説明

被測定物の寸法測定装置および寸法測定方法

【課題】 測定センサの数を増やすことなく、幾つかの座標位置における被測定物の寸法を簡単に測定できるようにする。
【解決手段】 リードY付きの被測定物Xを実装状態で装着する基台2と、基台2の両側に投光器3と受光器4とをそれぞれ配置し、投光器3からの参照光を受光器4で捕捉して、受光器4からの検出出力により被測定物Xの寸法を測定する測定センサ6とを備え、基台2を手動若しくは電動で回転可能にする。これにより、予め被測定物Xを装着した基台2を適宜回転させるだけで、投光器3から受光器4に至る参照光の光路中に、被測定物Xの様々な部位を位置させることができ、幾つかの座標位置における被測定物Xの寸法を簡単に測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器と受光器とを有する光学式の測定センサを用いて、基台に実装状態で装着されたリード付きの被測定物の寸法を非接触に測定する電子部品の寸法測定装置および寸法測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オンボード電源のようなパッケージ化されたリード付きの電子機器は、その製造工程や組立工程の終了時に、高さ寸法の検査が必要不可欠である。その場合、電子機器単独の高さ(厚さ)寸法を測定するのは勿論のこと、電子機器を基板に装着した状態で、装着姿勢の傾きや浮きを検出するために、この電子機器の各エッジの高さ寸法を測定するようにしている。
【0003】
このような基板上に被測定物を装着した状態で、当該被測定物の高さ寸法を測定する装置としては、例えば特許文献1における電子部品装着装置が知られている。ここでは、投光器と受光器とを有する光学式の測定センサ(距離センサ)を用いて、同じ座標位置で電子部品を基板に装着する前と、基板に装着した後の高さの差を測定し、これを予め記憶しておいた電子部品の厚さ情報と比較することで、実装状態における電子部品の浮きや傾きを検出している。
【特許文献1】特開2002−176292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の場合、被測定物の複数の部位について、その高さ寸法を測定するためには、少なくともその数に対応した幾つかの測定センサが必要になる。ところが測定センサは高額であり、幾つもの測定センサを購入するとなると、その分だけ被測定物の製品コストが上昇する。また、被測定物が比較的小型の場合には、被測定物の周囲に設置できる測定センサの数に限界があるなどの問題を生じる。
【0005】
本発明は上記の課題に着目してなされたもので、測定センサの数を増やすことなく、幾つかの座標位置における被測定物の寸法を簡単に測定できる被測定物の寸法測定装置および寸法測定方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における被測定物の寸法測定装置は、リード付きの被測定物を実装状態で装着する基台と、前記基台の両側に投光器と受光器とをそれぞれ配置し、前記投光器からの参照光を前記受光器で捕捉して前記被測定物の寸法を測定する測定センサとを備えた被測定物の高さ測定装置において、前記基台を回転可能にしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明における被測定物の寸法測定方法は、測定センサを構成する投光器と受光器との間に回転可能な基台を配置し、前記基台にリード付きの被測定物を実装状態で装着し、前記被測定物を装着した基台を回転させながら、前記投光器からの参照光を前記受光器で捕捉して前記被測定物の寸法を測定するものである。
【0008】
上記の装置および方法によれば、予め被測定物を装着した基台を適宜回転させるだけで、測定センサの投光器から受光器に至る参照光の光路中に、被測定物の様々な部位を位置させることができる。したがって、複数の高額な測定センサを被測定物の周囲に配置する必要がなく、受光器から得られる被測定物の寸法に見合う検出出力から、幾つかの座標位置における被測定物の寸法を簡単に測定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明における被測定物の寸法測定装置および寸法測定方法によれば、測定センサの数を増やすことなく、幾つかの座標位置における被測定物の寸法を簡単に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明における被測定物の寸法測定装置および寸法測定方法の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
先ず、装置の機構的な構成を図1および図2に基づき説明する。同図において、1は製造工程や組立工程のライン中に設置された固定の工具テーブル、2は工具テーブル1に対して回転可能に設けられた扁平円盤状の基台であり、この基台2は、工具テーブル1の水平上面に対して垂直な回転軸Cを中心として、正逆両方向に回転できるようになっている。また3,4は、基台2の一側と他側にそれぞれ配置された投光器と受光器であり、これらは工具テーブル1の適所に設けられたアンプユニット5と共に、後述する被測定物Xの高さ寸法を測定するを構成している。
【0012】
ここで上記各部の構成について詳しく説明すると、基台2は平坦状の載置面を形成する載置部11と、この載置部11の外周に形成した環状凸部12とにより構成され、載置部11には複数のリード挿入孔13が設けられる。このリード挿入孔13は、被測定物Xの本体底面が載置部11の上面(載置面)に載るように、被測定物Xの本体底面から突出したリードYに対向して配置される。また好ましくは、複数種の被測定物XのリードYに対応して、載置部11に前記リード挿入孔13が設けられる。こうすれば、共通する基台2によって複数種の被測定物Xの高さ寸法を測定することが可能になる。なお、基台2は円盤状である必要はなく、また被測定物Xの本体底面の形状に合せて、対向する載置部11の上面形状を任意に形成してもよい。環状凸部12は、基台2に被測定物Xを装着する際に、基台2から被測定物Xが滑り落ちないようにするためのものである。
【0013】
また、投光器3と受光器4は、工具テーブル1の上に載置された一対の台座16,17にそれぞれ配設される。これらの台座16,17には、工具テーブル1のねじ孔(図示せず)に螺合する調整用のねじ18,19が各々設けられており、ねじ18を緩めて台座16を水平方向に動かすことにより、投光器3の位置を調整できると共に、別なねじ19を緩めて台座17を水平方向に動かすことにより、受光器4の位置を調整できるようになっている。
【0014】
本実施例における測定センサ6は、投光器3と受光器4が向かい合うように配置される。ここで測定センサ6による測定原理について、図3に基づき説明すると、投光器3は半導体レーザなどの光源21と、光源21から拡散する出射光を平行光に変換するコリメータレンズ22とにより構成され、また受光器4は、投光器3からの平行なレーザ光を集光する集光レンズ23と、集光したレーザ光を受ける受光素子としてのホトダイオード24とにより構成される。そして測定に際しては、投光器3から受光器4に向かって平行なレーザ光を出射し、受光器4側で集光レンズ23によりホトダイオード24に集光する。このとき、投光器3と受光器4との間に被測定物Xが置かれると、ホトダイオード24に取り込まれるレーザ光の受光量が減少するので、被測定物Xの高さ寸法に応じたリニアな出力が、ホトダイオード24から得られることになる。
【0015】
なお、本実施例における測定センサ6は、いわゆるホトダイオード24に取り込まれるレーザ光の受光量によって、被測定物Xの高さ寸法を測定するものであるが、例えば受光器4にCCDイメージセンサを用いたり、投光器3からのレーザの細径ビームをスキャンさせながら出射させるものなど、他の光学式の測定センサ6を利用してもよい。何れにせよ、どのような方式の測定センサ6であっても、本実施例では基台2が回転可能になっているので、被測定物Xの周囲に複数の測定センサ6を設けなくても、被測定物Xの様々な部位の高さを単独の測定センサ6により測定できる。
【0016】
次に、装置の制御系統における構成を図4に基づき説明する。同図において、31は本実施例における寸法測定装置の各部を制御する制御部で、この制御部31の入力ポートには、測定開始を指示する操作手段としての開始スイッチ32が接続されると共に、制御部32の出力ポートには、基台2に回転力を与える駆動源としてのロータリーアクチュエータ(エアシリンダー)33と、測定結果の合否判定を行なう例えばLEDやブザーなどの出力手段34が接続される。ロータリーアクチュエータ33は基台2の回転位置を検知するエンコーダ(図示せず)を備えており、このエンコーダの検知出力が制御部31の入力ポートに与えられるようになっている。また、前記測定センサ6の投光器3や受光器4は、アンプユニット5を経由して制御部31に接続される。制御部31は、ロータリーアクチュエータ33の動作(回転または停止)を制御するアクチュエータ制御手段35が設けられると共に、アンプユニット5により増幅された受光器4の検知出力に基づいて被測定物Xの高さを求め、この被測定物Xの高さが予め記憶された許容範囲内にあるか否かを判断して、その結果を出力手段に転送する判定手段36が設けられる。
【0017】
なお、上記制御系統の構成では、例えばロータリーアクチュエータ33に代わり基台2を手動で動かせるように構成し、基台2が一回転したのを図示しない例えばエンコーダなどの回転検出センサで検出したら、判定手段35によって被測定物Xの高さに関する合否判定を行なうようにしてもよい。また、測定センサ6が制御部31の機能を兼用してもよい。
【0018】
次に、上記寸法測定装置を利用した被測定物Xの高さ測定方法を、図5のフローチャートに基づき説明する。先ず被測定物Xの測定に先立ち、工具テーブル1の所定位置には、測定センサ6を構成する投光器3と受光器4とを向かい合わせ、投光器3からの参照光の一部が被測定物Xに当たるように、投光器3と受光器4との間に基台2を回転可能に配設する(ステップS1)。なお、この測定センサ6と基台2の配置は、被測定物Xの測定前に一度だけ行なえばよく、被測定物Xの寸法を測定する毎に行なう必要はない。
【0019】
次のステップS2では、製造工程および組立工程を経て完成に至った例えば電子機器としてのオンボード電源を、被測定物Xとして基台2の上に載せる。この場合、被測定物Xの本体底面より突出する複数のリードYを、これに対応するそれぞれのリード挿入孔13に挿入し、基台2の載置部11上に被測定物Xの本体底面が載るようにする。
【0020】
こうして、基台2の載置部11に被測定物Xを実装状態で装着したら、ステップS3に移行して開始スイッチ32を押動操作子、被測定物Xについての高さ寸法の測定を開始する。ここでは制御部31のアクチュエータ制御手段35によってロータリーアクチュエータ33に動作電圧が与えられ、基台2が所定の速度で回転を開始する。それと共に判定手段36は、投光器3からの参照光が当たる被測定物Xの部位について、受光器4に取り込まれる参照光の光量に見合う検出出力を当該受光器4から取り込んで、被測定物Xの高さ寸法を求める。この被測定物Xの高さ寸法の算出は、特定のサンプリング時間若しくは基台2が特定の位置に達する毎に行なわれ、被測定物Xの様々な部位の高さ寸法が判定手段36に記憶されて行く。
【0021】
ロータリーアクチュエータ33からの検知出力により基台2が少なくとも1回転以上回ったと判定手段36が判定すると、当該判定手段36は予め記憶した許容範囲に対して、それまで測定記録した被測定物Xの各部の高さ寸法が含まれているか否かを判断し、その結果を出力手段34に出力する(ステップS4)。このステップS4の合否判定において、仮にリードYが曲がっているなどして、被測定物Xが基台2の載置部11に正しく装着できなければ、測定センサ6により測定した被測定物Xの各部の高さ寸法の一部または全てが、許容範囲を外れることになり、その旨を出力手段34から報知または表示する。逆に被測定物Xが基台2の載置部11に正しく装着できていれば、被測定物Xの各部の高さ寸法の全てが許容範囲内に収まり、この場合もその旨が出力手段34から報知または表示される。なお、このステップS4の合否判定は、判定手段36が被測定物Xの高さ寸法を算出する毎に行なってもよい。
【0022】
以上のように本実施例では、リードY付きの被測定物Xを実装状態で装着する基台2と、基台2の両側に投光器3と受光器4とをそれぞれ配置し、投光器3からの参照光を受光器4で捕捉して、受光器4からの検出出力により被測定物Xの寸法を測定する測定センサ6とを備えた被測定物Xの寸法測定装置において、基台2を手動若しくは電動で回転可能にしたことを特徴としている。
【0023】
また本実施例では、測定センサ6を構成する投光器3と受光器4との間に回転可能な基台2を配置し、基台2にリードY付きの被測定物Xを実装状態で装着し、被測定物Xを装着した基台2を手動若しくは電動で回転させながら、投光器3からの参照光を受光器4で捕捉して、受光器4からの検出出力により被測定物Xの寸法を測定する寸法測定方法を採用している。
【0024】
これらの寸法測定装置および寸法測定方法の何れにおいても、予め被測定物Xを装着した基台2を適宜回転させるだけで、測定センサ6の投光器3から受光器4に至る参照光の光路中に、被測定物Xの様々な部位を位置させることができる。したがって、複数の高額な測定センサ6を被測定物Xの周囲に配置する必要がなく、受光器4から得られる被測定物Xの寸法に見合う検出出力から、幾つかの座標位置における被測定物Xの寸法を簡単に測定できる。
【0025】
また実施例上の効果として、基台2は被測定物Xを載せる載置部11の周りを囲んで、突出部たる環状凸部12が設けられているので、この環状凸部12によって、基台2に被測定物Xを装着するときに、基台2から被測定物Xが滑り落ちないようにできる。さらに、基台2が何らかの原因で浮き上がったりすれば、投光器3からの参照光の一部が環状凸部12に当たって、受光器4からの検出出力に変化を生じるので、基台2が正しく回転しているか否かを環状凸部12により判断できる。
【0026】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。本実施例では、特に被測定物Xの高さ方向の寸法を測定するように構成したが、被測定物Xの幅や奥行きなどの寸法を測定するものにも、同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例における寸法測定装置の主要部分を示す斜視図である。
【図2】同上、基台に被測定物を装着し、(a)→(b)→(c)の順で基台を回転させたときの状態を示す平面図である。
【図3】同上、測定センサの測定原理に関する説明図である。
【図4】同上、制御系統を示すブロック図である。
【図5】同上、測定手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
2 基台
3 投光器
4 受光器
6 測定センサ
X 被測定物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード付きの被測定物を実装状態で装着する基台と、前記基台の両側に投光器と受光器とをそれぞれ配置し、前記投光器からの参照光を前記受光器で捕捉して前記被測定物の寸法を測定する測定センサとを備えた被測定物の寸法測定装置において、前記基台を回転可能にしたことを特徴とする被測定物の寸法測定装置。
【請求項2】
測定センサを構成する投光器と受光器との間に回転可能な基台を配置し、
前記基台にリード付きの被測定物を実装状態で装着し、
前記被測定物を装着した基台を回転させながら、前記投光器からの参照光を前記受光器で捕捉して前記被測定物の寸法を測定することを特徴とする被測定物の高さ測定方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−57335(P2007−57335A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241837(P2005−241837)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】