説明

複列の転がり軸受の予圧測定方法複列の転がり軸受複列の転がり軸受ユニット

【課題】モーメント荷重を負荷しつつ回転する一対の軌道輪間の相対傾き値から予圧値を換算することで、測定誤差が小さく精度の良い予圧測定方法を提供する。
【解決手段】予圧が付与された複列の転がり軸受の内輪6と外輪10を相対的に回転させつつモーメント荷重を負荷する第一工程と、第一工程によりモーメント荷重を負荷した内外輪6,10間の相対傾き値(軸方向変位量)を測定する第二工程と、第二工程により得られた相対傾き値(軸方向変位量)の情報を、予め内外輪6,10の相対傾き値(軸方向変位量)と予圧との相関関係を記録した識別情報と照らし合わせて予圧値を換算する第三工程とからなる予圧の測定方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複列の転がり軸受の予圧測定方法の改良に関する。なお、本明細書において車輪とは、自動車の車輪にかかわらず鉄道車両の車輪などの全てを総称するものとする。
【背景技術】
【0002】
例えば各種車両の車輪などを支持する複列玉軸受ユニットは、高モーメント剛性を得ながら長寿命を同時に満足するために、予圧の入った状態で使用される。このような複列玉軸受ユニットは、車両の車軸に組み込んだときに適正な予圧となるように、あらかじめ所定の予圧値に設定されている。
複列玉軸受ユニットとして、例えば図6に示すように、軌道面1を有し、制動部材及びホイールが固定されるフランジ2をアウトボード側に備えたハブ3と、該ハブ3のインボード側外周に嵌め込まれ、前記軌道面1と隣接する軌道面4を有した別体内輪5とで構成される軌道輪としての回転部材(内輪)6と、前記回転部材6の複数列の軌道面1,4と対向する複数列の軌道面7,8を有し、車体側に固定されるフランジ9を備えた軌道輪としての固定部材(外輪)10と、前記回転部材6の軌道面1,4と固定部材10の軌道面7,8との間に複列で組み込まれる複数個の転動体11とで構成されており、予め所定の予圧が付与された状態で組み立てられているホイール軸受用のハブユニット軸受が知られている。
【0003】
このようなハブユニット軸受の予圧は、起動トルクにて管理されるのが普通であるが、特にこの種のホイール軸受用のハブユニット軸受は、シールが内蔵されている上に、予圧を狭い範囲でコントロールする必要があり、シールトルクのばらつきの影響を受ける起動トルクでの予圧保証は十分ではない。
【0004】
そこで、起動トルクによらない予圧の管理方法として、特許文献1や特許文献2に開示の技術が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、内輪を仮圧入し、すきまを測定し、変位を測定しながら内輪を再圧入し、予圧を管理する方法が開示されている。
また、特許文献2には、複列玉軸受ユニットにアキシアル荷重を負荷し、変位を測定し、アキシアル剛性へ変換し、再度予圧に変換する方法が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に開示の方法では、工程が複雑なため、精密に変位を測るために高剛性かつ精密な組立て機を使用しないと正確に予圧保証ができない。
また、特許文献2に開示の方法では、特に高予圧領域で変化の少ない変位がオリジナルデータとなる上、それを微分し剛性値を求め、その剛性値の変換を繰り返すため、測定誤差が大きい。
そこで、本願の発明者は、鋭意研究を重ねた結果、精度の良い予圧測定を行うには、荷重と変位の関係において、荷重に対してある程度大きな変化を示すパラメータを用いるのが好ましいということを見出した。
【特許文献1】特許第2866282号公報
【特許文献2】米国特許第5,763,772号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、モーメント荷重を負荷しつつ回転する一対の軌道輪間の相対傾き値から予圧値を換算することで、測定誤差が小さく精度の良い予圧測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の発明は、予圧が付与された複列の転がり軸受の一対の軌道輪を相対的に回転させつつモーメント荷重を負荷する第一工程と、第一工程によりモーメント荷重を負荷した一対の軌道輪間の相対傾き値を測定する第二工程と、第二工程により得られた相対傾き値の情報を、予め軌道輪の相対傾き値と予圧との相関関係を記録した識別情報と照らし合わせて予圧値を換算する第三工程とからなることを特徴とする複列の転がり軸受における予圧測定方法としたことである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明における第一工程において、接触式の変位測定機を用いて相対傾き値を測定することを特徴とする複列の転がり軸受における予圧測定方法としたことである。
【0009】
第3の発明は、第1の発明における第一工程において、非接触式の変位測定機を用いて相対傾き値を測定することを特徴とする複列の転がり軸受における予圧測定方法としたことである。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3に記載の予圧測定方法で予圧が測定され、適正な予圧に設定されたことを特徴とする複列の転がり軸受としたことである。
【0011】
第5の発明は、複列の転がり軸受がハブユニット軸受であることを特徴とする複列の転がり軸受としたことである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モーメント荷重を負荷しつつ回転する一対の軌道輪間の相対傾き値から予圧値を換算することにより、測定誤差が小さく精度の良い予圧測定方法が提供し得た。すなわち、本発明によれば、軸受の予圧保証が正確に行えるため軸受の品質向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、組み立てられた複列の転がり軸受ユニットの予圧値を測定するものであり、その一実施例について添付図面を参照して説明する。
また、以下の実施例では、測定対象とされる複列の転がり軸受の一例として、自動車の車軸支持に用いられるハブユニット軸受をもって説明する。なお、ハブユニット軸受の構成については、先の従来技術の説明で詳述したものや、それに類似するものなど、周知のハブユニット軸受と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0014】
本実施例における予圧の測定方法について説明する。本実施例における予圧の測定方法は、大別して次の第一工程乃至第三工程で構成されている。
【0015】
[第一工程]
本工程は、予圧の付与されたハブユニット軸受の一対の軌道輪、すなわち回転部材(例えば内輪)6と固定部材(例えば外輪)10を相対回転させつつモーメント荷重を負荷する。
図で矢印MKは、モーメント荷重を示す。
本実施例の測定方法では、詳しくは後述するが、固定部材である外輪10を回転させ、回転部材である内輪6は回転させず、かつそのフランジ2を介してモーメント荷重MKを負荷する。
【0016】
「第二工程」
本工程は、前述した第一工程によりモーメント荷重MKを負荷した一対の軌道輪間の相対傾き値を測定する。
一対の軌道輪間の相対傾きを測定する測定機としては、軌道輪の相対変位(軸方向変位量 アキシアル変位量ともいう。)を測定する所定の変位センサ(変位計)Sが本実施例では採用され、所定位置に配設される。
図で矢印JHは軸方向変位を示す。
【0017】
この変位センサSは、モーメント荷重MKを負荷して回転する一対の軌道輪間の変位を測定できるものであれば、接触式であっても非接触式であってもよい。例えば本実施例では、内輪6の変位量を測定するものとした。
例えば、接触式の変位センサSは、特に限定解釈されるものではなく、ダイヤルゲージ式のものや差動トランスなどの周知の変位センサ(変位計)が本発明の範囲内で任意に選択される。
一方、非接触式の変位センサSも特に限定解釈されるものではなく、モーメント荷重MKを負荷して回転する一対の軌道輪間の変位を非接触で測定できるものであれば、光学式、超音波式あるいはレーザ式などの周知の変位センサ(変位計)が本発明の範囲内で任意に選択される。
このような変位センサSは、周知のものであるため、その詳しい構造の説明は省略する。
【0018】
なお、特に限定解釈されるものではないが、変位センサSは、図示しないコンピュータと接続されており、その測定された変位データをコンピュータに送る構造のものとしてもよい。
【0019】
[第三工程]
本工程は、第二工程により得られた相対傾き値(軸方向変位量)の情報を、予め軌道輪の相対傾き値(軸方向変位量)と予圧との相関関係を記録した識別情報(データ 図4参照。)と照らし合わせて予圧値を換算する。
また、予め軌道輪の相対傾き値と予圧との相関関係を記録した識別情報(データ)は、第二工程で得られた軌道輪の相対傾き値の情報と照らし合わせることのできる情報媒体として構成されていればよく、その形態は特に限定されない。
なお、例えば、前述したように、変位センサSが図示しないコンピュータと接続されているものとした場合、そのコンピュータの所定領域に予め軌道輪の相対傾き値と予圧との相関関係を記録した識別情報(データ 例えば図4に示すデータ)が格納され、第二工程で得られた軌道輪の相対傾き値の情報と照らし合わせる際に、例えば図示しないモニタに表示するものとすることもできる。
【0020】
すなわち、予め予圧値がわかっている所定のハブユニット軸受に、モーメント荷重を負荷しつつ所定時間・所定速度で回転動作させた時の軌道輪の相対傾き値(軸方向変位量)と、予め軌道輪の相対傾き値(軸方向変位量)と予圧との相関関係を記録した識別情報(データ)とを照らし合わせて予圧値を換算することで、正確な予圧保証が可能となる。
傾き値(軸方向変位量)は軸受の設計によって異なるので、予め予圧値がわかっている軸受を被測定軸受とし、その軸受デザイン毎に、軌道輪の相対傾き値(軸方向変位量)と予圧値のコリレーション(correlation coefficient 相関関係)をとっておくことが必要である。
「実施例1」
【0021】
ここで、具体的な本実施の一例について、比較例を挙げて、その対比において説明する。まず、比較例として、一対の軌道輪(内輪6と外輪10)が相対回転しているハブユニット軸受の中心軸Gに、アキシアル荷重(図1で符号AKで示す純アキシアル荷重)50kgfを入力した時の予圧と軸方向変位量(アキシアル変位量)との関係を調べ、その関係を図5に示す。ここで、アキシアル荷重AKを50kgfとしたのは、軌道面に圧痕などの傷をつけないためである。
【0022】
低予圧の領域、例えば予圧0kgfの場合、アキシアル荷重AK(純アキシアル荷重)を50kgf入力した時の軸方向変位量は、4.61μmとなり、予圧100kgfの場合の軸方向変位量は1.33μmとなる。すなわち、低予圧の領域にあっては、予圧により軸方向変位量は大きく変化するので、軸方向変位量を測定することで予圧の管理が容易に可能であるため大きな誤差は生じない。しかし、近年は操安性の向上のため、アクスル剛性を高めるニーズが多くなり、ハブフランジ軸受ユニット(ホイール軸受ユニット)の予圧値は上昇傾向にある。
【0023】
そこで、比較例で中心軸Gにアキシアル荷重AK(純アキシアル荷重)を50kgf負荷した場合において、実際に予圧が設定される領域、例えば予圧500kgfと600kgfの高い予圧値で軸方向変位量を測定し、比較した(予圧と軸方向変位量との関係を示す図5参照。)。
その結果、比較例の場合、予圧500kgfの時は軸方向変位量が0.72μm、予圧600kgfの時は軸方向変位量が0.67μmとなり、その差は僅かに0.05μmしかない。
僅か0.1μmの変位測定誤差が、予圧値では200kgfの測定誤差につながることとなるため、このように差が極めて小さいことは誤差を生じやすいという結果につながる。また、早いタクトで稼働している軸受の量産組立ライン上で、0.1μmの誤差も許されない高精度の測定を実施することは困難である。
【0024】
これに対し本実施例では、図1に示すように、一対の軌道輪(内輪6と外輪10)が相対回転するハブユニット軸受の中心軸Gから75mm離れた位置に、アキシアル荷重50kgfを負荷するモーメント剛性を入力した(第一工程)。
そして、その時の予圧と負荷位置での軸方向変位量の関係を調べ、その関係を図4に示す。ここで、モーメント荷重MKの負荷位置を、中心軸Gから75mm離れた位置に設定したのは、量産されている小型乗用車用のハブフランジ2の外径がφ150mm程度であるということに起因する。
【0025】
本実施例でも、比較例と同様に、実際に予圧が設定される領域である予圧500kgfと600kgfの高い予圧値での軸方向変位量を測定し、比較した(第二工程、第三工程)。
その結果、予圧500kgfの時は軸方向変位量が5.83μm、予圧600kgfの時は軸方向変位量が5.45μmとなり、その差は0.38μmとなる。これは、比較例での同じ予圧値における差と比べると、7.6倍もの大きな変位を発生していることが確認できた。
従って、本実施例によれば、軸方向変位量の差が大きく、測定誤差が極めて小さくなるため、正確な予圧値の測定が可能で、予圧保証が正確である。また、量産組立ライン上でも誤差が小さく測定可能なレンジに入ってくる。
【0026】
さらに、変位量を大きくしながら、測定誤差を最小にするためには、負荷位置は、複列玉軸受ユニットの玉11…のP.C.D.(Pitch Circle Diameter ピッチ円直径ともいう。以下、本明細書において同じ。)より大きく、ハブフランジ2の外径以下であることが好ましい。
【0027】
一対の軌道輪を相対回転させながらモーメント荷重MKを負荷したのは、玉11の軌道面の接触位置をスムースに移動させるためであり、本実施例では、変位センサSを組み込んだ測定装置としては次のような構造を採用している。
【0028】
例えば図2に示すように、軸受Jを介して回転可能に備えた円環状のベースBに、固定ピンP1で外輪10のフランジ9を固定する。また、スピンドルフランジ(ハブフランジ)2は、荷重を受けるための大径円環状のプレートPLを固定ピンP2を介して一体に取り付けている。そして、前記プレートPLとベースBの間に接触式の変位センサSを組み込み、その接触子S1を、図示したようにプレートPLの内面に接触させて配設した。
そして外輪10を回転させ、スピンドルフランジ2にモーメント荷重MKを負荷しつつ、変位センサSにより軸方向変位を測定する。
【0029】
本実施例では、図2に示すように、モーメント荷重MKの負荷位置の外側で、一対の軌道輪の相対変位を測定しているため、測定結果はさらに増幅され、より容易に誤差無く測定できる。
【0030】
ここで、図2のように、一対の軌道輪の傾きの測定に接触式の変位センサSを用いる場合には、接触子S1の部分の滑りを避けるため、図示するように、接触式の変位センサSを、外輪10を支えながら回転する軸受の外側に置くことが好ましい。すなわち、回転作動する領域である円環状のベースB上を避けた位置に配設する。
この場合、測定した変位の値は、外輪10を支えながら回転する軸受Jの剛性分が含まれるので、外輪10を支えながら回転する前記軸受Jとしては、被測定軸受に対して10倍以上は高剛性な軸受、例えば、急勾配の円すいころ軸受のDB組合せ(背面組合せ)や、高予圧のクロスローラ軸受を採用することが必要である。
【0031】
また、図3に示すように、非接触式の変位センサSを組み込むことも本実施例の範囲内である。
非接触式の変位センサSの場合には、前述の接触式の変位センサSのようにプレートPLに接触する接触子S1を備えるものではなく、プレートPLとの間に非接触の領域を形成しているものであるため、特にその配設位置に制約を受けることはない。本実施例では、外輪10を支えながら回転する軸受Jの内側の領域のベースBに配置しているが、外側領域であってもよい。
その他の構成及び作用効果は図2の場合と同様であるため説明は省略する。
【0032】
モーメント荷重MKは、軸受の中心軸Gから所定距離偏芯したアキシアル荷重として負荷すると、装置が比較的簡単な構造となる。アキシアル荷重の負荷位置は、外側のナックルとの固定ネジP1のP.C.D.またはハブフランジ2とホイールとを固定する固定ネジP2のP.C.D.のいずれか小さいほうのP.C.D.の内側とすれば、適切な位置で測定することによりプレートPLとハブフランジ2、及びベースBと外輪10との締結を省略できるので、量産ライン向けの構造となる。
【0033】
本実施例では、次の作用効果も得られる。
駆動輪用の軸受ユニットでは、スピンドル(内輪6)の中心軸部は、CVJ(Constant Velocity Universal Joint 等速ジョイント)を通すためのスプライン穴であるし、従動輪用の軸受ユニットでは、スピンドル(内輪6)の中心軸部は、鍛造で作った凹みであったりする。
従って、軸受ユニットにアキシアル荷重を負荷する場合には、パイロット端面に負荷することとなり、実質的にはモーメント荷重が掛かってしまう。軸受中心と実質的な負荷位置との芯ずれ量と芯ずれ方向は、パイロット端面の状況によって変化し、コントロール不能である。
このように、アキシアル荷重とモーメント荷重では、変位に与える影響が異なるし、負荷位置の軸受中心からの芯ずれ量によっても軸方向変位は異なる。
また、その方向が軸方向変位の測定に誤差を生む。本願の測定方法によればこの問題も解決し得る。
【0034】
従って、本実施例によって測定された複列の転がり軸受ユニットの予圧値が、軸受形式毎にあらかじめ定められている適正な予圧値でない場合には、適正な予圧を付与し直すことで十分な予圧保証を図らしめることが可能となる。
【0035】
なお、回転部材(内輪)6と固定部材(外輪)10の端部領域Fに組み込まれ、回転部材(内輪)6と固定部材(外輪)10との間の環状の軸受内空間を密封する密封装置には、インボード側(車体側)の密封装置12とアウトボード側(ホイール側)密封装置13がある。なお、本実施例ではその具体的な構成については図示省略するが、軸受内に封入した潤滑剤(例えば、グリース、油)が軸受外部に漏洩したり、異物(例えば、水、塵埃)が軸受内部に侵入したりすることを防止可能な周知の密封装置、例えば接触シール、非接触シール(シールドを含む)が本発明の範囲内で適宜選択される。また、芯金やシールリップの有無なども設計変更可能である。
また、芯金部分の一部をシールリップの摺動面としたり、シールの一部を形成するようにしたりすることも可能である。
【0036】
本実施例の一例として自動車の車輪支持に用いられるハブユニット軸受をもって説明したが、単なる一例であって鉄道車両の車輪などその他の車輪であってもよく、さらに車輪支持用のハブユニット軸受でなくても本発明の範囲内であり、複列の転がり軸受が本発明の範囲内で適用される。
また、本実施例では、玉軸受をもって説明したが、ころ軸受であっても構わない。
【0037】
軌道輪の相対傾き値を測定する測定機は、本実施例にて示した接触式の変位センサSや非接触式の変位センサSに何等限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で他の周知の測定機を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の予圧測定方法の概略図である。
【図2】本発明の予圧測定方法の具体的な実施の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の予圧測定方法の具体的な他の実施の一例を示す概略図である。
【図4】モーメント荷重を負荷した場合の軸方向変位量と予圧との関係を示す図である。
【図5】純アキシアル荷重を負荷した場合の軸方向変位量と予圧との関係を示す図である。
【図6】ハブユニット軸受の一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0039】
3 ハブ
6 内輪
10 外輪
11 転動体
AK 純アキシアル荷重
MK モーメント荷重
JH 軸方向変位
S 変位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予圧が付与された複列の転がり軸受の一対の軌道輪を相対的に回転させつつモーメント荷重を負荷する第一工程と、
第一工程によりモーメント荷重を負荷した一対の軌道輪間の相対傾き値を測定する第二工程と、
第二工程により得られた相対傾き値の情報を、予め軌道輪の相対傾き値と予圧との相関関係を記録した識別情報と照らし合わせて予圧値を換算する第三工程とからなることを特徴とする複列の転がり軸受における予圧測定方法。
【請求項2】
第一工程において、接触式の変位測定機を用いて相対傾き値を測定することを特徴とする請求項1に記載の複列の転がり軸受における予圧測定方法。
【請求項3】
第一工程において、非接触式の変位測定機を用いて相対傾き値を測定することを特徴とする請求項1に記載の複列の転がり軸受における予圧測定方法。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の予圧測定方法で予圧が測定され、適正な予圧に設定されたことを特徴とする複列の転がり軸受。
【請求項5】
ハブユニット軸受であることを特徴とする請求項4に記載の複列の転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−26085(P2008−26085A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197472(P2006−197472)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】