説明

衝撃剥離強度を有する高強度接着剤

二重結合を含む天然および/または合成のオレフィン性エラストマーおよび加硫剤に基づく熱硬化反応性組成物であって、400〜80000、好ましくは800〜25000の分子量を有する少なくとも1つの液体ポリエン、少なくとも1つのポリエンブロックおよび少なくとも1つの飽和ブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリマー、ならびに、イオウおよび促進剤および/または所望によりキノンオキシムからなる加硫系を含有する組成物が記載されている。これらの組成物は、特に低温において高い引張剪断強度および高い衝撃剥離強度を有し、自動車車体工場組立において1成分の接着剤、シーラントまたは被覆材料として使用するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重結合を含む天然および/または合成オレフィンエラストマーならびに加硫剤に基づく単一成分の高温硬化性反応性組成物、ならびに、自動車製造、特に自動車車体製造における単一成分の接着剤、シーラント、封止コンパウンドまたは被覆材料としての該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
機械構築、自動車製造または装置構築において、特に、航空機構築、鉄道車両構築または自動車製造において、成分および/または複合材料が、接着剤の助けを借りて結合されることが増えている。構造結合のために、接着結合の強度に高い要求が為されている。自動車車体製造において適用するために現在使用されている高強度かつそれと同時に耐衝撃性、耐剥離性および耐衝撃剥離性である接着剤は、これまで主に、エポキシおよびエラストマー修飾したエポキシおよび/またはアクリレートに基づいて知られていた。
【0003】
二重フランジの継目結合および/または重なり結合のためのこれらの高温硬化性の反応性接着剤(ホットメルト接着剤として配合されることも多い)は、油を塗った金属板に適用され、車体工場組立において結合される。ここで使用された接着剤またはシーラントの硬化は、ラッカー乾燥オーブン中で後に行われる。接着および/または封止した部品は、最初に、洗浄、リン酸塩処理および浸漬プライマー処理工程に通される。接着剤および/またはシーラントまたは封止剤は、これらの工程において使用される処理剤によって接着結合から濯ぎ落とされうる。これを防止するために、接着剤、封止剤またはシーラントは、予備硬化メカニズムによって、例えば、誘導加熱炉、車体工場組立オーブン、赤外線ランプによって予備硬化され、そして/または、洗い落とされることなく後の前処理に耐えるようにレオロジー的に相応に調節される。さらに、スポット溶接を用いて車体部品を強化することもできる。接着剤の硬化は、下流のエナメルオーブン[陰極浸漬ラッカー(CDL)、充填剤、トップコートなどのためのもの]の通過中に起こる。
【0004】
欧州特許出願公開EP-A-0308664は、ブタジエン-アクリロニトリルまたは同様のブタジエンコポリマーに基づくカルボキシル基含有コポリマーのエポキシ付加物ならびにエラストマー性プレポリマー(エポキシ樹脂に可溶性または分散性であり、末端イソシアネート基を有する)とポリフェノールまたはアミノフェノールとの反応生成物を含有するエポキシ樹脂組成物およびその後の該付加物とエポキシ樹脂との反応を開示している。さらに、これらの組成物は、1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂を含有することができる。さらに、これらの組成物の硬化のために、アミノ官能性硬化剤、ポリアミノアミド、ポリフェノール、ポリカルボン酸およびその無水物または触媒性硬化剤および適用可能であれば促進剤が提案されている。これらの組成物は、特定の組成物に依存して、高強度、高いガラス転移温度、高い剥離強度、高い衝撃強度または高い耐亀裂生長性を有する接着剤として適すると言及されている。
【0005】
欧州特許出願公開EP-A-338985は、ブタジエン、極性のエチレン性不飽和コモノマーおよび適用可能であれば追加のエチレン性不飽和コモノマーに基づく液体コポリマー、さらに、ジヒドロキシ末端および/またはジアミノ末端のポリアルキレングリコールおよびジイソシアネートならびにモノフェノール、メルカプトアルコールまたは脂肪族ラクタムの反応生成物を含有する修飾エポキシ樹脂を記載している。この文献の教示によれば、これらの組成物を用いてエポキシ樹脂を柔軟化することができる。上記した成分に加えて、これらの組成物は、エポキシ樹脂および硬化剤および/または促進剤をも含有しているべきである。このような混合物は、接着剤、接着フィルム、パッチ、マトリックス樹脂、ラッカーまたは封止コンパウンドとして使用することができる。
【0006】
国際公開WO01/94492は、エポキシ樹脂組成物のための合成成分として、ジカルボン酸の環式無水カルボン酸、無水トリカルボン酸または無水テトラカルボン酸および2官能ポリアミン(特にポリオキシアルキレンアミン)の縮合生成物を記載している。この無水トリカルボン酸または無水テトラカルボン酸に基づく縮合生成物は、分子あたりに平均して1つを超えるイミド基および(1つの)カルボキシル基によって特徴付けられる。適用可能であれば、3官能または多官能ポリオールおよび/または3官能または多官能アミノ末端ポリマーおよび環式無水カルボン酸の縮合生成物が、組成物中に存在することもできる。さらに、これらの組成物は、通常のゴム修飾エポキシ樹脂および液体および/または固体ポリエポキシ樹脂および通常の硬化剤および促進剤および適用可能であれば充填剤およびレオロジー補助剤を含有する。これらの修飾エポキシ樹脂組成物を、自動車製造および電子機器における耐衝撃性、耐衝撃剥離性および耐剥離性の接着剤として使用することが提案されている。これは、特に、これらが非常に低い温度で非常に良好な衝撃および剥離特性を有し、接着結合の非常に良好な耐腐食性および耐老化性を確実にするためである。
【0007】
日本特許出願公開JP2000-313786Aは、成分Aとして(メタ)アクリレートポリマーおよび成分Bとしてエラストマー修飾したアクリレート樹脂を含有する耐衝撃性のアクリル酸組成物を記載している。成分Bは、分散相として平均粒度0.2〜10μmの粒状物質として存在し、これが成分Aの連続相によって囲まれている。成分Aの体積/成分Bの体積の比は0.5〜4であり、成分Aの少なくとも一部は、成分Bの一部に化学結合している。これらの樹脂組成物は、改善された衝撃強度、それと同時に良好な耐老化性を有すると言及されている。
【0008】
同様に、日本特許出願公開JP2000-319475Aは、(メタ)アクリレートコポリマー成分Aおよび修飾ポリウレタンエラストマー成分Bからなる耐衝撃性の樹脂組成物を記載している。ここで、ポリウレタンエラストマー成分Bは、連続相A中の不連続分散相の形態にあり、分散相はミクロ相分離の構造を有する。ここでも、成分Aの少なくとも一部は、成分Bの一部に化学結合している。アクリレートシロップCを、その上に剪断下に重合させて、相分離が続くようにすることが提案されている。これらの樹脂組成物は、耐老化性または耐候性を損なうことなく、改善された衝撃強度を有する。
【0009】
欧州特許出願公開EP0270318A2は、構造接着剤として使用するための修飾された組成物を記載している。これらの接着剤組成物は、モノイソシアネート成分と反応させた、オレフィン性不飽和末端基を含む液体ゴムを含有する。この液体エラストマーを製造するために、カルボキシ末端のポリブタジエンまたはポリブタジエン-アクリロニトリルまたはポリブタジエン-メタクリロニトリル-スチレンコポリマーを、メタクリル酸グリシジルと反応させ、次いで、得られた第二ヒドロキシル基を、モノイソシアネート化合物と反応させることが提案されている。次いで、このように修飾したオレフィン末端基を含む液体エラストマーを、アクリル酸エステル、アクリル酸、スチレン、置換スチレンから選択されるオレフィン性不飽和モノマー、およびフリーラジカル開始剤と混合して、室温硬化性の構造接着剤を得る。このような接着剤組成物は、アクリレートモノマーに基づく他の構造接着剤と比較して、改善された耐老化性および改善された低温特性を有すると言及されている。
【0010】
国際公開WO02/070619は、高い破断点伸びを有する弾性(メタ)アクリレート接着剤組成物を記載している。この文献によれば、この接着剤組成物は、少なくとも1つの1官能(メタ)アクリレートモノマーA(そのホモポリマーまたはコポリマーは40〜140℃のガラス転移温度を有する)を有する。さらに、この組成物は、以下の構造を有する1官能(メタ)アクリレートモノマーBを含有する:
【化1】

ここで、Rは水素またはメチル基であり、R'は水素またはC1〜C3アルキル、特に水素またはエチルであり、R''はC3〜C20アルキル基またはフェノキシ基またはアルコキシ基である。追加の成分として、(メタ)アクリレート基を含む分子量範囲が1000〜9000のエラストマーが、組成物中に存在する。この文献は、それに開示される組成物が、異なる熱膨張係数を有する材料、例えば自動車工業において使用される材料の接着結合に特に適すると言及している。挙げられた例には、トレーラーのサイドパネルの接着結合または直接ガラス工事が含まれる。これらの組成物は、低温において非常に高い衝撃強度を有すると言及されている。
【0011】
上記したエポキシまたは(メタ)アクリレートに基づく接着剤の欠点には、以下のものが含まれる:
・高い原料コスト;
・コード(通常はXiを有する);
・条件付きの油吸収;
・不適当な腐食保護;
・不適当な耐老化性。
【0012】
また、ゴムに基づく高強度接着剤も知られている。
国際公開WO96/23040は、液体ゴム(所望により、部分的に官能基を含むことができる)、固体ゴム、熱可塑性ポリマー粉末およびイオウならびに加硫促進剤に基づく単一成分の高温硬化性構造接着剤を記載している。これらは、金属部品の接着結合に適している。15MPaを超える引張剪断強度を、15%を超える高い破断点伸びと共に得ることができる。これらの接着剤は、本質的に低分子エポキシ樹脂を含まず、特に、自動車工業における車体工場組立において使用するのに適している。
【0013】
国際公開WO99/03946は、ASTM D28に従う環球法で測定して50℃以上の軟化点を有する少なくとも1つの固体EVAコポリマー、オレフィン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの液体反応性可塑剤、および少なくとも1つの過酸化物架橋剤を含有する、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)に基づく熱ポンプ輸送可能な高温硬化性組成物を開示している。この文献の言及によれば、これらの組成物は、自動車製造における大小の継目のための封止剤として適している。発泡剤の使用により、これらを下塗り接着剤として使用することもできる。好ましい使用分野には、自動車製造における車体工場組立が含まれる。
【0014】
国際公開WO02/48252は、天然および/または合成エラストマー(これは液体ポリエンに基づき、オレフィン性二重結合を有する)、および固体ゴム(適用可能であれば)に基づく高温硬化性反応性組成物を開示している。加硫系は、イオウおよび/または金属酸化物および1つまたはそれ以上の有機促進剤(環中に少なくとも2個の窒素原子を含む1つまたはそれ以上の複素環式化合物を含有する)からなる。これらの組成物は、イオウおよびイオウ化合物による臭気の悩みを回避および/または大きく減少させながら加硫することができる。これらの組成物は、特に自動車製造において、接着剤、シーラントまたは被覆組成物として適すると言及されている。
【0015】
国際公開WO02/48255は、通常の液体ポリエンに加えて、少なくとも1つの液体cis-1,4-ポリイソプレン(20,000〜70,000の分子量を有する)ならびにイオウ、促進剤およびキノンオキシムからなる加硫系を含有する、オレフィン性二重結合を有する天然および/または合成の液体エラストマーならびに加硫剤に基づく高温硬化性反応性組成物を開示している。これらの接着剤は、プラスチゾル様の流れ挙動を有するので、通常の噴霧装置を用いて室温で適用することができる。これらの組成物は、継目シーラントおよび封止コンパウンドとして、下塗り接着剤として、および構造接着剤として、例えば二重フランジ継目接着剤として適すると言及されている。
【0016】
しかし、上記した当分野で最新のゴムに基づく高強度接着剤は欠点を有している。即ち、これらは、特に低温で衝撃強度特性を有していない。これは、恐らくは高度の架橋のゆえに、特に低温でこれらが脆くなるためであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、自動車車体製造における適用のために使用することができ、かつ必須成分としてエポキシ樹脂または(メタ)アクリレート樹脂を含有しない、高強度かつ同時に耐衝撃性、耐剥離性および耐衝撃剥離性の接着剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的を達成するための本発明のアプローチは、特許請求の範囲に記載されている。本質的に、それは、オレフィン性二重結合を有する天然および/または合成エラストマーならびに加硫剤に基づく単一成分の高温硬化性反応性組成物であって、
(a)400〜80,000、好ましくは800〜25,000の分子量を有する少なくとも1つの液体ポリエン、
(b)少なくとも1つのポリエンブロックおよび少なくとも1つの飽和ブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリマー、および
(c)イオウおよび促進剤および/またはキノンオキシム(適用可能であれば)の加硫系、
を含有する組成物を提供することからなる。
好ましい態様において、ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックは、−30℃未満のガラス転移温度を有する。
【0019】
本発明の別の対象は、自動車車体製造における単一成分の接着剤、シーラント、被覆組成物または封止コンパウンドとしての、上記した高温硬化性反応性組成物の使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
液体ポリエンまたはエラストマー(a)は、分子あたりに少なくとも1つのオレフィン性不飽和二重結合を含んでいる。これらは、以下のホモポリマーおよび/またはコポリマーの群から選択することができる:
ポリブタジエン、特に1,3-または1,2-ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1,4-および3,4-ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンコポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー。ここで、1つまたはそれ以上のこれらポリマーは、末端および/または(ランダム分布した)側鎖官能基を有することができる。このような官能基の例には、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、無水カルボン酸基またはエポキシ基が含まれる。これら液体ゴムの分子量は、通常は80,000未満および400以上、好ましくは800〜25,000である。全組成物中の液体ゴムの量は、未硬化組成物の所望のレオロジーおよび複合体の所望の機械的剛性または強度および所望の完全硬化組成物の音響減衰特性に依存する。液体ゴムおよび/またはエラストマーの量は、通常は全配合物の2〜55重量%の間で変化する。ここで、好ましくは、異なる分子量および異なる配置(残存二重結合に関して)の液体ゴムの混合物を使用するのが好都合であることがわかった。さらに、使用するコポリマーは、ブロックコポリマーならびにコモノマーのランダム分布を有するコポリマーであってよい。種々の基材への最適接着を達成するために、ヒドロキシル基および/または無水基を含む液体ゴム成分を、特に好ましい配合物において、一定量で使用する。
【0021】
さらに、本発明の接着剤組成物は、ある量の固体ゴムを含有することもできる。適する固体ゴムは、液体ゴムと比較して、有意に高い分子量(Mw=100,000またはそれ以上)を有する。適するゴムの例には、ポリブタジエン、好ましくは大量のcis-1,4-二重結合(通常は95%以上)を有するポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、合成または天然イソプレンゴム、ブチルゴムまたはポリウレタンゴムが含まれる。固体ゴムの量は、18重量%まで、好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1.4〜12重量%であってよい。
【0022】
ブロックコポリマー(b)は、AB、ABAまたはBAB型のブロックコポリマーであってよい(ここで、Aはポリエンブロックであり、Bは飽和ブロックである)。また、ブロックコポリマー(b)は、3つを超えるコモノマーブロックAおよびBを含むこともでき、これらは、例えば、ABABA構造またはさらに高級ブロック構造を有することができる。また、グラフトコポリマーを、ブロックコポリマー(b)として使用することもできる。飽和ブロックは、室温以下のガラス転移温度(Tg)を有しているべきであり、このTgは、好ましくは−30℃以下であるべきである。
【0023】
ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックは、好ましくは、エチレン-プロピレン-ジエン単位(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル単位(EVA)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリスチレンコポリマー単位または水素化アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーに基づく単位から構成される。ポリオキシアルキレン、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテル修飾したポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-プロピレン)、ポリ(エチレン-ブチレン)またはポリイソブチレン単位、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)、SEEPS(スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)またはSEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)コポリマー単位のブロックが特に好ましい。
【0024】
ポリオキシアルキレンの具体例には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシブチレン(ポリテトラヒドロフラン)ならびにエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒドロフランのコポリマーが含まれる。特に、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサンまたはポリジプロピルシロキサンを、ポリジアルキルシロキサンブロックとして使用することができ、主にポリジフェニルシロキサンを、ポリジアリールシロキサンとして使用することができ、そして、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリエチルフェニルシロキサン、ポリプロピルフェニルシロキサンを、ポリアルキルアリールシロキサンとして使用することができる。
【0025】
ブロックコポリマー(b)の不飽和ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはブチルゴム単位ならびにブタジエンおよび/またはイソプレンとスチレンおよび/またはアクリロニトリルとのコポリマー単位、またはアクリル酸エステルとジエンとのコポリマー単位から構成される。ブロックコポリマーの不飽和ブロックは、800〜15,000、好ましくは1200〜9000の分子量範囲を有し、飽和ブロックは、500〜90,000、好ましくは1000〜40,000の分子量範囲を有する。不飽和ブロック:飽和ブロックの重量比(それぞれ、各ブロック全ての合計)は、広範囲に変化することができ、好ましくは100:1〜1:20である。
【0026】
上記および下記の分子量範囲の記述の全ては、他に特記することがなければ、数平均分子量である。
【0027】
ブロックコポリマーおよび/またはグラフトコポリマーは、液体および/または粘稠な分岐および/または未分岐のポリエンと、限定された程度でのみイオウで架橋されうるかまたは全く架橋されないポリマーとの反応によって得られる。ポリエンは、末端に分布および/またはポリマー鎖中にランダムにまたは規則的に分布している追加の官能基を含むことができる。限定された程度でのみイオウで架橋されうるかまたは全く架橋されないポリマーブロックは、本質的に飽和ポリマーである。これらは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、ビニル基、無水基、イソシアネート基、カルボニル基またはエポキシ基などの官能基を有することもできる。上記した官能基を、ブロックコポリマー構造および/またはグラフトコポリマー構造の合成のために少なくとも比例的に使用して、縮合反応または付加反応によってブロックを形成することができる。しかし、ブロックコポリマーを、フリーラジカル反応によって形成することもできる。全ての場合において、助剤として触媒または開始剤を使用することが必要であろう。
【0028】
本発明の意味において、イオウによって架橋されない飽和ポリマーブロック/熱可塑性ブロックには、例えば、以下のものが含まれる:
・官能性末端基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水基、アミン基、ビニル基、カルボニル基、イソシアネート基、エポキシ基)を含むポリオレフィン、
・EPDM、
・EVA、
・ポリエーテル、
・ポリエステル、
・ポリアミド、
・ポリイミド、
・ポリウレタン、
・ポリスチレン、特にアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、
・イソシアネートプレポリマー、
・官能性末端基(例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、無水、アミン、ビニル、カルボニル、イソシアネートなど)を含むポリアクリレート、
・上記した官能性末端基を含むかまたは含まないポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン(ポリシロキサンの粘度は、22℃で200mPas〜100,000Pasである)、
・PVC、
・熱可塑性ポリウレタン(TPU)。
【0029】
コポリマー中の熱可塑性樹脂の%量は、80%までであってよい。
上記したポリマーブロックは、直鎖および/または分岐鎖であってよく、また、鎖末端にまたはポリマー鎖中に分布して上記した種類の追加の官能基を含むこともできる(適用可能であれば)。また、上記ポリマーの混合物も可能である。
【0030】
さらに、本発明の単一成分の高温硬化性反応性組成物は、イオウおよび促進剤および/またはキノンオキシム(適用可能であれば)からなる加硫系を含有する。
【0031】
種々の元素イオウと組合せた加硫剤ならびに遊離イオウを含まない加硫系が、加硫系に適している。この後者には、チウラムジスルフィド、有機過酸化物、多官能アミン、キノン、p-ベンゾキノンジオキシム、p-ニトロソベンゼンおよびジニトロソベンゼンに基づく加硫系、さらに(ブロック化)ジイソシアネートによる架橋が含まれる。しかし、特に元素イオウおよび有機加硫促進剤ならびに亜鉛化合物に基づく加硫系が最も好ましい。粉末イオウは、全組成物を基準に4〜25%の量で使用され、ここで、7〜14%の量の使用が特に好ましい。適する有機促進剤には、ジチオカルバメート(そのアンモニウム塩および/または金属塩の形態にある)、キサントゲン酸塩、チウラム化合物(モノスルフィドおよびジスルフィド)、チアゾール化合物、アルデヒド/アミン促進剤(例えば、ヘキサメチレンテトラミン)ならびにグアニジン促進剤;ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、その亜鉛塩(ZMBT)、ジベンジルジチオカルバミド酸亜鉛(ZBEC)、N-シクロヘキシルベンゾジチアジルスルフェンアミド(CBS)またはジフェニルグアニジンが含まれる。接着剤の特に高い熱安定性および戻り強度を達成するために、加硫混合物は、2官能架橋剤を含有することもできる。その具体例には、2官能ジチオカルバメート、例えば、1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンに基づく架橋剤が含まれる。
【0032】
本発明によれば、元素イオウ、上記した有機促進剤およびキノンジオキシムからなる混合加硫系を使用することもできる。その例はp-ベンゾキノンジオキシムであるが、他のキノンジオキシムを、上記したイオウ系と組合せて使用することもできる。これらの有機促進剤は、全配合物を基準に、0.25〜5.5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の量で使用する。促進剤として作用する亜鉛化合物については、脂肪酸の亜鉛塩、ジチオカルバミド酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、および特に微細分割した酸化亜鉛の中から選択することができる。亜鉛化合物の含量は、0.5〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲内である。さらに、他の通常のゴム加硫補助剤、例えば脂肪酸(例えばステアリン酸)が、配合物中に存在していてもよい。
【0033】
さらに、本発明の組成物は、ゴムブレンドにおいて普通に使用される充填剤、促進剤、架橋剤、例えばイオウおよび/または過酸化物、酸化防止剤、補助活性化剤および他の触媒、カーボンブラック、発泡剤、油、老化保護剤、繊維、さらに適用可能であればグラファイト、レオロジー補助剤、接着プロモーター、顔料および熱可塑性ポリマーを含有することもできる。
【0034】
充填剤は、種々の物質から選択することができ、ここで挙げるべき充填剤には、特に白亜、天然または粉砕炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、ケイ酸塩、タルク、重晶石およびカーボンブラックが含まれる。充填剤の少なくとも一部が表面前処理されているのが好都合であろう。特に、完全硬化した組成物の水分感受性を低下させるためおよび付着水分を減少させるためのステアリン酸による被覆が、種々の炭酸カルシウムおよび/または白亜に好都合であることがわかった。本発明の組成物は、0〜8重量%、好ましくは1〜6重量%の酸化カルシウムを含有することもできる。配合物中の充填剤の合計量は、10〜70重量%の間で変化することができ、好ましい範囲は20〜60重量%である。
【0035】
通常の安定剤または老化保護剤、例えば、立体障害フェノール[例えば、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)]またはアミン誘導体を、本発明の組成物の熱分解、熱酸化分解またはオゾン分解に対して使用することができ、安定剤の通常の量範囲は、0.1〜2重量%である。
【0036】
本発明の組成物のレオロジーを、充填剤の選択および低分子液体ゴムの量比により所望の範囲にすることもできるが、通常のレオロジー補助剤、例えば、熱分解ケイ酸、ベントン、またはフィブリル化もしくはパルプ短繊維を、0.1〜7%の範囲で添加することもでき、また、例えばブランド名 Rilanit (Cognis Co.)として知られる水素化ヒマシ油誘導体を添加することもできる。さらに、他の通常の補助剤および添加剤を、本発明の組成物において使用することもできる。
【0037】
硬化操作中の発泡を達成するために、原則的に全ての通常の発泡剤を使用することができるが、アゾ化合物、N-ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジドまたはスルホニルセミカルバジドの群からの有機発泡剤が好ましい。本発明に従って使用されるアゾ化合物の例には、アゾビスイソブチロニトリル、特にアゾジカーボンアミドが含まれ、ニトロソ化合物の群からは、ジニトロソペンタメチレンテトラミンが例として挙げられ、スルホヒドラジドの群からは、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホヒドラジドまたはベンゼン-1,3-ジスルホヒドラジドが挙げられ、そして、セミカルバジドの群からは、p-トルエンスルホニル-セミカルバジドが挙げられる。
【0038】
上記した発泡剤に代えて、いわゆる発泡性微小球、即ち、低沸点有機液体を含浸および/または充填した未発泡の熱可塑性ポリマー粉末を使用することができる。このような微小球は、例えば、欧州特許出願公開EP-A-559254、EP-A-586541またはEP-A-594598に記載されている。好ましくはないが、既に発泡した微小球を、使用および/または一緒に使用することもできる。適用可能であれば、これらの発泡性/発泡した微小球を、上記した「化学」発泡剤と任意の量比で組合せることができる。化学発泡剤は、発泡性組成物において、0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%の量で使用することができ、微小球は、0.1〜4重量%、好ましくは0.2〜2重量%の量で使用される。
【0039】
原則的に本発明の組成物は、官能基を含む液体ゴムの好ましい存在のゆえに、既に非常に良好な基材への接着を有するが、必要なら、粘着付与剤および/または接着プロモーターを添加することができる。適する例には、炭化水素樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、レゾルシノール樹脂またはその誘導体、修飾または未修飾の樹脂酸および/またはエステル(アビエチン酸誘導体)、ポリアミン、ポリアミノアミド、無水物および無水物を含むコポリマーが含まれる。また、少量のポリエポキシ樹脂の添加は、多くの基材との接着を改善することができる。しかし、そのときには700以上の分子量を有する固体エポキシ樹脂を、微細粉砕した形態で使用するのが好ましい。粘着付与剤および/または接着プロモーターを使用するときには、その種類および量は、ポリマー組成物および該組成物が適用される基材に依存する。通常の粘着付与樹脂(粘着付与剤)、例えば、テルペンフェノール樹脂または樹脂酸誘導体は、5〜20重量%の濃度で使用し、通常の接着プロモーター、例えば、ポリアミン、ポリアミノアミド、フェノール樹脂またはレゾルシノール誘導体は、0.1〜10重量%の範囲で使用する。
【0040】
本発明の組成物は、好ましくは、可塑剤およびエキステンダー油を含まない。しかし、いわゆるエキステンダー油、即ち、脂肪族、芳香族またはナフテン油の添加によって、未硬化組成物のレオロジーおよび/または硬化した組成物の機械的特性に影響を与えることが必要になることもある。しかし、この影響は、好ましくは、低分子液体ゴムの好都合な選択によって、または低分子ポリブテンまたはポリイソブチレンの混合使用によって達成される。エキステンダー油を使用するときには、2〜15重量%の範囲の量を使用する。
【0041】
高強度、耐剥離性および耐衝撃剥離性のゴムブレンドを得るために、本発明の組成物は、好ましくは以下の成分を含有する(量は重量%):
【表1】

【0042】
さらに、他の充填剤、例えば、グラファイト、タルク、ケイ酸塩、アルミナ、繊維および熱可塑性ポリマーを含有させることもできる。全成分の合計は、それぞれ100重量%である。
【0043】
本発明の高温硬化性の単一成分反応性接着剤は、これまで既知の接着剤と同様に車体工場組立において、例えば、二重フランジの継目結合または重なり結合のために使用することができる。これらは、油を塗った金属板、例えば、自動車車体製造において使用される金属板に適用することができる。次いで、部品を一緒に結合する。通常、本発明の組成物は、予備硬化メカニズム、例えば、予備硬化のための誘導加熱、車体工場組立オーブンまたはIRランプを必要としない。これは、本組成物が、これまで既知のゴム組成物と同様にスクラバー耐性であるためである。これまで既知のゴム組成物と比較すると、本組成物は、非常に高い弾性を有し、接着結合において衝撃剥離エネルギーおよび/または衝撃剥離仕事の形態の高エネルギーを吸収することができる。特に、本発明のゴム組成物は、低温であっても、硬化した状態で非常に良好な衝撃剥離特性を有する。これらの特性は望ましいものであり、構造的に結合した成分は、事故の場合であっても自動車製造における最新の安全性要件(圧壊性能)にも適合するであろう。
【0044】
本発明の組成物は、高い剪断作用を有する混合装置において、既知のようにして製造することができる。これらには、例えば、混練機、遊星形ミキサー、内部ミキサー、いわゆるバンバリーミキサーおよび当業者に知られる同様の混合装置が含まれる。
【実施例】
【0045】
以下の例示態様において、本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例の選択は、本発明の対象の範囲の限定を意図するものではない。
【0046】
ポリエンと非イオウ架橋性のポリマー/熱可塑性樹脂からのブロックコポリマーおよび/またはグラフトブロックコポリマーの製造:
(M1)無水マレイン酸修飾したcis-1,4-ポリブタジエン(Mw=2100g/モル)(800g)を、反応容器において、ポリオレフィンポリオール(Mn=3500g/モル)(200g)と混合した。撹拌および85℃に加熱しながら、反応混合物を反応させ、次いで冷却した。ブロックコポリエステルの不透明な粘稠混合物が得られた。
(M2)無水マレイン酸修飾したcis-1,4-ポリブタジエン(Mw=2100g/モル)(800g)を、反応容器において、ポリオレフィンポリオール(Mn=3500g/モル)(200g)と混合し、0.04%のイソオクタン酸カリウムを加えた。撹拌しながら、反応混合物を85℃に加熱し、反応させた。次いで、これを冷却し、ブロックコポリエステルの不透明な粘稠混合物を得た。
【0047】
(S1)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=1000mPas、ビニル含量 約0.13mモル/g、Mn 約5200)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
(S2)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(300g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=1000mPas、ビニル含量 約0.13mモル/g、Mn 約5200)(100g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
【0048】
(S3)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=200mPas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約3300)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
(S4)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=10Pas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約37,000)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
【0049】
(S5)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=165Pas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約90,000)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
(S6)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、ビニル側鎖基を含む直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=1000mPas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約5500)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
【0050】
(S7)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=5000g/モル)(500g)を、反応容器において、ビニル側鎖基を含む直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=10Pas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約37,800)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
(S8)cis-1,4-ポリブタジエン(Mn=9000g/モル)(500g)を、反応容器において、直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサン(粘度=165Pas、ビニル含量 約0.3mモル/g、Mn 約90,000)(50g)と混合した。撹拌しながら、適当な過酸化物(0.1%)を加え、混合物を、窒素雰囲気下に170℃で30分間加熱した。ブロックコポリマーの不透明な粘稠混合物が得られた。
【0051】
実施例1〜17:接着剤組成物
実施例1(比較)
【表2】

【0052】
実施例2(比較、ゴムブレンド中に遊離ポリジメチルシロキサン)
【表3】

【0053】
実施例3(本発明)
【表4】

【0054】
実施例4(本発明):
【表5】

【0055】
実施例5(本発明):
【表6】

【0056】
実施例6(本発明):
【表7】

【0057】
実施例7(本発明):
【表8】

【0058】
実施例8(本発明):
【表9】

【0059】
実施例9(本発明):
【表10】

【0060】
実施例10(本発明):
【表11】

【0061】
実施例11(本発明):
【表12】

【0062】
実施例12(本発明):
【表13】

【0063】
実施例13(本発明):
【表14】

【0064】
実施例14(本発明):
【表15】

【0065】
実施例15(本発明):
【表16】

【0066】
実施例16(本発明):
【表17】

【0067】
実施例17(本発明):
【表18】

【0068】
上記した実施例1〜17のゴム組成物を用いて、引張剪断強度および衝撃剥離強度(衝撃剥離エネルギー)の測定のために、金属板から試験物体を調製した。接着剤混合物を硬化させるために、この試験物体を、再循環空気乾燥キャビネットにおいて、175℃で25分間完全硬化させた。室温での引張剪断強度ならびに室温、−20℃および−40℃での衝撃剥離エネルギー(ISO 11343に従う)の測定結果を、以下の表に挙げる:
【0069】
【表19】

【0070】
上記した表中の引張剪断強度および衝撃剥離エネルギーの値から、本発明の接着剤組成物が、当分野で同等のゴム組成物と比較して、特に低温で、例えば−20℃または−40℃で、高い引張剪断強度ならびに衝撃剥離エネルギーの値を確実にすることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン性二重結合を有する天然および/または合成エラストマーならびに加硫剤に基づく単一成分の高温硬化性反応性組成物であって、
(a)400〜80,000、好ましくは800〜25,000の分子量を有する少なくとも1つの液体ポリエン、
(b)少なくとも1つのポリエンブロックおよび少なくとも1つの飽和ブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリマー、
(c)イオウおよび促進剤および/またはキノンオキシムを含む加硫系、
を含有する組成物。
【請求項2】
ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックが、−30℃未満のガラス転移温度を有する請求項1に記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項3】
ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックが、EPDM、EVA、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリスチレン単位または水素化アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーに基づく単位から構成される請求項1または2に記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項4】
ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックが、ポリオキシアルキレン、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテル修飾したポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-プロピレン)、ポリ(エチレン-ブチレン)またはポリイソブチレン単位、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)、SEEPS(スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)またはSEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)コポリマー単位から構成される請求項1または2に記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項5】
ブロックコポリマー(b)の不飽和ブロックが、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはブチルゴム単位ならびにブタジエンおよび/またはイソプレンとスチレンおよび/またはアクリロニトリルとのコポリマー単位、アクリル酸エステルとジエンとのコポリマー単位から構成される請求項1〜4のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項6】
ブロックコポリマー(b)の不飽和ブロックが、800〜15,000、好ましくは1200〜9000の分子量範囲を有する請求項1〜5のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項7】
ブロックコポリマー(b)の飽和ブロックが、500〜90,000、好ましくは1000〜40,000の分子量範囲を有する請求項1〜5のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項8】
ブロックポリマー(b)が、無水マレイン酸修飾したポリブタジエンを、末端ヒドロキシルまたはアミノ基を含むポリジアルキルシロキサン、末端ヒドロキシルまたはアミノ基を含むポリジアリールシロキサン、末端ヒドロキシルまたはアミノ基を含むポリアルキルアリールシロキサン、ポリオキシアルキレンジオール、OH末端ポリオレフィン、特に、ポリ(エチレン-プロピレン)-、ポリ(エチレン-ブチレン)-またはポリイソブチレンジオールと反応させることによって製造される請求項1〜7のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項9】
ブロックコポリマー(b)が、ポリブタジエンを、末端および/または側鎖ビニル基および/またはアクリレート基を含むポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサンまたはポリアルキルアリールシロキサンと反応させることによって製造される請求項1〜7のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項10】
cis-1,4-ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、合成イソプレンゴム、天然ゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴムまたはポリクロロプレンからなる群からの少なくとも1つの固体ゴムをさらに含有する請求項1〜9のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー粉末をさらに含有する請求項1〜10のいずれかに記載の単一成分の高温硬化性反応性組成物。
【請求項12】
イオウ、有機加硫促進剤および亜鉛化合物からなる加硫系を、硬化のために使用する請求項1〜11のいずれかに記載の高温硬化性組成物。
【請求項13】
加硫系が、全組成物を基準に、4〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の粉末イオウ、0.25〜8重量%、好ましくは0.4〜6重量%の有機促進剤、および0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%の亜鉛化合物、好ましくは酸化亜鉛からなる請求項12に記載の高温硬化性組成物。
【請求項14】
充填剤、レオロジー補助剤、エキステンダー油、発泡剤、顔料、接着プロモーターおよび/または老化保護剤をさらに含有する請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
自動車車体製造における単一成分の接着剤、シーラントまたは被覆コンパウンドとしての、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2009−531480(P2009−531480A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501874(P2009−501874)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000771
【国際公開番号】WO2007/110119
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】