説明

蛍光X線分析装置及びそれを用いた半導体装置の評価システム

【課題】基板中および基板上に存在する、基板とは元素組成が異なる領域の評価を、非破壊、高精度、短時間で行うことにより、半導体製造ラインの高性能化を計る。
【解決手段】評価対象試料(基板等)4上に、例えばMoターゲットのX線源1からモノクロメータ2を介してX線3が低い角度で照射される。照射領域は、符号3aで示される領域である。さらに、この装置には、基板4の中心から延びる基板面の法線を回転軸とする面内回転機構(θz)と、y軸に関して入射X線の入射角度(α1)を変更することができる傾斜角度変更機構と、基板面における測定位置を変更できる移動機構とを有している。特に重要なことは、基板4のうちのある面積だけにX線を照射することができ、この領域3aを変更することができるように構成されている点である。評価は、試料から放出された蛍光X線の強度を測定することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光X線分析装置及びそれを用いた半導体装置の非破壊評価システムに関し、より詳細には、半導体製造ラインにおける基板の、蛍光X線分析を利用した、半導体デバイス作成、材料微細加工等、ナノテクノロジー分野全般で広く用いられている薄膜の膜厚、ドープ層等の評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術、特に高集積化と量産化技術の向上に伴って、例えば、半導体基板に形成されたドープ領域の面積やドープ量、薄膜積層体の面積や形成量を評価する技術の開発が重要になってきている。そのための方法として、加速したイオンを試料に照射する際に試料を構成する原子の一部がイオンとなって試料表面より飛び出す現象を利用する、2次イオン質量分析法がある。この方法は、試料へのイオン照射によって生じる原子の試料表面からの離脱と2次イオンの発生とを利用し、イオン照射することにより原子を弾き飛ばしながら2次イオン強度を測定することで、深さ方向の元素分布測定を行うものである。
【0003】
その他に、試料に入射したイオンが、試料原子によりラザフォード散乱される現象を利用した、ラザフォード後方散乱法も利用される場合がある。ラザフォード後方散乱法は、高エネルギーで試料に入射したイオンが試料で散乱され、この散乱された入射イオンのエネルギーを分析することにより、試料中の元素量や深さ方向の元素分布情報を得る原理に基づくものである。2次イオン質量分析法もラザフォード後方散乱法も、試料にイオンを照射するため、試料に照射による損傷が生じる破壊的分析法であり、半導体製造ラインにおけるオンライン評価には使用できない。
【0004】
また、2次イオン質量分析では、試料表面近傍測定で起こる未平衡領域における測定値が変動するという問題があり、ラザフォード後方散乱法では、入射イオン量計測や計測に関わる各種ジオメトリの定量的設定の困難さから、1%以下の精度でナノメートル深さの領域を計測することは困難である。さらに、膜厚が薄くなるにしたがって、計測に要求される深さ分解能が高くなり、原子層程度(0.1nm程度)の深さ分解能を要求されるが、現状では、上記の方法を用いると、原子層程度の深さ分解能で膜厚量を評価することは難しい。
【0005】
また、基板表面に対して低い角度で入射させたX線の反射率を測定することにより、表面に形成された形成膜の厚さを評価する方法もある。この評価方法は、形成膜の表面に近い表面あるいは基板との界面で反射するX線と、深い側の界面で反射するX線とが、その光路差により干渉することを利用したものである。X線入射角度を変えながら反射率を測定した際に現れるX線入射角度に対する強度変動周期が薄膜の膜厚に関係していることを用いて、膜厚を評価するものである。この場合、膜厚が薄くなると入射角度に対する反射率変動周期が長くなる上に、界面での組成ゆらぎ(界面粗さ)に依存して入射角度に対する反射率強度が急激に減衰するため、薄膜の状態によっては、nm厚さの薄膜の評価が難しくなる。さらに、膜厚を評価するには、入射角度を変えた測定を数多く行う必要があるため、短時間で高精度の評価が求められている製造ラインでのオンライン検査には不適である。
【0006】
元素の組成が周囲とは異なる薄膜層の剥ぎ取り工程は、デバイス間の配線やパターンを形成する線の作成にも関連する重要な工程であるため、その評価も非常に重要である。薄膜の剥ぎ取り加工に関して、剥ぎ取りにより形成されたパターン配線の線幅を評価するCD-SEM (Critical-Dimension Scanning Electron Microscope)法が、半導体製造ラインで広く用いられている。CD-SEM法は、測長機能に特化したSEM(走査電子顕微鏡)装置であり、SEMで得られた画像を解析し線幅を評価するものである。この場合、電子を照射するため、試料の帯電の影響を強く受ける、評価の範囲はSEMの視野に限定される、デバイスの微細化に伴い、SEM画像の分解能が解析に必要なレベルの限界に近づいている、等、更なる微細化に対応できない。
【0007】
図11は、下記特許文献1に記載の蛍光X線分析法の概略を示す図である。図11に示す方法では、基板104上に形成された薄膜104aを評価するために、表面に低い角度でX線103を入射させる。その際、一部の入射X線103は、X線が当たった部分に存在する元素を励起して蛍光X線107を放出する。基板104上には、この蛍光X線107を検出する検出器105が配置されており、基板(試料)104aから放出された蛍光X線107の強度を測定することにより基板(試料)104aの評価を行うことができる。
【0008】
【特許文献1】特開2007−107952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、DRAMや不揮発性メモリなどの半導体装置は微細化と量産効果によりコストダウンされてきている。近年、これらの半導体集積回路の微細化に伴い、最小加工寸法はnmオーダーにまでなってきている。すなわち、半導体デバイス作成工程においては、デバイスサイズの微小化にともない、nmサイズの構造を多くの工程を経て作り込みを行っている。また、それに伴い、基板面上に堆積する膜の厚さも薄くなってきている。さらに、物質の構造をnm領域で制御し、機能を発現させるナノテクノロジー技術も注目されている。
【0010】
薄膜やドーピングを行った領域等、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域の評価において、広く用いられている2次イオン質量分析法、ラザフォード後方散乱法では、イオンを照射するため破壊分析になり、オンラインで計測に利用することはできない。また、X線反射率測定やCD-SEMでは、1点の測定に時間がかかり、試料の広い範囲にわたる測定に用いると測定時間がかかる。また、これらの方法では、nmオーダー以下のサイズでの測定では、原理的な限界から精度が出せない。
【0011】
半導体基板上への半導体デバイスの作成工程における、nmサイズの微細構造を作り込む際に、半導体基板上にnmサイズの薄膜を堆積し、他の領域とは元素の組成が異なる領域を作成しそれらの領域の決められた形状での加工する工程を繰り返しながら、トランジスタなどのデバイス構造を形成することができる。その際に、不純物をドープしたドープ領域や、島状に形成された薄膜やその積層体等の領域のように、その他の領域とは元素の組成が異なる領域の形成量(体積・面積)やその領域の剥ぎ取り量(凹部の体積や面積)を正確にコントロールすることが重要である。そのためには、形成量や剥ぎ取り量、および、それらの均一性、異常値、等を、非破壊で製造ラインを止めることなく評価することが必要になる。
【0012】
また、上記特許文献1に記載の蛍光X線法は、試料中の元素分析法として広く利用されているが、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域量やその加工に関する評価、およびそのプロセス管理に用いられていなかった。
【0013】
本発明の目的は、基板中および基板上に存在する、基板とは元素組成が異なる領域の評価を、非破壊、高精度、短時間で行うことにより、半導体製造ラインの高性能化を計ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板中および基板上に存在する、基板とは元素組成が異なる領域の評価において、基板にX線を入射し、その入射したX線により励起される当該領域を構成する元素からの蛍光X線強度を測定することで、当該領域を評価する際に、測定対象となる元素において、測定試料と元素濃度が既知の試料との間で、蛍光X線強度を比較することにより定量的に当該領域の評価を行うことができる。さらに、あるプロセスの前後における測定によって、相対強度比較を行うことができる。また、2箇所以上の測定点において系統的に測定するマッピング測定により、基板の広範囲の測定等を、非破壊、高感度、高精度で評価することも可能である。
【0015】
本発明の一観点によれば、基板中および/または基板上に設けられ、前記基板とは元素組成が異なる領域の評価方法であって、評価対象試料にX線を照射するステップと、照射されたX線により励起される照射領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準試料の対応する前記構成元素からの蛍光X線強度とを比較するステップ、または、評価対象試料間あるいは2点以上の同一試料内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法が提供される。基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を評価する評価することができる。
【0016】
これにより、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域量を評価する評価することができる。
【0017】
さらに、基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の評価方法であって、評価対象試料にX線を照射するステップと、照射されたX線により励起される照射領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する元素からの蛍光X線の強度とを比較し、基板中および/または基板上に存在する当該領域量を、単位面積当たりの原子数に換算した量又は単位面積当たりの原子数に換算した量に比例した値を算出するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法が提供される。これにより、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域量の評価することができる。単位面積当たりの原子数に換算した量に比例した値とは、広く言えば、単位面積当たりの原子数に換算した量に基づいて算出した値も含むものであり、必ずしも比例関係には限定されない。
【0018】
また、基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の一部また全部を取り除く加工を行った場合、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加する加工を行った場合における評価方法であって、評価対象基板にX線を照射するステップと、照射したX線により励起される当該領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する元素からの蛍光X線の強度と、を比較するステップ、あるいは、加工後試料間あるいは2点以上の同一加工後の試料面内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法であっても良い。これにより、加工量あるいは加工精度を評価することができる。
【0019】
また、基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の一部を取り除き線状の領域を形成する加工を行った場合、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加することで線状の領域を形成する加工を行った場合における評価方法であって、評価対象基板にX線を照射するステップと、照射したX線により励起される当該領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する元素からの蛍光X線の強度と、を比較するステップ、または、評価対象試料間あるいは2点以上の同一評価対象試料面内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法が提供される。これにより、線状領域を評価する線状領域の評価が可能である。前記評価対象は、同じ微細パターンを有する多数の基板間又は同じ微細パターンを有する1枚の基板面内であることが好ましい。また、基板に入射する前記X線の入射角度は臨界角度以上であることが好ましい。
【0020】
また、前記基板とは異なる元素を含む層が、Hf、Zr、La、Ta、Ti、Ba、Sr、Cu、Ni、Co、Ce、Dy、Pr、Y、Sr、Gd、Pt、W、Mo、As、In、Sb、Au、Pのうち1種以上の元素で構成されることが好ましい。一方、前記基板がSi、Ge、Ga、As、C,In、Nのうち1種以上の元素で構成されるか、或いは、ガラス、高分子を含むことが好ましい。上記評価において、基板上の2箇所以上で測定を行い、評価結果のマッピングを行うようにしても良い。前記基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域の厚さが10nm以下であっても良い。上記のいずれか1に記載の方法において、基板中および基板上に存在する基板とは異なる元素を含む薄膜層の評価するものであっても良い。
【0021】
また、基板中および基板上に存在する基板とは異なる元素を含む薄膜層は、異なる組成を有する複数の層が積層された多層膜であり、前記蛍光X線の評価においてピークを持つエネルギー位置の違いに基づいて多層膜を構成するそれぞれの膜を独立して評価することもできる。
【0022】
また、前記ピーク同士が重なる場合には、ピークプロファイルの全体の頂点部分のエネルギー又は外部から取得したエネルギー値により、分離したい複数のスペクトルの中心位置を決めてピーク分離して各スペクトルの強度解析を行うステップを含むようにしても良い。
【0023】
これは、ピークという言葉をどのように解するかによるが、ピークをある分布を持ったプロファイル全体と解する場合に、ピークをプロファイル全体の頂点部分とすると、頂点部分のエネルギーにより分離したいスペクトルの中心位置を決めてピーク分離が可能である。尚スペクトルの中心位置は、データベース、計算等の外部から得られたエネルギー値を用いるようにしても良い。
【0024】
本発明の他の観点によれば、評価対象基板上に、X線を照射する位置に設けられたX線源と、X線が照射された領域に存在する元素を励起して前記評価対象基板から出射される蛍光X線を検出する検出器と、該検出器により検出された蛍光X線に基づいて、基板内又は基板間の異なる照射位置における蛍光X線強度を比較する比較器と、を有することを特徴とする蛍光X線分析装置が提供される。前記評価対象基板の中心から延びる基板面の法線を回転軸とする面内回転機構と、入射X線の入射角度(α1)を変更することができる傾斜角度変更機構と、基板面における測定位置を変更できる移動機構とを有していることが好ましい。なお、実際上は、角度βの影響は小さい。また、異なるエネルギー位置において観測される蛍光X線強度に基づいて、異なるエネルギーに対応する異なる元素からなる多層膜の成膜量を評価する手段を備えることが好ましい。
【0025】
複数の前記評価対象基板を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される前記評価対象基板を評価する位置に設けられた上記のいずれか1に記載の蛍光X線分析装置と、複数の前記評価対象基板ID又は基板内の位置と、前記検出器による比較結果と、を対応付けて算出し保存する評価装置とを有することを特徴とする半導体装置の評価システムであっても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蛍光X線強度を検出器で測定する方法であるため検出感度が高く、十分な検出カウントを確保することで0.1%以下まで精度を高めることが可能である上に、蛍光X線を出す元素であれば原理的に測定可能であるため、物理的な限界がなく、ナノメートルオーダー以下のサイズの領域でも測定可能である。このため、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域量やその加工に関する評価、およびそのプロセス管理により、半導体デバイス、ナノ材料等、微細構造を持つ材料の評価を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態による蛍光X線分析装置及びそれを用いた半導体装置の評価システムについて図面を参照しながら説明を行う。図1は、本実施の形態による蛍光X線分析装置の一構成例を示す図である。図1に示すように、評価対象試料(基板等)4上に、例えばMoターゲットのX線源1からモノクロメータ2を介してX線3が基板面との成す角度が低い角度で照射される。X線の照射領域は、符号3aで示されるある程度の面積を有する領域である。さらに、図1に示す装置には、基板4の中心から延びる基板面の法線(z方向)を回転軸とする面内回転機構(θz)と、入射X線の入射角度(α1)を変更することができる傾斜角度変更機構と、基板面における測定位置を変更できる移動機構とを有している。尚、入射角度(α1)を変更する方法としては、(1)θyだけ回転させる、(2)θx(β)のみ回転させる、(3)θyとθx(β)との両方を回転させる、(4)入射X線発生部1・2ごと動かす、などの方法がある。
【0028】
ここで、特に重要なことは、基板4のうちのある面積だけにX線を照射することができ、この領域を変更することができるように構成されている点である。入射X線を基板面に対してある低い角度で照射すると、試料の表面あるいは内部にX線が入射する。その際、一部のX線は、X線が照射されている領域に存在する元素を励起し、蛍光X線7を放出し、その蛍光X線7を検出器5で検出することができる。蛍光X線7による評価は、試料基板4から放出された蛍光X線7の強度とエネルギーとを測定することにより行われる。尚、図では、入射X線方向がX軸と角度βだけずれている例を示したが、角度βは0度であっても良い。
【0029】
図2は、Si基板表面近傍約十数nm程度の深さ範囲にAsをドープした試料を、Mo線を入射X線として蛍光X線分析を行った時の、蛍光X線のエネルギースペクトルの一例を示す図である。図2に示すように、エネルギーが、1.74keV、10.53keV、11.73keV、17keVに、それぞれの位置に、ピークが観測されている。エネルギーの低い順番から、それぞれ、基板Si成分に基づくSi−Kピーク、測定対象であるAs−Kα線、As−Kβピーク、Mo−Kα散乱ピークに相当する。この場合、測定対象のAsのピーク強度により、基板を構成する元素であるSi以外の元素、例えばAs元素の存在の有無及び濃度又は領域量を評価することができる。
【0030】
図3は、波長0.071nmの一次Mo−Kα線をSi基板に照射した場合の、基板表面側での蛍光X線強度(Intensity)とX線の進入深さ(入射X線強度が表面の1/eとなる深さ)のX線の傾斜角度α1依存性を示す図である。図3に示すように、臨界角度α以下では、入射ビームは全反射し、角度α1の増大にともなって蛍光X線強度が高くなるが、X線はそれほど深くまでは入って行かないことがわかる。臨界角度αを超えると、X線は急激に基板の深くまで入るようになり、入射X線強度の試料深さ依存性が急激に弱まるため、試料表面近傍でのX線強度の均一性が高まる。従って、測定対象となる元素が存在する深さに依存せず、強度の均一性が高い入射X線を測定対象試料に照射することができる。
【0031】
図4は、AsのKαの蛍光X線のカウント数のSi基板の傾斜角依存性を示す図である。AsのKαの蛍光カウント数とともに、ターゲットのMoのカウント数、基板のSiのカウント数が示されている。この図より、臨界傾斜角度までは、表面層であるAsの蛍光カウント数が支配的であり、臨界角度を越えると、Moのカウント数、基板のSiのカウント数が増加することがわかる。
【0032】
図5は、本実施の形態による半導体基板評価システムの概略構成例を示す図である。図5に示すように、図1に示す蛍光X線分析装置の構成要素1〜5までを配置する。さらに、多数の同じ表面構造を有する基板4が、例えばベルトコンベア状の搬送装置Bにより搬送されて流れているという半導体製造工場における製造システムのイメージを示している。或いは、評価対象試料を、全数或いは抜き取りで検査するイメージとして、例えば、搬送されている試料を全数或いは一部だけ抜き取って、図1に示すような装置まで移送して測定を行うような形態であっても良い。すなわち、測定システムの形態は限定されるものではない。
【0033】
基板4がある位置まで搬送されると、上記構成要素に基づく蛍光X線分析により、基板4表面および基板4内に存在する、基板4自体とは元素組成が異なる領域の評価を行ない、その評価結果が、検出器5に繋がっているコンピュータCPにより分析されるように構成されている。コンピュータCPは、基板4をユニークに識別するID等により、基板のそれぞれを、その測定結果と対応付けてコンピュータCP内のメモリ内に記憶させることができるようになっている。
【0034】
評価する試料4にX線を入射させ、その入射したX線により励起される当該領域を構成する元素からの蛍光X線強度と、これと同様の方法で得られた基準となる基準試料の対応する元素からの蛍光X線強度を比較する、または、被測定基板間あるいは2点以上の同一被測定基板内の蛍光X線強度を比較することで、当該領域を評価する。このために、コンピュータに強度の比較機能を例えばプログラムにより実行させることができるようになっている。
【0035】
例えば、図6(a)、(b)に示すように、評価する対象となる試料基板4上に形成されている基板4を構成する元素とは異なる組成を有する薄膜4aに対してX線を入射し、その入射したX線により励起される薄膜4aのうちX線が照射されている当該領域を構成する元素からの蛍光X線強度と、測定対象となる元素の単位面積当たりの量が既知の試料からの蛍光X線強度と、を比較する(簡単には比を取る、或いは何らかの係数を乗算する)ことにより、当該領域量を原子量換算量(単位面積当たりの原子量に換算した量)で定量測定することができる。
【0036】
図7は、図6とは異なる手法による評価技術を示す図である。図7に示すように、測定対象となる元素の濃度が既知である試料を用いることなく、単に基準となる基準試料をベルトコンベアとは異なる場所に別途用意しておき(図7左図)、この基準試料4・4aとベルトコンベア上の評価対象試料4・4b、4・4c…との強度の比較を行うようにしても良い(図7左図、右図における横方向の比較)。あるいは、基準試料を用意しなくても、ベルトコンベア上を流れる試料の評価結果を比較することにより、ほとんどの試料は正常であるという前提のもとに異常な試料などを検出することも可能である(図7右図における縦方向の比較)。
【0037】
さらに、当該領域(図では、表面層4a)の形成前後における蛍光X線強度の比較を行う相対的な強度の比較により、単位面積当たりの元素量に相当する領域量の評価を行い、この評価結果に基づくデータ管理等をコンピュータなどにより行うことで、基板4上の当該領域(X線の照射領域)の基板毎又は基板面内の位置に依存する変動を評価することもできる。この際、1枚の基板に着目し、x−y方向にX線の照射位置を移動させて評価結果を管理することで、面内における領域量の分布を評価することもできる。この方法で、濃度換算膜厚の変動、ばらつき、異常値等を評価することができる。
【0038】
また、図8上図に示すように、例えばSiなどの基板上に、高(High)k値の膜(1)、メタル膜(2)、不純物ドーピングされたポリシリコン膜(3)などの多層構造を積層した場合においても、上記と同様に蛍光X線強度による評価を行うことができる。この場合には、図2に示すように、異なる元素からなる膜による蛍光X線は異なるエネルギー位置において観測されるため、それぞれの膜の評価を非破壊で一度に行うことができる。また、図8下図に示すように、基板内にある幅を有するゲート構造GP1、GP2、…などをあるピッチで形成した基板4の場合には、ゲート長が10nm程度、ピッチが100nm程度であれば、その中にゲート構造GPとそれ以外の領域であるフィールド領域とが多数形成されるため、ある領域(X線照射領域:スポット径)を、例えば1cm×100μmとすると、その領域内に多数のゲート構造を含むため、統計的な処理が可能となる。従って、得られる蛍光X線の強度により、ゲート構造を統計的に評価することができる。もちろん、基板上の堆積膜を加工する代わりに、基板自体を加工して、異なる元素組成の領域を露出させた構造の評価についても応用することができる。
【0039】
このように、基板中および/または基板上に存在する、当該基板とは元素組成が異なる領域を加工する場合に、加工を行った測定対象試料の当該領域を構成する元素からの蛍光X線強度と、同様の方法で得られた基準となる試料(濃度既知試料、基準となる未加工試料、基準となる加工前試料、基準となる加工後試料、その他基準となる試料、等)からの対応する元素からの蛍光X線強度を比較すること、あるいは、加工後基板間あるいは2点以上の同一加工後基板内の蛍光X線強度を比較することにより、加工量あるいは加工精度を評価することができる(図9参照)。
【0040】
すなわち、図9の左図では、基板全面に膜を堆積した試料を加工して多数の微細構造物を形成した基板4であって加工に成功した基板を準備し、これを基準試料とし、これを蛍光X線7により分析する。次いで、右図に示すように、ベルトコンベア上を流れる同様に加工した試料基板4についても同様のX線蛍光分析を行う。基準試料と測定対象試料との評価結果の比較に加えて、複数の測定対象試料の比較結果のみに基づいて評価を行うこともできる。これにより、蛍光X線強度を比較して、加工による膜成分の変動、ばらつき、異常値等の検出・評価を統計的に行うことができる。
【0041】
次に、図10に示すように、基板中および/または基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域の一部を取り除く加工、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加する加工により線状の領域L1、L2、L3、…Lnを基板4上あるいは基板4中に作成する場合の評価においても、加工を行った測定対象試料から当該領域を構成する元素からの蛍光X線7の強度と、同様の方法で得られた基準となる試料(濃度既知試料、基準となる未加工試料、基準となる加工前試料、基準となる加工後試料、テストパターン、その他基準となる試料、等)からの対応する元素からの蛍光X線強度を比較するか、あるいは、加工後基板間あるいは2点以上の同一加工後基板内の蛍光X線強度を比較することにより、線状領域の評価を行うことあできる。その際、基準となる試料の蛍光X線強度と、微細線状加工を行った試料の蛍光X線強度と、を比較することにより、線状に加工された試料の線幅に対応する量を評価することも可能である。
【0042】
試料に入射したX線強度は、試料内部で次第に減衰し、試料表面からの距離が大きくなるほど、試料表面に比べて強度が弱くなる。単位深さあたりに強度が減衰する度合いは、入射角度が大きくなると小さくなる。したがって、入射角度が大きくなる程、表面と表面からある一定の深さでのX線強度の比は小さくなる。従って、入射X線は、深さ方向に対して均一に評価対象元素に照射される。入射角度を0度から次第に大きくすると、その均一性は臨界角度以上の入射角で急激に良くなる。一方、入射角度を大きくすると基板からの蛍光X線強度が大きくなりすぎるため、例えば4°以下にすることにより、より高精度の測定が可能である。さらに、入射X線が25mm以下の微小サイズのビームを利用することにより、基板面内分布など、より詳細な位置情報を含んだ測定が可能である。
【0043】
また、本実施の形態による技術は、半導体デバイス構造の作り込む際に用いられる基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なるHf、Zr、La、Ta、Ti、Ba、Sr、Cu、Ni、Co、Ce、Dy、Pr、Y、Sr、Gd、Pt、W、Mo、As、In、Sb、Au、Pのうち1種以上の元素で構成されるか、或いは、ガラス、高分子を含むのうち1種以上の元素を含む領域を評価する場合に適している。またSi、Ge、Ga 、As、C、In、N等の基板構成元素のうち1種以上の元素で構成される場合の評価にも、高い有用性を示す。また、試料にX線を入射し、試料中の薄膜層に存在する元素からの蛍光X線の強度を測定し、当該層を評価する方法を用いるため、nm程度の厚さや幅を持つ層を評価する場合に、他の非破壊的手法と異なり、物理的な限界がない。これは、1つ1つの構造物を測定対象とするのではなく、多数の同じパターンを含む領域を統計的に処理する結果となるからである。従って、他の評価法では物理的な限界が問題になる10nm以下の厚さを持つ基板中および基板上に存在する、基板とは元素組成が異なる領域の非破壊評価で、他の手法に比べて特に高い有用性を発揮するという利点がある。
【0044】
(多層膜の評価)
上記実施の形態では、基板中および基板上に存在する基板とは異なる元素を含む薄膜層は、単一の膜であることを前提として説明したが、図8に示すように、異なる組成を有する複数の層が積層された多層膜であっても良い。この場合には、上記のような蛍光X線の評価において、図2に示すように、膜の構成元素に関してピークを持つエネルギー位置の違いに基づいて、多層膜を構成するそれぞれの膜について、独立して上記のような、基板面内での元素組成の分布、膜厚の分布、異なる基板毎の元素組成の分布、膜厚の分布の評価を行うことも可能である。この場合には、従来、非破壊での評価が難しかった多層膜の膜毎に独立した評価を行うことができるため、大変便利である。
【0045】
尚、上記実施の形態では、半導体デバイスの製造に本発明を適用する場合について説明したが、その他の電子・光デバイス、例えば有機EL等のディスプレイの製造工程における試料評価に利用できることは言うまでもない。すなわち、上記の実施の形態では、基板を例にして説明しているが、基板という用語を、半導体の分野における円形の薄い半導体基板という意図のみで用いているのではなく、より厚い試料などの評価にも用いることができる。この際、平坦な平面を有する試料の該平坦面における評価に適している。
【0046】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
また、本実施の形態で説明した評価方法・機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0048】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0049】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0050】
(まとめ)
本実施の形態によれば、蛍光X線強度を検出器で測定する方法であるため検出感度が高く、十分な検出カウントを確保することで0.1%以下まで精度を高めることが可能である上に、蛍光X線を出す元素であれば原理的に測定可能であるため、物理的な限界がなく、ナノメートルオーダー以下のサイズの領域でも測定可能である。このため、基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域量やその加工に関する評価、およびそのプロセス管理により、半導体デバイス、ナノ材料等、微細構造を持つ材料の評価を精度良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、半導体ラインにおける半導体装置の評価技術に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態による蛍光X線分析装置の一構成例を示す図である。
【図2】Si基板を用いたエネルギー離散X線スペクトルの一例を示す図であり。
【図3】波長0.071nmの一次Mo−Kα線を基板に照射した際における、表面側での蛍光X線強度(Intensity)とX線の進入深さとのX線の傾斜角度α依存性を示す図である。
【図4】AsのKαの蛍光X線のカウント数のSi基板の傾斜角依存性を示す図である。
【図5】本実施の形態による半導体基板評価システムの概略構成例を示す図である。
【図6】評価する試料にX線を入射し、その入射したX線により励起される当該領域を構成する元素からの蛍光X線強度と、測定対象となる元素の単位面積当たりの量が既知の試料からの蛍光X線強度と、を比較することにより、当該領域量を原子量換算量(単位面積当たりの原子量に換算した量)で定量測定する様子を示す図である。
【図7】図7は、図6とは異なる手法による評価技術を示す図である。
【図8】基板全面に膜を堆積した試料を加工して多数の微細構造物を形成した基板であって加工に成功した基板を準備し、これを基準試料とし、これを蛍光X線により分析する様子を示す図である。
【図9】基板中および/または基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域の一部を取り除く加工、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加する加工により線状の領域を基板上あるいは基板中に作成する場合の評価の様子を示す図である。
【図10】蛍光X線強度を比較して、線状に加工された試料の評価を行う様子を示す図である。
【図11】特許文献1に記載の蛍光X線分析法の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
4…評価対象試料(基板等)、1…X線源、2…モノクロメータ、3…X線、5…照射領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板中および/または基板上に設けられ、前記基板とは元素組成が異なる領域の評価方法であって、
評価対象試料にX線を照射するステップと、
照射されたX線により励起される照射領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準試料の対応する前記構成元素からの蛍光X線強度とを比較するステップ、または、評価対象試料間あるいは2点以上の同一試料内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項2】
基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の評価方法であって、
評価対象試料にX線を照射するステップと、
照射されたX線により励起される照射領域における構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する前記構成元素からの蛍光X線の強度とを比較し、基板中および/または基板上に存在する当該領域量を、単位面積当たりの原子数に換算した量又は単位面積当たりの原子数に換算した量に比例した値を算出するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項3】
基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の一部また全部を取り除く加工を行った場合、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加する加工を行った場合における評価方法であって、
評価対象基板にX線を照射するステップと、
照射されたX線により励起される当該領域における前記構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する元素からの蛍光X線の強度と、を比較するステップ、あるいは、加工後試料間あるいは2点以上の同一加工後の試料面内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項4】
基板中および/または基板上に設けられ、基板とは元素組成が異なる領域の一部を取り除き線状の領域を形成する加工を行った場合、あるいは、別の基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域を付加することで線状の領域を形成する加工を行った場合における評価方法であって、
評価対象基板にX線を照射するステップと、
照射されたX線により励起される当該領域における前記構成元素からの蛍光X線の強度と、(同様の方法で得られた)基準となる試料の対応する元素からの蛍光X線の強度と、を比較するステップ、または、評価対象試料間あるいは2点以上の同一評価対象試料面内の蛍光X線強度を比較するステップと、を有することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項5】
前記評価対象は、同じ微細パターンを有する多数の基板間又は同じ微細パターンを有する1枚の基板面内であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項6】
基板に入射する前記X線の入射角度は臨界角度以上であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項7】
前記基板とは異なる元素を含む層が、Hf、Zr、La、Ta、Ti、Ba、Sr、Cu、Ni、Co、Ce、Dy、Pr、Y、Sr、Gd、Pt、W、Mo、As、In、Sb、Au、Pのうち1種以上の元素で構成されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項8】
前記基板がSi、Ge、Ga、As、C、In、Nのうち1種以上の元素で構成されるか、或いは、ガラス、高分子を含むことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項9】
基板上の2箇所以上で測定を行い、評価結果のマッピングを行うことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、基板中および基板上に存在する基板とは異なる元素を含む薄膜層の評価することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項11】
前記基板中および基板上に存在する基板とは元素組成が異なる領域の厚さが10nm以下であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、基板中および基板上に存在する基板とは異なる元素を含む薄膜層は、異なる組成を有する複数の層が積層された多層膜であり、前記蛍光X線の評価においてピークを持つエネルギー位置の違いに基づいて多層膜を構成するそれぞれの膜を独立して評価することを特徴とする蛍光X線分析方法。
【請求項13】
前記ピーク同士が重なる場合には、ピークプロファイルの全体の頂点部分のエネルギー又は外部から取得したエネルギー値により、分離したい複数のスペクトルの中心位置を決めてピーク分離して各スペクトルの強度解析を行うステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の蛍光X線分析方法。
【請求項14】
評価対象基板上に、X線を照射する位置に設けられたX線源と、
X線が照射された領域に存在する元素を励起して前記評価対象基板から出射される蛍光X線を検出する検出器と、
該検出器により検出された蛍光X線に基づいて、基板内又は基板間の異なる照射位置における蛍光X線強度を比較する比較器と
を有することを特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項15】
前記評価対象基板の中心から延びる基板面の法線を回転軸とする面内回転機構と、入射X線の入射角度(α1)を変更することができる傾斜角度変更機構と、基板面における測定位置を変更できる移動機構とを有していることを特徴とする請求項14に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項16】
異なるエネルギー位置において観測される蛍光X線強度に基づいて、異なるエネルギーに対応する異なる元素からなる多層膜の成膜量を評価する手段を備えることを特徴とする請求項14又は15に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項17】
複数の前記評価対象基板を搬送する搬送機構と、
該搬送機構により搬送される前記評価対象基板を評価する位置に設けられた請求項14から16までのいずれか1項に記載の蛍光X線分析装置と、
複数の前記評価対象基板ID又は基板内の位置と、前記検出器による比較結果と、を対応付けて算出し保存する評価装置とを有することを特徴とする半導体装置の評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−288016(P2009−288016A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139809(P2008−139809)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】