそれぞれ接続されたリニア蒸気放出器10を備える。リニア蒸気放出器10は、蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた第1〜第3の拡散室11〜31をそれぞれ有するとともに、第1〜第3の拡散室11〜31は、互いに隣接する拡散室が蒸発材料の蒸気が通過可能な第1〜第3連通口12〜32を介して接続されている。第3の拡散室31は、第4連通口42を介してそれぞれ蒸気混合室41に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機ELディスプレイや有機EL照明デバイスや蒸着重合膜等を作製するための有機材料等の蒸着技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図5(a)(b)は、従来技術に係る有機蒸着装置の概略構成図で、図5(a)は、内部構成を示す断面図、図5(b)は、蒸発源及び面蒸発器の構成を示す平面図である。
図5(a)(b)に示すように、従来の有機蒸着装置101は、図示しない真空排気系に接続された真空槽102を有し、この真空槽102の内部に成膜対象物である基板103が配置されるようになっている。
【0003】
この真空槽102の内部には、面蒸発器104が設けられている。
面蒸発器104は、加熱用のヒータ105を有し蒸気放出用のノズル106が設けられたパイプ状の蒸気放出器107が複数並べられて構成され、これら蒸気放出器107は蒸気輸送配管108を介して蒸発源110に接続されている。
【0004】
蒸発源110は、有機材料111が収容された蒸発容器112を有しており、この蒸発容器112の外壁には、加熱用のヒータ113が装着されている。
そして、このような構成により、蒸発源110において気化された有機材料の蒸気が蒸気輸送配管108を介して蒸気放出器107内に導入され、この蒸気がノズル106から放出され基板103に到達するようになっている。
【0005】
しかし、このような従来技術においては、真空槽102内に蒸気輸送配管108が配置されているため、蒸発材料の蒸気の流動に影響を及ぼし、その結果、蒸気放出器107から放出される蒸気の分布が不均一になるという課題がある。
【0006】
すなわち、従来技術では、複数の蒸気放出器107から放出される蒸気の量を個別的に制御することができず、各蒸気放出器107毎に蒸気の放出量が異なるため、基板103上に形成される膜の膜厚均一性が悪いという課題がある。
【0007】
特に有機EL装置の有機層用のドーパント材料を用いて成膜する場合には、僅かな膜厚の差によってデバイスの輝度が大きく変わってしまうため、大面積の基板103上に成膜を行う場合に対応し難いという課題がある。
【0008】
また、ドーパント材料とホスト材料を用いて同時に成膜を行う場合には、ドーパント材料とホスト材料の蒸気が混合し難く、そのままの状態で基板103上に蒸着されるため、ドーパント材料とホスト材料の比率が均一の膜を形成することが困難であるという課題もある。
【0009】
さらに、ドーパント材料とホスト材料を用いて同時に成膜を行う場合には、ドーパント材料用の蒸気放出器とホスト材料用の蒸気放出器とが相互に汚染されるおそれがあるという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−79904号公報
【特許文献2】特開平7−90572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、大面積の成膜対象物に対して膜厚及び膜質が均一の膜を形成することができる蒸着技術を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、異なる蒸発材料を用いて同時に成膜を行う場合において、各蒸気放出器が相互に汚染されるおそれのない蒸着技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明は、蒸着対象物が配置される真空槽と、前記真空槽の外部に設けられた複数の蒸発源と、前記蒸着対象物に対して相対移動可能に設けられ、前記複数の蒸発源から供給された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するための蒸気放出器とを備え、前記蒸気放出器は、前記蒸発源から前記蒸発材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離された複数の蒸気拡散部と、当該複数の蒸気拡散部において拡散された蒸発材料の蒸気を混合する蒸気混合室とを有し、前記複数の蒸気拡散部は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室をそれぞれ有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が前記蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、さらに、当該複数の拡散室のうち最終段の拡散室が、前記蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ前記蒸気混合室に接続され、前記蒸気混合室には、前記蒸着対象物の相対移動方向に対して交差する方向に配列された複数の蒸気放出口が設けられている蒸着装置である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部の複数の拡散室には、互いの雰囲気を隔離するための隔壁部が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の導入側から放出側に向って数が増加するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向ってそれぞれの連通口の面積の和が小さくなるように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸発源は、前記蒸気放出器に対して供給する蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段をそれぞれ有する場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸発源は、ホスト材料用の蒸発容器を有するホスト材料用蒸発源と、ドーパント材料用の蒸発容器を有するドーパント材料用蒸発源とを備える場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸発源は、光の三原色の蒸気を発生させるための複数の蒸発源を備え、当該複数の蒸発源から前記蒸気放出器に供給する蒸気の量を独立して制御するように構成されている場合にも効果的である。
一方、本発明は、上述したいずれかの蒸着装置を用いて蒸着対象物上に有機薄膜を形成する蒸着方法であって、当該蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するための有機材料を用いる蒸着方法である。
本発明では、前記蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するためのホスト材料とドーパント材料を用いる場合に特に効果的である。
本発明では、前記蒸発材料として、光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発材料を用いる場合にも効果的である。
本発明では、光の三原色の蒸発材料の蒸気を前記蒸気放出器に供給して混合し、当該蒸気放出器から放出された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するとともに前記成膜対象物を当該蒸気放出器に対して複数回移動させることにより、当該成膜対象物上に白色のタンデム構造の有機薄膜を積層形成する工程を有する場合にも効果的である。
本発明では、光の三原色の蒸気を切り換えて発生可能な複数の蒸発源を備えた蒸着装置を用い、当該光の三原色の各色の蒸発材料の蒸気を前記蒸気放出器に供給して混合し、当該蒸気放出器から放出された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するとともに前記成膜対象物を当該蒸気放出器に対して少なくとも3回移動させることにより、当該成膜対象物上にフルカラーの有機薄膜を形成する工程を有する場合にも効果的である。
【0013】
本発明の場合、複数の蒸気拡散部が、蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室をそれぞれ有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、さらに、当該複数の拡散室のうち最終段の拡散室が、蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ蒸気混合室に接続されていることから、複数の蒸気拡散部において異なる蒸発材料の蒸気を確実に拡散した後に、蒸気混合室において異なる蒸発材料を確実に混合することができ、これにより例えば大型基板に対して蒸着を行う場合に当該基板上の各領域における膜厚及び膜質を均一にすることができる。
【0014】
また、本発明の場合、蒸気放出器の複数の蒸気拡散部が、複数の蒸発源から蒸発材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離されていることから、異なる蒸発材料(例えば、ドーパント材料とホスト材料、光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発材料)を用いて同時に成膜を行う場合であっても、各蒸気放出器が相互に汚染されるおそれがない。
【0015】
さらに、本発明によれば、蒸着対象物の相対移動方向に対して交差する方向に配列された複数の蒸気放出口を設けた蒸気混合室を有する所謂リニア方式の蒸気放出器を備えることから、インライン方式の真空システムに本発明の蒸着装置を複数設けることにより、有機EL装置の有機層を連続的に形成する量産装置を提供することができる。
【0016】
さらにまた、本発明において、複数の蒸発源が、前記蒸気放出器に対して供給する蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段(例えばバルブ)をそれぞれ有する場合には、この蒸気量制御手段の制御(例えばバルブの切り換え)を行うことにより、光の三原色の蒸気を用いてフルカラーや白色の有機層を形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大面積の成膜対象物に対して膜厚及び膜質が均一の膜を形成することができ、また、異なる蒸発材料を用いて同時に成膜を行う場合において、各蒸気放出器が相互に汚染されるおそれのない蒸着技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る蒸着装置を用いた有機EL製造装置の全体構成を示す概略構成平面図
【図2】(a):同蒸着装置の内部構成を示す断面図(b):同蒸着装置のリニア蒸気放出器の本体部の内部構成を示す概略構成図
【図3】(a)(b):本発明に用いるリニア蒸気放出器の他の例を示す図
【図4】本発明の他の実施の形態の蒸着装置の内部構成を示す断面図
【図5】(a):従来技術に係る有機蒸着装置の概略構成図で、内部構成を示す断面図(b):蒸発源及び面蒸発器の構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る蒸着装置を用いた有機EL製造装置の全体構成を示す概略構成平面図、図2(a)は、同蒸着装置の内部構成を示す断面図、図2(b)は、同蒸着装置のリニア蒸気放出器の本体部の内部構成を示す概略構成図である。以下、上下関係については図2(a)(b)に示す構成に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の有機EL製造装置1は、図示しない真空排気系に接続されたインライン方式の真空槽2を有し、この真空槽2の一端部には、折り返し領域2Aが設けられ、さらに、真空槽2の中央部分には、蒸着領域2Bが設けられている。
ここで、蒸着領域2Bには、図示しない搬送装置が設けられ、基板60を真空槽2の長手方向即ち矢印X方向又はその反対方向へ直線的に搬送するようになっている。
【0021】
そして、蒸着領域2Bには、有機EL装置(図示せず)の有機層を形成するための蒸着装置30を構成するリニア蒸気放出器(蒸気放出器)10が複数設けられている。
真空槽2の蒸着領域2Bは、マスクアライメント(貼り合わせ及び分離)領域2Cを介して搬送室5に接続されている。
【0022】
搬送室5内には、図示しない搬送ロボットが設けられ、それぞれゲートバルブD〜Hを介して搬送室5の周囲に設けられた前処理室6A、電極形成室6B、封止室6C、仕込み取出室6D及び仕込み取出室6Eとの間において基板60及びマスク(図示せず)の受け渡しを行うように構成されている。
【0023】
なお、以上説明した搬送室5、前処理室6A、電極形成室6B、封止室6C、仕込み取出室6D及び仕込み取出室6Eは、それぞれ図示しない真空排気系に接続され、独立して真空排気を行うようになっている。
【0024】
図1又は図2(a)(b)に示すように、本実施の形態のリニア蒸気放出器10は、細長い例えば箱形形状の本体部10Aを有し、この本体部10Aが、基板搬送方向Xに対して交差する方向(本実施の形態では、基板搬送方向Xに対して直交するY方向)に向けて配置されている。
【0025】
リニア蒸気放出器10の本体部10Aは、例えば有機EL装置の有機層を形成するためのホスト材料を拡散するホスト材料拡散部10hと、有機EL装置の有機層を形成するためのドーパント材料を拡散するドーパント材料拡散部10dとを有し、これらホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dとが、後述するように、蒸気混合室41を介して接続されて一体的に構成されている。
【0026】
ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dとは、基本的には同一の構成を有しており、以下、両方の構成を共通のものとして説明する。
リニア蒸気放出器10の本体部10Aは、例えば本体部10A内の下部に設けられた蒸気導入室10Bに供給管7h(7d)が接続され、これら供給管7h、7dを介して所定の有機材料の蒸気を導入するように構成されている。
【0027】
図1に示すように、供給管7h、7dは、例えば蒸着領域2Bの外部に設けられた蒸発源として、ホスト材料用蒸発源8h、ドーパント材料用蒸発源8dにそれぞれ接続されている。
【0028】
本実施の形態の場合、ホスト材料用蒸発源8hは、光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発源として、赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85Bを有し、これら赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85Bは、供給管7hを介してリニア蒸気放出器10に接続されている。
【0029】
また、ドーパント材料用蒸発源8dは、ホスト材料用蒸発源8hと同様に、光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発源として、赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bを有し、これら赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bは、供給管7dを介してリニア蒸気放出器10に接続されている。
【0030】
本実施の形態では、ホスト材料用蒸発源8hの赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85Bと、ドーパント材料用蒸発源8dの赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bとは、同一の構成を有している。
【0031】
ここで、ホスト材料用蒸発源8hの赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85B及びドーパント材料用蒸発源8dの赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bは、図2(a)に示すように、それぞれ蒸発容器84を有し、各蒸発容器84内には、それぞれ所定の有機材料81が収容され、各蒸発容器84の周囲に設けられたヒータ82によって各蒸発容器84が加熱されるようになっている。
【0032】
そして、これら赤色用蒸発源85R(86R)、緑色用蒸発源85G(86G)、青色用蒸発源85B(86B)の各蒸発容器84は、それぞれガス供給源(図示せず)に接続され、このガス供給源から流量が制御されたキャリアガスが供給されるように構成されている。
【0033】
さらに、ホスト材料用蒸発源8hの赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85Bの蒸発容器84と、ドーパント材料用蒸発源8dの赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bとは、それぞれ独立して蒸気の流量を制御可能なバルブ80を介して供給管7h又は7dに接続されている。
【0034】
そして、本実施の形態では、ホスト材料用蒸発源8hの赤色用蒸発源85R、緑色用蒸発源85G、青色用蒸発源85Bのバルブ80と、ドーパント材料用蒸発源8dの赤色用蒸発源86R、緑色用蒸発源86G、青色用蒸発源86Bのバルブ80をそれぞれ切り換えることにより、予め定められた情報に基づいて、光の三原色(R、G、B)の蒸気並びに所定のホスト材料及びドーパント材料をリニア蒸気放出器10の蒸気導入室10Bにそれぞれ供給するように構成されている。
【0035】
一方、供給管7d、7hには、真空槽2内の蒸着領域2Bにおいて、それぞれコンダクタンスの小さい蒸気放出ノズル70が設けられている。
そして、蒸気放出ノズル70の近傍には膜厚センサ71が設けられ、この膜厚センサ71にて検出された結果に基づいて、供給管7d、7hを介して蒸気導入室10Bに供給する有機材料の蒸気の量を制御するように構成されている。
【0036】
一方、本実施の形態のリニア蒸気放出器10は、上述した蒸気導入室10Bの基板60側の部分に、複数段(本例では3段)の第1〜第3の拡散室11、21、31がこの順序で設けられている。
【0037】
また、以下に説明するように、本実施の形態においては、蒸発材料の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加する数の第1〜第4連通口12、22、32、42が設けられている。
第1の拡散室11は、蒸気導入室10Bより容積が大きくなるように構成され、その底部に設けられた一つの第1連通口12を介して蒸気導入室10Bに接続されている。
【0038】
この第1連通口12は、第2の拡散室21の天井部分と対向するように、その位置が設定されており、これにより蒸発材料の蒸気が第2の拡散室21の天井部分に衝突して蒸発材料の蒸気の拡散が促進されるように構成されている(図2(b)においては、理解を容易にするため、第1連通口12及び第2連通口22の位置が重なるように描かれている)。
第1の拡散室11は、その天井部分(第2の拡散室21の底部)に設けられた二つの第2連通口22を介して第2の拡散室21に接続されている。
【0039】
本発明の場合、特に限定されることはないが、ガス逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第2連通口22のそれぞれの面積の和が、第1連通口12の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
【0040】
更には、ガス流を均等に分配する観点からは、同一段における連通口の面積並びに形状を同一にすること、本実施の形態では第1〜第3連通口12〜32の面積並びに形状を同一にすることがより好ましい。
【0041】
また、第2連通口22は、第3の拡散室31の天井部分と対向するように、その位置が設定されており、これにより蒸発材料の蒸気が第3の拡散室31の天井部分に衝突して蒸発材料の蒸気の拡散が促進されるように構成されている(図2(b)においては、理解を容易にするため、第2連通口22及び第3連通口32の位置が重なるように描かれている)。
【0042】
さらに、本実施の形態においては、二つの隔壁部21aによって第2の拡散室21が二つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が違いに隔離されている。これら隔壁部21aは蒸発材料の粒子が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
【0043】
なお、本発明の場合、隔壁部21aを設ける位置は特に限定されることはないが、蒸発材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部21aによって隔離される第2の拡散室21の各領域の容積及び蒸発材料の蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
第2の拡散室21は、その天井部分(第3の拡散室31の底部)に設けられた四つの第3連通口32を介して第3の拡散室31に接続されている。
【0044】
本発明の場合、特に限定されることはないが、ガス逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第3連通口32のそれぞれの面積の和が、上述した第2連通口22の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
【0045】
また、第3連通口32は、第3の拡散室31の天井部分と対向するように、その位置が設定されており、これにより蒸発材料の蒸気が第3の拡散室31の天井部分に衝突して蒸発材料の蒸気の拡散が促進されるように構成されている(図2(b)においては、理解を容易にするため、第3連通口32及び第4連通口42の位置が重なるように描かれている)。
【0046】
また、本実施の形態においては、第3の拡散室31が例えば六つの隔壁部31aによって四つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が違いに隔離されている。これらの仕切り板は蒸発材料の粒子が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
【0047】
なお、本発明の場合、隔壁部31aを設ける位置は特に限定されることはないが、蒸発材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部31aによって仕切られる第3の拡散室31の各領域の容積及び蒸発材料の蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
【0048】
さらに、第3の拡散室31の基板60側の部分には、蒸気混合室41が設けられている。
そして、図2(a)(b)に示すように、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dの第3の拡散室31は、その天井部分(蒸気混合室41の底部)に設けられた八つの第4連通口42を介して蒸気混合室41に接続されている。
【0049】
本発明の場合、特に限定されることはないが、ガス逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第4連通口42のそれぞれの面積の和が、上述した第3連通口32の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
【0050】
また、第4連通口42は、蒸気混合室41の天井部分と対向するように、その位置が設定されており、これにより蒸発材料の蒸気が蒸気混合室41の天井部分に衝突して蒸発材料の蒸気の拡散が促進されるように構成されている。
【0051】
また、本実施の形態においては、第3の拡散室31が七つの隔壁部41aによって八つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が違いに隔離されている。これらの仕切り板は蒸発材料の粒子が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
【0052】
なお、本発明の場合、隔壁部41aを設ける位置は特に限定されることはないが、蒸発材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部41aによって仕切られる蒸気混合室41の各領域の容積及び蒸発材料の蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
【0053】
蒸気混合室41の上部には、蒸発材料の蒸気を基板60に向って放出するための蒸気放出ノズル(蒸気放出口)52が複数設けられている。
これらの蒸気放出ノズル52は、蒸気混合室41の各領域において、基板60に対向する位置に所定の間隔でY方向に沿って配置されている。
【0054】
本発明の場合、蒸気放出口である蒸気放出ノズル52の間隔は特に限定されることはないが、膜厚の均一性を確保する観点からは、等間隔で設けることが好ましい。
また、蒸気混合室41の上部分には、加熱用のヒータ53が複数設けられ、さらに、これらヒータ53の上部には、熱輻射防止板54が設けられている。
【0055】
このような構成を有する本実施の形態において基板60上に有機蒸着膜を形成する場合には、まず、例えば仕込み取出室6Eを介して蒸着対象物である例えばガラスからなる基板60を搬送室5内に搬入し、前処理室6Aにおいて所定の前処理を行った後に、基板60を真空槽2のマスクアライメント領域2Cに搬入して基板60とマスク(図示せず)の位置合わせを行う。
【0056】
その後、真空槽2内を所定の圧力にした状態で、ホスト材料用蒸発源8h及びドーパント材料用蒸発源8dのそれぞれのヒータ82を加熱して各蒸発容器84内の蒸発材料を気化し、バルブ80をそれぞれ開放することにより、供給管7h、7dを介して所定の光の三原色のホスト材料及びドーパント材料の蒸気を、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dの蒸気導入室10B内にそれぞれ導入する。
【0057】
そして、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dの蒸気導入室10Bの蒸発材料の蒸気は、上述した第1〜第3の拡散室11〜31の第1〜第3連通口12〜32を通過して拡散された後、第4連通口42を通過して蒸気混合室41内に導入され、この蒸気混合室41内において、光の三原色のホスト材料及びドーパント材料の蒸気が混合される。
その後、時間の経過に伴い十分に混合された蒸発材料の蒸気は、蒸気混合室41の蒸気放出ノズル52から基板60に向って放出される。
【0058】
この状態で、真空槽2内のマスクアライメント領域2Cに配置した基板60を折り返し領域2Aに向って移動させ、複数のリニア蒸気放出器10の上方を通過させる。これにより、基板60上に白色の有機蒸着膜(図示せず)が形成される。
その後、赤色用蒸発源85R,86R、緑色用蒸発源85G,86G、青色用蒸発源85B,86Bのバルブ80をそれぞれ閉じた状態で、基板60を折り返し領域2Aからマスクアライメント領域2Cまで戻す。
【0059】
そして、再度、基板60を折り返し領域2Aに向って移動させ、複数のリニア蒸気放出器10の上方を通過させることにより、基板60上に白色の有機蒸着膜を形成する。
その後、各バルブ80を閉じた状態で、基板60を折り返し領域2Aからマスクアライメント領域2Cまで戻す。
以上の成膜工程を2回以上行うことにより、例えば白色照明等に利用可能な複数の膜が積層されたタンデム構造の有機薄膜を基板60上に形成することができる。
【0060】
一方、基板上に光の三原色の有機薄膜を形成する場合には、例えば赤色用蒸発源85R,86Rのバルブ80をそれぞれ開放することにより、赤色の蒸発材料の蒸気をリニア蒸気放出器10に供給する。
そして、真空槽2内のマスクアライメント領域2Cに配置した基板60を折り返し領域2Aに向って移動させ、複数のリニア蒸気放出器10の上方を通過させる。これにより、基板60上に赤色の有機蒸着膜が形成される。
さらに、赤色用蒸発源85R,86Rのバルブ80をそれぞれ閉じ、基板60を折り返し領域2Aからマスクアライメント領域2Cまで戻す。
【0061】
次に、例えば緑色用蒸発源85G,86Gのバルブ80をそれぞれ開放することにより、緑色の蒸発材料の蒸気をリニア蒸気放出器10に供給する。
そして、真空槽2内のマスクアライメント領域2Cに配置した基板60を折り返し領域2Aに向って移動させ、複数のリニア蒸気放出器10の上方を通過させることにより、基板60上に緑色の有機蒸着膜を形成する。
さらに、緑色用蒸発源85G,86Gのバルブ80をそれぞれ閉じ、基板60を折り返し領域2Aからマスクアライメント領域2Cまで戻す。
【0062】
最後に、青色用蒸発源85B,86Bのバルブ80をそれぞれ開放することにより、青色の蒸発材料の蒸気をリニア蒸気放出器10に供給する。
そして、真空槽2内のマスクアライメント領域2Cに配置した基板60を折り返し領域2Aに向って移動させ、複数のリニア蒸気放出器10の上方を通過させることにより、基板60上に青色の有機蒸着膜を形成する。
さらに、青色用蒸発源85B,86Bのバルブ80をそれぞれ閉じ、基板60を折り返し領域2Aからマスクアライメント領域2Cまで戻す。
上述した成膜工程により、光の三原色である赤色、緑色、青色の有機薄膜が基板60上に形成される。
【0063】
以上述べたように本実施の形態においては、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dが、蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた第1〜第3の拡散室11〜31をそれぞれ有するとともに、第1〜第3の拡散室11〜31は、互いに隣接する拡散室が蒸発材料の蒸気が通過可能な第1〜第4連通口12〜42を介して接続され、さらに、最終段である第3の拡散室31が、第4連通口42を介してそれぞれ蒸気混合室41に接続されていることから、蒸発材料であるホスト材料とドーパント材料の蒸気、特に光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発材料を確実に拡散した後に、蒸気混合室41において各蒸発材料の蒸気を確実に混合することができ、これにより例えば大型基板に対して蒸着を行う場合に当該基板上の各領域における膜厚及び膜質を均一にすることができる。
【0064】
また、本実施の形態では、リニア蒸気放出器10のホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dが、ホスト材料用蒸発源8h及びドーパント材料用蒸発源8dから蒸発材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離されていることから、有機EL装置用のホスト材料とドーパント材料を用いて同時に成膜を行う場合であっても、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dが相互に汚染されるおそれがない。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、リニア蒸気放出器10を備えることから、インライン方式の真空システムに本発明の蒸着装置30を複数設けることにより、有機EL装置の有機層を連続的に形成する量産装置を提供することができる。
【0066】
さらにまた、本実施の形態においては、ホスト材料用蒸発源8h及びドーパント材料用蒸発源8dが、リニア蒸気放出器10に対して供給する蒸気の量を独立して制御するバルブ80をそれぞれ有することから、このバルブ80の切り換えを行うことにより、光の三原色の蒸気を用いてフルカラーや白色の有機層を形成することができる。
【0067】
特に、本実施の形態では、成膜の際にリニア蒸気放出器10に対して基板60を複数回移動させるようにしたことから、装置を大型化することなくフルカラーやタンデム型の白色の有機層を形成することができる。
【0068】
図3(a)(b)は、本発明に用いるリニア蒸気放出器の他の例を示す図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0069】
図3(a)(b)に示すように、本例のリニア蒸気放出器15は、本体部10Aの第1〜第3の拡散室11〜31及び蒸気混合室41において、隔壁部を設けないものであり、その他の構成は上述したリニア蒸気放出器10と同一の構成を有している。
【0070】
本例のリニア蒸気放出器15によれば、より構成が簡素でコストを抑えることができる。
ただし、蒸発材料の蒸気をより均一に拡散及び混合を行う観点からは、上述したリニア蒸気放出器10のように、本体部10Aの第1〜第3の拡散室11〜31及び蒸気混合室41に隔壁部を設けることが好ましい。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0071】
図4は、本発明の他の実施の形態の蒸着装置の内部構成を示す断面図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、本実施の形態の蒸着装置31は、横置きにしたリニア蒸気放出器を有するものである。
【0072】
すなわち、本実施の形態のリニア蒸気放出器10の本体部10Aは、基板60に向かう方向にこの順序で配設されたホスト材料用蒸発源8h、ドーパント材料用蒸発源8dを有しており、それぞれ上述した蒸気導入室10B、第1〜第3の拡散室11〜31及び蒸気混合室41が、基板搬送方向Xに沿って設けられ一体的に構成されている。
【0073】
また、蒸気導入室10B、第1〜第3の拡散室11〜31及び蒸気混合室41は、上述した第1〜第4連通口12〜42によって接続されている。
そして、ホスト材料用蒸発源8h及びドーパント材料用蒸発源8dの蒸気導入室10Bに供給管7がそれぞれ接続され、各供給管7は、例えば真空槽2の蒸着領域2Bの外部に設けられたホスト材料用蒸発源8h、ドーパント材料用蒸発源8dにバルブ80を介してそれぞれ接続されている。
【0074】
一方、本実施の形態においては、蒸気混合室41の上側即ち基板60側の部分に複数の蒸気放出ノズル52が設けられている。これら複数の蒸気放出ノズル52は、基板の移動方向と交差する方向、例えば、基板の移動方向と直交する方向(Y方向)に配列されている。
また、本実施の形態においては、本体部10Aの周囲に複数のヒータ17が設けられている。
【0075】
このような構成を有する本実施の形態によれば、蒸気導入室10B及び第1〜第3の拡散室11〜31が基板60の移動方向である水平方向に設けられているので、リニア蒸気放出器10の高さ(基板60に向かう方向の長さ)を上記実施の形態と比較して低くすることができる。その結果、拡散室を増加した場合であっても、真空槽2の蒸着領域が大型化することがないというメリットがある。
【0076】
また、本実施の形態においては、ホスト材料拡散部10hとドーパント材料拡散部10dをヒータ17によって個別に加熱することができるので、各蒸発材料の蒸気に対してより最適の条件で蒸気の拡散を行うことができる。
その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0077】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態においては、拡散室を三つ設ける場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、複数であれば、蒸気放出室の数は任意に設定することができる。
【0078】
また、拡散室及び蒸気混合室に設ける連通口の数は上記実施の形態のものには限られず、適宜変更することができる。
ただし、蒸発材料の蒸気を確実に拡散する観点からは、蒸気混合室の底部に8個以上の連通口を設けることが好ましい。
【0079】
さらに、上記実施の形態ではリニア蒸気放出器の本体部に隔壁部を設けることによって複数の領域を設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、ボックス状の部材を用いて各領域を個別に設けることも可能である。
さらに、真空槽の外部に設ける蒸発源の数は上記実施の形態のものには限られず、各蒸気放出室にそれぞれ蒸発材料を導入できる限り、任意に設定することができる。
【0080】
一方、本発明は有機EL装置の有機層を形成するための光の三原色のホスト材料とドーパント材料のみならず、例えば、複数の蒸発源に設けられたバルブを切り換えることにより、異なるホスト材料又はドーパント材料を用いて共蒸着を行う場合にも適用することができる。
また、本発明は、例えば異なる蒸発材料を用いる蒸着重合用の装置や、例えば、LiF(フッ化リチウム)等の金属材料や無機材料を蒸着する装置に適用することもできる。
【0081】
さらにまた、上記実施の形態では、蒸着対象物を移動させる場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、リニア蒸気放出器を移動させることもできる。
以上述べたように、本発明は、特に大型の蒸着対象物に対する蒸着に適用する場合により効果的となるものである。
【符号の説明】
【0082】
1…有機EL製造装置
2…真空槽
2B…蒸着領域
8h…ホスト材料用蒸発源
8d…ドーパント材料用蒸発源
9…ヒータ
10…リニア蒸気放出器(蒸気放出器)
10A…本体部
10B…蒸気導入室
10h…ホスト材料拡散部
10d…ドーパント材料拡散部
11…第1の拡散室
12…第1連通口
21…第2の拡散室
21a…隔壁部
22…第2連通口
30…蒸着装置
31…第3の拡散室
31a…隔壁部
32…第3連通口
41…蒸気混合室
41a…隔壁部
42…第4連通口
52…蒸気放出ノズル(蒸気放出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着対象物が配置される真空槽と、
前記真空槽の外部に設けられた複数の蒸発源と、
前記蒸着対象物に対して相対移動可能に設けられ、前記複数の蒸発源から供給された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するための蒸気放出器とを備え、
前記蒸気放出器は、前記蒸発源から前記蒸発材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離された複数の蒸気拡散部と、当該複数の蒸気拡散部において拡散された蒸発材料の蒸気を混合する蒸気混合室とを有し、
前記複数の蒸気拡散部は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室をそれぞれ有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が前記蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、さらに、当該複数の拡散室のうち最終段の拡散室が、前記蒸発材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ前記蒸気混合室に接続され、
前記蒸気混合室には、前記蒸着対象物の相対移動方向に対して交差する方向に配列された複数の蒸気放出口が設けられている蒸着装置。
【請求項2】
前記複数の蒸気拡散部の複数の拡散室には、互いの雰囲気を隔離するための隔壁部が設けられている請求項1記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の導入側から放出側に向って数が増加するように構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記複数の蒸気拡散部の連通口は、前記蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向ってそれぞれの連通口の面積の和が小さくなるように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記複数の蒸発源は、前記蒸気放出器に対して供給する蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段をそれぞれ有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記複数の蒸発源は、ホスト材料用の蒸発容器を有するホスト材料用蒸発源と、ドーパント材料用の蒸発容器を有するドーパント材料用蒸発源とを備える請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記複数の蒸発源は、光の三原色の蒸気を発生させるための複数の蒸発源を備え、当該複数の蒸発源から前記蒸気放出器に供給する蒸気の量を独立して制御するように構成されている請求項6又は7のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項記載の蒸着装置を用いて蒸着対象物上に有機薄膜を形成する蒸着方法であって、
当該蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するための有機材料を用いる蒸着方法。
【請求項10】
前記蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するためのホスト材料とドーパント材料を用いる請求項9記載の蒸着方法。
【請求項11】
前記蒸発材料として、光の三原色の蒸気を発生させるための蒸発材料を用いる請求項9又は10のいずれか1項記載の蒸着方法。
【請求項12】
光の三原色の蒸発材料の蒸気を前記蒸気放出器に供給して混合し、当該蒸気放出器から放出された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するとともに前記成膜対象物を当該蒸気放出器に対して複数回移動させることにより、当該成膜対象物上に白色のタンデム構造の有機薄膜を積層形成する工程を有する請求項9乃至11のいずれか1項記載の蒸着方法。
【請求項13】
光の三原色の蒸気を切り換えて発生可能な複数の蒸発源を備えた蒸着装置を用い、
当該光の三原色の各色の蒸発材料の蒸気を前記蒸気放出器に供給して混合し、当該蒸気放出器から放出された蒸発材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するとともに前記成膜対象物を当該蒸気放出器に対して少なくとも3回移動させることにより、当該成膜対象物上にフルカラーの有機薄膜を形成する工程を有する請求項9乃至11のいずれか1項記載の蒸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−21209(P2012−21209A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161679(P2010−161679)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】