説明

薄膜トランジスタの製造方法、この方法によって製造された薄膜トランジスタ、及びこの薄膜トランジスタを含む表示装置

【課題】本発明によれば、有機半導体層のパターン精密度を改善しながら、パターニング工程を単純化することができる。
【解決手段】基板上に有機絶縁膜を形成し、有機絶縁膜に、第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部上に形成される第3凹部と、を含むバンクを形成し、第1及び第2凹部にソース電極及びドレイン電極を形成し、第3凹部にソース電極及びドレイン電極と接触するアクティブ層を形成する段階を含む、薄膜トランジスタの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜トランジスタに関し、より詳細には、アクティブ層に有機半導体物質を利用する薄膜トランジスタの製造方法、この方法によって製造された薄膜トランジスタ、及びこの薄膜トランジスタを含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置及び液晶表示装置のような表示装置は、体積が大きくて高電圧を必要とする陰極線管とは異なって、厚さが薄くて低電圧で動作する長所があるため、次世代表示装置として幅広く使用されている。
【0003】
特に、有機発光表示装置は、有機物質に正極(アノード)及び負極(カソード)を通じて注入された電子及び正孔が再結合して励起子(エキシトン)を形成し、形成された励起子からのエネルギーによって特定の波長の光が発生する現象を利用した自己発光型表示装置である。したがって、有機発光表示装置は、バックライトのような別途の光源を必要としないので、液晶表示装置に比べて低い消費電力、広い視野角、及び速い応答速度を容易に確保することができる長所があるため、次世代表示装置として注目されている。
【0004】
有機発光表示装置は、駆動方式によって受動駆動型(パッシブマトリクス型)及び能動駆動型(アクティブマトリクス型)に区分されるが、最近は、低い消費電力、高い精細度、速い応答速度、広い視野角、及び薄型化の実現が可能な能動駆動型が主に適用されている。
【0005】
このような能動駆動型有機発光表示装置は、画像表現の基本単位である画素(ピクセル)を行列状に配列し、各画素にスイッチング素子として薄膜トランジスタ(thin−film−transistor;TFT)を配置して、独立的に画素を制御する。
【0006】
一方、最近では、ノートパソコンや小型の携帯用端末器などが広く普及しており、これに適用することができるように、基板材料としてガラスより軽くて柔軟で破損の危険が少ないプラスチックのようなフレキシブル物質を利用するフレキシブル有機発光表示装置の開発が行われている。
【0007】
このようなフレキシブル有機発光表示装置では、スイッチング素子としてアクティブ層にシリコンを使用する通常のTFTの代わりに、有機半導体物質を使用する有機TFT(以下、OTFTとする)を使用するのが有利であり、これは、有機半導体物質は低温工程が可能で、フレキシブル特性を保障することができるためである。
【0008】
OTFTは、通常、基板上に、ゲート絶縁膜を間においてゲート電極及び有機半導体物質からなるアクティブ層が形成され、アクティブ層と接触しながらゲート電極の両側に対応してソース電極及びドレイン電極が互いに離隔して形成された構造からなる。
【0009】
また、OTFTは、アクティブ層を構成する有機半導体物質によって、ペンタセン(pentacene)などのような低分子OTFT、及びポリチオフェン(polythiophene)系列などのような高分子OTFTに区分される。
【0010】
しかし、ペンタセンまたはポリチオフェンのような有機半導体物質は、化学的及び光学的安定性が劣悪で、パターニング工程が複雑で難しい。
【0011】
また、前記有機半導体物質は、パターニング工程を行った後にも優れたパターン精密度を確保するのが難しく、パーティクルが発生する可能性が高いため、隣接する他のOTFTとクロストークを誘発することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような従来の技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、有機半導体層のパターン精密度を改善しながら、パターニング工程を単純化することができる、TFTの製造方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、前記方法によって製造されたTFTを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記TFTを含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は、基板上に有機絶縁膜を形成し、有機絶縁膜に、第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部上に形成される第3凹部と、を含むバンクを形成し、第1及び第2凹部にソース電極及びドレイン電極を形成し、第3凹部にソース電極及びドレイン電極と接触するアクティブ層を形成する段階を含む、薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0016】
ここで、前記バンクは、ハーフトーンマスクを利用して有機絶縁膜を露光し、露光された有機絶縁膜を現像して形成する。
【0017】
また、ソース電極及びドレイン電極は、インクジェット方式によって前記第1及び第2凹部にソース及びドレイン電極物質を塗布し、ソース及びドレイン電極物質が塗布された基板をキュアリングして形成する。
【0018】
また、アクティブ層は、インクジェット方式によって第3凹部に有機半導体物質を塗布し、有機半導体物質が塗布された基板をキュアリングして形成する。
【0019】
また、第1及び第2凹部は、各々の幅が1乃至50μmであり、高さが50乃至500nmであって、前記第1及び第2凹部の間の距離は1乃至100μmであり、第3凹部は、幅が3乃至400μmであり、高さが10乃至1000nmである。
【0020】
前記目的を達成するために、本発明は、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の一面上に形成されたゲート電極と、ゲート絶縁膜の他面上に形成された有機絶縁膜と、有機絶縁膜に埋込まれて形成されたソース電極、ドレイン電極及びアクティブ層と、を含み、有機絶縁膜は、ソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層が各々位置するバンクを含む、薄膜トランジスタを提供する。
【0021】
前記目的を達成するために、本発明は、基板と、基板上に形成された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに電気的に連結される発光素子と、を含み、薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の一面上に形成されたゲート電極と、ゲート絶縁膜の他面上に形成された有機絶縁膜と、有機絶縁膜に埋込まれて形成されたソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層と、を含み、有機絶縁膜は、ソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層が各々位置するバンクを含む、表示装置を提供する。
【0022】
ここで、バンクは、前記ソース電極及びドレイン電極が位置する第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部上に形成されて、前記アクティブ層が位置する第3凹部と、を含む。
【0023】
また、発光素子は、第1電極、有機発光層、及び第2電極が順次に積層された構造からなる。
【0024】
また、基板は、ガラスやプラスチックのような絶縁材質、またはステンレススチールのような金属材質からなる。
【0025】
また、第1及び第2凹部は、各々の幅が1乃至50μmであり、高さが50乃至500nmであって、前記第1及び第2凹部の間の距離は1乃至100μmであり、第3凹部は、幅が3乃至400μmであり、高さが10乃至1000nmである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるTFTの製造方法は、ソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層を形成するための各々のパターニング工程を排除することができるので、工程を単純化することができ、コーヒーステイン現象(coffee stain effect)を防止することができて、パターン精密度が優れているので、TFT間のクロストークを防止することができる。
【0027】
従って、TFTの電気的特性及び信頼性を改善することができ、このようなTFTを備えた表示装置の場合、優れた表示品質を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例をより詳細に説明する。
【0029】
まず、図1A乃至図1F及び図2を参照して、本発明の実施例によるTFTの製造方法を説明する。
【0030】
図1Aを参照すれば、基板110上に有機絶縁膜120を塗布する。基板110は、ガラスやプラスチックのような絶縁材質、またはステンレススチール(stainless steel;SUS)のような金属材質からなり、プラスチックの場合、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone;PES)、ポリエーテルイミド(polyether imide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide;PPS)、ポリアリレート(polyarylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリアクリレート(polyacrylate;PAR)、セルローストリアセテート(cellulose triacetate)、セルロースアセテートプロピオン酸塩(cellulos eacetate propionate;CAP)の中から選択されるいずれか一つを使用することができる。そして、有機絶縁膜120は、ネガティブ型フォトレジストからなることができる。
【0031】
図1Bを参照すれば、ハーフトーン(halftone)マスク210を利用して有機絶縁膜120を露光して現像して、有機絶縁膜120に第1、第2、及び第3凹部121a、121b、122を含むバンク123を形成する。
【0032】
ここで、第1及び第2凹部121a、121bは、後にソース電極及びドレイン電極130a、130b(図1d参照)が位置する領域であって、断面形状が四角形状であることができる。
【0033】
第1及び第2凹部121a、121bの幅W1は、後に塗布されるソース及びドレイン電極物質131a、131b(図1c参照)を流す時、オーバーフロー(overflow)を引き起こさず、高精細素子の実現が可能なように、1μm〜50μmに設定することができる。
【0034】
第1及び第2凹部121a、121bの高さH1は、ソース及びドレイン電極物質131a、131bを流す時、オーバーフローを引き起こさず、第1及び第2凹部121a、121bの内部にソース及びドレイン電極物質131a、131bが均一に満たされるように、50〜500nm、好ましくは200nmに設定することができる。
【0035】
第1及び第2凹部121a、121bの間の距離D1は、実質的なチャンネルの長さであって、1〜100μmであることができる。これは、チャンネルの長さが1μm未満であるとチャンネル漏れが大きくなるか接触抵抗が大きくなり、100μmを超えるとチャンネルを通じて十分に電流が流れないためである。
【0036】
第3凹部122は、後にアクティブ層140(図1f参照)が位置する領域であって、第1及び第2凹部121a、121b上に形成され、断面形状が四角形状であることができる。
【0037】
第3凹部122の幅W2は、第1及び第2凹部121a、121bの幅W1と距離D1に応じて決定されるので、3〜400μmに設定することができる。
【0038】
第3凹凸部122の高さH2は、後に有機半導体物質141(図1e参照)を流す時、オーバーフローを引き起こさず、後続の膜形成工程が容易に行われるように、10〜1000nmに設定することができる。
【0039】
また、ハーフトーンマスク210は、光を完全に遮断する遮光領域211a、211b、光を一部分、一例として1/2程度だけ透過させる部分透光領域212a、212b、212c、及び光を完全に透過させる透光領域213a、213bからなることができる。
【0040】
本実施例でのように、有機絶縁膜120がネガティブ型フォトレジストからなる場合、現象時に露光されない部分が除去されるので、遮光領域211a、211bは第1及び第2凹部121a、121bに対応し、部分透光領域212a、212b、212cは第1及び第2凹部121a、121bを除く第3凹部122に対応し、透光領域213a、213bは第1、第2、及び第3凹部121a、121b、122に対応するようにハーフトーンマスク210を配置して、有機絶縁膜120の露光を行うことができる。
【0041】
一方で、有機絶縁膜120は、ポジティブ型フォトレジストからなることもできる。この場合、本実施例と反対に、現象時に露光された部分が除去されるので、図3に示したように、透光領域221a、221bは第1及び第2凹部121a、121bに対応し、部分透光領域222a、222b、222cは第1及び第2凹部121a、121bを除く第3凹部122に対応し、遮光領域223a、223bは第1、第2、及び第3凹部121a、121b、122に対応するようにハーフトーンマスク220を配置して、有機絶縁膜120の露光を行うことができる。
【0042】
図1Cを参照すれば、インクジェット方式によってバンク123の第1及び第2凹部121a、121bにソース及びドレイン電極物質131a、131bを各々塗布する。
【0043】
ここで、ソース及びドレイン電極物質131a、131bの塗布量は、約1×10−15リットル程度に調節することができるが、このような塗布量はこれに限定されず、第1及び第2凹部121a、121bの幅及び高さによって適切に調節することができる。
【0044】
また、ソース及びドレイン電極物質131a、131bは、ポリエチレンジオキシチオフェン(polyehylene dioxythiophene;PEDOT)、ポリアニリン(poly aniline;PANI)、伝導性高分子、金属ナノ複合体などの伝導性物質からなることができ、金属ナノ複合体は、Agナノ複合体、Cuナノ複合体、Auナノ複合体、Ptナノ複合体の中から選択される物質からなることができる。
【0045】
一方で、ソース及びドレイン電極物質131a、131bは、金属ナノパーティクルまたはカーボンナノパーティクル及び有機バインダーを含む物質をパターン塗布した後で焼成して形成される物質からなることができる。この場合、金属ナノパーティクルは、後に形成されるアクティブ層140を形成する有機半導体物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)値から0.5eVを引いた値より大きな仕事関数値を有し、一例としてAgナノパーティクル、Cuナノパーティクル、Auナノパーティクル、またはPtナノパーティクルからなることができる。
【0046】
その後、紫外線硬化及び熱硬化などのキュアリング(curing)工程を行って、ソース及びドレイン電極物質131a、131bの内部に含まれている溶媒(ソルベント)を蒸発させると同時に、ソース及びドレイン電極物質131a、131bを流す。
【0047】
この時、バンク123によってソース及びドレイン電極物質131a、131bが第1及び第2凹部121a、121b内で均一に流れるので、パターンのエッジ部分が他の部分に比べて厚くなる、いわゆるコーヒーステイン現象(coffee stain effect)が発生しない。
【0048】
その結果、図1Dに示したように、有機絶縁膜120に、バンク123の第1及び第2凹部121a、121bに埋込まれた形態にソース電極及びドレイン電極130a、130bが形成される。
【0049】
図1Eを参照すれば、第3凹部122にインクジェット方式によって有機半導体物質141を塗布する。
【0050】
ここで、有機半導体物質141の塗布量は、約1×10-12リットル程度に調節することができるが、このような塗布量はこれに限定されず、第3凹部122の幅及び高さによって適切に調節することができる。
【0051】
また、有機半導体物質141は、ペンタセン(pentacene)、テトラセン(tetracene)、アントラセン(anthracene)、ナフタレン(naphthalene)、アルファ−6−チオフェン(α−6−thiopene)、アルファ−4−チオフェン(α−4−thiopene)、ペリレン(perylene)及びその誘導体、ルブレン(rubrene)及びその誘導体、コロネン(coronene)及びその誘導体、ペリレンテトラカルボキシリックジイミド(perylene tetracarboxylic diimide)及びその誘導体、ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(perylene tetracarboxylic dianhydride)及びその誘導体、ポリパラペリレンビニレン及びその誘導体、ポリフローレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びこれらの誘導体、アルファ−5−チオフェン(α−5−thiopene)のオリゴアセン及びこれらの誘導体、ピロメリティクジアンハイドライド及びその誘導体、ピロメリティクジイミド及びこれらの誘導体、パリレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド及びその誘導体、フタロシアニン(phthalocyanine)及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボキシリクジイミド(naphthalene tetracarboxylic diimide)及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボキシリクジアンハイドライド(naphthalene tetracarboxylic dianhydride)及びその誘導体、置換または非置換されたチオフェン(thiophene)を含む共役系高分子誘導体、置換されたフルオレン(fluorene)を含む共役系高分子誘導体などからなることができる。
【0052】
その後、紫外線硬化及び熱硬化などのキュアリング工程を行って、有機半導体物質141の内部に含まれている溶媒を蒸発させると同時に、有機半導体物質141を流す。そうすると、図1Fに示したように、有機絶縁膜120に、ソース電極及びドレイン電極130a、130bと接触しながらバンク123の第3凹部122に埋込まれた形態にアクティブ層140が形成される。
【0053】
その後、基板110の全面上にゲート絶縁膜150を形成し、その上にゲート電極物質を蒸着してパターニングして、ゲート電極160を形成することによって、図2のような構造のTFT(T)を形成する。
【0054】
ここで、ゲート絶縁膜150は、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene;BCB)、ポリイミド、ポリビニルフェノール(polyvinylphenol)、パリレン(parylene)のような有機絶縁物質からなることができ、ゲート電極物質は、Ag、Cu、Au、Pt、Mo、MoW、Al、AlNdCr、Al/Crなどからなることができる。
【0055】
このように、本実施例によるTFTの製造方法は、ハーフトーンマスクを利用して有機絶縁膜120内にバンク123を形成し、インクジェット方式によってバンク123にソース電極及びドレイン電極130a、130b、及びアクティブ層140が位置するようにして、これらを有機絶縁膜120に埋込まれた形態に形成する。
【0056】
したがって、ソース電極及びドレイン電極130a、130b、及びアクティブ層140を形成するための各々のパターニング工程を排除することができるので、工程を単純化することができ、コーヒーステイン現象(coffee stain effect)を防止することができて、パターン精密度が優れているので、TFT間のクロストークを防止することができる。
【0057】
一方、本実施例では、ゲート絶縁膜150を間においてアクティブ層140上にゲート電極160が形成されて、アクティブ層140下でソース電極及びドレイン電極130a、130bがアクティブ層140と接触する場合についてのみ説明したが、ゲート電極160の形成位置は本実施例に限定されない。
【0058】
一例として、図4に示したように、ゲート絶縁膜155を間においてアクティブ層145下にゲート電極165が形成されて、アクティブ層145下でソース電極及びドレイン電極135a、135bがアクティブ層145と接触する場合にも、有機絶縁膜125に埋込まれた形態にソース電極及びドレイン電極135a、135b、及びアクティブ層145を各々形成することができる。
【0059】
次に、図5を参照して、前記本発明の一実施例によるTFTを含む表示装置を説明する。本実施例では、表示装置の一例として有機発光表示装置について説明し、図5の図2と同一な構成要素については同一な図面符号を付けて、これに対する詳細な説明は省略する。
【0060】
図5を参照すれば、基板110上に駆動素子として図2のTFT(T)が形成され、その上に平坦化膜170を間において薄膜トランジスタ(T)の一部と電気的に連結される発光素子(L)が形成されて、画素を構成する。
【0061】
基板110は、ガラスやプラスチックのような絶縁材質、またはステンレススチール(stainless steel;SUS)のような金属材質からなり、プラスチックの場合、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphtahlate;PEN)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone;PES)、ポリエーテルイミド(polyether imide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide;PPS)、ポリアリレート(polyallyate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリアクリレート(polyacrylate;PAR)、セルローストリアセテート(cellulose triacetate)、セルロースアセテートプロピオン酸塩(cellulose acetate propionate;CAP)の中から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0062】
発光素子(L)は、第1電極310、有機発光層330、及び第2電極340が順次に積層された構造からなり、平坦化膜170及びゲート絶縁膜150に形成されたビアホール151、171を通じて薄膜トランジスタ(T)の一部、一例としてドレイン電極130bと電気的に連結される。第1電極310は、画素定義膜320によって隣接する画素の第1電極(図示せず)と電気的に分離されながら、画素定義膜320に形成された開口部321を通じて有機発光層330と接触する。
【0063】
第1電極310及び第2電極340は、各々ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、Al、Mg−Ag、Ca、Ca/Ag、Baのうちの一つ、またはそれ以上の物質からなることができる。
【0064】
有機発光層330は、コッパーフタロシアニン(copper phthalocyanine;CuPc)、N,N´−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N´−ジフェニル−ベンジディン(N,N´−Di(naphthalene−1−yl)−N,N´−diphenyl−benzidine;NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(tris−8−hydroxyquinoline aluminum;Alq3)などのような低分子有機物からなることもでき、高分子有機物からなることができる。
【0065】
一例として、有機発光層330が低分子有機物からなる場合、ホール注入層(Hole Injection layer;HIL)、ホール輸送層(Hole Transport Layer;HTL)、発光層(Emitting Layer;EML)、及び電子輸送層(Electron Transport Layer;ETL)を含む多層構造からなることができる。
【0066】
また、有機発光層330が高分子有機物からなる場合、ホール輸送層(Hole Transport Layer;HTL)及び発光層(Emitting Layer;EML)を含むことができ、この時、HTLはPEDOT物質からなり、EMLはポリ−フェニレンビニレン(Poly−Phenylenevinylene;PPV)系またはポリフルオレン(Polyfluorene)系物質からなる。
【0067】
一方、図示しなかったが、前記画素は、基板110上にマトリックス形態に配列されて、実際に発光及び表示が行われる表示部を構成し、このような表示部は、封止基板によって封止されて保護されることができる。
【0068】
本実施例では、図2のTFT(T)が有機発光表示装置の駆動素子に適用される場合についてのみ説明したが、液晶表示装置などの他の表示装置の駆動素子にも適用される。
【0069】
前記では、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1A】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図1B】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図1C】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図1D】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図1E】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図1F】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の他の実施例による薄膜トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明の他の実施例による薄膜トランジスタを示した断面図である。
【図5】本発明の一実施例による薄膜トランジスタを含む表示装置を示した断面図である。
【符号の説明】
【0071】
110 基板
120 有機絶縁膜
121a 第1凹部
121b 第2凹部
122 第3凹部
130a ソース電極
130b ドレイン電極
131a ソース電極物質
131b ドレイン電極物質
140 アクティブ層
141 有機半導体物質
150 ゲート絶縁膜
151、171 ビアホール
160 ゲート電極
170 平坦化膜
210 ハーフトーンマスク
310 第1電極
320 画素定義膜
321 開口部
330 有機発光層
340 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の一面上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート絶縁膜の他面上に形成された有機絶縁膜と、
前記有機絶縁膜に埋込まれて形成されたソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層と、を含み、
前記有機絶縁膜は、前記ソース電極、ドレイン電極、及び前記アクティブ層が各々位置するバンクを含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記バンクは、前記ソース電極及びドレイン電極が位置する第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部との上に形成されて、前記アクティブ層が位置する第3凹部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記有機絶縁膜は、ネガティブ型フォトレジストまたはポジティブ型フォトレジストからなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記アクティブ層は、有機半導体物質からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記第1及び第2凹部は、各々の幅が1乃至50μmであり、高さが50乃至500nmであって、
前記第1及び第2凹部の間の距離は1乃至100μmであり、
前記第3凹部は、幅が3乃至400μmであり、高さが10乃至1000nmであることを特徴とする請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
基板上に有機絶縁膜を形成し、
前記有機絶縁膜に、第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部上に形成される第3凹部と、を含むバンクを形成し、
前記第1及び第2凹部にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記第3凹部に前記ソース電極及びドレイン電極と接触するアクティブ層を形成する段階を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記バンクは、ハーフトーンマスクを利用して前記有機絶縁膜を露光し、前記露光された有機絶縁膜を現像して形成することを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記有機絶縁膜は、ネガティブ型フォトレジストまたはポジティブ型フォトレジストからなることを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記ソース電極及びドレイン電極は、
インクジェット方式によって前記第1及び第2凹部にソース及びドレイン電極物質を塗布し、
前記ソース及びドレイン電極物質が塗布された基板をキュアリングして形成することを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記ソース及びドレイン電極物質は、
ポリエチレンジオキシチオフェン(polyehylene dioxythiophene;PEDOT)、ポリアニリン(polyaniline;PANI)、導電性高分子、Agナノ複合体、Cuナノ複合体、Auナノ複合体、Ptナノ複合体の中から選択される物質、または、
前記アクティブ層を構成する物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)値から0.5eVを引いた値より大きな仕事関数値を有する金属ナノパーティクルまたはカーボンナノパーティクル及び有機バインダーを含む物質をパターン塗布した後に焼成して形成される物質を含み、
前記金属ナノパーティクルは、Agナノパーティクル、Cuナノパーティクル、Auナノパーティクル、及びPtナノパーティクルのうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記アクティブ層は、インクジェット方式によって第3凹部に有機半導体物質を塗布し、前記有機半導体物質が塗布された基板をキュアリングして形成することを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記有機半導体物質は、
ペンタセン(pentacene)、テトラセン(tetracene)、アントラセン(anthracene)、ナフタレン(naphthalene)、アルファ−6−チオフェン(α−6−thiopene)、アルファ−4−チオフェン(α−4−thiopene)、ペリレン(perylene)及びその誘導体、ルブレン(rubrene)及びその誘導体、コロネン(coronene)及びその誘導体、ペリレンテトラカルボキシリックジイミド(perylene tetracarboxylic diimide)及びその誘導体、ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(perylene tetracarboxylic dianhydride)及びその誘導体、ポリパラペリレンビニレン及びその誘導体、ポリフローレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びこれらの誘導体、アルファ−5−チオフェン(α−5−thiopene)のオリゴアセン及びこれらの誘導体、ピロメリティクジアンハイドライド及びその誘導体、ピロメリティクジイミド及びこれらの誘導体、パリレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド及びその誘導体、フタロシアニン(phthalocyanine)及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボキシリックジイミド(naphthalene tetracarboxylic diimide)及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(naphthalene tetracarboxylic dianhydride)及びその誘導体、置換または非置換されたチオフェン(thiophene)を含む共役系高分子誘導体、置換されたフルオレン(fluorene)を含む共役系高分子誘導体のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記第1及び第2凹部は、各々の幅が各々1乃至50μmであり、高さが50乃至500nmであって、
前記第1及び第2凹部の間の距離は1乃至100μmであり、
前記第3凹部は、幅が3乃至400μmであり、高さが10乃至1000nmであるように形成することを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板上に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタに電気的に連結される発光素子と、を含み、
前記薄膜トランジスタは、
ゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の一面上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート絶縁膜の他面上に形成された有機絶縁膜と、
前記有機絶縁膜に埋込まれて形成されたソース電極、ドレイン電極、及びアクティブ層と、を含み、
前記有機絶縁膜は、前記ソース電極、ドレイン電極、及び前記アクティブ層が各々位置するバンクを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記バンクは、前記ソース電極及びドレイン電極が位置する第1及び第2凹部と、前記第1及び第2凹部上に形成されて、前記アクティブ層が位置する第3凹部と、を含むことを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記有機絶縁膜は、ネガティブ型フォトレジストまたはポジティブ型フォトレジストからなることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記アクティブ層は、有機半導体物質からなることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1及び第2凹部は、各々の幅が1乃至50μmであり、高さが50乃至500nmであって、
前記第1及び第2凹部の間の距離は1乃至100μmであり、
前記第3凹部は、幅が3乃至400μmであり、高さが10乃至1000nmであることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項19】
前記発光素子は、第1電極、有機発光層、及び第2電極が順次に積層された構造からなることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項20】
前記基板は、ガラスやプラスチックのような絶縁材質、またはステンレススチールのような金属材質からなることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−245582(P2006−245582A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53545(P2006−53545)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】