説明

複合品およびその製造法

【課題】出入口用ドアなどの建築用途に適した十分な耐破壊性を有する滑らかな面を有した複合品を提供すること。
【解決手段】開放系の注型方法によって耐候性を有する複合品を製造する。かかる複合品は、発泡部分のない滑らかな面を有し、ダイナタップ試験機を用いた衝撃テストで合格する程度の十分な耐破壊性を有している。かかる複合品は、ポリウレタンから成る非強化バリアコートと繊維強化ポリウレタン層とから構成されている。この複合品は、ドアおよびパネルの製造に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡部分がなく欠陥のない滑らかな面を有すると共に、ダイナタップ試験機(本願明細書にて説明するダイナタップ試験機:DynaTup Instrument)による衝撃テストで「合格」を得る程度の十分な耐破壊性を有し、かつ、耐候性を有する繊維強化された複合品(composite article)に関する。また、本発明は、かかる複合品を製造する方法にも関する。このような複合品は、ドアおよびパネルに特に有用である。
【背景技術】
【0002】
繊維強化されたポリマー材料でもって製造される複合品は、ドア、パネルおよび窓などの建材用途ならびに自動車の種々の部品の用途に有用である。
【0003】
例えば米国特許第6197242号では、2つの別個の繊維表面ベール(fiber surfacing veil)を用いて繊維強化成形品を製造する方法が開示されている。繊維強化部が2つの繊維表面ベールの間で挟持され、ポリウレタン反応系がモールド内に射出される。繊維表面ベールに起因して滑らかな仕上がりが得られる。この方法の不利な点は、2つの異なる形態の強化材を用いなければならないことである。更には、表面ベールの使用は、手間および時間を要するものであり、結果的に、形を切り揃える必要があって不要な材料が生じたり、複雑な形状に対応させるべくベールを予め成形しなければならない工程が余分に必要となってくる。
【0004】
米国特許第6617032号には、ポリ尿素の上層(または表面層)とポリウレタン支持層とから構成される複合品が開示されている。上層は、ポリアミンと紫外線安定化の脂肪族ポリイソシアネートとの反応生成物から成るものであり、ポリウレタン支持層は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成物から成るものである。しかしながら、これらの層は、ガラスファイバーなどの材料で強化されていないので、開示されている複合品はドアなどの用途には適しているとはいえない。
【0005】
米国特許第6696160号には、車体外装品に用いられるポリウレタン複合品が開示されている。かかる複合品は、短い繊維で強化されたポリウレタン層(塗装可能面を有する層)と、長い繊維で強化された第2ポリウレタン層とから構成されている。2つの繊維強化層を用いると、引っ掻きに耐える程の十分な硬さを有し、かつ、耐熱変形性を有するような複合品を製造できると記載されている。
【0006】
強化繊維材料から製造される複合品では、「プリントスルー(print−through)」という表面品質の問題(即ち、表面の強化繊維の存在に起因して表面が粗くなったり不規則になったりする問題)が存在し得る。公開された米国出願第20020195742号では、そのような問題を硬化により非強化のバリア層を生じる第1コーティング組成物を適当なモールド面に供することによって解決できることを開示している。第1コーティング組成物の供給後、その第1コーティング組成物の上には、強化材料を含んだ第2組成物が供される。その後、第1コーティング組成物および第2組成物を硬化させることによって、「A級(Class A)」の表面仕上げを有する物品が得られることになる。この米国出願第20020195742号では、耐破壊性については触れられていない。尚、米国出願第20020195742号では、この出願で開示されているバリアコートが戸外の用途には適していない場合があり得ることを教示している。直射日光、熱、酸性雨およびその他の気候に関連する条件は、表面の仕上げを劣化させ得る。トップコートおよびバリア層の双方を用いなければならないことは、コストおよび製造プロセスの点で不利益といえる。
【0007】
公開された米国出願第20040023050号には、スプレー処理で得られる複合品が開示されている。このスプレー処理では、モールド面にゲルコートが供された後、そのゲルコート上にバリアコートが供され、次いで、バリアコート上に、20重量%〜60重量%の強化繊維を含んだラミネート組成物が供される。ゲルコートは、硬化性のポリエステルポリウレタンアクリレート樹脂を含んでおり、かかるゲルコートが紫外線照射に長く曝されることによって光沢のある表面が得られる。ゲルコートを紫外線に曝さなければならないこと、および、ゲルコート(表面品質のためのゲルコート)とバリアコート(収縮防止のためのバリアコート)との双方を用いなければならないことは、開示されている複合品の製造方法にとっては不利益といえる。
【0008】
公開された米国出願第20040038059号には、開放型ツールによる成形法で製造することのできる多層複合品が開示されている。この多層複合品の重要な特徴は、バリア層が、ラミネート層に含まれる強化繊維よりも短い強化繊維を含んだ硬化ポリエステル樹脂から成ることである。このように2種類の強化繊維を用いなければならないことは、かかる多層複合品にとっては不利益といえる。
【0009】
上述したような既知の複合品は、耐破壊性を十分に有していないため、家の出入口用ドア等の用途として用いるには商業的に望ましいとはいえない。また、そのような複合品の多くは、多数の用途に必要とされる表面品質を満たしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、出入口用ドアなどの建築用途に適した十分な耐破壊性を有する滑らかな面を有した複合品を提供することである。また、本発明の目的は、そのような複合品を製造する方法を提供することでもある。
【0011】
また、本発明の目的は、複合品を製造する開放系の注型方法(open pour process)を提供することでもある。
【0012】
更に、本発明の目的は、良好な表面品質および優れた機械的特性(特に耐破壊性)を有した比較的大きな複合品を製造する方法を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述のような目的および他の目的は、当業者には明らかであるといえ、以下の(1)〜(3)の工程によって達成される。
(1)本願明細書で特定される材料で構成されるポリウレタン/ポリ尿素形成系(少なくとも5ミルの厚さのバリアコートが形成される量のポリウレタン/ポリ尿素形成系)をモールド面に非常に短い時間(好ましくは30秒以内)でもって供する(好ましくは吹き付けることで供する)工程、
(2)本願明細書で特定される材料で構成される繊維含有第2ポリウレタン/ポリ尿素形成系をバリアコートの露出面に供する工程、
(3)上記(1)および(2)の工程で用いたポリウレタン/ポリ尿素形成系を硬化させる工程。
尚、繊維強化層に対するバリアコートの重量比は、一般的に約0.05〜約0.4である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、耐破壊性の点で優れ、表面が滑らかな複合品を製造する方法に関している。また、本発明は、そのような製造方法で得られる複合品にも関している。
【0015】
本発明の複合品は、少なくとも2つの層から構成されている。必要とされる第1層またはバリアコートは、ガラスファイバーまたはフィラーなどの強化材料を含んでいないポリウレタン/ポリ尿素組成物から成る。必要とされる第2層は、バリアコートとは異なるポリウレタン/ポリ尿素組成物から成り、強化繊維材料を含んでいる。繊維強化層に対するバリアコートの重量比は、一般的には約0.05〜約0.4であり、好ましくは約0.1〜約0.4、より好ましくは約0.15〜約0.25である。
【0016】
第1層またはバリアコートは、
(1)約10%〜約32重量%のNCO含有量、好ましくは約16〜約32重量のNCO含有量、より好ましくは約18重量%〜約31重量%のNCO含有量を有するイソシアネート末端プレポリマーを含んで成るポリイソシアネート成分と、
(2)2よりも大きい官能価、好ましくは約3〜約6の官能価、より好ましくは約3〜約4の官能価および約60〜約700のOH価、好ましくは約130〜約700のOH価、より好ましくは約140〜約650のOH価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール(amine−initiated polyether polyol)を少なくとも1つ有して成る「イソシネートに反応性を有する成分」と
の反応生成物であるポリウレタン組成物から成る。このバリアコートは、モールド面などの面に設けられる。供されるバリアコート量は、硬化したバリアコートが少なくとも5ミルの厚さ、好ましくは約8〜約20ミルの厚さ、より好ましくは約8〜12ミルの厚さとなるような量である。バリアコートのポリウレタン/ポリ尿素系は、短い時間(好ましくは30秒未満、より好ましくは10秒未満)で硬化できるものである。その結果、繊維強化された第2ポリウレタン/ポリ尿素組成物が供される前に、バリアコートのポリウレタン/ポリ尿素系が実質的に硬化した状態となっている。
【0017】
バリアコート組成物に必要とされるイソシアネート末端プレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する既知のポリイソシアネートから生成することができる。かかるイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートおよびそれらの組合せを挙げることができる。有用とされるイソシアネートとしては:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート(およびその異性体)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−メチルフェニル−2,4−フェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートおよび3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;2,4,6−トルエントリイソシアネートなどのトリイソシアネート;ならびに、4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどのポリイソシアネートを挙げることができる。
【0018】
蒸留されていない又は未精製(もしくは粗原料状態)のポリイソシアネートを用いてもよい。未精製のポリイソシアネートの適当な例は、トルエンジアミンの混合物をホスゲン化することによって得られる未精製のトルエンジイソシアネート、および、未精製のジフェニルメタンジアミン(ポリマーMDI)をホスゲン化することによって得られるジフェニルメタンジイソシアネートである。尚、蒸留されていない又は未精製のポリイソシアネートとして適当なものは、米国特許第3215652号に開示されている。
【0019】
ちなみに、ポリイソシアネートは、市販されている芳香族ポリイソシアネートが好ましい。例えば、Mondur M、Mondur ML、Mondur MR、Mondur MRS、Mondur MA2903、Mondur PFおよびMondur MRS2などの商品名でバイエル・マテリアルサイエンス(Bayer MaterialScience)から市販されている芳香族ポリイソシアネートおよびそれらを組み合わせたものが好ましい。
【0020】
本発明のバリアコートの生成に用いるプレポリマーを生成するのに最も好ましいポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネートのプレポリマー、および、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートのプレポリマーである。
【0021】
ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールに基づくプレポリマー、および、ジフェニルメタンジイソシアネートに基づくプレポリマーが特に好ましい。上述したジイソシアネートおよびポリイソシアネートからプレポリマーを製造する方法は従来技術として既知である。
【0022】
必要とされるプレポリマーを含んだポリイソシアネート成分は、「イソシアネートに活性を有する成分(2よりも大きい官能価および約150〜約700の数平均分子量を有するアミン開始ポリエーテルポリオールを少なくとも1つ含んだ成分)」と反応させることになる。かかるアミン開始ポリエーテルポリオールの生成に用いられるアミン開始剤は、かかる目的に有用とされる既知のアミンから選択できるものである。好ましくは、トルエンジアミン、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびトリエチレンアミンから成る群から選択されるアミンである。かかるアミン開始剤は、何れの既知のアルコキシ化材料を用いてアルコキシ化に付してもよいものの、一般的にはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを一般的に用いて当業者に既知の方法でアルコキシ化される。
【0023】
「イソシアネートに活性を有する成分」には、アミン開始ポリエーテルポリオールに加えて、少なくとも2の官能価を有し、かつ、約260〜約1100のOH価を有する水酸基、アミノ基および/またはチオール基を含んだ化合物が含まれていてもよい。イソシアネートに活性を有する材料として適当なものは、ポリエーテルポリアミン、アミン以外の材料で開始されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、水酸基含有ポリアセタール、水酸基含有ポリカーボネートであり、そのような材料の組合せであってもよい。水酸基含有開始剤から調製されるポリエーテルポリオールが特に好ましい。
【0024】
バリアコートの生成に用いる「イソシアネートに活性を有する成分」には、既知の鎖延長剤、架橋剤、触媒、離型剤(または剥離剤)、顔料、界面活性化合物および/または安定化剤が含まれていてもよく、また、そのような系に通常用いられる助剤または処理促進剤(ファイバーおよびフィラーを除く)が含まれていてもよい。
【0025】
鎖延長剤の適当な例としては、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、および、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテルが挙げられる。好ましくはエチレングリコールである。架橋剤の適当な例としては、グリセリンおよびジエチルトルエンジアミンが挙げられる。触媒の適当な例としては、ジブチルスズジラウラート、オクチル酸スズ、テトラメチルブタンジアミンおよび1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタンが挙げられる。離型剤の適当な例としては、脂肪酸エステルおよびシリコーンが挙げられる。顔料の適当な例としては、カーボンブラック、二酸化チタンおよび有機顔料が挙げられる。界面活性化合物および/または安定化剤の適当な例としては、ヒンダードアミンおよびビタミンEが挙げられる。
【0026】
本発明の特に好ましい態様では、バリアコートの形成に用いる「イソシアネートに活性を有する成分」が、
(1)全重量基準で約8重量%〜約18重量%のアミン開始ポリエーテルポリオールであって、約4の官能価および500〜700のヒドロキシル価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール、
(2)全重量基準で約12重量%〜32重量%のアミン開始ポリエーテルポリオールであって、約3の官能価および100〜200のヒドロキシル価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール、
(3)全重量基準で約34重量%〜54重量%のポリマーポリオール、および
(4)全重量基準で約13重量%〜23重量%の延長剤
を含んでおり、場合によっては、
(5)触媒
も更に含んでいる。
【0027】
バリアコート組成物は、イソシアネート末端プレポリマーと、「イソシアネートに活性を有する成分」とを反応させることによって形成されるが、この場合に用いられる「イソシアネートに活性を有する成分」には、NCO/OH当量比が約0.8〜約1.4、好ましく約0.9〜約1.2、より好ましくは約1.0〜約1.1となるようなアミン開始ポリエーテルポリオールが存在している。
【0028】
本発明のバリアコートは、約60のショアーA硬度〜約90のショアーD硬度、好ましくは約のショアーD硬度〜約60のショアーD硬度を通常有している。
【0029】
かかるバリアコート形成用の反応混合物は表面に塗布されるが、塗布される量は、十分に反応して硬化すると少なくとも5ミルの厚さのバリアコート、好ましくは約8〜約12ミルの厚さのバリアコートが形成される量である。バリアコートを設けるに際しては、実質的に欠陥のない面を形成することのできる既知の方法を用いてよい。適当な例を挙げると、注型法またはスプレー法である。スプレー法が特に好ましい方法である。
【0030】
本発明の複合品の第2層、即ち、繊維強化されたポリウレタン/ポリ尿素の層は、
(1)NCO含有量が約6%〜約49%、好ましくは約20%〜約50%、より好ましくは約23%〜約34%、最も好ましくは約28%〜約32%のポリイソシアネートを少なくとも1つ含んだポリイソシアネート成分、
(2)(i)水酸基含有開始剤を用いて開始される少なくとも1つのポリエーテルポリオールであって、2以上の官能価、好ましくは約2〜約6の官能価、より好ましくは約2〜約4の官能価、最も好ましくは約2〜約3の官能価を有すると共に、約28〜約1100のヒドロキシル価、好ましくは約400〜約1100のヒドロキシル価、より好ましくは約260〜約1050のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール、および/または
(ii)2よりも大きい官能価、好ましくは約2〜約8の官能価、より好ましくは約3〜約6の官能価、最も好ましくは約3〜約4の官能価を有すると共に、約50〜約1100のヒドロキシル価、好ましくは約300〜約900のヒドロキシル価、より好ましくは約400〜約700のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリエーテルポリオール
を含んだ「イソシアネートに反応性を有する成分」、および
(3)フィラー、好ましくは長いガラスファイバー(もしくはガラス繊維)
から形成される。
【0031】
本発明の複合品の繊維強化層の形成に用いるポリイソシアネート成分においては、必要なNCO含有量を有する既知のポリイソシアネートまたは変性ポリイソシアネートを用いてもよい。イソシアネートの適当な例としては、既知の有機イソシアネート、変性イソシアネート、または、既知の有機イソシアネートから形成されるイソシアネート末端プレポリマーを挙げることができる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートおよびそれらの組合せを挙げることができる。有用とされるイソシアネートとしては:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート(およびその異性体)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−メチルフェニル−2,4−フェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートおよび3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;2,4,6−トルエントリイソシアネートなどのトリイソシアネート;ならびに、4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどのポリイソシアネートを挙げることができる。
【0032】
蒸留されていない又は未精製のポリイソシアネートを用いてもよい。未精製のポリイソシアネートの適当な例は、トルエンジアミンの混合物をホスゲン化することによって得られる未精製のトルエンジイソシアネート、および、未精製のジフェニルメタンジアミン(ポリマーMDI)をホスゲン化することによって得られるジフェニルメタンジイソシアネートである。尚、蒸留されていない又は未精製のポリイソシアネートとして適当なものは、米国特許第3215652号に開示されている。
【0033】
変性イソシアネートは、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの化学反応によって得ることができる。本発明に有用とされる変性イソシアネートとしては、エステル基、尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基および/またはウレタン基を含んだイソシアネートが挙げられる。また、変性イソシアネートの好ましい例としては、NCO基を含み、NCO含有量が約6重量%〜約49重量%、好ましくは約23重量%〜約32重量%、より好ましくは約18重量%〜約30重量%のプレポリマーを挙げることができる。ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールに基づくプレポリマー、および、ジフェニルメタンジイソシアネートに基づくプレポリマーが特に好ましい。このようなプレポリマーを製造する方法は従来技術として既知である。
【0034】
硬質ポリウレタンの生成に用いるのに最も好ましいポリイソシアネートは、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートであり、また、1分子当たり約2〜約3.5(好ましくは約2.2〜約2.9)のイソシアネート部の平均官能価を有し、NCO含有量が約23重量%〜約32重量%(好ましくは約28重量%〜約32重量%)のメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートのプレポリマーである。
【0035】
繊維強化されたポリウレタン/ポリ尿素の層の形成に用いられる「イソシアネートに活性を有する成分」は、
(i)2よりも大きいヒドロキシル官能価、好ましくは約2〜約6のヒドロキシル官能価、より好ましくは約3〜約4のヒドロキシル官能価を有し、かつ、少なくとも28のヒドロキシル価、好ましくは約28〜約1100のヒドロキシル価、より好ましくは約260〜約1050のヒドロキシル価を有する開始剤(アミン以外の開始剤、例えば既知の水酸基含有の開始剤)から調製される少なくとも1つのアルキレンオキシドポリエーテルポリオール、および/または、
(ii)2よりも大きい官能価、好ましくは約2〜約6の官能価、より好ましくは約2〜約4の官能価を有し、かつ、50よりも大きいヒドロキシル価、好ましくは約50〜約1100のヒドロキシル価、より好ましくは約400〜約700のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリエーテルポリオール
を含んでいる。上記のポリエーテルポリオールを生成するのに用いられるアミン開始剤は、少なくとも2のアミノ官能価を有する既知の脂肪族アミンまたは芳香族アミンであってよい。好ましいアミン開始剤としては、トルエンジアミン、エタノールジアミン、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびトリエチレンアミンを挙げることができる。上述のアルキレンオキシド系ポリエーテルポリオール、および、アミン開始ポリエーテルポリオールは、市販されている。また、そのようなアルキレンオキシド系ポリエーテルポリオール、および、アミン開始ポリエーテルポリオールを製造する方法は当業者にとって既知である。
【0036】
市販されているアルキレンオキシド系ポリエーテルポリオールの適当な例としては、Multranol 9158、Multranol 9139、Arcol PPG425、Arcol LG650およびMultranol 9171の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されているポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0037】
市販されているアミン開始ポリエーテルポリオールの適当な例としては、Multranol 4050、Multranol 9138、Multranol 9170およびMultranol 9181の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されているポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0038】
必要とされるポリオールに加えて、他の既知のポリオールが含まれていてもよい。2つ以上の水酸基を含み、分子量が約400〜約60000の有機材料の適当な例として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセテート、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミドおよびポリヒドロキシポリチオエーテルなどのポリオールを挙げることができる。その中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリヒドロキシポリカーボネートが好ましい。
【0039】
ポリエステルポリオールの適当な例としては、多価アルコール(好ましくは、3価アルコールを加えることができる2価アルコール)と多塩基性カルボン酸(好ましくは二塩基性カルボン酸)との反応生成物を挙げることができる。その他、そのような多塩基性カルボン酸の無水物、低級アルコールのポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物も、本発明で用いられるポリエステルポリオールの調製に用いることができる。ポリカルボン酸は、脂肪族ポリカルボン酸、脂環式ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸および/または複素環式ポリカルボン酸であってよい。また、そのようなポリカルボン酸は、例えばハロゲン原子などで置換されたものでもよく、および/または不飽和なものでもよい。ポリカルボン酸の適当な例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、オレイン酸などの脂肪酸の二量体および三量体(脂肪酸の単量体が混ざっていてもよい)、テレフタル酸ジメチル、ならびに、テレフタル酸ビスグリコールを挙げることができる。多価アルコールの適当な例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、および、トリメチロールプロパンを挙げることができる。ポリエステルにはカルボキシル末端基が含まれていてよい。ラクトンのポリエステル、例えば、カプロラクトンのポリエステルまたはヒドロキシルカルボン酸(ω−ヒドロキシカプロン酸など)のポリエステルを用いてもよい。
【0040】
水酸基を含んだポリカーボネートの適当な例としては、ジオールをホスゲン、ジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)または環状カーボネート(例えばエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート)と反応させることによって得られるポリカーボネートを挙げることができる。ジオールの適当な例としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、および、テトラエチレングリコールを挙げることができる。(上述したような)ポリエステルまたはポリラクトンをホスゲン、ジアリルカーボネートまたは環状カーボネートに反応させることによって得られるポリエステルカーボネートも、本発明に用いることができる。
【0041】
ポリエーテルポリオールの適当な例は、反応性水素原子を含んだ1種類以上の出発化合物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランもしくはエピクロルヒドリン等のアルキレンオキシドまたはそれらの混合物と既知の手法で反応させることによって得られるポリエーテルポリオールである。エチレンオキシド部を約10重量%より多く含まないポリエーテルが好ましい。エチレンオキシドを加えずに得られるポリエーテルが最も好ましい。反応性水素原子を含んだ出発化合物の適当な例としては、多価アルコール(ポリエステルポリオールの調製に適当な上述の多価アルコール)、水、メタノール、エタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、メチル配糖体、サッカロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,1,1−トリス−(ヒドロキシフェニル)−エタン、および、1,1,2−トリス−(ヒドロキシフェニル)−エタンを挙げることができる。
【0042】
また、ビニルポリマーによって変性させたポリエーテルも本発明に適当であるといえる。かかる変性ポリエーテルは、例えば、ポリエーテルの存在下でスチレンおよびアクリロニトリルを重合することによって得ることができる(米国特許第3383351号、同3304273号、同3523095号、同3110695号および独国特許第1152536号参照)。
【0043】
本発明に有用とされるポリチオエーテルとしては、チオジグリコールの縮合物、および/または、チオジグリコールと、他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノカルボン酸もしくはアミノアルコールとの縮合物を挙げることができる。このような縮合物は、共存成分に応じて、ポリチオ混合エーテル、ポリチオエーテルエステル、または、ポリチオエーテルエステルアミドとなり得る。
【0044】
本発明に有用とされるアミン末端ポリエーテルは、末端にハロゲン化物などの離脱基を含んだポリエーテルと第1級アミンとを反応させることによって調製することができる。あるいは、本発明に有用なアミン末端ポリエーテルは、第1級アミンとメシラートを含んだポリエーテルとを反応させることによって調製できる。本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第07/957929号(1992年10月7日出願)、米国特許第3666726号、同3691112号および同5066824号を参照のこと。
【0045】
ポリアセタールの適当な例としては、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド)、グリコール(ジメチレングリコール、トリエチレングリコールなど)、エトキシ化4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタンおよび1,6−ヘキサンジオールから調製されるようなポリアセタールを挙げることができる。また、環状アセタールの重合によって調製されるポリアセタールも本発明に用いることができる。
【0046】
本発明に有用とされるポリヒドロキシポリエステルアミドおよびポリアミンとしては、多塩基性の飽和カルボン酸、不飽和のカルボン酸またはそれらの無水物と、多価飽和アミノアルコール、多価不飽和アミノアルコール、ジアミンまたはポリアミンとから得られる主に鎖状の縮合物を挙げることができ、また、そのような縮合物の混合物も挙げることができる。
【0047】
ヒドロキシ官能価ポリアセタールを製造するのに用いられるモノマーの適当な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、および、2−イソシアナトエチルメタクリレートを挙げることができる。
【0048】
本発明に有用とされる低分子量の「イソシアネートに反応性を有する化合物」は、約2〜約6個の水酸基、好ましくは2つの水酸基を有すると共に、約60〜約200の平均分子量、好ましくは約80〜約150の平均分子量を有しており、2つ以上の水酸基を有する高分子量材料の代わりに又はそれと組み合わせて用いることができる。有用とされる低分子量の「イソシアネートに反応性を有する材料」としては、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールの調製法に関して上述したような多価アルコールを挙げることができる。尚、二価アルコールが好ましい。
【0049】
上述の「イソシアネートに反応性を有する化合物」に加えて、ポリウレタン化学において一般に知られているような、一官能価化合物、ごく僅かな量の三官能価化合物および官能価のより高い化合物を用いることができる。例えば、僅かな「枝分れ」が望ましい特別な場合では、トリメチロールプロパンを用いることができる。
【0050】
ポリウレタン/ポリ尿素の形成反応に触媒を用いてもよい。ポリウレタン/ポリ尿素の形成反応を促進するのに有用な触媒の例としては、ジ−n−ブチルスズジクロリド、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジラウレート、トリエチレンジアミン、硝酸ビスマス、錫オクトエート、および、テトラメチルブタンジアミンを挙げることができる。
【0051】
「イソシアネートに反応性を有する成分」には、「イソシアネートに反応性を有する材料」の他に、強化材料が含まれている。かかる強化材料は繊維形態を有していることが好ましい。適当な繊維は、約10〜約100mmの平均長さ、好ましくは約12.5〜約25mmの平均長さを有する繊維である。繊維材料の適当な例としては、ガラスファイバー、カーボンファイバー、セラミックファイバー、天然繊維(亜麻繊維、ジュート繊維およびサイザル繊維など)ならびに合成繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維およびポリウレタン繊維)を挙げることができる。繊維材料は、「イソシアネートに反応性を有する成分」の総重量基準で、一般的には約10重量%〜約60重量%、好ましくは約20重量%〜約50重量%、更に好ましくは約25重量%〜約40重量%含まれている。
【0052】
本発明の複合品は、中実の繊維強化層またはフォーム状の繊維強化層を有し得る。フォーム状の層は、繊維強化層を形成する反応混合物に対して発泡剤を含ませることによって得ることができる。
【0053】
本発明の特に好ましい態様では、繊維強化された第2層(または第2繊維強化層)のイソシアネート成分が、必要なNCO含有量を有する市販のポリマーMDIであってよく、例えば、Mondur MRS、Mondur MRまたはMondur MRS4の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されているポリマーMDIであってよい。
「イソシアネートに反応性を有する成分」は、
(1)約3の官能価および28〜1100のOH価を有するグリセリンのプロポキシレート化生成物(またはプロキシレート化グリセリン)であるポリエーテルポリオール、ならびに、
(2)アミン開始剤が芳香族アミンであるアミン開始ポリエーテルポリオールであって、3〜4の官能価および50〜1100のOH価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール
を含んでいる。
「イソシアネートに反応性を有する成分」には、反応混合物の総重量基準で約25重量%〜約40重量%のガラスファイバー(約12.5〜25mmの平均長さを有しているガラスファイバー)が含まれていてよい。あるいは、そのようなガラスファイバーを、イソシアネートと「イソシアネートに反応性を有する成分」とを組み合わせる際または組み合わせた後に反応混合物に加えてもよい。尚、イソシアネートと「イソシアネートに反応性を有する成分」とを組み合わせる際にガラスファイバーと反応混合物とを組み合わせることが最も好ましい。
【0054】
本発明の複合品の「繊維強化された第2層」は、OHに対するNCOの当量比が約0.95〜約1.3、好ましくは約1.0〜約1.1となった反応混合物から一般に製造される。
【0055】
本発明の複合品は既知のいずれの方法を用いても製造できるものの、一般的には、開放系の注型成形法で製造される。かかる方法では、スプレーすることによってバリアコートを設けた後、そのバリアコート上に、繊維強化された第2層を形成する反応混合物を(好ましくはバリアコートが実質的に十分に反応した後で)供する。
【0056】
バリアコートは、硬化に際してバリアコートと繊維強化層とが一体的に結合するようなものでなければならず、また、意図される使用環境で生じ得る層剥離や他の劣化に耐え得るほどの層間結合がバリアコートと繊維強化層との間で形成されるものでなければならない。バリアコートの形成に用いる反応混合物をモールド面などの面にスプレーする又は他の手法で塗布するのに先立って、モールドを加熱してよく、好ましくは約37℃〜約94℃の温度にまで加熱してよい。尚、そのような加熱は必須でないことに留意されたい。反応原系、反応混合物およびモールドの温度は、複合品の製造が所望の製造速度となるように、当業者に既知の手法に従って選択される。
【0057】
バリアコートがモールド面などの面に設けられた後、そのバリアコート上に繊維含有反応混合物が注型または供される。この際、長繊維射出成形法が特に好ましい方法である。かかる長繊維射出成形法の装置および処理パラメーターは、例えば公開された米国特許出願第2004/0135280号に開示されている。モールド内の層状物は硬化され得る。尚、本発明の複合品は、開放型モールドまたは閉鎖型モールドのいずれのモールドを用いても製造することができる。
【0058】
一般的には、本発明の複合品はモールド内で製造される。適当なモールドは、スチール、アルミニウムまたはニッケル製のモールドである。モールドの封止が良くなり、製品の形を切り揃える処理(またはトリミング処理)が簡単になるので、シアエッジを有するモールドが特に好ましい。
【0059】
本発明の方法の特に好ましい態様では、「バリアコートを形成する反応混合物」が、1秒当たり約40〜約70gの割合でモールド面にスプレー(または噴霧)される。この割合で反応混合物を供して少なくとも5ミル厚さの所望のバリアコートを得るには、イソシアネート成分および「イソシアネートに反応性を有する成分(本願明細書ではポリオール成分とも呼ばれる)」を約120°F〜約160°Fの温度にまで加熱する必要がある。混合および塗布(または供給)を適切に実施できる典型的なスプレー圧(または噴霧圧)は、約2000〜約2500psiである。しかしながら、採用すべき特定の条件は、用いる特定のスプレー機器に依存するものである。尚、適当なスプレー機器は、GRACO、Glas−Craft、GUSMER−DECKER、IsothermおよびBINKSから市販されている。
【0060】
「バリアコートを形成する混合物」がスプレー供給されることになるモールド面の温度は、バリアコートの適切な形成および硬化にとっては重要ではないものの、バリアコートに設けられる繊維強化層の適切な硬化にとっては重要である。
【0061】
離型剤は、複合品をモールドから確実に取り出すために(または脱型するために)用いられる。
【0062】
本発明の複合品の繊維強化層の形成に用いられる繊維含有反応混合物は、種々の方法でバリアコートに供することができるものの、長繊維射出成形法(「LFI」)を用いて供することが特に有利である。
【0063】
長繊維射出成形法では、混合ヘッド(ガラス・ロービングを切断して得られる繊維ガラス・ストランドとポリウレタン反応混合物とが組み合わされる混合ヘッド)を介して開放型モールドの充填が開始される。ガラス繊維の長さおよび体積は混合ヘッドで調整することができる。この長繊維射出成形法では、マット形態または予め成形された形態の繊維ガラスではなく、より安価な繊維ガラス・ロービング(fiberglass roving)が用いられる。このガラス・ロービングは、ガラス切断機を備えた混合ヘッドに供給されることが好ましい。混合ヘッドはモールドの上流側に位置しており、混合ヘッド内の材料が開放型モールドへと供されることになる。混合ヘッドではポリウレタン反応混合物がディスペンスされると共に、ガラス・ロービングが切断される。混合ヘッド内から開放型モールドへと材料の供給が完了すると、モールドが閉鎖され、反応混合物が硬化に付される。最終的には、モールドから複合品が取り出される。モールドは、一般的に、約120°F〜約190°Fの温度に維持される。混合ヘッド内からモールドへと材料をディスペンスするのに必要な時間は、通常10〜60秒である。モールドの閉鎖状態は、ガラス繊維強化層が硬化した状態となるように、一般的に約1.5分間〜約6分間維持される。
【0064】
本発明の方法を十分に自動化されたシステムを用いて実施する際には特に、次のような有利な点がある:
マット形態の繊維ガラスではなく、より安価な繊維ガラス・ロービングを用いることができる。
ガラス強化の程度を部分的に変えることができる。
強化層として発泡形態または中実のポリウレタンを用いることができる。
ポリウレタンをモールド内でコーティングすることによって複合品を製造することができ、二次的な塗装処理を省くことができる。
【0065】
以上、本発明の説明を行ってきたが、以下では、本発明の実施例を例示的に説明する。実施例の全ての「部」および「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味している。
【実施例】
【0066】
本発明の複合品のバリアコート成分および繊維強化成分の形成に有用な材料を以下に示す。

POLY A:約27mgKOH/gのOH価を有するポリマーポリオールであって、Arcol 24-28の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されているポリマーポリオール

POLY B:約630mgKOH/gのOH価を有する「アミン系四官能価ポリエーテルポリオール」であって、Multranol 4050の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「アミン系四官能価ポリエーテルポリオール」

POLY C:約150mgKOH/gのOH価を有する「アミン系三官能価ポリエーテルポリオール」であって、Multranol 9144の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「アミン系三官能価ポリエーテルポリオール」

POLY D:約36mgKOH/gのOH価を有する「エチレンオキシドを用いて変性させたポリオキシプロピレン」であって、Multranol 3900の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「エチレンオキシドを用いて変性させたポリオキシプロピレン」

POLY E:約350mgKOH/gのOH価を有する「三官能価アミン開始ポリエーテルポリオール」であって、Multranol 9170の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「三官能価アミン開始ポリエーテルポリオール」

POLY F:約28mgKOH/gのOH価を有する「エチレンオキシドを用いて変性させたポリプロピレンオキシド系ジオール」であって、Multranol 9111の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「エチレンオキシドを用いて変性させたポリプロピレンオキシド系ジオール」

POLY G:約460mgKOH/gのOH価を有する「アミン開始ポリエーテルテトラオール」であって、Multranol 4063の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「アミン開始ポリエーテルテトラオール」

POLY H:約700mgKOH/gのOH価を有する「アミン開始ポリエーテルトリオール」であって、Multranol 9138の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「アミン開始ポリエーテルトリオール」

POLY I:約470mgKOH/gのOH価を有する「エチレンオキシドを用いて変性されたポリプロピレンオキシド系トリオール」であって、Multranol 9158の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「エチレンオキシドを用いて変性されたポリプロピレンオキシド系トリオール」

POLY J:約380mgKOH/gのOH価を有する「エチレンオキシドを用いて変性させたポリプロピレンオキシド系トリオール」であって、Multranol 4035の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「エチレンオキシドを用いて変性させたポリプロピレンオキシド系トリオール」

POLY K:約340mgKOH/gのOH価を有する「ポリプロピレンオキシド系ヘキサノール」であって、Multranol 9171の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ポリプロピレンオキシド系ヘキサノール」
POLY L:約264mgKOH/gのOH価を有する「ポリプロピレンオキシド系ジオール」であって、ARCOL PPG425の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ポリプロピレンオキシド系ジオール」

POLY M:約655mgKOH/gのOH価を有する「ポリプロピレンオキシド系トリオール」であって、ARCOL PPG LG−650の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ポリプロピレンオキシド系トリオール」

POLY N:約1050mgKOH/gのOH価を有する「ポリプロピレンオキシド系トリオール」であって、Multranol 9133の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ポリプロピレンオキシド系トリオール」

POLY O:約395mgKOH/gのOH価を有する「アミン開始ポリエーテルテトラオール」であって、Multranol 8114の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「アミン開始ポリエーテルテトラオール」

POLY P:約360mgKOH/gのOH価を有する「アミン開始ポリエーテルテトラオール」であって、Multranol 8120の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「アミン開始ポリエーテルテトラオール」

POLY Q:約875mgKOH/gのOH価を有する「ポリプロピレンオキシド系トリオール」であって、Multranol 8108の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ポリプロピレンオキシド系トリオール」


BDO:1,4−ブタンジオール

EG:エチレングリコール

DEG:ジエチレングリコール

DTDA:ジエチルトルエンジアミン

PU−1748:トール油およびN,N’−ジメチル−1,3−ジアミンプロパンのアミドの第4級アンモニウム塩

MRA:Loxiol G−71Sの商品名でヘンケル(Henkel)から市販されている離型剤

CAT A:Dabco 33LVの商品名でエアー・プロダクツ(Air Products)から市販されているトリエチレンジアミン触媒

CAT B:Dabco 1028の商品名でエアー・プロダクツから市販されている第3級アミン触媒

CAT C:Dabco T12の商品名でエアー・プロダクツから市販されているスズ触媒
CAT D:Dabco BL17の商品名でエアー・プロダクツから市販されているアミン発泡触媒

CAT E:Dabco EGの商品名でエアー・プロダクツから市販されているアミン触媒

Stab:Tinuvin 765の商品名でチバ(Ciba)から市販されている立体障害アミン系光安定剤

UVA:Tinuvin 213の商品名でチバから市販されているベンゾトリアゾールUV吸収剤

AO1:Irganox 1135の商品名でチバから市販されているヒンダードフェノール酸化防止剤

FILLER:ME 1020の商品名でオウエンズ・コーニング(Owens Corning)から市販されている連続的なガラス・ロービングおよびVetrotex 5249の商品名でセイント・ゴバイン(Saint Gobain)から市販されている連続的なガラス・ロービング

NCO A:Mondur 645Aの商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づく芳香族ポリマーイソシアネート」であって、31重量%のNCO含有量を有すると共に25℃で160MPa・sの粘度を有する「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づく芳香族ポリマーイソシアネート」

NCO B:Baytec MP−190の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「変性ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)イソシアネート末端プレポリマー」であって、19%のNCO含有量を有すると共に25℃で500MPa・sの粘度を有する「変性ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)イソシアネート末端プレポリマー」

NCO C:Baytec MP−210の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「変性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)イソシアネート末端プレポリマー」であって、ポリプロピレンエーテルグリコールでもって変性させ、21%のNCO含有量を有する「変性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)イソシアネート末端プレポリマー」

NCO D:Bayfit 753X−Aの商品名でバイエル・マテリアルサイエンスから市販されている「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた芳香族イソシアネート末端ポリマーイソシアネート」であって、25℃で40MPa・sの粘度を有する「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた芳香族イソシアネート末端ポリマーイソシアネート」

NCO E:Mondur PFの商品名で市販されている「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた芳香族イソシアネート末端プレポリマー」であって、23%のNCO含有量を有し、25℃で750MPa・sの粘度を有する「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた芳香族イソシアネート末端プレポリマー」

NCO F:Mondur MA 2300の商品名でバイエル・マテリアルサイエンスLLCから市販されている「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた変性イソシアネート末端芳香族イソシアネート」であって、23%のNCO含有量を有し、25℃で550MPa・sの粘度を有する「ジフェニルメタンジイソシアネートに基づいた変性イソシアネート末端芳香族イソシアネート」
【0067】
上述した方法を用いた複合品の製造に対して有用となる組成を以下の表に示す。
【0068】
【表1】













【0069】
耐衝撃性が向上していることを実証するために、上記の実施例12で示されている組成でもって厚さの異なる部材を製造し、それを用いて、以下の手法に従ってダイナタップ試験機(DynaTup Instrument)で試験を行った。
【0070】
ダイナタップ試験機を用いた衝撃試験:
所定材料の耐衝撃性を調べるために、ダイナタップ試験機を用いて落錘試験を行った。5.25平方インチの衝撃面を有する2"×4"の木片を衝撃タップ(impact tup)に取り付けた。7.9ポンドの落錘重量と30.5ポンドの落錘重量と2つの落錘重量を用いた。7.9ポンドの落錘重量は27.4フィート/秒の衝撃速度を有しており、30.5ポンドの落錘重量は18.9フィート/秒の衝撃速度を有している。7.9ポンドの落錘重量の衝撃エネルギーは92フィート/ポンドであり、30.5ポンドの落錘重量の衝撃エネルギーは169フィート/ポンドである。供試体は、6インチの幅および12インチの長さを有するものである。衝撃試験に際しては、1.5インチの厚さを有する発泡スチロール製パネル上に供試体を置き、その供試体に対して7.9ポンドまたは30.5ポンドの落錘重量を落下させた。ダイナタップ試験機のメーカーからは力変位プロット(force deflection plot)が供されている。
【0071】
「合格」とみなされる耐衝撃エネルギーは、供試体の厚さに依存している。
【0072】
30.5ポンドの落錘重量を用いて行った試験において、1.8mm厚さの供試体では「合格」を得るのに75ft−lbs(フィート−ポンド)よりも大きい耐衝撃エネルギーが必要とされた。また、2.2mm厚さの供試体では、「合格」を得るのに108.7〜169ft−lbsの耐衝撃エネルギーが必要とされた。更に、3.5mm厚さの供試体では、「合格」を得るのに137.3〜169ft−lbsの耐衝撃エネルギーが必要とされた。
【0073】
試験された1.8mmの供試体は、75ft−lbsよりも大きい耐衝撃エネルギーを有していた。
試験された2.2mmの供試体は、110ft−lbsよりも大きい耐衝撃エネルギーを有していた。
試験された3.5mmの供試体は、135ft−lbsよりも大きい耐衝撃エネルギーを有していた。
【0074】
以上、本発明を例示的に詳細に説明してきたが、かかる詳細な説明はあくまでも例示にすぎず、特許請求の範囲で制限されることを除き、当業者が本発明の概念および範囲から逸脱することなく変更を加えることができることを理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡部分のない滑らかな面を有する複合品であって、
該複合品は、ダイナタップ試験機で30.5ポンドの衝撃に付された際に75フィート−ポンドよりも大きい耐衝撃エネルギーを1.8mmの厚さにて有する程に十分な耐破壊性を有しており、
(a)5ミルよりも大きい厚さのバリアコートであって、
(1)10%〜32%のNCO含有量を有するイソシアネート末端プレポリマーを含んで成るイソシアネート成分と、
(2)2よりも大きい官能価および約60〜約700のOH価を有するアミン開始ポリエーテルポリオールを少なくとも1つ有して成る「イソシネートに反応性を有する成分」と
から成る反応生成物であるバリアコート
を有すると共に、
(b)繊維強化されたポリウレタン/尿素であって、
(1)約6%〜約49%のNCO含有量を有するイソシアネートを含んで成るイソシアネート成分と、
(2)(i)少なくとも2の官能価および少なくとも28のOH価を有する材料(アミンを除く)で開始される少なくとも1つのアルキレンオキシドポリエーテルポリオール、および/または
(ii)2よりも大きい官能価および50よりも大きいOH価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリエーテルポリオール
を含んで成る「イソシアネートに反応性を有する成分」と、
(3)繊維強化ポリウレタン/尿素の総重量基準で5重量%〜60%重量の繊維であって、10〜100mmの平均繊維長さを有し、繊維強化ポリウレタン/尿素(b)に対するバリアコート(a)の重量比が0.1〜0.5となる量の繊維と
から成る反応生成物である繊維強化ポリウレタン/尿素、
を有して成り、
バリアコート(a)と繊維強化ポリウレタン/尿素(b)とが結合した状態にある、複合品。
【請求項2】
バリアコート(a)のイソシアネート成分(1)に含まれるイソシアネート末端プレポリマーが、変性ジフェニルメタンジイソシアネート・プレポリマーである、請求項1に記載の複合品。
【請求項3】
バリアコート(a)のイソシアネート成分(1)に含まれるイソシアネート末端プレポリマーが、約18%〜約31%のNCO含有量を有している、請求項2に記載の複合品。
【請求項4】
バリアコート(a)の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)のアミン開始ポリエーテルポリオールが、芳香族アミンで開始されるポリエーテルポリオールである、請求項1に記載の複合品。
【請求項5】
繊維強化ポリウレタン/尿素(b)のイソシアネート成分(1)が、約23%〜約32%のNCO含有量を有している、請求項1に記載の複合品。
【請求項6】
繊維強化ポリウレタン/尿素(b)の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)が、ポリエーテルポリオール(i)である、請求項1に記載の複合品。
【請求項7】
ポリエーテルポリオール(i)が、約3〜約4の官能価および約260〜約1050のOH価を有している、請求項6に記載の複合品。
【請求項8】
繊維強化ポリウレタン/尿素(b)の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)が、ポリエーテルポリオール(ii)である、請求項1に記載の複合品。
【請求項9】
ポリエーテルポリオール(ii)が、約2〜4の官能価および約400〜約700のOH価を有している、請求項8に記載の複合品。
【請求項10】
繊維強化ポリウレタン/尿素(b)の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)が、ポリエーテルポリオール(i)およびポリエーテルポリオール(ii)の双方を含んでいる、請求項1に記載の複合品。
【請求項11】
繊維強化ポリウレタン/尿素の繊維(3)の含有量が25重量%〜40重量%である、請求項1に記載の複合品。
【請求項12】
繊維強化ポリウレタン/尿素の繊維(3)が、約12.5〜25mmの平均長さを有している、請求項1に記載の複合品。
【請求項13】
繊維強化ポリウレタン/尿素(b)に対するバリアコート(a)の重量比が、約0.15〜約0.25である、請求項1に記載の複合品。
【請求項14】
バリアコート(a)の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)が、三官能価アミン開始ポリエーテルポリオールと四官能価アミン開始ポリエーテルポリオールとの混合物である、請求項1に記載の複合品。
【請求項15】
繊維強化ポリウレタン/尿素のイソシアネート成分(1)がポリマーMDIを含んでいる、請求項1に記載の複合品。
【請求項16】
繊維強化ポリウレタン/尿素の「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)が、1000よりも大きいOH価を有するアルキレンオキシドポリエーテルポリオールを含んでいる、請求項1に記載の複合品。
【請求項17】
繊維(3)が、ガラス、カーボン、セラミック、ケブラーおよび天然繊維から成る群から選択される繊維である、請求項1に記載の複合品。
【請求項18】
ドア・パネルの形態を有する、請求項1に記載の複合品。
【請求項19】
発泡部分のない滑らかな面を有すると共に、ダイナタップ試験機で30.5ポンドの衝撃に付された際に75フィート−ポンドよりも大きい耐衝撃エネルギーを1.8mmの厚さで有する程の十分な耐破壊性を有する複合成型品を製造するための開放系の注型方法であって、
(a)反応することによってバリアコートを形成するポリウレタン/尿素形成混合物をモールド面に供する工程、
(b)ポリウレタン/尿素を形成する繊維含有混合物をバリアコートの面に供する工程、
(c)温度を25〜90℃に維持しつつモールド内で該繊維含有混合物を1〜6分間硬化させる工程、
(d)モールドから複合品を取り出す工程、
を含んで成り、
工程(a)で用いるポリウレタン/尿素形成混合物が、
(1)10%〜32%のNCO含有量を有するイソシアネート末端プレポリマーを含んで成るイソシアネート成分、ならびに
(2)2よりも大きい官能価および約60〜700のOH価を有するアミン開始ポリエーテルポリオールを少なくとも1つ有して成る「イソシネートに反応性を有する成分」
を含んで成り、形成されるバリアコートが少なくとも5ミルの厚さを有するように、「イソシネートに反応性を有する成分」(2)に対するイソシアネート成分(1)の当量比が0.8〜1.4となっており、
工程(b)で用いる繊維含有混合物が、
(1)約6%〜約49%のNCO含有量を有するイソシアネートを含んで成るイソシアネート成分、
(2)(i)少なくとも2の官能価および少なくとも28のOH価を有する材料(アミンを除く)で開始される少なくとも1つのアルキレンオキシドポリエーテルポリオール、および/または
(ii)2よりも大きい官能価および50よりも大きいOH価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリエーテルポリオール
を含んで成る「イソシアネートに反応性を有する成分」、ならびに
(3)10〜100mmの平均繊維長さを有し、繊維含有混合物の総重量基準で5重量%〜60重量%の繊維
を含んで成り、イソシアネート成分(1)および「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)の量は、NCO/OH当量比が約0.95〜約1.1となるような量であり、また、工程(b)の繊維含有混合物に対する工程(a)のポリウレタン/尿素形成混合物の重量比が0.1〜0.5となるような量の繊維が用いられている、注型方法。
【請求項20】
バリアコートを形成する工程(a)で用いられる反応混合物の「イソシアネートに反応性を有する成分」が、
(A)「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)の総重量基準で約8重量%〜約18重量%のアミン開始ポリエーテルポリオールであって、4の官能価および500〜700のヒドロキシル価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール、
(B)「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)の総重量基準で約12重量%〜約32重量%のアミン開始ポリエーテルポリオールであって、3の官能価および100〜200のヒドロキシル価を有するアミン開始ポリエーテルポリオール
(C)「イソシアネートに反応性を有する成分」(2)の総重量基準で約34重量%〜約54重量%のポリマーポリオール、
(D)鎖延長剤、ならびに
(E)オプションとしての触媒
を含んで成る、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ポリウレタン/尿素を形成する繊維含有反応混合物の「イソシアネートに反応性を有する成分」がプロポキシレート化グリセリンを含んで成る、請求項19に記載の方法。

【公開番号】特開2007−125889(P2007−125889A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−295813(P2006−295813)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】