説明

表面感知デバイス

被加工物の表面を測定するための装置が説明される。装置は、座標位置決め機械のような機械(26)の可動アームに取り付けられ、そして、第1回転軸(1A)および第2回転軸(2A)まわりに回転でき、それら軸がそれぞれ第1モーター(M1)および第2モーター(M2)によって駆動される、支持体(7)を備える。装置は、付加的に、第3回転軸(4A)まわりに回転できる、被加工物の表面を感知するための表面感知デバイス(4)を備える。この第3回転軸(4A)は、第1回転軸(1A)に合わさることができ、合わされた場合、表面感知デバイス(4)に対する支持体(7)の回転は、表面感知デバイス(4)がホルダー(70)によって動かないように保持されるとき、第1モーター(M1)によって作動可能である。被加工物の表面を測定するための装置を使用するための方法は、また説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、三次元座標測定機(CMM)、スキャンニング機械、工作機械、あるいは検査/測定ロボットのような、位置決め装置において使用するための表面感知デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような位置決め機械(例えばCMMを示す特許文献1を見よ)は、被加工物を測定するために用いられ、典型的には、被加工物が支持されるテーブルに対して3方向x、y、zに移動可能なアームを備える。方向x、y、zの各々に関するアームの移動は、その機械上のトランスデューサーによって測定され、アームに設けられたプローブが測定される被加工物の表面とアームとの間の関係を示す信号を生み出す。したがって、その表面の位置は、測定され得る。
【0003】
代わりの機械において、例えば、幾つかの種類の工作機械において、テーブルは、xおよびyに関して動き、アームはzに関して動く。
【0004】
特許文献2に示されているように、三次元座標測定機に取り付けられる、スキャンニングプローブ装置を提供することは知られている。そのようなスキャンニングプローブ装置は、固定構造物に対して、相互に直交する2つの軸に関して回転可能であるプローブヘッドと、そして、スタイラスを含むプローブアッセンブリとを備える。使用に際して、ヘッドは機械のアームに取り付けられ、それの軸の一方はアームの軸に合わせられる。ヘッドの回転可能な軸の各々に関係付けられたトランスデューサーは、機械のアームの軸に対してプローブアッセンブリの軸の方向を決める。
【0005】
既知のプローブヘッドの別の例が、レニショウのPH9である。PH9は、モーター駆動の2軸プローブヘッドであり、それは2つの直列的に接続されたローターによってプローブを方向付ける。ローターの各々は、回転のそれの軸に関して等間隔の、複数の運動学的な静止位置のうちの1つを占めることができる。特許文献3は、コンピュータ制御を有さない機械上で使用するための、このプローブヘッドの手動で動作可能なバージョンに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3727119号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0010701号明細書
【特許文献3】欧州特許第0392660号明細書
【特許文献4】米国特許第6051971号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スキャニング作業の間、機械および/またはプローブヘッドは、被加工物の表面に関するデータを集めるように、機械制御装置からの指示にしたがって、スタイラス先端部に、被加工物の表面上を動くことをもたらす。機械やプローブヘッドの測定トランスデューサーによって提供される信号、および、表面感知デバイスの寸法についての情報から、予測が、スタイラス先端部の位置(そしてひいては表面の位置)に関してなされ得る。典型的な被加工物は、例えば、種々の角度の多くの穴を有する、車のエンジンブロックであり得る。被加工物の全表面から情報を得ることが望ましく、それ故、スタイラスは、表面の全てに達することができなければならない。
【0008】
多くのプローブ、例えば、接触トリガープローブのようなボールスタイラスを有するそれらは、多方向性である。これは、それらが多くの方向において被加工物を検知することができるということを意味する。しかし、光学プローブおよび表面仕上げプローブのような、幾つかのプローブは、一方向だけに作用する。これは、それらが一方向においてのみ被加工物を検知することができ、それらが達することができる表面の数を限定することを意味する。
【0009】
被加工物の変化する形状、および、プローブヘッドの動きの物理的範囲や制限のために、スタイラス先端部は、ときどき、被加工物の表面に達することができない。したがって、表面の外形に関する情報を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様は、
機械の可動アームに支持体を取り付けるための取付手段と、
第1回転軸まわりに取付手段に対して回転可能である第1部材であって、前記回転が第1モーターによって生じさせられる第1部材と、第2回転軸まわりに第1部材に対して回転可能である第2部材であって、前記回転が第2モーターによって生じさせられる第2部材とを有する支持体であって、第2回転軸は、第1回転軸を横切り、表面感知デバイスが、第2部材に、それとともに回転するために取り付けられる、支持体と、
被加工物の表面を感知するための表面感知デバイスと、
第3回転軸まわりの支持体に対する表面感知デバイスの回転を可能にするための回転手段であって、第3回転軸は第1回転軸と合わさることが可能である、回転手段と
を備え、
第1回転軸および第3回転軸が合わせられるとき、表面感知デバイスに対する支持体の回転は、第1モーターによって作動可能であることを特徴とする、
被加工物の表面を測定するための装置を提供する。
【0011】
好ましくは、ホルダーが、表面感知デバイスに対する支持体の前記回転の間、表面感知デバイスを動かないように保持するために提供される。
【0012】
有利には、ピンが、ホルダーおよび表面感知デバイスの一方に設けられ、表面感知デバイスに対する支持体の回転の間、表面感知デバイスを動かないように保持するために、ホルダーおよび表面感知デバイスの他方に関する少なくとも1つの凹部と係合可能である。
【0013】
好ましくは、支持体の第1回転軸および第2回転軸は、直交する。
【0014】
有利には、表面感知デバイスの第3回転軸は、支持体の第2軸に交わる。
【0015】
ある場合には、表面感知デバイスの第3回転軸は、表面感知デバイスの概ね長手方向の軸である。しかし、代わりに、第3軸は、例えば、表面感知デバイスの長手方向軸に対してある角度をなしてもよい。
【0016】
プローブあるいはスタイラスの第3軸まわりの回転は、単一方向性プローブによってアクセスされ得る表面の数を増すので、単一方向性プローブに、多方向のプローブとして働くことを可能にし得る。
【0017】
幾つかの実施形態では、表面感知デバイスは、第3回転軸に対して横切る方向における表面あるいは第3回転軸からずれた表面を感知する。別の実施形態では、表面感知デバイスは、例えば、表面感知デバイスの第3軸の方向において、感知することができる。
【0018】
表面感知デバイスは、接触プローブあるいは非接触プローブであり得る。非接触プローブは、例えば、光学プローブ、容量性プローブ、および誘導性プローブを含む。
【0019】
好都合なことには、表面感知デバイスは、プローブ本体、スタイラス、およびスタイラス先端部を備える。
【0020】
有利には、表面感知デバイスは、表面仕上げプローブを備える。一方、表面感知デバイスは、例えば、レーザースポットプローブ、あるいは、レーザー線プローブを備えることができる。
【0021】
好ましくは、回転手段は、デバイスに、最大で360度まで、360度を含めて、回転することを可能にする。しかし、回転手段は、デバイスに、360度を越えてまで回転することを可能にしてもよい。代わりに、例えば、プローブとプローブヘッドとの間の電気接触を提供するべくスリップリングを使用することによって、端部停止部なしに、それを連続して回転することを可能にしてもよい。
【0022】
好都合なことには、回転手段は、付加的に手動で作動可能である。
【0023】
本発明の第2態様は、被加工物の表面を測定するための装置を用いるための方法であって、その装置は、支持体と、機械の可動アームに支持体を取り付けるための取付手段と、被加工物の表面を感知するための表面感知デバイスと、第1回転軸まわりに取付手段に対して回転可能であって第1モーターによって動かされる第1部材と、第2回転軸まわりに第1部材に対して回転可能であって第2モーターによって動かされる第2部材とを有する支持体であって、第2回転軸は、第1回転軸を横切り、表面感知デバイスが、第2部材に、それとともに回転するために取り付けられる、支持体と、第3回転軸まわりの支持体に対する表面感知デバイスの回転を可能にするための回転手段であって、第3回転軸は第1回転軸と合わさることが可能である、回転手段とを備え、
該方法は、
第1回転軸および第3回転軸を合わせるステップと、そして、
表面感知デバイスに対する支持体の回転を作動させるように、第1モーターを作動させるステップと
を含むことを特徴とする、方法を提供する。
【0024】
好都合なことには、方法は、被加工物の表面に沿ってデバイスを動かすステップと、そして、被加工物の表面に関する情報を集めるステップとをさらに含む。
【0025】
好ましくは、被加工物の表面を測定することは、被加工物の表面をスキャンすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に従う装置の好ましい実施形態の等角図を示す。
【図2】図1の軸1Aおよび2Aによって定められる平面におけるデバイスの断面を示す図である。
【図3a】表面感知デバイスの好ましい実施形態の断面図を示す。
【図3b】表面感知デバイスの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図3c】バネ付きピン72を含むように適合されたスタイラス取替ポート70の底面側の図、および、有機的に統合されたプローブヘッドに取り付けられた表面感知デバイスの側面図を示す。
【図3d】プローブの基準位置停止を表す、プローブ本体9を通しての平面断面図および側部断面図を示す。
【図3e】表面感知デバイスの、表面仕上げプローブの好ましい実施形態における被加工物の表面との感知関係を検出するための手段の概念図を示す。
【図3f】表面感知デバイスのスタイラスの実施形態を示す図である。
【図3g】表面感知デバイスのスタイラスの実施形態を示す図である。
【図3h】表面感知デバイスのスタイラスの実施形態を示す図である。
【図3i】表面感知デバイスのスタイラスの実施形態を示す図である。
【図3j】表面感知デバイスの被加工物の表面との感知関係を検出するための代わりの手段の概念図を示す。
【図3k】図3jに示されたような、表面感知デバイスの被加工物の表面との感知関係を検出するための代わりの手段の平面断面図を示す。
【図3l】図3jでは真っ直ぐなスタイラスに対して示されているけれども、表面感知デバイスの、曲げられたスタイラスにおける被加工物の表面との感知関係を検出するための手段の概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
さて、本発明の好ましい実施形態は、例として、添付図面を参照して説明されるだろう。
【0028】
図1を参照して、座標位置決め機械における座標系が、相互に直交する3つの軸、1A、2Aおよび3Aによって定められ得、使用に際して、1Aは実質的に垂直であり、3Aは実質的に水平である。軸1Aが紙面において0度に位置するようにとられる場合、前記0度の位置から、また紙面において90度の位置までの動きは、軸2Aに関しての反時計方向の回転によってもたらされ得る。
【0029】
図1は、3次元において本発明の好ましい実施形態を示し、図2は、図1の軸1A、2Aによって定められる平面における装置を通しての断面を示す。支持体7、この場合、有機的に統合されたプローブヘッドは、第1ハウジング部材1および第2ハウジング部材2をそれぞれ含む。第1ハウジング部材1は、位置決め装置26(例えばCMMのアーム)に取り付けるために適合されていて、第1軸1Aに関して第1シャフト20の角変位をもたらすためのモーターM1を収容する。第1シャフト20に取り付けられているのは第2ハウジング部材2であり、それは第2軸2Aに関して第2シャフト22の角変位をもたらすためのモーターM2を収容する。第2シャフト22にそれと共に回転するために取り付けられているのは、表面感知プローブのような表面感知デバイス4である。
【0030】
表面感知プローブ4は、軸2Aに対して横断すると共に交わる、軸4Aに沿って延びる。前記プローブは、プローブ本体9、スタイラス8、およびスタイラス先端部5を備える。加えて、プローブには、回転手段6が設けられ、それは、デバイスに、第3軸に関して、この場合、それの長手方向軸に関して概して回転することを可能にする。この実施形態において、回転手段は、デバイスが、最大で360度まで回転することを可能にする。
【0031】
好ましい実施形態において、回転手段は、支持体における駆動部(この実施形態ではモーターM1)によって、滑りリングおよび外部取付具を用いて、作動させられる。この場合、2つの作動パーツ間のワイヤーがさらなる回転を抑えるので、デバイスは、最大で360度まで回転できる。
【0032】
この実施形態において、回転手段は、表面感知デバイスのプローブ本体に設けられていて、そのデバイスがその長手方向軸に関して回転することを可能にする。代わりに、回転手段は、支持体と表面感知デバイスとの間に位置付けられる付加的な部材によって提供されてもよい。後者の場合、表面感知デバイスは、付加的な部材の長手方向軸に関して回転し、それは表面感知デバイスの軸に実質的に合わされるべきであり、それ故、そのデバイスはそれの長手方向軸まわりに実質的に回転する。
【0033】
表面感知デバイスは、例えば、接触プローブあるいは非接触プローブであり得る。非接触プローブは、例えば、光学、キャパシタンス、およびインダクタンスプローブを含む。
【0034】
特に、本発明は、光学プローブや表面仕上げプローブのような単軸プローブに有効である。これは、特にこれらの種類のプローブにとって、その長手方向軸(軸4A)まわりの回転が、プローブがアクセスできる表面の数を大いに増加させるからである。この軸まわりの回転は、レーザー線プローブで特に有効であり、表面感知デバイスの軸(先に述べたような第3軸)まわりにその線を回転させることを可能にする。
【0035】
図3aは、表面感知プローブの好ましい実施形態を通しての断面を示す。プローブは、その長手方向軸まわりの回転のための手段を含む。プローブ本体9は、プローブマウント30と、主本体パーツ32と、そして、滑りリング34とを含む。その主本体パーツは、プローブマウント30によって一端部38で保持され、取り外し可能なスタイラス8をそれの他端部で支持する。主本体パーツは、滑りリング34が適合する凹部36を、それの外周周りに有する。主本体パーツ32およびプローブマウント30は、それらが互いに対して回転可能に動くことができるように取り付けられ、この動きはパーツの材料のために低い滑りトルクを有する。滑りリング34は、取り外し可能なスタイラス8を支持する、主本体パーツ32の端部40により近接して位置する。滑りリング34と主本体パーツ32との間の滑りトルクは、主本体パーツ32とプローブマウント30との間の滑りトルクよりも大きい。この高い滑りトルクは、2つのパーツ間の摩擦を増加させるように、プローブのリング34あるいは主本体パーツ32に対して押す、バネ付きのプランジャーによって成し遂げられ得る。この結果として、滑りリング34は、プローブの主本体パーツ32に対して、プローブマウント30よりも回転することが困難である。プローブマウント30は、例えば、図3cに示されているようなスタイラス取替ポート上にそれを取り付けるために、周溝31が備えられる。
【0036】
図3bは、表面感知プローブの好ましい実施形態の図の前方を示す。滑りリング34には、外周周りに配置されたノッチ50の形式の、一連の凹部が設けられている。図3cは、バネ付きのピン72を含むように適合されたスタイラス取替ポート70の下面側の図、および、有機的に統合されたプローブヘッド7に取り付けられた表面感知プローブの正面図を示す。
【0037】
支持体7に対してのスタイラス先端部5の方向を変えるために(図1を見よ)、複数のステップが実行される。初めに、表面感知プローブ4の長手方向軸4Aは、支持体7の第1ハウジング部材1の回転軸1Aに合わせられる。表面感知プローブ4は、支持体7の駆動手段M1によって作動させられて、それの長手方向軸4Aまわりに回転され得る。デバイスは、スタイラス取替ポート70へ動かされ、それは、ピンが第1滑りリング34に設けられたノッチ50のいずれか1つと係合するように方向付けられたバネ付きピン72と適合される。
【0038】
加えて、取替ポート70は、プローブマウント30に設けられた溝31に適合するへり71を備え、使用しないときに、プローブが、取替ポート70に格納されることを許容する。
【0039】
表面感知プローブ4は回転されるので、滑りリング34のあるノッチ50aが、スタイラス取替ポートのバネ付きのピン72と係合する。ピン72は、滑りリング34を動かないように保持する。これは、次にプローブの主本体パーツ32を保持し、滑りリング34と主本体パーツ32との間の高い滑りトルクのために動かないようにスタイラス8を順に保持する。支持体に対してプローブ本体およびスタイラスを動かないように保持する他の方法は可能であり、例えば、ソケットレセプター、磁気ホルダー、機械的クランプ、あるいは、電気機械的クランプ、あるいは摩擦ホルダーがある。
【0040】
主本体パーツ32とプローブマウント30との間の低い滑りトルクは、プローブマウントに、支持体7の回転で、回転し続けることを可能にする。プローブマウント30と支持体7とは、プローブマウント30と支持体7とが主本体パーツ32に対して基準位置に達するまで、主本体パーツ32に対して回転する。この時点で、プローブマウントおよび主本体パーツは、図3dに描かれるように、「スライディングペッグ」メカニズムという手段によって互いに対して停止する。
【0041】
図3dは、プローブ本体9の平面および垂直断面図を示す。曲がったスロット25は、プローブマウント30において既知の位置に設けられている。第1停止ブロック5は、2つのスペーサ35によってスロット25を介してプローブマウント30に固定される。スペーサ35付きの前記第1停止ブロック5は、スロット25に沿って2つの方向に移動可能である。
【0042】
第2停止ブロック15は、プローブの主本体パーツ32に設けられている。プローブマウント30はプローブの主本体パーツ32に対して回転されるので、第1停止ブロック5は、例えば時計方向に第2停止ブロック15に向けて動かされる。第1停止ブロック5が第2停止ブロック15に接するとき、プローブマウントは回転し続け、スペーサ35がスロット25の縁部45に接するとき停止する。プローブマウント30および支持体7の位置は、主本体パーツ32に対して基準位置に達する。
【0043】
第1停止ブロック5は、また、反時計方向において第2停止ブロック15に向けて動かされ得る。2つの停止ブロックが接した後、プローブマウント30は、スペーサ35がスロット55の他の縁部に接するまで、回転し続ける。
【0044】
第1および第2停止ブロック、並びに、スロットは、プローブマウント30上の停止ブロックが近づけられる側部と関係なく、このメカニズムが、基準位置が常に正確に同じ位置であることを保証するように、所定の大きさに作られている。
【0045】
そして、プローブの主本体パーツ32の位置、したがってスタイラス8およびスタイラス先端部5の位置は、基準位置において、支持体7に対して定められる。支持体に対してプローブ本体の基準位置を定めるための別の方法は、可能である。これらは、例えば、カメラと共に用いるための光学基準マーク、(我々の特許文献4に示されているような)磁気基準マーク、位置調節可能な基準マーク(alignable reference mark)のような、如何なる種類の基準マークを含む。代わりに、デテントメカニズムが用いられてもよい。
【0046】
基準位置が到達され、プローブの主本体パーツ32の位置が支持体7に対して定められると、支持体7は、次に、自らを回転させると共に、スタイラス8およびスタイラス先端部5に対して、必要とされる正確な角度に、支持体およびプローブマウントを位置付けるためにプローブマウント30を回転させることができる。
【0047】
基準位置からのプローブ本体32およびスタイラス8に対する支持体の移動は、例えば、支持体7に既に提供されたエンコーダのような、位置決め手段を用いて測定され得る。代わりに、それは例えばスケールおよび副尺を用いて間接的に測定されてもよく、一方は静止したプローブ本体32あるいは滑りリング34に設けられ、他方は動くプローブマウント30あるいは支持体7に設けられるとよい。この場合、ポート内かあるいはポートに対して分かれた観察カメラが、プローブ本体およびスタイラスに対して支持体によって動かされた距離を評価するために用いられてもよく、あるいは、その距離は目によって評価されてもよい。
【0048】
代わりに、基準位置からのプローブ本体32およびスタイラス8に対する支持体の移動は、プローブヘッドそのものにおけるエンコーダのような位置決め手段を用いて測定されてもよい。この場合、プローブヘッドにおける位置決め手段は、プローブ本体と支持体との相対位置に関する情報を、支持体のモーターにフィードバックするだろう。
【0049】
再度代わりに、プローブ本体は、インデクサーを有してもよく、それは、既知の位置に対する、定められた数のインデックスポイントを回転させることができる。
【0050】
支持体およびプローブマウント30がスタイラス8およびスタイラス先端部5に対して必要とされる正確な角度に位置付けられたとき、支持体7は、スタイラス取替ポート70およびバネ付きのピン72から離れるように駆動され、滑りリング34を解放する。この方法では、スタイラス先端部5は支持体7に対してプローブの長手方向軸まわりに異なる角度に方向付けられ得、表面感知プローブ4が様々な表面に達することを可能にする。
【0051】
支持体7に対するスタイラス先端部5の方向付けは、また、例えばプローブ本体9におけるモーターや滑りリングを用いて実行されてもよい。この場合、スタイラス先端部5の方向付けは、支持体7とは関係なく、調整される。
【0052】
図3eは、表面感知デバイスの被加工物の表面との感知関係を検出するための手段の概念図を示し、この場合、表面仕上げプローブを用いている。プローブ本体9の主本体パーツ32のレーザー100は、ミラー150に向けてビーム200を方向付ける。ビーム200は、ビームスプリッタ130へ、孔110およびレンズ120を通過する。ビーム200は、ビームスプリッタ130を通過し、ミラー150上に至って、ビームは、ミラーで反射され、ビームスプリッタ130に戻り、そこで、そして光感知ダイオード(PSD)140に向けて方向付けられる。ミラー150は、レバー160の基端部に接続され、それは支点210上で釣り合わせられる。それの先端部で、レバー160は、スタイラスステム190の一端部に接続され、スタイラスステム190はスタイラス先端部5にそれの他端部で接続される。スキッド180は、先端部のいずれかの側部に沿って置かれる。スタイラス先端部5は、表面に沿って引きずられるので壊れないように耐磨耗性があることが必要とされ、好ましくは、ダイヤモンド製先端部である。
【0053】
図3jは、表面感知デバイスの被加工物の表面との感知関係を検出するための別の手段の概念図を示す。ハウジング185によって収納された、(図3bに示されているような)スタイラス8は、線500に沿うプローブヘッドから取り外し可能である。レバー161は、2枚の交差した板バネ155によってスタイラスのハウジング185に対して固定されている。スタイラス先端部5が被加工物の表面に接するとき、スタイラス先端部5はスタイラスのハウジングの中へ押し戻されるだろう。この動きは、レバー161に、交差バネが合う回転中心まわりに回転することをもたらし、ミラーもまた動かされる。ねじ175は、被加工物に向かってスタイラス先端部5を付勢する別のバネ165に圧力を与えるために締められることができる。スタイラス先端部5は、典型的には、スキッド180の縁部から最大で100ミクロンまで突き出る。ねじ195は、スタイラス先端部5がスキッド180の縁部から突き出る量を調節するべく、レバー161に隣接して設けられている。
【0054】
図3kは、表面感知デバイスの、図3jに示されているような、被加工物の表面との感知関係を検出するための別の手段の平面断面図を示す。レバー161は、ミラー150に近接して設けられる第1セクション161Cと、そして、スタイラス先端部5に近接して設けられる第2セクション161Dとの2つのセクションを有する。第2セクション161Dは、レバーそしてひいては(スキッド180における孔162を通してスタイラスから突出する)スタイラス先端部5の横への動きを最小にするように、形は三角形である。
【0055】
表面感知デバイスは被加工物の表面に沿って動かされるので、スキッド180は、ダイヤモンド製先端部5が表面の細かな表面構成に従う間、表面の荒い外形(表面うねり)に従う。ダイヤモンド製先端部5が被加工物の表面によって動かされるので、レバー160の位置は変化し、ミラー150の位置も変化する。ミラーが動くので、それに向けられたレーザービームは異なる角度で反射され、結果として、図3eに示されるように、PSD上のレーザースポットが動かされる。このようにして、被加工物の表面の外形は、測定されることができる。図3eおよび3jにおいて、ダイヤモンド製先端部5の動きは、被加工物の表面205の上を移動するので、レバー、ミラー、およびビームの結果として生じる動きは、矢印5a、160a、160b、150a、および200aによって示される。ミラーとPSDとの間のビームの偏向させられた経路は、線201によって示される。
【0056】
好ましい実施形態において、スキッドは、プローブスタイラスに対して固定され、プローブスタイラスは堅い。表面感知デバイスは表面に沿って引きずられるので、堅いスタイラスおよび固定されたスキッドは、表面感知デバイスに、実質的に一定のトルクで表面に向かって押されることを可能にする。
【0057】
別の実施形態において、スタイラスは、それることができ、そしてスキッドは可動であり得る。この場合、スタイラスのそれは、被加工物の表面とのスキッドの接触を測定するために変換されることができる。
【0058】
図3f、3gおよび3h、そして3iは、表面感知デバイスのスタイラス先端部5およびスタイラス面300の向きの4つの実施形態を示す。スタイラス先端部5は、スキッド180と直角を成し、スタイラスの面300に直角を成す。スタイラスの面300そしてひいてはスタイラス先端部5は、大きな孔の中へ動くとき、スタイラス先端部5を補助するように、図3fに示されているようにプローブの長手方向回転軸4Aに対してある角度で設けられることができる。図3gに示されているように、代わりに、スタイラスの面300は、被加工物の下部で検査するために、プローブの長手方向回転軸4Aに対して90度に設けられることができ、この場合、スタイラス先端部5はプローブの長手方向回転軸に平行にある。図3hに示されているような第3実施形態において、スタイラス面300は、プローブの長手方向回転軸4Aに平行に設けられることができる。この場合、スタイラス先端部5は、プローブの長手方向回転軸に対して直角を成し、小さな穴の内面へのアクセスのし易さを改善する。
【0059】
図3iに示されているような第4実施形態において、スタイラスは、90度でない角度に曲げられている。スタイラス先端部5は、プローブの長手方向軸4Aに対して横切る方向を向いている。被加工物の表面を感知するとき、スタイラス先端部5は、表面301に直角を成す方向に向かなければならない。有機的に統合されたプローブヘッドの動きおよび有機的に統合されたプローブヘッドの大きさの特定の制限のために、図3hに示されているようなまっすぐなスタイラスで、表された直角を成す感知配置を成し遂げることは可能ではない。図3iの曲げられたスタイラスは、スタイラス先端部に、プローブヘッドが表面を明確にするように位置づけられることを可能にし、したがって、スタイラス先端部5に、直角を成す位置からより多くの表面にアクセスすることを可能にする。
【0060】
図3lは、表面感知デバイスの、曲げられたスタイラスにおける被加工物の表面との感知関係を感知するための手段の概念図を示す。これは、同様の参照数字が同様のパーツを示す図3jに示されたスタイラスと様々に類似する。ハウジング185によって収容されたスタイラス501は、線500に沿ってプローブヘッドから取り外し可能である。レバー配置がスタイラスの曲げられた部分に設けられるのに対して、光路配置はスタイラスの真っ直ぐな部分に提供される。ミラーは、真っ直ぐなスタイラスのそれと同様に、ビームスプリッタに対して光ビームが戻るように、ある角度で2つの部分間の境界に設けられている。曲げられたスタイラスが同じ光学そしてひいては同じプローブを用いることができるこの手段は、真っ直ぐなスタイラスによって用いられるように備えられる。
【0061】
一般に、スタイラス面300およびスタイラス先端部5は、被加工物の表面アクセスの便利さのために、プローブの長手方向回転軸に対して、任意の角度で設けられることができる。
【0062】
例えば、プローブ先端部が表面感知デバイスの長手方向軸に合わせられる場合、プローブは、表面感知デバイスの長手方向軸まわりに回転させられるとき、アクセスに関して利点を有さない。結果として、表面感知デバイスをその長手方向軸まわりに回転させることによって、被加工物の表面へのアクセスのし易さを増すという利点から利益を得るために、プローブ先端部は、前記長手方向軸を横切るあるいは長手方向軸からずれていなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の表面を測定するための装置であって、
支持体と、
機械の可動アームに該支持体を取り付けるための取付手段と、
被加工物の表面を感知するための表面感知デバイスと、
第1回転軸まわりに前記取付手段に対して回転可能であって第1モーターによって動かされる第1部材と、第2回転軸まわりに前記第1部材に対して回転可能であって第2モーターによって動かされる第2部材とを有する前記支持体であって、前記第2回転軸は、前記第1回転軸を横切り、前記表面感知デバイスが、前記第2部材に、それとともに回転するために取り付けられる、前記支持体と、
第3回転軸まわりの前記支持体に対する前記表面感知デバイスの回転を可能にするための回転手段であって、該第3回転軸は前記第1回転軸と合わさることが可能である、回転手段と
を備え、
前記第1回転軸および前記第3回転軸が合わせられるとき、前記表面感知デバイスに対する前記支持体の回転は、前記第1モーターによって作動可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
ホルダーが、前記表面感知デバイスに対する前記支持体の前記回転の間、前記表面感知デバイスを動かないように保持するために提供されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ピンが、前記ホルダーおよび前記表面感知デバイスの一方に設けられ、前記表面感知デバイスに対する前記支持体の前記回転の間、該表面感知デバイスを動かないように保持するために、前記ホルダーおよび前記表面感知デバイスの他方に関する少なくとも1つの凹部と係合可能であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持体の前記第1回転軸および前記第2回転軸は、直交することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記表面感知デバイスの前記第3回転軸は、前記支持体の前記第2軸に交わることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記表面感知デバイスの前記第3回転軸は、前記表面感知デバイスの概ね長手方向の軸であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記表面感知デバイスは、前記第3回転軸に対して横切る方向における表面あるいは前記第3回転軸からずれた表面を感知することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記表面感知デバイスは、接触プローブであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記表面感知デバイスは、非接触プローブであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記表面感知デバイスは、プローブ本体、スタイラス、およびスタイラス先端部を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記表面感知デバイスは、表面仕上げプローブを備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記回転手段は、前記デバイスに、最大で360度まで回転することを可能にすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記回転手段は、前記デバイスに、360度を越えてまで回転することを可能にすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記回転手段は、前記デバイスに、連続して回転することを可能にすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記回転手段は、付加的に手動で作動可能であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
被加工物の表面を測定するための装置を用いるための方法であって、
該装置は、
支持体と、
機械の可動アームに該支持体を取り付けるための取付手段と、
被加工物の表面を感知するための表面感知デバイスと、
第1回転軸まわりに前記取付手段に対して回転可能であって第1モーターによって動かされる第1部材と、第2回転軸まわりに前記第1部材に対して回転可能であって第2モーターによって動かされる第2部材とを有する前記支持体であって、前記第2回転軸は、前記第1回転軸を横切り、前記表面感知デバイスが、前記第2部材に、それとともに回転するために取り付けられる、前記支持体と、
第3回転軸まわりの前記支持体に対する前記表面感知デバイスの回転を可能にするための回転手段であって、該第3回転軸は前記第1回転軸と合わさることが可能である、回転手段と
を備え、
該方法は、
前記第1回転軸および前記第3回転軸を合わせるステップと、そして、
前記表面感知デバイスに対する前記支持体の回転を生じさせるように、前記第1モーターを作動させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記被加工物の前記表面に沿って前記デバイスを動かすステップと、そして、
前記被加工物の表面に関する情報を集めるステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被加工物をスキャンすることを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図3k】
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【図3l】
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【公表番号】特表2010−502976(P2010−502976A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527191(P2009−527191)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003295
【国際公開番号】WO2008/029094
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】