説明

記録材判別装置、及び画像形成装置

【課題】 記録材からの透過光を検知することにより記録材の厚さを判別する方法では、記録材の白色度の違いにより記録材の厚みを精度良く判別できない可能性があった。
【解決手段】 カラーセンサにより記録材の白色度又は色度を検知し、記録材の白色度又は色度と透過光量に基づいて、記録材の厚さの判別を行うことにより、記録材の白色度又は色度に関わらず、記録材の判別精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の種類を検知する記録材判別装置、及び記録材判別装置を備え記録材に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、例えば、外部装置としてのコンピュータや、画像形成装置本体に設けられた操作パネル等により、記録材の種類(サイズ等)がユーザによって設定されていた。そして、その設定に応じて、例えば転写手段における転写条件(転写電圧や転写時の記録材の搬送速度)や定着条件(定着温度や定着時の記録材の搬送速度)を制御されていた。
【0003】
このようなコンピュータや操作パネル等から、記録材の種類を設定するというユーザの負担を軽減するために、画像形成装置の内部に記録材を判別するセンサを備えて、記録材の種類を自動的に判別する装置が提供されている。センサを搭載した画像形成装置は、自動的に記録材の種類を判別し、判別結果に応じて転写条件や定着条件等が設定されるよう制御される。
【0004】
具体的には、記録材を判別するセンサに対向する位置に発光源を設け、記録材からの透過光を検知することにより記録材の厚みを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−139189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術で説明したように、記録材からの透過光を検知することにより記録材の厚さを判別する方法では、記録材の白色度の違いにより記録材の厚みを精度良く判別できない可能性があった。例えば、再生した記録材のように一般的な記録材よりも白色度が小さい記録材(以下、記録材S1とする)からの透過光量と、記録材S1と同じ厚さで記録材S1よりも白色度の大きい一般的な白色度の記録材(以下、記録材S2とする)からの透過光量を比べる。このとき、記録材S1の透過光量は記録材S2の透過光量よりも少なくなる。つまり、記録材S1は白色度が小さいために、記録材S1を透過する光が途中で吸収されてしまい、記録材S2よりも透過光量が少なくなる。したがって、記録材S1と記録材S2は同じ厚さであるのにも関わらず、透過光量から記録材の判別を行うと、記録材S1の方が厚いと判別されてしまう。
【0007】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みたものであり、記録材の白色度又は色度に関わらず、記録材の判別精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、記録材に光を照射する第1の照射手段と、前記第1の照射手段から照射され、記録材を透過した光を受光する第1の受光手段と、記録材に光を照射する第2の照射手段と、前記第2の照射手段から照射され、記録材から反射した光を受光する第2の受光手段と、前記第2の受光手段で受光した反射光量から記録材の白色度又は色度を判別し、前記記録材の白色度又は色度と前記第1の受光手段で受光した透過光量とに基づいて、記録材の厚さを判別する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、記録材の白色度又は色度に関わらず、記録材の判別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図2】第1の実施形態におけるカラーセンサの概略構成図
【図3】第1の実施形態におけるメディアセンサの概略構成図
【図4】記録材の坪量と、記録材の透過光量の関係を示したグラフ
【図5】記録材の白色度と透過光量の関係を示したテーブル
【図6】白色度及び透過光量を用いて記録材の種類を判別する方法を示したフローチャート
【図7】第2の実施形態におけるメディアセンサの概略構成図
【図8】第3の実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図9】記録材Pの種類をカラーセンサ14で判別するために、記録材Pに形成する濃度検知用トナー像を示した図
【図10】濃度検知用トナー像が記録材のどの位置に形成されるかを示した図
【図11】記録材の白色度の違いによる、1面目の濃度検知の結果と2面目の濃度検知の結果を示したグラフ
【図12】記録材の白色度と1面目及び2面目の反射濃度の関係を示したテーブル
【図13】白色度と1面目及び2面目の反射濃度を用いて記録材の種類を判別する方法を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態の記録材判別装置は、例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いることが可能である。図1は、その一例として記録材判別装置を搭載している画像形成装置として、中間転写ベルトを採用し複数の画像形成部を並列にして構成した画像形成装置を示す構成図である。
【0013】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置の全体構成を説明する。図1に示す画像形成装置は、以下の構成を備えている。水平方向に並設された4個の像担持体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)。これらの感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、時計回りに回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、感光ドラム1の表面を均一に帯電する帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)。画像処理部(不図示)から送られた画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光ドラム1上の静電潜像を形成するスキャナ3。静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像ローラ41(41Y、41M、41C、41K)。現像ローラ41にトナーを供給するトナー供給容器42(42Y、42M、42C、42K)。駆動ローラ52、テンションローラ53及び従動ローラ54により張架されつつ、感光ドラム1と接触しながら、反時計方向に回転する中間転写体としての中間転写ベルト51。中間転写ベルト51は、一次転写手段としての一次転写ローラ6(6Y、6M、6C、6K)により感光ドラム1上のトナー像を一次的に担持する。中間転写ベルト51上のトナー像を記録材Pに転写させる二次転写手段としての二次転写ローラ7。なお、現像ローラ41、トナー供給容器42を合わせて、現像器4(4Y、4M、4C、4K)と呼び、現像器4Y、4M、4C、4Kには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが収容されている。二次転写後に中間転写ベルトに残ったトナーは、クリーニング手段13により除去される。
【0014】
給紙部は、記録材Pを積載する給紙カセット9と、記録材Pを給紙カセット9から給紙する給紙ローラ10を備える。給紙カセット9から給紙された記録材Pは搬送ローラ対11によって搬送される。搬送ローラ対11によって搬送された記録材Pはレジストローラ対12によって、一旦停止させられ、且つ斜行を補正される。斜行が補正された記録材Pは、中間転写ベルト51上に形成されたイエロー、ブラック、マゼンタ、シアンからなるトナー像の位置とタイミングを合わせて、中間転写ベルト51と二次転写ローラ7との間の転写ニップN1に搬送される。
【0015】
レジストローラ対12の上流には、メディアセンサ17とカラーセンサ14が配置されている。メディアセンサ17は、記録材Pの透過光を測定するものであり、記録材Pの透過光が測定されるタイミングは、記録材Pが給紙ローラ10により給紙され、搬送ローラ対11によりレジストローラ対12まで搬送された後、一旦停止したときである。カラーセンサ14は、記録材Pの色や記録材P上に形成された定着後の単色又は混色からなる複数の濃度を検知するためのトナー像としてのパッチを搬送しながら検知する。そして、記録材Pや各トナー像に対応するRGB値を出力する。カラーセンサ14を画像形成装置内部に配置することにより、記録材P上の定着後のトナー像を、排紙ローラ対15によって排紙する前に、検知することが可能になる。実際にカラーセンサ14で、記録材P上のトナー像の色を検知するのは、画像形成装置の制御部(不図示)から画像濃度の制御命令が出され、記録材Pが後述する両面搬送路を通過し再給紙されたときである。なお、本実施形態においては、メディアセンサ17とカラーセンサ14とを合わせて記録材判別装置とする。また、カラーセンサ14の配置とメディアセンサ17の配置をレジストローラ対12の上流として説明したが、記録材Pの検知が行える位置であれば、これに限られるものではない。
【0016】
転写ニップN1の記録材の搬送方向下流側には、熱源を内包する定着部材81と加圧部材82を有する定着装置8が配置されている。定着装置8は、記録材Pを搬送させながら、転写ニップN1で転写されたトナー像を定着させる。具体的には、定着部材81と加圧部材82とで形成する定着ニップ部N2にて、記録材Pを挟持搬送して加熱及び加圧する。トナー像が定着された後の記録材Pは、定着排出ローラ対83によって定着装置8より排出され、排出ローラ対15によって排出トレイ20に排出される。なお、記録材Pは、画像形成装置の制御部(不図示)から両面印字命令があった場合は、排紙ローラ対15で搬送方向が逆転され、搬送ローラ対18、19へと搬送され、再びレジストローラ対12に搬送される。また、排紙ローラ対15から搬送ローラ対18、19、レジストローラ対12に至る経路の総称を両面搬送路とする。
【0017】
<カラーセンサの構成>
図2にカラーセンサ14の一例としての概略構成図を示す。なお、本実施形態においてカラーセンサとは、記録材又は記録材上に形成された定着後のトナー像にLED等の発光素子により光を照射して、記録材又はトナー像からの反射光の色成分を分析して色の判別を行う装置のことである。
【0018】
カラーセンサ14は、発光素子である白色LED142と受光素子であるRGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ141aにより構成される。本実施形態では、図2(a)のように、白色LED142を定着後の濃度検知用トナー像16が形成された記録材Pに対して斜め45度より入射させ、乱反射光強度をRGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ141aにより検知するような構成とした。又、図2(b)のように、白色LED142を濃度検知用トナー像16が形成されていない記録材Pの任意の領域に対して斜め45度より入射させ、乱反射光強度をRGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ141aにより検知するような構成とした。RGBオンチップフィルタ付き電荷蓄積型センサ141aの受光部は、141bのようにRGBが独立した画素となっている。なお、受光素子はフォトダイオードでも良いし、RGBの3画素のセットが、数セット並んでいるものでも良い。また、白色LED142の入射角を45度としたが、入射角が0度とし、反射角が45度として検知するような構成でも良い。この際、理想的には入射角と反射角との差を45度したが、検知結果が所望の精度を満たしていれば、必ずしも45度でなくてもよい。また、RGB3色が発光するLEDとフィルタが無いセンサにより構成して検知することも可能である。
【0019】
<メディアセンサの構成>
図3にメディアセンサ17の一例としての概略構成図を示す。メディアセンサ17は、CMOSセンサやCCDを用いたエリアセンサ171と、記録材Pに対してエリアセンサ171の反対側からエリアセンサ171が配置されている方向に光を照射するLED等の透過光用発光素子172により構成される。図3に示すように、透過光用発光素子172により、記録材Pに光を照射し、記録材Pを透過した透過光をエリアセンサ171で受光する。エリアセンサ171で検知した透過光量を用いて、記録材Pの厚さを判別する。
【0020】
<記録材Pの厚さを判別する方法>
カラーセンサ14で検知した記録材Pの白色度又は色度、及びエリアセンサ171により検知した透過光量を用いて記録材Pの厚さを判別する方法について説明する。
【0021】
図4は、白色度W10が84以上の複数の坪量が異なる記録材、及びW10が61以下の複数の坪量が異なる記録材(例えば、再生した記録材)について、記録材の坪量と、記録材の透過光量の関係を示したグラフである。なお、各記録材における坪量と白色度の関係は、以下の表1ようになる。この際、白色度はカラーセンサ14で測定したCIE−Labにおける色度値を用いて、
10=2.41L−4.45b[1−0.0090(L−96)]−141.4・・・(1)
上記式(1)により算出した。
【0022】
【表1】

【0023】
図4より、例えば薄紙のような坪量が小さい記録材は、厚紙のような坪量が大きい記録材と比べると透過光量が大きくなっているのがわかる。また、同じ坪量の記録材でも、白色度が大きい記録材よりも白色度が小さい記録材の方が、透過光量が小さくなっているのがわかる。つまり、図4のグラフは、記録材の白色度によって、記録材の坪量と記録材の透過光量が示す関係が異なることを示している。なお、本実施形態においては、一例として白色度W10が84以上の記録材と、白色度W10が61以下の記録材について図4のグラフに示した。例えば、61<W10<84の範囲にある記録材については、範囲内の坪量の記録材を用いて透過光量を計測しグラフを作成するか、W10≧84の記録材による曲線とW10≦61の記録材による曲線を用いてグラフを算出することができる。
【0024】
このように、記録材の白色度によって、記録材の坪量と記録材の透過光量が示す関係が異なることがわかったため、本実施形態においては、記録材の厚さを判別するために記録材の白色度と透過光量の関係を示すグラフ又はテーブルを作成しておく。そして、記録材の白色度の測定結果から、その記録材の白色度に対応するグラフ又はテーブルを選択し、記録材の透過光量の測定結果に基づいて記録材の厚さを判別する。
【0025】
図5は、記録材の白色度と透過光量の関係を示したテーブルである。本実施形態では、記録材の種類を以下の分類で判別することが可能である。薄紙(坪量:〜74g/m2)。普通紙(坪量:75g/m2〜90g/m2)。厚紙1(坪量:91g/m2〜105g/m2)。厚紙2(坪量:106g/m2〜128g/m2)。厚紙3(坪量:129g/m2〜)。なお、記録材の分類はこれに限られるものではなく、さらに詳細な記録材の種類を判別したい場合は、坪量の範囲を細かく設定することも可能である。逆に、普通紙より薄い紙と厚紙を判別するというように2種類の記録材を判別するように設定することも可能である。
【0026】
なお、図5中のα、βはそれぞれ白色度W10の閾値を示している。本実施形態においては、一例としてα、βの値をα=61、β=84と設定している。この分類において、例えば透過光量が58と検知された記録材の種類を判別する。この記録材が「白色度≦61」であれば、図5のテーブルより記録材は薄紙と判別される。また、この記録材が「61<白色度≦84」であれば、図5のテーブルより記録材は普通紙と判別される。また、この記録材が「84<白色度」であれば、図5のテーブルより記録材は厚紙2と判別される。このように、透過光量が同一であったとしても記録材の白色度によって、判別される記録材の種類は異なることがわかった。そこで、2つのパラメータ(透過光量と白色度)を用いて精度良く記録材の判別を行うことができる。なお、記録材の白色度の代わりに、記録材の色度を用いて記録材の種類を判別することも可能である。色度を用いることで、青、赤、黄等の色みを帯びた記録材に対しても、精度良く厚さを判別することが可能になる。
【0027】
図6のフローチャートを用いて、白色度及び透過光量を用いて記録材の種類を判別する方法について説明する。なお、この制御はCPU(不図示)がROM(不図示)に格納された制御プログラムに基づいて、各部を制御しながらRAM(不図示)を用いて実行する。また、記録材の判別が行われるタイミングは、記録材Pの厚さを自動判別して画像形成する指示が出されたとき、又は、ユーザの手動操作により記録材の判別を実施するように指定されたときとする。
【0028】
S101において、CPUは画像形成の指示を受けると、給紙カセット9から記録材Pを搬送させる。S102において、CPUは記録材Pをレジストローラ対12まで搬送させ一旦停止させる。そして、メディアセンサ17により記録材Pの透過光量を検知する。S103において、CPUはカラーセンサ14により記録材Pの白色度を検知
する。
【0029】
S103において、CPUはROMに格納されている記録材Pの厚さを判別するためのテーブルを用いて、記録材Pの透過光量と白色度から記録材Pの厚さを判別する。S105において、CPUは判別した記録材Pの厚さに応じて、転写条件と定着条件と搬送条件等の画像形成条件を決定する。S106において、CPUは決定した各条件において、画像形成動作を開始する。
【0030】
このように、メディアセンサ17により透過光量を検知し、カラーセンサ14により白色度又は色度を検知し、これらの検知したパラメータに応じて、記録材Pの厚さを判別した。これにより、同じ坪量においても記録材Pの色の違いによる判別のばらつきを考慮することができ、記録材Pの白色度又は色度に関わらず、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、中間転写ベルトを採用し複数の画像形成部を並列にして構成した画像形成装置を用いて説明した。しかし、画像形成装置はこれに限られるものではなく、例えば静電搬送ベルトに記録材を担持搬送しながら、感光ドラム1上のトナー像を順次、記録材に直接転写する直接転写方式の画像形成装置でもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、メディアセンサ17を用いて記録材Pの透過光を検知する方法について説明した。本実施形態においては、記録材Pの透過光及び反射光を検知する方法について説明する。なお、画像形成装置等、先の第1の実施形態と同様の構成については、ここでの説明は省略する。また、透過光量及び白色度を用いた記録材の判別方法等、先の第1の実施形態と同様の制御についても、ここでの説明は省略する。
【0033】
<メディアセンサの構成>
図7に本実施形態のメディアセンサ17´の概略構成図を示す。メディアセンサ17´は、以下の部材から構成される。CMOSセンサやCCDを用いたエリアセンサ171。記録材Pに対してエリアセンサ171の反対側からエリアセンサ171が配置されている方向に光を照射するLED等の透過光用発光素子172。記録材Pを斜め上方から照射するLED等の反射光用発光素子173。
【0034】
反射光用発光素子173により、記録材Pに対して斜めから光を照射し、エリアセンサ171で撮像することにより、記録材Pの表面の凹凸を表面画像として撮像することができる。この表面画像から凹凸の深さや凹凸の細かさを検知することによって、普通紙、ラフ紙、グロス紙、コート紙のような記録材の判別することができる。ここで、凹凸の深さは、例えば複数画素の出力の最大値と最小値の差分で判断できる。また、凹凸の細かさは、例えばセンサ出力を2値化したときの1と0の切り替わり頻度で判別できる。また、反射光量がある閾値より小さい場合は、記録材からの反射がほとんど透過してしまっていると判断できる。つまり、記録材が透明なシートであるOHTであると判別することができる。なお、透過光量を用いて、記録材PがOHTであるか否かを検知することも可能である。OHTは透明なシートであるため、普通紙等の記録材と比較して透過光を遮る率が低いため、透過光量がある閾値より大きい場合は、OHTであると判別することができる。
【0035】
このように、メディアセンサ17により透過光量を検知し、カラーセンサ14により白色度又は色度を検知し、これらの検知したパラメータに応じて、記録材Pの厚さを判別することに加えて、反射光により記録材Pの表面性を判別することも可能となる。よって、ラフ紙やグロス紙といった記録材Pの表面性の違いによる種類の判別をより詳細に行えるため、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0036】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、メディアセンサ17及びカラーセンサ14の検知結果を用いて、記録材Pの判別を行う方法について説明した。本実施形態においては、メディアセンサ17を用いず、カラーセンサ14を用いて記録材Pの判別を行う方法について説明する。なお、画像形成装置等、先の第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の構成については、ここでの説明は省略する。
【0037】
図8は、本実施形態における画像形成装置の概略構成図である。先の第1の実施形態で説明した画像形成装置と異なる部分について説明し、同様の部分の説明は省略する。本実施形態における画像形成装置はメディアセンサ17を備えていない。また、カラーセンサ14が定着装置8の記録材Pの搬送方向の下流側で且つ排紙ローラ対15より上流側に、記録材Pの画像が形成される面に向けて配置されている。なお、カラーセンサ14の配置はこれに限定されるものではなく、記録材Pの1面目(表面)と2面目(裏面)の検知が行える位置であれば良い。例えば、両面搬送路内の搬送ローラ対18、19の間に配置してもよい。また、本実施形態においては、カラーセンサ14を記録材判別装置とする。以下、このような構成において、記録材Pを判別する方法について説明する。
【0038】
<記録材の厚さを判別する方法>
図9は、本実施形態における記録材Pの種類をカラーセンサ14で判別するために、記録材Pに形成する濃度検知用トナー像を示した図である。ここでは、濃度検知用トナー像はブラックトナーにより8段階の階調で形成されている。定着装置8により記録材Pに定着された後、カラーセンサ14により1面目(表面)と2面目(裏面)から濃度検知用トナー像は測定される。なお、図9の濃度検知用トナー像の印字率(階調度)は、K1=12.5%、K2=25%、K3=37.5%、K4=50%、K5=62.5%、K6=75%、K7=87.5%、K8=100%と設定されている。
【0039】
図10は、濃度検知用トナー像が記録材のどの位置に形成されるかを示した図である。カラーセンサ14により濃度を検知するために、記録材Pの搬送方向に濃度検知用トナー像を並べて形成する。なお、濃度検知用トナー像の色は、単色のブラックに限定されるものではない。例えば、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれかを単色で用いても良いし、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの内から、いくつかの色を混合させたときに生じる色を用いても良い。また、濃度検知用トナー像の印字率も上記に示した数値に限定されるものではなく、記録材Pを判別することができる値を検知できれば上記数値以外であってもよい。さらに、濃度検知用トナー像は8個形成することに限られるものではなく、記録材Pを判別することができる値を検知できれば、上記以外の個数でもよい。
【0040】
図11は、白色度W10が84以上の複数の坪量が異なる記録材、及びW10が61以下の複数の坪量が異なる記録材について、1面目の濃度検知の結果と2面目の濃度検知の結果を示したグラフである。図11(a)は、白色度W10が84以上の坪量が異なる複数の記録材についてのグラフであり、図10(b)は、白色度W10が61以下の坪量が異なる複数の記録材についてのグラフである。
【0041】
図11(a)より、例えば薄紙のような坪量が小さい記録材は、厚紙のような坪量が大きい記録材と比べると2面目に裏写りした濃度検知用トナー像の反射濃度が大きくなっているのがわかる。これは、記録材Pの厚みの違いによって同じ濃度のトナー像を形成しても、2面目での反射濃度が変わるためである。つまり、1面目に形成された濃度検知用トナー像の反射濃度と、同じ濃度検知用トナー像を2面目から検知した反射濃度を用いることで、記録材Pの厚みを判別することができる。
【0042】
同様に、図11(b)より、薄紙のような坪量が小さい記録材は、厚紙のような坪量が大きい記録材と比べると2面目に裏写りした濃度検知用トナー像の反射濃度が大きくなっているのがわかる。つまり、記録材Pの白色度によらず、記録材Pの厚みによって、1面目の反射濃度と2面目の反射濃度の関係は決まることがわかる。
【0043】
ここで、図11(a)及び図11(b)より、同じ坪量の記録材でも、W10が61以下の記録材に裏写りしたトナー像の反射濃度の方が、W10が84以上の記録材に裏写りしたトナー像の反射濃度よりも大きいことがわかる。例えば、図11(a)と図11(b)における坪量80g/m2の普通紙について2面目に裏写りしたトナー像の反射濃度を比較する。すると、W10が84以上の記録材に裏写りしたトナー像の反射濃度は約0.10から0.12の間で推移しているのに対し、W10が61以下の記録材に裏写りしたトナー像の反射濃度は約0.14から0.15の間で推移していることがわかる。つまり、W10が61以下の記録材に裏写りしたトナー像の反射濃度の方が高い値を示している。このように、記録材の白色度が異なれば、1面目の濃度検知用トナー像の反射濃度と、2面目の反射濃度の関係を示す特性が異なることがわかる。
【0044】
このように、記録材の白色度によって、反射濃度の関係が異なることがわかったため、本実施形態においては、記録材の白色度毎に記録材の厚さを判別する。すなわち、記録材の白色度に応じて、記録材の厚さを判別するためのグラフ又はテーブルを作成しておく。そして、記録材の白色度の測定結果から、その記録材の白色度に応じたグラフ又はテーブルを選択し、濃度検知用トナー像の反射濃度の検知結果を用いて記録材の厚さを判別する。
なお、記録材の白色度の代わりに、記録材の色度を用いて記録材の種類を判別することも可能である。色度を用いることで、青、赤、黄等の色味を帯びた記録材に対しても、精度良く厚さを判別することが可能になる。
【0045】
図12は、記録材の白色度と1面目及び2面目の反射濃度の関係を示したテーブルである。本実施形態では、記録材の種類を以下の分類で判別することが可能である。薄紙(坪量:〜74g/m2)。普通紙(坪量:75g/m2〜90g/m2)。厚紙1(坪量:91g/m2〜105g/m2)。厚紙2(坪量:106g/m2〜128g/m2)。厚紙3(坪量:129g/m2〜)。なお、記録材の分類はこれに限られるものではなく、さらに詳細な記録材の種類を判別したい場合は、坪量の範囲を細かく設定することも可能である。逆に、普通紙より薄い紙と厚紙を判別するというように2種類の記録材を判別するように設定することも可能である。
【0046】
なお、図12中のα、βはそれぞれ白色度W10の閾値を示している。図12(a)は、白色度W10≦αの際のテーブル、図12(b)は、白色度α<W10≦βの際のテーブル、図12(c)は、白色度β<W10の際のテーブルである。白色度から選択する、これらのテーブルと、
記録材1面目のトナー像の反射濃度と、2面目に裏写りしたトナー像の反射濃度から記録材の厚さを判別することができる。
【0047】
図13のフローチャートを用いて、白色度と1面目及び2面目の反射濃度を用いて記録材の種類を判別する方法について説明する。なお、この制御はCPU(不図示)がROM(不図示)に格納された制御プログラムに基づいて、各部を制御しながらRAM(不図示)を用いて実行する。また、本実施形態では、同一種類の記録材が給紙カセット9に積載されていることを前提とする。記録材の判別が行われるタイミングは、以下のような場合とする。本体の電源が入れられてから初めて記録材Pの厚さを自動判別して画像形成する指示が出されたとき。又は、給紙カセットが開閉されて新たな記録材が補給されてから初めて記録材Pの厚さを自動判別して画像形成する指示が出されたとき。又は、ユーザの手動操作により記録材の判別を実施するように指定されたとき。
【0048】
S201において、CPUは画像形成指示を受けると、画像形成動作を開始する。S202において、CPUは記録材P上に濃度検知用トナー像を形成する。S203において、CPUはカラーセンサ14によって、記録材Pに定着された濃度検知用トナー像の1面目(表面)の反射濃度と記録材Pの白色度W10を検知する。
【0049】
S204において、CPUは記録材Pを排紙ローラ対15により反転させて再給紙する。S205において、CPUは記録材Pの2面目(裏面)には画像形成を行わずにカラーセンサ14の位置まで搬送させて、記録材Pの2面目の反射濃度を検知する。S206において、CPUは記録材Pの白色度W10に応じて、あらかじめROMに格納されている複数の記録材の判別用テーブル又は判別用グラフの中から、白色度W10に応じたテーブル又はグラフを選択する。そして、濃度検知用トナー像の1面目及び2面目からの反射濃度の検知結果に基づき、記録材Pの厚さを判別する。S207において、CPUは判別した記録材Pの厚さに応じて、転写条件と定着条件と搬送条件等の画像形成条件を決定する。記録材Pの厚さの判別が行われた後は、決定した各条件において、画像形成動作を開始する。
【0050】
このように、記録材に濃度検知用トナー像を形成し、1面目と2面目からの反射濃度を検知することにより、メディアセンサを用いずカラーセンサ14のみで記録材の厚みを判別することができる。また、カラーセンサ14により記録材の白色度又は色度を検知し、濃度検知用トナー像の反射濃度と合わせて記録材の厚さを判別することにより、記録材Pの色の違いによる判別のばらつきを考慮することができる。よって、記録材Pの白色度又は色度に関わらず、記録材の判別精度を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態では、中間転写ベルトを採用し複数の画像形成部を並列にして構成した画像形成装置を用いて説明した。しかし、画像形成装置はこれに限られるものではなく、例えば静電搬送ベルトに記録材を担持搬送しながら、感光ドラム1上のトナー像を順次、記録材に直接転写する直接転写方式の画像形成装置でもよい。
【符号の説明】
【0052】
14 カラーセンサ
17 メディアセンサ
P 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に光を照射する第1の照射手段と、
前記第1の照射手段から照射され、記録材を透過した光を受光する第1の受光手段と、
記録材に光を照射する第2の照射手段と、
前記第2の照射手段から照射され、記録材から反射した光を受光する第2の受光手段と、
前記第2の受光手段で受光した反射光量から記録材の白色度又は色度を判別し、前記記録材の白色度又は色度と前記第1の受光手段で受光した透過光量とに基づいて、記録材の厚さを判別する制御手段と、を備えることを特徴とする記録材判別装置。
【請求項2】
記録材に光を照射する第3の照射手段をさらに備え、
前記第1の受光手段は、第3の照射手段から照射され、記録材から反射した反射光を受光し、
前記制御手段は、前記第1の受光手段で受光した反射光から記録材の表面性を判別することを特徴とする請求項1に記載の記録材判別装置。
【請求項3】
濃度検知用トナー像が形成された記録材に光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射され、記録材から反射された反射光及び前記濃度検知用トナー像から反射された反射光を受光する受光手段と、
前記記録材から反射された反射光から記録材の白色度又は色度を判別し、前記記録材の白色度又は色度と前記濃度検知用トナー像から反射された反射光とに基づいて、記録材の厚さを判別する制御手段と、を備えることを特徴とする記録材判別装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記記録材の反射光を用いて、前記濃度検知用トナー像が形成された記録材の表面と前記濃度検知用トナー像が形成されていない裏面の濃度検知を行い、前記記録材の白色度又は色度と前記表面の濃度検知の結果と前記裏面の濃度検知の結果とに基づいて、記録材の厚さを判別することを特徴とする請求項3に記載の記録材判別装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
記録材に光を照射する第1の照射手段と、
前記第1の照射手段から照射され、記録材を透過した光を受光する第1の受光手段と、
記録材に光を照射する第2の照射手段と、
前記第2の照射手段から照射され、記録材から反射した光を受光する第2の受光手段と、
前記第2の受光手段で受光した反射光量から記録材の白色度又は色度を判別し、前記記録材の白色度又は色度と前記第1の受光手段で受光した透過光量とに基づいて、前記画像形成手段の画像形成条件を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成手段。
【請求項6】
記録材に光を照射する第3の照射手段をさらに備え、
前記第1の受光手段は、第3の照射手段から照射され、記録材から反射した反射光を受光し、
前記制御手段は、前記第1の受光手段で受光した反射光から前記画像形成手段の画像形成条件を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成手段。
【請求項7】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により濃度検知用トナー像が形成された記録材に光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射され、記録材から反射された反射光及び前記濃度検知用トナー像から反射された反射光を受光する受光手段と、
前記記録材から反射された反射光から記録材の白色度又は色度を判別し、前記記録材の白色度又は色度と前記濃度検知用トナー像から反射された反射光とに基づいて、前記画像形成手段の画像形成条件を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記記録材の反射光を用いて、前記濃度検知用トナー像が形成された記録材の表面と前記濃度検知用トナー像が形成されていない裏面の濃度検知を行い、前記記録材の白色度又は色度と前記表面の濃度検知の結果と前記裏面の濃度検知の結果とに基づいて、前記画像形成手段の画像形成条件を制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−20002(P2013−20002A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151923(P2011−151923)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】