説明

表面形状測定方法及び測定装置

【課題】正確性が向上した表面形状測定方法および測定装置を提供する。
【解決手段】このような表面形状測定方法は、少なくとも二以上の方向でパターン光を測定対象物に照射し、測定対象物から反射されたパターンイメージを取得する段階と、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得する段階と、前記方向における前記高さの増加率を表すベクトル場を取得する段階と、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得する段階と、前記信頼指数及び前記ベクトル場を用いて、統合ベクトル場を取得する段階及び前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを測定する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面形状測定方法及び測定装置に関し、より詳細には非接触による表面形状測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触による3次元測定対象物の表面形状を測定する技術が色々な方向で開発されている。これらのうち、レーザーを用いる方法とモアレパターンを用いる方法が広く使用されている。
【0003】
一方、このようなレーザーを用いる方法とモアレパターンを用いる方法では各々測定対象物に斜めの角度でレーザー及びスリット パターン光を照射するが、測定対象物の突出する角度がレーザーまたはスリットパターン光を照射する角度より大きい場合にはレーザーまたはスリットパターン光が測定対象物の一部分に到達することのできない領域が発生することになる。
【0004】
このような問題点を解決するために、レーザーまたはスリットパターン光を色々の異なる方向で照射して各方向における、基板上の各位置(x、y)に伴う高さを算出して表面形状を測定する。一方、このように求められた各方向における高さは、一般的に一致しておらず、特定方向における測定値はディフェクトを含んでいるので、これを除去した正確な高さ算出が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、各方向において測定された高さからディフェクトを除去してより正確性を向上させる表面形状測定方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、このような方法を実現することのできる表面形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するための本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定方法は、少なくとも二以上の方向からパターン光を測定対象物に照射し、測定対象物から反射されたパターンイメージを取得し、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得し、前記方向における前記高さの増加率を示すベクトル場を取得し、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、前記信頼指数および前記ベクトル場を用いて、統合ベクトル場を取得し、前記統合ベクトル場を利用して測定対象物の各座標値に対する高さを測定すること、を含む。
【0008】
例えば、前記信頼指数は、可視度指数、スペキュラー(specular)指数、影指数のうち、少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
【0009】
この際、前記可視度指数は、可視度しきい値より大きい場合、論理値真を付与し、前記可視度しきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、前記スペキュラー指数は、位相変化によるイメージのうち、インテンシティがスペキュラーしきい値より大きいイメージを合算して合算スペキュラー指数を取得し、前記合算スペキュラー指数が合算スペキュラーしきい値より大きい場合論理値真を付与し、前記合算スペキュラーしきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、前記影指数は、位相変化によるイメージのうち、インテンシティが影しきい値より小さいイメージを合算して合算影指数を取得し、前記合算影指数が合算影しきい値より大きい場合、論理値真を付与し、前記合算影しきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数を用いて取得することができる。
【0010】
この場合、前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数を論理和して取得してもよい。
【0011】
これとは異なり、前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数に、それぞれ偽または真のうちいずれか一つの選択論理値を乗じて選択可視度指数、選択スペキュラー指数および選択影指数を取得し、前記選択可視度指数、前記選択スペキュラー指数および選択影指数を論理和して取得してもよい。
【0012】
また、前記統合ベクトル場を取得すること、前記方向における前記ベクトル場のうち、信頼指数の論理値が真のベクトル場を選択し、前記選択されたベクトル場をメディアン(median)演算して前記統合ベクトル場を取得すること、を含んでいてもよい。
【0013】
この場合、前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを測定することは、前記統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラス演算子(Laplacian)を加えて左辺とするポアソン方程式(Poisson Equation)求めることと、前記ポアソン方程式の解である高さを求めることと、を含んでいてもよい。
【0014】
また、前記ポアソン方程式の解である高さを求めることは、連続演算子(∂/∂x, ∂/∂y)を有するポアソン方程式を、離散演算子を有する離散ポアソン方程式に変換し、前記有限ポアソン方程式の解をフーリエ級数で展開し、各フーリエ関数の係数を取得すること、を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定装置は、測定対象物が形成された基板を支持する支持部と、少なくとも二以上の方向で、前記測定対象物にパターン光を照射するパターンイメージ投影部と、前記測定対象物から反射された各方向のパターンイメージをキャプチャするイメージ取得部と、前記イメージ取得部からキャプチャされたパターンイメージを記憶する記憶部と、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得し、前記方向における前記高さの増加率を表すベクトル場を取得し、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、前記信頼指数および前記ベクトル場を用いて統合ベクトル場取得した後、前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを計算する演算部と、を含んでいてもよい。
【0016】
例えば、前記演算部は、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを計算する高さ計算ユニットと、前記方向における前記高さに対する信頼指数を計算する信頼指数計算ユニットと、計算された前記高さ及び計算された前記信頼指数を記憶する記憶ユニットと、前記高さの最大増加率を表すベクトル場を計算するベクトル場計算ユニットと、前記方向における信頼指数及びベクトル場を用いて統合ベクトル場を計算する統合ベクトル場計算ユニットと、測定対象物の境界を設定する境界設定ユニットと、前記統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラシアン演算子を加えて左辺とするポアソン方程式に、前記境界設定ユニットから取得された境界に境界条件(boundary condition)を代入して前記高さを計算するポアソン方程式解決ユニットと、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明によると、各方向で測定された高さから、影ディフェクト、スペキュラーディフェクトなどが除去された高さを選別し、これらを用いることにより、より正確な表面形状の測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定装置を示す概略図である。
【図3】図2に示された記憶部及び演算部の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することできる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示し本文に詳細に説明する。しかし、以下の実施形態は、本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むとして理解されるべきである。
【0020】
第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されることがあるが、前記構成要素は前記用語によって限定解釈されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみとして使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく第1構成要素を第2構成要素ということができ、同様に第2構成要素も第1構成要素ということができる。
【0021】
本明細書において使用した用語は単なる特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上明白に示さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味し、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないこととして理解されるべきである。
【0022】
特別に定義しない限り、技術的、科学的用語を含んでここで使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0023】
一般的に使用される辞書に定義されている用語と同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的またも過度に形式的な意味に解釈されない。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な一実施形態をより詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定方法を図示した順序図である。
【0026】
図1を参照すると、本発明の例示的な一実施形態に係る表面形状測定方法によると、少なくとも二以上の方向でパターン光を測定対象物に照射し、測定対象物から反射されたパターンイメージを取得する(段階S110)。
【0027】
例えば、前記パターン光は測定対象物に傾いた角度で照射され、前記パターン光は照明に投影部と遮光部とが交互に形成されたパターンを透過させて生成させることができる。一方、一方向からパターン光を測定対象物に照射して高さを測定する場合、測定対象物の他側にはパターン光が到達せず影が発生する。これを防止するために、少なくとも二以上の方向においてパターン光を測定対象物に照射して、前記パターン光が到達することができない領域を補償することでより正確な高さを測定することができる。
【0028】
この際、各方向でパターンイメージは、パターンのピッチを移動させながら取得する。例えば、3-バケットアルゴリズムの場合、前記ピッチの1/3ずつ3回移動させながら、3枚のパターンイメージを取得し、4-バケットアルゴリズムの場合、前記ピッチの1/4ずつ4回移動させながら、4枚のパターンイメージを取得する。
【0029】
次に、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得する段階(S120)。即ち、このように取得された各方向におけるパターンイメージを用いて前記方向における高さを取得する。
【0030】
格子を通過したパターン光に対するパターンイメージは次の数式1のようにサイン関数で近似される。
【0031】
<数式1>


【0032】
この式で、下付添字bは前記多数の方向うちいずれか一つの方向、即ち、チャンネルを示し、iはピッチ分だけ移動させた時のイメージを区分するための添字としてN-バケットアルゴリズムの場合、1乃至Nの自然数になり、Iはパターンのピークインテンティシ(即ち、モジュレーション(Modulation))を表し、AはN-バケット アルゴリズムによるインテンシティの平均値で、この式でピッチを移動させることに従う位相変化量αbiは次の数式2に表現してよい。
【0033】
<数式2>

【0034】
一方、前記数式1を用いて、各方向bにおける位相変化量を求めると、下の数式3のように表現される。
【0035】
<数式3>

【0036】
また、数式3を用いて各方向における高さHを求めると、次の数式4のように近似されてよい。
【0037】
<数式4>

【0038】
この式で、Iは測定対象物からイメージ取得のためのイメージ取得部までの距離、dはパターン光を照射するパターンイメージ投影部と前記イメージ取得部までの距離、fは基準面においてのサインプリッジパターン(sin fridge pattern)の周波数を表す。
【0039】
このような数式4を用いて、各方向bで、測定対象物の各位置(x、y)における高さHを求めることができる。
【0040】
一方、このような各方向bで、測定対象物の各位置x、yにおける高さHを求める方法は例示的なものであるだけで、他の方法が適用できるということは自明である。
【0041】
以下、各方向で求められた高さからノイズが含まれた高さを除去し、残り高さに対する統合方法を詳細に説明する。
【0042】
各方向bで求められた高さ[Hb(x、y)]は例えば、影によるディフェク、鏡面反射(または正反射)によるディフェクト(またはスペキュラーディフェクト)、など多様な種類のノイズが含まれるので、互いに相異であってよく、これらを統合して正確な高さ[H(x、y)]を取得するようになる。
【0043】
これのために、前記方向における前記高さの最大増加率を表すベクトル場を取得する(段階S130)。
【0044】
このような各方向bにおけるベクトル場(Gb(x、y))は次の数式5を通じて得られる。
【0045】
<数式5>

【0046】
即ち、各方向で求められた高さにグラジエント(gradient)演算して各方向bにおけるベクトル場(Gb(x、y))を求める。
【0047】
次に、前記方向bにおける前記高さに対する信頼指数Cを取得する段階(S140)。前記信頼指数Cは可視度指数、スペキュラー指数、影指数のうち少なくともいずれか一つを含んでいてよい。
【0048】
前記可視度指数を求めるために、4-バケットアルゴリズムの場合、前記数式1でピークインテンシティ(またはモジュレーション) Iを求めると下の数式6に表現される。
【0049】
<数式6>

【0050】
また、前記数式1でインテンシティの平均値Aを求めると下の数式7に表現される。
<数式7>

【0051】
前記数式6及び数式7から可視度(visibility)VFを求めると、可視度VFは下の数式8に表現される。
<数式8>

【0052】
一方、本実施形態において、前記可視度VFを用いて、前記方向bにおける可視度指数VIは次の数式9に表現される。
<数式9>

【0053】
この式で、Vthrは実験によって選択した可視度のしきい値(threshold value)であり、数式9の意味は次のようである。即ち、多数の方向bのうち、例えば1方向の可視度指数VIが可視度のしきい値Vthrより大きければ、前記第1方向の可視度指数VIには論理値真1を付与し、可視度指数VIが可視度のしきい値Vthrより小さいか同じであれば、前記第1方向の可視度指数 VIには論理値偽0を付与する。
【0054】
また、鏡面反射によるスペキュラーディフェクトを考慮するための、多数の方向bのスペキュラー指数SpIは次の数式10に表現される。
【0055】
<数式10>

【0056】
この式で、スペキュラーしきい値SPthr及び合算スペキュラーしきい値SPthrは実験によって選択することができる。前記数式10の意味は次のようである。即ち、複数の方向bのうち、例えば1方向で位相変化によるイメージ、即ち、N-バケットアルゴリズムのi番目インテンティシI1iがスペキュラーしきい値SPthrより大きければ、i番目インテンティシI1iに論理値真1を付与し、スペキュラーしきい値SPthrより小さければ、i番目インテンティシI1iに論理値偽0を付与して、N-バケットアルゴリズムのN個のイメージに対する論理値を合算する。このように合算された論理値が合算スペキュラーしきい値SPthrより大きいか同じであれば、前記第1方向におけるスペキュラー指数SpIには論理値真1を付与し、合算スペキュラーしきい値SPthrより小さければ、前記第1方向におけるスペキュラー指数SpIには論理値偽0を付与する。
【0057】
また、影による影ディフェクトを考慮するための、複数の方向bの影指数SHIは次の数式10に表現される。
【0058】
<数式11>

【0059】
この式で、影門のしきい値shthr及び合算影しきい値shthrは実験によって選択することができる。 前記数式11の意味は次のようである。即ち、複数の方向bのうち、例えば1方向で位相変化によるイメージ即ち、N-バケットアルゴリズムのi番目インテンティシI1iが影しきい値shthrより小さければ、i番目インテンティシI1iに論理値真1を付与し、スペキュラーしきい値SPthrより大きいか同じであれば、i番目インテンティシI1iに論理値偽0を付与して、N-バケットアルゴリズムのN個のイメージに対する論理値を合算する。このように合算された論理値が合算影しきい値Shthrより大きいか同じであれば、前記第1方向におけるスペキュラー指数SpIには論理値真1を付与し、合算影しきい値Shthrより小さければ、前記第1方向における影指数ShIには論理値偽0を付与する。
【0060】
このように前記数式9、数式10及び数式11を通じてそれぞれ得られた可視度指数VI、スペキュラー指数SpI及び影指数ShIを用いて、各方向bにおける信頼指数Cを次の数式12を通じて計算する。
【0061】
<数式12>

【0062】
この式で、V、Sp、Shはそれぞれ論理値真1または偽0のうちいずれか一つの値を示し、‘|’ 演算子はOR 演算子である。このように、V、Sp及びShを調節することで、信頼指数Cの考慮対象を調節することができる。例えば、V、Sp及びShに全部論理値真1を付与する場合、可視度、スペキュラーディフェクト及び影ディフェクトを全部考慮して、各方向bにおける信頼指数Cを算出することができ、 V及びSpには論理値偽0を付与し、Shには論理値真1を付与する場合、影ディフェクトのみを考慮した各方向bにおける信頼指数Cを算出することができる。
【0063】
一方、本実施形態においては、例えば、前記方向における前記高さの最大増加率を表すベクトル場を取得し(段階S130)、次に、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得すること(段階S140)のように記載されているが、このような順序は例示的なものであって、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、前記方向における前記高さの最大増加率を表すベクトル場を取得することもできる
【0064】
次に、数式12を通じて計算された前記信頼指数Cb及び前記数式5を通じて計算された前記ベクトル場(Gb(x、y))を用いて、統合ベクトル場(G(x、y))を取得する(段階S150)。 例えば、前記統合ベクトル場(G(x、y))は下の数式13を通じて取得される。
【0065】
<数式13>

【0066】
即ち、前記方向における前記ベクトル場のうち、信頼指数の論理値が真1であるベクトル場を選択し、このような論理値が真1であるベクトル場をメディアン演算して前記統合ベクトル場(G(x、y))を計算する。
【0067】
次に、数式13を通じて計算された前記統合ベクトル場(G(x、y))を用いて、各方向bにおける高さ(H(x、y))が統(merge)された、測定対象物の各座標値に対する高さ(H(x、y))を計算する(段階S160)。これのために、下の数式14を最小化する高さ(H(x、y))を求める。
【0068】
<数式14>

【0069】
前記の数式14を最小化させるための接近方法から、下の数式14のような、ポアソン方程式が導出される。
【0070】
<数式15>

【0071】
数式15で示すように、前記統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラス演算子を加えて左辺とするポアソン方程式を満足する高さ(H(x、y))は、各方向bで取得された、影によるディフェクト、鏡面反射(または正反射)によるディフェクト、など多様な種類のノイズを含んでいる色々の方向における高さ(H(x、y))が統合されたもので、このような高さ(H(x、y))は前記ノイズが除去された統合ベクトル場(G(x、y))から得られるので、前記ノイズが除去されている。
【0072】
例えば、このような高さ(H(x、y))を計算するために、例えば、前記ラプラス演算子及び発散演算子に含まれた連続演算子(∂/∂x、 ∂/∂y)を離散演算子に近似させ、離散演算子を有するポアソン方程式に代置した有限ポアソン方程式に変更することができる。このような有限ポアソン方程式は下の数式16に表現される
【0073】
<数式16>

【0074】
前記偏微分方程式の解を求めるために、境界地点における高さをグラウンドにして、h0n=hMn=hm0=hmN=0の境界上面(boundary condition)を代入する。
【0075】
一方、数式16で、x軸とy軸の変化量を同一に単位長さに仮定すると(即ち、△x=△y=1)、前記数式16は次の数式17に表現される。
【0076】
<数式17>

【0077】
一方、任意の関数二変数関数は下の数式18のようにフーリエ級数に展開できる。
【0078】
<数式18>

【0079】
前記数式18に展開するフーリエ級数を数式17の解と仮定して、数式17に代入すれば、次の数式19を得ることができる。
【0080】
<数式19>





この式で、右辺の係数Fjkは次の数式20に表現される。
【0081】
<数式20>



前記式で、係数gmNは数式15の統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺の関数をフーリエ展開して求めることができる。
一方、数式19はサイン関数の足し算公式を用いて整理すると、次の数式21に表現される。
【0082】
<数式21>


従って、数式18における係数Ujkは次の数式22のように表現され、数式15における高さに関する解を求めることができる
【0083】
<数式22>

【0084】
本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定方法によると、各方向で測定された高さから、影ディフェクト、スペキュラーディフェクトなどが除去された高さを選別し、これらを用いてより正確性が向上する。
【0085】
図2は本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定装置を示す概略図であり、図3は図2で示された記憶部及び演算部の一実施形態を示す概略図である。
【0086】
図2を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による表面形状測定装置100は測定対象物が配置された基板Sを支持及び移送させるための支持部140、基板Sにパターンイメージを照射するための少なくとも二以上のパターンイメージ投影部110、基板Sのイメージを撮影するイメージ取得部130、取得されたイメージを記憶する記憶部120、及び色々な演算を遂行する演算部150を含む
【0087】
前記パターンイメージ投影部110は前記基板Sに形成された測定対象物の表面形状を測定するためにパターンイメージを基板Sに照射する。例えば、パターンイメージ投影部110は光を発生させる光源112、光源112からの光をパターンイメージに変換させるための格子素子114、格子素子114をピッチ移送させるための格子移送機具116、及び格子素子114により変換されたパターンイメージを測定対象物に投影するための投影レンズ118を含む。
【0088】
前記格子素子114はパターンイメージの位相遷移のために圧電アクチュエータ(piezo actuator:PZT)などの格子移送機具116を通じて2π/N分だけずつ移送されてよい。ここで、Nは2以上の自然数である。このような構成を有するパターンイメージ投影部110は検査精度を高めるためにイメージ取得部130を中心に円周方向に沿って一定の角度で離隔できるように複数が設置されてよい。複数のパターンイメージ投影部110は基板Sに対して一定の角度で傾いて設置され、複数の方向から基板Sにパターンイメージを照射する
【0089】
イメージ取得部130はパターンイメージ投影部110のパターンイメージの照射を通じて基板Sのイメージを撮影する。例えば、イメージ取得部130は基板Sから垂直した上部に設置される。 イメージ取得部130はイメージ撮影のためにCCDカメラまたはCMOSカメラを含んでいてよい。
【0090】
前記記憶部120はイメージ取得部130から取得されたイメージを記憶する。前記記憶部120は複数のセクションで分割され、その中で、いずれか一つのセクションには複数の方向うちいずれか一つの方向で、N-バケットアルゴリズムに従って撮影されたN個のイメージを記憶することができる
【0091】
前記演算部150は、前記記憶部120に記憶された前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得し、前記方向における前記高さの最大増加率を表すベクトル場を取得し、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、前記信頼指数及び前記ベクトル場を用いて統合ベクトル場を取得した後、前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを計算する。
【0092】
図3を参照すると、このような演算を遂行する前記演算部150は、高さ計算ユニット151、信頼指数計算ユニット152、記憶ユニット153、ベクトル場計算ユニット154、統合ベクトル場計算ユニット155、境界設定ユニット157及びポアソン方程式解決ユニット156を含んでいてもよい。
【0093】
前記高さ計算ユニット151は前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを計算する。より詳細には、第1方向の第1チャンネルCh1でN-バケットアルゴリズムを用いてN枚のイメージ(I11、I12、...、I1N)を用いて、例えば、数式4を通じて、前記第1方向の高さH1を求め、同様の方法で、第m方向の第mチャンネルChmでN-バケットアルゴリズムを用いてN枚のイメージ(Im1、Im2、...、ImN)を用いて、例えば、数式4を通じて、前記第m方向の高さHmを求める
【0094】
また、前記信頼指数計算ユニット152は前記方向における前記高さ(H1、H2、...Hm)に対する信頼指数(C1、C2、...、Cm)を、数式12を用いて計算する。
【0095】
前記記憶ユニット153は計算された前記高さ(H1、H2、... Hm)及び計算された前記信頼指数(C1、C2、...、Cm)を記憶する。
【0096】
前記ベクトル場計算ユニット154は、前記記憶ユニット153に記憶された前記高さ(H1、H2、... Hm)を用いて前記高さ(H1、H2、... Hm)の最大増加率を表すベクトル場(G1、G2、...Gm)を、数式5を用いて計算する。
【0097】
前記統合ベクトル場計算ユニット155は前記方向における信頼指数(C1、C2、...、Cm)及びベクトル場(G1、G2、...Gm)を用いて数式13を通じて統合ベクトル場Gを計算する。
【0098】
前記境界設定ユニット157は測定対象物の境界を設定する。この時、前記境界設定ユニット157は下の数式23に示された加重平均方法を用いて測定対象物の境界を設定することができる。
【0099】
<数式23>

【0100】
前記式でWは加重値である。この際、境界は必ず測定対象物の端部に限定する必要がなく、基板まで拡張された領域であってもよい。
【0101】
前記ポアソン方程式解決ユニット156は、前記統合ベクトル場Gに発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラシアン演算子を加えて左辺とするポアソン方程式に、前記境界設定ユニット157から取得された境界に境界条件を代入して前記高さを計算する。
【0102】
各ユニットで遂行する演算方法は、図1に対する説明で詳細に説明したので、重複する説明は省略する。
【0103】
このような構成を有する表面形状測定装置100はパターンイメージ投影部110または照明部120を用いて基板Sに光を照射し、イメージ取得部130を通じて基板Sのイメージを撮影することで、基板Sの表面形状を測定する。一方、図2に示された表面形状測定装置100は一例に過ぎなく、少なくとも二以上のパターンイメージ投影部110とイメージ取得部130を含む多様な構成への変更が可能である。
【0104】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【符号の説明】
【0105】
100 表面形状測定装置
110 パターンイメージ投影部
112 光源
114 格子素子
118 投影レンズ
120 記憶部
130 イメージ取得部
140 支持部
150 演算部
151 高さ計算ユニット
152 信頼指数計算ユニット
153 記憶ユニット
154 ベクトル場計算ユニット
155 統合ベクトル場計算ユニット
156 ポアソン方程式解決ユニット
157 境界設定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二以上の方向からパターン光を測定対象物に照射し、測定対象物から反射されたパターンイメージを取得し、
前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得し、
前記方向における前記高さの増加率を示すベクトル場を取得し、
前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、
前記信頼指数および前記ベクトル場を用いて、統合ベクトル場を取得し、
前記統合ベクトル場を利用して測定対象物の各座標値に対する高さを測定すること、
を含むことを特徴とする表面形状測定方法。
【請求項2】
前記信頼指数は可視度指数、スペキュラー(specular)指数、影指数のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の表面形状測定方法。
【請求項3】
前記可視度指数は、可視度しきい値より大きい場合、論理値真を付与し、前記可視度しきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、
前記スペキュラー指数は、位相変化によるイメージのうち、インテンシティがスペキュラーしきい値より大きいイメージを合算して合算スペキュラー指数を取得し、前記合算スペキュラー指数が合算スペキュラーしきい値より大きい場合論理値真を付与し、前記合算スペキュラーしきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、
前記影指数は、位相変化によるイメージのうち、インテンシティが影しきい値より小さいイメージを合算して合算影指数を取得し、前記合算影指数が合算影しきい値より大きい場合、論理値真を付与し、前記合算影しきい値より小さい場合、論理値偽を付与し、
前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数を用いて取得することを特徴とする請求項2に記載の表面形状測定方法。
【請求項4】
前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、
前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数を論理和して取得することを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定方法。
【請求項5】
前記方向における前記高さに対する前記信頼指数は、前記可視度指数、前記スペキュラー指数および前記影指数に、それぞれ偽または真のうちいずれか一つの選択論理値を乗じて選択可視度指数、選択スペキュラー指数および選択影指数を取得し、前記選択可視度指数、前記選択スペキュラー指数および選択影指数を論理和して取得することを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定方法。
【請求項6】
前記統合ベクトル場を取得することは、
前記方向における前記ベクトル場のうち、信頼指数の論理値が真のベクトル場を選択し、
前記選択されたベクトル場をメディアン(median)演算して前記統合ベクトル場を取得すること、を含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表面形状測定方法。
【請求項7】
前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを測定することは、
前記統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラス演算子(Laplacian)を加えて左辺とするポアソン方程式(Poisson Equation)求め、
前記ポアソン方程式の解である高さを求めること、を含むことを特徴とする請求項6に記載の表面形状測定方法。
【請求項8】
前記ポアソン方程式の解である高さを求めることは、
連続演算子(∂/∂x, ∂/∂y)を有するポアソン方程式を、離散演算子を有する離散ポアソン方程式に変換し、
前記離散ポアソン方程式の解をフーリエ級数で展開し、各フーリエ関数の係数を取得すること、を含むことを特徴とする請求項7記載の表面形状測定方法。
【請求項9】
測定対象物が形成された基板を支持する支持部と、
少なくとも二以上の方向で、前記測定対象物にパターン光を照射するパターンイメージ投影部と、
前記測定対象物から反射された各方向のパターンイメージをキャプチャするイメージ取得部と、
前記イメージ取得部からキャプチャされたパターンイメージを記憶する記憶部と、
前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを取得し、前記方向における前記高さの増加率を表すベクトル場を取得し、前記方向における前記高さに対する信頼指数を取得し、前記信頼指数および前記ベクトル場を用いて統合ベクトル場取得した後、前記統合ベクトル場を用いて測定対象物の各座標値に対する高さを計算する演算部と、を含むことを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記パターンイメージを用いて前記方向における高さを計算する高さ計算ユニットと、
前記方向における前記高さに対する信頼指数を計算する信頼指数計算ユニットと、
計算された前記高さ及び計算された前記信頼指数を記憶する記憶ユニットと、
前記高さの最大増加率を表すベクトル場を計算するベクトル場計算ユニットと、
前記方向における信頼指数及びベクトル場を用いて統合ベクトル場を計算する統合ベクトル場計算ユニットと、
測定対象物の境界を設定する境界設定ユニットと、
前記統合ベクトル場に発散演算子を加えて右辺とし、前記高さにラプラシアン演算子を加えて左辺とするポアソン方程式に、前記境界設定ユニットから取得された境界に境界条件(boundary condition)を代入して前記高さを計算するポアソン方程式解決ユニットと、を含むことを特徴とする請求項9記載の表面形状測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−112952(P2012−112952A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−253957(P2011−253957)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(506414749)コー・ヤング・テクノロジー・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】