説明

表示装置、その製造方法、および電子機器

【課題】任意のアドレス行で切断することで、任意のサイズの表示装置を簡便に実現する。
【解決手段】少なくとも第2の配線5を駆動する第2の駆動回路7と画素PX(1,1),PX(1,2),…、PX(n,m)とを同一の基板1上に有した表示装置であって、第2の駆動回路7は検出線73と判定回路72と出力回路74とを有した複数の単位回路70から成り、出力回路74は判定回路72からの信号に従って出力信号を変えることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、その製造方法、およびそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレキシブル・ディスプレイを、ポスターや看板などのサイネージ用ディスプレイや、印刷紙やノートの代替として用いる試みが活発になっている。そうした用途においては、表示画面のサイズや形状が多種多様であることが求められる。これらフレキシブル・ディスプレイを含む現在の表示装置においては表示画面のサイズや形状が固定された仕様の表示装置を各種用意することで、そうした要望を満たそうとしているが、十分では無い。
【0003】
例えば通常の印刷紙を一例として挙げると、レターサイズ(215.9×279.4mm)とA4サイズ(210×297mm)とは明らかに異なるサイズであり、印刷物と1:1に対応する夫々の規格の表示装置を望むのは当然のことに思える。しかし表示装置の供給者からみると、多品種の生産による製造コストの増大や在庫の増大等の経済面でのデメリットが大きいため、この程度の仕様の違いでわざわざ異なる仕様のディスプレイを用意することは非効率である。このため、設計を大きく変えることなく、要望に合わせて画面サイズや形状を変更可能な表示装置が求められている。
【0004】
画面サイズや形状を任意に変更可能な表示装置を実現する目的で、例えばスクライブ機を用いた切断方法で表示装置を切り出した場合、その切断面に存在する画素、配線や駆動回路等が欠損して不適切に動作し、表示装置が正常に動作しなくなることがある。
【0005】
従来、基板の欠損を処置する方法としては、特許文献1に記載の半導体基板の様に、保護すべき回路を囲った検出用の配線と検出回路とを用い、その検出結果に基づいて欠損があった場合には保護すべき回路からの信号出力を停止させる方法が知られていた。
同様の機能を有した表示装置としては、表示装置を構成する基板の外周沿って配線を設けその導通状態を監視することで基板の割れ欠けを検出し、表示動作を停止する液晶表示装置が容易に考えられ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−31230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら技術を用いて任意の画面サイズや形状に変更可能な表示装置を実現しようとすると、その切断箇所自体が存在することで表示装置全体が不良であるかの様にみなされ、表示装置としての機能を停止してしまうという問題があった。故に、任意の画面サイズや形状に変更可能な表示装置が実現できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る表示装置は、複数の第1の配線と複数の第2の配線と前記第1及び第2の配線の交点に対応して夫々設けた、画素電極を有する複数の画素と、前記複数の画素のうち少なくとも2つ以上の画素に対応して共通に設けた少なくとも1つの共通電極と、前記複数の第1の配線を駆動する第1の駆動回路と、前記複数の第2の配線を駆動する第2の駆動回路とを含む表示装置であって、少なくとも前記第1の駆動回路は前記画素と同一基板上にあり、少なくとも前記第1の駆動回路は検出線と判定回路と出力回路とを有した複数の単位回路から成り、前記出力回路は前記判定回路からの信号に従って出力信号を変えることを特徴とする。
【0010】
このため、単位回路の一部が破損したとしてもその他の単位回路の表示動作を妨げることが無いため、任意の場所で駆動回路を切り出すことができ、少なくとも第1の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できるという効果を有する。
【0011】
[適用例2]上記適用例に記載の表示装置は、前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、(i+1)番目の前記単位回路(iは任意の自然数)はi番目の前記単位回路より前記第1の方向に配置され、前記i番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲と、前記(i+1)番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲とが重なることが好ましい。
【0012】
このため、単位回路が第2の方向に対して斜めに破損したとしても、保護すべき単位回路の検出線が走査方向に延伸しているので距離的な余裕を持って破損を検出でき、確実に表示できるという効果を有する。
【0013】
[適用例3]上記適用例に記載の表示装置は、前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、前記画素は夫々画素電極と前記画素電極を駆動する駆動部とを含んで構成され、前記n番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲が、前記n番目の単位回路が駆動する前記n行目またはn列目の画素の、前記画素電極または前記駆動部の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲よりも、前記第1の方向に延伸することが好ましい。
【0014】
このため、単位回路が第2の方向に対して斜めに破損したとしても、保護すべき単位回路の検出線が走査方向に延伸しているので距離的な余裕を持って破損を検出でき、確実に表示できるという効果を有する。
【0015】
[適用例4]上記適用例に記載の表示装置は、前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、前記検出線の配置範囲は、前記第2の方向に並ぶ前記複数の画素の少なくとも一部または全部を含んでいることが好ましい。
【0016】
このため、画素が第2の方向に対して斜めに破損したとしても、対応する単位回路の検出線がその複数の画素を囲っているため確実に破損を検出でき、確実に表示できるという効果を有する。
【0017】
[適用例5]上記適用例に記載の表示装置は、前記検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲の中心を、前記検出線の開放箇所より前記第1の方向に配置することが好ましい。
【0018】
このため、開放箇所には検出線の配置の必要が無くなり、単位回路をより密に配置することができ、挟ピッチの駆動回路および高精細な表示装置を実現できるという効果を有する。
【0019】
[適用例6]上記適用例に記載の表示装置は、前記画素は夫々の画素電極と前記画素電極を駆動する駆動部とを含んで構成され、前記第2の方向に並ぶ1行の画素群の、前記画素電極または前記駆動部の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲に対して、前記1行の画素群に信号を供給する前記単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲が前記第1の方向に延伸する距離をDとし、前記表示装置の前記第1の方向に面した辺の、前記第1の方向に対する角度を90+θ[°]とし、前記画素群のうち、表示に寄与する画素領域の前記第2の方向に対する長さをL1とし、前記画素領域の前記第1の方向に対する長さをL2としたとき、L1×tanθ<D<L2の条件を満たすことが好ましい。
【0020】
このため、前記角度を予め設定して表示装置を設計すれば距離Dを必要最小限に設定して検出線を配置することができ、挟ピッチの駆動回路および高精細な表示装置を実現できるという効果を有する。また、単位回路が第2の方向に対して斜めに破損したとしても、保護すべき画素の破損を確実に検出でき、確実に表示できるという効果を有する。
【0021】
[適用例7]上記適用例に記載の表示装置は、前記判定回路は前記検出線の電気的開放状態を検出して判定し、前記出力回路は、前記判定の結果に基づいてその出力動作を、前記画素に表示のための信号を与える第1の出力動作から、前記画素を非表示とする第2の出力動作へと切り替えることが好ましい。
【0022】
このため、破損のある前記単位回路の動作を不定にすること無く、破損箇所に起因する表示異常をなくせるという効果を有する。
【0023】
[適用例8]上記適用例に記載の表示装置は、前記複数の第1の配線は前記画素の信号線であって、前記第1の駆動回路は前記信号線を駆動する信号線駆動回路であって、前記出力回路は前記判定の結果に基づいて、像情報に基づく信号を前記信号線に与える前記第1の出力動作から、前記共通電極と同じ電圧を前記信号線に与える、または、前記画素電極と前記共通電極とを略同電圧にするための信号を前記信号線に与える前記第2の出力動作へと切り替えることが好ましい。
【0024】
このため、信号線駆動回路の単位回路の一部が破損したとしてもその他の単位回路の表示動作を妨げることが無いため、任意の場所で信号線駆動回路を切り出すことができ、少なくとも信号線駆動回路の走査方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できるという効果を有する。
【0025】
[適用例9]上記適用例に記載の表示装置は、前記複数の第1の配線は前記画素の走査線であって、前記第1の駆動回路は前記走査線を駆動する走査線駆動回路であって、前記出力回路は前記判定の結果に基づいて前記画素を表示させるためのパルス信号を前記走査線に与える前記第1の出力動作から、前記画素電極と前記共通電極とを略同電圧にするための信号を前記走査線に与える前記第2の出力動作へと切り替えることが好ましい。
【0026】
このため、走査線駆動回路の単位回路の一部が破損したとしてもその他の単位回路の表示動作を妨げることが無いため、任意の場所で走査線駆動回路を切り出すことができ、少なくとも走査線駆動回路の走査方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できるという効果を有する。
【0027】
[適用例10]上記適用例に記載の表示装置は、前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、前記判定回路の配置領域の前記1の方向から見た前記2の方向に対する射影範囲は、前記検出線の配置領域の前記1の方向から見た前記2の方向に対する射影範囲に含まれ、前記検出線の配置領域の前記2の方向から見た前記1の方向に対する射影範囲の中心は、前記判定回路の配置領域の前記2の方向から見た前記1の方向に対する射影範囲の中心より、第1の方向に配置することが好ましい。
【0028】
このため、検出線が切断されるより前に判定回路が切断されることが無いことから確実な切断箇所の検出ができ、切断箇所に起因する所望しない表示を防止できるという効果を有する。
【0029】
[適用例11]上記適用例に記載の表示装置は、前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記表示装置に電力及び信号を供給する実装部の少なくとも一部は、前記第1の駆動回路よりも、前記表示装置の前記第1の方向に面した辺とは相対する辺に近く配置されることが好ましい。
【0030】
このため、第1の駆動回路が第1の方向のどこで破損したとしても実装部からの信号及び電力の供給が遮断されること無く、破損箇所の前までは正常に動作でき、第1の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できるという効果を有する。
【0031】
[適用例12]本適用例に係る電子機器において、上記適用例に記載の表示装置を備えることが好ましい。
【0032】
このため、上記表示装置を備えているので、任意の表示画面の大きさを有する、テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、電子手帳、ワードプロセッサー、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル、腕時計、電子ペーパー、電子ノートなどの各種電子機器を実現できるという効果を有する。
【0033】
[適用例13]本適用例に係る製造方法は、上記適用例1に記載の表示装置を製造する製造方法であって、複数の画素と第1の駆動回路とを基板上に少なくとも形成する第1の工程と、前記基板を切断する第2の工程と、切断後の前記基板上に電気光学材料を含む部材を重ねる第3の工程と、共通電極を含む部材を重ねる第4の工程と、前記電気光学材料を封止する第5の工程と、第2の配線を駆動する第2の駆動回路を設ける工程と、を含むことが好ましい。
【0034】
このため、第3の工程で使用する電気光学材料を含む部材または第4の工程で使用する共通電極を含む部材は、第2の工程で切断した後の基板の大きさに合わせて量を用意すれば良く、その使用量を必要最小限にすることができるという効果を有する。
【0035】
[適用例14]本適用例に係る製造方法は、上記適用例1に記載の表示装置を製造する製造方法であって、複数の画素と第1の駆動回路とを基板上に少なくとも形成する第6の工程と、前記基板上に電気光学材料を含む部材を重ねる第7の工程と、共通電極を含む部材を重ねる第8の工程と、前記基板を切断する第9の工程と、前記電気光学材料を封止する第10の工程と、第2の配線を駆動する第2の駆動回路を設ける工程と、を含むことが好ましい。
【0036】
このため、第8の工程が終了した時点における基板は、第9の工程後の表示装置の大きさに関わらず共用にすることができ、異なる大きさの表示装置毎に仕掛り在庫を持つ必要が無く、経済性が高いという効果を有する。また、第8の工程で、基板と電気光学材料を含む部材と共通電極を含む部材とを含む積層体が出来ており、その後の工程で少なくともその積層体内には不要な塵などが入り込まないため、高歩留りな製造方法を実現できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1に係る表示装置の例を説明する図。
【図2】実施形態1に係る画素の第1の構成例を説明する図。
【図3】実施形態1に係る画素の第2の構成例を説明する図。
【図4】実施形態2に係る、第2の駆動回路7及び単位回路70の回路構成の例と、基板1内の大凡の配置とを模式的に説明する図。
【図5】実施形態2に係る、単位回路70の具体的な回路構成例と、基板1内の大凡の配置とを模式的に説明する図。
【図6】実施形態3に係る、第1の駆動回路6及び単位回路60の回路構成の例と、基板1内の大凡の配置とを模式的に説明する図。
【図7】実施形態4および実施形態5に係る、基板1の配置例を説明する概略回路図。
【図8】実施形態5に係る、具体的な配置上の制約を説明する概略回路図。
【図9】実施形態5に係る、図7及び図8の画素の一部の具体的なレイアウトを説明する平面図。
【図10】実施形態5に係る、図9のA−A’断面を模式的に示す部分断面図。
【図11】実施形態6に係る、表示装置のその他の配置例の一つを説明する概略回路図。
【図12】実施形態7に係る、基板1の切断箇所と表示装置の配置関係を説明する概略平面図。
【図13】製造方法1の一例を示す工程流れ図。
【図14】(a)〜(e)は、製造方法1の一例を説明する断面図。
【図15】製造方法2の一例を示す工程流れ図。
【図16】(a)〜(e)は、製造方法2の一例を説明する断面図。
【図17】電子ペーパー400の構成を示す斜視図。
【図18】電子ノート500の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。
【0039】
(実施形態1)
実施形態1に係る表示装置の例を、図1の表示装置の概略回路図を用いて説明する。
実施形態1に係る表示装置は、基板1に形成された画素の一部または全部に対して、電気光学材料を含む部材(図1では図示せず)と共通電極2を有した部材とを重ね、構成される。画素の夫々は少なくとも画素電極を有し、その画素電極と共通電極2との間の電圧或いは電流に応じて電気光学材料が光学的な応答を示し、画素毎の表示が行われる。
基板1には、n本(nは自然数)の第1の配線4(X1,X2,X3,…,Xn)と、m本(mは自然数)の第2の配線5(Y1,Y2,Y3,…,Ym)と、第1の配線4及び第2の配線5の交点に対応して夫々設けた複数の画素PX(1,1),PX(2,1),…,PX(n,m)と、第1の配線4を駆動する第1の駆動回路6と、第2の配線5を駆動する第2の駆動回路7と、第1及び第2の駆動回路6,7及び前記画素を駆動するための電力及び信号を前記表示装置に供給する実装部151とが形成される。
【0040】
第1の駆動回路6は、対応する第1の配線4(信号線)の夫々(第1の配線X1,X2,X3,…,Xn)に像情報に基づく信号を供給する信号線駆動回路であり、第2の駆動回路7は、対応する第2の配線5(走査線)の夫々(第2の配線Y1,Y2,Y3,…,Ym)に選択パルスを供給する走査線駆動回路である。
【0041】
第1の駆動回路6は、図中に矢印で示す走査方向8の方向に、順次走査される複数の単位回路60(UX1,UX2,UX3,…,UXn)から成る。単位回路60の夫々は、その寄生インピーダンス成分を除いて同じ回路構成であり、選択回路61と判定回路62と検出線63と出力回路64とから成る。
【0042】
説明を簡便にするため、単位回路60のうち第n番目の単位回路UXnについて説明する。単位回路UXnは、対応する第1の配線Xnに信号を供給する回路である。
単位回路UXnは、選択信号を走査し出力回路64に出力する選択回路61と、単位回路UXnの外周に沿って配置された検出線63と、検出線63の電気的開放状態を検出して検出線63が欠損していることを判定した判定信号を出力する判定回路62と、前記判定信号に基づいて出力動作を切り替える出力回路64と、から成る。
前記判定信号が検出線63の電気的開放状態を示さないとき、出力回路64は像情報に基づく信号を第1の配線Xnに出力する(出力動作A)。一方、前記判定信号が電気的開放状態を示すとき、出力回路64は共通電極2と同じ電圧を第1の配線Xnに与える(出力動作B1)、または、出力回路64は前記画素電極と共通電極2とを略同電圧にするための信号を第1の配線Xnに与える(出力動作B2)。
【0043】
ここで、走査方向8の方向に任意のサイズの表示装置を得る場合、例えば、単位回路UXnの箇所で走査方向8とは垂直な方向に基板1を切断したサイズの表示装置を得る場合について説明する。
この場合、単位回路UXnの検出線63が基板1の切断に伴って電気的開放状態になるため、単位回路UXnの判定回路62は検出線の電気的開放状態を検出した結果に基づく判定信号を単位回路UXnの出力回路64に出力する。単位回路UXnの出力回路64は出力動作B1または出力動作B2の動作をする。その一方で、切断の影響が無い単位回路UX1〜UX(n−1)の出力回路64は出力動作Aの動作をする。
【0044】
判定回路62が検出線63の電気的開放状態を検出したときの出力回路64の2種の動作、出力動作B1と出力動作B2のどちらを用いるのかについては、前記画素の構成に依存する。図2及び図3に前記画素の異なる構成例を示し、夫々の構成例における出力動作を説明する。
【0045】
前記画素の第1の構成例を図2の概略回路図に示す。ここでは図1の複数の画素のうち代表的に画素PX(n,m)を挙げ、図1との対応を併記する。
【0046】
図2は、例えばアクティブマトリックス型の液晶表示装置や電気泳動表示装置等に用いられる構成である。画素は、第1の配線20(Xnに対応)と、第2の配線21(Ymに対応)と、第1のトランジスター22と、保持容量26と、保持容量線27と、電気光学材料29と、画素電極28と、共通電極2とから成る。第1のトランジスター22はゲート電極と2つのソース・ドレイン電極とを有し、前記ゲート電極は第2の配線21に接続され、前記ソース・ドレイン電極の一方は第1の配線20に接続され、前記ソース・ドレイン電極の他方は画素電極28に接続される。
【0047】
これにより、第1のトランジスター22は第2の配線21の電圧に従って、第1の配線20と画素電極28との間の導通状態を制御する。電気光学材料29は画素電極28と共通電極2との間に挟持される。保持容量26は画素電極28と保持容量線27との間に設けられ、第1のトランジスター22の2つのソース・ドレイン電極間が非導通状態になった際に、ある所定の期間、電気光学材料29への電圧または電流の印加を補助する役割を持つ。
【0048】
ここで再び図1を併用して、単位回路UXnの箇所で走査方向8とは垂直な方向に基板1を切断したサイズの表示装置を得る場合について説明する。第1の配線Xnと接続している画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)に所望しない表示を行わせない様にするために、第1の配線Xnには共通電極2と同じ電圧を与える。そうしたとき、第1のトランジスター22がある期間導通状態になる画素では、画素電極28は第1のトランジスター22を介して第1の配線Xnと同電圧、つまり共通電極2と同電圧となる。また、第1のトランジスター22が常に非導通状態になる画素では、第1のトランジスター22の2つのソース・ドレイン電極間に電圧が掛かると微少なリーク電流が流れるため、ある程度の期間を経て画素電極28は第1の配線Xnと同電圧、つまり共通電極2と同電圧となる。こうすることにより、電気光学材料29を挟む画素電極28と共通電極2との間に電圧または電流が印加されることが無いため、第1の配線Xnと接続している画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)に所望しない表示を行わせない様にできる。
【0049】
以上の様に、第1の構成例の画素を用いる場合は、共通電極2と同じ電圧を第1の配線Xnに与える、出力動作B1を用いるのが良い。
【0050】
前記画素の第2の構成例を図3の概略回路図に示す。ここでは図1の複数の画素のうち代表的に画素PX(n,m)を挙げ、図3との対応を併記する。
【0051】
図3は、例えばアクティブマトリックス型の有機発光ダイオード表示装置や液晶表示装置等に用いられる構成である。画素は、第1の配線30(Xnに対応)と、第2の配線31(Ymに対応)と、第1のトランジスター32と、第2のトランジスター33と、保持容量26と、保持容量線27と、電力供給線39と、電気光学材料29と、画素電極28と、共通電極2とから成る。第1のトランジスター32及び第2のトランジスター33は夫々ゲート電極と2つのソース・ドレイン電極とを有する。
【0052】
第1のトランジスター32のゲート電極は第2の配線31に接続され、第1のトランジスター32の2つのソース・ドレイン電極の一方は第1の配線30に接続され、第1のトランジスター32の2つのソース・ドレイン電極の他方は第2のトランジスター33のゲート電極に接続される。これにより、第1のトランジスター32は第2の配線31の電圧に従って、第1の配線30と第2のトランジスター33のゲート電極との間の導通状態を制御する。
【0053】
第2のトランジスター33の2つのソース・ドレイン電極の一方は電力供給線39に接続され、第2のトランジスター33の2つのソース・ドレイン電極の他方は画素電極28に接続される。これにより、第2のトランジスター33は同ゲート電極の電圧に従って、電力供給線39と画素電極28との間の導通状態を制御する。
【0054】
電気光学材料29は画素電極28と共通電極2との間に挟持される。保持容量26は第2のトランジスター33のゲート電極と保持容量線27との間に設けられ、第1のトランジスター32の2つのソース・ドレイン電極間が非導通状態になった際に、ある所定の期間、第2のトランジスター33のゲート電極の電圧を保持する役割を持つ。
【0055】
ここで再び図1を併用して、単位回路UXnの箇所で走査方向8とは垂直な方向に基板1を切断したサイズの表示装置を得る場合について説明する。第1の配線Xnと接続している画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)に所望しない表示を行わせない様にするために、第1の配線Xnには画素電極28と共通電極2とを略同電圧にするための信号を与える。
【0056】
より具体的には、第2のトランジスター33を非導通状態にする信号を第1の配線Xnに与える。そうしたとき、第1のトランジスター32がある期間導通状態になる画素では、第2のトランジスター33のゲート電極は第1のトランジスター32を介して第1の配線Xnの信号が与えられ、第2のトランジスター33は非導通状態になる。また、第1のトランジスター32が常に非導通状態になる画素では、第1のトランジスター32の2つのソース・ドレイン電極間に電圧が掛かると微少なリーク電流が流れるため、ある程度の期間を経て第2のトランジスター33のゲート電極は第1の配線Xnと同電圧、つまり第2のトランジスター33を非導通状態にする電圧となる。
【0057】
どの画素においても第2のトランジスター33は非導通状態になるため、ある程度の期間を経ると電気光学材料29のリーク電流により画素電極28は共通電極2と略同じ電圧になる。こうすることにより、電気光学材料29を挟む画素電極28と共通電極2との間に電圧または電流が印加されることが無いため、第1の配線Xnと接続している画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)に所望しない表示を行わせない様にできる。
【0058】
以上の様に、第2の構成例の画素を用いる場合は、画素電極28と共通電極2とを略同電圧にするための信号を第1の配線Xnに与える、出力動作B2を用いるのが良い。
【0059】
以上に説明の第1の駆動回路6を有した表示装置では、第1の配線Xnと接続している画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)の画素電極28と共通電極2との間には電圧または電流が印加されず、その間に挟み込まれた電気光学材料29を駆動しない。このため、画素PX(n,1),PX(n,2),PX(n,3),…,PX(n,m)へ所望しない表示を行うことが無い。その一方で、切断の影響が無い他の画素については像情報に基づく表示ができる。これにより、切断箇所に表示の不良を発生させることが無いため、走査方向8の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できる。
【0060】
同様に、第2の駆動回路7は、図1中に矢印で示す走査方向9の方向に順次走査される複数の単位回路70(UY1,UY2,UY3,…,UYm)から成る。単位回路70の夫々は、その寄生インピーダンス成分を除いて同じ回路構成であり、選択回路71と判定回路72と検出線73と出力回路74とから成る。
【0061】
説明を簡便にするため、単位回路70のうち第m番目の単位回路UYmについて説明する。単位回路UYmは、対応する第2の配線Ymに信号を供給する回路である。単位回路UYmは、選択信号を走査し出力回路74に出力する選択回路71と、単位回路UYmの外周に沿って配置された検出線73と、検出線73の電気的開放状態を検出して検出線73が欠損していることを判定した判定信号を出力する判定回路72と、前記判定信号に基づいて出力動作を切り替える出力回路74とから成る。前記判定信号が検出線73の電気的開放状態を示さないとき、出力回路74は画素を表示させるためのパルス信号を第2の配線Ymに出力する(出力動作C)。一方、前記判定信号が前記電気的開放状態を示すとき、出力回路74は画素電極28と共通電極2とを略同電圧にするための信号を第2の配線Ymに与える(出力動作D)。
【0062】
ここで、走査方向9の方向に任意のサイズの表示装置を得る場合、例えば、単位回路UYmの箇所で走査方向9とは垂直な方向に基板1を切断したサイズの表示装置を得る場合について説明する。この場合、単位回路UYmの検出線73が基板1の切断に伴って電気的開放状態になるため、単位回路UYmの判定回路72は検出線73の電気的開放状態を検出した結果に基づく判定信号を単位回路UYmの出力回路74に出力する。これに従って単位回路UYmの出力回路74は出力動作Dの動作をする。一方、切断の影響が無い単位回路UY1〜UY(m−1)の出力回路74は出力動作Cの動作をする。
【0063】
先の第1の駆動回路6での説明に倣い、図2及び図3の夫々の構成例において、検出線73の電気的開放状態を検出した際の出力回路74の出力動作を説明する。
【0064】
図2に示す第1の構成例では、出力回路74は第1のトランジスター22を非導通状態にする信号を第2の配線21に与える。第1のトランジスター22は非導通状態になるため、ある程度の期間を経ると電気光学材料29のリーク電流により画素電極28は共通電極2と略同じ電圧になる。
【0065】
図3に示す第2の構成例でも同様に、出力回路74は第1のトランジスター32を非導通状態にする信号を第2の配線31に与える。第1のトランジスター32は非導通状態になるが、第1の配線30と第2のトランジスター33のゲート電極との間には微少なリーク電流が流れる。ここで、第1の駆動回路6が像情報に基づく信号を送出している間は、第1の配線30には第2のトランジスター33を導通状態にする信号と非導通状態にする信号とが与えられるが、像情報に基づく信号の送出が終わった後は、第1の配線30には第2のトランジスター33を非導通状態にする信号が与えられる。このため、前記像情報に基づく信号の送出が終わった後、ある程度の期間を経ると、第2のトランジスター33のゲート電極は第1の配線30と同電圧になる。つまり、第2のトランジスター33は非導通状態になる。この結果、電気光学材料29のリーク電流により画素電極28は共通電極2と略同じ電圧になる。
【0066】
以上に説明の第2の駆動回路7を有した表示装置では、第2の配線Ymと接続している画素PX(1,m),PX(2,m),PX(3,m),…,PX(n,m)の画素電極28と共通電極2との間には電圧または電流が印加されず、その間に挟み込まれた電気光学材料29を駆動しない。このため、画素PX(1,m),PX(2,m),PX(3,m),…,PX(n,m)へ所望しない表示を行うことが無い。その一方で、切断の影響が無い他の画素については像情報に基づく表示ができる。これにより、切断箇所に表示の不良を発生させることが無いため、走査方向9の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できる。
【0067】
また、第1の駆動回路6と第2の駆動回路7との両方を同一の基板1の上に設けることにより、走査方向8及び走査方向9の両方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できる。
【0068】
以上では、単位回路と対応する配線とが1:1に対応する説明であったが、それに限るものでなく1つの単位回路に対してk本(kは任意の自然数)の配線であれば良い。
【0069】
(実施形態2)
実施形態1に係る表示装置の単位回路の例を実施形態2として説明する。図1乃至図3を用いて説明した実施形態1に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図4は、第2の駆動回路7及び単位回路70の回路構成の例と、基板1内の大凡の配置と、を模式的に説明する図である。図4では説明上の便宜のため、第2の配線Y1及びY2に対応する部分のみを抜き出して記載している。
【0070】
単位回路UY1の選択回路71は、配線41に伝送される転送同期信号YCLKをノードyclkで、配線42に伝送される選択開始信号YSINをノードsinで入力信号として受け、ノードsoutから配線43に選択信号を出力する回路である。
単位回路UY2の選択回路71も同様で、転送同期信号YCLKをノードyclkで、配線43に伝送された選択信号をノードsinで入力信号として受け、ノードsoutから配線44に選択信号を出力する回路である。
以降、図4では図示しないが、単位回路UY3,…,UYmの選択回路71も同様である。単位回路UY1,UY2,…,UYmの選択回路71は全体で、シフトレジスター回路を構成しており、第2の配線Y1,Y2,…,Ymを走査するための選択信号を生成し、各段の出力回路74に順次出力する。
出力回路74は電源制御回路75と少なくとも出力選択回路76とを有する。出力選択回路76は、前記選択信号に応じた信号と、第2の配線Y1,Y2,…,Ymに接続した画素PXの第1のトランジスター22(図2)または第1のトランジスター32(図3)を非導通状態にする信号とを、判定回路72から配線77に出力される判定信号に応じて切り替えて、第2の配線Y1,Y2,…,Ymに出力する。
【0071】
前記判定信号が検出線73の電気的開放状態を示さないとき、出力選択回路76は前記選択信号に応じた信号を出力する。より具体的には、単位回路UY1は配線43に伝送される選択信号に応じた信号を第2の配線Y1に出力し、単位回路UY2は配線44に伝送される選択信号に応じた信号を第2の配線Y2に出力する。以降、単位回路UY3,…,UYmについても同様である。
【0072】
一方、前記判定信号が検出線73の電気的開放状態を示すとき、前記判定信号に基づいて、電源制御回路75は、電力供給線78を介した選択回路71への電力の供給を停止し、出力選択回路76は、第2の配線Y1,Y2,…,Ymに接続した画素の第1のトランジスター22または第1のトランジスター32を非導通状態にする信号を出力する。
【0073】
電力供給線78は、少なくとも選択回路71を動作させるために必要な電力を供給する配線である。第2の駆動回路7には高電圧側電源VDD及び低電圧側電源VSSからの電力が夫々配線45及び配線46を経由して供給され、選択回路71を除く各部にこの電力が供給されている。電源制御回路75は少なくとも選択回路71に対して、前記判定信号に基づいて、高電圧側電源VDDの電力をノードvdd経由で、また低電圧側電源VSSの電力をノードvss経由で供給する、または供給を停止する。
これにより、例えば基板1の切断に伴って選択回路71に欠損が生じて、仮にそのまま選択回路71に電力を供給してしまうと過大な電力が消費されてしまう場合であっても、判定回路72が検出線73の電気的開放状態を検出するので、選択回路71への電力供給を停止することが可能になり、過大な消費電力を発生することの無い表示装置を実現できる。
【0074】
ここで転送同期信号YCLK,選択開始信号SIN,高電圧側電源VDD,低電圧側電源VSSは表示装置の外部から供給されても良いし、同一の基板1上に形成された第3の駆動回路から供給しても良い。後者の場合は、実装部151と第3の駆動回路とを第2の駆動回路7よりも走査方向9とは反対方向に配置するのが好ましい。これは実施形態7で後述する。
【0075】
実施形態2に係る単位回路の具体的な構成例を以下で説明する。図5は第2の駆動回路7の単位回路70の具体的な回路構成例と、基板1内の大凡の配置と、を模式的に説明する図である。図1乃至図4を用いて説明した実施形態1または実施形態2に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0076】
選択回路71は、ノードsinに入力される選択信号をノードyclkに入力される同期信号に同期してノードsoutに転送する、Dフリップ・フロップ回路から成る。判定回路72から配線77に出力される判定信号が検出線73の電気的開放状態を示さない信号レベル(本例ではロー・レベル)のとき、出力選択回路76の論理ゲート56(ここではNORゲート)はノードgoutに対してノードsout、ノードd1を介して入力される前記選択信号と同論理の出力をする。
一方で、判定回路72から配線77に出力される判定信号が検出線73の電気的開放状態を示す信号レベル(本例ではハイ・レベル)のとき、出力選択回路76の論理ゲート56はノードsout、ノードd1を介して入力される前記選択信号の信号レベルに関わらず、ノードgoutに対して第1のトランジスター22または第1のトランジスター32を非導通状態にする信号レベル(本例ではロー・レベル)の出力をする。
【0077】
検出線は73の一端は接続ノードで判定回路72の閾値回路52と接続され、他端は高電圧側電源VDDに接続される。また、前記接続ノードには抵抗51を介して低電圧側電源VSSが接続される。抵抗51の抵抗値は検出線73の抵抗よりも大きく設定される。
ここで検出線73が電気的開放状態でないとき、前記接続ノードの電圧は高電圧側電源VDDと略同じ電圧になり、閾値回路52は検出線73の電気的開放状態を示さない信号レベル(本例ではロー・レベル)の判定信号を配線77に出力する。一方、検出線73が電気的開放状態であるとき、前記接続ノードの電圧は低電圧側電源VSSと略同じ電圧になり、閾値回路52は検出線73の電気的開放状態を示す信号レベル(本例ではハイ・レベル)の判定信号を配線77に出力する。
【0078】
電源制御回路75は、高電圧側電源VDDと選択回路71のノードvddとの導通状態を制御する第1のスイッチ54と、低電圧側電源VSSと選択回路71のノードvssとの導通状態を制御する第2のスイッチ55とから少なくとも構成される。第1のスイッチ54と第2のスイッチ55は、判定回路72から配線77に出力される判定信号が検出線73の電気的開放状態を示さない信号レベル(本例ではロー・レベル)のとき導通状態になり、選択回路71に電力を供給する。一方、前記判定信号が検出線73の電気的開放状態を示す信号レベル(本例ではハイ・レベル)のとき非導通状態になり、選択回路71に電力を供給しない。
【0079】
検出線73は、選択回路71の配置領域と、判定回路72の配置領域と、出力回路74の配置領域と、の外側に配置される。こうすることによって、第2の駆動回路7の切断に伴って選択回路71または判定回路72または出力回路74の何れかが破損するときは、必ず検出線73が電気的開放状態にさせられる。このため、切断箇所に表示の不良を発生させることが無いため、走査方向9の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できる。
【0080】
一つの単位回路70の配置領域において、走査方向9とは反対方向に検出線73の開放部97(検出線73を配置しない部分)を設けても、同様の効果を得ることが出来る。
より詳細には、第2の駆動回路7が配置される平面において、走査方向9をY軸としたときに、Y軸への射影の範囲を第1の射影範囲91とする。換言すると、走査方向9に対して垂直であるX軸方向を方向90(図中に矢印で示す)とし、検出線73の配置範囲の方向90(+X軸方向)側である図面右側から見た走査方向9(Y軸)に対する射影の範囲を第1の射影範囲91とする。
第1の射影範囲91の中心を第1の射影範囲中心92としたとき、第1の射影範囲中心92を開放部97よりも走査方向9の方向に配置する。
【0081】
仮に走査方向9とは反対方向に開放部を設けず検出線73を配置したとしても、検出線73が電気的開放状態になったときには、検出線73の内側に配置される選択回路71、判定回路72及び出力回路74は切断され、表示装置から分離されているため、そもそも表示の不良を心配する必要が無い。むしろ開放部97を積極的に設けることにより、検出線73の配線に必要な面積を少なくすることができるため、単位回路70の配置領域を小さくでき、また単位回路70の走査方向9の配置ピッチをより狭くすることができる。このため、高精細な表示装置を実現できる。
【0082】
また、表示装置の切断箇所での所望しない表示をより確実に防止するためには、判定回路72を単位回路70の走査方向9とは反対方向に寄せて配置するのが好ましい。より詳細には、判定回路72の配置範囲の方向90(+X軸方向)から見た走査方向9(Y軸)に対する射影の範囲を第2の射影範囲93とし、第2の射影範囲93の中心を第2の射影範囲中心94としたとき、第1の射影範囲中心92を第2の射影範囲中心94より走査方向9の方向に配置するのが好ましい。こうすることにより、単位回路70の各構成要素のうちで、判定回路72が検出線73よりも先に切断され誤った判定信号を出力してしまった結果、出力回路74が誤った出力動作をしてしまうのを防止できる。このため、表示装置の切断箇所に起因する所望しない表示を確実に防止できる。
【0083】
ここで、電力供給線78で供給する電源の種類は高電圧側電源VDDと低電圧側電源VSSとに限るものでは無く、電源制御回路75が電源を制御する回路で用いる電源の種類に応じて増えても減っても構わない。また、説明中のノードとは回路ブロックの機能を説明するための電気的な接続点を指し、必ずしも端子の様な形状を有することを意味する訳ではない。
【0084】
(実施形態3)
実施形態1に係る表示装置の単位回路の例を実施形態3として説明する。図1乃至図3を用いて説明した実施形態1に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0085】
図6は、第1の駆動回路6及び単位回路60の回路構成の例と、基板1内の大凡の配置と、を模式的に説明する図である。図6では説明上の便宜のため、第1の配線X1及びX2に対応する部分のみを抜き出して記載している。
【0086】
単位回路UX1の選択回路61は、配線103に伝送される転送同期信号XCLKをノードxclkで、配線104に伝送される選択開始信号XSINをノードsinで入力信号として受け、ノードsoutから配線105に選択信号を出力する回路である。単位回路UX2の選択回路61も同様で、配線103に伝送される転送同期信号XCLKをノードxclkで、配線105に伝送された選択信号をノードsinで入力信号として受け、ノードsoutから配線106に選択信号を出力する回路である。
以降、図6では図示しないが、単位回路UX3,…,UXnの選択回路61も同様である。単位回路UX1,UX2,…,UXnの選択回路61は全体で、シフトレジスター回路を構成しており、第1の配線X1,X2,…,Xnに与える信号をサンプリングするためのサンプリング信号を生成し、各段の第1ラッチ回路101に順次出力する。
【0087】
単位回路UX1の第1ラッチ回路101では、配線105に出力されたサンプリング信号に従って配線109に伝送されるデータ信号DATAを、ノードdinを介してサンプリングし、ノードdoutを介して配線112に出力する。同様に、データ信号DATAを、単位回路UX2,UX3,…,UXnの第1ラッチ回路101に配線109で伝送し、転送同期信号XCLKに同期して順次サンプリングする。
最後の単位回路UXnでのサンプリングが終了した後、配線110に伝送された転送信号LATに従って第1ラッチ回路101にサンプリングされたデータ信号は配線112を介して第2ラッチ回路102に転送される。
【0088】
第2ラッチ回路102では、次に転送信号LATが伝送される迄このデータ信号を保持し、配線113に出力し続ける。
【0089】
出力回路64は電源制御回路65と少なくとも出力選択回路66とを有する。出力選択回路66は、配線113に出力された前記データ信号と、共通電極2と同じ電圧(出力動作B1)または第1の配線X1,X2,…,Xnと接続した画素の画素電極28を共通電極2と略同電圧にするための信号(出力動作B2)とを、判定回路62から配線67に出力される判定信号に応じて切り替えて、第1の配線X1,X2,…,Xnに出力する。
【0090】
前記判定信号が検出線63の電気的開放状態を示さないとき、出力選択回路66は配線113に出力された前記データ信号を出力する。より具体的には、単位回路UX1は、配線105に伝送されるサンプリング信号に従ってサンプリングされたデータ信号を第1の配線X1に出力し、単位回路UX2は配線106に伝送されるサンプリング信号に従ってサンプリングされたデータ信号を第1の配線X2に出力する。以降、単位回路UX3,…,UXnについても同様である。
【0091】
一方、前記判定信号が検出線63の電気的開放状態を示すとき、前記判定信号に基づいて、電源制御回路65は電力供給線68経由での第1ラッチ回路101と、第2ラッチ回路102と、少なくとも選択回路61と、への電力の供給を停止し、出力選択回路66は共通電極2と同じ電圧(出力動作B1)または第1の配線X1,X2,…,Xnと接続した画素の画素電極28を共通電極2と略同電圧にするための信号(出力動作B2)を出力する。図では出力動作B1の場合の構成例を示しており、出力選択回路66は配線111から供給される共通電位VCOMを出力する。
【0092】
電力供給線68は、第1ラッチ回路101と、第2ラッチ回路102と、少なくとも選択回路61と、を動作させるために必要な電力を供給する配線である。第1の駆動回路6には高電圧側電源VDD及び低電圧側電源VSSからの電力が夫々配線107及び配線108を経由して供給され、第1ラッチ回路101と第2ラッチ回路102と選択回路61とを除く各部にこの電力が供給されている。電源制御回路65は第1ラッチ回路101と、第2ラッチ回路102と、少なくとも選択回路61と、に対して、前記判定信号に基づいて、高電圧側電源VDDの電力をノードvdd経由で、また低電圧側電源VSSの電力をノードvss経由で供給する、または供給を停止する。これにより、例えば基板1の切断に伴って第1ラッチ回路101や第2ラッチ回路102や選択回路61に欠損が生じて、仮にそのまま電力を供給してしまうと過大な電力が消費されてしまう場合であっても、判定回路62が検出線63の電気的開放状態を検出するので、その電力供給を停止することが可能になり、過大な消費電力を発生することの無い表示装置を実現できる。
【0093】
検出線63は、選択回路61の配置領域と、第1ラッチ回路101の配置領域と、第2ラッチ回路102の配置領域と、判定回路62の配置領域と、出力回路64の配置領域と、の外側に配置される。こうすることによって、第1の駆動回路6の切断に伴って選択回路61、第1ラッチ回路101、第2ラッチ回路102、判定回路62、出力回路64の何れかが破損したときは、検出線63を必ず電気的開放状態にすることができる。このため、切断箇所に表示の不良を発生させることが無く、走査方向8の方向に対して任意のサイズの表示装置を実現できる。
【0094】
実施形態2と同様であるため詳細には図示しないが、一つの単位回路60の配置領域において、走査方向8とは反対方向に検出線63の開放部を設けても、同様の効果を得ることが出来る。
より詳細には、第1の駆動回路6が配置される平面において走査方向8をX軸としたときに、X軸への射影の範囲を第3の射影範囲とする。換言すると、走査方向8に対して垂直であるY軸方向を第1の方向とし、検出線63の配置範囲の第1の方向(−Y軸方向)から見た走査方向8(X軸)に対する射影の範囲を第3の射影範囲とする。
第3の射影範囲の中心を第3の射影範囲中心としたとき、第3の射影範囲中心を開放部よりも走査方向8の方向に配置する。
【0095】
仮に走査方向8とは反対方向に開放部を設けず検出線63を配置したとしても、検出線63が電気的開放状態になったときには、検出線63の内側に配置される選択回路61、第1ラッチ回路101、第2ラッチ回路102、判定回路62及び出力回路64は切断され、表示装置から分離されているため、そもそも表示の不良を心配する必要が無い。むしろ開放部を積極的に設けることにより、検出線63の配線に必要な面積を少なくすることができるため、単位回路60の配置領域を小さくでき、また単位回路60の走査方向8の配置ピッチをより狭くすることができる。このため、高精細な表示装置を実現できる。
【0096】
また、これも実施形態2と同様であるため詳細には図示しないが、表示装置の切断箇所での所望しない表示をより確実に防止するためには、判定回路62を単位回路60の走査方向8とは反対方向に寄せて配置するのが好ましい。より詳細には、判定回路62の配置範囲を第1の方向から見た、走査方向8(X軸)に対する射影の範囲を第4の射影範囲とし、第4の射影範囲の中心を第4の射影範囲中心としたとき、第3の射影範囲中心を第4の射影範囲中心より走査方向8の方向に配置するのが好ましい。こうすることにより、単位回路60の各構成要素のうちで、判定回路62が検出線63よりも先に切断され誤った判定信号を出力してしまった結果、出力回路64が誤った出力動作をしてしまうのを防止できる。このため、表示装置の切断箇所に起因する所望しない表示を確実に防止できる。
【0097】
ここで、電力供給線68で供給する電源の種類は高電圧側電源VDDと低電圧側電源VSSとに限るものでは無く、電源制御回路65が電源を制御する回路で用いる電源の種類に応じて増えても減っても構わない。また、説明中のノードとは回路ブロックの機能を説明するための電気的な接続点を指し、必ずしも端子の様な形状を有することを意味する訳ではない。
【0098】
(実施形態4)
実施形態1乃至実施形態3に係る基板1の配置例を実施形態4として図7の概略回路配置図を用いて説明する。図1乃至図6を用いて説明した実施形態1乃至実施形態3に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7では説明上の便宜のため、第1の配線X1,X2,X3と、第2の配線Y1,Y2,Y3と、それに対応する画素PX(1,1),PX(2,1),PX(3,1),PX(1,2),PX(2,2),PX(3,2),PX(1,3),PX(2,3),PX(3,3)のみを抜き出して記載している。
【0099】
実施形態4では、第1の駆動回路が配置される面において、第1の駆動回路の走査方向8に対して垂直な方向を方向80としたとき、(i+1)番目の単位回路UX(i+1)(iはnより小さい任意の自然数)はi番目の単位回路UXiより走査方向8の方向に配置され、i番目の単位回路UXiの検出線63の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲と、(i+1)番目の単位回路UX(i+1)の検出線63の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲とが、重なる様に配置する。
【0100】
一例としてi=2の場合について図7を用いて説明する。3番目の単位回路UX3は2番目の単位回路UX2より走査方向8の方向に配置される。また、2番目の単位回路UX2を構成する検出線63の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲122と、3番目の単位回路UX3を構成する検出線63の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲123と、が重なって配置される。
【0101】
こうすることで、例えば3番目の単位回路UX3が切断箇所となったとき、その切断状態によっては少ない確率ながらも誤検出の動作を引き起こすこともあり得るが、第2の単位回路UX2の検出線63を第3の単位回路UX3の配置範囲にも延伸させることによって第2の単位回路UX2が確実に切断を検出できる様になる。このため、単位回路UX3が方向80に対してある程度斜めに切断されたとしても、第2の単位回路UX2の検出線63が走査方向8の方向に延伸しているので距離的な余裕を持って切断を検出できるため、確実に単位回路UX2を出力動作B1または出力動作B2にすることができる。このため、表示装置が所望しない表示をすることが無い。
【0102】
ここで、単位回路UX1,UX2,…,UXnの総てに本実施形態4を当てはめる必要は無い。例えば1行だけの画面を作製することが無い場合は、UX1には本実施形態4を用いず、UX2,UX3,…,UXnに本実施形態4を用いることが考えられる。
【0103】
本実施形態4は単位回路UY1,UY2,…,UYmについても同様に適用できる。この場合、第2の駆動回路が配置される面において第2の駆動回路の走査方向9に対して垂直な方向を方向90としたとき、(k+1)番目の単位回路UY(k+1)(kはmより小さい任意の自然数)はk番目の単位回路UYkより走査方向9の方向に配置され、k番目の単位回路UYkの検出線73の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲と、(k+1)番目の単位回路UY(k+1)の検出線63の配置範囲の方向80から見た走査方向9に対する射影範囲と、が重なる様に配置する。
【0104】
図7では例としてk=2の場合を図示している。3番目の単位回路UY3は2番目の単位回路UY2より走査方向9の方向に配置される。また、2番目の単位回路UY2を構成する検出線73の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲125と、3番目の単位回路UY3を構成する検出線73の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲126とが、重なって配置される。
【0105】
こうすることで前述の第1の駆動回路6の場合と同様の効果を得ることができる。
より具体的な配置については図9及び図10を用いて、次の実施形態5の中で一緒に説明する。
【0106】
(実施形態5)
実施形態1乃至実施形態4に係る表示装置のその他の配置例の一つを実施形態5として図7乃至図10を用いて説明する。図1乃至図7を用いて説明した実施形態1乃至実施形態4に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0107】
実施形態5では、図7に示すように、画素は夫々の画素電極と、画素電極を駆動する駆動部と、を含んで構成され、i番目(iはnより小さい任意の自然数)の単位回路UXiの検出線63の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲が、前記i番目の単位回路UXiが駆動するi列目の画素PX(i,1),PX(i,2),PX(i,3)の、画素電極PE(i,1),PE(i,2),PE(i,3)または前記駆動部PC(i,1),PC(i,2),PC(i,3)の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲よりも、走査方向8の方向に延伸する様に配置する。
【0108】
一例としてi=2の場合について図7を用いて説明する。2番目の単位回路UX2において、検出線63の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲122は、2番目の単位回路UX2が駆動する2列目の画素PX(2,1),PX(2,2),PX(2,3)の、画素電極PE(2,1),PE(2,2),PE(2,3)または駆動部PC(2,1),PC(2,2),PC(2,3)の配置範囲の方向80から見た走査方向8に対する射影範囲121よりも、走査方向8の方向に距離Dxだけ延伸する様に配置する。
【0109】
本実施形態5では、また、k番目(kはmより小さい任意の自然数)の単位回路UYkの検出線73の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲が、前記k番目の単位回路UYkが駆動するk行目の画素PX(1,k),PX(2,k),PX(3,k)の、画素電極PE(1,k),PE(2,k),PE(3,k)または駆動部PC(1,k),PC(2,k),PC(3,k)の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲よりも、走査方向9の方向に延伸する様に配置する。
【0110】
一例としてk=2の場合について図7を用いて説明する。2番目の単位回路UY2の検出線73の、配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲125は、2番目の単位回路UY2が駆動する2行目の画素PX(1,2),PX(2,2),PX(3,2)の、画素電極PE(1,2),PE(2,2),PE(3,2)または駆動部PC(1,2),PC(2,2),PC(3,2)の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲124よりも、走査方向9の方向に距離Dyだけ延伸する様に配置する。
【0111】
各画素を構成する画素電極または駆動部のどちら一方が切断されても、当該画素で像情報に基づく表示をすることは不可能である。このため、ある一つの検出線73は、その単位回路が駆動する画素行または画素列の前記画素電極及び前記駆動部の配置範囲よりも走査方向に延伸するのが好ましい。延伸された検出線63,73で、距離的な余裕を持って切断を検出できるため、確実に単位回路UX2を出力動作B1または出力動作B2にする、または、確実に単位回路UY2を出力動作Dにすることができる。このため、表示装置が所望しない表示をすることが無い。
【0112】
より具体的な配置上の制約について図8を用いて説明する。ここでは基板を、方向90に平行な設定切断線84に沿って切断する場合を想定する。設定切断線84は、一例として、その切断に加工公差が無い理想的な場合に2行目の画素行迄を正常動作させる様に設定する。
【0113】
この例では駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)の方が画素電極PE(1,2),PE(2,2),…,PE(n,2)よりも走査方向9の方向に寄って配置されているので、2行目の画素行の駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)と3行目の画素行の駆動部PC(1,3),PC(2,3),…,PC(n,3)との間に設定切断線84を設定する。
【0114】
実際には、切断によって加工公差が発生することから、実際に切断したときの切断線85は設定切断線84に対し角度θ(0°<θ<90°)の角度をもっているものとする。
このとき切断線85は、2行目の画素行の画素電極PE(1,2),PE(2,2),…,PE(n,2)、または/および駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)を切断することになるため、2番目の単位回路UY2は出力動作Dにしなければならない。
【0115】
表示に寄与する画素領域の方向90に対する長さをL1としたとき、画素領域内に設定切断線84よりくい込む切断線85の走査方向9の長さは、L1×tanθで表される。この長さは距離Dyよりも短い、つまり、L1×tanθ<Dyという関係が成立したとき、切断線85に加工公差があったとしても確実に単位回路UY2を出力動作Dにでき、切断された2番目の画素行に像情報に基づく表示をさせることが無い。
【0116】
この効果を有するための他の条件としては、距離Dyが、表示に寄与する画素領域の走査方向9に対する長さL2よりも短いこと、つまり、Dy<L2という関係が成立することが必要である。
そもそも距離Dyが長さL2よりも短いことで、画素領域を2つ以上の領域に分け夫々の領域で出力動作を変えることができる様になり、これにより切断部以外の画素を正常表示させるとともに切断部は異常表示を行わせないという処理が可能になる。さらに、距離Dyを不必要に伸ばさなくてもよいため、検査線の配置面積を必要最小限にでき、その結果、挟ピッチの単位回路と駆動回路を用いた高精細な表示装置を実現できる。
【0117】
ここで改めて、画素の画素電極と駆動部との配置関係について図9、図10を参照して述べておく。図9は図7及び図8の画素の一部の具体的なレイアウトを説明する平面図である。また図10は図9のA−A’断面を模式的に示したものである。主に、2行2列目の画素PX(2,2)を例に挙げて説明する。なお、図10においては各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0118】
画素PX(2,2)の駆動部PC(2,2)は例えば主にTFT(薄膜トランジスター)と保持容量とから構成される。TFTは、ゲート配線131をゲート電極とし、データ配線134を一方のソース・ドレイン電極とし、中継配線135を他方のソース・ドレイン電極とする。
保持容量は、図10に示すように、保持容量配線132と中継配線135との間に第1の絶縁膜141と第2の絶縁膜133とを挟んで構成される。中継配線135は、第3の絶縁膜143に開口したコンタクト部136を介して、画素電極137(PE(2,2))に接続される。これらは総て第1の基材146の上に形成され、基板1を構成する。
基板1に対向して配置される対向基板149は、共通電極2が第2の基材148の表面(基板1に対向する面)に形成されている。対向基板149の共通電極2と、基板1の画素電極137と、の間に電気光学素子147を挟み、画素電極137と共通電極2との間に印加される電圧または電流により電気光学素子147の光学的特性を変化させることで、画素PX(2,2)で像情報に基づいた表示ができる。
【0119】
駆動部PC(2,2)と画素電極PE(2,2)とは、少なくとも第3の絶縁膜143を介して配置されるため、基板1を平面視したときに駆動部PC(2,2)と画素電極PE(2,2)とはコンタクト部136を除いて任意の位置に配置可能である。つまり、切断によって画素電極PE(2,2)の電圧または電流印加に影響を与えてしまうやも知れない範囲、即ち、射影範囲124は、画素電極PE(2,2)の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲139と、駆動部PC(2,2)の配置範囲の方向90から見た走査方向9に対する射影範囲138とを両方共含むものでなければならない。
【0120】
本実施形態では第2の駆動回路7の切断に関して、単位回路70(UY2)の検出線73とそれに対応する画素行のレイアウトとの関係について述べた。同様に、第1の駆動回路6の切断に関して、単位回路60の検出線63とそれに対応する画素列のレイアウトとの関係についても適用可能である。
【0121】
(実施形態6)
実施形態1乃至実施形態3に係る表示装置の、その他の配置例の一つを実施形態6として図11を用いて説明する。図1乃至図10を用いて説明した実施形態1乃至実施形態5に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0122】
実施形態6では、k番目の単位回路UYkを構成する検出線73の配置範囲がk行目の複数の画素の少なくとも一部または全部を含む様配置される。一例としてk=2の場合について図11を用いて説明する。
【0123】
ここでは表示装置を、方向90に平行な設定切断線84に沿って切断する場合を想定する。設定切断線84は、一例として、その切断に加工公差が無い理想的な場合に2行目の画素行迄を正常動作させる様に設定する。
この例では駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)の方が画素電極PE(1,2),PE(2,2),…,PE(n,2)よりも走査方向9の方向に寄って配置されているので、2行目の画素行の駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)と3行目の画素行の駆動部PC(1,3),PC(2,3),…,PC(n,3)との間に設定切断線84を設定する。
実際には、切断によって加工公差が発生することから、実際に切断したときの切断線85は設定切断線84に対し角度θ(0°<θ<90°)の角度をもっているものとする。
このとき切断線85は2行目の画素行の画素電極PE(1,2),PE(2,2),…,PE(n,2)、または/および駆動部PC(1,2),PC(2,2),…,PC(n,2)を切断することになるため、2番目の単位回路UY2は出力動作Dにしなければならない。
【0124】
本実施形態においては、2行目の画素行を検出線73で囲って配置してあるため、切断線85に加工公差があったとしても確実に単位回路UY2を出力動作Dにでき、切断された2番目の画素行に像情報に基づく表示をさせることが無い。また、角度θが小さく、切断の影響を受ける画素が画素行全体にならないことが分かっている場合は、画素行のうち必要な複数の画素のみを検出線73で囲えば良い。
【0125】
実施形態6ではまた、i番目の単位回路UXiを構成する検出線73の配置範囲がi列目の複数の画素の少なくとも一部または全部を含む様配置される。効果は、前述のk行目の単位回路UYk及びk行目の画素行のそれと同様である。
【0126】
(実施形態7)
実施形態1乃至実施形態6に係る表示装置の実施形態7として、基板1の切断箇所と表示装置の配置関係について図12を用いて説明する。図1乃至図11を用いて説明した実施形態1乃至実施形態6に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0127】
切断前の基板1には、パネル部が、一つまたは複数形成されている。パネル部は、複数の第1の配線4(X1,X2,X3,…,Xn)と、複数の第2の配線5(Y1,Y2,Y3,…,Ym)と、第1の配線4及び第2の配線5の交点に対応して夫々設けた複数の画素(画素部)と、第1の配線4を駆動する第1の駆動回路6と、第2の配線5を駆動する第2の駆動回路7と、第1の駆動回路6と第2の駆動回路7と前記複数の画素とのうち少なくとも一つを駆動する第3の駆動回路(周辺回路)150と、第1の駆動回路6と第2の駆動回路7と前記複数の画素と周辺回路150とのうち少なくとも一つを駆動するための電力及び信号を前記表示装置に供給する実装部151と、を含んで構成されている。ここでは、4つのパネル部152,153,154,155が形成されている例で説明する。
【0128】
実施形態7では、実装部151の少なくとも一部は、第1の駆動回路6よりも、走査方向8に面した辺とは相対する辺160に近く配置される。または、実装部151の少なくとも一部は、第2の駆動回路7よりも、走査方向9に面した辺とは相対する辺161に近く配置される。
この基板1を任意の場所、図12では4つのパネル部152,153,154,155の夫々に対応して切断箇所156、157、158、159、で切断して表示装置を製造する。ここで、パネル部155のみを例外的に本実施形態に沿わない配置としたが、これは本実施形態7の効果をより明確にするために、本実施形態7に沿わない場合との比較を説明するための図の部分である。
【0129】
パネル部152において、切断箇所156の内側には、実装部151と、周辺回路150と、第2の駆動回路7の総てと、第1の駆動回路6のうち走査方向8とは反対側に配置される一部と、を含んでいる。第1の駆動回路6のうち切断箇所156の内側に配置された一部と第2の駆動回路7との交点に対応した画素部も同様に切断箇所156の内側に含んでいる。実装部151は第1の駆動回路6よりも走査方向8の方向に面した辺とは反対側の辺160に近く配置されているため、実装部151から第1の駆動回路6への電力及び信号供給が途絶えることが無い。こうすることで第1の駆動回路6の任意の箇所で切断しても、所望の像情報の表示を行う表示装置を提供できる。
【0130】
パネル部153において、切断箇所157の内側には、実装部151と、周辺回路150と、第1の駆動回路6の総てと、第2の駆動回路7のうち走査方向9とは反対側に配置される一部とを含んでいる。第2の駆動回路7のうち切断箇所157の内側に配置された一部と第1の駆動回路6との交点に対応した画素部も同様に切断箇所157の内側に含んでいる。実装部151は第2の駆動回路7よりも走査方向9の方向に面した辺とは反対側の辺161に近く配置されているため、実装部151から第2の駆動回路7への電力及び信号供給が途絶えることが無い。こうすることで第2の駆動回路7の任意の箇所で切断しても、所望の像情報の表示を行う表示装置を提供できる。
【0131】
パネル部154において、切断箇所158の内側には、実装部151と、周辺回路150と、第1の駆動回路6のうち走査方向8とは反対側に配置される一部と、第2の駆動回路7のうち走査方向9とは反対側に配置される一部とを含んでいる。第1の駆動回路6のうち切断箇所158の内側に配置された一部と、第2の駆動回路7のうち切断箇所158の内側に配置された一部との交点に対応した画素部も同様に切断箇所158の内側に含んでいる。
実装部151は、第1の駆動回路6よりも走査方向8の方向に面した辺とは反対側の辺162に近く配置され、かつ第2の駆動回路7よりも走査方向9の方向に面した辺とは反対側の辺163に近く配置されているため、実装部151から第1の駆動回路6及び第2の駆動回路7への電力及び信号供給が途絶えることが無い。こうすることで第1の駆動回路6及び第2の駆動回路7の任意の箇所で切断しても、所望の像情報の表示を行う表示装置を提供できる。
【0132】
本実施形態7に基づけば、任意のサイズの表示装置を実現できる。
ここで、本実施形態に沿わない場合の表示装置について簡単に説明する。図12のパネル部155においては、実装部164は第1の駆動回路6よりも走査方向8の方向に配置されており、本実施形態7に基づいていない。切断箇所159でパネル部155を切断したとき、実装部164から第1の駆動回路6への電力及び信号供給が途絶える。こうなると切断に伴って所望の像情報の表示ができなくなる。
【0133】
(製造方法1)
実施形態1乃至実施形態7に係る表示装置の製造方法の一例について、図13と図14(a)〜(e)とを用いて説明する。図13は製造方法1の一例を示す工程流れ図である。図14(a)〜(e)は製造方法1の一例を説明する断面図である。図14は図12のB−B’断面を模式的に示している。なお、図14においては各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0134】
製造方法1は、図13に示す通り、複数の画素と駆動回路とを少なくとも形成した基板1を製造する第1の工程171と、前記基板上に電気光学材料を含む部材164を重ねる第2の工程172と、共通電極を含む部材(対向基板149)を重ねる第3の工程173と、基板1と基板1に重ねた部材164,149とを含む積層体を切断する第4の工程174と、前記電気光学材料を含む部材164を封止する第5の工程175とを含んでいる。
【0135】
第1の工程171では、第1の基材の上に少なくとも実装部151、第1の駆動回路182(図12では第1の駆動回路6に相当)、図示しない第2の駆動回路(図12では第2の駆動回路7に相当)、画素部183を製造し、基板1を形成する(図14(a))。具体的な製造方法としては、非晶質シリコン薄膜トランジスターや低温ポリシリコン薄膜トランジスター、高温ポリシリコン薄膜トランジスター、酸化物薄膜トランジスター、有機トランジスター等の製造方法を用いる。基板1の基体としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルサルフォン、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ガラス、高融点ガラス、ステンレス、アルミニウムまたはそれを含む合金、鉄またはそれを含む合金、銅またはそれを含む合金、等の材料が用いられる。
なお、第2の駆動回路を設ける工程を、本第1の工程と同じ工程で形成することで説明したがこれに限らない。第2の駆動回路を設ける工程は、第1の工程とことなる他の工程において、ドライバーIC等の素子を接続する、所謂外付けすることで構成することも可能である。
この工程が請求項における第6の工程に相当する。
【0136】
第2の工程172では、例えば電気泳動材料や電子粉粒体、有機発光材料、エレクトロルミネッセンス材料、エレクトロクロミック材料、液晶材料等の電気光学材料を含む部材164を基板1上に重ねる(図14(b))。具体的な製造方法としては、電気光学材料を含む部材164をインクジェット法やスピンコート法等を用いて塗布するとか、オフセット印刷や凹版印刷、孔版印刷等の印刷法を用いて印刷するとか、スパッタ法や蒸着法、化学的気相成長法によって成膜するとか、電気光学材料を含む部材164に光硬化性または光軟化性を持たせた上で露光・現像工程を通すことによって成膜するとか、予め所定のサイズに加工した前記電気光学材料を含む部材を貼り付ける、等の製造方法を用いる。
この工程が請求項における第7の工程に相当する。
【0137】
第3の工程173では、基板1と電気光学材料を含む部材164の上に共通電極を含む対向基板149を重ね、共通電極と電気光学材料を含む部材164とを接触させる(図14(b))。対向基板149を用いる代わりに、共通電極と保護層とをスパッタ法や蒸着法、印刷法、スピンコート法等で形成する方法もある。共通電極としては、ITO、IZO、IGZO、ZnO等の酸化物系導電材料や、カーボンナノチューブ、カーボンナノコーン、グラフェン等の炭素系導電材料を用いる。
対向基板149の基材または前記保護層としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルサルフォン、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ガラス、高融点ガラス、ステンレス、アルミニウムまたはそれを含む合金、鉄またはそれを含む合金、銅またはそれを含む合金、等の材料が用いられる。
この工程が請求項における第8の工程に相当する。
【0138】
第4の工程174では、基板1と電気光学材料を含む部材164と対向基板149とを含む積層体を、切断箇所157で切断する(切断前:図14(c)、切断後:図14(d))。切断には、せん断加工法や打ち抜き加工法、スクライブ法、ダイシング法、レーザー加工法、等の切断加工方法を用いる。
この工程が請求項における第9の工程に相当する。
【0139】
第5の工程175では、切断後の前記積層体の電気光学材料を含む部材164を、基板1と対向基板149と封止材185との間に封止する(図14(e))。封止材185としては、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、珪酸ナトリウム、等の材料が用いられる。
この工程が請求項における第10の工程に相当する。
【0140】
本製造方法1の製造方法を用いることで、任意のサイズの表示装置を得ることが可能になる。また、第3の工程173迄で形成された基板1と電気光学材料を含む部材164と共通電極を含む対向基板149との積層体は、第5の工程175を経て切り出された表示装置の大きさに関わらず共用にすることができる。このため、大きさの異なる表示装置毎に仕掛り在庫を持つ必要が無く、経済性が高いという効果を有する。また、第3の工程173で、基板1と電気光学材料を含む部材164と共通電極を含む対向基板149とを含む積層体が出来ており、その後の工程で少なくともその積層体の各層間には不要な塵などが入り込まないため、高歩留りな製造方法を実現できるという効果を有する。
【0141】
(製造方法2)
実施形態1乃至実施形態7に係る表示装置の製造方法の他の一例について、図15と図16(a)〜(e)とを用いて説明する。図15は製造方法2の一例を示す工程流れ図である。図16(a)〜(e)は製造方法2の一例を説明する断面図である。図16は図12のB−B’断面を模式的に示している。なお、図16においては各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0142】
製造方法2は、図15に示す通り、複数の画素と駆動回路とを少なくとも形成した基板1を製造する第6の工程191と、基板1を切断する第7の工程192と、切断した基板1の上に電気光学材料を含む部材164を重ねる第8の工程193と、共通電極を含む部材(対向基板149)を重ねる第9の工程194と、電気光学材料を含む部材164を封止する第10の工程195とを含んでいる。
【0143】
第6の工程191では、第1の基材の上に少なくとも実装部151、第1の駆動回路182(図12では第1の駆動回路6に相当)、図示しない第2の駆動回路(図12では第2の駆動回路7に相当)、画素部183を製造し、基板1を形成する(図16(a))。具体的な製造方法としては、非晶質シリコン薄膜トランジスターや低温ポリシリコン薄膜トランジスター、高温ポリシリコン薄膜トランジスター、酸化物薄膜トランジスター、有機トランジスター等の製造方法を用いる。基板1の基体としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルサルフォン、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ガラス、高融点ガラス、ステンレス、アルミニウムまたはそれを含む合金、鉄またはそれを含む合金、銅またはそれを含む合金、等の材料が用いられる。
なお、第2の駆動回路を設ける工程を、本第1の工程と同じ工程で形成することで説明したがこれに限らない。第2の駆動回路を設ける工程は、第1の工程とことなる他の工程において、ドライバーIC等の素子を接続する、所謂外付けすることで構成することも可能である。
この工程が請求項における第1の工程に相当する。
【0144】
第7の工程192では、基板1を切断箇所157で切断する(切断前:図16(b)、切断後:図16(c))。切断には、せん断加工法や打ち抜き加工法、スクライブ法、ダイシング法、レーザー加工法、等の製造方法を用いる。
この工程が請求項における第2の工程に相当する。
【0145】
第8の工程193では、例えば電気泳動材料や電子粉粒体、有機発光材料、エレクトロルミネッセンス材料、エレクトロクロミック材料、液晶材料等の電気光学材料を含む部材164を基板1上に重ねる(図16(d))。具体的な製造方法としては、電気光学材料を含む部材164をインクジェット法やスピンコート法等を用いて塗布するとか、オフセット印刷や凹版印刷、孔版印刷等の印刷法を用いて印刷するとか、スパッタ法や蒸着法、化学的気相成長法によって成膜するとか、電気光学材料を含む部材164に光硬化性または光軟化性を持たせた上で露光・現像工程を通すことによって成膜するとか、予め所定のサイズに加工した前記電気光学材料を含む部材を貼り付ける、等の製造方法を用いる。
この工程が請求項における第3の工程に相当する。
【0146】
第9の工程194では、基板1と電気光学材料を含む部材164の上に共通電極を含む対向基板149を重ね、共通電極と電気光学材料を含む部材164とを接触させる(図16(d))。対向基板149を用いる代わりに、共通電極と保護層とをスパッタ法や蒸着法、印刷法、スピンコート法等で形成する方法もある。共通電極としては、ITO、IZO、IGZO、ZnO等の酸化物系導電材料や、カーボンナノチューブ、カーボンナノコーン、グラフェン等の炭素系導電材料を用いる。対向基板149の基材または前記保護層としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルサルフォン、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ガラス、高融点ガラス、ステンレス、アルミニウムまたはそれを含む合金、鉄またはそれを含む合金、銅またはそれを含む合金、等の材料が用いられる。
この工程が請求項における第4の工程に相当する。
【0147】
第10の工程195では、切断後の前記積層体の電気光学材料を含む部材164を、基板1と対向基板149と封止材185との間に封止する。封止材185としては、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、珪酸ナトリウム、等の材料が用いられる。
この工程が請求項における第5の工程に相当する。
【0148】
本製造方法2の製造方法を用いることで、任意のサイズの表示装置を得ることが可能になる。また、第8の工程で使用する電気光学材料を含む部材164または第9の工程で使用する共通電極を含む対向基板149は、第7の工程で切断した後の基板1の大きさに合わせて量を用意すれば良く、その使用量を必要最小限にすることができるという効果を有する。
【0149】
(電子機器)
次に、実施形態1乃至実施形態7に記載の表示装置、または製造方法1乃至製造方法2に記載の製造方法を適用して作成した表示装置、を用いた電子機器について図17及び図18を参照して説明する。以下では、上述の電気光学材料として電気泳動材料を用いた表示装置を用いて構成し、電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0150】
図17は電子ペーパー400の構成を示す斜視図である。電子ペーパー400は、上述した表示装置を表示部401として備えている。電子ペーパー400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体402を備えて構成されている。
【0151】
図18は電気ノート500の構成を示す斜視図である。電気ノート500は、図17で示した電子ペーパー400が複数枚束ねられ、カバー501に挟まれているものである。カバー501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパー400が束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0152】
上述した電子ペーパー400及び電気ノート500は、上述した表示装置を備えるので、高品質な画像表示を行うことが可能である。また、電子ペーパー400は任意のサイズをとれるので、A4サイズとA4ファイルサイズとレターサイズ等の若干異なるサイズの電気ノート500を容易に用意できる。
【0153】
また、前記表示装置を用いれば、任意の表示画面の大きさを有する、テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、電子手帳、ワードプロセッサー、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル、腕時計、電子ノートなどの各種電子機器を実現できる。
【0154】
尚、これらの他に、各種モニター、電子黒板、サイネージ用ディスプレイ、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、上述した本実施形態に係る表示装置を適用することができる。同電子機器とそれ以外の部分とを認識させない様に設計された用途として、壁,床,柱等の建築構造物の一部、ダッシュボード,メーター,警告表示灯,シート等の車の一部、机,黒板等の家具,調度品の一部、等として用いることもできる。
【0155】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う表示装置、表示装置の駆動方法及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、本発明の応用範囲は表示装置に限らず、2次元機能マトリックス、例えば2次元マトリックス・光学センサー、2次元圧力センサー、2次元静電容量センサー、2次元微小電気機械素子等にも適用できる。
【符号の説明】
【0156】
1…基板、2…共通電極、4,20,X1,X2,‥,Xn…第1の配線、5,21,Y1,Y2,‥,Ym…第2の配線、6…第1の駆動回路、7…第2の駆動回路、8…走査方向、9…走査方向、22…第1のトランジスター、26…保持容量、27…保持容量線、28…画素電極、29…電気光学材料、30…第1の配線、31…第2の配線、32…第1のトランジスター、33…第2のトランジスター、39…電力供給線、YCLK…転送同期信号、YSIN…選択開始信号、VDD…高電圧側電源、VSS…低電圧側電源、41,42,43,45,46…配線、51…抵抗、52…閾値回路、54…第1のスイッチ、55…第2のスイッチ、56…論理ゲート、60,UX1,UX2,‥‥,UXn…単位回路、61…選択回路、62…判定回路、63…検出線、64…出力回路、65…電源制御回路、66…出力選択回路、67…配線、68…電力供給線、70,UYm…単位回路、71…選択回路、72…判定回路、73…検出線、74…出力回路、75…電源制御回路、76…出力選択回路、77…配線、78…電力供給線、80…方向、84…設定切断線、85…切断線、90…方向、91…第1の射影範囲、92…第1の射影範囲中心、93…第2の射影範囲、94…第2の射影範囲中心、97…開放部、101…第1ラッチ回路、102…第2ラッチ回路、103,104,105,106,107、108,109,110,111…配線、121,122,123,124,125,126…射影範囲、131…ゲート配線、132…保持容量配線、133…第2の絶縁膜、134…データ配線、135…中継配線、136…コンタクト部、137…画素電極、138,139…射影範囲、141…第1の絶縁膜、143…第3の絶縁膜、146,148…基材、147…電気光学素子、149…対向基板、150…周辺回路、151…実装部、152,153,154,155…パネル部、156,157,158,159…切断箇所、161,162,163…辺、164…電気光学材料を含む部材、171…第1の工程、172…第2の工程、173…第3の工程、174…第4の工程、175…第5の工程、191…第6の工程、192…第7の工程、193…第8の工程、194…第9の工程、195…第10の工程、182…第4の駆動回路、183…画素部、185…封止材、400…電子ペーパー、401…表示部、402…本体、500…電気ノート、501…カバー、PX(1,1),PX(2,1),PX(3,1),‥,PX(n,m)…画素、XCLK…転送同期信号、XSIN…選択開始信号、VCOM…共通電位、PE(1,1),PE(2,1),PE(3,1),‥,PE(n,m)…画素の画素電極、PC(1,1),PC(2,1),PC(3,1),‥,PC(n,m)…画素の駆動部、θ…角度、Dx,Dy…距離、L1,L2…長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の配線と複数の第2の配線と前記第1及び第2の配線の交点に対応して夫々設けた、画素電極を有する複数の画素と、
前記複数の画素のうち少なくとも2つ以上の画素に対応して共通に設けた少なくとも1つの共通電極と、
前記複数の第1の配線を駆動する第1の駆動回路と、
前記複数の第2の配線を駆動する第2の駆動回路と
を含む表示装置であって、
少なくとも前記第1の駆動回路は前記画素と同一基板上にあり、
少なくとも前記第1の駆動回路は検出線と判定回路と出力回路とを有した複数の単位回路から成り、
前記出力回路は前記判定回路からの信号に従って出力信号を変えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、
(i+1)番目の前記単位回路(iは任意の自然数)はi番目の前記単位回路より前記第1の方向に配置され、
前記i番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲と、前記(i+1)番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲とが重なることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、
前記画素は夫々画素電極と前記画素電極を駆動する駆動部とを含んで構成され、
前記n番目の単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲が、
前記n番目の単位回路が駆動する前記n行目またはn列目の画素の、前記画素電極または前記駆動部の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲よりも、前記第1の方向に延伸することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、
前記検出線の配置範囲は、前記第2の方向に並ぶ前記複数の画素の少なくとも一部または全部を含んでいることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲の中心を、前記検出線の開放箇所より前記第1の方向に配置することを特徴とする請求項2乃至請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素は夫々の画素電極と前記画素電極を駆動する駆動部とを含んで構成され、
前記第2の方向に並ぶ1行の画素群の、前記画素電極または前記駆動部の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲に対して、
前記1行の画素群に信号を供給する前記単位回路の検出線の配置範囲の前記第2の方向から見た前記第1の方向に対する射影範囲が前記第1の方向に延伸する距離をDとし、
前記表示装置の前記第1の方向に面した辺の、前記第1の方向に対する角度を90+θ[°]とし、
前記画素群のうち、表示に寄与する画素領域の前記第2の方向に対する長さをL1とし、前記画素領域の前記第1の方向に対する長さをL2としたとき、
L1×tanθ<D<L2
の条件を満たすことを特徴とする請求項2または請求項3記載の表示装置。
【請求項7】
前記判定回路は前記検出線の電気的開放状態を検出して判定し、
前記出力回路は、前記判定の結果に基づいてその出力動作を、前記画素に表示のための信号を与える第1の出力動作から、前記画素を非表示とする第2の出力動作へと切り替えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の第1の配線は前記画素の信号線であって、
前記第1の駆動回路は前記信号線を駆動する信号線駆動回路であって、
前記出力回路は前記判定の結果に基づいて、
像情報に基づく信号を前記信号線に与える前記第1の出力動作から、前記共通電極と同じ電圧を前記信号線に与える、または、前記画素電極と前記共通電極とを略同電圧にするための信号を前記信号線に与える前記第2の出力動作へと切り替えることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の第1の配線は前記画素の走査線であって、
前記第1の駆動回路は前記走査線を駆動する走査線駆動回路であって、
前記出力回路は前記判定の結果に基づいて
前記画素を表示させるためのパルス信号を前記走査線に与える前記第1の出力動作から、前記画素電極と前記共通電極とを略同電圧にするための信号を前記走査線に与える前記第2の出力動作へと切り替えることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、前記第1の方向に対して垂直な方向を第2の方向とし、
前記判定回路の配置領域の前記1の方向から見た前記2の方向に対する射影範囲は、前記検出線の配置領域の前記1の方向から見た前記2の方向に対する射影範囲に含まれ、
前記検出線の配置領域の前記2の方向から見た前記1の方向に対する射影範囲の中心は、前記判定回路の配置領域の前記2の方向から見た前記1の方向に対する射影範囲の中心より、第1の方向に配置することを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1の駆動回路が配置される面において、前記第1の駆動回路の走査方向を第1の方向とし、
前記表示装置に電力及び信号を供給する実装部の少なくとも一部は、
前記第1の駆動回路よりも、前記表示装置の前記第1の方向に面した辺とは相対する辺に近く配置されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1に記載の表示装置を製造する表示装置の製造方法であって、
複数の画素と第1の駆動回路とを基板上に少なくとも形成する第1の工程と、
前記基板を切断する第2の工程と、
切断後の前記基板上に電気光学材料を含む部材を重ねる第3の工程と、
共通電極を含む部材を重ねる第4の工程と、
前記電気光学材料を封止する第5の工程と、
第2の配線を駆動する第2の駆動回路を設ける工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の表示装置を製造する表示装置の製造方法であって、
複数の画素と第1の駆動回路とを基板上に少なくとも形成する第6の工程と、
前記基板上に電気光学材料を含む部材を重ねる第7の工程と、
共通電極を含む部材を重ねる第8の工程と、
前記基板を切断する第9の工程と、
前記電気光学材料を封止する第10の工程と、
第2の配線を駆動する第2の駆動回路を設ける工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−133187(P2012−133187A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285966(P2010−285966)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】