説明

薬液供給装置および薬液供給方法

【課題】スラリーのような固形分を含んだ薬液であっても、生産に寄与しない使用を抑え且つ効率よく供給できる薬液供給装置および薬液供給方法を提供する。
【解決手段】本発明の薬液供給装置は、順次に交換して設置される先後のドラム1,2などから希釈・供給ユニット6への薬液受入量と、この希釈・供給ユニット6の薬液を生産設備8へ供給する薬液供給量とを基に、制御ユニット20により、現ドラム1(あるいは2)と生産設備8との間の全薬液中における先の薬液容器からの薬液の残存率を演算するとともに、この演算値が前記先の薬液の残存率について予め決めた閾値以下となるようにドレインバルブ13を通じて薬液ドレイン量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置などに薬液を供給するための薬液供給装置および薬液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、種々の薬液が使用されている。薬液を半導体製造装置などに供給するための従来の薬液供給装置を図8に示す。薬液の入ったドラム1,2をセットするチャージユニット3と、希釈槽4および供給槽5を有する希釈・供給ユニット6と、供給ライン7とから構成されていて、チャージユニット3の薬液を希釈・供給ユニット6の希釈槽4に移送し、必要に応じて希釈し添加剤を添加したうえで、供給槽5へ移送し、供給ライン7を通じて半導体製造装置などの生産設備8へ供給する。
【0003】
図中の9,10,11,12は、薬液を循環あるいは次ユニットへ供給するためのポンプであり、13は供給ライン7からのドレインライン14に配置されたドレインバルブである。ドラム1,2と希釈槽4と供給槽5との間の移送は、希釈槽4や供給槽5内の薬液量が予め設定した下限を下回ったときに補充を指令することで、前段のドラム1,2あるいは希釈槽4より一定量が補充される仕組みである。チャージユニット3においては、薬液のデリバリー形態により、図示したドラム1,2(100kg,200kg,1m3など)に代えて、ローリーチャージの受け入れ槽なども設けられる。また薬液を移送する手段としては、図示したポンプ9,10に代えて、N圧送も用いられる。
【0004】
時間経過に伴って成分が変化する薬液については、図9に示すような薬液供給装置が提案されている。ボトル31からの薬液は、貯蔵タンク32を経て添加調整部33に送液され、この添加調整部33で純水により希釈されるとともに、薬液の劣化度に応じた量の改質剤が添加量制御部34より添加された後、ノズル35より基板36上に供給される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−147448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の半導体装置の微細化に対応して、半導体装置製造に使用される薬液は多様化している。薬液のなかには、上述の特許文献1に記載されたように、その製造後に反応が進んで成分が変化し、プロセス性能への影響を及ぼすものもある。
【0007】
成分変化が把握でき、劣化度合いに応じて改質剤などの添加により薬液特性が維持できる薬液であれば、特許文献1の方法は有効であるが、一旦化学反応が進んだ後は元の状態に戻せない薬液には適用できない。薬液成分の全ては公表されておらず、使用者側で劣化を防止もしくは改善することができない場合も多い。
【0008】
薬液の調製、つまり化学反応を起こす材料の調合を使用者側の設備で実施するようにしても、調合直後から薬液特性の変化が始まるため、使用期限の問題は依然として存在する。直前混合方式も考えられるが、改質剤自体がメーカーから開示されていない場合には実施不可能である。
【0009】
以上の状況で、この種の薬液は使用期限が短く設定されている。CMPで用いるスラリーなどでは、スラリー製造後の使用期限が1ヶ月以内のものもある。かかるスラリーを用いる場合、ある一定期間毎に、残量の廃棄、配管の洗浄、新規スラリーへの入れ替えが必要であり、生産に寄与しないスラリーを大量に使用することになる。また配管洗浄後にCMP装置の品質確認などを実施する必要があるため、全台が停止し、生産が停滞する。
【0010】
これを避けるために、スラリーの供給タンクを複数個用意し、使用期限までの残日数の長い新しいスラリーの供給タンクへと切り替えていくことが考えられる。しかし結局、古いスラリーは廃棄され、新規なスラリーを投入する際にはタンク洗浄用のスラリーが必要となる。
【0011】
複数の供給タンク、配管を切り替えることでスラリーを使い切る方法を取ることも考えられる。しかしその場合、供給タンクの壁面、配管の内壁が空気にさらされる時間が長期化し、スラリーが固着し、該スラリーは砥粒などの固形分を含んでいることから、研磨プロセスにおけるスクラッチなどの品質異常を引き起こす可能性があるため、そのまま新規なスラリーを投入することはできない。つまり、スラリーのような固形分を含んだ薬液は、常時循環する状態に保ち、継続して使用する必要がある。
【0012】
本発明は上記問題を解決するもので、スラリーのような固形分を含んだ薬液であっても、生産に寄与しない使用を抑え且つ効率よく供給できる薬液供給装置および薬液供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の薬液供給装置は、順次に交換して設置される先後の薬液容器からの薬液を受入れ、該薬液の性状に応じた希釈液や改質剤を添加する薬液調整部と、前記薬液調整部の薬液を生産設備へ供給する供給配管系と、前記供給配管系に弁装置を介して連通したドレイン配管と、現薬液容器からの薬液受入量と前記生産設備への薬液供給量と前記ドレイン配管の薬液ドレイン量をそれぞれ測定する測定器と、前記弁装置および前記測定器に接続した制御装置とを備え、前記制御装置により、前記薬液受入量および前記薬液供給量の測定値を基に、現薬液容器と前記生産設備との間の全薬液中における先の薬液容器からの薬液の残存率を演算するとともに、この演算値が前記先の薬液の残存率について予め決めた閾値以下となるように前記弁装置を通じて前記薬液ドレイン量を制御することを特徴とする。
【0014】
前記制御装置はさらに、各薬液容器の薬液の使用期限が入力され、単位時間あたりの薬液供給量の下限が設定されたときに、現薬液容器の薬液の使用期限までの期間内に、現薬液容器からの薬液の残存率が予め決めた閾値以下となるように送液し、単位時間あたりの薬液供給量の実測値が前記下限値を下回ったときに強制的ドレインを実施するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
前記制御装置はさらに、各薬液容器の薬液の使用期限が入力され、単位時間あたりの薬液供給量の下限が設定されたときに、現薬液容器の薬液の使用期限までの期間内に、現薬液容器からの薬液の残存率が予め決めた閾値以下となるまでの必要日数を算出し、前記使用期限から前記所要日数を差し引いた日付以降には現薬液容器の薬液と同一使用期限の新規な薬液容器はチャージできないように規制するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の薬液供給方法は、順次に交換して設置される先後の薬液容器からの薬液を、該薬液の性状に応じた希釈液や改質剤を添加する薬液調整部に受入れ、この薬液調整部から供給配管系を通じて生産設備へ供給する薬液供給方法において、現薬液容器からの薬液受入量と前記生産設備への薬液供給量とをそれぞれ測定し、前記測定値を基に、現薬液容器と前記生産設備との間の全薬液中における先の薬液容器からの薬液の残存率を演算するとともに、この演算値が前記先の薬液について予め決めた閾値以下となるように前記供給配管系から薬液をドレインすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薬液の使用期限が仮に経過した場合もその残存率をプロセスへの影響が無視できるレベルに抑え、継ぎ足し運転することが可能となる。これにより、新規な薬液容器への入れ替え時の配管洗浄及びそのための薬液が不要となり、薬液の廃棄を最小限に抑え、コスト低減が可能である。また薬液容器の入れ替え時の生産設備の品質確認が不要となるため、そのための設備停止が不要となり、生産の停止が発生せず、品質確認用の薬液供給対象物、たとえばウェハの削減も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態の薬液供給装置の構成図
【図2】本発明の第2の実施の形態の薬液供給装置の構成図
【図3】本発明の薬液供給装置における旧液の残存率の算出方法を説明する図
【図4】図1の薬液供給装置での旧液の残存率の推移を示す図
【図5】図1の薬液供給装置での旧液の残存率の推移を説明する図
【図6】図1の薬液供給装置での旧液の残存率の推移を示す図
【図7】図1の薬液供給装置の運用を説明する図
【図8】従来の薬液供給装置の構成図
【図9】従来の他の薬液供給装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。先に図8を用いて説明した従来の薬液供給装置と同じ部材には同じ符号を付している。
(第1の実施の形態)
図1に示す薬液供給装置は、薬液の入ったドラム1,2をチャージするためのチャージユニット3と、希釈槽4および供給槽5を有する希釈・供給ユニット6と、供給ライン7とから構成されていて、チャージユニット3の薬液を希釈・供給ユニット6の希釈槽4に移送し、必要に応じて純水などで希釈し添加剤を添加したうえで、供給槽5へ移送し、供給ライン7を通じて半導体製造装置などの生産設備8へ供給する。なおチャージとは、使用済みドラムを新たなドラムに交換して設置することをいう。
【0020】
図中の9,10,11,12は、薬液を循環あるいは次ユニットへ移送するためのポンプであり、13は供給ライン7からのドレインライン14に配置されたドレインバルブである。チャージユニット3においては、薬液のデリバリー形態により、図示したドラム1,2(100kg,200kg,1m3など)に代えて、ローリーチャージの受入槽なども用いられる。また薬液を移送する手段としては、図示したポンプ9,10に代えて、N圧送も用いられる。
【0021】
この薬液供給装置が従来のものと異なるのは、供給ライン7から生産設備8へのフックアップライン15,16それぞれに、生産設備8への薬液供給量を測定する積算流量計17,18を備え、ドレインライン14にドレイン流量を測定する積算流量計19を備え、さらに以下の制御ユニット20を備えている点である。なお請求項に記載した「供給配管系」はここで言う供給ライン7、フックアップライン15,16、ポンプ12を含む概念である。「薬液調整部」は希釈・供給ユニット6に相当する。
【0022】
制御ユニット20は、薬液供給量の管理と薬液の使用期限の管理とを実施する。つまり、チャージユニット3に設置される各ドラムについて使用期限を認識し、使用期限までの日数がより短いドラムから順に薬液を供給する。それにより現在送液しているドラムから生産設備にわたって、使用期限の異なる薬液が混在し得るので(以下、必要に応じて、使用期限により近い薬液を旧液と呼び、それ以外を新液と呼ぶ)、その場合に、旧液の残存率を求め、その残存率について予め設定した閾値(プロセスへの影響が無視できるレベル)を達成するためにドレイン指示などを行う。
【0023】
このために、制御ユニット20は、チャージユニット3から、チャージされているドラム1,2の薬液の使用期限の情報を入手し、また希釈・供給ユニット6へのバッチ移送情報を入手する。
【0024】
また制御ユニット20は、希釈槽4から供給槽5への薬液のバッチ移送情報を希釈・供給ユニット6より入手し、生産設備8への薬液供給量をフックアップライン15,16の積算流量計17,18より入手し、必要時に、ドレインバルブ13の開閉指示を出し、ドレインライン14の積算流量計19よりドレイン量情報を入手することができる。
【0025】
そして制御ユニット20は、希釈・供給ユニット6へのバッチ移送情報(希釈・供給ユニット6の薬液受入量)および生産設備8への薬液供給量の測定値を基に、現ドラムと生産設備8との間(現ドラム内から生産設備8に接続される配管内まで)の全薬液中における旧液の残存率を演算するとともに、この演算値が旧液の残存率について予め決めた閾値以下となるようにドレインバルブ13を通じて薬液ドレイン量を制御する。
【0026】
また制御ユニット20は、現在の1日あたりの薬液供給量と供給システム全体(現ドラム内から生産設備8に接続される配管内まで)の容量とから、何日間で、供給システム全体に現存している旧液が新液に置き換わり、旧液の残存率が予め決めた閾値以下になるかを算出し、算出した日数を現在チャージされているドラムの薬液の使用期限から差し引く。そして、差し引き後の日付よりも現在の日付が後であれば、使用期限と薬液供給量の監視を続ける。差し引き後の日付よりも現在の日付が前であれば、薬液供給量の管理を実施し、旧液の残存率を監視する。
【0027】
薬液供給量の管理とは、1日あたりの薬液供給量の下限を設定し、実際の薬液供給量が下限値を下回る場合に強制ドレインを実施することを言う。下限値は、薬液の使用期限までの日数や1日当たりの供給量(生産設備での使用量)に依存する。1日毎に強制ドレインしてもよいし、使用期限最終日に必要量を強制ドレインしてもよい。数日間あたりの下限を設定しても構わない。これにより旧液の残存率を管理できる。
【0028】
さらに、現在チャージされているドラムと同一の使用期限の新規なドラムはチャージできないように供給システム上で制限をかける。たとえば、バーコード管理などを用いて、チャージするドラムの情報をシステムに取り込み、チャージ不可のドラムを装着すると、送液できず、アラームを発報させる。
【0029】
なお、希釈槽4での調整後からも使用期限が存在する薬液に対しても、希釈槽4から供給槽5へのバッチ移送回数と生産設備8への薬液供給量とを管理することで、同様に旧液の残存率を管理できる。
【0030】
以上のようにすることにより、薬液の使用期限が仮に経過した場合もその残存率をプロセスへの影響が無視できるレベルに抑え、継ぎ足し運転することが可能となる。これにより、新規な薬液容器への入れ替え時の配管洗浄及びそのための薬液が不要となり、薬液の廃棄を最小限に抑え、コスト低減が可能である。また薬液容器の入れ替え時の生産設備の品質確認が不要となるため、そのための設備停止が不要となり、生産の停止が発生せず、品質確認用の薬液供給対象物、たとえばウェハの削減も可能である。
(第2の実施の形態)
図2に示す薬液供給装置は、供給槽5に、液面を検知できる液面センサー21を備えていて、この液面センサー21の検出値の変化量より、薬液供給量、ドレイン量を測定することができる。
【0031】
制御ユニット20は、液面センサー21から薬液供給量およびドレイン量の情報を受けて、必要時にドレインバルブ13へのドレイン指示を出す。その他は、第1の実施の形態で説明したのと同様である。なお液面センサー21の分解能は、希釈槽4から供給槽5へ移送する1バッチ分の薬液量の1/10以下であることが望ましい。
【0032】
次に、上述のように使用期限が異なる薬液が混在する場合における、旧液の残存率の算出原理について、図3を用いて説明する。
チャージユニット3と希釈・供給ユニット6と生産設備8への供給ライン7と供給用のポンプ12とを備えた薬液供給装置において、希釈・供給ユニット6(簡便のため供給槽5のみ考える)に、チャージユニット3から移送される新液1バッチあたりの補充分V31と旧液の残存分V32とが存在する場合、供給槽5への新液のバッチ移送回数をn回としたとき、旧液の残存率は下式(1)で算出される。
【0033】
Cn=(Va×Ca+Vb×Cb(n−1))/(Va+Vb)・・・(1)
Va:供給槽への新液の補充量
Vb:供給槽残存分+配管内の旧液の薬液量
Ca:供給槽へ補充した新液の濃度
Cb:供給槽残存分+配管内の旧液の濃度
Cn:nバッチの新液を供給した時の供給槽+配管全体の旧液の残存率
たとえば、Va:100L、Vb:50L、Ca:0%、Cb:1バッチ目100%であると、図4に示すように、旧液の残存率Cnは薬液の移送バッチ回数が増えるに伴って減少し、7バッチ目以降では0.1%以下となる。
【0034】
この算出原理に基いて、図1の薬液供給装置における旧液の残存率を算出する方法を、図5を用いて説明する。チャージユニット3と、希釈・供給ユニット6の希釈槽4および供給槽5と、希釈槽4の循環用のポンプ11aと、希釈槽4から供給槽5への移送用のポンプ11bと、生産設備8への供給ライン7および供給用ポンプ12とのみ示している。
【0035】
チャージユニット3から希釈槽5へ移送される1バッチ分の移送量をV41、供給槽5への配管内分も含めた希釈槽4に残存する薬液分をV42、供給槽5へ移送される1バッチ分の移送量をV51、生産設備8への供給ライン7を含めた供給槽5に残存する薬液分をV52で表す。
【0036】
チャージユニット3の総薬液量が1,000L、希釈槽4への移送量V41が100L、希釈槽4に残存する薬液分V42が50L、供給槽5への移送量V51が100L、供給槽5に残存する薬液分V52が150Lであって、運転当初は薬液供給システム全体に旧液が存在し、旧液が生産設備8で使用されるに伴って新液をチャージする場合を想定する。
【0037】
このときの、薬液の供給量(生産設備8への薬液供給量)と旧液の残存率との関係を図6に示す。供給量が1,000Lに達したときにチャージユニット3の薬液が新液に入れ替わる。1,200L以上供給されると、新液が旧液に混入した混入薬液が希釈槽4から供給槽5へ移送され、供給槽5の旧液残存率が低下し始める。1,800L以上供給されると、供給槽5の旧液の残存率は10%以下となる。
【0038】
以上の関係を利用して、使用期限を越えた旧液の残存率の閾値、それに見合う供給量を設定する。
たとえば、閾値を10%とする場合、上述のように1,800L以上供給すると供給槽5の旧液の残存率が10%以下となることから、1,800Lの供給を確保することとし、6日間の運転を行うときには、1日あたりの供給量の下限を300Lと設定する。この供給量の下限は薬液を使用する生産設備の能力やその時の生産量によって決めればよい。
【0039】
さらに、薬液供給装置全体が旧液であるときに、供給槽5の旧液残存率を設定値以下にできる日数(この場合は6日)が残り使用期限日数を超えるときは、新たな薬液をチャージユニット3に投入できない規制を設定する。
【0040】
このときの旧液供給日数に対する供給量および旧液残存率の推移を図7に示す。1,000L供給するとチャージユニット3の1m3ドラムが新液に交換され、ドラムの下流側に新液が投入され、供給槽5の旧液残存率が100%から低下し始める。旧液残存率の低下は理論上は1,200L以上使用した時点からであるが、1日あたりの供給量が300L以上であるため、累積供給量が1,000Lとなった3日目が変化点となっている。
【0041】
この例では、供給量の下限を300L/Dayとしているので、実際の供給量が200L/Dayであった5日目には、その差分の100Lの強制ドレインを実施している。供給量の管理は、Dayもしくは移動平均(3日間など)で実施してもよい。実運用では移動平均の方が日々の供給量のばらつきを吸収できる。この例では6日目が旧液の使用期限であり、6日目には供給槽5の旧液残存率10%以下を達成している。
【0042】
この場合、旧液の使用期限から設定した旧液残存率10%以下を達成できる供給量1,800Lを消費する日数、つまり6日間を差し引いた日付以前であれば、使用期限内であるため、1日の供給量が300L以下であっても、とくにドレインなどをする必要は無い。ドレイン対応はあくまで、使用期限を越えた旧液の残存率を設定値以下に保つための手段である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、使用期限を超えた薬液を使用するとプロセス品質への影響が発生し得る製造工程、たとえば半導体ウェハの製造工程などに有用である。
【符号の説明】
【0044】
1、2 ドラム
3 チャージユニット
4 希釈槽
5 供給槽
6 希釈・供給ユニット
7 供給ライン
8 生産設備
9、10、11、12 ポンプ
13 ドレインバルブ
14 ドレインライン
17、18、19 積算流量計
20 制御ユニット
21 液面センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次に交換して設置される先後の薬液容器からの薬液を受入れ、該薬液の性状に応じた希釈液や改質剤を添加する薬液調整部と、前記薬液調整部の薬液を生産設備へ供給する供給配管系と、前記供給配管系に弁装置を介して連通したドレイン配管と、現薬液容器からの薬液受入量と前記生産設備への薬液供給量と前記ドレイン配管の薬液ドレイン量をそれぞれ測定する測定器と、前記弁装置および前記測定器に接続した制御装置とを備え、
前記制御装置により、前記薬液受入量および前記薬液供給量の測定値を基に、現薬液容器と前記生産設備との間の全薬液中における先の薬液容器からの薬液の残存率を演算するとともに、この演算値が前記先の薬液の残存率について予め決めた閾値以下となるように前記弁装置を通じて前記薬液ドレイン量を制御することを特徴とする薬液供給装置。
【請求項2】
前記制御装置はさらに、各薬液容器の薬液の使用期限が入力され、単位時間あたりの薬液供給量の下限が設定されたときに、現薬液容器の薬液の使用期限までの期間内に、現薬液容器からの薬液の残存率が予め決めた閾値以下となるように送液し、単位時間あたりの薬液供給量の実測値が前記下限値を下回ったときに強制的ドレインを実施するように構成されていることを特徴とする請求項1の薬液供給装置。
【請求項3】
前記制御装置はさらに、各薬液容器の薬液の使用期限が入力され、単位時間あたりの薬液供給量の下限が設定されたときに、現薬液容器の薬液の使用期限までの期間内に、現薬液容器からの薬液の残存率が予め決めた閾値以下となるまでの必要日数を算出し、前記使用期限から前記所要日数を差し引いた日付以降には現薬液容器の薬液と同一使用期限の新規な薬液容器はチャージできないように規制するように構成されていることを特徴とする請求項1の薬液供給装置。
【請求項4】
順次に交換して設置される先後の薬液容器からの薬液を、該薬液の性状に応じた希釈液や改質剤を添加する薬液調整部に受入れ、この薬液調整部から供給配管系を通じて生産設備へ供給する薬液供給方法において、
現薬液容器からの薬液受入量と前記生産設備への薬液供給量とをそれぞれ測定し、前記測定値を基に、現薬液容器と前記生産設備との間の全薬液中における先の薬液容器からの薬液の残存率を演算するとともに、この演算値が前記先の薬液について予め決めた閾値以下となるように前記供給配管系から薬液をドレインすることを特徴とする薬液供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−267825(P2010−267825A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118125(P2009−118125)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】