説明

複層部材の製造方法および製造装置

【課題】規定形状の弾性材を基材に対して正確に貼付けることを可能とする。
【解決手段】伸縮性を有する弾性材20を、外形寸法が基材の貼付け面の外形寸法を超えない大きさに形成する。この弾性材20を、貼付け装置Jにおける弾性材セット部50にセットし、固定支持部52で該弾性材20の外縁の一部に設定した基準部27が移動しないよう位置決め保持したもとで、第1〜第3の移動支持部60,70,80で該弾性材20の基準部27と異なる外縁である離間縁部28が該基準部27から離間する方向へ移動するよう引っ張り、該離間縁部28を予め設定した規定位置に一致させることで、当該弾性材20の外形形状を前記貼付け面の外形形状と同じ規定形状とする。そして、規定形状とした弾性材20と基材の貼付け面とを互いに外縁を揃えて貼付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の貼付け面に弾性材を貼付ける複層部材の製造方法と、この製造方法を実施する複層部材の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、自動車の乗員室内の前方に配設され、運転席側の前方から助手席側の前方に亘って車幅方向に延在する車体内装部材であるインストルメントパネルIPの斜視図である。前記インストルメントパネルIPは、運転席側に計器ユニット等が配設され、助手席側に小物入れとして機能するグローブボックスGBが配設されると共に、車幅方向の中間にオーディオユニットやカーナビゲーションユニット等が配設されている。またインストルメントパネルIPは、同一車種におけるグレードの違いにより、乗員室内に露出しかつ手が触れる部材、例えばグローブボックスGBを開閉する開閉蓋Dを、合成樹脂製の基材110が外面に露出したタイプや、該基材110の外面に表皮材114を貼込むと共に該基材110と表皮材114との間にシート状の弾性材である発泡材112を介在させたタイプとしている(図8参照)。すなわち、低グレード用の開閉扉Dは前記基材110のみの単層部材とし、高グレード用の開閉扉Dは、前記基材110、発泡材112および表皮材114からなる所謂「複層部材」としている。
【0003】
前記開閉扉Dは、図9(a)および図9(b)に概略的に示すように、各グレート共に共通の基材110が使用される。このため開閉扉Dと該開閉扉Dに隣接する化粧パネル120との隙間Sは、低グレード用の開閉扉Dが基準とされる。しかし、隙間Sの大小はインストルメントパネルIPの質感を左右するため、低グレード用の開閉扉Dにおいて該隙間Sはできるだけ小さく設定してある(図6(a))。すなわち前記隙間Sは、前記表皮材114の厚みよりは大きいが、前記発泡材112の厚みHよりは小さくなっている。従って、高グレード用の開閉扉Dでは、図6(b)に示すように、基材110におけるインストルメントパネルIPの意匠面を構成する外面を貼付け面116として、該貼付け面116だけに発泡材112を貼付けるようにして、該基材110の側面110Aには表皮材114だけが貼込まれるように構成されている。
【0004】
従って従来は、貼付け面116の外縁形状と同一の外縁形状のシート状に発泡材112を予め成形して、貼付け装置または手作業により、成形した発泡材112を基材110の貼付け面116に貼付けている。このような発泡材の貼付け装置および貼付け方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−114984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで前記発泡材112は、伸縮性や弾力性を有する弾性材であるため、前記基材110の貼付け面116の外縁形状と同じ外縁形状である規定形状に切断して成形することが難しく、該発泡材112の加工精度は±1.0mm程度となっている。また、基材110の貼付け面116に対する発泡材112の位置決め精度は、±0.5mm程度となっている。このため、発泡材112の加工精度と位置決め精度を合わせると、基材110の貼付け面116に対する発泡材112の貼付け精度が±1.50mmとなる。すなわち、基材110の貼付け面116の外縁と発泡材112の外縁とが揃った状態で該発泡材112を該貼付け面116に貼付けることが非常に難しく、図10に示すように、発泡材112の端部112aが開閉扉Dの端面から突出したり該貼付け面116の一部が露出した状態で発泡材112が貼付けられることが多く発生する。発泡材112の端部112aが基材110の側面110Aから突出した状態で表皮材114を該基材110に貼込んだ場合には、開閉扉Dの端面が膨出した状態となるから、隣接する化粧パネル120に表皮材114が接触して当該開閉扉Dが閉じられない不都合が発生する。また、基材110の貼付け面116の一部が露出した状態で表皮材114を該基材110に貼込んだ場合には、開閉扉Dの外縁部分に段差が形成されてしまうから、製品不良となってインストルメントパネルIPの製造効率が低下すると共に製造コストが嵩む原因となっている。
【0007】
従って本発明では、規定形状の弾性材を基材に対して正確に貼付けることを可能にした複層部材の製造方法および該製造方法を実施可能な複層部材の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、
伸縮性を有する弾性材を、外形寸法が基材の貼付け面の外形寸法を超えない大きさに形成し、
前記弾性材を、該弾性材の外縁の一部に設定した基準部が移動しないよう位置決め保持したもとで、該弾性材の前記基準部と異なる外縁である離間縁部が該基準部から離間する方向へ移動するよう引っ張り、該離間縁部を予め設定した規定位置に一致させることで、当該弾性材の外形形状を前記貼付け面の外形形状と同じ規定形状とし、
前記弾性材と前記基材の貼付け面とを互いに外縁を揃えて貼付けることを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、外形寸法が基材の貼付け面の外形寸法を超えない大きさに形成した伸縮性を有する弾性材を、基材の貼付け面に貼付ける前に、該弾性体の外縁の一部に設定した基準部を基準として該貼付け面の外形形状と同じ外形形状である規定形状まで引っ張ることで、該弾性材の成形加工または切断加工時の加工誤差が修正されて適切な規定形状とし得る。そして、規定形状とした弾性材の外縁と貼付け面の外縁とを揃えたもとで、該弾性材を基材の貼付け面に貼付けるので、該弾性材が貼付け面からはみ出て基材から突出したり、該貼付け面が露出することを防止できる。しかも、基材に貼付ける前に弾性材を規定形状とするので、基材に貼付けながら弾性材を規定形状とする場合と比べると、該弾性材に弛み、突っ張り、皺等が発生し難い。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
前記弾性材は、前記貼付け面に貼付けられる接着面以外の部位を保持して引っ張られることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、規定形状とされた弾性材を基材の貼付け面に貼付ける際に、該弾性材の接着面と該貼付け面とを適切に接着させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、
前記弾性材は、前記離間縁部が前記規定位置に一致したことを検知する外縁検知手段が該離間縁部を検知するまで引っ張られることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、弾性材の離間縁部を外縁検知手段が検知するまで該弾性材を引っ張ることで、弾性材を正確に規定形状とすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、
前記基準部は、前記弾性材の2辺の外縁が交差する角部を挟んで設けられ、該角部が移動しないように該弾性材が保持されることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、弾性材における角部を挟む2辺の外縁に設けられた基準部により、該弾性材を角部が移動しないように位置決め保持することができる。
【0013】
同じく前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、
基材を、該基材における弾性材の貼付け面を外側に向けて保持する基材セット部と、
前記基材の貼付け面を超えない大きさに形成された前記弾性材を保持する弾性材セット部とを備え、
前記弾性材セット部は、
前記弾性材の外縁に設定された基準部を位置規制して該弾性材を位置決めする位置決め部と、
前記位置決め部で位置規制された前記弾性材を、前記基準部が動かないように保持する固定支持部と、
前記弾性材における前記基準部と異なる外縁である離間縁部が該基準部から離間するよう該弾性材を引っ張り、該弾性材の外形形状を前記貼付け面の外形形状と同じ規定形状とする移動支持部とを備え、
前記弾性材セット部および基材セット部は、互いに離間したセット位置と、前記規定形状とした弾性材と前記基材の貼付け面とを突合わせて該弾性材を該基材に貼付ける貼付け位置とに変位可能に構成されたことを要旨とする。
【0014】
従って、請求項5に係る発明によれば、弾性材セット部が、弾性材を位置決めする位置決め部と、位置決めされた弾性材を基準部が動かないように保持する固定支持部と、弾性材における基準部と異なる離間縁部を基準部から離間するよう該弾性材を引っ張る移動支持部とを備えているので、位置決め部で位置規制された弾性材を貼付け面の外形形状と同じ規定形状で保持することができ、該弾性材の成形加工または切断加工時の加工誤差を修正することを可能とする。そして、規定形状とした弾性材をセットした弾性材セット部と基材をセットした基材セット部とを貼付け位置とすることで、弾性材と基材の貼付け面とを貼付けることを可能とする。これにより、弾性材が貼付け面からはみ出た状態で基材に貼付けられたり、貼付け面が露出した状態で弾性材が基材に貼付けることを防止でき、複層部材の品質低下を防止し得る。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
前記固定支持部および移動支持部は、前記弾性材における前記貼付け面に突合わさせる接着面以外の部位を保持する保持手段を備えることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、固定支持部および移動支持部により接着面を保持せずに弾性材を規定形状とし得るので、該規定形状の弾性材の接着面と基材の貼付け面とが保持手段で邪魔されずに接着することを可能とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、
前記弾性材セット部は、前記規定形状となった前記弾性材の離間縁部を検知する外縁検知手段を備え、前記外縁検知手段の検知により前記移動支持部を停止するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、外縁検知手段が弾性材の離間縁部を検知することで該弾性材が規定形状となったことを正確かつ簡易に判断することができると共に、外縁検知手段が離間縁部を検知したら移動支持部を停止することで、該弾性材を規定形状に保持することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、
前記位置決め部は、前記弾性材の交差する2辺を位置規制するように設けられることを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、弾性材における外縁の角部を挟んだ2辺に設けられた基準部を、位置決め部により移動しないよう位置規制し得るので、弾性材セット部に対して弾性材を適切な位置にセットすることを可能とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、
前記弾性材セット部と前記基材セット部とは、前記貼込み位置において前記貼付け面の外縁と規定形状の弾性材の外縁とが揃う位置関係に規定されることを要旨とする。
従って、請求項9に係る発明によれば、弾性材セット部と基材セット部とを貼付け位置とするだけで、弾性材の外縁と基材の貼付け面の外縁とを正確に揃えながら該弾性材を該貼付け面に正確かつ簡易に貼付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る複層部材の製造方法によれば、規定形状とした弾性材を基材の貼付け面に正確に貼付けることができる。
別の発明に係る複層部材の製造装置によれば、規定形状とした弾性材を基材の貼付け面に対して正確に貼付けることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例に係る複層部材の製造装置を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】実施例に係る複層部材の製造方法を示す説明図であって、製造装置の弾性材セット部に弾性材をセットした状態を示している。
【図4】実施例に係る複層部材の製造方法を示す説明図であって、弾性材セット部にセットした弾性材を規定形状に引き伸ばした状態を示している。
【図5】複層部材の製造方法を示す説明図であって、規定形状とした弾性材と基材とを貼付ける状態を示している。
【図6】(a)は、弾性材を貼付けた基材に、該弾性材を被覆するように表皮材を貼込んで複層部材を製造する状態を示す説明図であり、(b)は、製造された複層部材の断面図である。
【図7】車両内装部材であるインストルメントパネルを示す斜視図である。
【図8】図7に示すインストルメントパネルにおいて、グローブボックスにおける複層部材としての開閉扉を、基材、弾性材および表皮材を分離した状態で示す斜視図である。
【図9】図7に示す開閉扉および隣接する化粧部材の横断平面図であるって、(a)は、表皮材を貼込む前の状態を示し、(b)は、表皮材を貼込んだ状態を示している。
【図10】基材に対する弾性材の貼付け不良により発生する不都合を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る複層部材の製造方法および複層部材の製造装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、説明の便宜を図ると共に理解を容易とするため単純な矩形形状とした複層部材Mを例示するが、実際の複層部材Mは、多様な外形形状および三次元的な形状に形成されるものが多い。
【実施例】
【0022】
実施例の複層部材Mは、図6(b)に示すように、矩形形状に形成された基材10と、この基材10の表側に設けた貼付け面12に貼付けられた弾性材20と、この弾性材20を被覆するように前記基材10に貼込まれた表皮材30とを備えている。基材10は、インジェクション成形により形成された合成樹脂製の成形部材であり、前記貼付け面12と、この貼付け面12の外縁を囲むように形成されて表皮材30が貼込まれる側面14と、側面14から当該基材10の裏側へ回り込むように形成されて表皮材30が貼込まれる背面16とを備えている。弾性材20は、ウレタンフォーム等のシート状の発泡体であり、伸縮性を有している。また表皮材30は、表面が加飾された合成樹脂製のシート材である。このような複層部材Mは、後述するように、基材10の貼付け面12に弾性材20を貼付ける弾性材貼付け工程と、弾性材20を装着した基材10に表皮材30を貼込む表皮材貼付け工程とを経て製造される。
【0023】
そこで先ず、実施例に係る複層部材の製造方法を実施可能とする製造装置Jにつき、図1および図2を引用して説明する。実施例の製造装置Jは、基材10を、前記貼付け面12を外側に向けて保持する基材セット部40と、基材10の貼付け面12に貼付ける弾性材20を、貼付け面12の外形形状と同じ規定形状に引き伸ばすと共に該規定形状で保持する弾性材セット部50とを備えている。なお、図2において、弾性材セット部50と基材セット部40とが対向する方向を上下方向とし、図1において、弾性材セット部50の長手方向を「左右方向」、該弾性材セット部50の短手方向を「前後方向」と指称する。すなわち実施例の製造装置Jは、弾性材セット部50の上方に基材セット部40が配設されている。
【0024】
基材セット部40は、基材10を着脱可能に保持するセット面44が弾性材セット部50と対向する下部に備えた基材保持体42と、この基材保持体42を移動可能に支持する支持装置46とを備えており、支持装置46の作動により、弾性材セット部50にセットした弾性材20に対して基材セット部40の接離移動が可能となっている。すなわち基材セット部40は、弾性材20から上方へ離間したセット位置(図5に2点鎖線表示)と弾性材20に近接した貼付け位置(図5に実線表示)との間で基材保持体42が移動可能に構成されている。そして、基材セット部40と弾性材セット部50とは、前記貼付け位置において、弾性材セット部50に規定形状で保持された弾性材20の外縁と該基材保持体42に保持された基材10の貼付け面12の外縁とを揃えた状態で対向させ得るようになっている。
【0025】
弾性材セット部50は、加工精度の最大寸法誤差を貼付け面12の外形寸法として、この外形寸法を超えない外形形状に予め形成されたシート状の弾性材20を位置決めしてセットすると共に、弾性材20の外形形状が該貼付け面12の外形形状と同じ規定形状となるよう該弾性材20を引き伸ばし得るよう構成されている。すなわち弾性材セット部50は、図1および図2に示すように、弾性材20の外縁サイズより一回り大きい矩形形状のテーブル状に形成され、弾性材20を上面に載置して保持する固定支持部52と、この固定支持部52の前部左側に配設した第1移動支持部60と、固定支持部52の右部に配設した第2移動支持部70および第3移動支持部80とを備えている。第1移動支持部60は、固定支持部52の前部左側に上方へ開口するように設けた第1凹部54にスライド移動可能に配設され、第2移動支持部70および第3移動支持部80は、固定支持部52の右部に上方へ開口するように設けた第2凹部56にスライド移動可能に配設されている。すなわち弾性材セット部50は、固定支持部52および第1〜第3の各移動支持部60,70,80により、弾性材20を下方から支持するようになっている。
【0026】
前記弾性材セット部50における固定支持部52の上面の左部後側には、矩形状の弾性材20における左方後部に設けた基準部27と対応する位置決め部58が設けられている。弾性材20の基準部27は、該弾性材20の左後に位置する角部26を挟んで交差する2辺、すなわち左端縁の後部分に設けた第1基準縁27Aおよび後端縁の左部分に設けた第2基準縁27Bとを備えている。これにより位置決め部58は、前方および右方へ延出する平面略「L」形に形成されて、弾性材20の前記角部26と相対する内角部58Aと、この内角部58Aから前方へ延在して基準部27の第1基準縁27Aが相対する第1位置決め縁58Bと、内角部58Aから右方へ延在して該基準部27の第2基準縁27Bが相対する第2位置決め縁58Cとを備えている。従って弾性材セット部50は、図1に示すように、弾性材20の角部26を位置決め部58の内角部58Aに整合させ、基準部27の第1基準縁27Aを位置決め部58の第1位置決め縁58Bに相対させ、第2基準縁27Bを位置決め部58の第2位置決め縁58Cに相対させることで、角部26を位置規制しながら弾性材20を位置決めするよう構成されている。なお位置決め部58は、その突出高さが弾性材20の厚みより小さく設定されると共に、該弾性材20の接着面24側へ延出しないので、弾性材20を基材10の貼付け面12に貼付ける際に邪魔にならないようになっている。
【0027】
第1移動支持部60は、矩形状に形成された平板部材であり、第1凹部54の底部と該第1移動支持部60の底部との間に配設された第1スライド機構62により、前後方向へのスライド移動が可能となっている。第1スライド機構62は、第1凹部54の底部に前後方向へ延在すると共に左右方向へ離間して配設された1対の第1ガイドレール64,64と、第1移動支持部60の底部に左右方向へ離間して配設されて、前記各第1ガイドレール64,64に摺動可能に係合する1対の第1スライド部材66と、第1凹部54の底部に固定されてロッド66Aが第1スライド部材66に連結された第1流体圧シリンダ68とから構成されている。従って第1移動支持部60は、第1流体圧シリンダ68をロッド68Aが後退するよう制御すると第1ガイドレール64,64に沿って後方へ移動し、該第1流体圧シリンダ68をロッド68Aが前進するよう制御すると第1ガイドレール64,64に沿って前方へ移動して位置決め部58から離間するようになっている。
【0028】
各第2移動支持部70は、矩形状に形成された平板部材であり、第2凹部56の前後方向の中央部分および後側部分に前後方向へ並んで配設されている。なお、各第2移動支持部70は同一構成となっているので、同一部材、部位は同一符号を付して説明する。第2移動支持部70は、第2凹部56の底部と該第2移動支持部70の底部との間に配設された第2スライド機構72により、左右方向へのスライド移動が可能となっている。第2スライド機構72は、第2凹部56の底部に左右方向へ延在すると共に前後方向へ離間して配設された1対の第2ガイドレール74,74と、第2移動支持部70の底部に前後方向へ離間して配設されて、前記各第2ガイドレール74,74に摺動可能に係合する1対の第2スライド基材10と、第2凹部56の底部に固定されてロッド78Aが第2スライド部材76に連結された第2流体圧シリンダ78とから構成されている。従って第2移動支持部70は、第2流体圧シリンダ78をロッド78Aが後退するよう制御すると第2ガイドレール74,74に沿って左方へ移動し、該第2流体圧シリンダ78をロッド78Aが前進するよう制御すると第2ガイドレール74,74に沿って右方へ移動して位置決め部58から離間するようになっている。
【0029】
第3移動支持部80は、矩形状に形成された平板部材であり、第2凹部56の前後方向の前側部分に配設され、前後方向の中央部分に配設される前記第2移動支持部70と前後方向で並んでいる。第3移動支持部80は、第2凹部56の底部と該第3移動支持部80の底部との間に配設された第3スライド機構82により、左右方向へのスライド移動および前後方向のスライド移動が可能となっている。第3スライド機構82は、第2凹部56の底部に前後方向へ延在すると共に左右方向へ離間して配設された1対の第3ガイドレール84,84と、第3ガイドレール84に前後方向へ摺動可能に係合する第3スライド部材86と、第2凹部56の底部に固定されてロッド88Aが第3スライド部材86に連結された第3流体圧シリンダ88とを備える。また第3スライド機構82は、第3移動支持部80の底部に左右方向へ延在すると共に前後方向へ離間して配設され、前記第3スライド部材86に摺動可能に係合する1対の第4ガイドレール90,90と、第2凹部56の左側に配設されてロッド92Aが第3移動支持部80に連結された第4流体圧シリンダ92とを備える。従って第3移動支持部80は、第3流体圧シリンダ88をロッド88Aが後退するよう制御すると第3ガイドレール84,84に沿って後方へ移動し、該第3流体圧シリンダ88をロッド88Aが前進するよう制御すると第3ガイドレール84,84に沿って前方へ移動して位置決め部58から離間するようになっている。また第3移動支持部80は、第4流体圧シリンダ92をロッド92Aが後退するよう制御すると第3スライド部材86に対して左方へ移動し、該第4流体圧シリンダ92をロッド92Aが前進するよう制御すると第3スライド部材86に対して右方へ移動して位置決め部58から離間するようになっている。
【0030】
そして弾性材セット部50は、前記固定支持部52の上面における前記位置決め部58の第1位置決め縁58Bおよび第2位置決め縁58Cで挟まれた領域および該領域に隣接する部位に、左右および前後方向へ所要間隔毎に離間すると共に上方へ突出した複数(実施例では9本)の第1係止ピン(第1係止部材)94が立設されている。また、第1移動支持部60の上面における前縁部、各第2移動支持部70の上面における右縁部、第3移動支持部80の上面における前縁部および右縁部には、上方へ突出した複数の第2係止ピン(第2係止部材)96が一列に立設されている。これら第1係止ピン94および第2係止ピン96は、上端が尖った針状に形成されて弾性材20に表面22側から刺し込まれ得るようになっており、弾性材20が固定支持部52および各移動支持部60,70,80に滑ることなく保持するように機能する。従って、第1〜第3の各移動支持部60,70,80を該位置決め部58から離間するように移動させることで、基準部27を位置決め部58に相対させ状態で保持した弾性材20の基準部27から離間した第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bが、該基準部27から離間する方向へ引っ張られ、該弾性材20を前記基材10の貼付け面12の外形形状と同じ外形形状である規定形状まで引っ張ることが可能となっている。なお、前記各第1係止ピン94および各第2係止ピン96は、その突出高さが弾性材20の厚み以下で該弾性材20の接着面24側へ突出しないようになっており、弾性材20を基材10の貼付け面12に貼付ける際に邪魔にならないようになっている。
【0031】
更に、前記弾性材セット部50は、固定支持部52の前縁上部に第1外縁検知手段100が配設されると共に、固定支持部52の右縁上部に第2外縁検知手段102が配設されている。第1外縁検知手段100は、例えば発光部100Aおよび受光部100Bを備えたフォトセンサであって、第1移動支持部60および第3移動支持部80の移動による第1離間縁部28Aを検知するものである。また、第2外縁検知手段102は、第1外縁検知手段100と同様に、発光部102Aおよび受光部102Bを備えたフォトセンサであって、第2移動支持部70および第3移動支持部80の移動による第2離間縁部28Bを検知するものである。すなわち、実施例の弾性材セット部50は、弾性材20の基準部27を位置決め部58に相対させたもとで、第1外縁検知手段100が第1離間縁部28Aを検知すると共に第2外縁検知手段102が第2離間縁部28Bを検知することで、該弾性材20が前記規定形状となったことを判断するように構成されている。
【0032】
前述のように構成された実施例の複層部材の製造装置Jは、弾性材セット部50と基材セット部40とが、前記貼込み位置において、基材10の貼付け面12の外縁と規定形状の弾性材20の外縁とが揃う位置関係に規定される。従って、基材10をセットした基材セット部40を、規定形状とした弾性材20をセットした弾性材セット部50に近接移動させるだけで、基材10の貼付け面12と弾性材20の接着面24とを正確かつ簡易に貼付けることを可能とする。
【0033】
次に、前述のように構成された製造装置Jを使用した実施例に係る複層部材Mの製造方法につき、図面を引用して説明する。実施例に係る複層部材Mの製造方法は、先ず弾性材20を、その外形寸法が基材10の貼付け面12の外形寸法を超えない大きさに形成する。ここで、本願での「貼付け面12の外形寸法を超えない大きさに形成する」とは、前述したように、加工精度の最大寸法誤差を貼付け面12の外形寸法と同じに設定したもとで、弾性材20を成形加工または切断加工することを意味する。従って、成形加工または切断加工された弾性材20は、貼付け面12の外形形状より僅かに小さい外形形状に形成されたり、該貼付け面12の外形形状と同じ外形形状に形成されることもあり得る。なお本実施例では、外形形状が規定形状より小さくなった弾性材20を例示する。
【0034】
前述のように外形寸法が基材10の貼付け面12の外形寸法より小さい弾性材20は、図2に示すように、表面22を弾性材セット部50側に向けた状態で、該弾性材20に設けた基準部27を弾性材セット部50の位置決め部58に相対させながら、固定支持部52および第1〜第3の各移動支持部60,70,80の上面に載置する。この際に、前記各第1係止ピン94および各第2係止ピン96を弾性材20に刺し込ませて、該弾性材20を固定支持部52の上面および第1〜第3の各移動支持部60,70,80の上面に接触させることで、該弾性材20は、固定支持部52および第1〜第3の各移動支持部60,70,80に対してずれ動きが規制された状態で保持される。なお、弾性材20が固定支持部52および各移動支持部60,70,80の上面に接触した状態でも、各第1係止ピン94および第2係止ピン96は該弾性材20の接着面24に突出しない。
【0035】
弾性材セット部50に対して弾性材20のセットが完了したら、図4に示すように、第1移動支持部60の第1スライド機構62の第1流体圧シリンダ68をロッド78Aが前進するように作動して、該第1移動支持部60を前方へ移動させる。また、各第2移動支持部70,70の第2スライド機構72の第2流体圧シリンダ78をロッド78Aが前進するように作動して、各第2移動支持部70,70を右方へ移動させる。更に、第3移動支持部80の第3スライド機構82の第3流体圧シリンダ88をロッド88Aが前進するように作動すると共に、第4流体圧シリンダ92をロッド92Aが前進するように作動することで、該第3移動支持部80を右斜め前方へ移動させる。これにより弾性材20を、位置決め部58に相対させた基準部27側を保持したもとで、該基準部27から離間した第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bが位置決め部58から離間する方向へ移動するように引き伸ばす。
【0036】
そして、第1外縁検知手段100が第1離間縁部28Aを検知したら、第1スライド機構62の第1流体圧シリンダ68を停止して第1移動支持部60の前方への移動を停止すると共に、第3スライド機構82の第3流体圧シリンダ88を停止して第3移動支持部80の前方への移動を停止する。また、第2外縁検知手段102が第2離間縁部28Bを検知したら、第2スライド機構72の第2流体圧シリンダ78を停止して第2移動支持部70の右方への移動を停止すると共に、第3スライド機構82の第4流体圧シリンダ92を停止して第3移動支持部80の右方への移動を停止する。これにより弾性材20は、規定形状の状態で弾性材セット部50の上面に位置決め保持される。
【0037】
また、図5に2点鎖線で表示するように、外面に貼付け面12が形成された前記基材10を、前記セット位置に停止した基材セット部40のセット面44に対し、該貼付け面12が弾性材セット部50側に向く姿勢でセットする。
【0038】
次いで、図5に実線で表示するように、基材10がセットされた基材セット部40を規定形状の弾性材20がセットされた弾性材セット部50側へ移動させ、基材セット部40と弾性材セット部50とを貼付け位置とする。これにより弾性材20の接着面24と基材10の貼付け面12とは、互いの外縁が揃った状態で対向して該弾性材20が該貼付け面12に貼付けられる。従って弾性材20は、基準部27や、第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bを含む外縁が、基材10の側面14がはみ出たり、貼付け面12が露出することなく該貼付け面12に貼付けられ、基材10の貼付け面12に対する弾性材貼付け工程が完了する。
【0039】
基材10の貼付け面12に対する弾性材20の貼付けが完了したら、図6(a)に示すように、表皮材貼付け工程として、予め所定形状に形成した表皮材30を、弾性材20を被覆するように該弾性材20の表面22に貼付けると共に、基材10の側面14から背面16へ巻き込むように貼付ける。これにより、実施例の複層部材Mの製造が完了する。
【0040】
なお、外形形状が規定形状と同じ弾性材20を弾性材セット部50にセットした場合には、第1〜第3の移動支持部60,70,80が作動すると同時に第1外縁検知手段100が第1離間縁部28Aを検知すると共に第2外縁検知手段102が第2離間縁部28Bを検知するから、該弾性材20は引き伸されることはない。また、加工ミス等により外形形状が規定形状より大きくなった弾性材20の場合は、第1〜第3の移動支持部60,70,80が作動の作動前に第1外縁検知手段100が第1離間縁部28Aを検知すると共に第2外縁検知手段102が第2離間縁部28Bを検知するから、図示しないエラー報知手段等により報知される。
【0041】
従って、実施例の複層部材の製造方法によれば、外形寸法が基材10の貼付け面12の外形寸法を超えない大きさに形成した伸縮性を有する弾性材20を、貼付け面12の外形形状と同じ外形形状である規定形状まで引っ張るので、基材10の貼付け面12に貼付ける前に該弾性材20の成形加工または切断加工時の加工誤差が修正され、弾性材20を規定形状とすることができる。そして、規定形状とされた弾性材20の外縁と貼付け面12の外縁とを揃えた状態で該弾性材20を基材10に貼付けるようにしたので、該弾性材20を基材10に対して適切な位置に貼付けることができ、該弾性材20が貼付け面12からはみ出て基材10から突出したり、該貼付け面12が露出することが防止できる。しかも、基材10の貼付け面12に貼付ける前に弾性材20を規定形状とするので、基材10に貼付けながら弾性材20を規定形状とする場合と比べると、該弾性材20に弛み、突っ張り、皺等が発生し難く、弾性材20を貼付け面12に綺麗に貼付けることができる。
【0042】
そして、弾性材20を規定形状とするに際しては、該弾性材20の外縁に設けた基準部27の第1基準縁27Aおよび第2基準縁27Bを位置決め部58の第1位置決め縁58Bおよび第2位置決め縁58Cに相対させて角部26を位置規制したもとで、該弾性材20の外縁における基準部27から離れた第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bが該基準部27から離間する方向へ移動するように当該弾性材20を引っ張るようにしたので、当該弾性材20を規定形状まで適切に引き伸ばすことができる。しかも、弾性材20が規定形状となると、第1離間縁部28Aが第1外縁検知手段100で検知されると共に第2離間縁部28Bが第2外縁検知手段102で検知されるので、該弾性材20を正確に規定形状とすることができる。また、弾性材セット部50に弾性材20をセットする際には、第1係止ピン94および第2係止ピン96により接着面24以外の部分で該弾性材20が保持されるので、弾性材20を基材10に貼付ける際に第1係止ピン94および第2係止ピン96が邪魔にならず、該弾性材20を基材10の貼付け面12に適切に貼付けることができる。
【0043】
また、実施例の複層部材の製造装置Jによれば、弾性材セット部50が、弾性材20を位置決めする位置決め部58と、位置決めされた弾性材20を基準部27が動かないように保持する固定支持部52と、弾性材20における基準部27と異なる第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bを基準部27から離間するよう該弾性材20を引っ張る第1〜第3の移動支持部60,70,80とを備えているので、位置決め部58で位置規制された弾性材20を貼付け面12の外形形状と同じ規定形状で保持することができ、該弾性材20の成形加工または切断加工時の加工誤差を修正することを可能とする。そして、規定形状とした弾性材20をセットした弾性材セット部50と基材10をセットした基材セット部40とを貼付け位置とすることで、弾性材20と基材10の貼付け面12とを貼付けることを可能とする。これにより、弾性材20が貼付け面12からはみ出た状態で基材10に貼付けられたり、貼付け面12が露出した状態で弾性材20が基材10に貼付けることを防止でき、複層部材Mの品質低下を防止し得る。しかも、弾性材セット部50と基材セット部40とは、貼込み位置において貼付け面12の外縁と規定形状の弾性材20の外縁とが揃う位置関係に規定されているから、両セット部50,40を貼付け位置とするだけで、弾性材20の外縁と基材10の貼付け面12の外縁とを正確に揃えながら該弾性材20を該貼付け面12に正確かつ簡易に貼付けることができる。
【0044】
そして、実施例の複層部材の製造装置Jでは、固定支持部52に設けた各第1係止ピン94および第1〜第3の各移動支持部60,70,80に設けた各第2係止ピン96が、弾性材20の接着面24とは異なる部位に刺し込まれて該接着面24に突出しないから、接着面24を保持せずに該弾性材20を規定形状とし得るので、該規定形状の弾性材20の接着面24と基材10の貼付け面12とが各第1係止ピン94および各第2係止ピン96で邪魔されることなく接着することを可能とする。また、実施例の製造装置Jは、規定形状まで引き伸された弾性材20の第1離間縁部28Aを検知する第1外縁検知手段100と、第2離間縁部28Bを検知する第2外縁検知手段102とを備えるので、弾性材セット部50にセットした当該弾性材20を規定形状となったことを正確かつ簡易に判断することができる。そして、第1外縁検知手段100が第1離間縁部28Aを検知したら第1移動支持部60および第3移動支持部80の前方へのスライド移動を停止すると共に第2外縁検知手段102が第2離間縁部28Bを検知したら第2移動支持部70および第3移動支持部80の右方へのスライド移動を停止することで、該弾性材20を規定形状に保持することができる。
【0045】
一方、前記製造装置Jを使用した複層部材Mの製造方法によれば、規定形状の弾性材20の外縁と貼付け面12の外縁とを揃えた状態で該弾性材20が貼付けられた基材10に、表皮材30を該弾性材20を被覆するように貼込むので、表皮材30の一部分が突出したり陥凹して段差ができることがない。従って、品質が高くかつ安定した複層部材Mを製造することが可能である。
【0046】
(変更例)
(1)本願の複層部材Mは、図7に示したインストルメントパネルIPの開閉扉Dだけでなく、該インストルメントパネルIPにおける他の構成部品は勿論、該インストルメントパネルIP以外の車両内装部材の構成部品や車両内装部材以外の構成部品としても実施可能である。
(2)実施例では、矩形で平坦な単純形状の基材10を例示したが、該基材10の貼付け面12が三次元的な形状であっても、弾性材20を該貼付け面12に貼付けることが可能である。この場合、前記弾性材セット部50は、固定支持部52および各移動支持部60,70,80を、貼付け面12の三次元的な形状に合わせて配設することで、弾性材20を三次元的な規定形状まで引き伸ばすことができる。
(3)実施例では、平面略「L」形の位置決め部58を例示したが、該位置決め部58の形状や形態はこれに限定されず、例えば、第1位置決め縁58Bが位置する部位および第2位置決め縁58Cが位置する部位に、夫々1本ずつまたは複数本ずつのピン状部材を突設したものであってもよい。
(4)弾性材セット部50の各移動支持部60,70,80の各スライド機構62,72,82は、実施例に例示の形態に限定されず、様々な形態に変更可能である。例えば、流体圧シリンダは、モータ等としてもよい。
(5)実施例では、第1外縁検知手段100および第2外縁検知手段102としてフォトセンサを例示したが、これら外縁検知手段100,102は、赤外線センサ、超音波センサ、圧力センサ、CCDイメージセンサ等、様々な検知態様の検知手段を実施することが可能である。
(6)弾性材20を規定形状に引き伸ばす量が僅かであれば、第1係止部材94は固定支持部52の上面全体に所要間隔毎に配設してもよく、また、第2係止部材96は第1〜第3の各移動支持部60,70,80の上面全体に所要間隔毎に配設してもよい。また、第1係止部材94および第2係止部材96は、弾性材20の接着面24以外の部位に係止されるものであれば、実施例に例示した該弾性材20の表面22に刺し込まれるピン形態に限定されない。例えば、弾性材20の第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bと対向する部分から該第1離間縁部28Aおよび第2離間縁部28Bに引っ掛ける形態等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 基材,12 貼付け面,20 弾性材,27 基準部
28A 第1離間縁部(離間縁部),28B 第2離間縁部(離間縁部),30 表皮材
40 基材セット部,50 弾性材セット部,52 固定支持部,58 位置決め部
60 第1移動支持部(移動支持部),70 第2移動支持部(移動支持部)
80 第3移動支持部(移動支持部),100 第1外縁検知手段
102 第2外縁検知手段,M 複層部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する弾性材を、外形寸法が基材の貼付け面の外形寸法を超えない大きさに形成し、
前記弾性材を、該弾性材の外縁の一部に設定した基準部が移動しないよう位置決め保持したもとで、該弾性材の前記基準部と異なる外縁である離間縁部が該基準部から離間する方向へ移動するよう引っ張り、該離間縁部を予め設定した規定位置に一致させることで、当該弾性材の外形形状を前記貼付け面の外形形状と同じ規定形状とし、
前記弾性材と前記基材の貼付け面とを互いに外縁を揃えて貼付ける
ことを特徴とする複層部材の製造方法。
【請求項2】
前記弾性材は、前記貼付け面に貼付けられる接着面以外の部位を保持して引っ張られる請求項1記載の複層部材の製造方法。
【請求項3】
前記弾性材は、前記離間縁部が前記規定位置に一致したことを検知する外縁検知手段が該離間縁部を検知するまで引っ張られる請求項1または2記載の複層部材の製造方法。
【請求項4】
前記基準部は、前記弾性材の2辺の外縁が交差する角部を挟んで設けられ、該角部が移動しないように該弾性材が保持される請求項1〜3の何れか一項に記載の複層部材の製造方法。
【請求項5】
基材を、該基材における弾性材の貼付け面を外側に向けて保持する基材セット部と、
前記基材の貼付け面を超えない大きさに形成された前記弾性材を保持する弾性材セット部とを備え、
前記弾性材セット部は、
前記弾性材の外縁に設定された基準部を位置規制して該弾性材を位置決めする位置決め部と、
前記位置決め部で位置規制された前記弾性材を、前記基準部が動かないように保持する固定支持部と、
前記弾性材における前記基準部と異なる外縁である離間縁部が該基準部から離間するよう該弾性材を引っ張り、該弾性材の外形形状を前記貼付け面の外形形状と同じ規定形状とする移動支持部とを備え、
前記弾性材セット部および基材セット部は、互いに離間したセット位置と、前記規定形状とした弾性材と前記基材の貼付け面とを突合わせて該弾性材を該基材に貼付ける貼付け位置とに変位可能に構成された
ことを特徴とする複層部材の製造装置。
【請求項6】
前記固定支持部および移動支持部は、前記弾性材における前記貼付け面に突合わさせる接着面以外の部位を保持する保持手段を備える請求項5記載の複層部材の製造装置。
【請求項7】
前記弾性材セット部は、前記規定形状となった前記弾性材の離間縁部を検知する外縁検知手段を備え、前記外縁検知手段の検知により前記移動支持部を停止するよう構成した請求項5または6記載の複層部材の製造装置。
【請求項8】
前記位置決め部は、前記弾性材の交差する2辺を位置規制するように設けられる請求項5〜7の何れか一項に記載の複層部材の製造装置。
【請求項9】
前記弾性材セット部と前記基材セット部とは、前記貼込み位置において前記貼付け面の外縁と規定形状の弾性材の外縁とが揃う位置関係に規定される請求項5〜8の何れか一項に記載の複層部材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−135911(P2012−135911A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288860(P2010−288860)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】